説明

1,5−アンヒドロ−D−グルシトールについてのアッセイを使用する糖尿病患者における薬剤有効性をモニターする方法

HbA1c測定は糖尿病管理に不可欠な要素であるが、血糖の測定法としてのHbA1cの重要な制限は、適時性の欠如である(それは、長期間についての平均グルコースレベルの測定であることから、適切に管理された糖尿病患者(HbA1c<8)における潜在的な血糖変動レベルは検出しない)。HbA1cは2から3カ月間についての低血糖症及び高血糖症の両方を平均し、したがって食後高血糖症におけるは改善を適切に反映しない。1,5−AGも、1から2週間の短い時間枠についての血糖管理のマーカーであるが、HbA1cとは異なる機構を有する。1,5−AGの特有な生物学的及び生理学的特徴から、それは、急性及び一過性の高血糖エピソードに感受性があり、したがって、グルコース変動のより良い指標である。プラムリンチド及びエクセナチドなどのペプチド性糖尿病薬は、特有の作用機構を有し、これらの薬剤の血糖効果は、HbA1cによっては適切に示されない。グルコース変動の有効な測定法である1,5−AGは、これらの薬剤の潜在的な治療効果を明らかにし、且つそれらの用量の調節を助けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全内容が参照として本明細書に組み込まれる、2007年3月20日出願の米国仮出願第60/895,976号及び2007年3月21日出願の同第60/896,233号に対して優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病合併症を予防するための厳格な血糖管理の重要性は、十分に認められている。近年の研究は、食後グルコースが微小血管及び大血管の合併症の進行に対する独立した危険因子であることを示している。十分に管理された多くの糖尿病患者は、顕著な食後高血糖を有する。そのため全ての高血糖及び食後高血糖の厳密な管理を目的とする新規薬剤が開発中である。プラムリンチド及びエクセナチドを含む新たな作用機構を有するいくつかの薬剤が開発され、且つ発売されている。
【0003】
ヘモグロビンA1c(HbA1c)、1,5−アンヒドロ−D−グルシトール(1,5−AG)、フルクトサミン(FR)及びグルコシル化アルブミン(GA)を含む、いくつかの糖尿病管理マーカーがある。HbA1cは、糖尿病薬の効果の評価において最も一般的なマーカーである。HbA1cは、グルコシル化ヘモグロビンとして周知の1つのヘモグロビン画分である。それは、高血漿レベルのグルコースへのヘモグロビンの通常の暴露によって非酵素的経路において形成され、血液細胞中に蓄積される。HbA1cのレベルが、2から3カ月間の平均グルコース濃度に比例することは、十分に認められている。HbA1cは、糖尿病薬の治療効果の評価においていくつかの欠点を有する。HbA1cは、短期間の治療効果の評価には適さず、血中グルコースレベルの変動を検出できない。さらに、低HbA1c値が、鎌状赤血球貧血、慢性腎不全に伴って及び妊娠において生じる場合がある。
【0004】
血清1,5−アンヒドロ−D−グルシトールは、腎閾値(180mg/dL)を超える血清グルコースに反比例して影響され、したがって、血清1,5−AGレベルの低下(10μg/ml未満)は、より高い血清グルコース濃度を示す。血清1,5−AGの測定は、1から2週間の時間枠で腎閾値を超える全ての食後(食事後)グルコースを反映する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、1つ又は複数の血糖降下糖尿病治療薬の効果を、そのような治療を必要とする患者において決定するための方法を提供する。この方法は、(a)患者の1,5−アンヒドロ−D−グルシトール(1,5−AG)レベルを測定して第1の1,5−AGレベルを得るステップ;(b)1つ又は複数の血糖降下剤を前記患者に投与するステップ;及び(c)ステップ(b)の後に前記患者の1,5−AGレベルを測定して第2の1,5−AGレベルを得るステップを含み、1つ又は複数の薬剤の効果は、平均HbA1c値に反映されず、第1の1,5−AGレベルを超える第2の1,5−AGレベルの増大は、1つ又は複数の薬剤の正の効果を示す。同様に、第1の1,5−AGレベルからの第2の1,5−AGレベルの減少は、1つ又は複数の薬剤の負の効果を示す。好ましくは、1つ又は複数の薬剤はペプチド薬であり、より好ましくは、それらは、アミリン、アミリン受容体作動薬、グルカゴン様ペプチド1又はその活性断片、グルカゴン様ペプチド1受容体作動薬からなる群から選択され、好ましくは、1つ又は複数の薬剤は非ペプチド薬であり、より好ましくは、それらは、α−グルコシダーゼ阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤若しくはインスリン分泌促進物質又はそれらのいずれかの任意の組合せからなる群から選択される。患者は、インスリン治療も受けることができる。これらのステップを順に複数回反復して、効果の増大又は減少を決定することもできる。
【0006】
