説明

2−アミノチアゾールカルボキサミド誘導体及びその使用方法

【課題】従来技術に比べて優れた性能を有する植物病害防除剤、特に水面施用によるいもち病防除剤として有用な化合物を提供すること。
【解決手段】一般式(I)


(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はハロアルキル基を;R及びRは同一又は異なっても良く、水素原子、アルキル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、フェニル基等を;R、R、R、R及びRは同一又は異なっても良く、水素原子、アルキル基等を;X、X及びXは同一又は異なっても良く、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基等を示す。)で表されるアミノチアゾールカルボキサミド誘導体又はその塩類、並びに該誘導体を含有する植物病害防除剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な2−アミノチアゾールカルボキサミド誘導体、又はその塩類、及び該化合物を有効成分として含有する植物病害防除剤並びにその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ある種のN−2−(置換ピラゾリル)エチルカルボキサミド誘導体が植物病害防除剤として(例えば、特許文献1、又は2を参照。)、またある種のチアゾールカルボキサミド誘導体が、植物病害防除剤として有用であることが知られている(例えば、特許文献3を参照。)。しかしながら、その植物病害防除効果は十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/108791号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/108792号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2008/062878号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
農業及び園芸等の作物生産において、病害等による被害は今なお大きく、既存薬に対する抵抗性病害の発生、地球環境への負荷等の要因から低薬量で高い効果を有する新規な植物病害防除剤の開発が望まれている。又、就農者の老齢化等により各種の省力的施用方法が求められるとともに、これらの施用方法に適した性格を有する植物病害防除剤の創出も求められている。本発明はこれらの要望に答えるべく、植物病害防除剤として有用な2−アミノチアゾールカルボキサミド誘導体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明の一般式(I)で表される2−アミノチアゾールカルボキサミド又はその塩類が植物病害防除剤として、特にいもち病に対して優れた水面施用による防除効果を有することを見いだし、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、
[1]一般式(I)
【0006】
【化1】

