説明

2つの封入モジュールを備えた試料スライドの処理装置

【課題】試料スライド上に載置された薄切片を簡単に封入処理可能とする試料スライドの処理装置を提供する。
【解決手段】本発明は、試料スライドを処理するための各々少なくとも1つのモジュールを取り付けるために第1モジュール取付領域と少なくとも1つの第2モジュール取付領域とを含んで構成される試料スライドの処理装置に関する。第1モジュール取付領域(24)内には、試料スライド上に配置された薄切片を封入剤とカバーガラス(48)を用いて封入処理するための封入モジュール(30)が取り付けられている。当該該処理装置は、双方のモジュール取付領域が受容されているハウジングを含んで構成され、また当該処理装置は二レベル構造であり、上側レベルには、前記モジュール取付領域が配設されており、前記上側レベルの下側に配設されている下側レベルには、前記モジュール取付領域内に配設されている全ての封入モジュールにより共通して使用可能であるユニットが配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の記載)
本出願は、2011年5月13日出願のドイツ特許出願第 10 2011 050 344.7 号の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本明細書に組み込み記載されているものとする。
【0002】
本発明は、試料スライド(試料支持体)上に配置された薄切片を封入剤とカバーガラスを用いて封入処理するための封入モジュール(Eindeckmodul)を含んで構成される試料スライドの処理装置(取扱装置)に関する。
【背景技術】
【0003】
組織学において、組織試料(組織検体)から生成される薄切片は試料スライド(所謂スライド)上に載置される。薄切片を顕微鏡検査用に準備するために、試料スライド上に載置された薄切片は、通常は(薬品などで)処理され、特に脱水及び/又は染色される。薄切片を保護するために薄切片上にはカバーガラスが載置されるが、カバーガラスを載置する前に、先ずはカバーガラスを試料スライド上に付着させる封入剤が塗布される。封入品質の検査後に、薄切片の封入処理された試料スライドは、薄切片の更なる検査のために顕微鏡へ導かれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薄切片の封入処理、即ち封入剤の塗布とカバーガラスの載置は、特に所謂自動封入装置(自動カバーガラススリッピング装置 Eindeckautomat)を用いて行われる。既知の自動封入装置は、封入剤貯蔵容器内に貯蔵されている封入剤を塗布し且つ引き続きカバーガラス貯蔵容器内に貯蔵されているカバーガラスを載置するための封入モジュールを有する。封入処理前の薄切片の処理又は封入処理後の試料スライドの更なる処理(例えば品質チェックなど)は、複数の別個の装置を介して行われる。前連結される及び後連結されるこれらの別個の装置は、各々の移行インタフェースを介して自動封入装置と連結させることができ、従って試料スライドを自動で移行させることができる。この際の問題点は、多数の移行インタフェースが必要となることであり、このことは、一方ではそのための構成空間を要求し、他方では高い故障(エラー)発生率をもたらす。代替的に試料スライドを自動封入装置へ手動で供給する又は手動で自動封入装置から取り出すこともできる。しかしこの取り扱いは高い人的手間と結び付いており、更には同様に誤りを発生しやすくする。
【0005】
それに加え、既知の自動封入装置における問題点は、試料スライドが異なる封入剤又は異なるカバーガラスを用いて封入処理されるべき場合には、封入剤貯蔵容器或いはカバーガラス貯蔵容器を空にし、新しい封入剤或いは新しいカバーガラスを充填しなくてはならないことである。この際、封入剤貯蔵容器と封入剤ポンプが集中的に洗浄される必要があり、このことは多大な手間と結び付いている。結果として、多くの場合には、標準的に使用される封入剤とカバーガラスとは異なる封入プロセスを手動で実行することによりそのような手間が回避されている。しかしこのことも、一方では多くの手間と結び付いており、他方では誤りを発生しやすくする。
【0006】
従って本発明の課題は、試料スライド上に載置された薄切片を簡単に封入処理可能とする試料スライドの処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一視点によれば、試料スライドの処理装置であって、試料スライド上に配置された薄切片を封入剤とカバーガラスを用いて封入処理するための封入モジュールが取り付けられている第1モジュール取付領域と、試料スライドを処理するための少なくとも1つのモジュールを取り付けるために少なくとも1つの第2モジュール取付領域とを備えて構成される処理装置が提供される。本処理装置において、当該処理装置は、双方のモジュール取付領域が受容されるハウジングを含んで構成され、当該処理装置は二レベル構造であり、該二レベル構造において上側レベルには、前記モジュール取付領域が配設されており、前記上側レベルの下側に配設されている下側レベルには、前記モジュール取付領域内に配設される全ての封入モジュールにより共通して使用可能であるユニットが配設されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記一視点によれば、本発明の課題に対応する効果、即ち試料スライド上に載置された薄切片を簡単に封入処理可能とする試料スライドの処理装置が提供される。
【0009】
本発明に従い、本処理装置は、試料スライドを処理するための各々少なくとも1つのモジュールを取り付ける(受容する)ための第1モジュール取付(受容)領域と第2モジュール取付(受容)領域とを有する。この際、試料スライド上に配置された薄切片を封入処理するための封入モジュールが第1モジュール取付領域内に取り付けられている。第2モジュール取付領域により、唯一の本処理装置において試料スライドを処理するための他のモジュールを取り付けることもでき、従って、顕微鏡検査用の薄切片を準備する際に相前後して実行すべき方法ステップを唯一の本処理装置内において実行することができ、そのために異なる別個の装置の間において試料スライドを移行させる必要はない。或いは、両方のモジュール取付領域内に同じモジュールを配設することにより時間単位あたり本処理装置のスループットを増加させることができる。特にそのような2つのモジュール取付領域を設けることにより、本処理装置のオペレータのその都度の要求に対し、本処理装置の装置構成(コンフィグレーション)の高い柔軟性(フレキシビリティ)が達成される。このモジュール構造は、特にモジュールが迅速で且つ簡単に交換され、個々の要求にマッチングされることを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態の概要について説明する。
