1,4−ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの容易かつ有効な製造方法
【課題】フッ化パラキシレンダイマーを調整するための重要な前駆体として使用される、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの、簡便で低コストの合成方法の提供。
【解決手段】(A)1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンの反応液を供給する工程;(B)任意でUV照射のための光源を供給する工程;および(C)1atmを超える圧力下、50-90℃の温度で、塩素ガスを反応液に導入して、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを得る工程を含む、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの容易な合成方法。さらに、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの効率的な製造のためのバッチ法または連続法に使用できる。
【解決手段】(A)1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンの反応液を供給する工程;(B)任意でUV照射のための光源を供給する工程;および(C)1atmを超える圧力下、50-90℃の温度で、塩素ガスを反応液に導入して、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを得る工程を含む、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの容易な合成方法。さらに、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの効率的な製造のためのバッチ法または連続法に使用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2011年11月9日に出願された、台湾特許出願番号100140940号の利益を請求し、この出願の内容は引用により本書に組み込まれる。
本発明は、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの合成方法に関する。より詳しくは、本発明は、単純な工程で反応時間が短い、バッチ法または連続法を用いて高収率で1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを合成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空熱分解における化学蒸着(CVD)法によって、パリレンポリマーを極薄膜に形成し得るが、これは、電気特性、耐熱性、化学安定性、高透明度等の優れた特性を有する。そのため、パリレンポリマーは、薄膜およびコーティングに一般に使用されており、プリント基板における電気的遮蔽、センサーまたは医療機器における防湿、電子装置における電気絶縁、保護コーティング、包装材料、金属コーティングの耐食等、多数の領域において幅広く適用されている。
【0003】
現在、以下の式(1)で示されるポリ(テトラフルオロ-p-キシレン)等のフッ化パリレンが、沸点が高く、誘電率が低く、また抗紫外線およびアンチエイジング特性が良好であることから、エレクトロニクスおよびコーティング産業で使用される誘電体膜に適用されている。
【化1】
【0004】
現在、フッ化パリレンによるコーティング方法では、対象の表面で活性モノマーを重合する。一般的工程である液体コーティング法とは異なり、このコーティング法は以下の通り実施される:以下の式(2)で示されるオクタフルオロ-(2,2)-パラシクロファン(AF4)等の、フッ化パラキシレンダイマーを加熱および気化し、熱分解により、該ダイマーをフリーラジカルであるフッ化パラキシレンモノマーに変換し、その後、対象上でモノマーを重合してポリ(テトラフルオロ-p-キシレン)を形成するが、これはパリレンHTと呼ばれ、式(1)で示される。
【化2】
【0005】
以下の式(3)で示される1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン(CFB)は、フッ化パリレンダイマー(AF4)の製造に重要な前駆体である。
【化3】
【0006】
1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの従来の製造方法は、以下の工程を含む:1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンを四塩化炭素(CCl4)等の溶媒に溶解して、反応液を形成する工程;光開始剤を供給し、反応液中に塩素ガスを導入する工程;および、触媒である光開始剤の下で光照射により反応を開始して、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを得る工程。しかし、該方法は、いくつかの不利点がある:(1)反応時間が長い;(2)収率が低い;(3)光開始剤またはCCl4等の溶媒の添加が必要であり、環境に優しくない;(4)精製過程が複雑である;および(5)製品を得るために多量のエネルギーを消費する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、大量生産のための、迅速、簡便かつ低コストの1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの合成方法を提供することが望ましい。本発明は、フッ化パラキシレンダイマーを調整するための重要な前駆体として使用される、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの、簡便で低コストの合成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、以下の反応(I)で示される通りの、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン(CFB)の合成方法を提供することである。
【化4】
【0009】
本発明は、工程:(A)1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン(TFPX)の反応液を供給する工程;および(B)1 atmを超える圧力下、50-90℃の温度で、塩素ガス(Cl2)を反応液に導入して、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン(CFB)を得る工程を含む、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの合成方法を提供する。
【0010】
本発明の方法において、1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンは、1 atmよりわずかに高い圧力下でCl2と直接反応し得る。本発明の方法は、1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンを溶媒中に溶解する工程を省略し、1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンと塩素ガスとの反応を光照射により、光開始剤を使用せずに開始し得る。反応物質である1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンは、溶媒として使用され、完全に反応し得るため、溶媒を除去する工程は省略し得る。一方、光開始剤を除去するための精製過程もまた、本発明の方法では光開始剤を使用しないため、省略し得る。従って、本発明は、大量生産のための、簡便、迅速かつ低コストの1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの製造方法を提供する。より詳しくは、本発明の方法は、原材料である1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを提供するが、これはポリ(テトラフルオロ-p-キシレン)の製造過程の前駆体であり得る。
