説明

2−アルキルピペリジンMGLUR5受容体モジュレーター

本発明は、代謝型グルタミン酸受容体、特に、mGluR5受容体の正のアロステリックモジュレーターであり、グルタミン酸機能障害と関連する神経学的および精神医学的障害および代謝型グルタミン酸受容体が関与している疾患の治療または予防において有用である2−アルキルピペリジンを対象とする。本発明はまた、これらの化合物を含む医薬組成物ならびに代謝型グルタミン酸受容体が関与している疾患の予防または治療における、これらの化合物および組成物の使用を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
興奮性アミノ酸L−グルタミン酸(glutamic acid)(L−グルタミン酸(L−glutamate)またはグルタミン酸(glutamate)と簡単に呼ばれることもある)は、その多数の受容体を介して、哺乳類中枢神経系(CNS)内の興奮性神経伝達のほとんどを媒介する。グルタミン酸をはじめとする興奮性アミノ酸は、生理学的に極めて重要であり、長期増強(学習および記憶)、シナプス可塑性の発達、運動制御、呼吸、循環調節および知覚などの種々の生理学的プロセスにおいて役割を果たしている。グルタミン酸は、少なくとも2種の別個のクラスの受容体を介して作用する。1種のクラスは、リガンド開口型イオンチャンネルとして作用するイオンチャンネル型グルタミン酸(iGlu)受容体からなる。グルタミン酸は、iGlu受容体の活性化によって、CNS中の2つの連結しているニューロンのシナプス内の迅速なニューロンの伝達を調節すると考えられている。受容体の第2の一般的な種類は、G−タンパク質またはセカンドメッセンジャーが連結している「代謝型」グルタミン酸(mGluR)受容体である。両種類の受容体は、興奮性経路に沿った正常なシナプス伝達を媒介するだけでなく、発達の間および一生を通じてシナプス結合の改変にも参加すると思われる。
【0002】
本発明は、代謝型グルタミン酸受容体、特に、サブタイプ5(「mGluR5」)受容体のモジュレーターに関する。mGluR受容体は、III型G−タンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーに属する。GPCRのこのスーパーファミリーは、カルシウム感知受容体、GABA B受容体およびフェロモン受容体を含み、それらは、それらが受容体タンパク質のアミノ末端部分とのエフェクターの結合によって活性化されるという点でユニークである。mGlu受容体は、細胞内シグナル伝達経路を調節する、グルタミン酸の実証されている能力を媒介すると考えられている。それらは、シナプス前性およびシナプス後性の両方で局在しており、そこで、それらはそれぞれ、神経伝達物質放出、グルタミン酸もしくはその他の神経伝達物質のいずれかを調節できる、または神経伝達物質のシナプス後反応を改変できると実証されている。
【0003】
目下のところ、確実に同定され、クローニングされ、その配列が報告されている、8種の別個のmGlu受容体がある。これらは、そのアミノ酸配列相同性、特定のシグナル伝達機構を達成するその能力およびその公知の薬理学的特性に基づいて3群(群I、IIおよびIII)にさらに細分される。mGluRの活性化は、広くさまざまな細胞内反応および種々の伝達カスケードの活性化につながる。mGluRメンバーの中でも、mGluR5サブタイプは、精神神経(neuropsychatric)疾患において神経伝達の不足または過剰を均衡するためにかなり興味深いものである。mGluR5は、群Iに属し、その活性化は、G−タンパク質媒介性機構を介する細胞応答を開始する。mGluR5は、ホスホリパーゼCとカップリングされ、ホスホイノシチド加水分解および細胞内カルシウム動員を刺激する。mGluR5受容体は、CNSでは、主に、皮質、海馬、尾状核−被殻および側坐核中で豊富である。これらの脳領域は、情動、動機付けの過程および認知機能の多数の態様に関与していることがわかっているので、mGluR5モジュレーターは、治療上興味深いと予測されている。
【0004】
グルタミン酸放出の変化またはシナプス後受容体活性化における変更によるグルタミン酸作動性系を含めた興奮性アミノ酸受容体の調節と、種々の神経学的および精神医学的障害の間に関連性があることは、ますます明らかになってきた。例えば、種々の潜在的臨床的適応症が、サブタイプ選択的mGluRモジュレーターの開発のための標的であると示唆されている。これらとして、てんかん、神経因性および炎症性疼痛、多数の精神医学的障害(例えば、不安症および統合失調症)、運動障害(例えば、パーキンソン病)、神経保護(脳卒中および頭部損傷)、片頭痛および耽溺/薬物依存症が挙げられる。このようなグルタミン酸機能障害の医学的結果によって、これらの神経学的過程の寛解が重要な治療目標となる。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、代謝型グルタミン酸受容体、特に、mGluR5受容体の正のアロステリックモジュレーターであり、グルタミン酸機能障害が関連している神経学的および精神医学的障害ならびに代謝型グルタミン酸受容体が関与している疾患の治療または予防において有用である、2−アルキルピペリジンを対象とする。本発明はまた、これらの化合物を含む医薬組成物および代謝型グルタミン酸受容体が関与しているような疾患の予防または治療におけるこれらの化合物および組成物の使用を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、式I:
【化1】

【0007】
[式中、
は、フェニル、ナフチルおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
は、フェニル、ナフチルおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
Xは、N、OおよびC(Rl3)から選択され、
Yは、NおよびOから選択され、ここで、XはNであり、YはOであり、オキサジアゾール環を形成するか、またはXはOであり、YはNであり、オキサジアゾール環を形成するか、またはXはC(Rl3)であり、YはOであり、オキサゾール環を形成する;
la、R1bおよびRlcは、Aの結合価がこのような置換を可能にしない場合には不在であり得、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)ヒドロキシル、
(4)−(C=O)−O−C1−6アルキル、ここで、mは0または1であり、nは0または1であり(mが0であるか、nが0である場合に、結合は存在する)、アルキルが非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(5)−(C=O)−O−C3−6シクロアルキル、ここで、シクロアルキルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(6)−(C=O)−C2−4アルケニル、ここで、アルケニルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(7)−(C=O)−C2−4アルキニル、ここで、アルキニルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(8)−(C=O)−O−フェニルまたは−(C=O)−O−ナフチル、ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(9)−(C=O)−O−ヘテロシクル、ここで、ヘテロシクルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(10)−(C=O)−NRl0ll、ここで、Rl0およびRllは独立に、
(a)水素、
(b)非置換であるか、またはRl3で置換されているC1−6アルキル、
(c)非置換であるか、またはRl3で置換されているC3−6アルケニル、
(d)非置換であるか、またはRl3で置換されているC3−6アルキニル、
(e)非置換であるか、またはRl3で置換されているC3−6シクロアルキル、
(f)非置換であるか、またはRl3で置換されているフェニル、および
(g)非置換であるか、またはRl3で置換されているヘテロシクル
からなる群から選択される、
(11)−S(O)−NRl0ll
(12)−S(O)q−Rl2、ここで、qは0、1または2であり、Rl2は、Rl0およびRllの定義から選択される、
(13)−COH、
(14)−CNおよび
(15)−NO
からなる群から独立に選択され;
2a、R2bおよびR2cは、Aの結合価がこのような置換を可能にしない場合には不在であり得、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)ヒドロキシル、
(4)−(C=O)−O−C1−6アルキル、ここで、アルキルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(5)−(C=O)−O−C3−6シクロアルキル、ここで、シクロアルキルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(6)−(C=O)−C2−4アルケニル、ここで、アルケニルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(7)−(C=O)−C2−4アルキニル、ここで、アルキニルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(8)−(C=O)−O−フェニルまたは−(C=O)−O−ナフチル、ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(9)−(C=O)−O−ヘテロシクル、ここで、ヘテロシクルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(10)−(C=O)−NRl0ll
(11)−S(O)−NRl0ll
(12)−S(O)−Rl2
(13)−COH、
(14)−CNおよび
(15)−NO
からなる群から独立に選択され;
は、C1−6アルキルであり;
l3は、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシル、
(3)−(C=O)−O−C1−6アルキル、ここで、アルキルは非置換であるか、またはRl4から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(4)−O−(C1−3)ペルフルオロアルキル、
(5)−(C=O)−O−C3−6シクロアルキル、ここで、シクロアルキルは非置換であるか、またはRl4から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(6)−(C=O)−C2−4アルケニル、ここで、アルケニルは非置換であるか、またはRl4から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(7)−(C=O)−C2−4アルキニル、ここで、アルキニルは非置換であるか、またはRl4から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(8)−(C=O)−O−フェニルまたは−(C=O)−O−ナフチル、ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、またはRl4から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(9)−(C=O)−O−ヘテロシクル、ここで、ヘテロシクルは非置換であるか、またはRl4から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(10)−(C=O)−NR1011
(11)−S(O)−NRl0ll
(12)−S(O)−Rl2
(13)−COH,
(14)−CNおよび
(15)−NO
からなる群から選択され、
l4は、
(1)ヒドロキシル、
(2)ハロゲン、
(3)C1−6アルキル、
(4)−C3−6シクロアルキル、
(5)−O−C1−6アルキル、
(6)−O(C=O)−C1−6アルキル、
(7)−NH−C1−6アルキル、
(8)フェニル、
(9)ヘテロシクル、
(10)−COHおよび
(11)−CN
からなる群から選択される]
で示される化合物を対象とする。
【0008】
本発明の一実施形態は、式I’の化合物:
【化2】

【0009】
[式中、A、A、X、Y、Rla、R1b、Rlc、R2a、R2b、R2cおよびRは、本明細書に定義される]またはその医薬上許容される塩を含む。
【0010】
本発明の一実施形態は、式Iaの化合物:
【化3】

【0011】
[式中、A、A、Rla、R1b、Rlc、R2a、R2b、R2cおよびRは、本明細書に定義される]またはその医薬上許容される塩を含む。
【0012】
本発明の一実施形態は、式Ia’の化合物:
【化4】

【0013】
[式中、A、A、Rla、R1b、Rlc、R2a、R2b、R2cおよびRは、本明細書に定義される]またはその医薬上許容される塩を含む。
【0014】
本発明の一実施形態は、式Ibの化合物:
【化5】

【0015】
[式中、A、A、Rla、R1b、Rlc、R2a、R2b、R2cおよびRは、本明細書に定義される]またはその医薬上許容される塩を含む。
【0016】
本発明の一実施形態は、式Ib’の化合物:
【化6】

【0017】
[式中、A、A、Rla、R1b、Rlc、R2a、R2b、R2cおよびRは、本明細書に定義される]またはその医薬上許容される塩を含む。
【0018】
本発明の一実施形態は、式Icの化合物:
【化7】

【0019】
[式中、A、A、Rla、R1b、Rlc、R2a、R2b、R2c、RおよびRl3は、本明細書に定義される]またはその医薬上許容される塩を含む。
【0020】
本発明の一実施形態は、式Ic’の化合物:
【化8】

【0021】
[式中、A、A、Rla、R1b、Rlc、R2a、R2b、R2c、RおよびRl3は、本明細書に定義される]またはその医薬上許容される塩を含む。
【0022】
本発明の一実施形態は、式Idの化合物:
【化9】

【0023】
[式中、A、A、Rla、R1b、Rlc、R2a、R2bおよびR2cは、本明細書に定義される]またはその医薬上許容される塩を含む。
【0024】
本発明の一実施形態は、式Id’の化合物:
【化10】

【0025】
[式中、A、A、Rla、R1b、Rlc、R2a、R2bおよびR2cは、本明細書に定義される]またはその医薬上許容される塩を含む。
【0026】
本発明の一実施形態は、式Ieの化合物:
【化11】

【0027】
[式中、A、A、Rla、R1b、Rlc、R2a、R2bおよびR2cは、本明細書に定義される]またはその医薬上許容される塩を含む。
【0028】
本発明の一実施形態は、式Ie’の化合物:
【化12】

【0029】
[式中、A、A、R1a、R1b、Rlc、R2a、R2bおよびR2cは、本明細書に定義される]またはその医薬上許容される塩を含む。
【0030】
本発明の一実施形態は、式Ifの化合物:
【化13】

【0031】
[式中、A、A、Rla、R1b、Rlc、R2a、R2b、R2cおよびRl3は、本明細書に定義される]またはその医薬上許容される塩を含む。
【0032】
本発明の一実施形態は、式If’の化合物:
【化14】

