説明

17−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのインヒビターとしてのチオフェンピリミジノン

本発明は、治療において有用な、特にステロイドホルモン依存性疾患または障害、好ましくは、17β−HSDタイプ1、タイプ2またはタイプ3酵素のような17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナ−ゼ(17β−HSD)酵素の抑制を必要とするステロイドホルモン依存性疾患または障害の治療および/または予防において使用するための化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナ−ゼ酵素の阻害性化合物、好ましくはタイプ1(17β−HSD1)、タイプ2(17β−HSD2)、またはタイプ3(17β−HSD3)の阻害性化合物である新規のチオフェンピリミジノン誘導体、それらの塩、これらの化合物を含有する医薬品調剤およびこれらの化合物の製造方法に関する。さらに、本発明は、上記チオフェンピリミジノン誘導体の治療用途、とりわけ17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナ−ゼ酵素、特に17β−HSDタイプ1酵素の阻害を必要とする、および/または内因性17β−エストラジオ−ルおよび/またはテストステロン濃度の調節を必要とするステロイドホルモン依存性疾患もしくはステロイドホルモン依存性障害のようなステロイドホルモン依存性疾患もしくはステロイドホルモン依存性障害の治療もしくは予防における使用に関する。
【0002】
発明の背景
本発明の背景を説明するために本明細書で使った出版物および他の資料、特に実施を考慮して更なる詳細を提供する事例は、参照をもって開示されたものとする。
【0003】
哺乳動物の17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナ−ゼ(17β−HSD)は、他の反応に加えて、男性および女性の性ホルモン生合成における最終ステップを触媒する、NAD(H)またはNADP(H)依存性の酵素である。これらの酵素は、不活性のケト−ステロイドを活性のあるものに変換する、または17β−ヒドロキシ型から17β−ケト−ステロイドへの酸化を触媒する。エストロゲンおよびアンドロゲンの両方が、17β−ヒドロキシ型の中のそれらのレセプターに対する最も高い親和性を持っているので、17β−HSD酵素は、性ステロイドホルモンの活性の組織選択規定において不可欠な役割を演ずる。
【0004】
現在のところ、17β−HSD酵素族の中でヒトに関する10種類のメンバーが、記述されている(タイプ1〜5、7、8、10、11および12)。ヒト17β−HSD酵素ファミリーのメンバーは、その基本構造において30%未満の同一性を共有する。17β−HSDは区別されたパターンで発現するが、ある場合には重複するパターンで発現する。異なったタイプの17β−HSDはまた、その基質特異性および補因子特異性も異なる。培養下での無傷細胞において、17β−HSDは、反応に一方向だけの触媒作用を起こす。つまり、タイプ1、3、5および7がNADP(H)を補因子として用いて還元反応(活性化)を触媒するのに対して、タイプ2、4、8および10はNAD(H)を補因子として用いて酸化反応(不活性化)を触媒する。(Labrie他(2000)Trends Endocrinol Metab.,11:421−7を参照。)
性ステロイドホルモンの活性の組織選択規制におけるそれらの不可欠な役割のために、17β−HSDは、エストロゲン感受性病変(例えば、乳がん、卵巣がん、子宮がんおよび子宮内膜がんなど)およびアンドロゲン感受性病変(例えば、前立腺がん、良性前立腺肥大、にきび、多毛など)の発生および発達に関係し得る。さらに、多くのタイプの17β−HSDが、特定のヒトの障害の病変に関係していることを示された。例えば、17β−HSD3は、仮性半陰陽の発達に関係していることが知られている。17β−HSD8は、多嚢胞性腎臓疾患における役割を演ずる。そして、17β−HSD4は、二元機能酵素欠損の発生と関係がある。したがって、17β−HSD酵素の特異的インヒビターの投与による性ステロイド感受性疾患の治療は、必要に応じて強力で特異的な抗エストロゲン剤および抗アンドロゲン剤と組み合わせて、示唆されてきた(Labrie F他(1997)Steroids,62:148−58)。
【0005】
各タイプの17β−HSDが、選択的な基質親和性、無傷細胞での方向性(還元または酸化)活性、および特定の組織分布を有しているという事実のために、薬物作用の選択性は、17β−HSDアイソザイムを標的化することによって、達成することができるであろう。特定の17β−HSDの個別の調整によって、異なった標的組織においてエストロゲンおよびアンドロゲンの局所濃度およびパラクリン濃度に影響を与えること、または制御することですら可能である。
【0006】
17β−HSDファミリーの最も特徴的なメンバーは、タイプ1の17β−HSDである(EC 1.1.1.62)。この酵素は、様々な機能性の状態で(例えば、リガンドおよび/または補因子の有無にかかわらず)結晶化することができるであろう。17β−HSD1は、エストロン(E1)およびエストラジオ−ル(E2)の間の酸化だけでなく、還元もインビトロで触媒する。しかしながら、この酵素は、in viboでの生理条件下ではエストロン(E1)からエストラジオ−ル(E2)への還元反応を触媒するだけである。17β−HSD1は、いろいろなホルモン依存組織(例えば、それぞれ胎盤組織、乳線組織または子宮組織および子宮内膜組織)で発現されることが判明した。エストラジオ−ル自体は、特に際立って不活性なエストロンと比較して、非常に効力があるホルモンであり、核エストロゲンレセプターに結合することにより種々の遺伝子の発現を調整し、そして標的細胞の拡散および分化において不可欠な役割を果たす。病理学上の細胞増殖だけでなく、生理学上の細胞増殖も、エストラジオ−ル依存であり得る。特に、多くの乳ガン細胞は、局所的に上昇したエストラジオ−ル濃度によって刺激される。さらに、子宮内膜症、子宮平滑筋腫(類線維腺または筋腫)、腺筋症、月経過多、不正子宮出血および月経困難症のような良性の病変の発生または経過は、際立って高いレベルのエストラジオ−ルが存在することに依存している。
【0007】
子宮内膜症は、再生産年齢の女性たちの10〜15%に影響を与える周知の婦人科障害である。それは、子宮腔外に生存可能な子宮内膜腺および間質細胞が存在することで定義される良性の疾患である。それは、最も頻繁に骨盤のエリアで見いだされる。子宮内膜症を起こしている女性たちの中で、逆行性月経(最もありそうなメカニズム)によって腹腔に入っている子宮内膜細胞は、腹膜内面に付着して、そして侵略する能力を有し、それから根づいて、成長することが可能である。移植は、子宮内の子宮内膜と類似の方法で月経周期のステロイドホルモンに反応する。浸潤性傷害および身体から出ることが不可能なこれらの傷害からの血液は、周囲の組織の炎症を起こす。子宮内膜症の最も普通の徴候は、月経困難症、性交疼痛症と(慢性の)腹痛である。これらの徴候の発生は、傷害の程度と関係がない。重度の子宮内膜症を持っている若干の女性たちには症状がなく、他方、軽度の子宮内膜症の女性たちが激しい痛みをうけることがありうる。子宮内膜症は、不妊症の女性たちの最高50%に見いだされる。
【0008】
しかしながら、現在、軽度の子宮内膜症と不妊症との間の因果関係は証明されていない。中程度から重度の子宮内膜症は、不妊症を導く卵管損傷および癒着を起こすことがある。子宮内膜症の治療の目的は、(望ましい場合は)鎮痛、子宮内膜組織の解決および受精能力の修復である。2つの一般的な治療は、外科手術または抗炎症性治療および/またはホルモン治療あるいはそれらの組み合わせである。子宮平滑筋腫(fibroidまたはmyoma)、良性のクローン腫瘍は、人間の子宮の平滑筋細胞から生ずる。それは、女性たちの最高25%に臨床的に現れ、そして子宮摘出に対する一つの、最も一般的な兆候である。それは、長期の重い月経出血、骨盤の圧迫と痛み、尿の問題、そして、まれなケ−スでは生殖機能障害を含む重大な病状を引き起こす。筋腫(myoma)の病態生理学は、よくわかっていない。筋腫は、粘膜下で(子宮内膜の下で)、壁内で(子宮筋層の中で)、そして漿膜下で(子宮の漿膜区分から突き出て)発見されるが、主としてこれらの3つの異なったタイプの入り混ざった形式である。平滑筋腫細胞のエストロゲンレセプターの存在は、Tamaya他によって研究された(Tamaya他(1985)Acta Obstet Gynecol Scand.,64:307−9)。彼らは、プロゲエステロンおよびアンドロゲンレセプターレベルと比較したエストロゲンレセプターの比率が、対応する通常の子宮筋層より平滑筋腫で高かったことを示した。外科手術は、長い間、筋腫のための主な治療であった。さらに、筋腫を治療するのに提案された医学治療としては、アンドロゲンステロイドダナゾールまたはゲストリノン、GnRHアゴニストおよびプロゲストゲンのようないろいろなステロイドの投与が挙げられる。それにより、その投与は、しばしばいろいろな重大な副作用と関連づけられた。
【0009】
子宮平滑筋腫と子宮内膜症同様の治療に関する上述のすべてが、他の良性婦人科障害、特に腺筋症、機能性月経過多および不正子宮出血に当てはまる。これらの良性婦人科障害はすべてエストロゲン過敏であり、子宮平滑筋腫と子宮内膜症との関係にて本明細書で前述されるのと類似の方法で治療される。しかしながら、利用可能な製薬治療は、同じ主要な欠点から影響を受ける。すなわち、副作用が扱われる徴候より重大になった途端に、それらは中止されなければならず、治療の中断の後に徴候が再び現われる。
【0010】
前述の悪性および良性の病変は、すべて17β−エストラジオ−ル依存であるので、各組織での内因性17β−エストラジオ−ル濃度の減少が、当該組織での17β−エストラジオ−ル細胞の増殖を損ない、または減少させるであろう。そのために、選択的な17β−HSD1酵素のインヒビターが、筋腫、子宮内膜、腺筋腫(adenomyotic)および子宮内膜組織おいて、エストロゲン、特に17β−エストラジオ−ルの内因性産生を阻害するためのそれらの使用に十分であると結論することができる。優先的に還元反応を触媒する17β−HSD1に関する選択的なインヒビターとしての役割を果たす化合物の適用は、細胞内エストラジオール濃度の減少をもたらす。なぜなら、活性なエストラジオールへのエストロンの還元変換が減少し、または抑圧されるからである。したがって、可逆の、さらに不可逆の17β−HSD1インヒビターは、ステロイドホルモン、特に17β−エストラジオール依存性障害または17β−エストラジオール依存性疾患の予防および/または治療において重要な役割を果たし得る。さらに、可逆的さらに不可逆的な17β−HSD1のインヒビターは、エストラジオールレセプター、特に、エストロゲンレセプターαサブタイプへのアンタゴニスト結合活性を持たないか、または純粋なアンタゴニスト結合活性のみを持つ。なぜなら、エストロゲンレセプターのアンタゴニスト結合が活性を導き、そのため、いろいろな遺伝子の調整によって、標的細胞の増殖および分化を導くからである。それと対照的に、エストロゲンレセプターのアンタゴニスト、いわゆる抗エストロゲンは、特定のレセプタータンパク質に競合的に結合して、その特定の結合部位に内因性エストロゲンの接近を妨げている。現在のところ、乳がん、前立腺がん腫、卵巣がん、子宮がん、子宮内膜がんおよび子宮内膜肥厚のようないくつかの悪性疾患は、選択的な17β−HSD1インヒビターの投与によって治療ができることは文献に記述されている。さらに、選択的な17β−HSD1インヒビターは、前述のホルモン依存性がん、特に乳がんの予防に役立ち得る。
【0011】
ステロイド、さらに非ステロイド起源の17β−HSD1酵素のいくつかの可逆または不可逆的なインヒビターは、文献からすでに知られている。主に基質または補因子様核構造を持っているこれらの抑制性分子の特徴は、文献で報告されている(Poirier D.(2003) Curr Med Chem.10:453−77で概説される)。
【0012】
17β−HSDファミリーのかなり特徴のあるさらなるメンバーは、17β−HSDタイプ3酵素(17β−HSD3)である。17β−HSD3は、他の17HSDと比較して別の特徴を持っている。それは、ほとんど睾丸でのみ発現されるが、他のイソ酵素は、いくつかの組織でより広く発現される。17β−HSD3は、アンドロゲン生合成における重大な役割を持っている。それは、4−アンドロステン−3,17−オン(A)をテストステロン(T)に換える。17β−HSD3の生物学的意義は、否定し難い生理学的重要性を持っている。17β−HSD3に対する遺伝子の突然変異は、胎児の睾丸でのT形成を減少させ、したがって男性仮性半陰陽と呼ばれるヒト間性障害に導くことが判明している(Geissler WM他(1994)NAt Genet.,7:34−9)。
【0013】
示された前立腺がんに関して、初期のがん細胞は、一定の期間のそれらの増殖、分化、およびプログラムされた細胞死の調整において、アンドロゲンへの反応を多くは維持する。現在のところ、アンドロゲン抑制は、前立腺癌のために利用可能で唯一効果的な全身ホルモン療法である。17β−HSD3に対しての選択的なインヒビターの開発は、アンドロゲン依存性疾患の治療に対する新しい治療のアプローチである(Labrie他(2000)Trends Endocrinol Metab.,11:421−7)。さらに、Oefelein他は、ほとんど20%のケースで、デポGnRHアナログが男性におけるTを去勢レベルに達せさせると報告している(Oefelein MG & Cornum R(2000)J Urol.;164:726−9)。前立腺がんを患う男性のための内分泌治療への応答速度を改善するために、選択的に睾丸の17β−HSD3活性を抑制することは重要であり得る。前立腺がん、多くの他のアンドロゲン過敏性疾患以外の、すなわち、その発病または進行がアンドロゲン活性によって助長される疾患を、選択的に17−HSD3の活性を抑制することにより、治療することができる。これらの疾患としては、良性前立腺肥大、前立腺炎、にきび、脂漏症、多毛症、アンドロゲン性脱毛症、性早熟症、副腎皮質過形成および多嚢胞性卵巣症候群が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、17β−HSD3が睾丸に主に見いだされるという事実を考えると、有効なインヒビターの開発は、男性用避妊薬として精子形成をブロックするために重要であろう。
【0014】
ステロイド性の、さらに非ステロイド性起源の17β−HSD3酵素のいくつかの可逆もしくは不可逆インヒビターは、文献より既に知られている。これらのインヒビター分子の特徴は、文献で報告されている(Poirier D.(2003)Curr Med Chem.10:453−77参照)。例えば、米国特許6,541,463号は、17β−HSD3に対するアンドロステロン誘導インヒビターを開示する。これらの誘導体は、並行した固相化学および液相化学によって合成し、そしてこれらの化合物のいくつかが、酵素(A−ジオン)の自然の基質をそれ自身インヒビターとして用いた場合より2〜18倍高い抑制活性を示した。さらに、国際特許出願WO 01/42181は、17β−HSD3インヒビターとして、その化学構造がフィトエストロゲンビオカニンの構造と関係があるベンジルテトラリンを開示する。さらに、国際特許出願WO 98/32724、WO 98/30556およびWO 99/12540は、ホルモン感受性疾患の治療のために、17β−HSD3抑制活性を持っているテトラロン、ベンゾピランおよびベンゾフラノン誘導体を開示している。
【0015】
ヒト子宮内膜および胎盤のミクロソーム17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナ−ゼ(17β−HSDタイプ2または17β−HSD2とする)は、発現クローニングによりクローンされ、そしてアンドロゲンおよびエストロゲンを酸化のための基質として使って等しく活性があることが見出された(Andersson S.(1995)J.Steroid Biochem.Molec.Biol.,55:533−534)。組み換え17β−HSD2は、エストラジオ−ル(E2)、テストステロン(T)、そしてジヒドロテストステロン(DHT)のような高い活性の17β−ヒドロキシステロイドをそれらの不活性なケト型に変換する。さらに、17β−HSD2は、より低い程度で、20β−ヒドロキシプロゲステロン(20βP)をプロゲステロン(P)に変換することができる。17β−HSD2の主な酸化活性を共に有する広範囲の組織分布は、酵素が、高い活性の17β−ヒドロキシステロイドの不活性化において不可欠な役割を果たし、標的組織での性ホルモンの活性の衰退をもたらし得ることを示唆する。Dongおよび彼の同僚は、SAOS−2ではなく、培養されたヒト骨芽細胞および骨芽細胞様骨肉腫細胞MG63およびTE85において顕著な17β−HSD2活性を示した(Dong Y他(1998)J.Bone Min.Res.,13:1539−1546)。従って、骨細胞によるE1からE2、TからA、およびDHTからAへの相互転換の可能性は、骨芽細胞と他のステロイド敏感細胞におけるエストロゲンレセプターおよびアンドロゲンレセプターへの細胞内リガンド供給の局所的な規制のための重要な機構を表すことができた。ステロイドレベルのこの調整は、以下を含めて、多種多様な適応のために使用することができる:骨粗鬆症の予防と治療、卵巣がんの治療、乳がんの治療、子宮内膜がんの治療、子宮内膜症の治療、前立腺がんの治療および/またはアンドロゲン依存性脱毛症の治療。
【0016】
ステロイド、さらに非ステロイド起源の17β−HSD2酵素のいくつかの可逆インヒビターまたは不可逆インヒビターが、文献からすでに知られている。これらの抑制性分子の特徴は文献で報告された(Poirier D.(2003)Curr Med Chem.10:453−77)。さらに、国際特許出願WO 02/26706は非ステロイド起源の17β−HSD2インヒビターを開示する。
【0017】
治療で有用であると記述される若干のチエノピリミジノン誘導体がすでに文献で明らかにされている。ドイツ国特許出願DE2411273(シェーリングAG)は、抗炎症活性を有している化合物を開示する。Manhas他は、いくつかの置換チエノピリミジノンの合成および抗炎症性活性を記述する(Manhas MS他(1972)J Med Chem.15(1):106−7)。Kapustina他は、若干数の置換チエノピリミドンの合成および抗菌活性、化学療法活性または抗腫瘍性活性を記述する(Kapustina MV他(1992)Khimiko−Farmatsevticheskii Zhurnal26(1):56−7、およびKapustina MV他(1991)Khimiko−Farmatsevticheskii Zhurnal25(7):38−9)。
【0018】
さらに、いくつかの他のチエノピリミジノン誘導体が記述されたが、しかしこれまでのところ医療での使用に関連づけられなかった。例えば、1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)−[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド(CAS reg.no.333774−42−8)および1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(クロロ)−[1]ベンゾチエノ−[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド(CAS reg.no299962−60−0)は、市販されている。さらに、置換チエノピリミドンがすでに開示されている、例えば、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−4−ヒドロキシ−[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−13(7H)−オン(CA登録番号333774−26−8)、
2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−4,13(1H,7H)−ジオン(CA登録番号141581−80−8)、
2,3,8,9−テトラヒドロ[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピロロ[1,2−a]ピリミジン−6,10(1H,7H)−ジオン(CA登録番号141581−81−9)、
8,9,10,11−テトラヒドロ−4−ヒドロキシ−[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−13(7H)−オン(CA登録番号333780−19−1)、
3−ブチル−2,7−ジメチル−4b,5,6,7,8,8A−ヘキサヒドロ−3H−ベンゾ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−オン(CA登録番号39625−80−4)、
1,2,3,4,5,8,9,10,11,12−デカヒドロ−14H−シクロヘプタ[4',5']チエノ[2',3':4,5]ピリミド−[1,2−a]アゼピン−14−オン−4−オキシム(CA登録番号299962−59−7)、
1,2,3,4,5,8,9,10,11,12−デカヒドロ−14H−シクロヘプタ[4',5']チエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−14−オン−3−オキシム(CA登録番号296798−31−7)、
1,2,3,4,7,9,10,12−オクタヒドロ−12−オキソ−8H−[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリド[1,2−a]ピリミジン−7−カルボン酸エチルエステル(CA reg no.329059−69−0)、
1,2,3,4−テトラヒドロ−12H−[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリド[1,2−a]ピリミジン−12−オン(CA登録番号60943−07−9)、および
3−メチル−2,3,4,7,8,9,10,11−オクタヒドロ−[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド−[1,2−a]アゼピン−13(1H)−オン(CA登録番号677320−14−8)。
【0019】
しかしながら、本発明者の知見によれば、上述した既に周知の化合物のいずれもが、ステロイドホルモン依存性疾患あるいは障害、特に17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β−HSD)タイプ1、タイプ2あるいはタイプ3酵素の抑制を必要としているステロイドホルモン依存性疾患あるいは障害の治療および/または予防に有効でないことが記述されている。
【0020】
選択的に17β−HSD1、17β−HSD2および/または17β−HSD3酵素を抑制するが、望ましくは17β−HSDタンパク質ファミリーの他のメンバー、あるいは他の性ステロイドの衰退または活性化の触媒を実質的に抑制しない化合物を開発する必要がある。特に、17β−HSD1酵素の選択的なインヒビターを開発することは本発明の目的である。さらに本化合物は、エストロゲンレセプター(両方のサブタイプαおよびβ)への親和性を持たないか、または純粋なアンタゴニスト結合親和性だけを持っている。
【0021】
発明の要旨
したがって、本発明の目的は、貴重な薬理特性を有し、そしてエストロゲン依存性疾患および障害の治療に適している17β−HSD1および17β−HSD2酵素の新規インヒビターを開発することである。さらなる本発明の目的は、貴重な薬理特性を有し、アンドロゲン依存性疾患および障害の治療に適した17β−HSD3酵素の新規インヒビターを開発することである。
【0022】
本発明のチオフェンピリミジノン誘導体は、治療において、特に、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナ−ゼ(HSD)酵素の抑制を必要としているステロイドホルモン依存性疾患または障害の治療または予防において価値あるものであるということが、現時点で見い出された。特に、式(I)の化合物は、17β−HSD1、17β−HSD3および/または17β−HSD2酵素の有効なインヒビターを表しており、そして乳がん、前立腺がん腫、卵巣がん、子宮がん、子宮内膜がんおよび子宮内膜肥厚のような悪性腫瘍ステロイド依存性疾患または障害の治療および/または予防だけでなく、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮平滑筋腫、腺筋症、月経困難症、月経過多、不正子宮出血、プロスタジニア(prostadynia)、良性前立腺肥大、前立腺炎、にきび、脂漏症、男性型多毛症、アンドロゲン性脱毛症、性早熟症、腎臓肥大、多嚢胞卵巣症候群、または尿機能不全のような良性のステロイド依存性疾患または障害の治療および/または予防のための貴重な薬理学の特性をも所有する。有効量の本発明の化合物で治療および/または予防可能なさらなるエストロゲン依存性疾患は、多発性硬化症、 リウマトイド関節炎、アルツハイマ−病、結腸がん、組織損傷、皮膚の皺および白内障である。さらに、式(I)の化合物は、骨粗鬆症の予防および治療のために、そして精子形成を阻害するために、および男性用避妊薬として有用であり得る。
【0023】
したがって、本発明は、ステロイドホルモン依存性疾患または障害、好ましくは17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β−HSD)の抑制を必要としている、最も好ましくは17β−HSDタイプ1、17β−HSDタイプ2または17β−HSDタイプ3酵素の抑制を必要としているステロイドホルモン依存性疾患または障害の治療および/または予防のための薬剤の製造のための、式(I)
【0024】
【化1】

