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2つの表面または1つの表面と対象分子を集成する方法
説明

2つの表面または1つの表面と対象分子を集成する方法

本発明は、第1の表面の少なくとも1つの領域を、第2の表面の少なくとも1つの領域または対象分子と集成する方法であって、前記第1の表面の前記領域と、前記第2の表面の前記領域または前記対象分子とを接触して配置するステップを含み、前記第1の表面の前記領域が少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を有する方法に関する。本発明は、また、少なくとも1種のラジカルおよび/もしくはイオン種、少なくとも1種の接着プライマー、または少なくとも1種の接着プライマーの前駆体を含む、少なくとも1つの領域を有する表面を備える固体基板、およびその様々な使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予備接着表面の分野、ならびに集成および結合方法に関する。本発明は、2つの材料間、または1つの材料と分子との間の直接接触による集成を可能にする。2つの材料の場合には、被覆材料が、第1の材料との直接接触によって(従来の意味の「接着剤」を用いないで)反応する。
【0002】
本発明は特に、所与の表面に、剥離によって分離した炭素またはグラフェンナノチューブを結合または固定するために用いることができる。本発明はまた、金属粒子、ポリマー、有機分子、巨大分子、特に生体分子の所与の表面での固定化を可能にする。後者の場合において、本発明は、本発明の方法によって得られるような接着面を含む新規のバイオセンサーを提案する。この接着面にペプチド、ポリペプチド、酵素などのタンパク質、核酸、抗体または抗体フラグメント、多糖、細胞および細胞片から選択された、1種または複数の同一であるかまたは異なる成分が固定される。
【0003】
本発明は、また、被覆表面上の様々な材料または分子の容易で再現性のある集成を可能にするための様々な表面、とりわけ適切に選択した被覆表面処理剤(coating finish)の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
マイクロエレクトロニクスは、マイクロメートルの規模の電子部品の研究および製造に関係する。これらの部品は、フォトリソグラフィを含む様々な技術によって半導体材料および無機物(例えばシリコン)から製造される。この技術は、同一のシリコン片(または他の半導体)上に多数の電子的機能の廉価な集積を可能にする。このように作製された回路は、「チップ」または「集積回路」として知られている。しかし、生産技術の進化に伴って、部品の寸法は低減し続けている。サブマイクロメートルの規模で、以前には重要でなかったアーチファクトが非常に増幅されている。信号送信の遅延は、これらの部品が交差する際の遅れにではなく、本質的に、能動部品のみせかけの相互連結能力に起因する。したがって、研究員およびエンジニアの目的は、部品のサイズおよびコスト、通信速度および電力消費を改善することにより、新規の設計法を用いてこれらの影響を限定することである。
【0005】
したがって、部品の寸法を低減し、それによってナノメートルの範囲をカバーするための新規の製造材料および技術を見出すことが不可欠である。この範囲は有機分子の範囲である。分子エレクトロニクスの主な具体例はカーボンナノチューブである。この材料は、近年、相当な数の科学刊行物のソースであった。カーボンナノチューブは、六方格子状に規則的に配置された炭素原子から構成される、中空で、時により閉鎖管状の形状の、特定の結晶性構造である。
【0006】
カーボンナノチューブは、これまで達成されたことのないレベルの小型化をしたトランジスターの生産を可能にする。不幸にして、それらの製造では、導電性ナノチューブおよび半導電性ナノチューブの両方が得られるが、後者のみが有利な特性を有する。半導電性ナノチューブを回収するためには得られたナノチューブを選別する必要があるため、カーボンナノチューブの代替品が登場した。これには黒鉛フレークまたはグラフェンの使用が含まれる。この新規の経路は全面的に発展中である。グラフェンは一般に、開口ナノチューブと記載される。グラフェンは、高度組織化相黒鉛(high-organized-phase graphite、HOPG)の唯一の成分であることが判明し、それはグラフェン多重フレーク構造として表すことができる。数千のフレークを含むHOPGまたは黒鉛のブロックからグラフェンを得ることに成功するのは困難である。HOPGまたは黒鉛のブロックを接着開裂によってフレーク化または剥離することにある、最も一般に用いられる技術を図1に示す。
【0007】
グラフェンは一方向に導電性で、別方向に半導電性であるので、特に有利である。したがって、グラフェンはすべて潜在的に使用可能である。次に、それは、適切な軸に沿って電気的導通を挿入し続けるのみである。この方法は既に習得されている。しかし、グラフェンは、用いるためには表面に固定されなければならない。現在では、市販接着剤がこの固定化に用いられている。これらの手法では、形成される接着剤の層の厚さが変動し十分に制御されない。このことにもまして、剥離工程の間に受ける強い機械的な束縛によって、しばしば、薄いグラフェンフレークは裂けたり折り重なったりする。また、表面から全体の剥離が生じがちである。さらに、グラフェンの接着は、それら自体満足に制御されない物理吸着メカニズムによって実施されている。
【0008】
接着剤は、とりわけ接着によって材料を一緒に保持することができる物質として定義される。したがって、接着は2つの表面が界面力によって一緒に保持される状態である。接着剤は、1つまたは複数の技術的な機能、接着剤の名称の元となるベース樹脂をそれぞれ提供するいくつかの成分を配合することにより得られる。
【0009】
接着剤の使用条件(レオロジー、表面の濡れ性など)および集成体の最終性能品質は、接着剤の固有の特性とだけでなく、可塑剤、界面活性剤、充填材などの配合補助剤と、集成体の設計(接合部の幾何形状)と、表面の調製および処理系パラメーターともまた特に関係する。接着剤には数十の種類があっても、汎用の接着剤というものはない。
【0010】
この問題を克服するために、電解グラフト化の使用が国際特許出願第03/080748号に提案された。この方法によると、表面へのマクロ物体の電解グラフト化をもたらすことができる、少なくとも1個の電気活性基で官能化されたマクロ構造部分で構成される少なくとも1つの前記マクロ物体を、溶解した形態、粒子状の形態または乳化した形態で含む電解液を用いる電解グラフト化によって、電気伝導性または半伝導性表面にマクロ物体を固定することが可能になる。グラフト化は、溶液の電解還元または電解酸化によって、前記表面上にマクロ物体またはその縮合生成物のグラフト化被覆を与えるように、作用電極として被覆される導電性または半導電表面を用いて、前記溶液の電気分解によって実行される。しかし、この方法は、依然として電気伝導性または半伝導性表面に限定されており、また、グラフト化する物体の表面に特定の基が存在することを必要とする。
【0011】
マイクロエレクトロニクスの分野において、シランは、通常、二官能分子の化学グラフト化による表面の修飾のために用いられ、表面と化学種の間に強い結合をもたらす。しかし、これらの化合物の化学反応性は低く、先ずシロキサン結合の形成を伴って表面にシランを(しかし、依然として容易に加水分解する)、続いて被覆を固定するために、しばしば100℃を超えるアニーリングを必要とする。
【0012】
ジアゾ樹脂が、電子錯化、次いで光化学反応によって様々な材料の表面に、多層の酵素またはポリオキソメタレートを形成するために用いられた(Materials Letters, 58,2004,3441〜3446,およびElectrochim. Acta. 49、2004、4777〜4786)。この方法は、表面に堆積させようとする化学種とジアゾ樹脂との間で電子相互作用が存在する必要があるので、限定されたままである。その上、この方法は、表面とのグラフト化を可能にするように思えない。
【0013】
