説明

2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5エン酸、及びバシトラシン等のペプチドの生成におけるその使用方法

本発明は、2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸、バシトラシン等のペプチドの生成におけるその使用方法、及びそれを生成する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のアミノ酸化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
大多数のタンパク質は、20種の異なるα−アミノ酸:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンで作られている。
【0003】
しかしながら、ホモシステイン、オルニチン、4−ヒドロキシプロリン、5−ヒドロキシリジン、セレノシステイン、ホルミルメチオニン、ホスホセリン、アセチルセリン、メチルアルギニン等の他のアミノ酸を含む生物学的に活性なペプチドが多数存在する。
【0004】
D配置のアミノ酸は、非リボソーム的に合成された細菌ペプチドで一般的であり、リボソーム的に合成されたタンパク質ではあまり一般的ではない。例えば、非リボソーム的に合成されたバシトラシンでは、4位、7位、9位、及び11位のアミノ酸残基は、通常D配置である(Glu、Orn、Phe、及びAsp)。
【0005】
バシトラシンは、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)により天然で産生されるペプチド抗生物質である。幾つかのバシトラシンが特定されており、それらの中でもバシトラシンAが最も重要であり、高い活性を有する(非特許文献1)。バシトラシンAの一次構造は、NH−L−IIe−L−チアゾリン−L−Leu−D−Glu−L−Ile−L−Lys−D−Orn−L−Ile−D−Phe−L−His10−D−Asp11−L−Asn12−COOHであり、L−Lysのε−アミノ基とL−Asn12のR−カルボキシル基との間で環化されている。
【0006】
従来技術
幾つかの非リボソーム的に合成されたペプチドは、異常アミノ酸を含む。例えば、サイクロスポリンAは、2(S)−アミノ−3(R)−ヒドロキシ−4(R)−メチル−6(E)−オクテン酸を含み、これは、サイクロフィリンの細胞内受容体に結合するために重要であり、したがってその免疫抑制活性にとって重要である(非特許文献2)。
【0007】
幾つかの非通常アミノ酸は、イソロイシンの構造に似ている:
・新規のメチオニン類似体である2−アミノ−5−メチル−5−ヘキセン酸は、ストレプトミセスの発酵ブロスから単離された(非特許文献3)。
【0008】
・4メチレン−ノルロイシン及び2−アミノヘプタ−6−エン酸は、式:C13NOを有する化合物である。
・4メチル−ノルロイシンは、組換えタンパク質に組み込むことができるイソロイシン誘導体である(非特許文献4)。
【0009】
・2−アミノ−3−メチル−4−ペンテン酸は、タンパク質に組み込むことができる不飽和イソロイシン類似体である(非特許文献5)。
・アマニタ・ソリタリア(Amanita solitaria)の不飽和ノルロイシン。化学的及び薬理学的研究(非特許文献6)。
【0010】
・セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)により産生される抗代謝剤であるベータ−メチルノルロイシン、(非特許文献7)。
・特許文献1には、多次元コンビナトリアル化学ライブラリーに使用されるアミノ酸の種々のアリル誘導体が記載されている。
【0011】
・アリルグリシン及びクロチルグリシンは、非特許文献8に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6168912号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Epperson及びMing、Biochemistry、39巻、14号、2000年、4037〜45頁
【非特許文献2】Offenzellerら、Journal of Biological Chemistry、268巻、35号、1993年
【非特許文献3】Takeuchiら、Journal of Antibiotics 32巻 11号、1118〜1124頁、1979年
【非特許文献4】Muramatsuら、J Pharm Biomed Anal、31巻、5号、2003年、979〜987頁
【非特許文献5】Mockら、Chembiochem 7巻 1号、2006年、83〜87頁
【非特許文献6】Chiltonら、Lloydia 36巻 2号、1973年、69〜73頁
【非特許文献7】Sugiuraら、J Antibiot、34巻 10号、1981年 1278〜82頁
【非特許文献8】Kunzら、Journal of Bacteriology、148巻、1号、1981年
【発明の概要】
【0014】
本発明は、化合物2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸に関する。
本発明者らは、2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸という名称を使用するが、それは、2−アミノ−3−メチル−5−ヘキセン酸と同じ化合物を包含する。
【0015】
このアミノ酸化合物の遊離形態での構造は、式Iにより表される。
【0016】
【化1】