[式中、
R1およびR2は、同じまたは異なったアルキルを表し、または1つはアルキル、そして他はHであるか、あるいは
R1およびR2は、その結合部位と共に、飽和もしくは環原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、該環は、必要に応じて、R1に結合している窒素原子に加えて、2つまでのヘテロ原子を含み、N原子の数は0から2であり、O原子またはS原子の数は各0〜1であり、そして該環が、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される3つまでの置換基で置換され、
R3およびR4は、その結合部位と共に、飽和もしくは炭素原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、そして該環が、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される3つまでの置換基で置換される]で示される化合物であるが、但し、該化合物は、1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)−[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒドではない化合物の使用に関する。
【0025】
もう1つの態様によれば、本発明は、治療に使用するための、式(II)
【0026】
【化2】

[式中、
R1およびR2は、同じまたは異なったC〜Cアルキルを表し、または1つはC〜Cアルキルそして他はHであるか、あるいはR1およびR2は、その結合部位と共に、飽和もしくは環原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、該環は、必要に応じて、R1に結合している窒素原子に加えて、2つまでのN原子を含み、該環は、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される2つまでの置換基で置換され、
チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖−C(R5)−C(R6)−(CH)−は、飽和または炭素原子の間に1つ以上の二重結合を含んでおり、
nは1から4までの整数であり、そして
R5およびR6は、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択されるが、ただし、
nが1、2または3を表し、そしてR1およびR2が、水素もしくはC−Cアルキルから独立して選択されるか、または3〜5個のメチレン基の非置換アルキレン基、またはアルキレン基の中に2〜4個のメチレン基を有するイミノアルキレン基を一緒に形成し、必要に応じてN原子において置換される場合、少なくとも(iii)R5もしくはR6は、水素、C−Cアルキルもしくはアルキルカルボキシルとは異ならなければならず、または(iv)チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖―C(R5)−C(R6)−(CH)−は、不飽和もしくは芳香族でなければならず、
nが2を表し、R1−R2が3〜5個のメチレン基の非置換アルキレン基を形成し、そしてR5がヒドロキシル基もしくはオキソ基を表す場合、R6は、ブロモ、ジブロモもしくはフェニルチオとは異ならなければならならず、あるいは、
nが2を表し、R1−R2が非置換ペンタメチレン基を形成し、そしてR6がカルボニルを表す場合、R5はフェニルチオとは異ならなければならない]で示される化合物に関する。
【0027】
第3の態様によれば、本発明は、式(II)
【0028】
【化3】

[式中、
R1およびR2は、同じまたは異なったC〜Cアルキルを表し、または1つはC〜Cアルキルそして他はHであるか、あるいはR1およびR2は、その結合部位と共に、飽和もしくは環原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、
該環は、必要に応じて、R1に結合している窒素原子に加えて、2つまでのN原子を含み、
該環は、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される3つまでの置換基で置換され、
チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖−C(R5)−C(R6)−(CH)−は、飽和または炭素原子の間に1つ以上の二重結合を含んでおり、
nは1から4までの整数であり、そして
R5およびR6は、水素、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択されるが、ただし
nが1、2または3を表し、そしてR1およびR2が、水素もしくはC−Cアルキルから独立して選択されるか、または3〜5個のメチレン基の非置換アルキレン基、またはアルキレン基の中に2〜4個のメチレン基を有するイミノアルキレン基を一緒に形成し、必要に応じてN原子において置換される場合、(iii)少なくともR5もしくはR6は、水素、C−Cアルキル、アルキルカルボキシルもしくは=N−OHとは異ならなければならず、または(iv)チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖―C(R5)−C(R6)−(CH)−は、不飽和もしくは芳香族でなければならず、
nが2を表し、R1−R2が3〜5個のメチレン基の非置換アルキレン基を形成し、そしてR5がヒドロキシル基もしくはオキソ基を表す場合、R6は、水素、ブロモ、ジブロモもしくはフェニルチオとは異ならなければならならず、
nが2を表し、R1−R2が非置換ペンタメチレン基を形成し、そしてR6がカルボニルを表す場合、R5はフェニルチオもしくはクロロとは異ならなければならず、
nが2を表し、チオフェン環に隣接する環系の炭化水素鎖−C(R5)−C(R6)−(CH)−が飽和であり、そしてR1−R2がそれらの結合部位と共に非置換ピリジン環を形成する場合、R5もしくはR6の少なくとも1つは、水素とは異ならなければならず、または、
−C(R5)−C(R6)−(CH)−が非置換テトラメチレン基を表す場合、R1−R2は、カルボキシルエチルエステル基で置換されるテトラメチレン基とは異ならなければならない]で示される新規化合物に関する。
【0029】
第4の態様によれば、本発明は、本明細書中で定義され、治療での使用が以前に開示されなかった式(II)化合物を活性剤として含み、ならびに少なくとも薬学上受容できる担体を含む薬剤組成物に関する。
【0030】
第5の態様によれば、本発明は、ステロイドホルモン依存性疾患あるいは障害の治療または予防のために、本明細書中で定義される式(I)の化合物、より好ましくは式(II)の化合物の使用に関する。ステロイドホルモン依存性疾患あるいは障害は、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナ−ゼ酵素、好ましくは17β―HSDタイプ1、17β−HSDタイプ2または17β−HSDタイプ3の抑制を必要とする疾患または障害であることが好ましい。
【0031】
第6の態様によれば、本発明は、式(I)の新規化合物の調製のための方法に関する。ここで、
a)式2
【0032】
【化4】

の化合物またはその環置換類似物もしくは環修飾類似物を、好ましくは、PCCおよびセライトに晒すことにより酸化し、式3
【0033】
【化5】

で表されるオキソ置換化合物またはその類似物を得て、
b)工程a)で得られたオキソ置換化合物を、さらに必要に応じて、Vils−meier反応に供し、好ましくはPOCl−DMFにより、式4
【0034】
【化6】

で表されるカルボニル置換化合物またはその類似物を得て、
i)工程b)で得られたカルボニル置換化合物中のクロロ置換基を、さらに必要に応じて、塩基の存在下で適切なチオールに供することによりアルキルチオまたはアリールチオで置換し、式5
【0035】
【化7】

で表されるアリールチオ置換化合物またはアルキルチオ置換化合物またはそれらの類似物を得て、
j)工程c)で得られたアリールチオ置換化合物またはアルキルチオ置換化合物を、さらに必要に応じて、
i)式6
【0036】
【化8】

