説明

2−シアノアクリレートの精製方法

【課題】既に着色している2−シアノアクリレートに特定の芳香族多価ヒドロキシ化合物を添加し、0℃〜40℃で0.5日以上経過後に減圧蒸留することにより、着色が改善され、その後の着色進行も改善された2−シアノアクリレートの精製方法を提供すること。
【解決手段】 粗2−シアノアクリレートに式(1)で示される化合物およびレゾルシンからなる群から選ばれた少なくとも1種の芳香族多価ヒドロキシ化合物を添加、0℃〜40℃で0.5日以上経過後減圧蒸留にて、低沸分を5〜40重量%、高沸分を10〜30重量%カットし、ハーゼン色数40以下の精2−シアノアクリレートを得ることにより目的が達成できる。


(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはアルコキシアルキルオキシカルボニル基を表わす。mは3〜5の整数、nは1〜3の整数であり、m+n=6である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−シアノアクリレートの精製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2−シアノアクリレート系接着剤は、主成分である2−シアノアクリレートのもつ特異なアニオン重合性により、被着体表面に付着するわずかな水分等のような微弱なアニオン等によって重合を開始し、各種材料を短時間で強固に接着することができるものである。このため、いわゆる瞬間接着剤として工業用、医療用、家庭用等の分野において広く用いられている。
【0003】
また、2−シアノアクリレート系接着剤が一般的に透明であることから、透明な板やシートを接着する為に用いられたり、光学用部品の接着剤として用いられたり、あるいは染料や顔料を接着剤に溶解させ、その染料や顔料の色を活かした接着を行うといった分野にも好適に使用されている。このような接着剤に透明性が求められる分野において、接着剤主成分のハーゼン色数が50以上の場合、接着剤として好適に使用できないということが報告されている。(特許文献1)
【0004】
一方、2−シアノアクリレート自体は無色透明の液体であるが、製造原料や製造時に発生する微量の不純物により、黄〜赤色の着色を帯びたり、熱・光・湿気の影響により、経時的に着色するという欠点があった。着色が一定以上大きくなった場合、前述のような接着剤に透明性を求める分野においては勿論のこと、一般的な用途においても、本来無色の液体が着色を帯びることによる、着色に関するクレームがあることから、その商品価値を著しく損ってしまう。
【0005】
2−シアノアクリレートの着色の原因については不純物の存在が、着色の原因や促進に関与していると考えられる事から、不純物発生に関与すると考えられる酸性ガスの少ない2−シアノアクリレートを製造する方法(特許文献2)あるいは、一般的に考えられる保管条件として光を遮断し、低温低湿下で保存することで着色を防止する方法が提示されているが、既に着色した2−シアノアクリレートの着色を低減させるような具体的な精製方法を提示するような文献や方法は知られていなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2010−235821号公報
【特許文献2】特開平4−124168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの方法は、着色を防止する方法で有り、脱色効果の記載やそれを示唆するような記載もない。又、着色防止効果も限定的で満足いくものではないため、すでに着色している2−シアノアクリレートを脱色し、更にその後の着色進行が抑制(色相安定性が改善)される2−シアノアクリレートの精製方法が望まれていた。本発明の目的は、すでに着色している2−シアノアクリレートを脱色し、更にその後の着色進行が抑制(色相安定性が改善)される2−シアノアクリレートの精製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討の結果、ある特定の芳香族多価ヒドロキシ化合物が2−シアノアクリレート中の着色物質および、着色物質に変化する物質である着色の原因物質に何らかの作用を及ぼして着色物質およびその原因物質を無害化し、その後に減圧蒸留により、その無害化された物質を除去する事で、ハーゼン色数50以上の2−シアノアクリレートからハーゼン色数40以下の着色の少ない2−シアノアクリレートが得られ、更にはその後の着色進行も大幅に低減されることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係る2−シアノアクリレートの精製方法とは、ハーゼン色数50以上の2−シアノアクリレートにある特定の芳香族多価ヒドロキシ化合物を添加し、0℃〜40℃で0.5日以上経過させた後、減圧蒸留することにより、ハーゼン色数40以下まで着色が改善され、その後の着色進行も改善された、2−シアノアクリレートの精製方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接着剤に透明性が求められている分野において好適に使用できないとの報告のある、ハーゼン色数50以上の2−シアノアクリレートにある特定の芳香族多価ヒドロキシ化合物を添加し、0℃〜40℃で0.5日以上経過させた後に減圧蒸留することにより、蒸留直後の着色が改善され、その後の着色進行も改善された2−シアノアクリレートを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における2−シアノアクリレートは、式(2)で示される2−シアノアクリレートが好適に用いられる。
【0011】
【化1】