【0033】
[式中、A、A、Rla、R1b、Rlc、R2a、R2b、R2cおよびRl3は、本明細書に定義される]またはその医薬上許容される塩を含む。
【0034】
本発明の一実施形態は、Aが、フェニル、ピリジルおよびピロリルからなる群から選択される化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがフェニルである化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがヘテロアリールである化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピリジルである化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピロリルである化合物を含む。
【0035】
本発明の一実施形態は、Aがフェニルおよびピリジルからなる群から選択される化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがフェニルである化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがヘテロアリールである化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピリジルである化合物を含む。
【0036】
本発明の一実施形態は、XがNであり、YがOであり、オキサジアゾール環を形成する化合物を含む。本発明の一実施形態は、XがOであり、YがNであり、オキサジアゾール環を形成する化合物を含む。本発明の一実施形態は、XがC(Rl3)であり、YがOであり、オキサゾール環を形成する化合物を含む。
【0037】
本発明の一実施形態は、Rla、R1bおよびRlcが独立に、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)ヒドロキシル、
(4)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、フェニルもしくはナフチルで置換されているC1−6アルキル、
(5)非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシルもしくはフェニルで置換されている−O−C1−6アルキル、
(6)ヘテロアリール、ここで、ヘテロアリールは、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NOで置換されている、ピロリル、イミダゾリル、インドリル、ピリジルおよびピリミジニルから選択される、
(7)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NOで置換されているフェニル、
(8)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NOで置換されている−O−フェニル、および
(9)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NO−で置換されている、−NH−C1−6アルキルまたは−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)
からなる群から選択される化合物を含む。
【0038】
本発明の一実施形態は、Rla、R1bおよびRlcが独立に、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)ヒドロキシル、
(4)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシルもしくはフェニルもしくはナフチルで置換されているC1−6アルキル、および
(5)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシルもしくはフェニルで置換されている−O−C1−6アルキル
からなる群から選択される化合物を含む。
【0039】
本発明の一実施形態は、Rla、R1bおよびRlcが独立に、
(1)水素、
(2)ハロゲンおよび
(3)C1−6アルキル
からなる群から選択される化合物を含む。
【0040】
本発明の一実施形態は、Rla、R1bおよびRlcが独立に、
(1)水素、
(2)クロロ、
(3)フルオロおよび
(4)メチル
からなる群から選択される化合物を含む。
【0041】
本発明の一実施形態は、Aが、フェニル、ピリジルまたはピロリルであり、Rla、R1bおよびRlcが独立に、
(1)水素、
(2)クロロ、
(3)フルオロおよび
(4)メチル
からなる群から選択される化合物を含む。
【0042】
本発明の一実施形態は、Aがフェニルであり、Rlaがハロゲンであり、R1bが水素であり、Rlcが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがフェニルであり、Rlaがフルオロであり、R1bが水素であり、Rlcが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがフェニルであり、Rlaがクロロであり、R1bが水素であり、Rlcが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがフェニルであり、Rlaがメチルであり、R1bが水素であり、Rlcが水素である化合物を含む。
【0043】
本発明の一実施形態は、Aがピリジルであり、Rlaがハロゲンであり、R1bが水素であり、Rlcが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピリジルであり、Rlaがフルオロであり、R1bが水素であり、Rlcが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピリジルであり、Rlaがクロロであり、R1bが水素であり、Rlcが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピリジルであり、Rlaがメチルであり、R1bが水素であり、Rlcが水素である化合物を含む。
【0044】
本発明の一実施形態は、Aがピロリルであり、Rlaがハロゲンであり、R1bが水素であり、Rlcが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピロリルであり、Rlaがフルオロであり、R1bが水素であり、R1Cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピロリルであり、Rlaがクロロであり、R1bが水素であり、R1cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピロリルであり、Rlaがメチルであり、R1bが水素であり、Rlcが水素である化合物を含む。
【0045】
本発明の一実施形態は、R2a、R2bおよびR2cが独立に、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)ヒドロキシル、
(4)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシルもしくはフェニルもしくはナフチルで置換されているC1−6アルキル、
(5)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシルもしくはフェニルで置換されている−O−C1−6アルキル、
(6)ヘテロアリール、ここで、ヘテロアリールは、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NOで置換されている、ピロリル、イミダゾリル、インドリル、ピリジルおよびピリミジニルから選択される、
(7)非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NOで置換されているフェニル、
(8)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NOで置換されている−O−フェニル、および
(9)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NO−で置換されている、−NH−C1−6アルキルまたは−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)
からなる群から選択される化合物を含む。
【0046】
本発明の一実施形態は、R2a、R2bおよびR2cが独立に、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)ヒドロキシル、
(4)非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシルもしくはフェニルで置換されているC1−6アルキル、
(5)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシルもしくはフェニルで置換されている−O−C1−6アルキル、および
(6)非置換であるか、またはハロゲンで置換されている、−NH−C1−6アルキルまたは−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)
からなる群から選択される化合物を含む。
【0047】
本発明の一実施形態は、R2a、R2bおよびR2cが独立に、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)非置換であるか、またはハロゲンで置換されているC1−6アルキル、
(4)非置換であるか、またはハロゲンで置換されている−O−C1−6アルキル、および
(5)非置換であるか、またはハロゲンで置換されている、−NH−C1−6アルキルまたは−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)
からなる群から選択される化合物を含む。
【0048】
本発明の一実施形態は、R2a、R2bおよびR2cが独立に、
(1)水素、
(2)クロロ、
(3)フルオロ、
(4)ブロモ、
(5)メトキシ、
(6)t−ブトキシ,
(7)ジフルオロメチル、および
(8)トリフルオロメチル
からなる群から選択される化合物を含む。
【0049】
本発明の一実施形態は、R2a、R2bおよびR2cが独立に、
(1)水素、
(2)クロロ、
(3)フルオロおよび
(4)メトキシ
からなる群から選択される化合物を含む。
【0050】
本発明の一実施形態は、Aがフェニルまたはピリジルであり、R2a、R2bおよびR2cが独立に、
(1)水素、
(2)クロロ、
(3)フルオロ、
(4)ブロモ、
(5)メトキシ、
(6)t−ブトキシ、
(7)ジフルオロメチルおよび
(8)トリフルオロメチル
からなる群から選択される化合物を含む。
【0051】
本発明の一実施形態は、Aがフェニルまたはピリジルであり、R2a、R2bおよびR2cが独立に、
(1)水素、
(2)クロロ、
(3)フルオロおよび
(4)メトキシ
からなる群から選択される化合物を含む。
【0052】
本発明の一実施形態は、Aがフェニルであり、R2aがハロゲンまたはメトキシであり、R2bが水素であり、R2cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがフェニルであり、R2aがフルオロであり、R2bが水素であり、R2cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがフェニルであり、R2aがクロロであり、R2bが水素であり、R2cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがフェニルであり、R2aがメトキシであり、R2bが水素であり、R2cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがフェニルであり、R2aがフルオロであり、R2bがフルオロであり、R2cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがフェニルであり、R2aがフルオロであり、R2bがメトキシであり、R2cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがフェニルであり、R2aがメトキシであり、R2bがメトキシであり、R2cが水素である化合物を含む。
【0053】
本発明の一実施形態は、Aがピリジルであり、R2aがハロゲンまたはメトキシであり、R2bが水素であり、R2cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピリジルであり、R2aがフルオロであり、R2bが水素であり、R2cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピリジルであり、R2aがクロロであり、R2bが水素であり、R2cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピリジルであり、R2aがメトキシであり、R2bが水素であり、R2cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピリジルであり、R2aがフルオロであり、R2bがフルオロであり、R2cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピリジルであり、R2aがフルオロであり、R2bがメトキシであり、R2cが水素である化合物を含む。本発明の一実施形態は、Aがピリジルであり、R2aがメトキシであり、R2bがメトキシであり、R2cが水素である化合物を含む。
【0054】
本発明の一実施形態は、RがCl−4アルキルである化合物を含む。本発明の一実施形態は、Rがメチルである化合物を含む。本発明の一実施形態は、Rがエチルである化合物を含む。
【0055】
本発明の一実施形態は、Rが、オキサジアゾール環を有する置換基に対してピペリジン環上でシス配向にある化合物を含む。
【0056】
本発明の一実施形態は、Rl3が水素である化合物を含む。
【0057】
本発明の特定の実施形態は、本明細書における実施例の主題化合物およびその医薬上許容される塩ならびにその個々の鏡像異性体およびジアステレオマーからなる群から選択される化合物を含む。
【0058】
当業者には当然であろうが、本明細書において使用されるハロゲンまたはハロとは、フッ素(luorine)、塩素、臭素およびヨウ素を含むことを意図する。同様に、「アルキル」ならびにアルコキシ、アルカノイルなどの接頭辞「アルク(alk)」を有するその他の基は、直鎖または分岐またはそれらの組合せであってもよい炭素鎖を意味する。C1−6アルキルにおけるようなC1−6は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどといった、直鎖または分岐配置で1、2、3、4、5または6個の炭素を有するような基を同定するよう定義される。「アルキレン」とは、−CHCH−および−CHCHCH−などの、両末端に置換された基を有する、直鎖または分枝鎖の炭素原子を意味する。「アルケニル」とは、直鎖または分岐またはそれらの組合せであってもよい、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む炭素鎖を意味し、その結果、C2−6アルケニルは、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどをはじめとする、E−配置であっても、Z−配置であってもよい、少なくとも1つの二重結合を組み込む、2、3、4、5または6個の炭素を有するような基を同定するよう定義される。「アルキニル」とは、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニルなどといった、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有し、直鎖または分岐またはそれらの組合せであってもよい炭素鎖を意味する。「シクロアルキル」とは、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロドデシルメチル、2−エチル−1−ビシクロ[4.4.0]デシルなどといった、示された数の炭素原子を有する直鎖または分岐構造と、場合により組み合わされてもよい単環式、二環式または三環式構造を意味する。「アルコキシ」とは、示された数の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルコキシ基を意味する。C1−6アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどを含む。「ヘテロアリール」とは、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含有する、少なくとも1つの環を含む単環式または二環式芳香族環を意味し、各環は、5または6個の原子を含有する。ヘテロアリールの例として、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゼピン、ベンゾキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、フロ(2,3−b)ピリジル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、ジヒドロインドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソキサゾリン、オキセタニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロキノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリルおよびそれらのN−オキシドなどが挙げられる。
【0059】
置換基で独立に置換されていると指定されている基は、複数のこのような置換基で独立に置換されてもよい。
【0060】
本発明の化合物は、1以上の不斉中心を含有してもよく、従って、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして生じ得る。分子上での種々の置換基の性質に応じて、さらなる不斉中心が存在し得る。このような不斉中心は各々、2種の光学異性体を独立に生じ、混合物中のあり得る光学異性体およびジアラセミ化合物ステレオマーのすべてが、純粋なまたは部分精製された化合物として、本発明の範囲内に含まれるものとする。特定の立体化学を指定しない、本明細書に記載される化合物の任意の式、構造または名称は、上記のありとあらゆる既存の異性体および任意の割合のそれらの混合物を包含するものとする。立体化化学が指定されている場合には、本発明は、その特定の異性体を純粋な形態で、または任意の割合のその他の異性体との混合物の一部として包含するものとする。
【0061】
これらのジアステレオマーの独立合成またはそのクロマトグラフィーによる分離は、本明細書に開示される方法論の適当な改変によって、当技術分野で公知のように達成され得る。その絶対立体化学は、結晶性生成物または必要に応じて、既知絶対配置の不斉中心を含有する試薬を用いて誘導体化される結晶性中間体のX線結晶学によって決定してもよい。必要に応じて、個々の鏡像異性体が単離されるよう、化合物のラセミ混合物を分離してもよい。分離は、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物とカップリングして、ジアステレオマーの混合物を形成し、続いて、分別結晶またはクロマトグラフィーなどの標準法によって個々のジアステレオマーを分離することなどの当技術分野で周知の方法によって実施できる。カップリング反応は、鏡像異性体的に純粋な酸または塩基を使用する塩の形成であることが多い。次いで、ジアステレオマー誘導体を、加えられたキラル残部の切断によって純粋な鏡像異性体に変換してもよい。化合物のラセミ混合物はまた、当技術分野で周知であるキラル固定相を使用するクロマトグラフィー法によって直接的に分離できる。あるいは、化合物の任意の鏡像異性体は、当技術分野で周知の方法によって、光学的に純粋な出発物質または既知立体配置の試薬を使用する立体選択的合成によって得てもよい。
【0062】
本発明はまた、1個以上の原子が、同一の原子数であるが、通常天然に見られる原子質量または原子数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置換されている、式Iの化合物のすべての医薬上許容される同位体変化も含む。本発明の化合物に含めるのに適した同位体の例として、2Hおよび3Hなどの水素の同位体、llC、13Cおよび14Cなどの炭素、13Nおよび15Nなどの窒素、15O、17Oおよび18Oなどの酸素、32pなどのリン、35sなどの硫黄、18Fなどのフッ素、23Iおよび125Iなどのヨウ素および36Clなどの塩素が挙げられる。特定の同位体標識された式Iの化合物、例えば、放射活性同位体を組み込むものは、薬物および/または基質組織分布研究において有用である。放射活性同位体トリチウム、すなわち、Hおよび炭素−14、すなわち、14Cは、組み込みが容易であることおよび検出の容易な手段を考慮して、この目的上特に有用である。重水素、すなわち、Hなどのより重い同位体との置換は、より大きな代謝安定性に起因する特定の治療的利点、例えば、in vivo半減期の増大または投与量必要量の低減を提供し得、従って、状況によっては、好ましいものであり得る。11C、18F、15Oおよび13Nなどのポジトロン放出同位体での置換は、基質受容体占有率を調べるためのポジトロン放出断層撮影(PET)研究において有用であり得る。同位体標識された式Iの化合物は、通常、当業者に公知の従来技術によって、またはこれまでに使用された標識していない試薬の代わりに適宜同位体によって標識された試薬を使用して、付随する実施例に記載されるものと類似のプロセスによって調製できる。
【0063】
「医薬上許容される塩」とは、無機または有機塩基および無機または有機酸を含めた医薬上許容される非毒性塩基または酸から調製された塩を指す。無機塩基から導かれる塩として、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。特定の実施形態として、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩が挙げられる。固体形態の塩は、2種以上の結晶構造で存在し得、水和物の形態でもあり得る。医薬上許容される有機費毒性塩基に由来する塩として、第一、第二および第三アミン、天然に生じる置換アミンを含めた置換アミン、環状アミンおよびアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどといった塩基性イオン交換樹脂の塩などが挙げられる。本発明の化合物が塩基性である場合には、塩は、無機および有機酸を含めた医薬上許容される非毒性酸から調製され得る。このような酸として、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−パラトルエンスルホン酸などが挙げられる。特定の実施形態クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸および酒石酸。本明細書において、本発明の化合物への言及はまた、医薬上許容される塩も含むものとするということは理解されよう。
【0064】
例示している本発明は、実施例および本明細書に開示される特定の化合物である。主題化合物は、化合物の有効量の投与を含む、このような増強を必要とする哺乳類などの患者において代謝型グルタミン受容体活性の神経調節効果を増強する方法において有用である。本発明は、代謝型グルタミン酸受容体活性の正のアロステリックモジュレーターとして本明細書に開示される主題化合物の使用を対象とする。
【0065】
本発明はまた、式Iの化合物を、医薬上許容されると組み合わせて含む医薬組成物を包含する。
【0066】
本発明はまた、患者に、式Iの化合物の治療上有効な量を投与することを含む、それを必要とする患者において、グルタミン酸機能障害と関連する神経学的または精神医学的障害を治療する方法を包含する。本発明はまた、グルタミン酸機能障害と関連する神経学的または精神医学的障害が、統合失調症であるこの方法を包含する。
【0067】
本発明の化合物は、代謝型グルタミン酸(mGluR)受容体機能のモジュレーターであり、特に、それらは、mGluR5受容体の正のアロステリックモジュレーターである。すなわち、式Iの化合物は、オルソステリックなグルタミン酸認識部位と結合しないと思われ、mGluR5を自身によって活性化しないと思われる。代わりに、グルタミン酸またはmGluR5アゴニストの濃度に対するmGluR5の応答は、式Iの化合物が存在する場合に増大する。式Iの化合物は、受容体の機能を増強するその能力によってmGluR5でその効果を有すると予測される。本発明の化合物は、mGluR5受容体のグルタミン酸およびグルタミン酸アゴニストの有効性を増大すると予測されるということは認識される。従って、本発明の化合物は、本明細書において治療されるべき記載されるグルタミン酸機能障害と関連する種々の神経学的および精神医学的障害および当業者によって理解されるような正のアロステリックモジュレーターによって治療され得るその他のものの治療において有用であると予測される。本発明は、mGluR受容体活性の正のアロステリックモジュレーターとして本明細書に開示される化合物の使用を対象とする。本発明は、医薬において使用するための本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を対象とする。本発明は、ヒトおよび動物において、mGluR5受容体活性の正のアロステリック調節のための、または本明細書に記載される障害および疾患を治療するための医薬の製造のための、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩の使用をさらに対象とする。
【0068】
本発明は、本発明の化合物を、医薬担体または希釈剤と組み合わせることを含む、ヒトおよび動物における代謝型グルタミン酸受容体活性の正のアロステリック調節のための医薬を製造する方法をさらに対象とする。
【0069】
本方法において治療される対象は、通常、代謝型グルタミン酸受容体活性増強が望まれる哺乳類、好ましくは、ヒト、男性または女性である。霊長類、特に、ヒトに加え、種々のその他の哺乳類が、本発明に従って治療され得る。用語「治療上有効な量」とは、研究者、獣医、医師またはその他の臨床医によって求められている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的反応を誘発する主題化合物の量を意味する。当業者は、有効量の本発明の化合物を用いて、現在障害に苦しんでいる患者を治療することによって、または障害に苦しんでいる患者を予防的に治療することによって、神経学的および精神医学的障害に影響を及ぼし得るということは認識される。本明細書において、用語「治療」および「治療している」とは、本明細書に記載される神経学的および精神医学的障害の進行の遅延、干渉、抑止、制御または停止があり得るが、必ずしも、すべての障害症状の完全な排除を示さないすべてのプロセスならびにこのような疾患または障害の傾向のある患者における記載される状態の予防的治療を指す。
【0070】
本明細書において、用語「組成物」とは、指定量の指定の成分を含む生成物、ならびに指定量の指定の成分の組合せに直接的または間接的に起因する生成物を包含するものとする。医薬組成物に関してこのような用語は、有効成分および担体を構成する不活性成分を含む生成物、ならびに任意の2種以上の成分の組合せ、複合体形成もしくは凝集に、または1種以上の成分の解離に、または1種以上の成分のその他の種類の反応または相互作用に直接的または間接的に起因する生成物を包含するものとする。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および医薬上許容される担体を混合することによって製造される任意の組成物を包含する。「医薬上許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が、製剤のその他の成分と適合しなくてはならず、そのレシピエントにとって有害であってはならないことを意味する。
【0071】
用語、化合物の「の投与」または「投与すること」とは、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを、治療を必要とする個体に提供することを意味すると理解されるべきである。
【0072】
代謝型グルタミン酸受容体活性、特に、mGluR5活性の正のアロステリックモジュレーターとしての本発明の化合物の有用性は、O’Brienら,Molecular Pharmacology 2003,64(3)731〜740頁をはじめとする当技術分野において周知の方法論によって過度の実験を行うことなく容易に決定できる。特に、以下の実施例の化合物は、mGluR5活性を増強することによって参照アッセイにおいて活性を有していた。代謝型グルタミン酸受容体5(mGluR5)活性化のモジュレーターとしての化合物の有用性は、細胞内カルシウム流動を、天然のアゴニスト(グルタミン酸)の閾値以下のレベルによって達成されるものを上回って増大するその能力によって実証された。細胞内CA2+の変化は、Fluorometric Imaging Plate Reader(FLIPR,Molecular Devices,Sunnyvale,CA)で検出され得るFluo−4AMエステル(Invitrogen/Molecular Probes)を用いて測定した。通常の実験では、本発明の化合物のmGluR5正のアロステリック調節活性は、以下の実験法に従って調べた。
【0073】
細胞培養:ヒトmGluR5を発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、DMEM、10%の透析されたウシ胎児血清、50ユニット/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシン、2mM L−グルタミン、1×MEM 非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、25mM HEPES、55μM 2−メルカプトエタノール、5μg/mL ピューロマイシンおよび250μg/mLゼオシンを含有する増殖培地で37℃および5% COで維持した。実験の前日に、細胞を洗浄し、黒色384ウェル透明底PDLコーティングプレート中、DMEM、10%の透析されたウシ胎児血清、50ユニット/mLペニシリンおよび50μg/mLストレプトマイシンのみを含有する「プレーティング培地」に、50,000個細胞/ウェル(100μL/ウェル)の密度で播種した。細胞を37℃および6% COで一晩増殖させた。この一晩のグルタミン/グルタミン酸飢餓によって、mGluR5受容体の一貫した発現および実験の当日に既知量のアゴニスト(ほとんどの場合にはグルタミン酸)を加える能力が可能となった。
【0074】
蛍光CA2+動員(FLIPR)アッセイ:実験の当日、細胞を、自動プレート洗浄機を用いて、37℃のアッセイバッファー(CaClおよびMgClを含むHanks平衡塩溶液、20mM HEPES、2.5mMプロベネシド、0.1% BSA)で洗浄した(3×100μL、各ウェルにおいて約30μLのバッファーを残しながら底から吸引)。洗浄後、2μM Fluo−4AM最終濃度のために、プレートの各ウェルに、30μLのダイローディングバッファー(4μM Fluo−4AM、0.04% プルロン酸およびアッセイバッファー中、1%の透析されたFBS)を加えた。プレートを、37℃および6% COで1時間インキュベートして、ダイローディングを可能にした。ダイローディング後、細胞を上記のように再度洗浄し、FLIPRにおいた。2種の可能性あるシナリオでアッセイを実施した;1)閾値以下の量のグルタミン酸の存在下での、mGluR5のアゴニストまたはmGluR5の増強物質のいずれかとしての化合物の効力を調べるために、細胞に化合物の10点滴定(各点間の1:3希釈、30〜0.0015μM最終濃度)を加え、続いて、細胞にグルタミン酸のEC20(300nM)を加えた。2)化合物の天然のアゴニスト(グルタミン酸)との協同性を調べるために、細胞に単一濃度の化合物を加え、続いて、グルタミン酸の10点滴定(各点間の1:3希釈、1000〜0.05nM最終濃度)を加えた。同一アッセイプレートでのDMSOのみの存在下でのグルタミン酸のEC50と比較して、化合物の存在下でのグルタミン酸用量反応曲線の左へのシフトが、単一濃度の化合物の効力の程度を示す。上記の両シナリオについて、FLIPRの操作は同一とした。ベースライン蛍光を10秒間モニタリングし、続いて、アッセイバッファー(1%、この添加後のDMSO濃度、0.66%、アゴニスト添加後の最終DMSO濃度)で希釈した化合物を加えた。蛍光を5分間モニタリングし、その時間の間に、化合物の任意の内因性アゴニスト活性が検出された後、次いで、同様にアッセイバッファーで希釈されたアゴニスト(グルタミン酸)を細胞に加えた。次いで、さらに3分間反応をモニタリングした。シナリオ1では、最後の3分間の間のピークを増強物質データのために使用し、化合物添加後の5分間の間のピークを、化合物アゴニストデータのために使用した。非直線曲線フィッティングを用いて、増強およびアゴニズムの屈曲点を調べ、化合物の最大応答を、アゴニスト(1mMグルタミン酸)の最大応答と比較して、各化合物の最大活性の%を提供した。さらに、各化合物の最大応答を、アゴニスト(300nMグルタミン酸)の閾値以下の応答と比較して、最大応答での増強倍数値を提供した。
【0075】
化合物の効力は、アゴニズムのEC50値(300nMグルタミン酸の不在下での)増強の「EC50値」(実際の屈曲点)(300nMグルタミン酸の存在下での)として報告されている。
【0076】
%Max_lmMグルタミン酸
=(化合物によって引き起こされた蛍光カウント)/(1nMグルタミン酸によって引き起こされた蛍光カウント)×100%
増強倍数
=(化合物によって引き起こされた蛍光カウント)/(300nMグルタミン酸によって引き起こされた蛍光カウント)
シナリオ2では、最後の3分間の間のピークを、アゴニスト用量反応曲線の点のために使用した。非直線曲線フィッティングを用いて0.66% DMSOまたは単一濃度の化合物各々の存在下でのアゴニストのEC50値を調べた。グルタミン酸+DMSOのEC50を、グルタミン酸+化合物のEC50によって除することによって、得られた値は、アゴニスト効力におけるシフトの倍数、従って、所与の濃度の化合物の増強の程度である。この値は、「グルタミン酸シフト」と呼ばれる
グルタミン酸シフト
=(0.66% DMSOの存在下でのグルタミン酸のEC50値)/(所与の濃度の化合物の存在下でのグルタミン酸のEC50値)
以下の実施例の化合物を調べ、前述のアッセイにおいて、mGluR5受容体の正のアロステリックモジュレーターとしての活性を有していた。特に、以下の実施例の化合物は、FLIPRアッセイにおけるmGluR5受容体の増強において活性を有しており、約10μM未満のEC50を有していた。実施例1−16、2−3、2−4、4−4、5−5、9−9、9−18および9−22の化合物を調べ、FLIPRアッセイにおけるmGluR5受容体の強化において活性を示し、概して、約1μM未満のEC50を有していた。実施例1−16、2−3、2−4、4−4、5−5、9−9、9−18および9−22の化合物は、10μMで少なくとも7×のグルタミン酸シフトを示した。このような結果は、mGluR5受容体活性の増強物質として使用するための化合物の内因性活性を示すものである。化合物について、治療的有用性を有するには、このような化合物は、FLIPRアッセイにおけるmGluR5受容体の強化において活性を有し、約10μM未満のEC50を有するはずであるということが予想される。
【表1】

