説明

1,4−ブタンジオールの精製方法

【課題】従来の粗1,4−ブタンジオールの製法によって製造された2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを含む粗1,4−ブタンジオールを精製する際に、精製1,4−ブタンジオールの品質の悪化を防止しつつ、且つ蒸留塔塔頂からの蒸気としての熱回収を可能にできる1,4−ブタンジオールの精製方法を提供することを目的とする。
【解決手段】2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを含む粗1,4−ブタンジオールを蒸留塔で蒸留し、塔頂部から精製1,4−ブタンジオールを含むガスを留出させ、該ガスを熱交換器に供給して水で冷却することで、該精製1,4−ブタンジオールを含む液と、該ガスによって気化された水蒸気を得る1,4−ブタンジオールの精製方法において、該蒸留塔の塔底の溶液中にアミンを存在させながら蒸留を行うことを特徴とする1,4−ブタンジオールの精製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1,4−ブタンジオールの精製方法に関する。より詳細には、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを含む粗1,4−ブタンジオールを、塔頂部に冷媒として水を使用する熱交換器を有する蒸留塔で蒸留する精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1,4−ブタンジオール(以下、「1,4BG」と略記することがある)は工業用溶剤、あるいは、様々な用途や誘導体の原料として使用される極めて有用な物質であることが知られている。具体的には、例えば、1,4BGを原料として得られるテトラヒドロフラン(以下、「THF」と略記することがある)は、一般的には溶剤として使用されるが、ポリエーテルポリオール(具体的には、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)の原料としても使用される。また、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルを製造する際の原料モノマーとしても使用される。
【0003】
1,4BGを工業的に製造する各種方法は従来から開発されており、例えば、ブタジエンを原料として、原料ブタジエン、酢酸及び酸素を用いてアセトキシ化反応を行って得られる中間体であるジアセトキシブテンを得て、そのジアセトキシブテンを水添した後、加水分解することで1,4−ブタンジオールを製造する方法、マレイン酸、コハク酸、無水マレイン酸及び/又はフマル酸を原料として、それらを水素化して1,4−ブタンジオールを含む粗水素化生成物を得る方法、アセチレンを原料してホルムアルデヒド水溶液と接触させて得られるブチンジオールを水素化して1,4BGを製造する方法などがある。
【0004】
これら従来の製造方法によって得られる1,4−ブタンジオール中には不純物として2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン(以下、「BGTF」と略記することがある)が含まれるが、沸点が1,4−ブタンジオールに近接しているため、1,4−ブタンジオールと分離困難な成分である。BGTFは1,4BGの品質悪化成分であり、例えばTHF製造時にポリマーなどの固体副生物を生成することが報告されている(特表2006−503050号公報)。また、ポリマーの着色原因物質であることも知られている(特開平10−265418号公報)。この問題を回避するため、エステル化反応槽内及び蒸留塔内を適切な温度と圧力で制御することにより、酸性条件下でBGTFの分解を促進する方法が報告されている(特開2004−107619号公報)。
【0005】
そして、この不純物であるBGTFを蒸留塔で分離する際に、塔頂温度並びに塔底温度を高温とした場合に、BGTFの生成増加し精製した1,4BGの品質が悪化する問題があった(特開2010−132898号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2006−503050号公報
【特許文献2】特開平10−265418号公報
【特許文献3】特開2004−107619号公報
【特許文献4】特開2010−132898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
1,4BGを精製するプロセスにおいて、1,4BGの製造から精製までのプロセス全体でエネルギーコストを低減するという観点から、冷却媒体を水とした熱交換器を使って
