説明

2−ブチル−1−オクタノールのエステルを含有する化粧品組成物

本発明は、化粧品および/または医薬品における、2−ブチルオクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸とのエステルの使用に関する。該化合物は、特に明るい感覚を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品および/または医薬品における2−ブチル−1−オクタノールのエステルの使用、特定のエステルおよびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚ケアおよびヘアケア用化粧品エマルジョンは、消費者により数多くの要求が課せられている。所望の用途を決定する洗浄およびケア効果の他に、可能性のある最高の皮膚適合性、良好な脂質層増強特性、エレガントな外観、最適な感覚印象および貯蔵安定性などのような様々なパラメータが重要である。
【0003】
一連の界面活性物質の他に、ヒト皮膚およびヘアの洗浄およびケアに使用するための調製物は、通常、特に油成分と水を含有する。用いられる油成分(エモリエント)は、例えば、炭化水素、エステル油および植物性と動物性の油/脂肪/ワックスを包含する。感覚特性および最適な皮膚適合性に関する商業上の厳しい要求を満たすため、新規な油成分および乳化剤混合物が絶えず開発され試験されている。化粧品におけるエステル油の使用は、長い間既知である。それらの重要性のため、それらの新規製造方法も絶えず開発されている。特に「より明るい」皮膚感覚を与える分枝状エステル油は、徹底した研究の対象である。2−メチル−1,3−プロパンジオールモノエステルの使用は、例えば、独国特許DE10160681の主題であり、2−メチル−1,3−プロパンジオールジエステルの使用は、独国特許DE10160682に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、それらの感覚特性(明るさ、「油っぽくない皮膚感覚」、柔らかさ、伸展性、吸収性、分布挙動、油性)に関して改善されたプロフィールを有する、および多くの化粧品処方物に組み込まれ得る、好ましくは20℃で液体である、化粧品用途のための新規エステル油を提供することである。これに関して、該エステルの加水分解安定性および低pH値での該エステルの処方される能力も興味深いものであった。さらに、該エステルは、w/o処方物およびo/w処方物の両方に組み込むことが可能であるべきである。さらに、該エステルは、特に結晶性UVフィルター、顔料、制汗剤、塩およびシリコーンと適合性であるべきである。驚くべきことに、2−ブチル−1−オクタノールのエステルは感覚的に明るい生成物を導くことが見出された。これらのエステルおよびそれらの製造方法の幾つかは、Knothe G.、JAOCS、第78巻、第5号、2001年、第537〜540頁に記載されている。該文献に記載のエステルは、バイオディーゼルのための可能性のある添加剤として記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、化粧品および/または医薬品における、2−ブチルオクチル2−ブチルオクタノエート、2−ブチルオクチル2−ブチルデカノエート、2−ブチルオクチル2−ヘキシルデカノエートおよび2−ブチルオクチル2−オクチルドデカノエートを除く、2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸とのエステルの使用を提供する。
【0006】
驚くべきことに、2−ブチル−1−オクタノールのエステルは、化粧品処方物、特には「明るい」皮膚感覚が重要である処方物に特に適当である。該エステルは、種々の処方物中に特に容易に組み込むことができる。鎖長、分枝および二重結合の数に応じて、液体物質混合物が得られ、これは、したがって油成分またはコンシステンシー調整剤として適当である。本発明によれば、単独の2−ブチル−1−オクチルC2〜C36カルボン酸エステルまたは2−ブチル−1−オクチルC2〜C36ジカルボン酸エステル或いはそれらの任意の混合物を使用することができる。
【0007】
さらに、本発明は、化粧品および/または医薬品における、2−ブチル−1−オクタノールと直鎖状C2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸とのエステルの使用を提供する。
【0008】
さらに、本発明は、化粧品および/または医薬品における油成分としての、2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸とのエステルの使用を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、化粧品および/または医薬品における油成分としての、2−ブチルオクチル2−ブチルオクタノエート、2−ブチルオクチル2−ブチルデカノエート、2−ブチルオクチル2−ヘキシルデカノエートおよび2−ブチルオクチル2−オクチルドデカノエートを除く、2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸とのエステルの使用を提供する。
【0010】
特に本発明は、身体の洗浄および/または身体のケアに使用されるユーティリティワイプおよび/または衛生ワイプの湿潤または含浸または被覆のための化粧品および/または医薬品における、2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸とのエステルの使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
用語「2−ブチル−1−オクタノール」および「2−ブチルオクタノール」は、本明細書において同意語として使用され、同様に、接頭辞「2−ブチル−1−オクチル」および「2−ブチルオクチル」も同意語として使用される。
【0012】
本発明の好ましい実施態様において、総炭素数が24以下、好ましくは22以下であるエステルが使用される。
【0013】
本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと、C4〜C30、特にC6〜C24、特にC6〜C22、特にC6〜C18、特にC8〜C18、好ましくはC8〜C16、好ましくはC8〜C12、特にC6〜C10のカルボン酸または対応するジカルボン酸から選択されるカルボン酸とのエステルの使用が好ましい。
【0014】
本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと、C2〜C36、C5〜C30、C6〜C26、C7〜C24、C8〜C22、C9〜C20、C10〜C18、C11〜C17、C11〜C16、C12〜C15、C13〜C14のカルボン酸または対応するジカルボン酸とのエステルの使用が適当である。
【0015】
本発明の特に好ましい実施態様において、2−ブチル−1−オクタノールと、C2〜C18、C4〜C16、C6〜C12、C6〜C10のカルボン酸から選択されるカルボン酸とのエステル、並びに2−ブチル−1−オクタノールと、C2〜C18、C4〜C16、C6〜C12、C6〜C10のジカルボン酸から選択されるジカルボン酸とのエステルの使用が挙げられる。
【0016】
本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと飽和カルボン酸とのエステルの使用が好ましい。本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと飽和ジカルボン酸とのエステルの使用が好ましい。
【0017】
本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと直鎖状、非分枝状カルボン酸とのエステルの使用が好ましい。本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと直鎖状、非分枝状ジカルボン酸とのエステルの使用が好ましい。
【0018】
用語「CXカルボン酸」は、総炭素数Xを有するカルボン酸を包含する。したがって、例えば、「C8カルボン酸」は、総炭素数8を有する全てのカルボン酸、例えばn−オクタン酸、イソ−オクタン酸またはメチルヘプタン酸などを包含する。したがって、用語「CXジカルボン酸」は、総炭素数Xを有する2つのカルボキシ基を含有する全ての酸を包含する。したがって、例えば、「C4ジカルボン酸」は、とりわけ、ブタン二酸(コハク酸)ならびにマレイン酸およびフマル酸を包含する。
本発明において、用語「カルボン酸」は「モノカルボン酸」を指す。
【0019】
本発明によるエステルの感覚試験は、既知のエモリエント(例えば種々の他のエステル油またはジアルキルカーボネート)に対して、感覚特性、特に伸展性に関して顕著な改善を示す。
【0020】
使用し得るカルボン酸は、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和、環式または非環式または芳香族カルボン酸である。
【0021】
本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと、例えば(括弧中、酸の慣用名)、n−ブタン酸(酪酸)、2−メチルプロパン酸(イソ酪酸)、ペンタン酸(吉草酸)、i−ペンタン酸、例えば2,2−ジメチルプロパン酸(ピバリン酸、ネオペンタン酸)および3−メチルブタン酸(イソペンタン酸、イソ吉草酸)など、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、i−オクタン酸、とのエステル、例えば特に2−エチルブチル2−エチルヘキサノエート、並びに2−エチルブチル3−エチルヘキサノエート、2−エチルブチル4−エチルヘキサノエート、2−エチルブチル5−エチルヘキサノエートなど、および分枝状オクタン酸の工業用混合物(これは、例えば、Cekanoic(登録商標) C8の名称のもとExxonから市販されている)が挙げられ、ノナン酸(ペラルゴン酸、ノニル酸)、デカン酸(カプリン酸)、i−デカン酸、例えばトリメチルヘプタン酸(ネオデカン酸、イソデカン酸)など、および分枝状デカン酸の工業用混合物(これは、例えば、Cekanoic(登録商標) C10の名称のもとExxonから市販されている)、ウンデカン酸、ウンデセン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、ダイマー脂肪酸(C36、例えば「Empol 1062」の名称でCognisから入手可能)、獣脂脂肪酸、ココナッツ脂肪酸、パーム脂肪酸、リシノール酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、2−エチルヘキサン酸、2−プロピルヘプタン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ブチルデカン酸、2−ヘキシルオクタン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘキシルドデカン酸、2−オクチルデカン酸、またはジカルボン酸、例えばフマル酸、マレイン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など、とのエステルも挙げられる。また、適当なものは、2−ブチル−1−オクタノールと、Exxon Mobileからのカルボン酸異性体混合物であるCekanoic(登録商標) C8(イソ−オクタン酸)、Cekanoic(登録商標) C9(イソノナン酸:3,5,5−トリメチルヘキサン酸および2,5,5−トリメチルヘキサン酸)およびCekanoic(登録商標) C10(イソデカン酸)とのエステルである。
【0022】
2−ブチル−1−オクタノールと芳香族カルボン酸とのエステルも本発明にしたがう。特定し得る芳香族カルボン酸は、例えば、安息香酸および/または安息香酸誘導体である。
【0023】
適当な安息香酸誘導体は、
− モノまたはポリカルボキシ−置換安息香酸、例えば、1,2−ベンゼンジカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸(テレフタル酸)のようなベンゼンジカルボン酸など。これらは、必要に応じてアルキル−またはヒドロキシル−置換され得る。