(式中Rは炭素数1〜16の置換基を有していてもよい飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基を示す。)
【0012】
本発明における2−シアノアクリレ−トの具体例としては、例えば、2−シアノアクリル酸のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、オクチル、ネオペンチル、シクロヘキシル、エチルヘキシル、ドデシル、アリル、メトキシエチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、ベンジル、フェニル、クロロエチル、テトラヒドロフルフリル等のエステル類が挙げられる。また、これらの2−シアノアクリレートは1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0013】
本発明が適用される粗2−シアノアクリレートとは、ハーゼン色数50以上の2−シアノアクリレートである。2−シアノアクリレートの代表的な製造方法として、まず、酢酸シアノエステルおよびホルムアルデヒドを塩基性触媒の存在下に有機溶媒中で縮合させ、得られた縮合体を重合抑制剤および解重合触媒の存在下に酸性ガス気流中、高温減圧条件で解重合し、2−シアノアクリレートを得る方法がある。この2−シアノアクリレートを再留することで、通常ハーゼン色数20〜30の無色透明な2−シアノアクリレートが得られる。但し、2−シアノアクリレートは、非常に不安定な物質である為に、原料中に含まれる微量の不純物の存在や、製造中に酸性ガスが過剰に使用された場合は、ハーゼン色数は高くなる傾向にある。また、一定以上の温度に長時間暴露されたり、短時間でも高温に暴露された場合に、ハーゼン色数は高くなる傾向にある。このような粗2−シアノアクリレートは、通常の再留では、ハーゼン色数が50未満にはならない。あるいは、初期にハーゼン色数が50未満であっても経時変化により、ハーゼン色数が50を大きく超える着色を示す場合がある。
【0014】
このような着色した粗2−シアノアクリレートに式(1)
【0015】
【化2】

