説明

2−メチレン−20−メチル−19,24,25,26,27−ペンタノル−ビタミンD類縁体

本発明は、2-メチレン-20-メチル-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD類縁体、特に2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3、およびその薬学的使用を開示する。本化合物は未分化細胞の増殖阻止およびそれらの単球への分化誘導において活性を示し、したがって抗癌剤としての使用、ならびにしわ、たるんだ皮膚、乾燥皮膚および不十分な皮脂分泌のような皮膚状態と同様に乾癬のような皮膚疾患の治療のための使用を証明する。本化合物はカルシウム血症活性を有するとしてもわずかであり、したがって腎性骨ジストロフィーと同様に、ヒトの自己免疫性障害または炎症性疾患の治療に使用できる。本化合物は肥満症の治療もしくは予防にも使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビタミンD化合物に関し、より詳細には2-メチレン-20-メチル-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD類縁体およびそれらの薬学的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ホルモンである1α,25-ジヒドロキシビタミンD3およびそのエルゴステロール系の類縁体、すなわち1α,25-ジヒドロキシビタミンD2は、動物およびヒトにおけるカルシウム恒常性の非常に強力な調節物質であることが知られており、細胞分化におけるそれらの活性も確立されている(Ostremら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84,
2610(1987))。1α-ヒドロキシビタミンD3、1α-ヒドロキシビタミンD2、様々な側鎖同族体化ビタミン、およびフッ化類縁体を含むこれらの代謝産物の多くの構造類縁体が調製され、試験されている。これらの化合物のいくつかは細胞分化およびカルシウム調節における活性の興味深い分離を示す。活性におけるこの相違は、腎性骨ジストロフィー、ビタミンD抵抗性くる病、骨粗鬆症、乾癬、および特定の悪性腫瘍のような様々な疾患の治療において有用となり得る。
【0003】
ビタミンD類縁体の別クラス、すなわちいわゆる19-ノル-ビタミンD化合物は、2つの水素原子による、ビタミンD系に特有のA環の環外メチレン基(19位炭素)置換を特徴とする。このような19-ノル-類縁体(例えば、1α,25-ジヒドロキシ-19-ノル-ビタミンD3)の生物学的試験により、細胞分化の誘導における高い効力を伴う選択的活性プロファイル、および非常に低いカルシウム動員活性が明らかとなった。したがって、これらの化合物は悪性腫瘍の治療、または様々な皮膚障害の治療用の治療薬として有用である可能性がある。このような19-ノル-ビタミンD類縁体の2つの異なる合成法が記載されている(Perlmanら,
Tetrahedron Lett. 31, 1823 (1990);Perlmanら, Tetrahedron Lett.
32, 7663 (1991)、およびDeLucaら, 米国特許第5,086,191号)。
【0004】
骨粗鬆症のために有望な薬物かつ抗癌剤として1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の2β-ヒドロキシおよびアルコキシ(例えば、ED-71)類縁体がChugaiグループによって米国特許第4,666,634号に記載され、試験された。Okanoら, Biochem. Biophys. Res. Commun. 163,1444(1989)も参照されたい。1α,25-ジヒドロキシビタミンD3のその他の2置換(ヒドロキシアルキル、例えば、ED-120、およびフルオロアルキル基による)A環類縁体も調製され、試験されている(Miyamotoら, Chem. Pharm.Bull. 41,1111(1993); Nishiiら, Osteoporosis Int. Suppl. 1,190(1993);Posnerら, J. Org. Chem. 59,7855(1994), およびJ. Org. Chem. 60,4617(1995))。
【0005】
1α,25-ジヒドロキシ-19-ノル-ビタミンD3の2置換類縁体、すなわち、ヒドロキシ基もしくはアルコキシ基(DeLucaら, 米国特許第5,536,713号)、2-アルキル基(DeLucaら 米国特許第5,945,410号)、および2-アルキリデン基(DeLucaら、米国特許第5,843,928号)により2位で置換された化合物も合成されており、これらは興味深い選択的活性プロファイルを示す。これらの研究はすべて、ビタミンD受容体の結合部位が合成ビタミンD類縁体のC-2における異なる置換基に適応し得ることを示している。
【0006】
薬理学的に重要なビタミンD化合物の19-ノル部類を探索するための努力において、10位炭素(C-10)から2位炭素(C-2)へのA環の環外メチレン基の転位を特徴とする類縁体、すなわち2-メチレン-19-ノル-ビタミンD化合物が、近年合成され試験された(Sicinskiら.,
J. Med. Chem., 41, 4662 (1998);Sicinskiら., Steroids 67, 247 (2002);DeLucaら., 米国特許第5,843,928号, 第5,936,133号および第6,382,071号)。これらの類縁体で行われる分子メカニズム研究により、A環の立体配座変化はシクロヘキサンジオール環の「フラット化」を生じることが予期され得ることが示された。分子メカニズム算出およびNMR研究により、それらのA環配座平衡はエカトリアル1α-OHを有する配座異性体が優先されて約6:4であることが確立された。2-メチレン基の19-ノル-ビタミンD炭素骨格への導入は、その(1α-および3β-)A環ヒドロキシルの特性を変化させる。それらはいずれもアリル位にあり、天然ホルモンである1α,25-(OH)2D3分子における(生物学的活性にとって重要な)1α-ヒドロキシル基と同様である。1α,25-ジヒドロキシ-2-メチレン-19-ノルビタミンD類縁体は、有意な生物学的有効性を特徴とし、そのような化合物が様々な医薬用途のための優れた候補となることが見出された。
【0007】
19-ノルクラスの薬理学的に重要なビタミンD化合物を探索するための継続的努力において、2位炭素(C-2)におけるメチレン置換基、1位炭素(C-1)におけるヒドロキシル基、および20位炭素(C-20)に結合した短い側鎖の存在を特徴とする類縁体も合成され、試験されている。1α-ヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-プレグナカルシフェロールが米国特許第6,566,352号に記載されている一方、1α-ヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ホモプレグナカルシフェロールが米国特許第6,579,861号に、1α-ヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ビスホモプレグナカルシフェロールが米国特許第6,627,622号に記載されている。これら3つの化合物はすべて、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3に比べてビタミンD受容体に対する比較的高い結合活性および比較的高い細胞分化活性を有するが、カルシウム血症活性はあるとしてもわずかである。それらの生物活性により、352号、861号、および622号特許に示すとおり、これらの化合物は様々な薬学的使用のための優秀な候補となっている。切頭型側鎖を有する2-メチレン-1α-ヒドロキシ-19-ノルビタミンD類縁体はインビボ(in vivo)で効果的に副甲状腺ホルモン値を抑制することもPlumら, PNAS, 101, 6900 (2004)によって知られている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、2-メチレン-20-メチル-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD類縁体、それらの生物活性、およびこれらの化合物の様々な薬学的使用に関する。今まで知られていないこれらの新規ビタミンD化合物は、2位(C-2)のメチレン基、および17位(C-17)で置換された1,1-ジメチルプロピル基を有する19-ノル-ビタミンD類縁体であり、すなわち、該類縁体は、ヒドロキシル基を含まない分枝(1,1-ジメチルプロピル)アルキル側鎖を有する。好ましいビタミンD類縁体は、2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3である。
【0009】
構造上、これらの2-メチレン-20-メチル-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD類縁体は、下に示した一般式Iを特徴とする。
【化1】

