説明

2つのコア及び開口部を備えた加減放出型投薬形態

少なくとも1つの活性成分及びシェルにより包囲された少なくとも2つのコアを有する加減放出型の投薬形態が開示される。シェルは、少なくとも1つの開口部を備え、投薬形態と液体媒体の接触時に活性成分の加減放出を可能にする。コアのうち少なくとも一方は、開口部から見て遠くに位置している。好ましい実施形態では、投薬形態は、脈動放出プロフィールを有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2002年9月28日に出願された国際出願PCT/US02/31129号、2002年9月28日に出願されたPCT/US02/31117号、2002年9月28日に出願されたPCT/US02/31062号、2002年9月28日に出願されたPCT/US02/31024号、2002年9月28日に出願されたPCT/US02/31163号(これらはそれぞれ、2001年9月28日に出願された米国特許出願第09/966,939号、2001年9月28日に出願された米国特許出願第09/966,509号、2001年9月28日に出願された米国特許出願第09/966,497号、2001年9月28日に出願された米国特許出願第09/967,414号及び9月28日に出願された米国特許出願第09/966,450号の一部継続出願である)の一部継続出願であり、上記特許文献の全ての開示内容全体を参照により引用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、収納した活性成分の加減放出を可能にする投薬形態に関する。投薬形態は、2以上のコアを1以上の開口部が設けられたシェルによって包囲したものから成る。1又は複数の開口部は、コアのうちの少なくとも一方から遠くに位置している。好ましくは、1又は複数の開口部は、少なくとも一方のコアの近くに位置し、少なくとも別のコアの遠くに位置する。
【0003】
発明の背景
特に患者が1日に受けなければならない医薬品の投与回数を減少させることにより薬剤の投与を最適化すると共に患者のコンプライアンスを促進するために加減放出型薬学的投薬形態が長年にわたり用いられている。或る場合には、投与形態が種々の速度又は回数で2以上の薬剤を投与することが望ましい。加減放出型投薬形態は理想的には、放出速度及びプロフィールを生理学的及び時間治療学的要件に適合するようになっていることが必要である。薬剤の治療効果の開始及び持続時間はこれらの吸収、分布、代謝及び排泄と同様さまざまなので、種々の薬剤の放出を種々の仕方で加減し又は第1の用量の薬剤(活性成分)を投薬形態から即時に放出させ、他方、第2の用量の同一又は異なる薬剤を加減された、例えば、遅延された、脈動性の、繰り返し動作の制御された、持続性の、長時間にわたる、延長された又は抑制された仕方で放出することが望ましい場合が多い。
【0004】
投薬形態(又は、薬剤投与システム)が薬剤を制御された速度で(例えば、持続性の、長時間にわたる、延長された又は抑制された放出)を送り出すことができる周知の機構としては、拡散、侵食及び浸透現象が挙げられる。特定の活性成分について特に望ましい放出プロフィールを達成するよう上記機構の組合せを用いた投薬形態を設計するやり方を取られることが多い。当業者であれば、多数のコンパートメント、例えば多数のコア部分及び(又は)多数のシェル部分を提供する構成の投薬形態が1以上の活性成分の放出を制御するための多種多様な機構を提供する上でのその融通性を得る上で特に有利であることは容易に理解されよう。
【0005】
加減放出型の投薬形態の重要な目的は、薬剤に関し所望の血液濃度と時間の関係(薬物動態学、即ちPK)を提供することにある。基本的には、薬剤に関するPKプロフィールは、血液中への薬剤の吸収速度及び血液からの薬物の排泄速度によって決まる。血液(循環系)中へ吸収されるためには、薬物はまず最初に、胃腸液中で溶解する必要がある。胃腸液中での溶解が薬物吸収段階を制限する速度であるような比較的吸収が迅速な薬剤の場合、溶解速度(即ち、投薬形態からの薬剤放出)を制御することにより、配合者は、患者の循環系中への薬剤吸収速度を制御することができる。PKプロフィールのタイプ及びこれに対応した所望の溶解又は放出プロフィールタイプは、要因のうちでとりわけ、特定の活性成分及び治療対象の生理学的条件で決まる。
【0006】
特に望ましいPKプロフィールの1つは、投薬形態からの1回以上の用量の薬剤の放出が、投薬形態と液体媒体との接触後、例えば患者による消化後所定の時間の間遅延される遅延放出溶解プロフィールを呈する投薬形態によって達成される。遅延期間(「ラグタイム」)の次に、投薬形態の即時放出(「遅延バースト」)又は活性成分の持続した(長時間にわたる、延長された又は抑制された)放出(「遅延され、次に持続する」)が生じる場合がある。例えば、米国特許第5,464,633号明細書は、外部被膜層が圧縮被覆法により被着される遅延放出型投薬形態を開示している。所望の時間遅延プロフィールを備えた製品を得るためには、被覆レベルは、コアの重量の105パーセント〜140パーセントであった。
【0007】
遅延放出型PKプロフィールの特に望ましい一形式は、例えば最初の1回分の用量の第1の薬剤を送り出し、投薬形態からの第1の薬剤の放出が実質的にない遅延期間(「ラグタイム」)をおいて、次の用量の同一の薬剤が即座に又は持続して放出される「脈動」放出型プロフィールから得られる。脈動性薬剤送り出しシステムの特に望ましい一形態では、薬剤形態と液体媒体との接触時に本質的に即座に第1の用量が放出される。脈動性薬剤送り出しシステムの特に望ましいもう1つの形態では、遅延期間は、第1の用量の治療濃度が血液中に維持される時間にほぼ一致する。脈動性送り出しシステムは、薬剤の連続放出が理想的ではない用途に特に有用である。この例は、肝臓による初回通過代謝を示す薬剤、生物学的耐性を生じさせ、即ち治療効果が作用部位において薬剤の連続存在により減少する薬剤、効能が身体機能又は疾患のサーカディアンリズムにより影響を受ける薬剤である。代表的な設計の脈動性投薬形態の1つは、外部被膜又はシェル内に第1の用量の薬剤を含み、次の用量の薬剤がサブコーティングの下に位置する層又は中央コア内に納められている。例えば、国際公開第WO99/62496号パンフレットは、浸透圧型投薬形態の半浸透性メンブレンの表面に被着されたオーバーコート中に含まれた即時放出用量の薬剤を有する投薬形態を開示している。米国特許第4,857,330号明細書及び第4,801,461号明細書は、半浸透性壁を包囲する外部薬剤塗膜を有する投薬形態を開示しており、この半浸透性壁は、第2の用量の薬剤の入った内部コンパートメントを包囲し、投薬形態の内部を外部使用環境に結合する出口手段を有している。これら投薬形態は、外部被膜から薬剤を即座に放出し、次に比較的短い遅延期間をおき、次に内部コンパートメントから薬剤を持続的に放出するよう設計されている。
【0008】
例えば、米国特許第4,576,604号明細書は、通路が設けられた壁(被膜)に包囲された薬剤コンパートメントを有する浸透圧器具(投薬形態)を開示している。壁は、即時放出用量の薬剤を含むのがよく、内部薬剤コンパートメントは、持続放出用量の薬剤を含むのがよい。米国特許第4,449,983号明細書は、別の浸透圧器具を開示しており、この浸透圧器具は、器具により別々に小出しされる2つの別々に収容された薬剤を有している。この器具は、仕切りにより分離された各薬剤につき1つずつの2つのコンパートメントを有している。各コンパートメントは、器具の外部と連通するオリフィスを有している。米国特許第5,738,874号明細書は、1以上の薬剤を互いに異なる放出速度で自由にすることができる三層薬学的圧縮錠剤を開示しており、この場合、即時放出用量の活性成分が圧縮被膜層に収容され、一実施形態では、外側圧縮被膜層は、コアに入れられた第2の用量の活性成分の放出を遅延させるよう侵食機構を介して機能するのがよい。このようなシステムは、外部被膜又はシェルに混ぜ込み可能な量の薬剤によって制限され、薬剤の量は、外部被膜又はシェルの達成可能な厚さによって制限される。
【0009】
脈動性送り出しシステムの別の設計例が、米国特許第4,865,849号明細書に例示されており、この米国特許明細書は、活性物質の一部が入っている第1の層、第1の層と活性物質の残りの部分が入った第3の層との間に介在して位置する水溶性又は水ゲル化性バリヤ層を有し、バリヤ層及び第3の層は、不溶性不浸透性のケーシング内に収容されている。ケーシングを種々の方法、例えば吹き付け、圧縮又は浸漬により被着させてもよく、或いは錠剤部分をあらかじめ成形されたケーシング内に挿入してもよい。積み重ね層の形態をした多層圧縮錠剤は必然的に、脈動放出プロフィールを提供するためには不浸透性部分被膜(ケーシング)を必要とする。これらシステムには、複雑であること、多数の種々の組成物から成る多数の別々のコンパートメントの組立費用が高くつくという欠点がある。
【0010】
投薬形態は、投与方式に融通性があるようにする目的で多数のコアが単一のシェル内に収容された状態で従来設計されていた。例えば、国際公開第WO00/18447号パンフレットは、少なくとも2回分の別々の薬剤投薬量入りパッケージを収容した経口投与に適したマルチプラックス薬剤送り出しシステムを記載しており、これらパッケージは、互いに比較した場合、又、マルチプレックス薬剤送り出しユニット全体の分解プロフィールと比較した場合、活性剤について均等な溶解プロフィールを呈し、マルチプレックス薬剤送り出しユニットは、個々の薬剤投薬量入りパッケージへのマルチプレックス薬剤送り出しシステムの分離を可能にする刻み目入り圧縮被膜によって実質的に包囲されている。この例では、2つの即時放出コンパートメントは、刻み目入り延長放出コンパートメントによって包囲されている。活性成分を延長放出コンパートメント内にのみ入れてもよく、或いは更に、2つの即時放出コンパートメント内に入れてもよい。この例のマルチプレックス薬剤送り出しシステムは、延長放出コンパートメントをプレスコーティングして即時放出コンパートメントを実質的に包囲することにより作製される。
【0011】
本明細書において、活性成分の加減放出を可能にする改良型投薬形態について説明する。投薬形態は、少なくとも1つの活性成分及びシェルにより包囲された少なくとも2つのコアを有し、シェルは、コアのうちの1つから遠くに位置した1以上の開口部を有している。好ましくは、1又は複数の開口部は、少なくとも1つのコアの近くに位置し又はこれに結合されているが、少なくとも別のコアから見て遠くに位置している。このように、少なくとも1つのコアは、開口部を介して投薬形態の外部と連通するが、少なくとも別のコアはそうではない。コアのうち1以上、シェル、又はその一部又は組合せの中に存在するのがよい活性成分は、液体媒体との接触時に、加減された方式で投薬形態から放出される。
【0012】
発明の概要
本発明は、少なくとも1つの活性成分と、第1のコアと、第2のコアとを有する投薬形態であって、前記第1及び第2のコアは各々、シェルによって包囲されており、シェルは、1以上の開口部を備え、投薬形態と液体媒体との接触時に少なくとも1つの活性成分の加減放出を可能にし、第1又は第2のコアのうち少なくとも一方は、1又は複数の開口部から遠くに位置していることを特徴とする投薬形態を提供する。
【0013】
本発明は又、薬学的に有効な用量の第1の活性成分を含む第1のコア及び薬学的に有効な用量の第2の活性成分を含む第2のコアを有する投薬形態であって、前記第1及び第2のコアは各々、シェルによって包囲され、シェルは、複数の開口部を有し、投薬形態と液体媒体との接触時に第2の活性成分の加減放出を可能にし、第2のコアは、全ての開口部から遠くに位置し、全ての開口部は、第1のコアにのみ近接して位置していることを特徴とする投薬形態を提供する。
【0014】
発明の詳細な説明
本明細書で用いられる「投薬形態」という用語は、或る成分、例えば以下に示すような活性成分の或るあらかじめ定められた量(用量)を含むよう設計された任意の固体、半固体又は液体組成物に当てはまる。適当な投薬形態は、経口投与、口腔投与、直腸投与、局所投与、経皮的投与、粘膜投与又は皮下埋め込みのための医薬品投与システム、又は別の埋め込み式医薬品投与システムを含む医薬品投与システム、或いはミネラル、ビタミン及びその他の栄養補助食品、歯の手入れ用薬剤、着香料等を投与するのための組成物であるのがよい。本発明の投薬形態は、好ましくは固体であると考えられるが、液体又は半固体成分を含んでいてもよい。特に好ましい実施形態では、投薬形態は、人の胃腸管に医薬活性成分を投与するための経口投与システムである。
【0015】
本発明で使用される適当な活性成分としては、例えば、医薬品、ミネラル、ビタミン及び他の栄養補助食品、歯の手入れ用薬剤、着香料及びこれらの混合物が含まれる。適当な医薬品には、鎮痛剤、抗炎症剤、抗関節炎剤、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質、抗感染剤、抗ウィルス剤、抗凝固剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、鎮吐剤、整腸剤、抗真菌剤、鎮痙剤、食欲抑制剤、気管支拡張剤、心血管作動剤、中枢神経系作用剤、中枢神経系刺激剤、充血除去剤、経口避妊薬、利尿剤、去痰剤、胃腸薬、片頭痛薬、乗り物酔い薬、粘液溶解剤、筋肉弛緩剤、骨粗しょう症薬、ポリジメチルシロキサン、呼吸器薬、睡眠薬、泌尿器疾患用薬及びこれらの混合物が挙げられる。
【0016】
適当な歯の手入れ用薬剤には、口臭防止剤、歯のホワイトニング剤、抗菌剤、歯の鉱化剤、虫歯防止剤、局所麻酔薬、粘膜保護剤等が含まれる。
【0017】
適当な着香料としては、メントール、ペパーミント、ミントフレーバー、フルーツフレーバー、チョコレート、バニラ、バブルガムフレーバー、コーヒーフレーバー、リキュールフレーバー及び組合せ等が挙げられる。
【0018】