【0007】
{式中、Rは、
(1a) 水素原子;
(2a) ハロゲン原子;
(3a) (C−C)アルキル基;又は
(4a) ハロ(C−C)アルキル基
を示す。
【0008】
及びRは同一又は異なっても良く、
(1b) 水素原子;
(2b) (C−C)アルキル基;
(3b) (C−C)アルケニル基;
(4b) ホルミル基;
(5b) (C−C)アルキルカルボニル基;
(6b) (C−C)アルコキシカルボニル基;
(7b) ハロ(C−C)アルキルカルボニル基;
(8b) ハロ(C−C)アルコキシカルボニル基;
(9b) (C−C)アルキルスルホニル基;
(10b) フェニル基;又は
(11b) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、及び(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル基
を示し、又は、
(12b) RとRは結合して、それらが結合する窒素原子とともに、5又は6員の含窒素脂肪族複素環を形成してもよく、当該含窒素脂肪族複素環は、0〜1個の酸素原子、0〜1個の硫黄原子、1〜2個の窒素原子を含み、(i) ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、及び(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基から選択される同一又は異なる1以上の置換基を環上に有していてもよい。
【0009】
、R、R、R及びRは同一又は異なっても良く、
(1c) 水素原子;
(2c) (C−C)アルキル基;
(3c) (C−C)シクロアルキル基;
(4c) (C−C)アルキルカルボニル基;又は
(5c) (C−C)アルコキシカルボニル基
を示す。
【0010】
、X及びXは同一又は異なっても良く、
(1d) 水素原子;
(2d) ハロゲン原子;
(3d) ホルミル基;
(4d) シアノ基;
(5d) ヒドロキシイミノ(C−C)アルキル基;
(6d) (C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基;
(7d) (C−C)アルキル基;
(8d) ハロ(C−C)アルキル基;
(9d) (C−C)シクロアルキル基;
(10d) (C−C)アルキルチオ基;
(11d) ハロ(C−C)アルキルチオ基;
(12d) (C−C)アルキルスルフィニル基;
(13d) ハロ(C−C)アルキルスルフィニル基;
(14d) (C−C)アルキルスルホニル基;
(15d) ハロ(C−C)アルキルスルホニル基;
(16d) フェニル基;
(17d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基、(x)フェニル基、(xi) 同一又は異なっても良く、ハロゲン原子及び(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、及び(xii) (C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル基;
(18d) フェニル(C−C)アルキル基;
(19d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基、(x)フェニル基、(xi) 同一又は異なっても良く、ハロゲン原子及び(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、及び(xii) (C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル(C−C)アルキル基;
(20d) 複素環基;
(21d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、及び(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換複素環基;
(22d) 複素環-カルボニル基;
(23d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、及び(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換複素環-カルボニル基;
(24b) (C−C)アルコキシカルボニル基;又は
(25b) ハロ(C−C)アルコキシカルボニル基
を示す。}
で表されるアミノチアゾールカルボキサミド誘導体又はその塩類;
【0011】
[2]Rが、
(1a) 水素原子; 又は
(4a) ハロ(C−C)アルキル基
を示し、
及びRが同一又は異なっても良く、
(1b) 水素原子;
(2b) (C−C)アルキル基;
(4b) ホルミル基;
(6b) (C−C)アルコキシカルボニル基;
(10b) フェニル基;又は
(11b) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、及び(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル基
を示し、
、R、R、R及びRが同一又は異なっても良く、
(1c) 水素原子;又は
(2c) (C−C)アルキル基
を示し、
、X及びXが同一又は異なっても良く、
(1d) 水素原子;
(2d) ハロゲン原子;
(3d) ホルミル基;
(5d) ヒドロキシイミノ(C−C)アルキル基;
(7d) (C−C)アルキル基;
(8d) ハロ(C−C)アルキル基;
(9d) (C−C)シクロアルキル基;
(16d) フェニル基;
(17d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基、(x)フェニル基、(xi) 同一又は異なっても良く、ハロゲン原子及び(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、及び(xii) (C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル基;
(18d) フェニル(C−C)アルキル基;
(22d) 複素環-カルボニル基;又は
(23d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、及び(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換複素環-カルボニル基
を示す上記[1]記載のアミノチアゾールカルボキサミド誘導体又はその塩類;
【0012】
[3]Rが、
(4a) ハロ(C−C)アルキル基を示し、
及びRが、同一又は異なっても良く、
(1b) 水素原子;
(2b) (C−C)アルキル基;又は
(4b) ホルミル基
を示し、
、R、R、R及びRが同一又は異なっても良く、
(1c) 水素原子; 又は
(2c) (C−C)アルキル基
を示し
、X及びXが同一又は異なっても良く、
(2d) ハロゲン原子;
(8d) ハロ(C−C)アルキル基;
(16d) フェニル基;又は
(17d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基、(x)フェニル基、(xi) 同一又は異なっても良く、ハロゲン原子及び(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、及び(xii) (C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル基
を示す上記[1]又は[2]に記載のアミノチアゾールカルボキサミド誘導体又はその塩類;
【0013】
[4]上記[1]乃至[3]の何れか1項に記載のアミノチアゾールカルボキサミド誘導体又はその塩類を有効成分とすることを特徴とする植物病害防除剤;
[5]上記[1]乃至[3]の何れか1項に記載のアミノチアゾールカルボキサミド誘導体又はその塩類の有効量を対象作物及び/又は対象作物の種子に処理することを特徴とする、植物病害の防除方法
等に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、従来技術に比べて優れた性能、特に水面施用によるいもち病防除剤として有用な化合物を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の2−アミノチアゾールカルボキサミドの一般式(I)の定義について以下に説明する。
【0016】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は沃素原子を示す。
【0017】
「(C−C)アルキル基」とは、例えばメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基、ノルマルヘキシル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキル基を示す。
【0018】
「(C−C)アルケニル基」とは、例えば、ビニル基、アリル基、ノルマルブテニル基、ノルマルペンテニル基、ノルマルヘキセニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキル基を示す。
【0019】
「ハロ(C−C)アルキル基」とは、同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキル基を示し、例えばトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロイソプロピル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2,3−ジブロモプロピル基等を示す。
【0020】
「(C−C)シクロアルキル基」とは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数3〜6個のシクロアルキル基を示す。
【0021】
「(C−C)アルコキシ基」とは、例えばメトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、セカンダリーブトキシ基、ターシャリーブトキシ基、ノルマルペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルコキシ基を示す。
【0022】
「ハロ(C−C)アルコキシ基」とは、同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルコキシ基を示し、例えばトリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロイソプロポキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、1−ブロモエトキシ基、2,3−ジブロモプロポキシ基等を示す。
【0023】
「(C−C)アルキルチオ基」とは、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ノルマルプロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ノルマルブチルチオ基、セカンダリーブチルチオ基、ターシャリーブチルチオ基、ノルマルペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ノルマルヘキシルチオ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルチオ基を示す。
【0024】
「ハロ(C−C)アルキルチオ基」とは、同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルチオ基を示し、例えばトリフルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、パーフルオロエチルチオ基、パーフルオロイソプロピルチオ基、クロロメチルチオ基、ブロモメチルチオ基、1−ブロモエチルチオ基、2,3−ジブロモプロピルチオ基等を示す。
【0025】
「(C−C)アルキルスルフィニル基」とは、例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ノルマルプロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ノルマルブチルスルフィニル基、セカンダリーブチルスルフィニル基、ターシャリーブチルスルフィニル基、ノルマルペンチルスルフィニル基、イソペンチルスルフィニル基、ノルマルヘキシルスルフィニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルスルフィニル基を示す。
【0026】
「ハロ(C−C)アルキルスルフィニル基」とは、同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルスルフィニル基を示し、例えばトリフルオロメチルスルフィニル基、ジフルオロメチルスルフィニル基、パーフルオロエチルスルフィニル基、パーフルオロイソプロピルスルフィニル基、クロロメチルスルフィニル基、ブロモメチルスルフィニル基、1−ブロモエチルスルフィニル基、2,3−ジブロモプロピルスルフィニル基等を示す。
【0027】
「(C−C)アルキルスルホニル基」とは、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ノルマルプロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ノルマルブチルスルホニル基、セカンダリーブチルスルホニル基、ターシャリーブチルスルホニル基、ノルマルペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、ノルマルヘキシルスルホニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルスルホニル基を示す。
【0028】
「ハロ(C−C)アルキルスルホニル基」とは、同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルスルホニル基を示し、例えばトリフルオロメチルスルホニル基、ジフルオロメチルスルホニル基、パーフルオロエチルスルホニル基、パーフルオロイソプロピルスルホニル基、クロロメチルスルホニル基、ブロモメチルスルホニル基、1−ブロモエチルスルホニル基、2,3−ジブロモプロピルスルホニル基等を示す。
【0029】
「(C−C)アルキルカルボニル基」とは、例えばメチルカルボニル基(アセチル基)、エチルカルボニル基、ノルマルプロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、ノルマルブチルカルボニル基、ターシャリーブチルカルボニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルカルボニル基を示す。
【0030】
「ハロ(C−C)アルキルカルボニル基」とは、同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルカルボニル基を示し、例えばトリフルオロメチルカルボニル基、ジフルオロメチルカルボニル基、パーフルオロエチルカルボニル基、パーフルオロイソプロピルカルボニル基、クロロメチルカルボニル基、ブロモメチルカルボニル基、1−ブロモエチルカルボニル基、2,3−ジブロモプロピルカルボニル基等を示す。
【0031】
「(C−C)アルコキシカルボニル基」とは、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ノルマルプロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ノルマルブトキシカルボニル基、ターシャリーブトキシカルボニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルコキシカルボニル基を示す。
【0032】
「ハロ(C−C)アルコキシカルボニル基」とは、同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルコキシカルボニル基を示し、例えばトリフルオロメトキシカルボニル基、ジフルオロメトキシカルボニル基、パーフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロイソプロポキシカルボニル基、クロロメトキシカルボニル基、ブロモメトキシカルボニル基、1−ブロモエトキシカルボニル基、2,3−ジブロモプロポキシカルボニル基等を示す。
【0033】
「ヒドロキシイミノ(C−C)アルキル基」とは、例えばヒドロキシイミノメチル基、1−ヒドロキシイミノエチル基、1−ヒドロキシイミノプロピル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のヒドロキシイミノ(C−C)アルキル基を示す。
【0034】
「(C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基」とは、例えばメトキシイミノメチル基、エトキシイミノメチル基、ノルマルプロポキシイミノメチル基、イソプロポキシイミノエチル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルコキシイミノ(C−C)アルキル基を示す。
【0035】
「複素環基」とは、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される1以上のヘテロ原子を有する5又は6員の複素環基を示し、例えば、フリル基(1−又は2−フリル基)、チエニル基(1−又は2−チエニル基)、ピロリル基(1−、2−又は3−ピロリル基)、ピロリジニル基(1−、2−又は3−ピロリジニル基)、イミダゾリル基(1−、2−又は4−イミダゾリル基)、イミダゾリジニル基、ピラゾリル基(1−、3−又は4−ピラゾリル基)、ピラゾリジニル基、オキサゾリル基(2−、4−又は5−オキサゾリル基)、オキサゾリジニル基、チアゾリル基(2−、4−又は5−チアゾリル基)、チアゾリジニル基、イソキサゾリル基(3−、4−又は5−イソキサゾリル基)、イソキサゾリジニル基、イソチアゾリル基(3−、4−又は5−イソチアゾリル基)、イソチアゾリジニル基、トリアゾリル基(1,2,3−トリアゾール−1−、4−又は5−イル基、1,2,4−トリアゾール−1−、3−又は4−イル基)、トリアゾリジニル基、オキサジアゾリル基(1,2,3−オキサジアゾール−4−又は5−イル基、1,2,4−オキサジアゾール−3−又は4−イル基)、チアジアゾリル基(1,2,3−チアジアゾール−4−又は5−イル基、1,2,4−チアジアゾール−3−又は4−イル基)、ピリジル基(2−、3−又は4−ピリジル基)、ピリジン−N−オキシド基、ピリミジニル基(2−、4−又は5−ピリミジニル基)、ピラジニル基(2−ピラジニル基)等が挙げられる。
【0036】
「複素環-カルボニル基」とは、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される1以上のヘテロ原子を有する5又は6員の複素環-カルボニル基を示し、例えば、フリルカルボニル基(1−又は2−フリルカルボニル基)、チエニルカルボニル基(1−チエニルカルボニル又は2−チエニルカルボニル(テノイル)基)、ピロリルカルボニル基(1−、2−又は3−ピロリルカルボニル基)、ピロリジニルカルボニル基(1−、2−又は3−ピロリジニルカルボニル基)、イミダゾリルカルボニル基(1−、2−又は4−イミダゾリルカルボニル基)、イミダゾリジニルカルボニル基、ピラゾリルカルボニル基(1−、3−又は4−ピラゾリルカルボニル基)、ピラゾリジニルカルボニル基、オキサゾリルカルボニル基(2−、4−又は5−オキサゾリルカルボニル基)、オキサゾリジニルカルボニル基、チアゾリルカルボニル基(2−、4−又は5−チアゾリルカルボニル基)、チアゾリジニルカルボニル基、イソキサゾリルカルボニル基(3−、4−又は5−イソキサゾリルカルボニル基)、イソキサゾリジニルカルボニル基、イソチアゾリルカルボニル基(3−、4−又は5−イソチアゾリルカルボニル基)、イソチアゾリジニルカルボニル基、トリアゾリルカルボニル基(1,2,3−トリアゾール−1−、4−又は5−イルカルボニル基、1,2,4−トリアゾール−1−、3−又は4−イルカルボニル基)、トリアゾリジニルカルボニル基、オキサジアゾリルカルボニル基(1,2,3−オキサジアゾール−4−又は5−イルカルボニル基、1,2,4−オキサジアゾール−3−又は4−イルカルボニル基)、チアジアゾリルカルボニル基(1,2,3−チアジアゾール−4−又は5−イルカルボニル基、1,2,4−チアジアゾール−3−又は4−イルカルボニル基)、ピリジルカルボニル基(2−、3−又は4−ピリジルカルボニル基)、ピリジン−N−オキシドカルボニル基、ピリミジニルカルボニル基(2−、4−又は5−ピリミジニルカルボニル基)、ピラジニルカルボニル基(2−ピラジニルカルボニル基)等が挙げられる。
【0037】
「含窒素脂肪族複素環」とは、0〜1個の酸素原子、0〜1個の硫黄原子、1〜2個の窒素原子を有する5又は6員の含窒素複素環基を示し、例えば、モルホリン、チオモルホリン(硫黄の酸化体を含む。)、ピペラジン、N−メチルピペラジン、ピロリジン等が挙げられる。
【0038】
又、「(C−C)」、「(C−C)」、「(C−C)」等の表現は各種置換基の炭素原子数の範囲を示す。
【0039】
本発明の一般式(I)で表される2−アミノチアゾールカルボキサミド誘導体の塩類としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩等の無機酸塩類、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩類、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、トリメチルアンモニウム等の無機又は有機の塩基との塩類を例示することができる。
【0040】
本発明の一般式(I)で表される2−アミノチアゾールカルボキサミド誘導体は、その構造式中に1つ又は複数個の不斉中心を含む場合があり、2種以上の光学異性体及びジアステレオマーが存在する場合もあり、本発明は各々の光学異性体及びそれらが任意の割合で含まれる混合物をも全て包含するものである。
又、本発明の一般式(I)で表される2−アミノチアゾールカルボキサミド誘導体は、その構造式中に炭素−炭素二重結合に由来する2種の幾何異性体が存在する場合もあるが、本発明は各々の幾何異性体及びそれらが任意の割合で含まれる混合物をも全て包含するものである。
【0041】
本発明の一般式(I)で表される2−アミノチアゾールカルボキサミド誘導体において、
として好ましくは、水素原子又はハロ(C−C)アルキル基であり、より好ましくは、ハロ(C−C)アルキル基である。
【0042】
及びRとして好ましくは、同一又は異なっても良く、
水素原子;
(C−C)アルキル基;
ホルミル基;
(C−C)アルコキシカルボニル基;
フェニル基;又は
同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、及び(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル基であり、
より好ましくは、同一又は異なっても良く、水素原子;(C−C)アルキル基;又はホルミル基である。
【0043】
、R、R、R及びRとして好ましくは、同一又は異なっても良く、水素原子又は(C−C)アルキル基である。
【0044】
、X及びXとして好ましくは、同一又は異なっても良く、
水素原子;
ハロゲン原子;
ホルミル基;
ヒドロキシイミノ(C−C)アルキル基;
(C−C)アルキル基;
ハロ(C−C)アルキル基;
(C−C)シクロアルキル基;
フェニル基;
同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基、(x)フェニル基、(xi) 同一又は異なっても良く、ハロゲン原子及び(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、及び(xii) (C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル基;
フェニル(C−C)アルキル基;
複素環-カルボニル基;又は
同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、及び(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換複素環-カルボニル基
であり、より好ましくは、
ハロゲン原子;
ハロ(C−C)アルキル基;
フェニル基;又は
同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基、(x)フェニル基、(xi) 同一又は異なっても良く、ハロゲン原子及び(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、及び(xii) (C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル基である。
【0045】
本発明の一般式(I)で表される2−アミノチアゾールカルボキサミド誘導体は、例えば国際公開第2008/062878号パンフレットに記載されている製造方法、或いは下記の製造方法に従って製造されるがこれらに限定されるものではない。
製造方法1
【0046】
【化2】