本発明は、真性糖尿病に罹患した患者に対する、アミリン、アミリン受容体作動薬、グルカゴン様ペプチド1若しくはその活性断片、グルカゴン様ペプチド1受容体作動薬、又はそれらのいずれかの任意の組合せからなる群から選択される、1つ又は複数の血糖降下剤による治療を評価する方法も提供する。この方法は、(a)患者の1,5−AGレベルを測定して第1の1,5−AGレベルを得るステップ;(b)1つ又は複数の薬剤を前記患者に投与するステップ;及び(c)ステップ(b)の後に前記患者の1,5−AGレベルを測定して第2の1,5−AGレベルを得るステップを含み、第1の1,5−AGレベルを超える第2の1,5−AGレベルの増大は、前記1つ又は複数の薬剤の正の効果を示す。同様に、第1の1,5−AGからの第2の1,5−AGレベルの減少は、1つ又は複数の薬剤の負の効果を示す。患者は、インスリン治療も受けることができる。これらのステップを順に複数回反復して、効果の増大又は減少を決定することもできる。
【0007】
本発明は、真性糖尿病に罹患した患者に投与される、アミリン、アミリン受容体作動薬、グルカゴン様ペプチド1若しくはその活性断片、グルカゴン様ペプチド1受容体作動薬、又はそれらのいずれかの任意の組合せからなる群から選択される、1つ又は複数の血糖降下剤の望ましい用量を決定する方法をさらに提供する。この方法は、(a)1つ又は複数の薬剤の第1の所定用量を患者に投与するステップ;(b)ステップ(a)の後に前記患者の1,5−AGレベルを測定して第1の1,5−AGレベルを得るステップ;(c)1つ又は複数の同一の薬剤の第2の所定用量を前記患者に投与するステップ;及び(d)ステップ(c)の後に前記患者の1,5−AGレベルを測定して第2の1,5−AGレベルを得るステップを含み、第1の1,5−AGレベルを超える第2の1,5−AGレベルの増大は、患者に対して第1の所定用量よりも第2の所定用量が好ましいことを示す。同様に、第1の1,5−AGレベルからの第2の1,5−AGレベルの減少は、1つ又は複数の薬剤の負の効果を示す。患者は、インスリン治療も受けることができる。これらのステップを順に複数回反復して、効果の増大又は減少を決定することもできる。これらのステップを順に複数回反復して、効果の増大又は減少を決定し、患者にとって最適の用量を設定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】研究設計の図である。本研究は、患者群(n=37、年齢40+/−12歳、体重85.9+/−20.8kg)に関する。主な食事時にプラムリンチド(30/60μg)又はプラセボで治療されており、7.5+/−0.3のベースラインHbA1cを有する。
【図2】図2A.ベースラインから29週でのHbA1cにおける変化を示す図である。図2Aは、糖尿病患者のプラセボ群(N=19)及びプラムリンチド治療群の両方において見出されたHbA1cのベースラインからの変化を示す。図2B.ベースラインから29週でのインスリンの使用における変化を示す図である。図2Bは、プラセボ及びプラムリンチド治療患者の両方での、速効型及びレギュラーインスリンの両方の使用についてのインスリン使用の変化を示す。図2C.ベースラインから29週での体重における変化を示す図である。図2Cは、プラセボ及びプラムリンチド治療患者での、体重の変化を示す。
【図3】ベースラインから29週でのPPG変動における変化を示す図である。食後グルコース(PPG)変動における変化が、プラセボ治療群(n=19)及び1型糖尿病患者のプラムリンチド治療群(N=18)について示されている。
【図4】図4A.ベースラインから29週での1,5−AGにおける絶対変化を示す図である。プラセボとプラムリンチド治療1型糖尿病患者との間で1,5−アンヒドロ−D−グルシトール(1,5−AG)における変化は、有意に異なっている。図4Aは、29週間の治療後の1,5−AGについての絶対変化を示す。図4B.ベースラインから29週での1,5−AGにおける相対変化を示す図である。プラセボとプラムリンチド治療1型糖尿病患者との間で1,5−アンヒドロ−D−グルシトール(1,5−AG)における変化は、有意に異なっている。図4Bは、29週間の治療後の1,5−AGについての変化率を示す。
【0009】
表1は、アミリン類似物の非限定的な例を記載する。
表2は、GLP−1類似物の非限定的な例を記載する。
表3は、α−グルコシダーゼ阻害剤の非限定的な例を記載する。
表4は、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤の非限定的な例を記載する。
表5は、インスリン分泌促進物質の非限定的な例を記載する。
表6は、プラセボ又はプラムリンチドのいずれかで治療した患者の基本特性を比較する。
表7は、8.0%以下のHbA1cを有する患者でのパラメーター変化を要約する。
表8は、研究群の個体群統計及び基本特性を表す。
表9は、エクセナチドの効能を示すための、1,5−アンヒドロ−D−グルシトール、HbA1c及びフルクトサミンの有用性を評価するための研究を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1,5−アンヒドロ−D−グルシトール(「1,5−AG」)は、食物の摂取に由来する単糖である。それは、自然に生じる食物性ポリオールであり、グルコースに類似する化学構造を有し、ヒトの脳脊髄液及び血漿に存在する。その血漿中の量は、健常者においては安定しており、ある種の疾患を有する、具体的には糖尿病を有する者では低減している。正常では、1,5−AGの取り込み及び排出は均衡している。正常な個体において1,5−AG血清レベルは、一定である。高レベルの尿糖は、グルコースと1,5−AGの間の類似性によって近位尿細管における1,5−AGの再吸収を阻止する。これは、1,5−AGの排出の増大及び1,5−AG血清レベルの減少を生じる。これは、グルコースレベルが上昇する場合及び糖尿が生じる場合に1,5−AG血清レベルが降下し、並びに1,5−AGレベルは、高血糖症の程度に対して反比例することを意味する。
