説明

2つの滑動スリーブに当接するオフセットされた座面を有する空圧ブレーキブースタ

【課題】自動車のための空圧ブレーキブースタの軸方向入口弁のための横断密封要素の取り付け性を改善する。
【解決手段】空圧ブレーキブースタ10は剛性ケーシング12を備え、その内部で移動できる移動隔壁14が装備され、この移動隔壁が移動ピストン22に固定され、移動ピストンは第1及び第2スリーブ136,142に当接するオフセットされた座面を有する入口弁52及び再平衡弁50を備え、第1スリーブは前記移動ピストン内で、前記第1スリーブと前記移動ピストンの間に介挿された第1バヨネット固定手段154によって決定された移動距離dだけ滑動できるように取り付けられ、それらは前記第2スリーブによって回転が固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のための空圧ブレーキブースタに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、より詳細には自動車のための空圧ブレーキブースタに係り、この形式のブレーキブースタは、剛性ケーシングを備え、その内部で移動できる移動隔壁が装備され、この移動隔壁は第1圧力がかかる前方チャンバと第2圧力がかかる後方チャンバとを密封状態で区画し、前記第2圧力は前記第1圧力と第1圧力よりも高い圧力との間で変化し、反力ディスクを介してブースタに付随するマスターシリンダの作動ロッドに作用できる形式の自動車のための空圧ブレーキブースタであって、ブースタは、前記ケーシング内に滑動可能に取り付けられ前記移動隔壁に固定された管状の移動ピストンを備えており、前記ブースタは、戻しバネによってロッドにはたらく戻し力の作用に対抗して前方に向かう軸方向入力の関数として選択的にピストン内で移動する制御ロッドを備え、前記制御ロッドの移動は、前記第1圧力よりも高い圧力がかかる圧力源と前記後方チャンバとの間に介在する少なくとも1つの軸方向入口弁(axial inlet valve)、及び前記移動隔壁を作動させるために前記入口弁に対して軸方向にずれていて(offset)、記前方チャンバと後方チャンバとの間に介在する少なくとも1つの軸方向再平衡弁(axial re-equalizing valve)の開閉をそれぞれ決定することができ、前記ピストン内に滑動自在に取り付けられ、前記移動隔壁を貫通して前記制御ロッドの端部に固定されたプランジャは、前記反力ディスクを介して前記マスターシリンダの前記作動ロッドに直接作用することができ、
前記ブースタは、前記プランジャの後方端部に固定された前記軸方向入口弁のための第1横断密封要素と、前記移動隔壁の後面の少なくとも一部からなる前記軸方向再平衡弁のための第1相補的横断密封要素を備えている。
【0003】
上記した形式のブースタの様々な例が公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのようなブースタにおいて、軸方向入口弁のための第1横断密封要素は一般的にプランジャの後方端の筒状面にかしめられた(crimped)カップからなる。ブースタが製造される時に、このカップを取り付けるには大きな困難を伴う。
【0005】
なぜならこのカップは、入口弁の十分な開放を補償するためにプランジャに対して所望の軸方向位置に固定される必要があるからである。
さて、かしめ作業は一般的に軸方向隙間を生み出してしまう結果となり、これはプランジャに対するカップの軸方向の厳しい位置決めの厳守に対して有害となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この不利な点を取り除くために、本発明は新規なブースタ設計を提案し、それによって軸方向入口弁のための第1横断密封要素がプランジャに対して特定の軸方向位置に取り付けられる。
【0007】
このために、上記形式のブースタを提案するものであり、このブースタは、
前記移動ピストン内で前記プランジャの周りに固定された第1管状スリーブであって、前記移動隔壁から弾性的に離れるように戻され、その横断面が前記軸方向入口弁のための前記第1横断密封要素を備えた第1管状スリーブと、
前記第1スリーブを囲む浮動第2管状スリーブであって、それは前記移動ピストンに関して軸方向に移動でき、前記移動隔壁に向かって弾性的に戻され、その後方内側横断面は前記軸方向入口弁のための相補的第2密封要素を備え、その前方外側横断面は前記再平衡弁のための相補的な外側第2横断密封要素を備える第2管状スリーブとを備え、
前記第1スリーブは前記移動ピストン内で、前記第1スリーブと前記移動ピストンの間に介挿された第1バヨネット固定手段(first bayonet -fitting means)によって決定される移動距離だけ滑動できるように取り付けられ、それらは前記第2スリーブによって回転が固定されている。