適当な胃腸薬の例としては、制酸薬として例えば炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸水素ナトリウム、ジヒドロキシアルミニウム炭酸水素ナトリウム、刺激性下剤として例えばビサコジル、カスカラサグラダ、ダンスロン、センナ、フェノールフタレイン、アロエ、ヒマシ油、リシノール酸、デヒドロコール酸及びこれらの混合物、H2レセプター拮抗薬として例えばファモタジン(famotadin )、ラニシジン(ranitidine)、サイメタジン(cimetadine)、ニザチジン(nizatidine)、プロトポンプ阻害薬として例えばオメプラゾール又はランソプラゾール(lansoprazole)、胃腸粘膜保護剤として例えばスクラフレート(sucraflate)及びミソプロストール(misoprostol )、腸管運動促進剤として例えばプルカロプライド(prucalopride)、ヘリコバクターピロリ菌用抗生物質として例えばクラリスロマイシン(clarithromycin)、アモキシシリン(amoxicillin )、テトラサイクリン及びメトロニダゾール、下痢止め薬として例えばジフェキシラート及びロペラミド、グリコピロレート、制吐薬として例えばオンダンセトロン(ondansetron )、鎮痛薬として例えばメサラミン(mesalamine)が挙げられる。
【0019】
本発明の一実施形態では、活性剤は、ビサコジル、ファモタジン、ラニシジン、シメチジン、プルカロプライド、塩酸ジフェキシラート、ロペラミド、ラクターゼ、メサラミン、ビスマス、制酸薬及び薬学的に許容可能な塩、エステル、異性体及びそれらの混合物から成る群から選択されたものであるのがよい。
【0020】
別の実施形態では、活性剤は、鎮痛剤、抗炎症剤、解熱剤、例えば、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(プロピオン酸誘導体として例えばイブプロフェン(ibuprofen )、ナプロキセン、ケトプロフェン等、酢酸誘導体として例えばインドメタシン、ジクロフェナク(diclofenac)、スリンダク、トルメチン等、フェナム酸誘導体として例えばメフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸等、ビフェニルカルボン酸誘導体として例えばジフルニサール、フルフェニサール(flufenisal)等、及びオキシカムとして例えばピロキシカム(piroxicam )、スドキシカム(sudoxicam )、イソキシカム(isoxicam)、メロキシカム(meloxicam )等を含む)から成る群から選択される。特に好ましい実施形態では、活性剤は、プロピオン酸誘導体NSAID、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェンブフェン(fenbufen)、フェノプロフェン(fenoprofen)、インドプロフェン(indoprofen)、ケトプロフェン、フルプロフェン(fluprofen)、ピルプロフェン、カープロフェン(carprofen )、オキサプロジン(oxaprozin )、プラノプロフェン(pranoprofen )、スプロフェン及び薬学的に許容可能な塩、誘導体及びこれらの組合せから成る群から選択される。本発明の別の実施形態では、活性成分は、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、シクロベンザプリン(cycrobenzaprine )、メロキシカム、ロフェコキシブ(rofecoxib )、セレコキシブ(celecoxib )及び薬学的に許容可能な塩、エステル、異性体及びそれらの混合物から成る群から選択されたものであってもよい。
【0021】
本発明の別の実施形態では、活性成分は、プソイドエフェドリン、フェニルプロパノールアミン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、アステミゾール(astemizole)、テルフェナジン、フェクソフェナジン(fexofenadine)、ロラタジン(loratadin )、デスロラタジン(desloratadine )、ドキシラミン(doxilamine)、ノラステミゾール(norastemizole )、セチリジン(cetirizine)、これらの混合物並びに薬学的に許容可能な塩、異性体、及びこれらの混合物から成る群から選択されたものであってもよい。
【0022】
適当なポリジメチルシロキサンの例は、米国特許第4,906,478号明細書、第5,275,822号明細書及び第6,103,260号明細書において開示されているポリジメチルシロキサンであり、かかるポリジメチルシロキサンとしては、ジメチコン及びシメチコンが挙げられるが、これらには限定されない。なお、これら米国特許明細書の各々の開示内容を参照により引用する。本明細書で用いる「シメチコン」という用語は、ポリジメチルシロキサンに関するより広い族のことであり、これにはシメチコン及びジメチコンが含まれるが、これらには限定されない。
【0023】
1又は複数の活性成分が、投薬形態中に治療的に有効な量で存在し、この治療的に有効な量は、所望の経口投与の際に所望の治療的応答を生じさせ、当業者により容易に確認できる量である。かかる量を決定する際、特定の活性成分を投与し、当該技術分野において知られているように、活性成分のバイオアベイラビリティ特性、投与方式、患者の年齢及び体重、及び他の要因を考慮する必要がある。典型的には、投薬形態は、例えば少なくとも1重量パーセントの1以上の活性成分の組合せを含み、投薬形態は、少なくとも5重量パーセント、例えば、少なくとも約20重量パーセントの1以上の活性成分の組合せを含む。一実施形態では、コアは、合計で少なくとも約25重量パーセント(コアの重量を基準とする)の1以上の活性成分を含む。
【0024】
1又は複数の活性成分は、任意の形態で投薬形態中に存在してもよい。例えば、活性成分を投薬形態中に分子レベルで分散させ、例えば溶融し、又は溶解させることができ、或いは、粒子の形態であってもよく、これを被覆してもよく、或いは被覆しなくてもよい。活性成分が粒子の形態である場合、粒子(被覆されているか被覆されていないかは問わない)は代表的には、平均粒径が約1〜2,000ミクロンである。好ましい一実施形態では、かかる粒子は、平均粒径が約1〜300ミクロンの結晶である。別の好ましい実施形態では、粒子は、平均粒径が約50〜2,000ミクロン、好ましくは約50〜1,000ミクロン、最も好ましくは約100〜800ミクロンの顆粒又はペレットである。1以上の活性成分が粒子の形態をなす或る特定の実施形態では、活性成分粒子は、投薬形態の1以上のコア内に含まれる。
【0025】
コアは、任意の固形形態であってよい。本明細書で用いる「コア」という用語は、少なくとも一部が別の材料で包囲され又は取り囲まれた材料を意味している。好ましくは、コアは、自蔵式一体物品、例えば錠剤又はカプセルである。代表的には、コアは、固体から成り、例えば、コアは、圧縮又は成形錠剤、硬質又は軟質カプセル、坐薬、又は菓子形態、例えば菓子錠剤、ヌガー、カラメル、フラックス又は脂肪を主成分とする組成物である。或る特定の他の実施形態では、コア又はその一部は、最終投薬形態において半固形又は液体の形態であってもよい。例えば、コアは、液体充填カプセル又は半固形フラックス材料から成っていてもよい。コアが流動性コンポーネント、例えば複数の顆粒又は粒子、或いは液体を含む実施形態では、コアは好ましくは、流動性材料を収納する包囲コンポーネント、例えばカプセルシェル又は被膜を更に含むのがよい。コアが包囲コンポーネントを有する或る特定の実施形態では、本発明のシェル又はシェル部分は、コアの包囲コンポーネントと直接接触し、この包囲コンポーネントは、シェルをコアの流動性コンポーネントから分離する。
【0026】
投薬形態は少なくとも2つのコア、例えば第1のコア及び第2のコアを有する。投薬形態は3以上のコアを有してもよい。コアは、同一又は互いに異なる組成のものであってよく、同一又は互いに異なる活性成分、付形剤(所望の物理的性質を投薬形態に与えるのに有効である不活性成分)等を有してもよい。1以上のコアは、実質的に活性成分を含まない。コアは、互いに不適合性の成分を含んでもよい。
【0027】
各コアは、シェルにより完全に包囲され又はシェル内に埋め込まれる。シェルの一部(本明細書においては「内壁」という)が、第1のコアと第2のコアを互いに分離している。第1のコアと第2のコアとの間の距離、即ち、内壁の厚さは、投薬形態の所望の放出特性又は製造方法に関連した実際の検討事項に応じて様々であってよい。或る特定の実施形態では、投薬形態内の第1のコアと第2のコアとの間の距離、即ち、内壁の厚さは、1又は複数の開口部から遠くに位置したコアの近くに位置するシェルの厚さ程度である。例えば、内壁の厚さは、コアの厚さの約10%〜約200%であるのがよい。
【0028】
各コアは、多種多様な形状のうちの1つのものであってよい。各コアは、他のコアと同一又はこれらとは異なる物理的寸法形状等のものであってよい。例えば、第1のコアと第2のコアは、互いに異なる直径又は厚さのものであってよい。例えば、コアは、多面体、例えば立方体、ピラミッド形、プリズム等として形作られてもよく、或いは、幾つかの平らでないフェースを備えた空間図形の幾何学的形状、例えば、円錐、切頭円錐、円柱、球、トーラス等のものであってもよい。或る特定の実施形態では、コアは、1以上の主要なフェースを有する。例えば、コアが圧縮錠剤である実施形態では、コア表面は代表的には、圧縮機内で上及び下打ち抜きフェースとの接触により形成される2つの互いに反対側の主要フェースを有する。かかる実施形態では、コア表面は典型的には、2つの主要フェース相互間に位置し、圧縮機内のダイ壁との接触により形成される「ベリーバンド(腹巻き)」を更に有する。コアは、多層錠剤から成っていてもよい。
【0029】
一実施形態では、コアは、硬さが約2〜約30kp/cm2、例えば約6〜約25kp/cm2の圧縮錠剤である。「硬さ」は、従来型医薬硬さ試験機器、例えばシュロウニガー・ハードネス・テスター(Schleuniger Hardness Tester)により測定されるコア又は被覆固形投薬形態の直径方向破壊強度を説明するために当該技術分野において用いられている用語である。サイズの互いに異なる錠剤相互間の値を比較するため、破壊強度を破壊領域について正規化する必要がある。kp/cm2で表わされたこの正規化値は、錠剤引っ張り強さと呼ばれる場合がある。錠剤の硬さ試験についての一般的な説明は、レイベルマン(Leiberman)他著,「ファーマシューティカル・ドーセージ・フォームス−タブレッツ(Pharmaceutical Dosage Forms-Tablets )」,第2巻,第2版,マルセル・デッカー・インコーポレイテッド(Marcel Dekker Inc.),1999年,p.213〜217,327〜329に見られる。別の実施形態では、投薬形態中のコアの全ては、硬さが約2〜約30kp/cm2、例えば約6〜約25kp/cm2の圧縮錠剤から成る。
【0030】
第1のコアと第2のコアを並んで差し向けるのがよい。例えば、圧縮錠剤であるコアの場合、これらのベリーバンドは、内壁に隣接すると共にこれに接触する。これについては、例えば、圧縮錠剤である2つの互いに並んで位置するコアを有する本発明の投薬形態の断面図である図1Aを参照されたい。変形例として、コアをこれらの上側フェース又は下側フェースが内壁に隣接すると共にこれに接触するように上下に差し向けてもよい。これについては、「上及び下」コアを有する本発明の別の投薬形態の断面図である図5Aを参照されたい。シェルの厚さは、投薬形態の周りの種々の位置相互間でさまざまであってよい。例えば、コアが互いに異なる寸法のものである実施形態では、結果的に、シェルは、一方のコアの周りの方の厚さが他方のコアの周りの厚さよりも小さい。1以上のコアが包囲しているシェル表面の形状とは異なる形状のものである実施形態では、コアの幾つかの部分の周りのシェル厚さは、或る特定の他の部分の周りのシェル厚さとは異なるであろう。シェルが2以上の部分から成る実施形態では、これらシェル部分は、対応の位置のところで互いに異なる厚さのものであるのがよい。コアが投薬形態内で非対称に位置決めされている実施形態では、シェル厚さは、それに応じてさまざまであろう。これは、2つのコアからの活性成分の相対的放出開始又は速度を調節するよう利用できる。例えば、小さい方のコアに入れられている活性成分は、大きい方のコアの周りのシェルの相対的な薄さに起因して、大きい方のコアからの活性成分の放出が始まった後に放出される。別の例では、第1の細長いコアに入れられた活性成分は、第1のコアの細長い部分の近くのシェルの相対的薄さに起因して、第2のより対称形のコアからの活性成分よりも早く放出され始める。
【0031】
採用可能な例示のコア形状としては、以下に記載するような「ジ・エリザベス・カンパニーズ・タブレット・デザイン・トレーニング・マニュアル(The Elizabeth Companies
Tablet Design Training Manual )」(エリザベス・カーバイド・ダイ・カンパニー・インコーポレイテッド(Elizabeth Carbide Die Co.,Inc., ),p.7(ペンシルベニア州マッキースポート所在)に記載された圧縮ツーリング形状から形成された錠剤の形状が挙げられる(錠剤形状は、圧縮ツーリングの形状の逆の形状をしている)。なお、かかる非特許文献の記載内容を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。
1.浅い凹み.
2.標準の凹み.
3.深い凹み.
4.極めて深い凹み.
5.変更されたボール凹み.
6.標準の凹みバイセクト.
7.標準の凹み2重バイセクト.
8.標準の凹みヨーロピアンバイセクト.
9.標準の凹み部分バイセクト.
10.2重アール(半径).
11.ベベル及び凹み.
12.フラットプレーン.
13.平らなフェース付き斜切縁部(F.F.B.E.).
14.F.F.B.E.バイセクト.
15.F.F.B.E.2重バイセクト.
16.リング.
17.ディンプル.
18.楕円.
19.卵形.
20.カプセル形.
21.矩形.
22.正方形.
23.三角形.
24.六角形.
25.五角形.
26.八角形.
27.菱形.
28.矢印形.
29.弾丸形.
30.浅い凹み.
31.標準の凹み.
32.深い凹み.
33.極めて深い凹み.
34.変更されたボール凹み.
35.標準の凹みバイセクト.
36.標準の凹み2重バイセクト.
37.標準の凹みヨーロピアンバイセクト.
38.標準の凹み部分バイセクト.
39.2重アール(半径).
40.ベベル及び凹み.
41.フラットプレーン.
42.平らなフェース付き斜切縁部(F.F.B.E.).
43.F.F.B.E.バイセクト.
44.F.F.B.E.2重バイセクト.
45.リング.
46.ディンプル.
47.楕円.
48.卵形.
49.カプセル形.
50.矩形.
51.正方形.
52.三角形.
53.六角形.
54.五角形.
55.八角形.
56.菱形.
57.矢印形.
58.弾丸形.
59.樽形.
