2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドの固体形態
本発明は、2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドの固体形態およびその薬学的組成物、ならびにそれを用いた方法および使用に関する。上記化合物の固体形態およびそれらの薬学的に受容可能な組成物はまた、生物学的現象および病理学的現象におけるp38キナーゼの研究、このようなキナーゼによって媒介される細胞内シグナル伝達経路の研究、ならびに新たなキナーゼインヒビターの比較評価のために有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、米国仮出願第61/152,648号および同61/157,839号(それぞれ、2009年2月13日、2009年3月5日に出願された)への優先権を主張する。これらの両仮出願の全内容がそのまま本明細書中で援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドの固体形態、ならびにその薬学的組成物、方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
プロテインキナーゼは、細胞外シグナルに対する種々の細胞応答に関与する。近年、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)のファミリーが発見された。このファミリーのメンバーは、Ser/Thrキナーゼであり、これは、リン酸化によってそれらの基質を活性化する[非特許文献1]。MAPKは、それ自体、種々のシグナル(増殖因子、サイトカイン、UV照射、およびストレス誘導因子が挙げられる)によって活性化される。
【0004】
1つの特に目的のMAPKは、p38である。p38(サイトカイン抑制性抗炎症薬物結合タンパク質(CSBP)およびRKともいわれる)は、リポポリサッカリド(LPS)レセプター、CD14でトランスフェクトし、LPSで誘導したマウスプレB細胞から単離した。p38は、ヒトおよびマウスにおいてこれをコードするcDNAを有するので、その後単離かつ配列決定された。p38の活性化は、ストレス(例えば、細菌リポポリサッカリド(LPS、エンドトキシンともいわれる)、UV、アニソマイシン、もしくは浸透圧ショック)での処置により、およびサイトカイン(例えば、IL−1およびTNF)より刺激した細胞において観察されてきた。
【0005】
p38キナーゼの阻害は、IL−1βおよびTNFα両方の生成に対するブロックをもたらす。IL−1およびTNFは、他の炎症促進性サイトカイン(例えば、IL−6およびIL−8)の生成を刺激し、急性および慢性の炎症性疾患、ならびに閉経後骨粗鬆症に関与した[非特許文献2]。
【0006】
この知見に基づくと、p38は、他のMAPKとともに、炎症性刺激に対する細胞応答(例えば、白血球蓄積、マクロファージ/単球活性化、組織吸収、発熱、急性相応答および好中球増加症)を媒介することにおいて役割を有すると考えられている。さらに、MAPK(例えば、p38)は、癌、トロンビン誘導性血小板凝集、免疫不全障害、自己免疫疾患、細胞死、アレルギー、喘息、骨粗鬆症および神経変性疾患に関わっていた。p38のインヒビターはまた、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ−2誘導の阻害を介して、疼痛管理の領域に関わってきた。IL−1、IL−6、IL−8もしくはTNFの過剰生成と関連する他の疾患は、特許文献1に示される。
【0007】
以下に示される構造を有する2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6 ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド(化合物I)は、種々の疾患(炎症性疾患が挙げられる)の処置についての有効性を実証した。化合物Iは、特許文献2(2004年8月26日公開)において記載されている。
【0008】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第96/21654号
【特許文献2】国際公開第2004/72038号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】B.Steinら,Ann.Rep.Med.Chem.,1996年,31巻,289−98頁
【非特許文献2】R.B.Kimbleら,Endocrinol.,1995年,136巻,3054−61頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明は、化合物Iの固体形態の説明を提供する。その有効性に関する薬物としての固体の特性は、上記固体の形態に依存し得る。例えば、薬物物質において、上記固体形態のバリエーションは、融解点、解離速度、経口吸収性、バイオアベイラビリティー、毒物学的結果およびさらには臨床試験結果のような特性における差異をもたらし得る。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態は、ニート(neat)形態である。他の実施形態において、上記化合物Iの固体形態は、共存形態(co−form)(例えば、塩、溶媒和物、共結晶および水和物)である。
【0012】
1個以上の原子が、天然において通常見いだされる原子量もしくは質量数とは異なる原子量もしくは質量数を有する原子で置換されている化合物Iの同位体標識された形態はまた、本明細書に含まれる。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体(例えば、2H、3H、13C、14C、15N、18O、および17O)が挙げられる。このような放射性標識されかつ安定な同位体標識された化合物は、例えば、研究用ツールもしくは診断用ツールとして有用である。
【0013】
本発明はまた、化合物Iの製造の間に生じる固体形態の制御のためのストラテジーを提供する。
【0014】
別の局面において、本明細書に記載される化合物Iの固体形態およびそれらの薬学的に受容可能な組成物は、種々の疾患(これらとしては、急性および慢性の炎症性疾患、癌、自己免疫疾患、免疫不全症候群、破壊性骨障害(例えば、閉経後骨粗鬆症)、増殖性障害、感染性疾患、ウイルス性疾患、アレルギー、喘息、火傷、および神経変性疾患が挙げられる)の症状を処置もしくは軽減するための方法において有用である。これら固体形態および組成物はまた、細胞死および過形成を予防するための方法において有用であり、従って、脳卒中(stroke)、心臓発作および低酸素症における灌流/虚血を処置もしくは予防するために使用され得る。これら固体形態および組成物はまた、トロンビン誘導性血小板凝集を予防するための方法において有用である。
【0015】
別の局面において、本明細書に記載される化合物Iの固体形態およびそれらの薬学的に受容可能な組成物はまた、生物学的現象および病理学的現象におけるp38キナーゼの研究、このようなキナーゼによって媒介される細胞内シグナル伝達経路の研究、ならびに新たなキナーゼインヒビターの比較評価のために有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
(定義および一般用語)
本明細書で使用される場合、用語「結晶性」とは、上記結晶格子中で分子の特定の配置および/もしくはコンホメーションを有する固体に言及する。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「無定形の」とは、分子の無秩序な配置からなりかつ区別可能な結晶格子を有さない固体形態に言及する。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「溶媒和物」とは、上記結晶構造内に組み込まれた溶媒の化学量論的量もしくは非化学量論的量のいずれかを含む結晶性固体付加物に言及する。上記組み込まれた溶媒が水である場合、このような付加物は、「水和物」といわれる。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなしに、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適している塩に言及する。
【0020】
薬学的に受容可能な塩は、当該分野で周知であり、例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19(本明細書に参考として援用される)において薬学的に受容可能な塩を詳細に記載している。
【0021】
用語「化学的に安定な」とは、本明細書で使用される場合、上記化合物Iの固体形態が、特定の条件(例えば、40℃/75%相対湿度(RH))に、特定の期間(例えば、1日、2日、3日、1週間、2週間、もしくはより長く)にわたって供される場合に、1種以上の異なる化合物に分解しないことを意味する。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態のうちの25%未満が分解し、いくつかの実施形態において、上記化合物Iの形態のうちの約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約1%未満、約0.5%未満が、特定の条件下で分解する。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態の検出可能な量は分解しない。
【0022】
用語「物理的に安定な」とは、本明細書で使用される場合、上記化合物Iの固体形態が、特定の条件(例えば、40℃/75%相対湿度)に、特定の期間(例えば、1日、2日、3日、1週間、2週間、もしくはより長く)にわたって供される場合に、化合物Iの1種以上の異なる物理的形態(例えば、XRPD、DSCなどによって測定される場合に、異なる固体形態)に変化しないことを意味する。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態のうちの25%未満が、特定の条件に供された場合に、1種以上の異なる物理的形態に変化する。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態のうちの約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約1%未満、約0.5%未満が、特定の条件に供された場合に、化合物Iの1種以上の異なる物理的形態に変化する。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態の検出可能な量は、化合物Iの1種以上の物理的に異なる固体形態に変化しない。
【0023】
用語「実質的に含まない」(表現「形態Xを実質的に含まない」におけるような)は、化合物Iの指定された固体形態(例えば、無定形形態もしくは本明細書に記載される結晶性形態)に言及する場合、20(重量)%未満の上記指定された形態もしくは共存形態(例えば、化合物Iの結晶性形態もしくは無定形形態)が存在することを意味し、より好ましくは、10(重量)%未満の上記指定された形態が存在し、より好ましくは、5(重量)%の上記指定された形態が存在し、最も好ましくは、1(重量)%未満の上記指定された形態が存在することを意味する。
【0024】
用語「実質的に純粋な」とは、化合物Iの指定された固体形態(例えば、本明細書に記載される無定形形態もしくは結晶性固体形態)に言及する場合、上記指定された固体形態が、20(重量)%未満の残りの成分(例えば、化合物Iの代替の多形結晶性形態もしくは同形結晶性形態もしくは共存形態を含むことを意味する。化合物Iの実質的に純粋な固体形態は、10(重量)%未満の化合物Iの代替の多形結晶性形態もしくは同形結晶性形態、より好ましくは、5(重量)%未満の化合物Iの代替の多形結晶性形態もしくは同形結晶性形態、および最も好ましくは、1(重量)%未満の化合物Iの代替の多形結晶性形態もしくは同形結晶性形態を含むことが好ましい。
【0025】
本願は、しばしば、本明細書で開示される「化学的もしくは物理的」パラメーターを評価することに言及する。このようなパラメーターは、本明細書中で開示されないものの、上記形態を同定することに関して本質的に類似であり、当業者に周知である他の化学的もしくは物理的パラメーターで置換され得る。
【0026】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の添付の図面および詳細な説明に示される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、詳細な説明、図面および特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、形態Cの例示的XRPDトレースを示す。
【図2】図2は、形態Cの例示的1H NMRスペクトルを示す。
【図3】図3は、形態Cの例示的FT−IRスペクトルを示す。
【図4】図4は、形態Cの例示的DSCトレースを示す。
【図5】図5は、形態Cの例示的TGAトレースを示す。
【図6】図6は、形態Cの特徴的X線回折充填模式図を示す。
【図7】図7は、単結晶X線結晶学によって認められるように、形態Cの結晶構造の略図を示す。
【図8】図8は、形態Cの例示的GVSトレースを示す。
【図9】図9は、XRPDによって認められるように、形態Cの安定性研究の結果を示す。ここで前後のスペクトルは類似している。
【図10】図10は、純粋な形態Cの特徴的HPLCを示す。
【図11】図11は、形態Fの例示的XRPDトレースを示す。
【図12】図12は、形態Fの例示的1H NMRスペクトルを示す。
【図13】図13は、形態Fの例示的FT−IRスペクトルを示す。
【図14】図14は、形態Fの例示的DSCトレースを示す。
【図15】図15は、形態Fの例示的TGAトレースを示す。
【図16】図16は、形態Fの例示的GVSトレースを示す。
【図17】図17は、形態Gの例示的XRPDトレースを示す。
【図18】図18は、形態Gの例示的1H NMRスペクトルを示す。
【図19】図19は、形態Gの例示的FT−IRスペクトルを示す。
【図20】図20は、形態Gの例示的DSCトレースを示す。
【図21】図21は、形態Gの例示的TGAトレースを示す。
【図22】図22は、形態Gの例示的GVSトレースを示す。
【図23】図23は、XRPDによって認められるように、形態Gの安定性研究の結果を示す。ここで前後のスペクトルは類似している。
【図24】図24は、形態Aの例示的XRPDトレースを示す。
【図25】図25は、形態Aの例示的DSCトレースを示す。
【図26】図26は、形態Aの例示的TGAトレースを示す。
【図27】図27は、形態Aの例示的FT−IRスペクトルを示す。
【図28】図28は、XRPDによって認められるように、形態Aの安定性研究の結果を示す。ここで前後のスペクトルは、形態Cの形成を示す。
【図29】図29は、形態Qの例示的XRPDトレースを示す。
【図30】図30は、形態Pの例示的XRPDトレースを示す。
【図31】図31は、形態Pの例示的1H NMRスペクトルを示す。
【図32】図32は、形態Pの例示的TGAトレースを示す。
【図33】図33は、形態Pの例示的DSCトレースを示す。
【図34】図34は、形態Pの例示的FT−IRスペクトルを示す。
【図35】図35は、XRPDによって認められるように、形態Pの安定性研究の結果を示す。ここで前後のスペクトルは、形態Cの形成を示す。
【0028】
(化合物Iの固体形態およびその特徴付けの方法の説明)
化合物Iは、種々の固体形態(3種のニート結晶性形態(形態C、形態Fおよび形態G)、および4種の溶媒和物(これは、次に、溶媒和物としてまたはそれらの対応する脱溶媒した溶媒和物(形態A、形態O、形態Pおよび形態Q)として出現し得る)が挙げられる)において調製されてきた。これら固体形態の各々について、形態識別しもしくはID、化学名および溶媒和物の場合には共溶媒が、以下の表Iに提供される:
【0029】
【表1】
表Iに記載される化合物Iの固体形態は、本明細書で記載されるように作製され得る。以下に示されるスキームIは、種々の固体形態を他の固体形態に変換する方法を図示する。
スキームI.化合物Iの異なる形態の間の相互転換
【0030】
【化2】
i)50℃より高く加熱。ii)50℃未満に冷却。iii)室温、MeOHでスラリーにする。iv)4℃において、2〜4週間貯蔵。v)1:3 H2O:MeOH 中、0℃において24時間にわたってスラリーにするか、または3日間にわたって/0℃において、次いで、25℃において3日間にわたって、H2O中でスラリーにする。vi)50℃より高いMeOH中でスラリーにする。vii)MeOHからの結晶化法M。viii)非溶媒和物形成溶媒(例えば、1:1 MeOH:H2O)中でスラリーにする。ix)−20℃において24時間にわたって酢酸エチル/ヘキサン中でスラリーにする。x)130℃より高く加熱する。xi)−20℃において、2時間にわたって酢酸エチル/ヘキサン中でスラリーにする。xii)EtOAC中でスラリーにする。xiii)室温で乾燥させる。xiv)100℃で加熱して、脱溶媒和する。
【0031】
スキームIに記載される方法は、固体形態A、固体形態C、固体形態F、固体形態G、固体形態O、固体形態P、および固体形態Qを生成するための例示的経路を表し、限定であることは意味しない。本明細書に記載されない他の経路は、固体形態A、固体形態C、固体形態F、固体形態G、固体形態O、固体形態P、および固体形態Qを生成するために有用であり得る。いくつかの場合において、固体形態A、固体形態P、固体形態C、固体形態F、固体形態Oおよび固体形態Gは、水中でスラリーにした場合に、Qを形成するように戻り得る。
【0032】
上記で概説される固体形態の各々を、本明細書に記載される1種以上の分析技術:単結晶X線分析、X線粉末解析(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、重量測定式蒸気吸収法(gravimetric vapor absorption)(GVS)、1H核磁気共鳴法(NMR)、フーリエ変換IR(FT−IR)、温度勾配IR(TG−IR)、安定性分析(例えば、化学的安定性分析および/もしくは物理的安定性分析)、吸湿性、および溶解度分析を使用して、分析した。
【0033】
(化合物Iのニート形態の調製および特徴付け)
(使用される結晶化技術の説明)
(スローエバポレーション(SE):)
化合物I、形態Aの秤量した量を、試験溶媒のアリコートで処理した。添加の間に、上記混合物を、振盪もしくは超音波処理した。上記固体全てを溶解した場合、視覚的検査によって判断される場合、上記溶液を濾過し、次いで、ピンホールを含むアルミニウム箔で覆ったバイアル中に周囲条件下で静置した。
【0034】
(ファーストエバポレーション(FE):)
化合物I、形態Aの秤量した量を、試験溶媒のアリコートで処理した。添加の間に、上記混合物を、振盪もしくは超音波処理した。上記固体全てを溶解した場合、視覚的検査によって判断される場合、上記溶液を濾過し、次いで、周囲条件下で開放バイアル中に静置した。
【0035】
(急速冷却(Crash Cool)(CC)もしくは高速冷却(Fast Cool)(FC):
化合物I、形態Aの秤量した量を、試験溶媒のアリコートで処理した。添加の間に、上記混合物を振盪するかもしくは超音波処理した。次いで、上記溶液を、上記混合物をホットプレート上に保持することによって、60℃で加熱した。上記得られた溶液を、同じホットプレート上に保持したバイアルの中へと迅速に濾過した。上記熱源を切り、上記バイアルにキャップをし、5℃の冷蔵庫へと移して、結晶化を可能にした。
【0036】
(緩慢冷却(SC):)
化合物I、形態Aの秤量した量を、上記試験溶媒のアリコートで処理した。添加の間に、上記混合物を振盪するかもしくは超音波処理した。次いで、上記溶液を、上記混合物をホットプレート上に保持することによって、60℃で加熱した。上記得られた溶液を、同じホットプレート上に保持したバイアルの中へと迅速に濾過した。上記熱源を切り、周囲温度で上記バイアルにキャップをして、結晶化を可能にした。
【0037】
(すりつぶし(G):)
上記固体(通常は、形態A)を、所定の期間(一般には、秒単位で示される)にわたって、スパチュラもしくは乳鉢および乳棒ですりつぶした。
【0038】
(スラリー:)
スラリー実験を、過剰な固体(これは、本明細書に記載される固体形態のいずれかに当てはまる)を含む飽和溶液を作製することによって、行った。上記スラリーを、周囲温度で2ヶ月間にわたって攪拌した。上記不溶性固体を、濾過もしくはデカンテーションのいずれかによって回収し、風乾した。
【0039】
(ある範囲の溶媒中での成熟(M):)
100mgの化合物I、形態Cを、小さなスクリューキャップバイアルの中で秤量した。所定の溶媒を添加した。次いで、上記バイアルを、周囲温度と、50℃との間で、振盪しながら20時間の時間にわたって、3回の加熱/冷却サイクルに供した。次いで、上記バイアルが、溶液を含むかもしくはスラリー(すなわち、溶解していない固体)を含むかに関して、観察を行った。次いで、上記溶液/スラリーを、予め加熱した0.45mm PFTEフィルタを通して熱いまま濾過した。上記濾過した固体を保持し、XRPDによって分析した。上記濾液を、キャップをしたバイアル中で室温へと冷却して、沈殿を促進した。沈殿が起こらなかった場合、上記バイアルを4℃で貯蔵し、次いで、キャップを外してエバポレートを可能にした。得られた沈殿をまた、適切な場合、XPRDによって分析した。
【0040】
(形態Cの調製および特徴付け)
形態Cは、化合物Iの結晶性形態であり、結晶性形態Aから調製され得、その方法は、以下の工程を包含する:
i)メタノール溶媒和形態Aを、20容積の1:3 メタノール:水混合物中で24時間にわたってスラリーにする工程(以下に記載される形態Cおよび形態Q/Gを生成する動力学的に制御された工程)、および
ii)上記得られた混合物を、1:1 メタノール:水混合物中でスラリーにして、形態Q/Gの形成を抑制し、熱力学的により安定な形態Cに有利にする工程。
【0041】
別の実施形態において、形態Cは、EtOAc中の形態Aのスラリーを、18日間にわたって調製することによって得られ得る。別の実施形態において、形態Cは、トルエン中の形態Aを7日間にわたってスラリーにすることによって得られ得る。さらなる実施形態において、形態Cは、水中の形態Aを7日間にわたってスラリーにすることによって得られ得る。さらなる実施形態において、形態Cは、i−PrOH:H2O(8:2)中の形態Aを4日間にわたってスラリーにすることによって得られ得る。別の実施形態において、形態Cは、アセトニトリル/H2O(2:8)中の形態Aを7日間にわたってスラリーにすることによって得られ得る。さらなる実施形態において、形態Cは、MeOH:H2O(2:8)中の形態Aを7日間にわたってスラリーにすることによって得られ得る。さらに別の実施形態において、形態Cは、アセトン:H2O(2:8)中の形態Aを7日間にわたってスラリーにすることによって得られ得る。
【0042】
別の実施形態において、上記に記載される方法FEおよび試験溶媒としてのEtOAcは、形態Aから始まって形態Cを調製するために使用され得る。
【0043】
形態Cは、図1に示されるX線粉末回折パターンによって特徴付けられ得る。上記XRPDスペクトルにおいて観察されるような代表的ピークは、以下の表IIに提供される:
単結晶X線を、EtOAcから(方法SEを使用することによって)形態Aの結晶化によって得られた形態Cの結晶から得た。上記結晶充填の模式図は、図6に示される。単結晶X線結晶学によって明らかにされるように、形態Cは、以下の単位格子寸法を有する空間群Ccを有する:
a=10.9241Å、b=24.2039Å、c=7.0124Å
α=90°、β=111.0685°、γ=90°
δcalc(g/cm3)=1.552。
【0044】
【表2】
形態Cを、図2に示されるように、1H NMRスペクトルによって特徴付けられ得る。例示的ピークは、ppm単位で測定されるように、以下のうちの1つ以上を含む。
【0045】
形態Cは、図3に示されるように、FT−IRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0046】
形態Cは、178℃で始まる吸熱反応によって特徴付けられ得、この反応は、わずかにプラトーに達し、次いで、DSCによって測定される場合、193℃においてピークに達する。さらに、この吸熱反応は、TGAによって測定される場合に、9.5〜10.5%の重量損失と同時に起こり、化学的分解に原因がある。
【0047】
形態Cは、25℃において少なくとも0.02mg/mLの水への溶解度を示す。
【0048】
形態Cは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままである。さらに、形態Cは、最大60%相対湿度(RH)までで無視できる程度の重量増加を示し、T=25℃において0% RHから90% RHまでで0.15%の低い総重量増加を示す。
【0049】
形態Cは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって化学的に安定なままである。
【0050】
(形態Fの調製および特徴付け)
形態Fを、化合物Iの結晶性形態である。
【0051】
結晶性形態Fを、形態Cから調製し得、上記方法は、以下の工程を包含する:
i)形態Cの酢酸エチルスラリーを調製する工程、
ii)冷ヘキサンで2時間にわたって沈殿を誘導する工程、および
iii)得られた固体を濾過および乾燥させて、化合物I、形態Fを与える工程。
【0052】
別の実施形態において、形態Fは、形態Gを120℃において大気圧下で加熱すると、形態G(以下に記載される)から得られ得る。
【0053】
形態Fの代表的XRPDパターンを、図11に提供する。XRPDにおいて観察されるような代表的ピークは、以下の表IIIに提供される:
【0054】
【表3】
形態Fを、図12に示されるように、1H NMRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0055】
形態Fは、図13に示されるように、FT−IRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0056】
形態Fは、DSCによって測定される場合、160℃で始まって、165℃でピークに達する吸熱反応事象によって特徴付けられる。さらに、この熱事象は、TGAによって測定される場合、130℃と180℃との間で6.8%の正味の重量損失と同時に起こり、化学的分解に原因があるとする。
【0057】
形態Fは、25℃において少なくとも0.021mg/mLの水への溶解度を示す。
【0058】
形態Fは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままである。さらに、形態Fは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって化学的に安定なままである。
【0059】
形態Fは、GVSによって認められる場合、40% RHにおいて1%、90% RHにおいて最大1.1%の水の総重量増加を示す。
【0060】
(形態Gの調製および特徴付け)
形態Gは、化合物Iの結晶性形態である。さらに、水の存在下で、形態Gは、その水和物、形態Qになる。
【0061】
結晶性形態Gは、結晶性形態Cから調製され得、上記方法は、以下の工程を包含する:
i)形態Cの酢酸エチルスラリーを調製する工程、
ii)冷ヘキサンで24時間にわたって沈殿を誘導する工程、および
iii)上記得られた固体を濾過および乾燥させて、化合物I、形態Gを得る工程。
【0062】
別の実施形態において、形態Gは、0℃において3日間にわたって、次いで、25℃においてさらに3日間、水中で形態Aをスラリーにし、続いて、乾燥させることによって、調製され得る。
【0063】
さらに別の実施形態において、形態Gは、MeOH:H2O 8:2中、24時間にわたって形態Aのスラリーを調製することによって、得られ得る。
【0064】
形態Gの代表的XRPDパターンは、図17に提供される。XRPDにおいて観察されるような代表的ピークは、以下の表IVにおいて提供される:
【0065】
【表4】
形態Gは、図18に示されるように、1H NMRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0066】
形態Gは、図19において示されるように、FT−IRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0067】
形態Gは、DSCによって測定される場合、156℃において始まって、163℃においてピークに達する吸熱反応事象によってさらに特徴付けられ得る。さらに、このことは、TGAによって測定される場合、95℃〜175℃の間で6.5%の正味の重量損失と同時に起こり、このことは、化学的分解に原因があるとされ得る。形態Gは、DSCによって測定される場合、36℃において始まって、61℃においてピークに達する第2の吸熱反応によってさらに特徴付けられ得る。このことは、TGAによって測定される場合、25℃〜70℃の間の2.9%の正味の重量損失に対応する。
【0068】
形態Gは、25℃において少なくとも0.020mg/mLの水への溶解度を示す。
【0069】
形態Gは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままである。さらに、形態Gは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって化学的に安定なままである。
【0070】
形態Gは、非常に吸湿性であり、GVSによって認められるように、10% RHにおいて1%(重量で)の全水増加(total water gain)および90% RHにおいて8%より高い水の重量増加を示すことがわかった。
【0071】
形態Gを、約130℃より高く加熱して、形態Fに変換した。
【0072】
形態Gは、ある温度範囲(例えば、20℃〜50℃)において、水の添加後2時間、5時間および24時間、形態Qへ変換することが示された。
【0073】
形態Q、形態QのXRPDは、図29に示される。
【0074】
(形態Cの製造の間に生じる代替の固体形態の調製および特徴付け)
これまでに記載された化合物Iの上記3種のニート形態に加えて、いくつかの他の形態(すなわち、溶媒和物、水和物)は、形態Cの製造をもたらす工程の間に検出および特徴付けられた。
【0075】
形態Aは、スキームIIに示されるマルチステップ合成プロセスによって、または米国特許第7,115,746B2号(これは、その全体が本明細書に参考として援用される)に記載される手順に従うことによって、得られ得る:
【0076】
【化3】
スキームIIにおける種々の工程は、以下のように簡潔に記載され得る:
工程A:6−クロロ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−ニコチン酸 エチルエステル IIは、2−クロロニコチン酸からの合成によって利用可能である。出発物質IIを、保護アリールアミン(例えば、Boc−2,6−ジフルオロアニリン IIIと、適合性の溶媒(例えば、トルエンもしくはNMP)中、選択肢的な遷移金属触媒(例えば、Pd(OAc)2)、選択肢的な配位子(例えば、BINAP)、アルカリ金属塩(例えば、炭酸セシウムもしくはK3PO4)の存在下でカップリングして、Boc−保護カップリング生成物IVを得る。次いで、上記Boc−保護カップリング生成物IVを、適切な溶媒(例えば、塩化メチレン)中の酸(例えば、TFA)と反応させて、式IVの保護されていない化合物を、そのHCl塩の形態で得る。
【0077】
工程B:IVのエステル官能基は、溶媒(例えば、THF)中の塩基(例えば、NaOH)の存在下で鹸化され、次いで、酸(例えば、HCl)の存在下で酸性化されて、Vを形成する。または、代わりに、上記エステルは、先生条件下で(例えば、HClを使用して)切断され得る。
【0078】
工程C:次いで、化合物Vは、ホスゲンもしくはジホスゲンと、続いて、NH4OHと反応させられて、上記アミド−尿素化合物Iを形成する。後処理および結晶化の後に、上記生成物は、形態Aとして特徴付けられる結晶性固体形態で得られる。
【0079】
形態Qは、形態Gの水和物である。両方とも、形態Cを製造するために使用されるプロセスの間に混合物として出現し得る。
【0080】
別の形態、形態Pを、形態Cを形態Aから調製するために使用されるMeOH再結晶化工程の間に、検出した。形態Pは、以下で特徴付けられる。形態Pの温度可変(variable−temperature)X線回折(VT−XRD)が、25℃から50℃まで5℃の増分で行われ、かつ得られた固体が、周囲条件に冷却し戻された場合、形態Pが約40℃において形態Aへと移行し、室温に冷却し戻されると、形態Pへ戻ることが観察された。このことは、形態Aおよび形態Pが、互変的に関連し、形態Pが、室温で上記2種のより安定なものであることを示唆した。形態Aおよび形態Pはともに、MeOH溶媒和物である。
【0081】
(形態Aの調製:アプローチ)
形態Aは、上記で議論されるように、スキームIおよびスキームIIにおける工程に従うことによって得られる。形態Aは、上記の結晶化技術Mおよび溶媒としてMeOHを使用することによって、結晶性固体として形態Cから得られ得る(上記濾液から得られ得る)。
【0082】
異なる実施形態において、形態Aは、本明細書で記載される結晶化方法SEもしくはFEによって、試験溶媒としてMeOHを使用して、形態Cから得られ得る。
【0083】
(形態Aの調製および特徴付け)
上記XRPDスペクトルにおいて観察されるような代表的ピークは、以下の表Vに提供される:
【0084】
【表5】
形態Aは、非溶媒和物形成溶媒(例えば、MeOH:H2O (1:1))でスラリーにする際に、本明細書に記載される結晶性形態Cになることが示された。
【0085】
形態Aは、図27に示されるようなFT−IRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0086】
形態Aは、DSCで、43.8℃で始まって、74.3℃でピークに達する広い吸熱反応によって特徴付けられ得る(図25)。さらに、形態Aは、93℃および111℃において2つの他の吸熱反応によって特徴付けられ得、これら吸熱反応は、溶媒損失(MeOH)に原因があるとされる。さらに、これらは、TGAによって示される場合、25℃〜115℃の間で約1.5%の総重量損失と同時に起こる(図26)。
【0087】
形態Aは、約50℃未満に冷却すると、形態Pへ変換することが示された。
【0088】
別の実施形態において、形態Aは、スキームIに記載されるように、形態Gに変換することが示された。
【0089】
(形態Pの調製および特徴付け)
形態Oは、化合物Iの結晶性形態、モノ酢酸エチル溶媒和物であり、酢酸エチル中で形態Fをスラリーにすることによって、形態Fから得られ得る。
【0090】
形態Oは、室温における単結晶X線によって観察されるように、空間群P2(1)/cを有し、以下の単位格子寸法を有する:
a=11.014Å、b=26.857Å、c=7.944Å
α=90°、β=88.091°、γ=90°
δcalc(g/cm3)=1.460。
【0091】
(形態Pの調製および特徴付け)
形態Pは、化合物Iの結晶性形態であり、スキームIにおいて示されるように、(例えば、約50℃未満に冷却することによって)形態Aから得られ得る。
【0092】
別の実施形態において、形態Pは、形態Gもしくは形態Cから得られ得る。
【0093】
形態Pの代表的XRPDパターンは、図30に提供される。代表的ピークは、上記XRPDにおいて観察されるように、以下の表VIにおいて提供される。
【0094】
形態Pは、それぞれ、図32および図33において提供される代表的TGAトレースおよびDSCトレースによって特徴付けられ得る。
【0095】
【表6】
形態Pは、4℃において72時間の貯蔵後に、形態Gへ変換することが示された。別の実施形態において、形態Pは、非溶媒和物形成溶媒(例えば、MeOHおよび水)中で形態Pのスラリーを形成することによって、形態Cに変換することが示された。
【0096】
(形態Qの調製および特徴付け)
形態Qは、化合物Iの結晶性形態であり、化合物Iの1:1水和物として特徴付けられてきた。
【0097】
形態Qは、水を形態Gに添加し、得られた固体を室温において貯蔵することによって、得られ得る。
【0098】
形態Qの代表的XRPDパターンは、図29に提供される。上記XRPDにおいて観察されるような代表的ピークは、以下の表VIIに提供される。
【0099】
【表7】
(化合物Iの固体形態の評価およびその方法)
一局面において、本発明は、化合物Iの固体形態(例えば、形態A、C、F、G、O、P、およびQのような化合物Iの固体形態)を評価するための方法を提供する。上記方法は、以下を含む:
本明細書中で開示される物理的もしくは化学的パラメーター(例えば、粉末X線回折によって測定されるような1個以上のピークの存在もしくは非存在)の評価を提供する工程(この評価において同定される特徴もしくは値は、本明細書中でときおり「サイン」といわれる)、
必要に応じて、上記パラメーターの上記値もしくはサイン(例えば、非存在もしくは存在に相関した値もしくはサイン)が、所定の基準(例えば、存在するか、もしくは所定の範囲に存在するか)を満たすか否かの決定を提供する工程、および
それによって、上記混合物を評価もしくは加工処理する工程。
【0100】
好ましい実施形態において、上記方法は、上記値もしくはサインの、参照との比較を提供して、それによって上記サンプルを評価する工程を包含する。好ましい実施形態において、上記比較は、上記試験値もしくはサインが、上記参照と所定の関係を有するか否かを決定する工程(例えば、それが、上記参照を満たすか否かを決定する工程)を包含する。上記値もしくはサインは、数値である必要はないが、ある形態が存在するかもしくは存在しないかの単に表示であり得る。
【0101】
好ましい実施形態において、上記方法は、試験値もしくはサインが参照以上であるか否か、それが参照以下であるか否か、もしくは一定範囲内に入っているか否か(上記範囲の端点を含むかもしくは端点を除くかのいずれか)を決定する工程を包含する。
【0102】
好ましい実施形態において、上記試験値もしくはサイン、または上記所定の関係が満たされているか否かの表示は、例えば、コンピューター読み取り可能な記録において記憶され得る。
【0103】
好ましい実施形態において、ある決定もしくは工程が行われる(例えば、上記サンプルは、分類されるか、選択されるか、受容されるかもしくは廃棄され、放出されるかもしくはとどめられ、薬物製品に加工処理され、輸送され、新たな場所に移され、処方され、ラベルが貼付され、梱包され、紙上に出され、販売されるか、もしくは販売が企図される。これは、上記所定の基準が満たされるか否かに基づき得、例えば、サイン(上記サンプルが採取されるバッチは、加工処理され得る)が存在するか否かの決定の結果に基づき得る。
【0104】
好ましい実施形態において、本明細書で開示される方法および組成物は、例えば、バッチ間の一致もしくは品質をモニターもしくは保証するために、または基準(例えば、所定の値)に関してサンプルを評価するために、プロセス観点から有用である。
【0105】
好ましい実施形態において、本明細書で開示される方法および組成物は、化合物Iの固体形態(例えば、本明細書に記載される形態A、C、F、G、O、PおよびQ)の試験バッチが、化合物Iの参照もしくは標準(例えば、形態A、C、F、G、O、P、およびQのような化合物Iの固体形態)の特性のうちの1つ以上を有すると予測され得るか否かを決定するために使用され得る。このような特性は、上記薬物の承認された形態の製品挿入物に列挙された特性、概論(例えば、米国局方)に出ている特性、もしくは規制当局(例えば、米国医薬品局(FDA))によって要求される産業的使用に関する特性を含み得る。本明細書で開示される方法によって行われる決定は、このような特性の直接的もしくは間接的な尺度であり得る(例えば、直接的な尺度は、所望の特性が、測定されている主題の実体の所定のレベルである場合であり得る)。間接的測定において、上記測定される主題の実体は、所望の特徴(例えば、本明細書で記載される特徴)と相関する。
【0106】
本明細書に記載される方法のうちのいくつかは、化合物Iの固体形態(例えば、化合物Iの形態A、C、F、G、O、P、およびQ)の物理的もしくは化学的パラメーターを評価する工程を包含する。従って、好ましい実施形態において、本明細書で開示される化学的、物理的、もしくは生物学的パラメーターは、化合物Iの固体形態について評価もしくは決定される(例えば、本明細書で開示される薬物のある形態が、以下のうちの1つ以上について評価される(これらパラメーターのうちの1つ以上の値もしくは評価は、ときおり「サイン」として本明細書でいわれる))。
