説明

11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1のインヒビターとしてのトリアゾール誘導体

構造式Iのトリアゾール誘導体は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1の選択的インヒビターである。該化合物は、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)のような糖尿病、高血糖症、肥満、インスリン抵抗性、異常脂血症、高脂血症、高血圧、代謝症候群、および、NIDDMに付随する他の症状の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼI型(11β−HSD1またはHSD1)のインヒビターとしてのトリアゾール誘導体、および、このような化合物を使用していくつかの状態を治療する方法に関する。本発明の化合物は、インスリン非依存性2型真性糖尿病(NIDDM)のような糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質異常、高血圧、認識、眼内圧上昇、創傷治癒の促進ならびに他の疾患および状態の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は多数の要因によって発症し、最も簡単な診断的特徴は、空腹時血漿ブドウ糖レベルの上昇(高血糖症)である。糖尿病には一般的に2つの形態が認められている。1型糖尿病すなわちインスリン依存性真性糖尿病(IDDM)では、患者がブドウ糖利用の調節ホルモンであるインスリンをほとんどまたは全く産生しないが、2型糖尿病すなわちインスリン非依存性真性糖尿病(NIDDM)では、患者がインスリンを産生したり、高インスリン血症を示したりもする(血漿インスリンレベルが非糖尿病被験者と同じかまたはもっと高いこともある)のに、同時に高血糖症を示す。1型糖尿病は典型的には注射による外因性インスリンの投与によって治療される。しかしながら2型糖尿病はしばしば“インスリン抵抗性”を発症し、その結果として、主要なインスリン感受性組織すなわち筋肉、肝臓および脂肪組織におけるブドウ糖および脂質の代謝を刺激するインスリンの効果が低下している。インスリン抵抗性ではあるが糖尿病ではない患者は、かれらのインスリン抵抗性を補償する高いインスリンレベルを有しているので血清ブドウ糖レベルが上昇していない。NIDDMの患者では、血漿インスリンレベルが高い場合であっても著しいインスリン抵抗性を克服するには不十分なのでその結果として高血糖症になる。
【0003】
2型糖尿病では、心血管合併症例えばアテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、卒中、末梢血管性疾患、高血圧、腎障害、神経障害および網膜障害を発症する危険が増す。従って、ブドウ糖ホメオスタシス、脂質代謝、肥満および高血圧の治療的管理は真性糖尿病の病状管理および治療において極めて重要である。
【0004】
インスリン抵抗性を有するが2型糖尿病を発症していない多くの患者はまた“X症候群”または“代謝症候群”と呼ばれる症状を発症する危険がある。X症候群または代謝症候群の診断的特徴は、インスリン抵抗性が腹部肥満、高インスリン血症、高血圧、低HDLおよび高VLDLと共存していることである。これらの患者は明らかな真性糖尿病を発症しているか否かにかかわりなく、上記に挙げた心血管合併症を発症する危険が増す。
【0005】
糖尿病および代謝症候群のような関連状態の新規な治療方法は絶えず要望されている。本発明はこれらのおよびその他の要望に応える。
【発明の開示】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、式I:
【0007】
【化2】

[式中、Rのおのおのは、H、ハロ、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロC1−6アルコキシから成るグループから選択され;
は、水素であるか、または、C1−6アルキルおよびハロC1−6アルキルから成るグループから選択され;
はおのおの独立に、水素、ヒドロキシルおよびオキソから成るグループから選択された構成員を表し;
は、C3−6アルキルまたはC2−4アルケニルから成るグループから選択され、おのおのはCF基で置換され、また、1から4個のハロ原子ならびにOH、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルコキシ、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)、アリールおよびHARから成るグループから選択された1から2個の部分で場合によりさらに置換されており、前記アリールおよびHARは、1から3個のハロ基ならびにC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、C2−4アルケニル、ハロC2−4アルケニル、C2−4アルケニルオキシおよびハロC2−4アルケニルオキシから成るグループから選択された1から2個の基で場合により置換されており;
HARは、1から4個のヘテロ原子を含有する5員環のヘテロアリール環を表し、前記ヘテロ原子の0から1個はOまたはSであり0から4個はNである]
によって表される化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0008】
(発明の詳細な説明)
本文中の用語は以下の定義で使用する。
【0009】
“アルキル”ならびにアルコキシおよびアルカノイルのような接頭辞“アルク”を有する他の基は、炭素鎖に異なる定義が与えられていない限り、直鎖状または分枝状の炭素鎖およびそれらの組合せを意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどを含む。例えばC3−10のような特定された炭素原子数が許容する場合、アルキルという用語はまた、シクロアルキル基、および、シクロアルキル構造と組合せた直鎖状または分枝状アルキル鎖の組合せを含む。炭素原子数が特定されていない場合にはC1−6を意味する。
【0010】
“シクロアルキル”はアルキルのサブセットであり、特定した数の炭素原子を有している飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどを含む。異なる記述がなければシクロアルキル基は一般に単環式である。異なる定義がなければシクロアルキル基は飽和である。
【0011】
“アリール”は炭素環原子を含有する単環式または多環式の芳香族環系を意味する。好ましいアリールは単環式または二環式の6から10員環の芳香族環系である。フェニルおよびナフチルが好ましいアリールである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0012】
“ハロゲン”はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を表す。一般には塩素およびフッ素が好ましい。ハロゲンがアルキルまたはアルコキシ基に置換されるときはフッ素が最も好ましい(例えば、CFOおよびCFCHO)。
【0013】
医薬組成物のような“組成物”という用語は、(1種以上の)有効成分と、担体を構成する(1種以上の)不活性成分とを含む生成物、ならびに、いずれか2種以上の成分の組合せ、錯化もしくは凝集、または、1種以上の成分の解離、または、1種以上の成分の別のタイプの反応もしくは相互作用から直接または間接に得られる生成物を含意する。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬的に許容される担体とを混合することによって調製したいかなる組成物も包含する。
【0014】
化合物“の投与”および“を投与する”という用語は、必要とする個体に本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを与えることを意味すると理解されたい。
【0015】
構造式Iの化合物は1つ以上の非対称中心を含有でき、従ってラセミ体、ラセミ混合物、単一鏡像異性体、ジアステレオマー混合物および個別のジアステレオマーとして存在できる。本発明は、構造式Iの化合物のこのような異性体形態すべてを含意する。
【0016】
構造式Iの化合物は、例えば、メタノール、酢酸エチル、それらの混合物のような適当な溶媒から分別結晶化することによって、または、光学活性固定相を使用するキラルクロマトグラフィーによって個々のジアステレオ異性体に分割できる。絶対的立体化学は、結晶質生成物のX線結晶学、または、必要ならば既知の絶対的立体配置の非対称中心を含有する試薬によって誘導体化した結晶質中間体のX線結晶学によって決定できる。
【0017】
あるいは、光学的に純粋な出発材料または既知の絶対的立体配置の試薬を使用する立体特異的合成によって一般構造式Iの化合物のいずれか一方の立体異性体を得ることもできる。
【0018】
最も広義の目的では、本文中に記載の本発明は、式I:
【0019】
【化3】

