説明

2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩、その結晶、その結晶多形およびそれらの製造方法

【課題】2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(化合物A)を開発していく段階で、1)化合物Aまたはその塩は再結晶化が困難であり、その塩の種類において、保存安定性が大きく異なり、保存安定性の高い化合物Aの塩を得ることが非常に困難であること、2)化合物Aの結晶化プロセスにおいても、結晶多形のコントロール(制御)が非常に困難であること、3)化合物A(フリー体)は、反復経口投与により胃に鉱質沈着を生じること、などの複合的課題が存在する。
【解決手段】前記課題を解決するため、塩の種類に着目して検討した結果、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩は、1)1週間予備安定性試験(苛酷試験)で光、湿度、その他の要因でも分解せず、保存安定性に課題がないこと、2)2種類の結晶形が存在すること、それら2種類の結晶形を選択的に製造する方法、3)4週間の反復経口投与でも、胃に鉱質沈着が認められないこと、を見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性が高く、保存安定性に優れた、医薬として有用な2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩、その結晶、その結晶多形およびそれらの製造方法に関する。また、本発明は、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩、その結晶およびその結晶多形からなる群より選択される少なくとも一つを含有する医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、医薬品には、疾患に対する治療効果の他に、その安全性、その品質、その安定供給性などが求められる。そのため、医薬品の有効成分となる化合物には、副作用が少ないこと、種々の条件下(光、温度、湿度など)における該化合物の保存安定性が優れていること、該医薬品の製造段階におけるプロセスコントロールがし易いこと(取扱いのし易いこと)などが求められ、それらのすべての条件を充足して、初めて医薬品となりうる。
【0003】
一方、米国特許出願公開第2007/0149574号明細書(特許文献1)には、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドがVEGF誘発HUVEC増殖反応評価系を用いた試験系において細胞増殖阻害作用を示すこと、マウス担癌モデルを用いた試験系において腫瘍増殖抑制作用を示すこと、ラットアジュバント関節炎モデルを用いた試験系において足浮腫抑制作用を示すこと、ラット脈絡膜血管新生モデルを用いた試験系において脈絡膜血管新生阻害作用を示すこと、さらにそれらの薬理作用から2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドは、医薬として有用であり、特に癌、関節リウマチ、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫などの疾患の予防または治療剤として期待されることが記載されている。また、特許文献1には、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドの性状として、薄黄色固体であることが記載されている。
【0004】
しかし、特許文献1には、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩、その結晶、その結晶多形およびそれらの製造方法に関する具体的な記載はなく、また、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドは、反復経口投与により胃に鉱質沈着を生じるといった課題の記載も示唆もなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0149574号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、医薬として有用な2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(以下、「化合物A」ともいう)の開発段階で、1)化合物Aまたはその塩は再結晶化が困難であり、かつ、その塩の種類により、保存安定性が大きく異なり、保存安定性の優れた化合物Aの塩を得ることが非常に困難であること、また、2)化合物Aまたはその塩の結晶化プロセスにおいて、結晶多形のコントロール(制御)が非常に困難であること、さらに、3)化合物A(フリー体)は、反復経口投与により胃に鉱質沈着を生じること、などの複合的課題が存在することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは、化合物Aにおいて、前記1)〜3)の全ての課題を解決するため、塩の種類に着目して、鋭意検討した。
【0008】
その結果、本発明者らは化合物Aがメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸と塩を形成することを見出した。そこで、化合物Aのそれらの塩について保存安定性を検討する為、1週間予備安定性試験(苛酷試験)を実施した。その結果、化合物Aのメタンスルホン酸塩は光により分解し、また、p−トルエンスルホン酸は湿度により分解して、約1%〜約8%の純度低下(分解)を引き起こし、それらの塩は保存安定性に大きな課題を有することが判明した。一方、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩は、同様の試験において、光、湿度およびその他の要因においても、純度低下(分解)せず、保存安定性が非常に高いことを見出した。
【0009】
また、本発明者らは化合物Aのベンゼンスルホン酸塩の結晶多形の存在にも着目して、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩には、少なくとも2種類の結晶形が存在すること、また、それら2種類の結晶形を選択的に製造する方法も見出した。
【0010】
さらに、本発明者らは化合物Aのラット1週間反復経口投与毒性試験(30mg/kg)において、胃に鉱質沈着が認められるのに対して、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩のラット4週間反復経口投与毒性試験(30mg/kg)においては、胃に鉱質沈着が認められないことを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0011】
本発明は、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩である。
【0012】
本発明は、ベンゼンスルホン酸を含有する有機溶媒溶液に、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドを添加する工程を含む、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の製造方法についても提供する。
【0013】
本発明はまた、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドを含有する有機溶媒溶液に、ベンゼンスルホン酸およびその水和物の少なくともいずれかを添加する工程を含む、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の製造方法についても提供する。
【0014】
ここにおいて、有機溶媒は非プロトン性極性溶媒または環状エーテルであることが好ましい。さらに、非プロトン性極性溶媒としてはジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルホルムアミド、環状エーテルとしてはテトラヒドロフランがより好ましい。
【0015】
本発明は、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶である。
【0016】
本発明は、粉末X線回折パターンのd値として、4.4オングストローム、3.8オングストロームおよび2.3オングストロームに特徴的なピークを有する、α型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶についても提供する。
【0017】
本発明は、ベンゼンスルホン酸を含有する良溶媒溶液に、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドを添加する工程と、それに続き、該反応溶液に貧溶媒を添加する工程とを含む、α型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法も提供する。
【0018】
本発明はまた、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドを含有する良溶媒溶液に、ベンゼンスルホン酸およびその水和物の少なくともいずれかを添加する工程と、それに続き、該反応溶液に貧溶媒を添加する工程とを含む、α型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法も提供する。
【0019】
ここにおいて、良溶媒は非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、ジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルホルムアミドであることがより好ましい。
【0020】
またここにおいて、貧溶媒は室温にて実質的に2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩を溶解しない溶媒であることが好ましく、水、低級アルキルアルコール、低級アルキルケトンまたは低級アルキルカルボン酸エステルであることがより好ましく、溶媒が水、エタノール、アセトンまたは酢酸エチルであることがさらに好ましく、エタノールであることが特に好ましい。
【0021】
本発明は、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩を含有する良溶媒溶液に、貧溶媒を添加する工程を含む、α型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法についても提供する。
【0022】
ここにおいて、良溶媒は非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、ジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルホルムアミドであることがより好ましい。
【0023】
またここにおいて、貧溶媒は室温にて実質的に2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩を溶解しない溶媒であることが好ましく、水、低級アルキルアルコール、低級アルキルケトンまたは低級アルキルカルボン酸エステルであることがより好ましく、溶媒が水、エタノール、アセトンまたは酢酸エチルであることが特に好ましい。
【0024】
本発明は、加温した低級アルコールに2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩を添加して溶解する工程と、それに続き、低級アルコール溶液を冷却する工程とを含む、α型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法についても提供する。
【0025】
ここにおいて、低級アルコールはメタノールまたはエタノールであることが好ましい。
本発明は、粉末X線回折パターンのd値として、8.1オングストローム、6.8オングストローム、4.1オングストロームおよび4.0オングストロームに特徴的なピークを有する、β型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶についても提供する。
【0026】
本発明は、ベンゼンスルホン酸を含有する環状エーテル溶液に、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドを添加する工程を含む、β型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法についても提供する。
【0027】
本発明はまた、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドを含有する環状エーテル溶液に、ベンゼンスルホン酸およびその水和物の少なくともいずれかを添加する工程を含む、β型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法についても提供する。
【0028】
ここにおいて、環状エーテルはテトラヒドロフランであることは好ましい。
本発明は、上述したいずれかのベンゼンスルホン酸塩、その結晶、そのα型と称される結晶およびそのβ型と称される結晶からなる群から選択される少なくとも一つを有効成分として含有する医薬についても提供する。
【0029】
本発明はまた、上述したいずれかのベンゼンスルホン酸塩、その結晶、そのα型と称される結晶およびそのβ型と称される結晶からなる群から選択される少なくとも一つを有効成分として含有する経口または非経口剤についても提供する。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、安全性が高く、保存安定性に優れた、医薬として有用な化合物Aのベンゼンスルホン酸塩、その結晶、その結晶多形およびそれらの製造方法を提供する。また、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩、その結晶およびその結晶多形からなる群より選択される少なくとも一つを含有する医薬を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明において、「2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド」(化合物A)とは、下記化学構造式(1)で示される化合物を意味する。
【0032】
【化1】