【0107】
上記パラメーターは、以下の所定のもののうちの1つ以上を有することを含む:
i)粉末X線回折パターンのピーク;
ii)吸熱反応もしくはTm(例えば、DSCにおいて測定される場合);
iii)TGAによって決定される場合、特定の温度もしくは温度範囲での重量増加もしくは重量損失の値。
【0108】
iv)重量増加の値(GVSを使用して測定される場合、例えば、25℃において5%から95%までの相対湿度);
v)水への溶解度についての値;
vi)所定の条件下で実質的に同じ物理的形態もしくは化学的形態のままである能力の尺度;
vii)1H NMRパターンのピーク;
viii)本明細書で開示されるように、FT−IRスペクトルトレース;
ix)特定の単結晶性空間群;および単結晶X線結晶学によって決定される場合、本明細書で開示される単位格子寸法。
【0109】
(処方物、使用、および投与)
(薬学的に受容可能な組成物)
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、本明細書に記載される化合物Iの固体形態(例えば、結晶性のニート固体形態、塩もしくは溶媒和物)および薬学的に受容可能なキャリア、補助剤もしくはビヒクルを含む。本発明の組成物中の上記固体形態もしくは化合物Iの固体形態の量は、生物学的サンプルもしくは患者において、プロテインキナーゼ(特に、p38)を測定可能に阻害するに有効にするものである。好ましくは、本発明の組成物は、このような組成物が必要な患者に投与するために処方される。最も好ましくは、本発明の組成物は、上記患者への経口投与のために処方される。
【0110】
用語「測定可能に阻害する」とは、本明細書で使用される場合、本発明の化合物を含むサンプルと、上記化合物の非存在下でp38キナーゼおよびp38キナーゼを含む透過なサンプルとの間で、キナーゼ活性(特に、p38キナーゼ活性)における特定可能な変化を意味する。
【0111】
用語「患者」とは、本明細書で使用される場合、動物、好ましくは、哺乳動物、および最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0112】
用語「薬学的に受容可能なキャリア」とは、本明細書に記載される化合物Iの固体形態(例えば、ニート固体形態、塩もしくは溶媒和物)と一緒に患者に投与され得、その薬理学的活性を損なわない、非毒性のキャリアをいう。
【0113】
よって、本発明の別の局面において、薬学的に受容可能な組成物が提供され、ここでこれら組成物は、本明細書に記載されるような化合物Iの固体形態のうちのいずれかを含み、および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリア、補助剤もしくはビヒクルを含む。さらに、特定の実施形態において、これら組成物は、必要に応じて、1種以上のさらなる治療剤を含む。このような薬剤としては、抗生物質、抗炎症剤、鎮痛剤、マトリクスメタロプロテアーゼインヒビター、リポキシゲナーゼインヒビター、サイトカインアンタゴニスト、免疫抑制剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、サイトカイニン、増殖因子、免疫調節因子、プロスタグランジン、抗リウマチ薬もしくは抗血管過増殖化合物(anti−vascular hyperproliferation compound)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
別の実施形態において、上記さらなる治療剤は、抗炎症剤、鎮痛剤、抗癌剤、抗増殖化合物、抗リウマチ薬剤、トロンビン誘導性血小板凝集を阻害するために使用される薬剤、免疫調節因子、アレルギーの症状を処置するための薬剤、もしくは破壊性骨疾患(destructive bone diseases)(例えば、閉経後骨粗鬆症)を処置するための薬剤から選択され得る。
【0115】
さらに別の実施形態において、上記化合物Iの固体形態を含む組成物は、さらなる抗炎症剤、鎮痛剤もしくは抗リウマチ剤と組み合わせて投与され得る。抗炎症剤は、ステロイド性抗炎症薬(例えば、グリココルチコイド(例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸コルチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン(Florinef(登録商標))、デオキシコルチコステロンアセテート、アルドステロン、デキサメタゾン))、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、アスピリンおよび他のサリチレート、イブプロフェンおよび他のプロフェン(例えば、ナプロキセン)、ジクロフェナクおよび他のアリールアルカン酸、フェナム酸(例えば、メクロフェナム酸)、ピラゾリジン誘導体(例えば、メタミゾール)、オキシカム(例えば、ピロキシカム)、ニメスリド、リコフェロンから選択され得るが、これらに限定されない。
【0116】
上記鎮痛剤は、アセトアミノフェン(acetamidophen)(もしくは欧州では、パラセタモール)、COX−2インヒビター(例えば、セレコキシブ)、オピエートもしくはモルヒネ様作用薬(morphinomimetic)(例えば、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジアモルフィン(diaorphine)、ペチジン、ブプレノルフィン)、ジプロクアロン、リドカインから選択され得るが、これらに限定されない。
【0117】
上記抗リウマチ薬剤は、アザチオプリン、シクロスポリンA、D−ペニシラミン、金の塩、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、メトトレキサート、ミノサイクリン、スルファサラジン、TNF−αブロッカー(例えば、Enbrel(登録商標)、Remicade(登録商標)、Humira(登録商標))、インターロイキン−1ブロッカー、B細胞に対するモノクローナル抗体(monoclonal antibiotics)(例えば、リツキサン(登録商標))、T細胞活性化ブロッカー(例えば、Orencia(登録商標))から選択され得るが、これらに限定されない。
【0118】
本発明の化合物の特定のものが、処置のために遊離形態で存在し得ることもまた、認識される。
【0119】
上記のように、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、さらに、薬学的に受容可能なキャリア、補助剤、もしくはビヒクルを含み、これらは、本明細書で使用される場合、所望の特定の投与形態に適切であるように、任意のかつ全ての溶媒、希釈剤、もしくは他の液体ビヒクル、分散補助物質もしくは懸濁補助物質、界面活性剤、等張剤、濃化剤もしくは乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤などを含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的に受容可能な組成物を調製する際に使用される種々のキャリアおよびその調製のための公知の技術を開示している。任意の従来のキャリア媒体が本発明の化合物Iの固体形態と(例えば、任意の所望でない生物学的効果を生じるか、もしくは別の方法で上記薬学的に受容可能な組成物の任意の他の成分と有害な様式で相互作用することによって)不適合である範囲を除いて、その使用は、本発明の範囲内であると予期される。いくつかの場合において、上記処方物のpHは、その処方された化合物の安定性もしくはその送達形態を増強するために、薬学的に受容可能な酸、塩基もしくは緩衝化剤で調節され得る。
【0120】
薬学的に受容可能なキャリアとして働き得る物質のいくつかの例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、もしくはソルビン酸カリウム)、飽和植物性脂肪さんの部分グリセリド混合物、水、塩もしくは電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ、三ケイ酸マグネシウム)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、糖類(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン(例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン);セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セチルセルロースおよび酢酸セルロース);粉末化トラガカントガム;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤(例えば、カカオ脂および坐剤用ワックス);油(例えば、ラッカセイ油、綿実油);サフラワー油;ごま油;オリーブ油;コーン油および大豆油;グリコール(例えば、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);寒天;緩衝化剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);アルギン酸;発熱物質非含有水;等張性生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝化溶液、ならびに他の非毒性の適合性滑沢剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)が挙げられるが、これらに限定されず、同様に、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤および芳香剤、保存剤および抗酸化剤もまた、処方者の判断に従って、上記組成物中に存在し得る。
【0121】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸に、鼻内に、口内に、膣に、もしくは移植されるレザバを介して、投与され得る。用語「非経口的」とは、本明細書で使用される場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄内、眼内、肝臓内、病変内、および頭蓋内の注射もしくは注入技術を含む。好ましくは、上記組成物は、経口投与されるか、腹腔内投与されるか、もしくは静脈内投与される。最も好ましくは、上記組成物は、経口投与される。本発明の組成物の滅菌注射用形態は、水性懸濁物もしくは油性懸濁物であり得る。これら懸濁物は、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤を使用して、当該分野で公知の技術に従って処方され得る。上記滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤もしくは溶媒中の滅菌注射用溶液もしくは懸濁物(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒のなかには、水、リンゲル溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発精油は、溶媒もしくは懸濁媒体として従来から使用されている。
【0122】
この目的で、任意の刺激の強くない不揮発精油が使用され得、これらとしては、合成のモノグリセリドもしくはジグリセリドが挙げられる。脂肪酸(例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体)は、天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油もしくはひまし油)と同様に、特に、それらのポリオキシエチル化バージョンでは、上記調製物もしくは注射可能物において有用である。これら油の溶液もしくは懸濁物はまた、長鎖アルコール希釈剤もしくは薬学的に受容可能な投与形態(エマルジョンおよび懸濁物を含む)の処方物において一般に使用される分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロースもしくは類似の分散剤)を含み得る。他の一般に使用される界面活性剤(例えば、Tween、Spanおよび他の乳化剤または薬学的に受容可能な固体、液体もしくは他の投与形態の製造において一般に使用されるバイオアベイラビリティー増強剤)もまた、所望目的で使用され得る。
【0123】
一局面において、本発明は、上記化合物Iの本質的に全てが、本明細書で開示される第1の固体形態にあり、例えば、本明細書で開示される物理的もしくは化学的パラメーターを評価することによって決定される組成物(もしくは薬学的組成物)を特徴とする。
【0124】
別の局面において、本発明は、例えば、本明細書で開示される物理的もしくは化学的パラメーターを評価することによって決定される場合、本明細書で記載される化合物Iの第1の固体形態、および例えば、本明細書で開示される物理的もしくは化学的パラメーターを評価することによって決定される化合物Iの第2の固体形態を含む組成物(もしくは薬学的組成物)を特徴とする。いくつかの実施形態において、上記第1および第2の固体形態は、少なくとも1つの同構造の部分(すなわち、上記固体形態のうちの1つが富化された領域)を含む。他の実施形態において、化合物Iの上記第1および第2の固体形態は、上記組成物内で不均一である。
【0125】
一局面において、本発明は、本明細書に記載される2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドの固体形態および薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物を特徴とする。いくつかの実施形態において、上記組成物は、水溶液である。いくつかの実施形態において、上記組成物は、固体を含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、経口懸濁物である。いくつかの実施形態において、上記組成物は、固体経口投与形態(例えば、錠剤もしくはカプセル剤)である。
【0126】
(本発明の化合物および組成物の使用)
本明細書に記載される化合物Iの固体形態は、生物学的サンプルもしくは患者におけるp38キナーゼを阻害するために一般に有用である。別の実施形態において、本発明は、患者におけるp38媒介性状態もしくは疾患を処置するかもしくはその重篤度を軽減するための方法を含み。用語「p38媒介性疾患」とは、本明細書で使用される場合、特に、p38がある役割を果たすことが公知である任意の疾患もしくは他の有害な状態を意味する。用語「生物学的サンプル」とは、本明細書で使用される場合、エキソビボサンプルを意味し、それらとしては、細胞培養物もしくはその抽出物;組織もしくは器官サンプルまたはその抽出物、哺乳動物から得られた生検材料もしくはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、もしくは他の体液またはそれらの抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
別の実施形態において、上記化合物Iの固体形態および本明細書に記載されるそれらの薬学的に受容可能な組成物は、急性および慢性の炎症性疾患、癌、自己免疫疾患、免疫不全障害、破壊性骨障害(例えば、閉経後骨粗鬆症)、増殖性障害、感染性疾患、ウイルス疾患、アレルギー、喘息、火傷および神経変性疾患の処置のために有用である。これら固体形態および組成物はまた、細胞死および過形成を予防するための方法において有用であり、従って、脳卒中、心臓発作、器官の低酸素症における再灌流/虚血を処置もしくは予防するために使用され得る。これら固体形態および組成物はまた、トロンビン誘導性血小板凝集を予防するための方法において有用である。
【0128】
用語「処置(treatment)」とは、本明細書で使用される場合、別段示されなければ、本明細書に記載される方法において提供されるように、障害もしくは疾患の処置(治癒、上記障害の症状を軽減すること、もしくは上記障害の進行を遅らせることが挙げられる)を意味する。用語「処置する(treat)」および「処置する(treating)」とは、前述の用語「処置」に従って定義される。
【0129】
処置され得る炎症性疾患としては、関節リウマチ(RA)、乾癬、クローン病、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎および強直性脊椎炎、炎症性腸疾患の他の形態、急性特発性多発性神経炎、狼瘡、視神経炎、側頭動脈炎、急性および慢性の膵炎、神経炎、慢性肺閉塞および火傷が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
処置され得る自己免疫疾患としては、糸球体腎炎、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病および移植片対宿主病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
処置され得る破壊性骨障害としては、骨粗鬆症、変形性関節症、および多発性骨髄腫関連骨障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
処置され得る増殖性障害としては、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポージ肉腫、および多発性骨髄腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
処置され得る感染性疾患としては、敗血症、敗血性ショックおよび細菌性赤痢が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
処置され得るウイルス性疾患としては、急性肝炎感染(A型肝炎、B型肝炎、およびC型肝炎を含む)、HIV感染およびCMV網膜炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
処置され得る変性性疾患としては、アルツハイマー病、パーキンソン病および脳虚血が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
別の局面において、本明細書で開示される方法および組成物は、上記混合物中の1種以上の化合物Iの固体形態の存在、分布もしくは量が、生物学的活性を有し得るかもしくは上記活性に影響を及ぼし得る場合に使用され得る。上記方法はまた、生物学的等価性を評価もしくは確実にするために、構造−活性予期(structure−activity prospective)から、有用である。
【0137】
1種以上の化合物Iの固体形態を含む本発明の組成物は、インビボでおよび患者において、慢性炎症性疾患、癌、自己免疫疾患、免疫不全障害、破壊性骨障害(例えば、閉経後骨粗鬆症)、増殖性障害、感染性疾患、ウイルス性疾患、アレルギー、喘息、火傷および神経変性疾患を処置するための従来の様式において使用され得る。このような処置方法、それらの投与レベルおよび要件は、利用可能な方法および技術から、当業者によって選択され得る。
【0138】
(本発明の化合物および組成物の投与)
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物Iの固体形態は、組成物(例えば、固体、液体(例えば、懸濁物)として投与されるか、もしくは静脈内注射される(例えば、化合物Iの固体形態は、液体に溶解され、静脈内注射される)。
【0139】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、上記疾患に対する治療の効果を増大させるために、さらなる治療剤(例えば、上記で記載されるもの)とともに投与される。上記さらなる治療剤(例えば、上記で記載されるもの)は、組成物(例えば、固体、液体(例えば、懸濁物)として投与され得るか、または静脈内注射され得る(例えば、化合物1の形態が、液体に溶解され、静脈内投与される)。上記さらなる薬剤は、上記化合物Iの固体形態を含む組成物の投与の前(例えば、約1日、約12時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、約1時間、約30分もしくは約15分、もしくはそれ以下)、投与の間、または投与後(例えば、約15分、約30分、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、もしくは約1日、もしくはそれ以上)に、投与され得る。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態を含む組成物はまた、上記さらなる治療剤(例えば、固体、液体(例えば、懸濁物))を含み、静脈内(例えば、化合物1のある形態は、えきたいに溶解され、静脈内投与される)組成物は、本明細書に記載される化合物Iの固体形態および少なくとも1種のさらなる治療剤(例えば、抗炎症剤(例えば、上記に記載されるもの))を含む。
【0140】
本発明の薬学的組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、眼用溶液もしくは軟膏剤を介して、直腸に、鼻内に、口内に、膣に、または移植されるレザバを介して、投与され得る。本発明の薬学的組成物は、任意の従来の非毒性の薬学的に受容可能なキャリア、補助剤もしくはビヒクルを含み得る。いくつかの場合において、上記処方物のpHはまた、上記処方される化合物の安定性もしくはその送達形態を増強するために、薬学的に受容可能な酸、塩基もしくは緩衝化剤で調節され得る。用語「非経口的」とは、本明細書で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄内、病変内、および頭蓋内の注射もしくは注入技術を含む。
【0141】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投与形態(カプセル剤、錠剤、および水性懸濁物および溶液が挙げられるが、これらに限定されない)で経口投与され得る。経口用途のための錠剤の場合、一般に使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、代表的には、添加される。カプセル剤形態での経口投与については、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁物および溶液ならびにプロピレングリコールが経口投与される場合、上記活性成分は、乳化剤および懸濁剤と合わされる。望ましい場合、特定の甘味剤および/もしくは矯味矯臭剤および/もしくは着色剤は、添加され得る。
【0142】
上記活性化合物はまた、上位のような1種以上の賦形剤で微小被包形態にあり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体投与形態は、コーティングおよび殻(例えば、腸溶性コーティング、放出制御コーティングおよび製薬分野で周知の他のコーティング)とともに調製され得る。このような固体投与形態において、上記活性化合物は、少なくとも1種の不活性希釈剤(例えば、スクロース、ラクトースもしくはデンプン)と混合され得る。このような投与形態はまた、通常の実務にあるように、不活性希釈剤以外のさらなる物質(例えば、錠剤形成滑沢剤、および他の錠剤形成補助物質(例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロース)を含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、上記投与形態はまた、緩衝化剤を含み得る。それらは、必要に応じて、不透明化剤を含み得、また、それらが上記活性成分のみを放出するか、もしくは腸管の特定の部分において、必要に応じて遅延した様式で優先的に上記活性成分を放出する組成物であり得る。使用され得る埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0143】
本発明の薬学的組成物はまた、直腸投与もしくは膣投与のための坐剤の形態で投与され得る。これら組成物は、本発明の化合物と、室温で固体であるが直腸温では液体であるので、直腸で融解して、上記活性成分を放出する適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって、調製され得る。このような物質としては、カカオ脂、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
本発明の薬学的組成物の局所投与は、所望の処置が、局所投与によって容易に接近可能な領域もしくは器官に影響を及ぼす場合に特に有用である。皮膚へ局所的に投与するために、上記薬学的組成物は、キャリア中に懸濁もしくは溶解された活性成分を含む適切な軟膏剤とともに処方されるべきである。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアとしては、ミネラルオイル、流動パラフィン(liquid petroleum)、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、上記薬学的組成物は、キャリア中に懸濁もしくは溶解された上記活性化合物を含む適切なローション剤もしくはクリーム剤とともに処方され得る。適切なキャリアとしては、ミネラルオイル、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の薬学的組成物はまた、直腸坐剤処方物によって、もしくは適切な浣腸処方物において下部腸管に局所適用され得る。局所的に投与される経皮パッチはまた、本発明に含まれる。
【0145】
本発明の薬学的組成物は、鼻用エアロゾルもしくは吸入によって投与され得る。このような組成物は、薬学的処方物の分野で周知の技術に従って調製され、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当該分野で公知の他の溶解剤もしくは分散剤を使用して、調製され得る。
【0146】
眼病用の使用については、上記薬学的に受容可能な組成物は、例えば、等張性のpH調節した滅菌生理食塩水もしくは他の水溶液中の微粉にした懸濁物として、または好ましくは、等張性のpH調節した滅菌生理食塩水もしくは他の水溶液中溶液として、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)ありまたはなしのいずれかで、処方され得る。あるいは、眼病用の使用については、上記薬学的に受容可能な組成物は、軟膏剤(例えば、ワセリン)中に処方され得る。本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、鼻用エアロゾルもしくは吸入によって投与され得る。このような組成物は、薬学的処方物の分野において周知の技術に従って調製され、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の溶解剤もしくは分散剤を使用して、調製され得る。
【0147】
最も好ましくは、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、経口投与のために処方される。
【0148】
経口投与のための液体投与形態としては、薬学的に受容可能なエマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。上記活性化合物に加えて、上記液体投与形態は、当該分野で一般に使用される不活性希釈剤(例えば、水もしくは他の溶媒、溶解剤および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤の他に、上記経口用組成物はまた、補助剤(例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、矯味矯臭剤、および芳香剤)を含み得る。
【0149】
注射用調製物(例えば、滅菌注射用の水性懸濁物もしくは油性懸濁物)は、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術に従って処方され得る。上記滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤もしくは溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁物、もしくはエマルジョン(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル溶液(米国局方)、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の不揮発性油は、溶媒もしくは懸濁媒体として従来から使用されている。この目的で、任意の刺激の強くない不揮発性油が使用され、これらとしては、合成のモノグリセリドもしくはジグリセリドが挙げられる。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)は、注射用物の調製において使用される。
【0150】
上記注射用処方物は、例えば、最近保持フィルタを介する濾過によって、または滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体中に使用前に溶解もしくは分散され得る滅菌固体組成物の形態で、滅菌薬剤を組み込むことによって滅菌され得る。
【0151】
本発明の化合物の効果を長期化するために、皮下注射もしくは筋肉内注射から上記化合物の吸収を遅らせることは、しばしば望ましい。このことは、不十分な水溶解性を有する結晶性もしくは無定形材料の液体懸濁物を使用することによって、達成され得る。次いで、上記化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、続いて、それは、結晶サイズおよび結晶性形態に依存し得る。あるいは、非経口投与される化合物形態の遅延した吸収は、油ビヒクル中に上記化合物を溶解もしくは懸濁することによって達成され得る。注射用デポー形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中に上記化合物の微小被包マトリクスを形成することによって作製される。化合物 対 ポリマーの比および使用される特定のポリマーの性質に依存して、化合物放出速度は、制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用処方物はまた、上記化合物を、体組織と適合性のリポソームもしくはマイクロエマルジョン中に捕捉することによって調製される。
【0152】
本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易さおよび投与の均一性のために投与単位形態で処方される。表現「投与単位形態」とは、本明細書で使用される場合、処置されるべき患者に適切な薬剤の物理的に別個の単位に言及する。しかし、本発明の化合物および組成物の総1日使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解される。
【0153】
約0.01〜約100mg/kg 体重/日の間、好ましくは、0.5〜約75mg/kg 体重/日の間、および最も好ましくは、約1〜50mg/kg 体重/日の間の活性成分である化合物Iの固体形態の投与レベルは、炎症性疾患(例えば、RA、乾癬、クローン病、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎および強直性脊椎炎、炎症性腸疾患の他の形態、急性特発性多発性神経炎、狼瘡、視神経炎、側頭動脈炎、急性および慢性の膵炎、神経炎、慢性肺閉塞症および火傷)の処置のための単一療法において有用である。
【0154】
代表的には、本発明の薬学的組成物は、約1〜5回/日、または代わりに、連続注入として投与される。このような投与は、慢性のもしくは急性の治療として使用され得る。上記キャリア物質と合わせて、単一投与形態を生成し得る活性成分の量は、上記処置される疾患および特定の投与形態に依存して変動する。代表的な調製物は、約5%〜約95%の活性化合物(例えば、本明細書に記載される化合物Iの固体形態(w/w))を含む。好ましくは、このような調製物は、約20%〜約80%の活性化合物を含む。
【0155】
本発明の組成物が、化合物Iの固体形態、および1種以上のさらなる治療剤の組み合わせを含む場合、上記化合物Iの固体形態および上記さらなる治療剤はともに、単一療法レジメンにおいて通常投与される投与量の約10%〜80%の間の投与レベルで存在するべきである。
【0156】
患者の状態の改善に関して、本発明の化合物の維持用量、組成物もしくは組み合わせは、必要であれば、投与され得る。その後、上記投与量、投与形態、もしくは投与頻度、またはこれらの療法は、改変される必要があり得る。しかし、いくつかの場合において、患者は、任意の再発もしくは疾患症状に関する長期の基礎に対する周期的な処置を要し得る。
【0157】
上記に記載されるものより低いもしくは高い用量が、必要とされ得る。任意の特定の患者についての特定の投与量および処理レジメンは、種々の要因(使用される上記特定の化合物の活性、年齢、体重、全身的な健康状態、性別、食事、投与の時間、排出速度、薬物組み合わせ、上記疾患の重篤度および過程、ならびに上記患者の疾患に対する素因および処置する医師の判断が挙げられる)に依存する。
【0158】
本発明の一実施形態は、被験体における疾患(例えば、炎症性疾患(例えば、RA、乾癬、クローン病、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎および強直性脊椎炎、炎症性腸疾患の他の形態、急性特発性多発性神経炎、狼瘡、視神経炎、側頭動脈炎、急性および慢性の膵炎、神経炎、慢性肺閉塞症および火傷))を処置するための方法を提供し、上記方法は、上記被験体に、本明細書に記載される任意の化合物、薬学的組成物、もしくは組み合わせ、および薬学的に受容可能なキャリア(例えば、上記の薬学的に受容可能なキャリア)を投与する工程を包含する。
【0159】
別の実施形態によれば、本明細書に記載される化合物Iのある形態はまた、移植(例えば、外科的に)(例えば、移植可能なデバイスもしくは内在するデバイスによる)によって送達され得る。移植可能なもしくは内在するデバイスは、被験体において恒久的にもしくは一時的にあるように設計され得る。移植可能なおよび内在するデバイスの例としては、コンタクト・レンズ、中心静脈カテーテルおよび鍼無しコネクタ、気管内挿入管、子宮内器具、機械式心臓弁、ペースメーカー、腹膜透析カテーテル、人工関節(例えば、股関節および膝関節置換)、中耳換気用チューブ、尿カテーテル、人工喉頭(voice prostheses)、ステント、送達ポンプ、血管フィルタおよび移植可能な制御放出組成物が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、移植可能なもしくは内在するデバイスは、化合物Iのデポーもしくはレザバとして使用され得る。任意の移植可能なもしくは内在するデバイスは、化合物Iを送達するために使用され得るが、ただし、a)上記デバイス、化合物I、および化合物Iを含む任意の薬学的組成物が、生体適合性である、およびb)上記デバイスは、上記処置される患者に治療的効果を付与するに有効な量の化合物Iを送達もしくは放出し得ることを条件とする。
【0160】
移植可能なもしくは内在するデバイスを介する治療剤の送達は、当該分野で公知である。例えば、Current Interventional Cardiology Reports 2001,3:28−36において刊行されたHofmaらによる「Recent Developments in Coated Stents」(その内容全体は、そこに引用される参考文献を含め、本明細書に参考として援用される)を参照のこと。移植可能なデバイスの他の説明は、米国特許第6,569,195号および同第6,322,847号;ならびに米国特許出願第2004/0044405号、同第2004/0018228号、同第2003/0229390号、同第2003/0225450号、同第2003/0216699号および同第2003/0204168号(これらの各々は、その全体が本明細書に参考として援用される)に見いだされ得る。
【0161】
いくつかの実施形態において、上記移植可能なデバイスは、ステントである。特定の一実施形態において、ステントは、連結された網目状のケーブルを含み得る。各ケーブルは、構造的支持のための金属ワイヤおよび上記治療剤を送達するためのポリマーワイヤを含み得る。上記ポリマーワイヤは、上記治療剤の溶液中に上記ポリマーを浸すことによって、投薬され得る。あるいは、上記治療剤は、ポリマー前駆物質溶液から上記ワイヤを形成する間に、上記ポリマーワイヤ中に埋め込まれ得る。
【0162】
他の実施形態において、移植可能なもしくは内在するデバイスは、上記治療剤を含むポリマーコーティングでコーティングされ得る。上記ポリマーコーティングは、上記治療剤の放出速度を制御するように設計され得る。治療剤の制御された放出は、種々の技術を利用し得る。モノリシック(monolithic)層もしくは異種の溶液を組み込むコーティングおよび/またはポリマー物質中に活性薬剤の分散物を有するデバイスは、公知であり、ここで上記薬剤の拡散は、上記薬剤が上記ポリマーを通って、上記ポリマー−液体界面へ拡散し、周りの液体へと放出されるにつれて、律速になる。いくつかのデバイスにおいて、可溶性物質はまた、上記物質中に溶解もしくは分散され、その結果、さらなる孔もしくはチャネルが、上記物質が溶解された後に残る。マトリクスデバイスは、一般に、同様に拡散制限されるが、上記デバイスの上記チャネルもしくは他の内部幾何はまた、上記薬剤を上記流体へ放出するにおいて役割を果たす。上記チャネルは、放出された薬剤もしくは他の可溶性物質が残される予め存在するチャネルであり得る。
【0163】
腐食性もしくは生分解性のデバイスは、代表的には、上記ポリマー中に物理的に固定化された上記活性薬剤を有する。上記活性薬剤は、上記ポリマー物質全体を通して溶解および/もしくは分散され得る。上記ポリマー物質は、しばしば、不安定な結合の加水分解を介して経時的に加水分解され、このことは、上記ポリマーが上記流体へと腐食することを可能にし、上記活性薬剤を上記流体へ放出する。親水性ポリマーは、疎水性ポリマーと比較して、一般により速い腐食速度を有する。疎水性ポリマーは、ほぼ純粋に活性薬剤の表面拡散を有すると考えられ、表面から内側への腐食を有する。親水性ポリマーは、水が上記ポリマーの表面へと浸透することを可能にすると考えられ、上記表面の下部にある不安定な結合の加水分解を可能にし、ポリマーの均質な腐食もしくは大量の腐食をもたらし得る。
【0164】
上記移植可能なもしくは内在するデバイスのコーティングは、各々が上記治療剤の異なる放出速度を有するポリマーのブレンドを含み得る。例えば、上記コーティングは、ポリ乳酸/ポリエチレンオキシド(PLA−PEO)コポリマーおよびポリ乳酸/ポリカプロラクトン(PLA−PCL)コポリマーを含み得る。上記ポリ乳酸/ポリエチレンオキシド(PLA−PEO)コポリマーは、上記ポリ乳酸/ポリカプロラクトン(PLA−PCL)コポリマーと比較して、より速い治療剤の放出速度を示し得る。経時的に送達される治療剤の上記相対的な量および投与速度は、上記よりゆっくり放出するポリマーに対して、より速く放出するポリマーの相対的な量を制御することによって制御され得る。より速い最初の放出速度のために、上記より速く放出するポリマーの割合が、上記よりゆっくり放出するポリマーに対して増大させられ得る。上記投与量の大部分が、長期間にわたって放出されるのが望ましい場合、上記ポリマーの大部分は、上記ゆっくり放出するポリマーであり得る。上記デバイスは、ポリマー、活性薬剤、および溶媒の溶液もしくは分散物を上記デバイスにスプレーすることによって、コーティングされ得る。上記溶媒は、エバポレートされ得、ポリマーおよび活性薬剤のコーティングが残る。上記活性薬剤は、上記ポリマー中に溶解させられ得るか、そして/または分散させられ得る。いくつかの実施形態において、上記コポリマーは、上記デバイスの上に押し出し成形され得る。
【実施例】
【0165】
本明細書で使用される場合、本願全体を通して使用される全ての略語および慣習は、現代の科学文献におけるものと一致する。例えば、Janet S.Dodd,ed.,The ACS Style Guide:A Manual for Authors and Editors,2nd Ed.,Washington,D.C.:American Chemical Society,1997(その全体が本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0166】