【0047】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、及びXは前記に同じ。)
一般式(II−1) → 一般式(I)の製造方法
一般式(II−1)で表される2−アミノチアゾールカルボン酸と一般式(III)で表される2−(置換ピラゾリル)エチルアミン誘導体とを縮合剤、塩基及び不活性溶媒の存在下、反応させることにより一般式(I)で表される本発明の2−アミノチアゾールカルボキサミド誘導体(I)を製造することができる。
【0048】
本反応で使用する縮合剤としては、例えばシアノリン酸ジエチル(DEPC)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、クロロ炭酸エステル類、ヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム等を例示することができ、その使用量は一般式(II−1)で表される2−アミノチアゾールカルボン酸に対して0.8倍モル乃至1.5倍モルの範囲から適宜選択して使用すれば良い。
【0049】
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸塩類;カリウム−t−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデック−7−エン等の第三級アミン類;ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物等を挙げることができ、その使用量は一般式(II−1)で表される2−アミノチアゾールカルボン酸に対して通常0.5倍モル〜10倍モルの範囲で使用される。
【0050】
本反応で使用する不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エーテル類;酢酸エチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の不活性溶媒を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
本反応は等モル反応であるので、各反応剤を等モル使用すれば良いが、いずれかの反応剤を過剰に使用することもできる。反応温度は室温から使用する不活性溶媒の沸点域で行うことができ、反応時間は反応規模、反応温度により一定しないが、数分乃至48時間の範囲で行えば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系から常法により単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。
製造方法2
【0051】
【化3】

【0052】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、及びXは前記に同じくし、halはハロゲン原子を示す。)
一般式(II−2) → 一般式(I)の製造方法
一般式(II−2)で表される2−アミノチアゾールカルボン酸ハロゲン化物と一般式(III)で表される2−(置換ピラゾリル)エチルアミン誘導体とを塩基及び不活性溶媒の存在下、反応させることにより一般式(I)で表される本発明の2−アミノチアゾールカルボキサミド誘導体(I)を製造することができる。
【0053】
本反応で使用する塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸塩類;カリウム−t−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデック−7−エン等の第三級アミン類;ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物等を挙げることができ、その使用量は一般式(II−2)で表される2−アミノチアゾールカルボン酸ハロゲン化物に対して通常0.5倍モル〜10倍モルの範囲で使用される。
【0054】
本反応で使用する不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エーテル類;酢酸エチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等又は水の不活性溶媒を例示することができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
本反応は等モル反応であるので、各反応剤を等モル使用すれば良いが、いずれかの反応剤を過剰に使用することもできる。反応温度は室温から使用する不活性溶媒の沸点域で行うことができ、反応時間は反応規模、反応温度により一定しないが、数分乃至48時間の範囲で行えば良い。
反応終了後、目的物を含む反応系から常法により単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。
【0055】
本発明の中間体である一般式(III)で表される2−(置換ピラゾリル)エチルアミン誘導体は、例えば下記の中間体製造方法1乃至2に従って製造することができる。
中間体製造方法1
【0056】
【化4】

【0057】
(式中、R、R、R、R、R、X、X、及びXは前記に同じ。)
一般式(IV−1)で表されるエタノールアミン類と一般式(V−1)で表されるピラゾール類とを光延反応によって、一般式(III−1)で表される2−(置換ピラゾリル)エチルカーバメート類とし、該カーバメート類(III−1)を単離し又は単離せずしてt−ブトキシカルボニル基を脱保護することにより、本発明の中間体である一般式(III)で表される2−(置換ピラゾリル)エチルアミン誘導体を製造することができる。
【0058】
1−a) 一般式(IV−1)→ 一般式(III−1)
本反応は公知文献(例えば、Bull.Chem.Soc.Jpn.,40,p2380〜2382(1967)を参照。)に記載の方法に準じて行えば良い。
1−b) 一般式(III−1)→ 一般式(III)
本反応は、t−ブトキシカルボニル基の脱保護に用いられる公知文献(例えば、J.Org.Chem.,43,p2285(1978)を参照。)記載の方法に準じて行えば良い。また、一般式(III)で表される2−(置換ピラゾリル)エチルアミン誘導体は塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩として単離し、次工程の反応に用いることもできる。
中間体製造方法2
【0059】
【化5】