【0033】
なお、化合物Aは、米国特許出願公開第2007/0149574号明細書に記載の製造方法に基づき、製造することができるが、その製造方法に限定されるものではない。
【0034】
本発明において、「化合物Aのベンゼンスルホン酸塩」とは、上記化学構造式(1)とベンゼンスルホン酸から形成される化合物を意味する。化合物Aとベンゼンスルホン酸の構成比は、1:1または1:2の構成比であることが好ましく、1:1の構成比であることが特に好ましい。さらに、化合物Aとベンゼンスルホン酸の構成比が1:1のとき、「化合物Aのベンゼンスルホン酸塩」は、以下の化学構造式(2)で示される化合物であることが望ましい。
【0035】
【化2】

【0036】
(1)化合物Aのベンゼンスルホン酸塩の製造方法
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩は、
(1a)ベンゼンスルホン酸を含有する有機溶媒溶液に、化合物Aを添加すること、または、
(1b)化合物Aを含有する有機溶媒溶液に、ベンゼンスルホン酸およびその水和物の少なくともいずれかを添加すること、
により製造することができる。
【0037】
なお、前記(1a)または前記(1b)を実施する際の温度は、塩形成が進行する温度であれば、特に制限はないが、氷冷下または室温で実施するのが好ましく、15〜30℃で実施するのがより好ましい。
【0038】
また、前記(1a)または前記(1b)を実施する際の時間は、塩形成が進行するのに十分な時間であれば、特に制限はない。
【0039】
さらに、本操作で生成した化合物Aのベンゼンスルホン酸塩は、汎用される処理方法および/または精製方法、たとえば、減圧濃縮、水や有機溶媒などによる晶析、ろ取、洗浄、減圧乾燥などの手法を用いて単離および/または精製することができる。
【0040】
前記(1a)または前記(1b)における、「有機溶媒」とは、化合物Aを溶解できる有機溶媒であれば特に制限はないが、非プロトン性極性溶媒または環状エーテルが好ましい。
【0041】
ここで、「非プロトン性極性溶媒」とは、プロトン供与性を持たない極性溶媒であれば特に制限はなく、たとえばジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミドなどを挙げることができる。中でも、ジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。
【0042】
また、「環状エーテル」とは、炭素原子を1〜6個含み、かつ、酸素原子を1または2個含む環状エーテルであれば特に制限はなく、たとえばオキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、[1,4]ジオキサン、オキセパン、オキソカンなどが挙げられる。中でも、テトラヒドロフランが特に好ましい。
【0043】
(2)α型と称される化合物Aのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法
α型と称される化合物Aのベンゼンスルホン酸塩の結晶は、
(2a)ベンゼンスルホン酸を含有する良溶媒溶液に、化合物Aを添加する工程と、それに続き、該反応溶液に貧溶媒を添加する工程、または、
(2b)化合物Aを含有する良溶媒溶液に、ベンゼンスルホン酸およびその水和物の少なくともいずれかを添加する工程と、それに続き、該反応溶液に貧溶媒を添加する工程、または、
(2c)化合物Aのベンゼンスルホン酸塩を含有する良溶媒溶液に、貧溶媒を添加すること、または、
(2d)加温した低級アルコールに化合物Aのベンゼンスルホン酸塩を添加して溶解する工程と、それに続き、低級アルコール溶液を冷却する工程、
により製造することができる。
【0044】
なお、前記(2a)または前記(2b)を実施する際の温度は、塩形成が進行する温度であれば、特に制限はないが、氷冷下または室温で実施するのが好ましく、15〜30℃で実施するのがより好ましい。
【0045】
また、前記(2a)、前記(2b)または前記(2c)を実施する際の貧溶媒の添加時および添加後の温度は、結晶化が進行する温度であれば、特に制限はないが、室温で実施するのが好ましく、15〜30℃で実施するのがより好ましい。
【0046】
前記(2d)を実施する際の加温は、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が低級アルコールに(完全に)溶解する程度までの加温であれば特に制限はないが、40〜70℃に加温するのが好ましく、45〜65℃に加温するのがより好ましい。
【0047】
また、加温後の冷却は、結晶化が進行する温度であれば、特に制限はないが、氷冷下または室温(放冷)で実施するのが好ましく、15〜30℃で実施するのがより好ましい。
【0048】
また、前記(2a)または前記(2b)を実施する際の反応時間は、該反応が進行するのに十分な時間であれば、特に制限はない。
【0049】
また、前記(2a)、前記(2b)、前記(2c)または前記(2d)を実施する際の貧溶媒の添加後の結晶化時間は、結晶化が進行する時間であれば、特に制限はないが、0.25時間〜48時間で実施するのが好ましく、3時間〜24時間で実施するのがより好ましい。
【0050】
さらに、前記反応などで生成したα型と称される化合物Aのベンゼンスルホン酸塩の結晶は、汎用される処理方法および/または精製方法、たとえば、減圧濃縮、水や有機溶媒などによる晶析、ろ取、洗浄、減圧乾燥などの手法を用いて単離および/または精製することができる。
【0051】
前記(2a)、(2b)または(2c)における、「良溶媒」とは、「化合物Aのベンゼンスルホン酸塩を溶解できる有機溶媒」を意味し、好ましくは、非プロトン性極性溶媒が挙げられ、特に好ましくは、ジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0052】
