説明

2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの製造方法

2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド、及びその塩を製造するための工業的に適用可能な方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド、それに至るさまざまな中間体及びその薬学的に許容しうる塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンH3受容体は、中枢及び末梢神経性系に見出される。ヒスタミンH3受容体リガンドの投与は、脳及び末梢における神経伝達物質の分泌に影響を及ぼすことがあり、そのためアルツハイマー病及び他の認知症、肥満、中枢神経系障害、例えば覚醒及び睡眠障害、ナルコレプシー、パーキンソン病、注意欠如多動性障害、記憶及び学習障害、てんかん、統合失調症、中等度認知障害、うつ病、不安、心臓血管障害、並びに胃腸障害を含むいくつかの障害の治療に有用でありうる。
【0003】
例証のため、文献の多くの研究は、齧歯類モデルにおけるヒスタミンH3受容体アンタゴニストの認知強化性(cognitive enhancing properties)を示している(例えば、非特許文献1参照)。さらに、これらの報告は、アンタゴニスト及び/又はインバースアゴニストがアルツハイマー病及び関連する神経変性障害のような神経系疾患における認知障害の治療に有用でありうることを示唆している。アルツハイマー病は、高齢者における認知症の最も一般的な原因であり、そしてしばしば記憶喪失、錯乱(confusion)、短気(irritability)及び攻撃性(aggression)、気分変動、言語障害、長期記憶喪失、患者の引きこもり(withdrawal)、及び運動制御の喪失のような1つ又はそれ以上の症状を特徴とする。
【0004】
式(I):
【化1】

の構造を有する2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドは、インバースアゴニスト性を有する強力なヒスタミンH3受容体アンタゴニストである。2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの製造並びに物理的性質及び有益な薬理学的性質は、例えば、特許文献1(また、特許文献2)に記載されている。
【0005】
特許文献1は、大量に製造するための工業的スケールに置き換えるのが困難である一般的な合成方法を記載している。この合成方法は、2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−スルホニルクロリドを(+/−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンと反応させ、その生成物をメタノール及び塩酸中で脱保護することを伴う。次に、エナンチオマーをキラルクロマトグラフィーによって分離する。生成したN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドは、パラジウム触媒の存在下でシクロヘキサンカルボキシアルデヒドによる還元的アミノ化を受ける。
【0006】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドは、遊離塩基として単離され、そして塩に変換される。
【0007】
本発明は、(+/−)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドのエナンチオマーのキラルクロマトグラフィー分離を回避することによって工業的使用のための2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの合成を最適化するのを可能にする。第一に、本発明は、2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリドと鏡像異性的に純粋な(鏡像体過剰率>99%)(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンとのカップリングを可能にするキラリティーの問題に関する。その際、出発塩化スルホニル中のより多くの1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン部分を生成物に組み込むことができる。上記の合成を用いることで、この物質の半分は、N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの望ましくないエナンチオマーとして廃棄されていることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2005/118547
【特許文献2】US2007/0105834
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Giovanni et al., Behav. Brain Res., 1999, 104, 147-155
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明は、高純度の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド及びその塩を工業的スケールにおける使用に適した比較的高収量で製造する方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド及びその塩の製造に有用である合成中間体、例えば式(III)(式中、Pg=COCF3)の化合物、2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドに関する。
【0012】
発明の詳述
定義及び略語
上に用いたように、そして本発明の説明を通して、以下の略語は、特に明記しない限り、以下の意味を有するものと理解される:
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
kg キログラム
L リットル
mL ミリリットル
MTBE メチルt−ブチルエーテル
【0013】
「薬学的に許容しうる」という用語は、安全な医薬的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなくヒト又は他の哺乳動物との接触に適しており、妥当な便益/リスク比で相応したそれらの化合物、物質、組成物、担体剤、増量剤、溶媒、希釈剤及び他の賦形剤に関する。
【0014】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド、又はその薬学的に許容しうる塩、又は薬学的に許容しうる塩の溶媒和物若しくは水和物を製造するための本発明の方法は、
a)(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンをアミン保護されたテトラヒドロキノリン−7−スルホニルクロリドとカップリングさせてアミン保護されたN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを得る工程;
b)アミン保護されたN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを脱保護してN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその塩を得る工程;