[式中、Rのおのおのは、H、ハロ、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロC1−6アルコキシから成るグループから選択され;
は、水素であるか、または、C1−6アルキルおよびハロC1−6アルキルから成るグループから選択され;
はおのおの独立に、水素、ヒドロキシルおよびオキソから成るグループから選択された構成員を表し;
は、C3−6アルキルまたはC2−4アルケニルから成るグループから選択され、おのおのはCF基で置換され、また、1から4個のハロ原子ならびにOH、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルコキシ、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)、アリールおよびHARから成るグループから選択された1から2個の部分で場合によりさらに置換されており、前記アリールおよびHARは、1から3個のハロ基ならびにC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、C2−4アルケニル、ハロC2−4アルケニル、C2−4アルケニルオキシおよびハロC2−4アルケニルオキシから成るグループから選択された1から2個の基で場合により置換されており;
HARは、1から4個のヘテロ原子を含有する5員環のヘテロアリール環を表し、前記ヘテロ原子の0から1個はOまたはSであり0から4個はNである]
によって表される化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。
【0020】
本発明の重要な1つの目的は、Rがハロ、C1−2アルキル、ハロC1−2アルキル、C1−2アルコキシおよびハロC1−2アルコキシから選択される式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。このサブセットの他のすべての定義は式Iに関する原定義と同義である。
【0021】
より特定的には、本発明の重要な1つの目的は、RがCl、Br、CH、OCH、CF、OCF、OCFHおよびOCFHから選択される式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。このサブセットの他のすべての定義は式Iに関する原定義と同義である。
【0022】
いっそう特定的には、本発明の重要な1つの目的は、Rが、トリアゾール環の付着点に対してオルト位置に存在するCl、Br、CH、OCH、CF、OCF、OCFHおよびOCFHから選択される式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。このサブセットの他のすべての定義は式Iに関する原定義と同義である。
【0023】
よりいっそう特定的には、本発明の重要な1つの目的は、Rが、トリアゾール環の付着点に対してオルト位置に存在するCF基を表す式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。このサブセットの他のすべての定義は式Iに関する原定義と同義である。
【0024】
本発明の重要な別の目的は、Rが水素またはC1−6アルキルを表す式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。このサブセットの他のすべての定義は式Iに関する原定義と同義である。
【0025】
より特定的には、本発明の重要な目的は、RがC1−3アルキルを表す式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。このサブセットの他のすべての定義は式Iに関する原定義と同義である。
【0026】
いっそう特定的には、本発明の重要な1つの目的は、Rが、メチル、エチルまたはシクロプロピルを表す式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。このサブセットの他のすべての定義は式Iに関する原定義と同義である。
【0027】
本発明の別の重要な目的は、Rのおのおのが水素を表す式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。このサブセットの他のすべての定義は式Iに関する原定義と同義である。
【0028】
本発明の別の重要な目的は、RがC3−6アルキルまたはC2−4アルケニルを表し、おのおのはCF基で置換され、また、1から4個のハロ原子ならびにOH、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)から成るグループから選択された1から2個の部分で場合によりさらに置換されている式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。このサブセットの他のすべての定義は式Iに関する原定義と同義である。
【0029】
より特定的には、本発明の重要な1つの目的は、RがC3−5アルキルまたはC2−4アルケニルを表し、おのおのはCF基で置換され、また、Cl、BrおよびFから選択された1つのハロ原子ならびに1つのOH基で場合によりさらに置換されている式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。このサブセットの他のすべての定義は式Iに関する原定義と同義である。
【0030】
本発明の別の重要な目的は、HARがチアジアゾール、オキサゾールおよびチアゾールから成るグループから選択された構成員を表す式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。このサブセットの他のすべての定義は式Iに関する原定義と同義である。
【0031】
より特定的には、本発明の重要な1つの目的は、HARが1,2,4−オキサジアゾールまたは1,3,4−オキサジアゾールを表す式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に関する。このサブセットの他のすべての定義は式Iに関する原定義と同義である。
【0032】
特に重要な化合物を以下の表1および2に示す。
【0033】
【表3】