ここで、「非プロトン性極性溶媒」とは、プロトン供与性をもたない極性溶媒であれば特に制限はないが、たとえばジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルホスホルアミドが挙げられ、中でもジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0053】
また、「貧溶媒」とは、「室温にて実質的に化合物Aのベンゼンスルホン酸塩を溶解しない溶媒」を意味し、たとえば水、低級アルコール、低級アルキルケトンまたは低級アルキルカルボン酸エステルが挙げられ、中でも低級アルコールが好ましい。
【0054】
ここで、「低級アルコール」とは、炭素原子数1〜6個のアルコールを意味し、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールまたはtert−ブタノールが挙げられ、中でもメタノールまたはエタノールが好ましい。
【0055】
また、「低級アルキルケトン」とは、炭素原子数1〜13個、好ましくは炭素原子数1〜7個のアルキルケトンを意味し、たとえばアセトン、メチルエチルケトンまたはジエチルケトンが挙げられ、中でも、アセトンが好ましい。さらに、「低級アルキルカルボン酸エステル」とは、炭素原子数1〜13個、好ましくは炭素原子数1〜7個のアルキルカルボン酸エステルを意味し、たとえば酢酸エチル、酢酸メチルまたは酢酸イソプロピルが挙げられ、中でも酢酸エチルが好ましい。
【0056】
また、「良溶媒」と「貧溶媒」の比率としては、良溶媒と貧溶媒の種類により、良溶媒:貧溶媒が、10:1〜1:10の範囲で適宜選択できる。たとえば、良溶媒がジメチルスルホキシドで、貧溶媒が水の場合、それらの比率が3:1〜1:1の範囲が好ましく、2:1の範囲がより好ましい。また良溶媒がジメチルスルホキシドで、貧溶媒がエタノールの場合、それらの比率が1:3〜1:7の範囲が好ましく、1:4〜1:6の範囲がより好ましく、1:5であることが特に好ましい。また、良溶媒がジメチルスルホキシドで、貧溶媒がアセトンの場合、それらの比率が1:3〜1:7の範囲が好ましく、1:4〜1:6の範囲がより好ましく、1:5であることが特に好ましい。また良溶媒がジメチルスルホキシドで、貧溶媒が酢酸エチルの場合、それらの比率が1:2〜1:6の範囲が好ましく、1:3〜1:5の範囲がより好ましく、1:4であることが特に好ましい。
【0057】
前記(2d)における「低級アルコール」とは、炭素原子数1〜6個のアルコールを意味し、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールまたはtert−ブタノールが挙げられ、中でもメタノールまたはエタノールが好ましい。
【0058】
(3)β型と称される化合物Aのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法
このβ型と称される化合物Aのベンゼンスルホン酸塩の結晶は、
(3a)ベンゼンスルホン酸を含有する環状エーテル溶液に、化合物Aを添加すること、または、
(3b)化合物Aを含有する環状エーテル溶液に、ベンゼンスルホン酸およびその水和物の少なくともいずれかを添加すること、
により製造することができる。
【0059】
前記(3a)または前記(3b)を実施する際の温度は、塩形成が進行する温度であれば、特に制限はないが、氷冷下または室温で実施するのが好ましく、15〜30℃で実施するのがより好ましい。
【0060】
また、前記(3a)または前記(3b)を実施する際の時間は、塩形成が進行するのに十分な時間であれば、特に制限はない。
【0061】
さらに、前記反応などで生成したβ型と称される化合物Aのベンゼンスルホン酸塩の結晶は、汎用される処理方法および/または精製方法、たとえば、減圧濃縮、水や有機溶媒などによるろ取、洗浄、減圧乾燥などの手法を用いて単離および/または精製することができる。
【0062】
前記(3a)または前記(3b)における、「環状エーテル」とは、化合物Aを溶解でき、かつ、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩に対して貧溶媒である環状エーテルであれば特に制限はなく、炭素原子数2〜6個、かつ、酸素原子1または2個を含む環状エーテルが挙げられる。好ましくは、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、[1,4]ジオキサン、オキセパンまたはオキソカンが挙げられ、特に好ましくはテトラヒドロフランが挙げられる。
【0063】
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩の結晶には、α型と称される結晶とβ型と称される結晶があるが、それら以外の結晶多形が存在する場合には、それらの結晶多形も本発明の化合物Aのベンゼンスルホン酸塩の結晶に包含される。
【0064】
以下、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩、その結晶およびその結晶多形(α型と称される結晶およびβ型と称される結晶を含む)を本発明化合物とも言う。
【0065】
本発明化合物は、大気中に放置したり又は再結晶することにより、水を吸収して、吸着水がついたり、水和物になる場合が有るが、そのような水和物の場合も本発明に包含される。
【0066】
本発明化合物は、VEGF誘発HUVEC増殖反応評価系を用いた試験系において細胞増殖阻害作用を示すこと、マウス担癌モデルを用いた試験系において腫瘍増殖抑制作用を示すこと、ラットアジュバント関節炎モデルを用いた試験系において足浮腫抑制作用を示すこと、およびラット脈絡膜血管新生モデルを用いた試験系において脈絡膜血管新生阻害作用を示すことから、医薬として有用であり、特に癌、関節リウマチ、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫などの疾患の予防または治療剤として有用である。また、前記医薬は、温血動物用であり、好ましくはヒト用である。