、蒸留塔の塔頂から精製された1,4BGを含むガスを冷却する際に、水が水蒸気となる蒸発潜熱を回収して、他の工程の加熱源に転用することが考えられる。しかしながら、蒸留塔の塔頂から得られるガスを使って高温の水蒸気を回収しようとするために、該蒸留塔の塔底の温度を高くしようとすると、1,4BG中でBGTFの発生量が多くなり、そのBGTFが精製1,4BGを含むガスに混入して品質悪化が発生するため、十分に温度を上げることが出来なかった。そのため、精製1,4BGの品質を悪化させない、即ち精製1,4BG中に含まれるBGTFの濃度をある一定の濃度以下とするには、蒸留塔の塔底での溶液中でのBGTFの発生量が一定となるような温度で蒸留せざるを得ないため、高温にすることができずに熱回収の効率が上がらなかった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、従来の製法によって製造されたBGTFを含む粗1,4BGを精製する際に、精製1,4BGの品質の悪化を防止しつつ、且つ蒸留塔塔頂からの蒸気としての熱回収を可能にできる1,4BGの精製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、粗1,4BGを蒸留することにより精製1,4BGを得る際に、蒸留塔の塔底の溶液中にアミンを存在させながら蒸留を行うことで、塔底温度を高温にしても1,4BG中のBGTFの発生を抑えることが出来ることを見出した。そして、蒸留塔の塔頂に熱交換器を設置し、冷却に使用した水を熱交換器出口より加圧蒸気として回収すれば、精製1,4BGの品質悪化を防止しつつ、より高価値の蒸気として、熱回収できることを見出した。
【0010】
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下の[1]〜[5]を要旨とする。
[1] 2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを含む粗1,4−ブタンジオールを蒸留塔で蒸留し、塔頂部から精製1,4−ブタンジオールを含むガスを留出させ、該ガスを熱交換器に供給して水で冷却することで、該精製1,4−ブタンジオールを含む液と、該ガスによって気化された水蒸気を得る1,4−ブタンジオールの精製方法において、該蒸留塔の塔底の溶液中にアミンを存在させながら蒸留を行うことを特徴とする1,4−ブタンジオールの精製方法。
[2] 前記蒸留塔塔底の溶液中のアミン濃度が、窒素原子換算の濃度で3重量ppm以上、1重量%以下であることを特徴とする[1]に記載の1,4−ブタンジオールの精製方法。
[3] 前記蒸留塔の塔頂部の温度が151℃以上であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の1,4−ブタンジオールの精製方法。
[4] 前記蒸留塔の塔底の溶液の温度が160〜230℃であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の1,4−ブタンジオールの精製方法。
[5] 前記蒸留塔の塔内部の材質がステンレス鋼であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の1,4−ブタンジオールの精製方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、1,4−ブタンジオールを精製する方法において、品質悪化を回避しつつ、蒸留塔の塔頂部からの熱回収を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明で使用する粗1,4BGは、従来から公知である製法で得ることが可能である。例えば、原料ブタジエン、酢酸及び酸素を用いてアセトキシ化反応を行って得られる中間体であるジアセトキシブテンを得て、そのジアセトキシブテンを水添した後、加水分解し
て得られる粗1,4BG、マレイン酸、コハク酸、無水マレイン酸及び/又はフマル酸を原料として、それらを水素化して得られる粗1,4BG、アセチレンを原料してホルムアルデヒド水溶液と接触させて得られるブチンジオールを水素化して得られる粗1,4BG、プロピレンの酸化を経由して得られる粗1,4BG、発酵法により得たコハク酸を水添した粗1,4BG、或いは糖などのバイオマスから直接発酵により得た粗1,4BG溶液などを精製して得られる粗1,4BGが使用可能である。
【0013】
これら粗1,4BG中には、通常、1,4BGが主成分として70重量%以上含まれており、好ましくは、80重量%以上、更に好ましくは、90重量%以上含まれる。この数値が大きくなるほど、粗1,4BGを蒸留して精製1,4BGを得る蒸留工程の負荷が軽減される傾向にある。また、一方、粗1,4BG中の1,4BGの濃度として、通常、99.4重量%以下であり、好ましくは99.3重量%以下、更に好ましくは99.2重量%以下である。この数値が小さくなるほど、粗1,4BGを生成する反応器及び蒸留など分離工程の負荷が軽減される傾向にある。
【0014】
本発明における粗1,4BGは2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン(「BGTF」)を含むことを必要とする。BGTFを含む粗1,4BGは上記の従来からの粗1,4BGの製造法によって得ることができるが、市販の1,4BGにBGTFを添加してもよい。粗1,4BG中のBGTFの濃度として、好ましくは0.02〜0.4重量%以下であり、更に好ましくは0.03〜0.3重量%以下である。2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度が高すぎた場合には、本発明による効果を得たとしても得られる1,4BGの純度が低くなってしまう。