で表される化合物に還元し、
ii)NHOHと反応させて、式7
【0037】
【化9】

で表される化合物を得るか、
あるいは、
k)工程b)で得られた化合物を、さらに必要に応じて、
i)還元して、カルボニル基をヒドロキシアルキル基に置換し、または
ii)塩基およびアセトンの存在下で適切なチオールに供することにより、クロロ置換基をチオール基で置き換え、そしてカルボニル基をオキソ置換アルケニルに置き換え、
あるいは、
l)工程a)で得られた化合物を、さらに必要に応じて、DMFアセタールに供し、オキソ置換基に隣接する環の中にジメチルアミノメチレン置換基を導入する。
【0038】
本発明の詳細な記述
定義
次の用語は、本発明での有用な化学組成物の種々の構成要素を記述するために使われる。 用語は次のように定義される。
【0039】
本明細書中で使われる用語「含む(comprising)」および「含む(including)」は、本明細書中でそれらの広い限定しない意味で使われる。
【0040】
用語「化合物」は、本明細書中で、任意および全ての異性体(例えば、鏡像体、立体異性体、ジアステレオマー、ロトマー(rotomer)および互変異性体)、ラセミ化合物もしくは異性体の混合物、プロドラッグ、および当該化合物の任意の薬学上受容できる塩をカバーすると理解されるべきである。
【0041】
複数形が化合物、塩などに対して使われる場合、これは、単数の化合物、塩などもまた意味するものとみなされる。
【0042】
用語「置換される」は、特定の官能基または部分が1つ以上の置換基を有することを意味する。任意の官能基が多数の置換基を有することができ、そして種々の可能性のある置換基が与えられている場合、置換基は独立して選択されて、そして同一でなくてもよい。用語「置換されない」は、特定の官能基が置換基を持たないことを意味する。用語「必要に応じて置換される」は、特定の官能基が置換されないか、または1つ以上の置換基によって置換されることを意味する。
【0043】
任意の不斉炭素原子は、(R)−、(S)−、または(R、S)−配置で、好ましくは(R)−または(S)−配置で存在することができ、どちらにしても最も活性がある。二重結合または環における置換基は、シス型(=Z−)またはトランス型(=E−)で存在することができる。
【0044】
本発明の化合物は、種々の置換基の性質によって、分子上に不斉中心を含むことができる。ある例では、非対称は、特定の化合物の2つの芳香環に隣接している中央の結合についての限定された回転によっても存在することができる。上に記述されるように、不斉中心の性質または束縛回転によってかのいずれにしても、(鏡像体とジアステレオマーを含めて)全ての異性体、分離した場合の純粋な異性体または部分的に精製された異性体またはそのラセミ混合物が本発明の領域の中に含まれることが意図される。
【0045】
用語「ハロゲン」は、フッ素(F、フルオロ−)、臭素(Br、ブロモ−)、塩素(Cl、クロロ)およびヨウ素(I、ヨード−)原子を意味する。Br、ClおよびFが本発明の状況では好ましい。
【0046】
用語「ジハロゲン」、「トリハロゲン」および「パーハロゲン」は、各々が個々にフッ素、臭素、塩素とヨード原子から成り立っている基から選択される、それぞれ2、3および4つの置換基をいう。
【0047】
用語「ヒドロキシル」は、−OH基をいう。
【0048】
用語「オキソ」は、=O基をいう。
【0049】
用語「チオ」は、=S基をいう。
【0050】
用語「チオール」は、−SH基をいう。
【0051】
用語「スルホニル」は、−S(O)1−2−基をいう。
【0052】
本発明の目的のため、種々の炭化水素含有部分の炭素成分は、炭素原子の最小数および最大数を指定する接頭辞により示される。すなわち、接頭辞C−Cは、整数「i」から整数「j」までを含めた存在する炭素原子の数を定義する。そのため、C−Cアルキルは、1〜4個の炭素原子を含んだアルキル、つまりメチル、エチル、プロピル、ブチルおよびその異性体をいう。
【0053】
用語「アルキル」は、直鎖、環状または分岐の、単一または複数の分枝を有する炭化水素ラジカルを表す。ここで、アルキル基は、1〜12個の炭素原子を含む。1つの実施態様では、用語「アルキル」は、(C−C)で例示される直鎖または分岐の(単一または複数の分枝を有する)1〜8個の炭素原子のアルキル鎖を表し、より好ましくは(C−C)で例示される1〜4個の炭素原子のアルキル鎖を表す。さらに、(C−C)アルキルは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ノルマルブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、2−もしくは3−メチルペンチル、n−ヘキシル、シソヘキシルなどの官能基により例示される。用語「アルキル」は、例えば、メチレニル、エテニル、エチレニル、プロペニル(アリル)、メチル−プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ペンチニル、ヘキセニル、オクタジエニルなどのような基を形成して部分的に不飽和であることができる。さらに、用語「アルキル」は、シクロアルキル基、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロプロピルなどを指すシクロ(C−C)アルキル、および2−もしくは3−メチルシクロブチルまたは2−もしくは3−メチルシクロペンチルなどのその異性体を含む。シクロアルキル基はまた、例えば、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロオクタジエニルなどのような基を形成して部分的に不飽和であることができる。さらに、用語「アルキル」は、4〜12個の炭素原子を含むシクロアルキル−アルキル基、好ましくは、例えばシクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルエチルまたはシクロヘキセニルエチルのような基を形成する、上述のシクロ(C−C)アルキル基で置換される上述の1〜4個の炭素原子のアルキル基を指す「シクロ(C−C)アルキル−(C−C)アルキル」を包含する。
【0054】
用語「置換アルキル」は、まさに上述のアルキル、ならびに本明細書中で定義されたハロゲン、ヒドロキシル、チオール、ニトロ、ニトリル、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アミノ、イミノ、オキシム、アミド、アシルアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アシル、カルボキシル、スルファモイル、スルホンアミド、アルキルスルホニルから成り立っている群から独立して選択される最高5つまでの、より好ましくは3つまでの、最も好ましくは1つか2つの置換基で置換されたアルキルを意味する。これらの基は、アルキル部分の任意の炭素原子に結合することができる。置換アルキルは、ヒドロキシル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、アリールチオ、好ましくはフェニルチオ、アルキルアシル基−CO−R”、カルボキシル基−(C=O)−OR”、アルキルアミノ−NR”、アルキルイミノ基=N−R”、またはアルキルオキシム基 =N−O−Rで好ましくは置換され、ここで、R”は水素またはC−Cアルキルを表す。好ましくは、置換アルキルは、置換C−C−アルキル、好ましくはメチル、置換メチレンおよび置換C−C−アルケニルを意味する。
【0055】
用語「アルコキシ」は、Rが本明細書中で定義されるアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキルである場合の−ORを示し、ここで、アルキル鎖は、必要に応じて、本明細書中で定義されるようにさらに置換することができる。好ましくは、用語「アルコキシ」は、上述で定義された(C−C)アルキルと共に−O−(C−C)アルキル(すなわち(C−C)アルコキシ)、または−O−(C−C)アルキル−フェニル、好ましくはベンゾキシまたはフェネチロキシを意味し、必要に応じて、独立して選択される5つまでの置換基、特にヒドロキシル、ハロゲン、(C−C)−アルキル、または(C−C)−アルコキシでアリール基において置換される。置換基の数は、ハロゲンに対して5つまで、他の上記置換基の任意の組み合わせに対して3つまでである。
【0056】
用語「アリールオキシ」は、Arが本明細書中で定義されるアリール、置換アリール、置換アリールアルキルである場合の−OArを意味する。好ましくは、Arは本明細書中で定義されるアリールであり、必要に応じて、独立して選択される5つまでの置換基、特にヒドロキシル、ハロゲン、(C−C)−アルキル、または(C−C)−アルコキシでアリール基において置換される。置換基の数は、ハロゲンに対して5つまで、他の上記置換基の任意の組み合わせに対して3つまでである。好ましくは、アリールオキシは、必要に応じて、本明細書中で定義されるように置換されるフェノキシをいう。
【0057】
用語「アシルオキシ」は、Rが本明細書中で定義されるアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールまたは置換アリールである場合の−O−CO−Rをいい、ここで、アルキル鎖は必要に応じて、本明細書中で定義されるようにさらに置換することができる。
【0058】
用語「アルキルアシルオキシ」は、用語「アシルオキシ」の好ましい選択を表し、そして−O−CO−C−C12−アルキル基、好ましくは−O−CO−C−C−アルキル、そして最も好ましくは−O−CO−C−C−アルキルを意味する。
【0059】
用語「アリールアシルオキシ」は、用語「アシルオキシ」の好ましい選択を表し、−O−CO−Ar基を意味する。ここで、Arは、本明細書中で定義されるアリール、好ましくはフェニルを表し、必要に応じて、独立して選択される5つまでの置換基、特にヒドロキシル、ハロゲン、(C−C)−アルキル、または(C−C)−アルコキシでアリール基において置換される。置換基の数は、ハロゲンに対して5つまで、他の上記置換基の任意の組み合わせに対して3つまでである。
【0060】
用語「アシル」は、−(C=O)−R基を意味し、ここで、Rは本明細書中で定義される水素、アルキル、アリールまたはアリール−(C−C)−アルキル(共に、必要に応じて、本明細書中で定義される独立して選択される置換基でアリール基において置換される)であり得る。好ましくは、用語「アシル」は、R‘が水素、(C−C)アルキル、フェニル、またはフェニル−(C−C)アルキル、好ましくはベンジルを表す場合の−(C=O)−R’基を意味する。
【0061】
用語「カルボニル」は、用語「アシル」の好ましい選択を表し、そして−CHO基を意味する。
【0062】
用語「アルキルアシル」は、用語「アシル」の好ましい選択を表し、そして官能基−(C=O)−アルキル、好ましくは−(C=O)−(C−C)−アルキルを意味する。
【0063】
用語「アリールアシル」は、用語「アシル」の好ましい選択を表し、−CO−Arを意味する。ここで、Arは、本明細書中で定義されるアリール、好ましくはフェニルを表し、必要に応じて、アリールにおいて本明細書中で定義されるように置換される。
【0064】
用語「カルボキシル」は、Rが本明細書中で定義される水素、アルキル、アリールまたはアリール−(C−C)−アルキル(共に、必要に応じて、本明細書中で定義される独立して選択される置換基でアリール基において置換される)である場合の−(C=O)−OR基を意味する。好ましくは、用語「カルボキシル」は、R’が水素、(C−C)アルキル、フェニル、または(C−C)アルキル−フェニル、好ましくはベンジルを表す場合の−(C=O)−OR’基を意味する。ここで、フェニル部分は、ヒドロキシル、ハロゲン、(C−C)−アルコキシ、および(C−C)−アルキルからなる群から独立して選択される置換基で必要に応じて置換することができる。置換基の数は、ハロゲンに対して5つまで、他の上記置換基の任意の組み合わせに対して3つまでである。
【0065】
用語「アルコキシカルボニル」は、用語「カルボキシル」の好ましい選択を表し、そしてRが水素またはC−Cアルキルである場合の−(C=O)OR基をいう。
【0066】
用語「チオ−カルボキシル」は、Rが本明細書中で定義される水素、アルキル、置換アルキル、アリールまたはアリール−(C−C)−アルキル(共に、必要に応じて、本明細書中で定義される独立して選択される置換基でアリール基において置換される)であり得る場合の−(C=O)−SR基を意味する。好ましくは、用語「チオ−カルボキシル」は、R’が水素、(C−C)アルキル、フェニル、または(C−C)アルキル−フェニル、好ましくはベンジルを表す場合の−(C=O)−SR’基を意味する。ここで、フェニル部分は、ヒドロキシル、ハロゲン、(C−C)−アルコキシ、および(C−C)−アルキルからなる群から独立して選択される置換基で必要に応じて置換することができる。置換基の数は、ハロゲンに対して5つまで、他の上記置換基の任意の組み合わせに対して3つまでである。
【0067】
用語「アルキルチオ」(「アルキルスルファニル」)および「アルキルスルホニル」は、それぞれ−SR基および−S(O)n=1−2−R基を示す。ここで、Rは、本明細書中で定義されるアルキル、置換アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキルであり得る。好ましくは、用語「アルキルチオ」(「アルキルスルファニル」)は、−SR’を意味し、そして用語「アルキルスルホニル」は、−S(O)n=1−2−R’を意味する。ここで、R’は、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルキル−フェニル、好ましくはベンジルを表し、アルキル鎖において本明細書中で定義される3つまでの置換基、好ましくは水素、C−C−アルキルまたはハロゲンで必要に応じて置換される。
【0068】
用語「アリールチオ」(「アリールスルファニル」)および「アリールスルホニル」は、それぞれ−S−Ar基および−S(O)n=1−2−Ar基を示す。ここで、Arは、本明細書中で定義されるアリール、置換アリールであり得る。好ましくは、Arは、アリール基において本明細書中で定義される独立して選択される置換基、特に水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたはC−C−アルコキシで必要に応じて置換されるアリール基を表す。その置換基の数は、ハロゲンに対して5つまで、他の上記置換基の任意の組み合わせに対して3つまでである。好ましくは、アリールチオは、必要に応じて上記で定義されるように置換されるフェニルスルファニルを意味する。
【0069】
用語「アミノ」は−NRR’基を意味し、ここで、RおよびR’は、独立して、本明細書中で定義される水素、アルキル(アルキル鎖において、独立して選択される最高5つまでの本明細書中で定義される置換基、特にヒドロキシル、ハロゲンまたは(C−C)−アルコキシで必要に応じて置換される)、アリールまたはアリール−(C−C)−アルキル(共に、必要に応じて、本明細書中で定義される独立して選択される5つまでの置換基、特にヒドロキシル、ハロゲン、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシでアリール基において置換される。その置換基の数は、ハロゲンに対して5つまで、他の上記置換基の任意の組み合わせに対して3つまでである。)であり得る。
【0070】
用語「アルキルアミノ」は、用語「アミノ」の好ましい選択を表して、そしてRおよびR’が独立して水素または(C−C)−アルキル基であり得る場合の−NRR’基を意味する。
【0071】
用語「イミノ」は、=NR基を意味し、ここで、Rは、独立して、本明細書中で定義される水素、アルキル(アルキル鎖において、独立して選択される最高5つまでの本明細書中で定義される置換基、特にヒドロキシル、ハロゲンまたは(C−C)−アルコキシで必要に応じて置換される)、アリールまたはアリール−(C−C)−アルキル(共に、必要に応じて、本明細書中で定義される独立して選択される5つまでの置換基、特にヒドロキシル、ハロゲン、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシでアリール基において置換される。その置換基の数は、ハロゲンに対して5つまで、他の上記置換基の任意の組み合わせに対して3つまでである。)であり得る。
【0072】
用語「アルキルイミノ」は、用語「イミノ」の好ましい選択を表して、そしてRが独立して水素または(C−C)−アルキル基であり得る場合の=NR基を意味する。
【0073】
用語「オキシム」は=N−OR基を意味し、ここで、Rは、独立して、本明細書中で定義される水素、アルキル(アルキル鎖において、独立して選択される最高5つまでの本明細書中で定義される置換基、特にヒドロキシル、ハロゲンまたは(C−C)−アルコキシで必要に応じて置換される)、アリールまたはアリール−(C−C)−アルキル(共に、必要に応じて、本明細書中で定義される独立して選択される5つまでの置換基、特にヒドロキシル、ハロゲン、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシでアリール基において置換される。その置換基の数は、ハロゲンに対して5つまで、他の上記置換基の任意の組み合わせに対して3つまでである。)であり得る。
【0074】
用語「アルキル−オキシム」は用語「オキシム」の好ましい選択を表して、そしてRが独立して水素または(C−C)−アルキル基であり得る場合の=N−O−R基を意味する。
【0075】
用語「アミド」は−(C=O)−NRR’を意味し、ここで、RおよびR’は、独立して、本明細書中で定義される水素、アルキル(アルキル鎖において、独立して選択される最高5つまでの本明細書中で定義される置換基、特にヒドロキシル、ハロゲンまたは(C−C)−アルコキシで必要に応じて置換される)、アリールまたはアリール−(C−C)−アルキル(共に、必要に応じて、本明細書中で定義される独立して選択される5つまでの置換基、特にヒドロキシル、ハロゲン、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシでアリール基において置換される。その置換基の数は、ハロゲンに対して5つまで、他の上記置換基の任意の組み合わせに対して3つまでである。)であり得る。
用語「アルキルアミド」は、用語「アミド」の好ましい選択を表して、そしてRおよびR’が独立して水素または(C−C)−アルキル基であり得る場合の−(C=O)−NRR’を意味する。
【0076】
用語「アリール」は6〜14個の、いっそう好ましくは6〜10個の炭素原子を含み、少なくとも1つの芳香環、または少なくとも1つの環が芳香族である多数の縮合環を有する芳香族炭素環式基を意味する。好ましくは、アリールは、フェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、フルオレニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル、さらにビフェニルである。
【0077】
アリール基は、本明細書中で定義されるハロゲン、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、オキソ、チオール、カルボキシル、アリールオキシまたはアリールアルキルオキシ(共に、必要に応じて、本明細書中で定義される独立して選択される置換基で、アリール部分において置換される。)、(C−C)−アルキルチオ、アリールチオまたはアリールアルキルチオ(共に、必要に応じて、本明細書中で定義される独立して選択される置換基で、アリール部分において置換される。)、アミノ、アミド、アシルおよびアシルアミノからなる群から独立して選択される置換基により、必要に応じて置換することができる。その置換基の数は、ハロゲンに対して5つまで、他の上記置換基の任意の組み合わせに対して3つまでである。
【0078】
置換アリールは、(C−C)−アルコキシ(好ましくはメトキシ)、ヒドロキシル、(C−C)アルキル、ハロゲンからなる群から独立して選択される置換基により、好ましくは置換される。その置換基の数は、ハロゲンに対して5つまで、他の上記置換基の任意の組み合わせに対して4つまで、好ましくは3つまでである。好ましくは、置換アリールは置換フェニルである。
【0079】
用語「アリールアルキル」は、独立して選択される3つまでのアリール基で置換されるアルキル基を意味する。好ましくは、用語「アリールアルキル」は、「アリール−(C−C)−アルキル」またはジアリール−(C−C)−アルキルを意味し、ここで、アリールは、上記で定義されるアリール基である。アリールアルキルは、好ましくはベンジル(−CH−フェニル)またはフェネチル(−CH−CH−フェニル)である。
【0080】
用語「置換アリールアルキル」は、上記で定義されるようにアリール基が置換される場合の、上記で定義されるアリールアルキル基を意味する。
【0081】
本明細書中で使われる用語「プロドラッグ」は、患者への投与の後、化学的プロセスまたは生理学プロセスを介してインビボで薬剤を放出する薬剤前駆体である本発明の化合物の誘導体を表す。特に、プロドラッグは、インビボでの生理条件下で切断され、それにより化合物の活性成分を放出することができるさらなる置換基を官能基が有するところの本発明の化合物の誘導体である。(例えば、生理的pHの状態にされた、または酵素作用を介したプロドラッグは、望ましい薬剤形式に変換される)。
【0082】
用語「薬学上受容できる塩」は、薬学的に受容でき、そして本発明の化合物を投与された患者にとって実質的に無毒である塩形成体を意味する。式Iの化合物の薬学上受容できる塩としては、適切な無毒の有機酸もしくは無機酸または有機塩基もしくは無機塩基から形成される通常もしくは化学量論的な酸付加塩または塩基付加塩が挙げられる。例えば、塩基性窒素原子を有する式Iの化合物からの酸付加塩は、好ましくは有機酸または無機酸で形成される。適切な無機酸は、例えば、塩酸のようなハロゲン酸、硫酸、またはリン酸である。適切な有機酸は、例としては、カルボン酸、ホスホン酸またはスルホン酸であり、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、malenic酸、マロン酸、サリチル酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸、グルタル酸、2−もしくは3−グリセロリン酸および他の鉱酸ならびに当業者に周知のカルボン酸である。塩は、従来の手法で塩を生産するために十分な量の所望の酸と遊離塩基形状物とを接触させることによって、調製される。酸置換基を含む化合物はまた、無機塩基または有機塩基で塩を形成することができる。塩形成のための適切な塩基の例としては、以下に限定されないが、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、またはマグネシウム)の水酸化物のような無機塩基、および水酸化アンモニウム(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウムのような第四級水酸化アンモニウム)からの誘導体が挙げられる。アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシルアルキルアミン、N−メチルグルカミン、ベンジルアミン、ピペリジンおよびピロリジンなどのような薬学上受容できるアミンで形成された塩もまた意図される。特定の化合物、例えばカルボキシルまたはフェノール性ヒドロキシルを有する化合物は、本質的に酸性であろう。フェノールの塩は、当業者に周知の手順により、上述の任意の塩基と共に酸性化合物を加熱することによって作ることができる。
【0083】
本明細書中で使われる用語「組成物」は、特定の量での特定の成分の組み合わせを含む生成物、および特定の量での特定の成分の組み合わせを直接または間接的に生じさせるいずれかの生成物を包含することが意図される。
【0084】
本明細書中で使われる語句「有効量」は、治療される兆候および/または症状を顕著および好ましく緩和する(例えば、好ましい臨床効果を提供する)のに十分である化合物または組成物の量を意味する。薬剤組成物で使われる活性成分の有効量は、治療される特定の症状、症状の重篤度、治療の期間、同時に行われている治療の性質、使用される特定の活性成分、利用される薬学上受容できる賦形剤/担体および他の要因によって、主治医の知見および専門的知識の範囲内で変動する。
【0085】
望ましい実施態様
本発明の望ましい実施態様によれば、ステロイドホルモン依存性疾患または障害、好ましくは17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの抑制を必要としている、最も好ましくは17β−HSDタイプ1、17β−HSDタイプ2または17β−HSDタイプ3酵素の抑制を必要としているステロイドホルモン依存性疾患または障害ための薬剤の製造用に使用される化合物は、以下のように定義される。その化合物は、式(II)
【0086】
【化10】