【0067】
本発明化合物を、上記疾患の予防または治療薬として使用する場合には、本発明化合物は、経口でも、非経口でも投与することができる。投与剤型として、経口剤であれば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤が、非経口剤であれば、注射剤、点眼剤、点鼻剤、経皮吸収剤、エアゾール剤(「吸入剤」を含む)などが挙げられ、それらは汎用される技術を使用して製剤化することができる。
【0068】
たとえば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの経口剤は、乳糖、マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどの賦形剤、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クエン酸カルシウムなどの崩壊剤、ヒプロメロース、ヒドロキシメチルセルロース、マクロゴール、シリコーン樹脂などのコーティング剤、パラオキシ安息香酸エチル、ベンジルアルコールなどの安定化剤、甘味料、酸味料、香料などの矯味矯臭剤などを必要に応じて使用して、調製することができる。
【0069】
また、注射剤、点眼剤などの非経口剤は、塩化ナトリウム、濃グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、塩化カリウム、ソルビトール、マンニトールなどの等張化剤、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸,氷酢酸、トロメタモールなどの緩衝化剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの界面活性剤、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウムなどの安定化剤、ベンザルコニウム塩化物、パラベン、塩化ベンゾトニウム、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、クロロブタノールなどの防腐剤など、塩酸、クエン酸、リン酸、氷酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのpH調整剤、ベンジルアルコールなどの無痛化剤、ヒプロメロースなどの粘稠剤などを必要に応じて使用し、調製することができる。
【0070】
本発明化合物の投与量は、症状、年齢、剤型などにより適宜選択して使用することができる。たとえば、経口剤は通常1日当たり0.01〜1000mg、好ましくは1〜100mgを1回または数回に分けて投与することができる。また、点眼剤は通常0.0001〜10%(w/v)、好ましくは0.01〜5%(w/v)の濃度のものを1回または数回に分けて投与することができる。
【0071】
以下に本発明化合物の製造例、保存安定性試験とその結果、副作用確認試験とその結果および製剤例を示すが、これらの例示は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。なお、以下で使用する「1H−NMR」は「プロトン−核磁気共鳴」を、「PXRD」は「粉末X線回折」を、「DSC」は「示差走査熱量測定」を、「TGA」は「熱重量測定装置」を、「RH」は「相対湿度」を示す。
【0072】
[製造例]
<実施例1:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩の製造方法>
化合物A(200mg)にテトラヒドロフラン(2mL)を加え室温で撹拌した。溶解を確認後、同温でベンゼンスルホン酸一水和物(85mg)を添加した。塩形成終了後、溶媒を減圧留去した。濃縮残留物に酢酸エチルを加え、析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(171mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6
δ 4.02(s,2H),4.44(s,2H),7.17(dd,J=4.9,1.5Hz,1H),7.28−7.38(m,5H),7.58−7.60(m,2H),7.71(d,J=1.2Hz,1H),7.80−7.82(m,2H),7.99(dd,J=7.6,1.8Hz,1H),8.20(d,J=5.2Hz,2H),8.60(dd,J=4.9,1.8Hz,1H),10.66(s,1H)
<実施例2:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法1(酢酸エチル/DMSO)>
化合物A(503mg)にジメチルスルホキシド(2.0mL)を加え室温で撹拌した。溶解を確認後、同温でベンゼンスルホン酸一水和物(207mg)を添加し、さらに1.25時間撹拌した。続いて、酢酸エチル(15mL)を添加し、さらに3.5時間撹拌した。析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(510mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.05(s,2H),4.47(s,2H),7.28−7.38(m,7H),7.58−7.60(m,2H),7.81(d,J=9.2Hz,2H),8.01(dd,J=7.6,1.8Hz,1H),8.16(s,1H),8.24(d,J=5.5Hz,1H),8.59(dd,J=4.9,1.5Hz,1H),10.08(bs,1H),10.66(s,1H)
PXRD:
【0073】
【表1】