【0011】
本処理装置は、特に(第1、第2の)両方のモジュール取付領域が受容されるハウジングを有する。
【0012】
モジュール取付領域内には特に各々保持ユニットが設けられており、これらの保持ユニットにおいて、モジュール取付領域内において使用可能な異なるモジュールを固定することができる。特に各モジュール取付領域は、予め定められた位置に設けられている切欠き部を有する床面プレート(フロアプレート)を含んで構成され、それらの切欠き部においてモジュール或いはモジュールの個々の構成部材が固定可能及び/又は通過案内可能である。特に各モジュール取付領域は、本処理装置内へモジュールを組み込む(Integration)ための少なくとも1つの、好ましくは複数のインタフェースを有する。
【0013】
更に本処理装置が、試料スライドが収容されているラックを供給するための搬入区画(インプットコンパートメント;搬入部)と、ラックを移送するための移送ユニットと、該移送ユニットを制御するための制御ユニットとを含んで構成されると有利である。移送ユニットを用い、搬入区画を介して搬入されたラックを該搬入区画からダイレクトに第1モジュール取付領域へ並びにダイレクトに第2モジュール取付領域へ移送することができる。従ってラックは、第1モジュール取付領域内に取り付けられる封入モジュールへも、第2モジュール取付領域内に取り付けられるモジュールへも直接的に供給可能である。ダイレクトの供給並びに直接的な供給としては、特にラックが予め他のモジュール取付領域へ供給される必要がないこととして理解される。従って(第1、第2の)両方のモジュール取付領域内に取り付けられるモジュールは、これらの両方のモジュールを互いに同期させる必要なく、互いに並行に稼動することができる。
【0014】
本発明の特に有利な一実施形態では、第1モジュール取付領域内に取り付けられる封入モジュールが第1封入モジュールである。第2モジュール取付領域内には、試料スライドを処理するためのモジュールとして、試料スライド上に配置された薄切片を封入剤とカバーガラスを用いて封入処理するための第2封入モジュールが取り付けられる。従って、互いに並行に稼動可能な2つの封入モジュールの配設が達成され、それによりスループット、即ち時間単位あたりに封入処理可能な薄切片の数が増加される。
【0015】
代替的な一実施形態において、第2モジュール取付領域内には、試料スライドを処理するためのモジュールとして、第2封入モジュールの代わりに、試料スライド上に載置された薄切片の品質を監視する及び/又は封入品質を監視するための品質監視モジュールを取り付けることもできる。この場合、第1モジュール取付領域内に取り付けられる封入モジュールと品質監視モジュールとは、特に封入モジュールにより封入処理される試料スライドが封入処理後に移送ユニットを用いて品質監視モジュールへ移送されるように稼動され、従って封入品質及び/又は薄切片の品質を簡単に検査することができる。唯一の本処理装置内に封入モジュールも品質監視モジュールも組み込む(Integration)ことにより、封入処理のための装置と監視のための装置との間における試料スライドの移行インタフェース及び/又は手動の移行はもはや不必要である。
【0016】
品質監視モジュールは、特にカメラを含んで構成され、該カメラは、薄切片が配置されている試料スライドの少なくとも1つの部分領域の結像画像を有する少なくとも1つの画像を記録する。所定の制御ユニット内において特に少なくとも1つの画像処理アルゴリズムが処理され、該画像処理アルゴリズムを用い、記録された画像に依存し、封入品質及び/又は試料スライド上に載置された薄切片の品質が検出される。特に薄切片の染色品質、薄切片及び/又はカバーガラスの機械的な損傷、試料スライド上の薄切片の相対位置、及び/又は、試料スライドとカバーガラスとの間の封入空気(気泡)の有無が検出される。特にそれに続き、予設定されている目標設定値と検出された結像画像との比較が行われる。この比較により、品質が予設定されている要求に対応しないことが結果として得られる場合には、特にオペレータに対してエラーメッセージが出力(通知)され、及び/又はそのようなエラーメッセージを有するデータがデータベース内において該当試料スライドに対して一義的に割り当てられて保存される。移送ユニットを制御するための制御ユニットと、画像処理アルゴリズムを処理するための制御ユニットとは、特には同じものであり得る。或いは異なった制御ユニットを使用することもできる。
【0017】
制御ユニットは移送ユニットを特に次のように駆動制御する。即ち移送ユニットが、第1モジュール取付領域内に取り付けられている封入モジュールにより試料スライドを封入処理した後に、ラックを該ラックの試料スライドと共に第1モジュール取付領域から第2モジュール取付領域へ移送するような駆動制御であり、従って試料スライドを、先ず第1モジュール取付領域内に取り付けられているモジュールにより処理し、その次に第2モジュール取付領域内に取り付けられているモジュールにより処理することができる。或いは移送ユニットは、該移送ユニットが試料スライドを先ず第2モジュール取付領域へ供給し、引き続き第1モジュール取付領域へ供給するように駆動制御されることも可能であり、従って薄切片の加工処理は、先ず第2モジュール取付領域内に取り付けられているモジュールにより行われ、その次に第1モジュール取付領域内に取り付けられているモジュールにより行われる。
【0018】
