説明

2−(フェニル又は複素環)−1H−フェナントロ[9,10−D]イミダゾール

本発明は式(I):


の新規化合物又はその医薬的に許容可能な塩を包含する。これらの化合物はミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1(mPGES−1)酵素の阻害剤であり、従って、変形性関節症、関節リウマチ及び急性又は慢性疼痛等の各種疾患又は病態に伴う疼痛及び/又は炎症を治療するために有用である。mPGES−1酵素により介在される疾患又は病態の治療方法と、医薬組成物も包含する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
プロスタグランジン代謝の調節は現在の抗炎症治療の中心に位置する。NSAID及びCOX−2阻害剤はシクロオキシゲナーゼの活性を妨害し、アラキドン酸(AA)をプロスタグランジン(PG)H2に変換するのを妨げる。PGH2はその後、末端プロスタグランジンシンターゼにより代謝され、対応する生理的に活性なPG類、即ちPGI2、トロンボキサン(Tx)A2、PGD2、PGF2α及びPGE2となる。薬理学、遺伝学及び中和抗体の各面のアプローチを総合すると、炎症におけるPGE2の重要性は明白である。多くの点で、炎症動物モデルにおけるPGE2依存性シグナル伝達の妨害はNSAID又はCOX−2阻害剤治療と同様に有効であると言える。従って、プロスタグランジンEシンターゼ(PGES)によるPGH2からPGE2への変換は炎症刺激の伝達における中枢段階であると思われる。
【0002】
ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1(mPGES−1)は向炎症刺激暴露後に誘導される誘導性PGESである。mPGES−1は炎症により末梢とCNSで誘導されるので、急性及び慢性炎症性疾患の新規ターゲットとなる。特定mPGES−1阻害剤の開発の基本原理はNSAID及びCox−2阻害剤の治療効用が主に向炎症性PGE2の阻害に起因し、副作用特性が主に他のプロスタグランジンの阻害に起因するという前提に基づく。
【0003】
本発明はミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1酵素の選択的阻害剤であり、従って、変形性関節症、関節リウマチ及び急性又は慢性疼痛等の各種疾患又は病態における疼痛及び炎症の治療に有用であると思われる新規化合物を包含する。更に、向炎症性PGE2を選択的に阻害することにより、本発明の化合物は胃腸及び腎毒性等の従来の非ステロイド性抗炎症薬による他のプロスタグランジンの阻害に伴う副作用の可能性が低いと考えられる。
【発明の開示】
【0004】
(発明の概要)
本発明は式I:
【0005】
【化8】

の新規化合物又はその医薬的に許容可能な塩を包含する。これらの化合物はミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1(mPGES−1)酵素の阻害剤であり、従って、変形性関節症、関節リウマチ及び急性又は慢性疼痛等の各種疾患又は病態に伴う疼痛及び/又は炎症を治療するために有用である。mPGES−1酵素により介在される疾患又は病態の治療方法と、医薬組成物も包含する。
【0006】
(発明の詳細な説明)
本発明は式I:
【0007】
【化9】

[式中、
Jは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Kは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Lは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Mは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
但し、J、K、L又はMの少なくとも1個は−N−以外のものであり、Jが−C(X)−であり、Kが−C(X)−であり、Lが−C(X)−であり、Mが−C(X)−であり、XがHであるとき、R及びRの少なくとも一方はH以外のものであり;
は(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;(5)−N;(6)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ基で置換されていてもよい。);(7)C1−4アルコキシ;(8)NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−;(9)C1−4アルキル−S(O)−;(10)−NO;(11)C3−6シクロアルキル;(12)C3−6シクロアルコキシ;(13)フェニル;(14)カルボキシ;及び(15)C1−4アルキル−O−C(O)−から構成される群から選択され;
、X、X及びXは(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−OH;(7)−N;(8)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ又はオキソ基で置換されていてもよい。);(9)C1−4アルコキシ;(10)NR10−、NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−又はNR10−C(O)−;(11)C1−4アルキル−S(O)−;(12)−NO;(13)C3−6シクロアルキル;(14)C3−6シクロアルコキシ;(15)フェニル;(16)カルボキシ;及び(17)C1−4アルキル−O−C(O)−から構成される群から独立して選択され;
、R、R、R、R、R、R及びRは(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−CN;(7)C1−6アルキル又はC2−6アルケニル(前記C1−6アルキル又はC2−6アルケニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記C1−6アルキル又はC2−6アルケニルは場合により−OH、メトキシ、R11−O−C(O)−、シクロプロピル、ピリジル及びフェニルから構成される群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい。);(8)C3−6シクロアルキル;(9)R12−O−;(10)R13−S(O)−;(11)R14−S(O)−N(R15)−;(12)R16−C(O)−;(13)R17−N(R18)−;(14)R19−N(R20)−C(O)−;(15)R21−N(R22)−S(O)−;(16)R23−C(O)−N(R24)−;(17)Z−C≡C;(18)−(CH)C=N−OH又は−(CH)C=N−OCH;並びに(19)各々場合によりF、Cl、Br、I、C1−4アルキル、フェニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルアミノ、R25−O−C(O)−及びR26−N(R27)−から構成される群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されたフェニル、ナフチル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チエニル又はフリルから構成される群から独立して選択され、前記C1−4アルキル及びフェニルは場合によりハロ及びヒドロキシから独立して選択される1から3個の基で置換されており;あるいはRとR又はRとRはそれらが結合している炭素原子と共にフェニルを形成してもよく;
各Zは(1)H;(2)C1−6アルキル(前記C1−6アルキルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、C1−6アルキルは場合によりヒドロキシ、メトキシ、シクロプロピル、フェニル、ピリジル、ピロリル、R28−N(R29)−及びR30−O−C(O)−から独立して選択されるから独立して選択される1から3個の置換基で置換されている。);(3)−(CH)C=N−OH又は−(CH)C=N−OCH;(4)R31−C(O)−;(5)フェニル;(6)ピリジル又はそのN−オキシド;(7)場合によりヒドロキシで置換されたC3−6シクロアルキル;(8)場合によりヒドロキシで置換されたテトラヒドロピラニル;及び(9)O、N又はSから独立して選択される1から3個の原子を含み、場合によりメチルで置換された5員芳香族複素環から構成される群から独立して選択され;
各R、R10、R15、R24及びR32は(1)H;及び(2)C1−4アルキルから構成される群から独立して選択され;
各R11、R12、R13、R14、R16、R23、R25、R30及びR31は(1)H;(2)C1−4アルキル;(3)C3−6シクロアルキル;(4)フェニル;(5)ベンジル;及び(6)ピリジルから構成される群から独立して選択され;前記C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、ベンジル及びピリジルは各々場合によりOH、F、Cl、Br、I及びメチルから独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく;
各R17、R18、R19、R20、R21、R22、R26、R27、R28及びR29は(1)H;(2)C1−6アルキル;(3)C1−6アルコキシ;(4)OH;及び(5)ベンジル又は1−フェニルエチルから構成される群から独立して選択され;R17とR18、R19とR20、R21とR22、R26とR27、及びR28とR29はそれらが結合している窒素原子と共に、場合により−O−、−S(O)−及び−N(R32)−から独立して選択される1又は2個の原子を含む5又は6個の炭素原子の単環を形成してもよく;
各kは独立して0、1又は2である。]により表される1属の化合物又はそのプロドラッグ又は前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容可能な塩を包含する。
【0008】
この属内で、本発明は式A:
【0009】
【化10】

により表される1亜属の化合物又はそのプロドラッグ又は前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容可能な塩を包含する。
【0010】
この亜属内で、本発明はXが(1)F;(2)Cl;(3)Br;及び(4)Iから構成される群から選択され;X、X、X及びXが(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;及び(5)Iから構成される群から独立して選択される式Aの1分類の化合物を包含する。
【0011】
同様にこの亜属内で、本発明はX、X及びXがHであり、XがH以外のものである式Aの1分類の化合物を包含する。この分類内で、本発明はXとXが同一であり、(1)F;(2)Cl;(3)Br;及び(4)Iから構成される群から選択される式Aの1亜分類の化合物を包含する。
【0012】
同様にこの亜属内で、本発明はR又はRの少なくとも一方がH以外のものである式Aの1分類の化合物を包含する。
【0013】
同様にこの亜属内で、本発明はR又はRの少なくとも一方がH以外のものである式Aの1分類の化合物を包含する。
【0014】
同様にこの亜属内で、本発明はR又はRの少なくとも一方がH以外のものである式Aの1分類の化合物を包含する。
【0015】
同様にこの亜属内で、本発明はR又はRの少なくとも一方がH以外のものであり;R、R、R、R、R及びRがHである式Aの1分類の化合物を包含する。この分類内で、本発明はRとRがいずれもH以外のものである式Aの1亜分類の化合物を包含する。この亜分類内で、本発明はR又はRの一方がF、Cl、Br及びIから構成される群から独立して選択され;R又はRの他方がZ−C≡Cである式Aの化合物を包含する。同様にこの分類内で、本発明はR及びRが水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、エチル、ビニル、シクロプロピル、−COi−Pr、−COCH、−SOCF、3−ピリジル、アセチル、
【0016】
【化11】


から構成される群から独立して選択され、
但し、R又はRの少なくとも一方はH以外のものである式Aの1亜分類の化合物を包含する。
【0017】
上記属内で、本発明は式B:
【0018】
【化12】

[式中、X及びXは(1)F;(2)Cl;(3)Br;及び(4)Iから構成される群から独立して選択される。]の亜属の化合物又はそのプロドラッグ又は前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容可能な塩を包含する。この亜属内で、本発明はR又はRの一方がF、Cl、Br及びIから構成される群から独立して選択され;R又はRの他方がZ−C≡Cである式Bの1分類の化合物を包含する。
【0019】
上記属内で、本発明は式C:
【0020】
【化13】

[式中、Yは(1)C1−6アルキル;(2)PO−C1−4アルキル−;(3)C1−4アルキル−C(O)−O−CH−(C1−4アルキル部分は場合によりR33−O−C(O)−で置換されている。);及び(4)C1−4アルキル−O−C(O)−から構成される群から選択され;
33は(1)H;(2)C1−4アルキル;(3)C3−6シクロアルキル;(4)フェニル;(5)ベンジル;及び(6)ピリジルから構成される群から選択され;前記C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、ベンジル及びピリジルは各々場合によりOH、F、Cl、Br及びIから構成される群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい]により表される式Iの亜属の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を包含する。
【0021】
本発明は医薬的に許容可能な担体と共に式Iの化合物を含有する医薬組成物も包含する。
【0022】
本発明はミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1により介在される疾患又は病態の治療を必要とするヒト患者における前記疾患又は病態の治療方法として、ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1により介在される疾患又は病態を治療するために有効な量の請求項1に記載の化合物を前記患者に投与することを含む方法も包含する。この実施形態には、疾患又は病態が急性又は慢性疼痛、変形性関節症、関節リウマチ、滑液包炎、強直性脊椎炎及び原発性月経困難症から構成される群から選択される上記方法が含まれる。
【0023】
本発明の具体例としては以下の化合物が挙げられる。これらの化合物は下記スキーム及び実施例に従って合成した。
【0024】
【表3】













【0025】
【表4】


【0026】
本発明は適宜、上記化合物の任意のものの医薬的に許容可能な塩を含む。本明細書の趣旨では、「R/R」なる項目はこの欄に記載する置換基がR又はRで表される位置に置換していることを意味する。隣の欄の「R/R」なる項目は記載する置換基がR又はR位のうちの前欄で置換されていないほうに置換していることを意味する。例えば、実施例6はR=CN及びR=H又はR=H及びR=CNであり、両方の互変異性体を表す。
【0027】
「ハロゲン」又は「ハロ」なる用語はF、Cl、Br及びIを含む。
【0028】
「アルキル」なる用語は指定炭素原子数の直鎖又は分岐鎖構造とその組み合わせを意味する。従って、例えばC1−6アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、s−ブチル、t−ブチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル及び1,1−ジメチルエチルが挙げられる。
【0029】
「アルケニル」なる用語は少なくとも1個の炭素−炭素二重結合をもち、水素が別の炭素−炭素二重結合で置換されていてもよい指定炭素原子数の直鎖又は分岐鎖構造とその組み合わせを意味する。例えばC2−6アルケニルとしては、エテニル、プロペニル、1−メチルエテニル、ブテニル等が挙げられる。
【0030】
「アルキニル」なる用語は少なくとも1個の炭素−炭素三重結合をもつ指定炭素原子数の直鎖又は分岐鎖構造とその組み合わせを意味する。例えばC3−6アルキニルとしては、プロピニル、1−メチルエチニル、ブチニル等が挙げられる。
【0031】
「アルコキシ」なる用語は指定炭素原子数の直鎖、分岐鎖又は環状構造のアルコキシ基を意味する。例えばC1−6アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等が挙げられる。
【0032】
「シクロアルキル」なる用語は場合により直鎖又は分岐鎖構造と組み合わせた指定炭素原子数の単環、二環又は三環構造を意味する。シクロアルキル基の例としてはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロドデシルメチル、2−エチル−1−ビシクロ[4.4.0]デシル、シクロブチルメチル、シクロプロピルメチル等が挙げられる。
【0033】
本明細書に記載する化合物は不斉中心を含む場合があり、従ってエナンチオマーとして存在する場合がある。本発明の化合物が2個以上の不斉中心をもつ場合には、更にジアステレオマーとして存在する場合もある。本発明は実質的に純粋な分割したエナンチオマー、そのラセミ混合物及びジアステレオマーの混合物としてのこのような可能な全立体異性体を含む。上記式Iは所定位置に明確な立体配置を指定せずに示している。本発明は式Iの全立体異性体とその医薬的に許容可能な塩を含む。例えば適切な溶媒から分別結晶によりエナンチオマーのジアステレオマー対を分離することができ、例えば光学活性酸もしくは塩基を分割剤として使用するか又はキラルHPLCカラムを利用して従来手段により、こうして得られたエナンチオマーの対を個々の立体異性体に分離することができる。更に、既知配置の光学的に純粋な出発材料又は試薬を使用して立体特異的合成により一般式Iの化合物の任意エナンチオマー又はジアステレオマーを得ることもできる。
【0034】
本明細書に記載する化合物はオレフィン二重結合を含む場合があり、特に指定しない限り、E及びZ幾何異性体を含むものとする。
【0035】
本明細書に記載する化合物は水素結合点を変えて存在する場合もある(互変異性体と言う)。式Iの化合物は以下の互変異性体:
【0036】
【化14】