を有する。
【0087】
ここで、R1およびR2は、同じまたは異なったC〜Cアルキルを表し、または1つはC〜Cアルキルそして他はHであるか、あるいはR1およびR2は、その結合部位と共に、飽和もしくは環原子の間に二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成する。その環は、必要に応じて、R1に結合している窒素原子に加えて、2つまでのN原子を含む。そして当該環は、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキルからなる群から独立して選択される2つまでの置換基で置換される。ここでアリール基は、必要に応じて、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドで置換される。
【0088】
チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖−C(R5)−C(R6)−(CH)−は、飽和または炭素原子の間に1つ以上の二重結合を含んでいる。
【0089】
nは、1から4までの整数である。
【0090】
そして、R5およびR6は、水素、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキルからなる群から独立して選択される。ここでアリール基は、必要に応じて、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドで置換される。
【0091】
ただし、上記化合物は、1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)−[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒドではない。
【0092】
好ましい実施態様によれば、式(II)の化合物は、以下のように特徴付けられる。
【0093】
R1およびR2により共に形成された五、六、七または八員環系が、オキソ、−CO−R、−CO−O−R、−O−R、−C−C−アルキルからなる群から独立して選択される2つまでの置換基で置換され、必要に応じて−O−R、−S−Rまたは−N(R)で置換される。
【0094】
R5およびR6は、水素、オキソ、ハロゲン、−O−R'、−S−R'、−SO−R'、−CO−R、−CO−O−R、または−C−C−アルキル、−C−C−アルケニルまたは=C−C−アルキレンからなる群から独立して選択され、必要に応じてアルキル鎖において−O−R、−S−R、−N(R)、−CO−R、または=N−O−Rで置換される。
【0095】
ここで、Rは水素またはC−C−アルキルを表し、R'は水素、C−C−アルキル(直鎖、環状または分岐でありえる)、アリール−C−C−アルキル、好ましくはベンジル、またはアリール、好ましくはフェニルを表す。
【0096】
特に好ましい化合物は、R1およびR2が、それらの結合部位と共に、必要に応じて置換された五、六、七または八員環系を形成し、それらが飽和、または環原子の間に1つ以上の二重結合を含んでおり、その環が、R1が付加する窒素原子に加えて最高2つまでのN原子を必要に応じて含んでいるものである。
【0097】
式(II)の特に好ましい化合物は、R5が、水素、オキソ、ハロゲン、−OH、−O−C−C−アルキル、−S−C−C−アルキル、−S−C−C−シクロアルキル、−S−フェニル、−SO−フェニルからなる群から独立して選択されるものである。
【0098】
式(II)のさらに好ましい化合物は、R6が、水素、カルボニル、アルキルカルボキシル、好ましくは−COOH、−C−C−アルキル、−C−C−アルケニル、または=C−C−アルキレンからなる群から独立して選択され、必要に応じてアルキル鎖において−O−R、−N(R)、−CO−R、または=N−O−Rで置換されるものである。ここで、Rは水素またはC−C−アルキルを表す。
【0099】
好ましい実施態様において、本発明は、以下に例示された化合物からなる群から選択される化合物に関する。
2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−4,13(1H,7H)−ジオン、
1,2,6,7,8,9,10−ヘプタヒドロシクロペンタ[4',5']チエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]−アゼピン−3,12−ジオン、
1,2,3,4,8,9,10,11,12−ノナヒドロシクロヘプタ[4',5']チエノ[2',3':4,5]ピリミド−[1,2−a]アゼピン−5(5aH),14−ジオン、
1,2,7,8,9,10,11,12−オクタヒドロ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド−[1,2−a]アゾシン−4,14(3H)−ジオン、
1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロ−12H[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリド[1,2−a]ピリミジン−12−オン、
5,6−ジヒドロ−2,3−ジメチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4,8(3H,7H)−ジオン、
5,6−ジヒドロ−3−メチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4,8(3H,7H)−ジオン、
5,6−ジヒドロ−3−エチル−2−メチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4,8(3H,7H)−ジオン、
4−クロロ−1,2,3,7,8,9,10,11,12−オクタヒドロ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド−[1,2−a]−アゾシン−14−オン−4−カルボキシアルデヒド、
1,2,3,4,5,8,9,10,11,12−デカヒドロ−14H−シクロヘプタ[4',5']チエノ[2',3':4,5]−ピリミド[1,2−a]アゼピン−14−オン、
8−クロロ−5,6−ジヒドロ−3−メチル[1]ベンゾチエノ[2, 3−d]ピリミジン−4(3H)−オン−7−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(エチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(プロピルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(ブチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(イソプロピルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(t−ブチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(シクロペンチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(シクロヘキシルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−ヒドロキシメチル、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(シクロヘキシルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−ヒドロキシメチル
オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−オキシム−メチル、
4−クロロ−1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−ヒドロキシメチル、
3−N,N−ジメチルアミノ−メチレン−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−4,13(1H,7H)−ジオン、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(プロピルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−(3−オキソ)−1−ブテン、および
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(ブチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−(3−オキソ)−1−ブテン、
あるいはこれらの薬学上受容できる塩。
【0100】
一般に使われるプロドラッグ、そしてこれらの化合物の活性な代謝産物と同様に、本発明の化合物の製薬上で受容できる塩もまた、本発明の範囲の中にある。
【0101】
本発明はまた、活性剤として治療での使用が以前に発表されていなかった1つ以上の本発明の化合物、またはその塩もしくはそのプロドラッグ、および少なくとも1つの製薬上で受容できる担体を含む製薬組成物に関する。
【0102】
さらに、本発明は、哺乳動物、特にヒトのステロイドホルモン依存性疾患または障害の治療または予防のために、本明細書中で定義される有効量の新規化合物の使用に関する。好ましくは、ステロイドホルモン依存性疾患または障害は、エストラジオールまたはテストステロン依存性疾患または障害である。
【0103】
望ましい実施態様で、本発明は、哺乳動物でのステロイドホルモン依存性疾患または障害の治療または予防のために、本発明の中で定義される有効量の新規化合物の使用に関する。それによってステロイドホルモン依存性疾患または障害は、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)酵素、好ましくはヒト17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)酵素タイプ1、タイプ2またはタイプ3の抑制を必要とする。
【0104】
本発明のさらに望ましい実施態様では、治療または予防されるステロイドホルモン依存性疾患または障害は、一般化手法および/または組織特異性手法において、内因性17β−エストラジオールまたはテストステロン濃度を下げることを必要とする。
【0105】
本発明はまた、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)タイプ1、タイプ2またはタイプ3活性に関する症状を有するヒトのような哺乳動物の治療方法であって、症状を治療するために有効な量の本発明の化合物またはその塩もしくはそのプロドラッグを哺乳動物に投与することを含む方法に関する。リストされた症状の治療で使われた他の薬と組み合わせて、本発明の化合物の投与が考慮される。
【0106】
本発明の状況で治療または予防される症状としては、乳がん、前立腺癌腫、卵巣がん、子宮がん、子宮体がん、子宮内膜肥厚化、子宮内膜症、子宮平滑筋腫、子宮腺筋症、月経困難症、月経過多、不正子宮出血、プロスタジニア(Prostadynia)、良性前立腺肥大症、前立腺炎、にきび、脂漏症、男性型多毛症、アンドロゲン脱毛症、性早熟症、腎臓肥大、多嚢胞卵巣症候群および尿機能障害が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の状況で治療または予防されるさらなる症状としては、骨粗鬆症が挙げられる。
【0107】
さらに、有効量の本発明の化合物で治療および/または予防できるエストロゲン依存性疾患は、多発性硬化症、関節リウマチ、アルツハイマー病、結腸がん、組織損傷、皮膚の皺および白内障である。
【0108】
好ましい実施態様において、本発明は、哺乳動物における前述の疾患または障害の内の1つを治療または防止するのための有効量の本発明の化合物の使用に関する。ここで、哺乳動物というのは、ヒト、好ましくは女性、そして最も好ましくは婦人科疾患にある閉経期前または閉経期周辺の女性である。
【0109】
さらに、式(I)の化合物は、精子形成をブロックするのに、および男性用避妊薬として有用であり得る。
【0110】
開示された化合物はまた、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ (HSD)タイプ1、タイプ2および/またはタイプ3活性の存在または不存在をスクリーニングするための診断薬(例えば、診断キットで、または検査室での使用のため)としても有用である。
【0111】
本発明の方法は、いろいろな実施態様の形式で取り入れることができ、その実施態様の少数だけが本明細書中で開示されていることは理解されるであろう。他の実施態様が存在し、そして本発明の精神から外れないことは当業者には明白であろう。そのため、記述された実施態様は例示するものであり、そして限定するものと解釈されるべきではない。
【0112】
投与形態
本発明の方法は、ステロイドホルモン依存性疾患または障害、特にエストラジオールステロイドホルモン依存性疾患または障害の哺乳動物、好ましくは人と他の霊長類における治療のために主に意図される。ここで、ステロイドホルモン依存性疾患または障害は、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)酵素、好ましくはタイプ1の17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.62)の抑制を必要とすることが望ましい。
【0113】
本化合物は、単位服用量処方において、経口、皮膚塗布、非経口、注射、肺送達もしくは経鼻送達、または舌下、直腸内、または経膣によって投与することができる。用語「注射によって投与する」としては、注入テクニックの使用と同様、静脈内、関節内、筋肉内(例えば、活性化合物がゆっくりと血の中に貯蔵所から放たれて、そしてそこから標的器官まで運ばれる蓄積注射によって)、腹腔内、皮内、皮下および髄腔内注射が挙げられる。皮膚投与は、局所適用または経皮的投与を含むことができる。1つ以上の化合物が、賦形剤、アジュバント(例えば、緩衝液)、担体、不活性固体希釈剤、懸濁剤、防腐剤、フィラー、安定剤、抗酸化剤、食品添加物、生体内利用増進剤、コーティング材料、顆粒剤および崩壊剤、結合剤などのような1つ以上の無毒な製薬上受容できる補助剤、および必要であれば他の活性成分と共同して存在し得る。
【0114】
本薬剤組成物は、例えば、即座の放出、持続的放出、パルス放出、2工程以上の放出、貯蔵放出または他の種類の放出として処方することができる。
【0115】
本発明による薬剤組成物の製造は、当該技術分野で知られる方法に従って行うことができ、さらにそれより詳細に以下で説明される。一般的に知られ使用されている製薬上受容できる補助剤ならびにさらなる適切な希釈剤、香料、甘味料、着色剤などは、意図される投与様式ならびに溶解度、生体利用率などの活性化合物の特性に依存して使用することができる。適切な補助剤およびさらなる成分は、薬局、化粧品および関連分野で推奨されるようなものであり、好ましくはヨーロッパ薬局方、「GRAS」リスト(「一般的に安全と認められる」(GRAS)食品添加物のFDAリスト)で認可または列挙したFDAにおいてリストされるものである。
【0116】
一般式(I)の化合物または1つ以上の当該化合物を含む薬剤組成物の適用の1つの様式は、経口適用である。例えば、タブレット、ピル、糖衣錠、硬いジェルカプセルおよび柔らかいジェルカプセル、顆粒、ペレット、水溶液、脂質性溶液、油性溶液または他の溶液、水中オイル乳濁液のような乳濁液、リポソーム、水性懸濁液または油性懸濁液、シロップ、エリキシル剤、固体乳濁液、固体分散液または分散パウダーによるものである。経口投与用の薬剤組成物の調製のために、上述で定義された本発明の目的に適した化合物は、一般的に知られ使われているアジュバントおよび賦形剤、例えば、アラビアゴム、滑石粉、でんぷん、糖類(例、マニトース(mannitose)、メチルセルロ−ス、乳糖)、ゼラチン、界面活性剤、ステアリン酸マグネシウム、水性溶媒または非水性溶媒、パラフィン誘導体、架橋剤、分散剤、乳化剤、潤滑油、保存料、香料(例、精油)、溶解促進剤(例、安息香酸ベンジルまたはベンジルアルコ ―ル)または生体利用促進剤(例、GelucireTM)などと混合することができる。薬剤組成物において、活性成分はまた、微小粒子(例えば、ナノ粒子)の組成物の中で分散させることができる。
【0117】
非経口投与のために、活性剤は、生理的に受容できる希釈剤、例えば、水、緩衝液、オイル(安定剤の有無にかかわらない)、界面活性剤、分散剤または乳化剤の中に溶解または懸濁することができる。オイルの例としては、以下に限定されないが、オリ−ブオイル、ピ−ナツオイル、綿実油、大豆油、ヒマシ油およびゴマ油を使うことができる。より一般的に言えば、非経口投与のために、活性剤は、水溶液、脂質性溶液、油性溶液または他の種類の溶液もしくは懸濁液の形式であり、さらにリポソームまたはナノ懸濁液の形で投与することができる。
【0118】
経皮適応は、当該技術分野で知られているように、活性剤の経皮送達のために特別に設計された適切なパッチにより、必要に応じて透過性促進剤の存在下で達成することができる。さらに、乳濁液、軟膏、ペースト、クリームまたはジェルも経皮送達のために使うことができる。
【0119】
もう1つの投与の適切な様式は、長期間にわたる活性剤の制御された放出のために貯蔵部分を含んでいる膣内デバイス(例えば、膣リング)または子宮内システム(IUS)である。薬剤の直腸投与または膣投与のために、本化合物はまた、座薬の形で投与することができる。これらの組成物は、常温で固体であるが、直腸または膣の温度において液体となり、従って薬物を放出するために直腸または膣において解ける非刺激性賦形剤と薬剤を混ぜることによって調製することができる。
【0120】
他の適応様式は、生分解性ポリマーまたは合成ケイ素樹脂(例えば、シリコンゴム)のような不活性な担体材料を含む貯蔵所移植組織の移植によってである。このような移植は、長期間(例えば、3〜5年)にわたって制御された方法で活性剤を放出するように設計される。
【0121】
特定の投与方法は、いろいろな要因に依存するであろうことは当業者によって理解されるであろう。そしてそのすべては、治療薬(therapeutics)を投与するときに日常的に考慮される。
【0122】
任意の特定の患者のための本発明の薬剤の現実に必要とされる用量は、種々の要因に依存している。その要因としては、使用された特定の化合物の活性、治療される特定のHSDタイプ1、タイプ2またはタイプ3関連の症状、処方される特定の組成物、投与の様式、投与時間および持続時間、投与経路および治療される特定部位、さらに患者の年齢、患者の体重、患者の一般的な健康状態、患者の性、患者のダイエット、排泄頻度、薬剤の組み合わせ、および治療を受けている症状の重篤度が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
最適な治療方針、すなわち治療の様式および規定された日数の間に与えられた式Iの化合物または製薬上受容できるその塩の用量の1日の数量は、従来の治療テスト使って、当業者によって正当に評価されることは、さらに理解されるであろう。所定の一連の症状のための最適な用量は、従来の用量決定テストを使って、所定の化合物の実験的なデータから判断して当業者によって確認され得る。経口投与については、一般に使用される模範的な毎日の用量は、全体重に対して約0.01μg/kg〜100mg/kgであろう。それによって治療の方針は、適切な時間間隔で繰り返されるかもしれない。プロドラッグの投与は、完全に活性な化合物の重量レベルと化学的に等しい重量レベルで服用することができる。非経口投与のための1日の服用量は、一般に全体重に対して約0.01μg/kg〜約100mg/kgである。1日の直腸用量レジメンは、一般に全体重に対して約0.01μg/kg〜約200mg/kgである。1日の腟内用量レジメンは、一般に全体重に対して約0.01μg/kg〜約100mg/kgである。1日の局所的な用量レジメンは、日に1〜4回投与され、一般に約0.01μg/kg〜約100mg/kgである。経皮濃度は、一般的に全体重に対して約0.01μg/kg〜約100mg/kgの1日の用量を維持することが必要となる。
【0124】
略語および頭字語
本明細書中で使用される次の用語は、以下に示された意味を有する。
20βP 20βP−ヒドロキシプロゲステロン
A 4−アンドロステン−3,17−オン
Ac アセチル
AcOH 酢酸
HSD ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ
DHT デヒドロテストステロン
DMF N,N−ジメチルホルアミド
E1 エストロン
E2 エストラジオール
ER エストロゲンレセプター
EtOAc 酢酸エチル
GnRH ゴナドトロピン放出ホルモン
GRAS 一般に安全と認められる
MS 質量分析法
NAD(P)[H] ニコチンアミド−アデニン−ジヌクレオチド(ホスフェート)[還元NAD(P)]
NMR 核磁気共鳴
P プロゲステロン
PCC ピリジニウムクロロクロメート
T テストステロン
TBAB テトラブチルアンモニウムブロミド
THF テトラヒドロフラン
TOF 「飛行時間」
実験セクション
一般的な調製法
本発明の化合物は、周知の化学反応および手順を使用することによって調製することができる。であるが、次の一般的な調製の方法は、実用的な実施例を例証するために、実験セクションにおいて以下に与えられた特定の詳細によって17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼンヒビターを読者が合成するのを補助するために提出される。
【0125】
これらの方法の変更可能なすべての官能基は、以下で特に定義されない場合は、一般的な記述で記載される。
【0126】
特許請求された任意の各官能基を有する本発明の化合物が、以下に掲げた方法の各々により調製できないことがありうることは認識される。各方法の範囲の中で、保護基または非関与基の役を務め得る任意の置換基が、試薬または中間体の上に現われることがある。これらの官能基は、当業者に周知の方法を利用して、本発明の化合物を与える合成スキームの過程の間に導入および/または除去される。
【0127】
本発明の化合物は、実験セクションで記述される図2〜6において示されるように調製することができる。または、クレ−ムの式(I)によって定義された環置換化合物または環修飾化合物が、例えば図1の出発化合物(2)の環置換類似物または環修飾類似物を使うことにより、同様に調製できることは明白である。
【0128】
本発明は、以下の非限定的な実験的なセクションによって説明される。本発明の性質および本発明の実施の様式をより完全に説明するために、以下の実施例は提出されるが、それらは限定するものと考えるべきではない。
【0129】
実施例
実施例1
図1 クラス2〜5化合物の合成
【0130】
【化11】

第一表 調製された化合物クラス2〜4の個々の化合物
【0131】
【表1】

【0132】
【表2】

【0133】
2a〜iの合成のための一般的手順:
2a 2,3,4,7,8,9,10,11−オクタヒドロ[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド−[1,2−a]アゼピン−13(1H)−オン
【0134】
【化12】

【0135】
乾燥ジクロロエタン(1500ml)中のエチル2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ(b)チオフェン−3−カルボキシレート1b(22mol)およびε−カプロラクタム(0.33mol)に、POClを滴下した。4/5の溶媒を蒸発した後、出発物質がTLC上で検出されなくなるまで、混合物を還流下で加熱した。水(200mol)を加え、そしてその溶液を20%のKOHで塩基性にした。溶液はCHClで抽出し、食塩水および水で洗浄し、そしてNaSOで乾燥した。ろ過の後に溶媒を蒸発させた。エタノ−ルからの再結晶は、2aを収率90%の白い結晶として与えた。
H NMR δ 1.85 (10H, m), 2.75 (2H, m), 3.00 (4H, m), 4.35 (2H, m)
2b 1,2,3,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−12H−シクロペンタ[1‘,5’]チエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]−アゼピン−12−オン
【0136】
【化13】

【0137】
エチル2−アミノシクロペンタ(b)−チオフェン−3−カルボキシレートが使われた以外は上記と同じようにして、2bを合成した。
H NMR S 1.83 (8H, m), 2.45 (2H, qn), 3.00 (4H, m), 4.37 (2H, m)
2c 1,2,3,4,5,8,9,10,11,12−デカヒドロ−14H−シクロヘプタ[4‘,5’]チエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド−[1,2−a]アゼピン−14−オン
【0138】
【化14】