【0011】
臨床的には、血漿又は血清中の1,5−AGは、1,5−AGを酸化する酵素を使用する比色酵素法に基づく市販のキットによって簡便に測定され得る。尿中グルコースが出現する場合に、一般におよそ180mg/dLで(グルコースに対する米国糖尿病協会認定の平均腎閾値であり、且つ正常食後グルコースの上限である)1,5−AGの血漿レベルは降下する。臨床的には、1,5−AGは、約8%以下のHbA1cレベルを有する患者での食後高血糖のマーカーとして使用され得る。より低い濃度は、約200mg/dLを超えるグルコース変動を示す。したがって、1,5−AG検査は、血清グルコースレベルに高感度且つ迅速に反応し、数日以内の、糖尿に対する腎閾値を超える血清グルコースの一過的上昇をも反映する。1,5−AGは一定の速度で正常血漿レベルに回復することから、食後エピソードの重症度に応じてそれ以前の1から2週間における高血糖が測定可能である。したがって、HbA1cとは対照的に1,5−AGは、短期間の評価に適し、1から2週間の時間枠での高血糖変動に限って検出できる(Diabetes Care 2004;27:1859〜1865、Diabetes Care 2006;29:1214〜1219、WO2006/116083A2)。
【0012】
1,5−AGに対する1つの適切なアッセイは、Biomarker Group−Kannapolis、NCによって商標Glycomark(商標)として販売されており、且つQuest、LabCorp、Esoterix、Specialty Laboratories又はDoctors Laboratoryを通じて入手可能である。
【0013】
用語「ペプチド薬」は、糖尿病薬の開発のための標的であるホルモン受容体に対する1つ又は複数の作動薬活性を有するペプチドを意味するが、インスリンそれ自体又はインスリン類似物を含まない。例えば、ペプチド薬として:(1)グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)及びグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)が挙げられるインクレチンホルモン、並びにグルコースレベルが上昇した場合にインスリン放出量の増大を生じ得るペプチドの類似物又は一部分、(2)アミリンなどの食後グルコース調節に対するインスリン支持性ホルモン及びペプチドの類似物又は一部分、(3)アディポネクチンなどのインスリン作用に対する耐性を解除できるホルモン及びペプチドの類似物又は一部分、(4)レプチンなどの食欲抑制ホルモン及びペプチドの類似物又は一部分、並びに(5)糖尿病患者の血糖管理に有用な特徴を有する他のペプチドホルモンが挙げられる。
【0014】
アミリンは、食後期におけるグルコース調節に寄与する膵臓β細胞によって合成される天然に存在する神経内分泌ホルモンである。
【0015】
用語「アミリン受容体作動薬」は、アミリン受容体に対する作動薬活性を示す全ての治療薬を含む。好ましくは、そのような作動薬は、アミリンそれ自体、アミリン類似物、及びアミリン受容体に対する作動薬活性を示す任意の合成ペプチドを含む。表1は、アミリン類似物の非限定的な例を記載する。プラムリンチド(商標SYMLIN(登録商標))は、食後グルコース変動を有するI型糖尿病患者に対して血糖降下剤として使用されるアミリン受容体作動薬の1つである。それは、典型的にはインスリン治療と共に使用される。プラムリンチドは、ヒトアミリンの合成類似物であり、合成37アミノ酸ポリペプチドの酢酸塩として提供され、25位(アラニン)、28位(セリン)及び29位(セリン)のプロリンでの置換によってヒトアミリンとはアミノ酸配列が異なる。プラムリンチドは、アミリン模倣薬として作用することによる以下の作用機序を有する:(1)胃排出の調節:胃排出速度は、血漿グルコースの食後の上昇の重要な決定要因である。プラムリンチドは、食後に食物が胃から小腸に排出される速度を遅くし、したがって血漿グルコースの食後初期の上昇を低減する。この作用は、プラムリンチド投与後およそ3時間持続する。プラムリンチドは、摂取された炭水化物又は他の栄養素の正味の吸収を変化させない;(2)血漿グルカゴンの食後上昇の阻止:糖尿病を有する患者において、グルカゴン濃度は、食後期に異常に上昇しており、高血糖症の一因となる。プラムリンチドは、インスリンを使用している糖尿病患者において食後グルカゴン濃度を減少させることが示されている;(3)カロリー摂取の減少及び体重減少の可能性を導く満腹:食前に投与されるプラムリンチドは、総カロリー摂取を低減することが示されている。この効果は、プラムリンチド治療に伴う場合がある悪心と無関係で現れる。プラムリンチドでの臨床試験において、摂食時インスリンの低減を伴うプラムリンチドの用量増大は、1型糖尿病患者の治療開始期において有効であった。プラセボと比較して、両方の群が同等のHbA1c減少を経験した一方で、プラムリンチド治療患者は、インスリン治療単独では達成できない食後グルコース変動及び体重における低減を経験した(Diabetes Care 2006;29:2189〜2195)。