更に、第1封入剤を保管するための第1封入剤貯蔵容器と、第2封入剤を保管するための第2封入剤貯蔵容器とが設けられていると有利である。第1封入剤貯蔵容器は、第1モジュール取付領域内に取り付けられている第1封入モジュールと接続されており、従って第1封入剤は第1封入モジュールを介して試料スライド上に塗布(施工)可能である。第2封入剤貯蔵容器は、第2モジュール取付領域内に取り付けられている第2封入モジュールと接続されており、従って第2封入剤は第2封入モジュールを介して試料スライド上に塗布可能である。第1封入剤と第2封入剤は、特には異なっており、従って、各封入モジュールに割り当てられた各々固有の封入剤貯蔵容器を有する2つの封入モジュールを設けることにより、唯一の本処理装置を用い、選択的に両方の封入剤のうちの1つを用いて薄切片を封入処理することができる。従って、周知の自動封入装置と異なり、第1封入剤から第2封入剤へ交換するために封入剤貯蔵容器を空にし、洗浄し、そして第2封入剤を充填する必要はない。従って特に第1封入剤を用いて封入処理すべき薄切片も、第2封入剤を用いて封入処理すべき薄切片も、本処理装置の装備変更を必要とすることなく、任意の順番で供給することができる。
【0019】
或いはまた、両方の封入剤貯蔵容器内に同じ封入剤を入れることもできる。この場合、封入モジュールを1つだけ有する自動封入装置と比べ、より高いスループットが可能であり、即ち時間単位あたりにより多くの薄切片を封入処理することができる。
【0020】
更に、カバーガラスを保管するための第1カバーガラス貯蔵容器と、カバーガラスを保管するための第2カバーガラス貯蔵容器とが設けられていると有利である。第1カバーガラス貯蔵容器は、第1モジュール取付領域に割り当てられ、従って第1封入モジュールに割り当てられており、従って、第1封入モジュールにより封入処理すべき薄切片上へ第1封入モジュールにより載置されるカバーガラスが第1カバーガラス貯蔵容器内に貯蔵されている。それに対応し、第2カバーガラス貯蔵容器は、第2モジュール取付領域に割り当てられ、従って必要に応じて第2モジュール取付領域内に配設されている第2封入モジュールに割り当てられており、従って、第2封入モジュールによりカバーガラスが、第2カバーガラス貯蔵容器から、第2封入モジュールにより封入処理すべき薄切片上へ載置可能である。特にまた両方のカバーガラス貯蔵容器内において異なる種類のカバーガラスを貯蔵することもできる。
【0021】
本発明の特に有利な一実施形態では、試料スライドを処理するための他のモジュールを取り付ける(受容する)ための第3モジュール取付領域が設けられている。この第3モジュール取付領域は、好ましくは他の両方のモジュール取付領域と並列して(平行に)配設されており、従って移送ユニットは、搬入区画を介して搬入された試料スライドをダイレクトに第3モジュール取付領域へ移送することができるか、又は他のモジュール取付領域のうちの1つから第3モジュール取付領域へ移送することができる。
【0022】
第3モジュール取付領域内には、特に試料スライド上に載置された薄切片の品質を監視する及び/又は封入品質を監視するための品質監視モジュールが取り付けられており、この際、第2モジュール取付領域内には第2封入モジュールが取り付けられている。従って2つの封入モジュールと1つの品質監視モジュールが設けられており、この際、両方の封入モジュールは特に互いに依存しないで作動し、第1封入モジュールを介して封入処理される試料スライドも、第2封入モジュールを介して封入処理される試料スライドも、乾燥処理後に、品質監視のために品質監視モジュールへ供給可能である。品質監視モジュールは、好ましくは前述したような第2モジュール取付領域内に取り付けられている品質監視モジュールとして構成されている。
【0023】
従って両方の(2つの)封入モジュールのために1つの品質監視モジュールだけが必要であり、それにより特に簡単で且つ低コストの構造が達成される。3つの全てのモジュールが1つの処理装置内に組み込まれているので、短時間で多数の薄切片を封入処理することができ、この際、試料スライドの移行の必要性はできるだけ少なくなっており、従って信頼性のある確実な処理(取り扱い)が保証されている。本発明の代替的な一実施形態では、第1モジュール取付領域内に第1封入モジュールが配設されており、第2モジュール取付領域内と第3モジュール取付領域内には各々品質監視モジュールが配設されることも可能である。
【0024】
移送ユニットは、特に次のように構成されている。即ち移送ユニットを用い、試料スライドが収容されているラックが、3つの全てのモジュール取付領域の間において、一方のモジュール取付領域から他方のモジュール取付領域への移送時に別のモジュール取付領域を経由(到達)する必要なく、任意の順番で移送可能であるような構成である。従って各モジュール取付領域内に取り付けられている全てのモジュールを互いに依存しないで並行に稼動させることができ、それにより汎用的な使用可能性が達成される。
【0025】
本処理装置は、好ましくは乾燥ユニットを含んで構成され、該乾燥ユニットを用い、第1封入モジュールを用いて封入処理された試料スライドからも、第2封入モジュールを用いて封入処理された試料スライドからも、封入剤の湿分(液成分)が除去可能である。(即ち封入剤から溶剤を除去することができる。)それにより乾燥ユニットを使わないパッシブな乾燥時よりも封入剤がより迅速に乾くことが達成され、従ってカバーガラスが滑って位置をずらしてしまうことが回避される。それによっても薄切片の損傷やオペレータの怪我が防止される。
【0026】
更に本処理装置は、好ましくはラックを搬出するための搬出区画(アウトプットコンパートメント;搬出部)を有する。この搬出区画は、乾燥ユニットと共に組み込まれて1つの構成ユニットとして構成することができ、特に移動(スライド)可能な引き出し部材として構成されており、従って、封入処理の終わった試料スライドが簡単にオペレータにより取り出し可能である。
【0027】
それに加え、搬入区画を介して搬入されたラックに装着されている情報担体(情報キャリア)から情報を読み出すための読取ユニットが設けられていると有利である。制御ユニットは、それらの読み出された情報に依存し、モジュール取付領域内に配設されているモジュールのどのモジュール或いはどれらのモジュールへラックを移送すべきなのか、及び/又は、モジュール取付領域の少なくとも2つへどの順番でラックを供給すべきなのかを決定する。読み出された情報は、特にどの封入剤を用い及び/又はどの種類のカバーガラスを用い、ラック内に収容されている試料スライドが封入処理されなくてはならないかに関する情報を含んでおり、従って制御ユニットは、それらの情報に依存し、ラックを第1封入モジュールへ供給すべきか又は第2封入モジュールへ供給すべきかを決定することができる。
