2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの結晶相
この発明は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形形態及び溶媒和物、それらの製造方法、並びにそれらの使用、特に薬剤の製造のための使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形形態(polymorphic forms)及び溶媒和物、それらの製造方法及びそれらの使用、特に薬剤の製造のための使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
式I:
【化1】
の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドは、AVE0118とも呼ばれ、そして本明細書ではまた、“化合物I”と省略されるが、該化合物は、例えば、特許文献1、2及び3に記載されている公知の医薬活性化合物である。しかしながら、前記化合物の多形形態、又は結晶形態及び溶媒和物についてのデータはこの先行技術には開示されていない。
【0003】
多形(polymorphism)は、1つより多い形態又は結晶構造で存在する単一化合物の特質である。異なる多形は同じ分子式を共有している別個の固体を表すが、それにもかかわらず多形は、それぞれ別個の物理特性を有しうる。単一化合物では、それぞれの形態が、溶解性プロフィールが異なること、熱力学的安定性が異なること、結晶挙動が異なること、ろ過性が異なること、融点温度が異なること、及び/又はX線回折ピークが異なることなどの、物理特性が異なっておりかつ別個である様々な多形形態を生じうる。異なる多形形態の物理的特性における相違は、固体における隣接する分子の配向の相違および分子間相互作用から生じる。化合物の多形形態は、X線回折によって、そして、例えば、赤外分光法、又はラマン分光法などの他の方法によって識別することができる。こうした記載は同様に、溶媒和物、すなわち、溶媒を含む固体の付加化合物にも適用される。
【0004】
しかしながら、当技術分野の当業者によって認められているように、公知の化合物の新規な固体の多形形態又は溶媒和物の存在は予測することはできない。結晶相の存在あるいは溶媒和物の存在も、多形形態の数も予測することができない。また、結晶化が起こり特定の形態が生じる条件、及び多形形態及び溶媒和物の特性も予測することはできない。各多形と溶媒和物の溶解性、及び安定性、並びにその結果使用及び保存に対する適合性などの特性が変わりうるので、多形の存在を確認することは、保存安定性の向上、あるいは溶解性のプロフィールの予測可能性を有する医薬を提供するのに必須のことである。従って、すべての多形形態を含めて、薬物物質の固体状態形態をすべて究明することは、望ましいことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 01/25189
【特許文献2】US 6531495
【特許文献3】WO 2007/124849
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、この発明の目的は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの新規な固体形態、特に、好都合な特性プロフィールを有し、あるいはこの化合物を製造する際に有用である形態を提供することにある。この目的は、多形1、多形2、多形3、クロロホルム溶媒和物、トルエン溶媒和物及び1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物、並びにその任意の混合物から成る群より選択される、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形形態及び溶媒和物を提供することによって解決され、該多形形態及び溶媒和物は、例えば、安定性、溶解性、処理可能性(processability)、吸湿性、流動性、ろ過性又は晶析速度(crystallization rate)に関して好都合な特性を有している。上記に言及した文書、WO 01/25189、US 6531495、US 2007/0043091及びWO 2007/124849中に記載されている、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの結晶形は、本明細書中では多形4と指定されている。
【0007】
この発明の文脈では、多形、多形形態、溶媒和物などは、常に2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形、多形形態又は溶媒和物を意味している。“多形(polymorph)”及び“相(phase)”という用語は、本明細書では互換的に使用することができる。この発明の多形形態及び溶媒和物を特徴付けるのに使用されているデータはすべて、下記に提供されている実施例中で説明されているようにして得られた。
【0008】
この発明の一局面は、多形1(polymorph 1)、多形2(polymorph 2)、多形3(polymorph 3)及びその任意の混合物から成る群より選択される、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドに関するものである。
【0009】
この発明の別の局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1に関し、該多形1は下記の少なくとも1つの特性を有する:
(a)CuKα1線を用いる透過モード(transmission mode)での粉末X線ディフラクトグラム(diffractogram)において、2θ角[°]で、6.7±0.2(強度:中程度(medium))、13.2±0.2(中程度)、17.6±0.2(中程度)、19.1±0.2(中程度)、20.0±0.2(強い)、21.4±0.2(強い)、22.5±0.2(中程度)の特徴的な反射(reflection);及び/又は
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換(Fourier-Transformation))ラマンスペクトルにおいて、3050±2cm-1、2929±2cm-1、2887±2cm-1、1605±2cm-1、1293±2cm-1、1042±2cm-1での特徴的なシグナル(signals)。
【0010】
本発明の一実施態様では、多形1は、上記特性(a)を有し、別の実施態様では上記特性(b)を有し、別の実施態様では、上記特性(a)及び(b)の双方を有する。更なる実施態様では、多形1はまた、1つ又はそれ以上の次の特徴によって特徴付けられる。
【0011】
多形1はまた、透過モードでCuKα1線を用いて得られた図1に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0012】
多形1はまた、近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いて得られた、図8、12及び16に示されているFTラマンスペクトルによって特徴付けられうる。
【0013】
多形1はまた、その融解特性によって特徴付けられることができ、例えば、115.5±1℃(加熱速度 10℃/分)のDSC開始温度(DSC onset temperature)を有する融点がある。
【0014】
多形1はまた、単結晶構造解析によって決定されたその結晶パラメータによって特徴付けられうる。多形は、非対称単位中に1つの分子を含有する単斜晶系空間群P21/cで結晶化する(z=4,a=11.31±0.01Å,b=8.44±0.01Å、c=26.86±0.01Å、β=101.80±0.01°、V=2510.5Å3、ρ=1.269Mgm-3;室温)。
【0015】
結晶構造内では、分子は分子内水素結合N−H…O=Cを形成し、そしてこの複数の分子はまた、こうした分子を結晶のb軸に沿った鎖に連結する分子間水素結合を形成する。
【0016】
多形1はまた、そのDSCサーモグラム(thermogram)又はそのDVS水蒸気収着及び脱着等温線(DVS water vapor sorption and desorption isotherms)によって特徴付けられる。
【0017】
多形1は、90℃未満で、従って室温でも熱力学的に安定である。それゆえ、他の公知の多形と比較して、この多形は、高い安定性が望まれるときに特に適している。90℃未満の様々な環境で別の公知の相に変換するリスクがなく保存することができるのは、この多形のみである。それゆえ、多形1は、改善された安定性、特に保存安定性を有する薬剤及び医薬組成物の製造に特に適している。
【0018】
この発明の別の局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形2に関し、該多形2は少なくとも1つの下記特性を有する:
(a)CuKα1線線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、6.3±0.2(強度:中程度)、8.7±0.2(中程度)、12.6±0.2(中程度)、16.4±0.2(強い)、17.3±0.2(中程度)、19.3±0.2(中程度)、19.8±0.2(中程度)の特徴的な反射;及び/又は
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換)ラマンスペクトルにおいて、3054±2cm-1、2946±2cm-1、1604±2cm-1、1294±2cm-1、1044±2cm-1での特徴的なシグナル。
【0019】
本発明の一実施態様では、多形2は、上記特性(a)を有し、別の実施態様では上記特性(b)を有し、別の実施態様では、上記特性(a)及び(b)の双方を有する。更なる実施態様では、多形2はまた、1つ又はそれ以上の次の特徴によって特徴付けられる。
【0020】
多形2はまた、透過モードでCuKα1線を用いて得られた図2に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0021】
多形2はまた、近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いて得られた、図9、13及び17に示されているFTラマンスペクトルによって特徴付けられうる。
【0022】
多形2はまた、その融解特性によって特徴付けられることができ、例えば、117.2±1℃(加熱速度 10℃/分)のDSC開始温度を有する融点がある。
【0023】
多形2はまた、粉末X線回折パターンの指標とすることによって決定されたその格子定数によって特徴付けられる(単斜晶系、a=8.75±0.01Å、b=27.96±0.01Å、c=11.09±0.01Å、β=102.26±0.01゜、V=2651.2Å3(室温))。
【0024】
多形2はまた、そのDSCサーモグラム又はそのDVS水蒸気収着及び脱着等温線によって特徴付けられる。
【0025】
多形2は、任意の温度で準安定である。他の多形と比較して有利な点は、その溶解性がより高いことである。
【0026】
この発明の別の局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形3に関し、該多形3は少なくとも1つの下記特性を有する:
(a)CuKα1線線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、9.0±0.2(中程度)、15.5±0.2(中程度)、16.8±0.2(中程度)、20.3±0.2(中程度)、21.0±0.2(強い)、25.6±0.2(中程度)の特徴的な反射;及び/又は
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換)ラマンスペクトルにおいて、3047±2cm-1、2935±2cm-1、1601±2cm-1、1293±2cm-1、1042±2cm-1での特徴的なシグナル。
【0027】
本発明の一実施態様では、多形3は、上記特性(a)を有し、別の実施態様では上記特性(b)を有し、別の実施態様では、上記特性(a)及び(b)の双方を有する。更なる実施態様では、多形3はまた、1つ又はそれ以上の次の特徴によって特徴付けられる。
【0028】
多形3はまた、透過モードでのCuKα1線を用いて得られた図3に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0029】
多形3はまた、近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いて得られた、図10、14及び18に示されているFTラマンスペクトルによって特徴付けられうる。
【0030】
多形3はまた、その融解特性によって特徴付けられることができ、例えば、121.7±1℃(加熱速度10℃/分)のDSC開始温度を含む融点がある。
【0031】
多形3はまた、単結晶構造解析によって決定されたその結晶パラメータによって特徴付けられうる。多形は、単斜晶系空間群P21/cで結晶化する(z=4、a=8.81±0.01Å、b=15.24±0.01Å、c=20.11±0.01Å、β=102.22±0.01゜、V=2637.7Å3、ρ=1.208Mgm-3;室温)。
【0032】
多形3はまた、そのDSCサーモグラム(thermogram)又はそのDVS水蒸気収着及び脱着等温線によって特徴付けられる。
【0033】
多形3は、90℃を超えて122℃までが最も熱力学的に安定である。90℃未満でようやく準安定になる。多形3は高温ですでに結晶化することによって容易に得ることが可能であり、そして粗化合物Iの単離、及び精製に適している。
【0034】
この発明は更に、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形4(polymorph 4)に関し、該多形4は少なくとも1つの下記特性を有する:
(a)CuKα1線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ(2シータ)角[°]で、6.4±0.2(強度:中程度)、12.0±0.2(中程度)、13.6±0.2(強い)、18.5±0.2(中程度)、18.9±0.2(強い)、21.7±0.2(中程度)、22.4±0.2(中程度)、27.2±0.2(中程度)の特徴的な反射;及び/又は
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換)ラマンスペクトルにおいて、3055±2cm-1、2923±2cm-1、1606±2cm-1、1044±2cm-1での特徴的なシグナル。
【0035】
一実施態様では、多形4は、上記特性(a)を有し、別の実施態様では上記特性(b)を有し、別の実施態様では、上記特性(a)及び(b)の双方を有する。更なる実施態様では、多形4はまた、1つ又はそれ以上の次の特徴によって特徴付けられる。
【0036】
多形4はまた、透過モードでのCuKα1線を用いて得られた図4に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0037】
多形4はまた、近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いて得られた、図11、15及び19に示されているFTラマンスペクトルによって特徴付けられうる。
【0038】
多形4はまた、その融解特性によって特徴付けられることができ、例えば、118.2±1℃(加熱速度10℃/分)のDSC(示差走査熱測定)開始温度を有する融点がある。
【0039】
多形4はまた、単結晶構造解析によって決定されたその結晶パラメータによって特徴付けられうる。多形は、非対称単位中、1つの分子を有する三斜晶系空間群P−1で結晶化する(z=2、a=8.38±0.01Å、b=11.15±0.01Å、c=13.97±0.01Å、α=79.40±0.01゜、β=85.19±0.01゜、γ=86.55±0.01゜、V=1277.13Å3、ρ=1.247Mgm-3;室温)。
【0040】
結晶構造内では、分子は分子内及び分子間水素結合N−H…O=Cを形成する。この分子間水素結合によって、この分子は結晶のa軸に沿った鎖に連接される。
【0041】
多形4はまた、そのDSCサーモグラム又はそのDVS(動的水蒸気収脱着測定装置:dynamic vapour sorption)水蒸気収着及び脱着等温線によって特徴付けられうる。
【0042】
多形4は、約90℃の狭い温度範囲で熱力学的に安定であるよう見える。この範囲より上、及び下では、他の公知の多形類がより安定である。しかしながら、多形4は、室温で安定である多形1と比較してより早い、従ってより容易な結晶化プロセスで得ることができる。従って、多形4の製造方法は、未精製の化合物Iを早く、容易に処理し、そして好都合な方法で精製するのに特に適している。
【0043】
更に、この発明は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドのクロロホルム溶媒和物、トルエン溶媒和物及び1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物に関するものである。
【0044】
本発明によるクロロホルム溶媒和物は、透過モードでのCuKα1線を用いる、粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、8.7±0.2(強度:中程度)、16.1±0.2(中程度)、16.4±0.2(中程度)、17.1±0.2(強い)、19.9±0.2(中程度)、20.4±0.2(強い)、21.9±0.2(強い)の特徴的な反射を示す。
【0045】
一実施態様では、このクロロホルム溶媒和物はまた、透過モードでのCuKα1線を用いて得られた図5に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0046】
母液は別として、このクロロホルム溶媒和物は、単に中程度に安定であり、そして多形2に変換し始める。従って、この発明の更なる局面は、例えば、このクロロホルム溶媒和物を高温及び/又は減圧などのクロロホルムの喪失を容易にする条件に付すことによる、多形2を製造するための化合物Iのクロロホルム溶媒和物の使用に関する。
【0047】