− モノまたはポリアルキル−置換安息香酸、例えば、2−メチル安息香酸(=o−トルイル酸)、3−メチル安息香酸(=m−トルイル酸)、4−メチル安息香酸(=p−トルイル酸)、2,4−ジメチル安息香酸、2−エチル安息香酸など。
− モノまたはポリヒドロキシ−置換安息香酸、例えば、2−ヒドロキシ安息香酸(サリチル酸)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸など。
− ヒドロキシル−およびアルキル−置換安息香酸、例えば、2−メチル−3−ヒドロキシ安息香酸など。
− ヒドロキシ−置換安息香酸のアシル化により得ることができる誘導体、例えば、アセチルサリチル酸など。
である。
【0024】
本発明の好ましい実施態様において、使用される安息香酸誘導体は、メチル置換安息香酸、ヒドロキシ置換安息香酸、カルボキシ置換安息香酸、およびヒドロキシ置換安息香酸のアシル化により得ることができる誘導体からなる群から選択される化合物である。
【0025】
例として、2−ブチル−1−オクタノールと安息香酸とのエステル、および2−ブチル−1−オクタノールとサリチル酸とのエステルを挙げることができる。
【0026】
表現「2−ブチル−1−オクタノールとジカルボン酸とのエステル」は、ジカルボン酸と2−ブチル−1−オクタノールとのジエステル(したがって、例えばジ−2−ブチルオクチルn−オクタン二酸ジエステル)およびモノエステル(例えば2−ブチルオクチルn−オクタン二酸モノエステルなど)の両方、並びにジカルボン酸の一つめの酸基が2−ブチル−1−オクタノールでエステル化され、および該ジカルボン酸の2つめの酸基がさらなるアルコールでエステル化された混合エステルを包含する。さらなる本発明の実施態様は、ジカルボン酸と、2−ブチル−1−オクタノールと、一般式R−OH(式中、Rは、1〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の飽和または不飽和のアルキル基である)を有する、さらなるアルコールとの混合エステルを包含する。
【0027】
さらなる実施態様において、ジカルボン酸と、2−ブチル−1−オクタノールと、一般式R−OH(式中、Rは、1〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の飽和アルキル基である)を有する、さらなるアルコールとの混合エステルが使用される。
【0028】
好ましい実施態様において、ジカルボン酸と、2−ブチル−1−オクタノールと、さらなるアルコール(ここで、さらなるアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、オクタノール、デカノールまたはドデカノールからなる群から選択される)との混合エステルが使用される。
【0029】
本発明の好ましい実施態様において、2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36ジカルボン酸とのエステル、ジエステルおよび混合エステルが使用される。
【0030】
さらに、本発明は、2−ブチルオクチル酢酸エステル、2−ブチルオクチルオクタノエート、2−ブチルオクチルデカノエート、2−ブチルオクチルドデカノエート、2−ブチルオクチルヘキサデカノエート、2−ブチルオクチルオクタデカノエート、2−ブチルオクチル9(Z)−オクタデセノエート、2−ブチルオクチル2−ブチルオクタノエート、および2−ブチルオクチル2−ブチルデカノエートを除く、並びに2−ブチル−1−オクタノールと分枝状C16〜C24カルボン酸とのエステルを除く、2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸とのエステルを提供する。
【0031】
さらに、本発明は、2−ブチルオクチル酢酸エステル、2−ブチルオクチルオクタノエート、2−ブチルオクチルデカノエート、2−ブチルオクチルドデカノエート、2−ブチルオクチルヘキサデカノエート、2−ブチルオクチルオクタデカノエート、および2−ブチルオクチル9(Z)−オクタデセノエートを除く、2−ブチル−1−オクタノールと直鎖状C2〜C36カルボン酸とのエステルを提供する。
本発明は、個々のエステルおよび異なるエステルの混合物の両方を包含する。
【0032】
本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと直鎖状、飽和または不飽和C2〜C7カルボン酸とのエステルが好ましい。
【0033】
本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと直鎖状、飽和または不飽和C11〜C15カルボン酸とのエステルが好ましい。本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと直鎖状、飽和または不飽和C19〜C36カルボン酸とのエステルが好ましい。
【0034】
本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと分枝状、飽和または不飽和C4〜C18カルボン酸とのエステルが好ましい。
【0035】
さらに、本発明は、ジ−2−ブチルオクチルブタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチル[2,4,4−トリメチルペンチル−1]ブタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチル[2−メチルプロピル−1]−ブタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルペンタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチル(2,2−ジメチル)ペンタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルヘキサン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルオクタン二酸ジエステル、およびジ−2−ブチルオクチルオクタン二酸ジエステルを除く、2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36ジカルボン酸とのエステルを提供する。
本発明は、個々のエステルおよび異なるエステルの混合物の両方を包含する。
【0036】
本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C4ジカルボン酸、特に直鎖状、飽和C2〜C4ジカルボン酸とのエステルが好ましい。
【0037】
本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールとC11〜C16ジカルボン酸、特に直鎖状、飽和C11〜C16ジカルボン酸とのエステルが好ましい。
【0038】
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルエタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルプロパン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソブタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−ヘプタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソヘプタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−ノナン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソノナン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−ウンデカン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソウンデカン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−ウンデセン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソウンデセン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−ドデカン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソドデカン二酸ジエステル、およびジ−2−ブチルオクチルテレフタル酸ジエステルからなる群から選択される2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36ジカルボン酸とのエステルを提供する。
【0039】
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルエタン二酸ジエステルを提供する。
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルプロパン二酸ジエステルを提供する。
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルn−ブタン二酸ジエステルを提供する。
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルn−ヘプタン二酸ジエステルを提供する。
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルイソヘプタン二酸ジエステルを提供する。
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルn−ノナン二酸ジエステルを提供する。
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルイソノナン二酸ジエステルを提供する。
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルn−ウンデカン二酸ジエステルを提供する。
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルイソウンデカン二酸ジエステルを提供する。
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルn−ウンデセン二酸ジエステルを提供する。
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルイソウンデセン二酸ジエステルを提供する。
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルn−ドデカン二酸ジエステルを提供する。
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルイソドデカン二酸ジエステルを提供する。
本発明は、ジ−2−ブチルオクチルテレフタル酸ジエステルを提供する。
【0040】
本発明の一実施態様は、2−ブチル−1−オクタノールと分枝状カルボン酸とのエステルに関する:本発明において、X個の炭素原子を有する用語「イソ−酸」は、合計X個の炭素原子を含有する全ての分枝状カルボン酸、したがって、例えばメチル、エチルまたはプロピル分枝した、必要に応じて多分枝した、カルボン酸を意味する。特定の一実施態様において、(必要に応じて多分枝した)メチル分枝したカルボン酸(=イソ−酸)のサブグループが使用される。
【0041】
以下のエステルが好ましい:
2−ブチルオクチルn−ノナン酸エステル、2−ブチルオクチルイソノナン酸エステル、2−ブチルオクチルn−ウンデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソウンデカン酸エステル、2−ブチルオクチルn−ウンデセン酸エステル、2−ブチルオクチルイソドデカン酸エステル、2−ブチルオクチルn−トリデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソトリデカン酸エステル、2−ブチルオクチルn−テトラデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソテトラデカン酸エステル、2−ブチルオクチルn−ペンタデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソペンタデカン酸エステル、2−ブチルオクチル安息香酸エステル。