【0028】
情報担体(情報キャリア)は、特にバーコード又はRFID(Radio Frequency IDentification)チップとして構成されることができ、該情報担体を介してラックの一義的な識別(特定 Identifizierung)が可能である。特定のデータベース内には各ラックに対して一義的な割り当て情報、特に使用すべき封入剤に関する情報(データ)が保存されており、この際、制御ユニットは、情報担体を介して検出されたラックの識別情報に依存し、データベース内で該当ラックに割り当てられているデータを読み出し、従って移送ユニットを、該移送ユニットが該当ラックを該当する正しい封入モジュールへ供給するように駆動制御する。更に封入剤の種類の他、特に塗布すべき封入剤の量もデータベース内に保存することができる。
【0029】
本処理装置は、特に二レベル(階層)構造であり、この際、搬入区画、読取ユニット、乾燥ユニット、及び/又は搬出区画が第1階層(第1レベル)内に配設されており、複数のモジュール取付領域が第2階層(第2レベル)内に配設されている。これらの両方のレベルは、稼動時における本処理装置の所定の配向構成(bestimmungsgemaesse Ausrichtung)において特に上下に配設されており、この際、第1レベルは下側レベルであり、第2レベルは上側レベルである。従って下側レベルには、全てのモジュール取付領域に割り当てられている複数のユニットが配設されており、それに対し、上側レベルに配設されている複数のユニットは互いに依存しないで稼動することができる。下側レベルに配設されている複数のユニットは、特に上側レベルに配設されている複数のモジュールのための供給部(Versorgung)として機能する。上側レベルに複数のモジュール取付領域を配設することにより、これらのモジュール取付領域が良好にアクセス可能(手の届くこと)であり、従ってモジュールを簡単に交換することができる。
【0030】
本発明の更なる特徴及び長所は、添付の図面に図示した本発明の具体的な実施例を説明する後続段落の記載内容から明らかである。
【0031】
上記のごとく本発明において下記形態が可能である。下記各形態は、本願の特許請求の範囲(当初)の各請求項に記載した各々の構成要件に対応している。尚、本願の特許請求の範囲に付記されている図面参照符号は専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
(形態1)上記一視点のとおり、試料スライドの処理装置であって、試料スライド上に配置された薄切片を封入剤とカバーガラスを用いて封入処理するための封入モジュールが取り付けられている第1モジュール取付領域と、試料スライドを処理するための少なくとも1つのモジュールを取り付けるために少なくとも1つの第2モジュール取付領域とを備えており、当該該処理装置は、双方のモジュール取付領域が受容されるハウジングを含んで構成され、当該処理装置は二レベル構造であり、該二レベル構造において上側レベルには、前記モジュール取付領域が配設されており、前記上側レベルの下側に配設されている下側レベルには、前記モジュール取付領域内に配設される全ての封入モジュールにより共通して使用可能であるユニットが配設されている。
(形態2)試料スライドが収容されているラックを供給するための搬入区画と、ラックを移送するための移送ユニットと、該移送ユニットを制御するための制御ユニットとが設けられていること、該移送ユニットを用い、前記搬入区画を介して搬入されたラックが前記搬入区画から、前記第1モジュール取付領域内に取り付けられている封入モジュールへダイレクトに移送可能であること、及び、該移送ユニットを用い、前記搬入区画を介して搬入されたラックが前記搬入区画から、前記第2モジュール取付領域内に取り付けられている試料スライドを処理するための少なくとも1つのモジュールへダイレクトに移送可能であることが好ましい。
(形態3)前記封入モジュールは第1封入モジュールであること、及び、前記第2モジュール取付領域内には、試料スライドを処理するためのモジュールとして、試料スライド上に配置された薄切片を封入剤とカバーガラスを用いて封入処理するための第2封入モジュールが取り付けられることが好ましい。
(形態4)前記第2モジュール取付領域内には、試料スライドを処理するためのモジュールとして、試料スライド上に載置された薄切片の品質を監視する及び/又は封入品質を監視するための品質監視モジュールが取り付けられることが好ましい。
(形態5)前記品質監視モジュールはカメラを含んで構成され、該カメラは、薄切片が配置される試料スライドの少なくとも1つの部分領域の結像画像を有する少なくとも1つの画像を記録することが好ましい。
(形態6)制御ユニットが、保存されている少なくとも1つの画像処理アルゴリズムを処理すること、該制御ユニットは、該画像処理アルゴリズムを用い、記録された画像に依存し、薄切片の染色品質、薄切片及び/又はカバーガラスの機械的な損傷、試料スライド上の薄切片の相対位置、及び/又は、試料スライドとカバーガラスとの間の封入空気を検出することが好ましい。
(形態7)前記制御ユニットは前記移送ユニットを、前記移送ユニットが、前記第1モジュール取付領域内に取り付けられている前記封入モジュールにより試料スライドを封入処理した後に、ラックを該ラックの試料スライドと共に前記第1モジュール取付領域から前記第2モジュール取付領域へ移送するように駆動制御する、及び/又は、前記制御ユニットは前記移送ユニットを、前記移送ユニットが、前記第2モジュール取付領域内に取り付けられている試料スライドを処理するためのモジュールにより試料スライドを処理した後に、ラックを該ラックの試料スライドと共に前記第2モジュール取付領域から前記第1モジュール取付領域へ移送するように駆動制御することが好ましい。
(形態8)前記第1封入モジュールを用いて試料スライド上に塗布可能である第1封入剤を保管するための第1封入剤貯蔵容器と、前記第2モジュール取付領域内に配設可能である第2封入モジュールを用いて試料スライド上に塗布可能である第2封入剤を保管するための第2封入剤貯蔵容器とが設けられていることが好ましい。