【0077】
PCT特許公開WO2005/044797、WO2006/123249、WO2006/123255、WO2006/123257およびWO2008/056259に記載されるものなどのその他のピペリジニル化合物に関して、本化合物は、増大された経口バイオアベイラビリティーの、長い半減期、増大された代謝安定性および/または維持された効力などの予期しない特性を示す。例えば、本化合物は、ラットおよびイヌへの経口投与の際に比較的長い半減期を示した。
【0078】
mGluR5受容体を含めた代謝型グルタミン酸受容体は、さまざまな生物学的機能に関与している。このことは、ヒトまたはその他の種における種々の疾患過程におけるこれらの受容体の可能性ある役割を示唆した。例えば、Byrnesら,Neurotherapeutics,6,94〜107頁(2009年)参照のこと。本発明の化合物は、グルタミン酸機能障害と関連している種々の神経学的および精神医学的障害、例えば、以下の状態または疾患のうち1種以上:統合失調症または精神病、例えば、統合失調症(妄想性、解体型、緊張型、鑑別不能型または残遺型)、統合失調症様障害、統合失調感情障害、例えば、妄想型または抑うつ型のもの、妄想性障害、精神病性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、全身病状および物質誘発または薬物誘発による精神病性障害(例えば、アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、フェンシクリジン、ケタミンおよびその他の解離麻酔薬およびその他の覚醒剤によって誘発される精神病)、精神病精神病性障害、感情障害と関連している精神病、短期反応性精神病、統合失調性精神病、統合失調質(schizoid)または統合失調症型(schizotypal)の人格障害、妄想型の人格障害、統合失調質型の人格障害などの「統合失調症スペクトル」障害、統合失調症およびその他の精神病の陽性症状および陰性症状の両方を含む、精神病と関連している疾病(例えば、大うつ病、躁うつ病(双極性)障害、アルツハイマー病および外傷後ストレス症候群);症状として、注意および/または認知の欠乏を含む障害;認知症(アルツハイマー病、虚血、多発脳梗塞性認知症、外傷、頭蓋内腫瘍、大脳外傷、血管の問題または脳卒中、アルコール性認知症またはその他の薬物関連認知症、AIDS、HIV病、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病、出生時の低酸素症、その他の全身病状または物質乱用と関連している)をはじめとする認知障害;アルツハイマー病、多発脳梗塞性認知症、AIDS関連認知症および前頭側頭型認知症;せん妄、健忘障害または加齢関連認知機能低下;片頭痛(migraine)、片頭痛(migraine headache);急性疼痛、慢性疼痛、重篤な疼痛、難治性疼痛、神経因性疼痛、外傷後疼痛、骨および関節の疼痛(変形性関節症)、反復運動による疼痛、歯痛、癌性疼痛、筋筋膜痛(筋損傷、線維筋痛症)、周術期疼痛(一般外科、婦人科)、慢性疼痛、神経因性疼痛をはじめとする疼痛;三叉神経痛;筋萎縮性側索硬化症(ALS);心臓バイパス手術および移植後の大脳欠陥、脳卒中、大脳虚血、脊髄外傷、頭部外傷、出生時の低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷;脊髄損傷;神経再生;ニューロン炎症;急性ストレス障害、広場恐怖症、全般性不安障害、強迫性障害、パニック発作、パニック障害、外傷後ストレス障害、分離不安障害、社会恐怖症、特定恐怖症、物質誘発不安障害および全身病状による不安症をはじめとする不安障害;物質関連障害および嗜癖行動(物質誘発せん妄、持続性認知症、持続性健忘障害、精神病性障害または不安障害(anxiety disorde)、薬物依存症、アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、沈静剤、睡眠薬または抗不安薬をはじめとする物質からの耐性、依存または離脱を含む);肥満、神経性過食症および強迫性摂食障害;双極性障害、うつ病性障害、軽度、中程度または重篤なタイプの大うつ病性エピソード、躁病性または混合性気分エピソード、軽躁病性気分エピソード、非定型特徴を有するうつ病エピソード、憂鬱な特徴を有するうつ病エピソード、緊張型特徴を有するうつ病エピソード、分娩後発症、脳卒中後うつ病を伴う気分エピソードをはじめとする気分障害;大うつ病性障害、気分変調性障害、小うつ病性障害、月経前不快気分障害、統合失調症の精神病後うつ病性障害、妄想性障害または統合失調症、双極性障害、例えば、双極性I障害、双極性II障害、気分循環性障害、単極性うつ病、季節性うつ病および分娩後うつ病をはじめとするうつ病、月経前症候群(PMS)および月経前不快気分障害(PDD)、全身病状による気分障害および物質誘発気分障害などの精神病性障害に重ねられた大うつ病性障害;学習障害、例えば、読書障害、算数障害または書字表出障害、注意欠陥/多動性障害および加齢関連認知機能低下、自閉性障害をはじめとする広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)および行為障害をはじめとする注意障害;自閉症、うつ病、良性健忘症、小児学習障害および閉鎖性頭部外傷などのNMDA受容体関連障害;神経変性疾患または状態、大脳外傷と関連している神経変性;脳卒中と関連している神経変性、大脳梗塞と関連している神経変性、低血糖誘発性神経変性、てんかん発作と関連している神経変性、神経毒中毒症と関連している神経変性、多系統萎縮症;運動障害、例えば、無動症および無動症性硬直症候群(例えば、パーキンソン病、薬物誘発パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、皮質基底核変性症、パーキンソニズム−ALS認知症症候群および大脳基底核石灰化)、医薬誘発性パーキンソニズム(例えば、神経遮断薬誘発性パーキンソニズム、神経弛緩薬性悪性症候群、神経遮断薬誘発性急性ジストニア、神経遮断薬誘発性急性アカンジア、神経遮断薬誘発性遅発性ジスキネジアおよび医薬誘発性姿勢振戦)、ハンチントン病、ドーパミンアゴニスト療法と関連しているジスキネジア、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、てんかん、筋痙縮および筋痙直と関連している障害または振戦を含めた脱力;振戦(例えば、安静時振戦、姿勢振戦、企図振戦および本態性振戦)、遅発性ジスキネジア、下肢静止不能症候群、舞踏病(シデナム舞踏病、ハンチントン病、良性遺伝性舞踏病、神経有棘赤血球症、症候性舞踏病、薬物誘発舞踏病および片側バリズムなど)、ミオクローヌス(例えば、全般性ミオクローヌスおよび限局性ミオクローヌス)、チック(単純チック、複雑チックおよび症候性チックを含む)、ジストニア(特発性(iodiopathic)ジストニア、薬物誘発ジストニア、症候性ジストニアおよび発作性(paroxymal)ジストニアなどの全般性ジストニアおよび限局性ジストニア、例えば、眼瞼痙攣、顎口腔ジストニア、痙攣性発声障害、痙性斜頸、軸性ジストニア、ジストニア書痙および片麻痺性ジストニアを含む)]をはじめとするジスキネジア;尿失禁;眼の損傷、網膜症または眼の黄斑変性症、耳鳴症、聴力障害および損失ならびに脳水腫をはじめとする神経損傷;嘔吐;ならびに不眠症およびナルコレプシーをはじめとする睡眠障害のリスクの治療、予防、回復、制御または低減において有用性を有する。
【0079】
上記の障害の中でも、特に重要なものは、統合失調症、片頭痛、不安症(広場恐怖症、全般性不安障害(GAD)、強迫性障害(OCD)、パニック障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、社会恐怖症、その他の恐怖症、物質誘発不安障害を含む)、気分障害(双極性障害(I&II)、気分循環性障害、うつ病、気分変調性障害、大うつ病性障害、物質誘発気分障害を含む)、注意欠陥/多動性障害(ADD、ADHD)、摂食障害(神経性食欲不振症、神経性過食症を含む)、てんかん、認知障害(せん妄、物質誘発持続性せん妄、認知症、HIV病による認知症、ハンチントン病による認知症、パーキンソン病による認知症、アルツハイマー型の認知症、物質誘発持続性認知症、軽度認知機能障害を含む)、人格障害(強迫性人格障害、統合失調質(schizoid)、統合失調型(schizotypal)障害を含む)、物質関連障害(アルコール乱用、アルコール依存、アルコール離脱、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性精神病性障害、アンフェタミン依存、アンフェタミン離脱、コカイン依存、コカイン離脱、ニコチン依存、ニコチン離脱、オピオイド依存、オピオイド離脱を含む)の治療である。
【0080】
別の特定の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む統合失調症または精神病を治療する方法を提供する。特定の統合失調症または精神病病態として、妄想性、解体型、緊張型または鑑別不能型統合失調症および物質誘発性精神病性障害がある。目下のところ、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV−TR)(2000年,American Psychiatric Association,Washington DC)の第4版の編集が、妄想性、解体型、緊張型または鑑別不能型統合失調症および物質誘発性精神病性障害を含む診断ツールを提供している。本明細書において、用語「統合失調症または精神病」は、DSM−IV−TRに記載される精神障害のものの治療を含む。当業者ならば、精神障害の代替命名法、疾病分類学および分類体系があること、およびこれらの体系は医学的および科学的進歩とともに進化することは認識するであろう。従って、用語「統合失調症または精神病」とは、その他の診断的情報源において記載される同様の障害を含むことを意図する。
【0081】
従って、一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、片頭痛を治療する方法を提供する。診断ツールの利用可能な情報源の1種、Dorland’s Medical Dictionary(23版,1982年,W.B.Saunders Company,Philidelphia,PA)では、片頭痛は、易怒性、悪心、嘔吐、便秘または下痢および羞明を伴うことが多い、周期的な頭痛、通常、側頭の、片側性の症候群として定義される。本明細書において、用語「片頭痛」とは、易怒性、悪心、嘔吐、便秘または下痢、羞明およびその他の関連症状と関連している、両側頭の、片側性のこれらの周期的な頭痛を含む。当業者ならば、片頭痛を含めた神経学的および精神医学的障害の代替命名法、疾病分類学および分類体系があることおよびこれらの体系は医学的科学的進歩とともに進化するということは認識するであろう。
【0082】
別の特定の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、不安障害を治療する方法を提供する。特定の不安障害として、全般性不安障害、強迫性障害およびパニック発作がある。目下のところ、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV−TR)(2000年, American Psychiatric Association,Washington DC)の第4版の編集が、全般性不安障害、強迫性障害およびパニック発作である不安障害を含む診断ツールを提供している。本明細書において、用語「不安障害」は、DSM−IV−TRに記載される精神障害の治療を含む。当業者ならば、精神障害の代替命名法、疾病分類学および分類体系があること、およびこれらの体系は、医学的および科学的進歩とともに進化することは認識するであろう。従って、用語「不安障害」は、その他の診断的情報源において記載される同様の障害を含むものとする。
【0083】
別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、うつ病を治療する方法を提供する。目下のところ、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV)(1994年,American Psychiatric Association,Washington DC)の第4版の編集が、うつ病および関連障害を含む診断ツールを提供している。うつ病性障害として、例えば、単一エピソード性または再発性大うつ病性障害および気分変調性障害、抑うつ神経症および神経症性うつ病;食欲不振、体重減少、不眠症および早朝覚醒および精神運動発達遅滞を含めたメランコリー型うつ病;増大された食欲、過眠、精神運動性激越または易怒性、不安症および恐怖症を含めた非定型うつ病(または反応性うつ病);季節性感情障害;または双極性障害もしくは躁病性うつ病、例えば、双極性I障害、双極性II障害および気分循環性障害が挙げられる。本明細書において、用語「うつ病」とは、DSM−IVに記載されるうつ病障害および関連障害の治療を含む。
【0084】
別の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、てんかんを治療する方法を提供する。目下のところ、特発性、症候性および原因不明をはじめとする、いくつかの種類およびサブタイプのてんかんと関連する発作がある。これらのてんかん発作は、限局性(部分的)または全身性であり得る。それらはまた、単純または複雑であり得る。てんかんは、当技術分野において、Epilepsy:A comprehensive textbook. Jerome Engel,Jr.およびTimothy A. Pedley編(Lippincott−Raven,Philadelphia,1997年)などに記載されている。目下のところ、the International Classification of Diseases,第9版(ICD−9)が、てんかんおよび関連障害を含む診断ツールを提供している。これらとして、全身性非痙攣性てんかん、全身性痙攣性てんかん、小発作てんかん重積、大発作てんかん重積、意識障害を伴う部分てんかん、意識障害を伴わない部分てんかん、点頭てんかん、持続性部分てんかん、その他の形態のてんかん、他に規定のない限り、不特定のてんかんを提供している。本明細書において、用語「てんかん」は、これらすべての種類およびサブタイプを含む。当業者ならば、てんかんを含む神経学的および精神医学的障害の代替命名法、疾病分類学および分類体系があることおよびこれらの体系は、医学的科学的進歩とともに進化することは理解するであろう。
【0085】
特定の一実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、認知障害を治療する方法を提供する。特定の認知障害として、認知症、せん妄、健忘障害および加齢関連認知機能低下がある。目下のところ、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV−TR)(2000年,American Psychiatric Association,Washington DC)の第4版の編集が、認知症、せん妄、健忘障害および加齢関連認知機能低下をはじめとする認知障害を含む診断ツールを提供している。本明細書において、用語「認知障害」とは、DSM−IV−TRに記載される精神障害の治療を含む。当業者ならば、精神障害の代替命名法、疾病分類学および分類体系があることおよびこれらの体系は、医学的および科学的進歩とともに進化することは認識するであろう。従って、用語「認知障害」は、その他の診断的情報源において記載される同様の障害を含むことを意図する。
【0086】
別の特定の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、物質関連障害および嗜癖行動を治療する方法を提供する。特定の物質関連障害および嗜癖行動として、持続性認知症、持続性健忘障害、精神病性障害または物質乱用によって誘発される不安障害;および物質の乱用からの耐性、依存または離脱がある。目下のところ、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV−TR)(2000年, American Psychiatric Association,Washington DC)の第4版の編集が、持続性認知症、持続性健忘障害、精神病性障害または物質乱用によって誘発される不安障害;および物質の乱用からの耐性、依存または離脱を含む診断ツールを提供している。本明細書において、用語「物質関連障害および嗜癖行動」は、DSM−IV−TRに記載される精神障害の治療を含む。当業者ならば、精神障害の代替命名法、疾病分類学および分類体系があることおよびこれらの体系は、医学的および科学的進歩とともに進化するということを認識するであろう。従って、用語「物質関連障害および嗜癖行動」は、その他の診断的情報源において記載される同様の障害を含むことを意図する。
【0087】
別の特定の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、疼痛を治療する方法を提供する。特定の疼痛実施形態として、骨および関節の疼痛(変形性関節症)、反復運動による疼痛、歯痛、癌性疼痛、筋筋膜痛(筋損傷、線維筋痛症)、周術期疼痛(一般外科、婦人科)、慢性疼痛および神経因性疼痛がある。
【0088】
主題化合物は、本明細書に記載される疾患、障害および状態のリスクを予防、治療、制御、回復または低減するための方法においてさらに有用である。
【0089】
主題化合物は、mGluRアゴニストを含めたその他の薬剤と組み合わせて、上記の疾患、障害および状態のリスクを予防、治療、制御、回復または低減するための方法においてさらに有用である。
【0090】
主題化合物は、本明細書に記載される疾患、障害および状態のリスクを予防、治療、制御、回復または低減するための方法においてさらに有用である。主題化合物は、その他の薬剤と組み合わせて、上記の疾患、障害および状態のリスクを予防、治療、制御、回復または低減するための方法においてさらに有用である。本発明の化合物は、本発明の化合物またはその他の薬物が有用性を有し得る疾患または状態のリスクの治療、予防、制御、回復または低減において1種以上のその他の薬物と組み合わせて使用され得、これでは、一緒になった薬物の組合せは、いずれかの薬物単独よりも、安全または効果的である。このようなその他の薬物は、本発明の化合物と同時期に、または逐次、よく使用される経路によって、よく使用される量で投与され得る。本発明の化合物が、1種以上のその他の薬物と同時期に使用される場合には、このようなその他の薬物と、本発明の化合物を含有する単位投与形の医薬組成物が望ましいものであり得る。しかし、併用療法はまた、本発明の化合物および1種以上のその他の薬物が、種々の重複するスケジュールで投与される療法を含み得る。また、1種以上のその他の有効成分と組み合わせて使用される場合には、本発明の化合物およびその他の有効成分は、各々が単独で使用される場合よりも低い用量で使用され得るということも考慮される。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて、1種以上のその他の有効成分を含有するものを含む。上記の組合せは、1種のその他の活性化合物とだけでなく、2種以上のその他の活性化合物との本発明の化合物の組合せを含む。同様に、本発明の化合物は、本発明の化合物が有用である疾患または状態のリスクの予防、治療、制御、回復または低減において使用される、その他の薬物との組合せで使用され得る。このようなその他の薬物は、よく使用される経路によって、よく使用される量で、本発明の化合物と同時期に、または逐次投与され得る。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて、1種以上のその他の有効成分を含有するものも含む。本発明の化合物と第2の有効成分の重量比は、各成分の有効な用量に応じて変わり得る。通常、各々の有効な用量が使用される。従って、例えば、本発明の化合物が、別の薬剤と組み合わされる場合には、本発明の化合物とその他の薬剤の重量比は、通常、約1000:1〜約1:1000、例えば、約200:1〜約1:200の範囲となる。本発明の化合物およびその他の有効成分の組合せはまた、通常、上記の範囲内となるが、いずれの場合にも、各有効成分の有効用量が使用されるべきである。
【0091】
このような組合せでは、本発明の化合物およびその他の活性薬剤は、別個に投与してもよく、同時に投与してもよい。さらに、一成分の投与はその他の薬剤の投与に先立っても、同時であっても、それに続いてもよい。
【0092】
従って、主題化合物は、単独で使用してもよく、主題適応症において有益であるとわかっているその他の薬剤と、または本発明の化合物の効力、安全性、利便性を増大するか、不要な副作用もしくは毒性を低減するいずれかである、受容体または酵素に影響を及ぼすその他の薬剤と組み合わせて使用してもよい。主題化合物およびその他の薬剤は、併用療法または固定された組合せのいずれで同時投与してもよい。
【0093】
一実施形態では、主題化合物は、抗アルツハイマー剤、βセクレターゼ阻害剤、γセクレターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、イブプロフェンをはじめとするNSAID、ビタミンEおよび抗アミロイド抗体と組み合わせて使用してよい。
【0094】