【0042】
本発明は、2−ブチルオクチルn−ノナン酸エステルを提供する。
本発明は、2−ブチルオクチルイソノナン酸エステルを提供する。
本発明は、2−ブチルオクチルn−ウンデカン酸エステルを提供する。
本発明は、2−ブチルオクチルイソウンデカン酸エステルを提供する。
本発明は、2−ブチルオクチルn−ウンデセン酸エステルを提供する。
本発明は、2−ブチルオクチルイソドデカン酸エステルを提供する。
本発明は、2−ブチルオクチルn−トリデカン酸エステルを提供する。
本発明は、2−ブチルオクチルイソトリデカン酸エステルを提供する。
本発明は、2−ブチルオクチルn−テトラデカン酸エステルを提供する。
本発明は、2−ブチルオクチルイソテトラデカン酸エステルを提供する。
本発明は、2−ブチルオクチルn−ペンタデカン酸エステルを提供する。
本発明は、2−ブチルオクチルイソペンタデカン酸エステルを提供する。
本発明は、2−ブチルオクチル安息香酸エステルを提供する。
【0043】
驚くべきことに、上記エステルが化粧品および/または医薬品における使用に特に適当であることが見出された。
【0044】
また、本発明によれば、2−ブチルオクタノールと対応する酸とを含んでなる混合物を反応させることを含む、上記エステルの製造方法が提供される。
【0045】
したがって、本発明は、2−ブチルオクタノールと少なくとも一つのC2〜C36カルボン酸とを含んでなる混合物を反応させることを含む、請求項7に係るエステルの製造方法を提供する。
【0046】
したがって、本発明は、2−ブチルオクタノールと少なくとも一つのC2〜C36ジカルボン酸とを含んでなる混合物を反応させることを含む、請求項9に係るエステルの製造方法を提供する。
【0047】
同様に、本発明による方法は、2−ブチルオクタノールを対応する酸混合物と反応させることを含む、エステル混合物の製造方法も包含する。
【0048】
同様に、本発明による方法は、2−ブチルオクタノールと、少なくとも一つのC2〜C36ジカルボン酸と、一般式R−OH(式中、Rは、1〜12個の炭素原子を有する、飽和、直鎖状または分枝状アルキル基である)で示される少なくとも一つのさらなるアルコールとの混合物を反応させることを含む、2−ブチルオクタノールと少なくとも一つのC2〜C36ジカルボン酸との混合エステルの製造方法も包含する。
【0049】
本発明の好ましい実施態様において、アルコールと対応する酸とを含んでなる混合物を、エステル化触媒を添加して反応させる。
【0050】
好ましい実施態様において、アルコールと対応する酸とを含んでなる混合物を加熱し、形成された水を連続的に除去し、次いで、粗生成物を蒸留する。該方法は、エステル化触媒を添加して、例えば酸触媒または塩基触媒の存在下に行うことができる。好ましい実施態様において、該方法は、溶媒を添加せずに、好ましくはできる限り無水である出発物質を用いて行う。該方法の好ましい実施態様において、錫触媒が使用される。適当な錫触媒は、例えば、シュウ酸錫(例えばFascat(登録商標) 2001)、酸化錫(SnO、Fascat(登録商標) 2000)および錫(IV)触媒、例えばジブチル錫ジアセテート(Fascat(登録商標) 4200)、ジブチル錫オキシド(Fascat(登録商標) 4201)およびジブチル錫ラウレート(Fascat(登録商標) 4202)または酸化錫(SnO)(これらは、かつてAtofinaから市販されていたが、現在は、Arkemaから市販されている)。
該エステル化は、好ましくは100〜300℃の間の温度、とりわけ、200〜250℃の間の温度で行う。
【0051】
さらなる実施態様において、使用される触媒は少なくとも一つの酵素である。適当な酵素は、アルコールおよび酸のエステル化を触媒することができる、当業者に既知の全ての酵素または酵素混合物、例えばリパーゼ、アシルトランスフェラーゼおよびエステラーゼである。酵素触媒エステル化は、通常、20〜100℃の温度、好ましくは40〜80℃の温度で行う。
【0052】
本発明は、2−ブチルオクタノールと対応する酸のメチルエステルとを含んでなる混合物を、エステル交換触媒を添加して反応させることを含む、本発明のエステルの製造方法を提供する。
【0053】
本発明は、2−ブチルオクタノールと対応する酸のメチルエステルの混合物とを含んでなる混合物を、エステル交換触媒を添加して反応させることを含む、エステル混合物の製造方法を提供する。
【0054】
好ましい実施態様において、アルコールと対応する酸のメチルエステルとを含んでなる混合物を、エステル化触媒を添加して加熱し、形成された水を連続的に除去し、次いで、粗生成物を蒸留する。好ましい実施態様において、該方法は、溶媒を添加することなく、好ましくはできる限り無水である出発材料を用いて行う。
【0055】
好ましくは、該エステル化は、100〜300℃、特に200〜250℃の間の温度で行う。使用し得るエステル交換触媒は、当業者に既知の全てのエステル交換触媒である。好ましくは、エステル交換触媒として、ナトリウムメチレートまたはテトラアルキルチタネートが使用される。
【0056】
さらなる実施態様において、使用される触媒は少なくとも一つの酵素である。適当な酵素は、アルコールおよび酸メチルエステルのエステル交換を触媒することができる、当業者に既知の全ての酵素または酵素混合物、例えばリパーゼ、アシルトランスフェラーゼおよびエステラーゼである。酵素触媒エステル化は、通常、20〜100℃の温度、および好ましくは40〜80℃の温度で行う。
【0057】
〔化粧品および/または医薬品〕
2−ブチル−1−オクチルエステルは、特に明るい皮膚感覚を有する安定性化粧品および医薬品エマルジョンの製造を可能にする。
【0058】
したがって、本発明は、さらに、
(a)2−ブチルオクチル2−ブチルオクタノエート、2−ブチルオクチル2−ブチルデカノエート、2−ブチルオクチル2−ヘキシルデカノエート、および2−ブチルオクチル2−ドデカノエートを除く、2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C18カルボン酸またはC2〜C18ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、および
(b)少なくとも一つの乳化剤(b−1)および/または界面活性剤(b−2)および/またはワックス成分(b−3)および/またはポリマー(b−4)および/またはさらなる油成分(b−5)
を含んでなる化粧品および/または医薬品を提供する。
【0059】
したがって、本発明は、さらに、
(a)2−ブチル−1−オクタノールと直鎖状C2〜C36カルボン酸または直鎖状または分枝状C2〜C36ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールと直鎖状C2〜C18カルボン酸または直鎖状または分枝状C2〜C18ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、および
(b)少なくとも一つの乳化剤(b−1)および/または界面活性剤(b−2)および/またはワックス成分(b−3)および/またはポリマー(b−4)および/またはさらなる油成分(b−5)
を含んでなる化粧品および/または医薬品を提供する。
【0060】
本発明は、
a)2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C18カルボン酸またはC2〜C18ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、および
b−1)少なくとも一つの乳化剤
を含んでなる化粧品および/または医薬品を提供する。
【0061】
また、本発明は、
a)2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C18カルボン酸またはC2〜C18ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、および
b−2)少なくとも一つの界面活性剤
を含んでなる化粧品および/または医薬品を提供する。
【0062】
本発明は、
a)2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C18カルボン酸またはC2〜C18ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、および
b−3)少なくとも一つのワックス成分
を含んでなる化粧品および/または医薬品を提供する。
【0063】
本発明は、
a)2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C18カルボン酸またはC2〜C18ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、および
b−4)少なくとも一つのポリマー
を含んでなる化粧品および/または医薬品を提供する。
【0064】
本発明は、
a)2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C18カルボン酸またはC2〜C18ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、および
b−5)少なくとも一つのさらなる油成分
を含んでなる化粧品および/または医薬品を提供する。
【0065】
好ましくは、本発明の調製物は、0.1〜80重量%、特には0.5〜70重量%、好ましくは0.75〜60重量%、特には1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%の2−ブチルオクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸との少なくとも一つのエステルを含んでなる。
【0066】
本発明は、さらに、
a)0.1〜80重量%、特には0.1〜70重量%、好ましくは0.1〜60重量%、特には0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%の2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C18カルボン酸またはC2〜C18ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、
b)0.1〜20重量%の乳化剤(b−1)および/または界面活性剤(b−2)および/またはワックス成分(b−3)および/またはポリマー(b−4)、
b−5)0.1〜40重量%のさらなる油成分、および
c)0〜98重量%の水
を含んでなる化粧品および/または医薬品を提供する。
【0067】
本発明の調製物は、少なくとも0.1重量%、特には少なくとも0.5重量%、特には少なくとも0.75重量%、好ましくは少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%の一以上のエステル(a)を含んでなる。
全ての重量%データは、化粧品および/または医薬品に基づく重量%を指す。
【0068】
本発明の好ましい実施態様において、上記調製物は、総炭素数が24以下、好ましくは22以下のエステルを含んでなる。
【0069】
本発明の調製物は、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールと脂肪族カルボン酸とのエステルを含んでなる。
【0070】
本発明の調製物は、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールと、C4〜C30、特にはC6〜C24、特にはC6〜C22、特にはC6〜C18、特にはC8〜C18、好ましくはC8〜C16、好ましくはC8〜C12、特にはC6〜C10のカルボン酸または対応するジカルボン酸から選択されるカルボン酸とのエステルを含んでなる。