式Iは、フィッシャー投影式として解釈されるべきではなく、むしろ立体化学を特定しない化合物として解釈されるべきである。
【0017】
式Iのアミノ酸は、2個のキラル炭素原子を含む。本発明は、2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸の4つの立体異性体を包含する:
(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸、
(2R,3S)−2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸、
(2S,3R)−2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸、及び
(2R,3R)−2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸。
【0018】
更に、本発明は、2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸の塩及びイオンを包含する。
更に、本発明は、2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸のアミノ保護及びカルボキシ保護誘導体を包含する。
【0019】
本発明者らは、2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸について、5−メチレン−イソロイシンという名称を提案し使用する。したがって、5−メチレン−イソロイシン側鎖は、以下の式で表すことができる構造−CH(CH)CHCH=CHを有する。
【0020】
【化2】

また、本発明は、バシトラシンを生成するための5−メチレン−イソロイシンの使用方法、及び5−メチレン−イソロイシンを生成するためのプロセスに関する。
【0021】
5−メチレン−イソロイシンは、バシトラシンJ1、バシトラシンJ2、バシトラシンJ3、バシトラシンK1、バシトラシンK2、バシトラシンK3、及びバシトラシンLを生成するために使用することができる。
【0022】
本発明の態様は、下記の本発明の説明及び/又は添付の特許請求の範囲に示されている特徴により得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】5−メチレン−イソロイシン残基を5位に有するバシトラシン(=バシトラシンJ1)の構造を示す図である。
【図1B】5−メチレン−イソロイシン残基を8位に有するバシトラシン(=バシトラシンJ2)の構造を示す図である。
【図1C】5−メチレン−イソロイシン残基を1位に有するバシトラシン(=バシトラシンJ3)の構造を示す図である。
【図1D】5−メチレン−イソロイシン残基を5位及び8位に有するバシトラシン(=バシトラシンK1)の構造を示す図である。
【図1E】5−メチレン−イソロイシン残基を1位及び5位に有するバシトラシン(=バシトラシンK2)の構造を示す図である。
【図1F】5−メチレン−イソロイシン残基を1位及び8位に有するバシトラシン(=バシトラシンK3)の構造を示す図である。
【図1G】5−メチレン−イソロイシン残基を1位、5位、及び8位に有するバシトラシン(=バシトラシンL)の構造を示す図である。
【図2】実施例で開示されている5−メチレン−イソロイシンの生成経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
幾つかの高活性バシトラシンは、以下の構造を有する非通常アミノ酸側鎖を含む:
【0025】
【化3】

本発明者らは、上記の構造を含むバシトラシンについて、バシトラシンJ、K、又はLという名称を提案し使用する。これらのバシトラシンの構造は、図1A〜Gに表されている。
【0026】
定義
「バシトラシン」は、以下の構造(アミノ酸残基は上付きで付番されている)を含むペプチド化合物である。
【0027】
【化4】

式中、Xは、以下の式であり、
【0028】
【化5】

Rは、イソロイシン、バリン、又は5−メチレン−イソロイシンのアミノ酸残基の側鎖であり、
Y及びZは、独立して、イソロイシン、バリン、又は5−メチレン−イソロイシンのアミノ酸残基であり、
Thzは、以下のチアゾリン環であり、
【0029】
【化6】