【0011】
本発明の方法では、反応は好ましくは閉鎖空間で実施し、1 atmを超える圧力を維持する。1 atmを超える圧力を維持することによって、塩素ガスが1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン中に溶解され得る。さらに、塩素ガスは、溶媒を使用せずに、1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンと反応し得る。
【0012】
加えて、本発明の方法では、反応の間、1 atmを超える圧力を維持するため、塩素ガスの当量は好ましくは1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンの当量より多い。塩素ガスの1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンに対するモル比は、2:1〜4:1の範囲内であってもよく、好ましくは2.2:1〜3:1の範囲内であってもよい。塩素ガスの1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンに対するモル比が2:1未満の場合、反応の間の塩素ガスの圧力は相対的に低く、その結果反応速度が低下し、反応時間が延び、反応を完全に実施できない。塩素ガスの1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンに対するモル比が4:1を超える場合、反応の間の塩素ガスの圧力は過剰に高く、反応副生物(例えばHCl)の濃度が上昇し、これは反応を抑制して、不完全な反応を引き起こす。本書では、工程(B)は、KOH、NaOHまたはNH4OH溶液等のアルカリ溶液を使用することによって、未反応の塩素ガスを中和する工程をさらに含み得る。
【0013】
本発明の方法では、方法の反応圧力は、1.001〜1.10 atmの範囲内であり得る。圧力が1 atm未満の場合、本発明の反応系は、陰圧として示され、その結果、塩素ガスを1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン中に充分に溶解できない。圧力が1.10 atmより高い場合、反応から形成されるHCl濃度は相対的に高く、反応を抑制して不完全な反応を引き起こす。
【0014】
さらに、本発明の方法では、反応速度を上げ、反応時間を短縮し、大量生産を容易にするため、工程(B)は任意に、光源によって反応液を照射する工程を含んでもよい。光源は、UV光を供給してもよい。UV光を供給する光源は、特に限定されず、当業界で知られている慣用の光装置(例えば紫外線ランプまたは水銀灯)であってもよい。紫外線ランプまたは水銀灯を使用しても、反応温度は、光源の強度によって変更し得る。加えて、完全に反応させるために、反応時間もまた光源の形態、強度、および反応温度によって調節し得る。
【0015】
本発明の方法の1つの様相では、光源は紫外線ランプであってもよい。紫外線ランプは、10〜400 Wの強度範囲のUV光を供給し得るが、好ましくは30〜90 Wである。さらに、反応温度は30〜100℃の範囲内であってもよく、好ましくは70〜90℃である。
【0016】
本発明の方法の別の様相では、光源は水銀灯であってもよい。水銀灯は、300〜1000 Wの強度範囲のUV光を供給し得るが、好ましくは350〜450 Wである。さらに、反応温度は30〜80℃の範囲内であってもよく、好ましくは50〜70℃である。
【0017】
上述の通り、本発明による1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの容易な合成法によって、反応時間を短縮し、方法の工程を簡略化し、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの収率を上げ得る。加えて、本発明では、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを大量生産のために製造し、関連産業によるオクタフルオロ-[2,2]パラシクロファン(AF4)の製造過程の間に適用し得る。
【0018】
さらに、本発明は、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの連続的合成法の反応系も提供し、これは、1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンをためる原料タンク;塩素化剤を供給する塩素供給エレメント;原料タンクと塩素供給エレメントを連結する反応器であって、原料タンク内にためた1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンが連結ラインを通って反応器に入り、塩素供給エレメントから供給される塩素化剤が反応器に入るもの;反応器とアルカリ溶液供給エレメントを連結する吸収装置であって、アルカリ溶液供給エレメントがアルカリ溶液を吸収装置に供給するもの;および、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを分離するための分離装置を含む。
【0019】
本発明の連続法の反応系において、塩素化剤は好ましくは塩素ガスである。
【0020】
本書では、吸収装置内のアルカリ溶液は、未反応の塩素ガスを中和するために使用する。加えて、連続法の反応系は、さらに中和剤タンクを含み得るが、これは、反応器および分離装置に連結ラインで連結する。さらに、中和剤タンクもまた、アルカリ溶液供給エレメントと連結するが、ここで、アルカリ溶液供給エレメントは、アルカリ溶液を中和剤タンクに供給する。アルカリ溶液供給エレメントは、さらに、圧力下で吸収装置を提供し得るが、これは反応器内の圧力を1 atmを超えるように維持するため、反応器に対して背圧であり得る。
【0021】
さらに、本発明の連続法の反応系において、分離装置は、分離チャンバーおよび少なくとも1つの蒸留カラムを含み得るが、これらは連結ラインによって反応器に連結する。分離チャンバーは連結ラインによって蒸留カラムに連結する。反応生成物を精製する分離装置を使用することによって、高純度の1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを得ることができる。
【0022】
本発明の他の目的、有利点、および新規な特徴は、添付した図面を併用して、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明によるバッチ法の反応系の概略図を示し;および
【図2】図2は、本発明による連続法の反応系の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本書の以下において、具体例を参照して、本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、多数の異なる形態で具体化してもよく、本書で説明する具体例に限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの具体例は、本発明の概念を当業者に完全に伝えるために提供される。
【0025】
本発明における1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン(以下「CFB」)の合成方法は、バッチ法または連続法の反応系を使用することによって実施される。
【0026】
図1を参照して、本発明によるバッチ法の反応系の概略図を示す。先ず、反応タンク(100)にためた1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン(以下「TFPX」)をヒーター(102)で加熱し、その後、シリンダー(101)からの塩素ガスを、スターラー(103)によって連続的に撹拌しながら、反応タンク(100)に導入して、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを合成する。一方、未反応の塩素ガスは、コンデンサー(104)を通って中和剤タンク(105)を通過し、中和される。本書において、反応系は、塩素ガスの溶解度を維持するため、わずかに陽圧の圧力下に置く。また、ヒーター(102)を使用する代わりに、反応溶液を温水(ジャケット加熱)で加熱することもできる。