【0139】
エチル2−アミノシクロ−ヘプタ(b)−チオフェン−3−カルボキシレートが使われた以外は上記と同じようにして、2cを合成した。
H NMR δ 1.77 (12H, m), 2.82 (2H, m), 3.01 (2H, m), 3.35 (2H, m), 4.36 (2H, m)
2d 2,3,4,7,8,9,10,11,12−デカヒドロ[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド−[1,2−a]アゾシン−14(1H)−オン
【0140】
【化15】

【0141】
2−アザシクロオクタノンが使われた以外は上記と同じようにして、2dを合成した。
1H NMR δ1.40 (2H, m), 1.56 (2H, m), 1.89 (8H, m), 2.76 (2H, m), 2.99 (4H, m), 4.27 (2H, m)
2e 1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロ−12H−[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリド[1,2−a]ピリミジン−12−オン
【0142】
【化16】

【0143】
バレロラクタムが使われた以外は上記と同じようにして、2eを合成した。
H NMR δ 1.91 (8H, m), 2.75 (2H, m), 2.97 (4H, m), 4.02 (2H, t)
2f 2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ[1]ベンゾチエノ[2,3−d]piroro[1,2−a]ピリミジン−10(1H)−オン
【0144】
【化17】

【0145】
2−ピロリジノンが使われた以外は上記と同じようにして、2fを合成した。
H NMR δ 1.86 (4H, m), 2.28 (2H, qn), 2.76 (2H, m), 3.00 (2H, m), 3.14 (2H, t), 4.16 (2H, t)
2g 5,6,7,8−テトラヒドロ−2, 3−ジメチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン
【0146】
【化18】

【0147】
N−メチルアセトアミドが使われた以外は上記と同じようにして、2gを合成した。
1H NMR δ 1.86 (4H, m), 2.58 (3H, s), 2.76 (2H, m), 3.00 (2H, m), 3.56 (3H, m)
2h 5,6,7,8−テトラヒドロ−3−メチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン
【0148】
【化19】

【0149】
アセトアミドが使われた以外は上記と同じようにして、2Hを合成した。
H NMR δ 1.87 (4H, m), 2.78 (2H, m), 3.03 (2H, m), 3.56 (3H, s), 7.91 (1H, s)
2i 5,6,7,8−テトラヒドロ−2−エチル−3−メチル[1]ベンゾチエノ[2, 3−d]ピリミジン−4(3H)−オン
【0150】
【化20】

【0151】
N−メチルプロパンアミドを使った以外は上記と同じようにして、2iを合成した。
1H NMR δ 1.36 (3H, t), 1.85 (4H, m), 2.78 (4H, m), 3.01 (2H, m), 3.57 (3H, s)
3a〜iの合成の一般的手順:PCC(37mmol)、セライト(20guramu)および化合物2あーる(7.3mmol)を微細粉の中に混合し、乾燥ベンゼン(150ml)を加えた。反応混合物を、一晩中還流下で加熱した。冷やされたスラリ−を、セライトのパッドを通してろ過し、そして溶媒を蒸発させた。エタノ−ルからの再結晶は、3aを白い粉を収率50%で与えた。
【0152】
3a 2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−4,13(1H,7H)−ジオン
【0153】
【化21】

H NMR δ 1.58 (6H, m), 2.23 (2H, qn), 2.67 (2H, t), 3.07 (2H, m), 3.28 (2H, t), 4.36 (2H, m)
3b 1,2,6,7,8,9,10−ヘプタヒドロシクロペンタ[4‘,5’]チエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]−アゼピン−3,12−ジオン
【0154】
【化22】

H NMRδ 1.88 (4H, m), 2.92 (2H, m), 3.09 (2H, m), 3.33 (2H, m), 4.39 (2H, m)
3c 1,2,3,4,8,9,10,11,12−ノナヒドロシクロヘプタ[4‘,5’]チエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド−[1,2−a]アゼピン−5(5aH),14−ジオン
【0155】
【化23】

H NMRδ 1.90 (12H, m), 2.83 (2H, m), 3.05 (2H, m), 3.57 (2H, m), 4.36 (2H, m)
3d 1,2,7,8, 9,10,11,12−オクタヒドロ[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド−[1,2−a]アゾシン−4,14(3h)−ジオン
【0156】
【化24】

H NMRδ 1.45 (2H, m), 1.61 (2H, m), 1.97 (4H, m), 2.24 (2H, qn), 2.67 (2H, m), 3.02 (2H, m), 3.29 (2H, t), 4.31 (2H, m)
3e 1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロ−12H−[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリド[1,2−a]ピリミジン−12−オン
【0157】
【化25】

H NMRδ 1.99 (4H, m), 2.23 (2H, qt), 2.66 (2H, t), 3.01 (2H, t), 3.28 (2H, t), 4.03 (2H, t)
3f 2,3,8,9−テトラヒドロ[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピロロ[1,2−a]ピリミジン−6,10(1H,7H)−ジオン
【0158】
【化26】

H NMRδ 2.29 (4H, m), 2.67 (2H, t), 3.24 (4H, m), 4.19 (2H, t)
3g 5,6−ジヒドロ−2,3−ジメチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4,8(3H,7H)−ジオン
【0159】
【化27】

H NMRδ 2.24 (2H, qn), 2.63 (3H, s), 2.66 (2H, m), 3.28 (2H, t), 3.59 (3H, s)
3h 5,6−ジヒドロ−3−メチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4,8(3H,7H)−ジオン
【0160】
【化28】

H NMRδ 2.25 (2H, qn), 2.69 (2H, t), 3.31 (2H, t), 3.60 (3H, s), 8.08 (1H, s)
3i 5,6−ジヒドロ−3−エチル−2−メチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4,8(3H,7H)−ジオン
【0161】
【化29】

H NMR δ 1.39 (3H, t), 2.23 (2H, qn), 2.67 (2H, m), 2.81 (2H, q), 3.29 (2H, t), 3.59 (3H, s)
4a〜4eの合成の一般的手順:POCl(135mmol)を、DMF(170mmol)およびCHCl(3ml)に0℃において滴下した。30分後に、CHCl (15ml)中の3a(17mmol)を滴下した。その反応混合物を、室温にして、そして48時間攪拌し。反応物を、NAOAcでクエンチし、CHClで抽出し、食塩水および水で洗浄して、そしてNaSOで乾燥した。ろ過の後に溶媒を蒸発させた。生成物は、CHCl−EtOAc、9:1を溶離液として用いてフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。エタノ−ルからの再結晶により、4aを黄色の結晶として収率75%で得た。
【0162】
4a 4−クロロ−1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド
【0163】
【化30】

H NMR δ 1.86 (2H, m), 2.81 (2H, dt), 3.07 (2H, m), 3.28 (2H, dt), 4.37 (2H, m), 10.21 (1H, s)
4b 4−クロロ−1,2,3,7,8,9,10,11,12−オクタヒドロ[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド−[1,2−a]−アゾシン−14−オン−4−カルボキシアルデヒド
【0164】
【化31】

【0165】
フラッシュクロマトグラフィーによる精製は、主要な生成物として化合物4bおよび主要でない生成物として化合物11を与えた。
H NMR δ 1.44 (2H, m), 1.60 (2H, m), 1.93 (4H, m), 2.76 (2H, m), 3.02 (2H, m), 3.28 (2H, m), 4.31 (2H, m), 10.21 (1H, s)
11 4−クロロ−1,2,7,9,10,11,12,14−オクタヒドロ−14−オキソ−8H−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド−[1,2−a]−アゾシン−3,7−ジカルボアルデヒド
【0166】
【化32】

H NMR δ (CDCl3) 1.31 (2H, m), 1.82 (5H, m), 2.43 (1H, m), 2.81 (2H, t) 3.29 (2H, m), 3.75 (2H, m), 4.93 (1H, m), 9.92 (1 H, s), 10.21 (1H, s)
4c 8−クロロ−4−オキソ−1,2,3,4,8,9−ヘキサヒドロ[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピロロ[1,2−a]ピリミジン−7−カルボアルデヒド
【0167】
【化33】

【0168】
1H NMR δ 2.33 (2H, m), 2.81 (2H, m), 3.25 (4H, m), 4.20 (2H, m), 10.20 (1 H, s)
4d 1,2,3,4,5,8,9,10,11,12−デカヒドロ−14H−シクロヘプタ[4‘,5’]チエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド[1,2−a]アゼピン−14−オン
【0169】
【化34】

H NMR δ 2.82 (2H, m), 3.31 (2H, m), 3.60 (3H, s), 8.04 (1H, s), 10.22 (1H, s)1H NMR δ 2.82 (2H, m), 3.31 (2H, m), 3.59 (3H, s), 8.03 (1H, s), 10.22 (1H, s)
4e 8−クロロ−5,6−ジヒドロ−3−メチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン−7−カルボキシアルデヒド
【0170】
【化35】

第2表 調製された化合物クラス5の個々の化合物
【0171】
【表3】

【0172】
5a〜5hの合成の一般的手順:THF(20ml)中の4a(0.62mmol)、次いでNaOH(0.93ml)をTHF(2ml)中のチオフェノールへ−18℃において滴下した。その反応混合物を室温にして、そして出発物質がTLC上で検出されなくなるまで攪拌した。反応混合物を、過剰の水の中に貯めて(poored)、そして1時間攪拌した。生成物をろ過し、そしてエタノ−ルからの再結晶により、5aを黄色結晶として収率85%で得た。
【0173】
5a 1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド
【0174】
【化36】

H NMR δ 1.77 (6H, m), 2.82 (2H, m), 2.95 (2H, m), 3.25 (2H, m), 4.29 (2H, m), 7.23 (5H, m), 10.47 (1 H, s)
5b 1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(エチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド
【0175】
【化37】

【0176】
エタンチオールが使われた以外は上記と同じようにして、5bを合成した。
H NMR δ 1.26 (3H, t), 1.85 (6H, m), 2.76 (2H, m), 2.91 (2H, q), 3.07 (2H, m), 3.22 (2H, m), 4.37 (2H, m), 10.48 (1H, s). M/z 360
5c 1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(プロピルチオ)[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド
【0177】
【化38】

【0178】
プロパンチオールが使われた以外は上記と同じようにして、5cを合成した。
H NMR δ 0.99 (3H, t), 1.63 (2H, m), 1.86 (6H, m), 2.76 (2H, m), 2.87 (2H, t), 3.06 (2H, m), 3.22 (2H, m), 4.37 (2H, m), 10.49 (1H, s). M/z 374
5d 1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(ブチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド
【0179】
【化39】

【0180】
ブタンチオールが使われた以外は上記と同じようにして、5dを合成した。
H NMR δ 0.89 (3H, t), 1.46 (4H, m), 1.86 (6H, m), 2.76 (2H, m), 2.89 (2H, t), 3.06 (2H, m), 3.22 (2H, m), 4.37 (2H, m), 10.48 (1 H, s). M/z388
5e 1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(イソプロピルチオ)[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド
【0181】
【化40】

【0182】
2−プロパンチオールが使われた以外は上記と同じようにして、5eを合成した。
H NMRδ 1.31 (6H, d), 1.85 (6H, m), 2.77 (2H, m), 3.06 (2H, m), 3.23 (2H, m) 3.41 (1H, septet), 4.37 (2H, m), 10.47 (1 H, m). M/z 374
5f 1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(t−ブチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド
【0183】
【化41】

H NMRδ 1.37 (9H, s), 1.86 (6H, m), 2.80 (2H, t), 3.06 (2H, m), 4.37 (2H, m), 10.42 (1H, s)
5g 1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(シクロペンチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド
【0184】
【化42】

H NMRδ 1.60−1.85 (14H, m), 2.76 (2H, t), 3.22 (2H, t), 3.61 (1H, m), 4.37 (2H, m), 10.46 (1H, s)
5h 1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(シクロヘキシルチオ)[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド
【0185】
【化43】

H NMRδ1.25−1.99 (16H, m), 2.77 (2H, m), 3.06−3. 27 (5H, m), 4.36 (2H, m), 10.47 (1 H, s)
5i 1,2,7,9,10,11,12,14−オクタヒドロ−14−オキソ−4−(プロピルチオ)−8H−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド−[1,2−a]−アゾシン−3−カルバアルデヒド
【0186】
【化44】

【0187】
化合物5iを、出発物質として4bを使って5cのように合成した。
H NMR (CDCl) δ 0.99 (3H, t), 1.44 (2H, m), 1.62 (4H, m), 1.93 (4H, m), 2.76 (2H, m), 2.87 (2H, m), 3.02 (2H, m), 3.22 (2H, m), 4.30 (2H, ブロード s), 10.49 (1H, s)
実施例2
図2。化合物6および7の合成
【0188】
【化45】

【0189】
第3表
【0190】
【表4】

【0191】
6a〜6bおよび8の合成の一般的手順:NaBH(0.66mmol)をエタノ−ル(300ml)中の5a(0.52mmol)に添加した。20分間攪拌した後に、水(65ml)を加え、続いてHClで酸性化した。エタノールを蒸発させ、そして生成物をろ過して、薄黄色の粉として6aを98%の収率で得た。
【0192】
6a 1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−ヒドロキシメチル
【0193】
【化46】

H NMRδ 1.80 (6H, m), 2.79 (2H, m), 2.99 (2H, m), 3.29 (2H, m), 4.33 (2H, m), 4.61 (2H, s), 7.17 (5H, m). M/z 410
6b 1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(シクロヘキシルチオ)[1]ベンゾチエノ−[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−ヒドロキシメチル
【0194】
【化47】

H NMRδ 1.22−1.92 (16H, m), 2.66 (2H, m), 2.9−3.1 (3H, m), 3.21 (2H, m), 4.36 (2H, m) 4.59 (2H, s)
6c 1,2,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−3−(ヒドロキシメチル)−4−(プロピルチオ)−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−13(7H)−オン
【0195】
【化48】

【0196】
6a〜bについて記載した方法により、化合物5cを出発物質として使って、化合物6cを合成した。
H NMR (D6−アセトン) δ 0.96 (3H, t), 1.60 (2H, m), 1.84 (6H, m), 2.68 (4H, m), 3.10 (4H, m), 4.38 (2H, m), 4.57 (2H, ブロード s) MS (m/z) 376
7の合成:NAOAc(0.50mmol)を無水エタノール(3ml)中のNHOH・HCl(0.50mmol)に0℃において添加し、続いて乾燥THF(7ml)中の5a(0.26mmol)を添加した。反応混合物を室温になるようにし、そして一晩中攪拌した。反応物を水でクエンチし、CHClで抽出し、食塩水および水で洗浄し、そしてNaSOで乾燥させた。ろ過の後、溶媒を蒸発させ、95%収率で7を得た。エタノ−ルからの再結晶は、薄黄色の粉を与えた。
【0197】
7 オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−オキシム−メチル
【0198】
【化49】

H NMRδ 1.81 (6H, m), 2.96 (4H, m), 3.30 (2H, m), 4.34 (2H, m), 7.18 (5H, m), 7.61 (1 H, ブロード s), 8.76 (1 H, s) M/z 423
実施例3
図3 化合物8の合成
8 4−クロロ−1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−ヒドロキシメチル
【0199】
【化50】

H NMRδ 1.84 (6H, m), 2.71 (2H, m), 3.05 (2H, m), 3.25 (2H, m), 4.36 (2H, m), 4.45 (2H, s) M/z 366
実施例4
図4 化合物9の合成
【0200】
【化51】

【0201】
化合物9の合成:乾燥DMF(5ml)、DMFアセタール(1.56mmol)および3b(0.36mmol)をCaClチューブ下で2時間還流した。その後、DMFを蒸留して飛ばし、粗生成物を真空下で乾燥した。アセトンを溶離液として用いたフラッシュカラムでの精製により、55%の収率で9を得た。
H NMR (CDCl) δ 1.86 (6H, m), 3.08 (2H, m), 3.17 (6H, s), 4.08 (2H, s), 4.40 (2H, m), 7.41 (1 H, s).
実施例5
図5 化合物10の合成(10aR7=−CHCHCH、10bR7=−CHCHCHCHH)
【0202】
【化52】

【0203】
化合物10a〜10bの合成のための一般的手順:EtOH(5ml)中のKOH(0.58mmol)およびEtSH(0.59mmol)を30分間攪拌し、続いてアセトン (40ml)中の4aを添加した。30分後に水(250ml)を加えた。そして、混合物を生成物が沈殿するまで攪拌した。ろ過により、86%の収率で黄色の粉として10aを得た。
【0204】
10a 1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(プロピルチオ)[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−(3−オキソ)−1−ブテン
【0205】
【化53】

H NMR (CDCl) δ 1.00 (3H, t), 1.60 (2H, m), 1.85 (6H, m), 2.39 (3H, s), 2.75 (4H, m), 3.05 (2H, m), 3.27 (2H, m), 4.37 (2H, m), 6.35 (1H, d), 8.28 (1H, d)
10b 1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(ブチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−(3−オキソ)−1−ブテン
【0206】
【化54】

H NMR (CDCl) δ 0.88 (3H, t), 1.46 (4H, m), 1.85 (6H, m), 2.38 (3H, s), 2.76 (4H, m), 3.05 (2H, m), 3.27 (2H, m), 4.37 (2H, m), 6.35 (1H, d), 8.27 (1H, d)
さらなる実施例
12 7,8,9,10,11,13−ヘキサヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]−アゼピン−3−カルバルデヒド
【0207】
【化55】

【0208】
化合物5a(100mg、245mmol)およびDDQ(67mg、295mmol)を15mlの乾燥ベンゼン中で一晩中還流した。反応混合物を室温にまで冷却し、そしてシリカゲルの短いカラムを通してろ過した。溶媒を蒸発させた。生成物12を、EtOH/ガソリンエ−テルから再結晶させた。
H NMR (CDCl) δ 1.86 (6H, m), 3.12 (2H, m), 4.47 (2H, m), 7.16 (5H, m), 8.16 (1H, d), 8.72 (1H, d), 10.78 (1H, s)
13 1,2,3,4,7,8,9,10,11,12−デカヒドロ−4−ヒドロキシ−14H−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]aゾシン−14−オン
【0209】
【化56】

