説明

1,3,5−トリエチル−2,4,6−トリヒドリド−2,4,6−トリエチルアミノ−1,3,5−トリアザ−2,4,6−トリシラシクロヘキサンの製造方法

【課題】1,3,5−トリエチル−2,4,6−トリヒドリド−2,4,6−トリエチルアミノ−1,3,5−トリアザ−2,4,6−トリシラシクロヘキサンの合成方法を提供する。
【解決手段】1,3,5−トリエチル−2,4,6−トリヒドリド−2,4,6−トリエチルアミノ−1,3,5−トリアザ−2,4,6−トリシラシクロヘキサンの製造方法において、トリクロロシランとエチルアミンとを溶剤中で反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,3,5−トリエチル−2,4,6−トリヒドリド−2,4,6−トリエチルアミノ−1,3,5−トリアザ−2,4,6−トリシラシクロヘキサンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造において、SiO層、SiN層、SiON層及びSiOC層のより新しい作成方法に基づき、CVD法(化学蒸着(chemical vapour deposition)、CVD)で直接堆積できるか、又はALD法(原子層堆積(atomic layer deposition)、ALD)で施与され、引き続きの反応段階で反応されうる反応性化合物が探索されている。
【0003】
このために適した分子グループは、アミノシラン又はシラザンである。モノマー化合物の他に、オリゴシランも調査されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ZH.Obschei Khimii 1962,32,1987頁以降
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の名称に挙げられた化合物、すなわち1,3,5−トリエチル−2,4,6−トリヒドリド−2,4,6−トリエチルアミノ−1,3,5−トリアザ−2,4,6−トリシラシクロヘキサン(Trisila−Cyclohexan)(以下、短縮してトリシラザンと呼ぶ)は、既に1962年にSergeeva e.a.(ZH.Obschei Khimii 1962,32,1987頁以降)によって言及され、その特性の幾つかが説明されたものの、合成は記載されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の対象は、1,3,5−トリエチル−2,4,6−トリヒドリド−2,4,6−トリエチルアミノ−1,3,5−トリアザ−2,4,6−トリシラシクロヘキサンの製造方法であって、トリクロロシランとエチルアミンとを溶剤中で反応させる前記方法である。
【0007】
ここで、トリクロロシランとエチルアミンとを溶剤中で反応させた場合に、当初予想されるトリス(エチルアミノ)シラン((EtNH)3SiH)は僅かな程度しか生成せず、好ましくはトリシラザンが生成することが判明した。
【0008】
溶剤は、好ましくはC4〜C15の、有利にはC5〜C10の、特に有利にはC6〜C8の脂肪族炭化水素が好ましく、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカンが好ましく、特にイソヘキサンが好ましい。
【0009】
本発明による方法は、好ましくは、20℃未満の、有利には5℃未満の、特に有利には−10℃未満で−50℃までの温度及び900〜1100hPaの圧力で行われる。
【0010】
エチルアミンは、好ましくは、反応器のガス空間内に導入され、その配量は、反応器の内部温度が−10℃を超過しないように選択される。
【0011】
1モルのトリクロロシランに対して、6〜10モルのエチルアミン、特に好ましくは6.2〜7モルのエチルアミン及び200〜1500gの溶剤、特に好ましくは800〜1000gの溶剤が使用される。
【0012】
反応の終わりに、得られた懸濁液を好ましくは濾過し、好ましくは引き続き溶剤で洗浄し、そして得られた溶液を好ましくは蒸留する。その場合に、蒸留条件は、温度が好ましくは320℃未満、特に有利には100〜150℃であり、その際、圧力は、好ましくは900〜1100hPaの常圧から真空までであり、特に好ましくは1ミリバール未満であるという条件である。
【0013】
本発明の範囲では、全ての部及びパーセント見積もりの表示は、特に記載がない限り、質量に対するものである。特に記載がない限り、周囲大気の圧力で、従って約900〜1100hPaで、かつ特に記載がない限り、室温で、従って約20℃で、もしくは反応物を室温で付加的加熱又は冷却をせずに合わせる場合に生ずる温度で作業される。全ての挙げられる粘度の表示は、25℃の温度に関するべきである。
【実施例】
【0014】
撹拌機と、強力冷却器と、熱電対と、滴加導管とを有する二重ジャケット容器において、1410gのイソヘキサンを初充填した。ここに、244gのトリクロロシランを入れた。引き続き、該溶液を−40℃に冷却し、そして550gのエチルアミンを反応器のガス空間内に導入した。その配量は、反応器の内部温度が−10℃を超過しないように選択した。白色の懸濁液が形成され、それをゆっくりと20℃まで加温した。引き続き、その懸濁液を濾過し、固体を引き続き更なるイソヘキサンで洗浄し、そして得られた溶液を蒸留した。約130℃及び0.1ミリバールの圧力で、トリシラザンを98%を超える純度(ガスクロマトグラフィーによって測定)で含有するフラクションが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,3,5−トリエチル−2,4,6−トリヒドリド−2,4,6−トリエチルアミノ−1,3,5−トリアザ−2,4,6−トリシラシクロヘキサンの製造方法であって、トリクロロシランとエチルアミンとを溶剤中で反応させることを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記溶剤が、C5〜C10の脂肪族炭化水素であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶剤を初充填して、トリクロロシランを添加し、引き続き、その溶液を−10℃〜−50℃に冷却し、そしてエチルアミンを反応器のガス空間内に導入し、かつその配量を、反応器の内部温度が−10℃を超過しないように選択することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。

【公開番号】特開2012−12396(P2012−12396A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147365(P2011−147365)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】