(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはアルコキシアルキルオキシカルボニル基を表わす。mは3〜5の整数、nは1〜3の整数であり、m+n=6である。)で示される化合物およびレゾルシンからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族多価ヒドロキシ化合物を添加し、0℃〜40℃で0.5日以上経過した後に減圧蒸留し、ある範囲の低沸分と高沸分を除く事で、本発明を完成するに至った。本発明における芳香族多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、ピロガロール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン等のトリヒドロキシベンゼン類、ガーリック酸メチル、ガーリック酸エチル、ガーリック酸プロピル、ガーリック酸ブチル等のアルキル基の炭素数が1〜4のガーリック酸アルキルエステル、ガーリック酸メトキシメチル、ガーリック酸メトキシエチル、ガーリック酸メトキシプロピル、ガーリック酸エトキシメチル、ガーリック酸エトキシエチル等のアルコキシアルキル基の炭素数が1〜4のガーリック酸アルコキシアルキルエステル、フロログルシノール、ベンゼンテトラオール、ベンゼンヘキサオール、レゾルシン、ガーリック酸等が挙げられる。これらの中でもガーリック酸、アルキル基の炭素数が1〜4のガーリック酸アルキルエステル、アルコキシアルキル基の炭素数が1〜4のガーリック酸アルコキシアルキルエステル、トリヒドロキシベンゼン類およびレゾルシンが好ましい。本発明における芳香族多価ヒドロキシ化合物は必要により1種又は2種以上の混合物として用いることができ、用いる量は粗2−シアノアクリレートに対して、通常は0.05〜5重量%であり、好ましくは0.1〜3重量%、さらに好ましくは、0.1〜1重量%である。添加量が0.05重量%より少ない場合は、着色低減効果が小さく、5重量%を超えた場合は、2−シアノアクリレートの品質を低下させる場合がある。
【0016】
減圧蒸留前に式(1)で示される芳香族多価ヒドロキシ化合物およびレゾルシンからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族多価ヒドロキシ化合物を添加した後、通常0℃〜40℃、好ましくは、10℃〜30℃で0.5日以上経過するまで減圧蒸留を実施しない。この間、密閉された容器で攪拌または無攪拌状態で保管を行う。この時の温度が温度が0℃より低すぎると脱色効果等が十分でない場合があり、40℃より高いと副反応により、2−シアノアクリレートの品質を低下させる場合がある。また、この期間は通常0.5日(12時間)〜30日であり、好ましくは、1日〜14日である。0.5日より短いと脱色効果等が十分に発揮できず、30日を越えた場合、生産効率が低下することから経済的側面からは好ましくない。
【0017】
前記期間経過後の蒸留条件としては、特に限定されるものではないが、通常0.1〜2kPaの減圧下で行う。例えば、0.6kPaの減圧下で蒸留した場合、蒸留温度としては30℃付近から低沸分の留出が始まり、60〜80℃の間で得られる主留分が本願の精2−シアノアクリレートの成分に該当する。本願で言う低沸分とは、蒸留を開始し、留出が開始してから所定の重量比に達した後に主留分に切り替わるまでの留分を示す。特に本願発明において2−シアノアクリレートの沸点と同一のものが留分として得られたとしても、本願記載の重量比に達するまでは低沸分として扱う。高沸分についても同様に本願発明において2−シアノアクリレートの沸点と同一のものが留分として得られたとしても、釜残を含む後留が本願記載の重量比に達する量を高沸分として扱う。なお、本願で言う所の低沸分、高沸分のカット率は、芳香族多価ヒドロキシ化合物や各種安定剤等を添加する前の、粗2−シアノアクリレートに対する重量%の値を表す。低沸分カット率としては、粗2−シアノアクリレートの着色度の大きさによって異なるが、通常、粗2−シアノアクリレートに対して5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。5重量%より少ないと着色低減効果は小さく、40重量%以上のカットでは経済的に優位でない。釜残を含む高沸分カット率としては、10〜30重量%であり、好ましくは10〜20重量%である。10重量%より少ないと着色低減効果は小さく、30重量%以上のカットでは経済的に優位でない。又、従来、2−シアノアクリレートの蒸留時に用いられているハイドロキノンや五酸化リンを必要に応じて用いる事が可能である。又、蒸留で得られた精製2−シアノアクリレートには、従来、添加して用いられている安定剤(例えば、二酸化イオウ、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、三弗化ホウ素ジエチルエーテル、ホウフッ化水素酸 、トリアルキルボレート等のアニオン重合禁止剤や、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のラジカル重合禁止剤等)、可塑剤(フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソデシル等)、着色剤、香料、溶剤、硬化促進剤、強度向上剤、脂肪族多価カルボン酸等、目的に応じ、2−シアノアクリレートモノマーの安定性を阻害しない範囲で適宜、添加配合して使用することができる。
【0018】
(着色度(色相)および色相安定性の測定)
本発明における2−シアノアクリレートの着色度(色相)を示す、ハーゼン色数はJIS K0071−1に準拠した方法により測定した。
また、接着剤組成物の色相安定性については、それぞれの接着剤組成物について70℃1週間保管後の色相を同様の方法により測定した。この測定結果は、保管容器や保管条件により一概には断定できないが、大よそ、室温で約1年保管した場合の色相変化に相当する。
【0019】
(純度)
以下の実施例において2−シアノアクリレートの純度は下記条件のガスクロマトグラフィー分析により定量した。なお、本実施例及び比較例に記載している純度は以下の分析条件によって得られた2−シアノアクリレートの面積百分率である。
ガスクロマトグラフィーでの分析条件
使用機器 :島津14A
カラム :シリコンXE−60
カラム温度:190℃
検出器 :FID
キャリヤー:N(40ml/min)
【0020】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく述べる。
粗2−シアノアクリレートの調製1では、解重合中に装置トラブルや操作トラブルが生じた場合、必要以上に長時間高熱で暴露され、着色の原因となる事があり、その再現実験により、ハーゼン色数50以上の粗2−シアノアクリレートを得た。粗2−シアノアクリレートの調製2及び3では、試薬で販売されている通常の純度99%のエチル−2−シアノアクリレートを窓際で日光暴露することにより、強制的に着色を進行させ、ハーゼン色数50以上の粗2−シアノアクリレートを得た。その後、一部の粗2−シアノアクリレートを更に高温に曝すことにより、着色度を更に高めたものを得た。
【0021】
(調製例1)
(粗2−シアノアクリレートの調製1)
攪拌機、温度計、水分離器、滴下ロートを備えた三ツ口フラスコにパラホルムアルデヒド360g、トルエン1200g、ピペリジン1.2gを仕込み、80〜90℃の温度に保ち、攪拌しながらシアノ酢酸エチルエステル1356gを60分かけて滴下した。滴下終了後、生成水を共沸分離しながら還流させ、理論量の水が留出するまで約6時間反応させ、ポリマーのトルエン溶液を得た。この溶液を常圧脱溶媒後、五酸化リン40g、ハイドロキノン12gを加えて、充分混合した。減圧脱溶媒した後、続いて0.6kPaの減圧下で150〜200℃に加熱して解重合を行い、通常2時間で解重合を終えるところを熱暴露を大きくする為に5時間かけ、1400gの粗2−シアノアクリレートを得た。このもののハーゼン色数を測定したところ150であった。
【0022】
(調製例2)
(粗2−シアノアクリレートの調製2)
試薬のエチル−2−シアノアクリレート(純度99%、ハーゼン色数30)2500gを透明のプラスチック容器に入れ、窓際に1ヶ月静置したところハーゼン色数は80となった。このもののうち、2000gをポリエチレン容器に入れ、70℃で1週間静置したもののハーゼン色数を測定したところ150であった。
【0023】
(調製例3)
調整例2において窓際に1ヶ月静置し、ハーゼン色数が80となったエチルー2-シアノアクリレートの残500gをそのまま以下比較例、実施例に使用した。
【0024】
(調製例4)
調整例2において窓際に1ヶ月静置し、ハーゼン色数が80となった後、2000gをポリエチレン容器に入れ、70℃で1週間静置し、ハーゼン色数が150となったもののうち、500gを更に70℃で1週間静置したものについてハーゼン色数を測定したところ250であった。
【0025】
以下比較例並びに実施例においては、それぞれ記載の減圧度に併せ、所定の初留分、主留分となるよう監視しながら適宜蒸留温度及び蒸留時間を調整した。また、低沸分及び高沸分の割合は初期に仕込んだ粗エチルー2−シアノアクリレートに対する重量%である。
【0026】
(比較例1)
調整例1によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、1kPaの減圧下、低沸分を3g(低沸分3%)留去させた後、主留分として82gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、15.5g(高沸分15%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレート80gに対し、0.0008gのホウフッ化水素酸と0.08gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ60であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ120であった。
【0027】
(比較例2)
調整例1によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、1kPaの減圧下、低沸分を30g(低沸分30%)留去させた後、主留分として40gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、30g(高沸分30%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレート40gに対し、0.0004gのホウフッ化水素酸と0.04gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ60であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ100であった。
