説明

2−メチル−チエノ−ベンゾジアゼピン製剤

【課題】本発明は、オランザピンを含有する医薬的に洗練された製剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、パモ酸オランザピンまたはその溶媒和物を含む製剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、1997年9月30日に出願された米国特許仮出願第60/060,493号の優先権の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、2-メチル-4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-10H-チエノ[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピン(以下、「オランザピン」と呼ぶ)、または、そのパモエート塩、若しくは、溶媒和物の医薬的に洗練された製剤を提供する。
【背景技術】
【0003】
オランザピンは、精神病患者の処置において、大いに有望であることが示され、現在、その目的で市販されている。このような精神病患者は、しばしば非従順であり、患者がその薬物を適切な用量を受けたか、受けていないか評価するのを難しくている。出願人は、オランザピンをデポー剤、または、即効性筋肉内製剤にすることが、堅実で適切な薬物質の用量形として、そして、必ず服用させるのに、特に望ましいことを発見した。
【0004】
オランザピンの準安定性、医薬的に望ましくない変色を受けやすい性質、並びに、最終製剤の均質性及び安定性が確かであるよう注意を要する、オランザピンの驚くほどの力価のため、そのような製剤は、注意してデザイン及び選択されなければならない。
【0005】
持続放出性にするために、技術者は、一般的に活性薬物質のエステル形を製造する。残念なことに、オランザピン分子はエステル生成物に形成することができない。
【0006】
さらに、オランザピンを粉末混合物を含む特定の賦形剤と接触させると望ましくない変色を受けることを、出願人は発見した。変色は、高温及び加湿のような環境温度条件によって、悪化される。変色現象により、関連物質の総数が増加するわけではないが、色の変化は、一般的に、商業目的の点で医薬的に許容され得るものではない。
【0007】
さらに、薬剤の溶解性に影響し、従って、注入された薬剤の吸収速度にも影響する筋肉組織のpHが、運動、ストレス、及び、負傷により変化することが、知られている。そのため、活性成分の放出速度がpHに最小限にしか依存しない、注射可能な持続放出性の製
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、活性成分としてパモ酸オランザピンまたはその溶媒和物を含む医薬的に洗練された新規な製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
出願人は、活性成分としてオランザピン、または、そのパモエート塩、若しくは、溶媒和物、及び1またはそれ以上の担体を含む製剤により、長い間の要望であった、調節可能な放出速度を有し、デポー剤、または、即効性筋肉内、若しくは、皮下使用に有用な、安定で、医薬的に洗練された製剤を製造することができることを発見した。
【0010】
すなわち、本発明は、活性成分としてパモ酸オランザピンまたはその溶媒和物を含む製剤を提供する。本発明はまた、精神病、急性躁病、または軽い不安状態を患うまたはその疑いのあるヒトを含む動物を処置するための製剤を製造するための、パモ酸オランザピンまたはその溶媒和物の使用、を提供する。
【発明の効果】
【0011】
活性成分としてパモ酸オランザピンまたはその溶媒和物を含む本発明の製剤は、持続放出性およびバースト放出性(即時放出性)の両方に優れ、且つpH非依存的な溶解性に優れた、デポー剤等として有用な安定で医薬的に洗練された製剤である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、オランザピン、または、そのパモエート塩、若しくは、溶媒和物、及び、油性、または、コレステロールマイクロスフェアーの担体を含む製剤を提供する。
【0013】
本発明は、さらに、オランザピンの新規パモエート塩を提供する。このような塩は、放出速度が環境pHに最小限にしか依存しない、持続放出性の製剤を製造するのに特に有用である。
【0014】
オランザピンを使用し得る。しかしながら、出願人らは、上記組成物からの放出の持続時間を達成するのに、オランザピンのパモエート塩が好ましいことを発見した。異なる溶媒和物形体のオランザピン、または、そのパモエート塩もまた有用であり得、例えば、オランザピン二水和物D、E及びF、パモ酸オランザピン、並びに、パモ酸オランザピンの一水和物、ジメタノレート、THF(テトラヒドロフラン)及びアセトン溶媒和物が含まれる。ビス(オランザピン)パモエート及びその溶媒和物もまた本発明で有用であり得る。好ましい塩は、パモ酸オランザピン一水和物である。ビス(オランザピン)パモエート一水和物も好ましい塩である。
【0015】
製剤は、本明細書中でII型と呼ぶ、オランザピンの最も安定な無水形を含み得るが、他のオランザピンの形体も意図される。
【0016】
II型の典型的なX線粉末回折パターンの例を以下、表1に示す:
【表1】

(表中dは、面間隔を、強度は典型的な相対的強度を表す。)
【0017】
上記X線粉末回折パターンは、波長 l= 1.541Åの銅 Ka放射源を有する、Siemens D5000 X線粉末回折計を用いて得た。
【0018】
特に好ましいパモ酸オランザピン溶媒和物は、下記表2のd-間隔及び相対的強度で示される、特有のX線粉末回折パターンを有するパモエート一水和物である。
【表2】

【0019】
別の、特に好ましいパモ酸オランザピン溶媒和物は、下記表3のd-間隔及び相対的強度で示される、特有のX線粉末回折パターンを有するパモエートジメタノレートである。
【表3】

【0020】
そしてまた別の、特に好ましいパモ酸オランザピン溶媒和物は、下記表4のd-間隔及び相対的強度で示される、特有のX線粉末回折パターンを有するパモエートTHF溶媒和物である。
【表4】

【0021】
そしてまた別の、特に好ましいパモ酸オランザピン溶媒和物は、下記表5のd-間隔及び相対的強度で示される、特有のX線粉末回折パターンを有するビス(オランザピン)パモエートアセトン溶媒和物である。
【表5】

【0022】
その他の、特に好ましいパモ酸オランザピン溶媒和物は、下記表6のd-間隔及び相対的強度で示される、特有のX線粉末回折パターンを有するビス(オランザピン)パモエート一水和物である。
【表6】

【0023】
上記X線粉末回折パターンは、波長 l= 1.541Åの銅 Ka放射源を有する、Siemens D5000 X線粉末回折計を用いて得た。機器条件:ステップサイズ 0.01°;走査速度 1.0秒/ステップ;範囲 4°〜35°2θ;0.6mm発散スリット;1.0mm散乱放射スリット;0.2mm受容スリット;50kV;40mA;Kevex固体状態検出器。試料を分析用の凹型サンプルホルダーに詰めた。
【0024】
本発明の製剤は、活性成分として、実質的に純粋なII型を含み得る。本明細書中、「実質的に純粋な」という用語は、オランザピンの望ましくない多形体型(本明細書中では「好ましくない型」と呼ぶ)を約15%より少なく、好ましくは約5%より少なく、より好ましくは約2%より少なく含むII型のことである。さらに、「実質的に純粋な」II型は約5%より少ない、望ましくない化学的不純物、または、残留溶媒若しくは水を含むものである。特に「実質的に純粋な」II型は、好ましくは約0.05%より少ない量のアセトニトリル、より好ましくは、約0.005%より少ない量のアセトニトリルを含むものである。
【0025】
II型は、公知のオランザピン中、最も安定な無水物型であり、そのため医薬的に洗練された製剤の商業的開発のために重要なものである。
【0026】
O-二水和物は、結晶性二水和物Dオランザピン多形相(本明細書中で「二水和物D」と呼ぶ)を示し、下記表7のd-間隔及び相対的強度で示される、特有のX線粉末回折パターンを有する。
【表7】