【0074】
TGA:
吸熱ピーク:206.2℃
<実施例3:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法2(エタノール/DMSO)>
化合物A(505mg)にジメチルスルホキシド(2.0mL)を加え室温で撹拌した。溶解を確認後、同温でベンゼンスルホン酸一水和物(200mg)を添加し、さらに1.25時間撹拌した。続いて、エタノール(10mL)を添加し、さらに2.5時間撹拌した。析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(482mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.07(s,2H),4.49(s,2H),7.29−7.39(m,7H),7.58−7.60(m,2H),7.81(d,J=9.2Hz,2H),8.03(dd,J=7.6,1.8Hz,1H),8.15(s,1H),8.27(d,J=5.5Hz,1H),8.59(dd,J=4.9,1.8Hz,1H),10.32(bs,1H),10.67(s,1H)
PXRD:
【0075】
【表2】

【0076】
TGA:
吸熱ピーク:207.7℃
<実施例4:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法3(エタノール/DMSO)>
ベンゼンスルホン酸一水和物(388g)にジメチルスルホキシド(1650g)を室温で加えた(内温28℃)。続いて、同温で化合物A(750g)を添加した。室温で2.0時間撹拌した後、溶液をろ過した。続いて、ろ液にエタノール(5938g)を添加し、室温で2.0時間撹拌した。析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(820g)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.08(s,2H),4.49(s,2H),7.29−7.39(m,7H),7.58−7.61(m,2H),7.81(d,J=9.2Hz,2H),8.03(dd,J=7.8,1.8Hz,1H),8.14(s,1H),8.27(d,J=5.5Hz,1H),8.59(dd,J=5.0,1.8Hz,1H),10.40(bs,1H),10.66(s,1H)
PXRD:
【0077】
【表3】

【0078】
<実施例5:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法4(メタノール、室温静置)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(99mg)にメタノール(3mL)を加えた後、外温65℃で4分間撹拌した。溶解を確認後、室温で一晩静置した。析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(50mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6
δ 4.12(s,2H),4.52(s,2H),7.30(dd,J=4.6,1.5Hz,1H),7.31−7.34(m,4H),7.38(d,J=8.6Hz,2H),7.47(d,J=5.8Hz,1H),7.60−7.62(m,2H),7.81−7.83(m,2H),8.05(dd,J=7.6,1.5Hz,1H),8.12(s,1H),10.68(s,1H),10.83(s,1H)
<実施例6:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法5(エタノール、室温静置)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(99mg)にエタノール(5mL)を加えた後、外温85℃で3分間撹拌した。溶解を確認後、室温で一晩静置した。析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(66mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6
δ 4.11(s,2H),4.52(s,2H),7.30(dd,J=4.6,2.4Hz,1H),7.31−7.34(m,4H),7.38(d,J=8.6Hz,2H),7.44(s,1H),7.60−7.61(m,2H),7.81−7.83(m,2H),8.05(d,J=7.6Hz,1H),8.12(s,1H),10.67(s,1H),10.83(bs,1H)
<実施例7:化合物のベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法6(酢酸エチル/DMSO、室温静置)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(1.0g)にジメチルスルホキシド(1.5mL)を加えた後、内温50℃で11分間撹拌した。溶解を確認後、酢酸エチル(6.0mL)を加えた。室温で一晩静置した後、析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(619mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.07(s,2H),4.49(s,2H),7.29−7.39(m,7H),7.59−7.61(m,2H),7.81(d,J=9.2Hz,2H),8.03(d,J=7.6Hz,1H),8.14(s,1H),8.26(d,J=5.5Hz,1H),8.58(dd,J=4.9,1.8Hz,1H),10.35(bs,1H),10.66(s,1H)
PXRD:
【0079】
【表4】

【0080】
TGA:
吸熱ピーク:207.2℃
<実施例8:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法7(酢酸エチル/DMSO、室温攪拌)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(1.0g)にジメチルスルホキシド(1.5mL)を加えた後、内温50℃で6分間撹拌した。溶解を確認後、酢酸エチル(6.0mL)を加えた。室温で4.5時間撹拌した後、析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(701mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.08(s,2H),4.49(s,2H),7.29−7.39(m,7H),7.59−7.61(m,2H),7.81(d,J=9.2Hz,2H),8.03(d,J=7.6Hz,1H),8.14(s,1H),8.27(d,J=5.8Hz,1H),8.59(dd,J=4.9,1.8Hz,1H),10.39(bs,1H),10.66(s,1H)
PXRD:
【0081】
【表5】