2’は、Xに結合されており、4’は、Leuのα炭素に結合されており、
Leuは、ロイシンアミノ酸残基であり、
Gluは、グルタミンアミノ酸残基であり
Lysは、Y及びOrnとペプチド結合を形成するリジンアミノ酸残基であり、そのε−アミンは、ペプチド結合によりアスパラギンのα−カルボキシル基に結合されており、
Ornは、オルニチンアミノ酸残基であり、
Pheは、フェニルアラニンアミノ酸残基であり、
Hisは、ヒスチジンアミノ酸残基であり、
Aspは、アスパラギン酸アミノ酸残基であり、
Asnは、Aspとペプチド結合を形成するアスパラギンアミノ酸残基であり、そのα−カルボキシル基は、ペプチド結合によりリジンのε−アミンに結合されている。
【0030】
本出願で使用される場合、「バシトラシン」は、生成方法に関わらず、上記の一次構造を有するあらゆる化合物を包含することが意図されている。したがって、用語「バシトラシン」には、バチルス・リケニフォルミスにより天然で産生される抗生物質化合物が含まれるが、上記の一次構造を有するin vitro生成化合物(合成物)及び半合成化合物も含まれる。また、「バシトラシン」は、pHに応じて変化する電荷に関わらず、上記の一次構造を有するあらゆる化合物を包含することが意図されている。また、「バシトラシン」は、立体化学に関わらず、上記の一次構造を有するあらゆる化合物を包含することが意図されている。また、「バシトラシン」は、上記の一次構造を有する化合物の塩及び水和物を包含することが意図されている。
【0031】
「少なくとも1つの5−メチレン−イソロイシン残基を含むバシトラシン」は、イソロイシン又はバリン残基(複数可)が、1位及び/又は5位及び/又は8位で5−メチレン−イソロイシン残基と置換される場合に生成されることになる構造を含むあらゆるバシトラシンを包含することが意図されている。
【0032】
バシトラシンのN末端アミノ基及び/又はチアゾリン環が酸化されると、相当量の抗菌活性が失われる。例えば、低活性化合物バシトラシンFは、アミノ−チアゾリン部分の代りにケト−チアゾール部分を含む(Craigら、J.Org.Chem、22巻、1957年、1345〜1353頁)。
【0033】
「アミノ酸」は、アミン基及びカルボキシル基を両方とも含むあらゆる化合物である。ほとんどのタンパク質は、20種の異なるL配置の標準的アミノ酸:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンで構築されている。
【0034】
「アミノ酸残基」は、以下のものを含むペプチドの単位である:
−NH−CHR−COOH(C末端)
又は
NH−CHR−CO−(N末端)
又は
−NH−CHR−CO−(内部)
式中、Rは、
グリシンの場合は、Hであり、
アラニンの場合は、CHであり、
セリンの場合は、OHであり、
システインの場合は、CHSHであり、
イソロイシンの場合は、CH(CH)CHCHであり、
ロイシンの場合は、CHCH(CHであり、
バリンの場合は、CH(CH、などである。
【0035】
「アミノ酸側鎖」は、「アミノ酸残基」のR基である。例えば、R基は、
イソロイシンの場合は、CH(CH)CHCHであり、
ロイシンの場合は、CHCH(CHであり、
バリンの場合は、CH(CHである。
【0036】
「抗菌活性」は、細菌の増殖、代謝、若しくは生殖を阻害するか、細菌の死滅を増加させるか、又は細菌の病原性を低減するあらゆる活性である。
バシトラシンのアミノ酸残基の「位置」は、イソロイシン、バリン、又は5−メチレン−イソロイシンであってもよい1位のN末端(本出願では、バシトラシンを示す図の全てにおいて左端にある)から付番されている。したがって、Lysは位置番号6であり、Asnは位置番号12である。
【0037】
バシトラシンでは、「1位」は、このアミノ酸残基が部分的にチアゾリン環に組み込まれているため、特別である。したがって、バシトラシンの1位のアミノ酸残基は、以下の通常のN末端単位:
【0038】
【化7】