【0027】
別の特に好ましい二水和物は、結晶性二水和物Bオランザピン多形相(本明細書中で「二水和物B」と呼ぶ)であり、下記表8のd-間隔及び相対的強度で示される、特有のX線粉末回折パターンを有する。
【表8】

【0028】
別の特に好ましい二水和物は、結晶性二水和物Eオランザピン多形相(本明細書中で「二水和物E」と呼ぶ)であり、下記表9のd-間隔及び相対的強度で示される、特有のX線粉末回折パターンを有する。
【表9】

【0029】
表7、8及び9に示したX線粉末回折パターンは、波長 l= 1.541Åの銅kを用いて得た。「d」列に示される面間隔は、オングストロームを単位とした。検出器は、Kevexシリコンリチウム固体状態検出器であった。
【0030】
製造例9に記載されるように、オランザピン二水和物Dは、工業用オランザピンを水性条件下で、長期攪拌することにより製造される。「水性条件」という用語は、水、または、水及び必要とされる化学量論量の水を溶媒混合物中に存在させる十分に水混和性の有機溶媒を含む溶媒混合物の、どちらでもあり得る。溶媒混合物が使用される場合、水を残して有機溶媒を除去、及び/または、水で置換しなければならない。「長期攪拌」という用語は、約4時間〜約6日間のことであるが、温度、圧力及び溶媒のような反応条件により時間は変わり得るものであることが、当業者には認識される。水性条件が、水性溶媒を含むことものであることが好ましい。
【0031】
反応の終了は、X線粉末回折、及び、当業者になじみの類似の手段を用いてモニターし得る。そのような技術を幾つかを以下に記載する。
【0032】
例えば、X線粉末パターン分析、熱重量分析(TGA)、湿式特徴、噴霧特徴、示差走査熱量測定(DSC)、水について滴定分析、及び、溶媒量についてH1-NMR分析が、化合物の特性付けの方法に含まれる。SEM、有孔性、残存溶媒(HPLC)、注射に適当か、光学顕微鏡粒子径、表面積、IR(溶媒和物/結晶形について)最高密度、砕けやすさ等も、化合物を特徴付けるのに用い得る。
【0033】
本明細書の製造例9、10及び11に記載のオランザピン二水和物は、各薬剤分子当り二つの水分子を有し、二水和化合物の結晶格子中に水分子が組み込まれた、真の二水和物である。
【0034】
オランザピンをゆっくりと吸収させる担体には、水性及び非水性の両方の組成物が含まれる。
【0035】
オランザピン、オランザピンパモエート塩、または、その溶媒和物の水性懸濁液は、PLURONIC(登録商標)F68のような、適当な濃度にすると体温でゲル化するPLURONIC(登録商標)類を含む。オランザピン存在下、40〜45%の濃度範囲のPLURONIC(登録商標)は、体温でゲル化するので、本発明において好ましい組成物であろう。
【0036】
別の選択肢として、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはアルギン酸ナトリウムを含む、セルロース性または多糖性ゴムは、オランザピン、パモ酸オランザピンまたはその溶媒和物の延長された放出を提供し得る。例えば、キトサン、ゼラチン、コラーゲン、ハルロン酸等の他の天然、または、合成生物ポリマーも使用し得る。さらに、約30重量%までの放出修正剤を場合により加え得る。
【0037】
これらに限られるわけではないが、非水性の組成物には疎水性PLURONICS(登録商標)、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール及び油性製剤が含まれる。疎水性PLURONICS(登録商標)には、親水性/親油性バランスが8未満のものが含まれ、オランザピン、オランザピンパモエート塩またはその溶媒和物と単独で或いは、約30重量%までの、体内での吸収を遅らせるその他の放出修正剤と一緒に導入し得る。
【0038】
油性組成物には、油、及び、抗水和剤若しくはゲル化剤で増粘した油に、懸濁若しくは溶解した、オランザピン、オランザピンパモエート塩またはその溶媒和物が含まれる。これらの抗水和剤またはゲル化剤は、油により大きい粘弾性を加え(そのためより大きい構造的安定性を生む)、体液による油の浸透を遅くし、薬剤の吸収を長期化させる。
【0039】
油は、適度に純粋な形で容易に入手でき、そして、生理的及び医薬的に許容され得る油から選ばれる。もちろん、油は貯蔵中安定であり、放置により沈殿を生ずるものでなく、化学反応が認められず、体内に投与された場合に生理学的反応が認められるものではないように十分に精製されている必要がある。好ましい油は、大豆油、落花生油、ごま油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ひまし油、パーム油、アーモンド油等の植物油、例えば、MIGLYOL(登録商標)810、MIGLYOL(登録商標)812等の精製、分画された油、例えばMIGLYOL(登録商標)840等の誘導された油である。最も好ましい油は、分画されたココナッツ油であるMIGLYOL(登録商標)812である。上述の要求に合えば、その他の油も使用し得る。
【0040】
抗水和剤またはゲル化剤は、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等のアルミニウム、亜鉛、マグネシウム若しくはカルシウム塩等の、例えば約8(好ましくは少なくとも10)〜約22(好ましくは20まで)までの炭素原子を有する脂肪酸のような有機酸の様々な塩を含む。そのような塩は、金属の原子価と金属の酸による酸化の程度に依存して、モノ-、ジ-またはトリ置換されたものであり得る。先のような脂肪酸のアルミニウム塩が特に有用である。ステアリン酸アルミニウム及び二ステアリン酸アルミニウムが、好ましい抗水和剤である。その他の有用なものには、三ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸及び二ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸及び二ステアリン酸マグネシウム、並びに、対応するパルミチン酸塩、ラウリン酸塩等が含まれる。これらの抗水和剤の濃度は、通常、油と薬剤を合わせた重量を基準とし、そして、通常、1重量%〜10重量%の間、より典型的には2%〜5%の間である。場合によって、別の濃度が好ましいこともあり得る。
【0041】
天然及び合成ワックス、レシチン、トコフェロール及び、酢酸トコフェロール若しくはコハク酸トコフェロール等のそのエステル、ポリオキシエチレン誘導化ひまし油(例えば、CREMOPHOR EL)、ポリオキシエチレン誘導化水素ひまし油(CREMOPHOR RH40、CREMOPHOR RH60)、脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチル及び-メチル)、コレステロール及びその誘導体が、粘弾性、または、吸収を弱める効果を付加するための油に含まれ得る。ワックスは、好ましくは植物、動物または合成物由来のものから選ばれる。好ましい由来には、植物または合成由来のものが含まれる。例えば、カルナウバワックス及び蜜蝋が、有用なワックスに含まれる。蜜蝋は、様々な精製グレードで入手可能であり、白色ワックス及び黄蜜蝋を含む。CRODACOL CS-50、CROTHIX、POLAWAX、SYNCROWAX、ポリオキシエチレンソルビトール蜜蝋誘導体(例えば、G-1726(登録商標))等の、他の合成ワックスまたはワックス誘導体を使用し得る。
【0042】
薬剤の放出を早める、または、遅らせるために、油にその他の放出修正剤を加え得る。これらに限定されるわけではないが、オレイン酸、オレイン酸エチル等のオレイン酸エステル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル等が含まれる。これらに限定されるわけではないが、レシチンをベースとする放出修正添加剤にはコレステロール、エチルセルロース、トコフェロール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールが含まれる。これらの添加剤を、薬剤の放出に効果を及ぼすように、30重量%までの様々な濃度で添加し得る。
【0043】
オランザピンの延長された放出を可能にするために、生分解可能な材料、スクロースジアセテートヘキサイソブチレート(SDHB)が溶液形体で、エタノール及びポリエチレングリコール等の医薬的に許容され得る溶媒と共に使用されてきた。例えばプロピレングリコール、PLURONICS(登録商標)、セルロース、レシチン、油等が約20重量%までの濃度の放出修正剤を有するSDHBの他の組成物をオランザピンの放出を修正または延長するために使用し得る。
【0044】
好ましい油製剤にはオランザピン、または、パモエート塩、若しくは、その溶媒和物、油状担体及びゲル化剤または抗水和剤が含まれる。より好ましいのは、パモ酸オランザピン一水和物、MIGLYOL(登録商標)812、及び、白色ワックスを含む油製剤である。
【0045】
本明細書において、「微粒子」は当業者に知られる一般的な意味である。よって、これらに限定されるわけではないが、この用語には、担体全体に活性成分が均一に分散されたマイクロスフェアー、または、活性成分が慣用の外殻で取り巻かれたマイクロカプセル等が含まれる。微粒子は、複合コアセルベーション、ポリマー/ポリマーインコンパティビリティー、界面重合、現場位(in situ)重合、溶媒蒸発/抽出、熱及びイオンゲル化、噴霧冷却、流動床、スピニングディスク、回転懸濁液分離、噴霧乾燥、及び、その他当業者に公知の方法により調製し得る。