別の実施形態では、主題化合物は、沈静剤、睡眠薬、抗不安薬、抗精神病薬、抗不安症薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、マイナートランキライザー、メラトニンアゴニストおよびアンタゴニスト、メラトネルジック(melatonergic)剤、ベンゾジアゼピン、バルツール酸塩、5HT−2アンタゴニストなど、例えば、アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド(alonimid)、アルプラゾラム、アミスルプリド、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アリピプラゾール、非定型抗精神病薬、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスプリオン(busprione)、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプリド、カルボクロラール、クロラールベタイン、クロラール水和物、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼプ酸、クロルジアゼポキシド、クロレタート、クロルプロマジン、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デキシクラモール、ジアゼパム、ジクロラールフェナゾン、ジバルプロエクス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、エスタゾラム、エトクロルビノール、エトミデート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、ホサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロカロン、メラトニン、メホバルビタール、メプロバメート、メタカロン、ミダフルル、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバマート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オランザピン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォール、プロトリプチリン、クアゼパム、クエチアピン、レクラゼパム、リスペリドン、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクロン(suproclone)、テマゼパム、チオリダジン、チオチキセン、トラカゾレート、トラニルシプロマイン(tranylcypromaine)、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド(tricetamide)、トリクロホス、トリフロペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ジプラシドン、ゾラゼパム、ゾルピデムおよびそれらの塩、およびそれらの組合せなどと組み合わせて使用してよく、主題化合物は、光療法または電気的刺激を用いるような物理的方法の使用と同時に投与してもよい。
【0095】
別の実施形態では、主題化合物を、レボドパ(カルビドパまたはベンセラジドなどの選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤とともに、または伴わずに)、ビペリデン(場合により、その塩酸塩または乳酸塩として)およびトリヘキシフェニジル(ベンゾヘキソール)ヒドロクロリドなどの抗コリン薬、エンタカポンなどのCOMT阻害剤、MOA−B阻害剤、抗酸化物質、A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、抗コリン薬、NMDA受容体アンタゴニスト、セロトニン受容体アンタゴニストおよびアレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリドおよびプラミペキソールなどのドーパミン受容体アゴニストと組み合わせて使用してもよい。当然のことではあるが、ドーパミンアゴニストは、医薬上許容される塩の形態、例えば、臭化水素酸アレンテモール、メシル酸ブロモクリプチン、メシル酸フェノルドパム、塩酸ナキサゴリドおよびメシル酸ペルゴリドであり得る。リスリドおよびプラミペキソールは、非塩の形態でよく使用される。
【0096】
別の実施形態では、主題化合物は、フェノチアジン、チオキサンテン、複素環式ジベンゾアゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジンおよびインドロンクラスの神経遮断薬に由来する化合物と組み合わせてと組み合わせて使用され得る。フェノチアジンの適した例として、クロルプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジンおよびトリフロペラジンが挙げられる。チオキサンテンの適した例として、クロルプロチキセンおよびチオチキセンが挙げられる。ジベンゾアゼピンの一例として、クロザピンがある。ブチロフェノンの一例として、ハロペリドールがある。ジフェニルブチルピペリジンの一例として、ピモジドがある。インドロンの一例として、モリンドロンがある。その他の神経遮断薬として、ロキサピン、スルピリドおよびリスペリドンが挙げられる。当然のことではあるが、主題化合物と組み合わせて使用される場合、神経遮断薬は、医薬上許容される塩の形態、例えば、塩酸クロルプロマジン、ベシル酸メソリダジン、塩酸チオリダジン、マレイン酸アセトフェナジン、塩酸フルフェナジン、フルルフェナジンエナタート(flurphenazine enathate)、デカン酸フルフェナジン、トリフロペラジンヒドロクロリド、チオチキセンヒドロクロリド、デカン酸ハロペリドール、コハク酸ロキサピンおよび塩酸モリンドンであり得る。ペルフェナジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジドおよびリスペリドンは、非塩形態でよく使用される。従って、主題化合物はアセトフェナジン、アレンテモール、アリピプラゾール、アミスルプリド、ベンゾヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドパ、ベンセラジドととものレボドパ、カルビドパととものレボドパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドロン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、クエチアピン、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシフェニジル、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジンまたはジプラシドンと組み合わせて使用してよい。
【0097】
別の実施形態では、主題化合物は、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(第三アミン三環系抗うつ薬および第二アミン三環系抗うつ薬を含む)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレノ受容体アンタゴニスト、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、非定型抗うつ薬、ベンゾジアゼピン、5−HTIAアゴニストまたはアンタゴニスト、特に、5−HTIA部分アゴニストおよびコルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニストを含めた抗うつ薬または抗不安症薬と組み合わせて使用してよい。特定の薬剤として、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミンおよびトリミプラミン;アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびプロトリプチリン、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリン;イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミンおよびセレギリン;モクロベミド:ベンラファキシン;デュロキセチン;アプレピタント;ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドンおよびビロキサジン;アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼパート(chlorazepate)、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパムおよびプラゼパム;ブスピロン、フレシノキサン、ゲピロンおよびイプサピロン並びにその医薬上許容される塩が挙げられる。
【0098】
本明細書において、用語「組成物」とは、指定の成分を所定の量または割合で含む生成物ならびに指定の量の指定の成分の組合せに、直接的または間接的に起因する任意の生成物を包含するよう意図される。この用語は、医薬組成物との関連では、1種以上の有効成分および不活性成分を含む任意選択の担体を含む生成物ならびに任意の2種以上の成分の組合せ、複合体形成もしくは凝集に、または1種以上の成分の解離に、または1種以上の成分のその他の種類の反応もしくは相互作用に直接的または間接的に起因する任意の生成物を包含するよう意図される。通常、医薬組成物は、有効成分を、液体担体または微粉化された固体単体または両方と均一および密接に関連させること、次いで、必要に応じて、所望の製剤に生成物を成形することによって調製される。医薬組成物では、活性な目的化合物は、疾患の過程または状態に対して所望の効果を生じるのに十分な量で含まれる。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および医薬上許容される担体を混合することによって製造された任意の組成物を包含する。
【0099】
本発明の化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、大槽内注射もしくは注入、皮下注射または、植込錠)によって、吸入噴霧、鼻腔、経膣、直腸、舌下または局所経路の投与によって投与してもよく、各投与経路に適当な従来の非毒性の医薬上許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する適した投与単位製剤中、単独でまたは一緒に製剤してもよい。本発明の化合物は、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどの温血動物の治療に加え、ヒトにおいて使用するために有効である。
【0100】
本発明の化合物の投与のための医薬組成物は、投与単位形で提示されることが好都合であり得、薬学の技術分野において周知の方法のいずれによって調製してもよい。すべての方法は、有効成分を1種以上の補助成分を構成する担体と関連させるステップを含む。通常、医薬組成物は、有効成分を、液体担体または微粉化された固体単体または両方と均一および密接に関連させること、次いで、必要に応じて、所望の製剤に生成物を成形することによって調製される。医薬組成物では、活性な目的化合物は、疾患の過程または状態に対して所望の効果を生じるのに十分な量で含まれる。本明細書において、用語「組成物」は、指定成分を指定の量で含む生成物ならびに指定の量の指定の成分の組合せに直接的または間接的に起因する任意の生成物を包含することを意図する。
【0101】
経口使用用に意図される医薬組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野において公知の任意の方法に従って調製してよく、このような組成物は、製薬上洗練された、美味な製剤を提供するよう、甘味剤、矯味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1種以上の薬剤を含有し得る。錠剤は、錠剤の製造に適している非毒性の医薬上許容される賦形剤との混合物中に有効成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性の希釈剤;造粒剤および崩壊剤、例えば、コーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアラビアゴムならびに滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。錠剤は、被覆されていなくてもよく、または消化管における崩壊および吸収を遅延するために公知の技術によって被覆され、それによって、長期間にわたって持続的作用を提供してもよい。経口使用用組成物はまた、有効成分が不活性の固体希釈液、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合されているハードゼラチンカプセル剤として、あるいは、有効成分が水またはオイル媒体、例えば、ピーナッツオイル、流動パラフィンもしくはオリーブオイルと混合されているソフトゼラチンカプセル剤として提供され得る。
【0102】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に活性物質を含有する。油性懸濁液は、有効成分を適したオイルに懸濁することによって製剤され得る。水中油エマルジョンもまた使用され得る。水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性散剤および顆粒剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤および1種以上の保存料との混合物中に有効成分を提供する。
【0103】
本化合物の医薬組成物は、滅菌注射用水性または油性懸濁液の形態であり得る。本発明の化合物はまた、直腸投与用の坐剤の形態で投与してもよい。局所使用には、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液などを使用してもよい。本発明の化合物はまた、吸入によって投与されるために製剤され得る。本発明の化合物はまた、当技術分野で公知の方法によって経皮パッチによって投与されてもよい。
【0104】
本発明の医薬組成物および方法は、上記の病的状態の治療において通常適用される本明細書に記載されるようなその他の治療的に活性な化合物をさらに含み得る。
【0105】
主題化合物は、本明細書に記載される疾患、障害および状態のリスクの予防、治療、制御、回復または低減する方法においてさらに有用である。本発明の組成物中の有効成分の投与形は変わり得るが、有効成分の量が、適した投与形が得られるようなものである必要がある。有効成分は、最適医薬効力を提供する投与形でこのような治療を必要とする患者(動物およびヒト)に投与してもよい。選択される投与形は、所望の治療効果に、投与経路に、また、治療期間に応じて変わる。用量は、性質および疾患の重篤度、患者の体重、その後に患者によって従われる指定の食事、併用薬物治療および当業者が認識するであろうその他の因子に応じて患者毎に変わる。通常、毎日、0.0001〜30mg/kgの体重の間の投与量レベルが、患者、例えば、ヒトおよび高齢のヒトに投与される。投与量範囲は、通常、単回用量または複数回用量で投与される、1日あたり、患者あたり、約0.5mg〜5.0gである。一実施形態では、投与量範囲は、1日あたり、患者あたり、約0.5mg〜2.5mgとなり;別の実施形態では、1日あたり、患者あたり、約0.5mg〜1g;さらに別の実施形態では、1日あたり、患者あたり、約5mg〜500mg;さらに別の実施形態では、1日あたり、患者あたり、約5mg〜100mgとなる。本発明の医薬組成物は、例えば、約0.5mg〜800mgの有効成分を含む、または約1mg〜400mgの有効成分を含む固体投与量製剤で提供され得る。医薬組成物は、約1mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mgまたは250mgの有効成分を含む固体投与量製剤で提供され得る。経口投与用には、本組成物は、投与量の症候性調整のために1.0〜1000ミリグラムの有効成分、例えば、1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900および1000ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の形態で、治療される患者に提供され得る。化合物は、1日あたり1〜4回、例えば、1日あたり1回または2回の投与計画で投与され得る。
【0106】
グルタミン酸機能障害と関連する神経学的および精神医学的障害のリスクまたは本発明の化合物が指示されるその他の疾患を、治療、予防、制御、回復または低減する場合には、本発明の化合物が、好ましくは、単回1日用量で、または1日に2回〜6回の分割用量で、または持続放出形態で与えられる、動物の体重1キログラムあたり約0.1ミリグラム〜約100ミリグラムの1日投与量で投与される場合に、通常、満足な結果が得られる。ほとんどの大型哺乳類には、合計1日投与量は、約1.0ミリグラム〜約5000ミリグラム、好ましくは、約1ミリグラム〜約1000ミリグラムである。70kgの成人ヒトの場合には、合計1日用量は、通常、約7ミリグラム〜約800ミリグラムの範囲となる。この投与計画は、最適治療応答を提供するよう調整され得る。
【0107】
しかし、任意の特定の患者のための指定の用量レベルおよび投与量の頻度は、変わり得、使用される特定の化合物の活性、代謝安定性およびその化合物の作用の長さ、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与の様式および時間、排出速度、薬物の組合せを、特定の状態の重篤度および宿主が受けている治療をはじめとする種々の因子に応じて変わることは理解されよう。
【0108】
本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法が、以下のスキームおよび実施例に例示されている。出発物質および必要な中間体は、いくつかの場合には、市販されており、文献の手順に従って、または本明細書に例示されるように調製することもできる。本発明の化合物は、文献において知られている、または試験手順において例示されるその他の標準的な操作に加えて、以下のスキームにおいて示される反応を使用することによって調製できる。スキーム中に示される置換基番号付けは、請求項において使用されるものと必ずしも対応せず、明確にするために、本明細書において上記の定義下で複数の置換が可能である場合に、単一の置換が化合物と結合されて示されていることが多い。本発明の化合物を製造するために使用される反応は、文献において知られ得る、または試験手順において例示され得るようなエステル加水分解、保護基の切断などのその他の標準操作に加えて、本明細書においてスキームおよび実施例に示される反応を使用することによって調製される。出発物質は、当技術分野で公知の、または本明細書において例示されるような手順に従って製造される。以下の略語が本明細書において使用される:Me:メチル;Et:エチル;t−Bu:tert−ブチル;Ar:アリル;Ph:フェニル;Bn:ベンジル;Ac:アセチル;THF:テトラヒドロフラン;DIEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン;DMSO:ジメチルスルホキシド;EDC:N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロリド;HOBT:ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物;Boc:tert−ブチルオキシカルボニル;EtN:トリエチルアミン;EtOAc:酢酸エチル;CHCl:ジクロロメタン;CHOH:メタノール;COH:エタノール;CHCN:アセトニトリル;BSA:ウシ血清アルブミン;TFA:トリフルオロ酢酸;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;MTBE:メチルt−ブチルエーテル;SOCl:塩化チオニル;CDI:カルボニルジイミダゾール;RT:室温;HPLC:高性能液体クロマトグラフィー;TEMPO:2,2,6,6,−テトラメチル−1−ピペリジン1−オキシル;HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,’,’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;バージェス試薬:メトキシカルボニルスルファモイル)トリメチルアンモニウム内部塩。本発明の化合物は、種々の様式で調製できる。
【0109】
いくつかの場合には、最終生成物は、例えば、置換基の操作によってさらに修飾され得る。これらの操作として、それだけには限らないが、当業者によく知られている、還元、酸化、アルキル化、アシル化および加水分解反応が挙げられる。いくつかの場合には、前述の反応スキームを実施する順序は、反応を容易にするよう、または不要な反応生成物を避けるよう変えてもよい。以下の実施例は、反応がより十分に理解されるように提供される。これらの実施例は、単に例示的なものであって、決して、本発明を制限すると解釈されるべきではない。
【0110】
反応スキームA
【化15】