(形態9)前記第1封入モジュールを用いて試料スライド上に載置可能であるカバーガラスを保管するための第1カバーガラス貯蔵容器と、前記第2モジュール取付領域内に配設可能である第2封入モジュールを用いて試料スライド上に載置可能であるカバーガラスを保管するための第2カバーガラス貯蔵容器とが設けられていることが好ましい。
(形態10)試料スライドを処理するための他のモジュールを取り付けるために第3モジュール取付領域が設けられていることが好ましい。
(形態11)前記第2モジュール取付領域内には、試料スライドを処理するためのモジュールとして、試料スライド上に配置された薄切片を封入剤とカバーガラスを用いて封入処理するための第2封入モジュールが取り付けられていること、及び、前記第3モジュール取付領域内には、試料スライド上に載置された薄切片の品質を監視する及び/又は封入品質を監視するための品質監視モジュールが取り付けられていることが好ましい。
(形態12)前記移送ユニットは、該移送ユニットを用い、ラックが前記搬入区画と前記第3モジュール取付領域との間において、前記第1モジュール取付領域と前記第3モジュール取付領域との間において、及び/又は、前記第2モジュール取付領域と前記第3モジュール取付領域との間においてダイレクトに移送可能であるように構成されていることが好ましい。
(形態13)乾燥ユニットが設けられており、該乾燥ユニットを用い、前記第1封入モジュールを用いて封入処理された試料スライドからも、前記第2封入モジュールを用いて封入処理された試料スライドからも、封入剤の湿分が除去可能であること、及び/又は、ラックを搬出するための搬出区画が設けられていることが好ましい。
(形態14)前記搬入区画を介して搬入されたラックに装着される情報担体から情報を読み出すための読取ユニットが設けられていること、及び、前記制御ユニットは、それらの読み出された情報に依存し、モジュール取付領域内に配設されているモジュールのどのモジュール或いはどれらのモジュールへラックを移送すべきなのか、及び/又は、前記モジュール取付領域内に取り付けられているモジュールの少なくとも2つへどの順番でラックを相前後して供給すべきなのかを決定することが好ましい。
(形態15)当該処理装置は二レベル構造であり、該二レベル構造において、前記搬入区画、前記読取ユニット、前記乾燥ユニット、及び/又は前記搬出区画は第1レベルに配設されており、前記モジュール取付領域は第2レベルに配設されていることが好ましい。
【0032】
次に、本発明の具体的な実施例について図面を参照して説明する。
【0033】
本明細書に添付の図面の簡単な説明は、以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の具体的な一実施例に従う自動封入装置を示す概要斜視図である。
【実施例】
【0035】
図1には、自動封入装置(自動カバーガラススリッピング装置 Eindeckautomat)10として構成されている試料スライドの処理装置(取扱装置)の概要斜視図が示されている。図1において自動封入装置10のハウジング12の一部分は、一点鎖線を介して示唆されており、従ってハウジング12により保護され且つ内部に位置する構成部材が見える状態で図示されている。
【0036】
自動封入装置10は搬入区画(インプットコンパートメント;搬入部)14を含んで構成され、該搬入区画14を介し、複数のラック16を自動封入装置10へ供給することができる。ラック16内には、薄切片の載置された複数の試料スライドが配置されており、これらの試料スライドが自動封入装置10を用いて封入処理される。
【0037】
試料スライドの供給は、機械式でも手動式でも行うことができる。従って、自動封入装置10が別の処理装置とは連結されていないスタンドアローン稼動も、ワークステーション稼動も可能である。ワークステーション稼動において自動封入装置10は、特に自動染色装置に隣接して配置され、この際、試料スライドは、これらの試料スライド上に配置された薄切片が染色された後に、自動でラック16内に収容されて自動染色装置から自動封入装置10へ移行される。
【0038】
搬入区画14を介して搬入されたラック16は、これらのラック16の更なる処理に至るまで、キシレン(Xylol)で満たされたキシレン容器内に収容され、これらのキシレン容器の1つが例として符号18で示されている。更に自動封入装置10は移送ユニット20を有し、該移送ユニット20を用い、ラック16は自動封入装置10内において移送可能である。この移送ユニット20は、該移送ユニット20を用い、試料スライドの封入処理時に必要である自動封入装置10内のラック16の全ての移送プロセス(Transportvorgaenge)が実行可能であるように構成されている。特には、搬入区画14を介した搬入(インプット)から搬出区画(アウトプットコンパートメント;搬出ユニット)22を介した搬出(アウトプット)に至るまでのラック16の全ての移送プロセスを実行するために、唯一の移送ユニット20だけが必要である。
【0039】
自動封入装置10は、試料スライドを処理するための各々のモジュールを取り付ける(受容する)ために3つのモジュール取付(受容)領域24、26、28を有する。第1モジュール取付領域24内と第2モジュール取付領域26内には、図1に示された実施例では、試料スライド上に載置された薄切片を封入処理するための各々の封入モジュール30、32が取り付けられている。第3モジュール取付領域28内には品質監視モジュール34が配設されている。
【0040】
本発明の代替的な一実施形態では、モジュール取付領域24、26、28のうちの1つだけに封入モジュールを取り付け、他の両方のモジュール取付領域内に各々品質監視モジュールを取り付けることも可能である。或いはまた、モジュール取付領域24、26、28のうちの1つが使用されていない、即ち該モジュール取付領域内にはモジュールが取り付けられていないことも可能である。この場合、他の両方のモジュール取付領域内には、特に一方には封入モジュールが取り付けられ、他方には品質監視モジュールが取り付けられている。本発明の別の代替的な一実施形態では、モジュール取付領域24、26、28のうちの1つだけに封入モジュールを取り付け、他の2つのモジュール取付領域内にはモジュールを配設しないことも可能である。
【0041】