【0046】
例えば、コレステロールマイクロスフェアーは、オランザピン、または、オランザピンパモエート塩、若しくは、その溶媒和物を効果的にトラップし、体内でのオランザピンの持続放出を可能にする、溶媒蒸発法により製造し得る。トラップ方法は分散相であるコレステロールの有機溶液、及び、水性界面活性剤溶液である加工媒体に入った活性目的物の乳化からなる。水性界面活性剤により安定なエマルジョンが形成され、塊状化が防止される。
【0047】
乳化は、当業者に知られた一般的な方法により達成し得、これらに限定されるわけではないが、マグネティックバーによる攪拌、ブレンダー、オーバーヘッドスターラー、インライン ホモジナイザー、スタティックミキサーによる方法を含む。
【0048】
これらに限定されるわけではないが、界面活性剤として使用し得るカチオン性、アニオン性、及び、非イオン性化合物には、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、TWEEN(登録商標)80、TWEEN(登録商標)20、ラウリル硫酸ナトリウム等が含まれる。界面活性剤の濃度は、エマルジョンを安定化するのに十分な量とするべきである。界面活性剤の濃度は、コレステロールマイクロスフェアーの最終的な大きさに影響し得る。界面活性剤、コレステロールを溶解するのに使用される溶媒、そして使用される加工用媒体に依存するが、一般に、水性溶媒中の界面活性剤は約0.1重量%〜約20重量%であろう。
【0049】
或いは、加工用媒体は、コレステロールと混ざらない油であり得る。これらに限定されるわけではないが、適当な油には鉱油及びシリコン油が含まれる。油状加工用媒体において使用される界面活性剤は、エマルジョンを安定化し、そして、得られるコレステロールマイクロスフェアーの最終的な大きさが最適にするように選ばれるべきである。さらに、界面活性剤は、エマルジョン安定性、マイクロスフェアーの大きさ及び性能の面で有利となるよう、分散相またはコレステロール相に添加し得る。
【0050】
放出の持続に効果を及ぼすのに使用されるコレステロール誘導体には、酢酸コレステロール、ヘミコハク酸コレステロール、オレイン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール等が含まれる。さらに放出の持続を達成するためにオレイン酸、オレイン酸エチル、オレイン酸メチル、トリステアリン等のコレステロールと相溶性の添加剤を使用し得る。
【0051】
乳化剤の濃度、攪拌量、攪拌速度、及び、攪拌されるエマルジョンの温度は、溶媒の除去率、得られるコレステロールマイクロスフェアーの大きさ及び品質に影響する。注射可能なマイクロスフェアーを得るために、一般に、これらは調整されなければならない。微粒子の、一般に許容され得る径範囲は、1〜5000μmである。非経口的注射に有用な、好ましいマイクロスフェアーの径範囲は、20〜500μmである。最も好ましい範囲は、30〜200μmである。それよりも好ましいのは、40〜100μmである。
【0052】
簡単に言うと、ポリビニルアルコール(PVA)の界面活性剤水溶液は、PVAを脱イオン化した水に溶解することによって作られる。6%までのポリビニルアルコール濃度が有効であることが知られているが、加工用媒体の粘度が高すぎるようであればもっと少なくし得る。本発明において好ましいポリビニルアルコール濃度は、1%(5gのPVAを脱イオン化した水500mlに加える)である。界面活性剤溶液を、PVAが溶解するまで、数時間にわたってマグネティック攪拌棒により攪拌し、50〜60℃に温める。溶液を室温まで冷却する。PVA界面活性剤溶液を四角いプラスチック容器に流し込み、450RPMでオーバーヘッドスターラーを用いて攪拌する。オランザピン及びコレステロールを塩化メチレンに溶解する。分散相は直接、そしてすぐに、攪拌しながらPVA溶液に添加し、室温で18時間攪拌し続けることにより、塩化メチレンを蒸発させ、コレステロールマイクロスフェアーを形成する。
【0053】
コレステロールマイクロスフェアーは、標準メッシュの篩により分離し、水または他の適当な媒体により洗浄し、風乾することにより集め得る。他の収集法、乾燥法及び医薬的に許容され得る設備も使用し得、それらは当業者には公知である。
【0054】
本発明の製剤中に使用されるオランザピン、オランザピンパモエート塩、または、その溶媒和物の粒子径は、エアー・ジェットミルのような当業者に知られた粒子径減少法により調節、及び、達成され得る。粉砕された薬剤の粒子径は、粗めから細かめと、使用される製剤の型、及び、望まれる薬剤の放出の性質に応じて異なり得る。粗めの粒子は平均約20〜約60μm、中くらいの粒子は約5〜約20μm、そして、細かい粒子は5μmより小さい粒子径である。
【0055】
本明細書中で使用される、「哺乳類」という用語は、高等脊椎動物の哺乳類綱を示す。それに限られるわけではないが、「哺乳類」という用語にはヒトが含まれる。本明細書中で使用されるように、「処置する」という用語には、指定の症状の予防、または、一度成立した症状の改善若しくは排除が含まれる。
【0056】
オランザピンは広い用量範囲にわたって有効であり、実際に投与される用量は処置する症状に依存する。例えば、成人の処置においては、1日当り約0.25〜200mg、好ましくは1〜30mg、最も好ましくは1〜25mgの用量が使用され得る。従って、数日から約1月にわたる期間の各日当りの望ましい用量を提供できるようにデポー剤を調整することができる。
【0057】
複数用量の製剤を意図した場合、例えば保存剤のような追加の賦形剤が必要とされ得る。これらに限定されるわけではないが、例えばトコフェロールまたは没食子酸プロピル等の保存剤を用い得る。その他の保存剤には、フェノール、クレゾール、安息香酸ナトリウム等が含まれる。
【0058】
最も好ましくは、オランザピン製剤は、湿気と光から製剤を保護する包装材料に包まれる。例えば、琥珀色の高密度ポリエチレン容器、琥珀色のガラス瓶、ポリプロピレン注射器、及び、これに限定されるわけではないが、光透過を遮る材料で作られた小袋付のブリスターパックを含むその他の容器が、適当な包装材料に含まれる。
【0059】
本発明に使用する材料は、購入または、当業者に周知の手法により製造することができる。オランザピンは、Chakrabartiが米国特許第5,229,382号(以下、「'382」と呼ぶ)に記載した方法により製造することができる。この特許の全内容は本明細書の一部を構成する。一般に、オランザピンパモエート塩及び溶媒和物は、オランザピン及びパモ酸を適当な溶媒中で混合し、得られた生成物を洗浄、乾燥することにより得られる。同モル量のパモ酸及びオランザピンが、(1:1)オランザピンパモ酸塩を形成するのに必要とされる。ビス(オランザピン)パモエート塩(2:1)には、1モルのパモ酸に対して2モル等量のオランザピンが必要とされる。
【0060】
驚くべきことに、出願人は、パモ酸オランザピン及び溶媒和物の溶解性が、特にpH4〜8の範囲において、pHに非依存的であることを発見した。そのため、筋肉のpHは運動、ストレス、代謝状態、傷治癒の具合により変化し、一般にpH7.4〜4の範囲にあるので、このような塩は筋肉注射に特に適する。さらに、ビス(オランザピン)塩は、単位質量当りの薬剤活性を改良するというさらなる利点を有し、合成された微粒子の装薬量を高く、及び、各単位用量当りの容量を減少させることができる。
【0061】
好ましくは、製剤は医薬的に許容され得る有効量のオランザピン、または、そのパモエート塩、若しくは、溶媒和物の持続時間が、7日よりも長い期間、より好ましくは少なくとも14日、最も好ましくは最大30日まで延ばされており、15%よりも少ない活性成分のバースト性の放出を伴うものである。「バースト」という用語は、活性成分の即時の放出であることが、当業者には理解される。さらに、好ましい製剤は21ゲージまたはそれより小さい針により、2mlまたはそれより少ない注射量で注射され得る。他の望ましい特徴としては、毒物学的及び医薬的に許容され得る賦形剤の使用を含む。皮下または筋肉内投与に好適な、単位容量形の製剤が望ましい。
【0062】
ここで特許請求される製剤は、単独または他のものとの併用して使用し得る。選ばれる担体に依存して、ここで特許請求される製剤は、特に即効性の筋肉内投与またはデポー剤に特に有用であり得る。オランザピン油性担体は、コレステロール(各ユニット量当り50%量を上限として)マイクロスフェアーとの組み合わせで、または、マイクロスフェアーなしの単独でのどちらもが有用である。コレステロールマイクロスフェアーは、使用する賦形剤の形に依存して、さらに油性担体及び水と、単位注入体積当り50%量まで混合することができる。
【0063】
(実施例)
以下の実施例は例示を目的とするものであり、本願は発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0064】
製造例1
テクニカルグレードのオランザピン
【化1】