GIP、GLP−1は、栄養素刺激インスリン分泌の大部分に関与するドミナントペプチド、インクレチンである。表2は、GLP−1類似物の非限定的な例のリストである。GLP−1のインスリン分泌性効果は、厳密にグルコース依存性である。GLP−1は、インスリン生合成及びインスリン遺伝子転写の全ステップを刺激する。GLP−1は、B細胞に指向性の(tropic)効果を有する。それは、B細胞増殖を刺激し、膵管上皮における前駆細胞からの新たなB細胞の分化を増強する。2型糖尿病患者は、GLP−1分泌が顕著に損なわれており、且つB細胞のGIPへの反応性が損なわれている。GLP−1活性を有するGLP−1断片も本明細書においてGLP−1として含まれる。
【0016】
用語「GLP−1受容体作動薬」は、作用機序としてGLP−1受容体に対する作動薬活性を示す全ての治療薬を含む。具体的には、作動薬は、GLP−1それ自体、GLP−1類似物、及びGLP−1受容体に対する作動薬活性を示す任意の合成ペプチドを含む。エクセナチド(BYETTA(登録商標))は、GLP−1受容体作動薬の1つである。エクセナチド(BYETTA(登録商標))は、39アミノ酸の合成ペプチドであって、GLP−1模倣作用を有する。エクセナチドは、膵臓β−細胞によるグルコース依存性インスリン分泌を増強し、不適切に上昇したグルカゴン分泌を抑制し、且つ胃排出を遅らせる。エクセナチドは、インスリン、スルホニル尿素、ビグアナイド、チアゾリジンジオン及びα−グルコシダーゼ阻害剤とは化学構造及び薬理作用において異なる。エクセナチドは、GLP−1模倣薬として作用することによる以下の作用機序を有する:(1)グルコース依存性インスリン分泌:エクセナチドは、グルコースに反応性の膵臓β細胞に急性効果を有し、グルコース濃度が上昇した場合にのみインスリン放出を導く。血中グルコース濃度が低下し正常血糖に近付くと、このインスリン分泌は沈静化する;(2)グルカゴン分泌:2型糖尿病患者において、エクセナチドは、グルカゴン分泌を抑え、高血糖期の血清グルカゴン濃度を低下させる。グルカゴン濃度の低下は、肝臓グルコース排出の減少を生じ、インスリン要求を低減する。しかし、エクセナチドは、低血糖に対する正常なグルカゴン応答を損なわない(3)胃排出:エクセナチドは、胃排出を遅らせ、したがって食事由来グルコースが循環中に現れる速度を低減させる;(4)食物摂取:動物及びヒトの両方において、エクセナチドの投与は食物摂取を減らすことが示されている。リラグルチド(NN−2211、NN2211、NNC−90−1170)、βトロピン(AC−2592)、CJC−1131、インスリノトロピン(insulinotropin)、ITM−077(BIM−51077、R−1583)、ZP−10A(ZP−10、AVE−0010)、PC−DAC:エキセンディン−4(CJC−1134−PC)が非限定的に挙げられる、多数の他のGLP−1受容体作動薬が開発中である。
【0017】
レプチンは、食欲及び代謝の制御を含むエネルギー摂取及びエネルギー消費の制御において重要な役割を演じる16kDa タンパク質ホルモンである。レプチンの効果は、1950年にJackson Laboratoryのマウス群体中で無作為に生じた変異体肥満マウスの研究によって観察された。これらのマウスは、甚だしく肥満であり、食欲過剰であった。レプチンそれ自体は、1994年にJeffrey M FriedmanらによってRockefeller Universityにおいてこれらの変異体マウスの研究を通じて発見された。Ob(Lep)遺伝子(Obは肥満及びLepはレプチン)は、ヒトにおいて7番染色体に位置する。レプチンは、脂肪組織によって産生され、6種類の受容体と相互作用する(LepRa〜LepRf)。LepRbは、活性細胞内シグナル伝達ドメインを含む唯一の受容体アイソホームである。本受容体は、その作用を発現する多数の視床下部核に存在する。重要なことには、レプチンは、「満腹中枢」として周知の視床下部の腹内側核に結合する。レプチンのこの核への結合は、満腹の感覚と呼ばれる、身体が既に十分に食べたというシグナルを脳に伝える。極少数のヒトが変異体レプチン遺伝子を有する。これらの人々は、ほとんど絶え間なく食べ、7歳までに45kg(100ポンド)を超える体重過剰となる場合がある。したがって、循環レプチンレベルは、食欲及び代謝の制御の目的のためにエネルギー貯蔵の程度を脳に伝える。レプチンは、ニューロペプチドY(NPY)及びアグーチ関連ペプチド(AgRP)を含有するニューロンの活性を阻害すること及びα−メラニン細胞刺激ホルモン(α−MSH)を発現しているニューロンの活性を増大させることによって作用する。NPYニューロンは、食欲の制御において重要な要素である。実験動物の脳に注射された少量のNPYは、摂食を刺激し、一方マウスでのNPYニューロンの選択的破壊は、それらを食欲不振にする。反対に、α−MSHは、満腹の重要なメディエーターであり、α−MSHが脳内で作用する受容体の遺伝子における差異は、ヒトにおける肥満に関連している。
【0018】
アディポネクチンは、脂肪細胞に分化する前脂肪細胞(脂肪細胞の前駆体)において過剰発現される転写物としてマウスにおいて最初に特徴付けられた。ヒト相同体は、脂肪組織における最も豊富な転写物として同定された。予想とは逆に、脂肪組織において産生されるにもかかわらずアディポネクチンは、肥満において減少していることが観察された。この下方制御は、十分には説明されていない。遺伝子は、2型糖尿病及び肥満への遺伝的感受性に影響するとして注目された領域、染色体3p27に位置付けられた。異なる形態のアディポネクチンによる補充は、マウスモデルにおいてインスリン調節、血中グルコース及びトリグリセリドレベルを改善できた。遺伝子は、2型糖尿病の素因を有するバリアントについて調査された。コード領域及び周囲の配列におけるいくつかのシグナルヌクレオチド多形性が、いくつかの異なる集団から、2型糖尿病についての異なる有病率、関連の程度及び作用の強度を有して同定された。