【0111】
反応スキームAに示されるように、ピリジン環上の置換されたニコチン酸のエステルが還元を受けて、A−1などの置換されたピペリジン−3−カルボキシラートエステルを、シス/トランス異性体の混合物として提供できる。ピペリジン窒素を保護した後、カルボン酸A−3への加水分解およびアンモニアとのカップリングなどの標準的な方法論を使用してエステルを第一アミドA−4変換する。第一アミドのニトリルへの脱水は、種々の周知の条件下で達成される。A−4の、ニトリルA−5への脱水は、ClaremonおよびPhillips,Tetrahedron Lett,1988年,29(18),2155〜2158頁に記載される方法論に従って、バージェス試薬を用いて進行する。ヒドロキシルアミンを用いる反応によって、ヒドロキシアミジンA−6が生じ、これを酸塩化物を用いる反応などの標準条件下でアシル化するか、またはカルボン酸およびアミドカップリング試薬との反応によって、アシルヒドロキシアミジンA−7が得られる。A−7の溶液を加熱すると、オキサジアゾールA−8への環化が達成される。同じ変換はまた、Gangloffら,Tetrahedron Lett. 2001年,42,1441〜1443頁に報告される方法論に従って、THFなどの溶媒中、TBAFを使用して達成される。Boc保護されたA−8の場合には、ピペリジン窒素の脱保護は、酸を用いて達成され、遊離アミンA−9が得られる。後者は、塩基の存在下での酸塩化物を用いる反応などの標準的なアシル化剤および条件を使用してアシル化されて、カルボキサミドA−10が得られる。あるいは、A−9は、HOBTとともにEDCなどのアミドカップリング試薬を使用してカルボン酸にカップリングされて、アミドA−10が得られる。スキームAでは、第1のステップにおいてピリジンの還元の際に生じたシス/トランス異性体の分離は、通常、A−1からA−10の順序で、化合物のシリカゲルカラムクロマトグラフィーまたは逆相HPLCによって達成される。ラセミシス生成物は、キラルクロマトグラフィーによってさらに分離され、個々のシス鏡像異性体A−11およびA−12が得られる。適当な合成中間体または生成物のジアステレオマー塩の結晶化などの、キラル分割を達成するためのその他の方法も使用してよい。
【0112】
反応スキームB
【化16】

