18[F2]フッ素の製造用18O[O2]酸素の補充方法
【課題】所定のガス容積を、高圧の大ガス容積から極低温冷却によって小容積に移送する。
【解決手段】補充装置(130)は、第1流体容器(220)、第2流体容器(210)、並びに第1流体容器及び第2流体容器をガスの供給源(205)に連結する接続装置を包含する。第1流体容器は、ガスから凝縮された或る量の液体に対応する容積を有し、ガスは、相変態のときに第1流体容器と第2流体容器との合計容積以内で所望のガス圧を発現する。第1流体容器は、第1流体容器を極低温に冷却するために液体窒素浴(230)の中に浸漬ためのコイル状配管であるのが好ましく、それによってガスを凝縮して液体形態にする。本発明は、[18O]酸素ガスを、[18F]フッ素ガス製造のための[18O]O2/F2標的システムに提供するのに特に最適である。所望の圧力は、補充装置の各補充の間の製造ランの工業的に重要な回数に対して適切な量の[18O]酸素ガスを[18O]O2/F2標的システムに供給するために40〜50バールが理想的である。
【解決手段】補充装置(130)は、第1流体容器(220)、第2流体容器(210)、並びに第1流体容器及び第2流体容器をガスの供給源(205)に連結する接続装置を包含する。第1流体容器は、ガスから凝縮された或る量の液体に対応する容積を有し、ガスは、相変態のときに第1流体容器と第2流体容器との合計容積以内で所望のガス圧を発現する。第1流体容器は、第1流体容器を極低温に冷却するために液体窒素浴(230)の中に浸漬ためのコイル状配管であるのが好ましく、それによってガスを凝縮して液体形態にする。本発明は、[18O]酸素ガスを、[18F]フッ素ガス製造のための[18O]O2/F2標的システムに提供するのに特に最適である。所望の圧力は、補充装置の各補充の間の製造ランの工業的に重要な回数に対して適切な量の[18O]酸素ガスを[18O]O2/F2標的システムに供給するために40〜50バールが理想的である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、放射性核種の製造に関し、詳しくは、[18F]フッ素ガスの製造システムの中で[18O]酸素を補充する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
ポジトロン放出断層撮影法(PET)は、生存被験者の組織内のポジトロン放出放射性医薬品の濃度を測定するための医療用撮像技術である。サイクロトロンで生成したフッ素−18の放射性核種から調製される放射性医薬品は、脳、心臓、の研究及び臨床研究のための種々のPET生物学的プローブの中で、及びガンの診断で広い用途を見出してきた。典型的PET処置の中では、放射性医薬品が被験者の血流に投与され、次いで生体内で放射性医薬品から放出されるポジトロン放射能の分布が、時間の関数として放出断層撮影法により測定される。被験者の組織が放射性医薬品と相互に作用するとき、コンピュータによる再構成手法が行なわれて、組織の断層撮影画像が得られる。
【0003】
[18F]フッ素ガスの形態のフッ素−18の合成は、PET研究では重要な段階である。フッ素−18の半減期は約109.8分なので、PET操作者は、輸送中に、生成同位体の大部分を失わないように、現場でのフッ素−18生成サイクロトロンを有するのが好ましい。
【0004】
[18F]フッ素ガスの従来の製造は、一般に、サイクロトロンで発生した陽子ビーム及び18O2含有ターゲットを使う“ツー・ショット”法を利用する。例えば、アール・ジェイ・ニッケルス(R.J.Nickles)等、“アン・18O2ターゲット・フォア・ザ・プロダクション・オブ・[18F]F2(An 18O2Target for the Production of [18F]F2)”、インターナショナル・ジャーナル・オブ・アプライド・ラジエーション・アンド・アイソトープス(Int.J.Appl.Radiat.Isot.)、1984年、第35巻、第2号、p.117−122;エイ・ビショップ(A.Bishop)等、“プロトン・イラジエーション・オブ・[18O]O2:プロダクション・オブ・[18F]F2アンド [18F]F2+[18F]OF2(Proton Irradiation of [18O]O2:Production of [18F]F2 and [18F]F2+[18F]OF2)”、“ニュークレア・メディシン・アンド・バイオロジー(Nuclear Medicine&Biology)、1996年、第23巻、p.189−199;及びエイ・ディ・ロバーツ(A.D.Roberts)等、“デベロプメント・オブ・アン・インプルブド・ターゲット・フォア [18F]F2 プロダクション(Development of An Improved Tagret for [18F]F2Production)”、アプライド・ラジエーション・アンド・アイソトープス(Appl.Radiat.Isot.)、1995年、第46巻、第2号、p.87−91を参照されたい、これらの開示内容は、引用文献によって本明細書に完全に組み入れられている。“ツー・ショット”法の製造プロセスでは、同位体18O2で濃縮された酸素ガスターゲットは、約45分間、サイクロトロンで生成した40μAの16.5MeVの陽子ビームで先ず衝撃(ショット)される。この第1ショットの過程で、サイクロトロンからの陽子は、[18O]O2ガス分子と衝突し、それによって、負に荷電した18Fイオンを生成する18O(p、n)18F核反応が起こる。これらの18F(−)イオンは、ターゲットの壁に付着して、陽子の第2衝撃(ショット)が放射性フッ素を“ウォッシュ・アウト(wash out)”するのに必要である。この第2ショットでは、標的容積中の[18O]同位体の濃縮酸素ガスは、極低温冷却によって除去されて、0.1〜2%F2(コールド(cold)、即ち、非放射性、F2)とアルゴン(Ar)との混合物で置き換えられ、この混合物は、その後、20分間、サイクロトロンで更に生成した35μAの16.5MeVの陽子ビームで照射される。ArとコールドF2の第2衝撃によって、気相で有用なレベルの[18F]F2を生成するフッ素交換の推進に成功する。
【0005】