【0019】
インスリン耐性は、正常量のインスリンが、脂肪、筋肉及び肝臓の細胞からの正常なインスリン反応を発現させるために不十分である状態である。脂肪細胞でのインスリン耐性は、貯蔵トリグリセリドの加水分解を生じ、血漿中での遊離脂肪酸を上昇させる。筋肉でのインスリン耐性は、グルコースの取り込みを低減する一方で、肝臓でのインスリン耐性は、グルコース貯蔵を低減し、両効果が血中グルコースを上昇させるために作用する。インスリン耐性によるインスリン及びグルコースの高い血漿レベルは、しばしば内臓脂肪症候群及び2型糖尿病を招く。
【0020】
本発明により患者に投与される薬剤の量は、血糖レベル及び真性糖尿病を適切なレベルに管理するために有効な量であるべきである。これらの量は、対象患者に応じて変化し、当業者によって決定され得る。これらの量は、患者の疾病の段階、年齢、性別、体重などによって変化する。薬剤の正の効果は、血糖及び真性糖尿病の管理において望ましい効果、又は同一の患者における以前の効果よりも良い若しくは改善された効果である。薬剤の負の効果は、血糖及び真性糖尿病の管理において望ましくない効果、又は同一の患者における以前の効果よりも悪い若しくは同程度の効果である。
【0021】
用語「α−グルコシダーゼ阻害剤(AGI)」は、膜結合腸α−糖質加水分解酵素に阻害活性を示す全ての治療薬を含む。表3は、α−グルコシダーゼ阻害剤の非限定的な例を記載する。例えば、AGIとしてボグリボーズ(ベイスン)、ミグリトール(セイブル)、アカルボース(グルコバイ)、エミグリテート、MDL−25637及びルテオリンが、非限定的に挙げられる。AGIは、2型真性糖尿病に罹患した患者における食後高血糖症の経口治療に対して有用な薬剤である。小腸の刷子縁でのこの酵素の阻害は、グルコース吸収の遅延及び食後高血糖の低下を生じる。
【0022】
用語「ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤」は、DPP−IVに対する阻害活性を示す全ての治療薬を含む。表4は、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤の非限定的な例を記載する。DPP−IV阻害剤としてシタグリプチン(ジャヌビア)、ビルダグリプチン(ガルバス(Galvas))、安息香酸アログリプチン(SYR−322)、サクサグリプチン(BMS−477118)、デナグリプチン(レダナ(Redona))、オンデロ(Ondero)(BI−1356)、デナグリプチン(GW−823093C)、DPP−728、P32/98、PSN−9301、MP−513、TA−6666、PHX−1149T、メログリプチン(GRC−8200)、R−1579、KRP−104、TS−021、GW−825964、815541及びSSR−162369が、非限定的に挙げられる。DPP−IV阻害剤は、2型糖尿病患者において、インクレチンの不活性化を遅延させることによってその作用を発揮すると考えられている。活性でインタクトなインクレチンの濃度がDPP−IV阻害剤によって増大する場合、GLP−1及びグルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)を含むこれらのホルモンの作用は、増大し、延長される。糖尿病患者の治療に関連するGLP−1の機能は、前頁に記載されている。
【0023】
用語「インスリン分泌促進物質」は、作用機序として膵臓からのインスリンの放出を刺激する機序を有する全ての治療薬を含む。表5は、インスリン分泌促進物質の非限定的な例を記載する。典型的な薬剤は、それらが化合物の共通分子構造を有することからグリニドに分類される。しかしグリニドは、経口スルホニル尿素インスリン分泌促進物質と化学的に無関係である。グリニドは、2型真性糖尿病の管理において使用される経口血糖降下剤であり、レパグリニド(プランジン、ノボノーム、グルコノーム(GlucoNorm)、アクタリン(Actulin))、ナテグリニド(スターシス、ファスティック、スターリックス、トラゼック(Trazec))及びミチグリニド(グリンスナ(Glinsuna)、グルファスト)を非限定的に含む。レパグリニドについての作用機序は、以下の通り:レパグリニドは、膵臓からのインスリンの放出を刺激することによって血糖レベルを低下させる。この作用は、膵島中の機能性ベータ(β)細胞に依存する。インスリン放出は、グルコース依存性であり、低グルコース濃度で減少する。レパグリニドは、特徴付けられた部位に結合することによってβ−細胞膜のATP依存性カリウムチャネルを閉鎖する。このカリウムチャネル閉鎖は、β−細胞を脱分極し、カルシウムチャネルの開口をもたらす。結果として増大したカルシウム流入は、インスリン分泌を誘導する。イオンチャネル機構は、心臓及び骨格筋について低親和性であって高度に組織選択的である。アディビア(Adyvia)、JTT−608、アステリン、ミルチリン(Myrtillin)及びルパニン(Lupanin)を非限定的に含む、多数の他のインスリン分泌促進物質が開発中である。
【実施例】
【0024】
以下の実施例は、非限定的である。
【0025】
(実施例1)
1,5−AGを、1型糖尿病(T1DM)を有する、プラムリンチド治療患者における食後血糖(PPG)管理のマーカーとして評価した。PPGは、食事後に血流及び組織に出現するグルコースである。PPGは、8.5%未満のHbA1cで血清中で平均空腹時グルコースを超えて血清中に現れる。血糖降下剤は、PPGに影響する。