適当な三ツ口フラスコに以下のものを添加した:
ジメチルスルホキシド(分析用) :6容量
中間体1 :75g
N-メチルピペラジン(試薬) :6当量
中間体1は、当業者に公知の方法により製造され得る。例えば、中間体1の製造法は、 '382特許に教示されている。
【0065】
反応中に生じたアンモニアを除去するために、液面下に窒素を散布する管を入れた。反応を120℃に加熱し、反応が続いている間その温度に維持した。約5%の中間体が未反応で残った状態となるまで、反応をHPLCにより追跡した。反応が終了した後、混合物をゆっくりと(約2時間かけて)20℃まで冷却した。反応混合物は、適当な三ツ口丸底フラスコ及び水浴に移した。この溶液に、10容量の試薬グレードのメタノールを攪拌しながら添加し、反応物を20℃で30分間攪拌した。3容量の水をゆっくりと約30分にわたって添加した。反応スラリーを0〜5℃に冷却し、30分間攪拌した。生成物を濾過し、湿ったケークを氷冷したメタノールで洗浄した。湿ったケークを45℃で、一晩かけて真空乾燥した。生成物は、工業用オランザピンと同定された。
収量: 76.7%; 力価:98.1%
【0066】
製造例2
II型
270gの工業用グレードの2-メチル-4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-10H-チエノ[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピンを無水酢酸エチル(2.7L)に懸濁した。混合物を76℃に加熱し、30分間76℃に保った。混合物を25℃まで冷却した。得られた生成物を真空濾過により単離した。生成物は、X線粉末分析によりII型と同定された。
収量: 197g
【0067】
II型を製造するための上述の方法により、力価が97%以上、関連物質総量が0.5%より少なく、そして分離される収量が73%より多い、医薬的に洗練された生成物が提供される。
【0068】
製造例3
2-メチル-4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-10H-チエノ[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピン パモエート(パモ酸オランザピン)の製造法
A.オランザピン(3.12g, 0.01モル)をテトラヒドロフラン(50ml)に、加熱溶解した。パモ酸(3.88g, 0.01モル)をテトラヒドロフラン(100ml)に、加熱溶解した。これら2つの溶液を混合し、まだ温かいうちにセライトのパッドを用いて濾過した。この黄色の溶液をBuchiフラスコに移し、減圧下で蒸発させた(湯浴温度50℃)。約50mlの溶媒が除去された時点で、エタノール(50ml)を加え、蒸発を続けた。さらに、50mlの溶媒が集まった時点でエタノール50mlをさらに添加した。結晶化が起こるまで蒸発を続けた。濾過により黄色結晶を収集し、120℃で高真空乾燥した。Mp 203〜205℃。OKは1H NMR、113C NMR及びMSによる。HPLC精製度99.61%。
OKは1H NMR、113C NMR及びMSによる。HPLC精製度99.61%。1Hスペクトルのピーク、8.4, s, 2p, s, 8.2, d, 2p, d, 7.9, s, 1p, s, 7.8, d, 2p, d, 7.2, t, 2p, t, 7.1, t, 2p, t, 6.9, m, 2p, 6.7, m, 1p, t?, 6.4, s, 1p, s, 4.8, s, 2p, s, 3.6, br, 4p, br, 3.3, br, 4p, br, 2.8, s, 3p, s, 2.3, s, 3p, s
13Cのピーク、171.4, 156.6, 154.6, 154.5, 143.7, 138.2, 135.1, 129.5, 128.9, 128.0, 126.9, 126.6, 125.8, 124.0, 123.1, 122.9, 121.8, 121.6, 119.3, 118.5, 117.8, 115.9, 51.9, 43.6, 42.0, 19.3, 14.4
【0069】
製造例4
2-メチル-4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-10H-チエノ[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピン パモエート ジメタノレート
(オランザピンパモエートジメタノレート)の製造法
マグネティックスターラーを入れた250mlのビーカーに、ジメチルスルフオキシド(DMSO)(10ml,0.636M)、パモ酸(2.49g,6.41mmol)、及び、オランザピン(2.0g,6.40mmol)を入れた。20〜25℃で、スラリーを溶解させるために攪拌した。機械的スターラーを備え、メタノール(100ml)の入った三ツ口フラスコに、溶液を20〜25℃で、10分間かけて添加した。メタノールへの添加を始めたすぐ後、結晶の形成が始まり溶液は濁った。添加を続けることにより固体が増加した。添加を終了した後、温度を約15分かけて5℃に設定し、120分間攪拌した。スラリーを濾過した。フラスコ及び湿ったケークをメタノール(25ml)で洗浄した。生成物を一晩かけて、50℃で、真空乾燥し、X線粉末回折(XRPD)、TGA(8.2%)、ガスクロマトグラフィー(GC)(8.6%メタノール)、及び、核磁気共鳴(NMR)分析(1:1塩)により確認された、4.61gのオランザピンパモエートジメタノレートを得た。
【0070】
製造例5
2-メチル-4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-10H-チエノ[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピン パモエート THF 溶媒和物
(パモ酸オランザピンTHF溶媒和物)の製造法
マグネティックスターラーを入れた250mlの三ツ口フラスコに、テトラヒドロフラン(THF)(60ml)、パモ酸(2.49g,6.41mmol)、及び、オランザピン(2.0g,6.40mmol)を入れた。溶解させるために、スラリーを20〜25℃で攪拌した(約20分間)。THF溶液にメタノール(30ml)を10分かけて添加した。混合物への添加が終了した直後に、スラリーの半分を濾過した。湿ったケーク(1)を一晩かけて50℃で真空乾燥し、2.07gの収量を得た。残りのスラリーを室温で2時間攪拌し、濾過した。湿ったケーク(2)を一晩かけて50℃で真空乾燥し、2.16gの収量を得た。どちらの場合でも、分離した材料はパモ酸オランザピンTHF溶媒和物であることが、XRPD、TGA(12.7〜13.5%)、及び、NMR分析(12.2〜12.9%THF,1:1塩)により確認された。
【0071】
製造例6
2-メチル-4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-10H-チエノ[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピン パモエート 一水和物(パモ酸オランザピン一水和物)の製造法
マグネティックスターラーを入れた適当なビーカーに、ジメチルスルホキシド(22ml)、パモ酸(2.49g,6.41mmol)、及び、オランザピン(2.0g,6.40mmol)を入れた。スラリーを溶解させるために20〜25℃で攪拌した(約20分間)。機械的スターラーを備え、水(96ml)の入った250ml三ツ口フラスコに、溶液を40℃で、20分間かけて添加した。添加を完了した後、スラリーを40℃で20分間攪拌し、約30分かけて20〜25℃に冷却し、濾過し、水(25ml)で洗浄した。生成物を50℃で真空乾燥し、XRPD、TGA(3.0%)、及び、滴定分析(KF=3.2%)により確認された、4.55gのパモ酸オランザピン一水和物を得た。
【0072】
製造例7
A.ビス(2-メチル-4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-10H-チエノ[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピン)パモエート アセトン溶媒和物
(ビス(オランザピン)パモエートアセトン溶媒和物)の製造法
攪拌器を備えた100mlの三ツ口フラスコに、アセトン(10ml)、パモ酸(1.25g,3.22mmol)、及び、オランザピン(2.0g,6.4mmol)を入れた。スラリーを20〜25℃で、約60分間攪拌し、濾過した。湿ったケークをアセトン(5ml)で洗浄した。生成物を40℃で真空乾燥し、XRPD、TGA(7.0%)、及び、NMR(3.7%アセトン,2:1塩)分析により確認された、ビス(オランザピン)パモエートアセトン溶媒和物(3.24g)を得た。
【0073】
B.ビス(2-メチル-4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-10H-チエノ[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピン)パモエート アセトン溶媒和物
(ビス(オランザピン)パモエートアセトン溶媒和物)の製造法