として存在する。個々の互変異性体とその混合物が式Iに含まれる。
【0037】
本発明は本発明の化合物のプロドラッグをその範囲に含む。一般に、このようなプロドラッグは必要な化合物に容易にin vivo変換可能な本発明の化合物の機能的誘導体である。従って、本発明の治療方法において、「投与する」なる用語は具体的に開示する化合物又は具体的に開示していないとしても、患者に投与後に特定化合物にin vivo変換する化合物で各種記載病態を治療することを意味する。適切なプロドラッグ誘導体の従来の選択及び製造手順は例えば“Design of Prodrugs,”H.Bundgaard編,Elsevier,1985に記載されている。これらの化合物の代謝産物としては、本発明の化合物を生体環境に導入後に生成される活性種が挙げられる。本発明のプロドラッグの具体例は式Cの化合物である。
【0038】
「ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1により介在される疾患又は病態を治療する」なる用語はミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1(mPGES−1)酵素を阻害することにより有利に治療又は予防される任意疾患又は病態を治療又は予防することを意味する。この用語はリウマチ熱、インフルエンザや他のウイルス感染症に伴う症状、感冒、腰痛及び頸痛、月経困難症、頭痛、偏頭痛(急性及び予防処置)、歯痛、捻挫及び挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、関節炎(関節リウマチを含む)、変形性関節疾患(変形性関節症)、通風及び強直性脊椎炎、急性、亜急性及び慢性筋骨格系疼痛症候群(例えば滑液包炎)、熱傷、外傷、並びに外科及び歯科処置後の疼痛等の各種病態の疼痛、発熱及び炎症の緩和に加え、外科疼痛の予防処置を含む。更に、この用語は細胞悪性形質転換及び転移性腫瘍増殖の抑制、従って癌の治療も含む。この用語は更に子宮内膜症及びパーキンソン病の治療に加え、糖尿病網膜症や腫瘍血管新生で発生するようなmPGES−1により介在される増殖性疾患の治療も含む。「治療」なる用語は上記疾患又は病態の徴候及び症状を緩和するように患者を治療することのみならず、上記疾患又は病態の発症又は進行を予防するために無症状患者を予防処置することも意味する。
【0039】
「治療するために有効な量」なる用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められる組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する薬剤の量を意味する。この用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床医により組織、系、動物又はヒトで予防することが求められる生物学的又は医学的イベントの発生の危険を防止又は低減する薬剤の量も意味する。本発明で使用される式Iの化合物の適切な用量レベルについては以下に記載する。化合物は1日1回又は2回のレジメンで投与することができる。
【0040】
本発明の医薬組成物は活性成分としての式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含有しており、更に医薬的に許容可能な担体と場合により他の治療成分を加えることができる。「医薬的に許容可能な塩」なる用語は無機塩基と有機塩基を含む医薬的に許容可能な非毒性塩を生じる塩基から製造される塩を意味する。無機塩基から誘導される塩としてはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第2鉄、第1鉄、リチウム、マグネシウム、第2マンガン、第1マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩が挙げられる。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩が特に好ましい。医薬的に許容可能な非毒性有機塩基から誘導される塩としては第1級、第2級及び第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン並びに塩基性イオン交換樹脂(例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)の塩が挙げられる。
【0041】
本発明の化合物が塩基性である場合には、無機酸と有機酸を含む医薬的に許容可能な塩を生じる酸から塩を製造することができる。このような酸としては、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、1,2−エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、エチレンジアミン四酢酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、2−ナフタレンスルホン酸、硝酸、蓚酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、ピバル酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、琥珀酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、10−ウンデセン等が挙げられる。
【0042】
本発明の化合物のmPGES−1阻害活性により、式Iの化合物はリウマチ熱、インフルエンザや他のウイルス感染症に伴う症状、感冒、腰痛及び頸痛、月経困難症、頭痛、偏頭痛(急性及び予防処置)、歯痛、捻挫及び挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、関節炎(関節リウマチ、若年性関節リウマチを含む)、変形性関節疾患(変形性関節症)、急性通風及び強直性脊椎炎、急性、亜急性及び慢性筋骨格系疼痛症候群(例えば滑液包炎)、熱傷、外傷、並びに外科及び歯科処置後の疼痛等の各種病態の疼痛、発熱及び炎症の緩和に加え、外科疼痛の予防処置に有用である。更に、このような化合物は細胞悪性形質転換及び転移性腫瘍増殖を抑制すると思われるので、癌の治療に使用することができる。式Iの化合物は子宮内膜症、血友病性関節症及びパーキンソン病の治療又は予防にも有用であると思われる。
【0043】
式Iの化合物は更に収縮性プロスタノイドの合成を防止することによりプロスタノイドによる平滑筋収縮を抑制し、従って、月経困難症、早産及び喘息の治療に有用であると思われる。
【0044】
mPGES−1酵素の選択的阻害により、式Iの化合物は特に消化性潰瘍、胃炎、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎又は胃腸障害の再発病歴をもつ患者;GI出血、低プロトロンビン血症等の貧血を含む凝固障害、血友病又は他の出血障害(血小板機能低下又は障害に関係するものを含む);腎疾患(例えば腎機能障害);外科手術又は抗凝固剤投与前の患者;並びにNSAIDによる喘息を生じやすい患者のように非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が禁忌となるような場合に従来の非ステロイド抗炎症薬の代用として有用であることが実証されよう。
【0045】
本発明の化合物は治療又は予防を必要とする対象における新生物形成の治療又は予防にも有用である。「治療」なる用語は新生物増殖、瀰漫又は転移の部分的又は完全な抑制に加え、新生物細胞の部分的又は完全な破壊を意味する。「予防」なる用語は臨床的に明白な新生物形成の発症の完全な予防又は危険のある個体における新生物形成の前臨床的に明白な段階の発症の予防を意味する。悪性細胞への転換の予防又は前癌細胞から悪性細胞への進行の阻止もしくは逆転もこの定義に含むものとする。この用語は新生物形成を発症する危険のある対象の予防処置を意味する。治療の目的である「対象」なる用語は公知新生物形成の任意1種をもつ任意ヒト又は哺乳動物対象を意味し、ヒト対象が好ましい。予防法では、対象は任意ヒト又は哺乳動物対象であり、新生物形成を発現する危険のあるヒト対象が好ましい。対象は発癌物質接触により危険のある場合や、新生物形成の遺伝的素因のある場合等が挙げられる。
【0046】
「新生物形成」なる用語は良性及び癌性両者の腫瘍、増殖及びポリープを含む。従って、本発明の化合物は扁平上皮乳頭腫、基底細胞腫、移行上皮乳頭腫、腺腫、ガストリノーマ、胆管細胞腺腫、肝細胞腺腫、尿細管腺腫、オンコサイトーマ、グロムス腫瘍、メラニン細胞性母斑、線維腫、粘液腫、脂肪腫、平滑筋腫、横紋筋腫、良性奇形腫、血管腫、骨腫、軟骨腫及び髄膜腫等の良性腫瘍、増殖及びポリープの治療又は予防に有用である。本発明の化合物は扁平上皮癌、基底細胞癌、移行上皮癌、腺癌、悪性ガストリノーマ、胆管細胞癌、肝細胞癌、腎細胞癌、悪性黒色腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、悪性奇形腫、血管肉腫、カポジ肉腫、リンパ管肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、悪性髄膜腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫及び白血病等の癌性腫瘍、増殖及びポリープの治療又は予防にも有用である。本明細書の趣旨では、「新生物形成」は脳腫瘍、骨癌、上皮性新生物(上皮癌)、基底細胞癌、腺癌、消化管癌(例えば口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌及び胃癌)、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌及び皮膚癌(例えば扁平上皮癌及び基底細胞癌)、前立腺癌、腎細胞癌、並びに全身の上皮細胞、間葉細胞又は血液細胞を冒す他の公知癌を含む。本発明の化合物は上記癌の任意のものの治療又は予防に有用である。本発明の化合物は扁平上皮、基底細胞、移行上皮、腺上皮、G細胞、胆管上皮、肝細胞、尿細管上皮、メラニン細胞、線維性結合組織、心臓骨格、脂肪組織、平滑筋、骨格筋、生殖細胞、血管、リンパ管、骨、軟骨、髄膜、リンパ球及び造血細胞の良性及び癌性腫瘍、増殖及びポリープの治療又は予防に有用である。前記化合物は家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)の対象等の腺腫性ポリープをもつ対象を治療するために使用することができる。更に、前記化合物はFAPの危険のある患者でポリープの形成を予防するために使用することができる。好ましくは、本発明の化合物は結腸直腸癌、食道胃癌、乳癌、頭頸部癌、皮膚癌、肺癌、肝臓癌、胆嚢癌、膵臓癌、膀胱癌、子宮内膜/頸癌、前立腺癌、甲状腺癌及び脳腫瘍の治療又は予防に有用である。
【0047】
同様に、式Iの化合物は従来のNSAIDを他の物質又は成分と現在併用投与している製剤においてこれらのNSAIDの部分的又は完全な代用として有用であろう。従って、別の態様では、本発明は上記定義によるmPGES−1により介在される疾患の治療用医薬組成物として、非毒性治療有効量の上記定義による式Iの化合物と、別の疼痛緩和剤(例えばアセトアミノフェンやフェナセチン);オピオイド鎮痛薬(例えばコデイン、フェンタニル、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルヒネ、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、ナルブフィン及びペンタゾシン);興奮剤(例えばカフェイン);H2−アンタゴニスト;水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム;シメチコン;消炎剤(例えばフェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン又はレボデオキシエフェドリン);鎮咳薬(例えばコデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン又はデキストロメトルファン);利尿薬;鎮静又は非鎮静抗ヒスタミン薬;プロトンポンプ阻害剤(例えばオメプラゾール);ブラジキニン−1アンタゴニスト;VR1受容体アンタゴニスト;及びナトリウムチャネル遮断薬(NAV1)等の1種以上の成分を含有する医薬組成物を包含する。偏頭痛の治療又は予防用として、本発明は5−HTアゴニスト(例えばリザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン及びナラトリプタン)又はCGRPアンタゴニストとの併用投与も包含する。更に、本発明はmPGES−1により介在される疾患の治療方法として、場合により上記のような成分の1種以上と併用して、このような治療を必要とする患者に非毒性治療有効量の式Iの化合物を投与する方法を包含する。
【0048】
上記のように、上記定義によるmPGES−1により介在される疾患の治療用医薬組成物は場合により1種以上の上記成分を加えてもよい。
【0049】
別の態様では、本発明は式Iの化合物とプロトンポンプ阻害剤の併用投与を包含する。本発明のこの態様で使用することができるプロトンポンプ阻害剤としてはオメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール及びエソメプラゾール又は前記阻害剤の任意のものの医薬的に許容可能な塩が挙げられる。これらのプロトンポンプ阻害剤は市販されており、例えばオメプラゾール(PRILOSEC,AstraZeneca)、ランソプラゾール(PREVACID,TAP Pharmaceuticals)、ラベプラゾール(ACIPHEX,Janssen Pharmaceutica)、パントプラゾール(PROTONIX,Wyeth−Ayerst)及びエソメプラゾール(NEXIUM,AstraZeneca)が挙げられる。前記プロトンポンプ阻害剤は従来の用量で投与することができる。例えば、オメプラゾール又はオメプラゾールマグネシウムは10mg、20mg又は40mgの用量で投与することができる。ランソプラゾールは15mg又は30mgの用量で投与することができる。ラベプラゾールナトリウムは20mgの用量で投与することができる。パントプラゾールは20mg又は40mgの用量で投与することができる。エソメプラゾールは20mg又は40mgの用量で投与することができる。式Iの化合物とプロトンポンプ阻害剤は単一医薬製剤として又は患者に実質的に同時に投与される2個の別個の製剤として同時に投与することができる。あるいは、2種の物質の医薬効果が患者に同時に得られるのであれば、式Iの化合物とプロトンポンプ阻害剤を時差的に逐次投与してもよい。
【0050】
活性成分を含有する医薬組成物は例えば錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性もしくは油性懸濁液、分散性散剤もしくは顆粒剤、エマルション、ハードもしくはソフトカプセル、又はシロップもしくはエリキシル剤等の経口使用に適した形態とすることができる。経口用組成物は医薬組成物の製造方法として当分野で公知の任意方法により製造することができ、このような組成物は医薬的にエレガントで口当たりのよい製剤を提供するために甘味剤、香味剤、着色剤及び防腐剤から構成される群から選択される1種以上の物質を添加することができる。錠剤は錠剤の製造に適した医薬的に許容可能な非毒性賦形剤との混合物として活性成分を含有する。これらの賦形剤としては例えば不活性希釈剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム);顆粒化剤及び崩壊剤(例えばコーンスターチ又はアルギン酸);結合剤(例えば澱粉、ゼラチン又はアラビアガム)及び滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク)が挙げられる。錠剤はコーティングしなくてもよいし、胃腸管での崩壊と吸収を遅らせることにより長期持続作用を提供するように公知技術によりコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の時間遅延剤を使用することができる。錠剤は制御放出用浸透圧治療用錠剤を形成するように米国特許第4,256,108号;4,166,452号;及び4,265,874号に記載されている技術によりコーティングしてもよい。
【0051】
経口用製剤は活性成分を不活性固体希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合したハードゼラチンカプセルの形態でもよいし、活性成分を水又は油性媒体(例えば落花生油、流動パラフィン又はオリーブ油)と混合したソフトゼラチンカプセルの形態でもよい。本発明の製剤の具体例は微結晶セルロースとラクトースの50/50ブレンドと、式Iの化合物1mg、10mg又は100mgを含有する乾燥充填カプセル剤である。
【0052】
水性懸濁液は水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物として活性材料を含有する。このような賦形剤としては懸濁剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアラビアガム);分散剤又は湿潤剤として天然ホスファチド(例えばレシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールの縮合物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、又は脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)が挙げられる。水性懸濁液は更に1種以上の防腐剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチル又はp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル)、1種以上の着色剤、1種以上の香味剤及び1種以上の甘味剤(例えばスクロース、サッカリン又はアスパルテーム)を添加することができる。
【0053】
液体製剤は自己乳化性薬剤送達システム及びNanoCrystal(登録商標)技術の使用を含む。シクロデキストリン包接錯体も使用することができる。
【0054】
油性懸濁液は植物油(例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツ油)又は鉱油(例えば流動パラフィン)に活性成分を懸濁することにより製剤化することができる。油性懸濁液は増粘剤(例えば蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコール)を添加することができる。口当たりのよい経口製剤にするために上記のような甘味剤や香味剤を添加してもよい。これらの組成物はアスコルビン酸等の酸化防止剤の添加により防腐処理することができる。
【0055】
水を加えて水性懸濁液を調製するのに適した分散性散剤及び顆粒剤は分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種以上の防腐剤との混合物として活性成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は上記のものが例示される。例えば甘味剤、香味剤及び着色剤等の他の賦形剤も添加することができる。
【0056】
本発明の医薬組成物は水中油エマルションの形態でもよい。油相は植物油(例えばオリーブ油又は落花生油)又は鉱油(例えば流動パラフィン)又はこれらの混合物とすることができる。適切な乳化剤としては天然ホスファチド(例えば大豆レシチン)、脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル(例えばモノオレイン酸ソルビタン)、及び前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が挙げられる。エマルションは更に甘味剤と香味剤を添加することができる。
【0057】
シロップ及びエリキシル剤は甘味剤(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロース)を加えて製剤化することができる。このような製剤は更に粘膜保護剤、防腐剤、香味剤及び着色剤を添加することができる。医薬組成物は滅菌注射用水性又は油性懸濁液の形態でもよい。この懸濁液は上記のような適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して公知技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用製剤は非経口投与に許容可能な非毒性希釈剤又は溶剤中の滅菌注射溶液又は懸濁液(例えば1,3−ブタンジオール溶液)でもよい。使用可能な許容可能なビークル及び溶剤としては水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液が挙げられる。更に、従来通りに滅菌不揮発油を溶剤又は懸濁媒体として使用する。この目的には、合成モノ又はジグリセリド等の任意無刺激性不揮発油を使用することができる。更に、オレイン酸等の脂肪酸も注射剤の製造に使用される。
【0058】
式Iの化合物は薬剤の直腸投与用座剤形態で投与することもできる。これらの組成物は常温では固体であるが、直腸温度で液体となり、従って直腸内で溶けて薬剤を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬剤を混合することにより製造することができる。このような材料はカカオバターとポリエチレングリコールである。
【0059】
局所用には、式Iの化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液等を使用する。(本願の趣旨では、局所投与はマウスウォッシュと嗽薬を含む。)。
【0060】
本発明の医薬組成物は更にtween 80、tween 20、ビタミンE TPGS(d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸エステル)及びGelucire(登録商標)等の吸収促進剤を利用することができる。
【0061】
上記病態の治療には、約0.01mgから約140mg/kg体重/日、又は患者1人1日当たり約0.5mgから約7gの用量レベルが有用である。例えば、化合物約0.01から50mg/kg体重/日、又は患者1人1日当たり約0.5mgから約3.5g、好ましくは患者1人1日当たり2.5mgから1gを投与することにより炎症を有効に治療することができる。
【0062】
単一製剤を製造するために担体材料と配合することができる活性成分の量は治療する宿主と特定投与方式により異なる。例えば、ヒト経口投与用製剤は組成物全体の約5から約95%の適量の担体材料と活性成分0.5mgから5gを配合することができる。用量単位形態は一般に活性成分約1mgから約500mg、通常は25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgを含有する。4mg、8mg、18mg、20mg、36mg、40mg、80mg、160mg、320mg及び640mgの用量も利用できる。1mg、10mg又は100mgを含有する用量単位形態も考えられる。
【0063】
しかし、当然のことながら、任意特定患者の特定用量レベルは年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬剤併用及び治療する特定疾患の重篤度等の種々の因子によって異なる。
【0064】
合成方法
本発明の式Iの化合物は下記スキーム1から4に要約する合成経路に従い、本明細書に記載する方法により製造することができる。式Iのイミダゾールは必要なフェナントレンキノンiから製造することができる。フェナントレンイミダゾールIaはフェナントレンキノンiと適切に置換されたアルデヒドiiを酢酸等の溶媒中、NHOAc又はNHHCO等の試薬で処理することにより得られる。その後、RからR位のいずれかで官能基相互変換を行うことができる。例えば、RからR置換基の1個以上がCl、Br又はIであり、XがBr、Cl又はI以外のものであり、J、K、L及びMがCBr、CCl又はCI以外のものである場合には、THF、DMF又はDME等の適切な溶媒中、Pd(PPhやCuI等の触媒と、炭酸ナトリウムやジイソプロピルアミン等の塩基の存在下で加熱する等の交差カップリング反応を促進する条件下でIaをモノ置換アルキニル、スタナン、ボロン酸、ボラン又はボロン酸塩の存在下におくことによりIaをIbに変換することができる。他の例としては限定されないが、RからR置換基の1個以上及び/又はXを複素環、アミン官能基、チオール部分又は金属化後に得られる他の官能基に官能基相互変換した後に適切な求電子剤でクエンチする方法が挙げられる。更に、J、K、L又はMが窒素である場合には、この基をCHCl等の適切な溶媒中、MCPBAやオキソン等の酸化剤で酸化することができる。上記に例示した段階又は他の適切な任意官能基相互変換をRからR、X、J、K、L又はMで反復することができる。
【0065】
【化15】