【0026】
主な食事時にプラムリンチド(30/60μg)又はプラセボで治療した、ベースラインHbA1c≦8%(N=37、年齢40±12歳;HbA1c 7.5±0.3%;体重85.9±20.8kg;平均±SD)を有する強化インスリン治療中のT1DMを有する対象のサブセットでの無作為、二重盲検、プラセボ対照試験の事後解析。研究設計を図1に示す。
【0027】
終末点
・定期来診時に測定したHbA1c、体重及びインスリン用量
・毎日の食前及び食後での自己測定血糖(SMBG)
・ベースライン時及び29週に測定した血漿1,5−AG(GlycoMark assay)
【0028】
統計的分析
・ベースライン時及び29週で測定したベースラインHbA1c≦8%及び1,5−AGを有する全ての評価可能患者
・29週でのHbA1c、体重、PPG、インスリン使用及び1,5−AGのベースラインからの平均(±SE)変化
・全ての研究来診に亘る反復測定分析をプラムリンチド群とプラセボ群とを比較して実施した。
表6は、プラセボ又はプラムリンチドのいずれかで治療した患者のベースライン特徴付けを比較する。
【0029】
全ての来診に亘る反復測定分析をプラムリンチド群とプラセボ群とを比較して実施した。両群の対象は、同様の血糖目標を目指している。本研究の結果を、図2、3及び4に示す。表、図2A、B及びCは、ベースラインから29週でのHbA1c、インスリン使用及び体重における変化を示す。図3は、29週でのベースラインからのPPG変動における変化を示す。図4A及びBは、ベースラインから29週での1,5−AGにおける絶対的及び相対的な変化を示す。表7は、8.0%以下のHbA1cを有する患者におけるパラメーター変化を要約する(P値は、T検定による)。
【0030】
29週で、プラムリンチド(n=18)は、2時間PPG変動を改善し(−43.9±10.9対+6.5±7.6mg/dL、P<0.001;平均±SE)、体重を低減し(−2.0±1.2対+1.3±0.7kg、P<0.01)、且つプラセボ(n=19)と比較してHbA1cにおいて同様の低減(−0.18±0.31対−0.22±0.21%)を生じた。PPGにおける改善と一致して、空腹時血漿1.5−AGレベルは、ベースラインから29週で、プラセボと比較して有意に増大した(+0.96±0.91対−0.65±0.41μg/mL、P<0.05;+30±16%対−9±8%、P<0.01)。プラムリンチドの使用に関連する最も一般的な有害事象は、軽度から中程度の悪心であった。
【0031】
「2時間変動」。これは、単純に食事2時間後の血糖レベルを意味する。これは、種々の源のグルコースの消費から生じる2時間でのグルコースの増大である。
・29週で、プラムリンチド及びプラセボ治療は、HbA1cでの同様の低減を生じた一方で、摂食時インスリン使用は、プラムリンチド治療対象で有意に減少した
・プラセボ治療対象での体重の増加と比較して、治療29週後のプラムリンチド治療対象では体重は有意に減少した
・プラセボと比較してプラムリンチド治療対象ではPPG変動は有意に減少した
・プラセボ治療対象と比較してプラムリンチド治療対象では、29週で、1,5−AGレベルが有意に増大した
・適切に良く管理された1型糖尿病を有する対象での本事後分析において、強化インスリン治療中の患者に対する補助治療としてのプラムリンチドは:
改善された食後グルコース管理
有意に減少した体重
を導いた
・HbA1cでの同様な低減にもかかわらず、1,5−AGレベルにおける変化は、SMBGによって測定された通りプラムリンチド治療対象でのPPG管理の改善と一致する
・HbA1cへの補足としての1,5−AGは、PPG管理の有用なマーカーであり得る
【0032】
これらの結果は、糖尿の腎閾値を超えるグルコースレベルを反映するGlycoMark(商標)1,5−AGアッセイの生物学と一致する。低いHbA1c範囲では食後グルコースレベルが優性であることから、1,5−AGアッセイは、上昇した食後グルコースレベルをより正確に反映する。適切に管理された患者(HbA1c<8.0)において、HbA1c値での類似性にも関わらず1,5−AGアッセイは、異なる食後グルコースレベルを反映する。
【0033】
本分析において、治療群間の主な差別化変数は、グルコース変動の変化であることも注目されるべきである。1,5−AGアッセイは、グルコース変動(r=0.21、p<0.01)に有意に相関し、且つHbA1cレベルが減少すると食後グルコースレベルにより有意に相関する(実際、HbA1c値が一定に維持される場合の1,5−AGアッセイ食後グルコースレベル間に部分的相関が算出される場合、r値は、0.20、p<0.01である)。変動の1,5−AGアッセイとの相関は(変動とHbA1cに相関は無い)、1,5−AGアッセイがプラムリンチドとプラセボ群とを区別できる理由を説明できる。したがって、1,5−AGレベルは、血糖の可変性を反映でき、且つプラムリンチドの一次作用は、血糖の可変性の低減においてである。
【0034】
結論:
・強化インスリン治療中のT1DM患者への補助治療としてのプラムリンチドは、改善されたPPG及び体重の有意な減少を導く。
・HbA1cでの同様の低減にもかかわらず、1,5−AGレベルでの変化は、SMBGによって測定された通りプラムリンチド治療対象でのPPG管理での改善と一致する。