【0027】
加えて、バッチ法の反応系は、さらに、反応タンク(100)の下に光源(図には示さず)を提供して、反応混合物を照射し得るが、これにより反応速度が向上し得る。
【0028】
さらに、図2を参照して、本発明による連続法の反応系の概略図を示す。TFPXは、原料タンク(201)から反応器(200)に供給される。一方、Cl2は、塩素供給エレメント(例えばCl2シリンダー)によって反応器(200)中に導入され、塩素ガスは反応器(200)中でTFPXと反応する。未反応の塩素ガスは、反応器の頂部から吸収装置(202)に導入される。アルカリ溶液供給エレメント(203)より吸収装置(202)中にNaOH溶液を供給することによって、未反応の塩素ガスを吸収し得る。反応の終了に際して、反応混合物を中和剤タンク(205)に流し込み、アルカリ溶液供給エレメント(203)より供給されるNaOH溶液で中和する。中和後、粗CFBを含む反応混合物を得、その後分離チャンバー(204)中に導入して、油水相分離を実施する。油相を第一の蒸留カラム(206)に入れて、真空蒸留により混合物から軽質分を分離し、第一の蒸留カラム(206)の頂部より得られる軽質分を、軽質分コレクター(207)に貯蔵する。その後、軽質分を含まない粗CFBを第二の蒸留カラム(206')に導入し、真空蒸留により生成物であるCFBを分離する。第二の蒸留カラム(206')の頂部から得られる生成物のCFBは、生成物コレクター(208)に回収し得る。この場合、連続法の反応系は、塩素ガスの好適な溶解度を維持するためわずかに陽圧の圧力下に置く。加えて、本発明の方法は、反応速度を向上させるため、光源(図には示さず)を提供する工程をさらに含んでもよい。
【0029】
バッチ法の反応系の使用に加えて、本発明の方法は、産業上、CFBの大量生産ための連続法の反応系によっても実施し得る。
【0030】
本発明の具体例に従って、CFBの合成法は、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。本書では、以下の実施例および比較例を実施して、上述の通りのバッチ法または連続法の反応系によってCFBを合成する。
【実施例】
【0031】
実施例1
先ず、300 g(1.69モル)のTFPXをガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中のTFPXを温水(ジャケット加熱)によって60℃に加熱し、水銀灯(400 W)で照射する。
【0032】
このとき、わずかに過剰のCl2(約336 g; 4.73モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を45分間維持して、淡黄色の液体を得る。次に、淡黄色の液体(GC純度: 99.32%)をアルカリ溶液で中和し、油水相分離で処理し、その後、10 torrの圧力下、125℃(CFBの沸点に対応)で蒸留して、408 gの無色液体生成物を収率98.1%で得る。
【0033】
最後に、上述の液体生成物をGCにより分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.59%である。さらに、液体生成物をGC/MSにより分析する。生成物の分析結果を以下に示す:分子量:247 g/mol(C8H4Cl2F4);F19 NMR:δCFCl3 -50.1 ppm (s);およびH1NMR:δTMS 7.8 ppm (s).
【0034】
実施例2
先ず、600.01 g(3.37モル)のTFPXをガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中のTFPXを温水(ジャケット加熱)によって60℃に加熱し、水銀灯(400 W)で照射する。
【0035】
このとき、わずかに過剰のCl2(約600 g; 8.43モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を100分間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0036】
上述の工程の後、淡黄色の液体をGCによって分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.49%である。
【0037】
実施例3
先ず、441.90 g(2.48モル)のTFPXをガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中のTFPXを温水(ジャケット加熱)によって75℃に加熱し、2つの紫外線ランプ(両者36 W)で照射する。
【0038】
このとき、わずかに過剰のCl2(約580 g; 8.18モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を95分間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0039】
上述の工程の後、淡黄色の液体をGCによって分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.44%である。
【0040】
実施例4
先ず、441.78 g(2.48モル)のTFPXをガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中のTFPXを温水(ジャケット加熱)によって80℃に加熱し、紫外線ランプ(36 W)で照射する。
【0041】
このとき、わずかに過剰のCl2(約475 g; 6.60モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を110分間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0042】
上述の工程の後、淡黄色の液体をGCによって分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.46%である。
【0043】
実施例5
先ず、100.00 g(0.56モル)のTFPXをガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中のTFPXを温水(ジャケット加熱)によって80℃に加熱する。
【0044】
このとき、わずかに過剰のCl2(約112 g; 1.55モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を3.5時間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0045】
上述の工程の後、淡黄色の液体をGCによって分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.78%である。従って、この結果は、本発明によるCFBの合成方法が、光開始剤を添加せず、またはUVを照射せず、実施され得ることを示す。反応時間を長くすることにより、塩素化反応は成功裏に実施し得る。
【0046】
実施例6
予め80℃に加熱したTFPXを、蠕動ポンプを用いて1 Kg/時の速度で、反応器の頂部から反応器内へ連続的に導入する。反応器の高さの半分までTFPXで満たされた時に、塩素ガスを13〜15 g/分の速度で導入し、反応器を紫外線ランプで照射する。約2時間後、反応器は淡黄色の液体でほぼ満たされる。この時点で、反応器の排出バルブを開けて、予め定めた速度で反応液を排出し、反応器の液体レベルを特定の高さに維持する。
【0047】