【0066】
フェナントレンキノンiはスキーム2から4に要約するシーケンスに従って製造することができる。スキーム2に示すように、市販フェナントレンiiiaを酢酸等の適切な溶媒中、CrO等の酸化剤で直接酸化してフェナントレンキノンiaとすることができ、あるいは場合により、官能基RからRのいずれかの適切な相互変換(例えば一連の官能基変換によりメチルケトンをハロゲンに変換)によりフェナントレンiiiaを更に処理してフェナントレンiiibとすることができる。その後、フェナントレンiiibを上記のように酸化してフェナントレンキノンiaとすることができる。更に、ニトロベンゼン等の溶媒中、過酸化ベンゾイルやAIBN等の開始剤の存在下に臭素化剤で臭素化する等の合成シーケンスによりフェナントレンキノンiaを更に処理してフェナントレンキノンibとすることができる。
【0067】
【化16】

【0068】
あるいは、フェナントレンキノンiはスキーム3に要約するように製造することもできる。DMF等の溶媒中、水素化ナトリウムやナトリウムメトキシド等の塩基の存在下でホスホニウム塩ivを脱プロトン化した後にアルデヒドvを加え、E及びZ異性体の混合物としてスチルベンviを生成する。シクロヘキサン等の適切な溶媒中、ヨウ素等の酸化剤と酸化プロピレン等の酸スカベンジャーの存在下で紫外線を照射してこの混合物を分子内環化させ、フェナントレンviiaを生成する。このフェナントレンviiaを酢酸等の適切な溶媒中、CrO等の酸化剤で直接酸化してフェナントレンキノンiとすることができ、あるいは場合により、官能基RからRのいずれかの適切な相互変換(例えばTHF等の適切な溶媒中、ブチルリチウム等の有機金属試薬でトランスメタル化)後にヨウ素やヘキサフルオロアセトン等の求電子剤を添加することによりフェナントレンviiaを更に処理してフェナントレンviibとすることができる。その後、フェナントレンviibを上記のように酸化してフェナントレンキノンiとすることができる。
【0069】
【化17】

【0070】
スキーム4はフェナントレンキノンiの代替合成経路を示す。炭酸カリウム等の塩基と無水酢酸の存在下でフェニル酢酸viiiをアルデヒドixと縮合させてニトロスチルベンxとする。次にこのニトロアリールxを酢酸等の適切な溶媒中、水酸化アンモニウムの存在下に鉄や硫酸鉄等の適切な還元剤で還元し、アリールアミンxiとする。このアミンxiを水酸化ナトリウム等の水酸化物水溶液の存在下に亜硝酸ナトリウムでジアゾ化した後、硫酸やスルファミン酸等の酸で酸性化し、銅やフェロセン等の触媒の存在下で環化させ、フェナントレンカルボン酸xiiとする。酢酸等の適切な溶媒中、三酸化クロム等の適切な酸化剤を使用して同時脱炭酸によりこのフェナントレンカルボン酸xiiを酸化し、フェナントレンキノンiとすることができる。
【0071】
【化18】

【0072】
スキーム5はフェナントレンキノンiの代替合成経路を示す。(例えばフェニル酢酸のエステル化、活性化弗化アリールをマロン酸誘導体で置換後に脱炭酸、又は安息香酸のウルフ転位による製造することができる。)適切に置換されたブロモフェニル酢酸エステルxiiiをDMFやDME等の適切な溶媒中、Pd(PPh等の触媒と弗化セシウム等の塩基の存在下にアリールボロン酸xivで処理した後、THFやメタノール等の溶媒の適切な混合物中、水酸化ナトリウム等の塩基でエステルを加水分解し、フェニル酢酸xvを生成する。1,2−ジクロロエタンやTHF等の溶媒中、触媒量のDMFの存在下に塩化チオニルや塩化オキサリル等の適切な試薬で処理して酸xvをその塩化アシルに変換した後に、1,2−ジクロロエタン等の溶媒中、三酸化アルミニウム等のルイス酸の存在下で分子内環化させ、フェナントロールxviaを生成する。空気の存在下にDMF等の溶媒中、触媒量のN,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)水和物[Co(SALEN)]で処理することによりこのフェナントロールxviaを直接酸化してフェナントレンキノンiとすることができる。場合により、官能基RからRのいずれかの適切な相互変換(例えば塩化メチレン等の適切な溶媒中、MCPBA等の酸化剤で硫化物を酸化してスルホンとする。)によりフェナントロールxviaを更に処理してフェナントロールxvibとすることができる。その後、フェナントロールxvibを上記のように酸化してフェナントレンキノンiとすることができる。
【0073】
【化19】

【0074】
スキーム6に示すように適切に官能基化されたフェナントレンイミダゾールIをDMF等の適切な溶媒中、水素化ナトリウム等の塩基の存在下にアシル化剤やアルキル化剤(例えばヨウ化メチル)等の試薬で処理することにより、式Iの化合物に存在するイミダゾール第2級アミンを置換し、N置換イミダゾールxviiとすることができる。
【0075】
【化20】

【実施例】
【0076】
以下、非限定的な実施例により本発明を例証する。
【0077】
(実施例12)
2−(2−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
【0078】
【化21】

【0079】
フェナントレン−9,10−ジオン(980mg,4.71mmol)、炭酸水素アンモニウム(1.5g,18.9mmol)及び2−フルオロベンズアルデヒド(1mL,9.49mmol)を酢酸(30mL)に加えた混合物を19時間加熱還流した。次に混合物を室温まで冷却し、水に注ぎ、2時間撹拌した。混合物を濾過し、固形分を水とヘキサンで洗浄した。固形分をヘキサンとジエチルエーテルの混合物で一晩スイッシュ(swish)した。濾過後、2−(2−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(1.12g,76%)を茶色固体として得た。
【0080】
(実施例18)
6,9−ジブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
【0081】
【化22】

【0082】
3,6−ジブロモフェナントレン−9,10−ジオン(15g,41mmol,Bhatt,Tetrahedron,1963,20,803)の酢酸(500mL)溶液にNHHCO(13g,164mmol)を加え、次いで2−フルオロ−6−クロロベンズアルデヒド(13g,82mmol)を加えた。溶液を一晩130℃で撹拌した後、室温まで冷却し、水(1.5L)に注いだ。混合物を濾過し、得られた固形分を水洗した後、ジエチルエーテルでスイッシュし、6,9−ジブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(18g,87%)をベージュ色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):12.85(1H,bs),9.19−9.0(2H,m),8.68−8.50(1H,m),8.45−8.30(1H,m),7.90(2H,d),7.71−7.61(1H,m),7.52(1H,d),7.40(1H,t)。
【0083】
(実施例23)
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6,9−ジカルボン酸ジメチル
【0084】
【化23】