60.半月形.
61.シールド.
62.心臓形.
63.アーモンド形.
64.ハウス/ホームプレート.
65.平行四辺形.
66.台形.
67.8の字/バーベル形.
68.蝶ネクタイ形.
69.不等辺三角形.
【0032】
コアは、例えば圧縮又は成形を含む任意適当な方法により作製でき、コアの製造方法に応じて、コアは代表的には、活性成分及び種々の付形剤を含む。コアを同一又は異なる方法で作製できる。例えば、第1のコアを圧縮により作製でき、第2のコアを成形により作製でき、或いは両方のコアを圧縮により作製できる。
1以上のコア又はコア部分が圧縮により作られる実施形態では、適当な付形剤としては、当該技術分野は知られているように、充填剤、結合剤、錠剤分解物質、減摩剤、グライダント(glidant)等が挙げられる。コアが圧縮により作られ、更にこの中に入っている活性成分の加減放出をもたらす実施形態では、かかるコアは好ましくは、放出を加減する圧縮性付形剤を更に含む。
【0033】
圧縮によりコア又はコア部分を作製する際に用いられる適当な充填剤としては、例えば糖(デキストロース、スクロース(ショ糖)、マルトース及び乳糖を含む)、ポリデキストロース(polydextrose)、糖アルコール(マンニトール、ソルビトール、マルチトール(maltitol)、キシリトール、エリトリトールを含む)、でんぷん加水分解物(デキストリン及びマルトデキストリンを含む)等のような水溶性の圧縮可能な炭化水素、例えば微晶質セルロース又は他のセルロース誘導体のような水に溶けない可塑性消泡物質、例えば第2リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム等のような水に溶けない脆性破壊物質及びこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
圧縮によりコア又はコア部分を作製する際に用いられる適当な結合剤としては、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のようなドライバインダー、例えばアカシア(acacia)、アルギン酸、寒天、グアールガム(guar gum)、イナゴマメ、カラゲーン、カルボキシメチルセルロース、タラ(tara)、アラビアゴム、トラガカント、ペクチン、キサンタン(xanthan )、ゲラン(gellan)、ゼラチン、マルトデキストリン、ガラクトマンナン、プストラン(pusstulan )、ラミナリン、スクレログルカン(scleroglucan)、イヌリン、ペクチン、ウェラン(whelan)、ラムサン(rhamsan )、ズーグラン(zooglan )、メチラン(methylan)、キチン、シクロデキストリン、キトサン、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、スクロース、スターチ(でんぷん)等のような親水コロイドを含む水溶性ポリマーのような液状結合剤、誘導体及びこれらの混合物が挙げられる。
【0035】
圧縮によりコア又はコア部分を作製する際に用いられる適当な錠剤分解物質としては、でんぷんグリコール酸エステルナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロース、でんぷん、微晶質セルロース等を含む。
【0036】
圧縮によりコア又はコア部分を作製する際に用いられる適当な潤滑剤は、長鎖脂肪酸及びこれらの塩、例えばステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸、タルク及び蝋を含む。
【0037】
圧縮によりコアを作製する際に用いられる適当なグライダントは、コロイド状二酸化珪素等を含む。
【0038】
圧縮によりコア又はコア部分を作製するのに適した放出加減圧縮性付形剤としては、膨潤性で侵食性の親水性物質、不溶性で食用の物質、pH依存ポリマー等が挙げられる。
【0039】
圧縮によりコア又はコア部分を作製するための放出加減付形剤として用いられる適当な膨潤性で侵食性の親水性物質としては、水膨潤性セルロース誘導体、ポリアルカレングリコール、熱可塑性ポリアルカレンオキシド、アクリルポリマー、親水コロイド、クレー、ゲル化スターチ、膨潤性架橋ポリマー、並びにこれらの誘導体、コポリマー及び組合せが挙げられる。適当な水膨潤性セルロース誘導体の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシイソプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシフェニルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシペンチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース等が挙げられる。適当なポリアルカレングリコールの例としては、ポリエチレングリコールが挙げられる。適当な熱可塑性ポリアルカレンオキシドの例としては、ポリ(エチレンオキシド)が挙げられる。適当なアクリルポリマーの例としては、メタクリレートジビニルベンゼンカリウムコポリマー(potassium methacrylatedivinylbenzene copolymer)、ポリメチルメタクリレート、CARBOPOL(高分子量架橋アクリル酸ホモポリマー及びコポリマー)等が挙げられる。適当な親水コロイドの例としては、アルギン酸、寒天、グアールガム、イナゴマメガム、カッパカラゲナン、イオタカラゲナン、タラ、アラビアゴム、トラガカント、ペクチン、キサンタンガム、ゲランガム、マルトデキストリン、ガラクトマンナン、プストラン、ラミナリン、スクレログルカン、アラビアゴム、イヌリン、ペクチン、ゼラチン、ウェラン、ラムサン、ズーグラン、メチラン、キチン、シクロデキストリン、キトサン等が挙げられる。適当なクレーの例としては、スメクタイト、例えばベントナイト、カオリン、ラポナイト、三珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウムマグネシウム、等並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられる。適当なゲル化スターチの例としては、酸水解スターチ、膨潤性スターチ、例えばグリコール酸ナトリウムスターチ及びその誘導体が挙げられる。適当な膨潤性架橋ポリマーの例としては、架橋ポリビニルピロリドン、架橋寒天、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。
【0040】
コア又はコア部分を圧縮により作るための放出加減付形剤として用いられるのに適した不溶性食用材料としては、水不溶性ポリマー、低融点疎水性物質が挙げられる。適当な水不溶性ポリマーの例としては、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリカプロラクトン、セルロースアセテート及びその誘導体、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸コポリマー等並びにこれらの誘導体、コポリマー及び組合せが挙げられる。適当な低融点疎水性物質としては、脂肪、脂肪酸エステル、リン脂質(ホスホリピド)及び蝋が挙げられる。適当な脂肪の例としては、水素化植物油、例えばココアバター、水素化パーム核油、水素化綿実油、水素化ヒマワリ油、水素化大豆油、遊離脂肪酸及びこれらの塩が挙げられる。適当な脂肪酸エステルの例としては、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、ベヘン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、トリラウリル酸グリセリン、ミリスチン酸グリセリン、Glyco Wax-932、ラウロイルマクロゴール−32グリセリド、及びステアロイルマクロゴール−32グリセリドが挙げられる。適当なホスホリピドの例としては、ホスホチジルコリン、ホスホチジルセレン、ホスホチジルエノシトール及びホスホチジン酸が挙げられる。適当な蝋の例としては、カルナウバ蝋、鯨蝋、蜜蝋、カンデリラ蝋、セラック蝋、微晶質蝋及びパラフィン蝋、脂肪含有混合物、例えばチョコレート等が挙げられる。
【0041】
コア又はコア部分を圧縮により作るための放出加減付形剤として用いられる適当なpH依存性ポリマーとしては、腸内セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートフタレート、天然樹脂、例えばセラック及びゼイン、腸内アセテート誘導体、例えばポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、アセトアルデヒドジメチルセルロースアセテート、腸内アクリレート誘導体、例えばポリメタクリレートを主成分とするポリマー、例えばローム・ファーマ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングからEUDRAGIT Sという商品名で市販されているポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2、ローム・ファーマ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングからEUDRAGIT Lという商品名で市販されているポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1等並びにこれらの誘導体、塩、コポリマー及び組合せが挙げられる。
【0042】
圧縮によりコア又はコア部分を製造するのに適した薬学的に許容できる補助剤としては、防腐薬、甘みの強い甘味料、例えばアスパルテーム、アセスルファメカリウム(acesulfame potassium)、スクラロース(sucralose)、サッカリン、フレーバー、着色剤、酸化防止剤、界面活性剤、湿潤剤等及びこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
圧縮により1以上のコアが作製される実施形態では、当該技術分野で知られているようにドライブレンディング(即ち、直接圧縮法)又は湿式造粒法を採用するのがよい。ドライブレンディング(直接圧縮)法では、1又は複数の活性成分を錠剤の状態に加圧する圧縮機に直接移送するのではなく、適当な配合機内で配合する。湿式造粒法では、1又は複数の活性成分、適当な付形剤及び液状結合剤の溶液又は分散液(例えば、水性クックドスターチ(でんぷん)ペースト、又はポリビニルピロリドンの溶液)を混合して造粒する。変形例として、液状結合剤を付形剤中に含ませてもよく、その混合物を水又は他の適当な溶剤で造粒してもよい。湿式造粒に適した装置は当該技術分野において知られており、かかる装置としては、低剪断、例えば遊星形ミキサ、高剪断ミキサ及び回転流体床を含む流体床が挙げられる。その結果得られた粒状物を乾燥させ、そして任意的に別の成分、例えば補助剤及び(又は)付形剤、例えば減摩剤、着色剤等とドライブレンドする。この場合、最終のドライブレンドは、圧縮に適している。直接圧縮法及び湿式造粒法は、当該技術分野において知られており、その詳細は、例えばラッチマン(Lachman )他著,「ザ・セオリー・アンド・プラクティス・オブ・インダストリアル・ファーマシイ(The Theory and Practice of Industrial Pharmacy)」,第11章(第3版,1986年)に記載されている。
【0044】
ドライブレンドし又は湿式造粒した粉末混合物を代表的には、当該技術分野で知られている回転圧縮機、例えばニュージャージー州ロッカウェイ所在のフェッテ・アメリカ・インコーポレイテッド又は英国リバプール所在のマネスティ・マシーンズ・エルティーディから市販されている回転圧縮機を用いて錠剤の状態に押し固める。回転圧縮機では、計量された容積の粉末をダイキャビティ内に充填し、ダイキャビティは、「ダイテーブル」の一部として充填位置から押し固め位置に回転し、かかる押し固め位置において、粉末は上パンチと下パンチとの間で押し固められて突き出し位置に送られ、ここで結果的に得られた錠剤が下パンチによりダイキャビティから押し出され、固定「テイクオフ」バーにより突き出しシュートに案内される。
【0045】
一実施形態では、少なくとも1つのコアを同時係属中の米国特許出願第09/966,509号明細書の第16〜27ページに記載された圧縮法及び装置により作製するのがよく、かかる米国特許出願明細書の開示内容をここに参照により引用する。具体的に説明すると、コアは、米国特許出願第09/966,509号明細書の図6に示されているような二重列ダイ構造の単一の装置内に設けられた充填ゾーン、挿入ゾーン、圧縮ゾーン、突き出しゾーン及びパージゾーンから成る回転圧縮モジュールを用いて作られる。圧縮モジュールのダイは好ましくは、フィルタが各ダイ内又はその近くに配置された状態で真空の助けを用いて充填される。
【0046】
圧縮法により作製されたコアは、単一層又は多層のものであってよく、例えば二重層、錠剤であってよい。
【0047】
シェルが、コアを包囲している。シェルは、連続であってコアを完全に包囲している。シェルは、単一で一体の被膜であってもよく、或いは多数の部分、例えば第1シェル部分及び第2シェル部分から成っていてもよい。或る特定の実施形態では、シェル又はシェル部分は、コア又はコア部分に直接接触している。或る特定の他の実施形態では、シェル又はシェル部分は、実質的にコア又はコア部分を包囲しているサブコーティング又は包囲コンポーネントに直接接触している。シェルが第1及び第2のシェル部分から成る実施形態では、少なくとも第1のシェル部分には開口部が設けられる。多数のシェル部分が用いられる実施形態では、シェル部分は、互いに同一の組成及び形状又は互いに異なる組成及び形状のものであってよい。
【0048】
或る特定の実施形態では、投薬形態は、組成的に互いに異なる第1のシェル部分と第2のシェル部分を有する。本明細書で用いる「組成的に異なる」という用語は、定性又は定量化学分析、物理的検査又は目視観察により容易に識別できる特徴を有していることを意味している。例えば、第1のシェル部分と第2のシェル部分は、互いに異なる種類の成分を含み又は互いに異なるレベルの同一成分を含むのがよく、或いは第1のシェル部分と第2のシェル部分は、互いに異なる物理的又は化学的性質、互いに異なる機能的特性を有し、又は視覚的に区別できるのがよい。互いに異なるのがよい物理的又は化学的性質の例としては、親水性、疎水性、吸湿性、弾性、可塑性、引張強さ、結晶性及び密度が挙げられる。互いに異なるのがよい機能的性質の例としては、材料それ自体の溶解速度及び(又は)溶解度又はかかる材料からの活性成分の溶解速度及び(又は)溶解度、材料の分解速度、活性成分に対する透過性、水又は水性媒体に対する透過性等が挙げられる。視覚的区別の例としては、寸法、形状、トポグラフィー又は他の幾何学的特徴、色、色合い、不透明度及び光沢度が挙げられる。
【0049】
一実施形態では、第1のコアは、第1のシェル部分で包囲され、第2のコアは、第2のシェル部分で包囲されている。例えば、特定のかかる実施形態の1つでは、第1及び第2のコアは、同一の活性成分を同一の量含むのがよく、本質的には、寸法形状及び組成が本質的に互いに同一であるのがよく、これに対し、第1及び第2のシェル部分は、互いに異なる溶解特性を有し、互いに異なる放出プロフィールを第1及び第2のコア内に入っている活性成分の部分に与える。
【0050】
別の実施形態では、第1のコアと第2のコアは、並んで差し向けられ、例えば、ベリーバンドが内壁に隣接すると共にこれに接触した状態で2つの圧縮錠剤として差し向けられる。両方のコアの上側フェースは、第1のシェル部分と接触状態にあり、両方のコアの下側フェースは、第2のシェル部分と接触状態にあるのがよい。第1及び第2のコアが上側フェース又は下側フェースが内壁に隣接すると共にこれに接触するように互いに上下に差し向けられた圧縮又は成形錠剤である或る特定の他の実施形態では、一方のコアは、第1のシェル部分によって完全に包囲され、他方のコアは、第2のシェル部分によって完全に包囲されたものであるのがよい。
【0051】