更に、経済的検討によっても、操作者は、同位体的に濃縮された[18O]酸素ガスを効率的に使用し、そして保存せざるを得なくなり、その酸素ガスから[18F]フッ素ガスが合成される。濃縮[18O]酸素ガスは高価であり、慎重に取り扱われなければならない。このガスは可成り少量でも販売されていて、使用に当たっては、[18F]F2製造設備の適当な貯蔵容器に、濃縮酸素ガスで満杯の瓶を空にできることが重要である。酸素貯蔵容器の容積を減らすことにより、製造設備の総合的安全が改善され、そして一旦、酸素がシステムの中に入れられても、大量の酸素ガスを消失したり又は汚染する恐れは減る。
【0006】
前述のような[18F]フッ素ガスの製造過程では、貯蔵容器を過剰の[18O]酸素ガスで満たしたり、或いは余りにも少量の[18O]酸素ガスしか入れない恐れがある。[18O]酸素ガスが多すぎると不経済であり、[18F]フッ素製造システム内の貯蔵容器ばかりでなく、その他の構成要素にもダメージを与える可能性がある。[18O]酸素ガスが少な過ぎると、貯蔵容器は有効な量の[18F]F2を製造するために充分な[18O]酸素を提供できない。[18O]酸素の的確な量を貯蔵容器へ繰り返し配送するための更に信頼性のある、安全な技術が開発されれば極めて有用である。
【特許文献1】米国特許公開第2001/0043663号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、[18O]酸素の補充システムの中で、[18O]酸素ガスの予め定められた容積、圧力、及び温度と同等の液体によって定義される容積を有する中間容器を提供することにより、先行技術のこれら、及びその他の欠点を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の少なくとも1つの実施態様では、補充装置は、第1流体容器、第2流体容器、並びに第1流体容器及び第2流体容器をガス供給源に連結するための接続装置を含み、この場合、第1流体容器は、ガスから凝縮される或る量の液体に対応する容積を有し、このガスは、相変態のときに第1流体容器と第2流体容器との全容積以内で所望のガス圧を発現する。第1流体容器は、第1流体容器を極低温に冷却するために液体窒素浴の中に浸漬するためのコイル状配管であるのが好ましく、それによって、ガスを凝縮して液体の形態にする。モーターが包含されて、配管コイルを適当な時間に液体窒素浴に出し入れができる。本装置は、[18O]酸素ガスを[18O]O2/F2標的システムに提供するのに特に最適である。所望の圧力は、予め定められた製造ラン(run)の回数に対して適切な量の[18O]酸素ガスを[18O]O2/F2標的システムに供給する装置を基準にするのが理想的である。本装置の操作から得られる所望のガス圧は40〜50バールが好ましい。
【0009】
本発明の少なくとも1つの実施態様では、1つの方法は、第1流体容器を極低温に冷却する段階、及びガスを、極低温に冷却された第1流体容器に供給する段階を含み、この場合、前記ガスは極低温に冷却された第1流体容器の中で凝縮して液体形態になる。第1流体容器が凝縮液体で満杯になったときに、本方法は、更に、第1流体容器を温めて凝縮液体を変態させてガスにする段階、及び変態ガスを膨張させて第2流体容器に入れる段階を包含する。こうして得られる変態ガスは、第1流体容器の中の凝縮液体の全容積を基準にして、第1流体容器と第2流体容器との合計容積以内で所望のガス圧を有する。第1流体容器は、液体窒素の浴の中に浸漬し配管を極低温に冷却してガスを凝縮して液体の形態にするためのコイル状配管であるのが好ましい。液体を変態させてガスに戻すためには、適用されている液体窒素浴は第1流体容器から取り外される。本プロセスは、[18O]酸素ガスが、[18F]フッ素ガスを製造する[18O]O2/F2標的システムで使用されるのには理想的に適している。
【0010】
本発明の例示の実施態様の1つの長所は、本発明が、的確な量の[18O]酸素を、補充システムの中のガス貯蔵容器に繰り返し配送するために、信頼できる、安全な技術を提供することである。
【0011】
本発明の例示のもう1つの長所は、本発明が、貯蔵容器を過多の[18O]酸素で過剰に充填する恐れを解消しなくても、減らすことである。更に、補充工程で機器(例えば、真空ポンプ)がガスと干渉しないので、本発明の例示の実施態様は、考えられる最高のガス純度を維持できる。
【0012】
前記及びその他の特徴及び長所は、本発明の好ましい実施態様の次の、更に具体的説明、付図及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0013】
本発明の目的及びその長所を、より完全に理解するために、付図を参照しながら、今から次の説明を行なう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の好ましい実施態様及びそれらの長所は、図1−3を参照することにより理解され得るのであり、図1−3では同じ参照番号は同じ要素を指し、そしてツー・ショット法[18O]O2/F2標的システムの場合の[18O]酸素の補充装置についての文脈の中で説明される。それにも拘らず、本発明は、あらゆるタイプの補充システム(及びあらゆるガス)に、及び、よく定義されたガス容積物を高圧の比較的大きいガス容積物から、極低温冷却により、比較的小さい容積物へ配送することによってメリットを得る同様な物に適用可能である。
【0015】