バイオセンサーの分野において、広範な分析システムが開発されてきた。これらのバイオセンサーは酵素、タンパク質、抗体、核酸、多糖または生細胞を、電気化学、光学、圧電、磁気または熱変換器と組み合わせて用いることができる。バイオセンサーは、しばしば複雑な試料中の分子の検出の達成を目指した測定装置である。分子認識の決定的な局面は、感知可能層を形成する、通常固定された生物学的構成要素であるバイオレセプターによって実行される。分子認識の間、標的分子の存在は、直接または間接的に信号によって反映される。信号は、光子の放射、反応生成物の出現または質量、pHもしくは電気特性の変化であってもよい。変換/増幅局面として知られる第2局面には、この信号を集めて測定可能な電流に変換する役割がある。次いで、データは、数値の形態で得られ処理することができ、データ収集および処理の第3の局面を表す。バイオセンサーの機能化の成功は、それを形成するのに用いる様々な構成材、支持体、固定方法および検出/変換システムの間の満足すべき相乗作用に密接に関連づけられる。
【0014】
「バイオチップ」という総称は、一組の分析デバイスであって、その技術が、バイオセンサーのためになされた開発に部分的に由来する、分析デバイスを含む。バイオチップは、多かれ少なかれ高密度で、一般に、所与の支持体上に並べて配置される、いくつかの認識要素を含む。したがって、少量の生体分子は、試料(数ナノリットルから数マイクロリットル)の小さい容積での測定を可能にして、小型(数ミリメートルから数センチメートル)の表面に固定される。具体的には、バイオチップの操作原理は、集積システムの方法に加えて、小型化および並列化の概念を合わせた、バイオセンサーの操作原理に基づく。一般に、生物学的構成材は、スポットの形態に配置され、支持体の表面に平行に配列される。様々な範疇のバイオチップは、DNAバイオチップおよびタンパク質バイオチップを含み、ペプチドおよび糖のバイオチップによって補完されて存在する。各範疇内では、望まれる応用分野が異なってもよい。それは複雑な試料中の標的分子(アッセイ)の存在を定量的に検出するかまたはスポットの形態で固定された一組の分子との生体分子の相互作用を調べること(スクリーニング)が意図されてもよい。
【0015】
支持体および固定する生体分子の性質は、用いる固定方法に影響を与える。一般に、支持体の選択は、それ自体、用いる検出方法によって影響される。したがって、「能動的な」支持体および「受動的な」支持体は、検出に関して、区別することができる。「能動的な」支持体は、電気化学検出および/または固定化に用いられる導電性材料である(電流測定、インピーダンス、電気化学ルミネセンス)か、または光学活性である(CCD,[Mallardら、2005, Biosensors & Bioelectronics, 20, 1813〜1820])。
【0016】
既に記載されており検証された固定方法は、関与する相互作用の性質によって分類してもよい。既存の方法の中には、(i)共有結合のグラフト化をしないで吸着を伴う固定化、(ii)(疎水性または静電型の)低エネルギーの結合または網目中での機械的保定を伴う、ゲルまたはポリマー中の閉じ込め、(iii)「カップリング」化学反応が生体分子と支持体の間との共有結合の形成をもたらす「共有結合的」固定化がある。
【0017】
吸着は生物学的構成材を固定する最も単純な方法である。それは、支持体および生体分子の間の低エネルギーの相互作用に関与している。メチルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリスチレン、ポリイミド、チオシラン、エポキシシラン、ポリエチレングリコールシラン、アミノシラン、アガロースおよびアルカンチオールなどの化合物で表面修飾された多数の支持体の吸着容量は、固定されるタンパク質の疎水性の程度に依存する。他の材料も、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリジメチルシロキサン、ナイロン、帯電したナイロン、ニトロセルロースまたはナノポーラスシリコンなどの吸着によって固定化に直接用いることができる。ポリリシン、ポリ(アリルアミン)塩酸塩またはナトリウムポリ(スチレンスルホネート)で表面が修飾された支持体の使用は、静電力によって吸着を可能にする。
【0018】
カプセル化、ゲルもしくはポリマー中での保持、または共架橋を含む閉じ込め方法は、様々な方式に用いられる。用いられるポリマーはポリビニル誘導体、ポリエチレングリコール、デキストランまたはアミノデキストランであってもよい。それらは、光重合性、または代替としてポリピロール、ポリチオフェンまたはポリアニリンのように電解重合性であってもよい。共架橋は、一般に、関係タンパク質と中性タンパク質、通常BSA(ウシ血清アルブミン)との間で、カップリング剤、一般にグルタルアルデヒドの存在下で実行される。閉じ込め方法は、一般に、単位面積当たりの装入されたタンパク質を増加させることを可能にする。
【0019】
親和性による固定化は、特定の分子の認識および相互作用の本来の性質を用いる。ストレプトアビジン/ビオチンカップリングは、これらの2つの化学種(Kd=10-15M)間に非常に強い親和性があるので、この種類の非共有結合的固定化に主に用いられる。この方法は、ストレプトアビジン(ホモテトラマータンパク質)またはビオチンのいずれかを支持体の表面に固定することにある。次いで、固定化は、予め標識したタンパク質または別の分子を、ビオチンまたはストレプトアビジンに接触して配置することによって間接的に行われる。また、大寸法の粒子(直径1μmのポリスチレンビーズ)を固定するために、このストレプトアビジン/ビオチン対の強い親和性を用いることが可能である。後者の技術は、ビオチンで活性化した支持体に結合されたストレプトアビジンビーズによって、単位面積当たりの固定した生体試料の量を増加させることができる。タンパク質AおよびGなどの他のタンパク質は、例えば、抗体との特定の相互作用の性質に用いることができる。この種類の生物学的薬剤は一般に、ポリジメチルシロキサンの表面に、または様々な親水性ポリマー(ポリエチレンイミン、デキストラン、ポリビニルアルコール、アミノデキストランおよび3-アミノプロピルトリエトキシシラン)中でグルタルアルデヒドと予備カップリングすることにより吸着される。
【0020】
表面を修飾するための化学的手法は共有結合でタンパク質および核酸を固定するために用いられる。この場合、カップリング反応を実行するためにその支持体は、表面でヒドロキシル、アミン、アルデヒド、エポキシド、カルボキシル、アジド、アルキン、ヒドラゾンまたはチオール基などの反応性化学基を有していることが必要である。支持体と生体分子との間に共有結合的カップリングをもたらす方法は、使用する基板の性質に本質的に依存する。様々な方法が支持体として用いる材料の機能として提示されている。
【0021】
ガラスは、シラン化学を用いることにより一般に修飾される。自己集合単分子層(SAM)の形成をもたらす方法が好ましい。これらの技術は、ガラス面を官能化するアルキルシラン化合物の単分子層を生成させることにある。これらのシランはその末端に、生物学的薬剤との共有結合の生成を可能にする官能基を有しており、そのような官能基は、例えば、アミン、カルボン酸、アルデヒド、ヒドロキシル、チオール、マレイミドまたはスクシンイミドエステル官能基であってもよい。
【0022】
金属のうち、白金はアミノシランで化学的に修飾する前に、予備酸化してもよい。
【0023】
金表面を用いるためには、自己集合単分子層(SAM)の形成をもたらす方法が好ましい。これらの技術は、金表面を官能化するチオール化合物の単分子層を発生させることにある。そのとき、官能化した金表面は、鎖の長さに、およびそれらの末端で利用可能な官能基に依存する性質を有する。したがって、堆積した脂質は、望まれる性質、すなわち、吸着、共有結合カップリングまたは電気化学的変換による固定化に応じて選択される。SPR測定を意図した支持体の開発については、2つの技術、チオール単独の化学およびデキストラン型のポリマーを有するチオールの化学が主に用いられる。メルカプト化学の場合には、金表面がアミン-アルケンチオールの単分子層で官能化されるように化学的に処理され、次いで、それは支持体に生体分子を共有結合で固定するように用いられる。この技術は、固定化オリゴヌクレオチド、低分子量の固定化タンパク質および固定化炭水化物を用いる、SPRイメージング(SPRi)による検出用バイオチップの開発を可能にした。デキストラン型のポリマーを伴う固定化も、SPRの金の支持体上の生体分子の固定化に広く用いられる。この技術はBiacore(登録商標)社によって用いられる技術である。この技術は、共有結合的カップリングによって生体分子を固定するためにアミノ化または酸化した(カルボン酸)デキストランポリマーを用いることにある。