モジュール取付領域24、26、28は、特に支持プレート36により画定されており、該支持プレート36上にモジュール30、32、34が簡単に固定可能である。特にモジュール30、32、34或いは該モジュールの個々の構成要素は簡単にこの支持プレート36にネジ固定(ボルト固定)することができ、従ってモジュール30、32、34を容易に交換することができる。それによりモジュール30、32、34を用いた自動封入装置10の装備は、自動封入装置10のオペレータの個々の要求に簡単にマッチングすることができる。支持プレート36には特に複数の切欠き部を設けることができ、これらの切欠き部を通ってモジュール30、32、34の一部分が張り出し可能である。
【0042】
更に自動封入装置10は、図1では非図示であるが2つの封入剤貯蔵容器を含んで構成されることができ、この際、これらの封入剤貯蔵容器のうちの第1封入剤貯蔵容器は第1封入モジュール30と接続され、第2封入剤貯蔵容器は第2封入モジュール32と接続されている。両方の充填接続管38、40を介して互いに依存しないで両方の封入剤貯蔵容器に封入剤を充填することができる。第1封入剤貯蔵容器内に貯蔵されている第1封入剤は、特に非図示の第1ポンプを介して第1封入モジュール30へポンプ輸送される。それに対応し、第2封入剤貯蔵容器内に貯蔵されている第2封入剤は、第2ポンプを介して第2封入モジュール32へポンプ輸送される。
【0043】
図1に示されている実施例において両方の封入モジュール30、32は同じ構造であり、従って以下において例として第1封入モジュール30のために説明する内容は、対応して第2封入モジュール32にも当てはまるものとする。代替的な一実施形態では、両方の封入モジュール30、32を構造的に異なって構成することも可能である。
【0044】
第1封入モジュール30は取出ユニット42を含んで構成され、該取出ユニット42を用い、第1封入モジュール30に提供されたラック16内に収容されている試料スライドの1つが相前後してこのラック16から取り出される。引き続き、中空針44を用い、予設定された量の第1封入剤が試料スライド上において薄切片の範囲に塗布される。引き続き、吸盤ユニット46がカバーガラス貯蔵容器50からカバーガラス48を取り出し、このカバーガラス48を用いて薄切片をカバーする。引き続き、封入処理された試料スライドは取出ユニット42を介して再びラック16内へ戻され、この際、試料スライドは、以前に収容されていた収容棚と同じ収容棚へ運ばれる。引き続き、ラック16は、該ラック16から次の試料スライドが取出ユニット42を用いて封入処理のために取り出すことのできる範囲へ移動される。
【0045】
2つの封入剤貯蔵容器を設けることにより、2つの封入モジュール30、32を互いに依存しないで稼動させることができる。即ち一方の封入モジュールは他方の封入モジュールと同時に試料スライドを封入処理することができる。特にそれにより、2種類の異なる封入剤を各々の封入剤貯蔵容器内に貯蔵させることができ、従ってもしも薄切片に応じて異なる封入剤が必要とされる場合には、1つだけの封入モジュールを含んでいる既知の自動封入装置のように封入剤を交換することは必要ではない。
【0046】
搬入区画14は読取ユニットを含んで構成され、該読取ユニットを用い、ラック16に装着されている情報担体(例えばバーコードやRFIDなど)の情報を読み出すことができる。これらの情報は、特にラック16の一義的な識別(特定 Identifizierung)のための情報を含んでいる。情報担体から読み出された情報に依存し、自動封入装置10の制御ユニット52が、どの封入剤を用い、該当ラック16内に収容されている試料スライドを封入処理すべきかを検出する。それに対応し、制御ユニット52は、移送ユニット20が該当する正しい封入剤を使用している封入モジュールへラック16を移送するように該移送ユニット20を駆動制御する。従って、互いに並行して作動する両方の封入モジュール30、32に対するラック16の割り当てを、手動選択の必要性を伴うことなく自動的に行うことができる。制御ユニット52内には特にデータベースが保存されており、該データベース内には、各ラック16のために、どの封入剤が使用されなくてはならないかに関する情報(データ)が各ラック16に対して一義的に割り当てられて保存されている。読み出された情報を介し、制御ユニット52はラック16を一義的に識別することができ、従って、どの封入剤が使用されなくてはならないかに関する情報(データ)をデータベースから読み出すことができる。
【0047】
代替的な一実施形態では、ラック16の情報担体上に記憶された情報が、どの封入剤が使用されなくてはならないかに関する情報(データ)をも既に含んでいる。この場合、対応するデータベースを制御ユニット52内に設ける必要はない。
【0048】
移送ユニット20は、特には互いに直角に配向された3つの軸線を有するリニア移送機構として構成されており、従って該リニア移送機構を用い、自動封入装置10内の全ての経路の移送を行うことができる。従って移送ユニット20は、特に搬入区画14からモジュール取付領域24、26、28の各々へダイレクトに到達可能であり、それによりラック16をモジュール取付領域24、26、28のうちの1つへダイレクトに供給することができ、この際、ラック16を予め他のモジュール取付領域24、26、28のうちの1つへ供給する必要はない。従って、モジュール取付領域24、26、28内に取り付けられているモジュール30、32、34が互いに完全に依存しないで稼動可能であることが保証される。
【0049】
封入モジュール30、32のうちの1つに取り入れられているラック16の全ての試料スライドの封入処理が終了した後に、移送ユニット20は、このラック16を再び封入モジュールから取り出し、そしてこのラック16を、図1では非図示の乾燥ユニットへ供給する。乾燥ユニットを介し、封入剤から湿分(即ち溶剤)が除去され、従って封入剤はより迅速に乾き、カバーガラスが信頼性をもって試料スライドに付着し、試料スライドの更なる処理(取り扱い)においてカバーガラスが滑って位置をずらしてしまうことはない。乾燥ユニットは、特に乾燥室(乾燥チャンバ)を含んで構成され、該乾燥室内には複数のラック16を同時に収容することができ、またヒータ要素を用いて予設定された温度へ加熱された空気流が該乾燥室を通って案内されており、従って、該空気流内に配置された試料スライドは、信頼性をもって迅速に且つ適切に(処理対象に悪影響を及ぼさないように schonend)乾燥される。