図1を見ると、本発明の少なくとも1つの実施態様に従ってツー・ショット法[18O]O2/F2標的システムが示されている。本システム100は、サイクロトロン110、標的容積120、[18O]酸素の補充装置130、アルゴン貯蔵容器140、Ar/F2貯蔵容器150、ポンプ160、及び弁A−I(弁A−Iは図2に示している)を包含する。ツー・ショット法の操作では、標的容積120は、先ずポンプ160によって排気され、次いで閉弁Eを閉じることによってポンプ160から分離される。標的容積120は、補充装置130から[18O]酸素で充填されたのち、弁Bは閉じられる。1つの実施態様に従って、普通の当業者には実施が明白であるサイクロトロン110によって、15.5MeVの陽子ビームが生成(例えば、40μAで約45分間)したのち、そのビームは標的容積120内の[18O]酸素へ向い、18F(−)イオンが生成する18O(p、n)18F核反応を行ない、そしてこのイオンは標的容積120の壁に付着する。45分後に、陽子の生成が停止し、標的容積120の中に残留する未使用の[18O]酸素は、液体窒素浴の中で冷却されて弁Bを開放することにより低温ポンプによって酸素補充装置130の中に戻される。標的容積120は、貯蔵容器140からのアルゴンと貯蔵容器150からのF2/Arとの適当なウォッシュ・アウト混合物で補充される。次いで、サイクロトロン110は、再び16.5MeV、35μAの陽子ビームで20分間、標的容積120を照射するが、これによって気相で、有用なレベルの[18F]F2を生成するフッ素交換が行なわれ、この[18F]F2は、最終的には弁B及び弁Cを通して標的容積120から放出される。
【0016】
フッ素同位体を製造するための標的容積120の設計に妥当なパラメータは、ビーム攻撃容積、形状、及び材料である。本発明の主眼ではないけれども、標的容積120として別の標的容積を使用できること、及び標的容積120の設計値を変更すると、システム100の中で回収される総合[18F]F2の量に影響を及ぼすことがあることに注目することは価値がある。18O(p、n)18F反応用の標的容積は、ビーム入口直径10−15mm、ビーム出口直径10−23mm、及び容積7.9−14.6ccの円錐形孔又は直線形孔を使って実施できる。標的容積120は、限定はされないが、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、又は金メッキ銅のような材料で構成できる。
【0017】
ウォッシュ・アウト混合物は、アルゴン貯蔵容器140及びAr/F2貯蔵容器150によって供給される。これらの貯蔵容器140及び150は、各々、貯蔵容器をガスの外部供給源に連結するための、交換式タンク、又は入口付き(示されていない)詰め替え式貯蔵容器として使用できる。アルゴンが好ましいけれども、クリプトン(Kr)又はネオン(Ne)のような他の貴ガスを使用できる。Ar/F2貯蔵容器150は、随意に活性ナトリウム−フッ素(NaF)トラップ155に連結し、考えられる僅かなフッ化水素汚染物も貯蔵容器150から取り除くことができる。
【0018】
ポンプ160は、慣用のいかなるタイプの真空ポンプでもよく、そのポンプの識別及び作業は(普通の)当業者には明白である。随意のソーダ石灰トラップ165をポンプ160に連結し、有害なF2が真空ポンプオイルを汚染しないように、及び真空排気口から逃散しないようにすることができる。
【0019】
弁A−Iは、各々、CPU(中央演算処理装置)及び/又は手動弁によって遠隔制御されるソレノイドを包含することができる。これらの弁A−Iは、いろいろな時間に開閉し、適当に加圧されたガスが、本明細書に記載のシステム100の中の種々の構成要素の方へ、及びその構成要素から流れるようにすることができる。システム100の中の構成要素(サイクロトロン110を除く)は、適当な導管、例えばパイプ及び/又はチューブ、によって互いに連結され、これらの導管の認識及び作業は種々のガスを輸送するために、(普通の)当業者には明白である。(普通の)当業者は、圧力監視装置のようなその他の構成要素が、必要と思われる場合にはシステム100に連結できることを認識している。
【0020】
図2を見ると、[18O]酸素補充装置130が、本発明の少なくとも1つの実施態様に従って図示されている。[18O]酸素補充装置130は、[18O]酸素貯蔵容器210、中間容器220、及び液体窒素ジュワー瓶230を含む。外側の着脱式[18O]酸素瓶205は、補充中は、図に示しているように補充装置130に連結される。圧力変換器(示されていない)も補充装置130に連結され圧力を監視できる。[18O]酸素瓶205は、弁Iに連結される取替え式タンク又は瓶として使用される。貯蔵容器210は、標的容積120を、予め定められた圧力、例えば10バール(陽子ビームエネルギー、ターゲット寸法等によって、他の圧力を使用できる)、に充満できるのに充分な圧力を維持すべきである。例示の実施態様では、貯蔵容器210は60mlの容積を有し、適当な製造回数に対して貯蔵容器を補充する必要はなく標的容積を10バールに充填できるには27バールの最小圧力を必要とする。中間容器220は、約3.3mlの容積を有し(3.3mlは冷却される容積に等しく、中間容器220の全容積は、或る例示の場合のように更に大きくてもよく、中間容器220は、らせん状ループ部を下げて液体窒素(LN2)に浸漬できるように、らせん状のループ及び長い“ネック(neck)”を含む)、補充システムの全容積は約60mlである([18O]酸素瓶205を含まない)。この例示の実施態様では、[18O]酸素瓶205から貯蔵容器210を補充しなければならない前に、10回の製造ランを達成できる。
【0021】
中間容器220は、予め定められた容積の[18O]酸素ガスが、確実に補充装置130の中に充填されるように装備されている。詳しくは、中間容器220は、液体形態の[18O]酸素で満杯になるとき、ガスに変化されるときのその液体は、周囲温度で、選択された回数の[18F]フッ素製造ランに対して持続するのに充分なガス(しかし、システムに負荷を掛け過ぎない)で酸素補充装置130を充填するのに必要な[18O]酸素ガスの量及び圧力に等しくなるように、中間容器220の容積が選ばれる。言い換えれば、中間容器220の容積は、液相ではなく、所望の[18O]酸素ガス容積及び圧力を基準としている。[18O]酸素ガスが凝縮して液体になるように中間容器220を77°Kに冷却するために、液体窒素ジュワー瓶230が使用される。液体窒素ジュワー瓶230は、液体窒素浴を中間容器220と接触させたり、或いは接触させなかったりするように配置できるモーターに連結されるのが好ましい。中間容器220は、液体窒素との接触表面を最大するためにコイル状配管の形状のようであるのが好ましく、それによって、冷却工程が促進される。しかしながら、限定はされないが、円筒のようなコイル状配管以外の形状を使用できる。中間容器220は、数百の製造ランを続行するために、及び操作者に、安全で、繰り返し可能で、信頼できるプロセスを提供するように設計され得る。
