説明

2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法

【課題】温和な条件で収率良く、農園芸用殺菌剤等の原料化合物として有用な高純度の2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法を提供する。
【解決手段】塩基の存在下、2,6−ジメチルピリジン−N−オキシドとオキシ塩化リンとを反応させる2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法、また、前記塩基がアミン化合物であり、その共役酸の水中でのpKaが6.0〜12.0である上記2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法、さらにまた、農園芸用殺菌剤の原料化合物として用いる上記2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬、医薬、高分子原料として有用な2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法に関し、特に農園芸用殺菌剤の原料化合物に適した高純度2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的人口の増加に対応して、食料増産に寄与する効果的な農薬の開発及びその提供は時代の要請であり急務である。その要請に応えるために、例えば人体に対して安全でしかも薬害を生ずることなく、作物の細菌による発病を予防する、新規な農園芸用殺菌剤の研究開発が活発に進められ、工業的規模での生産が試みられている。具体的に、うどんこ病、ふ枯病、灰色かび病などの予防に極めて効果的な殺菌剤が開発され、具体的な化合物が開示されている(特許文献1参照)。なかでも、同特許公報中に開示された例示化合物番号A−286(具体的な化学構造は後述する。)は特に殺菌効果が高いことが確認され評価されている(非特許文献1参照)。その原料化合物として2−クロロメチル−6−メチルピリジンが必要であり、上記高薬効を示す殺菌剤を広範かつ大量に提供するために、該原料化合物の高純度かつ高収率な工業的製造法が望まれる。
【0003】
上記原料化合物となる2−クロロメチル−6−メチルピリジンを製造する一般的な方法として、2,6−ジメチルピリジンを塩素化する方法が知られている。たとえば、(1)四塩化炭素中、炭酸ナトリウムの存在下で塩素を作用させる方法(非特許文献2参照)、(2)四塩化炭素中、ベンゾイルパーオキシドの存在下でN−クロロコハク酸イミドを作用させる方法(非特許文献3参照)、(3)2,6−ジメチルピリジンを塩酸塩水溶液として、光塩素化する方法(特許文献2参照)などが知られている。また、(4)2,6−ジメチルピリジンをN−オキシドとしたのち、塩化パラトルエンスルホネートを反応させる方法(非特許文献4参照)が知られている。
【0004】
しかしながら、上記(1)〜(3)の2,6−ジメチルピリジンを塩素化する方法では、人体や農作物に対して毒性の高い四塩化炭素等を使用する必要があったり、2,6−(ビス)クロロメチル体やジクロロメチル体が生成したりするため、収率が良くない(具体的に、方法(1)では目的化合物の収率57%、方法(2)では収率16%、方法(3)では収率33.7%の結果が開示されている。)。上記(4)の方法では、収率72%という高収率で目的化合物を得ることができるが、無溶媒ないし少量の溶媒中で加熱すると急激に反応して目的物が生成するために、工業的製造法として反応を制御することが難しく、特に安全性の確保に慎重を要する。またこの方法(4)は、ベンゼン等の溶媒を使用すると全く目的物が得られないという反応挙動において予測しがたい点がある。このように、これら従来の製造方法は、前記の要請に応える2−クロロメチル−6−メチルピリジンの工業的製造方法として十分とはいえない。
【0005】
ところで、ジクロロメタン中で2−メチルピリジン−N−オキシドにトリエチルアミンとオキシ塩化リンを同時に反応させて、2−クロロメチルピリジンを製造する方法が開示されている(非特許文献5参照)。この方法で得られる化合物は2−クロロメチルピリジンであり、上記の農園芸用殺菌剤等に有用な2−クロロメチル−6−メチルピリジンではない。またこの文献には、2−クロロメチルピリジンの収率が開示されているものの、その単離方法、不純物の内容等についての記載はなく、前記の要請に応え特に農薬原料として有用な高純度のクロロメチルピリジン化合物の工業的な製造に適用可能であるかは分からない。
【特許文献1】特許第3472245号公報
【特許文献2】特開昭62−36358号公報
【非特許文献1】日本農薬学会誌2005年,第30巻,73頁
【非特許文献2】アンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angew.Chem.Int.Ed.),1963年,第2巻,144頁
【非特許文献3】シンセシス(Synthesis),1984年,676頁
【非特許文献4】日本化学雑誌,1961年,第82巻,616頁
【非特許文献5】ジャーナル・オブ・ヘテロサイクリック・ケミストリー(J.Heterocyclic Chem.),1981年,18巻,939頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、上記の非特許文献5の記載に従って追試を行った。その結果、2−クロロメチルピリジン以外に、2−クロロメチル−6−クロロピリジン等の不純物が相当量副生していることを確認した(後記比較例1参照)。さらに工業化を考慮し、この反応について溶媒量を減少させて行ったところ、不純物の生成が大幅に増大した。