c)N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその塩をシクロヘキサンカルボキシアルデヒドと共に還元的アミノ化を行なって2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを形成する工程;
d)場合により2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを、溶媒中で化学量論量又は過剰の塩形成性酸と反応させて塩又はその水和物若しくは溶媒和物を形成する工程;及び
e)場合により工程d)の生成物を再結晶する工程;
を含む。
【0015】
本発明の一態様において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその薬学的に許容しうる塩、溶媒和物、若しくは水和物、又は薬学的に許容しうる塩の溶媒和物若しくは水和物及びこのような化合物の製造に有用である中間体の製造方法をスキーム1に説明する:
【0016】
スキーム1:
【化2】

【0017】
スキーム1に説明したように、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド、又はその薬学的に許容しうる塩、又は薬学的に許容しうる塩の溶媒和物若しくは水和物の製造方法は、
a)(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンをアミン保護されたテトラヒドロキノリン−7−スルホニルクロリドとカップリングさせて式(III)の化合物、アミン保護されたN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド(式中、Pgはアミン保護基を表す)を得;
b)式(III)の化合物を脱保護して式(II)の化合物、N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその塩を得;
c)式(II)の化合物をシクロヘキサンカルボキシアルデヒドと共に還元的アミノ化を行なって式(I)の化合物、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを得、
d)場合により式(I)の化合物を溶媒中で化学量論量又は過剰の塩形成性酸と反応させて式(Ia)の塩、又はその水和物若しくは溶媒和物、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド付加塩を形成し;及び
e)場合により工程d)の生成物を再結晶させること
を含む。
【0018】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド、又はその薬学的に許容しうる塩、又は薬学的に許容しうる塩の溶媒和物若しくは水和物を製造するための本発明の特定の方法は、
a)(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンを塩基の存在下でアミン保護されたテトラヒドロキノリン−7−スルホニルクロリドとカップリングさせてアミン保護されたN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを得;
b)アミン保護されたN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを塩基性条件下、そしてアルコール及び水とエーテル性溶媒との組み合わせから選ばれる溶媒中で脱保護してN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその塩を得;
c)N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその塩を還元剤の存在下、そしてアルコール及び水とエーテル性溶媒との組み合わせから選ばれる溶媒中、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドと共に還元的アミノ化を行なって2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを形成し;
d)場合により2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド、又はその水和物若しくは溶媒和物を、溶媒中で化学量論量又は過剰の塩形成性酸と反応させて塩又はその水和物若しくは溶媒和物を形成し;及び
e)場合により工程d)の生成物を再結晶させること
を含む。
【0019】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド、又はその薬学的に許容しうる塩、又は薬学的に許容しうる塩の溶媒和物若しくは水和物を製造するための本発明の別の特定の方法は、
a)(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンを2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−7−スルホニルクロリドとカップリングさせて2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを得;
b)2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを脱保護してN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその塩を得;
c)N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその塩をシクロヘキサンカルボキシアルデヒドと共に還元的アミノ化を行なって2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを形成し;
d)場合により2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを溶媒中で化学量論量又は過剰の塩形成性酸と反応させて塩、又はその水和物若しくは溶媒和物を形成し;及び
e)場合により工程d)の生成物を再結晶させること
を含む。
【0020】
スキーム1について:
アミン保護されたN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドは、工程a)において、(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンとアミン保護された1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリド、例えば2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリド又は他の適したアミンを保護基で保護された保護された1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリド(すなわち、酸中で安定でありかつスルホンアミド結合を切断しない条件下で除去可能なアミン保護基)との間のカップリングから製造される。一態様において、2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドは、不活性溶媒、例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのようなハロゲン化溶媒、又はt−ブチルメチルエーテル又は2−メチルテトラヒドロフランなどのようなエーテル性溶媒中;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのような無機塩基又はトリエチルアミンなどのような有機塩基の存在下で;好ましくは約0℃と周囲温度の間の温度、例えば約25℃で(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンと2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリドとの間のカップリングから製造される。