【0082】
TGA:
吸熱ピーク:209.2℃
<実施例9:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法8(酢酸エチル/DMSO、氷冷静置)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(1.0g)にジメチルスルホキシド(1.5mL)を加えた後、内温50℃で6分間撹拌した。溶解を確認後、酢酸エチル(6.0mL)を加えた。氷冷(内温5℃)で一晩静置した後、析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(227mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.08(s,2H),4.49(s,2H),7.30−7.39(m,7H),7.59−7.61(m,2H),7.81(d,J=9.2Hz,2H),8.02(d,J=6.4Hz,1H),8.14(s,1H),8.27(d,J=5.5Hz,1H),8.59(m,1H),10.36(bs,1H),10.66(s,1H)
PXRD:
【0083】
【表6】

【0084】
TGA:
吸熱ピーク:207.1℃
<実施例10:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法9(アセトン/DMSO、室温攪拌)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(1.0g)にジメチルスルホキシド(1.5mL)を加えた後、内温50℃で5分間撹拌した。溶解を確認後、アセトン(7.0mL)を加えた。室温で5.0時間撹拌した後、析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(629mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.08(s,2H),4.49(s,2H),7.29−7.39(m,7H),7.59−7.61(m,2H),7.81(d,J=9.2Hz,2H),8.03(dd,J=7.6,1.8Hz,1H),8.14(s,1H),8.27(d,J=5.8Hz,1H),8.59(dd,J=4.9,1.8Hz,1H),10.39(bs,1H),10.66(s,1H)
PXRD:
【0085】
【表7】

【0086】
<実施例11:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法10(アセトン/DMSO、氷冷静置)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(1.0g)にジメチルスルホキシド(1.5mL)を加えた後、内温50℃で5分間撹拌した。溶解を確認後、アセトン(7.0mL)を加えた。氷冷(内温5℃)で一晩静置した後、析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(224mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.08(s,2H),4.49(s,2H),7.29−7.39(m,7H),7.59−7.61(m,2H),7.81(d,J=8.9Hz,2H),8.03(dd,J=7.6,1.5Hz,1H),8.14(s,1H),8.27(d,J=5.8Hz,1H),8.59(dd,J=4.9,1.5Hz,1H),10.37(bs,1H),10.66(s,1H)
PXRD:
【0087】
【表8】

【0088】
<実施例12:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法11(水/DMSO、室温静置)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(1.0g)にジメチルスルホキシド(1.5mL)を加えた後、内温50℃で6分間撹拌した。溶解を確認後、水(0.8mL)を加えた。室温で1時間静置した後、析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(928mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.08(s,2H),4.49(s,2H),7.29−7.39(m,7H),7.59−7.61(m,2H),7.81(d,J=9.2Hz,2H),8.03(dd,J=7.6,1.5Hz,1H),8.14(s,1H),8.27(d,J=5.8Hz,1H),8.59(dd,J=4.9,1.8Hz,1H),10.36(bs,1H),10.66(s,1H)
PXRD:
【0089】
【表9】

【0090】
TGA:
吸熱ピーク:205.5℃
<実施例13:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法12(水/DMSO、室温攪拌)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(1.0g)にジメチルスルホキシド(1.5mL)を加えた後、内温50℃で5分間撹拌した。溶解を確認後、水(0.8mL)を加えた。室温で0.5時間撹拌した後、析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(910mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.08(s,2H),4.49(s,2H),7.29−7.39(m,7H),7.59−7.61(m,2H),7.81(d,J=9.2Hz,2H),8.03(dd,J=7.6,1.8Hz,1H),8.14(s,1H),8.27(d,J=5.8Hz,1H),8.59(dd,J=4.9,1.5Hz,1H),10.40(bs,1H),10.66(s,1H)
PXRD:
【0091】
【表10】

【0092】
<実施例14:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法13(水/DMSO、氷冷静置)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(1.0g)にジメチルスルホキシド(1.5mL)を加えた後、内温50℃で5分間撹拌した。溶解を確認後、水(0.8mL)を加えた。氷冷(内温7℃)で一晩静置した後、析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(927mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.08(s,2H),4.49(s,2H),7.29−7.39(m,7H),7.59−7.61(m,2H),7.81(d,J=8.9Hz,2H),8.03(dd,J=7.6,1.5Hz,1H),8.14(s,1H),8.27(d,J=5.5Hz,1H),8.59(dd,J=4.9,1.5Hz,1H),10.41(bs,1H),10.66(s,1H)
PXRD:
【0093】
【表11】