本発明の多くの実施形態は、以下の節において例示される。にも関わらず、種々の改変が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解される。よって、他の実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0167】
(使用される物理的特徴付け技術の説明)
(X線粉末回折(XRPD))
全てのパターンを、以下に記載される5つの系のうちの1つに集めた:
1. 120秒間の獲得時間にわたって加速器電圧40kVおよび電流35mAを有するHighStarアレイ検出器を備えたBruker D8 Discover。各サンプルを、ニッケル製サンプルホルダの中に調製し、その後のパターンを、4〜41°の2θ範囲で2個のフレームに対して集めた。温度可変X線回折(VT−XRD)を、10℃/分の工程間の加熱速度、および温度に達して(at temperature)5分間の平衡時間で、TCU150コントローラを備えたDHS900 Anton Paar加熱ステージによって達成した。
【0168】
2. CuKα照射(40kV,40mA)、θ−θ角度計、自動化発散スリットおよび受容スリット、グラファイト二次モノクロメーター(graphite secondary monochromator)およびシンチレーションカウンターを使用するSiemens D5000回折計。データを、0.02°の段階サイズおよび1秒の段階時間を使用して、連続スキャンモードで、2°〜42°の角度2θ範囲に対して集めた。サンプルを、周囲条件下で作動させ、粉砕なしで受容される場合に粉末を使用して、平らなプレート標本として調製した。約1〜2mgの上記サンプルを、ガラススライドに僅かに押しつけて、平らな表面を得た。非周囲条件下で作動させたサンプルを、熱伝導化合物とともにシリコンウェハ上に載せた。次いで、上記サンプルを、約20℃/分で適切な温度へと加熱し、その後、データ収集を開始する前に、約1分間にわたって等温に保持した。
【0169】
3. CuKα照射(40kV,40mA)、自動化XYZステージ、自動サンプル位置決めのためのレーザービデオ顕微鏡およびHiStar 2次元領域検出器を使用する、Bruker AXS C2 GADDS回折計。X線オプティクスは、0.3mmのピンホールコリメーターと連結された単一のGobelマルチレイヤーミラーからなる。ビーム発散は、約4mmであった。θ−θ連続スキャンモードを、3.2〜29.8°の有効2θ範囲を与える20cmの検出器距離に対してサンプルとともに使用した。このシステムにおけるサンプルの代表的露出時間は、120秒であった。サンプルを周囲条件下で作動させ、粉砕無しで受容される場合、粉末を使用して平らなプレート標本として調製した。約25〜50mgの上記サンプルを、研磨した、ゼロバックグラウンド(510)シリコンウェハ(The Gem Dugout製)へと切断した12mm直径、0.5mm深さの空洞の中に静かに充填した。全ての標本を、静置して、および分析の間にそれら自体のプレート上で回転させて、両方で作動させた。さらなる標本を、内部標準としてシリコン粉末を使用して作動させて、任意のピーク変位(peak displacement)について較正した。回折データを、Kα1成分がEVAを使用して分離した後に、CuKα1(l=1.5406Å)を使用して報告し、上記粉末パターンを、WIN−INDEXを使用するITO法によってインデックスをつけ、生の格子定数を、WIN−METRICを使用して正確にした。
【0170】
4. 精密焦点X線チューブを備えたCuKα照射(40kV,40mA)を使用するShimadzu XRD−6000 X線分粉末回折計。発散および散乱スリット(slids)を1°で設定し、受容スリットを、0.15mmで設定した。NaIシンチレーション検出器は、回折した照射を検出した。3°/分(0.4秒/0.02°工程)で2.5°〜40°までのθ−2θ連続スキャンを使用した。シリコン標準を各日に分析して、機器アラインメントをチェックした。各サンプルを、上記サンプルホルダへ上記サンプルを押しつけることによって、分析のために調製した。
【0171】
5. CuKα照射(40kV,30mA)を使用するInel XRG−3000 X線粉末回折計。これには、湾曲した光位置センサー(curved position−sensitive detector)を備え付けた。データを、0.03°の分解能で、120°の2θ範囲に対してリアルタイムで集めた。サンプルを、シリコン導入物とともにアルミニウムホルダ中に充填し、分析した。シリコン標準物質を、各日に分析して、機器アラインメントについてチェックした。4°〜40°の間の2θ領域のみが、この機器で作動させたデータを示す。
【0172】
(示差走査熱量測定(DSC))
DSCを、以下に記載される2つの機器のうちの1つを使用して集めた:
1. 標準的アルミニウム密閉式パンおよびピンホールで穴を空けた蓋を備えるTA Instrument Q1000シリーズ mDSC。各サンプルを、10℃/分で35℃〜200℃まで、もしくは10℃〜300℃まで、調節なしで上昇させた。エネルギーおよび温度較正標準は、インジウムであった。30mL/分での窒素パージを、上記サンプルに対して維持した。1〜3mgの間のサンプルを使用した。
【0173】
2. インジウムを較正標準としてして使用して、1個のピンホールを有する波形のパンを備えるTA 2920機器。約2〜5mgのサンプルをDSCパンの中に入れ、その重量を正確に記録した。サンプルを、10℃/分の速度で、最大最終温度350℃まで、窒素下で加熱した。
【0174】
(熱重量分析(TGA))
TGAを、以下に記載される2つの機器のうちの1つを使用した集めた:
1. 波形のアルミニウムサンプルパンを備えるTA Instrumens Q5000シリーズ TGA。各サンプルを、10℃/分で周囲温度から300℃へと上昇させた。上記システムを、ニッケル/アルメルで較正した。60mL/分の窒素パージを、上記サンプルに対して維持した。代表的には、2〜10mgのサンプルを、予め風袋測定した白金るつぼに載せた。
【0175】
2. TA機器 TGA 2050。ニッケルおよびアルメル較正標準物質を使用した。約5.0mgのサンプルを、上記パンに入れ、正確に秤量し、上記TG炉に入れた。サンプルを、10℃/分の速度で、最大最終温度300〜350℃まで、窒素中で加熱した。
【0176】
(重量測定式蒸気脱着法(Gravimetric Vapour Desorption)(GVS)研究)
全てのサンプルを、CFRSorpソフトウェアを走らせているHiden IGASorp水分収着分析器で作動させた。サンプルサイズは、代表的には、10mgであった。水分吸収−脱着等温線を、表Xにおいて以下に概説されるように行った(2回のスキャンは、1回の完全なサイクルを与える)。全てのサンプルを、代表的な部屋の湿度および温度(40% RH、25℃)において装填および抜き取った。全てのサンプルを、GVS分析後にXRPDによって分析した。上記標準的な等温線を、25℃において10% RH間隔で、0〜90% RH範囲において行った。
【0177】
【表10】
(赤外分光法;ATR−IRおよびTG−IR)
以下に記載される3つのシステムのうちの1つを使用した:
1. Universal ATRサンプリングアクセサリを備えつけたPerkin−Elmer Spectrum。データを集め、Spectrum V5.0.1ソフトウェアを使用して分析した。
【0178】
2. globar source、Ge/KBrビームスプリッター、および重水素化トリグリシンスルフェート(DTGS)検出器を備えたNicoletモデル560 Fourier transForm IR分光光度計のインターフェースで連結したSeiko Instruments TG/DTA 220。上記IR分光光度計を、温度較正のためにニッケルおよびアルメルを使用して、1週間に1回波長較正した。約10mgのサンプルを、白金パンの中に秤量し、ヘリウムパージしながら、20℃の割合で30℃から300℃へと加熱した。IRスペクトルを、連続して得、各スペクトルは、4cm−1の分離能で32回の同時付加した(co−added)スキャンを代表した。スペクトルを、33秒反復時間で集めた。揮発性物質を、HR Nicolet TGA蒸気層スペクトルライブラリーの検索から同定した。
【0179】
3.中間IRスペクトルを、globar source、Ge/KBrビームスプリッター、および重水素化トリグリシンスルフェート(DTGS)を備えたNicoledモデル860 Fourier transForm IR分光光度計で得た。A spectra−Tech,Inc.拡散反射アクセサリを、サンプリングのために利用した。各スペクトルは、4cm−1のスペクトル分解能での128回の同時付加スキャンを代表する。次いで、バックグラウンドデータを、獲得した。その後、Log 1/R(R=反射率)スペクトルを、互いに対して2つのデータを分配することによって獲得した。上記分光光度計を、使用時にポリスチレンで波長を較正した。
【0180】
(溶解度分析(水中))
これを、最大最終濃度≧10mg/mlの上記化合物の親の遊離形態を与えるように十分、化合物Iを0.25mLの溶媒(水)中に懸濁することによって測定した。上記懸濁物を、25℃で24時間にわたって平衡化し、続いて、pHをチェックし、ガラス繊維C96ウェルプレートを通して濾過した。次いで、その濾液を101倍だけ希釈した。標準物質への参照とともにHPLCによって(表XI)定量し、希釈し、未希釈試験物を注入した。その溶解度を、上記標準物質注入におけるピーク最大と同じ保持時間で見いだされたピーク面積の積分によって計算した。上記フィルタプレート中に十分な固体が存在する場合、上記XRPDを、通常、相変化、水和物形成、無定形化、結晶化などのためにチェックする。
【0181】
【表11】
(1H NMR)
全てのスペクトルを、オートサンプラーを備えたBruker 400MHzシステムに集めた。サンプルを、別段示されなければ、d6−DMSO中に調製した。
【0182】
(Karl−Fisher 水決定研究)
水含有量を、Hydranal Coulomat AG試薬およびアルゴンパージを使用して、Mettler Toledo DL39電量計で測定した。
【0183】
(純度分析(HPLCによる))
純度分析を、ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent HP1100シリーズシステムで、ChemStationソフトウェアv9を使用して行った。特定の条件は、表XIIにまとめる。
【0184】
【表12】
具体的詳細(例えば、機器モデル、装備設定および条件)は、本明細書に記載されるが、当業者は、各分析実験が、機器の誤差およびヒューマンエラーを含むことを認識する。さらに、前述は、実験の実施を具体的機器および/もしくは装備設定に限定することを意味しない。さらに、各実験の正確な結果もしくは測定値は、代表的サンプリングおよび上記サンプルがどのようにして物理的特徴付けの前後で維持されるかに依存する。代表的サンプリングおよび/もしくはサンプル維持における差異は、各実験の正確な結果もしくは測定値に変動を生じ得る。
【0185】
本明細書に記載される場合、全ての2θ値は、その報告された値±0.2°であると解釈されるべきである。例えば、9.5° 2θの注釈を付けられたピーク位置を有するXPRDスペクトルは、9.3〜9.7° 2θ(すなわち、9.5±0.2° 2θ)のピーク位置を表す。
【0186】
(一般的合成スキーム)
スキームI:化合物I,形態Aの調製
【0187】
【化4】
出発物質IIおよびIIIの調製:
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−ニコチン酸 エチルエステル(VI)の調製
【0188】
【化5】
オーバーヘッドスターラー、熱電対、加熱マントル、窒素出口および還流冷却器を備えた窒素パージした3.0Lの四つ口フラスコに、Pd(Ph3)4(5.0g,4.33ミリモル,0.005当量)、炭酸ナトリウム(92.6g,874ミリモル,1.3当量)、2−クロロニコチン酸エチル(126.0g,678モル,1.0当量)、2,4−ジフルオロフェニルボロン酸(125g,791ミリモル,1.2当量)を充填し、続いて、0.5Lのトルエンおよび125mL 変性EtOHを充填した。上記反応系を、82℃へと、N2下で一晩、激しく攪拌しながら加熱した。上記反応混合物のHPLC分析[Tret SM=10分,Tret VI=12分]は、上記出発物質が完全に消費されかつ後の溶出ピークが生じることを示した(2:1 ヘキサン:酢酸エチルを使用して、TLC Rf=0.4による)。上記反応系を室温へと冷却し、上記混合物を、小さなセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、溶媒を、55℃において真空下で除去した。その残渣をEtOAc中に溶解し、洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、セライト(登録商標)を通して濾過し、濃縮した。その生成物を、黄色固体(162g,91.0%収率)として得た。
【0189】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−オキシ−ニコチン酸 エチルエステル(VII)の調製)
【0190】
【化6】
オーバーヘッドスターラー、熱電対および冷却器を備えた窒素パージした12Lの五つ口フラスコに、ジアリールピリジンVI(144g,548ミリモル,1.0当量)および4LのCH2Cl2を充填した。攪拌しながら、m−CPBAを5分間かけて添加した。その温度は、45分間で22℃から38℃へと徐々に上昇した。HPLC分析[Tret VI=12分,Tret VII=10分]が>97%消費を示すまで、窒素下で激しく攪拌し続けた。上記反応系を室温へと冷却し、上記反応系を室温へと冷却し、その内容物を、3Lの水にゆっくりと注いだ。ペルオキシド試験(デンプン/I2ペーパー)が上記混合物中にペルオキシドが残っていないことを示すまで、Na2SO3をゆっくりと添加した(20℃から33℃への発熱反応)。水層を除去し、有機層を飽和NaHCO3(約3L)で洗浄した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、褐色の粘稠性の油状物へと濃縮した。これを、MTBE(2L)中で攪拌して、白色の沈殿物を得た。これを濾過によって集め、MTBEで洗浄し、真空下で乾燥させて、中間体化合物VIIを得た(692g,67%収率)。
【0191】
(6−クロロ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−ニコチン酸 エチルエステル(II)の調製)
【0192】
【化7】
還流冷却器、加熱マントルおよび熱電対を備えた窒素パージした500mLの三つ口フラスコに、N−オキシド VII(21g,75ミリモル,1.0当量)を充填し、続いて、150mL ジクロロエタンを充填した。オキシ塩化リン(75mL)を攪拌しながら一度に全て添加したところ、21〜23℃へと急激な温度上昇を引き起こし、続いて、その後に徐々に温かくなった。上記溶液を、HPLC分析[Tret VII=10分,Tret II=17分]が>94%消費を示すまで、70〜75℃へと窒素下で加熱した。上記反応系を室温へと冷却し、その内容物を真空下で濃縮して、上記POCl3の大部分を除去した。残りを、450gの氷の上にゆっくりと注ぐことによってクエンチした。上記氷が溶けた後、その生成物を塩化メチレンへ(2×200mL)。と抽出した。その合わせた有機物を乾燥させ(MgSO4)、シリカを通して濾過し、塩化メチレンで溶出し、橙色固体 II(16.8g,75%収率)へと濃縮した。
【0193】
(tert−ブチル2,6−ジフルオロフェニルカルバメート(III)の調製)
【0194】
【化8】
Boc−2,6−ジフルオロアニリン(4.5mL,42mmol,1.0当量)およびBoc無水物(11.1g,51mmol,1.2当量)を、THF中で混合し、この混合物に、1M NaHMDS(100mL,100mmol,2.3当量)を室温にて添加した。HPLC−MSによって、所望の生成物[M+1]=230の形成を確認した。50mLのブラインを添加し、上記THFをエバポレートし、EtOAc(2×100mL)へと抽出した。その合わせた有機物をブライン(1×50mL)で洗浄し、続いて、クエン酸(2×10%)で洗浄した。得られた溶液をMgSO4無水物で乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮して、橙色固体を得、これを、次の工程においてさらに生成せずに直接使用した。HPLCでの保持時間は、15分であった。
【0195】
(工程A:2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(2,6−ジフルオロフェニルアミノ)−ニコチン酸 エチルエステル(IV)の調製)
【0196】
【化9】
方法A:
窒素パージしたフラスコに、酢酸パラジウム(13.2g,59ミリモル,0.04当量)、ラセミBINAP(36.6g,59ミリモル,0.04当量)、続いて、1.9L トルエンを充填した。その不均質なスラリーを、窒素下で2時間にわたって50℃へと加熱し、30℃へと冷却し、次いで、ピリジルクロリド II(386.4g,1.45モル,1.0当量)およびBoc−2,6−ジフルオロアニリン III(386.4g,1.69モル,1.2当量)、ならびにK3PO4(872g,4.1モル,2.8当量)を全て一度に添加し、続いて、1.9L トルエンですすいだ。上記不均質な反応混合物を、100℃へと一晩加熱し、HPLCによってモニターした。上記反応系がHPLCによって43へ完全に変換したことが示された場合[Tret II=17分,Tret 43=20.5分,Tret IV=17.6分,229nmでモニターした](通常、18〜20時間の間)、上記反応系を室温へと冷却し、その内容物を1.94L EtOAcで希釈した。これに、1×1.94Lの6N HClを添加し、両方の層を、セライトを通して濾過した。上記セライトの湿ったケーキを、2×1.9L EtOAcですすいだ。上記層を分離し、その有機層を、1×1.9Lのブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、褐色の粘性油状物へと濃縮した。上記Boc保護基を除去するために、上記油状物を1.94Lの塩化メチレン中に溶解し、388mL TFAを添加した。上記反応系を一晩攪拌して、Boc除去を促進した。その揮発物質を真空中で除去し、EtOAc(1.9L)および十分量の1Nもしくは6NのNaOHを、そのpHが2〜7になるまで添加した。次いで、十分量の5% NaHCO3を添加して、そのpHを8〜9にした。その有機層を分離し、1×5% NaHCO3で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、褐色油状物/液体へと濃縮した。上記粗製油状物/液体を、十分量のトルエンで2回、共乾燥させた(azeodried)。遊離塩基が沈殿したときに、スラリーが生じる。その残渣を、500mL トルエン中に溶解し、1.6Lの1N HCl/エーテル溶液を添加したところ、砕けるその固体HCl塩を生じた。上記均質化したもの/固体が壊れるまで、熱を加えた。必要であれば、200mLのEtOAcを添加して、壊れるのを促進し得る。冷却後、上記固体IVを真空濾過によって単離し、EtOHから再結晶化した。これら2つの連続した工程に関する収率は、通常、50〜70%の間の範囲であった。
【0197】
(方法B)
オーバーヘッドメカニカルスターラー、加熱マントル、還流冷却器、および熱電対を備えた1Lの四つ口丸底フラスコ中に、II(50g)、Cs2CO3(150g)および0.15LのNMPを充填した。上記溶液を激しく攪拌し、65℃へと加熱し、その時点で、上記懸濁物に、0.10LのNMP中のIII(60g)の溶液を10分間かけて添加した。65℃で18時間にわたって加熱したところ、HPLCによって、IIから所望のBoc付加物へと約85%が転換したことが示された。このときに、その温度は、75℃へと上昇し、さらに18時間にわたる加熱ののち、HPLC分析から、IIから所望のBoc付加物Boc−IV(示さず)へと約97%が変換したことが示された。次いで、上記混合物を、20℃へと冷却し、2.0Lの水の中へと一度に注ぎ、オーバーヘッドメカニカルスターラーおよび熱電対を備えた3Lの四つ口丸底フラスコ中で攪拌した。上記NMP溶液を添加した結果として、上記水の温度は、22℃から27℃へと上昇した。次いで、上記懸濁物を、15℃へと冷却し、黄褐色固体を、濾過によって集め、水ですすぎ、2時間にわたって上記フィルタ上で吸引管層した。次いで、オーバーヘッドメカニカルスターラーおよび熱電対を備えた2Lの四つ口丸底フラスコ中に、上記黄褐色固体および0.8LのCH2Cl2を充填した。上記攪拌した溶液に、70mLのTFAを一度に添加した。周囲温度で2時間攪拌した後、上記Boc保護された物質はHPLCによって全く検出されず、上記混合物を、ロータリーエバポレーションによって濃縮した。上記油状の残渣を0.7L EtOAc中にとり、0.7L 飽和NaHCO3で処理したところ、その間には、気体が生じた。上記EtOAc層を0.25L 飽和NaClで洗浄し、ロータリーエバポレーションによって濃縮した。得られた褐色油状物に、0.2L EtOAcを添加し、上記溶液を、Et2O中のHCl(2.0M 溶液が0.4L)で処理し、60分間にわたって攪拌した。その生成物IV−HCl(黄色粉末)を、濾過によって集めた。上記生成物を、上記粗製塩を、4mL EtOH/g の粗製生成物で還流するまで加熱し、次いで、周囲温度へと冷却することによって再結晶化し得る(70.5%収率)。
【0198】
(工程B:6−1−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−ニコチン酸(V))
【0199】
【化10】
水(590Kg)を、1900L反応器へと充填した。攪拌しながら、塩酸(37%,804Kg)を充填し、続いて、さらなる174Kgの水を添加した。最後に、エステルIV−HCl(90.7Kg,213モル)を充填し、続いて、THFを充填した。上記混合物を、95〜100℃へと36時間にわたって加熱した。この時点で、単純な水洗浄(シリカゲル,F254;3.0×6.5cm;1:4 アセトン:ヘキサン, IV−Rf=0.3,V−Rf=0.2)によってワークアップしたアリコートのTLCから、上記反応の完了が示された。このことを、HPLCによって確認した。36時間後、上記反応温度を、22℃未満に低下させ、得られた混合物を、この温度で3〜4時間攪拌した。得られた沈殿物を濾過によって集めた。その濾過ケーキを、濾液のpHが湿ったpH紙によって3〜4になるまで水で洗浄した(通常は、5回の洗浄)。次いで、上記固体を、THF/水/HCl(1300Kg/84Kg/199Kg)中に溶解し、活性炭(10Kg)で処理して、不純物を除去した。濾過後、水で洗浄し、真空下で乾燥させたところ、生成物V−HClを、白色から黄色の固体(211Kg,78%収率)として得た。
【0200】
(工程C:6−1−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−ウレイド]−2−(4−フルオロ−フェニル)−ニコチン酸(I):)
【0201】
【化11】
窒素パージしたフラスコに、IVのアミノエステルHCl塩(262g,0.67モル,1.0当量)を充填し、続いて、1.2L トルエンを充填した。上記不均質混合物に、ホスゲン(1.93M トルエン溶液が1.4L,2.7モル,4.0当量)を添加し、上記反応系を、50℃へと窒素下で一晩加熱した。上記−NC(O)Cl部分を形成するための反応の進行を、HPLCによってモニターした[Tret IV=17.6分,Tret カルバモイル中間体=19.7分,Tret I=16.4分,229nmでモニターした]。いったん窒素が完全に反応したら、その褐色溶液を約−5℃へと冷却し、NH4OH(0.84L,12.4モル,18.5当量)をゆっくりと滴下した。上記添加が完了に近づくにつれて、固体が形成された。上記スラリーを、1Lの水と一緒に攪拌し、真空濾過によって集めた。その湿ったケーキを、1×390mL トルエンで洗浄して、遅く溶出してくる不純物を除去した。上記生成物をMeOH中の結晶化によりさらに精製して、化合物Iを白色固体として得た。
【0202】
化合物Iはまた、以下に記載されるように合成され得る。
【0203】
(エチル 6−クロロ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)ニコチネート(5)の調製)
【0204】
【化12】
(エチル 2−(2,4−ジフルオロフェニル)ニコチネート(3)の調製)
【0205】
【化13】
オーバーヘッドスターラー、熱電対、加熱マントル、窒素出口および還流冷却器を備えた窒素パージした3.0Lの四つ口フラスコに、Pd(Ph3)4(5.0g,4.33ミリモル,0.005当量)、炭酸ナトリウム(92.6g,874ミリモル,1.3当量)、エチル 2−クロロニコチネート,1(126.0g,678モル,1.0当量)、2,4−ジフルオロフェニルボロン酸,2(125g,791ミリモル,1.2当量)を充填し、続いて、0.5Lのトルエンおよび125mL 変性EtOHを充填した。上記反応系を82℃へと、N2下で一晩激しく攪拌しながら加熱した(反応の完了を、HPLCおよびTLCによって決定した)。上記反応系を室温へと冷却し、上記混合物を、小さなセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、その溶媒を、55℃において真空下で除去した。その残渣を、EtOAc中に溶解し、洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、再びセライト(登録商標)を通して濾過し、濃縮した。上記生成物を、黄色固体として得た。
【0206】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(エトキシカルボニル)ピリジン 1−オキシド(4)の調製)
【0207】
【化14】
オーバーヘッドスターラー、熱電対、および冷却器を装備した窒素パージした12Lの五つ口フラスコに、エチル 2−(2,4−ジフルオロフェニル)ニコチネート,3(144g,548ミリモル,1.0当量)、および4LのCH2Cl2を充填した。攪拌しながら、mCPBAを5分間かけて添加し、その温度を、22℃から38℃へと45分間で徐々に上昇させた(反応の完了を、HPLCによって決定した)。上記反応系を室温へと冷却し、その内容物を、3Lの水へとゆっくり注いだ。ペルオキシド試験(デンプン/I2紙)が上記混合物中にペルオキシドが残っていないことを示すまで、Na2SO3をゆっくりと添加した(20℃から33℃への発熱反応)。上記水層を分離し、上記有機層を、飽和NaHCO3(約3L)で洗浄した。上記有機層を、MgSO4で乾燥させ、濾過し、褐色の粘稠性油状物へと濃縮した。次いで、上記油状物をMTBE(2L)で処理し、攪拌して、白色沈殿物を得、これを、濾過によって集め、MTBEで洗浄し、真空下で乾燥させて、標題化合物4を得た。
【0208】
(エチル 6−クロロ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)ニコチネート(5)の調製)
【0209】
【化15】
還流冷却器、加熱マントルおよび熱電対を装備した窒素パージした500mLの三つ口フラスコに、2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(エトキシカルボニル)ピリジン 1−オキシド,4(21g,75ミリモル,1.0当量)を充填し、続いて、150mL ジクロロエタンを充填した。オキシ塩化リン(75mL)を、攪拌しながら一度に添加したところ、21℃から23℃への急激な温度変化を引き起こし、徐々に温かくなった。上記溶液を、70〜75℃へと窒素下で加熱した(反応の完了を、HPLCによって決定した)。次いで、上記反応系を室温へと冷却し、真空下で濃縮して、上記POCl3のうちの大部分を除去した。その残りを、450gの氷を上にゆっくりと注ぐことによって、クエンチした。次いで、上記混合物(氷が溶けた後)を、塩化メチレン(2×200mL)へと抽出した。その合わせた有機物を乾燥させ(MgSO4)、シリカを通して濾過し、塩化メチレンで溶出し、濃縮して、標題化合物,5を橙色固体として得た。H NMR(500.0MHz, CDCl3) d 8.15(d,J=8.2Hz,1H), 7.54(td,J=8.5,5.0Hz,1H), 7.34(d,J=8.2Hz,1H), 6.96−6.92(m,1H), 6.79−6.74(m,1H), 4.16(q,J=7.2Hz,2 H), 1.10(t,J=7.1Hz,H)ppm。
【0210】
(tert−ブチル 2,6−ジフルオロフェニルカルバメート(7)の調製
【0211】
【化16】
2,6−ジフルオロアニリン,6(4.5mL,42mmol,1.0当量)、およびBoc無水物(11.1g,51mmol,1.2当量)を、THF中に混合し、この混合物に、1M ナトリウムヘキサメチルジシラジド(100mL,100mmol,2.3当量)を室温で添加した(反応の完了を、HPLCによって決定した)。次いで、50mL ブラインを添加し、上記溶液を濃縮し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。その合わせた有機物を、ブライン(1×50mL)で洗浄し、続いて、クエン酸(2×10%)で洗浄した。次いで、上記得られた溶液を、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、標題化合物,7を橙色固体として得、これを、さらに精製せずに次の工程において直接使用した。H NMR(500.0MHz,CDCl3) 7.18−7.13(m,1H), 6.96−6.91(m,2H), 6.06(s,1H)および1.52(s,9H)ppm。
【0212】
(エチル 6−(tert−ブトキシカルボニル(2,6−ジフルオロフェニル)アミノ)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)ニコチネート(8)の調製)
【0213】
【化17】
化合物5(100.82g,0.33mol,1.0当量)、化合物7(101.05g,0.44mol,1.30当量)、および炭酸セシウム(177.12g,0.54mol,1.60当量)の混合物を、DMSO(250mL,2.5容積)中に懸濁し、55〜60℃で48時間にわたって激しく攪拌した(反応の完了を、HPLCによって決定した)。上記混合物を、20〜30℃へと冷却し、1N HCl(水)溶液(540mL,1.60当量)を注意深くかつゆっくりと添加することによって塩基をクエンチし、上記反応混合物の内部温度を30℃未満に維持した。冷却したところ、沈殿物が形成し、これを濾過し、水(2×250mL,2×2.5容積)で洗浄した。上記濾取物(filtrand)を、無水エタノール(1000mL,10容積)中に懸濁し、還流するまで加熱した。上記還流を、30〜60分間にわたって維持し、水(200mL,2容積)を上記混合物に添加した。次いで、上記得られた混合物を、還流するまで再び加熱し、還流を30分間にわたって維持し、その時点で、上記懸濁物を、10℃へと冷却した。次いで、上記得られた固体を濾過し、水(2×250mL,2×2.5容積)で洗浄し、続いて、無水エタノール(250mL,2.5容積)で洗浄し、次いで、真空オーブンに移し、50〜60℃で乾燥させた。標題化合物,8を、白色結晶性固体として得た。(1H NMR, 500MHz; CDCl3) δ8.28(d,1H), 8.12(d,1H), 7.19(q,1H), 6.96(t,2H), 6.81(t,1H), 6.74(t,1H), 4.25(q,2H), 1.50(s,9H), 1.20(t,3H)。
【0214】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(2,6−ジフルオロフェニルアミノ)ニコチン酸(9)の調製)
【0215】
【化18】
化合物8(100g,0.204mol,1.00当量)に、温度を50℃未満に維持しながら濃硫酸(285mL,2.85容積,5.24mol)を蒸留水(465mL,4.65容積)にゆっくりと添加することによって調製した、7M 硫酸溶液を添加した。上記混合物を、上記反応が完了するまで、100±5℃において加熱した。上記混合物を、次いで、30±5℃へと冷却し、さらなる水(750mL,7.5容積)を添加した。次いで、酢酸イソプロピル(2L,20容積)を添加し、上記混合物を15分間にわたって攪拌した。攪拌を停止し、上記相を分離させた。上記水相を分離し、水(7.5容積)を、その有機相に充填した。上記混合物を15分間攪拌し、ポリッシュ濾過し(polish filtered)、次いで、その水相を排出した。上記有機層の総容積は、45±5℃での真空蒸留によって、4容積へと減少した。得られたスラリーを、−10℃へと12時間にわたって冷却し、濾過した。上記濾取を冷酢酸イソプロピル(3容積)で洗浄し、上記固体を50±5℃において真空下で乾燥させて、標題化合物9を白色固体として得た。(1H NMR,500MHz;DMSO−d6) δ 12.50(s,1H), 9.25(s,1H), 8.07(d,1H), 7.39(q,1H), 7.29(m,1H), 7.18(m,3H), 7.09(m,1H), 6.25(m,1H)。
【0216】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド(10)の調製)
【0217】
【化19】
トリホスゲン(38.87g,0.1276mol,0.9当量)および化合物9(51.14g,0.1412mol,1当量)を、反応器に充填した。次いで、無水THF(486mL,9.5容積)を添加し、その透明な溶液を、−30±5℃へと冷却した。THF(103mL,2.5容積)中のジイソプロピルエチルアミン(73.79mL,0.424mol,3.0当量)を、温度を−20℃未満に維持して上記反応器に充填した。添加の後、上記反応混合物を、20±3℃へと加温した。上記混合物を、2時間にわたって攪拌し、次いで、セライト(登録商標)を通して濾過し、そのケーキを、THF(767mL,15容積)ですすいだ。その濾液を、−30℃へと冷却し、無水NH3(3当量)を添加した。得られた白色のスラリーをN2でパージし、最大20±3℃まで1時間にわたって加温した。次いで、上記反応混合物を、0±5℃へと30分間にわたって冷却した。上記混合物を、再び濾過し、上記反応器を、THF(255mL,5容積)ですすいだ。上記ケーキを、H2O(255mL,5.0容積)、続いて、1N H2SO4(10容積)ですすいだ。上記固体を、次いで、真空オーブンに移し、35±3℃で乾燥させて、標題化合物10を白色固体として得た。(1H NMR,500MHz;DMSO−d6) δ 7.97(d,1H), 7.85(s,1H), 7.56(quin,1H), 7.45(q,1H), 7.40(s,2H), 7.28(t,3H), 7.15(td,1H), 7.06(d,1H)。
【0218】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド(10)の固体形態の調製)
【0219】
【化20】
メタノール(6.52L,16.0容積)中の化合物10(407.74mL,1.01mol,1.00当量)のスラリーを、溶液が得られるまで、60℃へと加熱した。次いで、上記反応器の内容物を、48℃へと冷却し、この温度で、結晶化が始まるまで維持し、30分間にわたって攪拌し、次いで、0℃へと冷却した。上記スラリーを濾過し、上記反応器および濾過ケーキを、予め0〜5℃に冷却しておいたメタノール(816mL,2容積)ですすいだ。上記濾過ケーキを真空下で30分間にわたって乾燥させた。次いで、上記固体を上記反応器に戻し、22℃において、1:3 メタノール:水混合物(4.1L,10容積)で、24時間にわたって攪拌した。メタノール(2.05L,5容積)を上記反応器に添加し、1:1 メタノール:水混合物を得た。次いで、この溶液を、さらに24時間にわたって攪拌し、その後、上記混合物を濾過し、上記ケーキを水(818L,2容積)ですすいだ。上記固体を真空オーブンに移し、38℃において乾燥させて、化合物10を白色固体として得た。
【0220】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(2,6−ジフルオロフェニルアミノ)ニコチン酸(9)への代替経路)
【0221】
【化21】
工程A:鹸化:
250mLの丸底フラスコに、化合物5およびTHFを室温において充填した。次いで、1M LiOH溶液をフラスコに添加した。得られた混合物を、約40℃へと約3時間にわたって加熱し、次いで、室温へと冷却し、約2日間にわたって攪拌した。上記反応系を、HPLCによってモニターし得る。撹拌後、上記混合物を移し、100mL 水および100mL DCMで洗浄する。その有機層を分離し、110mLの1N HCl水溶液で中和した。その水層を、DCM(3×100mL)で抽出した。その有機層を合わせ、濃縮して、白色固体化合物20を得た。H NMR(500.0MHz,DMSO) 13.5(bs,OH) d 8.31(d,J=8.3Hz,H), 7.70(d,J=8.2Hz,H), 7.62(dd,J=8.6,15.2Hz,H), 7.35−7.31(m,H), 7.21(td,J=8.5,3.6Hz,H), 3.33(s,H), 2.51(d,J=1.7Hz,H) ppm。
【0222】
工程B:カップリング
100mLの丸底フラスコに、MBTE(10mL)中の化合物20(1.0015g,3.714mmol)を充填し、続いて、化合物6(600μL,5.572mmol)を添加した。得られた混合物を、氷/アセトンバスで−8℃〜−10℃の内部温度へと冷却し、続いて、上記混合物温度を約−5℃未満で維持しながら、カリウム ビス(トリメチルシリル)アミド(9.3mL,9.300mmol)の1M溶液を(1時間かけて)滴下した。塩基の添加後、上記反応混合物を、室温において、20mLの1M HClでクエンチした。上記混合物を、20mL 水および50mL 酢酸エチルで洗浄した。上記水相を、洗浄し、少なくとももう1回、酢酸エチルで洗浄した。その有機層を濃縮し、続いて、DCM(25mL)を添加した。得られた固体を懸濁し、濾過し、50mL DCMで洗浄した。上記個体の分析から、化合物9の存在が確認された。
【0223】
他の実施形態において、上記カップリング工程において使用される塩キはまた、LiHMDS(55℃)、NaHMDS(55℃)、KOtBu、およびnBuLiから選択され得る。
【0224】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド(10)への代替経路)
【0225】
【化22】
いくつかの実施形態において、化合物10を、CDI、THF、NH4OHもしくはトルエン/メチルクロロホルメート/NEt3/NH4OHを使用して、アミド化合物15の段階的形成によって生成し得る。化合物10を、その後、化合物15を溶媒(例えば、CH3CN、DMSO、MeTHF、THF、DMF、もしくはDMSO)中のクロロスルホニルイソシアネートで処理することによって、形成し得る。
【0226】
(詳細な実験手順)
(実施例I:形態Cの調製および物理的特徴付け)
形態Cを、以下の手順を使用して調製した:
前駆物質であるメタノール溶媒和形態A(以下の実施例IVにおいて記載されるように調製)を、20容積の1:3 MeOH:H2O混合物中に、0℃において24時間にわたって溶解した。次いで、より多くのメタノールを添加して、MeOH:H2O 1:1の比を達成した。上記形成されるpptを、濾過によって集め、風乾した。形態Cの1H NMRスペクトルの特徴を、図2に示す。
【0227】
形態Cを、目で見える形態のないサイズが粒子<10mmからなる白色粉末として特徴付けた。純度分析を、HPLCを使用して行ったところ、この粉末が、微意量の分解生成物Yとともに、98.8%純粋であることが示された(HPLCトレース 図10)。
【0228】