式中、X1およびX2は同じでも異なってもよく、各々水素またはヒドロキシ保護基から選択される。好ましい類縁体は、下記の式Iaを有する2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3である。
【化2】

【0010】
上の化合物I、特にIaは、望ましい、かつ高度に好都合な生物活性パターンを示す。これらの化合物は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3に比べてビタミンD受容体への結合性が比較的高いが、腸管カルシウム輸送活性が非常に低く、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3に比べて非常に低い骨カルシウム動員力を有することを特徴とする。したがって、これらの化合物は、カルシウム血症活性を有するとしてもわずかであることを特徴とし得る。プレプロ副甲状腺ホルモン遺伝子(Darwish & DeLuca, Arch. Biochem. Biophys. 365, 123-130, 1999)、副甲状腺増殖の抑制時に血清カルシウムを生理的レベルを超えるレベルまで上昇させることは望ましくない。分化に関しては非常に活動的である一方、カルシウム血症活性はほとんどないかまったくないこれらの類縁体は、腎性骨ジストロフィーと同様に続発性副甲状腺機能亢進症の抑制療法として有用であることが期待されている。
【0011】
本発明の化合物I、特にIaは、免疫系の不均衡を特徴とするヒトの障害、例えば多発性硬化症、狼瘡、真性糖尿病、宿主対移植片拒絶反応、ならびに臓器移植拒絶反応を含む自己免疫性疾患の治療および予防に、さらに炎症性疾患、例えば関節リウマチ、喘息、ならびに炎症性腸疾患、例えばセリアック病、潰瘍性大腸炎およびクローン病の治療に特に適していることも見出されている。座瘡、脱毛症および高血圧症は本発明の化合物で治療できる他の病態である。
【0012】
上の化合物I、特にIaは、比較的高い細胞分化活性も特徴とする。したがって、これらの化合物は、乾癬治療の治療剤、または特に白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌および前立腺癌に対する抗癌剤も提供する。さらに、これらの比較的高い細胞分化活性のため、これらの化合物はしわ、十分な皮膚水分の欠如すなわち乾燥皮膚、十分な皮膚弾力の欠如すなわちたるんだ皮膚、および不十分な皮脂分泌を含む様々な皮膚状態治療の治療剤を提供する。したがってこれらの化合物の使用は、皮膚の保湿効果だけではなく皮膚のバリア機能も改善する。
【0013】
本発明の式I、特に式Iaの化合物は、被験動物における肥満症の予防もしくは治療、脂肪細胞分化の抑制、SCD-1遺伝子転写の抑制、および/または体脂肪の低減においても有用である。したがって、いくつかの実施形態では、被験動物における肥満症の予防もしくは治療、脂肪細胞分化の抑制、SCD-1遺伝子転写の抑制、および/または体脂肪の低減方法は、1つもしくは複数の化合物または1つもしくは複数の式Iの化合物を含む医薬品組成物の有効量を被験動物に投与することを含む。1つもしくは複数の化合物または医薬品組成物の対象への投与は、被験動物における脂肪細胞分化を抑制し、遺伝子転写を抑制し、および/または体脂肪を減らす。
【0014】
1つもしくは複数の化合物は、上記疾患および障害治療における組成物1g当たり約0.01μg〜約1000μg量、好ましくは組成物1g当たり約0.1μg〜約500μgで存在し得るし、約0.01μg/日〜約1000μg/日、好ましくは約0.1μg/日〜約500μg/日の投与量で、局所的に、経皮的に、経口的に、直腸内に、鼻内に、舌下にまたは非経口的に投与できる。
【0015】
図面において、図1〜図5は、天然ホルモンである1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(以下「1,25(OH)2D3」と表す)と比較して、2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3(以下「20DCM」と表す)の様々な生物活性を例証する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】[3H]-1,25-(OH)2-D3を用いた全長組換えラットビタミンD受容体との結合に関して競合する20DCMと1,25(OH)2D3の相対活性を例証するグラフである。
【図2】20DCMおよび1,25(OH)2D3の濃度の一関数としてのHL-60細胞分化%を例証するグラフである。
【図3】20DCMと比較した1,25(OH)2D3のインビトロ(in vitro)転写活性を例証するグラフである。
【図4】20DCMと比較した1,25(OH)2D3の骨カルシウム動員活性を例証する棒グラフである、および
【図5】20DCMと比較した1,25(OH)2D3の腸管カルシウム輸送活性を例証する棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
2位炭素(C-2)のメチレン置換基、および17位(C-17)で置換された1,1-ジメチルプロピル基の存在を特徴とする2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3(本明細書において「20DCM」と表す)19-ノルビタミンD類縁体を合成し、試験した。C-2位の比較的低級のメチレン基はビタミンD受容体への結合に干渉しないため、このようなビタミンD類縁体は興味深い標的と考えられる。構造上、この19-ノル類縁体は本明細書中の上記の一般式Iaを特徴とし、そのプロドラッグ(保護ヒドロキシ型)は本明細書中の上記の一般式Iを特徴とする。
【0018】
構造Iを有する2-メチレン-20-メチル-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD類縁体の調製は、共通の一般的な方法により、すなわち二環式ウィンダウス-グルンドマン型ケトンIIをアリルホスフィンオキシドIIIと縮合して対応する2-メチレン-20-メチル-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD類縁体IVとし、続いて後者の化合物におけるC-1およびC-3位で脱保護することによって成し遂げ得る。
【化3】