最後に、淡黄色液体を中和剤タンクに導き、アルカリ溶液供給エレメントより供給されるアルカリ溶液で中和する。中和後、反応液を分離チャンバー中に導入して、油水相分離を実施する。油相の混合物を蒸留タンクに導入して、第一の蒸留段階で軽質分を除去し、第二の蒸留段階で重質分を除去する。最終的に、無色の液体生成物を生成物コレクター中に得る。
【0048】
さらに、生成物コレクター中の無色の液体生成物をGCによって分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.35%である。
【0049】
その後、上述の通り、蠕動ポンプを動かし続け、無色液体生成物であるCFBを、5時間後に生成物コレクターから取り出し、GCによって分析し、その純度は99.47%である。10時間後、無色の液体精製物を生成物コレクターから再度取り出し、GCにより分析し、その純度は99.61%である。
【0050】
10.13 KgのTFPXをフィードした後、13.72 Kgの無色液体生成物を得るが、収率は97.6%である。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.51%である。
【0051】
比較例1
先ず、350.53 g(1.97モル)のTFPXおよび光開始剤として使用される0.57 g(0.003モル)の2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)をガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中の反応混合物を温水(ジャケット加熱)によって60℃に加熱し、水銀灯(400 W)で照射する。
【0052】
このとき、わずかに過剰のCl2(約392 g; 5.52モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を50分間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0053】
淡黄色の液体を中和し、その後油水相分離を行う。次に、油相混合物を蒸留して軽質分および重質分を除去し、444.3 gの無色の液体を得る。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度および収率はそれぞれ99.37%および91.3%である。
【0054】
比較例2
先ず、300.27 g(1.69モル)のTFPXおよび480.40 gの四塩化炭素(CCl4)をガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中の反応混合物を温水(ジャケット加熱)によって60℃に加熱し、水銀灯(400 W)で照射する。
【0055】
このとき、Cl2(約275 g; 3.89モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を6時間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0056】
淡黄色の液体を中和し、その後油水相分離を行う。次に、油相混合物を蒸留して、CCl4、軽質分および重質分を除去して、366.9 gの無色の液体を得る。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度および収率はそれぞれ99.56%および87.9%である。
【0057】
比較例3
先ず、302.50 g(1.70モル)のTFPXおよび480.72 gの四塩化炭素(CCl4)をガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中の反応混合物を温水(ジャケット加熱)によって60℃に加熱し、水銀灯(400 W)で照射する。
【0058】
このとき、Cl2(約265 g; 3.74モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmに保ち、反応を15時間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0059】
上述の工程の後、淡黄色の液体をGCによって分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.23%である。
【0060】
比較例4
先ず、300.19 g(1.69モル)のTFPXおよび480.12 gの四塩化炭素(CCl4)をガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中の反応混合物を温水(ジャケット加熱)によって60℃に加熱し、水銀灯(400 W)で照射する。
【0061】
このとき、わずかに過剰のCl2(約333 g; 4.39モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を1時間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0062】
上述の工程後、淡黄色の液体をGCにより分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.53%である。
【0063】
実施例1を比較例1と比較すると、本発明の方法が、光開始剤を使用せずに、加熱または照射により、短時間に高純度のCFBを製造し得ることがわかる。
【0064】
加えて、高純度のCFBの製造において、溶媒または光開始剤のいずれかを使用する、比較例1〜4と比較して、実施例1〜5は、本発明の方法が、光開始剤または溶媒を添加せずに、高純度のCFBを製造し得ることを示す。従って、本発明によって提供される方法は、簡便な精製工程のみを要し、迅速かつ低コストの条件でのCFBの大量生産に好適である。加えて、本発明の方法は、反応の間に、あらゆる溶媒(例えばCCl4)または光開始剤を添加する必要が無く、コストを削減し、環境を保護する。
【0065】
さらに、実施例6は、本発明の方法が、連続法を使用して実施し得ることを示すが、これは、簡便で経済的な条件でのCFBの大量生産に好適である。
【0066】
本発明を、その好ましい態様に関連して説明したが、本書の以下で特許請求した通りの、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、多くの他の可能な修飾および変形がなされ得ることを理解すべきである。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2011年11月9日に出願された、台湾特許出願番号100140940号の利益を請求し、この出願の内容は引用により本書に組み込まれる。
本発明は、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの合成方法に関する。より詳しくは、本発明は、単純な工程で反応時間が短い、バッチ法または連続法を用いて高収率で1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを合成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空熱分解における化学蒸着(CVD)法によって、パリレンポリマーを極薄膜に形成し得るが、これは、電気特性、耐熱性、化学安定性、高透明度等の優れた特性を有する。そのため、パリレンポリマーは、薄膜およびコーティングに一般に使用されており、プリント基板における電気的遮蔽、センサーまたは医療機器における防湿、電子装置における電気絶縁、保護コーティング、包装材料、金属コーティングの耐食等、多数の領域において幅広く適用されている。
【0003】
現在、以下の式(1)で示されるポリ(テトラフルオロ-p-キシレン)等のフッ化パリレンが、沸点が高く、誘電率が低く、また抗紫外線およびアンチエイジング特性が良好であることから、エレクトロニクスおよびコーティング産業で使用される誘電体膜に適用されている。
【化1】
【0004】