【0071】
本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと、C4〜C36、C5〜C30、C6〜C26、C7〜C24、C8〜C22、C9〜C20、C10〜C18、C11〜C17、C11〜C16、C12〜C15、C13〜C14のカルボン酸または対応するジカルボン酸とのエステルが本発明の調製物に適当である。
【0072】
本発明の特に好ましい実施態様において、本発明の調製物は、2−ブチル−1−オクタノールと、C4〜C16、C6〜C12およびC6〜C10のカルボン酸から選択されるカルボン酸とのエステル、および2−ブチル−1−オクタノールと、C4〜C16、C6〜C12およびC6〜C10のジカルボン酸から選択されるジカルボン酸とのエステルを含んでなる。
【0073】
本発明において、好ましくは、2−ブチル−1−オクタノールと、C4〜C16および好ましくはC6〜C10のカルボン酸または対応するジカルボン酸とのエステルを含んでなる調製物が挙げられる。これらのなかでも、直鎖状、非分枝状カルボン酸が好ましい。
【0074】
本発明の調製物は、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールと飽和カルボン酸とのエステルを含んでなる。
本発明の調製物は、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールと飽和ジカルボン酸とのエステルを含んでなる。
本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと直鎖状、非分枝状カルボン酸とのエステルの使用が好ましい。
本発明によれば、2−ブチル−1−オクタノールと直鎖状、非分枝状ジカルボン酸とのエステルの使用が好ましい。
本発明の調製物は、個々のエステルおよび異なるエステルの混合物の両方を含んでなり得る。
【0075】
本発明の好ましい実施態様において、上記調製物は、2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C16カルボン酸またはC8〜C12ジカルボン酸との少なくとも一つのエステルを含んでなる。
【0076】
本発明の好ましい実施態様において、上記調製物は、2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C12カルボン酸またはC4〜C10ジカルボン酸との少なくとも一つのエステルを含んでなる。
【0077】
本発明の好ましい実施態様において、上記調製物は、2−ブチルオクチルn−ノナン酸エステル、2−ブチルオクチルイソノナン酸エステル、2−ブチルオクチルn−ウンデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソウンデカン酸エステル、2−ブチルオクチルn−ウンデセン酸エステル、2−ブチルオクチルn−ドデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソドデカン酸エステル、2−ブチルオクチルn−トリデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソトリデカン酸エステル、2−ブチルオクチルn−テトラデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソテトラデカン酸エステル、2−ブチルオクチルn−ペンタデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソペンタデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソヘキサデカン酸エステルまたはそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つのエステルを含んでなる。
【0078】
化粧品および/または医薬品のさらなる好ましい実施態様は、
(a)0.1〜80重量%、特には0.1〜70重量%、好ましくは0.1〜60重量%、好ましくは0.1〜50重量%の2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C18カルボン酸またはC2〜C18ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、
(b)0.1〜20重量%の乳化剤(b−1)および/または界面活性剤(b−2)および/またはワックス成分(b−3)および/またはポリマー(b−4)および0.1〜40重量%のさらなる油成分(b−5)、および
(d)0〜98重量%の水を含んでなる。
【0079】
用語「2−ブチルオクタノールとジカルボン酸とのエステル」は、ジカルボン酸と2−ブチルオクタノールとのジエステル(したがって、例えばジ−2−ブチルオクチルn−オクタン二酸ジエステル)およびモノエステル(例えば2−ブチルオクチルn−オクタン二酸モノエステルなど)の両方、並びにジカルボン酸の一つめの酸基が2−ブチルオクタノールでエステル化され、および該ジカルボン酸の2つめの酸基がさらなるアルコールでエステル化された混合エステルを包含する。
【0080】
さらなる実施態様において、ジカルボン酸と、2−ブチルオクタノールと、一般式R−OH(式中、Rは、1〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の飽和または不飽和のアルキル基である)で示されるさらなるアルコールとの混合エステルが使用される。
【0081】
さらなる実施態様において、ジカルボン酸と、2−ブチルオクタノールと、一般式R−OH(式中、Rは、1〜12個の炭素原子を有する飽和、直鎖状または分枝状アルキル基である)で示されるさらなるアルコールとの混合エステルが使用される。
【0082】
好ましい実施態様において、ジカルボン酸と、2−ブチルオクタノールと、さらなるアルコール(ここで、さらなるアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、オクタノール、デカノールまたはドデカノールからなる群から選択される)との混合エステルが使用される。
本発明の好ましい実施態様において、使用される2−ブチルオクタノールとC2〜C36ジカルボン酸とのエステルは、ジエステルおよび混合エステルである。
【0083】
好ましい実施態様において、本発明の調製物は、2−ブチルオクタノールと直鎖状、分枝状、飽和または不飽和のC4〜C32ジカルボン酸、特にC4〜C30、特にC6〜C24、特にC6〜C22、特にC8〜C18、特にC8〜C16、好ましくはC8〜C16、好ましくはC8〜C12のジカルボン酸とのエステルを含んでなる。
【0084】
本発明によれば、2−ブチルオクタノールと、C2〜C36、C5〜C30、C6〜C26、C7〜C24、C8〜C22、C9〜C20、C10〜C18、C11〜C17、C11〜C16、C12〜C15、C13〜C14のジカルボン酸とのエステルが本発明の調製物に適当である。
【0085】
本発明の特に好ましい実施態様において、上記調製物は、2−ブチルオクタノールと、C6〜C12ジカルボン酸から選択されるジカルボン酸とのエステルを含んでなる。
本発明によれば、2−ブチルオクタノールと飽和ジカルボン酸とのエステルが好ましい。
本発明によれば、2−ブチルオクタノールと直鎖状、非分枝状ジカルボン酸とのエステルが好ましい。
【0086】
ジカルボン酸と2−ブチルオクタノールとの適当なジエステルは、ジ−2−ブチルオクチルエタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルプロパン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−ブタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソブタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−ペンタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソペンタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−ヘキサン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソヘキサン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−ヘプタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソヘプタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−オクタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソオクタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−ノナン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソノナン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−デカン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソデカン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−ウンデカン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソウンデカン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−ウンデセン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソウンデセン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルn−ドデカン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルイソドデカン二酸ジエステルである。
【0087】
ジカルボン酸と2−ブチルオクタノールとメタノールとの適当な混合エステルは、2−ブチルオクチルメチルエタン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルプロパン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルn−ブタン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルイソブタン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルn−ペンタン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルイソペンタン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルn−ヘキサン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルイソヘキサン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルn−ヘプタン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルイソヘプタン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルn−オクタン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルイソオクタン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルn−ノナン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルイソノナン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルn−デカン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルイソデカン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルn−ウンデカン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルイソウンデカン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルn−ウンデセン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルイソウンデセン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルn−ドデカン二酸ジエステル、2−ブチルオクチルメチルイソドデカン二酸ジエステルである。