一実施形態では、第1又は第2のコアの表面は、実質的に全体がサブコーティングで被覆されている。この実施形態では、第1及び第2のシェル部分から成るシェルは、サブコーティングの表面と直接接触している。本明細書で用いる「実質的に全体を被覆する」という用語は、コアの表面積のうち少なくとも約95パーセントがサブコーティングにより被覆されていることを意味している。
【0052】
サブコーティングを用いることは、当該技術分野において周知であり、例えば、米国特許第3,185,626号明細書に開示されており、かかる米国特許明細書の開示内容をここに参照により引用する。錠剤をフィルムコーティングするのに適した任意の組成物を本発明のサブコーティングとして用いることができる。適当なサブコーティングの例は、米国特許第4,683,256号明細書、第4,543,370号明細書、第4,643,894号明細書、第4,828,841号明細書、第4,725,441号明細書、第4,802,924号明細書、第5,630,871号明細書及び第6,274,162号明細書に開示されており、これら米国特許明細書の開示内容全体につき参照により引用を行う。追加の適当なサブコーティングとしては、以下の成分、即ち、セルロースエーテル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース、ポリカルボヒドレート、例えばキサンタンガム、スターチ(でんぷん)及びマルトデキストリン、可塑剤、例えばグリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、植物油、例えばひまし油、界面活性剤、例えばポリソルベート−80、硫酸ラウレルナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリカルボヒドレート、顔料及び乳白剤のうち1以上を含む。
【0053】
一実施形態では、サブコーティングは、米国特許第5,658,589号明細書に詳細に開示されているように、サブコーティングの総重量を基準として、約2%〜約8%、例えば約4%〜約6%の水溶性セルロースエーテル及び約0.1%〜約1%のひまし油を含む。この米国特許明細書の開示内容をここに参照により引用する。別の実施形態では、サブコーティングは、サブコーティングの総重量を基準として、約20%〜約50%、例えば約25%〜約40%のHPMC、約45%〜約75%、例えば約50%〜約70%のマルトデキストリン及び約1%〜約10%、例えば約5%〜約10%のPEG400を含む。
【0054】
サブコーティングが用いられる実施形態では、乾燥状態のサブコーティングは代表的には、コアの乾燥重量を基準として、約0パーセント〜約5パーセントの量で存在する。
【0055】
別の実施形態では、1以上のコア、例えば全てのコアは、実質的にサブコーティングが無く、シェル又はシェル部分は、コア表面と直接接触する。
【0056】
シェルには1以上の開口部が設けられる。開口部は、少なくとも1つのコア又はその一部と投薬形態の外部とを連通させる通路となる。1以上の開口部が、シェルの厚さを完全に貫通してもよく、或いはシェル中に部分的にのみ延びてもよい。好ましい実施形態では、シェルは、複数の開口部を有する。いずれの場合においても、投薬形態中の少なくとも1つのコアは、1又は複数の開口部から遠くに位置している。すなわち、少なくとも1つのコアは、シェルのかかる開口部を介して投薬形態の外部と連通しない。
【0057】
好ましくは、1又は複数の開口部は、少なくとも1つのコアの近くに位置する。したがって、一実施形態では、少なくとも1つのコアは、1又は複数の開口部から遠くに位置し、少なくとも1つのコアは、1又は複数の開口部の近くに位置する。1又は複数の開口部は好ましくは、1以上のコアと接触状態にある。
【0058】
図1Aは、圧縮錠剤である第1及び第2の並んで配置されたコア1,2を有する本発明の投薬形態の断面図である。コアは、シェルによって包囲されている。シェル3は、三角形の形をした複数の開口部4を有している。開口部4は、コア1から遠くに且つコア2の近くに位置している。特に、開口部4は、コア2と接触している。図1Bは、図1Aの投薬形態の平面図である。
【0059】
図2Aは、本発明の別の投薬形態の断面図である。この投薬形態は、2つのシェル部分7,8を有するシェルによって包囲された第1及び第2の並んで配置されたコア5,6を有している。シェル部分7は、複数の開口部9を有し、これら開口部は、コア5から遠くに且つコア6の近くに位置すると共にこれに接触している。図2Bは、シェル部分7に設けられた開口部9を示す図2Aの投薬形態の平面図である。開口部9は、三角形及び円の形をしている。図2Cは、シェル部分8を示す図2Aの投薬形態の底面図である。
【0060】
図3Aは、本発明の別の投薬形態の断面図である。投薬形態は、4つのコア10,11,12,13を有し、これらコアは、2つのシェル部分14,15を有するシェルによって包囲されている。コア11,13は、シェル部分15内に位置し、コア10,12は、シェル部分14内に位置している。シェル部分15は、複数の開口部16を有し、これら開口部は、コア10,11,12から遠くに且つコア13にのみ近くに位置している。開口部16は、コア13に接触している。図3Bは、シェル部分15に設けられた開口部16を示す図3Aの投薬形態の平面図である。図3Cは、シェル部分14を示す図3Aの投薬形態の底面図である。
【0061】
図4Aは、本発明の別の投薬形態の断面図である。投薬形態は、シェル19によって包囲された2つのコア17,18を有している。シェル19は、複数の開口部20a,20bを有している。開口部20a,20bは、コア17から遠くに且つコア18の近くに位置するが、これとは接触していない。この例では、開口部20a,20bは、シェル中に部分的にしか延びておらず、コア18には接触していない。図4Bは、開口部20aを示す図4Aの投薬形態の平面図である。図4Cは、開口部20bを示す図4Aの投薬形態の底面図である。
【0062】
1以上の開口部がシェル中を部分的にしか延びておらず、コアには接触していない例えば図4に示す実施形態では、開口部は、ディンプル又は表面空所、例えばデボス又は陰刻部の形態をしているのがよい。これら部分開口部は、適当な液体媒体、例えばin vitro溶解試験媒体又は胃腸液への投薬形態の暴露後の或る時点でコアと接触する完全な通路の状態に成長するのがよい。
【0063】
図5Aは、本発明の別の投薬形態の断面図である。この投薬形態は、互いに上下に配置された第1及び第2のコア21,22を有している。シェル23は、コア21,22を包囲していて開口部24を有し、これら開口部は、コア21から遠くに且つコア22の近くに位置してこれに接触している。図5Bは、3つの互いに異なる形状24a,24b,24cを備えた開口部24を示す図5Aの投薬形態の平面図である。図5Cは、図5Aの投薬形態の底面図である。
【0064】
各開口部は、投薬形態の直径の又は投薬形態の主要フェースの任意の寸法(例えば、直径、長さ又は幅)の約0.1%〜約100%の寸法、例えば長さ、幅又は直径を有するのがよい。各開口部の直径又は幅は好ましくは、投薬形態の直径又は投薬形態の主要フェースの任意の寸法(例えば、直径、長さ又は幅)の約0.5%〜約5%である。或る特定の実施形態では、開口部の直径又は幅は、約200〜約2,000ミクロンであるのがよい。開口部の長さ又は幅は、投薬形態の直径又は投薬形態の主要フェースの直径の約1%〜約100%であるのがよい。或る特定の実施形態では、投薬形態の主要フェースの直径又は幅は、約10,000〜約20,000ミクロンである。特定の一実施形態では、開口部の長さは、約100〜約20,000ミクロンである。開口部の深さは代表的には、開口部の配置場所でのシェルの厚さの約75%〜約100%である。或る特定の実施形態では、開口部の配置場所でのシェルの厚さは代表的には、約20〜約800ミクロン、例えば約100〜約400ミクロンである。特定の一実施形態では、開口部の深さは、約75〜約400ミクロンである。複数の開口部が設けられている場合、これら開口部は代表的には、最も小さな開口部の最も小さな寸法の少なくとも約1/2倍、例えば少なくとも約1倍だけ互いに間隔を置いて位置している。開口部は、例えば図6に示すように、種々の形状のものであってよく、或いは多種多様なパターンで配置されたものであってよく、そして互いにほぼ同じ又は異なる寸法のものであってよい。
【0065】
一実施形態では、開口部の寸法は、コアが味覚されないようにするほど小さいが、開口部の数は、かかる近くに位置するコアの表面積の何割かと投薬形態の外部との間の連通を可能にするほど多い。
【0066】
本発明の投薬形態は、この中に含まれた1以上の活性成分の即時放出を可能にする。1又は複数の活性成分が、1以上のコア、シェル、又はその部分、或いはこれらの組合せの中に見出される場合がある。好ましくは、1又は複数の活性成分が、1以上のコア内に入っている。より好ましくは、少なくとも1つの活性成分が、第1及び第2のコアの各々の中に入っている。
【0067】
投薬形態中の少なくとも1つの活性成分の加減放出は、シェル又はその一部によって得られる。本明細書で用いる「加減放出」という用語は、即時放出態様以外の、即ち、液体媒体と投薬形態又はその一部の接触の際にすぐにというわけではない投薬形態又はその一部からの活性成分の放出を意味する。当該技術分野において知られているように、加減放出のタイプとしては、遅延又は制御された放出が挙げられる。制御された放出のタイプとしては、長時間にわたる、持続され、延長され、抑制された放出等が挙げられる。遅延放出特徴を有する加減放出プロフィールとしては、脈動、繰り返し動作等が挙げられる。また、当該技術分野において知られているように、活性成分の加減放出を達成する適当な機構としては、拡散、侵食、幾何学的形状及び(又は)不浸透性バリヤによる表面積の制御、及び他の公知の仕組みが挙げられる。
【0068】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの活性成分は、即時放出態様で第1(近くの)コアから放出される。「即時放出」という用語は、活性成分の溶解特性が活性成分を含む即時放出錠剤についてのUSP仕様を満足することを意味している。例えば、アセトアミノフェン錠剤の場合、USP24の規定によれば、pH5.8リン酸緩衝液では、USP装置2(パドル)を50rpmで用いて投薬形態に含まれているアセトアミノフェンの少なくとも80%を投与後30分以内でこれから放出させ、イブプロフェン錠剤の場合、USP24の規定によれば、pH7.2のリン酸緩衝液では、USP装置2(パドル)を50rpmで用いて、投薬形態に含まれているイブプロフェンのうち少なくとも80%を投与後60分以内でこれから放出させる。これについては、USP24 2000バージョン19〜20及び856ページ(1999年)を参照されたい。
【0069】
シェルの組成は、下に位置するコアに含まれた活性成分のシェルを貫通する放出を加減するよう働くことができる。一実施形態では、シェルは、下に位置するコアからの活性成分の放出を遅延させるよう働くことができる。別の実施形態では、シェルは、第2の(遠くに配置された)コアからの少なくとも1つの活性成分の放出を持続させ、延長させ、抑制させ又は長時間にわたらせるよう働くことができる。
【0070】
一実施形態では、シェルは、放出を加減する成形可能な付形剤から成り、かかる放出加減成形可能付形の例としては、膨潤性で侵食性の親水性物質、pH依存ポリマー、細孔形成剤、不溶性食用物質が挙げられるが、これらには限定されない。
【0071】
一実施形態では、放出加減成形可能付形剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酸化エチレン、B型アンモニオメタクリレートコポリマー、セラック及びこれらの組合せから成る群から選択される。
【0072】
圧縮によりコア又はコア部分を作製するための放出加減成形可能付形剤として用いられる適当な膨潤性で侵食性の親水性物質としては、水膨潤性セルロース誘導体、ポリアルカレングリコール、熱可塑性ポリアルカレンオキシド、アクリルポリマー、親水コロイド、クレー、ゲル化スターチ、膨潤性架橋ポリマー、並びにこれらの誘導体、コポリマー及び組合せが挙げられる。適当な水膨潤性セルロース誘導体の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシイソプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシフェニルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシペンチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース等が挙げられる。適当なポリアルカレングリコールの例としては、ポリエチレングリコールが挙げられる。適当な熱可塑性ポリアルカレンオキシドの例としては、ポリ(エチレンオキシド)が挙げられる。適当なアクリルポリマーの例としては、メタクリレートジビニルベンゼンカリウムコポリマー(potassium methacrylatedivinylbenzene copolymer)、ポリメチルメタクリレート、CARBOPOL(高分子量架橋アクリル酸ホモポリマー及びコポリマー)等が挙げられる。適当な親水コロイドの例としては、アルギン酸、寒天、グアールガム、イナゴマメガム、カッパカラゲナン、イオタカラゲナン、タラ、アラビアゴム、トラガカント、ペクチン、キサンタンガム、ゲランガム、マルトデキストリン、ガラクトマンナン、プストラン、ラミナリン、スクレログルカン、アラビアゴム、イヌリン、ペクチン、ゼラチン、ウェラン、ラムサン、ズーグラン、メチラン、キチン、シクロデキストリン、キトサン等が挙げられる。適当なクレーの例としては、スメクタイト、例えばベントナイト、カオリン、ラポナイト、三珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウムマグネシウム、等並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられる。適当なゲル化スターチの例としては、酸水解スターチ、膨潤性スターチ、例えばグリコール酸ナトリウムスターチ及びその誘導体が挙げられる。適当な膨潤性架橋ポリマーの例としては、架橋ポリビニルピロリドン、架橋寒天、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。
【0073】
コア又はコア部分を圧縮により作るための放出加減成形可能付形剤として用いられる適当なpH依存性ポリマーとしては、腸内セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートフタレート、天然樹脂、例えばセラック及びゼイン、腸内アセテート誘導体、例えばポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、アセトアルデヒドジメチルセルロースアセテート、腸内アクリレート誘導体、例えばポリメタクリレートを主成分とするポリマー、例えばローム・ファーマ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングからEUDRAGIT Sという商品名で市販されているポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2、ローム・ファーマ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングからEUDRAGIT Lという商品名で市販されているポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1等並びにこれらの誘導体、塩、コポリマー及び組合せが挙げられる。
【0074】