クロロホルム溶媒和物中のクロロホルムと化合物Iのモル比は、ワークアップ手順などの調製の詳細に応じて変化しうる。本発明の一実施態様では、クロロホルムの含有量は、約1.1〜約0.1、別の実施態様では、約1.1〜約0.5、別の実施態様では、約1〜約0.5、別の実施態様では約1、別の実施態様では、約0.8モル当量のクロロホルムであり、後者のクロロホルムの含有量は、短期間乾燥させたクロロホルム溶媒和物の試料の重量の喪失に相当し、これは熱重量分析(TGA)によって決まる。
【0048】
本発明によるトルエン溶媒和物は、透過モードでのCuKα1線を用いる、粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、8.2±0.2(強度:強い)、15.0±0.2(強い)、16.3±0.2(中程度)、18.2±0.2(中程度)、21.3±0.2(中程度)、21.6±0.2(中程度)、21.9±0.2(強い)、22.1±0.2(中程度)、22.5±0.2(中程度)、26.7±0.2(中程度)の特徴的な反射を示す。
【0049】
一実施態様では、このトルエン溶媒和物はまた、透過モードでのCuKα1線を用いて得られた図6に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0050】
温度分解粉末X線回折、DSC及びTGAによれば、このトルエン溶媒和物は、約80℃〜約110℃の温度範囲でこの溶媒を失い、多形4に変換する。従って、この発明の更なる局面は、多形4を製造するためのトルエン溶媒和物の使用に関する。
【0051】
トルエン溶媒和物中のトルエンと化合物Iのモル比は変化しうる。本発明の一実施態様では、トルエンの含有量は、約1.1〜約0.1、別の実施態様では、約1.1〜約0.3、別の実施態様では、約1〜約0.3、別の実施態様では、約0.7〜約0.3、別の実施態様では約0.5モル当量のトルエンであり、後者のトルエンの含有量は、トルエン溶媒和物の試料の重量の喪失に相当し、これは熱重量分析(TGA)によって決まる。
【0052】
本発明による1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物は、CuKα1線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、8.4±0.2(強度:中程度)、15.2±0.2(中程度)、17.9±0.2(中程度)、21.6±0.2(中程度)、22.0±0.2(強い)、26.4±0.2(中程度)の特徴的な反射を示す。
【0053】
一実施態様では、この1,2−ジクロロベンゼンク溶媒和物はまた、透過モードでのCuKα1線を用いて得られた図7に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0054】
1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物は、この溶媒和物Iの形で、これを再結晶化することによって化合物Iの精製で使用することができる。従って、この発明の更なる局面は、化合物Iを精製するための化合物Iの1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の使用に関する。
【0055】
1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物中の1,2−ジクロロベンゼンと化合物Iのモル比は、変化しうる。本発明の一実施態様では、1,2−ジクロロベンゼンの含有量は、約1.1〜約0.1、別の実施態様では、約1.1〜約0.3、別の実施態様では、約1〜約0.3、別の実施態様では、約0.7〜約0.3、別の実施態様では、約0.5モル当量の1,2−ジクロロベンゼンであり、後者の1,2−ジクロロベンゼンの含有量は、1H−NMR分光法によって1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の試料で決まる。
【0056】
この発明の別の局面は、この発明による2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの、多形形態1、2、3及び4より選択される多形形態又は多形形態の混合物の、医薬又は薬剤としての使用に関する。本発明の一実施態様は、多形形態1、2、及び3より選択される1つの多形形態、又は多形形態1、2及び3のうちの少なくとも1つを含んでなる多形形態の混合物の医薬又は薬剤としての使用に関する。この発明の更なる局面は、この発明による2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形形態1、2、3及び4より選択される少なくとも1つの多形形態と、1つ又はそれ以上の医薬的に許容される賦形剤、すなわち希釈剤及び他の補助剤のような不活性物質を含んでなる医薬組成物に関する。本発明の一実施態様では、医薬組成物は、多形形態1、2及び3のうちの少なくとも1つを含んでなる。ヒト医薬及び獣医薬で薬剤としての化合物Iを使用する際に用いることができる医薬組成物は、通例、約0.001%〜約90%(重量)、特に、約0.001%〜約10%(重量)、例えば、約0.05%〜約5%(重量)のパーセントで、そして単位投与あたり、約0.2mg〜約1000mg、特に、約1mg〜約750mgの量で化合物Iの多形又は複数の多形を含んでいるが、医薬組成物の種類、及び特定の場合の他の詳細に応じて、このパーセント及び量は、示されているパーセント及び量から逸脱することがありうる。
【0057】
通例、適切な賦形剤は、当技術分野の当業者によって知られている。希釈剤、又は担体物質は、最終生成物が患者又は医師による投与及び投与量のための適切な形態及び容量を持つような、製薬学的に許容され、かつ医薬組成物のかさ容積を増加させるのに適している任意の化合物である。希釈剤の例には、水、植物油脂、乳糖、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、スターチなど、及びその組み合わせがある。所望の特性プロフィールを達成し、及び/又はその製造を補助するための医薬組成物中に存在することができる他の補助剤の例には、抗粘着剤、結合剤(例えば、アカシア・ゴム、ゼラチン、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、スターチ、スクロース、ポリエチレングリコールなど)、緩衝塩、コーティング剤(例えば、セルロース、合成ポリマー、シェラック、多糖類など)、崩壊剤(例えば、スターチ、セルロース、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、寒天、グアールのようなガムなど)、矯味・矯臭剤及び着色剤、流動促進剤、滑沢剤(例えば、タルク、シリカ、ステアリン酸マグネシウムなど)、保存剤(例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、パルミチン酸レチニル及びセレニウム、メチオニン、システイン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、収着剤、甘味料、湿潤剤などがあり、例えば、ゼラチン、カゼイン、レシチン、アカシア・ゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、ベンザルコニウムクロリド、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、ソルビタンエステル(sorbitan esters)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアラート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスファート(phosphates)、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、セルロース誘導体、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどを含み、並びにその任意の組み合わせがある。
【0058】
本発明による医薬組成物は、化合物 Iの所望の使用における投与量及び投与に適した任意の形態を有することができ、例えば、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、注入・注射可能な溶液(injectable solution)、懸濁液、軟膏、散剤、錠剤、ピル、ハードカプセル又はソフトカプセル、口内錠(lozenge)などでありうる。この医薬組成物は、例えば、経口的、バッカル、直腸、非経口、静脈内、皮下、鼻内、局所的、吸入によって、あるいは眼又は経皮的ルートによって、特に経口的、静脈内又は鼻内に投与することができ、好ましい投与は特定の場合に左右される。対象、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトを処置する際に使用され、そして所望の治療的又は予防的な結果を得るために有効な、本発明による1つ又はそれ以上の多形の形態の化合物Iを用いる投与量は、変化し、特定の場合の詳細に鑑みて医師によって決定される。当技術分野で知られているように、投与量は、例えば、処置される状態の重篤度、全体的な健康、投与ルート、体重、性別、食事、投与時間及びルート、所望の処置の持続期間、吸収及び排泄速度、他の薬物との組み合わせなどの様々なファクターに左右される。本発明による化合物Iの多形又は複数の多形の総一日用量は、単回投与でも、あるいは分割投与で患者に投与してもよい。
【0059】
この発明の一実施態様では、本発明による化合物Iの多形若しくは複数の多形、又はそれらを含んでなる医薬組成物は、心房不整脈、例えば、心房細動又は心房粗動、及び/又は睡眠関連呼吸障害、例えば、睡眠時無呼吸、例えば、中枢性睡眠時無呼吸又は閉塞性睡眠時無呼吸、チェーン・ストークス呼吸、いびき、中枢性呼吸駆動障害(disrupted central respiratory drive)、上気道抵抗症候群及び小児の突然死から成る群より選択される睡眠関連呼吸障害、特に閉塞性睡眠時無呼吸の、治療及び予防を含む処置に使用される。術後低酸素症、無呼吸、筋肉関連呼吸障害、長期人工呼吸療法後の呼吸障害、高山に順応する間の呼吸障害、低酸素症及び高二酸化炭素血症を伴う急性及び慢性肺障害のような他の呼吸障害が、本発明による化合物Iの多形若しくは複数の多形、又はそれらを含んでなる医薬組成物で処置することができる。
【0060】
閉塞性睡眠時無呼吸は、上気道経路の収縮がある場合に、上気道経路への吸入の過程で隔膜及び胸筋によって発生する吸気圧の低下によって起こる。上気道経路の収縮した解剖学的状態は、肥満(脂肪増加症)及び解剖学的素因、例えば、下顎後退症の場合に存在する。この素因を有するヒトでは、上気道経路筋構造の筋構造を拡張させる緊張(tone)は常に、破壊を防止するために健康なヒトと比較して増加しなければならない。舌下神経によって支配されている舌のベース(base)の筋肉、おとがい舌筋は、上気道経路の拡張筋のうちで最も重要である。上気道経路の筋緊張は、覚醒状態においてまだ呼吸障害を防止するのに十分高いが、吸気圧の減少に対してあまりにも低いような睡眠状態においてはこの筋緊張は大幅に低下する。この不均衡によって吸入の間に上気道経路の破壊(閉塞性無呼吸)がもたらされる。上気道経路の収縮が高く、かつ組織圧が同様に高い場合には、破壊は呼気の間、すなわち圧力の低下がない場合でさえ起こりうる。化合物Iによる上気道経路の筋緊張の増加によって閉塞性無呼吸を防止することができる。
【0061】
いびきは、上気道経路の空気の流れに関連した振動によって発生する。これは、上気道経路が過度に狭くなり、同時に上気道経路の不十分な筋緊張を伴う場合に起こり、それゆえ、閉塞性睡眠時無呼吸と密接な病理生理学的関係を有する。従って、いびきはある程度、閉塞性睡眠時無呼吸の前兆と見なされうる。それゆえ、化合物Iによる上気道経路の筋緊張の増加は、いびき及び閉塞性睡眠時無呼吸の双方を防止することができる。中枢性無呼吸は、呼吸調節の中枢性破壊によって引き起こされる。これらは化合物Iの同時に起こる呼吸促進作用によって防止することができる。
【0062】
従って、この発明の更なる局面は、睡眠関連呼吸障害または心房不整脈を、治療し及び予防することを含んで、処置する薬剤を製造するための、本発明による2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形形態又は複数の多形形態の混合物の使用に関する。特に好ましい実施態様では、この睡眠関連呼吸障害は、睡眠時無呼吸であり、好ましくは閉塞性睡眠時無呼吸である。
【0063】
本発明の一実施態様では、本発明による医薬組成物は、少なくとも1つの更なる活性薬剤、特に心房不整脈及び/又は睡眠関連呼吸障害の、治療及び予防を含む、処置する活性薬剤を含んでなる。
【0064】
本発明の一実施態様によれば、本発明によるこの医薬組成物は、化合物Iの多形1を含む。別の実施態様によれば、これには化合物Iの多形1が、化合物Iの多形2及び/又は化合物Iの多形3及び/又は化合物Iの多形4と組み合わせて含有され、例えば、化合物Iの多形1を化合物Iの多形3と組み合わせるか、又は化合物Iの多形1を化合物Iの多形4と組み合わせる。本発明の別の実施態様によれば、本発明による医薬組成物は、化合物Iの多形3を含む。別の実施態様によれば、これには、化合物Iの多形3が、化合物Iの多形1及び/又は化合物Iの多形2及び/又は化合物Iの多形4と組み合わせて含有され、例えば、化合物Iの多形3は、多形4と組み合わせる。
【0065】
この発明の別の局面は、本発明による多形形態及び溶媒和物の製造方法に関する。更なる局面では、この発明は、上記に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1、多形2、多形3、多形4、クロロホルム溶媒和物、トルエン溶媒和物又は1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物が得られる結晶化工程を含む、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの精製方法に関する。前記方法は、好ましくは、下記に説明する多形1、多形2、多形3、多形4、クロロホルム溶媒和物、トルエン溶媒和物又は1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の製造することを含んでなる。
【0066】
通例、本発明の多形形態及び溶媒和物は、化合物Iの溶液から、又は化合物Iの懸濁液から、又は固体の化合物Iから出発して、化合物Iを結晶化又は再結晶化することによって得ることができる。化合物Iの溶液、又は化合物Iの懸濁液は、化合物Iの化学合成の終期で得てもよいし、又はそれは予め合成した粗化合物Iを溶解するか、又は懸濁することによって得てもよい。“粗化合物I(crude compound I)”という用語は、化合物Iの任意の形態を含み、例えば、化学合成から直接得られた物質、別個の多形形態、又は溶媒和物、又は多形形態及び/又は溶媒和物の混合物があり、こうしたものはその結晶特性の関連では特徴付けられない可能性があり、そして別個の多形形態又は溶媒和物に、あるいは別の異なる多形形態又は溶媒和物に変換しうる。より詳しくは、本発明の多形形態及び溶媒和物は、
(a)化合物Iの溶液又は懸濁液を、例えば、適切な溶媒中に粗化合物Iを溶解又は懸濁することによって[上記において、化合物Iの溶液は通例、透明な溶液であり、そして所望によりろ過される]提供することと、
(b)溶液又は懸濁液を維持し、加熱し、冷却し及び/又は濃縮し、及び/又は、撹拌などのかき混ぜを行うか、若しくは行わずに、1つ又はそれ以上の更なる溶媒を加えて、所望の別個の多形又は溶媒和物の結晶析出物を形成させるか、あるいは所望の別個の多形形態又は溶媒和物を形成させることと、
及び
(c)個別の多形又は溶媒和物を単離すること
によって得ることができる。
【0067】
化合物Iの多形形態及び溶媒和物を製造する方法は、一般に行なわれている装置を用い、そして標準的な手順によって行なうことができる。例えば、工程(b)における溶液又は懸濁液を濃縮するには、大気圧又は減圧で一部又は全部の溶媒を留去させることによって行なうことができる。工程(c)における多形又は溶媒和物を単離するには、ろ過又は真空ろ過又は遠心分離などの一般に行われている任意の技法によって行うことができる。単離はまた、例えば、高温及び/又は減圧を適用することによって、例えば、室温程度、すなわち、約18℃〜約25℃、例えば、約20℃、又は約40℃で、中程度の減圧で、乾燥することを含みうる。
【0068】
好ましい実施態様では、この溶液又は懸濁液は、工程(a)又は工程(b)において結晶化又は多形変換を促進するためにシーディング(seed)できる。シーディングは、好ましくは少量の所望の多形又は溶媒和物、例えば、多形1又は多形2又は多形3又は多形4を用いて行なわれる。
【0069】
この発明の一局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを、メタノール、エタノール、メタノール/水、エタノール/水、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル及び塩化メチレンから成る群より選択される溶媒中約室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;(b)この懸濁液を、多形1の結晶を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日間のように約1日〜約50日間、約室温で維持する工程と;
(c)多形1の析出物を単離する工程;
又は
(a’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを、エタノール及びイソプロパノールから成る群より選択される溶媒中約室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b’)この懸濁液を、約0℃〜約45℃、好ましくは約15℃〜約25℃、より好ましくは約20℃の温度で、多形1の結晶を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日間のように約1日〜約50日間、維持する工程と;
(c’)多形1の析出物を単離する工程;
又は
(a’’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをアセトン中約室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b’’)この懸濁液を、約15℃〜約40℃の温度で、多形1の結晶を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日間のように約1日〜約50日間、維持する工程と;