【0088】
同様に、ジカルボン酸と2−ブチルオクタノールと一般式R−OH(式中、Rは、1〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の飽和または不飽和のアルキル基である)で示される少なくとも一つのさらなるアルコールとの対応する混合エステルも含まれる。
【0089】
特に、ジカルボン酸と2−ブチルオクタノールと少なくとも一つのさらなるアルコール(ここで、さらなるアルコールは、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、オクタノール、デカノールまたはドデカノールからなる群から選択される)との対応する混合エステルも含まれる。
【0090】
本発明は、2−ブチルオクタノールとダイマー脂肪酸とのエステルを提供する。用語「ダイマー脂肪酸」は、不飽和脂肪酸、主にオレイン酸またはトール油脂肪酸の重合により得られるポリカルボン酸を指す。市販のダイマー脂肪酸は、少量の直鎖状および分枝状C18モノカルボン酸(モノマー脂肪酸)の他に、主にC36ジカルボン酸、および異なるレベルのC54トリカルボン酸(トリマー脂肪酸)およびわずかな高級ポリマー脂肪酸を含んでなる混合物からなる。
【0091】
本発明の調製物、本発明の組成物および本発明のエステルは、ベースとして、ボディケアおよび身体洗浄用の全ての化粧品組成物、例えば、ボディオイル、ベビーオイル、ボディミルク、クリーム、ローション、噴霧可能なエマルジョン、日焼け止め組成物、制汗剤、液体および固形石鹸などの中に組み込むのに適当である。また、それらは、界面活性剤含有処方物、例えば、フォームおよびシャワーバス、ヘアシャンプーおよびヘアケアリンスなどにおいて使用できる。それらは、衛生学およびケアの分野で使用されるティッシュ、ペーパー、ワイプ、不織布、スポンジ、パフ、石膏および包帯(ベビー衛生およびベビーケア用ウェットワイプ、洗浄ワイプ、顔洗浄用ワイプ、皮膚ケアワイプ、皮膚老化に対する活性成分を含んでなるケアワイプ、日焼け防止処方物および防虫剤を含んでなるワイプ、並びに化粧品用または紫外線治療後用ワイプ、トイレ用ワイプ、制汗用ワイプ、おむつ、ティッシュ、ウェットワイプ、衛生品、日焼け用ワイプ)におけるケア成分として適用することができる。また、それらは、とりわけ、ヘアケア、洗髪または染毛調製物において使用することができる。
【0092】
想定される用途に応じて、化粧品処方物は、一連のさらなる助剤および添加剤、例えば、界面活性剤、さらなる油成分、乳化剤、真珠光沢ワックス、コンシステンシー調整剤、増粘剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、脂質、ワックス、レシチン、リン脂質、生体活性物質、UV保護剤、抗酸化剤、脱臭剤、制汗剤、ふけ防止剤、皮膜形成剤、膨潤剤、防虫剤、日焼け剤、チロシン阻害剤(脱色剤)、ヒドロトロープ、可溶化剤、防腐剤、香油、染料などを含んでなる。これらの例を以下に列挙する。
【0093】
〔乳化剤b−1)〕
本発明の一実施態様において、本発明の調製物は、少なくとも一つの乳化剤を含んでなる。本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、0〜40重量%、好ましくは0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%および特には0.1〜10重量%の量で乳化剤を含んでなる。
【0094】
本発明の一実施態様において、本発明の調製物は、一以上の乳化剤を含んでなる。他の成分に応じて、当業者は、典型的な乳化剤系(例えば、乳化剤および共乳化剤など)を使用する。
【0095】
〔非イオン性乳化剤〕
非イオン性乳化剤の群は、例えば、以下のものを含む:
(1)8〜40個の炭素原子を有する直鎖状脂肪アルコール、12〜40個の炭素原子を有する脂肪酸およびアルキル基中に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、2〜50モルのエチレンオキシドおよび/または1〜20モルのプロピレンオキシドの付加生成物;
(2)グリセロールへの1〜50モルのエチレンオキシドの付加生成物のC12−18脂肪酸モノエステルおよびジエステル;
(3)6〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸のソルビタンモノエステルおよびジエステル、ならびにそのエチレンオキシド付加生成物;
(4)アルキル基中に8〜22個の炭素原子を有するアルキルモノおよびオリゴグリコシドおよびそれらのエトキシル化類似体;
(5)ヒマシ油および/または水添ヒマシ油への7〜60モルのエチレンオキシドの付加生成物;
(6)ポリオールエステル、および、特にポリグリセロールエステル、例えばポリオールポリ−12−ヒドロキシステアレート、ポリグリセロールポリリシノレエート、ポリグリセロールジイソステアレートまたはポリグリセロールダイメレートなど。これらの物質クラスからの2以上の化合物の混合物も適当である;
(7)ヒマシ油および/または水添ヒマシ油への2〜15モルのエチレンオキシドの付加生成物;
(8)直鎖状、分枝状、不飽和または飽和C6−22脂肪酸、リシノール酸および12−ヒドロキシステアリン酸と、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)、アルキルグリコシド(例えばメチルグリコシド、ブチルグリコシド、ラウリルグリコシド)、並びにポリグリコシド(例えばセルロース)に基づく部分エステル、または混合エステル、例えばグリセリルステアレートシトレートおよびグリセリルステアレートラクテート;
(9)ポリシロキサン−ポリアルキル−ポリエーテル共重合体および対応する誘導体;
(10)ペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステルおよび/または6〜22個の炭素原子を有する脂肪酸と、メチルグルコースと、ポリオール、好ましくはグリセロールまたはポリグリセロールとの混合エステル。
【0096】
脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、グリセロールモノエステルおよびジエステル、並びに脂肪酸のソルビタンモノエステルおよびジエステルまたはヒマシ油への、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物は、既知の市販品である。それらは、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、付加反応を行うのに用いられる基質との間の量比に対応する平均アルコキシル化度のホモログ混合物である。エトキシル化度に応じて、それらは、w/oまたはo/w乳化剤である。グリセロールへのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、化粧品調製物のための脂質層増強剤として既知である。
【0097】
本発明の特に非常に適当なおよび穏やかな乳化剤は、「Dehymuls(登録商標) PGPH」(w/o乳化剤)または「Eumulgin(登録商標) VL 75」(ココグリコシドとの重量比1:1の混合物、o/w乳化剤)または「Dehymuls(登録商標) SBL」(w/o 乳化剤)の名称のもとCognis Deutschland GmbHから上市されているポリオールポリ−12−ヒドロキシステアレートおよびそれらの混合物である。これに関して、特に欧州特許EP0766661B1が参照される。これらの乳化剤のポリオール成分は、少なくとも2個、好ましくは3〜12個および特には3〜8個のヒドロキシル基および2〜12個の炭素原子を有する物質から誘導することができる。
【0098】
原理上、適当な親油性w/o乳化剤は、1〜8のHLB値を有する乳化剤である。これは、数多くの表に列挙され、および当業者に周知である。これらの乳化剤の幾つかは、例えば、Kirk−Othmer、「Encyclopedia of Chemical Technology」、第3版、1979年、第8巻、第913頁に列挙されている。また、エトキシル化生成物について、HLB値は、以下の式:
HLB=(100−L):5
(式中、Lは、エチレンオキシド付加生成物中の新油性基、すなわち、脂肪アルキル基または脂肪アシル基の、重量分率(重量%)である)
から算出することができる。
【0099】
w/o乳化剤の群からの特に有利なものは、ポリオール、特にはC4−6ポリオールの部分エステル、例えばペンタエリスリトールまたは糖エステルの部分エステル、例えば、スクロースジステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノエルケート、ソルビタンセスキエルケート、ソルビタンジエルケート、ソルビタントリエルケート、ソルビタンモノリシノレエート、ソルビタンセスキリシノレエート、ソルビタンジリシノレエート、ソルビタントリリシノレエート、ソルビタンモノヒドロキシステアレート、ソルビタンセスキヒドロキシステアレート、ソルビタンジヒドロキシステアレート、ソルビタントリヒドロキシステアレート、ソルビタンモノタータラート、ソルビタンセスキタータラート、ソルビタンジタータレート、ソルビタントリタータラート、ソルビタンモノシトレート、ソルビタンセスキシトレート、ソルビタンジシトレート、ソルビタントリシトレート、ソルビタンモノマレエート、ソルビタンセスキマレエート、ソルビタンジマレエート、ソルビタントリマレエートおよびそれらの工業用混合物である。また、前記ソルビタンエステルへの1〜30および好ましくは5〜10モルのエチレンオキシドの付加生成物も適当な乳化剤である。
【0100】
処方物に応じて、非イオン性o/w乳化剤(HLB値:8〜18)および/または可溶化剤の群からの少なくとも一つの乳化剤をさらに使用することが有利であり得る。これらは、例えば、対応する高エトキシル化度、例えばo/w乳化剤について10〜20のエチレンオキシド単位およびいわゆる可溶化剤について20〜40のエチレンオキシド単位を有する、導入部で既に記載したエチレンオキシド付加生成物である。本発明によれば、特に有利なo/w乳化剤は、セテアレス−12およびPEG−20ステアレートである。適当な可溶化剤は、好ましくはEumulgin(登録商標) HRE 40(INCI名:PEG−40水添ヒマシ油)、Eumulgin(登録商標) HRE 60(INCI名:PEG−60水添ヒマシ油)、Eumulgin(登録商標) L(INCI名:PPG−1−PEG−9ラウリルグリコールエーテル)、並びにEumulgin(登録商標) SML 20(INCI名:ポリソルベート−20)である。
【0101】