【0021】
従って、本発明の一実施態様は、塩基の存在下、そして不活性溶媒中で2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリドと(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンとをカップリングさせることを含む、2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの製造方法である。本発明の別の実施態様は、塩基の存在下、そして不活性溶媒中で2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリドと(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンとをカップリングさせる工程を含む、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの製造方法である。
【0022】
2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリドのようなアミン保護された1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリドは、商業的に入手可能でありうるか、又はそうでない場合、当業者に知られている方法に従って製造してもよい(例えば、Blank, B.; Krog, A.J.; Weiner, G.; Pendleton, R.G. J. Med. Chem. 1980, 23, 837-840参照)。例えば、アミン保護された1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリドは、ジクロロメタン、クロロホルム又は1.2−ジクロロエタンのようなハロゲン化溶媒中でアミン保護された1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを過剰のクロロスルホン酸と反応させることによって製造することができる。特に、2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリドは、2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンをクロロホルム又はジクロロメタンのいずれかの中で、約0℃〜約5℃で数時間、次いで室温で数日、過剰のクロロスルホン酸と反応させることによって製造することができる。反応物をクロロホルム又はジクロロメタン及び砕氷の混合物中にクエンチして所望の塩化スルホニルの溶液を得、溶媒を除去した後、それを、例えばt−ブチルメチルエーテルから結晶化によって精製することができる。
【0023】
工程b)における2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドのようなアミン保護されたN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの脱保護は、当分野で知られた脱保護技術を用いて実施してもよい。好ましくは、保護基は、塩基性条件下、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム及び炭酸カリウムのような無機塩基の存在下で除去してもよい。反応は、好ましくはイソプロパノール、メタノールなどのようなアルコール、又は水とテトラヒドロフラン及びジオキサンのようなエーテル性溶媒との組み合わせ中、そして約0℃と混合物の還流温度付近の間、そしてより好ましくは約100℃より下の温度で実施される。
【0024】
従って、本発明の一実施態様は、塩基の存在下で2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを脱保護すること含む、N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの製造方法である。
【0025】
本発明の別の実施態様は、塩基の存在下で2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを脱保護する工程を含む、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの製造方法である。
【0026】
工程c)は、有機溶媒、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノールなどのアルコール、又は水とテトラヒドロフラン、ジオキサンなどのようなエーテル性溶媒との組み合わせ、又はアセトニトリルと水若しくはアルコールと水との組み合わせ中、ギ酸(例えば、ナトリウム又はギ酸カリウムなどの添加によって生成される)のような還元剤の存在下で、N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド及びシクロヘキサンカルボキシアルデヒドを反応させることによる、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの形成を含む。この反応は、好ましくは、約0℃と混合物の還流温度付近の間、そしてより好ましくは約100℃より下の温度で実施される。
【0027】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの薬学的に許容しうる塩、並びにその水和物及び溶媒和物には、塩酸のような無機酸又は安息香酸、フマル酸、シュウ酸及びL−酒石酸のような有機酸のいずれかにより形成することができる2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの慣用の非毒性塩が含まれる。薬学的に許容しうる塩は、式(I)の化合物を適した溶媒又はさまざまな組み合わせの溶媒中で化学量論量又は過剰の所望の塩形成性酸と反応させるような当分野でよく知られた標準方法を用いて得ることができる。例えば、シュウ酸塩は、式(I)の化合物をエタノール中に溶解して約1.1当量のシュウ酸を加え、そして塩を形成させることによって生成できる。本発明の一態様では、フマル酸塩が得られる。好ましい態様において、フマル酸塩は、ジフマレート一水和物塩である。
【0028】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの薬学的に許容しうる塩、又はその水和物若しくは溶媒和物は、場合により再結晶される。適した再結晶溶媒としては、例えば、トルエン又はアセトンのような貧溶媒の存在下でのイソプロパノール及びエタノールが含まれる。
【0029】
本発明の別の態様は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド、又はその薬学的に許容しうる塩、又は薬学的に許容しうる塩の溶媒和物若しくは水和物を、薬学的に許容しうる担体剤、増量剤、溶媒、希釈剤及び他の賦形剤の1つ又はそれ以上と共に製剤化する工程をさらに含む上記の方法である。一態様において、方法は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドジフマレート一水和物を、薬学的に許容しうる担体剤、増量剤、溶媒、希釈剤及び他の賦形剤の1つ又はそれ以上と共に製剤化する工程を含む。
【0030】