【0210】
5mlのTHF中の化合物3d(200mg, 0.66mmol)および15mlのEtOHにNaBH(33mg, 0.86mmol)を添加した。そして反応混合物を15分間攪拌した。反応物を水でクエンチし、そしてCHClで抽出した。有機層を食塩水で洗い、そしてNaSOで乾燥した。ろ過に溶媒を蒸発させた。生成物を、CHCl−EtOAc、9:1を溶離液として用いたフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
H NMR (CDCl) δ 1.42 (2H, m), 1.59 (2H, m), 1.95 (7H, m), 2.14 (2H, m), 3.05 (4H, m), 4.29 (2H, m), 4.87 (1H, m)
14 9−メチル−2,3,4,7,8,9,10,11−オクタヒドロ−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−13(1H)−オン
【0211】
【化57】

【0212】
4−メチル−カプロラクタムを出発物質として使って、2a〜iについて記載した方法により、化合物を合成した。
H NMRδ 0.98 (3H, d), 1.26 (2H, m), 1.84 (5H, m), 2.04 (2H, m), 2.74 (2H, m), 3.01 (4H, m), 3.51 (1H, m), 5.17 (1H, m) MS (m/z) 288
15 1,2,3,4,7,9,10,12−オクタヒドロ−12−オキソ−8H−[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリド[1,2−a]ピリミジン−7−カルボン酸エチルエステル
【0213】
【化58】

【0214】
3−エトキシ−カルボニル−2−ピペリドンを出発物質として使って、2a〜iについて記載した方法により、この化合物を合成した。
H NMRδ 1.24 (3H, t), 1.99 (7H, m), 2.27 (1H, m), 2.74 (2H, m), 2.99 (2H, m), 4.01 (3H, m), 4.20 (2H, q) MS (m/z) 332
16 1,2,3,4,7,8,9,10,11,13−デカヒドロ−13−オキソ−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−9−カルボン酸エチルエステル
【0215】
【化59】

【0216】
エチル7−オキソ−4−アゼパンカルボキシレートを出発物質として使って、2a〜iについて記載した方法により、この化合物を合成した。
H NMRδ 1.23 (3H, t), 1.88 (6H, m), 2.15 (2H, m), 2.72 (3H, m), 3.03 (4H, m), 3.91 (1H, m), 4.13 (2H, q), 4.84 (1H, m)
17 2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−9−メチル−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−4,13(1H,7H)−ジオン
【0217】
【化60】

【0218】
化合物14(4.0g、13.9mmol)、カリウムペルオキソジサルフェート(11.3g、41.6mmol)およびCuSO・5HOに、250mlのアセトニトリル/水 1:1を添加した。反応混合物を30分間加熱還流した。反応物を水でクエンチし、そしてCHClで抽出した。有機層を10%のナトリウムチオスルフェート と食塩水で洗浄して、そして NASOで乾燥した。ろ過後に溶媒を蒸発させ、そして生成物が9:1のCHCl/EtOAcを 溶離液として用いてフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
H NMR (CDCl) δ 1.00 (3H, d), 1.28 (2H, m), 1.90 (1H, m), 2.08 (2H, m), 2.23 (2H, m), 2.66 (2H, m), 3.06 (2H, m), 3.28 (2H, m), 3.55 (1H, m), 5.16 (1H, m) MS (m/z) 302
18 4,12−ジオキソ−1,2,3,4,7,9,10,12−オクタヒドロ−8H−[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリド[1,2−a]ピリミジン−7−カルボン酸エチルエステル
【0219】
【化61】

【0220】
化合物15を出発物質として使って、化合物17について記載の方法により化合物18を合成した。
H NMR (CDC1) δ 1.26 (3H, t), 1.80 (1H, m), 2.18 (4H, m), 2.62 (3H, m), 3.24 (3H, m), 3.81 (1H, m), 4.28 (3H, m)
19 4,13−ジオキソ−1,2,3,4,7,8,9,10,11,13−デカヒドロ−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−A]アゼピン−9−カルボン酸エチルエステル
【0221】
【化62】

【0222】
化合物16を出発物質として使って、化合物17について記載の方法により化合物19を合成した。
H NMR (CDCl) δ 1.28 (3H, t), 1.97 (2H, m), 2.21 (4H, m), 2.66 (2H, m), 2.79 (1H, m), 3.03 (1H, m), 3.24 (3H, m), 4.01 (1H, m), 4.18 (2H, q), 4.84 (1H, m)
20 4−クロロ−9−メチル−1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−カルバルデヒド
【0223】
【化63】

【0224】
POCl(2.91mmol)をCHCl3(2ml)中のDMF(3.02mmmol)に0℃において滴下して加えた。30分後に、CHC1(6ml)中の化合物17(0.36mmol)をゆっくりと滴下して加えた。反応混合物を室温にし、そして一晩中攪拌した。その後、反応混合物を12時間で50℃に加熱した。反応混合物を室温まで冷却して、そして飽和NAOAcでクエンチし、CHClで抽出して、食塩水および水で洗浄し、そしてNaSOで乾燥した。ろ過後に溶媒を蒸発させた。生成物を9:1のCHCl−EtOAcを溶離液として用いてフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
H NMR (CDCl) δ 1.00 (3H, d), 1.29 (2H, m), 1.90 (1H, m), 2.09 (2H, m), 2.80 (2H, m), 3.06 (2H, m), 3.27 (2H, m), 3.55 (1H, m), 5.15 (1H, m), 10.20 (1H, s)
21 4−クロロ−3−ホルミル−1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−9−カルボン酸エチルエステル
【0225】
【化64】

【0226】
反応混合物を8日間攪拌した以外は、化合物19を出発物質として使って、4aについて記載の方法により化合物21を合成した。
H NMR (CDCl) δ 1.00 (3H, d), 1.29 (2H, m), 1.90 (1H, m), 2.09 (2H, m), 2.80 (2H, m), 3.06 (2H, m), 3.27 (2H, m), 3.55 (1H, m), 5.15 (1H, m), 10.20 (1H, s)
22 3−ホルミル−1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(プロピルチオ)−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−9−カルボン酸エチルエステル
【0227】
【化65】

【0228】
化合物22を、化合物21を出発物質として5cについて記載の方法により合成した。
H NMR (CDCl) δ 0.99 (3H, t), 1.27 (3H, t), 1.62 (2H, m), 1.97 (2H, m), 2.22 (2H, m), 2.77 (3H, m), 2.86 (2H, t), 3.02 (1H, m), 3.21 (3H, m), 4.00 (1H, m), 4.17 (2H, q), 4.86 (1H, m), 10.49 (1H, s)
23 3−ホルミル−1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(プロピルチオ)−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−9−カルボン酸メチルエステル
【0229】
【化66】

【0230】
化合物22(80.37mmol)をMeOH(10ml)の中に溶かし、MeOH(5ml)中のKOH(0.98mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を水の中に注ぎ、HClで酸性化し、そしてCHClで抽出した。有機層を食塩水で洗浄して、そしてNaSOで乾燥した。ろ過後に溶媒を蒸発させた。
9:1のCHCl−EtOAcを溶離液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、主要な生成物として化合物23、少量の生成物としての化合物24を得た。
H NMR (CDCl) δ 0.99 (3H, t), 1.63 (2H, m), 1.98 (2H, m), 2.23 (2H, m), 2.77 (3H, m), 2.86 (2H, t), 3.02 (1H, m), 3.21 (3H, m), 3.73 (3H, s), 4.01 (1H, m), 4.84 (1H, m), 10.49 (1H, s)
24 3−ホルミル−4−メトキシ−1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−9−カルボン酸メチルエステル
【0231】
【化67】

H NMR (CDCl) 1.98 (2H, m), 2.20 (2H, m), 2.72 (2H, m), 2.80 (1H, m), 3.02 (1H, m), 3.21 (3H, m), 3.73 (3H, s), 4.04 (3H, s), 4.04 (1H, m), 4.84 (1H, m), 10.19 (1H, s)
25 1,2,3,4−テトラヒドロ−12H−[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリド[1,2−a]ピリミジン−12−オン
【0232】
【化68】

【0233】
2−ブロモピリジンおよびエチル2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ(b)チオフェン−3−カルボキシレート1bを、アルゴン下で165℃まで3時間半加熱した。冷却後に固体物質をEtOHから結晶化させた。結晶化した生成物を9:1のCHCl−EtOAcを溶離液として用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
H NMR (CDCl) δ 1.92 (4H, m), 2.81 (2H, m), 3.14 (2H, m), 7.00 (1H, m), 7.57 (2H, m), 9.04 (1H, m) MS (m/z) 256
26 2,3−ジヒドロ−12H−[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリド[1,2−a]ピリミジン−4,12(1H)−ジオン
【0234】
【化69】

【0235】
化合物25を出発物質として使って、化合物17について記載の方法により、化合物26を合成した。
H NMR (CDCl) δ 2.30 (2H, m) 2.71 (2H, m), 3.40 (2H, t), 7.12 (1 H, m), 7.62 (1H, m), 7.76 (1H, m), 9.05 (1H, m)
27 3−メチル−2,3,4,7,8,9,10,11−オクタヒドロ−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド−[1,2−a]アゼピン−13(1H)−オン
【0236】
【化70】

【0237】
2−アミノ−4,5,6,7− テトラヒドロ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸エチルエステルを出発物質として使って、化合物2a〜iについて記載の方法により、化合物27を合成した。
H NMR(CDCl) δ 1.09 (3H, d), 1.44 (1H, m), 1.89 (8H, m), 2.37 (1H, m), 2.85 (2H, m), 3.02 (2H, m), 3.21 (1H, m), 4.35 (2H, m) MS (m/z) 288
28 2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−3−メチル−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−4,13(1H,7H)−ジオン
【0238】
【化71】

【0239】
化合物27を出発物質として使って、化合物17について記載の方法により、化合物28を合成した。
H NMR (CDCl) δ 1.28 (3H, d), 1.85 (6H, m), 1.98 (1H, m), 2.29 (1H, m), 2.67 (1H, m), 3.06 (2H, m), 3.13 (1H, m), 3.50 (1H, m), 4.36 (2H, m)
29 3−t−ブチル−2,3,4,7,8,9,10,11−オクタヒドロ−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド−[1,2−a]アゼピン−13(1H)−オン
【0240】
【化72】

【0241】
2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−t−ブチルベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸エチルエステルを出発物質として使って、化合物2a〜iについて記載の方法により、化合物29を合成した。
H NMR (CDCl) δ 0.95 (9H, s), 1.35 (1H, m), 1.55 (1H, m), 1.79 (6H, m), 2.06 (1H, m), 2.51 (1H, m), 2.76 (2H, m), 3.01 (2H, ブロード s), 3.32 (1H, m), 4.35 (2H, m)
30 1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルスルフィニル)−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルバルデヒド
【0242】
【化73】

【0243】
25mlの乾燥CHCl中の化合物5a(100mg、0.25mmol)およびm−クロロ過安息香酸(89mg、0.52mmol)を室温で3日間攪拌した。反応物を水でクエンチし、そして CHClで抽出した。10%のナトリウムチオスルフェートおよび食塩水で洗浄して、そしてNaSOで乾燥した。濾過の後、溶媒を蒸発させ、生成物を8:2のCHCl/EtOAcを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
H NMR (CDCl) δ 1.80 (6H, m), 2.71 (2H, m), 3.03 (2H, m), 3.06 (1H, m), 3.57 (1 H, m), 4.31 (2H, m), 7.47 (3H, m), 7.69 (2H, m), 10.65 (1H, s)
31 4−クロロ−1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−カルボン酸
【0244】
【化74】

【0245】
化合物4a(335mg, 1.00mmol)および2−メチル−2−ブテン(1.06ml、10.01mmol)を50mlのTHFの中に溶かした。55mlのt−BuOH/HO(5:1)中の80%のNaClO(339mg、3.00mmol)およびNaHPO・HO(414 mg、3.00mmol)の新たに調製した溶液を添加した。反応混合物を6時間室温で攪拌した。反応物を水でクエンチし、そしてCHClで抽出した。有機相を飽和NaHSOで抽出した。水相をHClで酸性にし、そしてCHClで抽出した。有機層を食塩水で洗浄して、そしてNaSOで乾燥した。ろ過後、溶媒を蒸発させ、そして生成物をエタノ−ルから再結晶させた。
H NMR(D−DMSO) 1.71 (6H, m), 2.79 (2H, m), 3.06 (2H, m), 3.14 (2H, m), 4.31 (2H, m), 13.07 (1H, ブロード s)
32 4−ヒドロキシ−3−メチル−2,3,4,7,8,9,10,11−オクタヒドロ[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド−[1,2−a]アゼピン−13(1H)−オン
【0246】
【化75】

【0247】
化合物28を出発物質として使って、化合物13について記載の方法により、化合物32を合成した。
H NMR(CDCl) δ 1.14 (2H, d) 1.16 (2H, d), 1.58−2.04 (20H, m), 2.82 (1H, m), 2.95 (1H, m), 3.04 (4H, m), 3.13 (1H, m), 3.25 (1H, m), 3.75 (2H, m), 4.35 (4H, m), 4.42 (1H, m), 4.67 (1H, m)
33 3−ホルミル−1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(プロピルチオ)−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−9−カルボン酸
【0248】
【化76】

【0249】
THF(2ml) 中の化合物22(130mg)および0.7ml 10% KOH HO/MeOH(2:1)を室温で一晩中攪拌した。反応混合物を水の中に注ぎ、そしてエ−テルで洗浄した。水相をHClで酸性にし、そしてEtOAcで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、そしてNaSOで乾燥した。ろ過後、溶媒を蒸発させ、そして生成物をエタノ−ルから再結晶させた。
H NMR(D−DMSO) δ 0.93 (2H, t), 1.55 (2H, m), 1.71 (2H, m), 2.14 (2H, m), 2.65 (2H, t), 2.67 (2H, m), 2.91 (2H, m), 3.10 (2H, m), 3.12 (2H, m), 3.97 (1H, m), 4.74 (1H, m), 10.36 (1H, s), 12.37 (1H, ブロード s) MS (m/z) 418
34 9−メチル−1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(プロピルチオ)−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]−ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−カルバルデヒド
【0250】
【化77】

【0251】
化合物21を出発物質として5cについて記載の方法により、化合物34を合成した。
H NMR(D−DMSO) δ 0.99 (3H, t), 1.00 (3H, d), 1.28 (2H, m), 1.63 (2H, m), 1.89 (1H, m), 2.08 (2H, m), 2.75 (2H, m), 2.86 (2H, t), 3.06 (2H, m), 3.21 (2H, m), 3.55 (1H, m), 5.16 (1H, m), 10.49 (1H, s)
35 9−(ヒドロキシメチル)−2,3,4,7,8,9,10,11−オクタヒドロ−[1]ベンゾチエノ[2‘,3’:4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−13(1H)−オン
【0252】
【化78】

【0253】
乾燥THF(6ml)中の化合物16(0.72mmol)をTHF(2ml)中のLiAlH(1.95mmol)に0℃においてアルゴン下で滴下して加えた。反応混合物を20分間攪拌した。反応物を水でクエンチし、10%NaOHを加え、そしてエ−テルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄して、そしてNaSOで乾燥した。ろ過後に溶媒を蒸発させ、そしてEtOAcを溶離液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって生成物を精製した。
H NMR (CDCl) δ 1.31 (2H, m), 1.80 (6H, m), 2.18 (2H, m), 2.75 (2H, m), 3.01 (3H, m), 3.11 (1H, m), 3.51 (3H, m), 5.25 (1H, m)
特許請求の範囲の式(I)によって定義される他の環置換化合物または環修飾化合物は、同様に、例えば図2の出発化合物(2)の環置換類似物または環修飾類似物を使って調製することができることは明白である。
【0254】
一般式Iの範囲内にある一般式IVのさらなる化合物は、次の図6で示される反応を使った並行する化学により調製することができる。
【0255】
図6:チオフェンアミノエステルとラクタムとのピリミジノン合成のための一般的手順
【0256】
【化79】

【0257】
0.25Mのラクタム、0.25Mのアミノエステルおよび0.25MのPOC1を反応容器に連続的に入れる。すべての反応物の1当量を、クロロベンゼン溶液またはクロロベンゼン懸濁液として使う。100℃において80時間震とうした後に、混合物を室温にまで冷却し、5%のNAOAcで洗浄して、そしてEtOAcで抽出する。有機層を回収し、濃縮して所望の化合物を得る。その後、式IVの得られた物質をLC−MSによって分析した。
【0258】
LC−MSシステムは、2つのパーキンエルマーシリ−ズ200マイクロポンプから成り立つ。ポンプは、50μlのティーミキサーによって互いと接続される。ミキサ−は、Gilson215自動サンプラ−に接続している。LC法は、次の工程から成り立つ。
工程 全時間 流速(ul/min) A(%) B(%)
0 0 2300 95 5
1 1.8 2300 0 100
2 2.5 2300 0 100
3 2.7 2300 95 5
4 3.0 2300 95 5
溶液A=0.025%のHCOOHおよび1OmmolのNHHCOOを含む100%の水、pH=+/−3
溶液B=0.025%のHCOOHを含む100%のMeOH
自動サンプラ−は、2μlのインジェクションループを備えている。自動サンプラ−を、3μmの粒子を有するVarian Polaris C18A 30かける4.6mmのカラムに接続する。カラムを、40℃においてパーキンエルマーシリーズ200カラムオーブンでサーモスタット制御する。カラムを、2.7μlフローセルを備えたApplied Biosystems ABI 785 UVメーターに接続する。波長を254nmにセットする。UVメーターを次のパラメータを有しているSciex API 150EX質量分析計に接続する(スキャンレンジ:150〜900Amu、極性:正、スキャンモード:プロファイル、Resolution Q1:UNIT、ステップサイズ:0.10amu、1スキャン時間:0.500秒、NEB:10、CUR:10、IS:5200、TEM:325、DF:30、FP:225、EP:10)。光散乱検出器は、Sciex API150に接続している。光散乱検出器は、50℃で窒素圧3barにおいて操作するSedere Sedex55である。完成したシステムをWindows NTの下で操作してDell optiplex GX400コンピューターによってコントロールする。
【0259】
次の第4表は、2列目および3列目に記載のラクタムおよびアミノ酸エステルから開始して、図6に従って調製された一般式IVの化合物41から53を掲載している。さらに、LC−MS分析によって決定された合成化合物の分子量および保持時間が示される。
第4表:一般式IVの化合物41から53
【0260】
【表5】