【0022】
図3を見ると、[18O]酸素補充装置130の操作プロセス300が、本発明の少なくとも1つの実施態様に従って図示されている。詳しくは、補充装置130が排気された(段階310)後、弁Dは閉じられる。中間容器220がジュワー瓶230の中で液体窒素(LN2)によって極低温に冷却(段階320)され、[18O]酸素瓶205に通じる弁Iが開けられる(段階330)。[18O]酸素ガスは中間容器220内で凝縮して液体形態になる。中間容器220が液体[18O]酸素で満杯のとき(圧力は安定して、[18O]酸素瓶205の設定圧力、例えば1バール、に等しい)、弁Iを閉じて(段階340)、液体窒素を中間容器220から減少させる(例えば、液面が下がる)。中間容器220を、再度、室温まで温めるにつれて、液体[18O]酸素は蒸発してガスとなり、貯蔵容器210及び中間容器220の中で膨張され(段階350)、それによって、予め定められた圧力で正確な量の[18O]酸素ガスが生成する(例えば、約44バールで3.3mlの液体[18O]O2酸素から膨張して約60mlの容積=50mlが貯蔵容器+3.3mlがループ+6.7mlが配管、接続部、等)。
【0023】
弁Iは、[18O]酸素瓶205の近くに配置され、その瓶からの選ばれた量のガス(中間容器220の容積によって決められる)が極低温に冷却される。ガスが膨張するとき、ガスは膨張して或る容積になる筈なので、貯蔵容器210と中間容器220との間にはいずれの弁も無いのが好ましい。そうでなければ、中間容器220及び多分ツー・ショット法[18O]O2/F2標的システム100は極めて高圧のもとに置かれる場合があり、配管、接続部、及び弁は破損するかも知れない。
【0024】
陽子ビームによると考えられるパラメータ値、例えばエネルギー、電流、及び時間ばかりでなく、種々のガス及び容器の容積及び圧力によると考えられるパラメータ値も、単なる例に過ぎない。(普通の)当業者は、これらのパラメータが必要又は望ましいと思われるように変化し得ることを理解している。
【0025】
本発明を、本発明の幾つかの好ましい実施態様を参照しながら、具体的に示し、説明してきたけれども、添付の特許請求の範囲で定義されるように、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本明細書の中の形態及び詳細の種々の変更が可能であることは当業者によって理解されるであろう。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の少なくとも1つの実施態様によるツー・ショット法[18O]O2/F2標的システムを示す図である。
【図2】本発明の少なくとも1つの実施態様による[18O]酸素補充装置を示す図である。
【図3】図2の[18O]酸素補充装置の操作プロセスを示す図である。
【符号の説明】
【0027】
110 サイクロトロン
120 標的容積
130 酸素補充装置
160 ポンプ
220 中間容器
230 液体窒素浴
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、放射性核種の製造に関し、詳しくは、[18F]フッ素ガスの製造システムの中で[18O]酸素を補充する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
ポジトロン放出断層撮影法(PET)は、生存被験者の組織内のポジトロン放出放射性医薬品の濃度を測定するための医療用撮像技術である。サイクロトロンで生成したフッ素−18の放射性核種から調製される放射性医薬品は、脳、心臓、の研究及び臨床研究のための種々のPET生物学的プローブの中で、及びガンの診断で広い用途を見出してきた。典型的PET処置の中では、放射性医薬品が被験者の血流に投与され、次いで生体内で放射性医薬品から放出されるポジトロン放射能の分布が、時間の関数として放出断層撮影法により測定される。被験者の組織が放射性医薬品と相互に作用するとき、コンピュータによる再構成手法が行なわれて、組織の断層撮影画像が得られる。
【0003】
[18F]フッ素ガスの形態のフッ素−18の合成は、PET研究では重要な段階である。フッ素−18の半減期は約109.8分なので、PET操作者は、輸送中に、生成同位体の大部分を失わないように、現場でのフッ素−18生成サイクロトロンを有するのが好ましい。
【0004】
[18F]フッ素ガスの従来の製造は、一般に、サイクロトロンで発生した陽子ビーム及び18O2含有ターゲットを使う“ツー・ショット”法を利用する。例えば、アール・ジェイ・ニッケルス(R.J.Nickles)等、“アン・18O2ターゲット・フォア・ザ・プロダクション・オブ・[18F]F2(An 18O2Target for the Production of [18F]F2)”、インターナショナル・ジャーナル・オブ・アプライド・ラジエーション・アンド・アイソトープス(Int.J.Appl.Radiat.Isot.)、1984年、第35巻、第2号、p.117−122;エイ・ビショップ(A.Bishop)等、“プロトン・イラジエーション・オブ・[18O]O2:プロダクション・オブ・[18F]F2アンド [18F]F2+[18F]OF2(Proton Irradiation of [18O]O2:Production of [18F]F2 and [18F]F2+[18F]OF2)”、“ニュークレア・メディシン・アンド・バイオロジー(Nuclear Medicine&Biology)、1996年、第23巻、p.189−199;及びエイ・ディ・ロバーツ(A.D.Roberts)等、“デベロプメント・オブ・アン・インプルブド・ターゲット・フォア [18F]F2 プロダクション(Development of An Improved Tagret for [18F]F2Production)”、アプライド・ラジエーション・アンド・アイソトープス(Appl.Radiat.Isot.)、1995年、第46巻、第2号、p.87−91を参照されたい、これらの開示内容は、引用文献によって本明細書に完全に組み入れられている。