構造II、IIIおよびIVにおいて、X1およびX2基はヒドロキシ保護基、好ましくはt-ブチルジメチルシリルであり、当該技術分野において周知のように、感受性を有し得るまたはその縮合反応を妨げる任意の官能基が適切に保護されることも理解される。上記プロセスは収束的合成概念の適用を表しており、これはビタミンD化合物の調製に有効に適用されている[例えば、Lythgoeら, J. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 590 (1978);Lythgoe, Chem. Soc. Rev.
9, 449 (1983);Tohら, J. Org. Chem. 48, 1414
(1983);Baggioliniら, J. Org. Chem. 51, 3098
(1986);Sardinaら, J. Org. Chem. 51, 1264 (1986);J. Org.
Chem. 51, 1269 (1986);DeLucaら、米国特許第5,086,191号;DeLucaら、米国特許第5,536,713号]。
【0019】
一般構造IIを有するヒドリンダノンは知られていない。これは本明細書のスキーム1に示した方法によって調製し得る(化合物20DCMの調製を参照)。
【0020】
構造IIの必要なヒドリンダノンの調製のため、新規合成経路が既知の[Fallら.,
Tetrahedron Lett., 43, 1433 (2002); Granjaら.,
J. Org. Chem., 58, 124 (1993)]22-アルデヒド1から出発して開発されてきている。出発のベンゾイルオキシアルデヒド1の所望のC,D環シントン8への変換、およびその後のホスフィンオキシド9とのカップリングを含むプロセスをスキーム1に要約する。したがって、アルデヒド1を異性体のE-およびZ-オキシムの混合物に変換し、無水酢酸と加熱し、予期したニトリル2を形成した。該ニトリルはLDAで処理し、臭化エチルを追加してアルキル化カルバニオンを生成した。次の合成工程は、獲得したニトリル3における8β-ベンゾイルオキシ基のアルカリ加水分解による、対応するヒドロキシルニトリル4の生成を含む。下記の化学的変換、すなわちC-20シアノ基のDIBALH還元がヒドロキシルアルデヒド5に至ることを考慮すると、このプロセスは望ましい。ベンゾイルオキシニトリル3を直接DIBALHにて還元しても十分な収率の5を得られない一方、2工程手順はより有意に効率的である。次いで、次の2工程手順:p-トシルヒドラゾン6の形成およびそのシアノ水素化ホウ素ナトリウムでの還元、によってC-20位のホルミル置換基をメチル基に変換した。続いて得られた8β-アルコール7を過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムによって酸化し、ヒドリンダノン8を得た。このGrundmann型ケトンを、ホスフィンオキシド9およびフェニルリチウムから生成したリチウムホスフィノキシカルバニオンとWittig-Hornerカップリングして、予期した保護ビタミン化合物10を得た。これから、フッ化テトラブチルアンモニウムでの脱保護後に1α-ヒドロキシ-2-メチレン-20-メチル-19,24,25,26,27-ペンタノルビタミンD3(11)を得た。短いアルキル側鎖を有する他の1α-ヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ビタミンD類縁体は、本明細書に開示した方法によって合成できることに注目すべきである。
【0021】
必要な一般構造IIIのホスフィンオキシド調製のため、合成経路は、Perlmanら, Tetrahedron Lett. 32, 7663 (1991)、DeLucaら, 米国特許第5,086,191号、およびSicinskiら., J. Med. Chem., 41, 4662 (1998)に記載されているような市販の(1R、3R、4S、5R)-(-)-キナ酸から容易に得られるメチルキナ酸誘導体から開始して開発されている。
【0022】
化合物IおよびIaの全体の合成プロセスは、「2-アルキリデン-19-ノル-ビタミンD化合物」という題名の米国特許第5,843,928号に、より完全に例証かつ記載されている(この明細書は、特に、参照により本明細書中で援用される)。
【0023】
本明細書および請求項において使用される「ヒドロキシ保護基」という用語は、例えば、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルキルシリル基もしくはアルキルアリールシリル基(以下、単に「シリル」基と称する)、およびアルコキシアルキル基のようなヒドロキシ官能基の一時的保護のために一般に用いられる任意の基を意味する。アルコキシカルボニル保護基は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはアリルオキシカルボニルなどのアルキル-O-CO-基である。「アシル」という用語は、炭素数1〜6のアルカノイル基(そのすべての異性体型)、または、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基などの炭素数1〜6のカルボキシアルカノイル基、またはベンゾイル基、またはハロ置換、ニトロ置換もしくはアルキル置換ベンゾイル基などの芳香族アシル基を意味する。本明細書または請求項において使用する「アルキル」という用語は、炭素数1〜10の直鎖または分枝アルキルラジカル、そのすべての異性体型を示す。アルコキシアルキル保護基は、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエトキシメチル、またはテトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロピラニルなどの基である。好ましいシリル保護基はトリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニル-t-ブチルシリルおよび類似のアルキル化シリルラジカルである。「アリール」という用語は、フェニル置換、またはアルキル置換、ニトロ置換もしくはハロ置換フェニル基を意味する。
【0024】
「保護ヒドロキシ」基とは、ヒドロキシ官能基、例えば上で定義したようなシリル、アルコキシアルキル、アシルまたはアルコキシカルボニル基の一時的もしくは恒久的保護のために一般的に使用される、上記の任意の基によって誘導体化もしくは保護されるヒドロキシ基である。用語「ヒドロキシアルキル」、「ジュウテロアルキル」および「フルオロアルキル」とは、各々1つもしくは複数のヒドロキシ、重水素もしくはフルオロ基で置換されたアルキルラジカルを指す。
【0025】
さらに具体的には、化合物20DCM調製の詳細な例証のための本明細書のスキーム1と同様に下記の例証的実施例および説明も参照されたい。
【0026】
本実施例において、アラビア数字(1、2、3)で識別される特定の生成物は、スキーム1においてそのように識別された特定の構造を指す。
【実施例】
【0027】
化学的性質。融点(未補正)は、Thomas-Hoover毛細管融点装置を用いて決定した。紫外線(UV)吸収スペクトルは、エタノール中でPerkin-Elmer Lambda 3B
UV-VIS分光光度計により記録した。1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、ジューテリオクロロホルム中でBruker Instruments DMX-400およびDMX-500 Avanceコンソールスペクトロメーターにより400および500MHzで記録した。化学シフト(δ)は、内部Me4Si(δ0.00)からの低磁場で報告する。電子衝撃(EI)質量スペクトルは、Micromass AutoSpec(Beverly,
MA)機器から得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、モデル6000A溶媒送達システム、モデルU6K Universalインジェクター、およびモデル486整調吸収検出器を備えたWaters Associates社製液体クロマトグラフィーにおいて行った。THFは、使用前に、新たにナトリウムベンゾフェノンケチルからアルゴン雰囲気下で蒸留した。
【0028】
1α-ヒドロキシ-2-メチレン-20-メチル-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3(11)の調製。
【0029】
スキームIにまず言及すると、記載されている手順、Fallら., Tetrahedron Lett., 43, 1433 (2002)により、出発の二環式アルデヒド1を得た。
【0030】
(a)アルデヒド1の22-ニトリル2への変換
【0031】
安息香酸-(1R,3aR,4S,7aR)-1-((R)-シアノ-メチル-メチル)-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-4-イルエステル(2)。ベンゾイルオキシアルデヒド1(284mg、0.90mmol)の無水ピリジン(5mL)溶液にNH2OH×HCl(210mg)を添加し、混合物を室温で20時間撹拌した。次いでそれを水中に注入し、酢酸エチルで抽出した。併合有機相を分離し、飽和NaHCO3溶液、水、および飽和CuSO4溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。油状残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。ヘキサン/酢酸エチル(9:1)で溶出し、純粋な、低極性のE-オキシム(167mg)および高極性のZ-オキシム(105mg、総収率89%)を得た。
【0032】
E-オキシム: 1H
NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.09 (3H, d, J = 6.7 Hz, 18-H3),
1.14 (3H, s, 21-H3), 2.40 (1H, m, 20-H), 5.42 (1H, narr m, 8α-H), 7.27 (1H,
d, J = 8.0 Hz, 22-H), 7.45 (2H, t, J 〜 7 Hz, Ar-H), 7.56 (1H, t, J = 7.4 Hz,
Ar-H), 8.04 (2H, d, J = 7.4 Hz, Ar-H)。
【0033】
Z-オキシム: 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 1.09 (3H, d, J = 6.7 Hz, 18-H3), 1.13 (3H, s, 21-H3),
3.28 (1H, m, 20-H), 5.42 (1H, narr m, 8α-H), 6.25 (1H, d, J = 8.1 Hz, 22-H), 7.45
(2H, t, J 〜7 Hz, Ar-H), 7.56 (1H, t, J = 7.3
Hz, Ar-H), 8.04 (2H, d, J = 7.3 Hz, Ar-H)。
【0034】
オキシム(両異性体、248mg、0.75mmol)の無水酢酸(8mL)溶液を1.5時間還流した。反応混合物を冷却し、慎重に氷上に注ぎ、トルエンで抽出した。抽出物を併合し、水、NaHCO3およびブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。残渣をシリカSep-Pak(5g)に適用した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)で溶出し、純粋な半結晶性ニトリル2(212mg、91%)を得た。2: [α]24D
+81.5o (c 0.9 CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 1.124 (3H, s, 18-H3), 1.373 (3H, d, J = 7.1 Hz, 21-H3),
1.90 (1H, br d, J= 12.8 Hz, 9β-H), 2.68 (1H, pentet, J = 7.0 Hz, 20-H), 5.43 (1H,
narr m, 8α-H),
7.45 (2H, t, J = 7.5 Hz, Ar-H), 7.57 (1H, t, J = 7.5 Hz, Ar-H), 8.03 (2H, d, J
= 7.4 Hz, Ar-H); HRMS (ESI) C13H20ON (M+-C6H5CO)精密質量の理論値206.1545、実測値206.1539。
【0035】
(b)臭化エチルによるニトリル2のアルキル化
【0036】