を含んでいないが、その代りに、チアゾリンに結合された
【0039】
【化8】

を含む。
【0040】
「組成物」とは、2つ以上の異なる化合物を含む任意の混合物であり、例えば、2つの活性医薬成分の混合物、又は1つの活性医薬成分及び1つ若しくは複数の医薬賦形剤の混合物である。
【0041】
「医薬組成物」とは、in vivoでの使用に好適な任意の組成物である。したがって、そのような組成物は、皮膚、皮下、静脈内、非経口的等に投与することができる。
5−メチレン−イソロイシンは、独立してR又はS配置であってもよい2つのキラル炭素原子を含む。
【0042】
少なくとも1つの5−メチレン−イソロイシン残基を1位、5位、又は8位に含むバシトラシンは、in vitro及びin vivoの両方で、望ましくない細菌増殖を阻害するために使用することができる。したがって、これら化合物は、細菌感染症を有する動物又はヒトに投与すると、治療効果を示すことができる。
【0043】
本発明は、新規のバシトラシンの生成、例えばバシトラシンJ1〜3、K1〜3、又はLのin vitro合成に使用することができる化合物5−メチレン−イソロイシンに関する。
【0044】
LeeらによるJ Org Chem、61巻、12号、1996年、3983〜3986頁、又は国際公開第199747313号に記載の方法で、イソロイシン又はバリンを5−メチレン−イソロイシンに置換することにより、抗菌活性を有するバシトラシンを生成することができる。
【0045】
本発明は、以下の例示的な例によってではなく、特許請求の範囲により規定される。
(実施例)
実施例1:
(2S,3R)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸メチルエステル、及び(2S,3S)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸メチルエステル
THF中の臭化ビニルマグネシウム(1.0M、83.64mL、83.64mmol)を、THF(100mL)中(2S,3S)及び(2S,3R)−4−ヨード−N−ファタロイルバリン(phataloylvaline)メチルエステル(26.96g、69.68mmol)、CuCl(0.47g、3.5mmol)、乾燥LiCl(0.29g、7.0mmol)の予冷却(−10℃)混合物に添加する。反応混合物をこの温度で一晩撹拌する。反応混合物を、飽和塩化アンモニウム溶液(水溶液)(300mL)に添加する。相を分離させ、水相をジエチルエーテル(3×100mL)で抽出する。混合した有機相を、飽和ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥し(MgS0)、溶媒を減圧下で除去する。10gの生成混合物を単離する。(2S,3S)及び(2S,3R)生成物を、カラムクロマトグラフイーにより分離する。
【0046】
実施例2:
(2S,3R)−2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸
(2S,3R)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸メチルエステル(2.01g、7.00mmol)を、6N塩酸及び氷酢酸(62.5mL)の2:1混合液に溶解し、溶液を還流しながら4時間加熱する。溶液を室温に冷却し、減圧下で濃縮する。生成物を水で処理し、溶液をろ過する。ろ液を減圧下で濃縮し、残渣を水に溶解し、その後溶液を、アンバーライトIR120陽イオン交換樹脂(NH型)のカラムにアプライする。カラムを水(2.5L)で洗浄し、その後アンモニア水溶液(2.5L)で溶出する。溶出液を、アンモニアが検出できなくなるまで沸騰させ、その後減圧下で濃縮して、表題の化合物を得た(0.5g、3.50mmol)。
【0047】
実施例3:
(2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸
(2S,3S)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸メチルエステル(2.01g、7.00mmol)を、6N塩酸及び氷酢酸(62.5mL)の2:1混合液に溶解し、溶液を還流しながら4時間加熱する。溶液を室温に冷却し、減圧下で濃縮する。生成物を水で処理し、溶液をろ過する。ろ液を減圧下で濃縮し、残渣を水に溶解し、その後溶液を、アンバーライトIR120陽イオン交換樹脂(NH型)のカラムにアプライする。カラムを水(2.5L)で洗浄し、その後アンモニア水溶液(2.5L)で溶出する。溶出液を、アンモニアが検出できなくなるまで沸騰させ、その後減圧下で濃縮して、表題の化合物を得た(0.5g、3.50mmol)。
【0048】
実施例4:
(2R,3R)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸メチルエステル、及び(2R,3S)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸メチルエステル
THF中の臭化ビニルマグネシウム(1.0M、83.64mL、83.64mmol)を、THF(100mL)中(2S,3S)及び(2S,3R)−4−ヨード−N−ファタロイルバリンメチルエステル(26.96g、69.68mmol)、CuCl(0.47g、3.5mmol)、乾燥LiCl(0.29g、7.0mmol)の、予冷却(−10℃)混合物に添加する。反応混合物をこの温度で一晩撹拌する。反応混合物を、飽和塩化アンモニウム溶液(水溶液)(300mL)に添加する。相を分離させ、水相をジエチルエーテル(3×100mL)で抽出する。混合した有機相を、飽和ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥し(MgS0)、溶媒を減圧下で除去する。10gの生成混合物を単離する。(2R,3S)及び(2R,3R)生成物を、カラムクロマトグラフイーにより分離する。
【0049】
実施例5:
(2R,3R)−2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸
(2R,3R)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸メチルエステル(2.01g、7.00mmol)を、6N塩酸及び氷酢酸(62.5mL)の2:1混合液に溶解し、溶液を還流しながら4時間加熱する。溶液を室温に冷却し、減圧下で濃縮する。生成物を水で処理し、溶液をろ過する。ろ液を減圧下で濃縮し、残渣を水に溶解し、その後溶液を、アンバーライトIR120陽イオン交換樹脂(NH型)のカラムにアプライする。カラムを水(2.5L)で洗浄し、その後アンモニア水溶液(2.5L)で溶出する。溶出液を、アンモニアが検出できなくなるまで沸騰させ、その後減圧下で濃縮して、表題の化合物を得た(0.5g、3.50mmol)。
【0050】
実施例6:
(2R,3S)−2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸
(2R,3S)−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸メチルエステル(2.01g、7.00mmol)を、6N塩酸及び氷酢酸(62.5mL)の2:1混合液に溶解し、溶液を還流しながら4時間加熱する。溶液を室温に冷却し、減圧下で濃縮する。生成物を水で処理し、溶液をろ過する。ろ液を減圧下で濃縮し、残渣を水に溶解し、その後溶液を、アンバーライトIR120陽イオン交換樹脂(NH型)のカラムにアプライする。カラムを水(2.5L)で洗浄し、その後アンモニア水溶液(2.5L)で溶出する。溶出液を、アンモニアが検出できなくなるまで沸騰させ、その後減圧下で濃縮して、表題の化合物を得た(0.5g、3.50mmol)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物2−アミノ−3−メチル−ヘキサ−5−エン酸。
【請求項2】
(2S,3S)配置を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(2R,3S)配置を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
(2S,3R)配置を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
(2R,3R)配置を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
アミノ基が保護されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
カルボキシル基が保護されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
ペプチドを生成するための、請求項1に記載の化合物の使用方法。
【請求項9】
前記ペプチドがバシトラシンである、請求項8に記載の使用方法。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物を含む組成物。
【請求項11】
ビニルグリニャール試薬をハロゲン化アルキルとクロスカップリングさせることを含む、請求項1に記載の化合物を生成する方法。
【請求項12】
反応が、LiCuClにより触媒される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ハロゲン化アルキルが、4位にハロゲン化物を有するバリンの誘導体である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記誘導体が、4−ヨード−N−ファタロイルバリンメチルエステルである、請求項13に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−509366(P2013−509366A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535719(P2012−535719)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064511
【国際公開番号】WO2011/051071
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(505371232)クセリア ファーマシューティカルズ エーピーエス (13)
【氏名又は名称原語表記】Xellia Pharmaceuticals ApS
【住所又は居所原語表記】11 Dalslandsgade,DK−2300 Copenhagen S,DENMARK
【Fターム(参考)】