コア又はコア部分を圧縮により作るための放出加減成形可能付形剤として用いられるのに適した不溶性食用材料としては、水不溶性ポリマー、低融点疎水性物質が挙げられる。適当な水不溶性ポリマーの例としては、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリカプロラクトン、セルロースアセテート及びその誘導体、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸コポリマー等並びにこれらの誘導体、コポリマー及び組合せが挙げられる。適当な低融点疎水性物質としては、脂肪、脂肪酸エステル、リン脂質(ホスホリピド)及び蝋が挙げられる。適当な脂肪の例としては、水素化植物油、例えばココアバター、水素化パーム核油、水素化綿実油、水素化ヒマワリ油、水素化大豆油、遊離脂肪酸及びこれらの塩が挙げられる。適当な脂肪酸エステルの例としては、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、ベヘン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、トリラウリル酸グリセリン、ミリスチン酸グリセリン、Glyco Wax-932 、ラウロイルマクロゴール−32グリセリド、及びステアロイルマクロゴール−32グリセリドが挙げられる。適当なホスホリピドの例としては、ホスホチジルコリン、ホスホチジルセレン、ホスホチジルエノシトール及びホスホチジン酸が挙げられる。適当な蝋の例としては、カルナウバ蝋、鯨蝋、蜜蝋、カンデリラ蝋、セラック蝋、微晶質蝋及びパラフィン蝋、脂肪含有混合物、例えばチョコレート等が挙げられる。
【0075】
放出を加減する成形可能な付形剤として用いられる適当な細孔形成剤としては、水溶性有機及び無機材料が挙げられる。一実施形態では、細孔形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。適当な水溶性有機材料の例としては、水溶性セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含む水溶性ポリマー、水溶性炭水化物、例えば糖及びスターチ、水溶性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコール、不溶性で膨潤性のポリマー、例えば微晶質セルロースが挙げられる。適当な水溶性無機材料の例としては、塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム等及び(又は)これらの混合物が挙げられる。
【0076】
別の実施形態では、投薬形態は実質的に帯電制御剤を含んでいない(即ち、シェル重量を基準として1重量%未満、好ましくは約0.1重量%以下)。本明細書で用いる「帯電制御剤」という用語は、帯電制御機能を持つ材料、例えば基板への被膜の静電塗装に用いられる材料を意味している。かかる帯電制御剤としては、例えば金属サリチレート、例えば、サリチル酸亜鉛、サリチル酸マグネシウム及びサリチル酸カルシウム、第四アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウムブロミド(セトリミド)及びシクロデキストリン及びこれらの付加物を含む。
【0077】
したがって、或る特定の実施形態では、投薬形態は、放出を加減する成形可能な付形剤を有するシェルによって包囲された同一又は異なる活性成分の入った少なくとも2つのコアを有する。シェルは、第1のコアに近いが第2のコアから遠くに位置する1以上の開口部を更に有する。このように、第1のコアは、開口部を介して投薬形態の外部と連通するが、第2のコアはそうではない。投薬形態と適当な液体媒体、例えばin vitro溶解媒体又は胃腸液との接触の際、液体媒体は、開口部を経て第1のコアに接触し、第1のコア内に入っている活性成分は、投薬形態から直ちに、好ましくは即座に放出される。しかしながら、液体媒体は、まず最初に、第2のコア内に入っている活性成分には接触できない。したがって、第2のコア内に入っている活性成分の放出は、シェルの性状で決まる。この活性成分は、加減された仕方で投薬形態から放出される。
【0078】
例えば前段落に記載された第1の好ましい実施形態では、時間の遅れ又はラグライムが、第2のコア内に入っている活性成分の放出に先行する。特に有用なラグタイムとしては、少なくとも約1時間、例えば少なくとも約4時間、例えば少なくとも約6時間のラグタイムが挙げられる。かかる一実施形態では、第2のコア内に入っている活性成分をラグタイムの後に遅延バーストとして直ちに又は実質的に即座に放出されるのがよい。同一の活性成分の別々の用量が第1及び第2のコア内に入っているかかる或る特定の実施形態では、その特定の活性成分は、脈動方式で投薬形態から放出されると言える。別のかかる実施形態では、第2のコア内に入っている活性成分は、ラグタイムに続き制御され、持続し、長期間にわたり又は延長された仕方で放出されるのがよい。
【0079】
例えば前段落に記載された第2の好ましい実施形態では、第2のコア内に入れられた1以上の活性成分は、実質的に先行するラグタイム無く、投薬形態と液体媒体との接触の際にまず最初に始まる制御され、持続し、長時間にわたる又は延長された仕方で放出され、例えば、少なくとも1つの活性成分の放出は、投薬形態と液体媒体との接触の30分以内、例えば15分以内、例えば10分以内に始まる。
【0080】
或る特定の実施形態では、シェルそれ自体、例えばその一部又はこれに被着された外側被膜も又、活性成分を含むのがよい。一実施形態では、かかる活性成分は、消化の際又は投薬形態と液体媒体との接触の際に投薬形態から即座に放出されることになる。別の実施形態では、かかる活性成分は、消化の際又は投薬形態と液体媒体との接触の際、制御され、持続し、長時間にわたる又は延長された仕方で放出されることになる。
【0081】
本発明の或る特定の任意の実施形態では、コア、シェル、これらの任意の部分又はこれら両方は、成形により作製される。具体的には、コア、シェル又はこれら両方は、溶剤を利用した成形法又は溶剤を用いない成形法により作ることができる。かかる実施形態では、コア又はシェルは、任意的に活性成分を含む流動性材料で作られる。流動性材料は、約37℃〜約250℃の温度で流動性であり、約−10℃〜約35℃の温度では固体、半固体又はゲルを形成できる任意の食用材料であってよい。流動性材料は、流体又は流動状態にあるとき、分解状態、分散状態又は溶融状態の成分及び任意的に溶剤、例えば水、有機溶剤又はこれらの組合せを含むのがよい。溶剤は、乾燥により部分的に又は実質的に全て除去できるものであるのがよい。
【0082】
一実施形態では、溶剤を利用した又は溶剤を利用しない成形法は、同時係属米国特許出願第09/966,450号明細書の第57〜63ページに記載された方法及び装置を用いる熱硬化成形法により行われ、かかる米国特許出願明細書の開示内容をここに参照により引用する。この実施形態では、コア又はシェルは、流動性形態を成形チャンバ内へ注入することにより形成される。流動性材料は好ましくは、熱硬化性材料を、その融点よりも高いがこの中に含まれている活性成分の分解温度よりも低い温度で含む。出発材料を成形チャンバ内で冷却して凝固させて付形形態にする(即ち、金型の形状を有する)。
【0083】
この方法によれば、流動性材料は、溶融マトリックス、例えばポリマーマトリックス中に浮遊した固体粒子を有するのがよい。流動性材料は、完全に溶融したもの又はペーストの状態であるのがよい。流動性材料は、流体キャリヤ中に分散した固体粒子から成るのがよい。変形例として、流動性材料は、固体を溶剤中に溶解させ、次に、溶剤を利用する成形法では、この溶剤を成形工程後に蒸発させることにより作られたものであってもよい。
【0084】
別の実施形態では、溶剤を用いた又は溶剤を用いない成形は、係属中の米国特許出願第09/966,497号明細書の第27〜51頁に記載された方法及び装置を用いて熱サイクル成形法により行われる。かかる米国特許出願明細書の開示内容を参照により引用する。熱サイクル成形は、流動性材料を加熱された成形チャンバ内へ射出することによって実施される。流動性材料は、活性成分を含むと共に熱硬化性材料をその融点よりも高いが活性成分の分解温度よりも低い温度状態で含む。流動性材料を冷却してこれが成形チャンバ内で凝固して付形された形態になる(即ち、金型の形状を有する)。
【0085】
米国特許出願第09/966,497号明細書の熱サイクル成形法及び装置では、図3に示された全体形状を持つ熱サイクル成形モジュールが用いられる。熱サイクル成形モジュール200は、ロータ202を有し、この周りには、複数の金型ユニット204が配置されている。熱サイクル成形モジュールは、流動性材料を保持するリザーバ206(図4参照)を有する。加うるに、熱サイクル成形モジュールは、金型ユニットを迅速に加熱したり冷却させる温度制御システムを備えている。図55及び図56は、温度制御システム600を示している。
【0086】
金型ユニットは、図26〜図28に示すように、中央金型組立体212,上金型組立体214及び下金型組立体210を有し、これら組立体は組み合わさると所望の形状、例えばコア又は1以上のコアを包囲したシェルの形状を持つ金型キャビティを形成する。ロータ202が回転すると、対向した中央金型組立体と上金型組立体又は対向した中央金型組立体と下金型組立体は、閉じる。リザーバ206内で流動状態に加熱された流動性材料を結果的に得られた金型キャビティ内へ注入する。次に、流動性材料の温度を減少させて流動性材料を硬化させる。金型組立体が開き、最終製品を突き出す。
【0087】
本発明の特に好ましい実施形態では、同時係属米国特許出願第09/966,497号明細書の図28A〜図28Cに示す一般形式の熱サイクル成形装置を用いてシェルを投薬形態に被着させる。なお、かかる熱サイクル成形装置は、回転自在な中央金型組立体212、下金型組立体210及び上金型組立体214を有している。コアを連続的に金型組立体に供給する。リザーバ206内で流動可能な状態に加熱されたシェル流動性材料をコアを保持する閉鎖状態の金型組立体により形成された金型キャビティ内へ注入する。次に、シェル流動性材料の温度を減少させ、これをコアの周りで硬化させる。金型組立体が開き、最終投薬形態を突き出す。シェルのコーティングを二段階で実施し、投薬形態の各半分を中央金型組立体の回転により同時係属米国特許出願第09/966,939号明細書の図28Bの流れ図に示すように別々に被覆する。
【0088】
特に、シェルを被着させる金型組立体は、所望の数のコアを投薬形態中に収容する2以上のキャビティを備えている。これらキャビティは、好ましくはゴム又は金属で作られた壁で分離され、キャビティの全体形状は、コアの形状に一致している。
【0089】
加うるに、金型組立体のうち少なくとも1つの内面は、1以上の突起を有する。所望通りの寸法形状に合わせて調節された各突起は、下に位置するコア上の狭い場所をマスクし、突起の場所でシェルに開口部が後に残される。金型組立体は、シェルに複数の対応の開口部を形成する複数の突起を有するのがよい。かかる場合、突起は、結果的に得られる開口部が少なくとも1つの下に位置するコアから遠くに位置するよう金型組立体内に設けられる。例えば、突起を、一方だけの金型組立体、例えば上金型組立体の内面に又は一部にのみ、即ち、所望通り一方の金型組立体の内面の1/4の部分内に配置するのがよい。
【0090】
一実施形態では、同時係属米国特許出願第09/966,509号明細書の第16〜第27ページに記載された圧縮モジュールを用いてコアを製造し、上述したような熱サイクル成形モジュールを用いてシェルをコアに被着させる。米国特許出願第09/966,414号明細書の第51〜第57ページに記載されているような移送装置を用いてコアを圧縮モジュールから熱サイクル成形モジュールに移送するのがよく、かかる米国特許出願明細書の開示内容をここに参照により引用する。かかる移送装置は、同時係属米国特許出願第09/966,939号明細書の図3の符号300で示された構造を有するのがよい。この移送装置は、同時係属米国特許出願第09/966,939号明細書の図68及び図69に示すようなベルト312に片持ち方式で取り付けられた複数の移送ユニット304を有する。移送装置は圧縮モジュール及びこれが結合された熱サイクル成形モジュールと同期して回転すると共に動作する。移送ユニット304は、コアが移送装置の周りを動いているときにコアを保持するリテーナ330を有する。
【0091】
各移送ユニットは、多数のコアを並んで保持する多数のリテーナを有する。一実施形態では、各移送ユニット内のリテーナ相互間の距離は、移送ユニットが移送装置の周りを動く際にカム軌道/カムフォロア機構を介して調節される。熱サイクル成形モジュールに到達すると、単一の移送ユニット内に保持されていた単一の投薬形態内に配置可能に互いにグループ分けされたコアは、互いに正しく間隔を置き、いつでも金型組立体内へ送り込み可能な状態になっている。コアは、所望に応じて同一の組成のものであってよく、或いはそうでなくてもよい。コアは、単一層から成っていてもよく、或いは多層から成っていてもよい。
【0092】
変形例として、同一組成のコアが投薬形態に用いられる場合、圧縮モジュールは、マルチチップ圧縮ツールを備えるのがよい。例えば、4チップ形ツールを用いると、1つのダイ内に4つのコアを形成することができる。コアは、多層のうちの単一の層を構成するのがよい。
【0093】
流動性材料中に又は流動性材料として用いられる適当な熱可塑性材料としては、一般的に線形であり、架橋されておらず、隣のポリマー鎖に強固には水素結合されていない水溶性ポリマーと水不溶性ポリマーの両方が挙げられる。熱可塑性材料は、単一材料であってもよく、かかる材料と溶剤又は可塑剤の混合物であってもよい。適当な熱可塑性材料の例としては、水膨潤性セルロース誘導体、水不溶性セルロース誘導体、熱可塑性ビニルポリマー、熱可塑性スターチ、熱可塑性ポリアルカレングリコール、熱可塑性ポリアルカレンオキシド及び非晶質シュガーガラス等並びにこれらの誘導体、コポリマー及び組合せを含む材料が挙げられる。適当な熱可塑性の水膨潤性セルロース誘導体の例としては、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)及び水又は他の適当な溶剤及び(又は)可塑剤とのこれらの組合せが挙げられる。適当な熱可塑性の水不溶性セルロース誘導体の例としては、セルロースアセテート(CA)、エチルセルロース(EC)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネート及び適当な有機溶剤及び(又は)可塑剤とのこれらの組合せが挙げられる。適当な熱可塑性ビニルポリマーの例としては、ポリビニルアルコール(PVA)及びポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられる。適当な熱可塑性スターチの例は、例えば米国特許第5,427,614号明細書に開示されている。適当な熱可塑性ポリアルカレングリコールの例としては、ポリエチレングリコールが挙げられる。適当な熱可塑性ポリアルカレンオキシドの例としては、分子量が約100,000〜約900,000ダルトンのポリエチレンオキシドが挙げられる。他の適当な熱可塑性材料としては、例えば硬いキャンディ形態を作るのに用いられる非晶質ガラスの形態をした糖が挙げられる。
【0094】
当該技術分野で知られている皮膜形成剤は、流動性材料に用いるのに適している。適当な皮膜形成剤の例としては、皮膜形成水溶性ポリマー、皮膜形成タンパク質、皮膜形成水不溶性ポリマー、及び皮膜形成pH依存ポリマーが挙げられるが、これらには限定されない。一実施形態では、皮膜形成剤は、セルロースアセテート、B型アンモニオメタクリレートコポリマー、セラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酸化エチレン及びこれらの組合せから選択されたものであるのがよい。
【0095】
適当な皮膜形成水溶性ポリマーとしては、水溶性ビニルポリマー、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、水溶性ポリカルボヒドレート、例えばヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルスターチ、プルラン、メチルエチルスターチ、カルボキシメチルスターチ、アルファ化でんぷん、皮膜形成改質スターチ、水膨潤性セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシブチルメチルセルロース(HBMC)、ヒドロキシエチルエチルセルロース(HEEC)、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルメチルセルロース(HEMPMC)、水溶性コポリマー、例えばメタクリル酸、メタクリレートエステルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールコポリマー、ポリ酸化エチレン、ポリビニルピロリドンコポリマー並びにこれらの誘導体及び組合せが挙げられる。