【0094】
<実施例15:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法14(エタノール/DMSO、室温静置)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(1.0g)にジメチルスルホキシド(2.7mL)、エタノール(6.0mL)を加えた後、内温50℃で5分間撹拌した。室温で一晩静置した後、析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(104mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.08(s,2H),4.49(s,2H),7.29−7.39(m,7H),7.59−7.61(m,2H),7.81(d,J=9.2Hz,2H),8.03(dd,J=7.6,1.8Hz,1H),8.14(s,1H),8.27(d,J=6.1Hz,1H),8.59(dd,J=4.9,1.8Hz,1H),10.39(bs,1H),10.66(s,1H)
TGA:
吸熱ピーク:210.1℃
<実施例16:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法15(エタノール/DMSO、室温攪拌)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(1.0g)にジメチルスルホキシド(2.5mL)を加えた後、内温50℃で5分間撹拌した。溶解を確認後、エタノール(3.0mL)を加えた。室温で5.0時間撹拌した後、析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(71mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.08(s,2H),4.49(s,2H),7.29−7.39(m,7H),7.59−7.61(m,2H),7.81(d,J=9.2Hz,2H),8.03(dd,J=7.6,1.5Hz,1H),8.14(s,1H),8.27(d,J=5.8Hz,1H),8.59(dd,J=4.9,1.8Hz,1H),10.40(bs,1H),10.66(s,1H)
TGA:
吸熱ピーク:210.7℃
<実施例17:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法16(エタノール/DMSO、氷冷静置)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(1.0g)にジメチルスルホキシド(3.3mL)、エタノール(6.0mL)を加えた後、内温50℃で15分間撹拌した。氷冷(内温4℃)で一晩静置した後、析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(301mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.08(s,2H),4.49(s,2H),7.29−7.39(m,7H),7.59−7.61(m,2H),7.81(d,J=9.2Hz,2H),8.03(d,J=7.6Hz,1H),8.14(s,1H),8.27(d,J=5.5Hz,1H),8.59(dd,J=4.9,1.8Hz,1H),10.37(bs,1H),10.66(s,1H)
PXRD:
【0095】
【表12】

【0096】
<実施例18:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(α晶)の製造方法17(エタノール/DMSO、室温静置)>
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(4.0g)にジメチルスルホキシド(9.0mL)を加えた後、室温(内温25℃)で6分間撹拌した。溶解を確認後、エタノール(45mL)を加えた。室温で1.0時間撹拌した後、析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(3.3g)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.08(s,2H),4.49(s,2H),7.30−7.39(m,7H),7.59−7.61(m,2H),7.81(d,J=9.2Hz,2H),8.03(dd,J=7.6,1.5Hz,1H),8.14(s,1H),8.27(d,J=5.8Hz,1H),8.59(dd,J=4.9,1.5Hz,1H),10.40(bs,1H),10.67(s,1H)
PXRD:
【0097】
【表13】

【0098】
<実施例19:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(β晶)の製造方法>
化合物A(507mg)にテトラヒドロフラン(5.0mL)を加え室温で撹拌した。溶解を確認後、同温でベンゼンスルホン酸一水和物(202mg)を添加し、さらに1.5時間撹拌した。析出した固体をろ取、減圧乾燥すると、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩が白色で得られた(591mg)。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6):
δ 4.05(s,2H),4.47(s,2H),7.27−7.38(m,7H),7.58−7.60(m,2H),7.80(d,J=9.2Hz,2H),8.02(dd,J=7.6,1.8Hz,1H),8.16(s,1H),8.24(d,J=5.5Hz,1H),8.59(dd,J=4.9,1.5Hz,1H),10.05(bs,1H),10.66(s,1H)
PXRD:
【0099】
【表14】

【0100】
TGA:
吸熱ピーク:205.5℃
なお、前記[製造例]中のPXRDの分析では、線源に銅放射線(40kV/40mA)を使用し、走査パラメータは、走査軸:2θ/θ、範囲:2.500−40.000°、走査モード:連続、サンプリング幅:0.020°、スキャンスピード:4.000°/分で、測定した。
【0101】
また、TGA分析は約5mgのサンプルを用い、各サンプルを25.0〜300.0℃まで10.00℃/分の速度で走査した。この時、るつぼには窒素ガスを150.0mL/分の流速で常に流した。
【0102】
<化合物Aのベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩の保存安定性試験(1週間予備安定試験)>
(試験方法)
化合物Aのベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩について、40℃75%RH、60℃または光(1000lux/hr)の条件下に保存した後、化合物Aの各塩の含量をHPLCにて測定。保存前の含量を100%としたときの変化率を算出した。
(試験結果)
【0103】
【表15】