表XIIIは、種々の例示的溶媒中の形態Cの代表的なみかけの(平衡化していない)溶解度を含む。このデータを、以下の一般的手順を使用することによって得た:
50(50.0)mgの化合物I、形態Cを、小さなねじ蓋付きバイアル中に秤量した。関連するバイアルを、透明な溶液が得られるまで、一度に添加した。いくつかの場合には、溶解化を、ヒートガンで加熱することによって補助し、次いで、室温へと冷却した。表XIII中に提供されるデータは、代表であり、特定のサンプルのロット間では、いくらかの変動が存在し得る(例えば、約10%)。
【0229】
【表13】
形態Cを、本明細書に記載されるいくつかの物理的特徴付け技術によってさらに特徴付けた。
【0230】
形態Cの例示的XRPDトレースを、図1に示す。形態Cの単結晶(単結晶X線結晶学に適している)を、前述の節に記載される結晶化手順M(形態Cの成熟)を使用して、EtOAcからの形態Aのゆっくりとした再結晶化によって得た。
【0231】
上記結晶充填の模式図は、図6に示される。この形態における分子は、ダイマー化して、そのウレイド(H2NOCNH−)とアミノカルボニル(−OCNHR)基との間に水素結合を形成する。形態Cは、以下の単位格子寸法を有する空間群Ccを有する:a=10.9241Å、b=24.2039Å、c=7.0124Å、α=90°、β=111.0685°、γ=90°、δcalc(g/cm3)=1.552。
【0232】
形態Cの特徴的DSCサーモグラムおよび特徴的TGAサーモグラムは、それぞれ、図4および図5に示される。僅かにプラトーに達し、次いで、193℃でピークに達する、178℃で始まる吸熱反応は、DSCにおいて測定される。さらに、この吸熱反応は、TGAによって測定される9.5〜10.5%の重量損失と同時に起こる。
【0233】
形態Cの特徴的FT−IRスペクトルは、図3に示される。
【0234】
安定性研究において、形態Cは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的および化学的形態のままであることがわかった(図9を参照のこと)。
【0235】
そのGVSトレース(図8)の分析の際に、形態Cは、最大60% RHまでで無視できる程度の重量増加、およびT=25℃において0から90%へのRHで0.15%の低い総重量増加を示した。
【0236】
(実施例II:形態Fの調製および物理的特徴付け)
形態Fを、以下の手順を使用して調製した:
60mgの化合物I,形態Cを、10mLの酢酸エチル中で30分間にわたって、攪拌しながらスラリーにした。次いで、上記スラリーを、0.45μm PTFEフィルタを通して濾過した。その濾液を、−20℃に予め冷却しておいた50mLのヘキサン中へ粉砕した(triturated)。沈殿が直ぐに起こった。−20℃において2時間後、上記固体を濾過によって単離し、風乾し、XRPDによって分析した。上記サンプルを白色固体として得、これを、部分的に結晶性であり、目で見える形態がなかった。上記サンプルはまた、微量の形態Cを含んでいた。形態Fの代表的1H NMRスペクトルを、図12に示す。
【0237】
形態Fを、本明細書に記載されるいくつかの物理的特徴付け技術を使用することによって、さらに特徴付けた。
【0238】
形態Fの代表的XRPDパターンを、図11に提供する。単結晶X線結晶学に適した結晶は得られなかった。
【0239】
形態Fの例示的FT−IRスペクトルを、図13に示す。このIRにおける代表的ピークは、以下である:3494nmにおいてNHストレッチ、1720nm、1700nm、1678nmにおけるCOおよびNHたわみ領域ピーク。
【0240】
形態Fの特徴的DSCトレースおよび特徴的TGAトレースを、それぞれ、図14および図15に示す。これらによれば、形態Fは、DSCにおいて測定される場合、160℃で始まって165℃でピークに達する吸熱事象によって特徴付けられる。さらに、この熱事象は、TGAによって測定される場合、および分解に起因して、130℃〜180℃の間で6.8%の正味の重量損失と同時に起こる。
【0241】
形態Fは、25℃において少なくとも0.021mg/mLの水への溶解度を示した。
【0242】
安定性研究において、形態Fは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままであった。さらに、形態Fは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって化学的に安定なままであった。
【0243】
形態Fは、GVSによって認められるように、40% RHにおいて1%、および90% RHにおいて最大1.1%の水の総重量増加を示す(図16)。
【0244】
(実施例III.形態Gの調製および物理的特徴付け)
形態Gを、以下の手順を使用して調製した:
240mgの化合物I,形態Cを、40mLの酢酸エチル中で30分にわたって、攪拌しながらスラリーにした。次いで、上記スラリーを、0.45μm PTFEフィルタを通して濾過した。その濾液を、−20℃に予め冷却しておいた50mLのヘキサン中に粉砕した。沈殿が直ぐに起こった。−20℃で24時間後、上記固体を、濾過によって単離し、風乾し、XRPDによって分析した。上記サンプルを、30℃において48時間にわたってさらに真空乾燥させた。形態Gは、図18に示されるような1H NMRスペクトルによって特徴付けられる。形態Gを白色固体として調製したところ、目に見える形態のない結晶性であることが認められた。水分に曝すと、形態Gは、その水和物である形態Qになる。
【0245】
形態Gの代表的XRPDパターンを、図17に提供する。単結晶X線分析に十分な品質の結晶は、得られなかった。
【0246】
形態Gは、図19に示されるようなFT−IRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0247】
代表的DSCトレースおよびTGAトレースを、それぞれ、図20および図21に示す。これらによれば、形態Gは、DSCによって測定される場合に、156℃で始まって、163℃でピークに達する吸熱反応事象によってさらに特徴付けられ得る。さらに、このことは、TGAによって測定される場合に、95℃〜175℃の間の6.5%の正味の重量損失と同時に起こり、これは分解事象に特徴があり得る。形態Gは、DSCにいて測定される場合、36℃で始まって、61℃でピークに達する第2の吸熱反応によってさらに特徴付けられ得る。このことは、TGAによって測定される場合、25℃〜70℃の間の2.9%の正味の重量損失に対応する。
【0248】
形態Gは、25℃において少なくとも0.020mg/mLの水への溶解度を示す。
【0249】
安定性研究において、形態Gは、40℃/75 %RHにおいて少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままであった。さらに、形態Gは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって化学的に安定なままであった(図26を参照のこと)。
【0250】
形態Gは、非常に吸湿性であることが見いだされ、GVSによって認められるように、10 %RHにおいて1%(重量単位で)の総水増加、および90% RHにおいて8%を超える水の重量増加を示した(図22)。
【0251】
形態Gは、水を添加して2時間後、5時間後、および24時間後に、ある温度範囲(例えば、20℃〜50℃)において形態Qへ変換することが示された。これら結果のまとめについては、図30を参照のこと。
【0252】
(実施例IV.形態Aの調製)
形態Aを、以下および上記のスキームIに詳述される一般的手順によって調製した。
【0253】
適用可能な場合、別段示されなければ、以下のHPLC法を反応モニタリングのために利用した:水:アセトニトリル、0.1% TFA(90:10 −> 10:90 −> 90:10)の勾配を、1mL/分および254nmにおいて、26分間かけて実施した。上記方法は、Zorbax SB Phenyl 4.6×25cmカラム,5μmを利用する。用語「Tret」とは、上記化合物と関連する保持時間(分単位)に言及する。
【0254】
このようにして得られた形態Aを、多くの溶解度研究において使用した。その結果を、以下の表XVに示す。60℃における溶解度もまた、小数の溶媒において測定した。これら結果を、表XVIに示す。
【0255】
【表15】
【0256】
【表16】
形態Aはまた、上記の結晶化方法Mを提供することによって、結晶性固体(上記濾液から得られる)として形態Cから得られ得る。
【0257】
形態Aは、試験溶媒としてMeOHを使用して、本明細書に記載される結晶化方法SEもしくはFEによって得られ得る。
【0258】
(実施例IV−A.形態Aの特徴付け)
形態Aは、100℃へと加熱すると、結晶性形態Cになることが示された。形態Aはまた、40℃/75% RHにおいて1〜4週間貯蔵した後に、本明細書に記載される形態Cになる。
【0259】
形態Aの代表的XRPDパターンを、図24に提供する。
【0260】
形態Aは、図27に示されるようなFT−IRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0261】
上記形態AのDSCトレースおよびTGAトレースを、それぞれ、図25および図26に示す。これらによれば、形態Aは、DSCで、43.8℃で始まって、74.3℃でピークに達する広い吸熱反応によって特徴付けられ得る。形態Aは、93℃および111℃において2つの他の吸熱反応によって特徴付けられ得、これら吸熱反応は、溶媒損失(MeOH)に特徴がある。さらに、これらは、TGAによって認められるように、25℃〜115℃の間に約5.0%の総重量損失と同時に起こる。
【0262】
安定性研究において、形態Pは、50℃へ加熱すると形態Aに変換し、次いで、100℃へ加熱すると形態Cに変換することが示された。形態Aはまた、1週間以上にわたって40℃/75% RHにおいて貯蔵すると、形態Cに変換することが示された。図35(4週間の安定性研究前後のXRPDトレースおよび形態Cとの比較)。
【0263】
(実施例V.形態Pの調製および特徴付け)
形態Pは、化合物Iの結晶性形態であり、形態Cもしくは形態Aによって得られ得る。
【0264】
形態Pの代表的XRPDパターンを、図30に提供する。形態Pは、それぞれ、図32および図33に提供される代表的TGAトレースおよびDSCトレースによって特徴付けられ得る。
【0265】
形態Pは、4℃での約2週間の貯蔵後に、形態Gに変換することが示された。
【0266】
(実施例VI.形態Qの調製および特徴付け)
形態Qは、化合物Iの結晶性形態であり、形態Gの1:1水和物として特徴付けられる。形態Qは、水を形態Gに添加し、室温でこれを貯蔵することによって得られ得る。
【0267】
形態Qの代表的XRPDパターンを、図29に提供する。
【0268】
(比較研究)
(実施例IX.相互変換研究)
本明細書に記載される化合物Iの異なる形態の間の相互変換研究を、ここで概説される一般的手順を使用して行った:
相互変換研究を、XRPDパターンA、P、CおよびFを与える物質とともに、EtOAc、MeOHおよび水の中で行った。ラマン分析およびXRPDを使用して、メタノールおよび酢酸エチル相互変換スラリーにおける化合物Iの異なる形態の存在をモニターしようと試みた。上記溶媒の存在は、上記スラリーのラマンスペクトルにおいて顕著であった。上記スラリーは、結晶性XRPDパターンを示したが、上記パターンは、上記XRPD分析の間の上記スラリーのシフトにおそらく起因して、以前のパターンと直接比較できなかった。メタノールスラリーからの物質は、さらなるピークを示した。10分間にわたってスラリーにした後、パターンAを、MeOHから得た。パターンCを、EtOAcもしくは水の中でスラリーにした全てのサンプルから得た。形態Cは、周囲条件において、最も安定な非溶媒和形態であるようである。相互変換データは、表XVIIに見いだされ得る。
【0269】
【表17】
(実施例10.相対的安定性研究)
(研究I:形態Cおよび形態Gの相対的安定性)
以下の手順を使用した:
化合物Iの形態Cおよび形態Gの1:1混合物を、ある温度範囲で3:1 水:エタノール中でスラリーにして、異なる温度での相対的安定性を決定した。5mgの形態Cを、5mgの形態Gと、ガラスバイアル中で混合した。1.0mlの3:1 水:エタノールを添加し、得られたスラリーを、5℃で10日間にわたって攪拌した。得られた固体を、濾過によって単離し、XRPDによって分析した(図17を参照のこと)。
【0270】
上記手順を、25℃、50℃および80℃で反復した。結果を、表XVIIIに記録する。
【0271】
【表18】
上記結果は、50℃以上の温度において、形態Cが形態Gより安定であることを示す。5℃および25℃において、スラリー化の10日後に、両方の形態が存在した。このことは、これら温度における形態Cおよび形態Gの間の安定性における差異が、小さいことを示唆する。
【0272】
(研究II.形態Cおよび形態Fの相対的安定性)
以下の手順を使用した:
形態Cおよび形態Fの1:1混合物を、ある温度範囲において3:1 水:エタノール中でスラリーにして、異なる温度での相対的安定性を決定した。スラリー化後に残っている形態は、より安定な形態であるばずである。エタノールを、溶液中での化合物Iの量を増大させ、よって形態間の変換速度を増大させる貯めに、水を添加して使用した。エタノールを選択した。なぜなら、化合物Iのエタノール溶媒和物は、知られていなかったからである。10mgの形態Cを、10mgの形態Fとガラスバイアルの中で混合した。2.0mlの3:1 水:エタノールを添加し、得られたスラリーを、5℃で24時間にわたって攪拌した。固体を、濾過によって単離し、XRPDによって分析した。
【0273】
上記手順を、25℃、50℃および80℃において反復した。結果を、表XIXに記録する。
【0274】
【表19】
上記結果は、50℃および80℃において、形態Cが形態Fより安定であることを示す。5℃および25℃において、形態Fは、形態Gに変換することが観察された。5℃および25℃でのスラリー化の持続時間は、形態Gもしくは形態Cが、これら温度において最も安定であるか否かを決定するには不十分であった。
【0275】
(研究III.形態Fおよび形態Gの相対的安定性)
以下の一般的手順を使用した:
形態Fおよび形態Gの1:1混合物を、ある温度範囲で3:1 水:エタノール中でスラリーにして、異なる温度での相対的安定性を決定した。10mgの形態Fを、10mgの形態Gとガラスバイアルの中で混合した。2.0mlの3:1 水:エタノールを添加し、得られたスラリーを、5℃で24時間にわたって攪拌した。得られた固体を、濾過によって単離し、XRPDによって分析した。上記手順を、25℃、50℃および70℃で反復した。70℃を、分解を減らそうとして、80℃の代わりに使用した。結果を、表XXに記録する。
【0276】
【表20】
上記結果は、5℃において、形態Gが形態Fより安定であることを示す。全ての他の温度において、形態Cへのいくらかの変換があった。形態Fは、4種の温度のうちのいずれかにおいてスラリー化した後には、回収しなかった。
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、米国仮出願第61/152,648号および同61/157,839号(それぞれ、2009年2月13日、2009年3月5日に出願された)への優先権を主張する。これらの両仮出願の全内容がそのまま本明細書中で援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドの固体形態、ならびにその薬学的組成物、方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
プロテインキナーゼは、細胞外シグナルに対する種々の細胞応答に関与する。近年、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)のファミリーが発見された。このファミリーのメンバーは、Ser/Thrキナーゼであり、これは、リン酸化によってそれらの基質を活性化する[非特許文献1]。MAPKは、それ自体、種々のシグナル(増殖因子、サイトカイン、UV照射、およびストレス誘導因子が挙げられる)によって活性化される。
【0004】
1つの特に目的のMAPKは、p38である。p38(サイトカイン抑制性抗炎症薬物結合タンパク質(CSBP)およびRKともいわれる)は、リポポリサッカリド(LPS)レセプター、CD14でトランスフェクトし、LPSで誘導したマウスプレB細胞から単離した。p38は、ヒトおよびマウスにおいてこれをコードするcDNAを有するので、その後単離かつ配列決定された。p38の活性化は、ストレス(例えば、細菌リポポリサッカリド(LPS、エンドトキシンともいわれる)、UV、アニソマイシン、もしくは浸透圧ショック)での処置により、およびサイトカイン(例えば、IL−1およびTNF)より刺激した細胞において観察されてきた。
【0005】
p38キナーゼの阻害は、IL−1βおよびTNFα両方の生成に対するブロックをもたらす。IL−1およびTNFは、他の炎症促進性サイトカイン(例えば、IL−6およびIL−8)の生成を刺激し、急性および慢性の炎症性疾患、ならびに閉経後骨粗鬆症に関与した[非特許文献2]。
【0006】
この知見に基づくと、p38は、他のMAPKとともに、炎症性刺激に対する細胞応答(例えば、白血球蓄積、マクロファージ/単球活性化、組織吸収、発熱、急性相応答および好中球増加症)を媒介することにおいて役割を有すると考えられている。さらに、MAPK(例えば、p38)は、癌、トロンビン誘導性血小板凝集、免疫不全障害、自己免疫疾患、細胞死、アレルギー、喘息、骨粗鬆症および神経変性疾患に関わっていた。p38のインヒビターはまた、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ−2誘導の阻害を介して、疼痛管理の領域に関わってきた。IL−1、IL−6、IL−8もしくはTNFの過剰生成と関連する他の疾患は、特許文献1に示される。
【0007】
以下に示される構造を有する2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6 ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド(化合物I)は、種々の疾患(炎症性疾患が挙げられる)の処置についての有効性を実証した。化合物Iは、特許文献2(2004年8月26日公開)において記載されている。
【0008】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第96/21654号
【特許文献2】国際公開第2004/72038号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】B.Steinら,Ann.Rep.Med.Chem.,1996年,31巻,289−98頁
【非特許文献2】R.B.Kimbleら,Endocrinol.,1995年,136巻,3054−61頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明は、化合物Iの固体形態の説明を提供する。その有効性に関する薬物としての固体の特性は、上記固体の形態に依存し得る。例えば、薬物物質において、上記固体形態のバリエーションは、融解点、解離速度、経口吸収性、バイオアベイラビリティー、毒物学的結果およびさらには臨床試験結果のような特性における差異をもたらし得る。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態は、ニート(neat)形態である。他の実施形態において、上記化合物Iの固体形態は、共存形態(co−form)(例えば、塩、溶媒和物、共結晶および水和物)である。
【0012】
1個以上の原子が、天然において通常見いだされる原子量もしくは質量数とは異なる原子量もしくは質量数を有する原子で置換されている化合物Iの同位体標識された形態はまた、本明細書に含まれる。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体(例えば、2H、3H、13C、14C、15N、18O、および17O)が挙げられる。このような放射性標識されかつ安定な同位体標識された化合物は、例えば、研究用ツールもしくは診断用ツールとして有用である。
【0013】
本発明はまた、化合物Iの製造の間に生じる固体形態の制御のためのストラテジーを提供する。
【0014】
別の局面において、本明細書に記載される化合物Iの固体形態およびそれらの薬学的に受容可能な組成物は、種々の疾患(これらとしては、急性および慢性の炎症性疾患、癌、自己免疫疾患、免疫不全症候群、破壊性骨障害(例えば、閉経後骨粗鬆症)、増殖性障害、感染性疾患、ウイルス性疾患、アレルギー、喘息、火傷、および神経変性疾患が挙げられる)の症状を処置もしくは軽減するための方法において有用である。これら固体形態および組成物はまた、細胞死および過形成を予防するための方法において有用であり、従って、脳卒中(stroke)、心臓発作および低酸素症における灌流/虚血を処置もしくは予防するために使用され得る。これら固体形態および組成物はまた、トロンビン誘導性血小板凝集を予防するための方法において有用である。
【0015】
別の局面において、本明細書に記載される化合物Iの固体形態およびそれらの薬学的に受容可能な組成物はまた、生物学的現象および病理学的現象におけるp38キナーゼの研究、このようなキナーゼによって媒介される細胞内シグナル伝達経路の研究、ならびに新たなキナーゼインヒビターの比較評価のために有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
(定義および一般用語)
本明細書で使用される場合、用語「結晶性」とは、上記結晶格子中で分子の特定の配置および/もしくはコンホメーションを有する固体に言及する。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「無定形の」とは、分子の無秩序な配置からなりかつ区別可能な結晶格子を有さない固体形態に言及する。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「溶媒和物」とは、上記結晶構造内に組み込まれた溶媒の化学量論的量もしくは非化学量論的量のいずれかを含む結晶性固体付加物に言及する。上記組み込まれた溶媒が水である場合、このような付加物は、「水和物」といわれる。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなしに、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適している塩に言及する。
【0020】
薬学的に受容可能な塩は、当該分野で周知であり、例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19(本明細書に参考として援用される)において薬学的に受容可能な塩を詳細に記載している。
【0021】
用語「化学的に安定な」とは、本明細書で使用される場合、上記化合物Iの固体形態が、特定の条件(例えば、40℃/75%相対湿度(RH))に、特定の期間(例えば、1日、2日、3日、1週間、2週間、もしくはより長く)にわたって供される場合に、1種以上の異なる化合物に分解しないことを意味する。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態のうちの25%未満が分解し、いくつかの実施形態において、上記化合物Iの形態のうちの約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約1%未満、約0.5%未満が、特定の条件下で分解する。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態の検出可能な量は分解しない。
【0022】
用語「物理的に安定な」とは、本明細書で使用される場合、上記化合物Iの固体形態が、特定の条件(例えば、40℃/75%相対湿度)に、特定の期間(例えば、1日、2日、3日、1週間、2週間、もしくはより長く)にわたって供される場合に、化合物Iの1種以上の異なる物理的形態(例えば、XRPD、DSCなどによって測定される場合に、異なる固体形態)に変化しないことを意味する。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態のうちの25%未満が、特定の条件に供された場合に、1種以上の異なる物理的形態に変化する。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態のうちの約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約1%未満、約0.5%未満が、特定の条件に供された場合に、化合物Iの1種以上の異なる物理的形態に変化する。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態の検出可能な量は、化合物Iの1種以上の物理的に異なる固体形態に変化しない。
【0023】
用語「実質的に含まない」(表現「形態Xを実質的に含まない」におけるような)は、化合物Iの指定された固体形態(例えば、無定形形態もしくは本明細書に記載される結晶性形態)に言及する場合、20(重量)%未満の上記指定された形態もしくは共存形態(例えば、化合物Iの結晶性形態もしくは無定形形態)が存在することを意味し、より好ましくは、10(重量)%未満の上記指定された形態が存在し、より好ましくは、5(重量)%の上記指定された形態が存在し、最も好ましくは、1(重量)%未満の上記指定された形態が存在することを意味する。
【0024】
用語「実質的に純粋な」とは、化合物Iの指定された固体形態(例えば、本明細書に記載される無定形形態もしくは結晶性固体形態)に言及する場合、上記指定された固体形態が、20(重量)%未満の残りの成分(例えば、化合物Iの代替の多形結晶性形態もしくは同形結晶性形態もしくは共存形態を含むことを意味する。化合物Iの実質的に純粋な固体形態は、10(重量)%未満の化合物Iの代替の多形結晶性形態もしくは同形結晶性形態、より好ましくは、5(重量)%未満の化合物Iの代替の多形結晶性形態もしくは同形結晶性形態、および最も好ましくは、1(重量)%未満の化合物Iの代替の多形結晶性形態もしくは同形結晶性形態を含むことが好ましい。
【0025】
本願は、しばしば、本明細書で開示される「化学的もしくは物理的」パラメーターを評価することに言及する。このようなパラメーターは、本明細書中で開示されないものの、上記形態を同定することに関して本質的に類似であり、当業者に周知である他の化学的もしくは物理的パラメーターで置換され得る。
【0026】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の添付の図面および詳細な説明に示される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、詳細な説明、図面および特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、形態Cの例示的XRPDトレースを示す。
【図2】図2は、形態Cの例示的1H NMRスペクトルを示す。
【図3】図3は、形態Cの例示的FT−IRスペクトルを示す。
【図4】図4は、形態Cの例示的DSCトレースを示す。
【図5】図5は、形態Cの例示的TGAトレースを示す。
【図6】図6は、形態Cの特徴的X線回折充填模式図を示す。
【図7】図7は、単結晶X線結晶学によって認められるように、形態Cの結晶構造の略図を示す。
【図8】図8は、形態Cの例示的GVSトレースを示す。
【図9】図9は、XRPDによって認められるように、形態Cの安定性研究の結果を示す。ここで前後のスペクトルは類似している。
【図10】図10は、純粋な形態Cの特徴的HPLCを示す。
【図11】図11は、形態Fの例示的XRPDトレースを示す。
【図12】図12は、形態Fの例示的1H NMRスペクトルを示す。
【図13】図13は、形態Fの例示的FT−IRスペクトルを示す。
【図14】図14は、形態Fの例示的DSCトレースを示す。
【図15】図15は、形態Fの例示的TGAトレースを示す。
【図16】図16は、形態Fの例示的GVSトレースを示す。
【図17】図17は、形態Gの例示的XRPDトレースを示す。
【図18】図18は、形態Gの例示的1H NMRスペクトルを示す。
【図19】図19は、形態Gの例示的FT−IRスペクトルを示す。
【図20】図20は、形態Gの例示的DSCトレースを示す。
【図21】図21は、形態Gの例示的TGAトレースを示す。
【図22】図22は、形態Gの例示的GVSトレースを示す。
【図23】図23は、XRPDによって認められるように、形態Gの安定性研究の結果を示す。ここで前後のスペクトルは類似している。
【図24】図24は、形態Aの例示的XRPDトレースを示す。
【図25】図25は、形態Aの例示的DSCトレースを示す。
【図26】図26は、形態Aの例示的TGAトレースを示す。
【図27】図27は、形態Aの例示的FT−IRスペクトルを示す。
【図28】図28は、XRPDによって認められるように、形態Aの安定性研究の結果を示す。ここで前後のスペクトルは、形態Cの形成を示す。
【図29】図29は、形態Qの例示的XRPDトレースを示す。
【図30】図30は、形態Pの例示的XRPDトレースを示す。
【図31】図31は、形態Pの例示的1H NMRスペクトルを示す。
【図32】図32は、形態Pの例示的TGAトレースを示す。
【図33】図33は、形態Pの例示的DSCトレースを示す。
【図34】図34は、形態Pの例示的FT−IRスペクトルを示す。
【図35】図35は、XRPDによって認められるように、形態Pの安定性研究の結果を示す。ここで前後のスペクトルは、形態Cの形成を示す。
【0028】
(化合物Iの固体形態およびその特徴付けの方法の説明)
化合物Iは、種々の固体形態(3種のニート結晶性形態(形態C、形態Fおよび形態G)、および4種の溶媒和物(これは、次に、溶媒和物としてまたはそれらの対応する脱溶媒した溶媒和物(形態A、形態O、形態Pおよび形態Q)として出現し得る)が挙げられる)において調製されてきた。これら固体形態の各々について、形態識別しもしくはID、化学名および溶媒和物の場合には共溶媒が、以下の表Iに提供される:
【0029】
【表1】
表Iに記載される化合物Iの固体形態は、本明細書で記載されるように作製され得る。以下に示されるスキームIは、種々の固体形態を他の固体形態に変換する方法を図示する。
スキームI.化合物Iの異なる形態の間の相互転換
【0030】
【化2】
i)50℃より高く加熱。ii)50℃未満に冷却。iii)室温、MeOHでスラリーにする。iv)4℃において、2〜4週間貯蔵。v)1:3 H2O:MeOH 中、0℃において24時間にわたってスラリーにするか、または3日間にわたって/0℃において、次いで、25℃において3日間にわたって、H2O中でスラリーにする。vi)50℃より高いMeOH中でスラリーにする。vii)MeOHからの結晶化法M。viii)非溶媒和物形成溶媒(例えば、1:1 MeOH:H2O)中でスラリーにする。ix)−20℃において24時間にわたって酢酸エチル/ヘキサン中でスラリーにする。x)130℃より高く加熱する。xi)−20℃において、2時間にわたって酢酸エチル/ヘキサン中でスラリーにする。xii)EtOAC中でスラリーにする。xiii)室温で乾燥させる。xiv)100℃で加熱して、脱溶媒和する。
【0031】
スキームIに記載される方法は、固体形態A、固体形態C、固体形態F、固体形態G、固体形態O、固体形態P、および固体形態Qを生成するための例示的経路を表し、限定であることは意味しない。本明細書に記載されない他の経路は、固体形態A、固体形態C、固体形態F、固体形態G、固体形態O、固体形態P、および固体形態Qを生成するために有用であり得る。いくつかの場合において、固体形態A、固体形態P、固体形態C、固体形態F、固体形態Oおよび固体形態Gは、水中でスラリーにした場合に、Qを形成するように戻り得る。
【0032】
上記で概説される固体形態の各々を、本明細書に記載される1種以上の分析技術:単結晶X線分析、X線粉末解析(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、重量測定式蒸気吸収法(gravimetric vapor absorption)(GVS)、1H核磁気共鳴法(NMR)、フーリエ変換IR(FT−IR)、温度勾配IR(TG−IR)、安定性分析(例えば、化学的安定性分析および/もしくは物理的安定性分析)、吸湿性、および溶解度分析を使用して、分析した。
【0033】
(化合物Iのニート形態の調製および特徴付け)
(使用される結晶化技術の説明)
(スローエバポレーション(SE):)
化合物I、形態Aの秤量した量を、試験溶媒のアリコートで処理した。添加の間に、上記混合物を、振盪もしくは超音波処理した。上記固体全てを溶解した場合、視覚的検査によって判断される場合、上記溶液を濾過し、次いで、ピンホールを含むアルミニウム箔で覆ったバイアル中に周囲条件下で静置した。
【0034】
(ファーストエバポレーション(FE):)
化合物I、形態Aの秤量した量を、試験溶媒のアリコートで処理した。添加の間に、上記混合物を、振盪もしくは超音波処理した。上記固体全てを溶解した場合、視覚的検査によって判断される場合、上記溶液を濾過し、次いで、周囲条件下で開放バイアル中に静置した。
【0035】
(急速冷却(Crash Cool)(CC)もしくは高速冷却(Fast Cool)(FC):
化合物I、形態Aの秤量した量を、試験溶媒のアリコートで処理した。添加の間に、上記混合物を振盪するかもしくは超音波処理した。次いで、上記溶液を、上記混合物をホットプレート上に保持することによって、60℃で加熱した。上記得られた溶液を、同じホットプレート上に保持したバイアルの中へと迅速に濾過した。上記熱源を切り、上記バイアルにキャップをし、5℃の冷蔵庫へと移して、結晶化を可能にした。
【0036】
(緩慢冷却(SC):)
化合物I、形態Aの秤量した量を、上記試験溶媒のアリコートで処理した。添加の間に、上記混合物を振盪するかもしくは超音波処理した。次いで、上記溶液を、上記混合物をホットプレート上に保持することによって、60℃で加熱した。上記得られた溶液を、同じホットプレート上に保持したバイアルの中へと迅速に濾過した。上記熱源を切り、周囲温度で上記バイアルにキャップをして、結晶化を可能にした。
【0037】
(すりつぶし(G):)
上記固体(通常は、形態A)を、所定の期間(一般には、秒単位で示される)にわたって、スパチュラもしくは乳鉢および乳棒ですりつぶした。
【0038】
(スラリー:)
スラリー実験を、過剰な固体(これは、本明細書に記載される固体形態のいずれかに当てはまる)を含む飽和溶液を作製することによって、行った。上記スラリーを、周囲温度で2ヶ月間にわたって攪拌した。上記不溶性固体を、濾過もしくはデカンテーションのいずれかによって回収し、風乾した。
【0039】
(ある範囲の溶媒中での成熟(M):)
100mgの化合物I、形態Cを、小さなスクリューキャップバイアルの中で秤量した。所定の溶媒を添加した。次いで、上記バイアルを、周囲温度と、50℃との間で、振盪しながら20時間の時間にわたって、3回の加熱/冷却サイクルに供した。次いで、上記バイアルが、溶液を含むかもしくはスラリー(すなわち、溶解していない固体)を含むかに関して、観察を行った。次いで、上記溶液/スラリーを、予め加熱した0.45mm PFTEフィルタを通して熱いまま濾過した。上記濾過した固体を保持し、XRPDによって分析した。上記濾液を、キャップをしたバイアル中で室温へと冷却して、沈殿を促進した。沈殿が起こらなかった場合、上記バイアルを4℃で貯蔵し、次いで、キャップを外してエバポレートを可能にした。得られた沈殿をまた、適切な場合、XPRDによって分析した。
【0040】
(形態Cの調製および特徴付け)
形態Cは、化合物Iの結晶性形態であり、結晶性形態Aから調製され得、その方法は、以下の工程を包含する:
i)メタノール溶媒和形態Aを、20容積の1:3 メタノール:水混合物中で24時間にわたってスラリーにする工程(以下に記載される形態Cおよび形態Q/Gを生成する動力学的に制御された工程)、および
ii)上記得られた混合物を、1:1 メタノール:水混合物中でスラリーにして、形態Q/Gの形成を抑制し、熱力学的により安定な形態Cに有利にする工程。
【0041】
別の実施形態において、形態Cは、EtOAc中の形態Aのスラリーを、18日間にわたって調製することによって得られ得る。別の実施形態において、形態Cは、トルエン中の形態Aを7日間にわたってスラリーにすることによって得られ得る。さらなる実施形態において、形態Cは、水中の形態Aを7日間にわたってスラリーにすることによって得られ得る。さらなる実施形態において、形態Cは、i−PrOH:H2O(8:2)中の形態Aを4日間にわたってスラリーにすることによって得られ得る。別の実施形態において、形態Cは、アセトニトリル/H2O(2:8)中の形態Aを7日間にわたってスラリーにすることによって得られ得る。さらなる実施形態において、形態Cは、MeOH:H2O(2:8)中の形態Aを7日間にわたってスラリーにすることによって得られ得る。さらに別の実施形態において、形態Cは、アセトン:H2O(2:8)中の形態Aを7日間にわたってスラリーにすることによって得られ得る。
【0042】
別の実施形態において、上記に記載される方法FEおよび試験溶媒としてのEtOAcは、形態Aから始まって形態Cを調製するために使用され得る。
【0043】
形態Cは、図1に示されるX線粉末回折パターンによって特徴付けられ得る。上記XRPDスペクトルにおいて観察されるような代表的ピークは、以下の表IIに提供される:
単結晶X線を、EtOAcから(方法SEを使用することによって)形態Aの結晶化によって得られた形態Cの結晶から得た。上記結晶充填の模式図は、図6に示される。単結晶X線結晶学によって明らかにされるように、形態Cは、以下の単位格子寸法を有する空間群Ccを有する:
a=10.9241Å、b=24.2039Å、c=7.0124Å
α=90°、β=111.0685°、γ=90°
δcalc(g/cm3)=1.552。
【0044】
【表2】
形態Cを、図2に示されるように、1H NMRスペクトルによって特徴付けられ得る。例示的ピークは、ppm単位で測定されるように、以下のうちの1つ以上を含む。
【0045】
形態Cは、図3に示されるように、FT−IRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0046】
形態Cは、178℃で始まる吸熱反応によって特徴付けられ得、この反応は、わずかにプラトーに達し、次いで、DSCによって測定される場合、193℃においてピークに達する。さらに、この吸熱反応は、TGAによって測定される場合に、9.5〜10.5%の重量損失と同時に起こり、化学的分解に原因がある。
【0047】
形態Cは、25℃において少なくとも0.02mg/mLの水への溶解度を示す。
【0048】
形態Cは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままである。さらに、形態Cは、最大60%相対湿度(RH)までで無視できる程度の重量増加を示し、T=25℃において0% RHから90% RHまでで0.15%の低い総重量増加を示す。
【0049】
形態Cは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって化学的に安定なままである。
【0050】
(形態Fの調製および特徴付け)
形態Fを、化合物Iの結晶性形態である。
【0051】
結晶性形態Fを、形態Cから調製し得、上記方法は、以下の工程を包含する:
i)形態Cの酢酸エチルスラリーを調製する工程、
ii)冷ヘキサンで2時間にわたって沈殿を誘導する工程、および
iii)得られた固体を濾過および乾燥させて、化合物I、形態Fを与える工程。
【0052】
別の実施形態において、形態Fは、形態Gを120℃において大気圧下で加熱すると、形態G(以下に記載される)から得られ得る。
【0053】
形態Fの代表的XRPDパターンを、図11に提供する。XRPDにおいて観察されるような代表的ピークは、以下の表IIIに提供される:
【0054】
【表3】
形態Fを、図12に示されるように、1H NMRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0055】
形態Fは、図13に示されるように、FT−IRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0056】