【0050】
乾燥処理後に移送ユニット20はラック16を乾燥ユニットから取り出し、該ラック16を、第3モジュール取付領域28内に取り付けられている品質監視モジュール34へ供給する。この品質監視モジュール34はカメラを含んで構成され、該カメラは、各試料スライドの封入処理済みの少なくとも1つの薄切片の結像画像を有する少なくとも1つの画像を記録する。この結像画像に依存して封入品質が検出される。特に制御ユニット52内には該制御ユニット52により処理される画像処理アルゴリズムが保存されており、該画像処理アルゴリズムを用い、薄切片、カバーガラス、及び/又は試料スライドにおける損傷や、カバーガラスと試料スライドとの間の封入空気や、薄切片の間違った染色などが検出可能である。試料スライドの封入品質が予設定された最低条件に対応しないことを品質監視モジュール34が検出した場合には、特にこのことに関した情報を有するデータが自動封入装置10のオペレータに対して出力(通知)される。
【0051】
ラック16内に収容されている全ての試料スライドが品質監視モジュール34によりその封入品質に関して検査された後に、移送ユニット20は該ラック16を、再び該ラック16内に収容された試料スライドと共に搬出区画22へ移送し、従ってオペレータが該ラック16を取り出すことができる。或いはラックの取り出しを自動で行うこともできる。搬出区画22は、特に引き出し状に構成されており、従ってラック16の簡単な取り出しが可能である。
【0052】
本発明の代替的な一実施形態では、乾燥ユニットを設けなくてもよい。この場合、ラック16は、封入処理の後に(移送ユニット20を用い)封入モジュール30、32を介してダイレクトに品質監視モジュール34へ供給される。
【0053】
3つのモジュール取付領域24、26、28は、特に上側レベルにおいて互いに並列に配設されており、この上側平レベルにおいてそれらのモジュール取付領域の他には制御ユニット52だけが配設されている。それに対して搬入区画14と搬出区画22と乾燥ユニットとは、上側レベルの下側に配設された下側レベルに配設されており、従って、一方では特にコンパクトな構造が達成され、他方では、上側に配設されたモジュール取付領域24、26、28が容易にアクセス可能(手の届くこと)であることが保証されており、それによりモジュール30、32、34を容易に交換することができる。
【0054】
尚、本発明の全開示(請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、更にその基本的技術思想に基づき、実施形態ないし実施例の変更、調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において、種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。即ち本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想に従い、当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
10 自動封入装置
12 ハウジング
14 搬入区画(インプットコンパートメント;搬入部)
16 ラック
18 キシレン容器
20 移送ユニット
22 搬出区画(アウトプットコンパートメント;搬出部)
24、26、28 モジュール取付領域
30、32 封入モジュール
34 品質監視モジュール
36 支持プレート
38、40 充填接続管
42 取出ユニット
44 中空針
46 吸盤ユニット
48 カバーガラス
50 カバーガラス貯蔵容器
52 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料スライドの処理装置であって、
試料スライド上に配置された薄切片を封入剤とカバーガラス(48)を用いて封入処理するための封入モジュール(30)が取り付けられている第1モジュール取付領域(24)と、試料スライドを処理するための少なくとも1つのモジュールを取り付けるために少なくとも1つの第2モジュール取付領域とを備えており、
当該該処理装置は、双方のモジュール取付領域が受容されるハウジングを含んで構成され、
当該処理装置は二レベル構造であり、該二レベル構造において上側レベルには、前記モジュール取付領域が配設されており、前記上側レベルの下側に配設されている下側レベルには、前記モジュール取付領域内に配設される全ての封入モジュールにより共通して使用可能であるユニット(14、22)が配設されていること
を特徴とする処理装置。
【請求項2】
試料スライドが収容されているラック(16)を供給するための搬入区画(14)と、ラック(16)を移送するための移送ユニット(20)と、該移送ユニット(20)を制御するための制御ユニット(52)とが設けられていること、
該移送ユニット(20)を用い、前記搬入区画(14)を介して搬入されたラック(16)が前記搬入区画(14)から、前記第1モジュール取付領域(24)内に取り付けられている封入モジュール(30)へダイレクトに移送可能であること、及び、
該移送ユニット(20)を用い、前記搬入区画(14)を介して搬入されたラック(16)が前記搬入区画(14)から、前記第2モジュール取付領域内に取り付けられている試料スライドを処理するための少なくとも1つのモジュールへダイレクトに移送可能であること
を特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記封入モジュール(30)は第1封入モジュールであること、及び、
前記第2モジュール取付領域内には、試料スライドを処理するためのモジュールとして、試料スライド上に配置された薄切片を封入剤とカバーガラス(48)を用いて封入処理するための第2封入モジュール(32)が取り付けられること
を特徴とする、請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記第2モジュール取付領域内には、試料スライドを処理するためのモジュールとして、試料スライド上に載置された薄切片の品質を監視する及び/又は封入品質を監視するための品質監視モジュール(34)が取り付けられること
を特徴とする、請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項5】