【0060】
(式中、R、R、R、R、R、X、X、及びXは前記に同じ。Lはハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基又は、p−トルエンスルホニルオキシ基等の脱離基を示す。)
一般式(IV−2)で表されるアミン類と一般式(V−1)で表されるピラゾール類とを塩基及び不活性溶媒の存在下に反応させて一般式(III−1)で表される2−(置換ピラゾリル)エチルカーバメート誘導体とし、該カーバメート誘導体(III−1)を単離し又は単離せずしてt−ブトキシカルボニル基を脱保護することにより、本発明の中間体である一般式(III)で表される2−(置換ピラゾリル)エチルアミン誘導体を製造することができる。
【0061】
2−a) 一般式(IV−2)→ 一般式(III−1)
本反応は製造方法2に準じて行えば良い。
2−b) 一般式(III−1)→ 一般式(III)
本反応は1−b)と同様に行えば良い。
【0062】
本発明の一般式(I)で表されるN−2−(置換ピラゾリル)エチルカルボキサミド誘導体の代表例を第1表乃至第3表に、中間体である置換ピラゾリルエチルアミン誘導体を第4表に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
第1表乃至第4表において、「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「Pro」はプロピル基を、「Bu」はブチル基を、「Hex」はヘキシル基、「Ph」はフェニル基を、「n−」はノルマルを、「i−」はイソを、「t−」はターシャリーを、「c−」はシクロを示す。
物性値は融点(℃)又は屈折率n(測定温度℃)を示す。
【0063】
第3表中に表される本発明化合物のうち、不斉炭素が存在する場合は、その絶対立体配置は(S)体又は(R)体と記載する。
【0064】
第4表中の備考欄の「Mixture」とは、XとXが入れ替わった化合物との混合物であることを示す。
【0065】
尚、第1表乃至第4表の物性値欄に「NMR」と記載した化合物について、そのHNMRスペクトルデータを第5表に示した。表5中、sは一重線、dは二重線、tは三重線、qは四重線、quintetは五重線、ddは二重二重線、mは多重線を示す。
また、混合物のNMRスペクトルデータにおいて、例えば、2.89ppmと2.88ppmのケミカルシフトにそれぞれの化合物に帰属するシングレットが2本観測され、合計で3水素の積分を示す場合は、「2.89,2.88(s,3H)」と表記した。
【0066】
【表1−1】