攪拌器を備えた100mlの三ツ口フラスコに、ジメチルスルフオキシド(10.8ml)及びパモ酸(3.75g,9.65mmol)を入れた。溶解させるために、スラリーを20〜25℃で攪拌した。機械的スターラーを備え、アセトン(150ml)、及び、オランザピン(6.0g,19.2mmol)の入った、250ml三ツ口フラスコに、この溶液を50℃で添加した。スラリーを60分間かけて20〜25℃に冷却し、60分間攪拌し、濾過した。湿ったケークをアセトン(15ml)で洗浄した。湿ったケークのうち半分をアセトン(54ml)に、20〜25℃で2時間かけて再スラリー化し、濾過し、アセトン(10ml)で洗浄した。生成物を35〜40℃で真空乾燥し、XRPD、TGA(5.8%)、GC(5.57%アセトン)、及び、NMR(2:1塩)分析により確認された、ビス(オランザピン)パモエートアセトン溶媒和物(4.54g)を得た。
【0074】
製造例8
ビス(2-メチル-4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-10H-チエノ[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピン)(ビス(オランザピン)パモエート 一水和物)の製造法
攪拌器を備えた100ml三ツ口フラスコに、ジメチルスルホキシド(10.8ml)及びパモ酸(3.75g,9.65mmol)を入れた。溶解させるために、スラリーを20〜25℃で攪拌した。機械的スターラーを備え、アセトン(150ml)及びオランザピン(6.0g,19.2mmol)の入った、250ml三ツ口フラスコに、この溶液を50℃で、15〜20分間かけて添加した。添加完了後、スラリーを50℃で、約20分間攪拌した。スラリーを60分間かけて20〜25℃に冷却し、60分間攪拌し、濾過した。湿ったケークをアセトン(15ml)で洗浄した。湿ったケークのうち半分を35〜40℃で真空乾燥し、XRPD、TGA(3.3%)、GC、滴定(KF=2.2%)及び、NMR(2:1塩)分析により確認された、ビス(オランザピン)パモエート一水和物(5.01g)を得た。
【0075】
製造例9
(2-メチル-4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-10H-チエノ[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピン)二水和物Dの製造法
100gの工業用グレードのオランザピン(製造例1参照)試料を水(500mL)に懸濁した。混合物を25℃で、約5日間攪拌した。生成物を真空濾過により単離した。生成物は、X線粉末分析により二水和物Dオランザピンと同定された。収量: 100g。TGA質量損失は10.2%であった。
【0076】
製造例10
(2-メチル-4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-10H-チエノ[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピン)二水和物Eの製造法
0.5gの工業用グレードのオランザピン試料を酢酸エチル(10mL)及びトルエン(0.6mL)に懸濁した。固体が全部溶解するまで、混合物を80℃に加熱した。溶液を60℃に冷却し、ゆっくりと水(1mL)を添加した。溶液が室温まで冷めると、結晶スラリーが生じた。生成物を真空濾過により単離し、適当な条件下で乾燥した。生成物は、X線粉末分析及び固体状態13C NMRにより二水和物Eと同定された。TGA質量損失は10.5%であった。収量: 0.3g。
【0077】
製造例11
(2-メチル-4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-10H-チエノ[2,3-b][1,5]ベンゾジアゼピン)二水和物Bの製造法
10gの工業用グレードのオランザピンを水(88mL)に懸濁した。混合物を25℃で、6時間攪拌した。生成物を真空濾過により単離した。生成物は、X線粉末分析により二水和物Bオランザピンと同定された。収量: 10.86g。
【0078】
以下の略語を、後述の表にした実施例で使用した:
O =粒子径未決定オランザピン
O-F =細かく(fine)粉砕したオランザピン;
粒子径5μmより小さい
O-C =粗く(coarse)粉砕したオランザピン;粒子径20〜60μm
OPDM-C =粗く粉砕したパモ酸オランザピン二水和物;
粒子径20〜60μm
OPDM-F =細かく粉砕したパモ酸オランザピン二水和物;
粒子径5μmより小さい
OPMH =パモ酸オランザピン一水和物
OPMH-F =細かく粉砕したパモ酸オランザピン一水和物;
粒子径5μmより小さい
BOPMまたはBOP =ビス(オランザピン)パモエート一水和物
BOPM-FまたはBOP-F =細かく粉砕したビス(オランザピン)パモエート一水和物
;粒子径5μmより小さい
aq =水性
PEG200 =平均モル細胞重量200のポリエチレングリコール
EtOH =エタノール
CHITOSAN(登録商標)low MW, high MW =脱アセチル化キチン、
低及び高分子量
NaCMC =カルボキシメチルセルロースナトリウム,ナトリウム塩
Wrt =について
RIJ(登録商標)-52 =ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル界面活性剤
Carnauba =ワックス
G-1726(登録商標) =ポリスチレン(20)セルビトール蜜蝋誘導体
PLURONIC(登録商標)=プロピレンオキシド及びエチレンオキシドのブロック共
重合体である非イオン性界面活性剤。プロピレンオキシド
ブロックは、2つのエチレンオキシドブロックに挟まれて
いる。ポリ(オキシエチレン)基が、ポリオキシプロピレン
鎖の両末端に存在。
HO(CH2CH2O)a(CHCH3CH2O)b(CH2CH2O)cH
アルファベット表示は、生成物の物理的形体を表す:「L」は液体、「P」はペースト、「F」は固体形体を示す。数字の最初の数字(3つ数字が並ぶ場合には、最初の2つの数字)に300をかけると、その疎水性物質の分子量の近似値が示される。最後の数字に10をかけると、分子中に含有されるエチレンオキシド含量の近似値が示される。
NF National Formulary =PLURONICS(登録商標)についての一
般的な名称であるポラクサマーの標準に適応する
LF及びD =低泡状のバージョンで次のものを含む:
PLURONICS(登録商標)F68
PLURONICS(登録商標)F 68NF
PLURONICS(登録商標)L121
PLURONICS(登録商標)L092
MIGLYOL(登録商標)810=植物脂肪酸C8及びC10より分画したトリグリセリド
(カプリル/カプリル酸)
MIGLYOL(登録商標)812=810とそのC8/C10比のみで異なる。C10比がより高
く、粘度及び曇点が高い。
MIGLYOL(登録商標)840=鎖長がC及びC10の飽和植物脂肪酸のプロピレングリ
コールジエステル(カプリル/カプリル酸)。
CREMAPHOR EL =ひまし油及びエチレンオキシドポリエトキシ化された
ひまし油の誘導体。リシノール酸エステル、グリセロール
及びポリグリコールエーテルを含む疎水部分、ひまし油、
並びに、ポリエチレングリコール及びエトキシ化されたグ
リセロールを含む親水部分の混合物。
CHREMAPHORE RH40 =硬化ひまし油1モルに対し40モルのエチレンオキシドを
含む。
CHREMAPHORE RH60 =硬化ひまし油1モルに対し60モルのエチレンオキシドを
含む。
POVIDONE USP(K-30)=ポリビニルピロリドン 米国薬種 XXIII:k値:30
(本質的粘性)
a-トコフェロール類似物=ビタミンE、αトコフェロール、2,5,7,8-テトラメ
チル-2-(4',8',12'-トリメチルトリデシル)-6-クロマノ
ール
NM =1-メチル-2-ピロリジノン
CROTHIX =PEG 150ペントアリトリチルテトラステアリン酸
エステル
SYNCROWAX =合成蜜蝋
POLAWAX =乳化ワックス
Tween(登録商標)20 =ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウリン酸エステ
ル、ソルビトールのラウリン酸エステル。20は、1モルの
ソルビトールに対して20モルのエチレンオキシドが共重合
していることを示す。
Tween(登録商標)80 =ポリオキシエチレン80ソルビタンモノオレイン酸エステ
ル、ソルビトールのオレイン酸エステル。80は、1モルの
ソルビトールに対して80モルのエチレンオキシドが共重合
していることを示す。
【0079】
実施例1
PLURONICS(登録商標): PLURONIC(登録商標)F68NF(50g)を111mlのHLCPグレードの水に混合した。混合物を断続的にスパーテルで攪拌し、冷凍庫で冷却した。溶解しなかった材料はソニケーターを使用して壊した。混合物を冷却し、透明な溶液が得られるまで混合した。オランザピン(300mg)を10mlのPLURONIC(登録商標)溶液とスパーテルで均一になるまで混合した。使用まで、混合物は冷蔵しておいた。
【0080】
以下の実施例は、実質的に実施例1に記載された方法と同じ方法によって製造した。
【表10】