【0096】
適当な皮膜形成タンパクは、天然であっても化学的に改質されたものであってもよく、かかる皮膜形成タンパクとしては、ゼラチン、乳漿タンパク、筋原線維タンパク、凝固性タンパク、例えばアルブミン、カゼイン、カゼイン塩、カゼインアイソレート、大豆タンパク、大豆タンパクアイソレート、ゼイン並びにこれらのポリマー、誘導体及び混合物が挙げられる。
【0097】
適当な皮膜形成水不溶性ポリマーとしては、例えば、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリカプロラクトン、セルロースアセテート及びその誘導体、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸コポリマー等、並びにこれらの誘導体、コポリマー及び組合せが挙げられる。
【0098】
適当な皮膜形成pH依存ポリマーとしては、腸内セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートフタレート、天然樹脂、例えば、セラック及びゼイン、腸内アセテート誘導体、例えばポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、アセトアルデヒドジメチルセルロースアセテート、腸内アクリレート誘導体、例えばポリメタクリレートを主成分とするポリマー、例えばローム・ファーマ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングからEUDRAGIT Sという商品名で市販されているポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2、ローム・ファーマ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングからEUDRAGIT Lという商品名で市販されているポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1等並びにこれらの誘導体、塩、コポリマー及び組合せが挙げられる。
【0099】
熱可塑性皮膜形成水溶性ポリマーとして用いられる1つの適当なヒドロキシプロピルメチルセルロース配合物は、「HPMC2910」であり、これは、置換度が約1.9、ヒドロキシプロピルモル置換度が0.23であり、配合物の全重量を基準として、約29%〜約30%のメトキシル基及び約7%〜約12%のヒドロキシルプロピル基を含むセルロースエーテルである。HPMC2910は、ダウ・ケミカル・カンパニーから“METHOCEL E. METHOCEL E5 ”という登録商標名で市販されており、これは、本発明に用いるに適したHPMC2910の一等級であり、2%水溶液中で20℃においてウベローデ粘度計によって測定して約4〜6cps(4〜6ミリパスカル秒)の粘度を有している。これと同様に、METHOCEL E6 は、本発明で用いるのに適したHPMC2910の別の等級であって、2%水溶液中で20℃においてウベローデ粘度計によって測定して約5〜7cps(5〜7ミリパスカル秒)の粘度を有している。METHOCEL E15は、本発明で用いるのに適したHPMC2910の別の等級であって、2%水溶液中で20℃においてウベローデ粘度計によって測定して約15,000cps(15ミリパスカル秒)の粘度を有している。本明細書で用いる「置換度」という用語は、アンヒドログルコース環に付けられた置換基の平均数を意味し、「ヒドロキシプロピルモル置換度」は、モルアンヒドログルコース1個当たりのヒドロキシプロピルのモル数を意味している。
【0100】
1つの適当なポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールコポリマーは、BASFコーポレイションから“KOLLICOAT IR”という商標名で市販されている。
【0101】
本明細書で用いる「改質スターチ」という用語は、架橋により改質され、安定性の向上又は性能の最適化のために化学的に改質され、又は溶解特性の向上又は性能の最適化のために物理的に改質されたスターチ(でんぷん)を意味している。化学的に改質されたスターチの例は当該技術分野においては周知であり、かかる例としては典型的には、エステル又はエーテル基のいずれかでヒドロキシ基のうちの幾つかを置き換えるよう化学的に処理されたスターチが挙げられる。本明細書で用いる架橋は、隣り合うスターチ分子上の2つのヒドロキシ基が化学的に結合されたとき改質スターチ中に生じる場合がある。本明細書で用いる「アルファ化でんぷん」又は「インスタント化でんぷん」という用語は、あらかじめ湿潤させ、次に乾燥させてこれらの冷水溶解度を向上させた改質スターチ(でんぷん)を意味している。適当な改質スターチは、幾つかの供給業者、例えばA.E.スタンレー・マニファクチャリング・カンパニー及びナショナル・スターチ・アンド・ケミカル・カンパニーから市販されている。1つの適当なフィルム形成改質スターチとしては、ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル・カンパニーから“PURITY GUM”及び“FILMSET ”という商標名で市販されているアルファ化蝋状とうもろこし誘導体スターチ及びこれらの誘導体、コポリマー及び混合物が挙げられる。かかる蝋状とうもろこしスターチは典型的には、スターチの全重量を基準として、約0%〜約18%のアミロース及び約100%〜約88%のアミロペクチンを含む。
【0102】
別の適当なフィルム形成改質スターチとしては、ヒドロキシプロピル化スターチが挙げられ、かかるヒドロキシプロピル化スターチでは、スターチのヒドロキシ基のうち幾つかを通常はプロピレンオキシドによる処理によりヒドロキシプロピル基でエーテル化されている。フィルム形成特性を備えた適当なヒドロキシプロピルスターチの一例は、グレイン・プロセッシング・カンパニーから“PURE-COTE B790”という商標名で市販されている。
【0103】
皮膜形成剤として用いるのに適したタピオカデキストリンとしては、ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル・カンパニーから“CRYSTAL GUM ”又は“K-4484”という商標名で市販されているタピオカデキストリン及びその誘導体、例えばナショナル・スターチ・アンド・ケミカル・カンパニーから“PURITY GUM 40 ”という商標名で市販されているタピオカから誘導した改質食品用スターチ並びにそのコポリマー及び混合物が挙げられる。
【0104】
当該技術分野において知られている増粘剤は、本発明の流動性材料に用いるのに適している。かかる増粘剤の例としては、親水コロイド(これは、本明細書においてはゲル化ポリマーとも呼んでいる)、クレー、ゲル化スターチ及び結晶性炭水化物並びにその誘導体、コポリマー及び混合物が挙げられるが、これらには限定されない。
【0105】
親水コロイド(これは、本明細書においてはゲル化ポリマーとも呼んでいる)の例としては、例えばアルギン酸、寒天、グアールガム、イナゴマメ、カラゲーン、タラ、アラビアゴム、トラガカント、ペクチン、キサンタン、ゲラン、マルトデキストリン、ガラクトマンナン、プストラン、ラミナリン、スクレログルカン、アラビアゴム、イヌリン、ペクチン、ウェラン、ラムサン、ズーグラン、メチラン、キチン、シクロデキストリン、キトサンが挙げられるが、これらには限定されない。適当なクレーの例としては、スメクタイト、例えばベントナイト、カオリン、ラポナイト、三珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウムマグネシウム等、並びにその誘導体及び混合物が挙げられる。適当なゲル化スターチの例としては、例えば酸水解スターチ、並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられるが、これらには限定されない。追加の適当な増粘親水コロイドとしては、低水分ポリマー溶液、例えば含水量が最大約30%のゲラチンと他の親水コロイドの混合物、例えば「グミ(gummi )」糖剤の形態を作るために用いられるかかる混合物が挙げられる。
【0106】
追加の適当な増粘剤としては、結晶性炭水化物等並びにその誘導体及び組合せが挙げられる。適当な結晶性炭水化物としては、単糖類及び少糖類が挙げられる。単糖類のうち、アルドヘキロース、例えばアロースのD及びLアイソマー、アルトロース、グルコース、マノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース及びケトヘキロース、例えばフラクトースのD及びLアイソマー及びこれらの水素化類似体に加えてソルロース、例えば、グルシトール(ソルビトール)及びマニトールが好ましい。少糖類のうち、1,2−二糖類スクロース及びトレハロース、1,4−二糖類マルトース、ラクトース、セロビオース、1,6−二糖類ゲンチオビオース、メリビオース並びに三糖類ラフィノースが、イソマルツロース及びその水素化類似体イソマルトとして知られているスクロースの異性化形態と共に好ましい。還元二糖類(例えば、マルトース及びラクトース)の他の水素化形態、例えばマルチトール及びラクチトールも又好ましい。加うるに、アルドペントースの水素化形態、例えばD及びLリボース、アラビノース、キシロース及びリキソース及びアルドヘキロースの水素化形態、例えばD及びLエリスロース及びトレロースが好ましく、それぞれキシリトール及びエリスリトールで例示される。
【0107】
本発明の一実施形態では、流動性材料は、ゲル化ポリマーとしてゲラチンを含む。ゲラチンは、天然の熱ゲル化性ポリマーである。これは、温水で通常溶けるアルビン性クラスの誘導たんぱく質の無味無色の混合物である。2種類のゲラチン、タイプA及びタイプBが通常用いられる。タイプAゲラチンは、酸処理原料の誘導体である。タイプBゲラチンは、アルカリ処理原料の誘導体である。ゲラチンの水分並びにブルーム強度、組成及び元のゲラチン処理条件は、液体と固体との間のその転移温度を決定する。ブルームは、ゲラチンゲルの強度の標準的な尺度であり、大まかには分子量と相関関係がある。ブルームは、直径0.5インチのプラスチックプランジャを10℃で17時間保持された6.67%ゲラチンゲル中へ4mm動かすのに必要な重量(単位:グラム)として定義される。好ましい実施形態では、流動性材料は、20%275ブルームポークスキンゲラチン、20%250ブルームボーンゲラチン及び約60%水から成る水溶液である。
【0108】
適当なキサンタンガムとしては、C.P.ケルコ・カンパニーから“KELTROL 1000”、“XANTROL 180 ”又は“K9B310”という商標名で市販されているものが挙げられる。
【0109】
適当なクレーとしては、スネクタイト、例えばベントナイト、カオリン、ラポナイト、三珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウムマグネシウム等、並びにその誘導体及び混合物が挙げられる。
【0110】
本明細書で用いる「酸水解スターチ」という用語は、スターチ懸濁液をスターチのゲラチン化温度以下の温度で希酸で処理して結果的に得られる改質スターチの一タイプである。酸水解中、スターチの粒状形態は、スターチ懸濁液中に維持され、所望の水解度にいったん達すると、中和、濾過及び乾燥によって終了する。その結果、スターチポリマーの平均分子サイズが減少する。酸水解スターチ(これは、「希薄沸騰スターチ」とも呼ばれる)は、同一の天然スターチよりも非常に低い高温粘度及び冷却時に強いゲル化傾向を示しがちである。
【0111】
本明細書で用いる「ゲル化スターチ」としては、水と混合して、溶液を形成するのに十分な温度まで加熱すると、スターチのゲル化温度よりも低い温度まで冷却すると、ゲルを形成するスターチが挙げられる。ゲル化スターチの例としては、例えばグレイン・プロセッシング・コーポレイションから“PURE-SET B950 ”という商標名で入手できる酸水解スターチ、例えばグレイン・プロセッシング・コーポレイションから“PURE-GEL B990 ”という商標名で入手できるヒドロキシプロピルジスターチホスフェート及びこれらの混合物が挙げられるが、これらには限定されない。
【0112】
適当な低融点疎水性材料は、脂肪、脂肪酸エステル、リン脂質及び蝋が挙げられる。適当な脂肪の例としては、水素化植物油、例えばココアバター、水素化パーム核油、水素化綿実油、水素化ひまわり油及び水素化大豆油、遊離脂肪酸及びこれらの塩が挙げられる。適当な脂肪酸エステル、の例としては、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、ベヘン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、トリラウリル酸グリセリン、ミリスチン酸グリセリン、Glyco Wax-932 、ラウロイルマクロゴール−32グリセリド及びステアロイルマクロゴール−32グリセリドが挙げられる。適当なリン脂質(ホスホリピド)の例としては、ホスホチジルコリン、ホスホチジルセレン、ホスホチジルエノシトール及びホスホチジン酸が挙げられる。室温で固形の適当な蝋の例としては、カルナウバ蝋、鯨蝋、蜜蝋、カンデリラ蝋、セラック蝋、微晶質蝋及びパラフィン蝋、脂肪含有混合物、例えばチョコレート等が挙げられる。
【0113】
適当な非結晶性炭水化物としては、非結晶性糖、例えばポリデキストロース、スターチ加水分解物、例えばグルコースシロップ、コーンシロップ、高フラクトースコーンシロップ、非結晶性糖アルコール、例えばマルチトールシロップが挙げられる。
【0114】
流動性材料の成分として任意的に用いられる適当な溶剤としては、水、極性有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン等、非極性有機溶剤、例えば塩化メチレン等及びその混合物が挙げられる。
【0115】
吹き付け、浸漬、化粧掛け又は成形によりシェルを作るための流動性材料は、流動性材料の重量を基準として最高約30%を占める補助薬又は付形剤を任意的に含むのがよい。適当な補助薬又は付形剤の例としては、可塑剤、粘着防止剤、湿潤剤、界面活性剤、脱泡剤、着色剤、着香剤、甘味料、乳白剤等が挙げられる。成形によりコア、シェル又はその一部を作るための適当な可塑剤としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチル、植物油、例えばひまし油、界面活性剤、例えばポリソルベート、硫酸ラウレルナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、プロピレングリコール、グリセロールのモノアセタート、グリセロールのジアセタート、グリセロールのトリアセタート、天然ガム、トリアセチン、クエン酸アセチルトリブチル、ジエチルオキサレート、ジエチルマレート、ジエチルフマレート、ジエチルマロネート、ジオクチルフタレート、ジブチルスクシネート、グリセロルトリブチレート、水素化ひまし油、脂肪酸、置換トリグリセリド、グリセリド等及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、可塑剤は、クエン酸トリエチルである。或る特定の実施形態では、シェルは、可塑剤を実質的に含まず、即ち、可塑剤の含有量は、約1%以下、例えば約0.01%以下である。
【0116】
溶剤を利用しない成形法を用いてシェルを作製する実施形態では、シェルは代表的には、少なくとも約30重量%、例えば少なくとも約45重量%の熱可逆性キャリヤを含む。シェルは、最高約55重量%までの放出加減付形剤を更に含むのがよいが、このようにするかどうかは任意である。シェルは、全部で最高約30重量%までの種々の可塑剤、補助剤及び付形剤を更に含むのがよいが、このようにするかどうかは任意である。シェルが溶剤を用いない成形法によって作製され、下に位置するコアからの1以上の活性成分の放出を遅延させるよう働く或る特定の実施形態では、放出加減付形剤は好ましくは、膨潤性であって侵食性であり、且つ疎水性物質から選択される。