【0067】
【表1−2】

【0068】
【表1−3】

【0069】
【表1−4】

【0070】
【表1−5】

【0071】
【表1−6】

【0072】
【表1−7】

【0073】
【表1−8】

【0074】
【表1−9】

【0075】
【表1−10】

【0076】
【表2−1】

【0077】
【表2−2】

【0078】
【表3−1】

【0079】
【表3−2】

【0080】
【表4−1】

【0081】
【表4−2】

【0082】
【表5−1】

【0083】
【表5−2】

【0084】
【表5−3】

【0085】
【表5−4】

【0086】
本発明の一般式(I)で表される2−アミノチアゾールカルボキサミド誘導体又はその塩類を有効成分として含有する植物病害防除剤は、特に水稲の植物病害防除に適している。
【0087】
本発明の植物病害防除剤の使用対象病害は糸状菌類病害、細菌類病害、ウイルス病病害であり、糸状菌類病害としては、不完全菌類による病害、ボトリチス(Botrytis) 属病害、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属病害、フザリウム(Fusarium)属病害、セプトリア(Septoria)属病害、サルコスポラ(Cercospora)属病害、シュードサルコスポレラ(Pseudocercosporella)属病害、リンコスポリウム(Rhynchosporium)属病害、ピリキュラリア(Pyricularia)属病害、アルタナリア(Alternaria)属病害、担子菌類による病害、パコップソーラ(Phakopsora)属病害、ヘミレイア(Hemileia)属病害、リゾクトニア(Rhizoctonia)属病害、ウスティラゴ(Ustilago)属病害、ティフラ(Typhula)属病害、プッキニア(Puccinia)属病害等、子のう菌類による病害、ベンチュリア(Venturia)属病害、ポドスフェラ(Podosphaera)属病害、レプトスファエリア(Leptosphaeria)属病害、ブルメリア(Blumeria)属病害、エリシフェ(Erysiphe)属病害、ミクロドキュウム(Microdochium)属病害、スクレロチニア(Sclerotinia)属病害、ゲウマノマイセス(Gaeumannomyces)属病害、モニリニア(Monilinia)属病害、ウンシヌラ(Unsinula)属病害、その他の菌類による病害、アスコクイタ(Ascochyta)属病害、フォマ(Phoma)属病害、ピシウム(Pythium)属病害、コルティシウム(Corticium)属病害、ピレノフォラ(Pyrenophora)属病害等、細菌類病害としては、シュードモナス(Pseudomonas)属病害、ザントモナス(Xanthomonas)属病害、エルウィニア(Erwinia)属病害、ウイルス病病害としては、タバコモザイクウイルスによる病害等が挙げられる。
【0088】
具体的病害としては、例えば、イネのいもち病(Magnaporthe grisea,Pyricularia oryzae)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)、黄化萎縮病(Sclerophthora macrospora)、苗立ち枯れ病(Rhizopus chinensis,Pythium graminicola,Fusarium graminicola,Fusarium roseum,Mucor sp.,Phoma sp.,Tricoderma sp.)、イネ籾枯細菌病(Pseudomonas glumae)、イネ白葉枯病(Xanthomonas oryzae)、ムギ類のうどんこ病(Erysiphe graminis,Blumeria graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum, F. avenacerum, F. culmorum, Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis, P. graminis, P. recondita, P. hordei)、冠さび病(Puccinia coronata)、雪腐病(Microdochium nivalis,Pythium iwayamai,Typhla ishikariensis,Typhla incarnata,Sclerotinia borealis)、裸黒穂病(Ustilago tritici, U. nuda)、黒穂病(Urocystis agropyri)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、斑葉病(Pyrenophora graminea)、株腐病(Rhizoctonia cerealis)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、網斑病(Pyrenophora teres Drechsler)、立枯病(Gaeumannomyces graminis)、黄斑病(Pyrenophora tritici-repentis)、カンキツ類の黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum, P. italicum)、かいよう病(Xanthomonas citri)、リンゴのモニリア病(Monilinia mali,Sclerotinia mali)、腐らん病(Valsa ceratosperma,Valsa mali)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria alternata apple pathotype,Alternaria mali)、赤星病(Gymnosporangium yamadae)、黒星病(Venturia inaequalis)、火傷病(Erwinia amylovora)、炭そ病(Glomerella cingulata)、ナシの黒星病(Venturia nashicola, V. pirina)、黒斑病(Alternaria alternata Japanese pear pathotype,Alternaria kikuchiana)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum)、輪紋病(Physalospora piricola)、モモの灰星病(Monilinia fructicola,Sclerotinia cinerea)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.)、ブドウの黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、べと病(Plasmopara viticola)、カキの炭そ病(Gloeosporium kaki)、うどんこ病(Phyllactinia kakikora)、落葉病(Cercospora kaki, Mycosphaerella nawae)、ウリ類の炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea,Sphaerotheca cucurbitae)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、ウリ類の立枯病(Rizoctonia solani)、つる割病(Fusarium oxysporum)、褐斑病(Corynospora melonis)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora sp.)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、苗立枯病(Pythium sp.)、斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv.lachrymans)、トマトの輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、疫病(Phytophthora infestans)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、青枯病(Pseudomonas solanacearum)、ナスの褐紋病(Phomopsis vexans)、すすかび病(Mycovellosiella nattrassii)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum,Sphaerotheca fuliginea)、アブラナ科野菜の黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae)、根こぶ病(Plasmodiophora parasitica)、根朽病(Phoma lingam)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、べと病(Peronospora parasitica)、黒腐病(Xanthomonas campestris)、軟腐病(Erwinia carotovora)、ネギのさび病(Puccinia allii)、黒斑病(Alternaria porri)、萎凋病(Fusarium oxysporum)、ダイズの紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、さび病( Phakopsora pachyrhizi)、インゲンの炭そ病(Colletotrichum lindemthianum)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、白絹病(Sclerotium rolfsii)、エンドウのうどんこ病(Erysiphe pisi)、べと病(Peronospora pisi)、ソラマメのべと病(Peronospora viciae)、疫病(Phytophthora nicotianae)、ジャガイモの夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans)、黒あざ病(Rhizoctonia solani)、半身萎凋病(Verticillium albo-atrum, V. dahliae, V. nigrescens)、イチゴのうどんこ病(Sphaerotheca humuli)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、疫病(Phytophthora nicotianae)、チャの網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)、輪斑病(Pestalotiopsis sp.)、炭そ病(Colletotrichum theae-sinensis)、タバコの赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、疫病(Phytophthora nicotianae,Phytophthora parasitica)、タバコモザイク病(Tobacco mosaic virus)、テンサイの褐斑病(Cercospora beticola)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、根腐病(Thanatephorus cucumeris)、黒根病(Aphanomyces sochlioides)、バラの黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa)、疫病(Phytophthora megasperma)、キクの褐斑病(Septoria chrysanthemi−indici)、白さび病(Puccinia horiana)、タマネギの白斑葉枯病(Botrytis cinerea, B. byssoidea, B. squamosa)、灰色腐敗病(Botrytis alli)、小菌核性腐敗病(Botrytis squamosa)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、ダイコン黒斑病((Alternaria brassicicola)、シバのダラースポット病(Sclerotinia homeocarpa)、シバのブラウンパッチ病およびラージパッチ病(Rhizoctonia solani)、ラッカセイの黒渋病(Mycosphaerellapersonatum,Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola,Cercosporidium personatum)、アズキ等のうどんこ病(Erysiphe pisi)、ニンジンの黒葉枯病(Alternaria dauci)、テンサイ褐斑病(Cercospora beticola)、バナナのシガトカ病(Mycosphaerella fijiensis、Mycosphaerella musicola)、パナマ病(Fusarium ozusporum f.sp.cubense)、種々の作物の灰色かび病(Botrytis cinerea)等が挙げられる。特にイネいもち病に対して効果が高い。
【0089】
本発明の植物病害防除剤を使用できる植物は特に限定されるものではないが、例えば、穀類(例えば、イネ、オオムギ、コムギ、ライムギ、オートムギ、トウモロコシ、高粱等)、豆類(大豆、小豆、そら豆、えんどう豆、落花生等)、果樹・果実類(リンゴ、柑橘類、梨、ブドウ、桃、梅、桜桃、クルミ、アーモンド、バナナ、イチゴ等)、野菜類(キャベツ、トマト、ほうれん草、ブロッコリー、レタス、タマネギ、ネギ、ピーマン等)、根菜類(ニンジン、馬鈴薯、サツマイモ、大根、蓮根、かぶ等)、加工用作物類(綿、麻、コウゾ、ミツマタ、菜種、ビート、ホップ、サトウキビ、テンサイ、オリーブ、ゴム、コーヒー、タバコ、茶等)、瓜類(カボチャ、キュウリ、スイカ、メロン等)、牧草類(オーチャードグラス、ソルガム、チモシー、クローバー、アルファルファ等)、芝類(高麗芝、ベントグラス等)、香料等用作物類(ラベンダー、ローズマリー、タイム、パセリ、胡椒、しょうが等)、花卉類(キク、バラ、蘭等)等の植物が挙げられる。
【0090】
また、近年、遺伝子組み換え作物(除草剤耐性作物、殺虫性タンパク産生遺伝子を組み込んだ害虫耐性作物、病害に対する抵抗性誘導物質産生遺伝子を組み込んだ病害耐性作物、食味向上作物、保存性向上作物、収量向上作物等)、昆虫性フェロモン(ハマキガ類、ヨトウガ類の交信攪乱剤等)、天敵昆虫等を用いたIPM(総合的害虫管理)技術が進歩しており、本発明の植物病害防除剤はそれらの技術と併用、あるいは体系化して用いることができる。
【0091】
本発明化合物を植物病害防除剤の有効成分として用いる場合、他の成分を加えずそのまま用いても良いが、通常は農薬製剤上の常法に従い使用上都合の良い形状に製剤して使用するのが一般的である。
即ち、一般式(I)で表される2−アミノチアゾールカルボキサミド誘導体又はその塩類はこれらを適当な不活性担体に、又は必要に応じて補助剤と一緒に適当な割合に配合して溶解、分離、懸濁、混合、含浸、吸着若しくは付着させて適宜の剤型、例えば懸濁剤、乳剤、液剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤、粉剤、錠剤、パック剤等に製剤して使用される。
【0092】
本発明で使用できる不活性担体としては固体又は液体の何れであっても良く、固体の担体になりうる材料としては、例えば、ダイズ粉、穀物粉、木粉、樹皮粉、鋸粉、タバコ茎粉、クルミ殻粉、ふすま、繊維素粉末、植物エキス抽出後の残渣、粉砕合成樹脂等の合成重合体、粘土類(例えばカオリン、ベントナイト、酸性白土等)、タルク類(例えば、タルク、ピロフィライト等)、シリカ類{例えば珪藻土、珪砂、雲母、ホワイトカーボン(含水微粉珪素、含水珪酸ともいわれる合成高分散珪酸で、製品により珪酸カルシウムを主成分として含むものもある。)}、活性炭、イオウ粉末、軽石、焼成珪藻土、レンガ粉砕物、フライアッシュ、砂、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム等の無機鉱物性粉末、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチック担体、硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等の化学肥料、堆肥等を挙げることができ、これらは単独で若しくは二種以上の混合物の形で使用される。
【0093】
液体の担体になりうる材料としては、それ自体溶媒能を有するものの他、溶媒能を有さずとも補助剤の助けにより有効成分化合物を分散させうることとなるものから選択され、例えば代表例として次に挙げる担体を例示できるが、これらは単独で若しくは2種以上の混合物の形で使用され、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(例えば、エチルエーテル、ジオキサン、セロソルブ、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、ケロシン、鉱油等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、アルキルナフタレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、塩素化ベンゼン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、ジイソプロピルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレ−ト等)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)、ジメチルスルホキシド類等を挙げることができる。
【0094】
他の補助剤としては次に例示する代表的な補助剤をあげることができ、これらの補助剤は目的に応じて使用され、単独で、ある場合は二種以上の補助剤を併用し、又ある場合には全く補助剤を使用しないこともできる。
有効成分化合物の乳化、分散、可溶化及び/又は湿潤の目的のために界面活性剤が使用され、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、アルキルアリールスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸縮合物、リグニンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル等の界面活性剤を挙げることができる。
又、有効成分化合物の分散安定化、粘着及び/又は結合の目的のために、次に例示する補助剤を使用することもでき、例えば、カゼイン、ゼラチン、澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリサッカライド、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、松根油、糠油、粘度鉱物(例えば、モンモリロナイト、パリゴルスカイト、ベントナイト等)、リグニンスルホン酸塩等の補助剤を使用することもできる。
【0095】