【0008】
本発明の他の特徴としては、
前記移動ピストンは、前記第1スリーブ及び前記第2スリーブの半径方向の間に介挿される管状案内面を備え、
前記管状面は、前記管状面の半径方向両側に開口し、前記管状面の後方に向かって軸方向に開口するスロットを備え、それは第1バヨネット固定手段を形成するために前記第1スリーブの半径方向外側に突出するフィンガ(finger)と協働するようになっており、更に前記第1バヨネット固定手段を固定するために前記第2スリーブの半径方向内側に突出するリブと協働するようになっており、
前記スロットは、
前記フィンガ及び/又は前記リブの幅に対応する幅の第1トラックであって、前記移動ピストンの前記管状面の後方に開口する第1トラックと、
前記第1トラックと連通し、前記第1トラックと共通の縁部を有し、前記フィンガ又は前記リブの幅の2倍に対応し、前記フィンガを角度方向に固定するために前記フィンガとリブを受け入れるようになっている第2トラックを備え、
前記第2スリーブは前端フランジを備え、その外側横断面は前記移動隔壁を貫通する少なくとも1つの通路ダクトを遮断するようになっている軸方向再平衡弁のための第2相補的横断密封要素を備え、その後端は軸方向再平衡弁のための第1横断密封要素を備え、
前記前方フランジは、前記横断面の前方に環状周縁を備え、それは前記第2バヨネット固定手段によって固定されるワッシャ182を受け入れ、
前記フランジの前記環状周縁は、内側に向いて等角度間隔に配置された少なくとも3つの半径方向突起を備え、前記ワッシャは第2バヨネット固定手段を形成するために外側に向いて等角度間隔に配置された少なくとも3つの相補的半径方向突起を備え、
前記軸方向入口弁のための前記第1密封要素は、前記第1スリーブの外側後方横断面からなり、
前記軸方向入口弁のための前記第2密封要素は、環状の前記第2スリーブの後方壁の内側前方面に固定された環状シールからなり、
前記軸方向再平衡弁のための前記第1密封要素は、前記移動隔壁を貫通する通路ダクトの後方端の少なくとも周縁からなり、
前記プランジャの後方端は、前記プランジャに対して前記第1スリーブを固定するのに所望の軸方向位置を提供するために、前記第1スリーブに形成される凹状の円錐台面と協働しようとする凸状の円錐台面を備えている。
【0009】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細説明を読み、その理解のために参照されるであろう添付図面から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の説明において、同じ参照番号は同じか或いは同様の機能を有する部品を示している。
取り決めとして、図1〜図6それぞれにおいて、前方、後方、上方及び下方という語句はそれぞれ、左方、右方、上及び下に向いた要素或いは位置を示している。
【0011】
図1は、自動車のための従来の空圧ブレーキブースタ10の詳細を示している。
公知の態様で、そのようなブースタ10は剛性ケーシング12を備えており、その内部では横断隔壁14が移動できるようになっており、この横断隔壁は第1圧力Pがかかる前方チャンバ16と第2圧力Pがかかる後方チャンバ18とを密封状態で区画し、第2圧力Pは第1圧力Pと第1圧力Pよりも高い圧力Pとの間で変化し、横断隔壁の移動は反力ディスク32を介してブースタ10に付随するマスターシリンダ(図示略)の作動ロッド28に作用できる。
【0012】
知られた態様で、ブースタ10はケーシング内に滑動可能に取り付けられ移動隔壁14に固定された管状の移動ピストン22を備えている。ブースタ10は、戻しバネ40を介してロッド38にはたらく戻し力の作用に対抗して前方に向かって働く軸方向入力の関数として選択的にピストン22内で移動する制御ロッド38を備えている。
【0013】
制御ロッド38の移動は、第1圧力よりも高い圧力Pがかかる圧力源と後方チャンバ18との間に介在する少なくとも1つの軸方向入口弁52、及び移動隔壁14を作動させるために入口弁52に対して軸方向にずれていて前方チャンバ16と後方チャンバ18との間に介在する少なくとも1つの軸方向再平衡弁50の開閉をそれぞれ決定することができる。
【0014】
制御ロッド38の端部に固定されたプランジャ46は、ピストン22内に滑動自在に取り付けられ、移動隔壁14を貫通している。このプランジャ46は、フィーラ(feeler)のような形状で移動ピストン22を貫通する端部34を備え、それは反力ディスク32を介してマスターシリンダの作動ロッド28に直接作用することができる。
【0015】