“ツー・ショット”法の製造プロセスでは、同位体18O2で濃縮された酸素ガスターゲットは、約45分間、サイクロトロンで生成した40μAの16.5MeVの陽子ビームで先ず衝撃(ショット)される。この第1ショットの過程で、サイクロトロンからの陽子は、[18O]O2ガス分子と衝突し、それによって、負に荷電した18Fイオンを生成する18O(p、n)18F核反応が起こる。これらの18F(−)イオンは、ターゲットの壁に付着して、陽子の第2衝撃(ショット)が放射性フッ素を“ウォッシュ・アウト(wash out)”するのに必要である。この第2ショットでは、標的容積中の[18O]同位体の濃縮酸素ガスは、極低温冷却によって除去されて、0.1〜2%F2(コールド(cold)、即ち、非放射性、F2)とアルゴン(Ar)との混合物で置き換えられ、この混合物は、その後、20分間、サイクロトロンで更に生成した35μAの16.5MeVの陽子ビームで照射される。ArとコールドF2の第2衝撃によって、気相で有用なレベルの[18F]F2を生成するフッ素交換の推進に成功する。
【0005】
更に、経済的検討によっても、操作者は、同位体的に濃縮された[18O]酸素ガスを効率的に使用し、そして保存せざるを得なくなり、その酸素ガスから[18F]フッ素ガスが合成される。濃縮[18O]酸素ガスは高価であり、慎重に取り扱われなければならない。このガスは可成り少量でも販売されていて、使用に当たっては、[18F]F2製造設備の適当な貯蔵容器に、濃縮酸素ガスで満杯の瓶を空にできることが重要である。酸素貯蔵容器の容積を減らすことにより、製造設備の総合的安全が改善され、そして一旦、酸素がシステムの中に入れられても、大量の酸素ガスを消失したり又は汚染する恐れは減る。
【0006】
前述のような[18F]フッ素ガスの製造過程では、貯蔵容器を過剰の[18O]酸素ガスで満たしたり、或いは余りにも少量の[18O]酸素ガスしか入れない恐れがある。[18O]酸素ガスが多すぎると不経済であり、[18F]フッ素製造システム内の貯蔵容器ばかりでなく、その他の構成要素にもダメージを与える可能性がある。[18O]酸素ガスが少な過ぎると、貯蔵容器は有効な量の[18F]F2を製造するために充分な[18O]酸素を提供できない。[18O]酸素の的確な量を貯蔵容器へ繰り返し配送するための更に信頼性のある、安全な技術が開発されれば極めて有用である。
【特許文献1】米国特許公開第2001/0043663号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、[18O]酸素の補充システムの中で、[18O]酸素ガスの予め定められた容積、圧力、及び温度と同等の液体によって定義される容積を有する中間容器を提供することにより、先行技術のこれら、及びその他の欠点を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の少なくとも1つの実施態様では、補充装置は、第1流体容器、第2流体容器、並びに第1流体容器及び第2流体容器をガス供給源に連結するための接続装置を含み、この場合、第1流体容器は、ガスから凝縮される或る量の液体に対応する容積を有し、このガスは、相変態のときに第1流体容器と第2流体容器との全容積以内で所望のガス圧を発現する。第1流体容器は、第1流体容器を極低温に冷却するために液体窒素浴の中に浸漬するためのコイル状配管であるのが好ましく、それによって、ガスを凝縮して液体の形態にする。モーターが包含されて、配管コイルを適当な時間に液体窒素浴に出し入れができる。本装置は、[18O]酸素ガスを[18O]O2/F2標的システムに提供するのに特に最適である。所望の圧力は、予め定められた製造ラン(run)の回数に対して適切な量の[18O]酸素ガスを[18O]O2/F2標的システムに供給する装置を基準にするのが理想的である。本装置の操作から得られる所望のガス圧は40〜50バールが好ましい。
【0009】
本発明の少なくとも1つの実施態様では、1つの方法は、第1流体容器を極低温に冷却する段階、及びガスを、極低温に冷却された第1流体容器に供給する段階を含み、この場合、前記ガスは極低温に冷却された第1流体容器の中で凝縮して液体形態になる。第1流体容器が凝縮液体で満杯になったときに、本方法は、更に、第1流体容器を温めて凝縮液体を変態させてガスにする段階、及び変態ガスを膨張させて第2流体容器に入れる段階を包含する。こうして得られる変態ガスは、第1流体容器の中の凝縮液体の全容積を基準にして、第1流体容器と第2流体容器との合計容積以内で所望のガス圧を有する。第1流体容器は、液体窒素の浴の中に浸漬し配管を極低温に冷却してガスを凝縮して液体の形態にするためのコイル状配管であるのが好ましい。液体を変態させてガスに戻すためには、適用されている液体窒素浴は第1流体容器から取り外される。本プロセスは、[18O]酸素ガスが、[18F]フッ素ガスを製造する[18O]O2/F2標的システムで使用されるのには理想的に適している。
【0010】
本発明の例示の実施態様の1つの長所は、本発明が、的確な量の[18O]酸素を、補充システムの中のガス貯蔵容器に繰り返し配送するために、信頼できる、安全な技術を提供することである。
【0011】
本発明の例示のもう1つの長所は、本発明が、貯蔵容器を過多の[18O]酸素で過剰に充填する恐れを解消しなくても、減らすことである。更に、補充工程で機器(例えば、真空ポンプ)がガスと干渉しないので、本発明の例示の実施態様は、考えられる最高のガス純度を維持できる。
【0012】
前記及びその他の特徴及び長所は、本発明の好ましい実施態様の次の、更に具体的説明、付図及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0013】
本発明の目的及びその長所を、より完全に理解するために、付図を参照しながら、今から次の説明を行なう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の好ましい実施態様及びそれらの長所は、図1−3を参照することにより理解され得るのであり、図1−3では同じ参照番号は同じ要素を指し、そしてツー・ショット法[18O]O2/F2標的システムの場合の[18O]酸素の補充装置についての文脈の中で説明される。それにも拘らず、本発明は、あらゆるタイプの補充システム(及びあらゆるガス)に、及び、よく定義されたガス容積物を高圧の比較的大きいガス容積物から、極低温冷却により、比較的小さい容積物へ配送することによってメリットを得る同様な物に適用可能である。