アルキルオリゴグリコシドの群からの非イオン性乳化剤は、特に皮膚に優しく、したがって、好ましくはo/w乳化剤として適当である。C8−22アルキルモノおよびオリゴグリコシド、それらの製造法およびそれらの使用は、先行技術から既知である。それらの調製は、特にグルコースまたはオリゴ糖と、8〜22個の炭素原子を有する第1級アルコールを反応させることにより行われる。グリコシド基に関する限り、環式糖基がグリコシド結合により脂肪アルコールに結合しているモノグリコシドおよび好ましくは約8までのオリゴマー化度を有するオリゴマーグリコシドの両方が適当である。オリゴマー化度は、統計的平均値であり、このような工業用製品に典型的な同族体分布に基づく。Plantacare(登録商標)の名称のもと市販されている製品は、平均オリゴマー化度が1〜2であるオリゴグリコシド基にグルコシド結合により結合したC8−16アルキル基を含んでなる。グルカミンから誘導されるアシルグルカミドも、非イオン性乳化剤として適当である。本発明によれば、Emulgade(登録商標) PL 68/50の名称のもとCognis Deutschland GmbHから市販される製品(これは、アルキルポリグリコシドと脂肪アルコールとの1:1混合物である)が好ましい。本発明によれば、ラウリルグルコシド、ポリグリセリル−2ジポリヒドロキシステアレート、グリセロールおよび水の混合物(これは、Eumulgin(登録商標)VL 75として市販されている)も、有利に使用することができる。
【0102】
また、適当な乳化剤は、レシチンおよびリン脂質のような物質である。天然レシチンの例として挙げられるものは、ケファリン(これは、ホスファチジン酸としても既知であり、および1,2−ジアシル−sn−グリセロール−3−リン酸の誘導体である)である。一方、リン脂質は、通常、リン酸とグリセロールとのモノおよび好ましくはジエステル(グリセロホスフェイト)と理解され、これは、通常、脂肪に分類される。さらに、スフィンゴシンおよび/またはスフィンゴリピドも適当である。
【0103】
〔界面活性剤b−2)〕
本発明の一実施態様において、本発明の調製物は、少なくとも一つの界面活性剤を含んでなる。存在し得る界面活性物質は、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性および/または両性または双性イオン性界面活性剤である。界面活性剤含有化粧品、例えばシャワーゲル、フォームバス、シャンプーなどにおいて、好ましくは少なくとも一つの陰イオン性界面活性剤が存在する。
【0104】
本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、0〜40重量%、好ましくは0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%および特には0.1〜10重量%の量で界面活性剤を含んでなる。
【0105】
非イオン性界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエーテル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルまたは混合ホルマール、所望により部分的に酸化したアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドまたはグルクロン酸誘導体、脂肪酸N−アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、コムギに基づく植物生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含んでなる場合、それらは通常の同族体分布を有していてよいが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0106】
双性イオン性界面活性剤は、少なくとも一つの第四級アンモニウム基と少なくとも一つの−COO(−)または−SO(−)基を分子中に有する界面活性化合物を指すために使用される用語である。特に適当な双性イオン性界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えば、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート(例えば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート)、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート(例えば、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート)、および2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリンであって、それぞれアルキルまたはアシル基中に8〜18個の炭素原子を含むもの、ならびにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン性界面活性剤は、INCI名コカミドプロピルベタインとして知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0107】
また、両性界面活性剤も、特に共界面活性剤として適当である。両性界面活性剤は、分子中に、C8−18−アルキルまたは−アシル基に加えて、少なくとも一つの遊離アミノ基と少なくとも一つの−COOH基または−SOH基を含有し、分子内塩を形成することができる、界面活性化合物を意味すると理解される。適当な両性界面活性剤の例は、アルキル基中に約8〜18個の炭素原子を含む、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。特に好適な両性界面活性剤は、N−ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12−18アシルサルコシンである。
【0108】
陰イオン性界面活性剤は、水溶性を与える陰イオン基、例えばカルボキシレート、スルフェート、スルホネートまたはホスフェート基と親油性基を特徴とする。皮膚適合性の陰イオン性界面活性剤は、関連文献から多くの当業者に既知であり、市販されている。それらは、特に、アルカリ金属、アンモニウムまたはアルカノールアンモニウム塩の形態のアルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルイセチオネート、アシルサルコシネート、直鎖状C12−18アルキルまたはアシル基を有するアシルタウリン、およびアルカリ金属またはアンモニウム塩の形態のスルホスクシネートおよびアシルグルタマートである。
【0109】
使用し得る陽イオン性界面活性剤は、特に第4級アンモニウム化合物である。好ましくはアンモニウムハライド、より詳細にはクロリドおよびブロミド、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドおよびトリアルキルメチルアンモニウムクロリド、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドおよびトリセチルメチルアンモニウムクロリドである。さらに、易生分解性第4級エステル化合物、例えば、Stepantex(登録商標)の名称のもと上市されているジアルキルアンモニウムメトスルフェートおよびメチルヒドロキシアルキルジアルコイルオキシアルキルアンモニウムメトスルフェートおよび対応するDehyquart(登録商標)シリーズの製品などは、陽イオン性界面活性剤として使用することができる。用語「エステルクォート」は、通常、第4級化脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩を意味すると理解される。それらは、特に柔軟な感覚を本発明の組成物に与えることができる。それらは、有機化学の関連方法によって製造される既知物質である。本発明に使用し得るさらなる陽イオン性界面活性剤は、第4級化タンパク質加水分解物である。
【0110】
〔ワックス成分b−3)〕
本発明の一実施態様において、本発明の調製物は、少なくとも一つのワックス成分を含んでなる。本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、0〜40重量%、特には0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%および特には0.1〜10重量%の量でワックス成分を含んでなる。
【0111】
用語「ワックス」は、通常、以下の特性を有する全ての天然物質または合成物質および物質混合物を意味すると理解される:それらは、固体から脆く硬いまでのコンシステンシーを有し、粗いから細かいまでの結晶性であり、30℃より高い温度で分解せずに不透明になり、融解する。それらの融点をわずかに超える場合でさえも、それらは粘度が低く、非曳糸性であり、および高度に温度依存性のコンシステンシーおよび溶解性を示す。本発明によれば、30℃以上で融解するワックス成分またはワックス成分の混合物を使用することができる。
【0112】
本発明によれば、ワックス様コンシステンシーを有する脂肪および脂肪様物質も、それらが所定の融点を有する限りワックスとして使用することができる。これらとしては、とりわけ、脂肪(トリグリセリド)、モノおよびジグリセリド、天然および合成ワックス、脂肪およびワックスアルコール、脂肪酸、脂肪アルコールと脂肪酸とのエステル、および脂肪酸アミドまたはこれらの物質の任意の所望の混合物が挙げられる。
【0113】
脂肪は、トリアシルグリセロール、すなわち、脂肪酸とグリセロールとのトリプルエステルを意味すると理解される。好ましくは、それらは、飽和、非分枝状および非置換脂肪酸基を含んでなる。また、それらは、混合エステル、すなわち、グリセロールと種々の脂肪酸とのトリプルエステルであり得る。部分水素化によって得られるいわゆる水素化脂肪および油は、本発明にしたがって使用することができ、およびコンシステンシー調整剤として特に適当である。水素化植物性脂肪および油、例えば水添ヒマシ油、落花生油、大豆油、セイヨウアブラナ油、菜種油、綿実油、大豆油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油油、亜麻仁油、アーモンド油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、ココアバターおよびヤシ脂肪が好ましい。
【0114】
適当な脂肪は、とりわけ、グリセロールとC12−60脂肪酸(特にC12−36脂肪酸)とのトリプルエステルである。これらとしては、水添ヒマシ油、グリセロールとヒドロキシステアリン酸とのトリプルエステル(これは、例えばCutina HRの名称のもと市販されている)が挙げられる。グリセロールトリステアレート、グリセロールトリベヘネート(例えばSyncrowax HRC)、グリセロールトリパルミテートまたはSyncrowax HGLCの名称のもと既知のトリグリセリド混合物も、ワックス成分または混合物の融点が30℃以上である限り、適当である。
【0115】
本発明によれば、使用し得るワックス成分は、特に、これらの部分グリセリドのモノおよびジグリセリドおよび混合物である。本発明に使用し得るグリセリド混合物としては、Cognis Deutschland GmbH & Co.KG.から市販されている製品Novata ABおよびNovata B(C12−18モノ、ジ−およびトリグリセリドの混合物)およびCutina MDまたはCutina GMS(グリセリルステアレート)が挙げられる。
【0116】
ワックス成分として本発明に使用し得る脂肪アルコールとしては、C12−50脂肪アルコールが挙げられる。該脂肪アルコールは、天然脂肪、油およびワックス、例えば、ミリスチルアルコール、1−ペンタデカノール、セチルアルコール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、1−ノナデカノール、アラキジルアルコール、1−ヘネイコサノール、ベヘニルアルコール、ブラシジルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコールまたはミリシルアルコールなどから得られ得る。本発明によれば、飽和非分枝状脂肪アルコールが好ましい。しかしながら、不飽和、分枝状または非分枝状脂肪アルコールも、それらが所定の融点を有する限り、ワックス成分として本発明にしたがって使用することができる。本発明によれば、天然に存在する脂肪および油、例えば牛脂、落花生油、セイヨウアブラナ油、綿実油、大豆油、ヒマワリ油、パーム核油、亜麻仁油、ヒマシ油、コーン油、菜種油、ゴマ油、ココアバターおよびヤシ油などを還元する間に製造されるような、脂肪アルコールカットも使用することができる。しかしながら、合成アルコール、例えばチーグラー合成からの直鎖状偶数脂肪アルコール(アルフォール)またはオキソ合成からの部分分枝状アルコール(ドバノール)も使用することができる。本発明によれば、例えば、名称Lanette 16(C16アルコール)、Lanette 14(C14アルコール)、Lanette O(C16/18アルコール)およびLanette 22(C18/22アルコール)のもとCognis Deutschland GmbHから市販されるC14−22脂肪アルコールは、特に好適である。脂肪アルコールは、組成物に、トリグリセリドよりも皮膚に対する乾燥した感覚を与え、したがって、後者よりも好ましい。