【0113】
反応スキームBに示されるように、キラルヒドロキシメチルピペリジン中間体B−1(PCT公開WO2008/147518、2008年12月4日に記載されるように調製された)を、対応するカルボン酸B−2に酸化し、続いて、メチルクロロホルマートおよび塩基を用い、続いて、最初はRTで、次いで、還流でのメタノール中でのナトリウムメトキシドによる連続処理でB−3にエピマー化する。B−3を、スキームAに概説される化学を使用して最終の所望の生成物に変換する。
【0114】
反応スキームC
【化17】

【0115】
反応スキームCに示されるように、ヒドロキシアミジンC−1を、HOBTとともにEDCなどのアミドカップリング手順を使用し、ピペリジンカルボン酸B−3によってアシル化すると、C−2が得られる。C−2の環化は、熱条件またはTBAF触媒のいずれかを使用して反応スキームAについて先に記載されるように達成される。最終生成物C−5への変換は、反応スキームAに記載される化学を使用して達成される。
【実施例1】
【0116】
【化18】

【0117】
メチルβ−メチルピペリジン−S−カルボキシラート(1−2)
メチル6−メチルニコチナート1−1(6g、39.7mmol)を、CHOH(100mL)に溶解し、濃HCl溶液(4mL)を加えた。得られた溶液を脱酸化し、その後、炭素上10%パラジウム(2.112g、1.985mmol)を添加し、反応混合物を49psi水素下で24時間撹拌した。反応混合物から水素をパージし、濾過によって触媒を除去した。有機溶液を濃縮し、1−2を次のステップにおいて直接的に使用した。
【0118】
1−t−ブチルトランス−3−メチル6−メチルピペリジン−1,3−ジカルボキシラート(1−4)および1−t−ブチルシス−3−メチル6−メチルピペリジン−1,3−ジカルボキシラート(1−5)
CHCl(50mL)中の1−2(2.02g、12.85mmol)の溶液に、ジ−t−ブチルジカルボナート(2.80g、12.85mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(0.157g、1.285mmol)を加えた。得られた混合物を一晩撹拌した。反応混合物をNaHCO溶液、ブラインを用いて洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮すると、生成物1−3がシス/トランス生成物の混合物として得られる。逆相HPLC(C−18、100×3mmカラム、HO(0.1% TFA)中、5%から95% CHCNを用いる勾配溶出)によって、トランスおよびシス異性体を分離すると、トランス−1−t−ブチル3−メチル6−メチルピペリジン−1,3−ジカルボキシラート1−4およびシス−1−t−ブチル3−メチル6−メチルピペリジン−1,3−ジカルボキシラート1−5が得られる。
【0119】
シス−1−(t−ブトキシカルボニル)−6−メチルピペリジン−3−カルボン酸(1−6)
CHOH(20mL)中の1−5(800mg、2.95mmol)の溶液に、水酸化カリウム(331mg、5.90mmol)を加え、得られた混合物を60℃で3時間撹拌した。反応物を−45℃に冷却し、メタノール(10mL)中の濃HCl(0.491ml、5.90mmol)を滴加した。得られた混合物を濃縮すると、1−6が得られ、これを次のステップにおいて直接的に使用した。
【0120】
t−ブチルシス−5−(アミノカルボニル)−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(1−7)
DMF(8mL)中の、1−6(717mg、2.95mmol)の溶液に、DIEA(1.120mL、6.43mmol)、HOBT(542mg、3.54mmol)およびEDC(678mg、3.54mmol)を加えた。得られた溶液を10分間撹拌し、その後、塩化アンモニウム(315mg、5.89mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。水を加え、混合物をEtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製すると(CHCl中、0〜5% CHOHを用いて溶出する、80gカラム)、1−7が得られた。
【0121】
t−ブチルシス−5−シアノ−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(1−8)
窒素下、CHCl(50mL)中の、1−7(714mg、2.95mmol)の溶液に、バージェス試薬(2.107g、8.84mmol)を3等分で、1時間にわたって加えた。反応物を2時間撹拌し、次いで、CHCl(50mL)で希釈し、ブライン(2×25mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の、0〜30% EtOAcを用いて溶出する80gカラム)によって精製すると、1−8が得られた。
【0122】
t−ブチルシス−5−[アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(1−9)
OH(40mL)中の、1−8(550mg、2.452mmol)およびEtN(0.502ml、3.68mmol)の撹拌溶液に、ヒドロキシルアミンヒドロクロリド(256mg、3.68mmol)を加えた。反応混合物を一晩還流した。溶媒を真空蒸発させ、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl中の0〜5% CHOHを用いて溶出する80gカラム)によって精製すると、1−9が得られた。
【0123】
t−ブチルシス−5−(アミノ{[(4−フルオロベンゾイル)オキシ]イミノ}メチル)−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(1−10)
CHCl(40mL)中の、1−9(480mg、1.865mmol)の撹拌溶液を0℃に冷却した。反応物に4−フルオロベンゾイルクロリド(0.224ml、1.865mmol)およびDIEA(0.325ml、1.865mmol)を加えた。反応物を室温に加温させ、1時間撹拌し、次いで、CHCl(10mL)を用いて希釈し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、シリカゲル(CHCl中、0〜5% CHOHを用いて溶出する40gカラム)でのクロマトグラフィーに付すと、1−10が得られた。
【0124】
t−ブチルシス−5−[5−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(1−11)
THF(20mL)中、1−11(480mg、1.265mmol)の撹拌溶液に、TBAF(798mg、2.53mmol)を加え、反応混合物を40℃に2時間加熱した。THFを蒸発させ、粗生成物を、シリカゲル(CHCl中、0〜5% CHOHを用いて溶出する40gカラム)でのクロマトグラフィーに付すと、1−11が得られた。
【0125】
(2S,5R)−5−[5−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン(1−13)および(2R,5S)−5−[5−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン(1−14)
1:1 TFA/CHC1(4mL)中の、1−11(380mg、1.051mmol)の溶液を室温で30分間撹拌した。TFA/CHC1を真空除去し、粗ラセミ生成物1−12を、キラルカラムクロマトグラフィーによって分離すると、1−13および1−14が得られた。
【0126】
(2S,5R)−1−(4−フルオロベンゾイル)−5−[5−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン(1−15)
−15℃で、CHCl中、1−13(50mg、0.191mmol)の撹拌溶液に、4−フルオロベンゾイルクロリド(0.034mL、0.287mmol)およびDIEA(0.050mL、0.287mmol)を加え、反応混合物を室温に加温させた。粗生成物をシリカゲルカラムに直接ロードし、クロマトグラフ(CHCl中、0〜5% CHOHを用いて溶出する12gカラム)に付した。所望の生成物を含有する画分を濃縮し、逆相HPLCによって精製すると、1−15が得られた。
【0127】
(2R,5S)−1−(4−フルオロベンゾイル)−5−[5−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン(1−16)
−15℃で、CHCl(4mL)中、1−14(50mg、0.191mmol)の撹拌溶液に、4−フルオロベンゾイルクロリド(0.034ml、0.287mmol)およびDIEA(0.050ml、0.287mmol)を加え、反応混合物を室温に加温させた。粗生成物をシリカゲルカラムに直接ロードし、クロマトグラフ(CHCl中、0〜5% CHOHを用いて溶出する12gカラム)に付した。所望の生成物を含有する画分を濃縮し、逆相HPLCによって精製すると、1−16が得られた。MS m/z(M+H)384.1445実測値、383.1445必要値。
【実施例2】
【0128】
【化19】

【0129】
(2S.5R)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−1−(4−フルオロベンゾイル)−2−メチルピペリジン(2−3)および(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−1−(4−フルオロベンゾイル)−2−メチルピペリジン(2−4)
(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン(2−1)を、4−フルオロ安息香酸の代わりに4−クロロピロールカルボン酸(調製:WO2006/123257、2006年11月23日)を使用し、実施例1に従って調製した。化合物2−1(50mg、0.187mmol)を、CHCl(10mL)に溶解した。得られた撹拌溶液を−15℃に冷却し、4−フルオロベンゾイルクロリド(0.027ml、0.225mmol)およびDIEA(0.039ml、0.225mmol)を加えた。反応混合物を室温に加温させ、1時間撹拌した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(12gカラム、CHCl中、0〜5% CHOH)、続いて、逆相HPLCによって精製した。鏡像異性体をキラルクロマトグラフィーによって分離すると、2−3および2−4が得られた。2−3:MS m/z(M+H)389.1186実測値、389.1102必要値。2−4:MS m/z(M+H)389.1182実測値、389.1102必要値。
【実施例3】
【0130】
【化20】

【0131】
(3R,6R)−1−(t−ブトキシカルボニル)−6−メチルピペリジン−3−カルボン酸(3−2)
t−ブチル(2R,5R)−5−(ヒドロキシメチル)−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(3−1)(15.29g、66.7mmol)、TEMPO(1.04g、6.67mmol)、CHCN(350ml)およびリン酸ナトリウムバッファー(250ml、pH=6.7)を、35℃に加熱する。水中の塩化ナトリウム(12.06g、133mmol)の溶液(70%)および水(35mL)中、次亜塩素酸ナトリウム(0.752mL、1.334mmol)を同時に、2時間かけて加えた。混合物を、反応が完了するまで35℃で撹拌し、次いで、室温に冷却した。CHCNのほとんどを真空除去し、残部をEtOAcを用いて抽出した。有機層を飽和NaSOおよびブラインを用いて洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮すると、3−2が得られた。
【0132】
(3R,6R)−1−(t−ブトキシカルボニル)−6−メチルピペリジン−3−カルボン酸(3−3)
中間体3−2を、THF(500mL)に溶解し、トリエチルアミン(10.70ml、77mmol)を加え、得られた混合物を−4℃に冷却した。メチルクロロホルマート(5.91mL、77mmol)を加えた。反応混合物を室温に加温させ、白色固体が形成された。固体を濾過し、母液を濃縮した。これを窒素下、CHOH(500mL)に溶解した。ナトリウムメトキシド(52.7g、230mmol)を加え、得られた溶液を72時間撹拌した。反応混合物を還流に6時間加熱し、次いで、濃縮した。混合物をCHOH(20mL)に懸濁し、さらに6時間還流し、濃縮した。粗生成物を、水(20mL)に溶解し、氷、続いて1N HClを加えた。形成された固体を濾過によって回収し、乾燥させると、3−3および3−2の4:1混合物が得られた。
【0133】
t−ブチル5−(アミノカルボニル)−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(3−4)
DMF(50mL)中、4:1の3−3および3−2(11g、45.2mmol)の溶液に、DIEA(15.75mL、90mmol)、HOBT(7.62g、49.7mmol)およびEDC(9.53g、49.7mmol)を加えた。得られた溶液を10分間撹拌し、次いで、アンモニウムクロリド(7.26g、136mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。ブライン(150mL)を加え、混合物をEtOAc(2×40mL)を用いて抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物、t−ブチル(2R,5S)−5−(アミノカルボニル)−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラートおよびt−ブチル(2R,5R)−5−(アミノカルボニル)−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラートの混合物を、次のステップにおいて使用した。
【0134】
t−ブチル(2R,5S)−5−シアノ−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(3−5)
CHCl(500mL)中の、3−4およびt−ブチル(2R,5R)−5−(アミノカルボニル)−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(12.89g、53.2mmol)の溶液に、窒素下、バージェス試薬(25.4g、106mmol)を5等分で1時間かけて加えた。反応物を一晩撹拌し、次いで、CHCl(50mL)を用いて希釈し、ブライン(2×25mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中、0〜30% EtOAcを用いて溶出する330gカラム)によって精製すると、3−5が得られた。
【0135】
t−ブチル(2R,5S)−5−[(Z,E)−アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(3−6)
OH(160mL)中の、3−5(5.66g、25.2mmol)およびEtN(3.79ml、27.8mmol)の撹拌溶液に、ヒドロキシルアミンヒドロクロリド(1.929g、27.8mmol)を加えた。反応混合物を密閉し80℃で4時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、粗生成物をHO/COH(90/10、100mL)に溶解し、一晩静置した。得られた結晶を濾過すると、3−6が得られた。
【0136】
t−ブチル(2R,5S)−5−[(Z)−アミノ({[(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)カルボニル]オキシ}イミノ)メチル]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(3−7)
4−クロロピロール−2−カルボン酸(1.244g、8.55mmol)をDMF(15mL)に溶解した。この溶液に、EDC(1.788g、9.33mmol)、HOBT(1.428g、9.33mmol)およびトリエチルアミン(1.272mL、9.33mmol)を加えた。得られた溶液を10分間撹拌し、3−6(2.0g、7.77mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、水で希釈した。EtOAcで抽出し、有機相を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(120gカラム、CHCl中、0〜10% CHOH)によって精製すると、3−7が得られた。
【0137】
t−ブチル(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(3−8)
中間体3−7(2.9g、7.54mmol)をトルエン(5mL)に溶解した。反応混合物を120℃で一晩撹拌した。溶媒を真空除去すると、3−8が得られた。
【0138】
(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2−メチルピペリジン(3−9)
中間体3−8(2.5g、6.81mmol)を、CHCl(10mL)に溶解し、TFA(5mL)を加えた。得られた混合物を30分間撹拌した。反応物を真空濃縮し、粗生成物をCHClに溶解し、NaHCO水溶液およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(40gカラム、CHCl中、0〜10% CHOH)によって精製すると、3−9が得られた。
【0139】
(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−1−(4−フルオロベンゾイル)−2−メチルピペリジン(3−10)
中間体3−9(330mg、1.237mmol)をCHCl(20mL)に溶解した。得られた溶液を−15℃に冷却し、4−フルオロベンゾイルクロリド(0.178ml、1.485mmol)およびDIEA(0.259mL、1.485mmol)を加えた。反応混合物を室温に加温させ、1時間撹拌した。反応物を濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(40gカラム、CHCl中、0〜5% CHOH)によって精製し、逆相HPLC(C−18、100×30mmカラム、HO(0.1% TFA)中、5%〜95% CHCNを用いる勾配溶出)によってさらに精製すると、3−10(2−4)が得られた。MS m/z(M+H)389.116実測値、389.1175必要値。
【実施例4】
【0140】
【化21】