前記品質監視モジュール(34)はカメラを含んで構成され、該カメラは、薄切片が配置される試料スライドの少なくとも1つの部分領域の結像画像を有する少なくとも1つの画像を記録すること
を特徴とする、請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
制御ユニット(52)が、保存されている少なくとも1つの画像処理アルゴリズムを処理すること、
該制御ユニット(52)は、該画像処理アルゴリズムを用い、記録された画像に依存し、薄切片の染色品質、薄切片及び/又はカバーガラス(48)の機械的な損傷、試料スライド上の薄切片の相対位置、及び/又は、試料スライドとカバーガラス(48)との間の封入空気を検出すること
を特徴とする、請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
前記制御ユニット(52)は前記移送ユニット(20)を、前記移送ユニット(20)が、前記第1モジュール取付領域(24)内に取り付けられている前記封入モジュール(30)により試料スライドを封入処理した後に、ラック(16)を該ラックの試料スライドと共に前記第1モジュール取付領域(24)から前記第2モジュール取付領域へ移送するように駆動制御する、及び/又は、
前記制御ユニット(52)は前記移送ユニット(20)を、前記移送ユニット(20)が、前記第2モジュール取付領域内に取り付けられている試料スライドを処理するためのモジュールにより試料スライドを処理した後に、ラック(16)を該ラックの試料スライドと共に前記第2モジュール取付領域から前記第1モジュール取付領域(24)へ移送するように駆動制御すること
を特徴とする、請求項2〜6のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項8】
前記第1封入モジュール(30)を用いて試料スライド上に塗布可能である第1封入剤を保管するための第1封入剤貯蔵容器と、前記第2モジュール取付領域内に配設可能である第2封入モジュール(32)を用いて試料スライド上に塗布可能である第2封入剤を保管するための第2封入剤貯蔵容器とが設けられていること
を特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項9】
前記第1封入モジュール(30)を用いて試料スライド上に載置可能であるカバーガラス(48)を保管するための第1カバーガラス貯蔵容器(50)と、前記第2モジュール取付領域内に配設可能である第2封入モジュール(32)を用いて試料スライド上に載置可能であるカバーガラスを保管するための第2カバーガラス貯蔵容器とが設けられていること
を特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項10】
試料スライドを処理するための他のモジュールを取り付けるために第3モジュール取付領域が設けられていること
を特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項11】
前記第2モジュール取付領域内には、試料スライドを処理するためのモジュールとして、試料スライド上に配置された薄切片を封入剤とカバーガラス(48)を用いて封入処理するための第2封入モジュール(32)が取り付けられていること、及び、
前記第3モジュール取付領域内には、試料スライド上に載置された薄切片の品質を監視する及び/又は封入品質を監視するための品質監視モジュール(34)が取り付けられていること
を特徴とする、請求項10に記載の処理装置。
【請求項12】
前記移送ユニット(20)は、該移送ユニットを用い、ラック(16)が前記搬入区画(14)と前記第3モジュール取付領域との間において、前記第1モジュール取付領域(24)と前記第3モジュール取付領域との間において、及び/又は、前記第2モジュール取付領域と前記第3モジュール取付領域との間においてダイレクトに移送可能であるように構成されていること
を特徴とする、請求項10又は11に記載の処理装置。
【請求項13】
乾燥ユニットが設けられており、該乾燥ユニットを用い、前記第1封入モジュール(30)を用いて封入処理された試料スライドからも、前記第2封入モジュール(32)を用いて封入処理された試料スライドからも、封入剤の湿分が除去可能であること、及び/又は、ラック(16)を搬出するための搬出区画(22)が設けられていること
を特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項14】
前記搬入区画(14)を介して搬入されたラック(16)に装着される情報担体から情報を読み出すための読取ユニットが設けられていること、及び、
前記制御ユニット(52)は、それらの読み出された情報に依存し、モジュール取付領域内に配設されているモジュールのどのモジュール或いはどれらのモジュールへラック(16)を移送すべきなのか、及び/又は、前記モジュール取付領域内に取り付けられているモジュールの少なくとも2つへどの順番でラック(16)を相前後して供給すべきなのかを決定すること
を特徴とする、請求項2〜13のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項15】
当該処理装置は二レベル構造であり、該二レベル構造において、前記搬入区画(14)、前記読取ユニット、前記乾燥ユニット、及び/又は前記搬出区画(22)は第1レベルに配設されており、前記モジュール取付領域は第2レベルに配設されていること
を特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の処理装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−242829(P2012−242829A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109130(P2012−109130)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(500113648)ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー (45)
【Fターム(参考)】