現在、フッ化パリレンによるコーティング方法では、対象の表面で活性モノマーを重合する。一般的工程である液体コーティング法とは異なり、このコーティング法は以下の通り実施される:以下の式(2)で示されるオクタフルオロ-(2,2)-パラシクロファン(AF4)等の、フッ化パラキシレンダイマーを加熱および気化し、熱分解により、該ダイマーをフリーラジカルであるフッ化パラキシレンモノマーに変換し、その後、対象上でモノマーを重合してポリ(テトラフルオロ-p-キシレン)を形成するが、これはパリレンHTと呼ばれ、式(1)で示される。
【化2】
【0005】
以下の式(3)で示される1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン(CFB)は、フッ化パリレンダイマー(AF4)の製造に重要な前駆体である。
【化3】
【0006】
1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの従来の製造方法は、以下の工程を含む:1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンを四塩化炭素(CCl4)等の溶媒に溶解して、反応液を形成する工程;光開始剤を供給し、反応液中に塩素ガスを導入する工程;および、触媒である光開始剤の下で光照射により反応を開始して、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを得る工程。しかし、該方法は、いくつかの不利点がある:(1)反応時間が長い;(2)収率が低い;(3)光開始剤またはCCl4等の溶媒の添加が必要であり、環境に優しくない;(4)精製過程が複雑である;および(5)製品を得るために多量のエネルギーを消費する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、大量生産のための、迅速、簡便かつ低コストの1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの合成方法を提供することが望ましい。本発明は、フッ化パラキシレンダイマーを調整するための重要な前駆体として使用される、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの、簡便で低コストの合成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、以下の反応(I)で示される通りの、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン(CFB)の合成方法を提供することである。
【化4】
【0009】
本発明は、工程:(A)1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン(TFPX)の反応液を供給する工程;および(B)1 atmを超える圧力下、50-90℃の温度で、塩素ガス(Cl2)を反応液に導入して、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン(CFB)を得る工程を含む、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの合成方法を提供する。
【0010】
本発明の方法において、1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンは、1 atmよりわずかに高い圧力下でCl2と直接反応し得る。本発明の方法は、1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンを溶媒中に溶解する工程を省略し、1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンと塩素ガスとの反応を光照射により、光開始剤を使用せずに開始し得る。反応物質である1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンは、溶媒として使用され、完全に反応し得るため、溶媒を除去する工程は省略し得る。一方、光開始剤を除去するための精製過程もまた、本発明の方法では光開始剤を使用しないため、省略し得る。従って、本発明は、大量生産のための、簡便、迅速かつ低コストの1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの製造方法を提供する。より詳しくは、本発明の方法は、原材料である1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを提供するが、これはポリ(テトラフルオロ-p-キシレン)の製造過程の前駆体であり得る。
【0011】
本発明の方法では、反応は好ましくは閉鎖空間で実施し、1 atmを超える圧力を維持する。1 atmを超える圧力を維持することによって、塩素ガスが1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン中に溶解され得る。さらに、塩素ガスは、溶媒を使用せずに、1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンと反応し得る。
【0012】
加えて、本発明の方法では、反応の間、1 atmを超える圧力を維持するため、塩素ガスの当量は好ましくは1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンの当量より多い。塩素ガスの1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンに対するモル比は、2:1〜4:1の範囲内であってもよく、好ましくは2.2:1〜3:1の範囲内であってもよい。塩素ガスの1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンに対するモル比が2:1未満の場合、反応の間の塩素ガスの圧力は相対的に低く、その結果反応速度が低下し、反応時間が延び、反応を完全に実施できない。塩素ガスの1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンに対するモル比が4:1を超える場合、反応の間の塩素ガスの圧力は過剰に高く、反応副生物(例えばHCl)の濃度が上昇し、これは反応を抑制して、不完全な反応を引き起こす。本書では、工程(B)は、KOH、NaOHまたはNH4OH溶液等のアルカリ溶液を使用することによって、未反応の塩素ガスを中和する工程をさらに含み得る。
【0013】
本発明の方法では、方法の反応圧力は、1.001〜1.10 atmの範囲内であり得る。圧力が1 atm未満の場合、本発明の反応系は、陰圧として示され、その結果、塩素ガスを1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン中に充分に溶解できない。圧力が1.10 atmより高い場合、反応から形成されるHCl濃度は相対的に高く、反応を抑制して不完全な反応を引き起こす。
【0014】
さらに、本発明の方法では、反応速度を上げ、反応時間を短縮し、大量生産を容易にするため、工程(B)は任意に、光源によって反応液を照射する工程を含んでもよい。光源は、UV光を供給してもよい。UV光を供給する光源は、特に限定されず、当業界で知られている慣用の光装置(例えば紫外線ランプまたは水銀灯)であってもよい。紫外線ランプまたは水銀灯を使用しても、反応温度は、光源の強度によって変更し得る。加えて、完全に反応させるために、反応時間もまた光源の形態、強度、および反応温度によって調節し得る。
【0015】
本発明の方法の1つの様相では、光源は紫外線ランプであってもよい。紫外線ランプは、10〜400 Wの強度範囲のUV光を供給し得るが、好ましくは30〜90 Wである。さらに、反応温度は30〜100℃の範囲内であってもよく、好ましくは70〜90℃である。
【0016】
本発明の方法の別の様相では、光源は水銀灯であってもよい。水銀灯は、300〜1000 Wの強度範囲のUV光を供給し得るが、好ましくは350〜450 Wである。さらに、反応温度は30〜80℃の範囲内であってもよく、好ましくは50〜70℃である。
【0017】