形態Fは、DSCによって測定される場合、160℃で始まって、165℃でピークに達する吸熱反応事象によって特徴付けられる。さらに、この熱事象は、TGAによって測定される場合、130℃と180℃との間で6.8%の正味の重量損失と同時に起こり、化学的分解に原因があるとする。
【0057】
形態Fは、25℃において少なくとも0.021mg/mLの水への溶解度を示す。
【0058】
形態Fは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままである。さらに、形態Fは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって化学的に安定なままである。
【0059】
形態Fは、GVSによって認められる場合、40% RHにおいて1%、90% RHにおいて最大1.1%の水の総重量増加を示す。
【0060】
(形態Gの調製および特徴付け)
形態Gは、化合物Iの結晶性形態である。さらに、水の存在下で、形態Gは、その水和物、形態Qになる。
【0061】
結晶性形態Gは、結晶性形態Cから調製され得、上記方法は、以下の工程を包含する:
i)形態Cの酢酸エチルスラリーを調製する工程、
ii)冷ヘキサンで24時間にわたって沈殿を誘導する工程、および
iii)上記得られた固体を濾過および乾燥させて、化合物I、形態Gを得る工程。
【0062】
別の実施形態において、形態Gは、0℃において3日間にわたって、次いで、25℃においてさらに3日間、水中で形態Aをスラリーにし、続いて、乾燥させることによって、調製され得る。
【0063】
さらに別の実施形態において、形態Gは、MeOH:H2O 8:2中、24時間にわたって形態Aのスラリーを調製することによって、得られ得る。
【0064】
形態Gの代表的XRPDパターンは、図17に提供される。XRPDにおいて観察されるような代表的ピークは、以下の表IVにおいて提供される:
【0065】
【表4】
形態Gは、図18に示されるように、1H NMRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0066】
形態Gは、図19において示されるように、FT−IRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0067】
形態Gは、DSCによって測定される場合、156℃において始まって、163℃においてピークに達する吸熱反応事象によってさらに特徴付けられ得る。さらに、このことは、TGAによって測定される場合、95℃〜175℃の間で6.5%の正味の重量損失と同時に起こり、このことは、化学的分解に原因があるとされ得る。形態Gは、DSCによって測定される場合、36℃において始まって、61℃においてピークに達する第2の吸熱反応によってさらに特徴付けられ得る。このことは、TGAによって測定される場合、25℃〜70℃の間の2.9%の正味の重量損失に対応する。
【0068】
形態Gは、25℃において少なくとも0.020mg/mLの水への溶解度を示す。
【0069】
形態Gは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままである。さらに、形態Gは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって化学的に安定なままである。
【0070】
形態Gは、非常に吸湿性であり、GVSによって認められるように、10% RHにおいて1%(重量で)の全水増加(total water gain)および90% RHにおいて8%より高い水の重量増加を示すことがわかった。
【0071】
形態Gを、約130℃より高く加熱して、形態Fに変換した。
【0072】
形態Gは、ある温度範囲(例えば、20℃〜50℃)において、水の添加後2時間、5時間および24時間、形態Qへ変換することが示された。
【0073】
形態Q、形態QのXRPDは、図29に示される。
【0074】
(形態Cの製造の間に生じる代替の固体形態の調製および特徴付け)
これまでに記載された化合物Iの上記3種のニート形態に加えて、いくつかの他の形態(すなわち、溶媒和物、水和物)は、形態Cの製造をもたらす工程の間に検出および特徴付けられた。
【0075】
形態Aは、スキームIIに示されるマルチステップ合成プロセスによって、または米国特許第7,115,746B2号(これは、その全体が本明細書に参考として援用される)に記載される手順に従うことによって、得られ得る:
【0076】
【化3】
スキームIIにおける種々の工程は、以下のように簡潔に記載され得る:
工程A:6−クロロ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−ニコチン酸 エチルエステル IIは、2−クロロニコチン酸からの合成によって利用可能である。出発物質IIを、保護アリールアミン(例えば、Boc−2,6−ジフルオロアニリン IIIと、適合性の溶媒(例えば、トルエンもしくはNMP)中、選択肢的な遷移金属触媒(例えば、Pd(OAc)2)、選択肢的な配位子(例えば、BINAP)、アルカリ金属塩(例えば、炭酸セシウムもしくはK3PO4)の存在下でカップリングして、Boc−保護カップリング生成物IVを得る。次いで、上記Boc−保護カップリング生成物IVを、適切な溶媒(例えば、塩化メチレン)中の酸(例えば、TFA)と反応させて、式IVの保護されていない化合物を、そのHCl塩の形態で得る。
【0077】
工程B:IVのエステル官能基は、溶媒(例えば、THF)中の塩基(例えば、NaOH)の存在下で鹸化され、次いで、酸(例えば、HCl)の存在下で酸性化されて、Vを形成する。または、代わりに、上記エステルは、先生条件下で(例えば、HClを使用して)切断され得る。
【0078】
工程C:次いで、化合物Vは、ホスゲンもしくはジホスゲンと、続いて、NH4OHと反応させられて、上記アミド−尿素化合物Iを形成する。後処理および結晶化の後に、上記生成物は、形態Aとして特徴付けられる結晶性固体形態で得られる。
【0079】
形態Qは、形態Gの水和物である。両方とも、形態Cを製造するために使用されるプロセスの間に混合物として出現し得る。
【0080】
別の形態、形態Pを、形態Cを形態Aから調製するために使用されるMeOH再結晶化工程の間に、検出した。形態Pは、以下で特徴付けられる。形態Pの温度可変(variable−temperature)X線回折(VT−XRD)が、25℃から50℃まで5℃の増分で行われ、かつ得られた固体が、周囲条件に冷却し戻された場合、形態Pが約40℃において形態Aへと移行し、室温に冷却し戻されると、形態Pへ戻ることが観察された。このことは、形態Aおよび形態Pが、互変的に関連し、形態Pが、室温で上記2種のより安定なものであることを示唆した。形態Aおよび形態Pはともに、MeOH溶媒和物である。
【0081】
(形態Aの調製:アプローチ)
形態Aは、上記で議論されるように、スキームIおよびスキームIIにおける工程に従うことによって得られる。形態Aは、上記の結晶化技術Mおよび溶媒としてMeOHを使用することによって、結晶性固体として形態Cから得られ得る(上記濾液から得られ得る)。
【0082】
異なる実施形態において、形態Aは、本明細書で記載される結晶化方法SEもしくはFEによって、試験溶媒としてMeOHを使用して、形態Cから得られ得る。
【0083】
(形態Aの調製および特徴付け)
上記XRPDスペクトルにおいて観察されるような代表的ピークは、以下の表Vに提供される:
【0084】
【表5】
形態Aは、非溶媒和物形成溶媒(例えば、MeOH:H2O (1:1))でスラリーにする際に、本明細書に記載される結晶性形態Cになることが示された。
【0085】
形態Aは、図27に示されるようなFT−IRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0086】
形態Aは、DSCで、43.8℃で始まって、74.3℃でピークに達する広い吸熱反応によって特徴付けられ得る(図25)。さらに、形態Aは、93℃および111℃において2つの他の吸熱反応によって特徴付けられ得、これら吸熱反応は、溶媒損失(MeOH)に原因があるとされる。さらに、これらは、TGAによって示される場合、25℃〜115℃の間で約1.5%の総重量損失と同時に起こる(図26)。
【0087】
形態Aは、約50℃未満に冷却すると、形態Pへ変換することが示された。
【0088】
別の実施形態において、形態Aは、スキームIに記載されるように、形態Gに変換することが示された。
【0089】
(形態Pの調製および特徴付け)
形態Oは、化合物Iの結晶性形態、モノ酢酸エチル溶媒和物であり、酢酸エチル中で形態Fをスラリーにすることによって、形態Fから得られ得る。
【0090】
形態Oは、室温における単結晶X線によって観察されるように、空間群P2(1)/cを有し、以下の単位格子寸法を有する:
a=11.014Å、b=26.857Å、c=7.944Å
α=90°、β=88.091°、γ=90°
δcalc(g/cm3)=1.460。
【0091】
(形態Pの調製および特徴付け)
形態Pは、化合物Iの結晶性形態であり、スキームIにおいて示されるように、(例えば、約50℃未満に冷却することによって)形態Aから得られ得る。
【0092】
別の実施形態において、形態Pは、形態Gもしくは形態Cから得られ得る。
【0093】
形態Pの代表的XRPDパターンは、図30に提供される。代表的ピークは、上記XRPDにおいて観察されるように、以下の表VIにおいて提供される。
【0094】
形態Pは、それぞれ、図32および図33において提供される代表的TGAトレースおよびDSCトレースによって特徴付けられ得る。
【0095】
【表6】
形態Pは、4℃において72時間の貯蔵後に、形態Gへ変換することが示された。別の実施形態において、形態Pは、非溶媒和物形成溶媒(例えば、MeOHおよび水)中で形態Pのスラリーを形成することによって、形態Cに変換することが示された。
【0096】
(形態Qの調製および特徴付け)
形態Qは、化合物Iの結晶性形態であり、化合物Iの1:1水和物として特徴付けられてきた。
【0097】
形態Qは、水を形態Gに添加し、得られた固体を室温において貯蔵することによって、得られ得る。
【0098】
形態Qの代表的XRPDパターンは、図29に提供される。上記XRPDにおいて観察されるような代表的ピークは、以下の表VIIに提供される。
【0099】
【表7】
(化合物Iの固体形態の評価およびその方法)
一局面において、本発明は、化合物Iの固体形態(例えば、形態A、C、F、G、O、P、およびQのような化合物Iの固体形態)を評価するための方法を提供する。上記方法は、以下を含む:
本明細書中で開示される物理的もしくは化学的パラメーター(例えば、粉末X線回折によって測定されるような1個以上のピークの存在もしくは非存在)の評価を提供する工程(この評価において同定される特徴もしくは値は、本明細書中でときおり「サイン」といわれる)、
必要に応じて、上記パラメーターの上記値もしくはサイン(例えば、非存在もしくは存在に相関した値もしくはサイン)が、所定の基準(例えば、存在するか、もしくは所定の範囲に存在するか)を満たすか否かの決定を提供する工程、および
それによって、上記混合物を評価もしくは加工処理する工程。
【0100】
好ましい実施形態において、上記方法は、上記値もしくはサインの、参照との比較を提供して、それによって上記サンプルを評価する工程を包含する。好ましい実施形態において、上記比較は、上記試験値もしくはサインが、上記参照と所定の関係を有するか否かを決定する工程(例えば、それが、上記参照を満たすか否かを決定する工程)を包含する。上記値もしくはサインは、数値である必要はないが、ある形態が存在するかもしくは存在しないかの単に表示であり得る。
【0101】
好ましい実施形態において、上記方法は、試験値もしくはサインが参照以上であるか否か、それが参照以下であるか否か、もしくは一定範囲内に入っているか否か(上記範囲の端点を含むかもしくは端点を除くかのいずれか)を決定する工程を包含する。
【0102】
好ましい実施形態において、上記試験値もしくはサイン、または上記所定の関係が満たされているか否かの表示は、例えば、コンピューター読み取り可能な記録において記憶され得る。
【0103】
好ましい実施形態において、ある決定もしくは工程が行われる(例えば、上記サンプルは、分類されるか、選択されるか、受容されるかもしくは廃棄され、放出されるかもしくはとどめられ、薬物製品に加工処理され、輸送され、新たな場所に移され、処方され、ラベルが貼付され、梱包され、紙上に出され、販売されるか、もしくは販売が企図される。これは、上記所定の基準が満たされるか否かに基づき得、例えば、サイン(上記サンプルが採取されるバッチは、加工処理され得る)が存在するか否かの決定の結果に基づき得る。
【0104】
好ましい実施形態において、本明細書で開示される方法および組成物は、例えば、バッチ間の一致もしくは品質をモニターもしくは保証するために、または基準(例えば、所定の値)に関してサンプルを評価するために、プロセス観点から有用である。
【0105】
好ましい実施形態において、本明細書で開示される方法および組成物は、化合物Iの固体形態(例えば、本明細書に記載される形態A、C、F、G、O、PおよびQ)の試験バッチが、化合物Iの参照もしくは標準(例えば、形態A、C、F、G、O、P、およびQのような化合物Iの固体形態)の特性のうちの1つ以上を有すると予測され得るか否かを決定するために使用され得る。このような特性は、上記薬物の承認された形態の製品挿入物に列挙された特性、概論(例えば、米国局方)に出ている特性、もしくは規制当局(例えば、米国医薬品局(FDA))によって要求される産業的使用に関する特性を含み得る。本明細書で開示される方法によって行われる決定は、このような特性の直接的もしくは間接的な尺度であり得る(例えば、直接的な尺度は、所望の特性が、測定されている主題の実体の所定のレベルである場合であり得る)。間接的測定において、上記測定される主題の実体は、所望の特徴(例えば、本明細書で記載される特徴)と相関する。
【0106】
本明細書に記載される方法のうちのいくつかは、化合物Iの固体形態(例えば、化合物Iの形態A、C、F、G、O、P、およびQ)の物理的もしくは化学的パラメーターを評価する工程を包含する。従って、好ましい実施形態において、本明細書で開示される化学的、物理的、もしくは生物学的パラメーターは、化合物Iの固体形態について評価もしくは決定される(例えば、本明細書で開示される薬物のある形態が、以下のうちの1つ以上について評価される(これらパラメーターのうちの1つ以上の値もしくは評価は、ときおり「サイン」として本明細書でいわれる))。
【0107】
上記パラメーターは、以下の所定のもののうちの1つ以上を有することを含む:
i)粉末X線回折パターンのピーク;
ii)吸熱反応もしくはTm(例えば、DSCにおいて測定される場合);
iii)TGAによって決定される場合、特定の温度もしくは温度範囲での重量増加もしくは重量損失の値。
【0108】
iv)重量増加の値(GVSを使用して測定される場合、例えば、25℃において5%から95%までの相対湿度);
v)水への溶解度についての値;
vi)所定の条件下で実質的に同じ物理的形態もしくは化学的形態のままである能力の尺度;
vii)1H NMRパターンのピーク;
viii)本明細書で開示されるように、FT−IRスペクトルトレース;
ix)特定の単結晶性空間群;および単結晶X線結晶学によって決定される場合、本明細書で開示される単位格子寸法。
【0109】
(処方物、使用、および投与)
(薬学的に受容可能な組成物)
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、本明細書に記載される化合物Iの固体形態(例えば、結晶性のニート固体形態、塩もしくは溶媒和物)および薬学的に受容可能なキャリア、補助剤もしくはビヒクルを含む。本発明の組成物中の上記固体形態もしくは化合物Iの固体形態の量は、生物学的サンプルもしくは患者において、プロテインキナーゼ(特に、p38)を測定可能に阻害するに有効にするものである。好ましくは、本発明の組成物は、このような組成物が必要な患者に投与するために処方される。最も好ましくは、本発明の組成物は、上記患者への経口投与のために処方される。
【0110】
用語「測定可能に阻害する」とは、本明細書で使用される場合、本発明の化合物を含むサンプルと、上記化合物の非存在下でp38キナーゼおよびp38キナーゼを含む透過なサンプルとの間で、キナーゼ活性(特に、p38キナーゼ活性)における特定可能な変化を意味する。
【0111】
用語「患者」とは、本明細書で使用される場合、動物、好ましくは、哺乳動物、および最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0112】
用語「薬学的に受容可能なキャリア」とは、本明細書に記載される化合物Iの固体形態(例えば、ニート固体形態、塩もしくは溶媒和物)と一緒に患者に投与され得、その薬理学的活性を損なわない、非毒性のキャリアをいう。
【0113】
よって、本発明の別の局面において、薬学的に受容可能な組成物が提供され、ここでこれら組成物は、本明細書に記載されるような化合物Iの固体形態のうちのいずれかを含み、および必要に応じて薬学的に受容可能なキャリア、補助剤もしくはビヒクルを含む。さらに、特定の実施形態において、これら組成物は、必要に応じて、1種以上のさらなる治療剤を含む。このような薬剤としては、抗生物質、抗炎症剤、鎮痛剤、マトリクスメタロプロテアーゼインヒビター、リポキシゲナーゼインヒビター、サイトカインアンタゴニスト、免疫抑制剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、サイトカイニン、増殖因子、免疫調節因子、プロスタグランジン、抗リウマチ薬もしくは抗血管過増殖化合物(anti−vascular hyperproliferation compound)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
別の実施形態において、上記さらなる治療剤は、抗炎症剤、鎮痛剤、抗癌剤、抗増殖化合物、抗リウマチ薬剤、トロンビン誘導性血小板凝集を阻害するために使用される薬剤、免疫調節因子、アレルギーの症状を処置するための薬剤、もしくは破壊性骨疾患(destructive bone diseases)(例えば、閉経後骨粗鬆症)を処置するための薬剤から選択され得る。
【0115】
さらに別の実施形態において、上記化合物Iの固体形態を含む組成物は、さらなる抗炎症剤、鎮痛剤もしくは抗リウマチ剤と組み合わせて投与され得る。抗炎症剤は、ステロイド性抗炎症薬(例えば、グリココルチコイド(例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸コルチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン(Florinef(登録商標))、デオキシコルチコステロンアセテート、アルドステロン、デキサメタゾン))、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、アスピリンおよび他のサリチレート、イブプロフェンおよび他のプロフェン(例えば、ナプロキセン)、ジクロフェナクおよび他のアリールアルカン酸、フェナム酸(例えば、メクロフェナム酸)、ピラゾリジン誘導体(例えば、メタミゾール)、オキシカム(例えば、ピロキシカム)、ニメスリド、リコフェロンから選択され得るが、これらに限定されない。
【0116】
上記鎮痛剤は、アセトアミノフェン(acetamidophen)(もしくは欧州では、パラセタモール)、COX−2インヒビター(例えば、セレコキシブ)、オピエートもしくはモルヒネ様作用薬(morphinomimetic)(例えば、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジアモルフィン(diaorphine)、ペチジン、ブプレノルフィン)、ジプロクアロン、リドカインから選択され得るが、これらに限定されない。
【0117】
上記抗リウマチ薬剤は、アザチオプリン、シクロスポリンA、D−ペニシラミン、金の塩、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、メトトレキサート、ミノサイクリン、スルファサラジン、TNF−αブロッカー(例えば、Enbrel(登録商標)、Remicade(登録商標)、Humira(登録商標))、インターロイキン−1ブロッカー、B細胞に対するモノクローナル抗体(monoclonal antibiotics)(例えば、リツキサン(登録商標))、T細胞活性化ブロッカー(例えば、Orencia(登録商標))から選択され得るが、これらに限定されない。
【0118】
本発明の化合物の特定のものが、処置のために遊離形態で存在し得ることもまた、認識される。
【0119】
上記のように、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、さらに、薬学的に受容可能なキャリア、補助剤、もしくはビヒクルを含み、これらは、本明細書で使用される場合、所望の特定の投与形態に適切であるように、任意のかつ全ての溶媒、希釈剤、もしくは他の液体ビヒクル、分散補助物質もしくは懸濁補助物質、界面活性剤、等張剤、濃化剤もしくは乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤などを含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的に受容可能な組成物を調製する際に使用される種々のキャリアおよびその調製のための公知の技術を開示している。任意の従来のキャリア媒体が本発明の化合物Iの固体形態と(例えば、任意の所望でない生物学的効果を生じるか、もしくは別の方法で上記薬学的に受容可能な組成物の任意の他の成分と有害な様式で相互作用することによって)不適合である範囲を除いて、その使用は、本発明の範囲内であると予期される。いくつかの場合において、上記処方物のpHは、その処方された化合物の安定性もしくはその送達形態を増強するために、薬学的に受容可能な酸、塩基もしくは緩衝化剤で調節され得る。
【0120】
薬学的に受容可能なキャリアとして働き得る物質のいくつかの例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、もしくはソルビン酸カリウム)、飽和植物性脂肪さんの部分グリセリド混合物、水、塩もしくは電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ、三ケイ酸マグネシウム)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、糖類(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン(例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン);セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セチルセルロースおよび酢酸セルロース);粉末化トラガカントガム;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤(例えば、カカオ脂および坐剤用ワックス);油(例えば、ラッカセイ油、綿実油);サフラワー油;ごま油;オリーブ油;コーン油および大豆油;グリコール(例えば、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);寒天;緩衝化剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);アルギン酸;発熱物質非含有水;等張性生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝化溶液、ならびに他の非毒性の適合性滑沢剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)が挙げられるが、これらに限定されず、同様に、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤および芳香剤、保存剤および抗酸化剤もまた、処方者の判断に従って、上記組成物中に存在し得る。
【0121】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸に、鼻内に、口内に、膣に、もしくは移植されるレザバを介して、投与され得る。用語「非経口的」とは、本明細書で使用される場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄内、眼内、肝臓内、病変内、および頭蓋内の注射もしくは注入技術を含む。好ましくは、上記組成物は、経口投与されるか、腹腔内投与されるか、もしくは静脈内投与される。最も好ましくは、上記組成物は、経口投与される。本発明の組成物の滅菌注射用形態は、水性懸濁物もしくは油性懸濁物であり得る。これら懸濁物は、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤を使用して、当該分野で公知の技術に従って処方され得る。上記滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤もしくは溶媒中の滅菌注射用溶液もしくは懸濁物(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒のなかには、水、リンゲル溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発精油は、溶媒もしくは懸濁媒体として従来から使用されている。
【0122】
この目的で、任意の刺激の強くない不揮発精油が使用され得、これらとしては、合成のモノグリセリドもしくはジグリセリドが挙げられる。脂肪酸(例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体)は、天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油もしくはひまし油)と同様に、特に、それらのポリオキシエチル化バージョンでは、上記調製物もしくは注射可能物において有用である。これら油の溶液もしくは懸濁物はまた、長鎖アルコール希釈剤もしくは薬学的に受容可能な投与形態(エマルジョンおよび懸濁物を含む)の処方物において一般に使用される分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロースもしくは類似の分散剤)を含み得る。他の一般に使用される界面活性剤(例えば、Tween、Spanおよび他の乳化剤または薬学的に受容可能な固体、液体もしくは他の投与形態の製造において一般に使用されるバイオアベイラビリティー増強剤)もまた、所望目的で使用され得る。
【0123】
一局面において、本発明は、上記化合物Iの本質的に全てが、本明細書で開示される第1の固体形態にあり、例えば、本明細書で開示される物理的もしくは化学的パラメーターを評価することによって決定される組成物(もしくは薬学的組成物)を特徴とする。
【0124】
別の局面において、本発明は、例えば、本明細書で開示される物理的もしくは化学的パラメーターを評価することによって決定される場合、本明細書で記載される化合物Iの第1の固体形態、および例えば、本明細書で開示される物理的もしくは化学的パラメーターを評価することによって決定される化合物Iの第2の固体形態を含む組成物(もしくは薬学的組成物)を特徴とする。いくつかの実施形態において、上記第1および第2の固体形態は、少なくとも1つの同構造の部分(すなわち、上記固体形態のうちの1つが富化された領域)を含む。他の実施形態において、化合物Iの上記第1および第2の固体形態は、上記組成物内で不均一である。
【0125】
一局面において、本発明は、本明細書に記載される2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドの固体形態および薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物を特徴とする。いくつかの実施形態において、上記組成物は、水溶液である。いくつかの実施形態において、上記組成物は、固体を含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、経口懸濁物である。いくつかの実施形態において、上記組成物は、固体経口投与形態(例えば、錠剤もしくはカプセル剤)である。
【0126】
(本発明の化合物および組成物の使用)
本明細書に記載される化合物Iの固体形態は、生物学的サンプルもしくは患者におけるp38キナーゼを阻害するために一般に有用である。別の実施形態において、本発明は、患者におけるp38媒介性状態もしくは疾患を処置するかもしくはその重篤度を軽減するための方法を含み。用語「p38媒介性疾患」とは、本明細書で使用される場合、特に、p38がある役割を果たすことが公知である任意の疾患もしくは他の有害な状態を意味する。用語「生物学的サンプル」とは、本明細書で使用される場合、エキソビボサンプルを意味し、それらとしては、細胞培養物もしくはその抽出物;組織もしくは器官サンプルまたはその抽出物、哺乳動物から得られた生検材料もしくはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、もしくは他の体液またはそれらの抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
別の実施形態において、上記化合物Iの固体形態および本明細書に記載されるそれらの薬学的に受容可能な組成物は、急性および慢性の炎症性疾患、癌、自己免疫疾患、免疫不全障害、破壊性骨障害(例えば、閉経後骨粗鬆症)、増殖性障害、感染性疾患、ウイルス疾患、アレルギー、喘息、火傷および神経変性疾患の処置のために有用である。これら固体形態および組成物はまた、細胞死および過形成を予防するための方法において有用であり、従って、脳卒中、心臓発作、器官の低酸素症における再灌流/虚血を処置もしくは予防するために使用され得る。これら固体形態および組成物はまた、トロンビン誘導性血小板凝集を予防するための方法において有用である。
【0128】
用語「処置(treatment)」とは、本明細書で使用される場合、別段示されなければ、本明細書に記載される方法において提供されるように、障害もしくは疾患の処置(治癒、上記障害の症状を軽減すること、もしくは上記障害の進行を遅らせることが挙げられる)を意味する。用語「処置する(treat)」および「処置する(treating)」とは、前述の用語「処置」に従って定義される。
【0129】
処置され得る炎症性疾患としては、関節リウマチ(RA)、乾癬、クローン病、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎および強直性脊椎炎、炎症性腸疾患の他の形態、急性特発性多発性神経炎、狼瘡、視神経炎、側頭動脈炎、急性および慢性の膵炎、神経炎、慢性肺閉塞および火傷が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
処置され得る自己免疫疾患としては、糸球体腎炎、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病および移植片対宿主病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
処置され得る破壊性骨障害としては、骨粗鬆症、変形性関節症、および多発性骨髄腫関連骨障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
処置され得る増殖性障害としては、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポージ肉腫、および多発性骨髄腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
処置され得る感染性疾患としては、敗血症、敗血性ショックおよび細菌性赤痢が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
処置され得るウイルス性疾患としては、急性肝炎感染(A型肝炎、B型肝炎、およびC型肝炎を含む)、HIV感染およびCMV網膜炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
処置され得る変性性疾患としては、アルツハイマー病、パーキンソン病および脳虚血が挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
別の局面において、本明細書で開示される方法および組成物は、上記混合物中の1種以上の化合物Iの固体形態の存在、分布もしくは量が、生物学的活性を有し得るかもしくは上記活性に影響を及ぼし得る場合に使用され得る。上記方法はまた、生物学的等価性を評価もしくは確実にするために、構造−活性予期(structure−activity prospective)から、有用である。
【0137】
1種以上の化合物Iの固体形態を含む本発明の組成物は、インビボでおよび患者において、慢性炎症性疾患、癌、自己免疫疾患、免疫不全障害、破壊性骨障害(例えば、閉経後骨粗鬆症)、増殖性障害、感染性疾患、ウイルス性疾患、アレルギー、喘息、火傷および神経変性疾患を処置するための従来の様式において使用され得る。このような処置方法、それらの投与レベルおよび要件は、利用可能な方法および技術から、当業者によって選択され得る。
【0138】
(本発明の化合物および組成物の投与)
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物Iの固体形態は、組成物(例えば、固体、液体(例えば、懸濁物)として投与されるか、もしくは静脈内注射される(例えば、化合物Iの固体形態は、液体に溶解され、静脈内注射される)。
【0139】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、上記疾患に対する治療の効果を増大させるために、さらなる治療剤(例えば、上記で記載されるもの)とともに投与される。上記さらなる治療剤(例えば、上記で記載されるもの)は、組成物(例えば、固体、液体(例えば、懸濁物)として投与され得るか、または静脈内注射され得る(例えば、化合物1の形態が、液体に溶解され、静脈内投与される)。上記さらなる薬剤は、上記化合物Iの固体形態を含む組成物の投与の前(例えば、約1日、約12時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、約1時間、約30分もしくは約15分、もしくはそれ以下)、投与の間、または投与後(例えば、約15分、約30分、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、もしくは約1日、もしくはそれ以上)に、投与され得る。いくつかの実施形態において、上記化合物Iの固体形態を含む組成物はまた、上記さらなる治療剤(例えば、固体、液体(例えば、懸濁物))を含み、静脈内(例えば、化合物1のある形態は、えきたいに溶解され、静脈内投与される)組成物は、本明細書に記載される化合物Iの固体形態および少なくとも1種のさらなる治療剤(例えば、抗炎症剤(例えば、上記に記載されるもの))を含む。
【0140】
本発明の薬学的組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、眼用溶液もしくは軟膏剤を介して、直腸に、鼻内に、口内に、膣に、または移植されるレザバを介して、投与され得る。本発明の薬学的組成物は、任意の従来の非毒性の薬学的に受容可能なキャリア、補助剤もしくはビヒクルを含み得る。いくつかの場合において、上記処方物のpHはまた、上記処方される化合物の安定性もしくはその送達形態を増強するために、薬学的に受容可能な酸、塩基もしくは緩衝化剤で調節され得る。用語「非経口的」とは、本明細書で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄内、病変内、および頭蓋内の注射もしくは注入技術を含む。
【0141】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投与形態(カプセル剤、錠剤、および水性懸濁物および溶液が挙げられるが、これらに限定されない)で経口投与され得る。経口用途のための錠剤の場合、一般に使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、代表的には、添加される。カプセル剤形態での経口投与については、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁物および溶液ならびにプロピレングリコールが経口投与される場合、上記活性成分は、乳化剤および懸濁剤と合わされる。望ましい場合、特定の甘味剤および/もしくは矯味矯臭剤および/もしくは着色剤は、添加され得る。
【0142】
上記活性化合物はまた、上位のような1種以上の賦形剤で微小被包形態にあり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体投与形態は、コーティングおよび殻(例えば、腸溶性コーティング、放出制御コーティングおよび製薬分野で周知の他のコーティング)とともに調製され得る。このような固体投与形態において、上記活性化合物は、少なくとも1種の不活性希釈剤(例えば、スクロース、ラクトースもしくはデンプン)と混合され得る。このような投与形態はまた、通常の実務にあるように、不活性希釈剤以外のさらなる物質(例えば、錠剤形成滑沢剤、および他の錠剤形成補助物質(例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロース)を含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、上記投与形態はまた、緩衝化剤を含み得る。それらは、必要に応じて、不透明化剤を含み得、また、それらが上記活性成分のみを放出するか、もしくは腸管の特定の部分において、必要に応じて遅延した様式で優先的に上記活性成分を放出する組成物であり得る。使用され得る埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0143】
本発明の薬学的組成物はまた、直腸投与もしくは膣投与のための坐剤の形態で投与され得る。これら組成物は、本発明の化合物と、室温で固体であるが直腸温では液体であるので、直腸で融解して、上記活性成分を放出する適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって、調製され得る。このような物質としては、カカオ脂、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
本発明の薬学的組成物の局所投与は、所望の処置が、局所投与によって容易に接近可能な領域もしくは器官に影響を及ぼす場合に特に有用である。皮膚へ局所的に投与するために、上記薬学的組成物は、キャリア中に懸濁もしくは溶解された活性成分を含む適切な軟膏剤とともに処方されるべきである。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアとしては、ミネラルオイル、流動パラフィン(liquid petroleum)、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、上記薬学的組成物は、キャリア中に懸濁もしくは溶解された上記活性化合物を含む適切なローション剤もしくはクリーム剤とともに処方され得る。適切なキャリアとしては、ミネラルオイル、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の薬学的組成物はまた、直腸坐剤処方物によって、もしくは適切な浣腸処方物において下部腸管に局所適用され得る。局所的に投与される経皮パッチはまた、本発明に含まれる。
【0145】
本発明の薬学的組成物は、鼻用エアロゾルもしくは吸入によって投与され得る。このような組成物は、薬学的処方物の分野で周知の技術に従って調製され、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当該分野で公知の他の溶解剤もしくは分散剤を使用して、調製され得る。
【0146】