式(V)の化合物、(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンは、スキーム2に説明したように製造してもよい。
【0031】
スキーム2:
【化3】

【0032】
スキーム2について:
工程1)は、エタノール、メタノール、イソプロパノールなどのようなアルコール及び水との組み合わせを含むそれらの組み合わせ中で2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンをジ−p−トルオイル−D−酒石酸のようなキラル分割剤と合わせることを伴う。好ましくは、溶媒は、エタノール及び水の組み合わせである。反応は、好ましくは約0℃と混合物の還流温度付近の間、そしてより好ましくは約100℃より下の温度で実施される。
【0033】
ラセミ体の2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン出発物質は、商業的に入手可能であるか(例えば、Anichem LLC, American Custom Chemicals Inc., Acros, Aldrichから)又はそうでない場合、当業者によく知られた方法に従って製造してもよい(Turner, S.C.; Esbenshade, T.A.; Bennani, Y.L.; Hancock, A.A. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2003, 13, 2131-2135参照)。
【0034】
工程2)は、工程1)の生成物、例えば、(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン、O,O’ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩を、濃HCl、HBr、H2SO4又はH3PO4のような強酸、及びt−ブチルメチルエーテル、酢酸イソプロピルなどのような無極性溶媒の二相混合物中、室温付近と約100℃の間の温度で溶解することによる分割剤の除去を含む。一態様において、(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンは、塩として水溶液中で単離される。別の態様において、(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン塩の酸性溶液は、水酸化ナトリウムのような塩基の添加により塩基性にし、蒸留可能な遊離塩基として(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンを単離することができる。
【0035】
以下の実施例は、スキーム1及び2に記載されたような典型的な合成を示す。これらの実施例は、具体例でしかないことが理解され、そして本発明の範囲をどのようにも制限しようとするものではない。
【0036】
実施例1
式(VI)の化合物:(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン、O,O’−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩の製造
エタノール(10370mL)及び水(2080mL)を混合することによって水性エタノールの保存溶液を調製した。O,O’−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(1624g,4.203mol)及び上記水性エタノール(9050mL)の保存溶液の一部の混合物を窒素雰囲気下、約65℃で撹拌した。別途、ラセミ体の2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン(700g,5.35mol)を水性エタノール保存溶液の一部(3400mL)に溶解した。次いで、温度を約65℃に維持して添加中に固形物が形成されないようにアミン溶液を酒石酸溶液に滴加した。反応物を約65℃で30分間保持した後、約0℃に冷却した。沈殿を濾過によって集めた。水気がなくなるまで、集めた固形物に窒素流を通した。固形物をエタノール(15950mL)/水(2457mL)から再結晶させて無色の固形物として所望の生成物を得た:1322.4g(44%),鏡像体過剰率>99.5%
【0037】
実施例2
式(V)の化合物:(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンの製造
HCl(296mL,3.55mol)及び水(517mL)の溶液を(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン、O,O’−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩(900g,1.75mol)及びMTBE(3.2L)混合物に加えた。45分間撹拌した後、層を分離した。さらにMTBE(1.6L)を水層に加えた。約10分間撹拌した後、層を分離した。撹拌しながら、50%水性NaOH(476mL,9.19mol)を約35分かけて酸性の水層に加えた。混合物を約35分間撹拌し、次いで10℃に冷却した。有機層を分離し、そして減圧で蒸留して所望の生成物206g(92%)を得た。
【0038】
実施例3
式(III)の化合物:2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの製造
水(400mL)中の(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン(172g,1.345mol)の溶液を製造し、そして反応温度を−5℃と5℃の間に維持する制御された速度で2−メチルテトラヒドロフラン(1600mL)中の2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリド(400g,1.22mol)の溶液に加えた。カップリングが完了したら、反応混合物を炭酸カリウム(220g,1.59mol)及び水(1L)から調製した炭酸カリウム水溶液で1回洗浄して生成物の遊離塩基を遊離した。最小撹拌容積まで真空蒸留することによってほとんどの2−メチルテトラヒドロフランを除去し、そしてエタノール(2L)で置き換えた。蒸留を再開し、そして最小撹拌容積まで続けた。2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドのエタノール性溶液をエタノール(1132mL)で希釈して生成物の30質量%溶液を得、収率97%と仮定し、そして次の工程に繰り越した。
【0039】
実施例4
式(II)の化合物:N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二塩酸塩セスキ水和物の製造
水酸化カリウム(105g,0.855mol)の45.7%溶液を、温度が45℃を超えないよう制限された速度で2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド(1023.6,0.748mol)の30.66%(w/w)のエタノール性溶液に加えた。室温に冷却した後、反応物をHPLCによってモニターした。脱保護が完了した後、濃塩酸(194mL,2.35mol)の滴加により反応物を酸性化した。沈殿したKClを39〜51℃の間で濾過することによって除去した。反応器をエタノール(300mL)ですすぎ、次にそれを用いて、集めたKClをすすいだ。エタノール濾液を合わせ、そして反応器に戻した。反応器を約55℃に加熱し、そして2−メチルテトラヒドロフラン(375mL)を加えた。N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二塩酸塩セスキ水和物(1g)の種晶を加えた。約−5℃に冷却した後、生成物を濾過によって集めた。生成物を2−メチルテトラヒドロフラン(200mL)、エタノール(200mL)及び水(5mL)から調製した溶液ですすいだ。40℃の真空オーブン中で乾燥した後、N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二塩酸塩セスキ水和物277g(87%)を無色の固形物として単離した。