【0104】
<副作用確認試験(化合物A(フリー体)のラット1週間反復経口投与毒性試験および化合物Aのベンゼンスルホン酸塩のラット4週間反復経口投与毒性試験)>
1)化合物A(フリー体)のラット1週間反復経口投与毒性試験
(試験・観察方法)
i)Crl:CD(SD)ラットに1%メチルセルロース液に懸濁した化合物A(10mL/kg(体重)、30mL/kg(体重))を1日1回、7日間経口投与した。
ii)前記投与完了後、該ラットをエーテル麻酔下、放血致死させた後、胃を摘出、それを10%中性緩衝ホルマリン水溶液で固定後、ヘマトキシリン・エオジン染色し標本を作製、胃の変化を病理組織学的に観察した。
【0105】
2)化合物Aのベンゼンスルホン酸塩のラット4週間反復経口投与毒性試験
(試験・観察方法)
i)Crl:CD(SD)ラットに1%メチルセルロース液に懸濁した化合物Aのベンゼンスルホン酸塩(10mL/kg(体重)、30mL/kg(体重))を1日1回、4週間経口投与した。
ii)前記投与完了後、該ラットをエーテル麻酔下、放血致死させた後、胃を摘出、それを10%中性緩衝ホルマリン水溶液で固定後、ヘマトキシリン・エオジン染色し標本を作製、胃の変化を病理組織学的に観察した。
【0106】
(試験結果)
化合物Aは1週間の反復経口投与により、胃に鉱質沈着が認められたのに対して、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩は、4週間の反復経口投与でも、胃に鉱質沈着は認められなかった。
【0107】
<製剤例>
本発明化合物の代表的な製剤例を以下に示す。
【0108】
(処方例1:錠剤(100mg中))
本発明化合物 1mg
乳糖 66.4mg
トウモロコシデンプン 20mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 6mg
ヒドロキシプロピルセルロース 4mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
本発明化合物および/または添加物の種類および/または量を適宜変更することにより、所望の錠剤を得ることができる。また、これらの錠剤に、コーティング剤(たとえば、ヒプロメロース、マクロゴール、シリコーン樹脂などの通常のコーティング剤)を用いてコーティングを施し、目的とするコーティング錠を得ることができる。
【0109】
(処方例2:カプセル剤(150mg中))
本発明化合物 5mg
乳糖 145mg
本発明化合物と乳糖の混合比を適宜変更することにより、所望のカプセル剤を得ることができる。
【0110】
(処方例3:点眼剤(100mL中))
本発明化合物 100mg
塩化ナトリウム 900mg
ポリソルベート80 200mg
ベンザルコニウム塩化物 5mg
水酸化ナトリウム 適量
塩酸 適量
滅菌精製水 適量
本発明化合物および/または添加物の種類および/または量を適宜変更することにより、所望の点眼剤を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、安全性が高く、保存安定性に優れた、医薬として有用な化合物Aのベンゼンスルホン酸塩、その結晶、その結晶多形およびそれらの製造方法を提供する。また、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩、その結晶およびその結晶多形からなる群より選択される少なくとも一つを含有する医薬を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩。
【請求項2】
ベンゼンスルホン酸を含有する有機溶媒溶液に、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドを添加する工程を含む、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の製造方法。
【請求項3】
2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドを含有する有機溶媒溶液に、ベンゼンスルホン酸およびその水和物の少なくともいずれかを添加する工程を含む、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の製造方法。
【請求項4】
有機溶媒が非プロトン性極性溶媒または環状エーテルである請求項2または3に記載の製造方法。
【請求項5】
非プロトン性極性溶媒がジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルホルムアミドである請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
環状エーテルがテトラヒドロフランである請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶。
【請求項8】
粉末X線回折パターンのd値として、4.4オングストローム、3.8オングストロームおよび2.3オングストロームに特徴的なピークを有する、α型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶。
【請求項9】
ベンゼンスルホン酸を含有する良溶媒溶液に、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドを添加する工程と、それに続き、該反応溶液に貧溶媒を添加する工程とを含む、α型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法。
【請求項10】
2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドを含有する良溶媒溶液に、ベンゼンスルホン酸およびその水和物の少なくともいずれかを添加する工程と、それに続き、該反応溶液に貧溶媒を添加する工程とを含む、α型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法。
【請求項11】
良溶媒が非プロトン性極性溶媒である請求項9または10に記載の製造方法。
【請求項12】
非プロトン性極性溶媒がジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルホルムアミドである請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
貧溶媒が室温にて実質的に2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩を溶解しない溶媒である請求項9または10に記載の製造方法。
【請求項14】
室温にて実質的に2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩を溶解しない溶媒が水、低級アルキルアルコール、低級アルキルケトンまたは低級アルキルカルボン酸エステルである請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
室温にて実質的に2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩を溶解しない溶媒が水、エタノール、アセトンまたは酢酸エチルである請求項13に記載の製造方法。
【請求項16】
室温にて実質的に2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩を溶解しない溶媒がエタノールである請求項13に記載の製造方法。
【請求項17】
2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩を含有する良溶媒溶液に、貧溶媒を添加する工程を含む、α型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法。
【請求項18】
良溶媒が非プロトン性極性溶媒である請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
非プロトン性極性溶媒が、ジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルホルムアミドである請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
貧溶媒が室温にて実質的に2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩を溶解しない溶媒である請求項17に記載の製造方法。
【請求項21】
室温にて実質的に2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩を溶解しない溶媒が水、低級アルキルアルコール、低級アルキルケトンまたは低級アルキルカルボン酸エステルである請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
室温にて実質的に2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩を溶解しない溶媒が水、エタノール、アセトンまたは酢酸エチルである請求項20に記載の製造方法。
【請求項23】
加温した低級アルコールに2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩を添加して溶解する工程と、それに続き、低級アルコール溶液を冷却する工程とを含む、α型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法。
【請求項24】
低級アルコールがメタノールまたはエタノールである請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
粉末X線回折パターンのd値として、8.1オングストローム、6.8オングストローム、4.1オングストロームおよび4.0オングストロームに特徴的なピークを有する、β型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶。
【請求項26】
ベンゼンスルホン酸を含有する環状エーテル溶液に、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドを添加する工程を含む、β型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法。
【請求項27】
2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドを含有する環状エーテル溶液に、ベンゼンスルホン酸およびその水和物の少なくともいずれかを添加する工程を含む、β型と称される2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミドのベンゼンスルホン酸塩の結晶の製造方法。
【請求項28】
環状エーテルがテトラヒドロフランである請求項26または27に記載の製造方法。
【請求項29】
請求項1、請求項7、請求項8または請求項25のいずれかに記載のベンゼンスルホン酸塩、その結晶、そのα型と称される結晶およびそのβ型と称される結晶からなる群から選択される少なくとも一つを有効成分として含有する医薬。
【請求項30】
請求項1、請求項7、請求項8または請求項25のいずれかに記載のベンゼンスルホン酸塩、その結晶、そのα型と称される結晶およびそのβ型と称される結晶からなる群から選択される少なくとも一つを有効成分として含有する経口または非経口剤。

【公開番号】特開2011−37844(P2011−37844A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161881(P2010−161881)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000177634)参天製薬株式会社 (177)
【Fターム(参考)】