プランジャ46の後方端部には、軸方向入口弁52のための第1横断密封要素86を備え、移動隔壁の後面90の少なくとも一部は軸方向再平衡弁50のための第1相補的横断密封要素88を備えている。
【0016】
更に、ブースタ10はプランジャ46の外側に浮動管状要素76を備えており、それは軸方向に移動でき且つ移動隔壁14に向かって弾性的に戻される。要素76の軸方向にずらされた横断面78,80はそれぞれ、軸方向入口52と再平衡弁50のための相補的第2密封要素82,84を備えている。
【0017】
更に、移動隔壁14は外部スカート13を備えており、その後面90の一部は軸方向再平衡弁50のための第1相補的横断密封要素88を備え、外部スカート13の穴17を通して取り付けられた管状内部スリーブ管15が固定され、内側スリーブ管15は反力ディスク32を受け入れ、プランジャ46も内部で滑動自在に取り付けられている。
【0018】
環状内側スリーブ管15は、スカート13の穴17を貫通する後方管状面98と、例えば溶接などによりスカート13の前面23に固定される横断前方固定フランジ21を備えている。
【0019】
軸方向入口弁52のための第2密封要素82は、浮動管状要素76の後端に滑動自在に取り付けられた管状スリーブ92に当接しているシールからなる。
浮動管状要素76は、概ね筒状のピストン22内の中間部分96と管状内部スリーブ管15の管状面の周りに滑動自在に取り付けられてプランジャ46を滑動自在に受け入れる管状中間部分94を備えている。管状面98は移動隔壁14のスカート13の後面90から実質的に軸方向に延びている。
【0020】
浮動管状要素76はまた、中間部分94の直径よりも大きな直径の前方端管状部100を備え、それはピストン22と移動隔壁とが出会う場所に位置するピストン22の穴のあいた前方部102内に収容されている。前方部100は内部にシールを受け入れ、その前面は再平衡50のための第2密封要素を形成する。第2密封要素84はスカート13の後面90の一部と協働して再平衡弁50の第1密封要素を形成し、それは管状スリーブ管15の内部に設けられて前方チャンバ16と後方チャンバ18との間の連通を提供する複数の連通穴106の半径方向外側に配置され、従って前方チャンバ16と後方チャンバ18との間の連通を遮断するためにスカート13の穴17の半径方向外側にある。
【0021】
最後に浮動管状要素76は、中間部分94の直径よりも小さな直径の後方端管状部分108を備え、それは管状スリーブ92を内部に受け入れ、その前方端横断面78は入口弁52のための第2密封要素82を形成するシール82に当接し、それはプランジャ46に当接する第1密封要素86と協働するようになっている。スリーブ92の内孔110は第1圧力Pよりも高い圧力Pがかかる圧力源と連通するピストン22の軸方向入口ダクト112を密封状態で囲む。
【0022】
有利な点として、要素76を移動隔壁14に向けて弾性的に戻すために、中間管状部分94と管状要素の後方端管状部分108とを区画する肩面120は戻しバネ122の端部に当接し、その他端は管状ピストン22の肩面124に当接している。
【0023】
所望の直径を有するピストン22の中間部分96は、所望の直径より小さな直径の入口ダクト112を備え、これらは一体的な部品として形成され、入口ダクト112は一体的な部品として形成される横断壁126を介して中間部分96に接続され、その前面は肩面124を形成し、これに管状要素戻しバネ122が当接し、その後面も肩面128を形成し、これに制御ロッド38を戻す戻しバネ40が当接する。
【0024】
プランジャ46は非作動位置においてラジアルストッパピン134によって端部ストッパに対して戻され、ピストン22の外に出るその端部136はブースタ10のケーシング12に当接できる。ピン134はプランジャ46、管状内部スリーブ管15の管状面98、要素76及びピストン22の直径方向の両側の2つのスロットを貫通し、再平衡弁50が開いた場合に更に後方チャンバ18から前方チャンバ16へ空気を通過させるか、或いは入口弁52が開いた場合にダクト112から来る空気を外部周囲から通過させる。
【0025】
軸方向入口弁のための第1横断密封要素86は、筒状プランジャ46の後端における例えばかしめ作業の間にきつく取り付けられるカップ130の後面からなる。
入口弁52のための第1密封要素を形成するカップ130の横断後面86は、第2横断密封要素を形成するシール82と反対に延びる。
【0026】
そのようなブースタ10は動作する態様は先行技術から知られているので、ここでの説明での残りでは詳しい説明は行わない。
そのようなブースタ10の不利な点は、ブースタを組み立てる場合にカップ130を取り付けるのが大変困難である点である。
【0027】