【0015】
本発明における粗1,4BG中には、発明の効果を阻害しない範囲で、BGTF以外にも種々の不純物や上記の従来の製法で1,4BGを製造する途中で得られる中間体や未反応原料の一部、或いは炭素数4又は5のジオール類や1,4BG骨格を含むオリゴマーなども含有していても差し支えない。例えば、水、酢酸、テトラヒドロフラン、ブタノール、ブチルアルデヒド、ガンマブチロラクトン、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシブタン、1,4−ジアセトキシブタン、1,2−ジアセトキシブタン、1−アセトキシ−2−ヒドロキシブタン、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、ジブチレングリコールなどを含有していても差し支えない。
【0016】
本発明において、粗1,4BGを蒸留する際に使用する蒸留塔としては、充填塔、棚段塔などの蒸留塔を使用可能である。充填塔、棚段塔などの段数は任意であるが、通常、理論段数として2段以上100段以下であり、好ましくは5段以上40段以下であり、さらに好ましくは、8段以上30段以下である。段数が大きくなると塔が大きくなりすぎ、設備建設のための経済性が悪化する傾向にあり、段数が小さすぎると分離の効率が悪化する傾向にある。
【0017】
上述の粗1,4BGを蒸留塔に導入し、塔底より、粗1,4BG中に含まれる1,4BGよりも高い沸点を有する成分を含み、且つアミンを含有する液を抜き出し、塔頂部より、精製1,4BGを含むガスを得るが、この精製1,4BG中には粗1,4BG中に含まれる1,4BGよりも低い沸点を含んでいてもよい。この際、塔頂部以外にも側流部からも精製1,4BG取り出してもよく、側留として精製1,4BGを抜き出す場合も、塔頂部の温度は151℃以上であることが好ましく、この温度を保持できるように塔頂圧力、留出液組成を制御する必要がある。
【0018】
本発明の蒸留の際の塔頂圧力は、特に限定されないが、常圧あるいは減圧条件下が好ましく、更に好ましくは絶対圧として6kPa以上、100kPa以下が好ましく、特に好
ましくは10kPa以上、80kPa以下である。圧力が高すぎると塔底の温度が上昇して1,4BGの分解が進行してしまう。また、圧力が低すぎた場合には塔頂温度が低下するため、熱交換器で得られる水蒸気の温度が低くなり、熱回収の効率が悪くなる恐れがある。本発明での蒸留塔の塔頂温度は151℃以上、230℃以下が好ましく、さらに好ましくは160℃以上、220℃以下であり、特に好ましくは170℃以上、210℃以下である。塔頂の温度が高すぎた場合には、塔底の温度がさらに上昇して1,4BGの分解が進行してしまう。塔頂の温度が低すぎると、熱交換器で得られる水蒸気の温度が低くなり、熱回収の効率が悪くなる恐れがある。尚、塔底の溶液の温度も151℃以上、230℃以下が好ましく、さらに好ましくは160℃以上、220℃以下であり、特に好ましくは170℃以上、210℃以下である。塔底の温度が高すぎた場合には1,4BGの分解あるいは高沸化が進行し、精製1,4BG中の不純物濃度が増加してしまう。塔底の温度が低すぎた場合には、塔頂温度を熱回収可能な温度に保持することが困難となる。 本発明における精製1,4−ブタンジオールは純度99.5%以上であり、好ましくは純度99.55重量%、特に好ましくは純度99.6重量%以上である。また、精製1,4−ブタンジオールの純度は99.99重量%以下であり、好ましくは99.95重量%以下、特に好ましくは99.90重量%以下である。精製1,4−ブタンジールは1,4−ブタンジオール以外に水、テトラヒドロフランなどの微量の軽沸成分、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン、ジブチレングリコールなどの微量の成分を含有していても差し支えない。
【0019】
塔頂部から精製1,4BGを得る際、塔頂部からの精製1,4BGを含むガスの留出量は蒸留塔へ導入した粗1,4BGの流量の範囲内で、1,4−ブタンジオールと1,4BGよりも低い沸点の成分の合計量を留出させることが望ましい。塔底からの缶出液量は粗1,4BG中の1,4BGよりも高い沸点の成分の合計量を抜き出すことが望ましい。蒸留塔物質収支は、粗1,4BGの単位時間あたりの流量を100とした場合に、塔頂からの精製1,4−ブタンジオールの留出流量は70以上、99.4以下であり、好ましくは80以上、99.3以下であり、特に好ましくは90以上、99.2以下である。ここで得られる精製1,4−ブタンジオールの純度は99.5%以上である。また、塔底からの缶出液の単位時間あたりの流量は0.6以上、30以下であり、好ましくは0.7以上、20以下であり、特に好ましくは0.8以上、10以下である。粗1,4−ブタンジオールが含有するアミンは、塔底に分配される。蒸留塔の塔底の溶液中のアミン濃度は、窒素原子換算の濃度として、3重量ppm以上、1重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量ppm以上、0.5重量%以下であり、特に好ましくは5重量ppm以上、0.3重量%以下である。アミンの濃度が高すぎると、使用するアミンの投入コスト、廃棄コストが高くなり、経済性が悪化する。アミンの濃度が低すぎた場合には本発明の効果が得られない。