・A1Cへの補足としての1,5−AGは、PPG管理の有用なマーカーであり得る。
【0035】
(実施例2)
2型真性糖尿病(T2DM)を有する患者の無作為に選択したサブセットと3種のプラセボ対照研究(N=144;年齢57.2±10.0歳;HbA1c 8.2±1.0%;体重96.4±20.9kg;平均±SD)からの評価可能な試料との事後分析において、血漿1,5−AGを、エクセナチド(5若しくは10μg)又はプラセボのいずれかで30週間治療した患者で測定した。
【0036】
研究設計を図5に表す。
研究群の個体群統計及び基本特性を表8に示す。
プラセボ対照試験の試験対象患者基準は:
年齢16から75歳の2型糖尿病を有する対象
選別前の3カ月に、1日当たり1500mg以上のメトホルミン及び/又は最大有効量のスルホニル尿素で治療された
HbA1c7.1%から11.0%
FPG<240mg/dL
BMI 27から45kg/m
選別前の3カ月間における安定した体重(±10%)
臨床的に関連する異常な臨床検査値が無い
3カ月前以内での他の抗糖尿病薬又は体重減少薬での治療が無い
【0037】
全ての対象についての記述統計学を、個体群統計、治療による安全変数及び治療による薬力学的パラメーター(1,5−AG、HbA1c、FPG、体重)について提供する。ピアソン相関分析を1,5−AG値の変化とHbA1c又はFPGにおける変化との間に使用した。
【0038】
エクセナチドの有効性を示すための1,5−アンヒドロ−D−グルシトール、HbA1c及びフルクトサミンの有用性を評価するための本研究の結果を表9に示す。1,5−AGの変化は、ベースラインからのHbA1c変化及びベースラインからのFPG変化と有意に相関した。5μg及び10μg用量の両方で、患者のプラセボ群と比較して、エクセナチドの5μg及び10μg用量の両方の6カ月間の治療後に、1,5−AGだけが有意に変動した。1,5−AGは、エクセナチド5μg及び10μgでベースラインからそれぞれ2.7±0.6μg/ml(p<0.05)及び2.9±0.6μg/ml(p<0.01)変化した。HbA1cは、エクセナチド10μgでベースラインから−0.9±0.1%有意な(p<0.01)変化を示したが、薬剤5μgでは有意な変化を示さなかった。フルクトサミンは、どちらの用量でも有意な変化は示さなかった。
【0039】
結果:
以前の研究は、HbA1cが7%に近付くと、PPGが総合的な血糖管理への主な一因となることを示している。そのように1,5−AGは、PPGを標的とする薬で治療されるT2DMを有する患者においてPPGを反映するためのHbA1cの有用な補足であり得る。事後分析において、1,5−AGの増大は、以前報告された、エクセナチド治療患者でのPPGにおける改善を確認する(Bhole,D.ら、「1,5−アンヒドログルシトール(GlycoMark)によって測定される通り、エクセナチドは、2型糖尿病を有する患者での食後グルコース管理を改善する(Exenatide Improves Postprandial Glucose Control in Patients with Type 2 Diabetes,as Measured by 1,5−Anhydroglucitol(GlycoMark))」、Exenatide GlycoMark Abstract EASD、2007)。
【0040】
本明細書に記載する全ての特許、特許出願、文献及び試験方法は、本明細書において全体が繰返される様に参照として本明細書に組み込まれる。本発明の他の変法は、上記の詳細な記載から理解される。全てのそのような明白な変法は、本発明の範囲内にある。
【0041】
表1は、アミリン類似物の非限定的な例を記載する。
【表1−1】


【表1−2】

【0042】
表2は、GLP−1類似物の非限定的な例を記載する。
【表2】

【0043】
表3は、α−グルコシダーゼ阻害剤の非限定的な例を記載する。
【表3】

【0044】
表4は、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤の非限定的な例を記載する。
【表4】

【0045】
表5は、インスリン分泌促進物質の非限定的な例を記載する。
【表5】

【0046】
表6 基本特性
【表6】

【0047】
表7 8.0%以下のHbA1cを有する患者でのパラメーターの変化(P値は、T検定による)
【表7】

【0048】
表8 治療による個体群統計及び基本特性(N=144)
【表8】

【0049】
表9 ベースラインからの1,5−AG、HbA1c、FPG及び体重の変化(N=144)
【表9】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の血糖降下糖尿病治療薬の効果を、そのような治療を必要とするヒトにおいて決定するための方法であって、
(a)前記患者の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを測定して第1の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを得るステップ;
(b)前記1つ又は複数の血糖降下剤を前記患者に投与するステップ;及び
(c)ステップ(b)の後に前記患者の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを測定して第2の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを得るステップ
を含み、