安息香酸-(1S,3aR,4S,7aR)-1-((S)-1-シアノ-1-メチル-プロピル)-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-4-イルエステル(3)。ジイソプロピルアミン(262μL、1.54mmol)およびTHF(2mL)の入ったフラスコにn-BuLi(ヘキサン中1.6M、1.0mL、1.6mmol)を0℃で添加した。該溶液を0℃で20分間撹拌し、−78℃に冷却し、2(430mg、1.31mmol)のTHF(1.5mL)溶液中にサイフォンで移した。生成した黄色混合物を30分間撹拌し、次いでHMPA(600μL)を添加し、撹拌をさらに15分間継続した。次いでCH3CH2Br(310μL、4.08mmol)を添加し、該溶液を−78℃で40分間撹拌した。飽和NH4Clを添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。併合有機相を水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。残渣をシリカカラムに適用した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)により溶出し、純粋な化合物3(280mg、60%;回収した基質に基づき80%)を生成した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)によりさらに溶出し、未反応物2(107mg)を得た。3: [α]24D +117.5o
(c 0.2 CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 1.023 (3H, t, J = 7.4 Hz, 23-H3), 1.337
(3H, s, 18-H3), 1.397 (3H, s, 21-H3), 2.14 (1H, br d, J =
12.9 Hz, 9β-H), 5.40 (1H, narr m, 8α-H), 7.45 (2H, t, J =7.4 Hz, Ar), 7.57 (1H, t, J = 7.4 Hz, Ar), 8.05
(2H, d, J = 7.4 Hz, Ar)。
【0037】
(c)ベンゾエート3の加水分解
【0038】
(S)-2-((1S,3aR,4S,7aR)-4-ヒドロキシ-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-1-イル)-2-メチル-ブチロニトリル(4)。10%KOHのMeOH(12mL)中のベンゾイルオキシニトリル3(270mg、0.76mmol)の溶液を50℃で18時間加熱し、水中に注入し、酢酸エチルで抽出した。有機相をNaHCO3、水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。油状残渣をシリカSep-Pak(2g)により精製した。ヘキサン/酢酸エチル(8:2)により溶出し、純粋なヒドロキシニトリル4(179mg、99%)を得た。4: [α]24D +26.5o (c 0.33 CHCl3); 1H
NMR (400 MHz, CDCl3) δ
1.004 (3H, t, J = 7.3 Hz, 23-H3), 1.349 (3H, s, 21-H3), 1.240 (s, 18-H3),
4.10 (1H, narr m, 8α-H)。
【0039】
(d)DIBALHによるニトリル4の還元
【0040】
(S)-2-((1S,3aR,4S,7aR)-4-ヒドロキシ-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-1-イル)-2-メチル-ブチルアルデヒド(5)。ニトリル4(172mg、0.773mmol)の無水塩化メチレン(3.3mL)溶液に、DIBALH溶液(塩化メチレン中1.5M、1.66mL、2.3mmol)を−60℃で緩徐に添加した。該溶液を1時間半撹拌し、次いで1時間の間に−30℃まで温め、撹拌を50分間継続した。混合物を5%HCL中に慎重に注入し、酢酸エチルで抽出した。併合有機層をNaHCO3およびブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。残っていた残渣をシリカSep-Pak(2g)により精製した。ヘキサン/酢酸エチル(8:2)により溶出し、純粋なヒドロキシアルデヒド5(115mg、66%)を得た。5: [α]24D +5o (c 0.25 CHCl3); 1H
NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.781 (3H, t, J = 7.3
Hz, 23-H3), 0.965 (3H, s, 21-H3), 1.105 (3H, s, 18-H3),
2.02 (1H, br d, J = 14.2 Hz, 9β-H), 4.09 (1H, narr m, 8α-H), 9.72 (1H, s, CHO); HRMS(ESI) C14H26O (M++Na)精密質量の理論値261.1831、実測値261.1847。
【0041】
(e)ヒドロキシアルデヒド5のヒドリンダノール7への変換
【0042】
(1R,3aR,4S,7aR)-1-(1,1-ジメチル-プロピル)-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-4-オール(7)。アルデヒド5(10mg、0.42μmol)およびp-トルエンスルホニルヒドラジド(31mg、0.168mmol)の乾燥メタノール(0.5mL)溶液をモレキュラーシーブ4Åにて55℃で19時間撹拌した。次いでそれを冷却し、水中に注入し、トルエンで抽出した。併合有機相を水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させ、シリカSep-Pak(2g)に適用した。ヘキサン/酢酸エチル(85:15)により溶出し、わずかにTsNHNH2に汚染されたトシルヒドラゾン6(約12mg、約67%)を得た。この粗トシルヒドラゾンをDMF(0.15mL)に溶解し、p-TsOH(2mg、ベンゼンで2回蒸発させた)を添加し、続いてNaBH3CN(8mg、0.126mmol)を添加した。混合物を100℃で19時間撹拌し、次いでそれを冷却し、水中に注入し、ヘキサンおよび酢酸エチルで抽出した。併合有機相を水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。残っていた油状残渣をシリカSep-Pak(2g)に適用した。ヘキサン/酢酸エチル(98:2)により溶出し、ヒドロキシ化合物7(3mg、49%)を得た。7: [α]24D +3o (c 0.25 CHCl3); 1H NMR (500 MHz, CDCl3)
δ 0.786 (3H, t, J = 7.6 Hz, 23-H3), 0.857 および 0.914 (3H および 3H, 各s,
20-CH3 および 21-H3), 1.056 (3H, s,
18-H3), 2.05 (1H, br d, J 〜 10.5 Hz, 9β-H), 4.07 (1H, narr m, 8α-H)。
【0043】
(f)7のヒドリンダノン8への酸化
【0044】
(1R,3aR,7aR)-1-(1,1-ジメチル-プロピル)-7a-メチル-オクタヒドロ-インデン-4-オン(8)。NMO(7.2mg)およびモレキュラーシーブ4Å(41mg)の塩化メチレン(0.3mL)溶液を室温で15分間撹拌し、次いで7(6mg、27μmol)の塩化メチレン(0.15mL)溶液を添加し、続いてTPAP(0.8mg)を添加した。生成した暗色混合物を30分間撹拌し、塩化メチレンで希釈し、シリカSep-Pak(2g)に適用した。ヘキサン/酢酸エチル(96:4)により溶出し、純粋なケトン8(4.7mg、78%)を得た。8: [α]24D
-43o (c 0.18 CHCl3); 1H NMR (500 MHz, CDCl3)
δ 0.721 (3H, s, 18-H3), 0.825 (3H, t, J = 7.3
Hz, 23-H3), 0.872 および 0.945 (3H および 3H, 各s, 20-CH3 および 21-H3), 2.41 (1H, dd, J = 11.0, 7.5 Hz, 14α-H)。
【0045】
(g)ケトン8とホスフィンオキシド9のWittig-Hornerカップリング
【0046】
1α-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-20-メチル-2-メチレン-19,24,25,26,27-ペンタノルビタミンD3tert-ブチルジメチルシリルエーテル(10)。ホスフィンオキシド9(104mg、181μmol)の無水THF(2.0mL)溶液に、アルゴン雰囲気下、−78℃でフェニルリチウム(ブチルエーテル中1.8M、101μL、182μmol)を撹拌しながら緩徐に添加した。溶液は深紅色に変色した。混合物を−78℃で10分間撹拌し、ケトン8(20mg、90μmol)の予冷した無水THF(0.2mL)溶液(−78℃)を緩徐に添加した。混合物をアルゴン雰囲気下、−78℃で1時間撹拌した。酢酸エチルおよび水を添加し、有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。残渣をヘキサンに溶解し、シリカSep-Pakに適用し、ヘキサン/酢酸エチル(99:1)で溶出して、シリル化19-ノルビタミンD化合物10(39mg、収率74%)を得た。次いでSep-Pakをヘキサン/酢酸エチル(7:3)で洗浄して未反応ホスフィンオキシド9(30mg)を回収した。10: 1H
NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.029, 0.046, 0.068 および
0.077 (3H, 3H, 3H および 3H, 各s, 4 × SiCH3), 0.627 (3H, s, 18-H3), 0.814 (3H, t, J
= 7.5 Hz, 23-H3), 0.867 および 0.894 (各9H, 各s, 2 × Si-t-Bu), 0.864 および 0.927 (3H および 3H, 各s,
20-CH3 および 21-H3), 2.18 (1H, dd,
J = 12.5, 8.5 Hz, 4β-H), 2.35 (1H, dd, J = 13.5, 3.0
Hz, 10β-H), 2.46 (1H, dd, J = 12.5, 4.0 Hz, 4α-H), 2.50 (1H, dd, J = 13.5, 6.0 Hz, 10α-H),
2.81 (1H, dd, J 〜 16, 〜4 Hz, 9β-H), 4.42 (2H, m, 1β- および 3α-H), 4.92 および 4.97
(1H および 1H, 各s, H2C=),
5.82 および 6.21 (1H および 1H, 各d, J = 11.0 Hz, 7- および 6-H)。
【0047】
(h)19-ノルビタミンD誘導体10におけるシリル保護基の加水分解
【0048】
1α-ヒドロキシ-20-メチル-2-メチレン-19,24,25,26,27-ペンタノルビタミンD(11)。保護ビタミン10(31mg、53μmol)の無水THF(30mL)溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1.0M、1.4mL、1.4mmol)およびトリエチルアミン(260μL)を添加した。混合物をアルゴン雰囲気下、室温で18時間撹拌し、ブラインに注入し、酢酸エチルおよびジエチルエーテルで抽出した。併合有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。残渣をSep-Pak(2g)により精製した。ヘキサン/酢酸エチル(7:3)による溶出により、19-ノルビタミン11(17mg、89%)を得た。ヘキサン/2-プロパノール(9:1)溶媒系を用いたHPLC(9.4mm×25cm Zorbax-Silカラム、4mL/分)により、化合物11をさらに精製した。純粋な19-ノルビタミン11をRV25.2mLで集めた。メタノール/水(95:5)溶媒系を用いた逆相HPLC(9.4mm×25cm Eclipse XDB-C18カラム、3mL/分)により、ビタミン11をRV30mLで集めた。11(20DCM): UV (EtOH中) λmax 245.0, 252.5, 261.5 nm; 1H
NMR (400 MHz, CDCl3) 0.637 (3H, s, 18-H3), 0.814 (3H, t,
J = 7.0 Hz, 23-H3), 0.861 および 0.924 (3H および
3H, 各s, 20-CH3 および 21-H3), 2.30 (1H, dd, J = 13.0, 8.0 Hz, 10α-H), 2.34 (1H, dd, J = 13.2, 6.0 Hz, 4β-H),
2.58 (1H, dd, J = 13.2, 3.8 Hz, 4α-H), 2.80 (1H, br d,
J 〜 12.5 Hz, 9β-H), 2.85 (1H,
dd, J = 13.0, 5.0 Hz, 10β-H), 4.48 (2H, m, 1β- および 3α-H), 5.09 および
5.11 (1H および 1H, 各s, H2C=), 5.87 および 6.36 (1H および
1H, 各d, J = 11.5 Hz, 7- および 6-H)。
【化4】