眼病用の使用については、上記薬学的に受容可能な組成物は、例えば、等張性のpH調節した滅菌生理食塩水もしくは他の水溶液中の微粉にした懸濁物として、または好ましくは、等張性のpH調節した滅菌生理食塩水もしくは他の水溶液中溶液として、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)ありまたはなしのいずれかで、処方され得る。あるいは、眼病用の使用については、上記薬学的に受容可能な組成物は、軟膏剤(例えば、ワセリン)中に処方され得る。本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、鼻用エアロゾルもしくは吸入によって投与され得る。このような組成物は、薬学的処方物の分野において周知の技術に従って調製され、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の溶解剤もしくは分散剤を使用して、調製され得る。
【0147】
最も好ましくは、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、経口投与のために処方される。
【0148】
経口投与のための液体投与形態としては、薬学的に受容可能なエマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。上記活性化合物に加えて、上記液体投与形態は、当該分野で一般に使用される不活性希釈剤(例えば、水もしくは他の溶媒、溶解剤および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤の他に、上記経口用組成物はまた、補助剤(例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、矯味矯臭剤、および芳香剤)を含み得る。
【0149】
注射用調製物(例えば、滅菌注射用の水性懸濁物もしくは油性懸濁物)は、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術に従って処方され得る。上記滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤もしくは溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁物、もしくはエマルジョン(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル溶液(米国局方)、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の不揮発性油は、溶媒もしくは懸濁媒体として従来から使用されている。この目的で、任意の刺激の強くない不揮発性油が使用され、これらとしては、合成のモノグリセリドもしくはジグリセリドが挙げられる。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)は、注射用物の調製において使用される。
【0150】
上記注射用処方物は、例えば、最近保持フィルタを介する濾過によって、または滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体中に使用前に溶解もしくは分散され得る滅菌固体組成物の形態で、滅菌薬剤を組み込むことによって滅菌され得る。
【0151】
本発明の化合物の効果を長期化するために、皮下注射もしくは筋肉内注射から上記化合物の吸収を遅らせることは、しばしば望ましい。このことは、不十分な水溶解性を有する結晶性もしくは無定形材料の液体懸濁物を使用することによって、達成され得る。次いで、上記化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、続いて、それは、結晶サイズおよび結晶性形態に依存し得る。あるいは、非経口投与される化合物形態の遅延した吸収は、油ビヒクル中に上記化合物を溶解もしくは懸濁することによって達成され得る。注射用デポー形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中に上記化合物の微小被包マトリクスを形成することによって作製される。化合物 対 ポリマーの比および使用される特定のポリマーの性質に依存して、化合物放出速度は、制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用処方物はまた、上記化合物を、体組織と適合性のリポソームもしくはマイクロエマルジョン中に捕捉することによって調製される。
【0152】
本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易さおよび投与の均一性のために投与単位形態で処方される。表現「投与単位形態」とは、本明細書で使用される場合、処置されるべき患者に適切な薬剤の物理的に別個の単位に言及する。しかし、本発明の化合物および組成物の総1日使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解される。
【0153】
約0.01〜約100mg/kg 体重/日の間、好ましくは、0.5〜約75mg/kg 体重/日の間、および最も好ましくは、約1〜50mg/kg 体重/日の間の活性成分である化合物Iの固体形態の投与レベルは、炎症性疾患(例えば、RA、乾癬、クローン病、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎および強直性脊椎炎、炎症性腸疾患の他の形態、急性特発性多発性神経炎、狼瘡、視神経炎、側頭動脈炎、急性および慢性の膵炎、神経炎、慢性肺閉塞症および火傷)の処置のための単一療法において有用である。
【0154】
代表的には、本発明の薬学的組成物は、約1〜5回/日、または代わりに、連続注入として投与される。このような投与は、慢性のもしくは急性の治療として使用され得る。上記キャリア物質と合わせて、単一投与形態を生成し得る活性成分の量は、上記処置される疾患および特定の投与形態に依存して変動する。代表的な調製物は、約5%〜約95%の活性化合物(例えば、本明細書に記載される化合物Iの固体形態(w/w))を含む。好ましくは、このような調製物は、約20%〜約80%の活性化合物を含む。
【0155】
本発明の組成物が、化合物Iの固体形態、および1種以上のさらなる治療剤の組み合わせを含む場合、上記化合物Iの固体形態および上記さらなる治療剤はともに、単一療法レジメンにおいて通常投与される投与量の約10%〜80%の間の投与レベルで存在するべきである。
【0156】
患者の状態の改善に関して、本発明の化合物の維持用量、組成物もしくは組み合わせは、必要であれば、投与され得る。その後、上記投与量、投与形態、もしくは投与頻度、またはこれらの療法は、改変される必要があり得る。しかし、いくつかの場合において、患者は、任意の再発もしくは疾患症状に関する長期の基礎に対する周期的な処置を要し得る。
【0157】
上記に記載されるものより低いもしくは高い用量が、必要とされ得る。任意の特定の患者についての特定の投与量および処理レジメンは、種々の要因(使用される上記特定の化合物の活性、年齢、体重、全身的な健康状態、性別、食事、投与の時間、排出速度、薬物組み合わせ、上記疾患の重篤度および過程、ならびに上記患者の疾患に対する素因および処置する医師の判断が挙げられる)に依存する。
【0158】
本発明の一実施形態は、被験体における疾患(例えば、炎症性疾患(例えば、RA、乾癬、クローン病、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎および強直性脊椎炎、炎症性腸疾患の他の形態、急性特発性多発性神経炎、狼瘡、視神経炎、側頭動脈炎、急性および慢性の膵炎、神経炎、慢性肺閉塞症および火傷))を処置するための方法を提供し、上記方法は、上記被験体に、本明細書に記載される任意の化合物、薬学的組成物、もしくは組み合わせ、および薬学的に受容可能なキャリア(例えば、上記の薬学的に受容可能なキャリア)を投与する工程を包含する。
【0159】
別の実施形態によれば、本明細書に記載される化合物Iのある形態はまた、移植(例えば、外科的に)(例えば、移植可能なデバイスもしくは内在するデバイスによる)によって送達され得る。移植可能なもしくは内在するデバイスは、被験体において恒久的にもしくは一時的にあるように設計され得る。移植可能なおよび内在するデバイスの例としては、コンタクト・レンズ、中心静脈カテーテルおよび鍼無しコネクタ、気管内挿入管、子宮内器具、機械式心臓弁、ペースメーカー、腹膜透析カテーテル、人工関節(例えば、股関節および膝関節置換)、中耳換気用チューブ、尿カテーテル、人工喉頭(voice prostheses)、ステント、送達ポンプ、血管フィルタおよび移植可能な制御放出組成物が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、移植可能なもしくは内在するデバイスは、化合物Iのデポーもしくはレザバとして使用され得る。任意の移植可能なもしくは内在するデバイスは、化合物Iを送達するために使用され得るが、ただし、a)上記デバイス、化合物I、および化合物Iを含む任意の薬学的組成物が、生体適合性である、およびb)上記デバイスは、上記処置される患者に治療的効果を付与するに有効な量の化合物Iを送達もしくは放出し得ることを条件とする。
【0160】
移植可能なもしくは内在するデバイスを介する治療剤の送達は、当該分野で公知である。例えば、Current Interventional Cardiology Reports 2001,3:28−36において刊行されたHofmaらによる「Recent Developments in Coated Stents」(その内容全体は、そこに引用される参考文献を含め、本明細書に参考として援用される)を参照のこと。移植可能なデバイスの他の説明は、米国特許第6,569,195号および同第6,322,847号;ならびに米国特許出願第2004/0044405号、同第2004/0018228号、同第2003/0229390号、同第2003/0225450号、同第2003/0216699号および同第2003/0204168号(これらの各々は、その全体が本明細書に参考として援用される)に見いだされ得る。
【0161】
いくつかの実施形態において、上記移植可能なデバイスは、ステントである。特定の一実施形態において、ステントは、連結された網目状のケーブルを含み得る。各ケーブルは、構造的支持のための金属ワイヤおよび上記治療剤を送達するためのポリマーワイヤを含み得る。上記ポリマーワイヤは、上記治療剤の溶液中に上記ポリマーを浸すことによって、投薬され得る。あるいは、上記治療剤は、ポリマー前駆物質溶液から上記ワイヤを形成する間に、上記ポリマーワイヤ中に埋め込まれ得る。
【0162】
他の実施形態において、移植可能なもしくは内在するデバイスは、上記治療剤を含むポリマーコーティングでコーティングされ得る。上記ポリマーコーティングは、上記治療剤の放出速度を制御するように設計され得る。治療剤の制御された放出は、種々の技術を利用し得る。モノリシック(monolithic)層もしくは異種の溶液を組み込むコーティングおよび/またはポリマー物質中に活性薬剤の分散物を有するデバイスは、公知であり、ここで上記薬剤の拡散は、上記薬剤が上記ポリマーを通って、上記ポリマー−液体界面へ拡散し、周りの液体へと放出されるにつれて、律速になる。いくつかのデバイスにおいて、可溶性物質はまた、上記物質中に溶解もしくは分散され、その結果、さらなる孔もしくはチャネルが、上記物質が溶解された後に残る。マトリクスデバイスは、一般に、同様に拡散制限されるが、上記デバイスの上記チャネルもしくは他の内部幾何はまた、上記薬剤を上記流体へ放出するにおいて役割を果たす。上記チャネルは、放出された薬剤もしくは他の可溶性物質が残される予め存在するチャネルであり得る。
【0163】
腐食性もしくは生分解性のデバイスは、代表的には、上記ポリマー中に物理的に固定化された上記活性薬剤を有する。上記活性薬剤は、上記ポリマー物質全体を通して溶解および/もしくは分散され得る。上記ポリマー物質は、しばしば、不安定な結合の加水分解を介して経時的に加水分解され、このことは、上記ポリマーが上記流体へと腐食することを可能にし、上記活性薬剤を上記流体へ放出する。親水性ポリマーは、疎水性ポリマーと比較して、一般により速い腐食速度を有する。疎水性ポリマーは、ほぼ純粋に活性薬剤の表面拡散を有すると考えられ、表面から内側への腐食を有する。親水性ポリマーは、水が上記ポリマーの表面へと浸透することを可能にすると考えられ、上記表面の下部にある不安定な結合の加水分解を可能にし、ポリマーの均質な腐食もしくは大量の腐食をもたらし得る。
【0164】
上記移植可能なもしくは内在するデバイスのコーティングは、各々が上記治療剤の異なる放出速度を有するポリマーのブレンドを含み得る。例えば、上記コーティングは、ポリ乳酸/ポリエチレンオキシド(PLA−PEO)コポリマーおよびポリ乳酸/ポリカプロラクトン(PLA−PCL)コポリマーを含み得る。上記ポリ乳酸/ポリエチレンオキシド(PLA−PEO)コポリマーは、上記ポリ乳酸/ポリカプロラクトン(PLA−PCL)コポリマーと比較して、より速い治療剤の放出速度を示し得る。経時的に送達される治療剤の上記相対的な量および投与速度は、上記よりゆっくり放出するポリマーに対して、より速く放出するポリマーの相対的な量を制御することによって制御され得る。より速い最初の放出速度のために、上記より速く放出するポリマーの割合が、上記よりゆっくり放出するポリマーに対して増大させられ得る。上記投与量の大部分が、長期間にわたって放出されるのが望ましい場合、上記ポリマーの大部分は、上記ゆっくり放出するポリマーであり得る。上記デバイスは、ポリマー、活性薬剤、および溶媒の溶液もしくは分散物を上記デバイスにスプレーすることによって、コーティングされ得る。上記溶媒は、エバポレートされ得、ポリマーおよび活性薬剤のコーティングが残る。上記活性薬剤は、上記ポリマー中に溶解させられ得るか、そして/または分散させられ得る。いくつかの実施形態において、上記コポリマーは、上記デバイスの上に押し出し成形され得る。
【実施例】
【0165】
本明細書で使用される場合、本願全体を通して使用される全ての略語および慣習は、現代の科学文献におけるものと一致する。例えば、Janet S.Dodd,ed.,The ACS Style Guide:A Manual for Authors and Editors,2nd Ed.,Washington,D.C.:American Chemical Society,1997(その全体が本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0166】
本発明の多くの実施形態は、以下の節において例示される。にも関わらず、種々の改変が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解される。よって、他の実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0167】
(使用される物理的特徴付け技術の説明)
(X線粉末回折(XRPD))
全てのパターンを、以下に記載される5つの系のうちの1つに集めた:
1. 120秒間の獲得時間にわたって加速器電圧40kVおよび電流35mAを有するHighStarアレイ検出器を備えたBruker D8 Discover。各サンプルを、ニッケル製サンプルホルダの中に調製し、その後のパターンを、4〜41°の2θ範囲で2個のフレームに対して集めた。温度可変X線回折(VT−XRD)を、10℃/分の工程間の加熱速度、および温度に達して(at temperature)5分間の平衡時間で、TCU150コントローラを備えたDHS900 Anton Paar加熱ステージによって達成した。
【0168】
2. CuKα照射(40kV,40mA)、θ−θ角度計、自動化発散スリットおよび受容スリット、グラファイト二次モノクロメーター(graphite secondary monochromator)およびシンチレーションカウンターを使用するSiemens D5000回折計。データを、0.02°の段階サイズおよび1秒の段階時間を使用して、連続スキャンモードで、2°〜42°の角度2θ範囲に対して集めた。サンプルを、周囲条件下で作動させ、粉砕なしで受容される場合に粉末を使用して、平らなプレート標本として調製した。約1〜2mgの上記サンプルを、ガラススライドに僅かに押しつけて、平らな表面を得た。非周囲条件下で作動させたサンプルを、熱伝導化合物とともにシリコンウェハ上に載せた。次いで、上記サンプルを、約20℃/分で適切な温度へと加熱し、その後、データ収集を開始する前に、約1分間にわたって等温に保持した。
【0169】
3. CuKα照射(40kV,40mA)、自動化XYZステージ、自動サンプル位置決めのためのレーザービデオ顕微鏡およびHiStar 2次元領域検出器を使用する、Bruker AXS C2 GADDS回折計。X線オプティクスは、0.3mmのピンホールコリメーターと連結された単一のGobelマルチレイヤーミラーからなる。ビーム発散は、約4mmであった。θ−θ連続スキャンモードを、3.2〜29.8°の有効2θ範囲を与える20cmの検出器距離に対してサンプルとともに使用した。このシステムにおけるサンプルの代表的露出時間は、120秒であった。サンプルを周囲条件下で作動させ、粉砕無しで受容される場合、粉末を使用して平らなプレート標本として調製した。約25〜50mgの上記サンプルを、研磨した、ゼロバックグラウンド(510)シリコンウェハ(The Gem Dugout製)へと切断した12mm直径、0.5mm深さの空洞の中に静かに充填した。全ての標本を、静置して、および分析の間にそれら自体のプレート上で回転させて、両方で作動させた。さらなる標本を、内部標準としてシリコン粉末を使用して作動させて、任意のピーク変位(peak displacement)について較正した。回折データを、Kα1成分がEVAを使用して分離した後に、CuKα1(l=1.5406Å)を使用して報告し、上記粉末パターンを、WIN−INDEXを使用するITO法によってインデックスをつけ、生の格子定数を、WIN−METRICを使用して正確にした。
【0170】
4. 精密焦点X線チューブを備えたCuKα照射(40kV,40mA)を使用するShimadzu XRD−6000 X線分粉末回折計。発散および散乱スリット(slids)を1°で設定し、受容スリットを、0.15mmで設定した。NaIシンチレーション検出器は、回折した照射を検出した。3°/分(0.4秒/0.02°工程)で2.5°〜40°までのθ−2θ連続スキャンを使用した。シリコン標準を各日に分析して、機器アラインメントをチェックした。各サンプルを、上記サンプルホルダへ上記サンプルを押しつけることによって、分析のために調製した。
【0171】
5. CuKα照射(40kV,30mA)を使用するInel XRG−3000 X線粉末回折計。これには、湾曲した光位置センサー(curved position−sensitive detector)を備え付けた。データを、0.03°の分解能で、120°の2θ範囲に対してリアルタイムで集めた。サンプルを、シリコン導入物とともにアルミニウムホルダ中に充填し、分析した。シリコン標準物質を、各日に分析して、機器アラインメントについてチェックした。4°〜40°の間の2θ領域のみが、この機器で作動させたデータを示す。
【0172】
(示差走査熱量測定(DSC))
DSCを、以下に記載される2つの機器のうちの1つを使用して集めた:
1. 標準的アルミニウム密閉式パンおよびピンホールで穴を空けた蓋を備えるTA Instrument Q1000シリーズ mDSC。各サンプルを、10℃/分で35℃〜200℃まで、もしくは10℃〜300℃まで、調節なしで上昇させた。エネルギーおよび温度較正標準は、インジウムであった。30mL/分での窒素パージを、上記サンプルに対して維持した。1〜3mgの間のサンプルを使用した。
【0173】
2. インジウムを較正標準としてして使用して、1個のピンホールを有する波形のパンを備えるTA 2920機器。約2〜5mgのサンプルをDSCパンの中に入れ、その重量を正確に記録した。サンプルを、10℃/分の速度で、最大最終温度350℃まで、窒素下で加熱した。
【0174】
(熱重量分析(TGA))
TGAを、以下に記載される2つの機器のうちの1つを使用した集めた:
1. 波形のアルミニウムサンプルパンを備えるTA Instrumens Q5000シリーズ TGA。各サンプルを、10℃/分で周囲温度から300℃へと上昇させた。上記システムを、ニッケル/アルメルで較正した。60mL/分の窒素パージを、上記サンプルに対して維持した。代表的には、2〜10mgのサンプルを、予め風袋測定した白金るつぼに載せた。
【0175】
2. TA機器 TGA 2050。ニッケルおよびアルメル較正標準物質を使用した。約5.0mgのサンプルを、上記パンに入れ、正確に秤量し、上記TG炉に入れた。サンプルを、10℃/分の速度で、最大最終温度300〜350℃まで、窒素中で加熱した。
【0176】
(重量測定式蒸気脱着法(Gravimetric Vapour Desorption)(GVS)研究)
全てのサンプルを、CFRSorpソフトウェアを走らせているHiden IGASorp水分収着分析器で作動させた。サンプルサイズは、代表的には、10mgであった。水分吸収−脱着等温線を、表Xにおいて以下に概説されるように行った(2回のスキャンは、1回の完全なサイクルを与える)。全てのサンプルを、代表的な部屋の湿度および温度(40% RH、25℃)において装填および抜き取った。全てのサンプルを、GVS分析後にXRPDによって分析した。上記標準的な等温線を、25℃において10% RH間隔で、0〜90% RH範囲において行った。
【0177】
【表10】
(赤外分光法;ATR−IRおよびTG−IR)
以下に記載される3つのシステムのうちの1つを使用した:
1. Universal ATRサンプリングアクセサリを備えつけたPerkin−Elmer Spectrum。データを集め、Spectrum V5.0.1ソフトウェアを使用して分析した。
【0178】
2. globar source、Ge/KBrビームスプリッター、および重水素化トリグリシンスルフェート(DTGS)検出器を備えたNicoletモデル560 Fourier transForm IR分光光度計のインターフェースで連結したSeiko Instruments TG/DTA 220。上記IR分光光度計を、温度較正のためにニッケルおよびアルメルを使用して、1週間に1回波長較正した。約10mgのサンプルを、白金パンの中に秤量し、ヘリウムパージしながら、20℃の割合で30℃から300℃へと加熱した。IRスペクトルを、連続して得、各スペクトルは、4cm−1の分離能で32回の同時付加した(co−added)スキャンを代表した。スペクトルを、33秒反復時間で集めた。揮発性物質を、HR Nicolet TGA蒸気層スペクトルライブラリーの検索から同定した。
【0179】
3.中間IRスペクトルを、globar source、Ge/KBrビームスプリッター、および重水素化トリグリシンスルフェート(DTGS)を備えたNicoledモデル860 Fourier transForm IR分光光度計で得た。A spectra−Tech,Inc.拡散反射アクセサリを、サンプリングのために利用した。各スペクトルは、4cm−1のスペクトル分解能での128回の同時付加スキャンを代表する。次いで、バックグラウンドデータを、獲得した。その後、Log 1/R(R=反射率)スペクトルを、互いに対して2つのデータを分配することによって獲得した。上記分光光度計を、使用時にポリスチレンで波長を較正した。
【0180】
(溶解度分析(水中))
これを、最大最終濃度≧10mg/mlの上記化合物の親の遊離形態を与えるように十分、化合物Iを0.25mLの溶媒(水)中に懸濁することによって測定した。上記懸濁物を、25℃で24時間にわたって平衡化し、続いて、pHをチェックし、ガラス繊維C96ウェルプレートを通して濾過した。次いで、その濾液を101倍だけ希釈した。標準物質への参照とともにHPLCによって(表XI)定量し、希釈し、未希釈試験物を注入した。その溶解度を、上記標準物質注入におけるピーク最大と同じ保持時間で見いだされたピーク面積の積分によって計算した。上記フィルタプレート中に十分な固体が存在する場合、上記XRPDを、通常、相変化、水和物形成、無定形化、結晶化などのためにチェックする。
【0181】
【表11】
(1H NMR)
全てのスペクトルを、オートサンプラーを備えたBruker 400MHzシステムに集めた。サンプルを、別段示されなければ、d6−DMSO中に調製した。
【0182】
(Karl−Fisher 水決定研究)
水含有量を、Hydranal Coulomat AG試薬およびアルゴンパージを使用して、Mettler Toledo DL39電量計で測定した。
【0183】
(純度分析(HPLCによる))
純度分析を、ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent HP1100シリーズシステムで、ChemStationソフトウェアv9を使用して行った。特定の条件は、表XIIにまとめる。
【0184】
【表12】
具体的詳細(例えば、機器モデル、装備設定および条件)は、本明細書に記載されるが、当業者は、各分析実験が、機器の誤差およびヒューマンエラーを含むことを認識する。さらに、前述は、実験の実施を具体的機器および/もしくは装備設定に限定することを意味しない。さらに、各実験の正確な結果もしくは測定値は、代表的サンプリングおよび上記サンプルがどのようにして物理的特徴付けの前後で維持されるかに依存する。代表的サンプリングおよび/もしくはサンプル維持における差異は、各実験の正確な結果もしくは測定値に変動を生じ得る。
【0185】
本明細書に記載される場合、全ての2θ値は、その報告された値±0.2°であると解釈されるべきである。例えば、9.5° 2θの注釈を付けられたピーク位置を有するXPRDスペクトルは、9.3〜9.7° 2θ(すなわち、9.5±0.2° 2θ)のピーク位置を表す。
【0186】
(一般的合成スキーム)
スキームI:化合物I,形態Aの調製
【0187】
【化4】
出発物質IIおよびIIIの調製:
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−ニコチン酸 エチルエステル(VI)の調製
【0188】
【化5】
オーバーヘッドスターラー、熱電対、加熱マントル、窒素出口および還流冷却器を備えた窒素パージした3.0Lの四つ口フラスコに、Pd(Ph3)4(5.0g,4.33ミリモル,0.005当量)、炭酸ナトリウム(92.6g,874ミリモル,1.3当量)、2−クロロニコチン酸エチル(126.0g,678モル,1.0当量)、2,4−ジフルオロフェニルボロン酸(125g,791ミリモル,1.2当量)を充填し、続いて、0.5Lのトルエンおよび125mL 変性EtOHを充填した。上記反応系を、82℃へと、N2下で一晩、激しく攪拌しながら加熱した。上記反応混合物のHPLC分析[Tret SM=10分,Tret VI=12分]は、上記出発物質が完全に消費されかつ後の溶出ピークが生じることを示した(2:1 ヘキサン:酢酸エチルを使用して、TLC Rf=0.4による)。上記反応系を室温へと冷却し、上記混合物を、小さなセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、溶媒を、55℃において真空下で除去した。その残渣をEtOAc中に溶解し、洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、セライト(登録商標)を通して濾過し、濃縮した。その生成物を、黄色固体(162g,91.0%収率)として得た。
【0189】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−オキシ−ニコチン酸 エチルエステル(VII)の調製)
【0190】
【化6】
オーバーヘッドスターラー、熱電対および冷却器を備えた窒素パージした12Lの五つ口フラスコに、ジアリールピリジンVI(144g,548ミリモル,1.0当量)および4LのCH2Cl2を充填した。攪拌しながら、m−CPBAを5分間かけて添加した。その温度は、45分間で22℃から38℃へと徐々に上昇した。HPLC分析[Tret VI=12分,Tret VII=10分]が>97%消費を示すまで、窒素下で激しく攪拌し続けた。上記反応系を室温へと冷却し、上記反応系を室温へと冷却し、その内容物を、3Lの水にゆっくりと注いだ。ペルオキシド試験(デンプン/I2ペーパー)が上記混合物中にペルオキシドが残っていないことを示すまで、Na2SO3をゆっくりと添加した(20℃から33℃への発熱反応)。水層を除去し、有機層を飽和NaHCO3(約3L)で洗浄した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、褐色の粘稠性の油状物へと濃縮した。これを、MTBE(2L)中で攪拌して、白色の沈殿物を得た。これを濾過によって集め、MTBEで洗浄し、真空下で乾燥させて、中間体化合物VIIを得た(692g,67%収率)。
【0191】
(6−クロロ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−ニコチン酸 エチルエステル(II)の調製)
【0192】
【化7】
還流冷却器、加熱マントルおよび熱電対を備えた窒素パージした500mLの三つ口フラスコに、N−オキシド VII(21g,75ミリモル,1.0当量)を充填し、続いて、150mL ジクロロエタンを充填した。オキシ塩化リン(75mL)を攪拌しながら一度に全て添加したところ、21〜23℃へと急激な温度上昇を引き起こし、続いて、その後に徐々に温かくなった。上記溶液を、HPLC分析[Tret VII=10分,Tret II=17分]が>94%消費を示すまで、70〜75℃へと窒素下で加熱した。上記反応系を室温へと冷却し、その内容物を真空下で濃縮して、上記POCl3の大部分を除去した。残りを、450gの氷の上にゆっくりと注ぐことによってクエンチした。上記氷が溶けた後、その生成物を塩化メチレンへ(2×200mL)。と抽出した。その合わせた有機物を乾燥させ(MgSO4)、シリカを通して濾過し、塩化メチレンで溶出し、橙色固体 II(16.8g,75%収率)へと濃縮した。
【0193】
(tert−ブチル2,6−ジフルオロフェニルカルバメート(III)の調製)
【0194】
【化8】
Boc−2,6−ジフルオロアニリン(4.5mL,42mmol,1.0当量)およびBoc無水物(11.1g,51mmol,1.2当量)を、THF中で混合し、この混合物に、1M NaHMDS(100mL,100mmol,2.3当量)を室温にて添加した。HPLC−MSによって、所望の生成物[M+1]=230の形成を確認した。50mLのブラインを添加し、上記THFをエバポレートし、EtOAc(2×100mL)へと抽出した。その合わせた有機物をブライン(1×50mL)で洗浄し、続いて、クエン酸(2×10%)で洗浄した。得られた溶液をMgSO4無水物で乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮して、橙色固体を得、これを、次の工程においてさらに生成せずに直接使用した。HPLCでの保持時間は、15分であった。
【0195】
(工程A:2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(2,6−ジフルオロフェニルアミノ)−ニコチン酸 エチルエステル(IV)の調製)
【0196】
【化9】
方法A:
窒素パージしたフラスコに、酢酸パラジウム(13.2g,59ミリモル,0.04当量)、ラセミBINAP(36.6g,59ミリモル,0.04当量)、続いて、1.9L トルエンを充填した。その不均質なスラリーを、窒素下で2時間にわたって50℃へと加熱し、30℃へと冷却し、次いで、ピリジルクロリド II(386.4g,1.45モル,1.0当量)およびBoc−2,6−ジフルオロアニリン III(386.4g,1.69モル,1.2当量)、ならびにK3PO4(872g,4.1モル,2.8当量)を全て一度に添加し、続いて、1.9L トルエンですすいだ。上記不均質な反応混合物を、100℃へと一晩加熱し、HPLCによってモニターした。上記反応系がHPLCによって43へ完全に変換したことが示された場合[Tret II=17分,Tret 43=20.5分,Tret IV=17.6分,229nmでモニターした](通常、18〜20時間の間)、上記反応系を室温へと冷却し、その内容物を1.94L EtOAcで希釈した。これに、1×1.94Lの6N HClを添加し、両方の層を、セライトを通して濾過した。上記セライトの湿ったケーキを、2×1.9L EtOAcですすいだ。上記層を分離し、その有機層を、1×1.9Lのブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、褐色の粘性油状物へと濃縮した。上記Boc保護基を除去するために、上記油状物を1.94Lの塩化メチレン中に溶解し、388mL TFAを添加した。上記反応系を一晩攪拌して、Boc除去を促進した。その揮発物質を真空中で除去し、EtOAc(1.9L)および十分量の1Nもしくは6NのNaOHを、そのpHが2〜7になるまで添加した。次いで、十分量の5% NaHCO3を添加して、そのpHを8〜9にした。その有機層を分離し、1×5% NaHCO3で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、褐色油状物/液体へと濃縮した。上記粗製油状物/液体を、十分量のトルエンで2回、共乾燥させた(azeodried)。遊離塩基が沈殿したときに、スラリーが生じる。その残渣を、500mL トルエン中に溶解し、1.6Lの1N HCl/エーテル溶液を添加したところ、砕けるその固体HCl塩を生じた。上記均質化したもの/固体が壊れるまで、熱を加えた。必要であれば、200mLのEtOAcを添加して、壊れるのを促進し得る。冷却後、上記固体IVを真空濾過によって単離し、EtOHから再結晶化した。これら2つの連続した工程に関する収率は、通常、50〜70%の間の範囲であった。
【0197】
(方法B)
オーバーヘッドメカニカルスターラー、加熱マントル、還流冷却器、および熱電対を備えた1Lの四つ口丸底フラスコ中に、II(50g)、Cs2CO3(150g)および0.15LのNMPを充填した。上記溶液を激しく攪拌し、65℃へと加熱し、その時点で、上記懸濁物に、0.10LのNMP中のIII(60g)の溶液を10分間かけて添加した。65℃で18時間にわたって加熱したところ、HPLCによって、IIから所望のBoc付加物へと約85%が転換したことが示された。このときに、その温度は、75℃へと上昇し、さらに18時間にわたる加熱ののち、HPLC分析から、IIから所望のBoc付加物Boc−IV(示さず)へと約97%が変換したことが示された。次いで、上記混合物を、20℃へと冷却し、2.0Lの水の中へと一度に注ぎ、オーバーヘッドメカニカルスターラーおよび熱電対を備えた3Lの四つ口丸底フラスコ中で攪拌した。上記NMP溶液を添加した結果として、上記水の温度は、22℃から27℃へと上昇した。次いで、上記懸濁物を、15℃へと冷却し、黄褐色固体を、濾過によって集め、水ですすぎ、2時間にわたって上記フィルタ上で吸引管層した。次いで、オーバーヘッドメカニカルスターラーおよび熱電対を備えた2Lの四つ口丸底フラスコ中に、上記黄褐色固体および0.8LのCH2Cl2を充填した。上記攪拌した溶液に、70mLのTFAを一度に添加した。周囲温度で2時間攪拌した後、上記Boc保護された物質はHPLCによって全く検出されず、上記混合物を、ロータリーエバポレーションによって濃縮した。上記油状の残渣を0.7L EtOAc中にとり、0.7L 飽和NaHCO3で処理したところ、その間には、気体が生じた。上記EtOAc層を0.25L 飽和NaClで洗浄し、ロータリーエバポレーションによって濃縮した。得られた褐色油状物に、0.2L EtOAcを添加し、上記溶液を、Et2O中のHCl(2.0M 溶液が0.4L)で処理し、60分間にわたって攪拌した。その生成物IV−HCl(黄色粉末)を、濾過によって集めた。上記生成物を、上記粗製塩を、4mL EtOH/g の粗製生成物で還流するまで加熱し、次いで、周囲温度へと冷却することによって再結晶化し得る(70.5%収率)。
【0198】
(工程B:6−1−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−ニコチン酸(V))
【0199】
【化10】
水(590Kg)を、1900L反応器へと充填した。攪拌しながら、塩酸(37%,804Kg)を充填し、続いて、さらなる174Kgの水を添加した。最後に、エステルIV−HCl(90.7Kg,213モル)を充填し、続いて、THFを充填した。上記混合物を、95〜100℃へと36時間にわたって加熱した。この時点で、単純な水洗浄(シリカゲル,F254;3.0×6.5cm;1:4 アセトン:ヘキサン, IV−Rf=0.3,V−Rf=0.2)によってワークアップしたアリコートのTLCから、上記反応の完了が示された。このことを、HPLCによって確認した。36時間後、上記反応温度を、22℃未満に低下させ、得られた混合物を、この温度で3〜4時間攪拌した。得られた沈殿物を濾過によって集めた。その濾過ケーキを、濾液のpHが湿ったpH紙によって3〜4になるまで水で洗浄した(通常は、5回の洗浄)。次いで、上記固体を、THF/水/HCl(1300Kg/84Kg/199Kg)中に溶解し、活性炭(10Kg)で処理して、不純物を除去した。濾過後、水で洗浄し、真空下で乾燥させたところ、生成物V−HClを、白色から黄色の固体(211Kg,78%収率)として得た。
【0200】
(工程C:6−1−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−ウレイド]−2−(4−フルオロ−フェニル)−ニコチン酸(I):)
【0201】
【化11】
窒素パージしたフラスコに、IVのアミノエステルHCl塩(262g,0.67モル,1.0当量)を充填し、続いて、1.2L トルエンを充填した。上記不均質混合物に、ホスゲン(1.93M トルエン溶液が1.4L,2.7モル,4.0当量)を添加し、上記反応系を、50℃へと窒素下で一晩加熱した。上記−NC(O)Cl部分を形成するための反応の進行を、HPLCによってモニターした[Tret IV=17.6分,Tret カルバモイル中間体=19.7分,Tret I=16.4分,229nmでモニターした]。いったん窒素が完全に反応したら、その褐色溶液を約−5℃へと冷却し、NH4OH(0.84L,12.4モル,18.5当量)をゆっくりと滴下した。上記添加が完了に近づくにつれて、固体が形成された。上記スラリーを、1Lの水と一緒に攪拌し、真空濾過によって集めた。その湿ったケーキを、1×390mL トルエンで洗浄して、遅く溶出してくる不純物を除去した。上記生成物をMeOH中の結晶化によりさらに精製して、化合物Iを白色固体として得た。
【0202】
化合物Iはまた、以下に記載されるように合成され得る。
【0203】
(エチル 6−クロロ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)ニコチネート(5)の調製)
【0204】
【化12】
(エチル 2−(2,4−ジフルオロフェニル)ニコチネート(3)の調製)
【0205】
【化13】
オーバーヘッドスターラー、熱電対、加熱マントル、窒素出口および還流冷却器を備えた窒素パージした3.0Lの四つ口フラスコに、Pd(Ph3)4(5.0g,4.33ミリモル,0.005当量)、炭酸ナトリウム(92.6g,874ミリモル,1.3当量)、エチル 2−クロロニコチネート,1(126.0g,678モル,1.0当量)、2,4−ジフルオロフェニルボロン酸,2(125g,791ミリモル,1.2当量)を充填し、続いて、0.5Lのトルエンおよび125mL 変性EtOHを充填した。上記反応系を82℃へと、N2下で一晩激しく攪拌しながら加熱した(反応の完了を、HPLCおよびTLCによって決定した)。上記反応系を室温へと冷却し、上記混合物を、小さなセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、その溶媒を、55℃において真空下で除去した。その残渣を、EtOAc中に溶解し、洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、再びセライト(登録商標)を通して濾過し、濃縮した。上記生成物を、黄色固体として得た。
【0206】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(エトキシカルボニル)ピリジン 1−オキシド(4)の調製)