(c’’)多形1の析出物を単離する工程;
又は
(a’’’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをエタノール中に、好ましくは約60℃〜約70℃の温度に加熱しながら、溶解して、溶液を得る工程と;
(b’’’)この溶液を、好ましくは、撹拌しながら、約0℃の温度に急速冷却する工程と;
(c’’’)多形1の析出物を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0070】
好ましい実施態様によれば、この懸濁液は、好ましくは工程(b)、(b’)、(b’’)又は(b’’’)の間に、多形1の結晶を用いてシーディングすることができる。
【0071】
この発明の更なる局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形2の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをクロロホルム中約室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b)この懸濁液を、約室温で、化合物Iのクロロホルム溶媒和物の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日間のように約1日〜約50日間、維持する工程と;
(c)この析出物を単離する工程と;
(d)この析出物を約20℃〜約100℃の温度で、好ましくは約室温で、又は約60℃〜約100℃の温度で、多形2を形成させるのに十分な期間、例えば、温度が室温である場合には、約28日間のように約1日〜50日間、維持する工程と;
(e)多形2を単離する工程;
又は
(a’)好ましくは、約60℃の温度に加熱しながら、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをクロロホルムに溶解して、溶液を得る工程と;
(b’)化合物Iのクロロホルム溶媒和物の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、好ましくは撹拌しながら約1時間、この溶液を約0℃の温度に急速冷却する工程と;
(c’)この析出物を単離する工程と;
(d’)この析出物を、約20℃〜約100℃の温度で、好ましくは約室温で、又は約60℃〜約100℃の温度で、多形2を形成させるのに十分な期間、例えば、温度が室温である場合には、約28日間のように約1日〜50日間、維持する工程と;
(e’)多形2を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0072】
好ましい実施態様によれば、この懸濁液又は溶液は、好ましくは、工程(b)、又は(b’)の間に、化合物Iのクロロホルム溶媒和物を用いてシーディングすることができる。
【0073】
この発明の更なる局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形3の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを酢酸ブチル中、例えば、約室温又は約55℃〜約65℃の温度で、溶解して、溶液を得る工程と;
(b)この溶液を、高温、例えば、約55℃〜約65℃で、及び減圧、例えば、約200ミリバール〜約20ミリバールの圧力で、酢酸ブチルを蒸発させることによって濃縮する工程、及び/又は、多形3の結晶の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、約1時間〜約4時間、例えば、約0℃の温度に、冷却する工程と;
(c)多形3を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0074】
結晶化条件に応じて、この方法において、多形3は、別の多形、例えば、多形1又は多形4と一緒に得ることができる。好ましい実施態様によれば、この溶液は、好ましくは工程(b)の間に、多形3の結晶を用いてシーディングすることができる。
【0075】
この発明の更なる局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形4の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを、アセトン、酢酸ブチル及びアセトニトリルから成る群より選択された溶媒中、アセトンの場合には、約55℃〜約70℃、好ましくは約55℃〜約60℃、より好ましくは約56℃の温度で、酢酸ブチル又はアセトニトリルの場合には、好ましくは、約60℃〜約70℃、より好ましくは約65℃の温度で、溶解して、溶液を得る工程と;
(b)この溶液を、例えば、バッチサイズに応じて、約10分にわたって、又は約30分にわたって、約−5℃〜約5℃の温度に急速冷却し、そしてこれをこの温度で、例えば、約0℃で、多形4の結晶の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、撹拌しながら約1時間、維持する工程と;
(c)多形4の析出物を単離する工程;
又は
(a’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを水/メタノール、エタノール、アセトン及びアセトニトリルから成る群より選択される溶媒中[水/メタノール、エタノール及びアセトニトリルの場合には、約55℃〜約70℃、好ましくは、約65℃の温度で]、溶解して、溶液を得る工程と;
(b’)この溶液を[水/メタノール、エタノール及びアセトニトリルの場合には、約55℃〜約70℃、好ましくは、約65℃の温度で]、溶媒を一部又は全部蒸発させることによって濃縮する工程、及び/又は、多形4の結晶の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、約20時間のように約10時間〜30時間、約5℃〜約15℃、好ましくは、約10℃の温度に徐々に冷却する工程と;
(c’)多形4のこの析出物を単離する工程;
又は
(a’’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをメタノールに溶解して、溶液を得る工程と;
(b’’)ジイソプロピルエーテルを、例えば、約室温で撹拌しながら、この溶液に加えて、多形4の結晶の析出物を形成させる工程と;
(c’’)多形4のこの析出物を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0076】
好ましい実施態様によれば、この溶液は、多形4の結晶を用いて、好ましくは、工程(b)、(b’)又は(b’’)の間にシーディングすることができる。
【0077】
あるいは、多形4は、WO 01/25189、US 6531495、US 2007/0043091及びWO 2007/124849中に記載されているように製造することができる。
【0078】
この発明の更なる局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドのクロロホルム溶媒和物の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを約室温でクロロホルム中に懸濁して、懸濁液を得る工程と;
(b)この懸濁液を、約室温で、クロロホルム溶媒和物の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日間のように約1日〜約50日間、維持する工程と;
(c)クロロホルム溶媒和物のこの析出物を単離する工程;
又は
(a’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを、好ましくは、約60℃の温度に加熱しながら、クロロホルムに溶解して、溶液を得る工程と;
(b’)この溶液を、クロロホルム溶媒和物の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、好ましくは、撹拌しながら、約1時間、約0℃に急速冷却する工程と;
(c’)クロロホルム溶媒和物の析出物を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0079】
好ましい実施態様によれば、この懸濁液又は溶液は、好ましくは工程(b)、又は(b’)の間に、化合物Iのクロロホルム溶媒和物を用いてシーディングすることができる。
【0080】
この発明の更なる局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを1,2−ジクロロベンゼン中約室温で懸濁して、懸濁液を得る工程と;
(b)この懸濁液を、1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日のように約1日〜約50日間、約室温に維持する工程と;
(c)1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物のこの析出物を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0081】
好ましい実施態様によれば、この懸濁液は、好ましくは工程(b)の間に、化合物Iの1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物を用いてシーディングすることができる。
【0082】
この発明の更なる局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドのトルエン溶媒和物の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをトルエン中約室温で懸濁して、懸濁液を得る工程と;
(b)この懸濁液を、トルエン溶媒和物を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日のように約1日〜約50日間、約室温に維持する工程と;
(c)トルエン溶媒和物のこの析出物を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0083】
好ましい実施態様によれば、この懸濁液は、好ましくは工程(b)の間に、化合物Iのトルエン溶媒和物を用いてシーディングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iの多形1の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[°];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図2】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iの多形2の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[゜];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図3】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iの多形3の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[゜];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図4】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iの多形4の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[゜];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図5】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iのクロロホルム溶媒和物の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[゜];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図6】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iのトルエン溶媒和物の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[゜];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図7】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iの1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[゜];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図8】化合物Iの多形1の波数範囲3500〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図9】化合物Iの多形2の波数範囲3500〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図10】化合物Iの多形3の波数範囲3500〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図11】化合物Iの多形4の波数範囲3500〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図12】化合物Iの多形1の波数範囲3200〜2800cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図13】化合物Iの多形2の波数範囲3200〜2800cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図14】化合物Iの多形3の波数範囲3200〜2800cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図15】化合物Iの多形4の波数範囲3200〜2800cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図16】化合物Iの多形1の波数範囲1700〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図17】化合物Iの多形2の波数範囲1700〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図18】化合物Iの多形3の波数範囲1700〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図19】化合物Iの多形4の波数範囲1700〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
実施例
2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドは、“化合物 I”と略記する。
【0086】
本発明による多形及び溶媒和物の形成
次の例は、この発明の多形及び溶媒和物の形成を実施例によって説明している。出発物質としての粗化合物Iの製造方法は、例えば、WO 01/25189、US 6531495及びWO 2007/124849から当技術分野の当業者に知られている。減圧下での乾燥は、約0.2バールの圧力で行なわれた。
【0087】
多形1の形成
(a)1.003gの化合物Iを、65℃で1.86mlのエタノールに溶解した。この溶液の温度を、連続的に撹拌しながら0℃に急速に低下させた。約1時間の撹拌後、析出物を真空ろ過によって単離し、減圧下、室温で終夜乾燥した。
(b)45gの化合物I(多形4)を35mlのエタノール中で懸濁し、少量の多形1でシーディングし、そして室温で終夜撹拌した。この固体を翌日、真空ろ過によって単離し、そして減圧下、室温で乾燥した。収量:純多形1(40g)。
(c)0.213gの化合物I(多形4)を、0.6mlのイソプロパノール中で懸濁し、少量の多形1でシーディングし、そして室温で4週間、密封容器中で撹拌した。この固体を真空ろ過によって単離し、そして減圧下、室温で乾燥した。
【0088】
多形2の形成
(a)1.003gの化合物Iを沸騰温度で0.94mlのクロロホルムに溶解した。連続的に撹拌しながら、この溶液の温度を急速に0℃に低下させた。この析出物を真空ろ過によって単離し、そして減圧下、室温で終夜乾燥した。
(b)0.202gの化合物I(多形4)を、0.5mlのクロロホルム中で懸濁し、そして室温で4週間、密封容器中で撹拌した。この固体を真空ろ過によって単離し、そして減圧下、室温で乾燥した。
【0089】
多形3の形成
最後の合成工程から得られた粗化合物Iの黄色溶液404.2gを、60℃の温度、145〜40ミリバールの圧力で、ロータリーエバポレーター中で濃縮すると、122.4gの黄色の懸濁液が得られた。化合物Iは濃縮の間に、結晶化した。撹拌が容易であるこの懸濁液を、室温で30分間撹拌し、次いで0℃〜2℃の温度に冷却し、そして更に2.5時間撹拌した。化合物Iを吸引・ろ別し、5℃の温度を有する酢酸ブチルで2回、吸引フィルター上で洗浄し、そして20時間、真空乾燥キャビネット(vacuum cabinet drier)中、窒素で覆いながら、40℃で乾燥した。21.2gの白色のかさのある微細な結晶固体が得られ、これは、一部に多形4を有するが、圧倒的に多形3から構成されていた。
【0090】
多形4の形成
(a)0.207gの化合物Iを、65℃で0.4mlのエタノールに溶解し、そして65℃で連続的に撹拌しながら、溶媒を開放容器から蒸発させた。
(b)0.218gの化合物Iを、65℃で6.3mlの酢酸ブチルに溶解した。続いて、この溶液が入っている容器を、この溶液を連続的に撹拌しながら、0℃である周囲環境においた。1時間後、析出物を真空ろ過によって単離し、そして減圧下で終夜、室温で乾燥した。
(c)0.223gの化合物Iを、約56℃で0.5mlのアセトンに溶解した。この溶液の温度を、連続的に撹拌しながら20時間以内で徐々に10℃に低下させた。この析出物を真空ろ過によって単離し、そして減圧下で終夜、室温で乾燥した。