これは、入口弁52の満足できる開放を補償するために、このカップが所望の軸方向位置でプランジャ46に固定されなければならないからである。
さて、かしめ工程では一般的に軸方向隙間を持ち込むが、これはプランジャ46に対するカップ130の厳格な軸方向位置決めの厳守には不都合である。
【0028】
このような不利益を取り除くために、本発明はブースタの新規な設計を提案し、その設計では軸方向入口弁52のための第1横断密封要素82は、プランジャ46に対して特定の軸方向位置に取り付けられる。
【0029】
このため、図4〜図6に示すように、本発明は先行技術のそれと同様の管状設計に依存するブースタ10を提案する。既に説明したブースタ10と同様の態様において、本発明に係るブースタ10は、プランジャ46の後端48に固定された軸方向入口弁52のための第1横断密封要素132と、移動隔壁14の後面の少なくとも一部からなる軸方向再平衡弁50のための相補的第1横断密封要素134を備えている。
【0030】
しかし、本発明によればブースタ10は、
移動ピストン22内で例えば戻しバネ138によって移動隔壁14から離れるように弾性的に戻されるプランジャ46の周りに固定された第1管状スリーブ136であって、その横断面140は軸方向入口弁52のための第1横断密封要素を備えた第1管状スリーブ136と、
第1スリーブ136を囲む第2浮動管状スリーブ142であって、それは移動ピストン22に対して軸方向に移動でき、移動隔壁14に向かって弾性的に戻され、その後方内部横断面144は軸方向入口弁のための相補的第2密封要素146を備え、その前方外部横断面148は再平衡弁50のための相補的な第2外側密封要素150を備えている。
【0031】
第2スリーブ142は、第2スリーブ142の外側に配置されて第2スリーブ142とブースタ10のケーシング12の間に介挿された戻しバネ152によって移動隔壁に向けて戻される。
【0032】
軸方向入口弁のための相補的第2密封要素146は、例えば第2スリーブ142の後方内側横断面144に固定されたシールからなる。
再平衡弁50のための相補的な第2外側密封要素150については、この説明の後でより詳細に説明する。
【0033】
本発明によれば、第1スリーブ136は、第1スリーブ136と移動ピストン22の間に介挿される第1バヨネット固定手段154によって決定される移動距離dだけ移動ピストン22内を滑動できるように取り付けられ、それは第2スリーブ142によって回転に対して固定されている。
【0034】
スリーブ136の滑動を案内するために、移動ピストン22は第1スリーブ136と第2スリーブ142の間に半径方向に介挿されている環状案内面156を備えている。
この管状面156は、管状面156の半径方向両側と面156の後方160に向かって軸方向に開口するスロット158を備えており、それは第1バヨネット固定手段154を形成するために第1スリーブ136の半径方向外側に突出するフィンガ162と協働するようになっている。
【0035】
スロット158も、第1バヨネット固定手段154を固定するために、第2スリーブの半径方向内側に突出するリブ164と協働するようになっている。
このため、バヨネット固定手段154の組み立て前及び組み立て後のそれぞれのブースタを示す図2及び3、より詳しくは図7に示すように、スロット158は、
フィンガ162及び/又はリブ164の幅に対応する幅Lの第1トラック166であって、移動ピストン22の管状面156の後方160に開口する第1トラック166と、
第1トラック166と連通し、第1トラック166と共通の縁部170を有し、フィンガ162及び/又はリブ164の幅Lの2倍に対応する幅Lで、フィンガを角度方向に固定するためにフィンガ162とリブ164を受け入れるようになっている第2トラック168を備えている。一旦取り付けられると、フィンガ162は移動距離dだけ第2トラック内を移動できる。
【0036】
第2スリーブ142が前端フランジ172を備えることが有利であり、その外側横断面148は、移動隔壁14を貫通する少なくとも1つの通路ダクト176を遮断しょうとする軸方向再平衡弁50のための第2相補的横断密封要素150を備えており、その後端178は軸方向再平衡弁50のための第1横断密封要素134を備えている。
【0037】
より詳しくは、軸方向再平衡弁50のための第1密封要素134は、移動隔壁14を貫通する通路ダクト176の後端178の少なくとも周辺部からなる。
ダクト176に向いて、前方フランジ172は横断面174の前方に第2バヨネット固定手段184によって係止されるワッシャ182を受け入れる環状周縁180を備えている。
【0038】