【0040】
N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二塩酸塩セスキ水和物の種晶は、当業者に知られた一般的な方法に従って得ることができる。別法として、N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二塩酸塩セスキ水和物は、種晶を用いることなく上記のように容易に製造することができる。
【0041】
実施例5
式(I)の化合物:2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの製造
N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二塩酸塩セスキ水和物(92g,0.217mol)を熱SDA3Cエタノール(460mL)中でギ酸カリウム(33.6g,0.399mol)及びシクロヘキサンカルボキシアルデヒド(39mL,0.322mol)と反応させた。反応容器を約72℃に加熱すると、CO2の放出を伴った。反応混合物をHPLCによって完了についてモニターした。完了したら、反応物を約25℃に冷却し、そして真空蒸留及び添加水(280mL)と共に共沸除去することによってエタノールを除去した。濃塩酸(37.3mL,0.451mol)の添加によって生成物の塩酸塩を形成し、そして水溶液を酢酸イソプロピル(280mL)で洗浄した。水層を水(100mL)中の炭酸カリウム(92g,0.666mol)の溶液で塩基性にした。アルカリ性水溶液を酢酸イソプロピル(460mL)で抽出した。酢酸イソプロピル層を水(3×460mL)で洗浄し、そして酢酸イソプロピルを真空蒸留によって除去し、そしてSDA3Cエタノール(460mL)で置き換えた。生成した透明な黄色がかった溶液は、溶液120.4g中に2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド85.7g(91%)を含んだ。
【0042】
実施例6
式(Ia)の化合物:2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドジフマレート一水和物の製造
SDA3Cエタノール(1056mL)中の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド(532g,1.27mol)の溶液を水(624mL)中のフマル酸(302g,2.60mol)の懸濁液に加えた。生成した溶液をアセトン(4L)で希釈してから冷却し、そして粉砕された2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドジフマレート一水和物(4.2g)を用いて種添加した。種添加した後、混合物を撹拌して結晶を成長させてからさらにアセトン(1990mL)で希釈した。冷却した後、生成物を濾過によって集め、そしてアセトン(1.500L)で洗浄した。アセトンをフィルター乾燥機に少しずつ装填することによって濾過を実施した。アセトン(1.5L)の各部分を装填した後、撹拌を2.6rpmに変え、生成物とアセトンとの良好な接触を確保した。窒素パージして真空(残留圧力400mbar)にした40℃の真空オーブン中で生成物を乾燥し、そして空気中、室温で再び水和させて2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドジフマレート一水和物684.7g(85.8%)を得た。
【0043】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドジフマレート一水和物の種晶は、上記の方法を考慮して当業者に知られた一般的な方法に従って得ることができる。別法として、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドジフマレート一水和物は、種晶を用いることなく上記のように容易に製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンをアミン保護されたテトラヒドロキノリン−7−スルホニルクロリドとカップリングさせてアミン保護されたN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを得る工程;
b)アミン保護されたN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを脱保護してN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその塩を得る工程;
c)N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその塩をシクロヘキサンカルボキシアルデヒドと共に還元的アミノ化を行なって2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを形成する工程;
d)場合により2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド、又はその水和物若しくは溶媒和物を、溶媒中で化学量論量又は過剰の塩形成性酸と反応させて塩又はその水和物若しくは溶媒和物を形成する工程;及び
e)場合により工程d)の生成物を再結晶する工程;
を含む、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)―1―メチルピロリジン―2−イル]エチル}―1,2,3,4―テトラヒドロイソキノリン―7―スルホンアミド、又はその薬学的に許容しうる塩、又は薬学的に許容しうる塩の溶媒和物若しくは水和物の製造方法。
【請求項2】
アミン保護されたテトラヒドロキノリン−7−スルホニルクロリドが2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリドであり、そしてアミン保護されたN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドが2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)のカップリングが無機又は有機塩基の存在下で、そして不活性溶媒中で行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
塩基が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びトリエチルアミンからなる群より選ばれる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程b)の脱保護が塩基性条件下、そしてアルコール中で行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程c)の還元的アミノ化が有機溶媒中、還元剤の存在下で行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