【0034】
ならびに医薬的に許容されるその塩および溶媒和物。
【0035】
【表4】

【0036】
ならびに医薬的に許容されるその塩および溶媒和物。
【0037】
これらのビシクロ[2.2.2]オクチルトリアゾール誘導体は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD1)のインヒビターとして有効である。従ってそれらは、11β−HSD1の阻害に応答する障害の治療、管理または予防、例えば2型糖尿病、脂質異常、肥満、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病および関連状態の治療に必要とされる認識増強、高血圧、眼内圧上昇、創傷治癒の促進、代謝症候群に有効である。
【0038】
本発明はまた、本発明の化合物と医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物に関する。
【0039】
本発明はまた、本発明の化合物および医薬組成物の投与による、患者の11β−HSD1阻害に応答性の障害、疾患または状態の治療、管理または予防方法に関する。
【0040】
本発明はまた、本発明の化合物および医薬組成物の投与による、2型糖尿病、肥満、脂質異常、アテローム性動脈硬化症および代謝症候群の治療または管理方法に関する。
【0041】
本発明はまた、肥満状態の治療に有用なことが判っている治療有効量の他の薬剤と組合せた本発明の化合物の投与による肥満の治療方法に関する。
【0042】
本発明はまた、2型糖尿病状態の治療に有用なことが判っている治療有効量の他の薬剤と組合せた本発明の化合物の投与による2型糖尿病の治療方法に関する。
【0043】
本発明はまた、アテローム性動脈硬化症状態の治療に有用なことが判っている治療有効量の他の薬剤と組合せた本発明の化合物の投与によるアテローム性動脈硬化症の治療方法に関する。
【0044】
本発明はまた、脂質異常状態の治療に有用なことが判っている治療有効量の他の薬剤と組合せた本発明の化合物の投与による脂質異常の治療方法に関する。
【0045】
本発明はまた、代謝症候群状態の治療に有用なことが判っている治療有効量の他の薬剤と組合せた本発明の化合物の投与による代謝症候群の治療方法に関する。
【0046】
本発明はまた、高血糖症、インスリン抵抗性、2型糖尿病、脂質異常、肥満、アテローム性動脈硬化症および代謝症候群を治療するための構造式Iの化合物の使用に関する。
【0047】
本発明はまた、高血糖症、インスリン抵抗性、2型糖尿病、脂質異常、肥満、アテローム性動脈硬化症および代謝症候群の治療用医薬を製造するための構造式Iの化合物の使用を提案する。
【0048】
本発明はまた、高血圧の治療に有効な量の本発明の化合物の投与による高血圧の治療方法に関する。このような治療は、式Iの化合物による単独療法、または、高血圧の治療に有効な量の式Iの化合物を該状態の治療に有用なことが判っている治療有効量の別の薬剤と併用で投与する多剤療法を含む。
【0049】
本発明はまた、認識増強に有効な量の本発明の化合物の投与を含む認識増強方法に関する。このような治療は、式Iの化合物による単独療法、または、認識増強に有効な量の式Iの化合物を該状態の治療に有用なことが判っている治療有効量の別の薬剤と併用で投与する多剤療法を含む。
【0050】
本発明はまた、アルツハイマー病の治療に有効な量の本発明の化合物の投与によるアルツハイマー病の治療方法に関する。このような治療は、式Iの化合物による単独療法、または、アルツハイマー病治療に有効な量の式Iの化合物を該状態の治療に有用なことが判っている治療有効量の別の薬剤と併用で投与する多剤療法を含む。
【0051】
本発明はまた、創傷治癒の改善に有効な量の本発明の化合物の投与による創傷治癒の改善方法に関する。このような治療は、式Iの化合物による単独療法、または、創傷治癒の促進に有効な量の式Iの化合物を該状態の治療に有用なことが判っている治療有効量の別の薬剤と併用で投与する多剤療法を含む。
【0052】
本発明はまた、眼内圧降下に有効な量の本発明の化合物の投与による眼内圧降下方法に関する。このような治療は、式Iの化合物による単独療法、または、眼内圧降下に有効な量の式Iの化合物を該状態の治療に有用なことが判っている治療有効量の別の薬剤と併用で投与する多剤療法を含む。
【0053】
本発明はまた、緑内障治療に有効な量の本発明の化合物の投与による緑内障治療方法に関する。このような治療は、式Iの化合物による単独療法、または、緑内障に有効な量の式Iの化合物を該状態の治療に有用なことが判っている治療有効量の別の薬剤と併用で投与する多剤療法を含む。
【0054】
本発明の別の目的によれば、構造式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を医薬的に許容される担体と組合せて含む医薬組成物が提供される。“溶媒和物”という用語は、水和物、アルコラートまたは他の結晶化溶媒和物を意味する。
【0055】
本発明の別の目的によれば、要治療哺乳類患者の異常脂血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低LDLおよび高LDLから成るグループから選択される脂質異常の治療方法が開示されており、方法は脂質異常の治療に有効な量の構造式Iの化合物を患者に投与する段階を含む。
【0056】
本発明の別の目的によれば、要治療哺乳類患者のアテローム性動脈硬化症の治療方法が開示されており、方法はアテローム性動脈硬化症の治療に有効な量の構造式Iの化合物を患者に投与する段階を含む。
【0057】
本発明の別の目的によれば、要治療哺乳類患者の(1)高血糖症、(2)耐糖能低下、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質異常、(6)異常脂血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症とその続発症、(13)血管性再発狭窄症、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜障害、(18)腎障害、(19)神経障害、(20)代謝症候群、(21)高血圧、(22)アルツハイマー病、(23)緑内障、(24)緩慢なまたは不十分な創傷治癒、ならびに、インスリン抵抗性が1つの要因である他の状態および障害から成るグループから選択された状態の治療方法が開示されており、方法は該当状態の治療に有効な量の構造式Iの化合物を患者に投与する段階を含む。
【0058】
本発明の別の目的によれば、要治療哺乳類患者の(1)高血糖症、(2)耐糖能低下、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質異常、(6)異常脂血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症とその続発症、(13)血管性再発狭窄症、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜障害、(18)腎障害、(19)神経障害、(20)代謝症候群、(21)高血圧、(22)緩慢なまたは不十分な創傷治癒、ならびに、インスリン抵抗性が1つの要因である他の状態および障害から成るグループから選択された状態の発症遅延方法が開示されており、方法は該当状態の発症遅延に有効な量の構造式Iの化合物を患者に投与する段階を含む。
【0059】
本発明の別の目的によれば、要治療哺乳類患者の(1)高血糖症、(2)耐糖能低下、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質異常、(6)異常脂血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症とその続発症、(13)血管性再発狭窄症、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜障害、(18)腎障害、(19)神経障害、(20)代謝症候群、(21)高血圧、(22)緩慢なまたは不十分な創傷治癒、ならびに、インスリン抵抗性が1つの要因である他の状態および障害から成るグループから選択された状態の発症危険低下方法が開示されており、方法は該当状態の発症危険低下に有効な量の構造式Iの化合物を患者に投与する段階を含む。
【0060】
本発明の別の目的によれば、要治療哺乳類患者の(1)高血糖症、(2)耐糖能低下、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質異常、(6)異常脂血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症とその続発症、(13)血管性再発狭窄症、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜障害、(18)腎障害、(19)神経障害、(20)代謝症候群、(21)高血圧、(22)緩慢なまたは不十分な創傷治癒、ならびに、インスリン抵抗性が1つの要因である他の状態および障害から成るグループから選択された状態の治療方法が開示されており、方法は、構造式Iに定義の化合物と以下のグループから選択された化合物とを該当状態の治療に有効な量で患者に投与する段階を含む:
(a)ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)インヒビター;
(b)(i)PPARアルファゴニスト、(ii)PPARガンマアゴニスト、(iii)PPARアルファ/ガンマデュアルアゴニスト、(iv)ビグアニドから成るグループから選択されるインスリン増感剤;
(c)インスリンおよびインスリンミメティクス;
(d)スルホニルウレアおよび他のインスリン分泌促進物質;
(e)アルファグルコシダーゼインヒビター;
(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニスト;
(h)GIP、GIPミメティクスおよびGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAPミメティクスおよびPACAP受容体3アゴニスト;
(j)(i)HMG−CoAレダクターゼインヒビター、(ii)金属イオン封鎖剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸およびその塩、(iv)コレステロール吸収インヒビター、(v)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼインヒビター、および、(vi)抗酸化剤、から成るグループから選択されるコレステロール降下剤;
(k)PPARデルタアゴニスト;
(l)抗肥満化合物;
(m)回腸胆汁酸輸送体インヒビター;
(n)グルココルチコイド以外の抗炎症薬;