【0085】
実施例18からの6,9−ジブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(500mg,0.99mmol)をDMF(2mL)とメタノール(2mL)に溶かした溶液にトリエチルアミン(345μL,2.48mmol)、Pd(OAc)(7mg,0.029mmol)及びdppf(33mg,0.06mmol)を加えた。混合物を減圧パージし、一酸化炭素を再充填(3回)した後に、一酸化炭素雰囲気下で60℃に一晩加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルと水で希釈した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を水とブラインで順次洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6,9−ジカルボン酸ジメチルを得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d):14.2(1H,bs),9.4(2H,bs),8.70−8.46(2H,m),8.34−8.27(2H,m),7.78−7.70(1H,m),7.65(1H,d),7.57(1H,t),4.02(6H,s)。
【0086】
(実施例41)
2−[6−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール
【0087】
【化24】

【0088】
実施例18からの6,9−ジブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(10g,20mmol)の−78℃のTHF溶液にメチルリチウム(1.6M EtO溶液,12.5mL)を加え、次いでブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液,8mL)を加えた。得られた黄緑色懸濁液に混合物が均質になるまでヘキサフルオロアセトンをバブリングした。反応混合物を15分間冷却浴から取り出した後、−78℃まで再冷却し、次いで飽和酢酸アンモニウムでクエンチした。混合物を室温まで昇温し、酢酸エチルで希釈した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をトルエンから再結晶し、2−[6−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d)イミダゾール−9−イル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール(8.5g,72%)を得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d,互変異性体混合物):14.1(0.5Ha,bs),14.05(0.5Hb,bs),9.15−8.90(3Ha,b,td),8.68(0.5Ha,d),8.51(1Ha,b,t),8.39(0.5Hb,d),8.08−7.90(2Ha,b,m),7.75−7.65(1Ha,b,m),7.62(1Ha,b,dd),7.52(1Ha,b,t)。
【0089】
(実施例62)
2−(5−アジド−2−ヨードフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
【0090】
【化25】

【0091】
ステップ1:2−(2−ヨード−5−ニトロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
フェナントレン−9,10−ジオン(148mg,0.71mmol)、酢酸アンモニウム(1.1g)及び2−ヨード−5−ニトロベンズアルデヒド(270mg,1mmol)を酢酸(8mL)に加えた混合物を1時間加熱還流した。次に混合物を室温まで冷却し、水に注ぎ、10分間撹拌した。混合物を濾過し、得られた固形分を水とヘキサンで洗浄した。固形分を高減圧下に乾燥し、2−(2−ヨード−5−ニトロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(250mg)を黄色固体として得た。
【0092】
ステップ2:4−ヨード−3−(1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)アニリン
上記ステップ1からの2−(2−ヨード−5−ニトロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(91mg)、ホウ化ニッケル(60mg,TL,1993,34,3083)及びHCl(1N,1mL)をMeOH(4mL)に加えた混合物を60℃で2時間撹拌した。次に反応混合物を水に注いだ。混合物が塩基性になるまで濃水酸化アンモニウムを加えた。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、4−ヨード−3−(1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)アニリン(60mg)を得た。
【0093】
ステップ3:2−(5−アジド−2−ヨードフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
上記ステップ2からの4−ヨード−3−(1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)アニリン(60mg)の0℃の酢酸(3mL)溶液に水(10mL)を加え、次いで亜硝酸ナトリウム(20mg)の水溶液を加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、ナトリウムアジド(20mg)の水溶液を加えた。30分後に、反応混合物を水で希釈し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、水酸化ナトリウム(1N)及びブラインで順次洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。固形分を高減圧下に乾燥し、2−(5−アジド−2−ヨードフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールを黄色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):12.55(1H,bs),8.91−8.80(2H,m),8.72−8.62(1H,m),8.46−8.35(1H,m),8.10(1H,d),7.75−7.60(4H,m),7.53(1H,d),7.05(1H,dd)。
【0094】
(実施例63)
9−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
【0095】
【化26】

【0096】
ステップ1:1−ブロモ−4−{2−[4−(メチルチオ)フェニル]ビニル}ベンゼン
KHMDS(0.5Mトルエン溶液,6.4mL)を臭化(4−ブロモベンジル)トリフェニルホスホニウム(1.64g,3.2mmol)の−78℃のTHF(10mL)懸濁液に加えた。得られたオレンジ色の懸濁液を−78℃で0.5時間撹拌した後、4−(メチルチオ)ベンズアルデヒド(430μL,3.2mmol)を加えた。反応混合物を0℃まで昇温し、1.5時間この温度で撹拌した後、水でクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中0−2%酢酸エチル)により精製し、1−ブロモ−4−{2−[4−(メチルチオ)フェニル]ビニル}ベンゼン(424mg,43%)を異性体混合物として得た。
【0097】
ステップ2:3−ブロモ−6−(メチルチオ)フェナントレン
パイレックス(登録商標)内側水冷ジャケット付き250mL容器に上記ステップ1からの1−ブロモ−4−{2−[4−(メチルチオ)フェニル]ビニル}ベンゼン(423mg,1.39mmol)を加えた後、ヨウ素(530mg,2.09mmol)をシクロヘキサン(250mL)とTHF(3.5mL)に溶かした溶液を加えた。先ず溶液を撹拌下に窒素バブリングにより脱気した後、450W中圧水銀ランプを内側インサートに挿入することにより紫外線を30時間照射した。反応混合物を10% Naでクエンチし、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、揮発分を減圧除去した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100%ヘキサン)により精製し、3−ブロモ−6−(メチルチオ)フェナントレン(260mg)を黄色固体として得た。
【0098】
ステップ3:3−ブロモ−6−(メチルスルホニル)フェナントレン
上記ステップ2からの3−ブロモ−6−(メチルチオ)フェナントレン(260mg,0.86mmol)の室温のCHCl溶液にMCPBA(約77%,450mg)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウムでクエンチした。水層をCHClで抽出した。有機層を合わせて10% Naとブラインで順次洗浄した後、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中20−80%酢酸エチル)により精製し、3−ブロモ−6−(メチルスルホニル)フェナントレン(276mg)を白色固体として得た。
【0099】
ステップ4:3−ブロモ−6−(メチルスルホニル)フェナントレン−9,10−ジオン
上記ステップ3からの3−ブロモ−6−(メチルスルホニル)フェナントレン(276mg,0.82mmol)の酢酸(15mL)溶液にCrO(330mg,3.3mmol)を加えた。反応混合物を120℃で1時間撹拌した後、室温まで冷却し、水に注いだ。得られた懸濁液を0.5時間撹拌し、濾過し、得られた固形分を水洗した。固形分を高減圧下に乾燥し、3−ブロモ−6−(メチルスルホニル)フェナントレン−9,10−ジオン(170mg,57%)を黄色固体として得た。
【0100】
ステップ5:9−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
このイミダゾールは3,6−ジブロモフェナントレン−9,10−ジオンの代わりに上記ステップ4からの3−ブロモ−6−(メチルスルホニル)フェナントレン−9,10−ジオンを使用した以外は実施例18に記載したように製造し、9−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールをベージュ色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d,互変異性体混合物):14.22(1Ha,s),14.12(1Hb,s),9.45(1Ha,b,d),9.27(1Ha,b,dd)。
【0101】
(実施例69)
2−[6−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オール
【0102】
【化27】

【0103】
実施例18からの6,9−ジブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(3.91g,7.75mmol)の−78℃のTHF(130mL)溶液にメチルリチウム(1.6M EtO溶液,5mL)を加え、次いでブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液,3.1mL)を加えた。得られた緑色懸濁液を10分間撹拌した後、トリフルオロ酢酸エチル(4mL,33.6mmol)を加えた。反応混合物を−78℃で10分間撹拌した後、0℃まで昇温し、0.5時間撹拌した。反応混合物を25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。この粗生成物の−78℃のTHF(100mL)溶液に臭化メチルマグネシウム(3M EtO溶液,8mL)を加えた。反応混合物を−78℃で15分間撹拌した後、0℃まで昇温し、0.5時間撹拌した。反応混合物を25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中20−60%酢酸エチル)により精製し、2−[6−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オール(2.2g,53%)を黄色フォームとして得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):13.9(1H,s),9.20−9.03(2H,m),8.55−8.33(2H,m),8.03−7.92(2H,m),7.74−7.71(1H,m),7.69−7.62(1H,m),7.54(1H,t),6.89(1H,bs),1.94(3H,s)。
【0104】
(実施例86)
2−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−(シクロプロピルエチニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール
【0105】
【化28】

【0106】
実施例41からの2−[6−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール(400mg)のDMF(20mL)溶液にエチニルシクロプロパン(357μL)、Pd(PPh(78mg)及びトリエチルアミン(3mL)を加えた。反応混合物を室温で5分間撹拌した後、CuI(19mg)を加え、反応混合物を65℃に4時間加熱した。反応混合物を酢酸エチル、水及び濃水酸化アンモニウムでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%酢酸エチル)により精製し、2−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−(シクロプロピルエチニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オール(320mg,82%)を得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d,互変異性体混合物):9.42−9.25(1Ha,b,m),8.95−8.80(1.5Ha,b,m),8.72−8.54(1Ha,b,m),8.48−8.38(0.5Ha,b,m),8.20−8.07(1Ha,b,m),8.05−7.89(1Ha,b,m),7.80−7.70(1Ha,b,m),7.62−7.55(1Ha,b,m),7.45(1Ha,b,d),7.30(1Ha,b,t),1.68−1.50(1Ha,b,m),1.00−0.89(2Ha,b,m),0.86−0.78(2Ha,b,m)。
【0107】
(実施例90)
2−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−ピリジン−3−イル−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール
【0108】
【化29】

【0109】
実施例41からの2−[6−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール(650mg,1.09mmol)のn−プロパノール(10mL)溶液に3−(1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)ピリジン(180mg,1.1mmol)、トリフェニルホスフィン(50mg,0.21mmol)及び炭酸ナトリウム(2M,1.7mL)を加えた。混合物を3回脱気し、窒素を再充填した。次にPd(OAc)(15mg,0.07mmol)を加え、反応混合物を窒素雰囲気下で3時間90℃に加熱した。反応混合物を25%酢酸アンモニウムと酢酸エチルでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中20−100%酢酸エチル)により精製し、2−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−ピリジン−3−イル−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール(400mg,62%)をベージュ色固体として得た。
【0110】
(実施例91)
1−[6−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−2,2,2−トリフルオロエタン−1,1−ジオール
【0111】
【化30】

【0112】
実施例18からの6,9−ジブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(500mg,1mmol)の−78℃のTHF(13mL)溶液にメチルリチウム(1.6M EtO溶液,625μL)を加えた後にブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液,400μL)を加えた。次にトリフルオロ酢酸エチル(596μL)を一度に加え、反応混合物を室温まで昇温した。次に−78℃まで再冷却し、25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中20−70%酢酸エチル)により精製し、1−[6−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−2,2,2−トリフルオロエタン−1,1−ジオール(184mg,34%)を得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d,互変異性体混合物):14.25(0.5Ha,bs),14.18(0.5Hb,bs),9.50−9.40(1Ha,b,m),9.10(1Ha,b,d),8.72(0.5Ha,d),8.58−8.48(1Ha,b,dd),8.38−8.28(1.5Ha,b,m),8.06−7.91(1Ha,b,dd),7.78−7.70(1Ha,b,m),7.62(1Ha,b,d),7.52(1Ha,b,t)。
【0113】
(実施例99)
2−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−ヨード−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール
【0114】
【化31】

【0115】
実施例41からの2−[6−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール(400mg)のDMF(4mL)溶液にビス(トリブチル錫)(1.4mL)を加えた後にトルエン(2mL)を加えて完全に溶解させた。次にPddba(31mg)とトリフェニルヒ素(41mg)を加え、反応混合物を80℃に5時間加熱した。次にPd(PPhを加え、反応混合物を80℃に3時間加熱した。材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%酢酸エチル)により精製した。この生成物(107mg)をCHClに溶かし、ヨウ素を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌後、10% Naでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%酢酸エチル)により精製し、2−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−ヨード−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オール(70mg)を得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d,互変異性体混合物):9.26(2Ha,b,td),8.82(0.5Ha,d),8.53(1Ha,b,dd),8.26(0.5Hb,d),8.14−8.09(2Ha,b,m),7.84(1Ha,b,d),7.70−7.65(1Ha,b,m),7.54(1Ha,b,d),7.40(1Ha,b,t)。
【0116】
(実施例101)
2−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−(フェニルチオ)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール
【0117】
【化32】

【0118】
実施例99からの2−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−ヨード−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−l,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール(56mg)のNMP(3mL)溶液にPddba(6mg)、dpppf(16mg)及びトリエチルアミン(24μL)を加えた。混合物を5分間撹拌した後、ベンゼンチオール(18μL)を加え、混合物を60℃に2時間、次いで75℃に1時間加熱した。次にPd(PPhを加え、反応混合物を75℃で6時間撹拌した。これを水と酢酸エチルでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%酢酸エチル)により精製し、2−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−(フェニルチオ)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オールを得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):9.20(1H,d),8.85(1H,s),8.76(1H,dd),8.50(1H,dd),8.13−8.08(1H,m),7.83−7.65(3H,m),7.55(1H,d),7.50−7.32(6H,m)。
【0119】
(実施例109)
2−[6−(ベンジルスルホニル)−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−l,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール
【0120】
【化33】