【0081】
実施例13
スクロースジアセテートヘキサイソブチレート(SDHB): 10%エタノール及び90%SDHBをビーカー中で、スパーテルを用いて均一になるまで一緒に混合した。粉砕したオランザピン(150mg)をビーカーへ量り入れた。SDHB溶液(5ml)を添加し、オランザピンが、ビヒクル中に均等に混合されるまでスパーテルで攪拌した。
【0082】
以下の実施例は、実質的に実施例13に記載された方法と同じ方法によって製造した。
【表11】

【0083】
実施例19
Chitosan(登録商標): 水(70g)をビーカーへ量り入れた。乳酸(1g)、次に2gのChitosan(登録商標)、そして最後にオランザピン300mgを添加した。均一になるまで、スパーテルで混合物を攪拌した。
【0084】
以下の実施例は、実質的に実施例19に記載された方法と同じ方法によって製造した。
【表12】

【0085】
実施例22
CHITOSAN(登録商標): 水(25g)をビーカーに量り入れた。乳酸(0.5g)、次に765gのオランザピン、そして最後に1gのCHITOSAN(登録商標)を添加した。均一になるまで、スパーテルで混合物を攪拌した。
【0086】
以下の実施例は、実質的に実施例22に記載された方法と同じ方法によって製造した。
【表13】