【0007】
農園芸用殺菌剤としての効能についていうと、本発明の製造方法の目的生成物である2−クロロメチル−6−メチルピリジンを原料化合物としたもの(下記例示化合物A−286)の代わりに、上記非特許文献5に開示された2−クロロメチルピリジンを原料として得たもの(下記例示化合物A−225)は、殺菌予防効果において劣る。具体的には、両者ともに灰色かび病予防効果はAクラス(発病をみとめず)であるが、コムギふ枯病の予防効果については化合物A−286がAクラス(発病をみとめず)に対して、化合物A−225はBクラス(発病面積5%未満)である(上記特許文献1参照)。このように、両者はとりわけ農園芸殺菌剤の原料化合物としたときに商業的ないし社会的に有意な差がある。
【化1】

【0008】
上記の従来技術の課題及び本発明者らが得た知見に鑑み、本発明は、温和な条件で収率良く、しかも農園芸用殺菌剤の原料化合物等として有用な高純度の2−クロロメチル−6−メチルピリジンの効率的な製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、2,6−ジメチルピリジン−N−オキシドに、塩基の存在下、オキシ塩化リンを反応させると、温和な条件で収率良く2−クロロメチル−6−メチルピリジンが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は下記の製造方法に係るものである。
(1)塩基の存在下、2,6−ジメチルピリジン−N−オキシドとオキシ塩化リンとを反応させることを特徴とする2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法。
(2)前記塩基がアミン化合物であり、その共役酸の水中でのpKaが6.0〜12.0である(1)に記載の2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法。
(3)前記塩基が第3アミン化合物であり、その共役酸の水中でのpKaが6.0〜12.0である(1)又は(2)に記載の2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法。
(4)2,6−ジメチルピリジン−N−オキシド1モルに対して、オキシ塩化リン1.0〜2.0モル、塩基1.0〜2.0モルを反応させることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法。
(5)前記2−クロロメチル−6−メチルピリジンを農園芸用殺菌剤の原料化合物として用いることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、温和な条件で収率良く、しかも農園芸用殺菌剤等の原料化合物として有用な高純度の2−クロロメチル−6−メチルピリジンを製造することができる。また、上記の2−クロロメチル−6−メチルピリジンを毒性のある反応原料や特別な工程制御等を要さずに効率的に製造することができ、工業的規模の生産に好適に対応しうるという優れた作用効果を奏する。さらに、本発明の製造方法で得られる上記2−クロロメチル−6−メチルピリジンを原料化合物として用いた農園芸用殺菌剤は、人体に対して安全であり、作物に対して薬害を生ずることなく、灰色かび病やコムギふ枯病といった細菌性の発病予防に極めて高い効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法においては、原料成分として、少なくとも2,6−ジメチルピリジン−N−オキシドとオキシ塩化リンとを用い、この両成分を、塩基の存在下で反応させることにより、2−クロロメチル−6−メチルピリジンを製造する。
【0013】
上記反応原料として用いる2,6−ジメチルピリジン−N−オキシドは、市販のものを用いてもよいし常法により酢酸中で過酸化水素水を作用させて合成することもできる。オキシ塩化リンについても市販品を用いてよいし、通常の方法で合成したものを使用してもよい。
【0014】
本発明の製造方法において、上記両成分を反応させる際に用いる塩基の塩基性強度は特に限定されないが、その共役酸の水中でのpKaが6.0〜12.0であることが好ましく、このpKaが6.5〜11.0であることがより好ましく、6.5〜8.0であることが特に好ましい。この塩基性が弱すぎると反応が進行しないことがあり、他方強すぎるとタール化を伴って黒褐色に着色することがある。
【0015】
上記塩基の共役酸の水中でのpKaは、例えば、化学便覧基礎編,改訂4版(丸善、平成5年9月30日発行)II−322頁の表10.19あるいは表10.22に代表例が記載されており参照することができる。このpKaが6.0以上12.0以下である塩基の例としては、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウム(6.4)、燐酸水素ナトリウムまたは燐酸水素カリウム(7.2)、ナトリウムフェノキシド(10.0)、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム(10.3)、2,6−ジメチルピリジン(6.75〜6.90)、N−メチルモルホリン(7.38)、トリブチルアミン(9.90)、トリエチルアミン(10.75)、ジイソプロピルエチルアミン(11.0)、ジイソプロピルアミン(11.05)等が挙げられる。