【0121】
実施例99からの2−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−ヨード−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−l,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール(53mg)のNMP(3mL)溶液にトリエチルアミン(23μL)とPd(PPh(10mg)を加えた。反応混合物を室温で5分間撹拌した後、フェニルメタンチオール(19μL)を加え、反応混合物を80℃に4時間加熱した。次にPddba/dpppf(0.2当量)を加え、反応混合物を80℃に2時間加熱した。これを水と酢酸エチルでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%酢酸エチル)により精製した。この生成物のメタノール溶液にオキソン(102mg)を加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した。上記のような通常のワークアップ後に、粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%酢酸エチル)により精製し、2−[6−(ベンジルスルホニル)−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール(19mg)を得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):9.14(1H,d),9.01(1H,d),8.85(1H,t),8.60(1H,t),8.18−8.05(1H,m),8.03−7.92(2H,m),7.74−7.68(1H,m),7.57(1H,d),7.44(1H,t),7.26(5H,s),4.70(2H,s)。
【0122】
(実施例114)
N−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6−イル]アセトアミド
【0123】
【化34】

【0124】
ステップ1:1−1−(3−フェナントリル)エタノンオキシム
3−アセチルフェナントレン(29.14g,132mmol)の無水エタノール(110mL)溶液に塩酸ヒドロキシルアミン(23g,331mmol)とピリジン(40mL)を加えた。混合物を4時間加熱還流した後、室温まで冷却し、減圧濃縮した。得られた固形分を氷水に懸濁し、濾過した。固形分を水洗した後、減圧乾燥し、1−1−(3−フェナントリル)エタノンオキシム(45.5g)を得た。
【0125】
ステップ2:N−3−フェナントリルアセトアミド
ポリリン酸(250g)に100℃で機械的撹拌下に上記ステップ1からの1−1−(3−フェナントリル)エタノンオキシム(14.6g)を数回に分けて加えた。混合物を窒素雰囲気下に100℃で2.5時間撹拌した後、撹拌下に氷と水の混合物に注いだ。水層をクロロホルムで抽出した。有機層を合わせて10%炭酸カリウムで2回洗浄し、2回水洗し、MgSOで乾燥し、揮発分を減圧除去した。残渣を高減圧下に乾燥し、N−3−フェナントリルアセトアミド(9.44g)をベージュ色固体として得た。
【0126】
ステップ3:N−(9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−イル)アセトアミド
上記ステップ2からのN−3−フェナントリルアセトアミド(235mg,1mmol)と三酸化クロム(400mg,4mmol)を酢酸(10mL)に加えた混合物を45分間加熱還流した。混合物を室温まで冷却した後、水に注いだ。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせて水とブラインで順次洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をクロロホルムでトリチュレーションし、濾過した。得られた固形分をクロロホルムで洗浄し、高減圧下に乾燥し、N−(9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−イル)アセトアミド(95mg)をオレンジ色固体として得た。
【0127】
ステップ4:N−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6−イル]アセトアミド
上記ステップ3からのN−(9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロフェナントレン−3−イル)アセトアミド(95mg,0.36mmol)の酢酸(3mL)溶液に2−クロロ−6−フルオロベンズアルデヒド(114mg,0.72mmol)と酢酸アンモニウム(552mg,7.2mmol)を加えた。混合物を2時間加熱還流した後、室温まで冷却した。反応混合物に水を加え、得られた固形分を濾過し、水とヘキサンで洗浄し、高減圧下に乾燥し、N−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6−イル]アセトアミド(142mg)をオフホワイト固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d+TFA):9.70(2H,bs),9.38(1H,s),8.78(1H,m),8.60(1H,m),8.52(1H,d),8.05(1H,d),7.90(3H,m),7.70(1H,d),7.60(1H,t),2.25(3H,s)。
【0128】
(実施例118)
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−(モルホリン−4−イルスルホニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
【0129】
【化35】

【0130】
ステップ1:1−ブロモ−4−[2−フェニルビニル]ベンゼン
塩化ベンジルトリフェニルホスホニウム(5.23g,13.4mmol)の0℃のDMF(20mL)溶液にNaH(60%油分散液,620mg)を数回に分けて加えた。混合物を0℃で20分間撹拌した後、4−ブロモベンズアルデヒド(2.5g,13.5mmol)を加えた。反応混合物を0℃で15分間撹拌した後、室温まで昇温し、2時間撹拌した。反応混合物を25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料を熱エタノールに溶かし、室温で放置した。得られた固形分を濾過し、母液を減圧濃縮した。残渣を熱シクロヘキサンに溶かした後、室温まで冷却した。得られた固形分を濾過し、母液を濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100%ヘキサン)により精製し、1−ブロモ−4−[2−フェニルビニル]ベンゼン(1.77g,50%)を異性体混合物として得た。
【0131】
ステップ2:3−ブロモフェナントレン
上記ステップ1からの1−ブロモ−4−[2−フェニルビニル}ベンゼン(520mg,2.0mmol)をシクロヘキサン(230mL)とTHF(5mL)に溶かし、パイレックス(登録商標)内側水冷ジャケット付き250mL容器に加えた。この溶液にヨウ素(770mg,3.0mmol)を加えた。先ず溶液を撹拌下に窒素バブリングにより脱気した後、450W中圧水銀ランプを内側インサートに挿入することにより紫外線を16時間照射した。反応混合物を10% Naでクエンチし、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、揮発分を減圧除去した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100%ヘキサン)により精製し、3−ブロモフェナントレン(486mg,94%)を白色固体として得た。
【0132】
ステップ3:3−ブロモフェナントレン−9,10−ジオン
上記ステップ2からの3−ブロモフェナントレン(486mg,1.29mmol)の酢酸(30mL)溶液にCrO(800mg,8.0mmol)を加えた。反応混合物を1時間還流下に撹拌した後、室温まで冷却し、水に注いだ。得られた懸濁液を0.5時間撹拌し、濾過した。得られた固形分を水とヘキサンで洗浄した。次に固形分をヘキサンでスイッシュし、濾過し、3−ブロモフェナントレン−9,10−ジオン(381mg,70%)を黄色固体として得た。
【0133】
このキノンは以下の手順により製造することもできた。
【0134】
フェナントレン−9,10−ジオン(10g,48mmol)のニトロベンゼン(50mL)溶液に過酸化ベンゾイル(480mg,2mmol)と臭素(2.34mL,45mmol)を加えた。反応混合物を太陽灯で照射しながら45分間80℃に加熱した。反応混合物を室温まで冷却した。酢酸エチル(150mL)を加え、混合物を5分間トリチュレーションした。得られた固形分を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、高減圧下に乾燥し、3−ブロモフェナントレン−9,10−ジオン(5.53g)を黄色固体として得た。
【0135】
ステップ4:6−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
このイミダゾールは3,6−ジブロモフェナントレン−9,10−ジオンの代わりに上記ステップ3からの3−ブロモフェナントレン−9,10−ジオンを使用した以外は実施例18に記載したように製造し、6−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールを得た。
【0136】
ステップ5:2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−(モルホリン−4−イルスルホニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
上記ステップ4からの6−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(125mg)の−78℃のTHF溶液にメチルリチウム(1.6M EtO溶液,183μL)を加え、次いでブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液,183μL)を加えた。反応混合物を30分間撹拌した後、更に1当量のブチルリチウムを加え、反応混合物を更に30分間撹拌した。二酸化硫黄を反応混合物にバブリングし、−78℃で10分間撹拌した後、室温まで昇温し、1時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルとリン酸緩衝液に取った。これにN−クロロスクシンイミド(118mg)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。水と酢酸エチルでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、揮発分を減圧除去した。粗材料をTHFに溶かし、モルホリンを加え、反応混合物を一晩室温で撹拌した。上記のようなワークアップ後、粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25−50%酢酸エチル)により精製し、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−(モルホリン−4−イルスルホニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールを得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d,互変異性体混合物):9.14(1Ha,b,d),8.97(1Ha,b,dd),8.77(0.6Ha,b,d),8.61(0.8Ha,b,dd),8.44(0.6Ha,b,d),8.06(1Ha,b,dd),7.89−7.70(3Ha,b,m),7.64(1Ha,b,d),7.55(1Ha,b,t),3.66(4Ha,b,m),3.01(4Ha,b,m)。
【0137】
(実施例137)
9−ブロモ−6−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
【0138】
【化36】

【0139】
ステップ1:1−ブロモ−4−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ベンゼン
臭化(4−ブロモベンジル)トリフェニルホスホニウム(396g;0.77mol)を0℃のDMF(2.5L)溶液にNaH(油中60%)37g(0.92mol)を4回に分けて加えた。溶液を0℃で1時間撹拌した後、4−クロロベンズアルデヒド109g(0.77mol)を2回に分けて加えた。この混合物を室温まで昇温し、1時間撹拌し、反応混合物を水10LとEtO 2.5Lの5℃混合物に注ぐことによりクエンチした。水層をEtOで抽出し、有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。揮発分を減圧除去し、残渣をシクロヘキサン1.5Lに溶かし、シリカゲルパッドで濾過した後、シクロヘキサンで洗浄した。一方の異性体16gが溶液から白色固体として晶出した。揮発分の蒸発後、1−ブロモ−4−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ベンゼンの他方の異性体166gを単離した。
【0140】
ステップ2:3−ブロモ−6−クロロフェナントレン
パイレックス(登録商標)内側水冷ジャケット付き2L容器に上記ステップ1からの1−ブロモ−4−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ベンゼン5.16g(17mmol)、シクロヘキサン2L、THF 25mL、酸化プロピレン25mL及びヨウ素6.7g(26mmol)を仕込んだ。先ず反応混合物に窒素をバブリングすることにより溶液を撹拌下に脱気した後、450W中圧水銀ランプを内側インサートに挿入することにより紫外線を24時間照射した。反応混合物を10% Naでクエンチし、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、揮発分を減圧除去した。残渣を最少量の酢酸エチルでスイッシュし、3−ブロモ−6−クロロフェナントレン約5gを固体として得た。
【0141】
ステップ3:3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオン
上記ステップ2からの3−ブロモ−6−クロロフェナントレン(1.71g;5.86mmol)の酢酸(35mL)溶液にCrO 2.3g(23.5mmol)を加えた。混合物を100℃で2時間撹拌し、室温まで冷却し、水300mLに注ぎ、1時間撹拌した。懸濁液を濾過し、得られた固形分を水とEtOで洗浄し、高減圧下に乾燥し、3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオン1.67gを固体として得た。
【0142】
ステップ4:9−ブロモ−6−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
上記ステップ3からの3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオン(540mg,1.68mmol)の酢酸(40mL)溶液に炭酸水素アンモニウム(540mg,6.83mmol)と2−フルオロ−6−クロロベンズアルデヒド(540mg,3.41mmol)を加えた。混合物を12時間加熱還流した後、室温で7時間放置した。得られた白色沈殿を濾過し、固形分を水とヘキサンでリンスした。固形分のトルエン溶液をディーン・スターク装置で加熱還流した。結晶した生成物をトルエンとヘキサンで洗浄し、高減圧下に乾燥し、9−ブロモ−6−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(508mg)を白色固体として得た。
【0143】
(実施例161)
9−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
【0144】
【化37】

【0145】
ステップ1:9−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6−カルボニトリル
実施例137からの9−ブロモ−6−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(253mg)のDMF(8mL)溶液にシアン化亜鉛(129mg)とPd(PPh(64mg)を加えた。反応混合物を85℃に一晩加熱した後、水と酢酸エチルでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中50−75%酢酸エチル)により精製し、9−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6−カルボニトリル(36mg)を得た。
【0146】
ステップ2:9−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
上記ステップ1からの9−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6−カルボニトリル(36mg)のDMF(3mL)溶液に塩化アンモニウム(9mg)とナトリウムアジド(12mg)を加えた。反応混合物を100℃に一晩加熱した後、炭酸水素ナトリウムと酢酸エチルでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン中10%メタノール)により精製し、9−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−6−(1H−テトラゾール−5−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(22mg)を得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,CDOD):9.56(1H,s),8.99(1H,s),8.51−8.42(3H,m),7.74−7.63(2H,m),7.55(1H,d),7.39(1H,t)。
【0147】
(実施例168)
1−[6−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]エタノン
【0148】
【化38】

【0149】
丸底フラスコに実施例137からの9−ブロモ−6−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(550mg,1.19mmol)とPdCl(PPh(100mg,0.14mmol)を仕込み、15分間窒素パージした。DMF(10mL)とトリブチル−(1−エトキシ)−ビニル錫(520μL,1.54mmol)を加え、反応混合物を窒素雰囲気下で100℃に2.5時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、1N HClでクエンチし、0.5時間撹拌した後、25% NHOACで中和した。水層をTHFで抽出し、有機層を水とブラインで順次洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中10−35%酢酸エチル)により精製し、1−[6−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]エタノン(250mg,50%)を黄色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d):14.1(1H,一重項2個),9.46(1H,d),9.21(1H,d),8.59(1H,dd),8.43(1H,dd),8.28(1H,dd),7.88(1H,dd),7.81−7.72(1H,m),7.71−7.63(1H,m),7.55(1H,t),2.87(1H,t)。
【0150】
(実施例182)
6−クロロ−2−(3,5−ジフルオロピリジン−4−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
【0151】
【化39】

