説明

2−クロロ−4−ニトロイミダゾールの製造方法

【課題】本発明は、爆発等の危険の少ないより安全な方法で、高収率且つ高純度の2−クロロ−4−ニトロイミダゾールを簡易な操作で製造する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、一般式


[式中、R1は低級アルキル基を示す。nは1〜3の整数を示す。]
で表される1−アルコキシアルキル−2−ブロモ−4−ニトロイミダゾール化合物に塩化水素を反応させて、式


で表される2−クロロ−4−ニトロイミダゾールを製造する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−クロロ−4−ニトロイミダゾールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
式(1)
【0003】
【化1】

【0004】
で表される2−クロロ−4−ニトロイミダゾールは、種々の医薬、農薬等の合成中間体、殊に抗結核薬を製造するための中間体として有用な化合物である。
【0005】
従来、2−クロロ−4−ニトロイミダゾールの製造法としては、例えば、下記反応式−1及び反応式−2に示す方法が知られている(非特許文献1参照)。
【0006】
【化2】

【0007】
【化3】

【0008】
しかしながら、これらの方法には、種々の欠点があり、工業的製造方法として不適当である。
【0009】
例えば、反応式−1に示す方法では、反応中間体である化合物(4)及び化合物(5)が、化学的に不安定な化合物であり、落下、摩擦等の衝撃により爆発する危険がある。また、この方法では、化合物(4)を加熱して化合物(5)に導く反応(130℃付近)において化合物(4)のTNR温度(Temperature of No Return:化学プロセス内の装置で安全に取り扱うことができる最大温度60〜70℃付近)を超えていること等から、目的化合物を工業的に大量生産するには、非常な危険が伴っていた。
【0010】
反応式−2に示す方法は、化合物(6)をニトロ化する反応であるが、このニトロ化では、化合物(1)が低収率で得られるに過ぎず、工業的に不利である。
【非特許文献1】スウィンスキーら、ポリッシュ・ジャーナル・オブ・ケミストリー、第56巻、第1261−1272頁(1982年)(Jerzy SUWINSKI,Ewa SALWINSKA、Jan WATRAS and Maria WIDEL, Polish Jounal of Chemistry, 56, 1261-1272 (1982))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、爆発等の危険の少ないより安全な方法で、高収率且つ高純度の2−クロロ−4−ニトロイミダゾールを簡易な操作で製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決するために、より安全で、扱い易い2−クロロ−4−ニトロイミダゾールの製造方法について鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(7)で表される1−アルコキシアルキル−2−ブロモ−4−ニトロイミダゾール化合物に塩化水素を反応させることにより上記課題を解決できることを見い出した。本発明はこのような知見に基づき完成されたものである。
【0013】
本発明は、一般式
【0014】
【化4】

【0015】
[式中、R1は低級アルキル基を示す。nは1〜3の整数を示す。]
で表される1−アルコキシアルキル−2−ブロモ−4−ニトロイミダゾールに塩化水素を反応させて、式
【0016】
【化5】

【0017】
で表される2−クロロ−4−ニトロイミダゾールを製造する方法を提供する。
【0018】
本発明において、低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。
【0019】
2−クロロ−4−ニトロイミダゾールの製造方法
一般式(7)で表される化合物から2−クロロ−4−ニトロイミダゾールに導く反応は、適当な溶媒中又は無溶媒下、塩化水素の存在下に行われる。
【0020】
上記反応において使用される塩化水素の量は、特に限定されるものではないが、一般式(7)の化合物に対して、通常少なくとも2倍モル以上、好ましくは大過剰量である。
【0021】
用いられる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン類等のケトン類;エチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸、蟻酸等の脂肪酸類;酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン又はこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0022】
上記反応は、通常0〜150℃程度、好ましくは室温〜100℃程度にて好適に進行し、一般に5分〜40時間程度で終了する。
【0023】
本発明において、出発原料化合物として用いられる一般式(7)の化合物は、例えば、以下に示す方法により製造される。
【0024】
【化6】