このため、フランジ172は内側に面して等角度で分布する少なくとも3つの半径方向突起185を備え、ワッシャ182は第2バヨネット固定手段184を形成するために外側に向いて等間隔で配置される少なくとも3つの相補的な半径方向突起(図示略)を備えている。
【0039】
代替案として、ワッシャは同様な相補的な半径方向突起を持たなくても、各半径方向突起185の間の変形によって直接取り付けることができる。
この設計は再平衡弁50のための密封手段を大変簡単な方法で製造することを可能とする。
【0040】
同様に、軸方向入口弁52のための第1密封要素132は、第1スリーブ136の外側後方横断面140からなる。
最後に、第1スリーブ136をプランジャ46に容易に固定し、プランジャ46に対してその軸方向位置を精密に決定するために、プランジャ46の後端48は第1スリーブ136に形成されている凹状の円錐台面188と協働するようになっている凸状の円錐台面186を備えている。第1スリーブ136は、プランジャ46の後面にきつく取り付けられるか或いはネジ止めされている。
【0041】
この構成において、ブースタ10は図4から図6に示すように3つの作動状態を取ることができる。図において入口弁52が閉じて再平衡弁50が開いた非作動位置から開始して、図5に示すように、ロッド38へのブレーキ力の付与がブレーキ力を掛けるための準備の位置へ切り替え、その位置では再平衡弁50が閉じて入口52も閉じたままである。
【0042】
そして、力がロッド38に加わり続けている場合には、ブースタは図6に示すようにブレーキ力を掛けるための位置へと切り替わり、その位置で再平衡弁50は閉じたままであり入口弁52は開く。
【0043】
制御ロッドを開放した場合は入口弁52が閉じ、図4の非作動位置へ戻るために再平衡弁が開く。
本発明はこうして、プランジャと当接する入口弁52のための第1密封要素の組み立てを簡素化することができ、同時に特に小型のオフセットされた入口弁52及び再平衡弁50を備えるブースタ10を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】従来のブースタの詳細図を示す。
【図2】本発明に係るブースタの組み立て前の詳細斜視図を示す。
【図3】本発明に係るブースタの組み立て後の詳細斜視図を示す。
【図4】ブースタが非作動位置或いは解放位置で作動し、入口弁が閉じて再平衡弁が開いている場合を示す軸方向断面図である。
【図5】ブースタがブレーキ力をかけるための準備位置で作動し、入口弁が閉じて再平衡弁が閉じている場合を示す軸方向断面図である。
【図6】ブースタがブレーキ力をかけるための位置で作動し、入口弁が開いて再平衡弁が閉じている場合を示す軸方向断面図である。
【図7】第1バヨネット固定手段の詳細斜視図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性ケーシング12を備え、その内部で移動できる移動隔壁14が装備され、この移動隔壁は第1圧力Pがかかる前方チャンバ16と第2圧力Pがかかる後方チャンバ18とを密封状態で区画し、前記第2圧力Pは前記第1圧力Pと第1圧力Pよりも高い圧力Pとの間で変化し、前記移動隔壁の移動は反力ディスク32を介してブースタ10に付随するマスターシリンダの作動ロッド28に作用できる形式の自動車のための空圧ブレーキブースタ10であって、
前記ブースタ10は、前記ケーシング12内に滑動可能に取り付けられ前記移動隔壁14に固定された管状の移動ピストン22を備えており、
前記ブースタ10は、戻しバネ138によって制御ロッド38にはたらく戻し力の作用に対抗して前方に向かう軸方向入力の関数として選択的にピストン22内で移動する制御ロッド38を備え、
前記制御ロッド38の移動は、前記第1圧力Pよりも高い前記圧力Pがかかる圧力源と前記後方チャンバ18との間に介在する少なくとも1つの軸方向入口弁52、及び前記移動隔壁14を作動させるために前記入口弁52に対して軸方向にずれていて前記前方チャンバ16と後方チャンバ18との間に介在する少なくとも1つの軸方向再平衡弁50の開閉をそれぞれ決定することができ、
前記ピストン22内に滑動自在に取り付けられ、前記移動隔壁14を貫通して前記制御ロッド38の端部に固定されたプランジャ46は、前記反力ディスク32を介して前記マスターシリンダ13の前記作動ロッド28に直接作用することができ、
前記ブースタ10は、前記プランジャ46の後方端部48に固定された前記軸方向入口弁52のための第1横断密封要素132と、前記移動隔壁14の後面90の少なくとも一部からなる前記軸方向再平衡弁50のための第1相補的横断密封要素134と、
前記移動ピストン22内で前記プランジャ46の周りに固定された第1管状スリーブ136であって、前記移動隔壁14から弾性的に離れるように戻され、その横断面140が前記軸方向入口弁52のための前記第1横断密封要素132を備えた第1管状スリーブ136と、