【0087】
実施例25
その他: NaCMC(2g)をビーカーに量り入れ、100mlの水を添加した。混合物を室温、スターラープレート上で、全ての固体が溶解するまでマグネティック攪拌棒を用いて攪拌した。ビーカーにオランザピン(150mg)を量り入れ、4.85mlのNaCMCビヒクルを添加した。均一に混合されるまで、スパーテルを用いて混合物を攪拌した。製剤は使用直前に、振るか、または、攪拌することにより再懸濁した。
【0088】
以下の実施例は、実施例25に記載された方法によって製造した。
【表14】

【0089】
実施例28
油状物: 粉砕したオランザピン(120mg)をビーカーに量り入れ、3.88mlのMIGLYOL(登録商標)812油を添加した。均一になるまで、スパーテルで混合物を攪拌した。製剤中の固体は沈殿しやすかったので、製剤を使用直前に、振るか、または、攪拌することにより再懸濁した。
【0090】
以下の実施例は、実施例28に記載された方法によって製造した。
【表15】

【0091】
実施例41
オレイン酸: オレイン酸(0.54ml)及び300mgのオランザピンを一緒に温めた。次にMIGLYOL(登録商標)840油(9.2ml)を添加し、徐々に温めることにより全ての固体を融解した。
【0092】
以下の実施例は、実質的に実施例41に記載された方法と同じ方法によって製造した。
【表16】

【0093】
実施例57
ゲル化油: 油をゲル化させるため、25gのモノステアリン酸アルミニウムをフラスコ中の475gのごま油に添加した。油を、20分間、油浴中で155℃に温めながらステンレス鋼プロペラの付いたスタティックミキサーで攪拌した。この工程中、窒素ガスを系中に流れるようにした。その後、油を室温まで冷ました。粉砕したオランザピン(120mg)をビーカーに量り入れ、3.88mlのゲル化したごま油を添加した。均一になるまで、混合物をスパーテルでよく攪拌した。
【0094】
以下の実施例は、実質的に実施例57に記載された方法と同じ方法によって製造した。
【表17】

【0095】
実施例61
ワックス/油: 白色ワックス(400mg)をビーカーに量り入れ、3.6gのMIGLYOL(登録商標)812油を添加した。ワックスが融けるまで、80℃前後の湯浴中で温めた。その後均一になるまでスパーテルで攪拌した。粉砕したオランザピン(1g)をビーカーに添加し、均一になるまでスパーテルで攪拌した。混合しながら、混合物は室温まで冷ました。
【0096】
以下の実施例は、実質的に実施例61に記載された方法と同じ方法によって製造した。場合により、大きい粒子径及び活性成分の塊を減らすために、混合物を手動式ホモジナイザーで均一化した。
【表18】

【表19】

【0097】
実施例97
レシチン: オランザピン(500mg)及び、12.0gレシチンを約15分間、均一になるまでスパーテルで攪拌した。
【0098】
実施例98
レシチン+α-トコフェロール: レシチン(8.9972g)及び、1.0204gのα-トコフェロールをよく攪拌し、冷蔵庫に一晩保存した。混合物をよく攪拌し、300.7mgのオランザピンを添加し、よく混合した。
【0099】
実施例99
レシチン/NMP: オランザピン(500mg)を3mlのN-メチルピロリドン(NMP)に溶解した。レシチン(9ml)を添加し、均一な混合物を得るためにスパーテルで、約15分間よく攪拌した。
【0100】
実施例100
コレステロール/POVIDONE USP(K-30)/エチルセルロース/NMP: オランザピン(500mg)、エチルセルロース(0.062g)及びNMP(5ml)をよく攪拌し、透明な溶液が得られるまで、2〜3分間穏やかに温めた。その後、POVIDONE USP(K-30)(0.309g)及びコレステロール(2.475g)を添加し、コンシステンシードライの、粘調なゴム状製剤を得た。
【0101】
実施例101
コレステロール/POVIDONE USP(K-30)/エチルセルロース/NMP: コレステロール(2.475g)、0.3098gのPOVIDONE USP(K-30)、0.0622gのエチルセルロース、及び、9.1686gのNMPを25mlビーカーに量り入れた。ビーカー中の材料を完全に混合し、不溶性材料を溶解するためにわずかに温めた。溶解のため、最小限の熱量を用いるよう注意した。透明な溶液を冷却し、500mgのオランザピンを添加し、完全に攪拌することにより、透明な薄黄色溶液を得た。
【0102】
実施例102
レシチン/コレステロール/POVIDONE USP(K-30)/エチルセルロース/NMP: 0.2511gのPOVIDONE USP(K-30)をビーカーに量り入れた。それに300.5mgの粗粒子オランザピン、28.5mgのエチルセルロース、及び、2.008gのコレステロールを添加した。この乾燥混合物をよく攪拌した。この乾燥混合物に0.7463gのα-トコフェロールを添加し、この混合物をよく攪拌した。これに、3.3806gのレシチンを添加し、よく混合した。さらに、3.0825gのレシチンを添加し、またよく混合した。
【0103】
実施例103
レシチン/コレステロール/POVIDONE USP(K-30)/エチルセルロース/NMP:粗粒子オランザピン(300.7mg)、2.5821gのNMP、及び、25.4mgのエチルセルロースをよく攪拌した。これに248.0mgのPOVIDONE USP(K-30)、2.0008gのコレステロール、及び、2.6020gのレシチンを添加した。この製剤をよく攪拌した。混合物は層に分離し、37℃の浴で5分間温めた。軟らかい塊のような製剤が濃厚溶液中に凝固した。レシチン(2.5074g)を添加し、よく混合した。最終的に、製剤はゲルのような凝塊がなくなり、オランザピンの懸濁液が形成された。
【0104】
以下の実施例は、実質的に実施例97〜103に記載された方法と同じ方法によって製造した。
【表20】

【0105】
実施例118
オランザピン-コレステロール微粒子
500mlの脱イオン水に5g(1%)のポリビニルアルコール(PVA)を添加した。溶液をマグネティック攪拌棒で攪拌し、PVAが全て溶解するまで、数時間温めた。混合物を室温まで冷却した。溶液を四角いプラスチック容器に流し入れ、450RPMでオーバーヘッドスターラーを用いて攪拌した。1.2gのオランザピン及び8.8gのコレステロールを100mlの塩化メチレンに溶解した。PVA溶液を添加し、混合物を18時間攪拌した。
【0106】
微粒子回収:
方法1:PVA/オランザピン溶液を100及び230メッシュ篩(米国標準)、各々にかけた。大きい画分と、細かい画分を捨てた。230篩から粒子を水で、Whatman#4ろ紙を載せたブフナー漏斗に流し入れ、真空濾過した。粒子を天秤皿に移し、風乾した。回収された粒子径:>63μm〜<150μm
【0107】
方法2:PVA/オランザピン溶液を、Whatman#4ろ紙を載せたブフナー漏斗を用いて真空濾過した。粒子を天秤皿に移し、風乾した。粒子を乾いた状態で、30メッシュ篩(米国標準)にかけ、全ての大きな粒子を除いた。
【0108】
方法3:PVA/オランザピン溶液を230メッシュ篩(米国標準)にかけた。篩から粒子を水で、Whatman#4ろ紙を載せたブフナー漏斗に流し入れ、真空濾過した。粒子を天秤皿に移し、風乾した。回収された粒子径:>63μm
【0109】
方法4:PVA/オランザピン溶液を230メッシュ篩(米国標準)にかけた。篩から粒子を水で、Whatman#4ろ紙を載せたブフナー漏斗に流し入れ、真空濾過した。粒子を天秤皿に移し、風乾した。乾いた粒子を、100メッシュ篩(米国標準)にかけた。回収された粒子径:>63μm〜<150μm
【0110】
方法5:PVA/オランザピン溶液を100メッシュ篩(米国標準)にかけた。篩から粒子を水で、Whatman#4ろ紙を載せたブフナー漏斗に流し入れ、真空濾過した。粒子を天秤皿に移し、風乾した。乾いた粒子を、100メッシュ篩(米国標準)にかけた。回収された粒子径:>150μm。篩にかけたPVA/オランザピン溶液を遠心し、デンカントした。沈殿をWhatman#4ろ紙を載せたブフナー漏斗で真空濾過し、天秤皿に移し、風乾した。回収された粒子径:<150μm。
【0111】
方法6:PVA/オランザピン溶液を、Whatman#4ろ紙を載せたブフナー漏斗で真空濾過し、水で洗浄した。粒子を天秤皿に移し、風乾した。
【0112】
生成物の力価は、高速液体クロマトグラフィーにより分析した。
【0113】
【表21】