固体製品の流動性改良のために次に挙げる補助剤を使用することもでき、例えば、ワックス、ステアリン酸塩、燐酸アルキルエステル等の補助剤を使用できる。懸濁性製品の解こう剤として、例えばナフタレンスルホン酸縮合物、縮合燐酸塩等の補助剤を使用することもできる。消泡剤としては、例えば、シリコーン油等の補助剤を使用することもできる。防腐剤としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、パラクロロメタキシレノール、パラオキシ安息香酸ブチル等も添加することができる。更に必要に応じて機能性展着剤、ピペロニルブトキサイド等の代謝分解阻害剤等の活性増強剤、プロピレングリコール等の凍結防止剤、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)等の酸化防止剤、紫外線吸収剤等その他の添加剤も加えることもできる。
【0096】
有効成分化合物の配合割合は必要に応じて加減することができ、有害生物防除剤100重量部中、0.01〜90重量部の範囲から適宜選択して使用すれば良く、例えば、乳剤、水和剤、粉剤又は粒剤とする場合は0.01〜50重量%が適当である。本発明の植物病害防除剤は各種病害を防除するためにそのまま、又は水等で適宜希釈し、若しくは懸濁させた形で使用すれば良い。本発明の植物病害防除剤の使用量は種々の因子、例えば、目的、対象病害、作物の生育状況、病害の発生傾向、天候、環境条件、剤型、施用方法、施用場所、施用時期等により変動するが、有効成分化合物として10アール当たり0.001g〜10kg、好ましくは0.01g〜1kgの範囲から目的に応じて適宜選択すれば良い。
【0097】
本発明の方法に用いる植物病害防除剤は、各種病害を防除するためにそのまま、又は水等で適宜希釈し、若しくは懸濁させた形で植物病害防除に有効な量を当該有害生物の発生が予測される対象植物、対象植物の種子又は播種するための栽培担体等に通常の方法を適用して使用すれば良く、稲育苗箱施用、種子粉衣等の施用方法、種子消毒法、植穴処理、株元処理、作条処理、土壌混和等の施用方法で使用することができ、果樹、穀類、野菜等の畑作において発生する病害に対しては粉衣や浸漬等の種子処理、苗根の浸漬処理、播種時等の作条、育苗用の栽培容器や植え穴、株元等の育苗担体等への潅注、表面散布、混和処理等の後潅水等して植物に吸収させて使用することにより実施できる。水耕栽培における水耕液に処理しても良い。
【0098】
種子処理の方法としては、通常の方法に従って、例えば、液状又固体状の製剤を希釈又は希釈せずして液体状態にて種子を浸漬して薬剤を浸透させる方法、固形製剤又は液状製剤を種子と混和、粉衣処理等して種子の表面に付着させる方法、樹脂、ポリマー等の付着性の高い担体と混和して種子に単層又は多層にコーティングする方法、植え付けと同時に種子の近辺に散布する方法等をあげることができる。当該種子処理を行う「種子」とは、広義には本発明における「繁殖用植物体」と同義であり、いわゆる種子の他、球根、塊茎、種いも、鱗茎、あるいは挿し木栽培用の茎等の栄養繁殖用の植物体を含むものである。
本発明の方法を実施する場合の「土壌」又は「栽培担体」とは、植物を栽培するための支持体を示すものであり、材質は特に制限されないが、植物が生育しうる材質であれば良く、例えば、いわゆる各種土壌、育苗マット、水等を含むものであり、砂、バーミキュライト、綿、紙、珪藻土、寒天、ゲル状物質、高分子物質、ロックウール、グラスウール、木材チップ、バーク、軽石等を含むこともできる。
【0099】
土壌への施用方法としては、例えば、液体又は固体製剤を水に希釈又は希釈せずして植物体の設置場所近辺又は育苗のための苗床等に施用する方法、粒剤を植物体の設置場所近辺又は苗床に散布する方法、播種前又は移植前に粉剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤等を散布し土壌全体と混和する方法、播種前又は植物体を植える前に植え穴、作条等に粉剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤等を散布する方法などが挙げられる。
【0100】
水稲の育苗箱への施用方法としては、剤型は、例えば、播種時施用、緑化期施用、移植時施用など施用時期により異なる場合もあるが、粉剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤等の剤型で施用すれば良い。培土との混和によっても施用することができ、培土と粉剤、水和剤、顆粒水和剤又は粒剤等との混和、例えば、床土混和、覆土混和、培土全体への混和等することができる。単に、培土と各種製剤を交互に層状にして施用しても良い。播種時の施用の時期は播種の前、同時、播種後いずれでも良く、覆土後に施用しても良い。
【0101】
畑作物、例えば麦等においては、播種から育苗期において、種子又は植物体に近接する栽培担体等への処理が好ましい。畑へ直接播種する植物においては、種子への直接の処理の他、栽培中の植物に近接する栽培担体等への処理が好適である。粒剤を用いて散布処理又は水に希釈又は希釈しない薬剤を液状にて潅注処理を行うこと等ができる。
移植を行う栽培植物の播種、育苗期の処理としては、種子への直接の処理の他、育苗用の苗床への液状とした薬剤の潅注処理又は粒剤の散布処理ができる。又、定植時に粒剤を植え穴に処理したり、移植場所近辺の栽培担体に混和することもできる。
【0102】
本発明の植物病害防除剤は、更に防除対象病害虫、防除適期の拡大のため、或いは薬量の低減をはかる目的で他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、生物農薬等と混合して使用することも可能であり、又、使用場面に応じて除草剤、植物成長調節剤、肥料等と混合して使用することもできる。
かかる目的で使用する他の殺菌剤は、例えば、硫黄、石灰硫黄合剤、塩基性硫酸銅、イプロベンホス、エディフェンホス、トルクロホス・メチル、チラム、ポリカーバメイト、ジネブ、マンゼブ、マンコゼブ、プロピネブ、チオファネート、チオファネートメチル、ベノミル、イミノクタジン酢酸塩、イミノクタジンアルベシル酸塩、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、フラメトピル、チフルザミド、メタラキシル、オキサジキシル、カルプロパミド、ジクロフルアニド、フルスルファミド、クロロタロニル、クレソキシム・メチル、フェノキサニル、ヒメキサゾール、エクロメゾール、フルオルイミド、プロシミドン、ビンクロゾリン、イプロジオン、トリアジメホン、ビテルタノール、トリフルミゾール、イプコナゾール、フルコナゾール、プロピコナゾール、ジフェノコナゾール、ミクロブタニル、テトラコナゾール、ヘキサコナゾール、テブコナゾール、チアジニル、イミベンコナゾール、プロクロラズ、ペフラゾエート、シプロコナゾール、イソプロチオラン、フェナリモル、ピリメタニル、メパニピリム、ピリフェノックス、フルアジナム、トリホリン、ジクロメジン、アゾキシストロビン、チアジアジン、キャプタン、プロベナゾール、アシベンゾラルSメチル、フサライド、トリシクラゾール、ピロキロン、キノメチオネート、オキソリニック酸、ジチアノン、カスガマイシン、バリダマイシン、ポリオキシン、ブラストサイジン、ストレプトマイシン等を挙げることができ、
【0103】
同様の目的で使用する殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤としては、例えば、エチオン、トリクロルホン、メタミドホス、アセフェート、ジクロルボス、メビンホス、モノクロトホス、マラチオン、ジメトエート、ホルモチオン、メカルバム、バミドチオン、チオメトン、ジスルホトン、オキシデプロホス、ナレッド、メチルパラチオン、フェニトロチオン、シアノホス、プロパホス、フェンチオン、プロチオホス、プロフェノホス、イソフェンホス、テメホス、フェントエート、ジメチルビンホス、クロルフェビンホス、テトラクロルビンホス、ホキシム、イソキサチオン、ピラクロホス、メチダチオン、クロロピリホス、クロルピリホス・メチル、ピリダフェンチオン、ダイアジノン、ピリミホスメチル、ホサロン、ホスメット、ジオキサベンゾホス、キナルホス、テルブホス、エトプロホス、カズサホス、メスルフェンホス、DPS(NK−0795)、
【0104】
ホスホカルブ、フェナミホス、イソアミドホス、ホスチアゼート、イサゾホス、エナプロホス、フェンチオン、ホスチエタン、ジクロフェンチオン、チオナジン、スルプロホス、フェンスルフォチオン、ジアミダホス、ピレトリン、アレスリン、プラレトリン、レスメトリン、ペルメトリン、テフルトリン、ビフェントリン、フェンプロパトリン、シペルメトリン、アルファシペルメトリン、シハロトリン、ラムダシハロトリン、デルタメトリン、アクリナトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、シクロプロトリン、エトフェンプロックス、ハルフェンプロックス、シラフルオフェン、フルシトリネート、フルバリネート、メソミル、オキサミル、チオジカルブ、アルジカルブ、アラニカルブ、カルタップ、メトルカルブ、キシリカルブ、プロポキスル、フェノキシカルブ、フェノブカルブ、エチオフェンカルブ、フェノチオカルブ、ビフェナゼート、BPMC(2−セコンダリーブチルフェニル−N−メチルカーバメート)、カルバリル、ピリミカーブ、カルボフラン、カルボスルファン、フラチオカルブ、ベンフラカルブ、アルドキシカルブ、ジアフェンチウロン、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ノバルロン、ルフェヌロン、フルフェノクスロン、クロルフルアズロン、酸化フェンブタスズ、水酸化トリシクロヘキシルスズ、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、メトプレン、ハイドロプレン、ビナパクリル、アミトラズ、ジコホル、ケルセン、クロルベンジレート、フェニソブロモレート、テトラジホン、ベンスルタップ、ベンゾメート、テブフェノジド、メトキシフェノジド、ピリダリル、メタフルミゾン、フルベンジアミド、クロマフェノジド、プロパルギット、アセキノシル、エンドスルファン、ジオフェノラン、クロルフェナピル、フェンピロキシメート、トルフェンピラド、フィプロニル、テブフェンピラド、トリアザメート、エトキサゾール、ヘキシチアゾクス、硫酸ニコチン、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、イミダクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、ジノテフラン、フルアジナム、ピリプロキシフェン、ヒドラメチルノン、ピリミジフェン、ピリダベン、シロマジン、TPIC(トリプロピルイソシアヌレート)、ピメトロジン、クロフェンテジン、ブプロフェジン、チオシクラム、フェナザキン、キノメチオネート、インドキサカルブ、ポリナクチン複合体、ミルベメクチン、アバメクチン、エマメクチン・ベンゾエート、スピノサッド、BT(バチルス・チューリンゲンシス)、アザディラクチン、ロテノン、ヒドロキシプロピルデンプン、塩酸レバミゾール、メタム・ナトリウム、酒石酸モランテル、ダゾメット、トリクラミド、バストリア、モナクロスポリウム・フィマトパガム等を挙げることができ、
【0105】
同様に除草剤としては、例えば、グリホサート、スルホセート、グルホシネート、ビアラホス、ブタミホス、エスプロカルブ、プロスルホカルブ、ベンチオカーブ、ピリブチカルブ、アシュラム、リニュロン、ダイムロン、イソウロン、ベンスルフロンメチル、シクロスルファムロン、シノスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、アジムスルフロン、イマゾスルフロン、テニルクロール、アラクロール、プレチラクロール、クロメプロップ、エトベンザニド、メフェナセット、ペンディメタリン、ビフェノックス、アシフルオフェン、ラクトフェン、シハロホップブチル、アイオキシニル、ブロモブチド、アロキシジム、セトキシジム、ナプロパミド、インダノファン、ピラゾレート、ベンゾフェナップ、ピラフルフェンエチル、イマザピル、スルフェントラゾン、カフェンストロール、ベントキサゾン、オキサジアゾン、パラコート、ジクワット、ピリミノバック、シマジン、アトラジン、ジメタメトリン、トリアジフラム、ベンフレセート、フルチアセットメチル、キザロホップ・エチル、ベンタゾン、過酸化カルシウム等を挙げることができる。
【実施例】
【0106】
次に実施例を挙げて具体的に説明するが発明の要旨を超えない限りそれらに限定されるものではない。
尚、ピラゾリルエチルアミン誘導体、及び該アミド誘導体は、国際公開第2008/062878号パンフレットに記載してある方法に準じて製造することができる。一方2−ターシャリーブトキシカルボニルアミノ−4−トリフルオロメチル−1,3−チアゾール−5−カルボン酸エチルエステルは、国際公開第2009/012482号パンフレット、或いはJ. Heterocyclic Chem., 22,p1621〜1630(1985)に記載してある方法にて製造することができる。
【0107】
参考例1. 2−ターシャリーブトキシカルボニルアミノ−4−トリフルオロメチル−1,3−チアゾール−5−カルボン酸の製造
2−アミノ−4−トリフルオロメチル−1,3−チアゾール−5−カルボン酸エチルエステル(10.0g)をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解し、二炭酸ジターシャリーブチル(21.0g)、4−ジメチルアミノピリジン(0.6g)を順次加え、加熱還流下2時間攪拌した。放冷後、反応溶液を減圧濃縮して得られた残渣に水を加えて有機物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮することにより得られた残渣をエタノール(100ml)に溶解し、水酸化カリウム(5.39g)の水溶液(60ml)を加え、加熱還流下2時間攪拌した。放冷後、反応溶液を減圧濃縮して得られた残渣に水を加えてメチルターシャリーブチルエーテルで洗浄し、水層に10%塩酸水溶液を加えて酸性にした後、有機物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮することにより目的物7.8gを得た(収率59%)。
【0108】
実施例1. (S)−N−[2−(3−クロル−5−トリフルオロメチルピラゾール−1−イル)−1−メチルエチル]−2−ターシャリーブトキシカルボニルアミノ−4−トリフルオロメチル−1,3−チアゾール−5−カルボン酸アミドの製造(化合物番号I−37)
(S)−2−(3−クロル−5−トリフルオロメチルピラゾール−1−イル)−1−メチルエチルアミン(0.13g)をテトラヒドロフラン(10ml)と混合し、更にトリエチルアミン(0.18g)、2−ターシャリーブトキシカルボニルアミノ−4−トリフルオロメチル−1,3−チアゾール−5−カルボン酸(0.18g)、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨージド(0.18g)を順次加え2時間攪拌した。反応混液に水を加えて有機物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物(0.2g)を得た。
(収率63%)
【0109】
実施例2. (S)−N−[2−(3−クロル−5−トリフルオロメチルピラゾール−1−イル)−1−メチルエチル]−2−アミノ−4−トリフルオロメチル−1,3−チアゾール−5−カルボン酸アミドの製造(化合物番号I−31)
実施例1で得られた化合物を濃塩酸と酢酸エチルの1:1混合溶液(10ml)と混合し1時間攪拌した。反応混液から目的物を水で抽出し、得られた水層に炭酸カリウムを加えて塩基性とし、目的物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮することにより目的物(0.12g)を得た(収率79%)。
【0110】
以下に本発明の代表的な製剤例及び試験例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、製剤例中、部とあるのは重量部を示す。
【0111】
製剤例1
本発明化合物 10部
キシレン 70部
N−メチルピロリドン 10部
ソルポール3005X(東邦化学工業(株)) 10部
以上を均一に混合溶解して乳剤とする。
【0112】
製剤例2
本発明化合物 3部
クレー粉末 82部
珪藻土粉末 15部
以上を均一に混合粉砕して粉剤とする。
【0113】
製剤例3
本発明化合物 5部
ベントナイトとクレーの混合粉末 90部
サンエキスP−201(日本製紙ケミカル(株)) 5部
以上を均一に混合し、適量の水を加えて混練し、造粒、乾燥して粒剤とする。
【0114】
製剤例4
本発明化合物 20部
カオリンと合成高分散珪酸 74部
ハイテノールN−08(第一工業製薬(株)) 2.5部
サンエキスP−201(日本製紙ケミカル(株)) 3.5部
以上を均一に混合粉砕して水和剤とする。
【0115】
製剤例5
本発明化合物 20部
カオリンと合成高分散珪酸 74部
ディクスゾールW−205A(第一工業製薬(株)) 2.5部
サンエキスP−201(日本製紙ケミカル(株)) 3.5部
以上を均一に混合粉砕して水和剤とする。
【0116】
製剤例6
本発明化合物 20部
モルウェットD-425パウダー(ライオン・アクゾ (株)) 2部
ATLOX4894(クローダジャパン(株)) 0.5部
プロピレングリコール 5部
ジメチルポリシロキサン 0.5部
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 0.1部
ポリビニルアルコール 0.8部
ポリサッカライド 0.1部
パリゴルスカイト 0.5部
水 70.5部
以上を均一に混合粉砕して水性懸濁剤とする。
【0117】
製剤例7
本発明化合物 20部
ATLOX4894(クローダジャパン(株)) 1部
ATLOX4913(クローダジャパン(株)) 6部
ソルポール7518(東邦化学工業(株)) 1部
モルウェットD−425パウダー(ライオン・アクゾ(株)) 0.2部
エチレングリコール 5部
ジメチルポリシロキサン 0.5部
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 0.1部
ポリサッカライド 1.5部
水 64.7部
以上を均一に混合粉砕して水性懸濁剤とする。
【0118】
次に、本発明化合物が植物病害防除剤として有用であることを試験例で示す。なお、本発明化合物は第1表〜第3表に記載の化合物番号で示す。また、比較対照化合物として下記の3化合物を用いて同様の評価を行った。
比較化合物A;(国際公開第2008/062878号パンフレット記載の化合物番号II−20)
比較化合物B;(国際公開第2008/062878号パンフレット記載の化合物番号II−62)
比較化合物C;(国際公開第2008/062878号パンフレット記載の化合物番号II−63)
【0119】
試験例1.イネいもち病防除効果試験(潅注処理)
ポットで育成した5葉期のイネ(品種:金南風)に第1表〜第3表で示される化合物を製剤例1と同様にして調製した乳剤を水で所定量に希釈して潅注処理した。処理6日後V8培地で培養して得られたイネいもち病菌(Magnaporthe grisea)の胞子懸濁液を噴霧接種し、20℃多湿条件下で保持した。接種7日後の防除価を式1にしがって算出し、下記の判定基準に従って防除効果を判定した。
【0120】
【数1】