【0015】
図1を見ると、本発明の少なくとも1つの実施態様に従ってツー・ショット法[18O]O2/F2標的システムが示されている。本システム100は、サイクロトロン110、標的容積120、[18O]酸素の補充装置130、アルゴン貯蔵容器140、Ar/F2貯蔵容器150、ポンプ160、及び弁A−I(弁A−Iは図2に示している)を包含する。ツー・ショット法の操作では、標的容積120は、先ずポンプ160によって排気され、次いで閉弁Eを閉じることによってポンプ160から分離される。標的容積120は、補充装置130から[18O]酸素で充填されたのち、弁Bは閉じられる。1つの実施態様に従って、普通の当業者には実施が明白であるサイクロトロン110によって、15.5MeVの陽子ビームが生成(例えば、40μAで約45分間)したのち、そのビームは標的容積120内の[18O]酸素へ向い、18F(−)イオンが生成する18O(p、n)18F核反応を行ない、そしてこのイオンは標的容積120の壁に付着する。45分後に、陽子の生成が停止し、標的容積120の中に残留する未使用の[18O]酸素は、液体窒素浴の中で冷却されて弁Bを開放することにより低温ポンプによって酸素補充装置130の中に戻される。標的容積120は、貯蔵容器140からのアルゴンと貯蔵容器150からのF2/Arとの適当なウォッシュ・アウト混合物で補充される。次いで、サイクロトロン110は、再び16.5MeV、35μAの陽子ビームで20分間、標的容積120を照射するが、これによって気相で、有用なレベルの[18F]F2を生成するフッ素交換が行なわれ、この[18F]F2は、最終的には弁B及び弁Cを通して標的容積120から放出される。
【0016】
フッ素同位体を製造するための標的容積120の設計に妥当なパラメータは、ビーム攻撃容積、形状、及び材料である。本発明の主眼ではないけれども、標的容積120として別の標的容積を使用できること、及び標的容積120の設計値を変更すると、システム100の中で回収される総合[18F]F2の量に影響を及ぼすことがあることに注目することは価値がある。18O(p、n)18F反応用の標的容積は、ビーム入口直径10−15mm、ビーム出口直径10−23mm、及び容積7.9−14.6ccの円錐形孔又は直線形孔を使って実施できる。標的容積120は、限定はされないが、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、又は金メッキ銅のような材料で構成できる。
【0017】
ウォッシュ・アウト混合物は、アルゴン貯蔵容器140及びAr/F2貯蔵容器150によって供給される。これらの貯蔵容器140及び150は、各々、貯蔵容器をガスの外部供給源に連結するための、交換式タンク、又は入口付き(示されていない)詰め替え式貯蔵容器として使用できる。アルゴンが好ましいけれども、クリプトン(Kr)又はネオン(Ne)のような他の貴ガスを使用できる。Ar/F2貯蔵容器150は、随意に活性ナトリウム−フッ素(NaF)トラップ155に連結し、考えられる僅かなフッ化水素汚染物も貯蔵容器150から取り除くことができる。
【0018】
ポンプ160は、慣用のいかなるタイプの真空ポンプでもよく、そのポンプの識別及び作業は(普通の)当業者には明白である。随意のソーダ石灰トラップ165をポンプ160に連結し、有害なF2が真空ポンプオイルを汚染しないように、及び真空排気口から逃散しないようにすることができる。
【0019】
弁A−Iは、各々、CPU(中央演算処理装置)及び/又は手動弁によって遠隔制御されるソレノイドを包含することができる。これらの弁A−Iは、いろいろな時間に開閉し、適当に加圧されたガスが、本明細書に記載のシステム100の中の種々の構成要素の方へ、及びその構成要素から流れるようにすることができる。システム100の中の構成要素(サイクロトロン110を除く)は、適当な導管、例えばパイプ及び/又はチューブ、によって互いに連結され、これらの導管の認識及び作業は種々のガスを輸送するために、(普通の)当業者には明白である。(普通の)当業者は、圧力監視装置のようなその他の構成要素が、必要と思われる場合にはシステム100に連結できることを認識している。
【0020】
図2を見ると、[18O]酸素補充装置130が、本発明の少なくとも1つの実施態様に従って図示されている。[18O]酸素補充装置130は、[18O]酸素貯蔵容器210、中間容器220、及び液体窒素ジュワー瓶230を含む。外側の着脱式[18O]酸素瓶205は、補充中は、図に示しているように補充装置130に連結される。圧力変換器(示されていない)も補充装置130に連結され圧力を監視できる。[18O]酸素瓶205は、弁Iに連結される取替え式タンク又は瓶として使用される。貯蔵容器210は、標的容積120を、予め定められた圧力、例えば10バール(陽子ビームエネルギー、ターゲット寸法等によって、他の圧力を使用できる)、に充満できるのに充分な圧力を維持すべきである。例示の実施態様では、貯蔵容器210は60mlの容積を有し、適当な製造回数に対して貯蔵容器を補充する必要はなく標的容積を10バールに充填できるには27バールの最小圧力を必要とする。中間容器220は、約3.3mlの容積を有し(3.3mlは冷却される容積に等しく、中間容器220の全容積は、或る例示の場合のように更に大きくてもよく、中間容器220は、らせん状ループ部を下げて液体窒素(LN2)に浸漬できるように、らせん状のループ及び長い“ネック(neck)”を含む)、補充システムの全容積は約60mlである([18O]酸素瓶205を含まない)。この例示の実施態様では、[18O]酸素瓶205から貯蔵容器210を補充しなければならない前に、10回の製造ランを達成できる。
【0021】