【0024】
炭素系、より詳しくはガラス状カーボン系の表面は、表面に反応性の酸化された官能基を生ずるように電気化学的に酸化してもよい。必要とされる条件は酸性媒質および酸化性電位(SCEに対し+1.6V)である。次いで、表面に出現するカルボキシル官能基は、カルボニル化合物/第一級アミン型の、とりわけ架橋剤(エチレンジアミン単独またはエチレンジアミンとそれに続くグルタルアルデヒド)を用いるカップリング反応に関与することができる。これらの方法はDNA鎖、オリゴヌクレオチドプローブおよび酵素の固定のために用いられてきた。
【0025】
Affymetrix(登録商標)社は、石英チップ(1×1cm)の表面に共有結合で固定されたヌクレオチドプローブのインシチュー合成を可能にするフォトリソグラフィ技術を用いる。これをするために、化学的カップリング反応ステップは、脱保護ステップを伴い、順次実行される。これらの脱保護ステップは、フォトリソグラフィ技術によってチップのゾーンを標的にする。適切な開口を有するマスクは、選択されたオリゴヌクレオチドがカップリングの目的で脱保護することを可能にする。この方法は、(全部で)130万までのストランドを有するチップを作成することを可能にする。それは10000までの異なる配列スポットを表すことができる。
【0026】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)型の支持体も共有結合的固定化に用いることができる。用いられる化学はガラス上で用いられるものと同一の方法であって、酸素プラズマ方法、または酸性媒質中で過酸化水素を用いる方法のいずれかによる、酸化ステップの後にPDMSに適用されるシラン化学を含む。この種の修飾した支持体は、ビオチンの層で最終的に官能化することができた。酸性媒質中での酸化およびシラン処理の後のPDMSは、タンパク質、ペプチドまたはオリゴヌクレオチドなどの分子の共有結合のグラフト化を可能にした。
【0027】
生体分子の「電気アドレス」として知られている技術は最近の固定方法である。第一に、生体分子は電解重合性単位で修飾される。スクリーン印刷された黒鉛電極マイクロアレイのスポットに電気化学ポテンシャルを施すことによって、修飾した生体分子はスポットに電気アドレスされる。
【0028】
歴史的に、電気アドレスによる固定化は、導電性の電解ポリマーに関して行われた研究で出現した最近の技術である。定義によって、これらは、溶液中でモノマーから電解還元または電解酸化によって生成された高分子構造である。重合したフィルムは、重合した鎖に沿ったC=C結合の共役により、電子の高移動度に起因する導電性の性質を有する。ポリピロールフィルムを用いる最初のバイオセンサーは、溶液中でのピロールの電解重合の過程の間の酵素の閉じ込めに基づいていた。この技術は、ピロールおよび/またはその誘導体が、電極の表面に吸着されて不溶性フィルムを形成する能力を利用している。この種のシステムにおいて、ポリマーは酵素のための固定化マトリクスとして働くだけでなく、酵素から電極への迅速な電子移動を可能にする。現在、これらの電解ポリマーを用いる固定方式は本質的に電流測定の検出に関係する。用いられるポリマー、すなわちポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンまたはポリチオフェンは多様な性質をもつ。
【0029】
これらのシステムの中で、電解ポリマーを伴う固定化の2つの主な種類を区別することができる。第一に、タンパク質などの高分子量分子に効率的である、電解重合工程の間の生体分子の「機械的な」閉じ込め、第二に、ピロール単位で官能化した生体分子との、ピロール型モノマーの共重合である。後者の固定化は、オリゴヌクレオチドまたはポリペプチドなどの「小さい」生体分子の固定により効率的であるが、高分子量分子にも用いてもよい。
【0030】
酸化酵素型の酵素は、ポリアニリン、ポリインドール、ポリピロールおよびポリ(o-フェニルジアミン)という導電性の電解ポリマーフィルムのこの技術によって固定された。酵素はまた、特に転化酵素は、ポリピロール/PMMA-co-PMMT(ポリメタクリル酸メチル-メタクリル酸メチルチェニルコポリマー)の混合フィルムに電気アドレスすることにより固定された。同様に、チロシナーゼはガラス状炭素電極の表面で電解生成したポリチオフェンフィルムに閉じ込めることによって固定された。電解重合の間に生体分子を閉じ込めるこの方法はまた、免疫受容体の製造についても記載されている。より最近になって、この種の固定化は、櫛形微小電極(interdigitated microelectrodes)の表面上で、ポリピロール中のいくつかの電気アドレスされた抗体のスポットを製造するために用いられた。
【0031】
またこれらの電解ポリマーを伴うこの第二の固定方法は、モノマーとこのモノマーの誘導体で官能化した生体分子との共電解重合に基づく。この方法は、小分子においてより一般に用いられ、ポリマー中での生体分子の共有結合的固定化をもたらし、脱離という放出の問題を回避する。このようにして、アミノ酸およびピロールで官能化したジペプチドは、ピロールフィルム中で共電解重合された。この同じ共電解重合法を用いて、ビオチン誘導体は、ガラス状炭素電極の表面のポリジカルバゾールフィルムで電気アドレスされた。そのとき、この支持体は、アビディン-ポリフェノール酸化酵素錯体の固定化と、それによりL-およびD-ノルアドレナリンの電流測定による検出を可能にする。さらに、各々50μm×50μmの48金電極の網目は、ピロールで5'に修飾されたストランドを用いて共重合されたオリゴヌクレオチドおよびピロールを電気アドレスする基礎として用いられた。この直接固定方法もDNAバイオチップの生産に用いられた。ピロール誘導体の共電解重合によるこの固定方法に基づいて、ポリペプチドで修飾した微小電極も得られた。電気アドレスすることによる固定化のこの方法はまた、表面プラスモン共鳴イメージング(SPRi)による測定用に、金表面にスポットを作製するために用いられた。このようにして、オリゴヌクレオチドのピラゾール誘導体が、1cm2のSPRiの金チップの表面で共電解重合された。そのとき、様々な感知可能な層を堆積させるステップは、「ピン電気スポット作製(pin-electrospotting)」システムによって実行される。同一の方法がタンパク質の固定化のために開発された。
【0032】
金上に「ピン電気スポット作製」によって電気アドレスするためのこれらのシステムは、ピロールタンパク質、ピロールオリゴヌクレオチドおよびピロールペプチドの不溶性フィルムのスポットを形成することを可能にし、標準固定方式のものと等しい性能品質のSPRi測定を行うことを可能にした。金上で間接に電気アドレスする新規の方法は、ヒドロキノンモノエステル官能基が露出する単分子層で官能化した金電極の網目を用いる。これらの官能基上への溶液中のアミノビオチンのグラフト化は電解酸化によって引き起こされる。スクリーン印刷された電極の網目はまた、電気化学的にアドレスされたタンパク質の固定化のための方法を開発するために用いられた。このようにして、電解重合したフィルムによって得ることができる感知可能層のパレットは極めて大きく、タンパク質、抗体またはオリゴヌクレオチドの固定化に適用することができる。このようにして製造されたバイオセンサー/バイオチップも光学的および電気化学的検出の両方を可能にする。
【0033】
ジアゾニウム塩の電解還元に基づいた生体分子の電気アドレスによる固定化は、現在、ほとんど開発されていない。この方法は、[Delamar、M.ら、1992、Journal of The American Chemical Society, 114、5883〜5884]によって導入されたアリールジアゾニウム塩の特定のグラフト化特性に基づく。すなわち、