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)インヒビター;および
(p)アンギオテンシン変換酵素インヒビター、アンギオテンシンII受容体アンタゴニストまたはレニンインヒビターのようなアンギオテンシン系またはレニン系に作用するものを含む降圧薬、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン。
【0061】
構造式Iの化合物と併用できるジペプチジルペプチダーゼ−IVインヒビターは、WO 03/004498(16 January 2003);WO 03/004496(16 January 2003);EP 1 258 476(20 November 2002);WO 02/083128(24 October 2002);WO 02/062764(15 August 2002);WO 03/000250(3 January 2003);WO 03/002530(9 January 2003);WO 03/002531(9 January 2003);WO 03/002553(9 January 2003);WO 03/002593(9 January 2003);WO 03/000180(3 January 2003);およびWO 03/000181(3 January 2003)に開示されたものを含む。具体的なDP−IVインヒビター化合物はイソロイシンチアゾリジド;NVP−DPP728;P32/98;およびLAF 237を含む。
【0062】
構造式Iの化合物と併用できる抗肥満化合物は、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY1またはY5アンタゴニスト、カンナビノイドCB1受容体アンタゴニストまたは逆アゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、ゲリンアンタゴニストおよびメラニン濃縮ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストを含む。構造式Iの化合物と併用できる抗肥満化合物の概要については、S.Chakiら,“Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity,”Expert Opin.Ther.Patents.11:1677−1692(2001)を参照するとよい。
【0063】
構造式Iの化合物と併用できるニューロペプチドY5アンタゴニストは、U.S.特許No.6,335,345(1 January 2002)およびWO 01/14376(1 March 2001)に開示されたもの;GW 59884A;GW 569180A;LY366377;およびCGP−71683Aとして同定された具体的化合物を含む。
【0064】
式Iの化合物と併用できるカンナビノイドCB1受容体アンタゴニストは、PCT公開WO 03/007887;リモナバントのようなU.S.特許No.5,624,941;SLV−319のようなPCT公開WO 02/076949;U.S.特許No.6,028,084;PCT公開WO 98/41519;PCT公開WO 00/10968;PCT公開WO 99/02499;U.S.特許No.5,532,237;およびU.S.特許No.5,292,736に開示されたものを含む。
【0065】
構造式Iの化合物と併用できるメラノコルチン受容体アンタゴニストは、WO 03/009847(6 February 2003);WO 02/068388(6 September 2002);WO 99/64002 (16 December 1999);WO 00/74679(14 December 2000);WO 01/70708(27 September 2001);およびWO 01/70337(27 September 2001)に開示されたものならびにJ.D.Speakeら,“Recent advances in the development of melanocortin−4 receptor agonists,Expert Opin.Ther.Patents.12:1631−1638(2002)に開示されたものを含む。
【0066】
本発明の別の目的によれば、要治療哺乳類患者の高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および異常脂血症から選択された状態の治療方法が開示されており、方法は治療有効量の構造式Iに定義された化合物とHMG−CoAレダクターゼインヒビターとを哺乳類患者に投与する段階を含む。
【0067】
より特定的に、本発明の別の目的によれば、HMG−CoAレダクターゼインヒビターがスタチンであることを特徴とする、要治療哺乳類患者の高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および異常脂血症から選択された状態の治療方法が開示されている。
【0068】
いっそう特定的に、本発明の別の目的によれば、HMG−CoAレダクターゼインヒビターがロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチンおよびロスバスタチンから成るグループから選択されたスタチンであることを特徴とする、要治療哺乳類患者の高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および異常脂血症から選択された状態の治療方法が開示されている。
【0069】
本発明の別の目的によれば、要治療哺乳類患者の高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および異常脂血症から選択された状態の発症危険低下方法が開示されており、方法は治療有効量の構造式Iに定義された化合物とHMG−CoAレダクターゼインヒビターとを哺乳類患者に投与する段階を含む。
【0070】
本発明の別の目的によれば、要治療ヒト患者のアテローム性動脈硬化症の発症遅延または発症危険低下方法が開示されており、方法は治療有効量の構造式Iに定義された化合物とHMG−CoAレダクターゼインヒビターとをヒト患者に投与する段階を含む。
【0071】
より特定的には、HMG−CoAレダクターゼインヒビターがスタチンであることを特徴とする、要治療ヒト患者のアテローム性動脈硬化症の発症遅延または発症危険低下方法が開示されている。
【0072】
いっそう特定的には、HMG−CoAレダクターゼインヒビターがロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチンおよびロスバスタチンから成るグループから選択されたスタチンであることを特徴とする、要治療ヒト患者のアテローム性動脈硬化症の発症遅延または発症危険低下方法が開示されている。
【0073】
よりいっそう特定的には、スタチンがシンバスタチンであることを特徴とする、要治療ヒト患者のアテローム性動脈硬化症の発症遅延または発症危険低下方法が開示されている。
【0074】
本発明の別の目的によれば、HMG−CoAレダクターゼインヒビターがスタチンであることおよびコレステロール吸収インヒビターの投与をさらに含むことを特徴とする、要治療ヒト患者のアテローム性動脈硬化症の発症遅延または発症危険低下方法が開示されている。
【0075】
より特定的に本発明の別の目的によれば、HMG−CoAレダクターゼインヒビターがスタチンであり、コレステロール吸収インヒビターがエゼチミベであることを特徴とする、要治療ヒト患者のアテローム性動脈硬化症の発症遅延または発症危険低下方法が開示されている。
【0076】
本発明の別の目的によれば、
(1)構造式Iの化合物と、
(2)(a)DP−IVインヒビター;
(b)(i)PPARアルファゴニスト、(ii)PPARガンマアゴニスト、(iii)PPARアルファ/ガンマデュアルアゴニスト、(iv)ビグアニドから成るグループから選択されるインスリン増感剤;
(c)インスリンおよびインスリンミメティクス;
(d)スルホニルウレアおよび他のインスリン分泌促進物質;
(e)アルファグルコシダーゼインヒビター;
(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニスト;
(h)GIP、GIPミメティクスおよびGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAPミメティクスおよびPACAP受容体3アゴニスト;
(j)(i)HMG−CoAレダクターゼインヒビター、(ii)金属イオン封鎖剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸またはその塩、(iv)コレステロール吸収インヒビター、(v)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼインヒビターおよび(vi)抗酸化剤から成るグループから選択されるコレステロール降下剤;
(k)PPARデルタアゴニスト;
(l)抗肥満化合物;
(m)回腸胆汁酸輸送体インヒビター;
(n)グルココルチコイド以外の抗炎症薬;
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)インヒビター;および
(p)アンギオテンシン変換酵素インヒビター、アンギオテンシンII受容体アンタゴニストまたはレニンインヒビターのようなアンギオテンシン系またはレニン系に作用するものを含む降圧薬、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン
から成るグループから選択される化合物と、
(3)医薬的に許容される担体と、を含む医薬組成物が開示されている。
【0077】
本発明の化合物は医薬的に許容される塩の形態で投与できる。“医薬的に許容される塩”という用語は、無機または有機の塩基および無機または有機の酸を含む医薬的に許容される無毒の塩基または酸から製造された塩を意味する。“医薬的に許容される塩”という用語に包含される塩基性化合物の塩は、一般には遊離塩基を適当な有機または無機の酸と反応させることによって製造される本発明化合物の無毒性塩を表す。本発明の塩基性化合物の代表的な塩は非限定的に以下を含む:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エディシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、メチルブロミド、メチルニトレート、メチルスルフェート、ムコ酸塩、ナプシラート、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、亜酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクラート、トシラート、トリエチヨージドおよび吉草酸塩。さらに本発明の化合物が酸性部分を含むとき、医薬的に許容される適当なそれらの塩は非限定的に、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などから誘導された塩を含む。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムの塩が得に好ましい。医薬的に許容される無毒性有機塩基に由来の塩は、第一級、第二級および第三級アミン、環状アミンの塩、ならびに、塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどを含む。