上述の通り、本発明による1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの容易な合成法によって、反応時間を短縮し、方法の工程を簡略化し、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの収率を上げ得る。加えて、本発明では、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを大量生産のために製造し、関連産業によるオクタフルオロ-[2,2]パラシクロファン(AF4)の製造過程の間に適用し得る。
【0018】
さらに、本発明は、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの連続的合成法の反応系も提供し、これは、1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンをためる原料タンク;塩素化剤を供給する塩素供給エレメント;原料タンクと塩素供給エレメントを連結する反応器であって、原料タンク内にためた1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンが連結ラインを通って反応器に入り、塩素供給エレメントから供給される塩素化剤が反応器に入るもの;反応器とアルカリ溶液供給エレメントを連結する吸収装置であって、アルカリ溶液供給エレメントがアルカリ溶液を吸収装置に供給するもの;および、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを分離するための分離装置を含む。
【0019】
本発明の連続法の反応系において、塩素化剤は好ましくは塩素ガスである。
【0020】
本書では、吸収装置内のアルカリ溶液は、未反応の塩素ガスを中和するために使用する。加えて、連続法の反応系は、さらに中和剤タンクを含み得るが、これは、反応器および分離装置に連結ラインで連結する。さらに、中和剤タンクもまた、アルカリ溶液供給エレメントと連結するが、ここで、アルカリ溶液供給エレメントは、アルカリ溶液を中和剤タンクに供給する。アルカリ溶液供給エレメントは、さらに、圧力下で吸収装置を提供し得るが、これは反応器内の圧力を1 atmを超えるように維持するため、反応器に対して背圧であり得る。
【0021】
さらに、本発明の連続法の反応系において、分離装置は、分離チャンバーおよび少なくとも1つの蒸留カラムを含み得るが、これらは連結ラインによって反応器に連結する。分離チャンバーは連結ラインによって蒸留カラムに連結する。反応生成物を精製する分離装置を使用することによって、高純度の1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを得ることができる。
【0022】
本発明の他の目的、有利点、および新規な特徴は、添付した図面を併用して、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明によるバッチ法の反応系の概略図を示し;および
【図2】図2は、本発明による連続法の反応系の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本書の以下において、具体例を参照して、本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、多数の異なる形態で具体化してもよく、本書で説明する具体例に限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの具体例は、本発明の概念を当業者に完全に伝えるために提供される。
【0025】
本発明における1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン(以下「CFB」)の合成方法は、バッチ法または連続法の反応系を使用することによって実施される。
【0026】
図1を参照して、本発明によるバッチ法の反応系の概略図を示す。先ず、反応タンク(100)にためた1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン(以下「TFPX」)をヒーター(102)で加熱し、その後、シリンダー(101)からの塩素ガスを、スターラー(103)によって連続的に撹拌しながら、反応タンク(100)に導入して、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを合成する。一方、未反応の塩素ガスは、コンデンサー(104)を通って中和剤タンク(105)を通過し、中和される。本書において、反応系は、塩素ガスの溶解度を維持するため、わずかに陽圧の圧力下に置く。また、ヒーター(102)を使用する代わりに、反応溶液を温水(ジャケット加熱)で加熱することもできる。
【0027】
加えて、バッチ法の反応系は、さらに、反応タンク(100)の下に光源(図には示さず)を提供して、反応混合物を照射し得るが、これにより反応速度が向上し得る。
【0028】
さらに、図2を参照して、本発明による連続法の反応系の概略図を示す。TFPXは、原料タンク(201)から反応器(200)に供給される。一方、Cl2は、塩素供給エレメント(例えばCl2シリンダー)によって反応器(200)中に導入され、塩素ガスは反応器(200)中でTFPXと反応する。未反応の塩素ガスは、反応器の頂部から吸収装置(202)に導入される。アルカリ溶液供給エレメント(203)より吸収装置(202)中にNaOH溶液を供給することによって、未反応の塩素ガスを吸収し得る。反応の終了に際して、反応混合物を中和剤タンク(205)に流し込み、アルカリ溶液供給エレメント(203)より供給されるNaOH溶液で中和する。中和後、粗CFBを含む反応混合物を得、その後分離チャンバー(204)中に導入して、油水相分離を実施する。油相を第一の蒸留カラム(206)に入れて、真空蒸留により混合物から軽質分を分離し、第一の蒸留カラム(206)の頂部より得られる軽質分を、軽質分コレクター(207)に貯蔵する。その後、軽質分を含まない粗CFBを第二の蒸留カラム(206')に導入し、真空蒸留により生成物であるCFBを分離する。第二の蒸留カラム(206')の頂部から得られる生成物のCFBは、生成物コレクター(208)に回収し得る。この場合、連続法の反応系は、塩素ガスの好適な溶解度を維持するためわずかに陽圧の圧力下に置く。加えて、本発明の方法は、反応速度を向上させるため、光源(図には示さず)を提供する工程をさらに含んでもよい。
【0029】
バッチ法の反応系の使用に加えて、本発明の方法は、産業上、CFBの大量生産ための連続法の反応系によっても実施し得る。
【0030】
本発明の具体例に従って、CFBの合成法は、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。本書では、以下の実施例および比較例を実施して、上述の通りのバッチ法または連続法の反応系によってCFBを合成する。
【実施例】
【0031】
実施例1
先ず、300 g(1.69モル)のTFPXをガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中のTFPXを温水(ジャケット加熱)によって60℃に加熱し、水銀灯(400 W)で照射する。
【0032】
このとき、わずかに過剰のCl2(約336 g; 4.73モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を45分間維持して、淡黄色の液体を得る。次に、淡黄色の液体(GC純度: 99.32%)をアルカリ溶液で中和し、油水相分離で処理し、その後、10 torrの圧力下、125℃(CFBの沸点に対応)で蒸留して、408 gの無色液体生成物を収率98.1%で得る。
【0033】
最後に、上述の液体生成物をGCにより分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.59%である。さらに、液体生成物をGC/MSにより分析する。生成物の分析結果を以下に示す:分子量:247 g/mol(C8H4Cl2F4);F19 NMR:δCFCl3 -50.1 ppm (s);およびH1NMR:δTMS 7.8 ppm (s).