【0261】
【表6】

【0262】
生物学的テスト物質および方法。
【0263】
1.17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼタイプ1、タイプ2およびタイプ3酵素の抑制
各々が各17β−HSDイソ酵素の1つを安定的に発現している確立されたMCF−7細胞株におけるインビトロでの17β−HSD酵素活性に関して、化合物をスクリーニングした。各イソ酵素による基質の相互転換およびこれらの細胞株での化学的化合物の17β−HSD抑制性活性は、HPLCシステムによって検出された。
【0264】
様々な量のテスト化合物を、トリチウム標識基質と共に17β−HSD発現細胞の成長培地の中でインキュベートした(17β−HSDタイプ1に対して2nMのエストロン、17β−HSDタイプ2に対して2nMのエストラジオ−ル、17β−HSDタイプ1に対して2nMのアンドロステンジオン)。培地サンプルを正確なインキュベーション時間の後に除去し、そして反応をトリクロロ酢酸(TCA)によって停止させた。サンプルをHPLC連結フローシンチレーション分析によって分析した。
【0265】
各酵素タイプに対して、任意のテスト化合物を含まないコントロ−ルサンプル(「ネガティブコントロール」とする)の変換率を、テストされるための特定の化合物を含んでいるテストサンプル(「テストサンプル」とする)の(減少した)変換率と比較することによって、個別のテスト化合物のHSD抑制活性を計算した。
【0266】
【数1】

【0267】
得られた結果を第3表に示した。各化合物につき2つの濃度を用いた。化合物の番号は、実験セクションの項で示された番号を指す。
第3表:本発明の化合物による17β−HSD酵素タイプ1、タイプ2およびタイプ3の抑制%
【0268】
【表7】

【0269】
【表8】

x):2回実験が行われた。
n.d.=検出されず。
【0270】
2.エストロゲンレセプター結合アッセイ
エストロゲンレセプターαまたはエストロゲンレセプターβへの本発明の化合物の結合親和性は、KoffmAnn他によって記述されたインビトロでのER結合アッセイに従って決定することができる(KoffmAnn B他. (1991) J. Steroid. Biochem.Mol.Biol.38 : 135))。あるいは、エストロゲンレセプター結合アッセイは、国際特許出願PCT/US/17799(WO 00/07996として公開されている)に従って実行することができる。
【0271】
3.エストロゲンレセプタートランス活性化アッセイ
エストロゲンレセプターへの結合親和性を示している本発明の化合物は、その個々のエストロゲン能力または抗エストロゲン能力(ERαまたはERβへのアゴニスト結合またはアンタゴニスト結合)に関してさらにテストすることができる。エストロゲンレセプターアゴニスト活性の決定は、例えば、米国特許出願No.10/289079(US2003/0170292として公開されている)に記述されるMMTV−ERE−LUCレポーターシステムを使って、インビトロでのアッセイシステムにより実行することができる。
【0272】
エストロゲンレセプターアゴニスト活性を分析するために、Hela細胞を24−ウエルマイクロタイタープレートで増殖させ、次にリポフェクトアミンを使って2つのプラスミドで過渡的にコトランスフェクトする。第一のプラスミドは、ヒトエストロゲンレセプター(ERαまたはERβのいずれか)をコード化するDNAを含み、そして第二のプラスミドは、その転写が、マウス乳癌ウイルス(MMTV)のプロモーターの中にクローンされたビテロゲニンエストロゲン反応要素(ERE)の4つの複製物を含んでいる上流調節要素の制御の下にあるルシフェラーゼリポーター遺伝子(LUC)を含んでいるエストロゲン推進主導レポーターシステムを含む(リポーターシステムに対するフルネームが「MMTV−ERE−LUC」である。)。10%のチャコール処理のウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、0.1mMの非必須アミノ酸、および1mMのナトリウムピルビン酸を補ったRPMI1640培地において、5%の二酸化炭素インキュベーター内で37℃で42〜48時間、細胞を本発明の化合物にさらした。同時に、エストラジオ−ル(1nM)にさらされた細胞が陽性のコントロ−ルの役をする。本発明の化合物が溶けている溶媒(すなわち、エタノールまたはメタノ−ル)にさらされた複製ウエルを陰性のコントロ−ルとして用いる。42〜48時間のインキュベート時間の後、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)ですすぎ、溶菌緩衝液(Promega Corp)を加え、そして細胞溶解物をルミノメーターでのルシフェラーゼ活性の測定のために回収する。本発明の化合物のエストロゲン活性は、陰性コントロールで観察されるものと比較して、ルシフェラーゼ活性が数倍増加(fold−increase)しているように表される。
【0273】
あるいは、エストロゲンレセプタートランス活性化活性の決定(エストロゲンアッセイまたはアゴニストアッセイ)およびトランス活性化活性の抑制能力の決定(抗エストロゲン分析あるいはアンタゴニスト分析)は、国際特許出願PCT/US/17799(WO 00/07996として公開されている。)に従って実行することができる。
【0274】
本発明の方法は、その内の少数のみが本明細書中で開示されている種々の実施態様の形で含まれ得ることは理解されるであろう。他の実施態様が存在して、そして発明の精神から外れないことは当業者にとって明白であろう。したがって、記述された実施態様は説明的なものであり、限定するものであると解釈されるべきではない。
【0275】

引用文献
・Labrie et al. (2000)“Role of 17 beta−hydroxysteroid dehydrogenases in sex steroid formation in peripheral intracrine tissues”Trends Endocrinol Metab. , 11: 421−7
・Labrie F et al. (1997) “The key role of 17 beta−hydroxysteroid dehydrogenases in sex steroid biology.”Steroids, 62: 148−58
・Tamaya et al. (1985) “Comparison of cellular levels of steroid receptors in uterine leio− myoma and myometrium. ”Acta Obstet Gynecol Scand. , 64: 307−9・
・“Poirier D. (2003)”Inhibitors of 17 beta−hydroxysteroid dehydrogenases“Curr Med Chem.10: 453−77
・Geissler WM et al. (1994)“Male pseudohermaphroditism caused by mutations of testicular 17beta−hydroxysteroid dehydrogenase 3.”Nat Genet. , 7: 34−9.
・Oefelein MG & Cornum R (2000) ‘Failure to achieve castrate levels of testosterone during luteinizing hormone releasing hormone agonist therapy: the case for monitoring serum testosterone and a treatment decision algorithm.’ J Urol.; 164:726−9.
・US 6,541,463
・WO O1/42181
・WO 98/32724
・WO 98/30556
・WO 99/12540
・Andersson S. (1995) Molecular genetics of androgenic 17β−Hydroxysteroid Dehydrogenases. J. Steroid Biochem, Molec. Biol., 55:533−534].
・Dohg Y et al, (1998). “17β−hydroxysteroid dehydrogenases in human bone cells” J. Bone Min. Res., 13: 1539−1546.
・WO 02/26706
・DE 2411273
・Manhas MS, Sharma SD, Amin SG. (1972) “Heterocyclic compounds. 4. Synthesis and antiinflammatory activity of some substituted thienopyrimidinones.” J Med Chem. 15(1): 106−7
・Kapustina MV; Kharizomenova IA; Shvedov Vl; Radkevich TP; Shipitova LD (1992) “Synthesis and biological activity of 4,8−dioxo−3,4,5,6,7,8−hexahydrobenzothieno[2,3−d]pyrimidine derivatives” Khimiko−Farmatsevticheskii Zhurnal 26(1 ):56−7
・Kapustina MV: Amelkin OYu; Kharizomenova IA; Shvedov VI; Filitis LN (1991) ”Synthesis and tuberculostatic activity of benzothieno[2.3−d]pyrimidines“ Khimiko−Farmatsevticheskii Zhumal 25(7): 38−9
・Koffman B, Modarress KJ, Beckerman T, Bashirelahi N. (1991) “Evidence for involvement of tyrosine in estradiol binding by rat uterus estrogen receptor.” J Steroid Biochem Mol Biol.38(2):135−9.
・WO O0/07996
・US 2003/0170292

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステロイドホルモン依存性疾患または障害、好ましくは17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β−HSD)の抑制を必要としている、最も好ましくは17β−HSDタイプ1、17β−HSDタイプ2または17β−HSDタイプ3酵素の抑制を必要としているステロイドホルモン依存性疾患または障害の治療および/または予防のための薬剤の製造のための、式(I)
【化1】

[式中、
R1およびR2は、同じまたは異なったアルキルを表し、または1つはアルキル、そして他はHであるか、あるいは
R1およびR2は、その結合部位と共に、飽和もしくは環原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、該環は、必要に応じて、R1に結合している窒素原子に加えて、2つまでのヘテロ原子を含み、N原子の数は0から2であり、O原子またはS原子の数は各0〜1であり、
該環が、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される3つまでの置換基で置換され、
R3およびR4は、その結合部位と共に、飽和もしくは炭素原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、
該環が、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される3つまでの置換基で置換される]で示される化合物であるが、但し、該化合物は、1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)−[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒドではない化合物の使用。
【請求項2】
式(II)
【化2】

[式中、
R1およびR2は、同じまたは異なったC〜Cアルキルを表し、または1つはC〜Cアルキルそして他はHであるか、あるいは
R1およびR2は、その結合部位と共に、飽和もしくは環原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、必要に応じて、該環は、R1に結合している窒素原子に加えて、2つまでのN原子を含み、
該環は、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される2つまでの置換基で置換され、
チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖−C(R5)−C(R6)−(CH)−は、飽和または炭素原子の間に1つ以上の二重結合を含んでおり、
nは1から4までの整数であり、そして、R5およびR6は、水素、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される]で示される化合物の、請求項1記載の使用。
【請求項3】
治療に使用するための、式(II)
【化3】

[式中、
R1およびR2は、同じまたは異なったC〜Cアルキルを表し、または1つはC〜Cアルキルそして他はHであるか、あるいは
R1およびR2は、その結合部位と共に、飽和もしくは環原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、該環は、必要に応じて、R1に結合している窒素原子に加えて、2つまでのN原子を含み、
該環は、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される2つまでの置換基で置換され、
チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖−C(R5)−C(R6)−(CH)−は、飽和または炭素原子の間に1つ以上の二重結合を含んでおり、
nは1から4までの整数であり、そして
R5およびR6は、必要に応じて、水素、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択されるが、ただし、
nが1、2または3を表し、そしてR1およびR2が、水素もしくはC−Cアルキルから独立して選択されるか、または3〜5個のメチレン基の非置換アルキレン基、またはアルキレン基の中に2〜4個のメチレン基を有するイミノアルキレン基を一緒に形成し、必要に応じてN原子において置換される場合、少なくとも
(iii)R5もしくはR6は、水素、C−Cアルキルもしくはアルキルカルボキシルとは異ならなければならず、または
(iv)チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖―C(R5)−C(R6)−(CH)−は、不飽和もしくは芳香族でなければならず、
nが2を表し、R1−R2が3〜5個のメチレン基の非置換アルキレン基を形成し、そしてR5がヒドロキシル基もしくはオキソ基を表す場合、R6は、ブロモ、ジブロモもしくはフェニルチオとは異ならなければならならず、あるいは、
nが2を表し、R1−R2が非置換ペンタメチレン基を形成し、そしてR6がカルボニルを表す場合、R5はフェニルチオとは異ならなければならない]で示される化合物。
【請求項4】
式(II)
【化4】

[式中、
R1およびR2は、同じまたは異なったC1〜C8アルキルを表し、または1つはC〜Cアルキルそして他はHであるか、あるいは
R1およびR2は、その結合部位と共に、飽和もしくは環原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、
該環は、必要に応じて、R1に結合している窒素原子に加えて、2つまでのN原子を含み、
該環は、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される2つまでの置換基で置換され、
チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖−C(R5)−C(R6)−(CH)−は、飽和または炭素原子の間に1つ以上の二重結合を含んでおり、
nは1から4までの整数であり、そして
R5およびR6は、水素、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択されるが、ただし
nが1、2または3を表し、そしてR1およびR2が、水素もしくはC−Cアルキルから独立して選択されるか、または3〜5個のメチレン基の非置換アルキレン基、またはアルキレン基の中に2〜4個のメチレン基を有するイミノアルキレン基を一緒に形成し、必要に応じてN原子において置換される場合、
(iii)少なくともR5もしくはR6は、水素、C−Cアルキル、アルキルカルボキシルもしくは=N−OHとは異ならなければならず、または
(iv)チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖―C(R5)−C(R6)−(CH)−は、不飽和もしくは芳香族でなければならず、
nが2を表し、R1−R2が3〜5個のメチレン基の非置換アルキレン基を形成し、そしてR5がヒドロキシル基もしくはオキソ基を表す場合、R6は、水素、ブロモ、ジブロモもしくはフェニルチオとは異ならなければならならず、
nが2を表し、R1−R2が非置換ペンタメチレン基を形成し、そしてR6がカルボニルを表す場合、R5はフェニルチオもしくはクロロとは異ならなければならず、
nが2を表し、チオフェン環に隣接する環系の炭化水素鎖−C(R5)−C(R6)−(CH)−が飽和であり、そしてR1−R2がそれらの結合部位と共に非置換ピリジン環を形成する場合、R5もしくはR6の少なくとも1つは、水素とは異ならなければならず、または、
−C(R5)−C(R6)−(CH)−が非置換テトラメチレン基を表す場合、R1−R2は、カルボキシルエチルエステル基で置換されるテトラメチレン基とは異ならなければならない]で示される新規化合物。
【請求項5】
式(II)で示され、式中
R1およびR2により共に形成される上記五、六、七または八員環系が、オキソ、−CO−R、−CO−O−R、−O−R、必要に応じて−O−R、−S−Rまたは−N(R)で置換される−C−C−アルキルからなる群から独立して選択される2つまでの置換基で置換され、
R5およびR6が、水素、オキソ、ハロゲン、−O−R'、−S−R'、−SO−R'、−CO−R、−CO−O−R、または必要に応じてアルキル鎖において−O−R、−S−R、−N(R)、−CO−R、または=N−O−Rで置換される−C−C−アルキル、−C−C−アルケニルまたは=C−C−アルキレンからなる群から独立して選択され、
Rが水素またはC−C−アルキルを表し、かつ
R'が水素、(直鎖、環状または分岐であり得る)C−C−アルキル、アリール−C−C−アルキル、好ましくはベンジル、またはアリール、好ましくはフェニルを表す、請求項4記載の新規化合物。
【請求項6】
R1およびR2が、それらの結合部位と共に、必要に応じて置換された五、六、七または八員環系を形成し、該環が飽和、または環原子の間に1つ以上の二重結合を含んでおり、該環が、必要に応じて、R1が付加する窒素原子に加えて2つまでのN原子を含んでいる、請求項4または5に記載の式(II)の新規化合物。
【請求項7】
R5が、水素、オキソ、ハロゲン、−OH、−O−C−C−アルキル、−S−C−C−アルキル、−S−C−C−シクロアルキル、−S−フェニル、−SO−フェニルからなる群から選択される、請求項4から6のいずれかに記載の式(II)の新規化合物。
【請求項8】
R6が、水素、カルボニル、アルキルカルボキシル、好ましくは−COOH、−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、または=C−C−アルキレンからなる群から選択され、必要に応じてアルキル鎖において−O−R、−N(R)、−CO−R、または=N−O−Rで置換されており、その際、Rが水素またはC−C−アルキルを表す、請求項4から7のいずれかに記載の式(II)の新規化合物。
【請求項9】
以下の化合物:
2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−4,13(1H,7H)−ジオン、
1,2,6,7,8,9,10−ヘプタヒドロシクロペンタ[4',5']チエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]−アゼピン−3,12−ジオン、
1,2,3,4,8,9,10,11,12−ノナヒドロシクロヘプタ[4',5']チエノ[2',3':4,5]ピリミド−[1,2−a]アゼピン−5(5aH),14−ジオン、
1,2,7,8,9,10,11,12−オクタヒドロ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド−[1,2−a]アゾシン−4,14(3H)−ジオン、
1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロ−12H[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリド[1,2−a]ピリミジン−12−オン、
5,6−ジヒドロ−2,3−ジメチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4,8(3H,7H)−ジオン、
5,6−ジヒドロ−3−メチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4,8(3H,7H)−ジオン、
5,6−ジヒドロ−3−エチル−2−メチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4,8(3H,7H)−ジオン、
4−クロロ−1,2,3,7,8,9,10,11,12−オクタヒドロ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド−[1,2−a]−アゾシン−14−オン−4−カルボキシアルデヒド、
1,2,3,4,5,8,9,10,11,12−デカヒドロ−14H−シクロヘプタ[4',5']チエノ[2',3':4,5]−ピリミド[1,2−a]アゼピン−14−オン、
8−クロロ−5,6−ジヒドロ−3−メチル[1]ベンゾチエノ[2, 3−d]ピリミジン−4(3H)−オン−7−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(エチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(プロピルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(ブチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(イソプロピルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(t−ブチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(シクロペンチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(シクロヘキシルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−ヒドロキシメチル、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(シクロヘキシルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−ヒドロキシメチル
オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−オキシム−メチル、
4−クロロ−1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−ヒドロキシメチル、
3−N,N−ジメチルアミノ−メチレン−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−4,13(1H,7H)−ジオン、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(プロピルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−(3−オキソ)−1−ブテン、および
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(ブチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−(3−オキソ)−1−ブテン、
あるいはこれらの生理学的に認容性の塩から選択される請求項4に記載の式(II)の新規化合物。
【請求項10】
治療において使用される、請求項4から9のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
ステロイドホルモン依存性疾患または障害の治療または予防のための請求項3から9のいずれかで定義される式(I)の化合物の使用。
【請求項12】
上記ステロイドホルモン依存性疾患または障害が、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナ−ゼ酵素、好ましくは、17β−HSDタイプ1、17β−HSDタイプ2または17β−HSDタイプ3の抑制を必要とする疾患または障害である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
ステロイドホルモン依存性疾患または障害、好ましくは17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナ−ゼ(HSD)酵素、最も好ましくは、17β−HSDタイプ1、17β−HSDタイプ2または17β−HSDタイプ3の抑制を必要とする疾患または障害の治療および/または予防のための医薬品の製造のための請求項2から9のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
上記ステロイドホルモン依存性疾患または障害が、乳がん、前立腺がん腫、卵巣がん、子宮がん、子宮内膜がん、子宮内膜肥厚化、子宮内膜症、子宮平滑筋腫、子宮腺筋症、月経困難症、月経過多、不正子宮出血、プロスタジニア、良性前立腺肥大症、前立腺炎、にきび、脂漏症、男性型多毛症、アンドロゲン脱毛症、性早熟症、腎臓肥大、多嚢胞卵巣症候群、尿機能障、骨粗鬆症、多発性硬化症、関節リウマチ、アルツハイマー病、結腸がん、組織損傷、皮膚の皺および白内障からなる群から選択される、請求項12または13に記載の使用。
【請求項15】
活性剤としての請求項2から9のいずれかに記載の式(I)の化合物の内の少なくとも1つ、および少なくとも1つの製剤学的に認容性の担体を含む医薬品組成物。
【請求項16】
請求項1記載の式(I)で示される化合物の製造方法において、
g)式2
【化5】