【0028】
(比較例3)
調製例2によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、レゾルシンを0.1g添加し、混合後、40℃で2日静置した。その後、エチル−2−シアノアクリレート40gに対し、0.0004gのホウフッ化水素酸と0.04gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。減圧蒸留せずにこの接着剤についてハーゼン色数を測定したところ70であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ120であった。
【0029】
(比較例4)
調製例2によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールを0.1g添加し、混合後、40℃で2日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を3g(低沸分3%)留去させた後、主留分として82gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、15.3g(高沸分15%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレート75gに対し、0.00075gのホウフッ化水素酸と0.075gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ80であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ120であった。
【0030】
(比較例5)
調製例2によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、レゾルシンを1g添加し、混合後、20℃で5日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を3.2g(低沸分3%)留去させた後、主留分として82.5gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、15.1g(高沸分15%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレートのうち82gに対し、0.00082gのホウフッ化水素酸と0.082gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ70であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ110であった。
【0031】
(比較例6)
調製例2によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、ピロガロールを1g添加し、混合後、40℃で5日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を3.1g(低沸分3%)留去させた後、主留分として82.6gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、15.3g(高沸分15%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレートのうち82gに対し、0.00082gのホウフッ化水素酸と0.082gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ60であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ110であった。
【0032】
(比較例7)
調製例2によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、ガーリック酸メトキシエチルエステルを0.5g添加し、混合後、40℃で1日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を4.2g(低沸分4%)留去させた後、主留分として76.2gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、19.9g(高沸分20%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレートのうち75gに対し、0.00075gのホウフッ化水素酸と0.075gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ60であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ90であった。
【0033】
(比較例8)
調整例3によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、1kPaの減圧下、低沸分を29.9g(低沸分30%)留去させた後、主留分として40.2gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、30.1g(高沸分30%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレートのうち40gに対し、0.0004gのホウフッ化水素酸と0.04gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ60であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ100であった。
【0034】
(比較例9)
調製例3によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、ガーリック酸を1.0g添加し、混合後、20℃で5日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を3.1g(低沸分3%)留去させた後、主留分として77.2gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、20.7g(高沸分21%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレートのうち75gに対し、0.00075gのホウフッ化水素酸と0.075gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ60であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ90であった。
【0035】
(比較例10)
調製例3によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、カテコールを1.0g添加し、混合後、30℃で5日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を29.9g(低沸分30%)留去させた後、主留分として50.5gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、20.7g(高沸分21%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレートのうち50gに対し、0.0005gのホウフッ化水素酸と0.05gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ60であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ100であった。
【実施例1】
【0036】
調整例1によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、ガーリック酸メトキシエチルエステルを0.1g添加し、混合後、40℃で2日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を10g(低沸分10%)留去させた後、主留分として70gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、20.5g(高沸分20%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレート70gに対し、0.00070gのホウフッ化水素酸と0.070gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ30であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ50であった。
【実施例2】
【0037】
芳香族多価ヒドロキシ化合物である、ガーリック酸メトキシエチルエステルの添加量を2重量%、静置日数を1日とした以外は、実施例1と同じ粗エチル−2−シアノアクリレートを用い、静置条件、蒸留条件を同様にし、得られた精製エチル−2−シアノアクリレートに対して同じ接着剤組成物になるように調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ30であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ50であった。
【実施例3】
【0038】
芳香族多価ヒドロキシ化合物である、ガーリック酸メトキシエチルエステルの添加量を0.5重量%、静置温度を20℃、静置日数を10日とした以外は、実施例1と同じ粗エチル−2−シアノアクリレートを用い、静置条件、蒸留条件を同様にし、得られた精製エチル−2−シアノアクリレートに対して同じ接着剤組成物になるように調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ20であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ40であった。
【実施例4】
【0039】
調整例1によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、ガーリック酸を0.1g添加し、混合後、20℃で10日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を5g(低沸分5%)留去させた後、主留分として85gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、10.2g(高沸分10%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレート75gに対し、0.00075gのホウフッ化水素酸と0.075gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ30であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ50であった。