中間容器220は、予め定められた容積の[18O]酸素ガスが、確実に補充装置130の中に充填されるように装備されている。詳しくは、中間容器220は、液体形態の[18O]酸素で満杯になるとき、ガスに変化されるときのその液体は、周囲温度で、選択された回数の[18F]フッ素製造ランに対して持続するのに充分なガス(しかし、システムに負荷を掛け過ぎない)で酸素補充装置130を充填するのに必要な[18O]酸素ガスの量及び圧力に等しくなるように、中間容器220の容積が選ばれる。言い換えれば、中間容器220の容積は、液相ではなく、所望の[18O]酸素ガス容積及び圧力を基準としている。[18O]酸素ガスが凝縮して液体になるように中間容器220を77°Kに冷却するために、液体窒素ジュワー瓶230が使用される。液体窒素ジュワー瓶230は、液体窒素浴を中間容器220と接触させたり、或いは接触させなかったりするように配置できるモーターに連結されるのが好ましい。中間容器220は、液体窒素との接触表面を最大するためにコイル状配管の形状のようであるのが好ましく、それによって、冷却工程が促進される。しかしながら、限定はされないが、円筒のようなコイル状配管以外の形状を使用できる。中間容器220は、数百の製造ランを続行するために、及び操作者に、安全で、繰り返し可能で、信頼できるプロセスを提供するように設計され得る。
【0022】
図3を見ると、[18O]酸素補充装置130の操作プロセス300が、本発明の少なくとも1つの実施態様に従って図示されている。詳しくは、補充装置130が排気された(段階310)後、弁Dは閉じられる。中間容器220がジュワー瓶230の中で液体窒素(LN2)によって極低温に冷却(段階320)され、[18O]酸素瓶205に通じる弁Iが開けられる(段階330)。[18O]酸素ガスは中間容器220内で凝縮して液体形態になる。中間容器220が液体[18O]酸素で満杯のとき(圧力は安定して、[18O]酸素瓶205の設定圧力、例えば1バール、に等しい)、弁Iを閉じて(段階340)、液体窒素を中間容器220から減少させる(例えば、液面が下がる)。中間容器220を、再度、室温まで温めるにつれて、液体[18O]酸素は蒸発してガスとなり、貯蔵容器210及び中間容器220の中で膨張され(段階350)、それによって、予め定められた圧力で正確な量の[18O]酸素ガスが生成する(例えば、約44バールで3.3mlの液体[18O]O2酸素から膨張して約60mlの容積=50mlが貯蔵容器+3.3mlがループ+6.7mlが配管、接続部、等)。
【0023】
弁Iは、[18O]酸素瓶205の近くに配置され、その瓶からの選ばれた量のガス(中間容器220の容積によって決められる)が極低温に冷却される。ガスが膨張するとき、ガスは膨張して或る容積になる筈なので、貯蔵容器210と中間容器220との間にはいずれの弁も無いのが好ましい。そうでなければ、中間容器220及び多分ツー・ショット法[18O]O2/F2標的システム100は極めて高圧のもとに置かれる場合があり、配管、接続部、及び弁は破損するかも知れない。
【0024】
陽子ビームによると考えられるパラメータ値、例えばエネルギー、電流、及び時間ばかりでなく、種々のガス及び容器の容積及び圧力によると考えられるパラメータ値も、単なる例に過ぎない。(普通の)当業者は、これらのパラメータが必要又は望ましいと思われるように変化し得ることを理解している。
【0025】
本発明を、本発明の幾つかの好ましい実施態様を参照しながら、具体的に示し、説明してきたけれども、添付の特許請求の範囲で定義されるように、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本明細書の中の形態及び詳細の種々の変更が可能であることは当業者によって理解されるであろう。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の少なくとも1つの実施態様によるツー・ショット法[18O]O2/F2標的システムを示す図である。
【図2】本発明の少なくとも1つの実施態様による[18O]酸素補充装置を示す図である。
【図3】図2の[18O]酸素補充装置の操作プロセスを示す図である。
【符号の説明】
【0027】
110 サイクロトロン
120 標的容積
130 酸素補充装置
160 ポンプ
220 中間容器
230 液体窒素浴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体容器(220)、
第2流体容器(210)、並びに
前記第1流体容器及び第2流体容器をガスの供給源に連結するための接続装置を含む装置(130)において:
前記第1流体容器(220)が前記ガスから凝縮された或る量の液体に対応する容積を有し、前記ガスが、相変態のときに前記第1流体容器と前記第2流体容器との合計容積以内で所望のガス圧を発現すること、
を特徴とする前記装置。
【請求項2】
前記第1流体容器(220)が、コイル状配管、並びに更に:
液体窒素浴(230)、及び
前記コイル状配管を前記液体窒素浴と接触したり、接触しなかったりするように配置にするためのモーターを含むこと、
を特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の装置。
【請求項3】
特許請求の範囲第2項の装置、及び
[18O]O2/F2標的システム(120)を含む[18F]フッ素製造システム(100)。
【請求項4】
前記所望の圧力が、前記[18O]O2/F2標的システム(100)の製造ランの予め定められた数に対して前記[18O]酸素ガスを前記[18O]O2/F2標的システム(120)に供給する前記装置を基準にすることを特徴とする特許請求の範囲第4項に記載の[18F]フッ素製造システム(100)。
【請求項5】
第1流体容器(220)を極低温に冷却する段階、
ガスを前記極低温に冷却された第1流体容器(220)に供給する段階であって、前記ガスは前記極低温に冷却された第1流体容器(220)内で凝縮して液体形態になること、
前記第1流体容器(220)が前記凝縮液体で満杯になるときに、
前記第1流体容器(220)を温めて前記凝縮液体を変態してガスにする段階、及び
前記変態ガスを膨張させて第2流体容器(210)に入れる段階、
の各段階を含む方法において:
前記変態ガスが、前記第1流体容器(220)内の前記凝縮液体の全容積を基準にして前記第1流体容器と第2流体容器との合計容積以内で所望のガス圧を有すること、
を特徴とする前記方法。
【請求項6】
前記第1流体容器(220)がコイル状配管を含み、前記極低温冷却の段階が、液体窒素浴(230)を前記第1流体容器(220)に適用する段階を含み、及び温める段階が、前記適用された液体窒素浴を前記第1流体容器(220)から取り除く段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第5項に記載の方法。
【請求項7】
前記ガスが[18O]酸素ガスであり、前記第1流体容器(220)の容積が前記第2流体容器(210)の容積より小さく、及び前記所望のガス圧が40〜50バールであることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の装置又は第5項に記載の方法。
【請求項8】
更に、前記第1流体容器(220)が前記凝縮液体で満杯になるときに、前記ガスの供給源を停止する段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第5項に記載の方法。
【請求項9】
更に、前記第1流体容器を極低温に冷却する前記段階に先立って、前記第1流体容器及び前記第2流体容器を排気する段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第5項に記載の方法。
【請求項10】
更に、前記第1流体容器及び前記第2流体容器を[18O]O2/F2標的システム(120)に連結する段階、及び
前記変態ガスを前記第1流体容器及び前記第2流体容器から前記[18O]O2/F2標的システム(120)に流す段階、
の各段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第5項に記載の方法。
【請求項1】
第1流体容器(220)、
第2流体容器(210)、並びに
前記第1流体容器及び第2流体容器をガスの供給源に連結するための接続装置を含む装置(130)において:
前記第1流体容器(220)が前記ガスから凝縮された或る量の液体に対応する容積を有し、前記ガスが、相変態のときに前記第1流体容器と前記第2流体容器との合計容積以内で所望のガス圧を発現すること、
を特徴とする前記装置。
【請求項2】
前記第1流体容器(220)が、コイル状配管、並びに更に:
液体窒素浴(230)、及び
前記コイル状配管を前記液体窒素浴と接触したり、接触しなかったりするように配置にするためのモーターを含むこと、
を特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の装置。
【請求項3】
特許請求の範囲第2項の装置、及び
[18O]O2/F2標的システム(120)を含む[18F]フッ素製造システム(100)。
【請求項4】
前記所望の圧力が、前記[18O]O2/F2標的システム(100)の製造ランの予め定められた数に対して前記[18O]酸素ガスを前記[18O]O2/F2標的システム(120)に供給する前記装置を基準にすることを特徴とする特許請求の範囲第4項に記載の[18F]フッ素製造システム(100)。
【請求項5】
第1流体容器(220)を極低温に冷却する段階、
ガスを前記極低温に冷却された第1流体容器(220)に供給する段階であって、前記ガスは前記極低温に冷却された第1流体容器(220)内で凝縮して液体形態になること、
前記第1流体容器(220)が前記凝縮液体で満杯になるときに、
前記第1流体容器(220)を温めて前記凝縮液体を変態してガスにする段階、及び
前記変態ガスを膨張させて第2流体容器(210)に入れる段階、
の各段階を含む方法において:
前記変態ガスが、前記第1流体容器(220)内の前記凝縮液体の全容積を基準にして前記第1流体容器と第2流体容器との合計容積以内で所望のガス圧を有すること、
を特徴とする前記方法。
【請求項6】
前記第1流体容器(220)がコイル状配管を含み、前記極低温冷却の段階が、液体窒素浴(230)を前記第1流体容器(220)に適用する段階を含み、及び温める段階が、前記適用された液体窒素浴を前記第1流体容器(220)から取り除く段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第5項に記載の方法。
【請求項7】
前記ガスが[18O]酸素ガスであり、前記第1流体容器(220)の容積が前記第2流体容器(210)の容積より小さく、及び前記所望のガス圧が40〜50バールであることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の装置又は第5項に記載の方法。
【請求項8】
更に、前記第1流体容器(220)が前記凝縮液体で満杯になるときに、前記ガスの供給源を停止する段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第5項に記載の方法。
【請求項9】
更に、前記第1流体容器を極低温に冷却する前記段階に先立って、前記第1流体容器及び前記第2流体容器を排気する段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第5項に記載の方法。
【請求項10】
更に、前記第1流体容器及び前記第2流体容器を[18O]O2/F2標的システム(120)に連結する段階、及び
前記変態ガスを前記第1流体容器及び前記第2流体容器から前記[18O]O2/F2標的システム(120)に流す段階、
の各段階を含むことを特徴とする特許請求の範囲第5項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2006−3362(P2006−3362A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176117(P2005−176117)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】
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