【0034】
実施例2
先ず、600.01 g(3.37モル)のTFPXをガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中のTFPXを温水(ジャケット加熱)によって60℃に加熱し、水銀灯(400 W)で照射する。
【0035】
このとき、わずかに過剰のCl2(約600 g; 8.43モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を100分間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0036】
上述の工程の後、淡黄色の液体をGCによって分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.49%である。
【0037】
実施例3
先ず、441.90 g(2.48モル)のTFPXをガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中のTFPXを温水(ジャケット加熱)によって75℃に加熱し、2つの紫外線ランプ(両者36 W)で照射する。
【0038】
このとき、わずかに過剰のCl2(約580 g; 8.18モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を95分間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0039】
上述の工程の後、淡黄色の液体をGCによって分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.44%である。
【0040】
実施例4
先ず、441.78 g(2.48モル)のTFPXをガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中のTFPXを温水(ジャケット加熱)によって80℃に加熱し、紫外線ランプ(36 W)で照射する。
【0041】
このとき、わずかに過剰のCl2(約475 g; 6.60モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を110分間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0042】
上述の工程の後、淡黄色の液体をGCによって分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.46%である。
【0043】
実施例5
先ず、100.00 g(0.56モル)のTFPXをガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中のTFPXを温水(ジャケット加熱)によって80℃に加熱する。
【0044】
このとき、わずかに過剰のCl2(約112 g; 1.55モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を3.5時間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0045】
上述の工程の後、淡黄色の液体をGCによって分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.78%である。従って、この結果は、本発明によるCFBの合成方法が、光開始剤を添加せず、またはUVを照射せず、実施され得ることを示す。反応時間を長くすることにより、塩素化反応は成功裏に実施し得る。
【0046】
実施例6
予め80℃に加熱したTFPXを、蠕動ポンプを用いて1 Kg/時の速度で、反応器の頂部から反応器内へ連続的に導入する。反応器の高さの半分までTFPXで満たされた時に、塩素ガスを13〜15 g/分の速度で導入し、反応器を紫外線ランプで照射する。約2時間後、反応器は淡黄色の液体でほぼ満たされる。この時点で、反応器の排出バルブを開けて、予め定めた速度で反応液を排出し、反応器の液体レベルを特定の高さに維持する。
【0047】
最後に、淡黄色液体を中和剤タンクに導き、アルカリ溶液供給エレメントより供給されるアルカリ溶液で中和する。中和後、反応液を分離チャンバー中に導入して、油水相分離を実施する。油相の混合物を蒸留タンクに導入して、第一の蒸留段階で軽質分を除去し、第二の蒸留段階で重質分を除去する。最終的に、無色の液体生成物を生成物コレクター中に得る。
【0048】
さらに、生成物コレクター中の無色の液体生成物をGCによって分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.35%である。
【0049】
その後、上述の通り、蠕動ポンプを動かし続け、無色液体生成物であるCFBを、5時間後に生成物コレクターから取り出し、GCによって分析し、その純度は99.47%である。10時間後、無色の液体精製物を生成物コレクターから再度取り出し、GCにより分析し、その純度は99.61%である。
【0050】
10.13 KgのTFPXをフィードした後、13.72 Kgの無色液体生成物を得るが、収率は97.6%である。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.51%である。
【0051】
比較例1
先ず、350.53 g(1.97モル)のTFPXおよび光開始剤として使用される0.57 g(0.003モル)の2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)をガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中の反応混合物を温水(ジャケット加熱)によって60℃に加熱し、水銀灯(400 W)で照射する。
【0052】
このとき、わずかに過剰のCl2(約392 g; 5.52モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を50分間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0053】
淡黄色の液体を中和し、その後油水相分離を行う。次に、油相混合物を蒸留して軽質分および重質分を除去し、444.3 gの無色の液体を得る。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度および収率はそれぞれ99.37%および91.3%である。
【0054】
比較例2
先ず、300.27 g(1.69モル)のTFPXおよび480.40 gの四塩化炭素(CCl4)をガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中の反応混合物を温水(ジャケット加熱)によって60℃に加熱し、水銀灯(400 W)で照射する。
【0055】
このとき、Cl2(約275 g; 3.89モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を6時間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0056】
淡黄色の液体を中和し、その後油水相分離を行う。次に、油相混合物を蒸留して、CCl4、軽質分および重質分を除去して、366.9 gの無色の液体を得る。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度および収率はそれぞれ99.56%および87.9%である。
【0057】
比較例3
先ず、302.50 g(1.70モル)のTFPXおよび480.72 gの四塩化炭素(CCl4)をガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中の反応混合物を温水(ジャケット加熱)によって60℃に加熱し、水銀灯(400 W)で照射する。
【0058】
このとき、Cl2(約265 g; 3.74モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmに保ち、反応を15時間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0059】
上述の工程の後、淡黄色の液体をGCによって分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.23%である。
【0060】
比較例4
先ず、300.19 g(1.69モル)のTFPXおよび480.12 gの四塩化炭素(CCl4)をガラスの反応器に加え、スターラーで均一に撹拌する。続いて、ガラスの反応器中の反応混合物を温水(ジャケット加熱)によって60℃に加熱し、水銀灯(400 W)で照射する。
【0061】
このとき、わずかに過剰のCl2(約333 g; 4.39モル)をガラスの反応器内に連続的に導入し、塩素化を実施する。反応の間、ガラスの反応器内の圧力を1 atmよりわずかに高く(約1.01 atm)保ち、反応を1時間維持して、淡黄色の液体を得る。
【0062】
上述の工程後、淡黄色の液体をGCにより分析する。GC分析の結果により、CFBの形成が確認され、CFBの純度は99.53%である。
【0063】
実施例1を比較例1と比較すると、本発明の方法が、光開始剤を使用せずに、加熱または照射により、短時間に高純度のCFBを製造し得ることがわかる。
【0064】
加えて、高純度のCFBの製造において、溶媒または光開始剤のいずれかを使用する、比較例1〜4と比較して、実施例1〜5は、本発明の方法が、光開始剤または溶媒を添加せずに、高純度のCFBを製造し得ることを示す。従って、本発明によって提供される方法は、簡便な精製工程のみを要し、迅速かつ低コストの条件でのCFBの大量生産に好適である。加えて、本発明の方法は、反応の間に、あらゆる溶媒(例えばCCl4)または光開始剤を添加する必要が無く、コストを削減し、環境を保護する。