(d)0.231gの化合物Iを、約65℃で0.4mlのアセトニトリルに溶解した。この溶液が入っている容器を急速に0℃の周囲環境に置いた。この溶液を、結晶化が行なわれるまで約1時間撹拌した。この析出物を真空ろ過によって単離し、そして減圧下で終夜、室温で乾燥した。
(e)0.213gの化合物Iを約56℃で0.5mlのアセトンに溶解した。この溶液が入っている容器を、急速に0℃の周囲環境に置いた。この溶液を、結晶化が行なわれるまで約1時間撹拌した。この析出物を真空ろ過によって単離し、そして減圧下で終夜、室温で乾燥した。
(f)0.215gの化合物Iを、約65℃で0.4mlのアセトニトリルに溶解した。この溶液の温度を、連続的に撹拌しながら20時間以内で10℃に低下させた。この析出物を真空ろ過によって単離し、そして減圧下で終夜、室温で乾燥した。
【0091】
1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の形成
0.220gの化合物I(多形4)を、0.6mlの1,2−ジクロロベンゼン中に懸濁した。この溶液を4週間、室温で、密閉容器中で撹拌した。懸濁液中に存在する固体を真空ろ過によって単離し、そして減圧下、室温で乾燥した。
【0092】
クロロホルム溶媒和物の形成
(a)1.003gの化合物I(多形4)を、沸騰温度で0.94mlのクロロホルムに溶解し、そして連続的に撹拌しながら急速に0℃に冷却した。結晶化後、懸濁液中に存在する析出物は、クロロホルム溶媒和物から構成されていた。
(b)0.202gの化合物I(多形4)を、0.5mlのクロロホルム中で懸濁した。この懸濁液を、4週間、室温で撹拌した。この懸濁液中に存在する固体は、クロロホルム溶媒和物から構成されていた。
【0093】
トルエン溶媒和物の形成
0.206gの化合物I(多形4)を、1.20mlのトルエン中に懸濁した。この懸濁液を、4週間、室温で撹拌した。この懸濁液中に存在する固体を、真空ろ過によって単離し、そして減圧下、室温で終夜乾燥した。
【0094】
分析方法及び操作条件
粉末X線回折(XRPD)
粉末X線回折はすべて、CuKα1線を用いて、Stoe Stadi-P透過型回折計を用いて行なわれた。室温粉末回折の場合には、線形位置有感検出器(linear position sensitive detectors)が使用され、一方、温度分解XRPD(temperature-resolved XRPD)の場合には、イメージプレート位置有感検出器(image plate position sensitive detectors)(IP-PSDs)が使用された。別途述べない限り、粉末X線回折は室温で行なわれた。乾燥試料はフラット調製の形で検討し、他方、懸濁液は水晶ガラス毛細管中で検討した。この測定データを評価し、そしてSoftware WinXPOW V1.1でプロットした。化合物Iの相1、2、3及び4並びにクロロホルム溶媒和物、トルエン溶媒和物及び1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の観察された粉末X線ディフラクトグラムは、図(Figure)1〜7に表示した。゜(度)単位での2θ(2シータ)角及び特徴的反射の相対強度が、上記に特定化され、そこでは反射の相対強度が最強の反射の強度の75%より多い場合、あるいはそれ自体が最強の反射である場合には、“強い(strong)”と称し、そして最強の反射の強度の20%と75%の間である場合には、“中程度(medium)”と称する。
【0095】
温度分解粉末X線ディフラクトグラムでは、化合物Iの相1、2、3及び4は、上記の固体−固体転移を示さずに融解するということが示された。
【0096】
示差走査熱量計(DSC)
DSC測定はすべて、Mettler DSC822e (module DSC822e/700/109/414935/0025)を用いて行なわれた。それとは異なると指摘しない限り、40μlの密封されたふた及びくぼみを有するAlるつぼ(アルミニウムるつぼ)が使用された。測定はすべて、50mL/分の窒素ガスフローの中で行なわれた。別途指示しない限り、加熱速度は10℃/分であった。温度及び加熱フローを、インジウム融解ピーク基準によって較正した。この測定データはsoftware STARe V6.1で評価した。
【0097】
DSC実験では、化合物Iの4個の多形1、2、3及び4をすべて加熱すると、それらの上述の固体−固体転移を示さない融解が観察された。次の融点が、10℃/分の加熱速度で上述の融点温度まで、相1、2、3及び4の試料を加熱することによって決定された。
【0098】
【表1】
【0099】
動的蒸気収着(DVS)
水蒸気収着・脱着等温線(Moisture sorption/desorption isotherms)をSurface Measurement Systems社からのDVS−1で記録した。2サイクルを25℃で行ない、そこで相対湿度を段階的に増加させ、引き続いて再び低下させ、そして試料の重量を測定した。データをsoftware DVSWin V. 2.15で評価した。化合物Iの相1、2、3及び4の試料で、相対湿度の関数としての以下の水吸収(重量パーセント単位)が測定された。
【0100】
【表2】
【0101】
ラマン分光法
ラマンスペクトルを、1.5W NIR−レーザー(NIR-Laser)(Nd:YAG;λ=1064nm)及び窒素冷却D418−T NIR−検出器(nitrogen-cooled D418-T NIR-Detector)を備えたFT−ラマン分光装置(RFS100/S, Bruker)で記録した。このスペクトルを評価し、そしてsoftware OPUS V. 4.2でプロットした。観察された化合物Iの相1、2、3及び4の、ラマンスペクトルは図8〜19に表示した。特徴的なシグナルの波数(cm-1単位)は上記に明記されている。
【0102】
結晶構造
化合物Iの相1、3及び4の結晶構造は、X線単結晶構造解析によって決定された。単結晶X線回折データは、50kV/120mAで操作し、微小焦点0.5×5mm2に調整された、SMART APEXエリアディテクター(SMART APEX area detector)及びモリブデンKα回転陽極発生器(molybdenum Kα rotating anode generator)を備えた、ブルカーAXS 3サークル回折計(Bruker/AXS three circle diffractometer)によって室温で回収した。相1及び相3は、非対称単位中、1つの分子を有する単斜晶系空間群P21/cで結晶化し、他方、相4は、非対称単位中に1つの分子を含有する三斜晶系空間群P−1で結晶化する。相3の単位胞(unit cell)が粉末X線回折パターンのインデクセーション(indexation)によって決定された(室温で測定した)。単位胞のデータは、表1に与えられている。
【0103】
【表3】
【0104】
マチュレーション(熟成:maturation)実験
0℃〜80℃の温度領域でのマチュレーション実験(スラリー変換(slurry conversion))によって化合物Iの複数の多形の相対的安定性が検討された。
【0105】
マチュレーション実験(a)〜(d)を、多形1と4の1:1混合物から出発して、指定の条件下で行なった。
【0106】
(a)この相の混合物をエタノール中に懸濁した。60℃で2日間この懸濁液を撹拌した後、この固体を速やかに真空ろ過によって単離した。
(b)この相の混合物を酢酸ブチル中に懸濁した。60℃で2日間この懸濁液を撹拌した後、この固体を速やかに真空ろ過によって単離した。
(c)この相の混合物を1−ペンタノール中に懸濁した。80℃で4時間この懸濁液を撹拌した後、この固体を速やかに真空ろ過によって単離した。
(d)この相の混合物を1−オクタノール中に懸濁した。80℃で4時間この懸濁液を撹拌した後、この固体を速やかに真空ろ過によって単離した。
【0107】
マチュレーション実験(a)〜(d)では、すべて、この固体は相1に完全に変換した。
【0108】
マチュレーション実験(e)〜(p)を、多形4から出発して、懸濁液を指定の条件下で撹拌し、そして真空ろ過によって固体を単離することによって行なわれた。
【0109】
(e)1.3mlの水/メタノール(1:1)中の0.208gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(f)1.0mlの水/エタノール(1:1)中の0.209gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(g)1.4mlのアセトン中の0.238gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(h)0.9mlのメチルエチルケトン中の0.218gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(i)0.7mlの酢酸エチル中の0.218gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(j)0.7mlの酢酸ブチル中の0.207gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(k)0.7mlのテトラヒドロフラン中の0.204gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(l)0.4mlの1,4−ジオキサン中の0.208gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(m)0.7mlのアセトニトリル中の0.204gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(o)0.7mlのジクロロメタン中の0.352gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(p)0.6ml中の0.223gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
【0110】
マチュレーション実験(e)〜(p)ではすべて、純多形1が生じた。
【0111】
更に、多形1、2及び4から成る相の混合物から出発するマチュエーション実験を、0℃、20℃及び40℃で同様に行なった。こうした実験によって、すべて、純多形1が生じた。
【0112】
行なったマチュレーション実験によって、公知の多形の間では、相1が、検討温度範囲内で熱力学的に最も安定であることが証明された。
【技術分野】
【0001】
この発明は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形形態(polymorphic forms)及び溶媒和物、それらの製造方法及びそれらの使用、特に薬剤の製造のための使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
式I:
【化1】
の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドは、AVE0118とも呼ばれ、そして本明細書ではまた、“化合物I”と省略されるが、該化合物は、例えば、特許文献1、2及び3に記載されている公知の医薬活性化合物である。しかしながら、前記化合物の多形形態、又は結晶形態及び溶媒和物についてのデータはこの先行技術には開示されていない。
【0003】
多形(polymorphism)は、1つより多い形態又は結晶構造で存在する単一化合物の特質である。異なる多形は同じ分子式を共有している別個の固体を表すが、それにもかかわらず多形は、それぞれ別個の物理特性を有しうる。単一化合物では、それぞれの形態が、溶解性プロフィールが異なること、熱力学的安定性が異なること、結晶挙動が異なること、ろ過性が異なること、融点温度が異なること、及び/又はX線回折ピークが異なることなどの、物理特性が異なっておりかつ別個である様々な多形形態を生じうる。異なる多形形態の物理的特性における相違は、固体における隣接する分子の配向の相違および分子間相互作用から生じる。化合物の多形形態は、X線回折によって、そして、例えば、赤外分光法、又はラマン分光法などの他の方法によって識別することができる。こうした記載は同様に、溶媒和物、すなわち、溶媒を含む固体の付加化合物にも適用される。
【0004】
しかしながら、当技術分野の当業者によって認められているように、公知の化合物の新規な固体の多形形態又は溶媒和物の存在は予測することはできない。結晶相の存在あるいは溶媒和物の存在も、多形形態の数も予測することができない。また、結晶化が起こり特定の形態が生じる条件、及び多形形態及び溶媒和物の特性も予測することはできない。各多形と溶媒和物の溶解性、及び安定性、並びにその結果使用及び保存に対する適合性などの特性が変わりうるので、多形の存在を確認することは、保存安定性の向上、あるいは溶解性のプロフィールの予測可能性を有する医薬を提供するのに必須のことである。従って、すべての多形形態を含めて、薬物物質の固体状態形態をすべて究明することは、望ましいことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 01/25189
【特許文献2】US 6531495
【特許文献3】WO 2007/124849
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、この発明の目的は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの新規な固体形態、特に、好都合な特性プロフィールを有し、あるいはこの化合物を製造する際に有用である形態を提供することにある。この目的は、多形1、多形2、多形3、クロロホルム溶媒和物、トルエン溶媒和物及び1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物、並びにその任意の混合物から成る群より選択される、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形形態及び溶媒和物を提供することによって解決され、該多形形態及び溶媒和物は、例えば、安定性、溶解性、処理可能性(processability)、吸湿性、流動性、ろ過性又は晶析速度(crystallization rate)に関して好都合な特性を有している。上記に言及した文書、WO 01/25189、US 6531495、US 2007/0043091及びWO 2007/124849中に記載されている、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの結晶形は、本明細書中では多形4と指定されている。
【0007】
この発明の文脈では、多形、多形形態、溶媒和物などは、常に2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形、多形形態又は溶媒和物を意味している。“多形(polymorph)”及び“相(phase)”という用語は、本明細書では互換的に使用することができる。この発明の多形形態及び溶媒和物を特徴付けるのに使用されているデータはすべて、下記に提供されている実施例中で説明されているようにして得られた。
【0008】
この発明の一局面は、多形1(polymorph 1)、多形2(polymorph 2)、多形3(polymorph 3)及びその任意の混合物から成る群より選択される、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドに関するものである。
【0009】
この発明の別の局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1に関し、該多形1は下記の少なくとも1つの特性を有する:
(a)CuKα1線を用いる透過モード(transmission mode)での粉末X線ディフラクトグラム(diffractogram)において、2θ角[°]で、6.7±0.2(強度:中程度(medium))、13.2±0.2(中程度)、17.6±0.2(中程度)、19.1±0.2(中程度)、20.0±0.2(強い)、21.4±0.2(強い)、22.5±0.2(中程度)の特徴的な反射(reflection);及び/又は
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換(Fourier-Transformation))ラマンスペクトルにおいて、3050±2cm-1、2929±2cm-1、2887±2cm-1、1605±2cm-1、1293±2cm-1、1042±2cm-1での特徴的なシグナル(signals)。
【0010】
本発明の一実施態様では、多形1は、上記特性(a)を有し、別の実施態様では上記特性(b)を有し、別の実施態様では、上記特性(a)及び(b)の双方を有する。更なる実施態様では、多形1はまた、1つ又はそれ以上の次の特徴によって特徴付けられる。
【0011】
多形1はまた、透過モードでCuKα1線を用いて得られた図1に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0012】
多形1はまた、近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いて得られた、図8、12及び16に示されているFTラマンスペクトルによって特徴付けられうる。
【0013】
多形1はまた、その融解特性によって特徴付けられることができ、例えば、115.5±1℃(加熱速度 10℃/分)のDSC開始温度(DSC onset temperature)を有する融点がある。
【0014】
多形1はまた、単結晶構造解析によって決定されたその結晶パラメータによって特徴付けられうる。多形は、非対称単位中に1つの分子を含有する単斜晶系空間群P21/cで結晶化する(z=4,a=11.31±0.01Å,b=8.44±0.01Å、c=26.86±0.01Å、β=101.80±0.01°、V=2510.5Å3、ρ=1.269Mgm-3;室温)。
【0015】
結晶構造内では、分子は分子内水素結合N−H…O=Cを形成し、そしてこの複数の分子はまた、こうした分子を結晶のb軸に沿った鎖に連結する分子間水素結合を形成する。
【0016】
多形1はまた、そのDSCサーモグラム(thermogram)又はそのDVS水蒸気収着及び脱着等温線(DVS water vapor sorption and desorption isotherms)によって特徴付けられる。
【0017】
多形1は、90℃未満で、従って室温でも熱力学的に安定である。それゆえ、他の公知の多形と比較して、この多形は、高い安定性が望まれるときに特に適している。90℃未満の様々な環境で別の公知の相に変換するリスクがなく保存することができるのは、この多形のみである。それゆえ、多形1は、改善された安定性、特に保存安定性を有する薬剤及び医薬組成物の製造に特に適している。