【0016】
本発明の製造方法においては、このような塩基の中でも、アミン化合物が好ましく、第3アミン化合物がより好ましい。すなわち、共役酸の水中でのpKaが6.0〜12.0であるアミン化合物が好ましく(より好ましくは第3アミン化合物)、その中でも、上記pKaが6.5〜11.0であるアミン化合物(より好ましくは第3アミン化合物)がより好ましく、上記pKaが6.5〜8.0であるアミン化合物(より好ましくは第3アミン化合物)が特に好ましい。このようなアミン化合物用いることで、タール状物質の生成を抑え一層高い純度の目的化合物を得ることができる。
【0017】
本発明の製造方法において各反応原料成分の量は特に限定されないが、2,6−ジメチルピリジン−N−オキシドとオキシ塩化リンとの反応に際し、2,6−ジメチルピリジン−N−オキシド1モルに対して、オキシ塩化リンが1.0〜2.0モルであることが好ましく、塩基は1.0〜2.0モルとなる割合とすることが好ましい。さらに、2,6−ジメチルピリジン−N−オキシド1モルに対して、オキシ塩化リンが1.0〜1.5モルであることがより好ましく、塩基は1.0〜1.3モルとなる割合とすることがより好ましい。
【0018】
本発明の製造方法において上記の反応は、通常の溶媒を使用して行うことができる。この溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、またはアセトニトリルを使用することが好ましい。トルエンやベンゼン等の非極性溶媒を用いるとタール化が進行することがある。また、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒では、タール化が進行するとともに核塩素化物の量が増加することがある。
【0019】
溶媒の使用量は、2,6−ジメチルピリジン−N−オキシドの濃度が0.4〜1.2モル/リットルとなる割合とすることが好ましく、収率および品質の面を考慮し、0.4〜0.6モル/リットルとなる割合とすることがより好ましい。さらに工業生産性の向上を重視して、上記濃度が0.8〜1.2モル/リットルとなる割合として、目的化合物の高収率化を図ることが可能である。
【0020】
本発明の製造方法において反応の手順等は特に限定されず、例えば反応原料及び塩基を反応溶媒に同時にもしくは逐次に添加してもよい。逐次添加による反応について具体的には、(i)2,6−ジメチルピリジン−N−オキシドを溶媒に溶かし、これにオキシ塩化リンを加え、次いで塩基(例えば第3アミン化合物)を逐次に加えて反応させる実施態様、(ii)オキシ塩化リンを溶媒に溶かし、これに2,6−ジメチルピリジン−N−オキシドを加え、次いで塩基(例えば第3アミン化合物)を逐次に加えて反応させる実施態様を挙げることができる。あるいは、2,6−ジメチルピリジン−N−オキシドを溶媒に溶かし、これにオキシ塩化リンと塩基(例えば第3アミン化合物)とを同時に添加する実施態様としてもよい。また、オキシ塩化リンおよび第3アミンは溶媒に溶解して加えてもよいし、無溶媒で加えてもよい。反応温度も特に制限はないが、通常、室温(約28℃)〜40℃の範囲で反応させることにより、穏和な条件を維持して速やかに反応を進行させることができる。
【0021】
本発明の製造方法により得られる2−クロロメチル−6−メチルピリジンは、タールなどの不純物が抑えられ、薬害を生じる反応成分を用いる必要がないため、高品質の農園芸用殺菌剤の原料化合物として好適に用いることができる。例えば前述の例示化合物A−286を得る方法としては、下記反応スキームのとおりにして(式中R〜R、X〜X、Qは前記のとおりである。)、本発明の製造方法により得た2−クロロメチル−6−メチルピリジンの塩酸塩と別途合成したオキシム化合物とを水酸化ナトリウムなどの塩基の存在下で縮合することにより合成することができる。このとき前記特許文献1の記載を参考にしてもよい。
【0022】
【化2】

【0023】
本発明の製造方法によれば、上述のとおり2−クロロメチル−6−メチルピリジンを高収率でしかも分離しにくい副生成物や殺菌剤としたときに有害な不純物等を僅少に抑えて得ることができるため、そのまま上記殺菌剤の製造に用いることができ、極めて良質の農園芸用殺菌剤を工業的規模で効率的に、必要により大量に生産し、広く提供することができるという利点を有する。
【実施例】
【0024】
以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において「%」とは特に断らない限りモル量基準である。
【0025】
<実施例1>
2,6−ジメチルピリジン−N−オキシド3.0g(0.024モル)をジクロロメタン30.0mLに溶解し、室温(約28℃)でオキシ塩化リン3.68g(0.024モル)を滴下した。続いて、トリエチルアミン2.44g(0.024モル)を40℃にて滴下し、そのまま3時間攪拌した。
【0026】
得られた反応後の生成液をGC(ガスクロマトグラフィー、島津社製、GC−2014(商品名)、キャリア:He(1.7kg/cm)、カラム:GL Sciences社製,NEUTRA BOND−5(商品名))で分析し、90.0%の2−クロロメチル−6−メチルピリジンが生成していることを確認した。4−クロロ−2−メチル−6−メチルピリジンの副生は0.05%であった。
【0027】
<実施例2>