前記1つ又は複数の薬剤の前記効果は、平均ヘモグロビンA1c値に反映されず;且つ
前記第1の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを超える前記第2の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルの増大が、前記1つ又は複数の薬剤の正の効果を示す方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数の薬剤の少なくとも1つがペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数の薬剤の少なくとも1つが、アミリン、アミリン受容体作動薬、グルカゴン様ペプチド1若しくはその活性断片、グルカゴン様ペプチド1受容体作動薬、又はそれらのいずれかの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ又は複数の薬剤の少なくとも1つが非ペプチド薬である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又は複数の薬剤の少なくとも1つが、α−グルコシダーゼ阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、又はインスリン分泌促進物質からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記患者がインスリン治療も受けている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
真正糖尿病に罹患した患者に対する、アミリン、アミリン受容体作動薬、グルカゴン様ペプチド1若しくはその活性断片、グルカゴン様ペプチド1受容体作動薬からなる群から選択される、1つ又は複数の薬剤による治療を評価する方法であって、
(a)前記患者の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを測定して第1の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを得るステップ;
(b)前記1つ又は複数の薬剤を前記患者に投与するステップ;及び
(c)ステップ(b)の後に前記患者の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを測定して第2の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを得るステップ
を含み、
前記第1の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを超える前記第2の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルの増大が、前記1つ又は複数の薬剤の正の効果を示す方法。
【請求項8】
前記患者がインスリン治療も受けている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
真正糖尿病に罹患した患者に投与するためのアミリン、アミリン受容体作動薬、グルカゴン様ペプチド1若しくはその活性断片、グルカゴン様ペプチド1受容体作動薬、又はそれらのいずれかの任意の組合せからなる群から選択される、1つ又は複数の血糖降下剤の望ましい用量を調節するための方法であって、
(a)前記1つ又は複数の薬剤の第1の所定用量を前記患者に投与するステップ;
(b)ステップ(a)の後に前記患者の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを測定して第1の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを得るステップ;
(c)同一の1つ又は複数の薬剤の第2の所定用量を前記患者に投与するステップ;及び
(d)ステップ(c)の後に前記患者の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを測定して第2の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを得るステップ
を含み、
前記第1の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルを超える前記第2の1,5−アンヒドロ−D−グルシトールレベルの増大が、前記患者に対して前記第1の所定用量よりも第2の所定用量が好ましいことを示す方法。
【請求項10】
前記患者がインスリン治療も受け続けている、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2010−522332(P2010−522332A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554748(P2009−554748)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/057694
【国際公開番号】WO2008/116088
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【出願人】(507347820)トヨタ ツウショウ アメリカ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】