【実施例5】
【0040】
蒸留条件として初留分を40g(低沸分40%)、主留分を30g、高沸分を30.5g(高沸分30%)とした以外は、実施例4と同じように行った。得られた精製エチル−2−シアノアクリレートに対して同じ接着剤組成物になるように調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ10であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ30であった。
【実施例6】
【0041】
調整例2によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、ピロガロールを1g添加し、混合後、10℃で15日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を20g(低沸分20%)留去させた後、主留分として60gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、20.3g(高沸分20%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレート60gに対し、0.0006gのホウフッ化水素酸と0.06gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ30であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ40であった。
【実施例7】
【0042】
調整例2によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、ピロガロールを1g添加し、混合後、30℃で15日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を20g(低沸分20%)留去させた後、主留分として65gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、15.3g(高沸分15%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレート65gに対し、0.00065gのホウフッ化水素酸と0.065gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ30であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ50であった。
【実施例8】
【0043】
調製例2によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、レゾルシンを5g添加し、混合後、20℃で30日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を15g(低沸分15%)留去させた後、主留分として65gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、20.5g(高沸分20%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレート20gに対し、0.0002gのホウフッ化水素酸と0.02gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ30であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ80であった。
【実施例9】
【0044】
調製例1によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、ガーリック酸を1g添加し、混合後、20℃で1日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を6.9g(低沸分7%)留去させた後、主留分として73.1gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、20.3g(高沸分20%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレートのうち70gに対し、0.0007gのホウフッ化水素酸と0.07gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ20であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ50であった。
【実施例10】
【0045】
調製例2によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、ピロガロールを3g添加し、混合後、20℃で2日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を7.3g(低沸分7%)留去させた後、主留分として75.2gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、20.9g(高沸分21%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレートのうち70gに対し、0.0007gのホウフッ化水素酸と0.07gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ30であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ60であった。
【実施例11】
【0046】
調製例2によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、ピロガロールを2g添加し、混合後、30℃で5日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を30.2g(低沸分30%)留去させた後、主留分として40.8gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、31.3g(高沸分31%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレートのうち40gに対し、0.0004gのホウフッ化水素酸と0.04gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ10であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ40であった。
【実施例12】
【0047】
調製例2によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、レゾルシンを1g添加し、混合後、30℃で2日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を30.3g(低沸分30%)留去させた後、主留分として50.3gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、20.4g(高沸分20%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレートのうち40gに対し、0.0004gのホウフッ化水素酸と0.04gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ10であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ50であった。
【実施例13】
【0048】
調製例3によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、レゾルシンを0.5g添加し、混合後、20℃で1日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を20.2g(低沸分20%)留去させた後、主留分として60.5gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、19.9g(高沸分20%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレートのうち50gに対し、0.0005gのホウフッ化水素酸と0.05gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ10であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ50であった。
【実施例14】
【0049】
調製例4によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、ガーリック酸を1g添加し、混合後、30℃で5日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を10.2g(低沸分10%)留去させた後、主留分として60.5gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、30.3g(高沸分30%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレートのうち50gに対し、0.0005gのホウフッ化水素酸と0.05gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ30であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ60であった。
【実施例15】
【0050】
調製例4によって得られた粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して、ピロガロールを3g添加し、混合後、30℃で5日静置した。その後、粗エチル−2−シアノアクリレート100gに対して重合禁止剤として、ハイドロキノン0.5g及び五酸化リン0.1gをそれぞれ添加し、0.3kPaの減圧下、初留分を30.3g(低沸分30%)留去させた後、主留分として51.6gの精製エチル−2−シアノアクリレート(純度99%)を得た。高沸分である後留と釜残は、21.0g(高沸分21%)であった。この精製エチル−2−シアノアクリレートのうち50gに対し、0.0005gのホウフッ化水素酸と0.05gのハイドロキノンを添加した接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物についてハーゼン色数を測定したところ10であった。この接着剤組成物をポリエチレン容器に入れ、70℃1週間後のハーゼン色数を測定したところ50であった。