【0049】
2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3の生物活性
1α,25-ジヒドロキシビタミンD3に比べて、20DCMの2位へのメチレン基導入、および17位(C-17)で置換された1,1-ジメチルプロピル基導入は、全長組換えラットビタミンD受容体への結合に対してほとんど影響を及ぼさなかった。化合物20DCMは受容体に対し、標準的な1,25-(OH)2D3よりわずかだけ低い親和性で結合した(図1)。20DCMは1,25(OH)2D3より約1.5対数単位低い親和性でビタミンD核内受容体に結合する。これらの結果から、化合物20DCMは同等の生物活性を有することが期待できる。しかし、驚くべきことに、化合物20DCMは独特な生物活性を有する高度に選択的な類縁体である。
【0050】
図5は、20DCMが腸管カルシウム輸送刺激において天然ホルモンである1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25(OH)2D3)に比べて、ごくわずかな活性を有していることを示す。20DCMを連続4回腹腔内投与したラットにおいて、ごくわずかな腸管カルシウム輸送が観察される。
【0051】
図4は、1,25(OH)2D3に比べて、20DCMの骨カルシウム動員活性があるとしてもごくわずかであることを実証する。20DCMは、このバッチの動物で試験した投与量にて、骨内で測定可能な活性を有さない。
【0052】
したがって、図4および5は、20DCMがカルシウム血症活性を有するとしてもわずかであることを特徴とし得ることを例証する。
【0053】
図2は、20DCMがHL-60細胞分化活性において1,25(OH)2D3の約2.5倍弱いが、依然として乾癬ならびに癌、特に白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌および前立腺癌に対する治療における良い候補であることを例証する。さらに、本化合物は、その比較的高い細胞分化活性のために、しわ、十分な皮膚水分の欠如すなわち乾燥皮膚、十分な皮膚弾力の欠如すなわちたるんだ皮膚、および不十分な皮脂分泌を含む様々な皮膚状態の治療のための治療剤を提供する。したがって本化合物の使用は、皮膚の保湿効果のみならず皮膚のバリア機能も改善する。
【0054】
図3は、骨細胞内の24-ヒドロキシラーゼ遺伝子転写増加力において、化合物20DCMが1,25(OH)2D3の約20倍弱いことを例証する。この結果から、20DCMは、図2に示す細胞分化活性とあわせて、細胞分化、遺伝子転写の誘導、および細胞増殖の抑制において直接的な細胞活性を有するため、乾癬に対して非常に効果的となることが示唆される。これらのデータは、20DCMが抗癌剤として、特に白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌および前立腺癌に対して有意な活性を有し得ることも示す。
【0055】
HL-60分化に及ぼす20DCMの強い活性により、20DCMは副甲状腺成長抑制およびプレプロ副甲状腺遺伝子抑制に効力を有するようになることが示唆される。
【0056】
実験方法
ビタミンD受容体結合
【0057】
試験材料
【0058】
蛋白質供給源
【0059】
全長組換えラット受容体を大腸菌(E. coli)BL21(DE3)Codon Plus RIL細胞中で発現させ、2つの異なるカラムクロマトグラフィー系を用いて均質に精製した。第一の系は、このタンパク質上のC末端ヒスチジンタグを用いるニッケル親和性樹脂であった。この樹脂から溶出したタンパク質を、イオン交換クロマトグラフィー(S-Sepharose Fast Flow)を用いてさらに精製した。精製したタンパク質のアリコートを液体窒素中で急速凍結し、使用時まで−80℃で保存した。結合アッセイで用いるために、タンパク質を、0.1%Chaps界面活性剤を含むTEDK50(50mMトリス、1.5mM EDTA、pH7.4、5mM
DTT、150mM KCl)で希釈した。受容体タンパク質およびリガンド濃度を、添加した放射性標識リガンドの20%以下が受容体に結合するように最適化した。
【0060】
試験薬
【0061】
非標識リガンドをエタノールに溶解し、UV分光測光法を用いて濃度を定量した(1,25(OH)2D3:モル吸光係数=18,200およびλmax=265nm;類縁体:モル吸光係数=42,000およびλmax=252nm)。放射性標識リガンド(3H-1,25(OH)2D3、〜159Ci/mmol)は、最終濃度1nMでエタノール中に添加した。
【0062】
アッセイ条件
【0063】
放射性標識および非標識リガンドを希釈タンパク質100mclに最終エタノール濃度≦10%で添加し、混合し、氷上で一晩インキュベートして結合平衡に到達させた。翌日、ヒドロキシルアパタイトスラリー100mcl(50%)を各チューブに添加し、10分間隔で30分間混合した。ヒドロキシルアパタイトを遠沈により回収し、次いで0.5%Triton
X-100を含むトリス-EDTA緩衝液(50mMトリス、1.5mM EDTA、pH7.4)で3回洗浄した。最終洗浄後、ペレットを、Biosafe IIシンチレーションカクテル4mLを含むシンチレーションバイアルに移し、混合し、シンチレーション計数器に置いた。全結合を、放射性標識リガンドのみを含むチューブから定量した。
【0064】
HL-60分化
【0065】
試験材料
【0066】
試験薬
【0067】
試験薬をエタノールに溶解し、UV分光測光法を用いて濃度を定量した。細胞培養液中に存在するエタノールの最終濃度(≦0.2%)を変えることなく一定範囲の薬物濃度を試験できるように、連続希釈液を調製した。
【0068】
細胞
【0069】
ヒト前骨髄球性白血病(HL60)細胞を、10%ウシ胎仔血清を含むRPMI-1640培地中で増殖させた。細胞を5%CO2存在下、37℃でインキュベートした。
【0070】
アッセイ条件
【0071】
HL60細胞を1.2×105細胞/mLで平板培養した。平板培養の18時間後、細胞を二重反復で、薬物により処理した。4日後、該細胞を回収し、ニトロブルーテトラゾリウム還元アッセイを実施した(Collinsら, 1979;J. Exp. Med. 149:969-974)。細胞計200個を計数し、細胞内に黒-青のホルマザン沈着物を含む数を記録することによって、分化した細胞のパーセンテージを決定した。単核細胞への分化の実証は、食細胞活性を測定することにより決定した(データは示していない)。
【0072】
インビトロ(in vitro)転写アッセイ
【0073】
転写活性を、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流の24-ヒドロキシラーゼ(24Ohase)遺伝子プロモーターで安定にトランスフェクトされたROS 17/2.8(骨)細胞で測定した(Arbourら, 1998)。細胞に一定範囲の用量を投与した。投与の16時間後、該細胞を回収し、光度計を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。
【0074】
RLU=相対ルシフェラーゼ単位。
【0075】
腸管カルシウム輸送および骨カルシウム動員
【0076】
雄の離乳Sprague-Dawleyラットを、Diet 11(0.47%Ca)飼料+AEK油で1週間、続いてDiet 11(0.02%Ca)+AEK油で3週間飼育した。次いでラットを、0.47%Caを含む飼料での1週間飼育へと切り換え、続いて0.02%Caを含む飼料での2週間飼育へと切り換えた。0.02%カルシウム飼料の最終週中に用量投与を開始した。4回の連続したip投与を約24時間おきに行った。最終投与の24時間後、切断頸部から採血し、血清カルシウム濃度を骨カルシウム動員の尺度として定量した。反転腸管法を用いた腸管カルシウム輸送分析のために腸の起始部10cmも採取した。
【0077】
データ解釈
生物学的知見の概要。本化合物は天然ホルモンよりわずかに弱い親和性でVDRと結合する。20DCMは、1,25(OH)2D3の約2〜4倍弱い細胞分化活性および20倍弱いインビトロ(in vitro)遺伝子転写活性も示す一方、腸管カルシウム輸送および骨カルシウム動員活性をほとんど有さないまたはまったく有さないため、治療開発のために潜在的に有益な化合物である可能性が残る。それは自己免疫性疾患、癌、続発性副甲状腺機能亢進症、腎性骨ジストロフィー、乾癬または他の皮膚状態の治療のために有用な薬剤としての役目を果たし得る。
【0078】