【0121】
判定基準
0 : 防除価9%以下
1 : 防除価10〜19%
2 : 防除価20〜29%
3 : 防除価30〜39%
4 : 防除価40〜49%
5 : 防除価50〜59%
6 : 防除価60〜69%
7 : 防除価70〜79%
8 : 防除価80〜89%
9 : 防除価90〜99%
10: 防除価100%
【0122】
上記の試験の結果、第1表〜第3表に記載の本発明化合物は処理薬量200gai/10aに於いて優れた防除効果を示し、特に化合物番号I−13、I−15、I−17、I−25、I−27、I−28、I−29、I−31、I−33、I−34、I−35、I−39、I−40、I−55、I−57、I−59、I−60、I−61、I−62、I−63、I−64、I−65、I−66、I−76、I−77、I−78、I−95、I−96、I−101、I−102、I−103、I−104、I−111、I−112、I−121、I−133、I−134、I−135、I−136、I−139、I−140、I−141、I−142、I−151、I−152、I−153、I−154、I−155、I−157、I−158、I−159、I−160、I−167、I−169、I−170、I−171、I−172、I−179、I−193、I−195、I−196、I−199、I−200、I−201、I−202、I−223、I−238、I−241、I−245、I−263、I−265、II−2、II−22、II−23、III−11、は判定基準8以上の高い活性を示した。比較化合物A、比較化合物B及び比較化合物Cは判定基準0であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】