オキシ塩化リン3.68g(0.024モル)をジクロロメタン30.0mLに溶解し、室温で2,6−ジメチルピリジン−N−オキシド3.0g(0.024モル)を滴下した。続いて、トリエチルアミン2.44g(0.024モル)を40℃にて滴下し、そのまま3.5時間攪拌した。
【0028】
得られた反応後の生成液を実施例1と同様にGCで分析し、91.0%の2−クロロメチル−6−メチルピリジンが生成していることを確認した。4−クロロ−2−メチル−6−メチルピリジンの副生は0.03%であった。
【0029】
実施例1および実施例2で得られた生成液に、それぞれ水を加え、ジクロロメタンで抽出、分液し、塩酸にてpH1に調整して、合わせて純分4.2g(61%)の工業利用上有用な2−クロロメチル−6−メチルピリジン塩酸塩を50%水溶液(8.4g)として得た。
【0030】
<実施例3>
2,6−ジメチルピリジン−N−オキシド15.0g(0.122モル)をジクロロメタン34.0mLに溶解し、室温でオキシ塩化リン24.37g(0.159モル)と、トリエチルアミン16.17g(0.159モル)とを40℃にて同時滴下し、そのまま1.7時間攪拌した。
【0031】
得られた反応後の生成液を実施例1と同様にGCで分析し、96.0%の2−クロロメチル−6−メチルピリジンが生成していることを確認した。4−クロロ−2−メチル−6−メチルピリジンの副生は0.06%であった。
【0032】
得られた上記生成液に水を加え、ジクロロメタンで抽出、分液し、塩酸にてpH1に調整して、純分で10.4g(60%)の2−クロロメチル−6−メチルピリジン塩酸塩を50%水溶液(20.8g)として得た。この水溶液を上記と同様にしてGC分析したところ、2−クロロメチル−6−メチルピリジンの純度は99.2%であった。
【0033】
<実施例4〜10>
反応に用いる塩基の種類および/または溶媒の種類を、下記表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして反応を行い、2−クロロメチル−6−メチルピリジンを生成させた。このときの2−クロロメチル−6−メチルピリジンの収率を下表1に示した。なお、表1には、上記実施例1〜3及び下記比較例2の結果も併せて示した。
【0034】
【表1】

【0035】
<比較例1>
2−メチルピリジン−N−オキシド5.0g(0.046モル)をジクロロメタン13mLに溶解し、40℃でオキシ塩化リン8.5g(0.054モル)とトリエチルアミン5.3g(0.052モル)を同時滴下し、1.0時間攪拌した(溶媒中の2−メチルピリジン−N−オキシド、オキシ塩化リン、トリエチルアミンの合計モル濃度は11.7mol/lである。)。
得られた反応後の生成液を実施例1と同様にGCで分析し、60.9%の2−クロロメチルピリジンが生成していることを確認した。また、4−クロロ−2−メチルピリジンと6−クロロ−2−メチルピリジンとの副生は合計で4.7%であり、その他、不純物ピークを多数観測した。
【0036】
<比較例2>
トリエチルアミンの代わりに、ピリジン1.9g(0.024モル)を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。得られた反応生成液を実施例1と同様にGC分析したところ2−クロロメチル−6−メチルピリジンは8%しか生成せず、多量の原料を回収した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基の存在下、2,6−ジメチルピリジン−N−オキシドとオキシ塩化リンとを反応させることを特徴とする2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法。
【請求項2】
前記塩基がアミン化合物であり、その共役酸の水中でのpKaが6.0〜12.0である請求項1に記載の2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法。
【請求項3】
前記塩基が第3アミン化合物であり、その共役酸の水中でのpKaが6.0〜12.0である請求項1又は2に記載の2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法。
【請求項4】
2,6−ジメチルピリジン−N−オキシド1モルに対して、オキシ塩化リン1.0〜2.0モル、塩基1.0〜2.0モルを反応させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法。
【請求項5】
前記2−クロロメチル−6−メチルピリジンを農園芸用殺菌剤の原料化合物として用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の2−クロロメチル−6−メチルピリジンの製造方法。

【公開番号】特開2010−77030(P2010−77030A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244045(P2008−244045)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(393021967)イハラニッケイ化学工業株式会社 (13)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【出願人】(000102049)イハラケミカル工業株式会社 (48)
【Fターム(参考)】