前記第1スリーブ136を囲む浮動第2管状スリーブ142であって、それは前記移動ピストン22に関して軸方向に移動でき、前記移動隔壁14に向かって弾性的に戻され、その後方内側横断面144は前記軸方向入口弁52のための相補的第2密封要素146を備え、その前方外側横断面148は前記再平衡弁50のための相補的な外側第2横断密封要素150を備える第2管状スリーブ142とを備え、
前記第1スリーブ136は前記移動ピストン22内で、前記第1スリーブ136と前記移動ピストン22の間に介挿された第1バヨネット固定手段154によって決定された移動距離dだけ滑動できるように取り付けられ、それらは前記第2スリーブ142によって回転が固定されている、
空圧ブレーキブースタ。
【請求項2】
前記移動ピストン22は、前記第1スリーブ136及び前記第2スリーブ142の半径方向の間に介挿される管状案内面156を備える、請求項1に記載の空圧ブレーキブースタ10。
【請求項3】
前記管状面156は、前記管状面156の半径方向両側に開口し、前記管状面156の後方160に向かって軸方向に開口するスロット158を備え、それは第1バヨネット固定手段154を形成するために前記第1スリーブ136の半径方向外側に突出するフィンガ162と協働するようになっており、更に前記第1バヨネット固定手段154を固定するために前記第2スリーブ142の半径方向内側に突出するリブ164と協働するようになっている、請求項2に記載の空圧ブレーキブースタ10。
【請求項4】
前記スロット158は、
前記フィンガ162及び/又は前記リブ164の幅に対応する幅の第1トラック166であって、前記移動ピストン22の前記管状面156の後方160に開口する第1トラック166と、
前記第1トラック166と連通し、前記第1トラック166と共通の縁部170を有し、前記フィンガ162又は前記リブ164の幅Lの2倍に対応する幅Lで、前記フィンガを角度方向に固定するために前記フィンガ162とリブ164を受け入れるようになっている第2トラック168を備える、請求項3に記載の空圧ブレーキブースタ10。
【請求項5】
前記第2スリーブ142は前端フランジ172を備え、その外側横断面148は前記移動隔壁を貫通する少なくとも1つの通路ダクト178を遮断するようになっている軸方向再平衡弁50のための第2相補的横断密封要素150を備え、その後端178は軸方向再平衡弁50のための第1横断密封要素134を備えている、請求項2〜4の何れか一項に記載の空圧ブレーキブースタ10。
【請求項6】
前記前方フランジ172は、前記横断面172の前方に環状周縁180を備え、それは前記第2バヨネット固定手段184によって固定されるワッシャ182を受け入れる、請求項5に記載の空圧ブレーキブースタ10。
【請求項7】
前記フランジ172の前記環状周縁180は、内側に向いて等角度間隔に配置された少なくとも3つの半径方向突起185を備え、前記ワッシャ182は第2バヨネット固定手段184を形成するために外側に向いて等角度間隔に配置された少なくとも3つの相補的半径方向突起を備えている、請求項6に記載の空圧ブレーキブースタ10。
【請求項8】
前記軸方向入口弁52のための前記第1密封要素132は、前記第1スリーブ136の外側後方横断面140からなる、請求項1〜7の何れか一項に記載の空圧ブレーキブースタ10。
【請求項9】
前記軸方向入口弁52のための前記第2密封要素146は、環状の前記第2スリーブ142の後方壁の内側前方面144に固定された環状シールからなる、請求項1〜8の何れか一項に記載の空圧ブレーキブースタ10。
【請求項10】
前記軸方向再平衡弁50のための前記第1密封要素134は、前記移動隔壁14を貫通する通路ダクト176の後方端の少なくとも周縁からなる、請求項5〜9の何れか一項に記載の空圧ブレーキブースタ10。
【請求項11】
前記プランジャ46の後方端48は、前記プランジャ46に対して前記第1スリーブ136を固定するのに所望の軸方向位置を提供するために、前記第1スリーブに形成される凹状の円錐台面188と協働しようとする凸状の円錐台面186を備えている、請求項1〜10の何れか一項に記載の空圧ブレーキブースタ10。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−213313(P2006−213313A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12173(P2006−12173)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】