{式中、Rは、
(1a) 水素原子;
(2a) ハロゲン原子;
(3a) (C−C)アルキル基;又は
(4a) ハロ(C−C)アルキル基
を示す。
及びRは同一又は異なっても良く、
(1b) 水素原子;
(2b) (C−C)アルキル基;
(3b) (C−C)アルケニル基;
(4b) ホルミル基;
(5b) (C−C)アルキルカルボニル基;
(6b) (C−C)アルコキシカルボニル基;
(7b) ハロ(C−C)アルキルカルボニル基;
(8b) ハロ(C−C)アルコキシカルボニル基;
(9b) (C−C)アルキルスルホニル基;
(10b) フェニル基;又は
(11b) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、及び(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル基
を示し、又は、
(12b) RとRは結合して、それらが結合する窒素原子とともに、5又は6員の含窒素脂肪族複素環を形成してもよく、当該含窒素脂肪族複素環は、0〜1個の酸素原子、0〜1個の硫黄原子、1〜2個の窒素原子を含み、(i) ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、及び(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基から選択される同一又は異なる1以上の置換基を環上に有していてもよい。
、R、R、R及びRは同一又は異なっても良く、
(1c) 水素原子;
(2c) (C−C)アルキル基;
(3c) (C−C)シクロアルキル基;
(4c) (C−C)アルキルカルボニル基;又は
(5c) (C−C)アルコキシカルボニル基
を示す。
、X及びXは同一又は異なっても良く、
(1d) 水素原子;
(2d) ハロゲン原子;
(3d) ホルミル基;
(4d) シアノ基;
(5d) ヒドロキシイミノ(C−C)アルキル基;
(6d) (C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基;
(7d) (C−C)アルキル基;
(8d) ハロ(C−C)アルキル基;
(9d) (C−C)シクロアルキル基;
(10d) (C−C)アルキルチオ基;
(11d) ハロ(C−C)アルキルチオ基;
(12d) (C−C)アルキルスルフィニル基;
(13d) ハロ(C−C)アルキルスルフィニル基;
(14d) (C−C)アルキルスルホニル基;
(15d) ハロ(C−C)アルキルスルホニル基;
(16d) フェニル基;
(17d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基、(x)フェニル基、(xi) 同一又は異なっても良く、ハロゲン原子及び(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、及び(xii) (C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル基;
(18d) フェニル(C−C)アルキル基;
(19d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基、(x)フェニル基、(xi) 同一又は異なっても良く、ハロゲン原子及び(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、及び(xii) (C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル(C−C)アルキル基;
(20d) 複素環基;
(21d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、及び(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換複素環基;
(22d) 複素環-カルボニル基;
(23d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、及び(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換複素環-カルボニル基;
(24b) (C−C)アルコキシカルボニル基;又は
(25b) ハロ(C−C)アルコキシカルボニル基
を示す。}
で表されるアミノチアゾールカルボキサミド誘導体又はその塩類。
【請求項2】
が、
(1a) 水素原子;又は
(4a) ハロ(C−C)アルキル基
を示し、
及びRが同一又は異なっても良く、
(1b) 水素原子;
(2b) (C−C)アルキル基;
(4b) ホルミル基;
(6b) (C−C)アルコキシカルボニル基;
(10b) フェニル基;又は
(11b) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、及び(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル基
を示し、
、R、R、R及びRが同一又は異なっても良く、
(1c) 水素原子;又は
(2c) (C−C)アルキル基
を示し、
、X及びXが同一又は異なっても良く、
(1d) 水素原子;
(2d) ハロゲン原子;
(3d) ホルミル基;
(5d) ヒドロキシイミノ(C−C)アルキル基;
(7d) (C−C)アルキル基;
(8d) ハロ(C−C)アルキル基;
(9d) (C−C)シクロアルキル基;
(16d) フェニル基;
(17d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基、(x)フェニル基、(xi) 同一又は異なっても良く、ハロゲン原子及び(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、及び(xii) (C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル基;
(18d) フェニル(C−C)アルキル基;
(22d) 複素環-カルボニル基;又は
(23d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、及び(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換複素環-カルボニル基
を示す請求項1記載のアミノチアゾールカルボキサミド誘導体又はその塩類。
【請求項3】
が、
(4a) ハロ(C−C)アルキル基を示し、
及びRが、同一又は異なっても良く、
(1b) 水素原子;
(2b) (C−C)アルキル基;又は
(4b) ホルミル基
を示し
、R、R、R及びRが同一又は異なっても良く、
(1c) 水素原子; 又は
(2c) (C−C)アルキル基
を示し
、X及びXが同一又は異なっても良く、
(2d) ハロゲン原子;
(8d) ハロ(C−C)アルキル基;
(16d) フェニル基;又は
(17d) 同一又は異なっても良く、(i)ハロゲン原子、(ii) シアノ基、(iii) (C−C)アルキル基、(iv) ハロ(C−C)アルキル基、(v)(C−C)アルコキシ基、(vi) ハロ(C−C)アルコキシ基、(vii) (C−C)アルキルチオ基、(viii) ハロ(C−C)アルキルチオ基、(ix) (C−C)アルコキシカルボニル基、(x)フェニル基、(xi) 同一又は異なっても良く、ハロゲン原子及び(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を有する置換フェニル基、及び(xii) (C−C)アルコキシイミノ(C−C)アルキル基から選択される1以上の置換基を環上に有する置換フェニル基
を示す請求項1又は2に記載のアミノチアゾールカルボキサミド誘導体又はその塩類。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のアミノチアゾールカルボキサミド誘導体又はその塩類を有効成分とすることを特徴とする植物病害防除剤。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のアミノチアゾールカルボキサミド誘導体又はその塩類の有効量を対象作物及び/又は対象作物の種子に処理することを特徴とする、植物病害の防除方法。

【公開番号】特開2012−92033(P2012−92033A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239948(P2010−239948)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000232623)日本農薬株式会社 (97)
【Fターム(参考)】