【0152】
ステップ1:1−(3−フェナントリル)エタノンオキシム
1−(3−フェナントリル)エタノン(50g,0.23mol)と塩酸ヒドロキシルアミン(40g)を無水エタノール(200mL)に加えた混合物を加熱還流した。次にピリジン(70mL)を加えた。3時間後に、反応混合物を室温まで冷却し、溶液を減圧濃縮した。氷/水混合物を残渣に加え、混合物を1時間撹拌した。得られたオフホワイト固形分を濾過し、水洗し、風乾し、ジエチルエーテルから再結晶後に1−(3−フェナントリル)エタノンオキシム(32g)を得た。
【0153】
ステップ2:3−フェナントリルアミン
100℃のポリリン酸(385g)に上記ステップ1からの1−(3−フェナントリル)エタノンオキシム(32g,0.14mol)を30分間かけて加えた。混合物を100℃で2時間撹拌し、室温まで冷却した後、氷水を加えた。混合物を30分間撹拌し、濾過し、固形分を水洗した。得られた白色固形分を次にメタノール(500mL)と濃HCl(40ml)の混合物に加えた。混合物を一晩加熱還流し、室温まで冷却し、減圧濃縮した。酢酸エチルと水の混合物を残渣に加え、得られた溶液を10N KOHで塩基性化した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせて水とブラインで順次洗浄した後、NaSOで乾燥し、濾過した。揮発分を減圧除去し、3−フェナントリルアミン(25g)をベージュ色固体として得た。
【0154】
ステップ3:3−クロロフェナントレン
CuCl(21g)を高減圧下に115℃で90分間乾燥した後、65℃まで冷却した。無水アセトニトリル(250mL)と亜硝酸t−ブチル(26g)を加え、次いで上記ステップ2からの3−フェナントリルアミン(25g)のアセトニトリル(100mL)溶液を30分間かけて加えた。反応混合物を45分間65℃で撹拌した後、室温まで冷却した。次に反応混合物にHCl(1N,1L)を加えた。水層を塩化メチレンで抽出し、有機層を合わせて水とブラインで順次洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過した。揮発分を減圧除去し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100%ヘキサン)により精製して白色固体を得、ヘキサンから再結晶し、3−クロロフェナントレン(14.4g)を白色固体として得た。
【0155】
このフェナントレンは以下の手順により製造することもできた。
【0156】
ステップ3−a:1−クロロ−4−[2−フェニルビニル]ベンゼン
塩化ベンジルトリフェニルホスホニウム(58g,150mmol)の0℃のDMF(500mL)溶液にNaH(60%油分散液,7.2g)を加えた。混合物を0℃で1時間撹拌した後、4−クロロベンズアルデヒド(21.1g,150mmol)を加えた。反応混合物を室温まで昇温し、1時間撹拌した。次に反応混合物を0℃の水とEtOの混合物に注いだ。水層をEtOで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過した。揮発分を減圧除去し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100%ヘキサン)により精製し、1−クロロ−4−[2−フェニルビニル]ベンゼン(15.7g,49%)を異性体混合物として得た。
【0157】
ステップ3−b:3−クロロフェナントレン
パイレックス(登録商標)内側水冷ジャケット付き2L容器に上記ステップ3−aからの1−クロロ−4−[2−フェニルビニル]ベンゼン(4g)をシクロヘキサン(2L)とTHF(7mL)に溶かした溶液を加えた。これに酸化プロピレン(20当量)とヨウ素(1.5当量)を加えた。先ず混合物に窒素をバブリングすることにより溶液を撹拌下に脱気した後、450W中圧水銀ランプを内側インサートに挿入することにより紫外線を48時間照射した。反応混合物を10% Naでクエンチし、水層をジエチルエーテルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、揮発分を減圧除去した。このプロセスを1−クロロ−4−[2−フェニルビニル]ベンゼンの4gバッチで3回繰り返した。得られた最終残渣をヘキサンから再結晶し、3−クロロフェナントレン(11g,70%)を得た。
【0158】
ステップ4:3−クロロフェナントレン−9,10−ジオン
上記ステップ3からの3−クロロフェナントレン(12.5g,58.7mmol)の酢酸(350mL)溶液にCrO(23.5g,0.23mol)を加えた。反応混合物を2時間100℃で撹拌した後、室温まで冷却し、水(2L)に注いだ。得られた懸濁液を1時間撹拌し、濾過し、固形分を水洗した。固形分を高減圧下に乾燥し、3−クロロフェナントレン−9,10−ジオン(12.5g,88%)を得た。
【0159】
ステップ5:6−クロロ−2−(3,5−ジフルオロピリジン−4−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
上記ステップ4からの3−クロロフェナントレン−9,10−ジオン(150mg,0.62mmol)、酢酸アンモニウム(478mg,6.2mmol)及び3,5−ジフルオロイソニコチンアルデヒド(151mg,0.74mmol)を酢酸(5mL)に加えた混合物を4時間加熱還流した。次に混合物を室温まで冷却し、水に注ぎ、10分間撹拌した。粗生成物を濾取した後、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン中5−20%アセトン)により精製し、6−クロロ−2−(3,5−ジフルオロピリジン−4−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(115mg,50%)を得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d):14.0(1H,bs),9.0−8.87(2H,m),8.82(2H,s),8.6−8.5(2H,m),7.87−7.65(3H,m)。
【0160】
(実施例221)
[6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル](シクロプロピル)メタノン
【0161】
【化40】

【0162】
ステップ1:(6−クロロ−3−フェナントリル)(シクロプロピル)メタノール
実施例137のステップ2からの3−ブロモ−6−クロロフェナントレン(112mg,0.38mmol)の−78℃のTHF(8mL)溶液にメチルリチウム(1.6M EtO溶液,70μL)を加え、次いでブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液,160μL)を加えた。混合物を−78℃で15分間撹拌した後、シクロプロパンカルボキシアルデヒド(180μL,2.4mmol)を加え、反応混合物を−78℃で0.5時間撹拌した。反応混合物を25% NHOAcでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をトルエンでトリチュレーションし、(6−クロロ−3−フェナントリル)(シクロプロピル)メタノール(60mg,55%)を白色固体として得た。
【0163】
ステップ2:(6−クロロ−3−フェナントリル)(シクロプロピル)メタノン
上記ステップ1からの(6−クロロ−3−フェナントリル)(シクロプロピル)メタノール(520mg,1.84mmol)をHCl(10mL)とTHF(2mL)に溶かした室温溶液にデス・マーチン・ペルヨージナン試薬(780mg,1.84mmol)を加えた。得られた黄色溶液を室温で2時間撹拌した。反応混合物を10% Naでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中2−10%酢酸エチル)により精製し、(6−クロロ−3−フェナントリル)(シクロプロピル)メタノン(467mg,90%)を白色固体として得た。
【0164】
ステップ3:3−クロロ−6−(シクロプロピルカルボニル)フェナントレン−9,10−ジオン
上記ステップ2からの(6−クロロ−3−フェナントリル)(シクロプロピル)メタノン(467mg,1.7mmol)の酢酸(10mL)溶液にCrO(670mg,6.71mmol)を加えた。混合物を70℃で20分間撹拌した後、室温まで冷却し、水に注ぎ、45分間撹拌した。混合物を濾過し、得られた固形分を水とヘキサンで洗浄した。固形分を酢酸エチルに溶かし、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、3−クロロ−6−(シクロプロピルカルボニル)フェナントレン−9,10−ジオン(493mg,95%)をオレンジ色固体として得た。
【0165】
ステップ4:[6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル](シクロプロピル)メタノン
上記ステップ3からの3−クロロ−6−(シクロプロピルカルボニル)フェナントレン−9,10−ジオン(493mg,1.58mmol)、酢酸アンモニウム(2.45g,31.8mmol)及び2,6−ジブロモベンズアルデヒド(670mg,2.54mmol)の酢酸(40mL)溶液を70℃に20分間加熱した後、室温まで冷却し、水に注ぎ、1時間濾過した。混合物を濾過し、固形分を水とヘキサンで洗浄した。固形分のトルエン懸濁液をディーン・スターク装置で3時間加熱還流した後、濾過した。得られた固形分を高減圧下に乾燥し、[6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル](シクロプロピル)メタノン(163mg)を黄色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d):14.0(1H,一重項2個),9.61(1H,d),9.29(1H,d),8.60(1H,dd),8.48−8.29(2H,m),7.92(2H,d),7.90−7.78(1H,m),7.50(1H,t),3.57−3.42(1H,m),1.21−1.09(4H,m)。
【0166】
(実施例248)
5−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−10−(メチルスルホニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
【0167】
【化41】

【0168】
ステップ1:(2−ブロモ−5−クロロフェニル)酢酸メチル
(2−ブロモ−5−クロロフェニル)酢酸(4.99g,20mmol)の0℃のメタノール(100mL)溶液に塩化チオニル(2.2mL,30mmol)をゆっくりと加えた。得られた溶液を0℃で10分間撹拌した後、室温まで昇温し、一晩撹拌した。反応混合物を減圧濃縮した。粗材料をヘキサンに溶かし、セライトで濾過し、濾液を濃縮し、(2−ブロモ−5−クロロフェニル)酢酸メチル(5.13g)を無色油状物として得た。
【0169】
ステップ2:[4−クロロ−4’−(メチルチオ)ビフェニル−2−イル]酢酸メチル
上記ステップ1からの(2−ブロモ−5−クロロフェニル)酢酸メチル(527mg,2mmol)、[4−(メチルチオ)フェニル]ボロン酸(320mg,2.2mmol)、弗化セシウム(608mg,4mmol)及びPd(PPh(115mg,0.1mmol)をDME(10mL)に加えた混合物を10分間窒素パージした後、4時間加熱還流した。次いで反応混合物を室温まで冷却し、水と酢酸エチルで希釈した。有機層を水洗し(3回)、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100%トルエン)により精製し、[4−クロロ−4’−(メチルチオ)ビフェニル−2−イル]酢酸メチル(554mg)を得た。
【0170】
ステップ3:[4−クロロ−4’(メチルチオ)ビフェニル−2−イル]酢酸
上記ステップ2からの[4−クロロ−4’−(メチルチオ)ビフェニル−2−イル]酢酸メチル(550mg,1.79mmol)をTHF(12mL)とメタノール(12mL)に溶かした溶液に水酸化ナトリウム(1N,6mL)を加えた。混合物を室温で1.5時間撹拌した後、小容量まで減圧濃縮した。残渣を水で希釈し、HCl(1N)で酸性化して沈殿を得、濾過し、[4−クロロ−4’(メチルチオ)ビフェニル−2−イル]酢酸(475mg)を白色固体として得た。
【0171】
ステップ4:2−クロロ−7−(メチルチオ)フェナントレン−9−オール
上記ステップ3からの[4−クロロ−4’(メチルチオ)ビフェニル−2−イル]酢酸(420mg,1.43mmol)の1,2−ジクロロエタン(7mL)溶液に塩化チオニル(522μL,7.15mmol)を加えた。反応混合物を75℃に4時間加熱した後、減圧濃縮した。残渣を1,2−ジクロロエタン(3mL)と同時蒸発させ、オレンジ色シロップ状物を得、1,2−ジクロロエタン(12mL)に溶かした。この溶液に室温で三塩化アルミニウム(287mg,2.15mmol)を加えた。暗赤色混合物を室温で0.5時間撹拌した後、酢酸エチルと水に注いだ。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100%トルエン)により精製し、2−クロロ−7−(メチルチオ)フェナントレン−9−オール(335mg,85%)を薄灰色固体として得た。
【0172】
ステップ5:2−クロロ−7−(メチルスルホニル)フェナントレン−9−オール
上記ステップ4からの2−クロロ−7−(メチルチオ)フェナントレン−9−オール(148mg,0.54mmol)のCHCl(25mL)溶液にMCPBA(約70%,333mg,1.35mmol)を加えた。得られた黄色溶液を室温で4時間撹拌した後、CHCl(25mL)を加え、次いでCa(OH)(2g)を加えた。混合物を5分間撹拌した後、セライトて濾過した。濾液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(トルエン中40%酢酸エチル)により精製し、2−クロロ−7−(メチルスルホニル)フェナントレン−9−オール(32mg)を黄色−オレンジ色固体として得た。
【0173】
ステップ6:2−クロロ−7−(メチルスルホニル)フェナントレン−9,10−ジオン
上記ステップ5からの2−クロロ−7−(メチルスルホニル)フェナントレン−9−オール(32mg,0.1mmol)とN,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)水和物(6mg,0.02mmol)をDMF(3mL)に加えた混合物を反応混合物に空気をバブリングしながら室温で一晩撹拌した。次に混合物を水でクエンチし、5分間撹拌し、得られた固形沈殿を濾過し、水洗し、2−クロロ−7−(メチルスルホニル)フェナントレン−9,10−ジオン(23mg)を黄色固体として得た。
【0174】
ステップ7:5−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−10−(メチルスルホニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
このイミダゾールは3−クロロフェナントレン−9,10−ジオンの代わりに上記ステップ6からの2−クロロ−7−(メチルスルホニル)フェナントレン−9,10−ジオンを使用し、3,5−ジフルオロイソニコチンアルデヒドの代わりに2−フルオロ−6−クロロベンズアルデヒドを使用した以外は実施例182のステップ5に記載したように製造し、5−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−10−(メチルスルホニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールを得た。
【0175】
生物活性測定アッセイ
プロスタグランジンEシンターゼ活性の阻害
ミクロソームプロスタグランジンeシンターゼアッセイ、全細胞アッセイ及びin vivoアッセイでプロスタグランジンEシンターゼ活性の阻害剤として化合物を試験する。これらのアッセイは酵素免疫測定法(EIA)又は質量分析法を使用してプロスタグランジンE2(PGE2)合成を測定する。ミクロソーム調製に使用する細胞はヒトmPGES−1 cDNAをコードするプラスミドを一過的にトランスフェクトしたCHO−K1細胞とする。細胞実験に使用する細胞は(ヒトmPGES−1を発現する。)ヒトA549とする。選択した化合物の活性のin vivo試験にはモルモットを使用する。これらの全アッセイで100%活性はビヒクル処理サンプルにおけるPGE産生として定義する。IC50及びED50は未阻害対照に比較してPGE合成を50%阻害するために必要な阻害剤濃度又は用量を表す。
【0176】
ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼアッセイ
ヒトmPGES−1 cDNAをコードするプラスミドを一過的にトランスフェクトしたCHO−K1細胞からプロスタグランジンEシンターゼミクロソームフラクションを調製する。次にミクロソームを調製し、5μg/mlミクロソームPGES−1を化合物又はDMSO(終濃度1%)と共に20から30分間室温でインキュベートすることによりPGESアッセイを開始する。酵素反応は200mM KPi pH7.0,2mM EDTA及び2.5mM 還元型GSH中で実施する。次にPGH基質をイソプロパノールで終濃度1μMに調製した溶液(アッセイウェルの終濃度3.5%)を添加することにより酵素反応を開始し、室温で30秒間インキュベートする。SnClの1N HCl溶液(終濃度1mg/ml)を加えることにより反応を終了する。標準市販キット(Assay Designs製品Cat #:901−001)を使用してEIAにより酵素反応アリコートにおけるPGE産生の測定を実施する。
【0177】
代表的な化合物のこのアッセイのデータを下表に示す。効力はIC50として表し、記載値は少なくともn=3の平均である。
【0178】
【表5】