【0025】
[式中、R1及びnは前記に同じ。X1はハロゲン原子を示す。X2はハロゲン原子又は低級アルコキシ基を示す。]
ここで低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシ基を例示できる。
【0026】
化合物(8)と化合物(9)との反応において、X2がハロゲン原子を示す場合は、一般に適当な溶媒中、塩基性化合物の存在下又は不存在下にて行われる。
【0027】
用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等の低級アルコール類、酢酸、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、ピリジン、2,4,6−コリジン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ヘキサメチルリン酸トリアミド又はこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0028】
塩基性化合物としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、水素化ナトリウム、カリウム、ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート等の金属アルコラート類等の無機塩基、ピリジン、2,4,6−コリジン、N−エチルジイソプロピルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等の有機塩基等を挙げることができる。
【0029】
塩基性化合物の使用量は、化合物(8)1モルに対して、通常1〜5モル程度とするのがよい。
【0030】
化合物(9)の使用量は、化合物(8)1モルに対して、通常少なくとも等モル程度、好ましくは1〜5モル程度とするのがよい。
【0031】
該反応は、通常−50〜200℃程度、好ましくは−50〜150℃程度にて行われる。反応時間は、通常1〜30時間程度である。
【0032】
この反応の反応系内には、沃化ナトリウム等のハロゲン化アルカリ金属等を添加してもよい。
【0033】
化合物(8)と化合物(9)との反応において、X2が低級アルコキシ基を示す場合は、上記の反応条件において、塩基性化合物に変えてカンファースルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸等の酸を用いるのがよい。これらの中でも、メタンスルホン酸が好ましい。
【0034】
酸の使用量は、化合物(8)1モルに対して、通常触媒量、好ましくは0.01〜0.2モル程度とするのがよい。
【0035】
更に、反応系内にP25を存在させることもできる。
【0036】
化合物(10)を化合物(7)に導く反応は、適当な溶媒中、還元剤の存在下に行われる。
【0037】
使用される還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の金属亜硫酸物、水素化硼素テトラメチルアンモニウム、水素化硼素テトラエチルアンモニウム、水素化硼素テトラ−n−ブチルアンモニウム、水素化シアノ硼素テトラ−n−ブチルアンモニウム等の水素化硼素テトラ低級アルキルアンモニウム類、シアノ化水素化硼素ナトリウム、シアノ化水素化硼素リチウム、水素化硼素ナトリウム、ジボラン等の水素化還元剤等を例示できる。
【0038】
使用される溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジグライム、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、NMP又はこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0039】
尚、還元剤としてジボラン等を用いた場合は、無水の溶媒を用いるのがよい。
【0040】
還元剤の使用量は、化合物(10)1モルに対して、通常は少なくとも等モル量、好ましくは1〜10モル程度がよい。
【0041】
該反応は、通常0〜150℃付近、好ましくは0〜120℃付近にて行われ、一般に1〜30時間程度にて終了する。
【0042】
また、化合物(10)を化合物(7)に導く反応は、適当な溶媒中、例えば、パラジウム、パラジウム−黒、パラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素、ロジウム−アルミナ、白金、酸化白金、亜クロム酸銅、ラネーニッケル、酢酸パラジウム等の接触水素還元剤及び蟻酸、蟻酸ナトリウム、蟻酸アンモニウム、酢酸ナトリウム等の脂肪酸、脂肪酸アンモニウムもしくは脂肪酸アルカリ金属塩の存在下に行うことができる。
【0043】
溶媒としては、上記水素化還元剤を用いる反応で使用される溶媒をいずれも使用することができる。
【0044】
接触水素還元剤は、化合物(10)に対して、通常0.001〜0.4倍重量程度、好ましくは0.001〜0.2倍重量程度使用される。また、脂肪酸、脂肪酸アンモニウムもしくは脂肪酸アルカリ金属塩は、化合物(10)1モルに対して、通常少なくとも1モル程度、好ましくは1〜20モル程度使用される。
【0045】
これらの反応は、通常室温〜200℃程度、好ましくは室温〜150℃程度で好適に進行し、一般に1〜30時間程度で終了する。