【0065】
さらに、実施例6は、本発明の方法が、連続法を使用して実施し得ることを示すが、これは、簡便で経済的な条件でのCFBの大量生産に好適である。
【0066】
本発明を、その好ましい態様に関連して説明したが、本書の以下で特許請求した通りの、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、多くの他の可能な修飾および変形がなされ得ることを理解すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンの反応液を供給する工程;および(B)1 atmを超える圧力下、50-90℃の温度で、塩素ガス(Cl2)を反応液に導入して、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを得る工程を含む、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの合成方法。
【請求項2】
工程(B)がさらに、光源によって反応液を照射する工程を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光源が紫外線ランプである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記紫外線ランプが、10〜400 Wの強度範囲の光を供給する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記照射時の温度が70〜90℃の範囲である請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記光源が水銀灯である請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記水銀灯が、300〜1000 Wの強度範囲の光を供給する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記照射時の温度が50〜70℃の範囲である請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
塩素ガスの1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンに対するモル比が、2:1〜4:1の範囲内である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
圧力が、1.001〜1.10 atmの範囲内である請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(B)はアルカリ溶液を使用することによって、未反応の塩素ガスを中和する工程をさらに含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
アルカリ溶液が、KOH、NaOHまたはNH4OH溶液である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの連続的合成法の反応系であって、
1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンをためる原料タンク;
塩素化剤を供給する塩素供給エレメント;
原料タンクと塩素供給エレメントを連結する反応器であって、原料タンク内にためた1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンが連結ラインを通って反応器に入り、塩素供給エレメントから供給される塩素化剤が反応器に入るもの;
反応器とアルカリ溶液供給エレメントを連結する吸収装置であって、アルカリ溶液供給エレメントがアルカリ溶液を吸収装置に供給するもの;および、
1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを分離するための、分離チャンバーおよび少なくとも1つの蒸留カラムを含む分離装置を含む反応系。
【請求項14】
前記塩素化剤が塩素ガスである請求項13に記載の反応系。
【請求項15】
前記アルカリ溶液供給エレメントと連結する中和剤タンクを含み、前記アルカリ溶液供給エレメントが、前記アルカリ溶液を前記中和剤タンクに供給する請求項13または14に記載の反応系。
【請求項16】
前記アルカリ溶液が、KOH、NaOHまたはNH4OH溶液である請求項15に記載の反応系。
【請求項1】
(A)1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンの反応液を供給する工程;および(B)1 atmを超える圧力下、50-90℃の温度で、塩素ガス(Cl2)を反応液に導入して、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを得る工程を含む、1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの合成方法。
【請求項2】
工程(B)がさらに、光源によって反応液を照射する工程を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光源が紫外線ランプである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記紫外線ランプが、10〜400 Wの強度範囲の光を供給する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記照射時の温度が70〜90℃の範囲である請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記光源が水銀灯である請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記水銀灯が、300〜1000 Wの強度範囲の光を供給する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記照射時の温度が50〜70℃の範囲である請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
塩素ガスの1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンに対するモル比が、2:1〜4:1の範囲内である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
圧力が、1.001〜1.10 atmの範囲内である請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(B)はアルカリ溶液を使用することによって、未反応の塩素ガスを中和する工程をさらに含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
アルカリ溶液が、KOH、NaOHまたはNH4OH溶液である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンの連続的合成法の反応系であって、
1,4-ビス(ジフルオロメチル)ベンゼンをためる原料タンク;
塩素化剤を供給する塩素供給エレメント;
原料タンクと塩素供給エレメントを連結する反応器であって、原料タンク内にためた1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンが連結ラインを通って反応器に入り、塩素供給エレメントから供給される塩素化剤が反応器に入るもの;
反応器とアルカリ溶液供給エレメントを連結する吸収装置であって、アルカリ溶液供給エレメントがアルカリ溶液を吸収装置に供給するもの;および、
1,4-ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼンを分離するための、分離チャンバーおよび少なくとも1つの蒸留カラムを含む分離装置を含む反応系。
【請求項14】
前記塩素化剤が塩素ガスである請求項13に記載の反応系。
【請求項15】
前記アルカリ溶液供給エレメントと連結する中和剤タンクを含み、前記アルカリ溶液供給エレメントが、前記アルカリ溶液を前記中和剤タンクに供給する請求項13または14に記載の反応系。
【請求項16】
前記アルカリ溶液が、KOH、NaOHまたはNH4OH溶液である請求項15に記載の反応系。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2013−100280(P2013−100280A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−237960(P2012−237960)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【出願人】(509004044)ユアン シン マテリアルズ テクノロジー コーポレイション (4)
【出願人】(509002431)チュン シャン インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー アーマメンツ ビューロー エムエヌディー (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【出願人】(509004044)ユアン シン マテリアルズ テクノロジー コーポレイション (4)
【出願人】(509002431)チュン シャン インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー アーマメンツ ビューロー エムエヌディー (4)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]