(a)ジアゾニウム塩はNaNO2の酸性溶液中でアニリン誘導体から形成することができる、
(b)次いで、このジアゾニウム塩は電解還元され、窒素の放出、および高反応性のアリール基の形成をもたらすことができる、
(c)このラジカルは、その電解還元に必要な電子を供給した電極の表面上にグラフト化される。C-X型[Xは金、コバルト、ニッケル、亜鉛、ITO(インジウム錫オキサイドフィルム)、白金、銅、黒鉛、ダイヤモンドまたはシリコンであってよい。]の共有結合が形成する。最近、ある種の活性化された層が、マレイミド基で予備修飾されたジアゾニウム塩の電着によって得られた。このようにして得られた層は、続いて、生物学的薬剤または遊離のチオール官能基を含む分子で官能化することができる。
【0034】
ジアゾニウム塩の電気アドレスが、間接的に酵素を固定するために初めてガラス状炭素電極上で用いられた。次いで、電解グラフト化反応は、ガラス状カーボン表面全体を官能化し、それにより、酢酸フェニルの層を得るように用いられた。この方法は、ブドウ糖酸化酵素の化学的カップリングによって共有結合的グラフト化を達成するように、表面を誘導するために用いられた。したがってこれは、ここでは、電気アドレスする間接法の物質である。アニリン誘導体に関するジアゾ化反応もビオチン単分子層をグラフト化するために用いられた。ビオチンアニリン複合体は次にジアゾ化され、ビオチンアリールジアゾニウム誘導体を形成し、次いで、スクリーン印刷された炭素電極の表面上で電解還元することによってグラフト化された。このようにして、電極の表面はストレプトアビジンの共有結合の位置になる。この表面は、ビオチン化アルカリホスファターゼの固定化を可能にする。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の直接電気アドレスする方法が開発されている。4-カルボキシフェニルジアゾニウムとHRPの間のカップリングは、カルボジイミドによって実行され、次いで、HRPアリールジアゾニウム付加物はガラス状炭素電極上で電気アドレスされる。その結果、共有結合で固定化されたHRPの感知可能層の形成をもたらし、サイクリックボルタンメトリーによる過酸化水素の検出を可能にする。この方法をより広い種々様々の支持体に広げることが意図されてもよく、アリールジアゾニウムが鉄、白金、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、金、ITOおよびシリコンなどの上にグラフト化することができることを示している。最近、マレイミド基で予備修飾されたジアゾニウム塩は、DNAssで官能化され[Harper,J.C.ら、2008、Langmuir、24、2206〜2211]、次いで、成功裡に電気アドレスされた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【特許文献1】国際特許出願第03/080748号
【特許文献2】特許出願FR05/02516
【特許文献3】特許FR03/11491
【特許文献4】仏国特許出願FR2897876
【特許文献5】国際特許出願公開第2008/078052号
【非特許文献】
【0036】
【非特許文献1】Materials Letters, 58、2004、3441〜3446
【非特許文献2】Electrochim. Acta. 49、2004、4777〜4786
【非特許文献3】Mallardら, 2005, Biosensors & Bioelectronics, 20, 1813〜1820
【非特許文献4】Delamar、M.ら、1992、Journal of The American Chemical Society, 114、5883〜5884
【非特許文献5】Harper,J.C.ら、2008、Langmuir、24、2206〜2211
【非特許文献6】RemppおよびMerrill、Polymer Synthesis,1991、65〜86、HuthigおよびWepf
【非特許文献7】Chem. Mater. 2007、19、6323〜6330
【非特許文献8】Chem. Mater. 2006, 18, 4755〜4763
【非特許文献9】Goncalvesら、2005、Pharmaceutical Research (22巻)、No.8、pp. 1411〜1421
【非特許文献10】Baughら、2001、J. Am. Soc. Chem.、123巻(50)、12488〜12494
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
吸着による固定化の主な欠点は、生体分子が事実上、系統的かつ制御されない脱離であることである。この理由は、分子と支持体との間の相互作用のエネルギーが、媒体のpHおよびイオン強度の変動に敏感であるためである。この現象は例えば、天然試料などの複雑な媒体で実行されたアッセイの間に、生じることがある。
【0038】
生物学的物体または生物学的に活性な分子の共有結合的固定化は、予備修飾表面の活性化または支持体にそれを固定する前に、生物学的物体もしくは生物学的に活性な分子を修飾することのいずれかによって進行する。これらの活性化ステップは、一般に、生体媒質と相溶し難い媒質中で実行され、測定の間に偏りを引き起すことがある副生成物の形成をもたらす。一般に、いくつかの費用のかかる精製ステップが、使用可能なバイオチップを得るのに必要である。生物学的物体または生物学的に活性な分子の修飾は、後者の活性の喪失をもたらす恐れがある。さらに、その修飾は、一般に制御された方法では起こらず、それらの検討には、特に多くの被飾物体が存在すると、長い期間と費用を要する。共有結合的固定化の戦略の型は、また、バイオチップおよび目論まれた検出モードに用いる基板または支持体に依存する。
【0039】
したがって、共有結合の型の結合に基づいて、任意の種類の表面と、グラフェンまたはカーボンナノチューブの表面などの別の表面、またはバイオセンサーに用いることができる分子などの分子などの化学種との間での接着の効率的な方法の実際の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明は、表面処理剤被覆面(finish-coated surface)、これらを調製する方法および任意の他の表面を用いる使用に関するので、上記に挙げた技術的問題および欠点の解決を可能にし、それにより、1つが反応性表面を有する2つの材料間、またはこの種の反応性表面と対象分子との間の接着を、これらを固定するために、達成することを可能にする。
【0041】
より具体的には、本発明は、第1の表面の少なくとも1つのゾーンと、第2の表面の少なくとも1つのゾーンまたは対象分子とを集成する方法であって、前記第1の表面の前記ゾーンと、前記第2の表面の前記ゾーンまたは前記対象分子とを接触して配置するステップを含み、前記第1の表面の前記ゾーンが少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を有する方法に関する。
【0042】
本発明の文脈において、第1の表面は「反応性表面」と呼ぶことができる。したがって、「第1の表面」および「反応性表面」という用語は等価語である。
【0043】
本発明の文脈において、第2の表面は「被覆表面」と呼ぶことができる。したがって、「第2の表面」および「被覆表面」という用語は等価語である。
【0044】
本発明の目的として、「集成」は、2種の化学種の化学的な集成の方法に対応し、その後に前記化学種は強い化学的相互作用によって集成されて維持される。この集成または接着は、一般に共有結合の形成、すなわち2種の化学種に属する原子間の電子の共有または移動に対応する。
【0045】
有利なことに、本発明による集成方法は以下の連続的なステップを含む:
a)少なくとも1種の接着プライマー前駆体を有する前記第1の表面のゾーンを、前記接着プライマー前駆体から少なくとも1種の接着プライマーを得るのに適する条件に、場合によってさらすステップ、
b)ステップ(a)で場合によって得られた少なくとも1種の接着プライマーを有する前記第1の表面の前記ゾーンを非電気化学条件にさらし、前記ゾーン上で少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を得るステップ、