VDR結合、HL60細胞分化、および転写活性。20DCM(Ki=8×10-11M)は、全長組換えラットビタミンD受容体との結合に関して[3H]-1,25(OH)2D3と競合するその能力において、天然ホルモンである1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(Ki=5×10-11M)とほぼ同程度に活性を有する(図1)。20DCMは、そのHL-60細胞分化促進能(効能または効力)において1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(EC50=4×10-9M)の約2.5倍弱い活性(EC50=1×10-8M)も示す(図2参照)。また、化合物20DCM(EC50=4×10-9M)は1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(EC50=2×10-10M)の約20倍弱いインビボ(in vivo)骨細胞内転写活性を有する(図3参照)。これらの結果から、20DCMは、細胞分化、遺伝子転写の誘導、および細胞増殖の抑制において直接的細胞活性を有するため、乾癬において非常に効果的となることが示唆される。これらのデータは、20DCMが、乾燥皮膚(皮膚水分の欠如)、過度の皮膚のたるみ(不十分な皮膚弾力)、不十分な皮脂分泌およびしわのような皮膚状態に対するのと同様に、抗癌剤として特に白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌および前立腺癌に対して有意な活性を有することも示す。また、それは、特に慢性腎疾患を有する対象および透析を受けている対象において、続発性副甲状腺機能亢進症抑制において非常に活性が高いとも期待されている。
【0079】
ビタミンD欠乏動物における骨カルシウム動員および腸管カルシウム吸収。低カルシウム飼料(0.02%)を与えたビタミンD欠乏ラットを用いて、腸管および骨内における20DCMおよび1,25(OH)2D3活性を試験した。予期したとおり、天然ホルモンである(1,25(OH)2D3)の全投与量において血清カルシウム値が上昇した(図4)。図4は、20DCMの骨カルシウム動員活性はあるとしてもわずかであることを示す。20DCM 260pmol/日の連日4日間投与は骨カルシウム動員に至らず、20DCM量の7020pmol/日への増量も効果を示さなかった。
【0080】
反転腸管法を使用した同一動物群において、腸管カルシウム輸送を評価した(図5)。これらの結果は、1,25(OH)2D3は260pmol/日投与時に有意な上昇を促進する一方、化合物20DCMは260pmol/日投与時に腸管カルシウム輸送をわずかだけ促進することを示す。20DCMを260pmol/日の用量の約30倍である7020pmol/日投与したときでさえ、有意な腸管カルシウム輸送活性は記録されなかった。したがって、20DCMは本質的に、これらの用量投与時には腸管カルシウム輸送活性を有さないと結論できる。
【0081】
これらの結果は、20DCMが本明細書に記載されているように多数のヒト療法における優れた候補であり、腎性骨ジストロフィーの続発性副甲状腺機能亢進症、自己免疫性疾患、癌、および乾癬のような多数の病態の抑制において特に有用であり得ることを例証する。20DCMは、(1)有意なVDR結合、転写活性および細胞分化活性を有する、(2)1,25(OH)2D3と異なり、比較的低用量時に高カルシウム血症易罹患性を有さない、および(3)容易に合成される、ことから、乾癬治療における優れた候補である。20DCMはビタミンD受容体への有意な結合活性を有しているが、血清カルシウム上昇能はわずかであるため、腎性骨ジストロフィー治療と同様に、続発性副甲状腺機能亢進症治療にも、特に慢性腎疾患と診断されている対象および透析を受けている対象において特に有用であり得る。
【0082】
これらのデータは、本発明の化合物20DCMが、例えば多発性硬化症、狼瘡、真性糖尿病、宿主対移植片拒絶反応、ならびに臓器移植拒絶反応を含む自己免疫性疾患などの免疫系不均衡を特徴とするヒト障害の治療および予防に、さらに炎症性疾患、例えば関節リウマチ、喘息、ならびに炎症性腸疾患、例えばセリアック病、潰瘍性大腸炎およびクローン病の治療に特に適している可能性があることも示す。座瘡、脱毛症および高血圧症は本発明の化合物20DCMで治療できる他の病態である。
【0083】
本発明の式I、特に式Iaの化合物は、被験動物における肥満症の予防もしくは治療、脂肪細胞分化の抑制、SCD-1遺伝子転写の抑制、および/または体脂肪の低減にも有用である。したがって、いくつかの実施形態では、被験動物における肥満症の予防もしくは治療、脂肪細胞分化の抑制、SCD-1遺伝子転写の抑制、および/または体脂肪の低減についての方法は、1つもしくは複数の化合物または1つもしくは複数の式Iの化合物を含む医薬品組成物の有効量の被験動物への投与を含む。化合物もしくは医薬品組成物の被験体への投与は、脂肪細胞分化を抑制し、遺伝子転写を抑制し、および/または体脂肪を低減する。該動物としては、ヒト、イヌもしくはネコのような飼育動物、または家畜、特に、ウシ、ヒツジ、ヤギ、もしくはブタと同様に、ニワトリ、シチメンチョウ、キジまたはウズラのような家禽などのヒトが消費する肉類を提供する家畜を挙げ得る。
【0084】
予防および/もしくは治療目的において、式Iによって定義される本発明の化合物は、無害な溶媒中の溶液として、または適した溶媒もしくは担体内の乳濁液、懸濁液または分散液として、または丸剤、錠剤もしくはカプセル剤として、固体担体とともに、当該技術分野において既知である慣習的方法により医薬的適用のために処方できる。任意のそのような製剤は、安定剤、抗酸化剤、結合剤、着色剤または乳化もしくは食味改変剤のような製薬上許容可能かつ無毒な他の賦形剤を含んでいてもよい。
【0085】
式Iの化合物、特に20DCMは、経口的に、局所的に、非経口的に、直腸内に、経鼻的に、舌下にまたは経皮的に投与できる。本化合物は、注射により、または静脈内注入もしくは適切な滅菌溶液により、または消化管を介して液体もしくは固体剤形で、または経皮適用に適したクリーム、軟膏、パッチ、もしくは類似のビヒクルの形態で好都合に投与される。化合物I、特に20DCMの0.01μg〜1000μg/日の用量、好ましくは約0.1μg〜約1000μg/日が予防および/または治療目的に適しており、そのような用量は、当該技術分野においてよく理解されているとおり、治療されるべき疾患、その重症度、および対象の反応に応じて調整される。本化合物は作用特異性を示すため、各々単独で、または段階型用量の別の活性ビタミンD化合物(例えば1α-ヒドロキシビタミンD2またはD3、または1α,25-ジヒドロキシビタミンD3)と併用して適切に投与でき、骨塩動員およびカルシウム輸送刺激の程度が異なる状況下において好都合であることが見出されている。
【0086】
上記治療において用いるための組成物は、活性成分としての有効量の上の式IおよびIaにより定義した化合物I、特に20DCMと、適切な担体とを含む。本発明に従って用いるこのような化合物の有効量は、組成物1g当たり約0.01μg〜約1000μg、好ましくは組成物1g当たり約0.1μg〜約500μgであり、約0.01μg/日〜約5000μg/日、好ましくは約0.1μg/日〜約500μg/日の投与量で、局所的に、経皮的に、経口的に、直腸内に、経鼻的に、舌下に、または非経口的に投与できる。
【0087】
化合物I、特に20DCMは、クリーム、ローション、軟膏、局所パッチ、丸剤、カプセル剤もしくは錠剤、坐剤、エアロゾルとして、または、製薬上無害かつ許容可能な溶媒もしくは油中の溶液、乳濁液、分散液、もしくは懸濁液のような液体形態剤形で処方でき、そのような製剤はさらに、安定剤、抗酸化剤、乳化剤、着色剤、結合剤、または食味改変剤など他の薬学的に無害または有益な成分を含んでいてもよい。
【0088】
化合物I、特に20DCMは、前骨髄球を正常なマクロファージへと分化させるのに十分効果のある量で好都合に投与できる。上記の投与量が適切であるが、当該技術分野においてよく理解されているとおり、投与量は疾患の重症度ならびに対象の状態および反応に応じて調整されるべきであると理解される。
【0089】
本発明の製剤は、したがって、活性成分を、製薬上許容可能な担体と、ならびに任意に他の治療成分とともに含む。担体は、製剤の他の成分と適合し、かつそのレシピエントに対して有害でないとの意味で「許容可能」でなければならない。
【0090】
経口投与に適した本発明の製剤は、各々が所定量の活性成分を含むカプセル剤、サシェ剤、錠剤もしくはロゼンジなどの独立単位の形態であるか、散剤もしくは顆粒剤の形態であるか、水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液の形態であるか、または、水中油乳剤もしくは油中水乳剤の形態であり得る。
【0091】
直腸投与用製剤は、活性成分およびカカオバターなどの担体が組み込まれている坐剤の形態、または浣腸剤の形態であり得る。
【0092】
非経口投与に適した製剤は、好ましくはレシピエントの血液と等張である、活性成分の油性または水性滅菌調製物を好都合に含む。
【0093】
局所投与に適した製剤としては、リニメント、ローション、塗布剤、クリーム、軟膏もしくはペーストなどの水中油もしくは油中水乳剤、または滴剤などの溶液もしくは懸濁液、または噴霧剤などの、液体または半液体調製物が挙げられる。
【0094】
鼻内投与には、スプレー缶、ネブライザーもしくはアトマイザーによって投与される散剤、自己噴射剤もしくは噴霧製剤の吸入を使用し得る。投与の際、製剤は、10〜100μの範囲の粒径を有することが好ましい。
【0095】
製剤は投与量単位形態で好都合に提供することができ、薬学分野で周知の任意の方法によって調製できる。「投与量単位」という用語は、一単位、すなわち、活性成分自体または活性成分と固体もしくは液体の薬学的希釈剤もしくは担体との混合物のいずれかを含む、物理的および化学的に安定な単位用量として患者に投与可能な一用量を意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化5】