【表22】

【表23】

【表24】

【0114】
実施例165
噴霧乾燥:
オランザピン(0.5g、粉砕)及び4.5gのコレステロールを50mlの塩化メチレンに溶解した。この溶液を、60cmの長さの乾燥カラムを付けた実験室サイズのヤマト噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥した。乾燥機は以下の条件に設定した:入口温度=50℃、出口温度=33℃、空気流体積=55m3、噴霧量=0.55Kgf/cm3。微粒子は、出口でバイアルに集め、63〜150μm粒子径にふるい、力価を高速液体クロマトグラフィーで分析した。
【0115】
以下の実施例は、実質的に実施例164に記載された方法と同じ方法によって製造した。
【表25】

【0116】
方法の要約
製剤を混合し、5mlのシリンジに詰めた。使い捨てのプラスチックピペットの先端を切り取り、シリンジに装着した。透析チューブを5〜6cmの長さに切断し、水の入ったビーカー中に湿らせた状態で保った。チューブの一端をチューブクリップした。チューブの空の重量を秤で計り、シリンジから製剤を1ml、チューブに分配した。開いた端をクリップし、最終重量を測定した。満たされた透析チューブを、37℃で、250mlのDulbeccoリン酸バッファーを加えた塩水(pH7.4)の入った900mlの溶解容器に入れた。この容器を50RPMで回転するパドルを備えたVankel溶解装置に入れた。試料は、手動でパドルの回転を止め、ピペットで2mlの標本を取ることにより採取した。2、4、8、12、24、48時間後、及び48時間後から4週間までは、24時間おきに標本を採取した。2、4、8、12時間の時には、媒体は2mlの新しいバッファーで置換した。各24時間の時点では、全量の媒体を予め37℃に温めた新しい媒体で置換した。HPLCバイアルに、試料を直接入れ、力価を高速液体クロマトグラフィーで分析した。
【0117】
製剤は、上述の放出分析により試験し、活性成分が48時間から4週間までの許容され得る延長された活性成分の持続放出値を有することを確認した。
【0118】
ウサギにおける効力検定
足の筋肉の大きさが、用量投与及び注射位置の評価に適するので、New Zealand Whiteウサギをデポー剤の評価のために選択した。
【0119】
同性のウサギ3匹を、アヴェイラビリティーに基づいて選択した各製剤について使用した。ウサギは最低生後5ヶ月であり、体重は2.5〜5kgの間であった。ウサギの大腿二頭筋に、20-または21-ゲージの針で1回注射した。用量容積は、製剤の濃度により異なったが、各注射当り2mLは超えなかった。ウサギに、kg体重当り10mgのオランザピンを与えた。
【0120】
用量投与前に1回、用量投与4時間後、そしてその後、1、2、7、10及び14日後に中耳動脈または頚静脈からヘパリンで凝血防止した採取チューブに2mLの血液試料を集めた。血漿を集め、血漿中オランザピン濃度をHPLCにより決定した。
【0121】
本発明の製剤をウサギにおける効力検定で試験し、14日までオランザピンの有効な濃度を示すことを見出した。
【0122】
イヌにおける効力検定
イヌにおけるオランザピンの薬物動態についてよく知られている、ビーグル犬を選択した。性差によって、オランザピンの薬物動態に差違はないので、イヌの選別は性差によっては行わなかった。各製剤について3匹のイヌを(雄または雌)を使用した。イヌは成体(6ヶ月以上)であり、体重は8〜21kgであった。臀筋または大腿二頭筋に、20-または21-ゲージの針でイヌに1回注射した。用量容積は、製剤の濃度により異なったが、各注射当り2mLは超えなかった。イヌに、kg体重当り10mgのオランザピンを与えた。
【0123】
各時点で、頚静脈からヘパリンで凝血防止した採取チューブに2mLの血液試料を集めた。用量投与前に1回、そして用量投与後、28日間の間の幾つかの時点で血液試料を集めた。代表的な時点は、投与後0.5、1、2、4、8及び24時間後、そして2、7、14、21及び28日後に1日1回であった。血漿を集め、血漿中オランザピン濃度をHPLCにより決定した。
【0124】
本発明の製剤をイヌにおける効力検定で試験し、28日までオランザピンの有効な濃度を示すことを見出した。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明により、精神病等の処置に有用なパモ酸オランザピンまたはその溶媒和物を含有する医薬的に洗練された製剤を製造することができるため、工業的利用価値が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分としてパモ酸オランザピンまたはその溶媒和物を含む製剤。
【請求項2】
該製剤が、7日より長い延長された持続放出性、及び活性成分の15%より少ないバースト放出性を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
デポー用量形として使用される、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
即効性筋肉内用量形として使用される、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
活性成分が、オランザピンパモエートジメタノレート、パモ酸オランザピン一水和物、パモ酸オランザピンTHF溶媒和物、ビス(オランザピン)パモエートアセトン溶媒和物、及び、ビス(オランザピン)パモエート一水和物からなる群より選ばれる、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
活性成分が粉砕されている、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
粒子径が20〜60μmである、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
粒子径が5〜20μmである、請求項6に記載の製剤。
【請求項9】
粉砕された粒子が5μmであるか、それよりも小さい、請求項6に記載の製剤。
【請求項10】
活性成分が、下記表1の面間隔:
【表1】

で表される特有のX線粉末回折パターンを有するパモ酸オラザピン一水和物である、請求項5に記載の製剤。
【請求項11】
精神病、急性躁病または軽い不安状態を患うまたはその疑いのあるヒトを含む動物を処置するための製剤を製造するための、パモ酸オランザピンまたはその溶媒和物の使用。
【請求項12】
該製剤が、7日より長い延長された持続放出性、及び活性成分の15%より少ないバースト放出性を有する、請求項11に記載の使用。

【公開番号】特開2010−138208(P2010−138208A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60704(P2010−60704)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【分割の表示】特願2000−513467(P2000−513467)の分割
【原出願日】平成10年9月30日(1998.9.30)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】