【0018】
この発明の別の局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形2に関し、該多形2は少なくとも1つの下記特性を有する:
(a)CuKα1線線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、6.3±0.2(強度:中程度)、8.7±0.2(中程度)、12.6±0.2(中程度)、16.4±0.2(強い)、17.3±0.2(中程度)、19.3±0.2(中程度)、19.8±0.2(中程度)の特徴的な反射;及び/又は
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換)ラマンスペクトルにおいて、3054±2cm-1、2946±2cm-1、1604±2cm-1、1294±2cm-1、1044±2cm-1での特徴的なシグナル。
【0019】
本発明の一実施態様では、多形2は、上記特性(a)を有し、別の実施態様では上記特性(b)を有し、別の実施態様では、上記特性(a)及び(b)の双方を有する。更なる実施態様では、多形2はまた、1つ又はそれ以上の次の特徴によって特徴付けられる。
【0020】
多形2はまた、透過モードでCuKα1線を用いて得られた図2に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0021】
多形2はまた、近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いて得られた、図9、13及び17に示されているFTラマンスペクトルによって特徴付けられうる。
【0022】
多形2はまた、その融解特性によって特徴付けられることができ、例えば、117.2±1℃(加熱速度 10℃/分)のDSC開始温度を有する融点がある。
【0023】
多形2はまた、粉末X線回折パターンの指標とすることによって決定されたその格子定数によって特徴付けられる(単斜晶系、a=8.75±0.01Å、b=27.96±0.01Å、c=11.09±0.01Å、β=102.26±0.01゜、V=2651.2Å3(室温))。
【0024】
多形2はまた、そのDSCサーモグラム又はそのDVS水蒸気収着及び脱着等温線によって特徴付けられる。
【0025】
多形2は、任意の温度で準安定である。他の多形と比較して有利な点は、その溶解性がより高いことである。
【0026】
この発明の別の局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形3に関し、該多形3は少なくとも1つの下記特性を有する:
(a)CuKα1線線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、9.0±0.2(中程度)、15.5±0.2(中程度)、16.8±0.2(中程度)、20.3±0.2(中程度)、21.0±0.2(強い)、25.6±0.2(中程度)の特徴的な反射;及び/又は
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換)ラマンスペクトルにおいて、3047±2cm-1、2935±2cm-1、1601±2cm-1、1293±2cm-1、1042±2cm-1での特徴的なシグナル。
【0027】
本発明の一実施態様では、多形3は、上記特性(a)を有し、別の実施態様では上記特性(b)を有し、別の実施態様では、上記特性(a)及び(b)の双方を有する。更なる実施態様では、多形3はまた、1つ又はそれ以上の次の特徴によって特徴付けられる。
【0028】
多形3はまた、透過モードでのCuKα1線を用いて得られた図3に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0029】
多形3はまた、近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いて得られた、図10、14及び18に示されているFTラマンスペクトルによって特徴付けられうる。
【0030】
多形3はまた、その融解特性によって特徴付けられることができ、例えば、121.7±1℃(加熱速度10℃/分)のDSC開始温度を含む融点がある。
【0031】
多形3はまた、単結晶構造解析によって決定されたその結晶パラメータによって特徴付けられうる。多形は、単斜晶系空間群P21/cで結晶化する(z=4、a=8.81±0.01Å、b=15.24±0.01Å、c=20.11±0.01Å、β=102.22±0.01゜、V=2637.7Å3、ρ=1.208Mgm-3;室温)。
【0032】
多形3はまた、そのDSCサーモグラム(thermogram)又はそのDVS水蒸気収着及び脱着等温線によって特徴付けられる。
【0033】
多形3は、90℃を超えて122℃までが最も熱力学的に安定である。90℃未満でようやく準安定になる。多形3は高温ですでに結晶化することによって容易に得ることが可能であり、そして粗化合物Iの単離、及び精製に適している。
【0034】
この発明は更に、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形4(polymorph 4)に関し、該多形4は少なくとも1つの下記特性を有する:
(a)CuKα1線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ(2シータ)角[°]で、6.4±0.2(強度:中程度)、12.0±0.2(中程度)、13.6±0.2(強い)、18.5±0.2(中程度)、18.9±0.2(強い)、21.7±0.2(中程度)、22.4±0.2(中程度)、27.2±0.2(中程度)の特徴的な反射;及び/又は
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換)ラマンスペクトルにおいて、3055±2cm-1、2923±2cm-1、1606±2cm-1、1044±2cm-1での特徴的なシグナル。
【0035】
一実施態様では、多形4は、上記特性(a)を有し、別の実施態様では上記特性(b)を有し、別の実施態様では、上記特性(a)及び(b)の双方を有する。更なる実施態様では、多形4はまた、1つ又はそれ以上の次の特徴によって特徴付けられる。
【0036】
多形4はまた、透過モードでのCuKα1線を用いて得られた図4に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0037】
多形4はまた、近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いて得られた、図11、15及び19に示されているFTラマンスペクトルによって特徴付けられうる。
【0038】
多形4はまた、その融解特性によって特徴付けられることができ、例えば、118.2±1℃(加熱速度10℃/分)のDSC(示差走査熱測定)開始温度を有する融点がある。
【0039】
多形4はまた、単結晶構造解析によって決定されたその結晶パラメータによって特徴付けられうる。多形は、非対称単位中、1つの分子を有する三斜晶系空間群P−1で結晶化する(z=2、a=8.38±0.01Å、b=11.15±0.01Å、c=13.97±0.01Å、α=79.40±0.01゜、β=85.19±0.01゜、γ=86.55±0.01゜、V=1277.13Å3、ρ=1.247Mgm-3;室温)。
【0040】
結晶構造内では、分子は分子内及び分子間水素結合N−H…O=Cを形成する。この分子間水素結合によって、この分子は結晶のa軸に沿った鎖に連接される。
【0041】
多形4はまた、そのDSCサーモグラム又はそのDVS(動的水蒸気収脱着測定装置:dynamic vapour sorption)水蒸気収着及び脱着等温線によって特徴付けられうる。
【0042】
多形4は、約90℃の狭い温度範囲で熱力学的に安定であるよう見える。この範囲より上、及び下では、他の公知の多形類がより安定である。しかしながら、多形4は、室温で安定である多形1と比較してより早い、従ってより容易な結晶化プロセスで得ることができる。従って、多形4の製造方法は、未精製の化合物Iを早く、容易に処理し、そして好都合な方法で精製するのに特に適している。
【0043】
更に、この発明は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドのクロロホルム溶媒和物、トルエン溶媒和物及び1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物に関するものである。
【0044】
本発明によるクロロホルム溶媒和物は、透過モードでのCuKα1線を用いる、粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、8.7±0.2(強度:中程度)、16.1±0.2(中程度)、16.4±0.2(中程度)、17.1±0.2(強い)、19.9±0.2(中程度)、20.4±0.2(強い)、21.9±0.2(強い)の特徴的な反射を示す。
【0045】
一実施態様では、このクロロホルム溶媒和物はまた、透過モードでのCuKα1線を用いて得られた図5に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0046】
母液は別として、このクロロホルム溶媒和物は、単に中程度に安定であり、そして多形2に変換し始める。従って、この発明の更なる局面は、例えば、このクロロホルム溶媒和物を高温及び/又は減圧などのクロロホルムの喪失を容易にする条件に付すことによる、多形2を製造するための化合物Iのクロロホルム溶媒和物の使用に関する。
【0047】
クロロホルム溶媒和物中のクロロホルムと化合物Iのモル比は、ワークアップ手順などの調製の詳細に応じて変化しうる。本発明の一実施態様では、クロロホルムの含有量は、約1.1〜約0.1、別の実施態様では、約1.1〜約0.5、別の実施態様では、約1〜約0.5、別の実施態様では約1、別の実施態様では、約0.8モル当量のクロロホルムであり、後者のクロロホルムの含有量は、短期間乾燥させたクロロホルム溶媒和物の試料の重量の喪失に相当し、これは熱重量分析(TGA)によって決まる。
【0048】
本発明によるトルエン溶媒和物は、透過モードでのCuKα1線を用いる、粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、8.2±0.2(強度:強い)、15.0±0.2(強い)、16.3±0.2(中程度)、18.2±0.2(中程度)、21.3±0.2(中程度)、21.6±0.2(中程度)、21.9±0.2(強い)、22.1±0.2(中程度)、22.5±0.2(中程度)、26.7±0.2(中程度)の特徴的な反射を示す。
【0049】
一実施態様では、このトルエン溶媒和物はまた、透過モードでのCuKα1線を用いて得られた図6に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0050】
温度分解粉末X線回折、DSC及びTGAによれば、このトルエン溶媒和物は、約80℃〜約110℃の温度範囲でこの溶媒を失い、多形4に変換する。従って、この発明の更なる局面は、多形4を製造するためのトルエン溶媒和物の使用に関する。
【0051】
トルエン溶媒和物中のトルエンと化合物Iのモル比は変化しうる。本発明の一実施態様では、トルエンの含有量は、約1.1〜約0.1、別の実施態様では、約1.1〜約0.3、別の実施態様では、約1〜約0.3、別の実施態様では、約0.7〜約0.3、別の実施態様では約0.5モル当量のトルエンであり、後者のトルエンの含有量は、トルエン溶媒和物の試料の重量の喪失に相当し、これは熱重量分析(TGA)によって決まる。
【0052】
本発明による1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物は、CuKα1線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、8.4±0.2(強度:中程度)、15.2±0.2(中程度)、17.9±0.2(中程度)、21.6±0.2(中程度)、22.0±0.2(強い)、26.4±0.2(中程度)の特徴的な反射を示す。
【0053】
一実施態様では、この1,2−ジクロロベンゼンク溶媒和物はまた、透過モードでのCuKα1線を用いて得られた図7に示されているパターンのようなその粉末X線回折パターンによって特徴付けられうるが、この場合、図に描かれている反射の強度並びに上記に特定された反射の強度は、必須条件ではなく、変化することがありえ、そしてそれは本発明の別の実施態様に相当しうる。
【0054】
1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物は、この溶媒和物Iの形で、これを再結晶化することによって化合物Iの精製で使用することができる。従って、この発明の更なる局面は、化合物Iを精製するための化合物Iの1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の使用に関する。
【0055】
1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物中の1,2−ジクロロベンゼンと化合物Iのモル比は、変化しうる。本発明の一実施態様では、1,2−ジクロロベンゼンの含有量は、約1.1〜約0.1、別の実施態様では、約1.1〜約0.3、別の実施態様では、約1〜約0.3、別の実施態様では、約0.7〜約0.3、別の実施態様では、約0.5モル当量の1,2−ジクロロベンゼンであり、後者の1,2−ジクロロベンゼンの含有量は、1H−NMR分光法によって1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の試料で決まる。
【0056】
この発明の別の局面は、この発明による2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの、多形形態1、2、3及び4より選択される多形形態又は多形形態の混合物の、医薬又は薬剤としての使用に関する。本発明の一実施態様は、多形形態1、2、及び3より選択される1つの多形形態、又は多形形態1、2及び3のうちの少なくとも1つを含んでなる多形形態の混合物の医薬又は薬剤としての使用に関する。この発明の更なる局面は、この発明による2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形形態1、2、3及び4より選択される少なくとも1つの多形形態と、1つ又はそれ以上の医薬的に許容される賦形剤、すなわち希釈剤及び他の補助剤のような不活性物質を含んでなる医薬組成物に関する。本発明の一実施態様では、医薬組成物は、多形形態1、2及び3のうちの少なくとも1つを含んでなる。ヒト医薬及び獣医薬で薬剤としての化合物Iを使用する際に用いることができる医薬組成物は、通例、約0.001%〜約90%(重量)、特に、約0.001%〜約10%(重量)、例えば、約0.05%〜約5%(重量)のパーセントで、そして単位投与あたり、約0.2mg〜約1000mg、特に、約1mg〜約750mgの量で化合物Iの多形又は複数の多形を含んでいるが、医薬組成物の種類、及び特定の場合の他の詳細に応じて、このパーセント及び量は、示されているパーセント及び量から逸脱することがありうる。
【0057】
通例、適切な賦形剤は、当技術分野の当業者によって知られている。希釈剤、又は担体物質は、最終生成物が患者又は医師による投与及び投与量のための適切な形態及び容量を持つような、製薬学的に許容され、かつ医薬組成物のかさ容積を増加させるのに適している任意の化合物である。希釈剤の例には、水、植物油脂、乳糖、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、スターチなど、及びその組み合わせがある。所望の特性プロフィールを達成し、及び/又はその製造を補助するための医薬組成物中に存在することができる他の補助剤の例には、抗粘着剤、結合剤(例えば、アカシア・ゴム、ゼラチン、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、スターチ、スクロース、ポリエチレングリコールなど)、緩衝塩、コーティング剤(例えば、セルロース、合成ポリマー、シェラック、多糖類など)、崩壊剤(例えば、スターチ、セルロース、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、寒天、グアールのようなガムなど)、矯味・矯臭剤及び着色剤、流動促進剤、滑沢剤(例えば、タルク、シリカ、ステアリン酸マグネシウムなど)、保存剤(例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、パルミチン酸レチニル及びセレニウム、メチオニン、システイン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、収着剤、甘味料、湿潤剤などがあり、例えば、ゼラチン、カゼイン、レシチン、アカシア・ゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、ベンザルコニウムクロリド、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、ソルビタンエステル(sorbitan esters)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアラート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスファート(phosphates)、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、セルロース誘導体、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどを含み、並びにその任意の組み合わせがある。
【0058】