(式中、X1およびX2は同じでも異なってもよく、各々水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する化合物。
【請求項2】
前記X2が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記X1が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記X1およびX2がいずれもt-ブチルジメチルシリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
製薬上許容可能な賦形剤とともに、有効量の請求項1に記載の少なくとも1つの化合物を含む医薬品組成物。
【請求項6】
前記有効量が組成物1g当たり約0.01μg〜約1000μgを含む、請求項5に記載の医薬品組成物。
【請求項7】
前記有効量が組成物1g当たり約0.1μg〜約1000μgを含む、請求項5に記載の医薬品組成物。
【請求項8】
式:
【化6】

を有する2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3
【請求項9】
製薬上許容可能な賦形剤とともに有効量の2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3を含む医薬品組成物。
【請求項10】
前記有効量が組成物1g当たり約0.01μg〜約1000μgを含む、請求項9に記載の医薬品組成物。
【請求項11】
前記有効量が組成物1g当たり約0.1μg〜約1000μgを含む、請求項9に記載の医薬品組成物。
【請求項12】
式:
【化7】

(式中、X1およびX2は同じでも異なってもよく、各々水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する有効量の化合物を、乾癬を有する対象に投与することを含む、乾癬治療方法。
【請求項13】
前記化合物を経口投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物を非経口投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物を経皮投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物を局所投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物を直腸内投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物を鼻内投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物を舌下投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物を約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が式:
【化8】