また、本発明は、蒸留塔の塔底のpHとして5.5以上が好ましいが、更に好ましくは5.7以上、10.5以下であり、特に好ましくは、5.9以上、8.5以下である。これ以上pHが高い場合には、着色あるいは塔底の汚れが促進される傾向にある。また、pHが低すぎた場合には、窒素化合物を含有することによる熱安定性の改善の効果が低下する傾向にある。
【0020】
本発明は、蒸留塔の塔底の溶液中にアミンを存在させながら蒸留することが必要である。アミンが存在することで、蒸留塔の塔内での1,4BGからのテトラヒドロフラン並びに2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランの生成を抑制することが可能である。本発明のアミンとしては、具体的には、下記式(1)の骨格を有する化合物等が挙げられる。
【0021】
【化1】

【0022】
なお、式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表し、これらの基は更に置換基を有していてもよく、該置換基中にはヘテロ原子が含まれていても良い。また、R〜Rは同一でも異なっていてもよいが、R〜Rが全て水素原子である場合は除く。
また、R〜Rは、触媒の劣化抑制や塩基性向上の観点から、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基はアミノ基であることが好ましい。この場合、R〜Rは同一でも異なっていてもよいが、R〜Rが全て水素原子である場合は除く。
【0023】
アルキル基としては、鎖状(直鎖又は分岐)アルキル基又は環状アルキル基であり、鎖状アルキル基の場合は、通常、炭素原子数1〜20であり、好ましくは1〜12である。その具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。また、環状アルキル基の場合、通常、炭素原子数3〜20であり、好ましくは4〜11である。その具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等である。アルキル基が有していてもよい置換基としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく特に限定されないが、例えば、アリール基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられ、通常、分子量が200程度以下のものを用いる。また、この置換基中に、酸素、窒素、硫黄、リンなどのヘテロ原子が含まれているものであってもよい。
【0024】
アルケニル基としては、鎖状(直鎖又は分岐)アルケニル基又は環状アルケニル基であり、鎖状アルケニル基の場合は、通常、炭素原子数1〜20であり、好ましくは1〜12であり、その具体例としては、例えばエテニル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基等などが挙げられる。また、環状アルキル基の場合、通常、炭素原子数3〜20であり、好ましくは4〜11である。その具体例としては、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等である。アルケニル基が有していてもよい置換基としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく特に限定されないが、例えば、アリール基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられ、通常、分子量が200程度以下のものを用いる。また、この置換基中に、酸素、窒素、硫黄、リンなどのヘテロ原子が含まれているものであってもよい。
【0025】
アリール基としては、フェニル基、ベンジル基、メシチル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、イソキサゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チエニル基、チオフェニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラゾリル基、ピロリル基、ピラニル基、フリル基、フラザニル基、イミダゾリジニル基、イソキノリル基、イソインドリル基、インドリル基、キノリル基、ピリドチア
ゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾフラニル基、イミダゾピリジニル基、トリアゾピリジニル基、プリニル基等が挙げられ、炭素数が通常5〜20であり、好ましくは5〜12であり、酸素、窒素、硫黄等を含有するヘテロアリール基を含む。アリール基が有していてもよい置換基としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく特に限定されないが、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリーロキシ基、炭素数7〜12のアルキルアリール基、炭素数7〜12のアルキルアリーロキシ基、炭素数7〜12のアリールアルキル基、炭素数7〜12のアリールアルコキシ基、ヒドロキシ基、などが挙げられる。また、この置換基中に更に、酸素、窒素、硫黄、リンなどのヘテロ原子が含まれているものであってもよい。
【0026】
具体例としては、フェニル基、ベンジル基、メシチル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、
2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4
−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アミノフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などである。
【0027】
アルコキシ基としては、通常、炭素原子数1〜20であり、好ましくは1〜12である。その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、などが挙げられる。アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく特に限定されないが、例えば、アリール基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられ、通常、分子量が200程度以下のものを用いる。また、この置換基中に、酸素、窒素、硫黄、リンなどのヘテロ原子が含まれるのであってもよい。
【0028】
アミノ基としては、通常、炭素原子数0〜20であり、好ましくは0〜12である。その具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基などが挙げられる。アミノ基が有していてもよい置換基としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく特に限定されないが、例えば、アリール基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられ、通常、分子量が200程度以下のものを用いる。また、この置換基中に、酸素、窒素、硫黄、リンなどのヘテロ原子が含まれているものであってもよい。
【0029】
アルキルチオ基としては、通常、炭素原子数1〜20であり、好ましくは1〜12である。その具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基などが挙げられる。アルキルチオ基が有していてもよい置換基としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく特に限定されないが、例えば、アリール基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられ、通常、分子量が200程度以下のものを用いる。また、この置換基中に、酸素、窒素、硫黄、リンなどのヘテロ原子が含
まれているものであってもよい。
【0030】
アリールチオ基としては、通常、炭素原子数6〜20であり、好ましくは6〜12である。その具体例としては、フェニルチオ基、トリルチオ基などが挙げられる。アリールチオ基が有していてもよい置換基としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく特に限定されないが、例えば、アリール基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、アミノアルキル基、スルフィド基などが挙げられ、通常、分子量が200程度以下のものを用いる。また、この置換基中に、酸素、窒素、硫黄、リンなどのヘテロ原子が含まれているものであってもよい。また、RとR、RとR、RとRはそれぞれ互いに連結して環を形成していてもよい。
【0031】
上記式(1)で示される骨格を有する化合物の中でも、1,4BGと常に共存し、分解抑制効果を継続的に発現するという理由から、大気圧下での沸点温度が、160〜260℃である化合物が好ましく用いられ、更に好ましくは165〜255℃であり、特に好ましくは170〜250℃である。これ以上沸点が高い場合には本発明において蒸留塔内のアミン濃度の維持、調整が困難となり、また沸点が低すぎた場合には、アミンが軽沸点成分として挙動して、蒸留塔内で最も高温度領域である塔底部に分布滞留することが困難となってしまう。
【0032】