【0207】
【化14】
オーバーヘッドスターラー、熱電対、および冷却器を装備した窒素パージした12Lの五つ口フラスコに、エチル 2−(2,4−ジフルオロフェニル)ニコチネート,3(144g,548ミリモル,1.0当量)、および4LのCH2Cl2を充填した。攪拌しながら、mCPBAを5分間かけて添加し、その温度を、22℃から38℃へと45分間で徐々に上昇させた(反応の完了を、HPLCによって決定した)。上記反応系を室温へと冷却し、その内容物を、3Lの水へとゆっくり注いだ。ペルオキシド試験(デンプン/I2紙)が上記混合物中にペルオキシドが残っていないことを示すまで、Na2SO3をゆっくりと添加した(20℃から33℃への発熱反応)。上記水層を分離し、上記有機層を、飽和NaHCO3(約3L)で洗浄した。上記有機層を、MgSO4で乾燥させ、濾過し、褐色の粘稠性油状物へと濃縮した。次いで、上記油状物をMTBE(2L)で処理し、攪拌して、白色沈殿物を得、これを、濾過によって集め、MTBEで洗浄し、真空下で乾燥させて、標題化合物4を得た。
【0208】
(エチル 6−クロロ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)ニコチネート(5)の調製)
【0209】
【化15】
還流冷却器、加熱マントルおよび熱電対を装備した窒素パージした500mLの三つ口フラスコに、2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(エトキシカルボニル)ピリジン 1−オキシド,4(21g,75ミリモル,1.0当量)を充填し、続いて、150mL ジクロロエタンを充填した。オキシ塩化リン(75mL)を、攪拌しながら一度に添加したところ、21℃から23℃への急激な温度変化を引き起こし、徐々に温かくなった。上記溶液を、70〜75℃へと窒素下で加熱した(反応の完了を、HPLCによって決定した)。次いで、上記反応系を室温へと冷却し、真空下で濃縮して、上記POCl3のうちの大部分を除去した。その残りを、450gの氷を上にゆっくりと注ぐことによって、クエンチした。次いで、上記混合物(氷が溶けた後)を、塩化メチレン(2×200mL)へと抽出した。その合わせた有機物を乾燥させ(MgSO4)、シリカを通して濾過し、塩化メチレンで溶出し、濃縮して、標題化合物,5を橙色固体として得た。H NMR(500.0MHz, CDCl3) d 8.15(d,J=8.2Hz,1H), 7.54(td,J=8.5,5.0Hz,1H), 7.34(d,J=8.2Hz,1H), 6.96−6.92(m,1H), 6.79−6.74(m,1H), 4.16(q,J=7.2Hz,2 H), 1.10(t,J=7.1Hz,H)ppm。
【0210】
(tert−ブチル 2,6−ジフルオロフェニルカルバメート(7)の調製
【0211】
【化16】
2,6−ジフルオロアニリン,6(4.5mL,42mmol,1.0当量)、およびBoc無水物(11.1g,51mmol,1.2当量)を、THF中に混合し、この混合物に、1M ナトリウムヘキサメチルジシラジド(100mL,100mmol,2.3当量)を室温で添加した(反応の完了を、HPLCによって決定した)。次いで、50mL ブラインを添加し、上記溶液を濃縮し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。その合わせた有機物を、ブライン(1×50mL)で洗浄し、続いて、クエン酸(2×10%)で洗浄した。次いで、上記得られた溶液を、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、標題化合物,7を橙色固体として得、これを、さらに精製せずに次の工程において直接使用した。H NMR(500.0MHz,CDCl3) 7.18−7.13(m,1H), 6.96−6.91(m,2H), 6.06(s,1H)および1.52(s,9H)ppm。
【0212】
(エチル 6−(tert−ブトキシカルボニル(2,6−ジフルオロフェニル)アミノ)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)ニコチネート(8)の調製)
【0213】
【化17】
化合物5(100.82g,0.33mol,1.0当量)、化合物7(101.05g,0.44mol,1.30当量)、および炭酸セシウム(177.12g,0.54mol,1.60当量)の混合物を、DMSO(250mL,2.5容積)中に懸濁し、55〜60℃で48時間にわたって激しく攪拌した(反応の完了を、HPLCによって決定した)。上記混合物を、20〜30℃へと冷却し、1N HCl(水)溶液(540mL,1.60当量)を注意深くかつゆっくりと添加することによって塩基をクエンチし、上記反応混合物の内部温度を30℃未満に維持した。冷却したところ、沈殿物が形成し、これを濾過し、水(2×250mL,2×2.5容積)で洗浄した。上記濾取物(filtrand)を、無水エタノール(1000mL,10容積)中に懸濁し、還流するまで加熱した。上記還流を、30〜60分間にわたって維持し、水(200mL,2容積)を上記混合物に添加した。次いで、上記得られた混合物を、還流するまで再び加熱し、還流を30分間にわたって維持し、その時点で、上記懸濁物を、10℃へと冷却した。次いで、上記得られた固体を濾過し、水(2×250mL,2×2.5容積)で洗浄し、続いて、無水エタノール(250mL,2.5容積)で洗浄し、次いで、真空オーブンに移し、50〜60℃で乾燥させた。標題化合物,8を、白色結晶性固体として得た。(1H NMR, 500MHz; CDCl3) δ8.28(d,1H), 8.12(d,1H), 7.19(q,1H), 6.96(t,2H), 6.81(t,1H), 6.74(t,1H), 4.25(q,2H), 1.50(s,9H), 1.20(t,3H)。
【0214】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(2,6−ジフルオロフェニルアミノ)ニコチン酸(9)の調製)
【0215】
【化18】
化合物8(100g,0.204mol,1.00当量)に、温度を50℃未満に維持しながら濃硫酸(285mL,2.85容積,5.24mol)を蒸留水(465mL,4.65容積)にゆっくりと添加することによって調製した、7M 硫酸溶液を添加した。上記混合物を、上記反応が完了するまで、100±5℃において加熱した。上記混合物を、次いで、30±5℃へと冷却し、さらなる水(750mL,7.5容積)を添加した。次いで、酢酸イソプロピル(2L,20容積)を添加し、上記混合物を15分間にわたって攪拌した。攪拌を停止し、上記相を分離させた。上記水相を分離し、水(7.5容積)を、その有機相に充填した。上記混合物を15分間攪拌し、ポリッシュ濾過し(polish filtered)、次いで、その水相を排出した。上記有機層の総容積は、45±5℃での真空蒸留によって、4容積へと減少した。得られたスラリーを、−10℃へと12時間にわたって冷却し、濾過した。上記濾取を冷酢酸イソプロピル(3容積)で洗浄し、上記固体を50±5℃において真空下で乾燥させて、標題化合物9を白色固体として得た。(1H NMR,500MHz;DMSO−d6) δ 12.50(s,1H), 9.25(s,1H), 8.07(d,1H), 7.39(q,1H), 7.29(m,1H), 7.18(m,3H), 7.09(m,1H), 6.25(m,1H)。
【0216】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド(10)の調製)
【0217】
【化19】
トリホスゲン(38.87g,0.1276mol,0.9当量)および化合物9(51.14g,0.1412mol,1当量)を、反応器に充填した。次いで、無水THF(486mL,9.5容積)を添加し、その透明な溶液を、−30±5℃へと冷却した。THF(103mL,2.5容積)中のジイソプロピルエチルアミン(73.79mL,0.424mol,3.0当量)を、温度を−20℃未満に維持して上記反応器に充填した。添加の後、上記反応混合物を、20±3℃へと加温した。上記混合物を、2時間にわたって攪拌し、次いで、セライト(登録商標)を通して濾過し、そのケーキを、THF(767mL,15容積)ですすいだ。その濾液を、−30℃へと冷却し、無水NH3(3当量)を添加した。得られた白色のスラリーをN2でパージし、最大20±3℃まで1時間にわたって加温した。次いで、上記反応混合物を、0±5℃へと30分間にわたって冷却した。上記混合物を、再び濾過し、上記反応器を、THF(255mL,5容積)ですすいだ。上記ケーキを、H2O(255mL,5.0容積)、続いて、1N H2SO4(10容積)ですすいだ。上記固体を、次いで、真空オーブンに移し、35±3℃で乾燥させて、標題化合物10を白色固体として得た。(1H NMR,500MHz;DMSO−d6) δ 7.97(d,1H), 7.85(s,1H), 7.56(quin,1H), 7.45(q,1H), 7.40(s,2H), 7.28(t,3H), 7.15(td,1H), 7.06(d,1H)。
【0218】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド(10)の固体形態の調製)
【0219】
【化20】
メタノール(6.52L,16.0容積)中の化合物10(407.74mL,1.01mol,1.00当量)のスラリーを、溶液が得られるまで、60℃へと加熱した。次いで、上記反応器の内容物を、48℃へと冷却し、この温度で、結晶化が始まるまで維持し、30分間にわたって攪拌し、次いで、0℃へと冷却した。上記スラリーを濾過し、上記反応器および濾過ケーキを、予め0〜5℃に冷却しておいたメタノール(816mL,2容積)ですすいだ。上記濾過ケーキを真空下で30分間にわたって乾燥させた。次いで、上記固体を上記反応器に戻し、22℃において、1:3 メタノール:水混合物(4.1L,10容積)で、24時間にわたって攪拌した。メタノール(2.05L,5容積)を上記反応器に添加し、1:1 メタノール:水混合物を得た。次いで、この溶液を、さらに24時間にわたって攪拌し、その後、上記混合物を濾過し、上記ケーキを水(818L,2容積)ですすいだ。上記固体を真空オーブンに移し、38℃において乾燥させて、化合物10を白色固体として得た。
【0220】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(2,6−ジフルオロフェニルアミノ)ニコチン酸(9)への代替経路)
【0221】
【化21】
工程A:鹸化:
250mLの丸底フラスコに、化合物5およびTHFを室温において充填した。次いで、1M LiOH溶液をフラスコに添加した。得られた混合物を、約40℃へと約3時間にわたって加熱し、次いで、室温へと冷却し、約2日間にわたって攪拌した。上記反応系を、HPLCによってモニターし得る。撹拌後、上記混合物を移し、100mL 水および100mL DCMで洗浄する。その有機層を分離し、110mLの1N HCl水溶液で中和した。その水層を、DCM(3×100mL)で抽出した。その有機層を合わせ、濃縮して、白色固体化合物20を得た。H NMR(500.0MHz,DMSO) 13.5(bs,OH) d 8.31(d,J=8.3Hz,H), 7.70(d,J=8.2Hz,H), 7.62(dd,J=8.6,15.2Hz,H), 7.35−7.31(m,H), 7.21(td,J=8.5,3.6Hz,H), 3.33(s,H), 2.51(d,J=1.7Hz,H) ppm。
【0222】
工程B:カップリング
100mLの丸底フラスコに、MBTE(10mL)中の化合物20(1.0015g,3.714mmol)を充填し、続いて、化合物6(600μL,5.572mmol)を添加した。得られた混合物を、氷/アセトンバスで−8℃〜−10℃の内部温度へと冷却し、続いて、上記混合物温度を約−5℃未満で維持しながら、カリウム ビス(トリメチルシリル)アミド(9.3mL,9.300mmol)の1M溶液を(1時間かけて)滴下した。塩基の添加後、上記反応混合物を、室温において、20mLの1M HClでクエンチした。上記混合物を、20mL 水および50mL 酢酸エチルで洗浄した。上記水相を、洗浄し、少なくとももう1回、酢酸エチルで洗浄した。その有機層を濃縮し、続いて、DCM(25mL)を添加した。得られた固体を懸濁し、濾過し、50mL DCMで洗浄した。上記個体の分析から、化合物9の存在が確認された。
【0223】
他の実施形態において、上記カップリング工程において使用される塩キはまた、LiHMDS(55℃)、NaHMDS(55℃)、KOtBu、およびnBuLiから選択され得る。
【0224】
(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド(10)への代替経路)
【0225】
【化22】
いくつかの実施形態において、化合物10を、CDI、THF、NH4OHもしくはトルエン/メチルクロロホルメート/NEt3/NH4OHを使用して、アミド化合物15の段階的形成によって生成し得る。化合物10を、その後、化合物15を溶媒(例えば、CH3CN、DMSO、MeTHF、THF、DMF、もしくはDMSO)中のクロロスルホニルイソシアネートで処理することによって、形成し得る。
【0226】
(詳細な実験手順)
(実施例I:形態Cの調製および物理的特徴付け)
形態Cを、以下の手順を使用して調製した:
前駆物質であるメタノール溶媒和形態A(以下の実施例IVにおいて記載されるように調製)を、20容積の1:3 MeOH:H2O混合物中に、0℃において24時間にわたって溶解した。次いで、より多くのメタノールを添加して、MeOH:H2O 1:1の比を達成した。上記形成されるpptを、濾過によって集め、風乾した。形態Cの1H NMRスペクトルの特徴を、図2に示す。
【0227】
形態Cを、目で見える形態のないサイズが粒子<10mmからなる白色粉末として特徴付けた。純度分析を、HPLCを使用して行ったところ、この粉末が、微意量の分解生成物Yとともに、98.8%純粋であることが示された(HPLCトレース 図10)。
【0228】
表XIIIは、種々の例示的溶媒中の形態Cの代表的なみかけの(平衡化していない)溶解度を含む。このデータを、以下の一般的手順を使用することによって得た:
50(50.0)mgの化合物I、形態Cを、小さなねじ蓋付きバイアル中に秤量した。関連するバイアルを、透明な溶液が得られるまで、一度に添加した。いくつかの場合には、溶解化を、ヒートガンで加熱することによって補助し、次いで、室温へと冷却した。表XIII中に提供されるデータは、代表であり、特定のサンプルのロット間では、いくらかの変動が存在し得る(例えば、約10%)。
【0229】
【表13】
形態Cを、本明細書に記載されるいくつかの物理的特徴付け技術によってさらに特徴付けた。
【0230】
形態Cの例示的XRPDトレースを、図1に示す。形態Cの単結晶(単結晶X線結晶学に適している)を、前述の節に記載される結晶化手順M(形態Cの成熟)を使用して、EtOAcからの形態Aのゆっくりとした再結晶化によって得た。
【0231】
上記結晶充填の模式図は、図6に示される。この形態における分子は、ダイマー化して、そのウレイド(H2NOCNH−)とアミノカルボニル(−OCNHR)基との間に水素結合を形成する。形態Cは、以下の単位格子寸法を有する空間群Ccを有する:a=10.9241Å、b=24.2039Å、c=7.0124Å、α=90°、β=111.0685°、γ=90°、δcalc(g/cm3)=1.552。
【0232】
形態Cの特徴的DSCサーモグラムおよび特徴的TGAサーモグラムは、それぞれ、図4および図5に示される。僅かにプラトーに達し、次いで、193℃でピークに達する、178℃で始まる吸熱反応は、DSCにおいて測定される。さらに、この吸熱反応は、TGAによって測定される9.5〜10.5%の重量損失と同時に起こる。
【0233】
形態Cの特徴的FT−IRスペクトルは、図3に示される。
【0234】
安定性研究において、形態Cは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的および化学的形態のままであることがわかった(図9を参照のこと)。
【0235】
そのGVSトレース(図8)の分析の際に、形態Cは、最大60% RHまでで無視できる程度の重量増加、およびT=25℃において0から90%へのRHで0.15%の低い総重量増加を示した。
【0236】
(実施例II:形態Fの調製および物理的特徴付け)
形態Fを、以下の手順を使用して調製した:
60mgの化合物I,形態Cを、10mLの酢酸エチル中で30分間にわたって、攪拌しながらスラリーにした。次いで、上記スラリーを、0.45μm PTFEフィルタを通して濾過した。その濾液を、−20℃に予め冷却しておいた50mLのヘキサン中へ粉砕した(triturated)。沈殿が直ぐに起こった。−20℃において2時間後、上記固体を濾過によって単離し、風乾し、XRPDによって分析した。上記サンプルを白色固体として得、これを、部分的に結晶性であり、目で見える形態がなかった。上記サンプルはまた、微量の形態Cを含んでいた。形態Fの代表的1H NMRスペクトルを、図12に示す。
【0237】
形態Fを、本明細書に記載されるいくつかの物理的特徴付け技術を使用することによって、さらに特徴付けた。
【0238】
形態Fの代表的XRPDパターンを、図11に提供する。単結晶X線結晶学に適した結晶は得られなかった。
【0239】
形態Fの例示的FT−IRスペクトルを、図13に示す。このIRにおける代表的ピークは、以下である:3494nmにおいてNHストレッチ、1720nm、1700nm、1678nmにおけるCOおよびNHたわみ領域ピーク。
【0240】
形態Fの特徴的DSCトレースおよび特徴的TGAトレースを、それぞれ、図14および図15に示す。これらによれば、形態Fは、DSCにおいて測定される場合、160℃で始まって165℃でピークに達する吸熱事象によって特徴付けられる。さらに、この熱事象は、TGAによって測定される場合、および分解に起因して、130℃〜180℃の間で6.8%の正味の重量損失と同時に起こる。
【0241】
形態Fは、25℃において少なくとも0.021mg/mLの水への溶解度を示した。
【0242】
安定性研究において、形態Fは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままであった。さらに、形態Fは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって化学的に安定なままであった。
【0243】
形態Fは、GVSによって認められるように、40% RHにおいて1%、および90% RHにおいて最大1.1%の水の総重量増加を示す(図16)。
【0244】
(実施例III.形態Gの調製および物理的特徴付け)
形態Gを、以下の手順を使用して調製した:
240mgの化合物I,形態Cを、40mLの酢酸エチル中で30分にわたって、攪拌しながらスラリーにした。次いで、上記スラリーを、0.45μm PTFEフィルタを通して濾過した。その濾液を、−20℃に予め冷却しておいた50mLのヘキサン中に粉砕した。沈殿が直ぐに起こった。−20℃で24時間後、上記固体を、濾過によって単離し、風乾し、XRPDによって分析した。上記サンプルを、30℃において48時間にわたってさらに真空乾燥させた。形態Gは、図18に示されるような1H NMRスペクトルによって特徴付けられる。形態Gを白色固体として調製したところ、目に見える形態のない結晶性であることが認められた。水分に曝すと、形態Gは、その水和物である形態Qになる。
【0245】
形態Gの代表的XRPDパターンを、図17に提供する。単結晶X線分析に十分な品質の結晶は、得られなかった。
【0246】
形態Gは、図19に示されるようなFT−IRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0247】
代表的DSCトレースおよびTGAトレースを、それぞれ、図20および図21に示す。これらによれば、形態Gは、DSCによって測定される場合に、156℃で始まって、163℃でピークに達する吸熱反応事象によってさらに特徴付けられ得る。さらに、このことは、TGAによって測定される場合に、95℃〜175℃の間の6.5%の正味の重量損失と同時に起こり、これは分解事象に特徴があり得る。形態Gは、DSCにいて測定される場合、36℃で始まって、61℃でピークに達する第2の吸熱反応によってさらに特徴付けられ得る。このことは、TGAによって測定される場合、25℃〜70℃の間の2.9%の正味の重量損失に対応する。
【0248】
形態Gは、25℃において少なくとも0.020mg/mLの水への溶解度を示す。
【0249】
安定性研究において、形態Gは、40℃/75 %RHにおいて少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままであった。さらに、形態Gは、40℃/75% RHにおいて少なくとも2週間にわたって化学的に安定なままであった(図26を参照のこと)。
【0250】
形態Gは、非常に吸湿性であることが見いだされ、GVSによって認められるように、10 %RHにおいて1%(重量単位で)の総水増加、および90% RHにおいて8%を超える水の重量増加を示した(図22)。
【0251】
形態Gは、水を添加して2時間後、5時間後、および24時間後に、ある温度範囲(例えば、20℃〜50℃)において形態Qへ変換することが示された。これら結果のまとめについては、図30を参照のこと。
【0252】
(実施例IV.形態Aの調製)
形態Aを、以下および上記のスキームIに詳述される一般的手順によって調製した。
【0253】
適用可能な場合、別段示されなければ、以下のHPLC法を反応モニタリングのために利用した:水:アセトニトリル、0.1% TFA(90:10 −> 10:90 −> 90:10)の勾配を、1mL/分および254nmにおいて、26分間かけて実施した。上記方法は、Zorbax SB Phenyl 4.6×25cmカラム,5μmを利用する。用語「Tret」とは、上記化合物と関連する保持時間(分単位)に言及する。
【0254】
このようにして得られた形態Aを、多くの溶解度研究において使用した。その結果を、以下の表XVに示す。60℃における溶解度もまた、小数の溶媒において測定した。これら結果を、表XVIに示す。
【0255】
【表15】
【0256】
【表16】
形態Aはまた、上記の結晶化方法Mを提供することによって、結晶性固体(上記濾液から得られる)として形態Cから得られ得る。
【0257】
形態Aは、試験溶媒としてMeOHを使用して、本明細書に記載される結晶化方法SEもしくはFEによって得られ得る。
【0258】
(実施例IV−A.形態Aの特徴付け)
形態Aは、100℃へと加熱すると、結晶性形態Cになることが示された。形態Aはまた、40℃/75% RHにおいて1〜4週間貯蔵した後に、本明細書に記載される形態Cになる。
【0259】
形態Aの代表的XRPDパターンを、図24に提供する。
【0260】
形態Aは、図27に示されるようなFT−IRスペクトルによって特徴付けられ得る。
【0261】
上記形態AのDSCトレースおよびTGAトレースを、それぞれ、図25および図26に示す。これらによれば、形態Aは、DSCで、43.8℃で始まって、74.3℃でピークに達する広い吸熱反応によって特徴付けられ得る。形態Aは、93℃および111℃において2つの他の吸熱反応によって特徴付けられ得、これら吸熱反応は、溶媒損失(MeOH)に特徴がある。さらに、これらは、TGAによって認められるように、25℃〜115℃の間に約5.0%の総重量損失と同時に起こる。
【0262】
安定性研究において、形態Pは、50℃へ加熱すると形態Aに変換し、次いで、100℃へ加熱すると形態Cに変換することが示された。形態Aはまた、1週間以上にわたって40℃/75% RHにおいて貯蔵すると、形態Cに変換することが示された。図35(4週間の安定性研究前後のXRPDトレースおよび形態Cとの比較)。
【0263】
(実施例V.形態Pの調製および特徴付け)
形態Pは、化合物Iの結晶性形態であり、形態Cもしくは形態Aによって得られ得る。
【0264】
形態Pの代表的XRPDパターンを、図30に提供する。形態Pは、それぞれ、図32および図33に提供される代表的TGAトレースおよびDSCトレースによって特徴付けられ得る。
【0265】
形態Pは、4℃での約2週間の貯蔵後に、形態Gに変換することが示された。
【0266】
(実施例VI.形態Qの調製および特徴付け)
形態Qは、化合物Iの結晶性形態であり、形態Gの1:1水和物として特徴付けられる。形態Qは、水を形態Gに添加し、室温でこれを貯蔵することによって得られ得る。
【0267】
形態Qの代表的XRPDパターンを、図29に提供する。
【0268】
(比較研究)
(実施例IX.相互変換研究)
本明細書に記載される化合物Iの異なる形態の間の相互変換研究を、ここで概説される一般的手順を使用して行った:
相互変換研究を、XRPDパターンA、P、CおよびFを与える物質とともに、EtOAc、MeOHおよび水の中で行った。ラマン分析およびXRPDを使用して、メタノールおよび酢酸エチル相互変換スラリーにおける化合物Iの異なる形態の存在をモニターしようと試みた。上記溶媒の存在は、上記スラリーのラマンスペクトルにおいて顕著であった。上記スラリーは、結晶性XRPDパターンを示したが、上記パターンは、上記XRPD分析の間の上記スラリーのシフトにおそらく起因して、以前のパターンと直接比較できなかった。メタノールスラリーからの物質は、さらなるピークを示した。10分間にわたってスラリーにした後、パターンAを、MeOHから得た。パターンCを、EtOAcもしくは水の中でスラリーにした全てのサンプルから得た。形態Cは、周囲条件において、最も安定な非溶媒和形態であるようである。相互変換データは、表XVIIに見いだされ得る。
【0269】
【表17】
(実施例10.相対的安定性研究)
(研究I:形態Cおよび形態Gの相対的安定性)
以下の手順を使用した:
化合物Iの形態Cおよび形態Gの1:1混合物を、ある温度範囲で3:1 水:エタノール中でスラリーにして、異なる温度での相対的安定性を決定した。5mgの形態Cを、5mgの形態Gと、ガラスバイアル中で混合した。1.0mlの3:1 水:エタノールを添加し、得られたスラリーを、5℃で10日間にわたって攪拌した。得られた固体を、濾過によって単離し、XRPDによって分析した(図17を参照のこと)。
【0270】
上記手順を、25℃、50℃および80℃で反復した。結果を、表XVIIIに記録する。
【0271】
【表18】
上記結果は、50℃以上の温度において、形態Cが形態Gより安定であることを示す。5℃および25℃において、スラリー化の10日後に、両方の形態が存在した。このことは、これら温度における形態Cおよび形態Gの間の安定性における差異が、小さいことを示唆する。
【0272】
(研究II.形態Cおよび形態Fの相対的安定性)
以下の手順を使用した:
形態Cおよび形態Fの1:1混合物を、ある温度範囲において3:1 水:エタノール中でスラリーにして、異なる温度での相対的安定性を決定した。スラリー化後に残っている形態は、より安定な形態であるばずである。エタノールを、溶液中での化合物Iの量を増大させ、よって形態間の変換速度を増大させる貯めに、水を添加して使用した。エタノールを選択した。なぜなら、化合物Iのエタノール溶媒和物は、知られていなかったからである。10mgの形態Cを、10mgの形態Fとガラスバイアルの中で混合した。2.0mlの3:1 水:エタノールを添加し、得られたスラリーを、5℃で24時間にわたって攪拌した。固体を、濾過によって単離し、XRPDによって分析した。
【0273】
上記手順を、25℃、50℃および80℃において反復した。結果を、表XIXに記録する。
【0274】
【表19】
上記結果は、50℃および80℃において、形態Cが形態Fより安定であることを示す。5℃および25℃において、形態Fは、形態Gに変換することが観察された。5℃および25℃でのスラリー化の持続時間は、形態Gもしくは形態Cが、これら温度において最も安定であるか否かを決定するには不十分であった。
【0275】
(研究III.形態Fおよび形態Gの相対的安定性)
以下の一般的手順を使用した:
形態Fおよび形態Gの1:1混合物を、ある温度範囲で3:1 水:エタノール中でスラリーにして、異なる温度での相対的安定性を決定した。10mgの形態Fを、10mgの形態Gとガラスバイアルの中で混合した。2.0mlの3:1 水:エタノールを添加し、得られたスラリーを、5℃で24時間にわたって攪拌した。得られた固体を、濾過によって単離し、XRPDによって分析した。上記手順を、25℃、50℃および70℃で反復した。70℃を、分解を減らそうとして、80℃の代わりに使用した。結果を、表XXに記録する。
【0276】
【表20】
上記結果は、5℃において、形態Gが形態Fより安定であることを示す。全ての他の温度において、形態Cへのいくらかの変換があった。形態Fは、4種の温度のうちのいずれかにおいてスラリー化した後には、回収しなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項2】
X線粉末回折パターンにおいて7.4°のピークによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項3】
X線粉末回折パターンにおいて9.5°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜2のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項4】
X線粉末回折パターンにおいて13.7°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜3のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項5】
X線粉末回折パターンにおいて14.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜4のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項6】
X線粉末回折パターンにおいて15.5°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜5のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項7】
X線粉末回折パターンにおいて17.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜6のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項8】
X線粉末回折パターンにおいて19.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜7のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項9】
X線粉末回折パターンにおいて22.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜8のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項10】
X線粉末回折パターンにおいて24.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜9のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項11】
X線粉末回折パターンにおいて26.3°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜10のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項12】
X線粉末回折パターンにおいて26.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜11のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項13】
X線粉末回折パターンにおいて27.7°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項14】
X線粉末回折パターンにおいて28.3°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜13のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項15】
X線粉末回折パターンにおいて少なくとも7.4°、9.5°、15.5°、17.2°および24.8°のピークによって特徴付けられる、結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項16】
図1に実質的に類似のX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1〜14のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項17】
単結晶X線結晶学によって明らかにされる場合、空間群Ccによって特徴付けられる、請求項1〜16のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項18】
単結晶X線結晶学によって決定される場合に、以下の単位格子寸法を有する、請求項1〜17のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド:
a=10.92Å、b=24.20Å、c=7.01Å、α=90°、β=111.07°、およびγ=90°。
【請求項19】
図2に示されるものに実質的に類似の1H NMRスペクトルを示す、請求項1〜18のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド
【請求項20】
図3に示されるものに実質的に類似のFT−IRスペクトルを示す、請求項1〜19のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項21】
25℃における少なくとも0.02mg/mLの水への溶解度によって特徴付けられる、請求項1〜20のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項22】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、40℃/75%相対湿度において、少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままである、請求項1〜21のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項23】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、最大60%までの相対湿度で無視できる程度の重量増加を示し、T=25℃において、0%から90%までの相対湿度で0.15%の総重量増加を示す、請求項1〜22のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項24】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、40℃/75%相対湿度において少なくとも2週間にわたって化学的に安定なままである、請求項1〜23のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドを、結晶性形態Aから作製するための方法であって、該方法は、
ii)メタノール溶媒和形態Aを、20容積の1:3 メタノール:水混合物中で24時間にわたってスラリーにする工程(上記の形態Cおよび形態Q/Gを生成する力学的に制御された工程)、および
iii)該得られた混合物を、1:1 メタノール:水混合物中でスラリーにして、形態Q/Gの形成を抑制しかつ熱力学的により安定な形態Cに有利にする工程、
を包含する、方法。
【請求項26】
X線粉末回折パターンにおいて14.0°のピークによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項27】
X線粉末回折パターンにおいて15.6°のピークによって特徴付けられる、請求項1および26のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項28】
X線粉末回折パターンにおいて17.3°のピークによって特徴付けられる、請求項1および26〜27のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項29】
X線粉末回折パターンにおいて19.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1および26〜28のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項30】
X線粉末回折パターンにおいて20.4°のピークによって特徴付けられる、請求項1および26〜29のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項31】
X線粉末回折パターンにおいて23.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1および26〜30のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項32】
X線粉末回折パターンにおいて24.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1および26〜31のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項33】
図11に実質的に類似のX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1および26〜32のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項34】
図12に示されるものに実質的に類似の1H NMRスペクトルを示す、請求項1および26〜33のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項35】
図13に示されるものに実質的に類似のFT−IRスペクトルを示す、請求項1および26〜34のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項36】
25℃における少なくとも0.021mg/mLの溶解度によって特徴付けられる、請求項1および26〜35のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項37】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、40℃/75%相対湿度において、少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままである、請求項1および26〜36のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項38】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、40%相対湿度において1%の水の総重量増加および90%相対湿度において1.1%の最大値を示す、請求項1および26〜37のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項39】
請求項1および26〜38のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドを、結晶性形態Cから作製する方法であって、該方法は、
iv)形態Cの酢酸エチルスラリーを調製する工程、
v)該スラリーを、冷ヘキサンで2時間にわたって沈殿させる工程、ならびに
vi)該得られた固体を濾過および乾燥させて、化合物I、形態Fを与える工程、
を包含する、方法。
【請求項40】
X線粉末回折パターンにおいて9.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項41】