還元剤がギ酸である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程d)で形成された塩が薬学的に許容しうる塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド、又はその薬学的に許容しうる塩、又は薬学的に許容しうる塩の溶媒和物若しくは水和物を、薬学的に許容しうる担体剤、増量剤、溶媒、希釈剤及び他の賦形剤の1つ又はそれ以上と共に製剤化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程d)の塩形成性酸が、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドジフマレート一水和物を与えるためのフマル酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドジフマレート一水和物を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる担体剤、増量剤、溶媒、希釈剤及び他の賦形剤と共に製剤化することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
a)(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンを2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−7−スルホニルクロリドとカップリングさせて2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを得る工程;
b)2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを脱保護してN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその塩を得る工程;
c)N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその塩をシクロヘキサンカルボキシアルデヒドと共に還元的アミノ化を行なって2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを形成する工程;
d)場合により2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを、溶媒中で化学量論量又は過剰の塩形成性酸と反応させて塩、又はその水和物若しくは溶媒和物を形成する工程;及び
e)場合により工程d)の生成物を再結晶する工程;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又は薬学的に許容しうる塩、又は薬学的に許容しうる塩の溶媒和物若しくは水和物を、薬学的に許容しうる担体剤、増量剤、溶媒、希釈剤及び他の賦形剤の1つ又はそれ以上と共に製剤化することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程d)の塩形成性酸が、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドジフマレート一水和物を与えるためのフマル酸である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドジフマ
レート一水和物を、薬学的に許容しうる担体剤、増量剤、溶媒、希釈剤及び他の賦形剤の1つ又はそれ以上と共に製剤化することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
a)(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンを塩基の存在下でアミン保護されたテトラヒドロキノリン−7−スルホニルクロリドとカップリングさせてアミン保護されたN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを得る工程;
b)アミン保護されたN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを塩基性条件下、そしてアルコール、及び水とエーテル性溶媒との組み合わせから選ばれる溶媒中で脱保護してN−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその塩を得る工程;
c)N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド又はその塩を、還元剤の存在下、そしてアルコール及び水とエーテル性溶媒との組み合わせから選ばれる溶媒中、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドと共に還元的アミノ化を行なって2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを形成する工程;
d)場合により2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを、溶媒中で化学量論量又は過剰の塩形成性酸と反応させて塩又はその水和物若しくは溶媒和物を形成する工程;及び
e)場合により工程d)の生成物を再結晶する工程;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
化合物2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド。
【請求項18】
塩基の存在下、そして不活性溶媒中で2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリドと(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンとをカップリングさせることを含む、2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの製造方法。
【請求項19】
塩基の存在下、そして不活性溶媒中で2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホニルクロリドと(−)−2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジンとをカップリングさせる工程を含む、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの製造方法。
【請求項20】
塩基の存在下で2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを脱保護することを含む、N−{2−[(2 S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの製造方法。
【請求項21】
塩基の存在下で2−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−
7−スルホンアミドを脱保護する工程を含む、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの製造方法。

【公表番号】特表2013−521309(P2013−521309A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556254(P2012−556254)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/027131
【国際公開番号】WO2011/109680
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】