c)ステップ(b)で得られた少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を有する前記第1の表面の前記ゾーンを、前記第2の表面の前記ゾーンまたは前記対象分子と接触させるステップ。
【0046】
「対象分子」という用語は、本発明の文脈においては、分子、詳しくは、ラジカル種またはイオン種と反応することができる有機性の分子を示す。本発明の文脈において用いることができる対象分子の例として、特に挙げることができものは、
-CO2-、SO32-、アミンおよび窒素を含む芳香族分子などの弱い有機塩基を含む有機分子、
-ポルフィリン、フタロシアニンおよびデンドリマーなどの有機高分子、
-ペプチド、酵素、抗体または抗体フラグメント、細胞または膜受容体などのタンパク質、多糖、細胞オルガナイト(organite)または細胞膜などの細胞または細胞部分、ならびにDNAおよびRNAなどの核酸などの生体分子である。図2は、本発明による方法の文脈における、これらの対象分子、すなわち以下に定義されるような疎水性分子のいくつかおよびそれらの使用を示す。
【0047】
図2は、本発明の文脈における対象分子のいくつか、およびそれらの実施例を提示する。
【0048】
本発明の目的として、「表面」という用語は、いかなる方向においてもそれを限定する物または固体支持体の外側を意味するものと理解されたい。同一の物(または同一の固体支持体)について、異なる表面が概念的に定義することができる限り、反応性表面および被覆表面は、同一の物(または固体支持体)または2つの異なる物(または固体支持体)に属してもよいことはいうまでもない。本発明はその幾何形状に関係なくいかなる種類の表面にも当てはまる。完全に平坦な表面などの幾何形状が単純であり、または粗い表面などは複雑であってもよく、塞いでいない空洞を有してもよく、表面、および表面が載る物または固体支持体の残りを構成する材料に関係はない。
【0049】
第2の表面の寸法は可変で、センチメートルの規模であってもよい。それは、一般にマイクロメートルからナノメートルの規模の間で変わる。したがって、それらは、カーボンナノチューブ(CNT)、一重壁カーボンナノチューブ(SWCNT)または多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の表面、グラフェンまたはシリコンナノワイヤーのフレークなどのナノメートル寸法の物、すなわちナノ物体(NB)の表面、または産業で用いられるバイオチップまたは金属粒子の表面などのマイクロメートル寸法の表面であってもよい。
【0050】
本発明は、本方法がイオン性および/またはラジカル性、一般にはラジカル性の集成メカニズムを利用するので、その組成物が種々様々の材料から選択されてもよい、種々様々の関係表面(第1および第2の表面)に適用可能である。したがって、第1および第2の表面は有機もしくは無機性の、または場合によって不均一な組成物を有する複合材性のものであってもよい。
【0051】
ラジカル付加または置換反応に関与することができる1個または複数の原子または原子の群、例えば、CH、カルボニル化合物(ケトン、エステル、酸またはアルデヒド)、OH、SH、エーテル、アミン、F、ClおよびBrなどのハロゲンを有するいかなる表面も、特に本発明に関係している。
【0052】
無機性の表面は、金属、貴金属、金属酸化物、遷移金属、金属合金、(例えば、Ni、Zn、Au、Pt、Tiまたは鋼)、などの導電性材料から特に選択することができる。また、これらは半導電性材料、例えばSi、SiC、AsGa、Gaなどであってもよい。また、SiO2、Al2O3およびMgOなどの非導電性酸化物などの非導電性表面に本方法を適用することも可能である。より一般には、無機表面は、例えば、一般にケイ酸塩を含むガラスなどの非晶質材料、または代替としてセラミック、または同様に多かれ少なかれ組織化されていてもよいダイヤモンド、黒鉛、例えばグラフェン、高度組織相化黒鉛(HOPG)、またはカーボンナノチューブなどの結晶質材料によって構成されていてもよい。
【0053】
特に挙げることができる有機性の表面は、ラテックスまたはゴムなどの天然高分子、またはポリアミドもしくはポリエチレン誘導体などの人造ポリマー、特にエチレン結合もしくはカルボニルもしくはイミン基を有するポリマーなどのπ型の結合を有するポリマーを含む。また、多糖(例えば木材または紙のセルロース)、人造または天然繊維(例えば綿、カーボンフェルトのようなフェルト)、およびまたフッ素化ポリマー(例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、または代替として例えばピリジンなどの第三級もしくは第二級アミンなどの塩基性基を有するポリマー(例えば、ポリ-4およびポリ-2-ビニルピリジン(P4VPおよびP2VP))、またはより一般には芳香族および、ニトロ芳香族基を有するポリマーを含む表面などの、より複雑な有機表面に本方法を適用することが可能である。
【0054】
有利なことに、本発明の文脈において用いられる第1および第2の表面は、金属、金属合金、木材、紙、綿、カーボンフェルト、シリコン、ナノチューブ(例えばCNT)、グラファイト材(例えば石炭、グラフェン、フラーレンおよびHOPG)、有機材料(例えば有機ポリマー、フッ素化または非フッ素化ポリマーおよびダイヤモンド)によって構成される群から選択される、同一であるかまたは異なる材料で構成される。
【0055】
第1の表面(すなわち反応性表面)の性質は、本発明の方法にほとんど影響しない。具体的には、以下に一般に記載される様々な実施形態において、接着プライマーまたは接着プライマーの前駆体のラジカルおよび/またはイオン種が存在することによって、この表面を構成する材料は、本系のその他から孤立している。
【0056】
第2の表面(すなわち被覆表面)は、ラジカルおよび/またはイオン性化学反応に関与することができる少なくとも1個の原子を有することが好ましい。有利には、被覆表面を構成する材料は、フェニルラジカルまたはフェニルカチオンと化学的に反応することができる材料から選択される。特に挙げることができるものは、HOPG、グラフェン、CNTおよびフラーレンなどのグラファイト材、有機ポリマー、例えばポリ-4-ビニルピリジン(P4VP)またはポリアクリル酸などの有機材料、ならびに金属および金属合金であり、後者は金属粒子または凝集体の形態であってもよい。
【0057】
本発明による集成方法に関与する第1の表面および第2の表面のゾーンは、同一であるかまたは異なる寸法および/または形状のものであってよい。これらのゾーンの形状は単純であっても複雑であってもよい。これらのゾーンは第1または第2の表面の全表面の0.01%から100%を占めてもよい。一般に、集成に関与する第1の表面(反応性表面)のゾーンは、集成に関与する第2の表面(被覆表面)のゾーンより大きい。
【0058】
本発明の文脈において、「接着プライマー」という用語は、特定の条件の下で、ラジカルまたはイオン(より詳しくは陽イオン)のいずれかを形成できる、したがって化学反応に関与することができる任意の有機分子に対応する。この種の化学反応は、特に、化学吸着、特に化学グラフト化であってもよい。
【0059】
用語「化学グラフト化」は、特に、関係表面と共有結合型の結合を形成することができる、極めて反応性の分子種(ラジカルまたはイオン、特に陽イオン種)の使用を指し、前記分子種は、グラフト化するように意図される表面から独立して生成させる。したがって、グラフト化反応は、関係のある被覆表面のゾーンと接着プライマー誘導体との間の共有結合の形成をもたらす。
【0060】
本発明の文脈において、「接着プライマー誘導体」という用語は、このプライマーが対象分子と、または化学グラフト化によって被覆表面と反応した後、接着プライマーから結果として生じる化学単位を意味する。
【0061】
接着プライマーは、有利には、アリールジアゾニウム塩、アリールアンモニウム塩、アリールホスホニウム塩、アリールヨードニウム塩およびアリールスルホニウム塩によって構成される群から選択される、開裂性(cleavable)アリール塩である。これらの塩において、アリール基は以下に定義されるRによって表すことができるアリール基である。