【0117】
また、使用し得るワックス成分は、C14−40脂肪酸またはそれらの混合物である。これらとしては、例えば、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリッシン酸、エルカ酸およびエレオステアリン酸および置換脂肪酸(例えば、12−ヒドロキシステアリン酸など)、および脂肪酸のアミドまたはモノエタノールアミドが挙げられる。このリストは、如何なる限定も伴わない、純粋に例示を意味する。
【0118】
本発明によれば、例えば、天然植物ワックス、例えばカンデリラワックス、カルナバワックス、木蝋、エスパルトグラスワックス、コルクワックス、グアルマワックス、コメ油ワックス、サトウキビワックス、オウリキュリーワックス、モンタンワックス、ヒマワリワックス、フルーツワックス、例えばオレンジワックス、レモンワックス、グレープフルーツワックス、ヤマモモワックス、および動物ワックス、例えば蜜蝋、シェラックワックス、鯨蝋、羊毛ワックスおよび尾脂などを使用することができる。本発明において、水素化または硬化ワックスを使用することが有利であり得る。また、本発明にしたがって使用可能な天然ワックスとしては、鉱物ワックス、例えばセレシンおよびオゾケライトなど、または石油化学ワックス、例えばペトロラタム、パラフィンワックスおよび微結晶ワックスが挙げられる。また、使用し得るワックス成分は、化学変性ワックス、特には硬質ワックス、例えばモンタンエステルワックス、サゾールワックスおよび水素化ホホバワックスなどである。本発明にしたがって使用可能な合成ワックスとしては、例えば、ワックス様ポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスが挙げられる。植物ワックスは、本発明に好ましい。
【0119】
同様に、ワックス成分は、飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状アルカンカルボン酸と、飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状アルコールとのワックスエステルの群、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸(例えば12−ヒドロキシステアリン酸)と、飽和および/または不飽和の分枝状および/または非分枝状アルコールとのエステルの群、ならびに、長鎖ヒドロキシカルボン酸のラクチドの群から選択することもできる。このようなエステルの例は、C16−40アルキルステアレート、C20−40アルキルステアレート(例えばKesterwachs K82H)、ダイマー酸のC20−40ジアルキルエステル、C18−38アルキルヒドロキシステアロイルステアレートまたはC20−40アルキルエルケートである。C30−50アルキル蜜蝋、トリセテアリルシトレート、トリイソステアリルシトレート、ステアリルヘプタノエート、ステアリルオクタノエート、トリラウリルシトレート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジ(12−ヒドロキシステアレート)、ステアリルステアレート、パルミチルステアレート、ステアリルベヘネート、セチルエステル、セテアリルベヘネートおよびベヘニルベヘネートも使用し得る。
【0120】
〔ポリマーb−4)〕
本発明の一実施態様において、本発明の調製物は、少なくとも一つのポリマーを含んでなる。本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、特に0.1〜10重量%の量でポリマーを含んでなる。
【0121】
適当な陽イオン性ポリマーは、例えば、陽イオン性セルロース誘導体、例えば、AmercholからPolymer JR 400(登録商標)の名称のもと入手できる第4級化ヒドロキシエチルセルロースなど、陽イオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体、第4級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えば、Luviquat(登録商標)(BASF)など、ポリグリコールとアミンとの縮合生成物、第4級化コラーゲンポリペプチド、例えば、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標)L、Gruenau)など、第4級化小麦ポリペプチド、ポリエチレンイミン、陽イオン性シリコーンポリマー、例えば、アモジメチコンなど、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンとの共重合体(Cartaretine(登録商標)、Sandoz)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドとの共重合体(Merquat(登録商標)550、Chemviron)、ポリアミノポリアミド、陽イオン性キチン誘導体、例えば、必要に応じて微結晶性分布の第4級化キトサンなど、ジハロアルキル(例えばジブロモブタンなど)とビスジアルキルアミン(例えばビスジメチルアミノ−1,3−プロパンなど)との縮合生成物、陽イオン性グアーガム、例えば、CelaneseからのJaguar(登録商標) CBS、Jaguar(登録商標) C−17、Jaguar(登録商標) C−16など、第4級化アンモニウム塩ポリマー、例えば、MiranolからのMirapol(登録商標) A−15、Mirapol(登録商標) AD−1、Mirapol(登録商標) AZ−1などである。
【0122】
適当な陰イオン性、双性イオン性、両性および非イオン性ポリマーは、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニル共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体およびそれらのエステル、非架橋ポリアクリル酸およびポリオール架橋ポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレート共重合体、オクチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル/tert.−ブチルアミノエチルメタクリレート/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル共重合体、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムターポリマーおよび必要に応じて誘導体化されたセルロースエーテルおよびシリコーンである。
【0123】
同様に、適当なポリマーは、多糖類、特にはキサンタンガム、グアーガム、寒天、アルギン酸塩およびチロースである。
【0124】
〔さらなる油成分b−5)〕
クリーム、ボディオイル、ローションおよび乳液などのボディケア製剤は、通常、その感覚特性をさらに最適化するのに寄与する一連のさらなる油成分およびエモリエントを含んでなる。油成分(本発明のエステルおよびさらなる油成分)は、通常0.1〜80重量%、特には0.5〜70重量%、好ましくは1〜60重量%、特には1〜50重量%、特には1〜40重量%、好ましくは5〜25重量%および特には5〜15重量%の総量で存在する。さらなる油成分は、通常0.1〜40重量%の量で存在する。
【0125】
適当なさらなる油成分は、例えば、炭素数6〜18(好ましくは炭素数8〜10)の脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、並びに他のさらなるエステル、例えばミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネートおよびエルシルエルケートである。同様に、適当なものは、C18−38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖または分枝状C6−22脂肪アルコールとのエステル(とりわけジオクチルマレート)、直鎖および/または分枝状脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、二量体ジオールまたは三量体トリオール)とのエステル、C6−10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6−18脂肪酸に基づく液体モノ−/ジ−/トリグリセリド混合物、C6−22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(とりわけ安息香酸)とのエステル、C2−12ジカルボン酸とヒドロキシル基数2〜6のC2−10ポリオールとのエステル、植物油、分枝状第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖および分枝状C6−22脂肪アルコールカーボネート[例えばジカプリリルカーボネート(Cetiol(登録商標)CC)]、C6−18(好ましくはC8−10)脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分枝状C6−22アルコールとのエステル[例えばFinsolv(登録商標)TN]、直鎖もしくは分枝状の対称もしくは非対称ジアルキルエーテル(各アルキル基の炭素原子数6〜22)[例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)]、エポキシ化脂肪酸エステルのポリオールによる開環生成物、および炭化水素またはそれらの混合物(Cetiol(登録商標)DD)である。
【0126】
〔さらなる成分〕
適当な増粘剤は、例えば、Aerosil等級(親水性シリカ)、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびベントナイト、例えばBentone(登録商標)Gel VS−5PC(Rheox)である。
【0127】
UV光保護剤は、例えば、室温で液状または結晶であり、紫外線を吸収して、その吸収したエネルギーを、より長波長の放射線(例えば熱)の形態で再放出することのできる有機物質(光保護フィルター)を意味すると理解される。UV−Bフィルターは、油溶性または水溶性であり得る。通常のUV−Aフィルターはとりわけ、ベンゾイルメタン誘導体である。UV−AフィルターとUV−Bフィルターを混合物として使用しても当然よい。ベンゾイルメタン誘導体、例えば4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標)1789)および2−シアノ−3,3−フェニル桂皮酸−2−エチルヘキシルエステル(オクトクリレン)と、桂皮酸エステル、好ましくは4−メトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシルエステルおよび/または4−メトキシ桂皮酸プロピルエステルおよび/または4−メトキシ桂皮酸イソアミルエステルとの組合せが挙げられる。このような組合せは、しばしば水溶性フィルター、例えば2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸並びにそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルカンモニウム塩などと組み合わせられる。
【0128】