【0141】
t−ブチル(2R,5S)−5−[(Z,E)−アミノ({[(5−フルオロピリジン−2−イル)カルボニル]オキシ}イミノ)メチル]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(4−1)
DMF(10mLl)中で、中間体3−6(274mg、1.063mmol)および5−フルオロピリジン−2−カルボン酸(150mg、1.063mmol)を合わせ、これに、EtN(0.319mL、2.339mmol)およびHATU(485mg、1.276mmol)を加えた。得られた混合物を5分間撹拌した。反応混合物を水(100mL)に注ぎ入れ、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機相を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をCHCNに溶解し、室温で静置させた。形成された結晶を濾過によって回収し、水で洗浄し、乾燥させると、4−1が得られ、これを次のステップにおいて直接的に使用した。
【0142】
t−ブチル(2R,5S)−5−[5−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(4−2)
中間体4−1(400mg、1.051mmol)を、3Åモレキュラーシーブス(2g)とともにトルエン(60mL)に加えた。得られた混合物を115℃で6時間撹拌した。反応混合物を濾過し、フィルターケーキをEtOAcで洗浄した。濾液を濃縮すると、粗生成物が得られ、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(40gカラム、CHCl中、0〜5% CHOH)によって精製すると、4−2が得られた。
【0143】
5−フルオロ−2−{3−[(3S,6R)−6−メチルピペリジン−3−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}ピリジン(4−3)
中間体4−2(298mg、0.822mmol)をCHCl(5mL)に溶解し、CHCl(2mL)中のTFA(1mL)を加えた。得られた混合物を室温で一晩静置させた。反応物を濃縮すると、粗生成物4−3が得られた。
【0144】
5−フルオロ−2−{3−[(3S,6R)−1−(4−フルオロベンゾイル)−6−メチルピペリジン−3−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}ピリジン(4−4)
中間体4−3(370mg、0.811mmol)およびEtN(0.332mL、2.433mmol)をCHCl(20mLl)と合わせ、0℃に冷却した。上記の溶液にCHCl(2mL)中、4−フルオロベンゾイルクロリド(0.117mL、0.973mmol)を加え、室温に加温させ、次いで、30分間撹拌した。反応物を濃縮し、粗生成物をCHCN/水に溶解し、逆相HPLC(C−18、100×30mmカラム、HO(0.1% TFA)中、5%〜95% CHCNを用いる勾配溶出)によって精製すると、4−4が得られた。MS m/z(M+H)385.1475実測値、385.1398必要値。
【実施例5】
【0145】
【化22】

【0146】
t−ブチル(2R,5RS)−5−[({[(1−Z,E)−アミノ(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)メチレン]アミノ}オキシ)カルボニル]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(5−2)
中間体3−3(3.21g、13.19mmol)をDMF(20mL)に溶解し、これにDIEA(4.60mL、26.4mmol)、4−クロロ−N’−ヒドロキシル−1H−ピロール−2−カルボキシイミドアミド5−1(2.74g、17.15mmol)(調製:WO2006/123257、2006年11月23日)およびHATU(6.52g、17.15mmol)を加えた。得られた混合物を30分間撹拌した。反応物をブライン(200mL)に注ぎ入れ、EtOAcで抽出した。EtOAc層をブラインで洗浄した。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(330gカラム、CHCl中、0〜5% CHOH)によって精製すると、5−2が得られた。
【0147】
t−ブチル(2R,5S)−5−[3−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(5−3)
中間体5−2(3.8g、9.87mmol)を、トルエン(100mL)に溶解し、3Åモレキュラーシーブス(0.1g)を加えた。この混合物を115℃で3時間撹拌した。反応物を濾過し、濾液を濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(120gカラム、ヘキサン中、0〜30% EtOAc)によって精製すると、純粋なシス異性体5−3が単離された。
【0148】
(2R,5S)−5−[3−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−メチルピペリジン(5−4)
中間体5−3(2.6g、7.09mmol)をCHCl(20mL)に溶解し、0℃に冷却した。CHClおよびTFAの1:1溶液(10mL)を加え、反応物を室温に加温させた。30分間撹拌した後、飽和重炭酸ナトリウムを加えて、反応物を中和し、得られた混合物をブラインで洗浄した。有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮すると、5−4が得られた。
【0149】
(2R,5S)−5−[3−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−1−(4−フルオロベンゾイル)−2−メチルピペリジン(5−5)
中間体5−4(300mg、1.125mmol)をCHCl(30mL)に溶解し、0℃に冷却した。この溶液に、無水CHCl(2mL)中の、DIEA(0.235mLl、1,350mmol)および4−フルオロベンゾイルクロリド(0.162mL、1,350mmol)を加えた。反応物を室温に加温させ、1時間撹拌した。反応物を濃縮し、粗生成物をCHClに溶解し、シリカゲル(40gカラム、CHCl中、0〜5% CHOH)でクロマトグラフィーに、続いて、逆相HPLC(C−18、100×30mmカラム、HO(0.1% TFA)中、5%〜95% CHCNを用いる勾配溶出)に付すと、5−5が得られた。MS m/z(M+H)389.1178実測値、389.1102必要値。
【実施例6】
【0150】
【化23】

【0151】
(2−ブロモピリジン−4−イル){(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン(6−1)
DMF(3.7mL)中の、中間体3−9(250mg、0.937mmol)の溶液に、2−ブロモピリジン−4−カルボン酸(284mg、1.41mmol)、EDC(359mg、1.88mmol)、HOAt(255mg、1.88mmol)およびTEA(523μL、3.75mmol)を加え、反応物を周囲温度で2時間撹拌した。反応物をEtOAc(30mL)で希釈し、有機相を飽和NaHCO(2×30mL)、水(2×30mL)およびブライン(2×30mL)で洗浄した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗混合物を順相カラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン中、5%〜85% EtOAc)によって精製すると、6−1が、白色固体として得られた。MS m/z(M+H)450.0322実測値、450.0327必要値。
【0152】
2,4’−ビピリジン−4−イル{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン(6−2)
DMF/水(4:1、0.44mL)中、中間体6−1(20mg、0.044mmol)の溶液に、PdCl(dppf)(9.8mg、0.013mmol)、炭酸セシウム(36mg、0.11mmol)およびピリジン−4−ボロン酸ピナコールエステル(18mg、0.089mmol)を加え、反応物をマイクロ波反応器中で110℃に15分間加熱した。反応物を冷却し、EtOAc(10mL)および水(10mL)の間に分配した。有機相を水(2×10mL)およびブライン(10mL)で洗浄した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗混合物を順相カラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc中、0%〜15% MeOH)によって精製すると、6−2が泡沫状固体として得られた。MS m/z(M+Η)449.1478実測値、449.1487必要値。
【0153】
2.2’−ビピリジン−4−イル{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン(6−3)
DMF(0.56mL)中、中間体6−1(25mg、0.055mmol)の溶液に、Pd(PPh(6.4mg、0.0055mmol)、ヨウ化銅(I)(2.1mg、0.011mmol)、フッ化セシウム(25mg、0.17mmol)および2−(トリブチルスタニル)ピリジン(31mg、0.083mmol)を加え、反応物をマイクロ波反応器中で125℃に20分間加熱した。反応物を冷却し、EtOAc(10mL)および水(10mL)間に分配した。有機相を水(2×10mL)およびブライン(10mL)で洗浄した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗混合物を、順相カラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc中、0%〜25% MeOH)と、それに続いて、逆相クロマトグラフィー(C−18、水、0.1% TFAバッファー中、5%〜70% ACN)によって精製すると、飽和NaHCOを用いて遊離塩基化(free basing)した後に6−3が泡沫状固体として得られた。MS m/z(M+H)449.1482実測値、449.1487必要値。
【実施例7】
【0154】
【化24】

【0155】
メチル(2R,5S)−5−[4−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(7−1)
DMF(3mL)中、化合物3−4(320mg、1.32mmol)および4−フルオロフェナシルブロミド(573mg、2.64mmol)の溶液を、115℃で1時間加熱した。反応物を、逆相HPLC(C−18、100×30mmカラム、HO(0.1% TFA)中、5%〜95% CHCNを用いる勾配溶出によってクロマトグラフィーに付し、第2のピークを回収すると、標題化合物が得られた。
【0156】
(2R,5S)−5−[4−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]−2−メチルピペリジン(7−2)
CHCl(2mL)中、メチル(2R,5S)−5−[4−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(7−1)(mg、mmol)の溶液に、TFA(1mL)を加え、室温で1時間撹拌した(1.0g、17mmol)。溶液をNaHCO、飽和NaCl溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させた。濾過および真空濃縮すると、標題化合物が得られた。
【0157】
(4−フルオロフェニル){(2R,5S)−5−[4−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン(7−3)
CHCl(2mL)中、4−フルオロフェニル){(2R,5S)−5−[4−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン(7−2)(21.7mg、0.084mmol)およびトリエチルアミン(0.034mL、0.251mmol)の溶液を0℃に冷却した。CHCl(0.5mL)中、4−フルオロベンゾイルクロリド(0.012mL、0.100mmol)の溶液を加え、溶液を室温に加温し、30分間撹拌した。反応溶液を真空濃縮し、粗生成物をCHCNに溶解し、逆相クロマトグラフィー(C−18、水、0.1% TFAバッファー中、水中の0〜95% CHCN)によってクロマトグラフに付すと、標題化合物が得られた。MS m/z(M+H)383.1570実測値、383.1566必要値。
【実施例8】
【0158】
【化25】

【0159】
2−アセチル−5−フルオロピリジン(8−1)
DMPE(100mL)中、2−ブロモ−5−フルオロピリジン(5.64g、32.0mmol)の溶液を−78℃に冷却し、s−ブチルリチウム(23.35mL、32.7mmol)を30分かけて加えた。反応物を2時間撹拌し、DMPE(50mL)中、ジメチルアセトアミド(3.34mL、35.9mmol)を15分かけて加えた。反応物をさらに15分間撹拌し、次いで、氷−水(10mL)を用いてクエンチし、2相を分離した。有機相を分離し、飽和ブラインで洗浄し、濃縮すると、粗生成物が得られた。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl中、0〜5%メタノールを用いて溶出する、120gカラム)によって精製すると、標題化合物が得られた。
【0160】
2−(5−フルオロピリジン−2−イル)−2−オキソエチル2,4−ジニトロベンゼンスルホナート(8−2)
CHCN(30mL)中の、8−1(950mg、6.83mmol)および{[(2,4−ジニトロフェニル)スルホニル]オキシ}(ヒドロキシ)フェニル−λ−イオダン(3.83g、8.19mmol)(Y.Yamamotoら,Synlett.2005年,16,2466〜2488頁に記載される手順に従って調製された)の溶液を、2時間還流した。溶媒を真空除去し、粗生成物をCHClおよびCHCNに溶解した。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中、10〜30% EtOAcを用いて溶出する、120gカラム)によって精製すると、標題化合物が得られた。
【0161】
t−ブチル(2R,5S)−5−[4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1,3−オキサゾール−2−イル]−2−メチルピペリジン−1−カルボキシラート(8−3)
J.C.Leeら,Syn.Comm.,2003年,33(9)1611〜1614頁に記載される手順に従って、窒素下、8−2(1.019g、2.64mmol)および3−4(534mg、2.20mmol)の混合物を、CHCN(40mL)で一晩還流した。溶媒を真空除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中、0〜30% EtOAcを用いて溶出する、40gカラム)によって精製すると、標題化合物が得られた。
【0162】
5−フルオロ−2−{2−[(3S,6R)−6−メチルピペリジン−3−イル]−1,3−オキサゾール−4−イル}ピリジン(8−4)
CHCl(10mL)中、8−3(93mg、0.257mmol)の溶液に、TFA(2mL)を加え、室温で一晩撹拌した。NaHCO、飽和NaCl溶液を用いて溶液を洗浄し、NaSOで乾燥させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl中、0〜10%(メタノール中、1% NHOH)を用いて溶出する、12gカラム)によって精製すると、標題化合物が得られた。
【0163】
(4−フルオロフェニル){(2R,5S)−5−[4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1,3−オキサゾール−2−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン(8−5)
DMF(1mL)中、4−フルオロ安息香酸(8.04mg、0.057mmol)およびトリエチルアミン(0.0109mL、0.080mmol)の溶液に、HATU(16mg、0.042mmol)および8−4(10mg、0.038mmol)を加えた。反応物を5分間撹拌し、次いで、逆相HPLCによって精製すると、標題化合物が得られた。MS m/z(M+H)384.1518実測値、384.1518必要値。
【0164】
以下の化合物を、前述の方法論を使用してではあるが、前述の反応スキームおよび実施例において記載される、適宜置換された試薬を置き換えて調製した。必要な出発物質は市販されており、文献に記載されており、または過度の実験を伴うことなく有機合成の当業者によって容易に合成される。
【表1】