【0117】
溶剤を利用した成形法を用いてシェルを作製する実施形態では、シェルは代表的には、少なくとも約10重量%、例えば少なくとも約12重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%又は少なくとも約25重量%の皮膜形成剤を含む。この場合、シェルは、最高約55重量%までの放出加減付形剤を更に含むのがよいが、このようにするかどうかは任意である。シェルはこの場合も又、全部で最高約30重量%までの種々の可塑剤、補助剤及び付形剤を更に含むのがよいが、このようにするかどうかは任意である。
【0118】
シェルを成形法によりコアに被着させる実施形態では、シェルの少なくとも一部は、シェル内面がコア外面上に実質的に共形的に被着するようコアを包囲する。本明細書で用いる「実質的に共形的に」という用語は、シェルの内面がコアの外面の山部及び谷部と実質的に逆に対応した山部及び谷部又は凹み及び突起を有することを意味する。或る特定のかかる実施形態では、凹み及び突起は代表的には、10ミクロン以上、例えば20ミクロン以上であって約30,000ミクロン以下、好ましくは約2,000ミクロン以下の一寸法の長さ、幅、高さ又は深さを有する。
【0119】
シェルの総重量は好ましくは、コアの全重量の約20%〜約400%である。溶剤を用いない成形法によりシェルを作製する実施形態では、シェルの総重量は代表的には、コアの総重量の約50%〜約400%、例えば約75%〜約400%,又は約100%〜約200%である。溶剤を利用した成形法によりシェルを作製する実施形態では、シェルの総重量は代表的には、コアの総重量の約20%〜約100%である。
【0120】
シェルの厚さは、投薬形態の放出特性にとって重要である。有利には、本発明の投薬形態は、特に上述した熱サイクル又は熱硬化性射出成形法及び装置を用いてシェル厚さを正確に制御した状態で製造できる。使用できる代表的なシェル厚さは、約50〜約4,000ミクロンである。或る特定の好ましい実施形態では、シェル厚さは、800ミクロン未満である。シェル部分が溶剤を用いない成形法により作製される実施形態では、シェル部分の厚さは代表的には、約500〜約4,000ミクロン、例えば約500〜約2,000ミクロン、例えば約500〜約800ミクロン又は約800〜約1,200ミクロンである。シェル部分が溶剤を用いる成形法により作製される実施形態では、シェル部分の厚さは代表的には、約800ミクロン以下、例えば約100〜約600ミクロン、例えば約150〜約400ミクロンである。特に好ましい実施形態では、投薬形態は、第1及び第2のコア並びに第1及び第2のシェル部分を有し、シェル部分のうち少なくとも一方の厚さは、約800ミクロン以下、例えば約100〜約600ミクロン、例えば約150〜約400ミクロンである。
【0121】
シェルが成形法、溶剤を用いない方法又は溶剤を用いる方法により作製される実施形態では、シェルは代表的には、直径が0.5〜5.0ミクロンの細孔が実質的に無く、即ち、細孔直径が0.5〜5.0ミクロンにおいて、約0.02cc/g以下、好ましくは約0.01cc/g以下、より好ましくは約0.005cc/g以下の細孔容積を有する。代表的な圧縮材料は、この直径範囲において約0.02cc/g以上の細孔容積を有する。細孔容積、細孔直径及び密度は、クオンタクローム・インストラメンツ・ポアマスター(Quantachrome Instruments PoreMaster )60水銀侵入ポロシメータ及び「Porowin 」と呼ばれている関連のコンピュータソフトウェアプログラムを用いて決定できる。この手順は、クオンタクローム・インストラメンツ・ポアマスター・オペレーション・マニュアル(Quantachrome Instruments PoreMaster Operation Manual)に記載されている。ポアマスターは、非湿潤液体(水銀)に強制的に侵入することにより固体又は粉末の細孔容積と細孔直径の両方を測定し、かかる方法では、サンプルセル中のサンプルを排気する段階(ペネトロメータ)、セルを水銀で満たしてサンプルを水銀で包囲する段階、圧力をサンプルセルに(i)圧縮空気(最高50psiまで)、(ii)流体圧(油圧)発生器(最高60,000psiまで)を加える段階を伴う。侵入容積は、水銀が加えられた圧力を受けてサンプル外部からその細孔内へ移動する際のキャパシタンスの変化によって測定される。侵入が起こる関連の細孔サイズの直径(d)は、いわゆる「ウォッシュバーン方程式」即ち、d=−(4γ(cosθ)/P)から直接計算され、この式において、γは、液体水銀の表面張力、θは、水銀とサンプル表面とのなす接触角、Pは、加えられた圧力である。
【0122】
細孔容積の測定に用いられる機器:
1. クオンタクローム・インストラメンツ・ポアマスター60
2. 0.0001gの重さを量ることができる化学天秤
3. 乾燥器
【0123】
測定に用いられる試薬:
1. 高純度窒素
2. 三重蒸留水銀
3. 高圧流体(シェル・ケミカル・カンパニーから入手できるDila AX )
4. 液体窒素(Hg蒸気コールドトラップ用)
5. サンプルセルをクリーニングするためのイソプロパノール又はメタノール
6. セルクリーニングのための液体洗浄剤
【0124】
手順:
サンプルは、分析まで密封パッケージに入れられたまま又は乾燥器内に受け入れられたままである。真空ポンプのスイッチをオンにし、水銀蒸気コールドトラップを液体窒素で満たし、圧縮ガス供給を55psiに調節し、機器をオンにして少なくとも30分のウォームアップ時間をとる。空のペネトロメータ(針入度計)セルを機器マニュアルに記載されたように組み立て、その重さを記録する。セルを低圧ステーション内に配置し、分析メニューから「排気及び充填のみ」を選択し、以下の設定値を用いる。
細かい排気時間 :1分
細かい排気率 :10
粗い排気時間 :5分
【0125】
次に、セル(水銀で満たされている)を取り出して秤量する。次にセルを水銀リザーバ内へ中味を移して空にし、各サンプルからの2つの錠剤をセル内に配置し、セルを再び組み立てる。次に、セル及びサンプルの重さを記録する。次に、セルを低圧ステーション内に配置し、低圧選択肢をメニューから選択し、以下のパラメータを設定する。
モード :低圧
細かい排気率 :10
細かい排気の上限 :200μHg
粗い排気時間 :10分
充填圧力 :接触+0.1
最大圧力 :50
方向 :侵入及び押出
繰り返し :0
水銀接触角 :140
水銀表面張力 :480
【0126】
次にデータ収集を開始させる。圧力と累積体積の関係を示す侵入プロットをスクリーン上に表示する。低圧分析の完了後、セルを低圧ステーションから取り出して再秤量する。水銀の上のスペースを油圧油で満たし、セルを再び組み立てて高圧キャビティ内に配置する。以下の設定値を用いる。
モード :固定率
モータ速度 :5
開始圧力 :20
終了圧力 :60,000
方向 :侵入及び押出
繰り返し :0
油充填長さ :5
水銀接触角 :140
水銀表面張力 :480
【0127】
次にデータ収集を開始させ、グラフ表示のプロット圧力と侵入体積の関係をスクリーン上に表示する。高圧分析の完了後、同一サンプルの低圧データファイルと高圧データファイルを組合せる。
【0128】
溶剤を用いない成形法を用いる実施形態では、流動性材料は、熱可逆性キャリヤを含むのがよい。コア、シェル又はこれら両方を成形法により製造する際に用いられる適当な熱可逆性キャリヤは、代表的には融点が約110℃以下、より好ましくは約20℃〜約100℃の熱可塑性材料である。溶剤を用いない成形法用の適当な熱可逆性キャリヤの例としては、熱可塑性ポリアルカレングリコール、熱可塑性ポリアルカレンオキシド、低融点疎水性物質、熱可塑性ポリマー、熱可塑性スターチ等が挙げられる。好ましい熱可逆性キャリヤとしては、ポリエチレングリコール及びポリ酸化エチレンが挙げられる。熱可逆性キャリヤとして用いられる熱可塑性ポリアルキレングリコールとしては、分子量が約100〜約20,000、例えば約100〜約8,000ダルトンのポリエチレングリコールが挙げられる。適当な熱可塑性ポリアルカレンオキシドとしては、分子量が約100,000〜約900,000ダルトンのポリ酸化エチレンが挙げられる。熱可逆性キャリヤとして用いられる適当な低融点疎水性物質としては、脂肪、脂肪酸エステル、リン脂質、室温で固形の蝋、脂肪含有混合物、例えばチョコレート等が挙げられる。適当な脂肪の例としては、水素化植物油、例えばココアバター、水素化パーム核油、水素化綿実油、水素化ヒマワリ油、水素化大豆油、遊離脂肪酸及びこれらの塩が挙げられる。適当な脂肪酸エステルの例としては、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、ベヘン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、トリラウリル酸グリセリン、ミリスチン酸グリセリン、Glyco Wax-932 、ラウロイルマクロゴール−32グリセリド及びステアロイルマクロゴール−32グリセリドが挙げられる。適当なリン脂質(ホスホリピド)の例としては、ホスホチジルコリン、ホスホチジルセレン、ホスホチジルエノシトール及びホスホチジン酸が挙げられる。室温で固形の適当な蝋の例としては、カルナウバ蝋、鯨蝋、蜜蝋、カンデリラ蝋、セラック蝋、微晶質蝋及びパラフィン蝋が挙げられる。熱可逆性キャリヤとして用いられる適当な熱可塑性ポリマーとしては、熱可塑性水膨潤性セルロース誘導体、熱可塑性水不溶性ポリマー、熱可塑性ビニルポリマー、熱可塑性スターチ、熱可塑性樹脂及びこれらの組合せが挙げられる。適当な熱可塑性の水膨潤性セルロース誘導体としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、架橋ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシブチルセルロース(HBC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース並びにこれらの塩、誘導体、コポリマー及び組合せが挙げられる。適当な熱可塑性の水不溶性ポリマーとしては、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリカプロラクトン、酢酸セルロース及びその誘導体、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸コポリマー等並びにこれらの誘導体、コポリマー及び組合せが挙げられる。適当な熱可塑性ビニルポリマーとしては、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられる。熱可逆性キャリヤとして用いられる適当な熱可塑性スターチの例は、例えば米国特許第5,427,614号明細書に開示されている。熱可逆性キャリヤとして用いられる適当な熱可塑性樹脂の例としては、ダンマー、マスチックス、松ヤニ、セラック、サンダラック及び松ヤニのグリセロールエステルが挙げられる。一実施形態では、成形法によりコアを製造するための熱可逆性キャリヤは、ポリアルキレングリコール、ポリアルカリンオキシド及びこれらの組合せから選択される。
【0129】
シェルが投薬形態からの即時放出を行うようになった活性成分を有する実施形態では、シェルは好ましくは,溶剤を用いない成形法により作製される。かかる実施形態では、熱可逆性キャリヤは、シェルを製造するために流動性材料中で用いられ、かかる熱可逆性キャリヤは好ましくは、平均分子量が約1,450〜約20,000の重さのポリエチレングリコール、平均分子量が約100,000〜約900,000の重さのポリ酸化エチレン等から選択される。
【0130】
本発明の或る特定の実施形態では、シェル又はシェル部分は、細孔を有する拡散メンブレンとして機能するのがよく、流体は、かかる細孔を通って投薬形態に入り、コア中の活性成分に接触してこれを溶解させ、次に、かかる活性成分を持続され、延長され、長時間にわたる又は抑制された仕方で放出するのがよい。これら実施形態では、下に位置するコア部分からの活性成分の放出速度は、シェル部分の細孔総面積、細孔の経路長さ、活性成分の溶解性及び拡散性(コア部分それ自体からのその放出速度に加えて)で決まることになる。シェル部分が拡散メンブレンとして機能する好ましい実施形態では、投薬形態からの活性成分の放出を、制御され、長時間かかる、持続し又は延長された放出として説明することができる。これらの実施形態では、かかるシェル部分からの活性成分溶解に貢献するものは、零次、第1次又は時間の平方根のキネティックスに従うのがよい。或る特定のかかる実施形態では、シェル部分は好ましくは、細孔形成剤と不溶性食用材料の組合せから成る放出加減型成形可能付形剤、例えば皮膜形成水不溶性ポリマーを有する。変形例として、シェル部分が以下に説明する溶剤を用いない成形により作製される実施形態では、シェル部分は、細孔又はチャネルを溶解させて形成することにより機能する熱可逆性キャリヤを有するのがよく、活性成分は、かかる細孔又はチャネルを通って自由になることができる。
【0131】
或る特定の他の実施形態では、シェル又はシェル部分は、侵食性マトリックスとして機能し、シェル中に分散して入っている活性成分は、かかる侵食性マトリックスからシェル表面の連続層の溶解によって自由になる。これら実施形態では、活性成分の放出速度は、シェル又はシェル部分のマトリックス材料の溶解速度で決まることになる。表面侵食をもたらす特に有用なマトリックス材料としては、まず最初に液体を吸収し、次に膨潤すると共に(或いは)溶解前にゲル化する材料が挙げられる。或る特定のかかる実施形態では、シェル又はシェル部分は好ましくは、膨潤性で侵食性の親水性材料を含む放出加減型成形可能付形剤を有する。
【0132】
或る特定の他の実施形態では、シェル又はその一部は、下に位置するコア内に入っている活性成分の挿通放出を阻止するバリヤとして機能する。かかる実施形態では、活性成分は代表的には、シェルのその部分によって覆われていないコアの一部、例えば、シェルの1以上の開口部と連通した状態にあるコアの一部から放出される。かかる実施形態は、活性成分の放出のための表面積の制御が可能になるので有利である。或る特定の実施形態では、例えば、活性成分の放出のための表面積を経時的に実質的に一定に保つのがよい。特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの活性成分の放出は、実質的に零次キネティックスに従う。かかる実施形態では、シェルは好ましくは、水不溶性物質、例えば水不溶性ポリマーを含む加減放出組成物から成る。
【0133】
他の実施形態では、シェル又はシェル部分は、下に位置するコアに含まれている1以上の活性成分の放出を遅延させる遅延放出型被膜として働く。これら実施形態では、活性成分の放出の開始のためのラグタイムは、シェルの侵食、シェルを通る活性成分の拡散又はこれらの組合せによって定められる。或る特定のかかる実施形態では、シェルは好ましくは、膨潤性で侵食性の親水性材料を含む放出加減成形可能付形剤を有する。
【0134】
以下の非限定的な実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明を更に説明するものである。
【0135】
実施例
イブプロフェンの二重脈動放出を可能にする本発明の投薬形態は、以下のようにして溶剤を用いない成形法により製造される。二重脈動は、200mgのイブプロフェンの即時放出に続き所定のラグタイムの経過後、100mgのイブプロフェンのバースト放出を行うことから成る。
【0136】
【表1】

【0137】
製造方法
イブプロフェン、微晶質セルロース及びでんぷんグリコール酸エステルナトリウムを30メッシュスクリーンに通してばらばらにし、上記成分を5分間かけて2クォートP−K配合機内で混合する。コロイド状二酸化珪素も又、30メッシュスクリーンを通してばらばらにし、更に5分間かけて配合のために上述の混合物に加える。
【0138】
直径が0.250インチの丸形パンチ及びダイユニットを装備したベータ錠剤成形機(英国リバプール所在のマネスティ社)を用いて第1のコアを錠剤として作る。最終の配合物(工程1からの配合物)をダイに送り込み、2000ポンド/平方インチの作業圧力下で錠剤コアの状態に圧縮する。圧縮状態の錠剤の重さは、213.0mgであり、これは100.0mgのイブプロフェンを含んでいる。