【0046】
これらの反応系内には、トリエチルアミン等のアミン類、トリ−オルト−トリルホスフィン等のリン化合物等を添加してもよい。
【0047】
また、化合物(10)を化合物(7)に導く反応は、適当な溶媒中、接触水素還元剤の存在下に行うことができる。
【0048】
接触水素還元剤としては、例えば、パラジウム、酢酸パラジウム、パラジウム−黒、パラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素、ロジウム−アルミナ、白金、酸化白金、亜クロム酸銅、ラネーニッケル等を挙げることができる。かかる接触水素還元剤は、化合物(4)に対して、通常0.02〜1倍重量程度使用される。
【0049】
使用される溶媒としては、例えば、水、酢酸等の脂肪酸、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、モノグライム、ジグライム等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、NMP等の非プロトン性極性溶媒又はこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0050】
これらの反応は、通常−20〜100℃程度、好ましくは0〜80℃程度で好適に進行し、一般に0.5〜20時間程度で終了する。水素圧は、通常1〜10気圧程度がよい。
【0051】
これらの反応系内には、トリエチルアミン等のアミン類を添加するのがよく、アミン類の添加により該反応が有利に進行する。
【0052】
また、化合物(10)を化合物(7)に導く反応は、適当な溶媒中、触媒の存在下に行うことができる。
【0053】
溶媒としては、上記水素化還元剤を用いる反応で使用される溶媒をいずれも使用することができる。
【0054】
触媒としては、例えば、パラジウムアセテート−トリフェニルホスフィン、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム化合物を使用することができる。かかる触媒は、化合物(10)1モルに対して、通常0.01〜5モル程度、好ましくは0.01〜1モル程度使用される。
【0055】
これらの反応は、通常室温〜200℃程度、好ましくは室温〜150℃程度で好適に進行し、一般に1〜10時間程度で終了する。
【0056】
これらの反応系内には、トリエチルシラン等のアルキルシラン化合物を添加するのがよく、アルキルシラン化合物の添加により該反応が有利に進行する。
【0057】
上記各還元反応では、イミダゾール環の5位が選択的に脱ハロゲン化され所望の一般式(7)の化合物を得ることができる。
【0058】
本発明の方法で得られる目的化合物は、通常行われている単離及び精製手段に従い、反応混合物から容易に単離、精製される。
【発明の効果】
【0059】
本発明によれば、爆発等の危険の少ないより安全な方法で、高収率且つ高純度の2−クロロ−4−ニトロイミダゾールを簡易な操作で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下に参考例及び実施例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。
【0061】
参考例1
1−エトキシメチル−2,5−ジブロモ−4−ニトロイミダゾ−ルの合成
2,5−ジブロモ−4−ニトロイミダゾ−ル(20.0g,73.8mmol)、エチラ−ル(100ml)及びメタンスルホン酸(1.42g,14.8mmol)の混合物を加熱撹拌した(浴温:65−70℃,内温60℃,1.5時間)。更にこの反応混合物を2時間かけて減圧下に濃縮乾固した(分留管使用)。残渣を室温まで放冷した後、氷水(200g)を加えて10分間撹拌した。濾取した結晶に冷水をかけて洗浄した後に、風乾した(室温3日)。このようにして、1−エトキシメチル−2,5−ジブロモ−4−ニトロイミダゾ−ルを製造した。
収量23.5g(収率96.8%)
IRスペクトル(KBr);
1532,1491,1464,1397,1365,1344,1315,1273,1248,1127,1106,1054,1020,830.740cm-1
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:
1.25(t,J=7.0Hz,3H),3.64(q,J=7.0Hz,2H),5.50(s,2H)。
【0062】
参考例2
1−メトキシメチル−2,5−ジブロモ−4−ニトロイミダゾ−ルの合成
2,5−ジブロモ−4−ニトロイミダゾ−ル(20.0g,73.8mmol)、メチラ−ル(100ml)及びメタンスルホン酸(1.42g,14.8mmol)の混合物を水冷撹拌し、これにP25(21.0g,148mmol)を42℃以下で添加した。更に、混合物を加熱懸濁還流した(43℃,3時間)。反応混合物を減圧下に濃縮乾固した。残渣を室温まで放冷した後、氷水(200g)を加えて10分間撹拌した。析出した結晶を濾取して分散洗浄し(冷水100ml,0.5時間)、風乾した(室温3日)。このようにして、1−メトキシメチル−2,5−ジブロモ−4−ニトロイミダゾ−ルを製造した。
収量21.8g(収率93.8%)