本発明による医薬組成物は、化合物 Iの所望の使用における投与量及び投与に適した任意の形態を有することができ、例えば、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、注入・注射可能な溶液(injectable solution)、懸濁液、軟膏、散剤、錠剤、ピル、ハードカプセル又はソフトカプセル、口内錠(lozenge)などでありうる。この医薬組成物は、例えば、経口的、バッカル、直腸、非経口、静脈内、皮下、鼻内、局所的、吸入によって、あるいは眼又は経皮的ルートによって、特に経口的、静脈内又は鼻内に投与することができ、好ましい投与は特定の場合に左右される。対象、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトを処置する際に使用され、そして所望の治療的又は予防的な結果を得るために有効な、本発明による1つ又はそれ以上の多形の形態の化合物Iを用いる投与量は、変化し、特定の場合の詳細に鑑みて医師によって決定される。当技術分野で知られているように、投与量は、例えば、処置される状態の重篤度、全体的な健康、投与ルート、体重、性別、食事、投与時間及びルート、所望の処置の持続期間、吸収及び排泄速度、他の薬物との組み合わせなどの様々なファクターに左右される。本発明による化合物Iの多形又は複数の多形の総一日用量は、単回投与でも、あるいは分割投与で患者に投与してもよい。
【0059】
この発明の一実施態様では、本発明による化合物Iの多形若しくは複数の多形、又はそれらを含んでなる医薬組成物は、心房不整脈、例えば、心房細動又は心房粗動、及び/又は睡眠関連呼吸障害、例えば、睡眠時無呼吸、例えば、中枢性睡眠時無呼吸又は閉塞性睡眠時無呼吸、チェーン・ストークス呼吸、いびき、中枢性呼吸駆動障害(disrupted central respiratory drive)、上気道抵抗症候群及び小児の突然死から成る群より選択される睡眠関連呼吸障害、特に閉塞性睡眠時無呼吸の、治療及び予防を含む処置に使用される。術後低酸素症、無呼吸、筋肉関連呼吸障害、長期人工呼吸療法後の呼吸障害、高山に順応する間の呼吸障害、低酸素症及び高二酸化炭素血症を伴う急性及び慢性肺障害のような他の呼吸障害が、本発明による化合物Iの多形若しくは複数の多形、又はそれらを含んでなる医薬組成物で処置することができる。
【0060】
閉塞性睡眠時無呼吸は、上気道経路の収縮がある場合に、上気道経路への吸入の過程で隔膜及び胸筋によって発生する吸気圧の低下によって起こる。上気道経路の収縮した解剖学的状態は、肥満(脂肪増加症)及び解剖学的素因、例えば、下顎後退症の場合に存在する。この素因を有するヒトでは、上気道経路筋構造の筋構造を拡張させる緊張(tone)は常に、破壊を防止するために健康なヒトと比較して増加しなければならない。舌下神経によって支配されている舌のベース(base)の筋肉、おとがい舌筋は、上気道経路の拡張筋のうちで最も重要である。上気道経路の筋緊張は、覚醒状態においてまだ呼吸障害を防止するのに十分高いが、吸気圧の減少に対してあまりにも低いような睡眠状態においてはこの筋緊張は大幅に低下する。この不均衡によって吸入の間に上気道経路の破壊(閉塞性無呼吸)がもたらされる。上気道経路の収縮が高く、かつ組織圧が同様に高い場合には、破壊は呼気の間、すなわち圧力の低下がない場合でさえ起こりうる。化合物Iによる上気道経路の筋緊張の増加によって閉塞性無呼吸を防止することができる。
【0061】
いびきは、上気道経路の空気の流れに関連した振動によって発生する。これは、上気道経路が過度に狭くなり、同時に上気道経路の不十分な筋緊張を伴う場合に起こり、それゆえ、閉塞性睡眠時無呼吸と密接な病理生理学的関係を有する。従って、いびきはある程度、閉塞性睡眠時無呼吸の前兆と見なされうる。それゆえ、化合物Iによる上気道経路の筋緊張の増加は、いびき及び閉塞性睡眠時無呼吸の双方を防止することができる。中枢性無呼吸は、呼吸調節の中枢性破壊によって引き起こされる。これらは化合物Iの同時に起こる呼吸促進作用によって防止することができる。
【0062】
従って、この発明の更なる局面は、睡眠関連呼吸障害または心房不整脈を、治療し及び予防することを含んで、処置する薬剤を製造するための、本発明による2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形形態又は複数の多形形態の混合物の使用に関する。特に好ましい実施態様では、この睡眠関連呼吸障害は、睡眠時無呼吸であり、好ましくは閉塞性睡眠時無呼吸である。
【0063】
本発明の一実施態様では、本発明による医薬組成物は、少なくとも1つの更なる活性薬剤、特に心房不整脈及び/又は睡眠関連呼吸障害の、治療及び予防を含む、処置する活性薬剤を含んでなる。
【0064】
本発明の一実施態様によれば、本発明によるこの医薬組成物は、化合物Iの多形1を含む。別の実施態様によれば、これには化合物Iの多形1が、化合物Iの多形2及び/又は化合物Iの多形3及び/又は化合物Iの多形4と組み合わせて含有され、例えば、化合物Iの多形1を化合物Iの多形3と組み合わせるか、又は化合物Iの多形1を化合物Iの多形4と組み合わせる。本発明の別の実施態様によれば、本発明による医薬組成物は、化合物Iの多形3を含む。別の実施態様によれば、これには、化合物Iの多形3が、化合物Iの多形1及び/又は化合物Iの多形2及び/又は化合物Iの多形4と組み合わせて含有され、例えば、化合物Iの多形3は、多形4と組み合わせる。
【0065】
この発明の別の局面は、本発明による多形形態及び溶媒和物の製造方法に関する。更なる局面では、この発明は、上記に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1、多形2、多形3、多形4、クロロホルム溶媒和物、トルエン溶媒和物又は1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物が得られる結晶化工程を含む、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの精製方法に関する。前記方法は、好ましくは、下記に説明する多形1、多形2、多形3、多形4、クロロホルム溶媒和物、トルエン溶媒和物又は1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の製造することを含んでなる。
【0066】
通例、本発明の多形形態及び溶媒和物は、化合物Iの溶液から、又は化合物Iの懸濁液から、又は固体の化合物Iから出発して、化合物Iを結晶化又は再結晶化することによって得ることができる。化合物Iの溶液、又は化合物Iの懸濁液は、化合物Iの化学合成の終期で得てもよいし、又はそれは予め合成した粗化合物Iを溶解するか、又は懸濁することによって得てもよい。“粗化合物I(crude compound I)”という用語は、化合物Iの任意の形態を含み、例えば、化学合成から直接得られた物質、別個の多形形態、又は溶媒和物、又は多形形態及び/又は溶媒和物の混合物があり、こうしたものはその結晶特性の関連では特徴付けられない可能性があり、そして別個の多形形態又は溶媒和物に、あるいは別の異なる多形形態又は溶媒和物に変換しうる。より詳しくは、本発明の多形形態及び溶媒和物は、
(a)化合物Iの溶液又は懸濁液を、例えば、適切な溶媒中に粗化合物Iを溶解又は懸濁することによって[上記において、化合物Iの溶液は通例、透明な溶液であり、そして所望によりろ過される]提供することと、
(b)溶液又は懸濁液を維持し、加熱し、冷却し及び/又は濃縮し、及び/又は、撹拌などのかき混ぜを行うか、若しくは行わずに、1つ又はそれ以上の更なる溶媒を加えて、所望の別個の多形又は溶媒和物の結晶析出物を形成させるか、あるいは所望の別個の多形形態又は溶媒和物を形成させることと、
及び
(c)個別の多形又は溶媒和物を単離すること
によって得ることができる。
【0067】
化合物Iの多形形態及び溶媒和物を製造する方法は、一般に行なわれている装置を用い、そして標準的な手順によって行なうことができる。例えば、工程(b)における溶液又は懸濁液を濃縮するには、大気圧又は減圧で一部又は全部の溶媒を留去させることによって行なうことができる。工程(c)における多形又は溶媒和物を単離するには、ろ過又は真空ろ過又は遠心分離などの一般に行われている任意の技法によって行うことができる。単離はまた、例えば、高温及び/又は減圧を適用することによって、例えば、室温程度、すなわち、約18℃〜約25℃、例えば、約20℃、又は約40℃で、中程度の減圧で、乾燥することを含みうる。
【0068】
好ましい実施態様では、この溶液又は懸濁液は、工程(a)又は工程(b)において結晶化又は多形変換を促進するためにシーディング(seed)できる。シーディングは、好ましくは少量の所望の多形又は溶媒和物、例えば、多形1又は多形2又は多形3又は多形4を用いて行なわれる。
【0069】
この発明の一局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを、メタノール、エタノール、メタノール/水、エタノール/水、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル及び塩化メチレンから成る群より選択される溶媒中約室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;(b)この懸濁液を、多形1の結晶を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日間のように約1日〜約50日間、約室温で維持する工程と;
(c)多形1の析出物を単離する工程;
又は
(a’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを、エタノール及びイソプロパノールから成る群より選択される溶媒中約室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b’)この懸濁液を、約0℃〜約45℃、好ましくは約15℃〜約25℃、より好ましくは約20℃の温度で、多形1の結晶を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日間のように約1日〜約50日間、維持する工程と;
(c’)多形1の析出物を単離する工程;
又は
(a’’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをアセトン中約室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b’’)この懸濁液を、約15℃〜約40℃の温度で、多形1の結晶を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日間のように約1日〜約50日間、維持する工程と;
(c’’)多形1の析出物を単離する工程;
又は
(a’’’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをエタノール中に、好ましくは約60℃〜約70℃の温度に加熱しながら、溶解して、溶液を得る工程と;
(b’’’)この溶液を、好ましくは、撹拌しながら、約0℃の温度に急速冷却する工程と;
(c’’’)多形1の析出物を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0070】
好ましい実施態様によれば、この懸濁液は、好ましくは工程(b)、(b’)、(b’’)又は(b’’’)の間に、多形1の結晶を用いてシーディングすることができる。
【0071】
この発明の更なる局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形2の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをクロロホルム中約室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b)この懸濁液を、約室温で、化合物Iのクロロホルム溶媒和物の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日間のように約1日〜約50日間、維持する工程と;
(c)この析出物を単離する工程と;
(d)この析出物を約20℃〜約100℃の温度で、好ましくは約室温で、又は約60℃〜約100℃の温度で、多形2を形成させるのに十分な期間、例えば、温度が室温である場合には、約28日間のように約1日〜50日間、維持する工程と;
(e)多形2を単離する工程;
又は
(a’)好ましくは、約60℃の温度に加熱しながら、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをクロロホルムに溶解して、溶液を得る工程と;
(b’)化合物Iのクロロホルム溶媒和物の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、好ましくは撹拌しながら約1時間、この溶液を約0℃の温度に急速冷却する工程と;
(c’)この析出物を単離する工程と;
(d’)この析出物を、約20℃〜約100℃の温度で、好ましくは約室温で、又は約60℃〜約100℃の温度で、多形2を形成させるのに十分な期間、例えば、温度が室温である場合には、約28日間のように約1日〜50日間、維持する工程と;
(e’)多形2を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0072】
好ましい実施態様によれば、この懸濁液又は溶液は、好ましくは、工程(b)、又は(b’)の間に、化合物Iのクロロホルム溶媒和物を用いてシーディングすることができる。
【0073】
この発明の更なる局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形3の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを酢酸ブチル中、例えば、約室温又は約55℃〜約65℃の温度で、溶解して、溶液を得る工程と;
(b)この溶液を、高温、例えば、約55℃〜約65℃で、及び減圧、例えば、約200ミリバール〜約20ミリバールの圧力で、酢酸ブチルを蒸発させることによって濃縮する工程、及び/又は、多形3の結晶の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、約1時間〜約4時間、例えば、約0℃の温度に、冷却する工程と;
(c)多形3を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0074】
結晶化条件に応じて、この方法において、多形3は、別の多形、例えば、多形1又は多形4と一緒に得ることができる。好ましい実施態様によれば、この溶液は、好ましくは工程(b)の間に、多形3の結晶を用いてシーディングすることができる。
【0075】
この発明の更なる局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形4の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを、アセトン、酢酸ブチル及びアセトニトリルから成る群より選択された溶媒中、アセトンの場合には、約55℃〜約70℃、好ましくは約55℃〜約60℃、より好ましくは約56℃の温度で、酢酸ブチル又はアセトニトリルの場合には、好ましくは、約60℃〜約70℃、より好ましくは約65℃の温度で、溶解して、溶液を得る工程と;
(b)この溶液を、例えば、バッチサイズに応じて、約10分にわたって、又は約30分にわたって、約−5℃〜約5℃の温度に急速冷却し、そしてこれをこの温度で、例えば、約0℃で、多形4の結晶の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、撹拌しながら約1時間、維持する工程と;
(c)多形4の析出物を単離する工程;
又は
(a’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを水/メタノール、エタノール、アセトン及びアセトニトリルから成る群より選択される溶媒中[水/メタノール、エタノール及びアセトニトリルの場合には、約55℃〜約70℃、好ましくは、約65℃の温度で]、溶解して、溶液を得る工程と;
(b’)この溶液を[水/メタノール、エタノール及びアセトニトリルの場合には、約55℃〜約70℃、好ましくは、約65℃の温度で]、溶媒を一部又は全部蒸発させることによって濃縮する工程、及び/又は、多形4の結晶の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、約20時間のように約10時間〜30時間、約5℃〜約15℃、好ましくは、約10℃の温度に徐々に冷却する工程と;
(c’)多形4のこの析出物を単離する工程;
又は
(a’’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをメタノールに溶解して、溶液を得る工程と;
(b’’)ジイソプロピルエーテルを、例えば、約室温で撹拌しながら、この溶液に加えて、多形4の結晶の析出物を形成させる工程と;
(c’’)多形4のこの析出物を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0076】
好ましい実施態様によれば、この溶液は、多形4の結晶を用いて、好ましくは、工程(b)、(b’)又は(b’’)の間にシーディングすることができる。
【0077】
あるいは、多形4は、WO 01/25189、US 6531495、US 2007/0043091及びWO 2007/124849中に記載されているように製造することができる。
【0078】
この発明の更なる局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドのクロロホルム溶媒和物の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを約室温でクロロホルム中に懸濁して、懸濁液を得る工程と;
(b)この懸濁液を、約室温で、クロロホルム溶媒和物の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日間のように約1日〜約50日間、維持する工程と;
(c)クロロホルム溶媒和物のこの析出物を単離する工程;
又は
(a’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを、好ましくは、約60℃の温度に加熱しながら、クロロホルムに溶解して、溶液を得る工程と;
(b’)この溶液を、クロロホルム溶媒和物の析出物を形成させるのに十分な期間、例えば、好ましくは、撹拌しながら、約1時間、約0℃に急速冷却する工程と;
(c’)クロロホルム溶媒和物の析出物を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0079】
好ましい実施態様によれば、この懸濁液又は溶液は、好ましくは工程(b)、又は(b’)の間に、化合物Iのクロロホルム溶媒和物を用いてシーディングすることができる。