X線粉末回折パターンにおいて14.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項42】
X線粉末回折パターンにおいて17.3°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜41のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項43】
X線粉末回折パターンにおいて18.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜42のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項44】
X線粉末回折パターンにおいて19.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜43のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項45】
X線粉末回折パターンにおいて21.7°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜44のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項46】
X線粉末回折パターンにおいて22.7°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜45のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項47】
X線粉末回折パターンにおいて23.6°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜46のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項48】
X線粉末回折パターンにおいて27.7°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜47のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項49】
図17の実質的に類似のX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1および40〜48のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項50】
図18に示されるものに実質的に類似の1H NMRスペクトルを示す、請求項1および40〜49のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項51】
図19に示されるものに実質的に類似のFT−IRスペクトルを示す、請求項1および40〜50のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項52】
25℃における少なくとも0.020mg/mLの溶解度によって特徴付けられる、請求項1および40〜51のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項53】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、40℃/75%相対湿度において、少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままである、請求項1および40〜52のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項54】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、10%相対湿度において、1%の水の総重量増加および90%相対湿度において8%を超える水の重量増加を示す、請求項1および40〜53のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項55】
請求項1および40〜54のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドを、結晶性形態Cから作製する方法であって、該方法は、
vii)形態Cの酢酸エチルスラリーを調製する工程、
viii)該スラリーを、冷ヘキサンで24時間にわたって沈殿させる工程、および
iii)該得られた固体を濾過および乾燥させて、化合物I、形態Gを得る工程、
を包含する、方法。
【請求項56】
請求項1および40〜54のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドを、室温での脱水によって水和形態Qから作製するための方法。
【請求項57】
X線粉末回折パターンにおいて13.4°のピークによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項58】
X線粉末回折パターンにおいて14.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1および57のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項59】
X線粉末回折パターンにおいて15.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1および57〜58のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項60】
X線粉末回折パターンにおいて17.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1および57〜59のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項61】
X線粉末回折パターンにおいて19.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1および57〜60のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項62】
X線粉末回折パターンにおいて20.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1および57〜61のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項63】
X線粉末回折パターンにおいて25.0°のピークによって特徴付けられる、請求項1および57〜62のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項64】
図24に示されるものに実質的に類似のX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1および57〜63のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項65】
25℃における0.016〜0.018mg/mLの溶解度によって特徴付けられる、請求項1および57〜64のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項66】
図27に示されるものに実質的に類似のFT−IRスペクトルを示す、請求項1および57〜65のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項67】
X線粉末回折パターンにおいて12.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項68】
X線粉末回折パターンにおいて13.3°のピークによって特徴付けられる、請求項1および67のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項69】
X線粉末回折パターンにおいて18.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1および67〜68のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項70】
X線粉末回折パターンにおいて20.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1および67〜69のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項71】
X線粉末回折パターンにおいて20.4°のピークによって特徴付けられる、請求項1および67〜70のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項72】
X線粉末回折パターンにおいて25.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1および67〜71のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項73】
X線粉末回折パターンにおいて25.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および67〜72のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項74】
図30に実質的に類似のX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1および67〜73のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項75】
図31に示されるものに実質的に類似の1H NMRスペクトルを示す、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項76】
図34に示されるものに実質的に類似のFT−IRスペクトルを示す、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項77】
40℃/75%相対湿度で72時間にわたる貯蔵の際に、本明細書に記載される形態Cになる、請求項1および67〜74のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項78】
4℃で72時間にわたる貯蔵の際に、本明細書に記載される形態Cになる、請求項1および67〜75のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項79】
X線粉末回折パターンにおいて10.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項80】
X線粉末回折パターンにおいて12.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項81】
X線粉末回折パターンにおいて14.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜80のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項82】
X線粉末回折パターンにおいて15.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜81のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項83】
X線粉末回折パターンにおいて16.7°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜82のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項84】
X線粉末回折パターンにおいて18.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜83のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項85】
X線粉末回折パターンにおいて19.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜84のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項86】
X線粉末回折パターンにおいて20.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜85のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項87】
X線粉末回折パターンにおいて22.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜86のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項88】
X線粉末回折パターンにおいて23.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜87のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項89】
X線粉末回折パターンにおいて24.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜88のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項90】
X線粉末回折パターンにおいて29.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜89のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項91】
請求項1〜90のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項1】
結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項2】
X線粉末回折パターンにおいて7.4°のピークによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項3】
X線粉末回折パターンにおいて9.5°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜2のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項4】
X線粉末回折パターンにおいて13.7°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜3のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項5】
X線粉末回折パターンにおいて14.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜4のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項6】
X線粉末回折パターンにおいて15.5°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜5のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項7】
X線粉末回折パターンにおいて17.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜6のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項8】
X線粉末回折パターンにおいて19.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜7のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項9】
X線粉末回折パターンにおいて22.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜8のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項10】
X線粉末回折パターンにおいて24.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜9のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項11】
X線粉末回折パターンにおいて26.3°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜10のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項12】
X線粉末回折パターンにおいて26.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜11のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項13】
X線粉末回折パターンにおいて27.7°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項14】
X線粉末回折パターンにおいて28.3°のピークによって特徴付けられる、請求項1〜13のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項15】
X線粉末回折パターンにおいて少なくとも7.4°、9.5°、15.5°、17.2°および24.8°のピークによって特徴付けられる、結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項16】
図1に実質的に類似のX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1〜14のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項17】
単結晶X線結晶学によって明らかにされる場合、空間群Ccによって特徴付けられる、請求項1〜16のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項18】
単結晶X線結晶学によって決定される場合に、以下の単位格子寸法を有する、請求項1〜17のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド:
a=10.92Å、b=24.20Å、c=7.01Å、α=90°、β=111.07°、およびγ=90°。
【請求項19】
図2に示されるものに実質的に類似の1H NMRスペクトルを示す、請求項1〜18のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド
【請求項20】
図3に示されるものに実質的に類似のFT−IRスペクトルを示す、請求項1〜19のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項21】
25℃における少なくとも0.02mg/mLの水への溶解度によって特徴付けられる、請求項1〜20のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項22】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、40℃/75%相対湿度において、少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままである、請求項1〜21のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項23】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、最大60%までの相対湿度で無視できる程度の重量増加を示し、T=25℃において、0%から90%までの相対湿度で0.15%の総重量増加を示す、請求項1〜22のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項24】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、40℃/75%相対湿度において少なくとも2週間にわたって化学的に安定なままである、請求項1〜23のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドを、結晶性形態Aから作製するための方法であって、該方法は、
ii)メタノール溶媒和形態Aを、20容積の1:3 メタノール:水混合物中で24時間にわたってスラリーにする工程(上記の形態Cおよび形態Q/Gを生成する力学的に制御された工程)、および
iii)該得られた混合物を、1:1 メタノール:水混合物中でスラリーにして、形態Q/Gの形成を抑制しかつ熱力学的により安定な形態Cに有利にする工程、
を包含する、方法。
【請求項26】
X線粉末回折パターンにおいて14.0°のピークによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項27】
X線粉末回折パターンにおいて15.6°のピークによって特徴付けられる、請求項1および26のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項28】
X線粉末回折パターンにおいて17.3°のピークによって特徴付けられる、請求項1および26〜27のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項29】
X線粉末回折パターンにおいて19.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1および26〜28のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項30】
X線粉末回折パターンにおいて20.4°のピークによって特徴付けられる、請求項1および26〜29のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項31】
X線粉末回折パターンにおいて23.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1および26〜30のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項32】
X線粉末回折パターンにおいて24.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1および26〜31のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項33】
図11に実質的に類似のX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1および26〜32のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項34】
図12に示されるものに実質的に類似の1H NMRスペクトルを示す、請求項1および26〜33のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項35】
図13に示されるものに実質的に類似のFT−IRスペクトルを示す、請求項1および26〜34のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項36】
25℃における少なくとも0.021mg/mLの溶解度によって特徴付けられる、請求項1および26〜35のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項37】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、40℃/75%相対湿度において、少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままである、請求項1および26〜36のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項38】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、40%相対湿度において1%の水の総重量増加および90%相対湿度において1.1%の最大値を示す、請求項1および26〜37のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項39】
請求項1および26〜38のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドを、結晶性形態Cから作製する方法であって、該方法は、
iv)形態Cの酢酸エチルスラリーを調製する工程、
v)該スラリーを、冷ヘキサンで2時間にわたって沈殿させる工程、ならびに
vi)該得られた固体を濾過および乾燥させて、化合物I、形態Fを与える工程、
を包含する、方法。
【請求項40】
X線粉末回折パターンにおいて9.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項41】
X線粉末回折パターンにおいて14.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項42】
X線粉末回折パターンにおいて17.3°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜41のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項43】
X線粉末回折パターンにおいて18.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜42のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項44】
X線粉末回折パターンにおいて19.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜43のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項45】
X線粉末回折パターンにおいて21.7°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜44のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項46】
X線粉末回折パターンにおいて22.7°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜45のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項47】
X線粉末回折パターンにおいて23.6°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜46のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項48】
X線粉末回折パターンにおいて27.7°のピークによって特徴付けられる、請求項1および40〜47のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項49】
図17の実質的に類似のX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1および40〜48のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項50】
図18に示されるものに実質的に類似の1H NMRスペクトルを示す、請求項1および40〜49のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項51】
図19に示されるものに実質的に類似のFT−IRスペクトルを示す、請求項1および40〜50のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項52】
25℃における少なくとも0.020mg/mLの溶解度によって特徴付けられる、請求項1および40〜51のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項53】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、40℃/75%相対湿度において、少なくとも2週間にわたって実質的に同じ物理的形態のままである、請求項1および40〜52のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項54】
前記結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドは、10%相対湿度において、1%の水の総重量増加および90%相対湿度において8%を超える水の重量増加を示す、請求項1および40〜53のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項55】
請求項1および40〜54のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドを、結晶性形態Cから作製する方法であって、該方法は、
vii)形態Cの酢酸エチルスラリーを調製する工程、
viii)該スラリーを、冷ヘキサンで24時間にわたって沈殿させる工程、および
iii)該得られた固体を濾過および乾燥させて、化合物I、形態Gを得る工程、
を包含する、方法。
【請求項56】
請求項1および40〜54のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドを、室温での脱水によって水和形態Qから作製するための方法。
【請求項57】
X線粉末回折パターンにおいて13.4°のピークによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項58】
X線粉末回折パターンにおいて14.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1および57のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項59】
X線粉末回折パターンにおいて15.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1および57〜58のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項60】
X線粉末回折パターンにおいて17.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1および57〜59のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項61】
X線粉末回折パターンにおいて19.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1および57〜60のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項62】
X線粉末回折パターンにおいて20.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1および57〜61のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項63】
X線粉末回折パターンにおいて25.0°のピークによって特徴付けられる、請求項1および57〜62のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項64】
図24に示されるものに実質的に類似のX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1および57〜63のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項65】
25℃における0.016〜0.018mg/mLの溶解度によって特徴付けられる、請求項1および57〜64のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項66】
図27に示されるものに実質的に類似のFT−IRスペクトルを示す、請求項1および57〜65のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項67】
X線粉末回折パターンにおいて12.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項68】
X線粉末回折パターンにおいて13.3°のピークによって特徴付けられる、請求項1および67のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項69】
X線粉末回折パターンにおいて18.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1および67〜68のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項70】
X線粉末回折パターンにおいて20.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1および67〜69のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項71】
X線粉末回折パターンにおいて20.4°のピークによって特徴付けられる、請求項1および67〜70のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項72】
X線粉末回折パターンにおいて25.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1および67〜71のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項73】
X線粉末回折パターンにおいて25.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および67〜72のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項74】
図30に実質的に類似のX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、請求項1および67〜73のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項75】
図31に示されるものに実質的に類似の1H NMRスペクトルを示す、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項76】
図34に示されるものに実質的に類似のFT−IRスペクトルを示す、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項77】
40℃/75%相対湿度で72時間にわたる貯蔵の際に、本明細書に記載される形態Cになる、請求項1および67〜74のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項78】
4℃で72時間にわたる貯蔵の際に、本明細書に記載される形態Cになる、請求項1および67〜75のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項79】
X線粉末回折パターンにおいて10.1°のピークによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項80】
X線粉末回折パターンにおいて12.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項81】
X線粉末回折パターンにおいて14.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜80のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項82】
X線粉末回折パターンにおいて15.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜81のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項83】
X線粉末回折パターンにおいて16.7°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜82のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項84】
X線粉末回折パターンにおいて18.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜83のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項85】
X線粉末回折パターンにおいて19.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜84のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項86】
X線粉末回折パターンにおいて20.2°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜85のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項87】
X線粉末回折パターンにおいて22.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜86のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項88】
X線粉末回折パターンにおいて23.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜87のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項89】
X線粉末回折パターンにおいて24.9°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜88のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項90】
X線粉末回折パターンにおいて29.8°のピークによって特徴付けられる、請求項1および79〜89のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミド。
【請求項91】
請求項1〜90のいずれかに記載の結晶性2−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレイド)ニコチンアミドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公表番号】特表2012−518003(P2012−518003A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550262(P2011−550262)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/024053
【国際公開番号】WO2010/093889
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/024053
【国際公開番号】WO2010/093889
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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