IRスペクトル(KBr),1543,1530,1486,1458,1439,1367,1318,1260,1194,1119,1104,1053,1013,912,833,743cm-1
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:
3,46(s,3H),5.46(s,2H)。
【0063】
参考例3
1−メトキシメチル−2−ブロモ−4−ニトロイミダゾ−ルの合成
1−メトキシメチル−2,5−ジブロモ−4−ニトロイミダゾ−ル(12.5g,39.7mmol)をジメチルホルムアミド(100ml)に溶解し、氷冷下で撹拌した(12℃)。更に、水(50ml)及び亜硫酸ナトリウム(10.0g,79.3mmol)を添加し、室温(23−24℃)で72時間撹拌した。5%重曹水(50ml)と冷水(250ml)を加え、酢酸エチルで抽出した(250ml,2回)。有機層を5%食塩水で洗浄(250ml,2回)した後に、乾燥し(MgSO4)、濃縮乾固した(結晶化)。このようにして、1−メトキシメチル−2−ブロモ−4−ニトロイミダゾ−ルを製造した。
収量8.17g(収率87.2%)
淡黄色結晶
HPLC 99.69%
IRスペクトル(KBr);
3138,1543,1504,1455,1405,1354,1338,1272,1192,1146,1108,1087,1035,989,915,824,739,668,538cm-1
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:
3.42(s,3H),5.34(s,2H),7.93(s,1H)。
【0064】
参考例4
1−エトキシメチル−2−ブロモ−4−ニトロイミダゾ−ルの合成
1−エトキシメチル−2,5−ジブロモ−4−ニトロイミダゾ−ル(13.1g,39.7mmol)をジメチルホルムアミド(100ml)に溶解し、氷冷下で撹拌した(12℃)。更に、水(50ml)と亜硫酸ナトリウム(10.0g,79.3mmol)を添加し、室温(23−24℃)で72時間撹拌した。5%重曹水(50ml)と冷水(250ml)を加え、酢酸エチルで抽出した(250ml,2回,100ml,1回)。有機層を5%食塩水で洗浄(250ml,2回)した後に乾燥し(MgSO4)、濃縮乾固した。このようにして、1−エトキシメチル−2−ブロモ−4−ニトロイミダゾ−ルを製造した。
収量8.74g(収率88.0%)
微黄色結晶
HPLC 98.51%
IRスペクトル(KBr)3139,2983,1540,1507,1455,1400,1340,1279,1264,1163,1138,1096,1038,1009,991,828,813,741,671cm-1
1H−NMRスペクトル(CDCl3)δppm:
1.25(t,J=7.0Hz,3H),3.60(q,J=7.0Hz,2H),5.37(s,2H),7.92(s,1H)。
【0065】
実施例1
2−クロロ−4−ニトロイミダゾ−ルの合成(N−保護体からのワンポット法)
1−メトキシメチル−2−ブロモ−4−ニトロイミダゾ−ル(1.41g,5.96mmol)、濃塩酸(7.0ml、濃度35%)及び水(7.0ml)の混合物を加熱撹拌した(浴温度95〜100℃で15時間)。反応混合物の温度を50℃に維持しながら、減圧下に濃縮乾固し、残渣に水(8.4ml)を加え、冷却撹拌した(5℃で1時間)。結晶を濾取して送風乾燥し(60℃で15時間)、目的とする2−クロロ−4−ニトロイミダゾ−ルを0.641g(収率72.9%)得た。
1H−NMRスペクトル(DMSO−d6)δppm:
8.43(s,1H),14.1(br.s,1H)。
【0066】
実施例2
2−クロロ−4−ニトロイミダゾ−ルの合成(N−保護体からのワンポット法)
1−エトキシメチル−2−ブロモ−4−ニトロイミダゾ−ル(4.05g,16.2mmol)、濃塩酸(20.3ml、濃度35%)及び水(20.3ml)の混合物を加熱撹拌した(浴温度97〜102℃で12時間)。反応混合物の温度を70℃に維持しながら、減圧下に濃縮乾固した。残渣に水(20ml)を加え、減圧下に濃縮乾固した。更に、残渣に水(20ml)を加え、冷却撹拌した(5℃で1時間)。析出した結晶を濾取した後、乾燥し(60℃で16時間)、目的とする2−クロロ−4−ニトロイミダゾ−ルを1.41g(収率59.0%)得た。
1H−NMRスペクトル(DMSO−d6)δppm:
8.43(s,1H),14.1(br.s,1H)
更に、濾液を濃縮して、2−クロロ−4−ニトロイミダゾ−ルを0.186g(収率7.8%)得た。
合計収率:66.8%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化1】

[式中、R1は低級アルキル基を示す。nは1〜3の整数を示す。]
で表される1−アルコキシアルキル−2−ブロモ−4−ニトロイミダゾールに塩化水素を反応させて、式
【化2】

で表される2−クロロ−4−ニトロイミダゾールを製造する方法。

【公開番号】特開2006−117655(P2006−117655A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279213(P2005−279213)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)