の化合物またはその環置換類似物もしくは環修飾類似物を、好ましくは、PCCおよびセライトに晒すことにより酸化し、式3
【化6】

で表されるオキソ置換化合物またはその類似物を得て、
h)工程a)で得られたオキソ置換化合物を、さらに必要に応じて、Vils−meier反応に供し、好ましくはPOCl−DMFにより、式4
【化7】

で表されるカルボニル置換化合物またはその類似物を得て、
i)工程b)で得られたカルボニル置換化合物中のクロロ置換基を、さらに必要に応じて、塩基の存在下で適切なチオールに供することによりアルキルチオまたはアリールチオで置換し、式5
【化8】

で表されるアリールチオ置換化合物またはアルキルチオ置換化合物またはそれらの類似物を得て、
j)工程c)で得られたアリールチオ置換化合物またはアルキルチオ置換化合物を、さらに必要に応じて、
i)式6
【化9】

で表される化合物に還元し、
ii)NHOHと反応させて、式7
【化10】

で表される化合物を得るか、
あるいは、
k)工程b)で得られた化合物を、さらに必要に応じて、
i)還元して、カルボニル基をヒドロキシアルキル基に置換し、または
ii)塩基およびアセトンの存在下で適切なチオールに供することにより、クロロ置換基をチオール基で置き換え、そしてカルボニル基をオキソ置換アルケニルに置き換え、
あるいは、
l)工程a)で得られた化合物を、さらに必要に応じて、DMFアセタールに供し、オキソ置換基に隣接する環の中にジメチルアミノメチレン置換基を導入する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステロイドホルモン依存性疾患または障害、好ましくは17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β−HSD)の抑制を必要としている、最も好ましくは17β−HSDタイプ1、17β−HSDタイプ2または17β−HSDタイプ3酵素の抑制を必要としているステロイドホルモン依存性疾患または障害の治療および/または予防のための薬剤の製造のための、式(I)
【化1】

[式中、
R1およびR2は、同じまたは異なったアルキルを表し、または1つはアルキル、そして他はHであるか、あるいは
R1およびR2は、その結合部位と共に、飽和もしくは環原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、該環は、必要に応じて、R1に結合している窒素原子に加えて、2つまでのヘテロ原子を含み、N原子の数は0から2であり、O原子またはS原子の数は各0〜1であり、
該環が、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される3つまでの置換基で置換され、
R3およびR4は、その結合部位と共に、飽和もしくは炭素原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、
該環が、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される3つまでの置換基で置換される]で示される化合物であるが、但し、該化合物は、1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)−[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒドではない化合物の使用。
【請求項2】
式(II)
【化2】

[式中、
R1およびR2は、同じまたは異なったC〜Cアルキルを表し、または1つはC〜Cアルキルそして他はHであるか、あるいは
R1およびR2は、その結合部位と共に、飽和もしくは環原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、必要に応じて、該環は、R1に結合している窒素原子に加えて、2つまでのN原子を含み、
該環は、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される2つまでの置換基で置換され、
チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖−C(R5)−C(R6)−(CH)−は、飽和または炭素原子の間に1つ以上の二重結合を含んでおり、
nは1から4までの整数であり、そして、R5およびR6は、水素、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される]で示される化合物の、請求項1記載の使用。
【請求項3】
治療に使用するための、式(II)
【化3】

[式中、
R1およびR2は、同じまたは異なったC〜Cアルキルを表し、または1つはC〜Cアルキルそして他はHであるか、あるいは
R1およびR2は、その結合部位と共に、飽和もしくは環原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、該環は、必要に応じて、R1に結合している窒素原子に加えて、1つのN原子を含み、
該環は、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される2つまでの置換基で置換され、
チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖−C(R5)−C(R6)−(CH)−は、飽和または炭素原子の間に1つ以上の二重結合を含んでおり、
nは1から4までの整数であり、そして
R5およびR6は、必要に応じて、水素、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択されるが、ただし、
nが1、2または3を表し、そしてR1およびR2が、水素もしくはC−Cアルキルから独立して選択されるか、または3〜5個のメチレン基の非置換アルキレン基、またはアルキレン基の中に2〜4個のメチレン基を有するイミノアルキレン基を一緒に形成し、必要に応じてN原子において置換される場合、少なくとも
(i)R5もしくはR6は、水素、C−Cアルキルもしくはアルキルカルボキシルとは異ならなければならず、または
(ii)チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖―C(R5)−C(R6)−(CH)−は、不飽和もしくは芳香族でなければならず、
nが2を表し、R1−R2が3〜5個のメチレン基の非置換アルキレン基を形成し、そしてR5がヒドロキシル基もしくはオキソ基を表す場合、R6は、ブロモ、ジブロモもしくはフェニルチオとは異ならなければならならず、あるいは、
nが2を表し、R1−R2が非置換ペンタメチレン基を形成し、そしてR6がカルボニルを表す場合、R5はフェニルチオとは異ならなければならない]で示される化合物。
【請求項4】
式(II)
【化4】

[式中、
R1およびR2は、同じまたは異なったC1〜C8アルキルを表し、または1つはC〜Cアルキルそして他はHであるか、あるいは
R1およびR2は、その結合部位と共に、飽和もしくは環原子の間に1つ以上の二重結合を含む五、六、七または八員環系を形成し、
該環は、必要に応じて、R1に結合している窒素原子に加えて、1つのN原子を含み、
該環は、必要に応じて、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択される2つまでの置換基で置換され、
チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖−C(R5)−C(R6)−(CH)−は、飽和または炭素原子の間に1つ以上の二重結合を含んでおり、
nは1から4までの整数であり、そして
R5およびR6は、水素、アルキル、置換アルキル、アリールもしくはアリールアルキル(該アリール基は、必要に応じて置換されている)、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アミノ、オキシム、アシル、カルボキシル、チオカルボキシルおよびアミドからなる群から独立して選択されるが、ただし
nが1、2または3を表し、そしてR1およびR2が、水素もしくはC−Cアルキルから独立して選択されるか、または3〜5個のメチレン基の非置換アルキレン基、またはアルキレン基の中に2〜4個のメチレン基を有するイミノアルキレン基を一緒に形成し、必要に応じてN原子において置換される場合、
(i)少なくともR5もしくはR6は、水素、C−Cアルキル、アルキルカルボキシルもしくは=N−OHとは異ならなければならず、または
(ii)チオフェン環に隣接している環系の炭化水素鎖―C(R5)−C(R6)−(CH)−は、不飽和もしくは芳香族でなければならず、
nが2を表し、R1−R2が3〜5個のメチレン基の非置換アルキレン基を形成し、そしてR5がヒドロキシル基もしくはオキソ基を表す場合、R6は、水素、ブロモ、ジブロモもしくはフェニルチオとは異ならなければならならず、
nが2を表し、R1−R2が非置換ペンタメチレン基を形成し、そしてR6がカルボニルを表す場合、R5はフェニルチオもしくはクロロとは異ならなければならず、
nが2を表し、チオフェン環に隣接する環系の炭化水素鎖−C(R5)−C(R6)−(CH)−が飽和であり、そしてR1−R2がそれらの結合部位と共に非置換ピリジン環を形成する場合、R5もしくはR6の少なくとも1つは、水素とは異ならなければならず、または、
−C(R5)−C(R6)−(CH)−が非置換テトラメチレン基を表す場合、R1−R2は、カルボキシルエチルエステル基で置換されるテトラメチレン基とは異ならなければならず、または、
nが4を表し、チオフェン環に隣接する環系の炭化水素鎖−C(R5)−C(R6)−(CH)−が飽和であり、そしてR2がメチル基もしくはエチル基を表す場合、R1、R5もしくはR6の少なくとも1つは、水素とは異ならなければならない]で示される新規化合物。
【請求項5】
式(II)で示され、式中
R1およびR2により共に形成される上記五、六、七または八員環系が、オキソ、−CO−R、−CO−O−R、−O−R、必要に応じて−O−R、−S−Rまたは−N(R)で置換される−C−C−アルキルからなる群から独立して選択される2つまでの置換基で置換され、
R5およびR6が、水素、オキソ、ハロゲン、−O−R'、−S−R'、−SO−R'、−CO−R、−CO−O−R、または必要に応じてアルキル鎖において−O−R、−S−R、−N(R)、−CO−R、または=N−O−Rで置換される−C−C−アルキル、−C−C−アルケニルまたは=C−C−アルキレンからなる群から独立して選択され、
Rが水素またはC−C−アルキルを表し、かつ
R'が水素、(直鎖、環状または分岐であり得る)C−C−アルキル、アリール−C−C−アルキル、好ましくはベンジル、またはアリール、好ましくはフェニルを表す、請求項4記載の新規化合物。
【請求項6】
R1およびR2が、それらの結合部位と共に、必要に応じて置換された五、六、七または八員環系を形成し、該環が飽和、または環原子の間に1つ以上の二重結合を含んでおり、該環が、必要に応じて、R1が付加する窒素原子に加えて1つのN原子を含んでいる、請求項4または5に記載の式(II)の新規化合物。
【請求項7】
R5が、水素、オキソ、ハロゲン、−OH、−O−C−C−アルキル、−S−C−C−アルキル、−S−C−C−シクロアルキル、−S−フェニル、−SO−フェニルからなる群から選択される、請求項4から6のいずれかに記載の式(II)の新規化合物。
【請求項8】
R6が、水素、カルボニル、アルキルカルボキシル、好ましくは−COOH、−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、または=C−C−アルキレンからなる群から選択され、必要に応じてアルキル鎖において−O−R、−N(R)、−CO−R、または=N−O−Rで置換されており、その際、Rが水素またはC−C−アルキルを表す、請求項4から7のいずれかに記載の式(II)の新規化合物。
【請求項9】
以下の化合物:
2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−4,13(1H,7H)−ジオン、
1,2,6,7,8,9,10−ヘプタヒドロシクロペンタ[4',5']チエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]−アゼピン−3,12−ジオン、
1,2,3,4,8,9,10,11,12−ノナヒドロシクロヘプタ[4',5']チエノ[2',3':4,5]ピリミド−[1,2−a]アゼピン−5(5aH),14−ジオン、
1,2,7,8,9,10,11,12−オクタヒドロ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド−[1,2−a]アゾシン−4,14(3H)−ジオン、
1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロ−12H[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリド[1,2−a]ピリミジン−12−オン、
5,6−ジヒドロ−2,3−ジメチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4,8(3H,7H)−ジオン、
5,6−ジヒドロ−3−メチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4,8(3H,7H)−ジオン、
5,6−ジヒドロ−3−エチル−2−メチル[1]ベンゾチエノ[2,3−d]ピリミジン−4,8(3H,7H)−ジオン、
4−クロロ−1,2,3,7,8,9,10,11,12−オクタヒドロ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド−[1,2−a]−アゾシン−14−オン−4−カルボキシアルデヒド、
1,2,3,4,5,8,9,10,11,12−デカヒドロ−14H−シクロヘプタ[4',5']チエノ[2',3':4,5]−ピリミド[1,2−a]アゼピン−14−オン、
8−クロロ−5,6−ジヒドロ−3−メチル[1]ベンゾチエノ[2, 3−d]ピリミジン−4(3H)−オン−7−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(エチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(プロピルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(ブチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(イソプロピルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(t−ブチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(シクロペンチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(シクロヘキシルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−カルボキシアルデヒド、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−ヒドロキシメチル、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(シクロヘキシルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−ヒドロキシメチル
オクタヒドロ−13−オキソ−4−(フェニルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−オキシム−メチル、
4−クロロ−1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド[1,2−a]アゼピン−3−ヒドロキシメチル、
3−N,N−ジメチルアミノ−メチレン−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]ピリミド[1,2−a]アゼピン−4,13(1H,7H)−ジオン、
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(プロピルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−(3−オキソ)−1−ブテン、および
1,2,7,8,9,10,11,13−オクタヒドロ−13−オキソ−4−(ブチルチオ)[1]ベンゾチエノ[2',3':4,5]−ピリミド−[1,2−a]アゼピン−3−(3−オキソ)−1−ブテン、
あるいはこれらの生理学的に認容性の塩から選択される請求項4に記載の式(II)の新規化合物。
【請求項10】
治療において使用される、請求項4から9のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
ステロイドホルモン依存性疾患または障害の治療または予防のための請求項3から9のいずれかで定義される式(I)の化合物の使用。
【請求項12】
上記ステロイドホルモン依存性疾患または障害が、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナ−ゼ酵素、好ましくは、17β−HSDタイプ1、17β−HSDタイプ2または17β−HSDタイプ3の抑制を必要とする疾患または障害である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
ステロイドホルモン依存性疾患または障害、好ましくは17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナ−ゼ(HSD)酵素、最も好ましくは、17β−HSDタイプ1、17β−HSDタイプ2または17β−HSDタイプ3の抑制を必要とする疾患または障害の治療および/または予防のための医薬品の製造のための請求項2から9のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
上記ステロイドホルモン依存性疾患または障害が、乳がん、前立腺がん腫、卵巣がん、子宮がん、子宮内膜がん、子宮内膜肥厚化、子宮内膜症、子宮平滑筋腫、子宮腺筋症、月経困難症、月経過多、不正子宮出血、プロスタジニア、良性前立腺肥大症、前立腺炎、にきび、脂漏症、男性型多毛症、アンドロゲン脱毛症、性早熟症、腎臓肥大、多嚢胞卵巣症候群、尿機能障、骨粗鬆症、多発性硬化症、関節リウマチ、アルツハイマー病、結腸がん、組織損傷、皮膚の皺および白内障からなる群から選択される、請求項12または13に記載の使用。
【請求項15】
活性剤としての請求項2から9のいずれかに記載の式(I)の化合物の内の少なくとも1つ、および少なくとも1つの製剤学的に認容性の担体を含む医薬品組成物。
【請求項16】
請求項1記載の式(I)で示される化合物の製造方法において、
a)式2
【化5】

の化合物またはその環置換類似物もしくは環修飾類似物を、好ましくは、PCCおよびセライトに晒すことにより酸化し、式3
【化6】

で表されるオキソ置換化合物またはその類似物を得て、
b)工程a)で得られたオキソ置換化合物を、さらに必要に応じて、Vils−meier反応に供し、好ましくはPOCl−DMFにより、式4
【化7】

で表されるカルボニル置換化合物またはその類似物を得て、
c)工程b)で得られたカルボニル置換化合物中のクロロ置換基を、さらに必要に応じて、塩基の存在下で適切なチオールに供することによりアルキルチオまたはアリールチオで置換し、式5
【化8】

で表されるアリールチオ置換化合物またはアルキルチオ置換化合物またはそれらの類似物を得て、
d)工程c)で得られたアリールチオ置換化合物またはアルキルチオ置換化合物を、さらに必要に応じて、
i)式6
【化9】

で表される化合物に還元し、
ii)NHOHと反応させて、式7
【化10】

で表される化合物を得るか、
あるいは、
e)工程b)で得られた化合物を、さらに必要に応じて、
i)還元して、カルボニル基をヒドロキシアルキル基に置換し、または
ii)塩基およびアセトンの存在下で適切なチオールに供することにより、クロロ置換基をチオール基で置き換え、そしてカルボニル基をオキソ置換アルケニルに置き換え、
あるいは、
f)工程a)で得られた化合物を、さらに必要に応じて、DMFアセタールに供し、オキソ置換基に隣接する環の中にジメチルアミノメチレン置換基を導入する方法。

【公表番号】特表2006−527227(P2006−527227A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515870(P2006−515870)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006231
【国際公開番号】WO2004/110459
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
WINDOWS
【出願人】(398027159)ソルベイ ファーマシューティカルズ ビー ヴィ (2)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Pharmaceuticals B.V.
【住所又は居所原語表記】C.J.van Houtenlaan 36,Weesp,The Netherlands
【Fターム(参考)】