【0165】
本発明は、そのある特定の実施形態を参照して記載され、例示されているが、当業者ならば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、手順およびプロトコールの種々の適応、変化、改変、置換、欠失または付加を行ってもよいことは理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
は、フェニル、ナフチルおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
は、フェニル、ナフチルおよびヘテロアリールからなる群から選択され;
Xは、N、OおよびC(Rl3)から選択され、
Yは、NおよびOから選択され、ここで、XはNであり、YはOであり、オキサジアゾール環を形成するか、またはXはOであり、YはNであり、オキサジアゾール環を形成するか、またはXはC(Rl3)であり、YはOであり、オキサゾール環を形成する;
la、R1bおよびRlcは、Aの結合価がこのような置換を可能にしない場合には不在であり得、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)ヒドロキシル、
(4)−(C=O)−O−C1−6アルキル、ここで、mは0または1であり、nは0または1であり(mが0であるか、nが0である場合に、結合は存在する)、アルキルが非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(5)−(C=O)−O−C3−6シクロアルキル、ここで、シクロアルキルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(6)−(C=O)−C2−4アルケニル、ここで、アルケニルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(7)−(C=O)−C2−4アルキニル、ここで、アルキニルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(8)−(C=O)−O−フェニルまたは−(C=O)−O−ナフチル、ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(9)−(C=O)−O−ヘテロシクル、ここで、ヘテロシクルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(10)−(C=O)−NRl0ll、ここで、Rl0およびRllは独立に、
(a)水素、
(b)非置換であるか、またはRl3で置換されているC1−6アルキル、
(c)非置換であるか、またはRl3で置換されているC3−6アルケニル、
(d)非置換であるか、またはRl3で置換されているC3−6アルキニル、
(e)非置換であるか、またはRl3で置換されているC3−6シクロアルキル、
(f)非置換であるか、またはRl3で置換されているフェニル、および
(g)非置換であるか、またはRl3で置換されているヘテロシクル
からなる群から選択される、
(11)−S(O)−NRl0ll
(12)−S(O)q−Rl2、ここで、qは0、1または2であり、Rl2は、Rl0およびRllの定義から選択される、
(13)−COH、
(14)−CNおよび
(15)−NO
からなる群から独立に選択され;
2a、R2bおよびR2cは、Aの結合価がこのような置換を可能にしない場合には不在であり得、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)ヒドロキシル、
(4)−(C=O)−O−C1−6アルキル、ここで、アルキルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(5)−(C=O)−O−C3−6シクロアルキル、ここで、シクロアルキルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(6)−(C=O)−C2−4アルケニル、ここで、アルケニルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(7)−(C=O)−C2−4アルキニル、ここで、アルキニルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(8)−(C=O)−O−フェニルまたは−(C=O)−O−ナフチル、ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(9)−(C=O)−O−ヘテロシクル、ここで、ヘテロシクルは非置換であるか、またはRl3から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(10)−(C=O)−NRl0ll
(11)−S(O)−NRl0ll
(12)−S(O)−Rl2
(13)−COH、
(14)−CNおよび
(15)−NO
からなる群から独立に選択され;
は、C1−6アルキルであり;
l3は、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシル、
(3)−(C=O)−O−C1−6アルキル、ここで、アルキルは非置換であるか、またはRl4から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(4)−O−(C1−3)ペルフルオロアルキル、
(5)−(C=O)−O−C3−6シクロアルキル、ここで、シクロアルキルは非置換であるか、またはRl4から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(6)−(C=O)−C2−4アルケニル、ここで、アルケニルは非置換であるか、またはRl4から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(7)−(C=O)−C2−4アルキニル、ここで、アルキニルは非置換であるか、またはRl4から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(8)−(C=O)−O−フェニルまたは−(C=O)−O−ナフチル、ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、またはRl4から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(9)−(C=O)−O−ヘテロシクル、ここで、ヘテロシクルは非置換であるか、またはRl4から選択される1個以上の置換基で置換されている、
(10)−(C=O)−NR1011
(11)−S(O)−NRl0ll
(12)−S(O)−Rl2
(13)−COH,
(14)−CNおよび
(15)−NO
からなる群から選択され、
l4は、
(1)ヒドロキシル、
(2)ハロゲン、
(3)C1−6アルキル、
(4)−C3−6シクロアルキル、
(5)−O−C1−6アルキル、
(6)−O(C=O)−C1−6アルキル、
(7)−NH−C1−6アルキル、
(8)フェニル、
(9)ヘテロシクル、
(10)−COHおよび
(11)−CN
からなる群から選択される]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
式Ia:
【化2】

の請求項1に記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項3】
式Ib:
【化3】

の請求項1に記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項4】
式Ic:
【化4】

の請求項1に記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項5】
が、フェニル、ピリジルおよびピロリルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、フェニルおよびピリジルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
la、RlbおよびRlcが独立に、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)ヒドロキシル、
(4)非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシル、フェニルもしくはナフチルで置換されている、C1−6アルキル、
(5)非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシルもしくはフェニルで置換されている、−O−C1−6アルキル、
(6)ヘテロアリール、ここで、ヘテロアリールは、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NOで置換されている、ピロリル、イミダゾリル、インドリル、ピリジルおよびピリミジニルから選択される、
(7)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NOで置換されているフェニル、
(8)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NOで置換されている−O−フェニル、および
(9)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NO−で置換されている、−NH−C1−6アルキルまたは−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、フェニル、ピリジルまたはピロリルであり、Rla、R1bおよびRlcが独立に、
(1)水素、
(2)クロロ、
(3)フルオロおよび
(4)メチル
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
2a、R2bおよびR2cが独立に、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)ヒドロキシル、
(4)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシルもしくはフェニルもしくはナフチルで置換されているC1−6アルキル、
(5)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシルもしくはフェニルで置換されている−O−C1−6アルキル、
(6)ヘテロアリール、ここで、ヘテロアリールは、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NOで置換されている、ピロリル、イミダゾリル、インドリル、ピリジルおよびピリミジニルから選択される、
(7)非置換であるかまたはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NOで置換されているフェニル、
(8)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NOで置換されている−O−フェニル、および
(9)非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキルもしくは−NOで置換されている、−NH−C1−6アルキルまたは−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
がフェニルまたはピリジルであり、R2a、R2bおよびR2cが独立に、
(1)水素、
(2)クロロ、
(3)フルオロ、
(4)ブロモ、
(5)メトキシ、
(6)t−ブトキシ、
(7)ジフルオロメチルおよび
(8)トリフルオロメチル
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
(2S,5R)−1−(4−フルオロベンゾイル)−5−[5−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン;
(2R,5S)−1−(4−フルオロベンゾイル)−5−[5−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン;
(2S,5R)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−1−(4−フルオロベンゾイル)−2−メチルピペリジン;
(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−1−(4−フルオロベンゾイル)−2−メチルピペリジン;
5−フルオロ−2−(3−[(3S,6R)−1−(4−フルオロベンゾイル)−6−メチルピペリジン−3−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}ピリジン;
(2R,5S)−5−[3−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−1−(4−フルオロベンゾイル)−2−メチルピペリジン;
2,4’−ビピリジン−4−イル{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン;
2,2−ビピリジン−4−イル{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン;
(4−フルオロフェニル){(2R,5S)−5−[4−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾール−2−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン;
(4−フルオロフェニル){(2R,5S)−5−[4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1,3−オキサゾール−2−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン;
(2R,5S)−1−(3−クロロベンゾイル)−5−[5−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン;
4−({(2R,5S)−5−[5−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)−2−メトキシピリジン;
(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−1−(4−フルオロベンゾイル)−2−メチルピペリジン;
(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−1−(4−フルオロベンゾイル)−2−メチルピペリジン;
(2R,5S)−1−(4−フルオロベンゾイル)−2−メチル−5−[5−(4−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン;
(2S,5R)−1−(4−フルオロベンゾイル)−2−メチル−5−[5−(4−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン;
4−({(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)−2−フルオロピリジン;
4−({(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)−2−メトキシピリジン;
5−({(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)−2−フルオロピリジン;
2−フルオロ−5−({(2R,5S)−2−メチル−5−[5−(4−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン−1−イル}カルボニル)ピリジン;
4−({(2R,5S)−5−[5−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)−2,3−ジメトキシピリジン;
4−({(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)−5−フルオロ−2−メトキシピリジン;
4−({(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)−3−フルオロ−2−メトキシピリジン;
2−{3−[(3,6−シス)−1−(4−フルオロベンゾイル)−6−メチルピペリジン−3−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−5−メチルピリジン;
2−{3−[(3,6−シス)−1−(3−クロロベンゾイル)−6−メチルピペリジン−3−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−6−メチルピリジン;
2−{3−[(3,6−シス)−1−(3−クロロベンゾイル)−6−メチルピペリジン−3−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−6−フルオロピリジン;
(2R,5S)−1−(4−フルオロベンゾイル)−5−[3−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−メチルピペリジン;
5−({(2R,5S)−5−[3−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)−2−フルオロピリジン
4−({(2R,5S)−5−[3−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)−2−フルオロピリジン;
(2R,5S)−1−(3−クロロベンゾイル)−5−[3−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−メチルピペリジン;
(2R,5S)−5−[3−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−1−(3,4−ジフルオロベンゾイル)−2−メチルピペリジン;
4−({(2R,5S)−5−[3−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)−2−メトキシピリジン;
4−({(2R,5S)−5−[3−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)−5−フルオロ−2−メトキシピリジン;
4−({(2R,5S)−5−[3−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)−3−フルオロ−2−メトキシピリジン;
2−{5−[(3S,6R)−1−(4−フルオロベンゾイル)−6−メチルピペリジン−3−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}ピリジン;
5−フルオロ−2−(5−[(3S,6R)−1−(4−フルオロベンゾイル)−6−メチルピペリジン−3−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}ピリジン;
4−({(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)ベンゾニトリル;
3−({(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)ベンゾニトリル;
{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}(4−メチル−1,3−チアゾール−5−イル)メタノン;
4−({(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}カルボニル)ピリジン−2−カルボニトリル;
{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}[2−(ピラジン−2−イル)ピリジン−4−イル]メタノン;
2,3’−ビピリジン−4−イル{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン;
{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}[2−(lH−ピラゾール−4−イル)ピリジン−4−イル]メタノン;
{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−4−イル]メタノン;
(3,5−ジフルオロ−2−メトキシピリジン−4−イル){(2R,5S)−2−メチル−5−[5−(4−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン−1−イル}メタノン;
(5−フルオロ−2−メトキシピリジン−4−イル){(2R,5S)−2−メチル−5−[5−(4−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン−1−イル}メタノン;
(3−フルオロ−2−メトキシピリジン−4−イル){(2R,5S)−2−メチル−5−[5−(4−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン−1−イル}メタノン;
(4−フルオロ−3−メトキシフェニル){(2R,5S)−2−メチル−5−[5−(4−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン−1−イル}メタノン;
(4−フルオロフェニル){(2R,5S)−5−[3−(4−フルオロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン;
{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)メタノン;
{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}(2−メトキシ−4−メチルフェニル)メタノン;
(3−クロロ−4−フルオロフェニル){(2R,5S)−5−[5−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン;
(5−フルオロ−2−メトキシピリジン−4−イル){(2R,5S)−5−[5−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン;
{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}(2,3−ジメトキシフェニル)メタノン;
(2,4−ジフルオロフェニル){(2R,5S)−5−[5−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン;
{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}(2−エトキシフェニル)メタノン;
{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}[2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メタノン;
{(2R,5S)−5−[5−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}(4−フルオロフェニル)メタノン;
{(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}(2−メトキシピリジン−3−イル)メタノン;
(5−クロロ−2−メトキシフェニル){(2R,5S)−5−[5−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン;
{(2R,5S)−5−[5−(2,5−ジフルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}(4−フルオロフェニル)メタノン;
(4−フルオロフェニル){(2R,5S)−5−[5−(2−ヒドロキシフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノン;
(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル){(2R,5S)−5−[3−(4−クロロ−1H−ピロール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−メチルピペリジン−1−イル}メタノンおよび
(4−フルオロフェニル){(2R,5S)−2−メチル−5−[5−(4−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン−1−イル}メタノンからなる群から選択される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項13】
医薬上許容される担体および請求項1に記載の化合物またはその医薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項14】
医薬において使用するための、請求項1に記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項15】
患者のグルタミン酸機能障害と関連している神経学的または精神医学的障害の治療のための医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物またはその医薬上許容される塩の使用。
【請求項16】
グルタミン酸機能障害と関連する神経学的または精神医学的障害を、それを必要とする患者において治療する方法であって、請求項1に記載の化合物またはその医薬上許容される塩の治療上有効な量を患者に投与するステップを含む方法。
【請求項17】
それを必要とする哺乳類患者において統合失調症を治療する方法であって、請求項1の化合物またはその医薬上許容される塩の治療上有効な量を患者に投与するステップを含む方法。

【公表番号】特表2012−524798(P2012−524798A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507371(P2012−507371)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/032001
【国際公開番号】WO2010/124055
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】