【0179】
ヒトA549全細胞プロスタグランジンEシンターゼアッセイ
基本原理
全細胞はプロスタグランジンEシンターゼ阻害剤等の抗炎症性化合物の細胞透過性と生化学的特異性の試験用に無傷の細胞環境を提供する。これらの化合物の阻害活性を試験するために、ヒトA549細胞を10ng/ml組換えヒトIL−1βで24時間刺激する。インキュベーション後にmPGES−1依存性PGE産生に対する選択性及び効果の測定値としてPGEとPGF2αの産生をEIAにより測定する。
【0180】
方法
ヒトA549細胞はヒトミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1を特異的に発現し、IL−1βで24時間処理後にその発現を誘導する。細胞2.5×10個を100μl/ウェル(96ウェルプレート)で播種し、標準条件下に一晩インキュベートする。次にIL−1β 10ng/mlを添加した細胞培養用培地100μlを細胞に加えた後、2% FBSを添加したRPMI又は50% FBSを添加したRPMIを加える。次に薬剤又はビヒクル(DMSO)2μlを加え、サンプルをすぐに混合する。細胞を24時間インキュベートし、インキュベーション後に培地175μlを回収し、PGEとPGF2αの含量をEIAによりアッセイする。
【0181】
ヒト全血プロスタグランジンEシンターゼアッセイ
基本原理
全血はプロスタグランジンEシンターゼ阻害剤等の抗炎症性化合物の生化学的効力の試験用に蛋白及び細胞リッチ培地を提供する。これらの化合物の阻害活性を試験するために、ヒト血液をリポ多糖(LPS)で24時間刺激し、mPGES−1発現を誘導する。インキュベーション後にmPGES−1依存性PGE産生に対する選択性及び効果の測定値としてプロスタグランジンE2(PGE)とトロンボキサンB2(TxB)の産生をEIAにより測定する。
【0182】
方法
文献(Brideauら,Inflamm.Res.,vol.45,p.68,1996)に報告されているmPGES−1活性のヒト全血アッセイを下記のように実施する。
【0183】
ヒトボランティアから新たに採取した静脈血をヘパリン管に採血する。これらの対象は外観上炎症症状がなく、採血前少なくとも7日間NSAIDの投与を停止する。血液250μlをビヒクル(DMSO)1μl又は試験化合物1μlと共にプレインキュベートする。その後、細菌由来LPS 100μg/ml(0.1% w/vウシ血清アルブミンを添加したリン酸緩衝食塩水で希釈した大腸菌血清型0111:B4)を加え、サンプルを24時間37℃でインキュベートする。0時点の未刺激対照血液(LPS未添加)をブランクとして使用する。24時間インキュベーション後に血液を4℃にて10分間3000rpmで遠心する。上記のようなEIAキットを使用してPGEとTxBについて血漿をアッセイする。
【0184】
抗炎症活性のin vivo測定
基本原理
丸ごとの動物はin vitroで特性決定された試験化合物の抗炎症活性を確認するための総合生理系を提供する。プロスタグランジンEシンターゼ阻害剤の活性をin vivo測定するために、LPS炎症刺激前後に動物に化合物を投与する。LPSをモルモットの後肢に注射し、注射から4.5及び/又は6時間後に痛覚過敏測定値を記録する。
【0185】
経口投与用試験化合物の調製
ボールミルシステムを使用して試験化合物を粉砕し、非晶質化した。瑪瑙製ボールを充填した瑪瑙製ジャーに化合物を入れ、Planetary Micro Mill Pulverisette 7システム等の装置で10分間高速回転した。その後、ジャーを開き、粉砕した固体に0.5% methocel溶液を加えた。この混合物を再び10分間高速回転した。得られた懸濁液をシンチレーションバイアルに移し、適量の0.5% methocel溶液で希釈し、2分間音波処理し、懸濁液が均質になるまで撹拌した。あるいは、適切な任意化学的又は機械的方法により得られた非晶質材料を使用して試験化合物を調製することもできる。その後、投与前にこの非晶質固体に適切なビヒクル(例えばドデシル硫酸ナトリウム0.02から0.2%を添加した0.5% methocel)を加えて所定時間(例えば12時間)混合撹拌する。
【0186】
方法
体重200から250グラムの雄性Hartleyモルモットを使用した。LPS(30mg/kg)をモルモットの左後肢足蹠に注射し、注射した足に痛覚過敏を誘発した。直腸温度と疼痛過敏(痛覚過敏)の指標である足逃避潜時をLPS注射前に測定し、基線として使用する。足逃避潜時は熱性痛覚過敏計器(Ugo Basile Corp.)を使用して測定する。この測定中は、ガラス底の8”×8”プレキシガラス収容箱に動物を収容する。低出力(223mW/cm)の赤外線を後肢足蹠に照射する。動物が足を引っ込める(熱に誘発される疼痛知覚の徴候)までの時間を記録する。赤外線は動物が照射領域から足を引っ込めるとすぐに遮断する。赤外線は時間が20秒に達したときにも自動的に遮断する。
【0187】
予防投与パラダイム:
18ゲージ給餌針を使用して試験化合物5ml/kgを経口投与する。化合物投与の1時間後に26ゲージ針を使用して容量100μlのLPS(血清型0111:B4,10μg)又は0.9%食塩水を左後肢足蹠領域に注射する。LPS投与の4.5時間後に直腸温度と熱性足逃避潜時を測定する。測定後にCOを使用して動物を安楽死させ、腰椎、後肢及び血液サンプルを採取する。
【0188】
逆パラダイム:
LPSの足蹠注射前と3時間後に各動物の熱性足逃避を測定する。LPSを投与し、3時間の時点で逃避潜時の低下を示さない動物は試験から除外し、安楽死させる。熱性足逃避測定直後に試験化合物5ml/kgを経口投与する。化合物投与から1.5時間後と3時間後(LPS投与から4.5時間後と6時間後)に熱性逃避潜時を測定する。最終読取り後に、COを使用して動物を安楽死させ、夫々質量分析と薬剤濃度によるプロスタグランジン測定用に腰椎サンプルと血液サンプルを採取する。
【0189】
本発明は更に式I:
【0190】
【化42】

[式中、
Jは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Kは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Lは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Mは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
但し、J、K、L又はMの少なくとも1個は−N−以外のものであり、Jが−C(X)−であり、Kが−C(X)−であり、Lが−C(X)−であり、Mが−C(X)−であり、XがHであるとき、R及びRの少なくとも一方はH以外のものであり;
は(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;(5)−N;(6)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ基で置換されていてもよい。);(7)C1−4アルコキシ;(8)NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−;(9)C1−4アルキル−S(O)−;(10)−NO;(11)C3−6シクロアルキル;(12)C3−6シクロアルコキシ;(13)フェニル;(14)カルボキシ;及び(15)C1−4アルキル−O−C(O)−から構成される群から選択され;
、X及びXは(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−OH;(7)−N;(8)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ又はオキソ基で置換されていてもよい。);(9)C1−4アルコキシ;(10)NR10−、NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−又はNR10−C(O)−;(11)C1−4アルキル−S(O)−;(12)−NO;(13)C3−6シクロアルキル;(14)C3−6シクロアルコキシ;(15)フェニル;(16)カルボキシ;(17)C1−4アルキル−O−C(O)−及び(18)−CNから構成される群から独立して選択され;
は(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−OH;(7)−N;(8)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ又はオキソ基で置換されていてもよい。);(9)C1−4アルコキシ;(10)NR10−、NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−又はNR10−C(O)−;(11)C1−4アルキル−S(O)−;(12)−NO;(13)C3−6シクロアルキル;(14)C3−6シクロアルコキシ;(15)フェニル;(16)カルボキシ;及び(17)C1−4アルキル−O−C(O)−から構成される群から選択され;
、R、R、R、R、R、R及びRは(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−CN;(7)C1−10アルキル又はC2−10アルケニル(前記C1−10アルキル又はC2−10アルケニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、又は隣接する炭素原子上の2個の水素は一緒になって−CH−で置換されて、シクロプロピル基を形成してもよく、又は同一炭素原子上の2個の水素は置換されて、一緒になってスピロC3−6シクロアルキル基を形成してもよく、前記C1−10アルキル又はC2−10アルケニルは場合により−OH、アセチル、メトキシ、エテニル、R11−O−C(O)−、R35−N(R36)−、R37−N(R38)−C(O)−、シクロプロピル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル及びフェニルから構成される群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、前記ピロリル、イミダゾリル、ピリジル及びフェニルは場合によりC1−4アルキル又はモノヒドロキシで置換されたC1−4アルキルで置換されている。);(8)C3−6シクロアルキル;(9)R12−O−;(10)R13−S(O)−;(11)R14−S(O)−N(R15)−;(12)R16−C(O)−;(13)R17−N(R18)−;(14)R19−N(R20)−C(O)−;(15)R21−N(R22)−S(O)−;(16)R23−C(O)−N(R24)−;(17)Z−C≡C;(18)−(CH)C=N−OH又は−(CH)C=N−OCH;(19)R34−O−C(O)−;(20)R39−C(O)−O−;並びに(21)各々場合によりF、Cl、Br、I、C1−4アルキル、フェニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルアミノ、R25−O−C(O)−及びR26−N(R27)−から構成される群から独立して選択される置換基で置換されたフェニル、ナフチル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チエニル又はフリルから構成される群から独立して選択され、前記C1−4アルキルは場合によりハロ及びヒドロキシから独立して選択される1から3個の基で置換されており;
各Zは(1)H;(2)C1−6アルキル(前記C1−6アルキルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、C1−6アルキルは場合によりヒドロキシ、メトキシ、シクロプロピル、フェニル、ピリジル、ピロリル、R28−N(R29)−及びR30−O−C(O)−から独立して選択されるから独立して選択される1から3個の置換基で置換されている。);(3)−(CH)C=N−OH又は−(CH)C=N−OCH;(4)R31−C(O)−;(5)フェニル;(6)ピリジル又はそのN−オキシド;(7)場合によりヒドロキシで置換されたC3−6シクロアルキル;(8)場合によりヒドロキシで置換されたテトラヒドロピラニル;及び(9)O、N又はSから独立して選択される1から3個の原子を含み、場合によりメチルで置換された5員芳香族複素環から構成される群から独立して選択され;
各R、R10、R15、R24及びR32は(1)H;及び(2)C1−4アルキルから構成される群から独立して選択され;
各R11、R12、R13、R14、R16、R23、R25、R30、R31、R34及びR39は(1)H;(2)C1−4アルキル;(3)C3−6シクロアルキル;(4)C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−;(5)フェニル;(6)ベンジル;及び(7)ピリジルから構成される群から独立して選択され;前記C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−、フェニル、ベンジル及びピリジルは各々場合によりOH、F、Cl、Br及びIから独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、前記C1−4アルキルは更にオキソ又はメトキシ又は両者で置換されていてもよく;
各R17、R18、R19、R20、R21、R22、R26、R27、R28、R29、R35、R36、R37及びR38は(1)H;(2)C1−6アルキル;(3)C1−6アルコキシ;(4)OH;及び(5)ベンジル又は1−フェニルエチルから構成される群から独立して選択され;R17とR18、R19とR20、R21とR22、R26とR27、R28とR29、R35とR36、及びR37とR38はそれらが結合している窒素原子と共に、場合により−O−、−S(O)−及び−N(R32)−から独立して選択される1又は2個の原子を含む5又は6個の炭素原子の単環を形成してもよく;
各kは独立して0、1又は2である。]により表される化合物又はそのプロドラッグ又は前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容可能な塩も包含する。
【0191】
本発明は更に、R及びRが水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、メトキシ、エチル、ビニル、シクロプロピル、プロピル、ブチル、−COi−Pr、−COCH、−SOCF、3−ピリジル、アセチル、
【0192】
【化43】





から構成される群から独立して選択され、但し、R又はRの少なくとも一方は水素以外のものである式Aの亜分類の化合物も包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