【0078】
また、本発明の化合物中にカルボン酸(−COOH)またはアルコール基が存在する場合、メチル、エチルもしくはピバロイルオキシメチルのようなカルボン酸誘導体または酢酸塩もしくはマレイン酸塩のようなアルコールのアシル誘導体の医薬的に許容されるエステルも使用できる。持続放出配合物またはプロドラッグ配合物として使用するために溶解度または加水分解特性を修飾する当業界で公知のエステルおよびアシル基も包含される。
【0079】
本文中に使用した構造式Iの化合物という表現は、医薬的に許容される塩も含意し、また、遊離化合物もしくはそれらの医薬的に許容される塩の前駆体として使用されるときまたは他の合成操作で使用されるときは医薬的に許容されない塩も含意することは理解されよう。
【0080】
構造式Iの化合物の溶媒和物特に水和物もやはり本発明に包含される。
【0081】
本文中に記載の化合物は、11β−HSD1酵素の選択的インヒビターである。従って本発明は、コルチゾンからコルチゾールへの転換にかかわる11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのレダクターゼ活性を阻害する11β−HSD1インヒビターの使用に関する。過剰コルチゾールは、NIDDM、肥満、異常脂血症、インスリン抵抗性および高血圧を含む多くの障害に関連する。本発明の化合物の投与は、標的組織中のコルチゾールおよび他の11β−ヒドロキシステロイドのレベルを低下させ、これにより過剰のコルチゾールおよび他の11β−ヒドロキシステロイドの効果を抑制する。11β−HSD1の阻害は、NlDDM、肥満、高血圧および異常脂血症のような異常に高いレベルのコルチゾールおよび他の11β−ヒドロキシステロイドによって媒介される疾患を治療および管理するために使用できる。コルチゾールレベル降下のような脳内の11β−HSD1活性の阻害はまた、不安、抑鬱および認識減退の治療または軽減にも有用であろう。
【0082】
本発明は、哺乳類患者特にヒトの過剰量または非制御量のコルチゾールおよび/または他のコルチコステロイドによって媒介される本文中に記載のような疾患および状態を治療、管理、軽減、予防、発症遅延または発症危険低下するための11β−HSD1インヒビターの使用を含み、この使用は有効量の構造式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物の投与によって行う。コルチゾンは正常には不活性であるが、コルチゾールが過剰量で存在すると上記の疾患または状態の発症または症状悪化の原因となるので、11β−HSD1酵素の阻害によってコルチゾンからコルチゾールへの転換を制限する。
【0083】
NIDDMおよび高血圧
本発明の化合物は、11β−HSD2に比べて11β−HSD1の選択的インヒビターである。11β−HSD1の阻害はコルチゾールレベルを低下させコルチゾールレベルに関連した状態の治療に有用であるが、11β−HSD2の阻害は高血圧のような深刻な副作用を伴う。
【0084】
コルチゾールは熟知された重要な抗炎症ホルモンであり、また、肝臓のインスリンの作用に対するアンタゴニストとして作用する。このためインスリン感受性が低下し、その結果として糖新生が増進され肝臓のブドウ糖レベルが上昇する。すでに耐糖能低下を生じている患者は異常に高レベルのコルチゾールの存在下で2型糖尿病を発症する確率が増す。
【0085】
ミネラルコルチコイド受容体が存在している組織中の高レベルコルチゾールはしばしば高血圧につながる。11β−HSD1の阻害は特定組織のコルチゾールとコルチゾンとの比をコルチゾン側にシフトさせる。
【0086】
治療有効量の11β−HSD1インヒビターの投与は、NIDDMの治療、管理および症状改善に有効であり、治療有効量の11β−HSD1インヒビターの定期的投与は特にヒトのNIDDMの発症を遅延または予防する。
【0087】
クッシング症候群
高レベルコルチゾールの効果はクッシング症候群の患者にも観察される。クッシング症候群は血流中の高レベルコルチゾールを特徴とする代謝疾患である。クッシング症候群の患者はしばしばNIDDMを発症する。
【0088】
肥満、代謝症候群、異常脂血症
コルチゾールの過剰レベルは肥満に関連していた。その理由はおそらく、肝臓の糖新生の増加であろう。腹部肥満はブドウ糖不耐性、高インスリン血症、高グリセリド血症、ならびに、高血圧、高VLDLおよび低HDLのような代謝症候群の他の要因に密接に関連している。Montagueら,Diabetes.2000,49:883−888。従って有効量の11β−HSD1インヒビターの投与は、肥満の治療または管理に有用である。11β−HSD1インヒビターによる長期間治療はまた、特に患者が11β−HSD1インヒビターに組合せて管理食および運動を取り入れるときには肥満発症の遅延または予防に有用である。
【0089】
本発明の化合物はまた、インスリン抵抗性を低下させ血清ブドウ糖を正常濃度に維持することによって、代謝症候群もしくはX症候群、肥満、反応性低血糖症および糖尿病性異常脂血症のような2型糖尿病およびインスリン抵抗性に付随する状態の治療および予防に効用を有している。
【0090】
認識および認知症
脳内コルチゾールの過剰レベルはまた、ニューロトキシンの増強作用を介してニューロン減少または機能不全を生じる。認識減退は、加齢および脳内コルチゾールの過剰レベルに関連している。参照:J.R.Seel and B.R.Walker,Endocrinology.2001,142:1371−1376とその引用文献。有効量の11β−HSD1インヒビターの投与は、加齢に付随する認識減退およびニューロン機能不全の抑制、改善、管理または予防をもたらす。11β−HSD1のインヒビターはまた、不安および抑鬱の治療にも有用であろう。
【0091】
アテローム性動脈硬化症
上述のように、11β−HSD1活性の阻害およびコルチゾールの減量は高血圧の治療または管理に有益である。高血圧および異常脂血症はアテローム性動脈硬化症の発症の一因となるので、治療有効量の本発明の11β−HSD1インヒビターの投与は、アテローム性動脈硬化症の治療、管理、発症遅延または予防に特に有益であろう。
【0092】
膵臓への効果
単離したマウス膵臓β細胞中の11β−HSD1活性の阻害は、ブドウ糖刺激インスリン分泌を改善する(B.Davaniら,J.Biol.Chem.,2000,275:34841−34844)。グルココルチコイドはインビボのインスリン分泌を抑制することが判明した(B.Billaudelら.,Horm.Metab.Res.,1979,11:555−560)。
【0093】
眼内圧降下
最近のデータは、グルココルチコイド標的受容体および11β−HSD酵素のレベルと緑内障の罹病率とのつながりを示唆している(J.Stokesら,Invest.Ophthamol.,2000,41:1629−1638)。従って、11β−HSD1活性の阻害は緑内障の治療における眼内圧降下に有用である。
【0094】
免疫調節
結核、乾癬のようないくつかの疾患状態において、また、過剰ストレスのような状態下にあっては、実際には細胞性応答のほうが患者に有益であるにもかかわらず高いグルココルチコイド活性が免疫応答を体液性応答の側にシフトさせる。11β−HSD1活性の阻害およびこれに伴うグルココルチコイドのレベル低下は免疫応答を細胞性応答の側にシフトさせる。参照:D.Mason,Immunology Today,1991,12:57−60およびG.A.W.Rook,Baillier’s Clin.Endocrinol.Metab.,1999,13:576−581。
【0095】
骨粗鬆症
グルココルチコイドは骨形成を阻害でき、これは骨の純減量に帰着する。11β−HSD1は骨吸収において1つの役割を有している。11β−HSD1の阻害は、骨粗鬆症に起因する骨減量の予防に有益である。参照:C.H.Kimら,J.Endocrinol.,1999.162:371−379;C.G.Bellowsら,Bone,1998,23:119−125;およびM.S.Cooperら,Bone,2000,27:375−381。
【0096】
他の効用
本発明の化合物で処置することによって以下の疾患、障害および状態を治療、管理、予防または遅延できる:(1)高血糖症、(2)耐糖能低下、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質異常、(6)異常脂血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症とその続発症、(13)血管性再発狭窄症、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜障害、(18)腎障害、(19)神経障害、(20)代謝症候群、(21)高血圧、および、インスリン抵抗性が1つの要因である他の障害。
【0097】
上記の疾患および状態は構造式Iの化合物を使用して治療できる。すなわち、本文中に記載の疾患および状態の予防または発症危険低下のために化合物を投与できる。11β−HSD2の同時阻害は有害な副作用を生じたりまたはコルチゾールの減少が望まれる標的組織中のコルチゾールの量を実際に増加させたりすることもあるので、11β−HSD2をほとんどまたは全く阻害しない11β−HSD1選択的インヒビターが望ましい。
【0098】
構造式Iの11β−HSD1インヒビターは一般に、約500nM未満、好ましくは約100nM未満の阻害定数IC50を有している。一般に、化合物の11β−HSD2対11β−HSD1のIC50比は、少なくとも約2以上、好ましくは約10以上である。11β−HSD2対11β−HSD1のIC50比が約100以上の化合物がいっそう好ましい。例えば本発明の化合物は理想的には、11β−HSD2に対して約1000nM、好ましくは4000nMを上回る阻害定数IC50を示す。
【0099】