【0062】
本発明の第1の変形形態において、接着プライマーは、第1の表面に直接結合される。この変形形態において、接着プライマーは、有利には、共有結合による集成方法に関与する第1の表面のゾーンに結合される。したがって、この共有結合は、集成方法に関与する第1の表面のゾーンの原子を接着プライマーの原子に結合する。
【0063】
本発明の第2の変形形態において、接着プライマーは、集成方法に関与する第1の表面のゾーンに間接的に結合される。この変形形態において、接着プライマー、および集成方法に関与する第1の表面のゾーンはそれぞれ、前記プライマーと前記ゾーンとの間の結合を維持する結合剤に結合される。この結合剤は、単一化学種の形態をしていてもよく、その一部分は接着プライマーに、他の部分は集成方法に関与する第1の表面に結合する。有利なことに、接着プライマーと結合剤、一方では、結合剤と集成方法に関与する第1の表面のゾーンとの間で含まれる様々な結合は共有結合である。
【0064】
代替として、結合剤は、同一であってもまたは異なっていてもよい少なくとも2種の化学種を含み、一緒に結合して、一方は接着プライマーに、他方は集成方法に関与する第1の表面のゾーンに結合する。結合剤は、同一であるかまたは異なっている2種より多い化学種を有することができ、互いに結合して、第1のこの化学種は接着プライマーに、最後のものは集成方法に関与する第1の表面のゾーンに結合する。有利なことに、接着プライマーと結合剤の化学種の1つとの間、結合剤の様々な化学種間、および結合剤の化学種の1つと集成方法に関与する第1の表面のゾーンとの間に含まれる様々な結合は、共有結合である。例として、結合剤は、同一であるかまたは異なる化学種のいくつかのモノマー単位に由来するポリマーまたはコポリマーの形態をしていてもよい。
【0065】
この変形形態において、結合剤は、表面処理剤の形態をしていてもよい。本発明の目的として、用語「表面処理剤(finish)」は、有機性のいかなるフィルムをも意味し、本発明による集成方法に関与する第1の表面のゾーンに優先的に共有結合で結合する有機化学種のいくつかの単位に特に由来する。これらは、詳しくはこのゾーンに共有結合で結合し、同様の性質の構造単位の少なくとも1つの層を含むフィルムである。フィルムの厚さに依存して、その密着力は、様々な単位間に発現する共有結合によって供給される。
【0066】
この変形形態においては特に、本発明による方法に関与する第1の表面のゾーンで良好に画定された位置確認をすることができる。
【0067】
導電性または半導電性の表面の文脈においては、具体的には、表面処理剤は、下記工程によるこの表面の選択されたゾーン上で調製されていてもよい。
i)微小電極ME(すなわち、少なくとも特性寸法の1つ(円盤の直径)は、最大2〜30マイクロメートルの程度である電極)を選択されたゾーンの表面の近くに位置決めするステップ、
ii)本発明において定義する少なくとも1種の接着プライマー、および前記接着プライマーと同一であるかまたは異なる少なくとも1種のラジカル重合性モノマーを含む溶液を、前記選択されたゾーンと共に配置するステップ、
iii)前記微小電極、および前記基板の表面の分極であって、表面の電位はステップ(ii)に用いる有機接着プライマーの還元電位より陰極性である分極。
【0068】
一般に、ステップの順序は(i)、(ii)および(iii)、または(i)、(iii)および(ii)のどちらかである。
【0069】
本方法を実行するために選択する作動距離(すなわちMEと支持体の表面の間の距離)は、作動距離で測定した電流強度の値と無限遠(すなわち表面から離れた)で測定した値の比が1.2から2.5になる作動距離とする。一般に、このような値は、作動距離とMEの半径の比が0.2から2となるような距離に対応する。
【0070】
表面処理剤を調製する方法の文脈において用いられるラジカル重合性モノマーは、ラジカル化学成分による開始の後にラジカル条件の下で重合することができるモノマーに対応する。通常、それらはエチレン型の少なくとも1つの結合を含む分子である。ビニルモノマー、特に特許出願FR05/02516および特許FR03/11491に記載されているモノマーは、とりわけ関係している。
【0071】
ラジカル重合性モノマーは、アクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルおよびメタクリル酸グリシジルおよびこれらの誘導体;アクリルアミドおよび特にアミノエチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルメタクリルアミド、シアノアクリレート、ジアクリレートおよびジメタクリレート、トリアクリレートおよびトリメタクリレート、テトラアクリレートおよびテトラメタクリレート(テトラメタクリル酸ペンタエリスリチルなど)、スチレンおよびその誘導体、パラクロロスチレン、ペンタフルオロスチレン、N-ビニルピロリドン、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化アクリロイル、ハロゲン化メタクロイル、ジビニルベンゼン(DVB)、ならびにより一般にビニル架橋剤またはアクリレートもしくはメタクリレート系およびその誘導体系の架橋剤によって構成される群から有利に選択される。
【0072】
少なくとも1つの接着プライマーおよび少なくとも1つのラジカル重合性モノマーを含む溶液は、水、酢酸、メタノール、エタノールなどのヒドロキシル化溶媒、およびエチレングリコールなどの低分子量の液状グリコール、およびこれらの混合物によって構成された群から有利に選択されたプロトン性溶媒を含んでいてもよい。
【0073】
接着プライマーおよびラジカル重合性モノマーを含む溶液は、また、過塩素酸塩、トシレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェートなどの第四級アンモニウム塩、短鎖第四級アンモニウムハロゲン化物、硝酸ナトリウムおよび塩化カルシウムから特に選択された少なくとも1つの支持電解質を含んでいてもよい。
【0074】
接着プライマーおよびラジカル重合性モノマーを含む溶液はまた、特にラジカル重合性モノマーの溶解性を改善するために少なくとも1つの界面活性剤を含んでいてもよい。本発明の文脈において用いられてもよい界面活性剤の正確な記載は、当業者が参照することができる仏国特許出願FR2897876に示されている。単一の界面活性剤またはいくつかの界面活性剤の混合物が用いられてもよい。
【0075】
したがって、集成方法に関与する第1の表面のゾーンへの接着プライマーの結合が直接的であろうと間接的であろうと、接着プライマーは、第1の表面の前記ゾーンに共有結合で有利に結合される。
【0076】
反応性表面が有する開裂性アリール塩(すなわち集成方法に関与する第1の表面のゾーンに共有結合で結合した開裂性アリール塩)はまた、本明細書において「担持開裂性アリール塩」と呼ぶ。本明細書における用語「担持」のいかなる使用も上記の定義に対応する。
【0077】
担持開裂性アリール塩の中で、特に下記の式(I)の化合物を挙げることができる。
(第1の表面)-(B)n-R-N2+(A)- (I);
-(B)nは結合剤を表し、
-nは0または1に等しく、
-Aは一価陰イオンを表し、
-Rはアリール基を表す。
【0078】
前に定義されたように、Bは単一化学種、少なくとも2種の同一であるかまたは異なる化学種、または上に記載された表面処理剤をさえ表してもよい。
【0079】
本発明の文脈において、特に担持開裂性アリール塩、とりわけ上記の式(I)の化合物に用いてもよいアリール基Rとして、有利にはN、O、PまたはSであることができるヘテロ原子を3から8原子をそれぞれ含有する1個または複数の芳香またはヘテロ芳香環で構成された、場合によって一置換または多置換の、芳香族またはヘテロ芳香族炭素系構造を挙げることができる。置換基は、1個または複数のN、O、F、Cl、P、Si、BrまたはSなどのヘテロ原子、およびまた特にC1〜C6のアルキル基を含んでいてもよい。
【0080】