【0139】
【表2】

【0140】
製造方法
イブプロフェン及びでんぷんグリコール酸エステルナトリウムを30メッシュスクリーンを通してばらばらにし、上記成分を5分間かけて2クォートP−K配合機内で混合する。コロイド状二酸化珪素も又、30メッシュスクリーン中でばらばらにし、あらかじめふるい分けした(30メッシュスクリーンを用いて)イブプロフェン及びでんぷんグリコール酸エステルナトリウムを5分間かけて2クォートP−K配合機内で混合する。
【0141】
最終の配合物(工程1からの配合物)をダイに送り込み、2000ポンド/平方インチの作業圧力下で錠剤コアの状態に圧縮する。圧縮状態の錠剤の重さは、213.0mgであり、これは200.0mgのイブプロフェンを含んでいる。
【0142】
【表3】

【0143】
製造方法
破砕機を水浴(Ret digi-visc ;ペンシルベニア州19087ウェイン所在のアンタル−ダイレクト社)に浸漬させ、この場合、水浴温度は、85℃に設定されている。ポリエチレングリコール(PEG)8000及びGelucire50/13を破砕機に追加し、全てのPEG及びGelucireが溶解するまでへらで混合させる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶融状態の混合物に添加し、10分間混合する。クエン酸トリエチルを溶融状態の混合物に添加し、2分間混合する。ポリ酸化エチレン200,000を添加し、20分間かけて混合する。シェル材料は、流動可能な形態で得られる。
【0144】
寸法が0.700インチ×0.350インチ×0.06インチ(17.78mm×8.89mm×1.524mm)のコアの全体形状を有する実験室規模の熱サイクル成形ユニットを用いて第1及び第2のシェル部分をコアに被着させる。成形ユニットは、上金型キャビティを有する上金型組立体部分及び下金型キャビティを有する下金型組立体部分で作られた単一の金型組立体を有する。下金型組立体部分をまず最初に30秒間、85℃でホットステージにサイクル動作させる。パートCのシェル材料を下金型キャビティ内へ導入する。次に、上述のパートA及びパートBで記載したように作製された2つの別々のコアをキャビティ内に位置する2つのステーション内へ挿入する。ステーションは、下金型キャビティ内の2つのコアを1mmだけ分離させる。空の上金型組立体部分を下金型組立体部分に合致させる。次に、金型組立体を60秒間5℃でコールドステージにサイクル動作させて第1のシェル部分を硬化させる。空の金型組立体部分を下金型組立体部分から取り外す。上金型組立体部分を30秒間、85℃でホットステージにサイクル動作させる。シェル材料を上金型キャビティに追加する。
【0145】
上金型キャビティは、コアのうちの一方についての一ステーションに接触するその内面に取り付けられた細いロッド(直径0.1mm、長さ1mm)を有する。5℃に維持されている下金型組立体部分を上金型組立体部分に合致させてパートBの第1のコア(200mgイブプロフェン錠剤)を上金型組立体の第1のコアステーションに合致させる。次に、上金型組立体部分を120秒間、5℃でコールドステージにサイクル動作させて第2のシェル部分を硬化させる。次に、下金型組立体部分を取り外し、完成品としての投薬形態、即ち、同一シェル材料の2つの半部で被覆された成形コアを上金型キャビティから突き出す。シェル材料から得られる重量のゲイン(即ち、完成品としての投薬形態とコアの重量差)を記録する。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1A】本発明の投薬形態を示す図である。
【図1B】本発明の投薬形態を示す図である。
【図2A】本発明の別の投薬形態を示す図である。
【図2B】本発明の別の投薬形態を示す図である。
【図2C】本発明の別の投薬形態を示す図である。
【図3A】本発明の別の投薬形態を示す図である。
【図3B】本発明の別の投薬形態を示す図である。
【図3C】本発明の別の投薬形態を示す図である。
【図4A】本発明の別の投薬形態を示す図である。
【図4B】本発明の別の投薬形態を示す図である。
【図4C】本発明の別の投薬形態を示す図である。
【図5A】本発明の別の投薬形態を示す図である。
【図5B】本発明の別の投薬形態を示す図である。
【図5C】本発明の別の投薬形態を示す図である。
【図6】本発明の種々の開口部を示す図である。






【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの活性成分と、第1のコアと、第2のコアとを有する投薬形態であって、前記第1及び第2のコアは各々、シェルによって包囲されており、シェルは、1以上の開口部を備え、投薬形態と液体媒体との接触時に少なくとも1つの活性成分の加減放出を可能にし、第1又は第2のコアのうち少なくとも一方は、1又は複数の開口部から遠くに位置していることを特徴とする投薬形態。
【請求項2】
シェルは、複数の開口部を有し、第2のコアは、全ての開口部から遠くに位置していることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項3】
全ての開口部は、第1のコアにのみ近接して位置していることを特徴とする請求項2記載の投薬形態。
【請求項4】
開口部は、第1のコアに接触することを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項5】
全ての開口部は、第1のコアにのみ接触することを特徴とする請求項2記載の投薬形態。
【請求項6】
シェルは、放出を加減する成形可能な付形剤から成ることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項7】
放出加減成形可能付形剤は、膨潤性で侵食性の親水性物質、pH依存ポリマー、細孔形成剤、不溶性食用物質及びこれらの組合せから選択されることを特徴とする請求項6記載の投薬形態。
【請求項8】
シェルは、ポリエチレングリコール、ポリ酸化エチレン及びこれらの組合せから成る群から選択された熱可逆性キャリヤから成ることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項9】
放出加減付形剤は、セラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酸化エチレン、B型アンモニオメタクリレートコポリマー及びこれらの組合せから成る群から選択されることを特徴とする請求項6記載の投薬形態。
【請求項10】
シェルは、セルロースアセテート、B型アンモニオメタクリレートコポリマー、セラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びこれらの組合せから成る群から選択された皮膜形成剤を含むことを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項11】
膨潤性で侵食性の親水性物質は、架橋ポリビニルピロリドン、架橋アガール、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及びこれらの組合せから成る群から選択されていることを特徴とする請求項7記載の投薬形態。
【請求項12】
シェルは、可塑剤を含むことを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項13】
シェルは、細孔形成剤を含むことを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項14】
少なくとも一方のコアは、活性成分を含むことを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項15】
少なくとも一方のコアは、2以上の層から成ることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項16】
第1又は第2のコアのうち少なくとも一方は、圧縮錠剤から成ることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項17】
第1又は第2のコアのうち少なくとも一方は、多層錠剤から成ることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項18】
第1又は第2のコアのうち少なくとも一方は、1以上の活性成分から成る粒子を含むことを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項19】
粒子のうち少なくとも一部は、粒子と液体媒体との接触時に活性成分の加減放出を可能にする被膜を有することを特徴とする請求項18記載の投薬形態。
【請求項20】
第1のコアと第2のコアは、同一組成のものであることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項21】
第1のコアと第2のコアは、同一の物理的寸法のものであることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項22】
第1のコアと第2のコアは、互いに異なる活性成分を含むことを特徴とする請求項1記載の 投薬形態。
【請求項23】
第1のコアと第2のコアは、互いに異なる組成のものであることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項24】
第1のコアと第2のコアは、互いに異なる物理的寸法のものであることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項25】
シェルには、直径が0.5〜5.0ミクロンの細孔が実質的に無いことを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項26】
シェルは、活性成分を含むことを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項27】
第1のコアは、投薬形態と液体媒体との接触時に投薬形態から即時放出される活性成分を含むことを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項28】
シェルは、第2のコア内に入っている少なくとも1つの活性成分の遅延され、持続性の、長時間にわたる、延長され又は抑制された放出を可能にすることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項29】
投薬形態と液体媒体との接触時に、開口部は第1のコア内に入っている少なくとも1つの活性成分の即時放出を可能にし、シェルは、第2のコア内に入っている少なくとも1つの活性成分の遅延放出を可能にすることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項30】
投薬形態は、投薬形態と液体媒体との接触時に、少なくとも1つの活性成分の遅延放出を可能にすることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項31】
投薬形態は、投薬形態と液体媒体との接触時に、少なくとも1つの活性成分の即時放出を可能にすることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項32】
投薬形態は、投薬形態と液体媒体との接触時に、第1のコアからの少なくとも1つの活性成分の即時放出を可能にし、次に遅延時間が生じ、その次に第2のコアからの少なくとも1つの活性成分の放出が行われることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項33】
第1及び第2のコアは各々、活性成分を含み、活性成分は、実質的に互いに異なる放出プロフィールを有していることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項34】
第1のコア内の活性成分は、即時放出プロフィールを有し、第2のコア内の活性成分は、加減放出プロフィールを有していることを特徴とする請求項32記載の投薬形態。
【請求項35】
シェルの少なくとも一部を被覆する外側被膜を更に有することを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項36】
シェルは、第1のシェル部分及び第2のシェル部分から成ることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項37】
第1のシェル部分と第2のシェル部分は、組成的に互いに異なっていることを特徴とする請求項36記載の投薬形態。
【請求項38】
各コアは、上側及び下側フェースを有し、第1のシェル部分は、各コアの上側フェースに接触し、第2のシェル部分は、各コアの下側フェースに接触することを特徴とする請求項36記載の投薬形態。
【請求項39】
第1のシェル部分は、第1のコアに接触し、第2のシェル部分は、第2のコアに接触していることを特徴とする請求項36記載の投薬形態。
【請求項40】
第1のシェル部分は、1以上の開口部を有し、第2のシェル部分には、実質的に開口部が無いことを特徴とする請求項36記載の投薬形態。
【請求項41】
第1のコアと第2のコアは、シェルの内壁によって互いに分離されていることを特徴とする請求項1記載の投薬形態。
【請求項42】
内壁の厚さは、第1のコア又は第2のコアのうちの少なくとも一方の厚さの約10%〜約200%であることを特徴とする請求項41記載の投薬形態。
【請求項43】
開口部は、シェル中に部分的にしか延びていないことを特徴とする請求項2記載の投薬形態。
【請求項44】
薬学的に有効な用量の第1の活性成分を含む第1のコア及び薬学的に有効な用量の第2の活性成分を含む第2のコアを有する投薬形態であって、前記第1及び第2のコアは各々、シェルによって包囲され、シェルは、複数の開口部を有し、投薬形態と液体媒体との接触時に第2の活性成分の加減放出を可能にし、第2のコアは、全ての開口部から遠くに位置し、全ての開口部は、第1のコアにのみ近接して位置していることを特徴とする投薬形態。
【請求項45】
第1の活性成分は、アセトアミノフェン、アセチルサルチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、シクロベンザプリン(cycrobenzaprine)、メロキシカム、ロフェコキシブ(rofecoxib)、セレコキシブ(celecoxib)及び薬学的に許容できる塩、エステル、異性体及びこれらの混合物から成る群から選択されていることを特徴とする請求項44記載の投薬形態。
【請求項46】
第1及び第2の活性成分は両方とも、イブプロフェン及び薬学的に許容できる塩、エステル、異性体及びこれらの混合物から成る群から選択されていることを特徴とする請求項45記載の投薬形態。
【請求項47】
第1の活性成分は、イブプロフェン及び薬学的に許容できる塩、エステル、異性体及びこれらの混合物から成る群から選択され、第2の活性成分は、アセタミノフェン及び薬学的に許容できる塩、エステル、異性体及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項45記載の投薬形態。

【図6】
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【公表番号】特表2006−517182(P2006−517182A)
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539769(P2004−539769)
【出願日】平成15年3月21日(2003.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/008894
【国際公開番号】WO2004/028508
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(591252839)マクニール−ピーピーシー・インコーポレイテッド (69)
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL−PPC,INCORPORATED
【Fターム(参考)】