により表される化合物もしくはそのプロドラッグ又は前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容可能な塩
[式中、
Jは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Kは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Lは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、並びに
Mは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
但し、J、K、L又はMの少なくとも1個は−N−以外のものであり、並びにJが−C(X)−であり、Kが−C(X)−であり、Lが−C(X)−であり、Mが−C(X)−であり、XがHであるとき、R及びRの少なくとも一方はH以外のものであり;
は(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;(5)−N;(6)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、並びに前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ基で置換されていてもよい。);(7)C1−4アルコキシ;(8)NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−;(9)C1−4アルキル−S(O)−;(10)−NO;(11)C3−6シクロアルキル;(12)C3−6シクロアルコキシ;(13)フェニル;(14)カルボキシ;及び(15)C1−4アルキル−O−C(O)−から構成される群から選択され;
、X及びXは(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−OH;(7)−N;(8)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、並びに前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ又はオキソ基で置換されていてもよい。);(9)C1−4アルコキシ;(10)NR10−、NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−又はNR10−C(O)−;(11)C1−4アルキル−S(O)−;(12)−NO;(13)C3−6シクロアルキル;(14)C3−6シクロアルコキシ;(15)フェニル;(16)カルボキシ;(17)C1−4アルキル−O−C(O)−及び(18)−CNから構成される群から独立して選択され;
は(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−OH;(7)−N;(8)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、並びに前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ又はオキソ基で置換されていてもよい。);(9)C1−4アルコキシ;(10)NR10−、NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−又はNR10−C(O)−;(11)C1−4アルキル−S(O)−;(12)−NO;(13)C3−6シクロアルキル;(14)C3−6シクロアルコキシ;(15)フェニル;(16)カルボキシ;及び(17)C1−4アルキル−O−C(O)−から構成される群から選択され;
、R、R、R、R、R、R及びRは(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−CN;(7)C1−10アルキル又はC2−10アルケニル(前記C1−10アルキル又はC2−10アルケニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、又は隣接する炭素原子上の2個の水素は一緒になって−CH−で置換されてシクロプロピル基を形成してもよく、又は同一炭素原子上の2個の水素は置換されて一緒になってスピロC3−6シクロアルキル基を形成してもよく、並びに前記C1−10アルキル又はC2−10アルケニルは場合により−OH、アセチル、メトキシ、エテニル、R11−O−C(O)−、R35−N(R36)−、R37−N(R38)−C(O)−、シクロプロピル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル及びフェニルから構成される群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、前記ピロリル、イミダゾリル、ピリジル及びフェニルは場合によりC1−4アルキル又はモノヒドロキシで置換されたC1−4アルキルで置換されている。);(8)C3−6シクロアルキル;(9)R12−O−;(10)R13−S(O)−;(11)R14−S(O)−N(R15)−;(12)R16−C(O)−;(13)R17−N(R18)−;(14)R19−N(R20)−C(O)−;(15)R21−N(R22)−S(O)−;(16)R23−C(O)−N(R24)−;(17)Z−C≡C;(18)−(CH)C=N−OH又は−(CH)C=N−OCH;(19)R34−O−C(O)−;(20)R39−C(O)−O−;並びに(21)各々場合によりF、Cl、Br、I、C1−4アルキル、フェニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルアミノ、R25−O−C(O)−及びR26−N(R27)−から構成される群から独立して選択される置換基で置換されたフェニル、ナフチル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チエニル又はフリルから構成される群から独立して選択され、前記C1−4アルキルは場合によりハロ及びヒドロキシから独立して選択される1から3個の基で置換されており;
各Zは(1)H;(2)C1−6アルキル(前記C1−6アルキルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、並びにC1−6アルキルは場合によりヒドロキシ、メトキシ、シクロプロピル、フェニル、ピリジル、ピロリル、R28−N(R29)−及びR30−O−C(O)−から独立して選択されるから独立して選択される1から3個の置換基で置換されている。);(3)−(CH)C=N−OH又は−(CH)C=N−OCH;(4)R31−C(O)−;(5)フェニル;(6)ピリジル又はそのN−オキシド;(7)場合によりヒドロキシで置換されたC3−6シクロアルキル;(8)場合によりヒドロキシで置換されたテトラヒドロピラニル;及び(9)O、N又はSから独立して選択される1から3個の原子を含み、並びに場合によりメチルで置換された5員芳香族複素環から構成される群から独立して選択され;
各R、R10、R15、R24及びR32は(1)H;及び(2)C1−4アルキルから構成される群から独立して選択され;
各R11、R12、R13、R14、R16、R23、R25、R30、R31、R34及びR39は(1)H;(2)C1−4アルキル;(3)C3−6シクロアルキル;(4)C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−;(5)フェニル;(6)ベンジル;及び(7)ピリジルから構成される群から独立して選択され;前記C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−、フェニル、ベンジル及びピリジルは各々場合によりOH、F、Cl、Br及びIから独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、並びに前記C1−4アルキルは更にオキソ又はメトキシ又は両者で置換されていてもよく;
各R17、R18、R19、R20、R21、R22、R26、R27、R28、R29、R35、R36、R37及びR38は(1)H;(2)C1−6アルキル;(3)C1−6アルコキシ;(4)OH;及び(5)ベンジル又は1−フェニルエチルから構成される群から独立して選択され;並びにR17とR18、R19とR20、R21とR22、R26とR27、及びR28とR29、R35とR36、及びR37とR38はそれらが結合している窒素原子と共に、場合により−O−、−S(O)−及び−N(R32)−から独立して選択される1又は2個の原子を含む5又は6個の炭素原子の単環を形成してもよく;
各kは独立して0、1又は2である。]。
【請求項2】
式I:
【化2】

により表される請求項1に記載の化合物もしくはそのプロドラッグ又は前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容可能な塩
[式中、
Jは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Kは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Lは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、並びに
Mは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
但し、J、K、L又はMの少なくとも1個は−N−以外のものであり、並びにJが−C(X)−であり、Kが−C(X)−であり、Lが−C(X)−であり、Mが−C(X)−であり、及びXがHであるとき、R及びRの少なくとも一方はH以外のものであり;
は(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;(5)−N;(6)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、並びに前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ基で置換されていてもよい。);(7)C1−4アルコキシ;(8)NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−;(9)C1−4アルキル−S(O)−;(10)−NO;(11)C3−6シクロアルキル;(12)C3−6シクロアルコキシ;(13)フェニル;(14)カルボキシ;及び(15)C1−4アルキル−O−C(O)−から構成される群から選択され;
、X、X及びXは(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−OH;(7)−N;(8)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、並びに前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ又はオキソ基で置換されていてもよい。);(9)C1−4アルコキシ;(10)NR10−、NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−又はNR10−C(O)−;(11)C1−4アルキル−S(O)−;(12)−NO;(13)C3−6シクロアルキル;(14)C3−6シクロアルコキシ;(15)フェニル;(16)カルボキシ;及び(17)C1−4アルキル−O−C(O)−から構成される群から独立して選択され;
、R、R、R、R、R、R及びRは(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−CN;(7)C1−6アルキル又はC2−6アルケニル(前記C1−6アルキル又はC2−6アルケニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、並びに前記C1−6アルキル又はC2−6アルケニルは場合により−OH、メトキシ、R11−O−C(O)−、シクロプロピル、ピリジル及びフェニルから構成される群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい。);(8)C3−6シクロアルキル;(9)R12−O−;(10)R13−S(O)−;(11)R14−S(O)−N(R15)−;(12)R16−C(O)−;(13)R17−N(R18)−;(14)R19−N(R20)−C(O)−;(15)R21−N(R22)−S(O)−;(16)R23−C(O)−N(R24)−;(17)Z−C≡C;(18)−(CH)C=N−OH又は−(CH)C=N−OCH;並びに(19)各々場合によりF、Cl、Br、I、C1−4アルキル、フェニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルアミノ、R25−O−C(O)−及びR26−N(R27)−から構成される群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されたフェニル、ナフチル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チエニル又はフリルから構成される群から独立して選択され、前記C1−4アルキル及びフェニルは場合によりハロ及びヒドロキシから独立して選択される1から3個の基で置換されており;あるいはRとR又はRとRはそれらが結合している炭素原子と共にフェニルを形成してもよく;
各Zは(1)H;(2)C1−6アルキル(前記C1−6アルキルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、並びにC1−6アルキルは場合によりヒドロキシ、メトキシ、シクロプロピル、フェニル、ピリジル、ピロリル、R28−N(R29)−及びR30−O−C(O)−から独立して選択されるから独立して選択される1から3個の置換基で置換されている。);(3)−(CH)C=N−OH又は−(CH)C=N−OCH;(4)R31−C(O)−;(5)フェニル;(6)ピリジル又はそのN−オキシド;(7)場合によりヒドロキシで置換されたC3−6シクロアルキル;(8)場合によりヒドロキシで置換されたテトラヒドロピラニル;及び(9)O、N又はSから独立して選択される1から3個の原子を含み、並びに場合によりメチルで置換された5員芳香族複素環から構成される群から独立して選択され;
各R、R10、R15、R24及びR32は(1)H;及び(2)C1−4アルキルから構成される群から独立して選択され;
各R11、R12、R13、R14、R16、R23、R25、R30及びR31は(1)H;(2)C1−4アルキル;(3)C3−6シクロアルキル;(4)フェニル;(5)ベンジル;及び(6)ピリジルから構成される群から独立して選択され;前記C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、ベンジル及びピリジルは各々場合によりOH、F、Cl、Br、I及びメチルから独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく;
各R17、R18、R19、R20、R21、R22、R26、R27、R28及びR29は(1)H;(2)C1−6アルキル;(3)C1−6アルコキシ;(4)OH;及び(5)ベンジル又は1−フェニルエチルから構成される群から独立して選択され;並びにR17とR18、R19とR20、R21とR22、R26とR27、及びR28とR29はそれらが結合している窒素原子と共に、場合により−O−、−S(O)−及び−N(R32)−から独立して選択される1又は2個の原子を含む5又は6個の炭素原子の単環を形成してもよく;並びに
各kは独立して0、1又は2である。]。
【請求項3】
式A:
【化3】

により表される請求項1に記載の化合物もしくはそのプロドラッグ又は前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容可能な塩。
【請求項4】
が(1)F;(2)Cl;(3)Br;及び(4)Iから構成される群から選択され;並びに
、X、X及びXが(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;及び(5)Iから構成される群から独立して選択される請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
、X及びXがHであり、並びにXがH以外のものである請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
とXが同一であり、並びに(1)F;(2)Cl;(3)Br;及び(4)Iから構成される群から選択される請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
又はRの少なくとも一方がH以外のものである請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
又はRの少なくとも一方がH以外のものである請求項3に記載の化合物。
【請求項9】
又はRの少なくとも一方がH以外のものである請求項3に記載の化合物。
【請求項10】
又はRの少なくとも一方がH以外のものであり;並びに
、R、R、R、R及びRがHである請求項3に記載の化合物。
【請求項11】
とRがいずれもH以外のものである請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
又はRの一方がF、Cl、Br及びIから構成される群から独立して選択され;並びに
又はRの他方がZ−C≡Cである請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
及びRが水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、エチル、ビニル、シクロプロピル、−COi−Pr、−COCH、−SOCF、3−ピリジル、アセチル、
【化4】



から構成される群から独立して選択され、
但し、R又はRの少なくとも一方はH以外のものである請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
式B:
【化5】

[式中、X及びXは(1)F;(2)Cl;(3)Br;及び(4)Iから構成される群から独立して選択される。]により表される請求項2に記載の化合物もしくはそのプロドラッグ又は前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容可能な塩。
【請求項15】
又はRの一方がF、Cl、Br及びIから構成される群から独立して選択され;並びに
又はRの他方がZ−C≡Cである請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
式C:
【化6】

により表される請求項1に記載の化合物のプロドラッグ又はその医薬的に許容可能な塩
[式中、Yは(1)C1−6アルキル;(2)PO−C1−4アルキル−;(3)C1−4アルキル−C(O)−O−CH−(C1−4アルキル部分は場合によりR33−O−C(O)−で置換されている。);及び(4)C1−4アルキル−O−C(O)−から構成される群から選択され;並びに
33は(1)H;(2)C1−4アルキル;(3)C3−6シクロアルキル;(4)フェニル;(5)ベンジル;及び(6)ピリジルから構成される群から選択され;前記C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、ベンジル及びピリジルは各々場合によりOH、F、Cl、Br及びIから構成される群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい]。
【請求項17】
下表:
【表1】












【表2】


の1つから選択される請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
【請求項18】
医薬的に許容可能な担体と共に請求項1に記載の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項19】
ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1により介在される疾患又は病態の治療を必要とするヒト患者における前記疾患又は病態の治療方法であって、ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1により介在される疾患又は病態を治療するために有効な量の請求項1に記載の化合物を前記患者に投与することを含む前記方法。
【請求項20】
疾患又は病態が急性又は慢性疼痛、変形性関節症、関節リウマチ、滑液包炎、強直性脊椎炎及び原発性月経困難症から構成される群から選択される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
及びRが水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、メトキシ、エチル、ビニル、シクロプロピル、プロピル、ブチル、−COi−Pr、−COCH、−SOCF、3−ピリジル、アセチル、
【化7】





から構成される群から独立して選択され、
但し、R又はRの少なくとも一方は水素以外のものである請求項10に記載の化合物。

【公表番号】特表2009−527508(P2009−527508A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555591(P2008−555591)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際出願番号】PCT/CA2007/000287
【国際公開番号】WO2007/095753
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】