このような化合物としては、具体的に、例えば、オクチルアミン、ノニルアミン、1−アミノデカン、アニリン、フェネチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、N−メチルアニリン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジシクロヘキシルアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N−ブチルピロール、N−ブチル−2,3−ジヒドロピロール、N−ブチルピロリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、2,3−ジヒドロ−1H−インドール、4−アミノメチルピペリジン、4−アミノ−5,6−ジヒドロ−2−メチルピリミジン、2,
3,5,6−テトラメチルピラジン、3,6−ジメチルピリダジンなどが好ましく、更に酸素原子を含むものとしては、2−エチルモルホリン、N−メトキシカルボニルモルホリン、4−アミノブタノール、2−アミノブタノール、プロリノール、3−ヒドロキシピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、テトラヒドロフルフリルアミン、3−アミノテトラヒドロピランなどが好ましい。更に好ましくは、プロリノール、3−ヒドロキシピペリジン、4−アミノブタノール、テトラヒドロフルフリルアミンなどのアミノアルコール又は環状構造を持つアミンである。
【0033】
また、上述の式(1)で示されるアミン類は一種類であっても二種類以上あってもよい。更には、ポリアミン骨格を有する陰イオン交換樹脂を使用して、その陰イオン交換樹脂からの溶出アミンなども併用可能である。
また、本発明では、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の化合物が存在していても良い。例えば、アミン以外にもアミドが存在していてもよく、アミドとしては、具体的には、カルボン酸アミドを含むことが好ましい。カルボン酸アミドとしては、1級アミド、2級アミド、3級アミドを用いることができ、N置換の置換基数は0〜2の範囲でN−アルキル置換アミド、N−アルケニル置換アミド、N−アリール置換アミドなどが用いられる。また、該置換基中にはヘテロ原子が含まれていても良く、置換基は同一でも異なっていてもよい。一方、カルボニル側の置換基としては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基などが挙げられる。また、上記置換基はそれぞれ互いに連結して環を形成していてもよい。蒸留塔内での副反応や分解等を抑制できるという観点から、カルボニル側の置換基としてはアルキル置換基が好ましい。
また、当該カルボン酸アミドは、1,4−ブタンジオールと常に共存し、熱安定性効果
を継続的に発現し、且つ1,4−ブタンジオール含有組成物を蒸留塔内で処理する際の塔底等での汚れを回避するという理由から、大気圧下での沸点温度が、160〜300℃である化合物が好ましく用いられ、更に好ましくは165〜280℃であり、特に好ましくは170〜250℃である。これ以上沸点が高い場合には本発明の1,4−ブタンジオール含有組成物中の窒素濃度の調整が困難となり、また沸点が低すぎた場合には、窒素濃度の調整が困難なことに加え、運転操作阻害原因となってしまう。
このような化合物としては、具体的に、例えば、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの鎖状骨格のアミド類、ベンズアミドなどの芳香族アミド類、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、2−ピペリドン、N−メチルピペリドンなどの環状アミド類が挙げられ、更に好ましくは、更に好ましくは、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンが挙げられる。特に好ましくは2−ピロリドン、N−メチルピロリドンである。また、本発明のアミドは一種類であっても二種類以上あってもよい。
【0034】
本発明において、蒸留塔の塔頂部からの精製1,4BGを含有するガスを冷却するために、熱交換器を設置することを必要とする。塔頂部から精製1,4BGを含むガスを留出させて、冷却媒体と熱交換器内で熱交換を行う。冷却媒体としては、潜熱が大きく、かつ安価で入手容易であるという点で通常は水が使用される。冷却媒体としての水の温度は、通常20℃〜50℃であり、好ましくは25℃〜45℃である。冷媒温度が低すぎると、得られる蒸気温度が低くなる傾向にあり、高すぎると1,4BGの液化効率が悪くなる傾向にある。熱交換器で加熱された水は気化されて水蒸気として熱交換器から排出される。また、精製1,4BGを含むガスは、冷却されて凝縮液として、精製1,4BGを含む液が得られる。この凝縮液はそのまま排出されることも可能であるが、一部あるいは全量を還流液として蒸留塔内に戻すことも可能である。
【0035】
本発明で用いることのできる熱交換器としては、冷却水を水蒸気として回収可能な構造であれば特に制限されないが、シェル&チューブ式多管熱交換器が好ましく、その中でもケトル型熱交換器が特に好ましい。
水蒸気の温度は、自由に選択できるが、好ましくは100℃〜300℃であり、より好ましくは110℃〜250℃であり、更に好ましくは120℃〜200℃の範囲である。これ以上の温度の水蒸気を得る場合には、塔頂温度が非常に高温であることを求められ、塔の設計圧力が甚大なものとなり、高圧設備作成のために経済性が悪化する傾向にある。