本発明の文脈においては、用いられる接着プライマー、特に担持開裂性アリール塩、とりわけ上記の式(I)の化合物のうちで、アリール基RはNO2、COH、ケトン、CN、CO2H、NH2(NH3+の形態で)などの電子求引性基、エステルおよびハロゲンで置換されたアリール基から有利に選択される。特に好ましいアリール基Rはニトロフェニルおよびフェニルラジカルである。
【0081】
上記の式(I)の化合物のうちで、Aは、特にハロゲン化物、例えばI-、Br-およびCl-、テトラフルオロボレートなどのハロゲノボレート、過塩素酸塩およびスルホン酸塩などの無機陰イオン、ならびにアルコキシドおよびカルボン酸塩などの有機陰イオンから選択されてよい。
【0082】
本発明の文脈において用いることができる接着プライマーとして、担持フェニルジアゾニウム(phenyldiazonium)テトラフルオロボレート、担持4-ニトロフェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持4-ブロモフェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持4-アミノフェニルジアゾニウムクロリド、担持2-メチル-4-クロロフェニルジアゾニウムクロリド、担持4-ベンゾイルベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持4-シアノフェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持4-カルボキシフェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持4-アセトアミドフェニルジアゾニウム(4-acetamidophenyldiazo ammonium)テトラフルオロボレート、担持4-フェニル酢酸ジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持2-メチル-4-[(2-メチルフェニル)-ジアゼニル]ベンゼンジアゾニウム硫酸塩、担持9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロ-1-アントラセンジアゾニウムクロリド、担持4-ニトロナフタレンジアゾニウムテトラフルオロボレートおよび担持ナフタリンジアゾニウムテトラフルオロボレートによって構成された群から選択されたプライマーを用いるのが特に有利である。代替として、対イオンはクロリドであってもよい。
【0083】
本発明による集成方法の文脈において用いられる第1の表面のゾーンが、同一であるかまたは異なる性質の、前に定義したいくつかの開裂性アリール塩を有してもよいことは明らかである。
【0084】
本発明の文脈において、「非電気化学条件」という用語は、外部電圧のない状態を意味する。したがって、本発明による方法、特にこの方法のステップ(b)において用いられる非電気化学条件は、反応性表面にいかなる電圧の印加もない状態で、接着プライマーからのラジカルおよび/またはイオン種の形成を可能にする条件である。これらの条件は、パラメーター、例えば温度、溶媒の性質、特定の添加剤の存在、撹拌または圧力などを含むが、電流はラジカル種の形成の間介在しない。ラジカル種の形成を可能にする非電気化学条件は多数あり、この種の反応は知られていて、先行技術(RemppおよびMerrill、Polymer Synthesis,1991、65〜86、HuthigおよびWepf)において詳細に調べられた。
【0085】
したがって例えば、接着プライマーがラジカルおよび/またはイオン種を形成するようにそれを不安定化するために、接着プライマーの熱的、速度論的(kinetic)、化学的、光化学的または放射化学的な環境を変更することが可能である。これらのパラメーターのいくつかを同時に変更することが可能であることは明らかである。
【0086】
本発明の文脈において、ラジカルおよび/またはイオン種の形成を可能にする非電気化学条件は、熱的、速度論的、化学的、光化学的および放射化学的およびこれらの組み合わせた条件によって構成される群から通常、選択される。有利なことに、非電気化学条件は、熱的、化学的、光化学的、および放射化学的条件、ならびに互いとおよび/また速度論的な条件との組合せによって構成された群から選択される。本発明の文脈において用いられる非電気化学条件は、とりわけ化学的条件である。
【0087】
熱的環境は温度に依存する。当業者によって通常用いられる加熱手段で制御するのは容易である。サーモスタットで維持された環境の使用は、反応条件の正確な制御を可能にするので、特に興味がある。
【0088】
速度論的な環境は、系の撹拌および摩擦力に本質的に対応する。ここでこれは、分子自体(結合の伸長など)の揺動の問題ではなく、分子全体の移動である。圧力の印加は、接着プライマーが不安定になり、ラジカルおよび/またはイオンの反応的な化学種を形成することができるために、系にエネルギーを供給することを特に可能にする。
【0089】
最終的に、電磁波、γ線、紫外線または電子もしくはイオンビーム線などの多様な照射の作用はまた、ラジカルおよび/またはイオンを形成するのに十分に接着プライマーを不安定化する。使用される波長は用いるプライマーに応じて選ばれる。担持4-ヘキシルフェニルジアゾニウムは、例えば、約306nmの波長が使用される。
【0090】
化学的条件の文脈においては、1種または複数の化学開始剤が反応媒体中で用いられる。上に略述されたように、化学開始剤の存在は非化学的環境条件としばしば対になっている。通常、選ばれた環境条件下で、安定性が接着プライマーより低い化学開始剤は、接着プライマーに作用する不安定な形態に発展し、そこからラジカルおよび/またはイオン種の形成をもたらす。また、作用が環境条件に本質的に関連せず、熱的または速度論的な条件の広い範囲にわたり作用することができる化学開始剤を用いることも可能である。プライマーは、反応環境(例えば、溶媒が用いられれば、溶媒)に適合するのが好ましい。
【0091】
多くの化学開始剤が存在する。3つの型が、用いられる環境条件に応じて、一般に区別される。
-熱開始剤。その最も一般的なものは過酸化物またはアゾ化合物である。熱の作用の下では、これらの化合物は解離して遊離ラジカルになる。この場合、反応は、開始剤からラジカルの形成に必要な温度に対応する最低温度で実行される。この種類の化学開始剤は、それらの分解速度論的生成物の機能として、具体的には特定の温度領域内で一般に用いられる;
-(通常UVであるが、γ線または電子線にもよる)照射が引き金となる、照射によって励起される光化学または放射化学的開始剤は、多少複雑なメカニズムによってラジカルの生成を可能にする。Bu3SnHおよびI2は光化学または放射化学的開始剤に属する;
-本質的に化学的な開始剤。この種類の開始剤は、迅速に通常の温度および圧力条件の下で接着プライマーに作用し、それがラジカルおよび/またはイオンを形成することを可能にする。この種のプライマーは一般に、反応条件下で用いられる接着プライマーの還元電位より低い酸化還元電位を有する。開始剤の性質に依存して、したがってそれは、例えば鉄、亜鉛またはニッケルなどの還元性金属;メタロセン;次亜リン酸(H3PO2)またはアスコルビン酸などの有機還元剤;接着プライマーの不安定化を可能にするのに十分な比率の有機または無機塩基であってもよい。有利なことに、化学開始剤として用いられる還元金属は、細かく分割された形態、例えば金属ウール(また「麦わら」としてもより一般に知られている)または金属削り屑である。一般に、有機または無機塩基が化学開始剤として用いられる場合、4以上のpHで通常は十分である。ラジカル蓄積型の構造、例えば電子ビーム、重イオンビームおよび/または前に挙げたすべての照射手段で前もって照射されたポリマーマトリクスは、また、接着プライマーを不安定化しラジカルおよび/またはイオン種の形成をもたらすための化学開始剤として用いてもよい。
【0092】
本発明による方法のステップ(b)の間に用いられる条件に依存して、溶媒を用いることが可能であることは明白である。したがって、例えば、化学的条件が用いられかつ開始剤が用いられるとき、接着プライマーの不安定化および反応性化学種の形成を可能にするためには、それを反応性表面に接する溶液中に置くのが有利である。有利なことに、溶媒は、それが反応性表面で意味のある反応をしないように選択される。したがって、例えば、接着プライマーがジアゾニウム塩である場合、非プロトン性の溶媒を用いることが推奨される。