を有する2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3である、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌または前立腺癌からなる群から選択される疾患の治療方法であり、式:
【化9】

(式中、X1およびX2は同じでも異なってもよく、各々水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する有効量の化合物を、前記疾患を有する対象に投与することを含む、前記疾患の治療方法。
【請求項23】
前記化合物を経口投与する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物を非経口投与する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物を経皮投与する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物を直腸内投与する、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物を鼻内投与する、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記化合物を舌下投与する、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記化合物を約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与する、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が式:
【化10】

を有する2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3である、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
多発性硬化症、狼瘡、真性糖尿病、宿主対移植片拒絶反応、および臓器移植拒絶反応からなる群から選択した自己免疫性疾患の治療方法であり、式:
【化11】

(式中、X1およびX2は同じでも異なってもよく、各々水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する有効量の化合物を、前記疾患を有する対象に投与することを含む、前記自己免疫性疾患の治療方法。
【請求項32】
前記化合物を経口投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記化合物を非経口投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物を経皮投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物を直腸内投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記化合物を鼻内投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記化合物を舌下投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記化合物を約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記化合物が式:
【化12】

を有する2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3である、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
関節リウマチ、喘息、および炎症性腸疾患からなる群から選択した炎症性疾患の治療方法であり、式:
【化13】

(式中、X1およびX2は同じでも異なってもよく、各々水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する有効量の化合物を、前記疾患を有する対象に投与することを含む、前記疾患の治療方法。
【請求項41】
前記化合物を経口投与する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記化合物を非経口投与する、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記化合物を経皮投与する、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記化合物を直腸内投与する、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記化合物を鼻内投与する、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記化合物を舌下投与する、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記化合物を約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与する、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記化合物が式:
【化14】

を有する2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3である、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
しわ、十分な皮膚弾力の欠如、十分な皮膚水分の欠如および不十分な皮脂分泌からなる群から選択した皮膚状態の治療方法であり、式:
【化15】

(式中、X1およびX2は同じでも異なってもよく、各々水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する有効量の化合物を、前記皮膚状態を有する対象に投与することを含む治療方法。
【請求項50】
前記化合物を経口投与する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記化合物を非経口投与する、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記化合物を経皮的投与する、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記化合物を局所投与する、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記化合物を直腸内投与する、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
前記化合物を鼻内投与する、請求項49に記載の方法。
【請求項56】
前記化合物を舌下投与する、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
前記化合物を約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与する、請求項49に記載の方法。
【請求項58】
前記化合物が式:
【化16】

を有する2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3である、請求項49に記載の方法。
【請求項59】
式:
【化17】

(式中、X1およびX2は同じでも異なってもよく、各々水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する有効量の化合物を、腎性骨ジストロフィーを有する対象に投与することを含む、腎性骨ジストロフィーの治療方法。
【請求項60】
前記化合物を経口投与する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記化合物を非経口投与する、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記化合物を経皮投与する、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記化合物を直腸内投与する、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記化合物を鼻内投与する、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記化合物を舌下投与する、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
前記化合物を約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与する、請求項59に記載の方法。
【請求項67】
前記化合物が式:
【化18】

を有する2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3である、請求項59に記載の方法。
【請求項68】
式:
【化19】

(式中、X1およびX2は同じでも異なってもよく、各々水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する有効量の化合物を、それを必要としている動物に投与することを含む、動物における肥満症の治療もしくは予防、動物における脂肪細胞分化の抑制、SCD-1遺伝子転写の抑制、および/または体脂肪の低減の方法。
【請求項69】
前記化合物を経口投与する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記化合物を非経口投与する、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記化合物を経皮投与する、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記化合物を直腸内投与する、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
前記化合物を鼻内投与する、請求項68に記載の方法。
【請求項74】
前記化合物を舌下投与する、請求項68に記載の方法。
【請求項75】
前記化合物を約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与する、請求項68に記載の方法。
【請求項76】
前記化合物が式:
【化20】

を有する2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3である、請求項68に記載の方法。
【請求項77】
前記動物がヒトである、請求項68に記載の方法。
【請求項78】
前記動物が飼育動物である、請求項68に記載の方法。
【請求項79】
前記動物が家畜である、請求項68に記載の方法。
【請求項80】
式:
【化21】

(式中、X1およびX2は同じでも異なってもよく、各々水素またはヒドロキシ保護基から選択される)を有する有効量の化合物を、続発性副甲状腺機能亢進症を有する対象に投与することを含む、続発性副甲状腺機能亢進症の治療方法。
【請求項81】
前記化合物を経口投与する、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記化合物を非経口投与する、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記化合物を経皮投与する、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記化合物を直腸内投与する、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
前記化合物を鼻内投与する、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記化合物を舌下投与する、請求項80に記載の方法。
【請求項87】
前記化合物を約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与する、請求項80に記載の方法。
【請求項88】
前記化合物が式:
【化22】

を有する2-メチレン-20-メチル-1α-ヒドロキシ-19,24,25,26,27-ペンタノル-ビタミンD3である、請求項80に記載の方法。
【請求項89】
前記対象が慢性腎疾患を有する、請求項80に記載の方法。
【請求項90】
前記対象が透析を受けている、請求項80に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−507966(P2011−507966A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540885(P2010−540885)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/088276
【国際公開番号】WO2009/086440
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(510180382)
【Fターム(参考)】