構造式Iの化合物は、構造式Iの化合物または他の薬剤が効用を有している疾患または状態の治療、予防、抑制または改善のために1種以上の他の薬剤と併用できる。典型的には薬剤併用は単独薬剤よりも安全で有効である。すなわち、併用は個々の薬剤の付加的特性に基づいて予測されるよりも安全で有効である。このような(1種以上の)他の薬剤は常用の経路および量で構造式Iの化合物と同時にまたは順次に投与され得る。構造式Iの化合物を1種以上の他の薬剤と同時に使用するとき、このような(1種以上の)他の薬剤と構造式Iの化合物とを含有する合一製品が好ましい。しかしながら、併用療法はまた、構造式Iの化合物と1種以上の他の薬剤とをオーバーラップする異なるスケジュールで投与する療法も含む。他の有効成分と併用されるとき、本発明の化合物または他の有効成分または双方はおのおのが単独使用されるときよりも低用量で有効であると考えられる。従って、本発明の医薬組成物は、構造式Iの化合物に加えて1種以上の他の有効成分を含有する医薬組成物を含む。
【0100】
別々にまたは同一医薬組成物として構造式Iの化合物と併用投与できる他の有効成分の例は非限定的に以下を含む:
(a)ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)インヒビター;
(b)インスリン増感剤;(i)グリタゾン(例えばトログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾンなど)のようなPPARデルタアゴニスト、ならびに、KRP−297のようなPPARアルファ/ガンマデュアルアゴニストおよびジェンフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート、ベザフィブラートのようなPPARアゴニストを含む他のPPARリガンド、(ii)メトホルミンおよびフェンホルミンのようなビグアニド;
(c)インスリンまたはインスリンミメティクス;
(d)スルホニルウレア、ならびに、トルブタミド、グリピチド、メグリチニドおよび類縁材料のような他のインスリン分泌促進物質;
(e)アカルボースのようなアルファ−グルコシダーゼインヒビター;
(f)WO 98/04528、WO 99/01423、WO 00/39088およびWO 00/69810に開示されているようなグルカゴン受容体アンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1類似体、ならびに、WO00/42026およびWO00/59887に開示されているようなGLP−1受容体アゴニスト;
(h)GIP、WO00/58360に開示されているようなGIPミメティクス、および、GIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAPミメティクス、ならびに、WO01/23420に開示されているようなPACAP受容体3アゴニスト;
(j)以下のグループから選択されるコレステロール降下剤;(i)HMG−CoAレダクターゼインヒビター(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ロスバスタチンおよび他のスタチン類)、(ii)胆汁酸金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール、および、架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸またはその塩、(iv)エゼチミベおよびベータ−シトステロールのようなコレステロール吸収インヒビター、(v)アバシミベのようなアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼインヒビター、(vi)プロブコールのような抗酸化剤;
(k)WO 97/28149に開示されているようなPPARデルタアゴニスト;
(l)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドYまたはYアンタゴニスト、CB1受容体逆アゴニストおよびアンタゴニスト、β3アドレナリン受容体アゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト特にメラノコルチン4−受容体アゴニスト、ゲリンアンタゴニスト、メラニン濃縮ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストのような抗肥満化合物;
(m)回腸胆汁酸輸送体インヒビター;
(n)アスピリン、非ステロイド系抗炎症薬、アズルフィジンおよび選択的シクロオキシゲナーゼ−2インヒビターのようなグルココルチコイド以外の炎症状態用薬剤;
(o)タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)インヒビター;
(p)アンギオテンシン変換酵素インヒビター、アンギオテンシンII受容体アンタゴニストまたはレニンインヒビターのようなアンギオテンシン系またはレニン系に作用するものを含む降圧薬、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン。
【0101】
上記の組合せは、構造式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を1種以上の他の有効化合物と共に含む。非限定例は、構造式Iの化合物と、ビグアニド、スルホニルウレア、HMG−CoAレダクターゼインヒビター、PPARアゴニスト、PTP−1Bインヒビター、DP−IVインヒビターおよび抗肥満化合物から選択された2種以上の有効化合物との組合せを含む。
【0102】
有効投与量の本発明の化合物を哺乳動物特にヒトに投与するためにいずれかの適当な投与経路を使用し得る。例えば、経口、直腸、外用、非経口、眼内、肺内、鼻腔内などを使用し得る。剤形は、錠剤、トローチ剤、分散液、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアゾールなどを含む。構造式Iの化合物は経口投与が好ましい。
【0103】
有効成分の有効用量は、使用される特定化合物、投与モード、治療される状態および該状態の重篤度次第で変更される。このような用量は当業者が容易に確認できる。特定の疾患または状態を治療するための“有効量”と記載される用量は以下に与える範囲に重なり合い、一般には該範囲内である。
【0104】
構造式Iの化合物が処方される本文中に記載の疾患および状態を治療または予防するとき、本発明の化合物が体重1キログラムあたり約0.005から約50ミリグラム(mpk)の1日用量で、好ましくは1日1回投与量としてまたは約2から6回の分割投与量として与えると十分な結果が得られる。従って合計の1日用量は約0.3mgから約4000mg、好ましくは約1mgから約100mgの範囲であろう。典型的な70kgの成人の場合、合計1日用量は約0.3mgから約4000mgの範囲であろう。この用量は最適な治療応答が得られるように調節し得る。
【0105】
式Iの化合物と併用する本文中に記載の追加医薬の用量は、常用の処方用量を含み、臨床医が所望の結果、患者の薬剤耐性、副作用および他の要因を考慮して臨床医の知識レベルの範囲内で調整し得る。
【0106】
本発明の別の目的は、医薬的に許容される担体と組合せた構造式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物に関する。
【0107】
組成物は、経口、直腸、外用、非経口(皮下、筋肉内および静脈内を含む)、眼内(眼科用)、経皮、肺内(鼻腔または口腔吸入)または鼻腔投与に適した組成物を含むが、所与の症例に最適の経路は、治療される状態の種類および重篤度、ならびに、有効成分に左右されるであろう。それらは単位剤形で提供されるのが便利であり、製薬業界で公知の方法のいずれかによって調製される。
【0108】
構造式Iの化合物は慣用の医薬配合技術に従って医薬担体に組合せることができる。担体は多様な形態を有し得る。例えば、経口液体組成物用担体は例えば水、グリコール、油、アルコール、着香料、保存料、着色料および経口液体懸濁液、エリキシル剤および溶液の製造に使用される他の成分を含む。デンプン、糖および微晶質セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような担体は、例えば粉末、硬質および軟質カプセルならびに錠剤のような経口固体剤形の調製に使用される。固体経口製剤は経口液体よりも好ましい。
【0109】
経口固体剤形はまた、トラガカントガム、アラビアガム、トウモロコシデンプンまたはゼラチンのような結合剤、リン酸二カルシウムのような賦形剤、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸のような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味料を含有し得る。カプセルは脂肪油のような液体担体も含有し得る。
【0110】
コーティングとして機能させるためまたは投薬単位の物理的形態を変更するために様々な他の材料を存在させ得る。例えば、錠剤をセラック、糖または双方でコーティングしてもよい。
【0111】
錠剤は水性または非水性の標準技術によってコーティングし得る。言うまでもなくこれらの組成物中の有効化合物の典型的なパーセンテージはw/w基準で約2パーセントから約60パーセントの範囲で変更できる。従って錠剤は、構造式Iの化合物またはその塩もしくは水和物を最小で約0.1mgから最大で約1.5gの範囲、好ましくは最小で約1.0mgから最大で約500mgの範囲、より好ましくは最小で約10mgから最大で約100mgの範囲の量で含有する。
【0112】
シロップまたはエリキシル剤のような経口液体は、有効成分に加えて、甘味料としてショ糖、保存料としてメチルおよびプロピルパラベン、着色料、チェリーもしくはオレンジフレーバーのような着香料を含有し得る。
【0113】
非経口薬は典型的には溶液または懸濁液の形態であり、典型的には水と共に調製され、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤を場合によっては含む。分散液はグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの油中混合物中で調製できる。希釈形態の製剤は典型的には保存料も含有する。
【0114】
水溶液、分散液、および、注射用溶液または分散液を用時調製するための粉末を含む注射用医薬剤形はまた無菌であり、注射容易性が維持される程度に流動性でなければならない。それらは製造および保存の条件下で安定で、普通に保存できなければならない。従って担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの適当な混合物および植物油を含有する溶媒または分散媒を含む。
【0115】
本発明の化合物の製造
本発明の構造式Iの化合物は以下のスキームおよび実施例の手順に従って製造できる。
【0116】
本発明の化合物の製造の説明に使用した略号
【0117】
【表5】