【0036】
なお、発生した水蒸気の用途は、製造プラント全体あるいは隣接したプラントに熱供給するなどにより、全体のエネルギー収支を勘案して決定することができる。例えば、1,4BG製造プロセスで水を留出除去する蒸留塔を保有している場合には、その加熱源として使用することが有効である。必要に応じて複数系統の蒸気配管、例えば、高圧用の蒸気配管、中圧用の蒸気配管、低圧用の蒸気配管を配置してもよい。また、熱源としてだけでなく、圧縮機の動力源やタービン式発電機のエネルギー源として活用することもできる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
1,4BG、テトラヒドロフラン、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランの分析は島津社製ガスクロマトグラフィーGC−2014、Agilent Technologies社製カラムDB−1により行い、面積百分率により算出した。
【0038】
なお、実施例1,比較例1〜2はプロセスシミュレーターである「Aspen Plus」(Aspen Technology,Inc製)を用いて、プロセスシミュレーシ
ョンを実施した。なお、Aspen Plusは、通常の化学薬品、電解質、固体やポリマーに関する物性推算モデルや純物質パラメータの大規模なデータベースを含むプロセスモデリングソフトであり、実プラントの蒸留や溶媒抽出の設計条件や運転状態を入力して、化学工学的手法に基づき計算により実プラントと同等の状態や現象を再現できるソフトである。
【0039】
<参考例1>
粗1,4BG加熱
ガラス製の50ccフラスコに、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度2530重量ppm、テトラヒドロフラン濃度40重量ppm含む粗1,4BG(1,4BGの純度:99.7%)15gにトリヘキシルアミンを0.9mg混合し(1,4BGに対して窒素原子として5重量ppm)、8mm x 50mmのSUS304製のテストピース(2mm厚)を1,4BGに接触するよう設置した。オイルバスを使用して、フラスコ内の温度を200℃まで加熱し、20時間加熱を継続した。加熱後の液を分析した結果、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度は2670重量ppmであり、増加量は140重量ppmであった。テトラヒドロフラン濃度は40重量ppmであり、増加は見られなかった。
【0040】
<参考例2>
粗1,4BG加熱
参考例1において、トリヘキシルアミンを粗1,4BGに混合することなく、そのまま加熱した以外は全て参考例1と同様に実施した。加熱後の1,4−ブタンジオール中の2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度は3988重量ppmであり、増加量は1458重量ppmであった。テトラヒドロフラン濃度は636重量ppmであり、596重量ppm増加していた。
【0041】
<参考例3>
粗1,4BG加熱
参考例2において、フラスコ内の温度を150℃として加熱した以外は全て参考例2と同様に実施した。加熱後の1,4−ブタンジオール中の2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン濃度は3007重量ppmであり、増加量は337重量ppmであった。テトラヒドロフラン濃度は95重量ppmであり、50重量ppm増加していた。
【0042】
<実施例1>
粗1,4BGの蒸留を行う蒸留塔としては、理論段で23段のトレーを有する棚段塔であり、蒸留塔の塔頂から抜き出される精製ガスを冷却する熱交換器を設置する。熱交換器としては、伝熱面積が148m(総括伝熱係数:500W/(m・K))のもので、冷
却溶媒としては40℃の水を使用する。
なお、粗1,4BGを上記蒸留塔に供給する供給ラインは塔底から12段目の理論トレーであり、精製1,4BGを含有するガスを塔底から23段目の理論トレー(塔頂部)から抜き出し、上記の熱交換器で冷却して凝縮させて精製1,4BGを含む液として回収される。
【0043】
トリヘキシルアミン0.025重量ppm、高沸成分(1,4BGよりも沸点が40度以上高い成分)5000重量ppm、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン2530重量ppmを含む粗1,4BGを蒸留塔の供給ラインから990kg/hrで蒸留塔に供給し、且つ蒸留塔の塔底に、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを0.133kg/hrで供給し、塔頂圧力を100Torr、還流比=6.54として、塔頂温度171℃、塔底温度198℃として連続的に粗1,4BGの蒸留を行う。この際の蒸留塔の塔底の溶液中の高沸成分濃度は、50.4重量%であり、この高沸
成分を除いた場合の蒸留塔塔底の溶液でのBGTF、1,4BG及びトリヘキシルアミンの濃度は、それぞれ2670ppm、99.73重量%及び5.01ppmである。