【0080】
この発明の更なる局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを1,2−ジクロロベンゼン中約室温で懸濁して、懸濁液を得る工程と;
(b)この懸濁液を、1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日のように約1日〜約50日間、約室温に維持する工程と;
(c)1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物のこの析出物を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0081】
好ましい実施態様によれば、この懸濁液は、好ましくは工程(b)の間に、化合物Iの1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物を用いてシーディングすることができる。
【0082】
この発明の更なる局面は、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドのトルエン溶媒和物の製造方法であって、
その方法が、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをトルエン中約室温で懸濁して、懸濁液を得る工程と;
(b)この懸濁液を、トルエン溶媒和物を形成させるのに十分な期間、例えば、約28日のように約1日〜約50日間、約室温に維持する工程と;
(c)トルエン溶媒和物のこの析出物を単離する工程;
を含んでなる、前記方法に関する。
【0083】
好ましい実施態様によれば、この懸濁液は、好ましくは工程(b)の間に、化合物Iのトルエン溶媒和物を用いてシーディングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iの多形1の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[°];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図2】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iの多形2の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[゜];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図3】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iの多形3の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[゜];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図4】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iの多形4の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[゜];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図5】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iのクロロホルム溶媒和物の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[゜];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図6】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iのトルエン溶媒和物の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[゜];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図7】室温でCuKα1線を行ない透過モードで測定した、化合物Iの1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の粉末X線回折パターン(x軸:回折角2シータ(2θ)[゜];y軸:相対強度[最大反射に対する%])を示す。
【図8】化合物Iの多形1の波数範囲3500〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図9】化合物Iの多形2の波数範囲3500〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図10】化合物Iの多形3の波数範囲3500〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図11】化合物Iの多形4の波数範囲3500〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図12】化合物Iの多形1の波数範囲3200〜2800cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図13】化合物Iの多形2の波数範囲3200〜2800cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図14】化合物Iの多形3の波数範囲3200〜2800cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図15】化合物Iの多形4の波数範囲3200〜2800cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図16】化合物Iの多形1の波数範囲1700〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図17】化合物Iの多形2の波数範囲1700〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図18】化合物Iの多形3の波数範囲1700〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【図19】化合物Iの多形4の波数範囲1700〜200cm-1のFTラマンスペクトラム(x軸:波数[cm-1];y軸:強度[任意単位])を示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
実施例
2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドは、“化合物 I”と略記する。
【0086】
本発明による多形及び溶媒和物の形成
次の例は、この発明の多形及び溶媒和物の形成を実施例によって説明している。出発物質としての粗化合物Iの製造方法は、例えば、WO 01/25189、US 6531495及びWO 2007/124849から当技術分野の当業者に知られている。減圧下での乾燥は、約0.2バールの圧力で行なわれた。
【0087】
多形1の形成
(a)1.003gの化合物Iを、65℃で1.86mlのエタノールに溶解した。この溶液の温度を、連続的に撹拌しながら0℃に急速に低下させた。約1時間の撹拌後、析出物を真空ろ過によって単離し、減圧下、室温で終夜乾燥した。
(b)45gの化合物I(多形4)を35mlのエタノール中で懸濁し、少量の多形1でシーディングし、そして室温で終夜撹拌した。この固体を翌日、真空ろ過によって単離し、そして減圧下、室温で乾燥した。収量:純多形1(40g)。
(c)0.213gの化合物I(多形4)を、0.6mlのイソプロパノール中で懸濁し、少量の多形1でシーディングし、そして室温で4週間、密封容器中で撹拌した。この固体を真空ろ過によって単離し、そして減圧下、室温で乾燥した。
【0088】
多形2の形成
(a)1.003gの化合物Iを沸騰温度で0.94mlのクロロホルムに溶解した。連続的に撹拌しながら、この溶液の温度を急速に0℃に低下させた。この析出物を真空ろ過によって単離し、そして減圧下、室温で終夜乾燥した。
(b)0.202gの化合物I(多形4)を、0.5mlのクロロホルム中で懸濁し、そして室温で4週間、密封容器中で撹拌した。この固体を真空ろ過によって単離し、そして減圧下、室温で乾燥した。
【0089】
多形3の形成
最後の合成工程から得られた粗化合物Iの黄色溶液404.2gを、60℃の温度、145〜40ミリバールの圧力で、ロータリーエバポレーター中で濃縮すると、122.4gの黄色の懸濁液が得られた。化合物Iは濃縮の間に、結晶化した。撹拌が容易であるこの懸濁液を、室温で30分間撹拌し、次いで0℃〜2℃の温度に冷却し、そして更に2.5時間撹拌した。化合物Iを吸引・ろ別し、5℃の温度を有する酢酸ブチルで2回、吸引フィルター上で洗浄し、そして20時間、真空乾燥キャビネット(vacuum cabinet drier)中、窒素で覆いながら、40℃で乾燥した。21.2gの白色のかさのある微細な結晶固体が得られ、これは、一部に多形4を有するが、圧倒的に多形3から構成されていた。
【0090】
多形4の形成
(a)0.207gの化合物Iを、65℃で0.4mlのエタノールに溶解し、そして65℃で連続的に撹拌しながら、溶媒を開放容器から蒸発させた。
(b)0.218gの化合物Iを、65℃で6.3mlの酢酸ブチルに溶解した。続いて、この溶液が入っている容器を、この溶液を連続的に撹拌しながら、0℃である周囲環境においた。1時間後、析出物を真空ろ過によって単離し、そして減圧下で終夜、室温で乾燥した。
(c)0.223gの化合物Iを、約56℃で0.5mlのアセトンに溶解した。この溶液の温度を、連続的に撹拌しながら20時間以内で徐々に10℃に低下させた。この析出物を真空ろ過によって単離し、そして減圧下で終夜、室温で乾燥した。
(d)0.231gの化合物Iを、約65℃で0.4mlのアセトニトリルに溶解した。この溶液が入っている容器を急速に0℃の周囲環境に置いた。この溶液を、結晶化が行なわれるまで約1時間撹拌した。この析出物を真空ろ過によって単離し、そして減圧下で終夜、室温で乾燥した。
(e)0.213gの化合物Iを約56℃で0.5mlのアセトンに溶解した。この溶液が入っている容器を、急速に0℃の周囲環境に置いた。この溶液を、結晶化が行なわれるまで約1時間撹拌した。この析出物を真空ろ過によって単離し、そして減圧下で終夜、室温で乾燥した。
(f)0.215gの化合物Iを、約65℃で0.4mlのアセトニトリルに溶解した。この溶液の温度を、連続的に撹拌しながら20時間以内で10℃に低下させた。この析出物を真空ろ過によって単離し、そして減圧下で終夜、室温で乾燥した。
【0091】
1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の形成
0.220gの化合物I(多形4)を、0.6mlの1,2−ジクロロベンゼン中に懸濁した。この溶液を4週間、室温で、密閉容器中で撹拌した。懸濁液中に存在する固体を真空ろ過によって単離し、そして減圧下、室温で乾燥した。
【0092】
クロロホルム溶媒和物の形成
(a)1.003gの化合物I(多形4)を、沸騰温度で0.94mlのクロロホルムに溶解し、そして連続的に撹拌しながら急速に0℃に冷却した。結晶化後、懸濁液中に存在する析出物は、クロロホルム溶媒和物から構成されていた。
(b)0.202gの化合物I(多形4)を、0.5mlのクロロホルム中で懸濁した。この懸濁液を、4週間、室温で撹拌した。この懸濁液中に存在する固体は、クロロホルム溶媒和物から構成されていた。
【0093】
トルエン溶媒和物の形成
0.206gの化合物I(多形4)を、1.20mlのトルエン中に懸濁した。この懸濁液を、4週間、室温で撹拌した。この懸濁液中に存在する固体を、真空ろ過によって単離し、そして減圧下、室温で終夜乾燥した。
【0094】
分析方法及び操作条件
粉末X線回折(XRPD)
粉末X線回折はすべて、CuKα1線を用いて、Stoe Stadi-P透過型回折計を用いて行なわれた。室温粉末回折の場合には、線形位置有感検出器(linear position sensitive detectors)が使用され、一方、温度分解XRPD(temperature-resolved XRPD)の場合には、イメージプレート位置有感検出器(image plate position sensitive detectors)(IP-PSDs)が使用された。別途述べない限り、粉末X線回折は室温で行なわれた。乾燥試料はフラット調製の形で検討し、他方、懸濁液は水晶ガラス毛細管中で検討した。この測定データを評価し、そしてSoftware WinXPOW V1.1でプロットした。化合物Iの相1、2、3及び4並びにクロロホルム溶媒和物、トルエン溶媒和物及び1,2−ジクロロベンゼン溶媒和物の観察された粉末X線ディフラクトグラムは、図(Figure)1〜7に表示した。゜(度)単位での2θ(2シータ)角及び特徴的反射の相対強度が、上記に特定化され、そこでは反射の相対強度が最強の反射の強度の75%より多い場合、あるいはそれ自体が最強の反射である場合には、“強い(strong)”と称し、そして最強の反射の強度の20%と75%の間である場合には、“中程度(medium)”と称する。
【0095】
温度分解粉末X線ディフラクトグラムでは、化合物Iの相1、2、3及び4は、上記の固体−固体転移を示さずに融解するということが示された。
【0096】
示差走査熱量計(DSC)
DSC測定はすべて、Mettler DSC822e (module DSC822e/700/109/414935/0025)を用いて行なわれた。それとは異なると指摘しない限り、40μlの密封されたふた及びくぼみを有するAlるつぼ(アルミニウムるつぼ)が使用された。測定はすべて、50mL/分の窒素ガスフローの中で行なわれた。別途指示しない限り、加熱速度は10℃/分であった。温度及び加熱フローを、インジウム融解ピーク基準によって較正した。この測定データはsoftware STARe V6.1で評価した。
【0097】
DSC実験では、化合物Iの4個の多形1、2、3及び4をすべて加熱すると、それらの上述の固体−固体転移を示さない融解が観察された。次の融点が、10℃/分の加熱速度で上述の融点温度まで、相1、2、3及び4の試料を加熱することによって決定された。
【0098】
【表1】
【0099】
動的蒸気収着(DVS)
水蒸気収着・脱着等温線(Moisture sorption/desorption isotherms)をSurface Measurement Systems社からのDVS−1で記録した。2サイクルを25℃で行ない、そこで相対湿度を段階的に増加させ、引き続いて再び低下させ、そして試料の重量を測定した。データをsoftware DVSWin V. 2.15で評価した。化合物Iの相1、2、3及び4の試料で、相対湿度の関数としての以下の水吸収(重量パーセント単位)が測定された。
【0100】
【表2】
【0101】
ラマン分光法
ラマンスペクトルを、1.5W NIR−レーザー(NIR-Laser)(Nd:YAG;λ=1064nm)及び窒素冷却D418−T NIR−検出器(nitrogen-cooled D418-T NIR-Detector)を備えたFT−ラマン分光装置(RFS100/S, Bruker)で記録した。このスペクトルを評価し、そしてsoftware OPUS V. 4.2でプロットした。観察された化合物Iの相1、2、3及び4の、ラマンスペクトルは図8〜19に表示した。特徴的なシグナルの波数(cm-1単位)は上記に明記されている。
【0102】
結晶構造
化合物Iの相1、3及び4の結晶構造は、X線単結晶構造解析によって決定された。単結晶X線回折データは、50kV/120mAで操作し、微小焦点0.5×5mm2に調整された、SMART APEXエリアディテクター(SMART APEX area detector)及びモリブデンKα回転陽極発生器(molybdenum Kα rotating anode generator)を備えた、ブルカーAXS 3サークル回折計(Bruker/AXS three circle diffractometer)によって室温で回収した。相1及び相3は、非対称単位中、1つの分子を有する単斜晶系空間群P21/cで結晶化し、他方、相4は、非対称単位中に1つの分子を含有する三斜晶系空間群P−1で結晶化する。相3の単位胞(unit cell)が粉末X線回折パターンのインデクセーション(indexation)によって決定された(室温で測定した)。単位胞のデータは、表1に与えられている。
【0103】
【表3】
【0104】
マチュレーション(熟成:maturation)実験
0℃〜80℃の温度領域でのマチュレーション実験(スラリー変換(slurry conversion))によって化合物Iの複数の多形の相対的安定性が検討された。
【0105】
マチュレーション実験(a)〜(d)を、多形1と4の1:1混合物から出発して、指定の条件下で行なった。
【0106】
(a)この相の混合物をエタノール中に懸濁した。60℃で2日間この懸濁液を撹拌した後、この固体を速やかに真空ろ過によって単離した。
(b)この相の混合物を酢酸ブチル中に懸濁した。60℃で2日間この懸濁液を撹拌した後、この固体を速やかに真空ろ過によって単離した。
(c)この相の混合物を1−ペンタノール中に懸濁した。80℃で4時間この懸濁液を撹拌した後、この固体を速やかに真空ろ過によって単離した。
(d)この相の混合物を1−オクタノール中に懸濁した。80℃で4時間この懸濁液を撹拌した後、この固体を速やかに真空ろ過によって単離した。
【0107】
マチュレーション実験(a)〜(d)では、すべて、この固体は相1に完全に変換した。
【0108】
マチュレーション実験(e)〜(p)を、多形4から出発して、懸濁液を指定の条件下で撹拌し、そして真空ろ過によって固体を単離することによって行なわれた。
【0109】