【0118】
【化4】

【0119】
【化5】

【0120】
【化6】

【0121】
以下の実施例は本発明の代表例として与えたものであり本発明の範囲をいかようにも限定すると解釈してはならない。
【0122】
(実施例1)
【0123】
【化7】

【0124】
3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)5−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1,2,4−オキサジアゾール(1−G)
【0125】
【化8】

【0126】
段階A
メチル4−[(メチルアミノ)カルボニル]ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(1−B)
4−(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン−l−カルボン酸1−A(Chapman,N B.ら,J.Org.Chem.,1970,35,917)(4.0g,18.9mmol)を12mLの無水メチレンクロリドに窒素雰囲気下で溶解し、オキサリルクロリド(メチレンクロリド中に2M,28mL,56mmol)および0.5mlのDMFで順次に処理した。反応混合物を窒素雰囲気下、室温で90分間撹拌し、次いで蒸発させ、真空下に20分間維持した。反応混合物を濃縮し、トルエンから3回回収(strip)した。酸塩化物を無水メチレンクロリド(75mL)に溶解し、氷浴で冷却し、メチルアミン溶液(THF中に2M,57mL,113mmol)で滴下処理した。アミンの添加後、冷浴を除去し、反応混合物を周囲温度で30分間撹拌した。混合物を1000mLのメチレンクロリドで希釈し、1NのHCl水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。生成物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーで0−5%MeOH/CHCl勾配で溶出させることによって精製すると、1−Bが白色固体として得られた。MS(ESI)=226.2(M+1)。
【0127】
段階B
メチル4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキシレート(1−C)
カルボキシレート1−B(2.76g,12.3mmol)をメチレンクロリド(100ml)に溶解した。得られた溶液に、オキサリルクロリド(2.0M,15.3ml)、次いでDMF(0.19ml,2.45 mmol)を添加した。次に反応混合物を窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌後、濃縮してトルエンから3回回収した。残渣をトルエン(100ml)に再溶解し、5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−テトラゾール(3.15g,14.7mmol)で処理し、窒素下、100℃で12時間加熱した。生成物1,2,4−トリアゾール1−CがHCl塩として反応混合物から沈殿したので、これをメチレンクロリドに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄し、乾燥し(MgSO)、回収すると、1−Cが白色固体として得られた。MS(ESI)=394.2(M+1);H NMR(500MHz,CDCl):δ2.00(6H,m),2.18(6H,m),3.48(3H,s),3.72(3H,s),7.51(1H,m),7.71(2H,m),7.85(1H,m)ppm。
【0128】
段階C
(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸(1−D)
5%のHO/MeOH(30ml)中のメチルエステル1−C(1.19g,3.0 mmol)の溶液を窒素雰囲気下、60℃でKOH(0.51g,9.1mmol)によって18時間処理した。得られた混合物を濃縮し、水(150ml)で希釈し、EtOAcで洗浄し、HCl水溶液(1N)で酸性化してpH=3とした。沈殿物を濾過し、少量の水およびエーテルで洗浄し、真空下で乾燥すると、1−Dが淡紅色固体として得られた。MS(ESI)=380.18;H NMR(500MHz,CDOD):δ7.95−7.93(m,1H),7.86−7.82(m,2H),7.61−7.59(m,1H),3.53(s,3H),2.15(m,6H),2.02−1.96(m,6H)ppm。
【0129】
段階D
4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボキサミド(1−E)
カルボン酸1−Dの一部(0.67g,1.77mmol)をメチレンクロリド(15ml)に懸濁させ、窒素雰囲気下、室温で1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.57g,3.52mmol)によって処理した。2時間後、濃水酸化アンモニウム(40ml)を添加し、反応混合物を18時間撹拌した。粗混合物を水(150ml)で希釈しメチレンクロリド(70ml)で3回抽出した。有機洗浄物を集めて、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、回収すると、1−Eが白色粉末として得られた。MS(ESI)=379.3(M+1);H NMR(500MHz,CDCl):δ7.88−7.86(m,1H),7.75−7.71(m,2H),7.54(t,1H),5.75(s,1H),5.47(s,1H),3.5(s,3H),2.22(t,6H),2.00(t,6H)ppm。
【0130】
段階E
4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボニトリル(1−F)
DMF(15ml)中のカルボキサミド1−E(0.64g,1.7mmol)およびシアヌルクロリド(0.47g,2.53mmol)の溶液を窒素雰囲気下、室温で撹拌した。2時間後、真空下でDMFを除去し、固体をメチレンクロリド(100ml)に再溶解した。この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、回収すると、1−Fが淡黄色固体として得られた。MS(ESI)=361.3(M+1);H NMR(500MHz,CDCl):δ2.15(6H,m),2.22(6H,m),3.47(3H,s),7.51(1H,m),7.72(2H,m),7.87(1H,m)ppm。
【0131】
段階F
3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−5−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1,2,4−オキサジアゾール(1−G
エタノール(40ml)中のニトリル1−F(0.56g,1.6mmol)およびヒドロキシルアミン(50%水溶液,4ml)の溶液を80℃で18時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、真空下で濃縮した。固体をトルエンから回収し、減圧下で乾燥した。得られた白色粉末の一部(0.050g,0.13mmol)を、メチレンクロリド(1ml)中の5,5,5−トリフルオロペンタン酸(0.058g,0.37mmol)および1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.050g,0.31mmol)の予め撹拌した溶液に添加した。得られた混合物を室温で24時間撹拌し、次いで濃縮した。固体をDMFに再懸濁させ、窒素雰囲気下、100℃で2時間加熱した。粗生成物をGilson逆相クロマトグラフィーで10−90%のCHCN(0.1% TFA)/水(0.1% TFA)勾配で溶出させることによって精製した。真空下で溶媒を除去し、生成物をメチレンクロリドおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液から遊離塩基化した。有機層をMgSOで乾燥し、溶媒を除去すると、1−Gが白色粉末として得られた。MS(ESI)=514.34(M+1);H NMR(500MHz,CDCl):δ7.86−7.83(m,1H),7.73−7.69(m,2H),7.56(s,1H),3.51(s,3H),2.99(t,2H),2.30−2.22(m,8H),2.17−2.09(m,8H)。
【0132】
(実施例2−12)
式Iの以下の化合物も上記の手順と同じ手順に従って製造した。
【0133】
【化9】

【0134】
【表6】

【0135】
(実施例13)
【化10】

【0136】
2−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)5−(3,3,3−トリフルオロ−1−メチルプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール(13−C)
【0137】
【化11】

【0138】
段階A
4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボビトラジド
固体(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸1−Dの一部(2.0g,5.27mmol)を無水DMF(30ml)に溶解し、N,N,N’,N’−テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(2.09g,7.91mmol)、トリエチルアミン(2.3mL,16.50mmol)およびヒドラジン(0.50mL,15.93mmol)によって窒素雰囲気下、室温で一夜処理した。真空下で溶媒を除去し、残渣をメチレンクロリド(700ml)に再溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水およびブラインで洗浄した。生成物をMgSOで乾燥し、溶媒を除去すると、13−Aが白色粉末として得られた。MS(ESI)=394.13(M+1)。
【0139】
段階B
4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}−N’−(4,4,4−トリフルオロ−2−メチルブタノイル)ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボビトラジド(13−B)
DMF(Iml)中の2−メチル−4,4,4−トリフルオロ酪酸(108mg,0.692mmol)および1,1’−カルボニルジイミダゾール(101mg,0.623mmol)の溶液を窒素雰囲気下、室温で撹拌した。30分後、化合物13−A(100mg,0.254mmol)を添加し、溶液を一夜撹拌した。真空下でDMFを除去し、固体をCHCN(4ml)に再溶解した。生成物を、Gilson逆相クロマトグラフィーで10−90%のCHCN(0.1% TFA)/水(0.1% TFA)勾配で溶出させることによって精製した。真空下で溶媒を除去し、生成物をメチレンクロリドおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液から遊離塩基化した。有機層をMgSOで乾燥し、溶媒を除去すると、13−Bが白色固体として得られた。MS(ESI)=532.18(M+1)。
【0140】
段階C
2−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−5−(3,3,3−トリフルオロ−1−メチルプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール(13−C)
トルエン(3mL)中の13−Bにチオニルクロリド(2mL)を添加し、還流コンデンサーを配備し、溶液を窒素雰囲気下で85℃に加熱した。1時間後、真空下で溶媒を除去した。残渣をCHCN(4ml)に溶解し、生成物をMasslynx逆相クロマトグラフィーで10−90% CHCN(0.1% TFA)/水(0.1% TFA)勾配で溶出させることによって精製した。真空下で溶媒を除去し、生成物をメチレンクロリドおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液から遊離塩基化した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO乾燥した。溶媒を除去し、生成物をCHCNおよび水から凍結乾燥すると13−Cが白色固体として得られた。MS(ESI)=514.22(M+1);H NMR(500MHz,CDCl):δ7.85−7.83(m,1H),7.72−7.68(m,2H),7.52(t,1H),3.48(s,3H),3.46(m,1H),2.86−2.74(m,1H),2.51−2.39(m,1H),2.28(m,6H),2.14(m,6H),1.50(d,3H)ppm。
【0141】
(実施例14−16)
式Iの以下の化合物も上記の手順と同様の手順に従って製造した。
【0142】
【化12】