上記可溶性物質のほかに、不溶性光保護顔料、すなわち、微分散金属酸化物も適当である。適当な金属酸化物の例は、とりわけ、酸化亜鉛および二酸化チタンである。上記二群の主な光保護物質のほかに、UV線が皮膚に侵入すると開始される光化学反応鎖を断つ抗酸化剤タイプの副次的光保護剤も使用することができる。
【0129】
生体活性物質は、例えばトコフェロール、トコフェロールアセテート、トコフェロールパルミテート、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸およびその断片化生成物、β−グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、プソイドセラミド、精油、植物抽出物、例えばプルーン抽出物およびバンバラナッツ抽出物、並びにビタミン複合体を意味すると理解される。
【0130】
防臭剤は、体臭を打ち消すか、マスクするか、または抑制する。体臭は、アポクリン汗に皮膚細菌が作用して不快臭のある分解産物を形成することによって生じる。従って、適当な防臭剤は、とりわけ、抗菌剤、酵素阻害剤、臭気吸収剤または臭気マスキング剤である。
【0131】
適当な防虫剤は、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、1,2−ペンタンジオールまたは3−(N−n−ブチル−N−アセチルアミノ)−プロピオン酸エチルエステル)であって、これはInsect Repellent(登録商標) 3535の名称でMerck KGaAから市販されており、およびブチルアセチルアミノプロピオネートである。
【0132】
適当な日焼け剤はジヒドロキシアセトンである。
メラニンの生成を抑制し、脱色剤として使用する適当なチロシン抑制剤は、例えば、アルブチン、フェルラ酸、コウジ酸、クマリン酸およびアスコルビン酸(ビタミンC)である。
【0133】
適当な防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸およびSurfacine(登録商標)の商品名で既知の銀錯体、並びにKosmetikverordnungの補遺6、パートAおよびBに挙げられた種類のさらなる化合物である。
【0134】
挙げることができる香油は、天然香料および合成香料の混合物である。天然香料は、花、茎および葉、果実、果皮、根、木、ハーブおよび草、針葉および枝、樹脂およびバルサム由来の抽出物である。動物性原料、例えばシベットおよびビーバー、並びにエステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の合成香料化合物も適当である。
【0135】
特に表面活性処方物における使用に適当な真珠光沢ワックスは、例えば、アルキレングリコールエステル、とりわけエチレングリコールジステアレート;脂肪酸アルカノールアミド、とりわけヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、とりわけステアリン酸モノグリセリド;多塩基性の(場合によりヒドロキシ置換した)カルボン酸と、炭素数6〜22の脂肪アルコールとのエステル、とりわけ酒石酸の長鎖エステル;脂肪物質、例えば脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテルおよび脂肪カーボネート(総炭素数が少なくとも24のもの)、とりわけラウロンおよびジステアリルエーテル;脂肪酸、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸;炭素数12〜22のオレフィンエポキシドの、炭素数12〜22の脂肪アルコールおよび/または炭素数2〜15/ヒドロキシル基数2〜10のポリオールによる開環生成物;並びにそれらの混合物である。
【0136】
使用し得る過脂肪剤は、例えば、ラノリンおよびレシチンならびにポリエトキシル化またはアシル化ラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミド(脂肪酸アルカノールアミドは、同時に発泡安定剤としても役立つ)のような物質である。
【0137】
使用し得る安定剤は、脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸および/またはリシノール酸のマグネシウム塩、アルミニウム塩および/または亜鉛塩などである。
【0138】
更に、流動性を改善するために、ヒドロトロープ、例えばエタノール、イソプロピルアルコール、またはポリオールを使用することができる。適当なポリオールは、好ましくは炭素数2〜15で、少なくとも2個のヒドロキシル基を有する。ポリオールは、さらなる官能性基、特にはアミノ基を含有していてもよく、および/または窒素で変性されていてもよい。
【0139】
本発明の調製物、本発明の組成物および本発明のエステルは、特に、身体の洗浄および/または身体のケアに使用されるユーティリティワイプおよび衛生ワイプの湿潤または含浸または被覆のための化粧品および/または医薬品に適当である。
【0140】
例として挙げることができるユーティリティワイプおよび衛生ワイプは、以下のものである:衛生およびケアの分野で使用されるティッシュ、ペーパー、ワイプ、不織布、スポンジ、パフ、石膏および包帯。これらは、ベビー衛生およびベビーケア用ウェットワイプ、洗浄ワイプ、顔洗浄用ワイプ、皮膚ケアワイプ、皮膚老化に対する活性成分を有するケアワイプ、日焼け防止処方物および防虫剤を有するワイプ、および化粧品用または紫外線治療後用ワイプ、トイレ用ワイプ、制汗用ワイプ、おむつ、ティッシュ、ウェットワイプ、衛生品、および日焼け用ワイプであり得る。
【実施例】
【0141】
〔実施例1:エステル化による2−ブチルオクチルブタノエートの製造〕
344gの酪酸(3.9mol)および852gのIsofol 12(ブチルオクタノール)(4.7mol)を、水分離器を用いて、0.6gのFascat(登録商標) 2001(Snオキサレート:組成物全体に基づいて0.1重量%)と共に240℃にて5時間加熱した。水分離が完了した後、過剰のブチルオクタノールを、最初に蒸留し、次いで生成物中の上記目的物を真空中で蒸留した(139℃、3mbar)。上記目的物を、無色の薄い液状油として製造した。
【0142】
〔処方物〕
【0143】
【表1】

【0144】
【表2】

【0145】
【表3】

【0146】
【表4】

【0147】
〔さらなる処方物例〕
【0148】
【表5】

【0149】
【表6】

【0150】
【表7】

【0151】
【表8】

【0152】
表の脚注:
RT=室温20℃;rpm=1分間当たりの回転数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品および/または医薬品における、
2−ブチルオクチル2−ブチルオクタノエート、2−ブチルオクチル2−ブチルデカノエート、2−ブチルオクチル2−ヘキシルデカノエートおよび2−ブチルオクチル2−オクチルドデカノエートを除く、
2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸とのエステルの使用。
【請求項2】
化粧品および/または医薬品における油成分としての、2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸とのエステルの使用。
【請求項3】
使用されるカルボン酸が直鎖状、非分枝状カルボン酸であり、および/または使用されるジカルボン酸が直鎖状、非分枝状ジカルボン酸であることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
2−ブチルオクチル酢酸エステル、2−ブチルオクチルオクタノエート、2−ブチルオクチルデカノエート、2−ブチルオクチルドデカノエート、2−ブチルオクチルヘキサデカノエート、2−ブチルオクチルオクタデカノエート、2−ブチルオクチル9(Z)−オクタデセノエート、2−ブチルオクチル2−ブチルオクタノエート、および2−ブチルオクチル2−ブチルデカノエートを除く、および2−ブチル−1−オクタノールと分枝状C16〜C24カルボン酸とのエステルを除く、
2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸とのエステル。
【請求項5】
2−ブチルオクタノールn−ノナン酸エステル、2−ブチルオクチルイソノナン酸エステル、2−ブチルオクチルn−ウンデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソウンデカン酸エステル、2−ブチルオクチルn−ウンデセン酸エステル、2−ブチルオクチルイソドデカン酸エステル、2−ブチルオクチルn−トリデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソトリデカン酸エステル、2−ブチルオクチルn−テトラデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソテトラデカン酸エステル、2−ブチルオクチルn−ペンタデカン酸エステル、2−ブチルオクチルイソペンタデカン酸エステル、および2−ブチルオクチル安息香酸エステルからなる群から選択される、請求項4に記載のエステル。
【請求項6】
ジ−2−ブチルオクチルブタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチル[2,4,4−トリメチルペンチル−1]ブタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチル[2−メチルプロピル−1]ブタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルペンタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチル(2,2−ジメチル)ペンタン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルヘキサン二酸ジエステル、ジ−2−ブチルオクチルオクタン二酸ジエステル、およびジ−2−ブチルオクチルオクタン二酸ジエステルを除く、
2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36ジカルボン酸とのエステル。
【請求項7】
2−ブチルオクタノールと少なくとも一つのC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸とを含んでなる混合物を反応させることを含む、請求項4〜6のいずれかに記載のエステルの製造方法。
【請求項8】
2−ブチルオクタノールと少なくとも一つのC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸のメチルエステルとを含んでなる混合物を、エステル交換触媒を添加して反応させることを含む、請求項4〜6のいずれかに記載のエステルの製造方法。
【請求項9】
a)2−ブチルオクチル2−ブチルオクタノエート、2−ブチルオクチル2−ブチルデカノエート、2−ブチルオクチル2−ヘキシルデカノエート、および2−ブチルオクチル2−ドデカノエートを除く、
2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C36カルボン酸またはC2〜C36ジカルボン酸との少なくとも一つのエステル、好ましくは2−ブチル−1−オクタノールとC2〜C18カルボン酸またはC2〜C18ジカルボン酸との少なくとも一つのエステルと、
b)少なくとも一つの乳化剤(b−1)および/または界面活性剤(b−2)および/またはワックス成分(b−3)および/またはポリマー(b−4)および/またはさらなる油成分(b−5)と
を含んでなる、化粧品および/または医薬品組成物。

【公表番号】特表2010−501018(P2010−501018A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524932(P2009−524932)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007037
【国際公開番号】WO2008/019794
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】