(e)1.3mlの水/メタノール(1:1)中の0.208gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(f)1.0mlの水/エタノール(1:1)中の0.209gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(g)1.4mlのアセトン中の0.238gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(h)0.9mlのメチルエチルケトン中の0.218gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(i)0.7mlの酢酸エチル中の0.218gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(j)0.7mlの酢酸ブチル中の0.207gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(k)0.7mlのテトラヒドロフラン中の0.204gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(l)0.4mlの1,4−ジオキサン中の0.208gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(m)0.7mlのアセトニトリル中の0.204gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(o)0.7mlのジクロロメタン中の0.352gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
(p)0.6ml中の0.223gの化合物Iのマチュレーションを、室温で4週間にわたって行なった。7日後、試料を少量の多形1及び多形2でシーディングした。
【0110】
マチュレーション実験(e)〜(p)ではすべて、純多形1が生じた。
【0111】
更に、多形1、2及び4から成る相の混合物から出発するマチュエーション実験を、0℃、20℃及び40℃で同様に行なった。こうした実験によって、すべて、純多形1が生じた。
【0112】
行なったマチュレーション実験によって、公知の多形の間では、相1が、検討温度範囲内で熱力学的に最も安定であることが証明された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多形1、多形2、多形3及びその任意の混合物から成る群より選択される2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの結晶形。
【請求項2】
請求項1に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの結晶形であって、該結晶形が多形1であり、そして
(a)CuKα1線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、6.7±0.2、13.2±0.2、17.6±0.2、19.1±0.2、20.0±0.2、21.4±0.2、22.5±0.2の特徴的な反射;及び
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換)ラマンスペクトルにおいて、3050±2cm-1、2929±2cm-1、2887±2cm-1、1605±2cm-1、1293±2cm-1、1042±2cm-1での特徴的なシグナル、
の少なくとも1つの特性を有する、上記結晶形。
【請求項3】
請求項1に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの結晶形であって、該結晶形が多形2であり、そして
(a)CuKα1線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、6.3±0.2、8.7±0.2、12.6±0.2、16.4±0.2、17.3±0.2、19.3±0.2、19.8±0.2の特徴的な反射;及び
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換)ラマンスペクトルにおいて、3054±2cm-1、2946±2cm-1、1604±2cm-1、1294±2cm-1、1044±2cm-1での特徴的なシグナル、
の少なくとも1つの特性を有する、上記結晶形。
【請求項4】
請求項1に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの結晶形であって、該結晶形が多形3であり、そして
(a)CuKα1線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、9.0±0.2、15.5±0.2、16.8±0.2、20.3±0.2、21.0±0.2、25.6±0.2の特徴的な反射;及び
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換)ラマンスペクトルにおいて、3047±2cm-1、2935±2cm-1、1601±2cm-1、1293±2cm-1、1042±2cm-1での特徴的なシグナル、
の少なくとも1つの特性を有する、上記結晶形。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1、多形2及び多形3の少なくとも1つと、1つ又はそれ以上の製薬学的に許容される賦形剤を含んでなる医薬組成物。
【請求項6】
心房不整脈又は睡眠関連呼吸障害の処置のための、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
活性薬剤を更に含んでなる、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1、多形2及び多形3の少なくとも1つの薬剤としての使用。
【請求項9】
心房不整脈又は睡眠関連呼吸障害を処置する薬剤の製造のための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1、多形2及び多形3の少なくとも1つの使用。
【請求項10】
睡眠関連呼吸障害が睡眠時無呼吸である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1の製造方法であって、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを、メタノール、エタノール、メタノール/水、エタノール/水、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル及び塩化メチレンから成る群より選択される溶媒中室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b)この懸濁液を室温に維持して、多形1の結晶を形成させる工程と;
(c)多形1の析出物を単離する工程;
又は
(a’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを、エタノール及びイソプロパノールから成る群より選択される溶媒中室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b’)この懸濁液を0℃〜45℃の温度に維持して、多形1の結晶を形成させる工程と;
(c’)多形1の析出物を単離する工程;
又は
(a’’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをアセトン中に室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b’’)この懸濁液を15℃〜40℃の温度に維持して、多形1の結晶を形成させる工程と;
(c’’)多形1の析出物を単離する工程;
又は
(a’’’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをエタノールに溶解して、溶液を得る工程と;
(b’’’)この溶液を0℃の温度に急速冷却する工程と;
(c’’’)多形1の析出物を単離する工程;
を含んでなる、上記方法。
【請求項12】
請求項1又は3に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形2の製造方法であって、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをクロロホルム中室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b)この懸濁液を室温に維持して、クロロホルム溶媒和物の析出物を形成させる工程と;
(c)この析出物を単離する工程と;
(d)この析出物を20℃〜100℃の温度に維持して、多形2を形成させる工程と;
(e)多形2を単離する工程;
又は
(a’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをクロロホルムに溶解して、溶液を得る工程と;
(b’)この溶液を0℃の温度に急速冷却して、クロロホルム溶媒和物の析出物を形成させる工程と;
(c’)この析出物を単離する工程と;
(d’)この析出物を20℃〜100℃の温度に維持して、多形2を形成させる工程と;
(e’)多形2を単離する工程;
を含んでなる、上記方法。
【請求項13】
請求項1又は4に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形3の製造方法であって、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを酢酸ブチルに溶解して、溶液を得る工程と;
(b)この溶液を、高温及び減圧で、酢酸ブチルを蒸発させることによって濃縮する工程、及び/又は冷却して、多形3の結晶の析出物を形成させる工程と;
(c)多形3を単離する工程;
を含んでなる、上記方法。
【請求項14】
2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの精製方法であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1、多形2又は多形3が得られる、結晶化工程を含んでなる、上記方法。
【請求項1】
多形1、多形2、多形3及びその任意の混合物から成る群より選択される2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの結晶形。
【請求項2】
請求項1に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの結晶形であって、該結晶形が多形1であり、そして
(a)CuKα1線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、6.7±0.2、13.2±0.2、17.6±0.2、19.1±0.2、20.0±0.2、21.4±0.2、22.5±0.2の特徴的な反射;及び
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換)ラマンスペクトルにおいて、3050±2cm-1、2929±2cm-1、2887±2cm-1、1605±2cm-1、1293±2cm-1、1042±2cm-1での特徴的なシグナル、
の少なくとも1つの特性を有する、上記結晶形。
【請求項3】
請求項1に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの結晶形であって、該結晶形が多形2であり、そして
(a)CuKα1線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、6.3±0.2、8.7±0.2、12.6±0.2、16.4±0.2、17.3±0.2、19.3±0.2、19.8±0.2の特徴的な反射;及び
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換)ラマンスペクトルにおいて、3054±2cm-1、2946±2cm-1、1604±2cm-1、1294±2cm-1、1044±2cm-1での特徴的なシグナル、
の少なくとも1つの特性を有する、上記結晶形。
【請求項4】
請求項1に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの結晶形であって、該結晶形が多形3であり、そして
(a)CuKα1線を用いる透過モードでの粉末X線ディフラクトグラムにおいて、2θ角[°]で、9.0±0.2、15.5±0.2、16.8±0.2、20.3±0.2、21.0±0.2、25.6±0.2の特徴的な反射;及び
(b)近赤外レーザー(λ=1064nm)を用いるFT(フーリエ変換)ラマンスペクトルにおいて、3047±2cm-1、2935±2cm-1、1601±2cm-1、1293±2cm-1、1042±2cm-1での特徴的なシグナル、
の少なくとも1つの特性を有する、上記結晶形。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の、2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1、多形2及び多形3の少なくとも1つと、1つ又はそれ以上の製薬学的に許容される賦形剤を含んでなる医薬組成物。
【請求項6】
心房不整脈又は睡眠関連呼吸障害の処置のための、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
活性薬剤を更に含んでなる、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1、多形2及び多形3の少なくとも1つの薬剤としての使用。
【請求項9】
心房不整脈又は睡眠関連呼吸障害を処置する薬剤の製造のための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1、多形2及び多形3の少なくとも1つの使用。
【請求項10】
睡眠関連呼吸障害が睡眠時無呼吸である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1の製造方法であって、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを、メタノール、エタノール、メタノール/水、エタノール/水、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル及び塩化メチレンから成る群より選択される溶媒中室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b)この懸濁液を室温に維持して、多形1の結晶を形成させる工程と;
(c)多形1の析出物を単離する工程;
又は
(a’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを、エタノール及びイソプロパノールから成る群より選択される溶媒中室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b’)この懸濁液を0℃〜45℃の温度に維持して、多形1の結晶を形成させる工程と;
(c’)多形1の析出物を単離する工程;
又は
(a’’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをアセトン中に室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b’’)この懸濁液を15℃〜40℃の温度に維持して、多形1の結晶を形成させる工程と;
(c’’)多形1の析出物を単離する工程;
又は
(a’’’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをエタノールに溶解して、溶液を得る工程と;
(b’’’)この溶液を0℃の温度に急速冷却する工程と;
(c’’’)多形1の析出物を単離する工程;
を含んでなる、上記方法。
【請求項12】
請求項1又は3に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形2の製造方法であって、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをクロロホルム中室温で懸濁させて、懸濁液を得る工程と;
(b)この懸濁液を室温に維持して、クロロホルム溶媒和物の析出物を形成させる工程と;
(c)この析出物を単離する工程と;
(d)この析出物を20℃〜100℃の温度に維持して、多形2を形成させる工程と;
(e)多形2を単離する工程;
又は
(a’)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドをクロロホルムに溶解して、溶液を得る工程と;
(b’)この溶液を0℃の温度に急速冷却して、クロロホルム溶媒和物の析出物を形成させる工程と;
(c’)この析出物を単離する工程と;
(d’)この析出物を20℃〜100℃の温度に維持して、多形2を形成させる工程と;
(e’)多形2を単離する工程;
を含んでなる、上記方法。
【請求項13】
請求項1又は4に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形3の製造方法であって、
(a)2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドを酢酸ブチルに溶解して、溶液を得る工程と;
(b)この溶液を、高温及び減圧で、酢酸ブチルを蒸発させることによって濃縮する工程、及び/又は冷却して、多形3の結晶の析出物を形成させる工程と;
(c)多形3を単離する工程;
を含んでなる、上記方法。
【請求項14】
2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの精製方法であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2’−{[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−メチル}−ビフェニル−2−カルボン酸(2−ピリジン−3−イル−エチル)−アミドの多形1、多形2又は多形3が得られる、結晶化工程を含んでなる、上記方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2012−528816(P2012−528816A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513545(P2012−513545)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057273
【国際公開番号】WO2010/139585
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057273
【国際公開番号】WO2010/139585
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]