【0051】
【表1】

【0052】
【表2】






【0053】
【表3】























【0054】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーゼン色数50以上の粗2−シアノアクリレートを精製するにあたり、粗2−シアノアクリレートに式(1)で示される化合物およびレゾルシンからなる群から選ばれた少なくとも1種の芳香族多価ヒドロキシ化合物を添加し、0℃〜40℃で0.5日以上経過した後に減圧蒸留にて、粗2−シアノアクリレートに対し低沸分を5〜40重量%、高沸分を10〜30重量%カットし、ハーゼン色数40以下の精2−シアノアクリレートを得ることを特徴とした2−シアノアクリレートの精製方法。
【化1】


(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはアルコキシアルキルオキシカルボニル基を表わす。mは3〜5の整数、nは1〜3の整数であり、m+n=6である。)
【請求項2】
芳香族多価ヒドロキシ化合物がガーリック酸、アルキル基の炭素数が1〜4のガーリック酸アルキルエステル、アルコキシアルキル基の炭素数が1〜4のガーリック酸アルコキシアルキルエステル、トリヒドロキシベンゼン類およびレゾルシンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の2−シアノアクリレートの精製方法。
【請求項3】
減圧蒸留時の低沸分のカット率が、粗2−シアノアクリレートに対し10〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の2−シアノアクリレートの精製方法。

【公開番号】特開2012−193164(P2012−193164A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−19375(P2012−19375)
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【特許番号】特許第5000018号(P5000018)
【特許公報発行日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(000216243)田岡化学工業株式会社 (115)
【Fターム(参考)】