【0143】
【表17】

【0144】
医薬配合物の実施例
本発明の化合物の経口組成物の特定実施態様として、50mgの実施例1−16のいずれかを十分に微細に分割した乳糖と配合してサイズ0の硬質ゼラチンカプセルに充填する580から590mgの合計量とする。
【0145】
アッセイ:阻害定数の測定:
被験化合物のインビトロ酵素活性をシンチレーション近接アッセイ(SPA)によって検定した。要約すると、トリチウム標識コルチゾン基質、NADPH補因子および滴定量の構造式Iの化合物を11β−HSD1酵素と共に37℃でインキュベートしてコルチゾールへの転換を進行させた。このインキュベーション後、タンパク質AをコートしたSPAビーズを抗コルチゾールモノクローナル抗体および18β−グリシルレチン酸のような非特異的11β−HSDインヒビターとプレブレンドした調製物を各ウェルに加えた。混合物を15℃で振盪し、次いで96ウェルプレートに適した液体シンチレーションカウンターで読取った。非阻害対照ウェルに対する阻害パーセントを計算し、IC50曲線を作成した。11β−HSD2もこのアッセイで同様にして検定したが、その場合には、基質および補因子としてそれぞれトリチウム標識コルチゾールおよびNADを使用した。アッセイを開始するために、40μLの基質(25nMのH−コルチゾン+1.25mMのNADPH、50mMのHEPESバッファ,pH7.4)を96ウェルプレートの指定ウェルに加えた。化合物をDMSOに10mMに溶解し、引き続いてDMSOで50倍に希釈した。次に希釈した材料の4倍滴定を7回行った。1μLの滴定化合物のおのおのを重複的に基質に加えた。反応を開始させるために、CHO形質転換体に由来の10μLの11β−HSD1ミクロソームを出発材料の約10%転換を生じさせる適正濃度で各ウェルに加えた。最終阻害パーセントを計算するために、アッセイ最小およびアッセイ最大を表す一連のウェル、すなわち、化合物または酵素不添加の基質を含有するセット(バックグラウンド)と化合物不添加で基質および酵素を含有するセット(最大シグナル)を追加した。試薬をプールするためにプレートを遠心管に入れ低速で短時間回転させ、接着テープで密封し、静かに混ぜて、37℃で2時間インキュベートした。インキュベーション後、抗コルチゾールモノクローナル抗体および式Iの化合物を予め懸濁させた45μLのSPAビーズを各ウェルに加えた。プレートを再度密封し、15℃で1.5時間以上緩やかに振盪した。Topcountのようなプレート主体の液体シンチレーションカウンターでデータを収集した。抗コルチゾール抗体/コルチゾールの結合阻害の対照を得るために、1つの指定ウェルには1.25nMの[3]Hコルチゾールでスパイクした基質を添加した。これらのウェルのおのおのには、酵素に代えて1μLの200μMの化合物を10μLのバッファと共に添加した。計算された阻害は、SPAビーズ上の抗体にコルチゾールが結合することを化合物が妨害した結果である。ヒト11β−HSD1酵素を使用すると、本発明の化合物は、約9nMから約100nMの範囲のIC50値を示す。対照的に、11β−HSD2に対して示された活性の範囲は約1.7マイクロモルから4マイクロモル超である。
【0146】
アッセイ:インビボ阻害の測定
概括的には、被験化合物をマウスに経口投与し、指示通りの時間間隔、通常は1から24時間を経過させた。トリチウム標識コルチゾンを静注し、次いで数分後に採血した。分離した血清からステロイドを抽出し、HPLCによって分析した。H−コルチゾンおよびその還元産物H−コルチゾールの相対レベルを化合物投与群とビヒクル投与対照群で測定した。絶対的転換および阻害のパーセンテージをこれらの値から計算した。
【0147】
より詳細には、経口投与用化合物は、化合物をビヒクル(5%ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン v/v HOまたはその等価物)に、典型的には10mg/kgで投与できる所望濃度に溶解することによって調製した。一夜絶食させたICRマウス(Charles Riverから入手)に溶液を経口ガバージュで投与した。一回の投与量は一匹あたり0.5mLとし、被験グループあたりの動物数は3匹とした。
【0148】
所望時間、普通は4または16時間の経過後、3μMのH−コルチゾンを含む0.2mLのdPBSを尾部静脈に注射した。動物を2分間ケージに入れ、次いでCO室で安楽死させた。絶命後、マウスを取り出し、心臓穿刺によって血液を採集した。適正凝固ができるように血液を血清分離管に入れて室温で30分以上維持した。インキュベーション期間後、3000×g、4℃で10分間遠心することによって血清を分離した。
【0149】
血清中のステロイドを分析するために、これらをまず有機溶媒で抽出した。0.2mL量の血清を清潔な微量遠心管に移した。これに1.0mL量の酢酸エチルを添加し、次いで1分間激しく渦流させた。微量遠心管で高速回転させると水性血清タンパク質がペレット化し、有機上清は透明になった。0.85mLの上部有機相を新しい微量遠心管に移して乾燥した。乾燥したサンプルを、HPLC分析用の高濃度のコルチゾンおよびコルチゾールを含有している0.250mLのDMSOに再懸濁させた。
【0150】
0.200mLのサンプルを、30%メタノールで平衡させたMetachem Inertsil C−18クロマトグラフィーカラムに注入した。50%メタノールまでの緩やかな直線勾配で標的ステロイドを分離した。同時に、内部標準として用いた再懸濁溶液中の低温標準を254nmでUVによってモニターした。分析用ソフトウェアにデータを転送するラジオクロマトグラフィーデテクタによってトリチウムシグナルを収集した。H−コルチゾンからH−コルチゾールへの転換パーセントを、コルチゾン+コルチゾールの合計AUCに対するコルチゾールのAUCの比として計算した。トリチウム標識コルチゾンからトリチウム標識コルチゾールへの転換阻害パーセントは約86から98%の範囲であった。
【0151】
本発明をその具体的実施態様に基づいて記載および説明したが、本発明の要旨および範囲を逸脱しない様々な変更、修正および置換が可能であることは当業者に理解されよう。従って、特許請求の範囲はこれらによって限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、Rのおのおのは、H、ハロ、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロC1−6アルコキシから成るグループから選択され;
は、水素であるか、または、C1−6アルキルおよびハロC1−6アルキルから成るグループから選択され;
はおのおの独立に、水素、ヒドロキシルおよびオキソから成るグループから選択された構成員を表し;
は、C3−6アルキルまたはC2−4アルケニルから成るグループから選択され、おのおのはCF基で置換され、また、1から4個のハロ原子ならびにOH、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルコキシ、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)、アリールおよびHARから成るグループから選択された1から2個の部分で場合によりさらに置換されており、前記アリールおよびHARは、1から3個のハロ基ならびにC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、C2−4アルケニル、ハロC2−4アルケニル、C2−4アルケニルオキシおよびハロC2−4アルケニルオキシから成るグループから選択された1から2個の基で場合により置換されており;
HARは、1から4個のヘテロ原子を含有する5員環のヘテロアリール環を表し、前記ヘテロ原子の0から1個はOまたはSであり0から4個はNである]
によって表される化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
がハロ、C1−2アルキル、ハロC1−2アルキル、C1−2アルコキシおよびハロC1−2アルコキシから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がCl、Br、CH、OCH、CF、OCF、OCFHおよびOCFHから選択される請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、トリアゾール環の付着点に対してオルト位置に存在するCl、Br、CH、OCH、CF、OCF、OCFHおよびOCFHから選択される請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、トリアゾール環の付着点に対してオルト位置に存在するCF基を表す請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が水素またはC1−6アルキルを表す請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がC1−3アルキルを表す請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、メチル、エチルまたはシクロプロピルを表す請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
のおのおのが水素を表す請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
がC3−6アルキルまたはC2−4アルケニルを表し、おのおのはCF基で置換され、また、1から4個のハロ原子ならびにOH、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、NH、NHC1−3アルキル、N(C1−3アルキル)から成るグループから選択された1から2個の部分で場合によりさらに置換されている請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
がC3−5アルキルまたはC2−4アルケニルを表し、おのおのはCF基で置換され、また、Cl、BrおよびFから選択された1つのハロ原子ならびに1つのOH基で場合によりさらに置換されている請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
HARがチアジアゾール、オキサゾールおよびチアゾールから成るグループから選択された構成員を表す請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
HARが1,2,4−オキサジアゾールまたは1,3,4−オキサジアゾールを表す請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
以下の表1および2
【表1】

【表2】

に示す請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項15】
医薬的に許容される担体に組合せた請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項16】
肥満の治療に有効な量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する段階を含む要治療哺乳類患者の肥満治療方法。
【請求項17】
2型糖尿病の治療に有効な量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する段階を含む要治療哺乳類患者の2型糖尿病治療方法。
【請求項18】
アテローム性動脈硬化症の治療に有効な量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する段階を含む要治療哺乳類患者のアテローム性動脈硬化症の治療方法。
【請求項19】
高血圧の治療に有効な量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する段階を含む要治療哺乳類患者の高血圧治療方法。
【請求項20】
該当疾患または状態の治療に有効な量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する段階を含む、要治療哺乳類患者の(1)高血糖症、(2)耐糖能低下、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質異常、(6)異常脂血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症とその続発症、(13)血管性再発狭窄症、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜障害、(18)腎障害、(19)神経障害、(20)代謝症候群、(21)高血圧、(22)アルツハイマー病、(23)緑内障、(24)緩慢なまたは不十分な創傷治癒から成るグループから選択された疾患または障害の治療方法。

【公表番号】特表2009−523727(P2009−523727A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550354(P2008−550354)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/000351
【国際公開番号】WO2007/087150
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】