【0044】
塔頂部から1,4BGの純度99.73重量%の精製1,4BGを含むガスを抜き出し、熱交換器で冷却して凝縮し、171℃になった精製1,4BGを含む液として980.6kg/hrの流量で留出させる。なお、塔底からは10.0kg/hrの缶出液を得る。精製1,4BGの回収率は99.5重量%である。なお、熱交換器の冷媒の出口からは、温度151℃の水蒸気が2380kg/hrで回収可能である。
【0045】
<比較例1>
実施例1において、蒸留塔に供給する粗1,4BGの代わりに、高沸成分5000重量ppm、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフラン2530重量ppmを含む粗1,4BG(アミンを含有しない)を990kg/hrで供給し、且つ塔底に、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを1.44kg/hrで供給する以外は、全て実施例1と同様に連続的に粗1,4BGの蒸留を行う。この際の蒸留塔の塔底の溶液中の高沸成分濃度は、50.4重量%であり、この高沸成分を除いた場合の蒸留塔塔底の溶液でのBGTF、1,4BG及びトリヘキシルアミンの濃度は、それぞれ3990ppm、99.60重量%、トリヘキシルアミン0ppmである。
【0046】
その結果、塔頂から1,4BG純度99.60重量%の精製1,4BGを含むガスを抜き出し、熱交換器で冷却して凝縮し、171℃になった精製1,4BGを含む液として980.8kg/hrの流量で留出させる。なお、塔底からは10.6kg/hrの缶出液を得る。このとき1,4BG回収率は99.5重量%である。なお、熱交換器の冷媒の出口からは、温度151℃の蒸気が2380kg/hrで回収可能である。
【0047】
<比較例2>
比較例1において、2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを蒸留塔の0.467kg/hrで供給する以外は全て比較例1と同様に連続的に粗1,4BGの蒸留を行う。この際の蒸留塔の塔底の溶液中の高沸成分濃度は、50.4重量%であり、この高沸成分を除いた場合の蒸留塔塔底の溶液でのBGTF、1,4BG及びトリヘキシルアミンの濃度は、それぞれ3007ppm、99.70重量%、0ppmである。
【0048】
精製1,4BGを含むガスを抜き出し、熱交換器で冷却して凝縮し、122℃になった精製1,4BGを含む液として980.3kg/hrの流量で留出させる。なお、塔底からは、塔底から10.1kg/hrの缶出液を得る。なお、熱交換器の冷媒の出口からは、温度102℃の水蒸気が1850kg/hrで回収可能である。
実施例1と比較例1を比べると、比較例1では、蒸留塔の塔底にアミンが存在しない状態である蒸留条件(蒸留塔の塔底加熱温度)を採用するとBGTFが発生し、精製1,4BGに混入し純度が下がることがわかる。また実施例1と比較例2を比べると、精製1,4BGにBGTFが混入しないように蒸留塔の塔底の加熱温度を低くすると、BGTFは抑制でき精製1,4BGの純度低下は抑制できるが、回収できる水蒸気の温度が低く、熱回収量が悪い蒸留操作となることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−(4−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを含む粗1,4−ブタンジオールを蒸留塔で蒸留し、塔頂部から精製1,4−ブタンジオールを含むガスを留出させ、該ガスを熱交換器に供給して水で冷却することで、該精製1,4−ブタンジオールを含む液と、該ガスによって気化された水蒸気を得る1,4−ブタンジオールの精製方法において、該蒸留塔の塔底の溶液中にアミンを存在させながら蒸留を行うことを特徴とする1,4−ブタンジオールの精製方法。
【請求項2】
前記蒸留塔塔底の溶液中のアミン濃度が、窒素原子換算の濃度で3重量ppm以上、1重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の1,4−ブタンジオールの精製方法。
【請求項3】
前記蒸留塔の塔頂部の温度が151℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の1,4−ブタンジオールの精製方法。
【請求項4】
前記蒸留塔の塔底の溶液の温度が160〜230℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの精製方法。
【請求項5】
前記蒸留塔の塔内部の材質がステンレス鋼であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の1,4−ブタンジオールの精製方法。

【公開番号】特開2013−47202(P2013−47202A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241573(P2011−241573)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】