【0093】
活性種の形成については[Chem. Mater. 2007、19、6323〜6330]を参照することが有用である。
【0094】
第2の表面(被覆表面)または対象分子との第1の表面(反応性表面)の接触は、本発明の方法のステップ(c)において、異なる方法で実行してもよい。
【0095】
第1の実施形態によると、本発明による方法のステップ(c)の、接触して配置することは、直接実行される。したがって、反応性表面は、被覆表面または対象分子に接触して直接配置される。例えば、グラフェンまたは高分子膜から構成される被覆表面は、反応性表面に直接配置されてよい。同様に、対象分子は、表面に直接配置されてよい。
【0096】
この実施形態によると、プライマーを不安定化する反応性表面に接する被覆表面に圧力を加えることは可能である。また、系を、例えば100℃に熱すること、または照射(例えばジアゾニウム化合物の場合のUV照射)にさらすことは、とりわけ集成が対象分子を含む場合に、可能である。下記の実施例II.1.1はこの第1の実施形態に対応する。
【0097】
第2の実施形態によると、本発明による方法のステップ(c)の接触は、溶液において実行される。一般に、被覆表面または対象分子は溶液中に配置され、次いで、溶液を反応性表面に直接接触させる。次いで、溶液の溶媒を蒸発させて、それにより被覆表面または分子を反応性表面と直接接触するようにできる。この実施形態は、被覆方法(スピンコーター、浸漬、噴霧、ブラシなど)の広い可変性を与える。下記の実施例II.2はこの実施形態に対応する。
【0098】
当業者に知られているいかなる溶媒も、この実施形態において用いてもよい。当業者は、対象分子に応じて、被覆表面、ラジカルおよび/またはイオン種および関与する反応性表面、どの溶媒を用いるべきかを知っている。用いてもよい溶媒の例として、ジメチルホルムアミドおよびN-メチルピロリドンを挙げることができる。
【0099】
第1の表面のゾーン上の生体分子の固定化は、有機媒体、水性媒体、またはトリス緩衝液(トリ(ヒドロキシエチル)アミノメタン)、リン酸塩緩衝液、酢酸塩緩衝液などであってもよいが、これらに限定されない緩衝液媒体中で有利に実行される。有機媒体の使用は、一般に、親水基の保護の結果としての一般に疎水性の半保護合成ペプチド、前記ペプチドの一次配列のアルキルもしくは疎水性型アミノ酸の比率が大きい結果として疎水性である脱保護合成ペプチド、または膠原線維、膜貫通型タンパク質ならびにキチンおよびその誘導体などの、限定されない疎水性生体分子などの限定されない生物学上活性な合成生成物の固定化に好ましい。通常、対象分子として生物学的または生物学的に活性な分子を含むステップ(c)の間に用いられる有機溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシド(DMSO)によって構成される群から選択される。DMSOは、生物学的に低毒性でありその使用が許可され一般的であるので好ましい。しかし、水性溶媒または緩衝液の使用は、固定される分子がこれらの溶媒に溶解性を示せば、この溶解性が低くても、好ましい。
【0100】
本発明の方法の第1の変形形態において、本方法のステップ(b)および(c)は同時に実行される。この変形形態において、同時に実行されるステップ(b)および(c)に対応するステップは、少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を前記ゾーンで得るために、少なくとも1種の接着プライマーを有する前記第1の表面の前記ゾーンを非電気化学条件下に、および第2の表面または前記対象分子と接触する条件下に同時に配置することにある。次いで、この反応は、自発的であっても活性化されてもよい。
【0101】
この変形形態において、第2の表面または対象分子は、第1の表面に存在する接着プライマーと直接反応することができ、第2の表面および対象分子は前に定義した化学開始剤、すなわちラジカルおよび/またはイオンの形態を与える接着プライマーを活性化し、この形態で場合によって反応する化学開始剤として作用する。有利なことに、この変形形態において、被覆表面または対象分子は以前に定義した溶液に配置される。
【0102】
本発明の方法の第2の変形形態において、本方法のステップ(b)および(c)は同時には実行されない。この変形形態において、反応溶液が用いられる場合、この溶液が脱気されるのが有利である。
【0103】
具体的な一実施形態によると、本方法はまた、本発明による方法のステップ(b)において用いられる接着プライマーを有する反応性表面を調製するステップを含む。この追加のステップは本発明による方法のステップ(a)に対応する。接着プライマーを有する反応性表面は、接着プライマー前駆体を有する表面から一般に調製される。この表面は特に、第1の表面、とりわけ集成に関与する第1の表面のゾーンを被覆することによって調製し、接着プライマー前駆体を含む表面処理剤をその上に形成してもよい。
【0104】
本発明の文脈において、「接着プライマー前駆体」という用語は、実行するのが容易な単一操作ステップによって接着プライマーから分離される分子という意味に理解されたい。一般に、前駆体は、同一の環境条件下で接着プライマーより高度の安定性を有する。当業者は様々な「接着プライマー前駆体」/「接着プライマー」対を知っている。したがって、例えば、アリールアミンはアリールジアゾニウム塩の前駆体である。具体的には、例えば酸性水性媒体中でNaNO2との、または有機媒体中でNOBF4との単純な酸化反応によって、対応するアリールジアゾニウム塩を形成することが可能である。これらの条件の下では、対応するプライマーを含む表面処理剤の前駆体を含む表面処理剤から通すことは容易である。結合剤に前に与えられた用語「表面処理剤」の定義は、また接着プライマー前駆体にも準用して当てはまる。したがって、少なくとも1種の接着プライマー前駆体を有する前記第1の表面の前記ゾーンは、少なくとも1種の接着プライマー前駆体を有する有機フィルムが、優先的に共有結合で結合された前記第1の表面のゾーンである。
【0105】
特に挙げられてもよい接着プライマー前駆体は、下記の式(II);
(第1の表面)-(B)n-R-NH2(II)
[式中、B、Rおよびnは式(I)で定義された通りである。]の担持アミンなどの担持アリールジアゾニウム塩の前駆体を含む。
【0106】
本発明の文脈において用いられてもよい接着プライマー前駆体として、担持フェニルアミン、担持4-ニトロフェニルアミン、担持4-ブロモフェニルアミン、担持4-アミノフェニルアミン、担持2-メチル-4-クロロフェニルアミン、担持4-ベンジルベンゼンアミン、担持4-シアノフェニルアミン、担持4-カルボキシフェニルアミン、担持4-アセトアミドフェニルアミン、担持4-アミノ安息香酸、担持2-メチル-4-[(2-メチルフェニル)ジアゼニル]アミン、担持9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロ-1-アントラセンアミン、担持4-ニトロナフタレンアミンおよび担持ナフタレンアミンによって構成される群から選択された前駆体を用いることが特に有利である。
【0107】
様々な被覆方法が先行技術において知られていて、本発明による方法のステップ(a)において用いることができる少なくとも1種の接着プライマー前駆体を有する少なくとも1つのゾーンの表面を得るように、第1の表面の性質に従って用いることができる。これらの方法は化学的または電気化学的方法であってもよい。この種の方法は例えば、浸漬、スピンコーティング、塗布によるまたは吹付による、または下塗りする材料が固体の場合、圧力および直接的な接触による堆積を含んでいてもよい。通常、使用者が表面処理剤が基材表面に共有結合で結合されることを望む場合、被覆操作は有機フィルムをグラフト化する方法によって実行することができる。用いられる表面の種類に関係なく、用いられるグラフト化は[Chem.Mater.2007、19、6323〜6330]に記載されている化学グラフト化であってもよい。基材表面が導電性または半導電性である場合、このグラフト化は、有利には、[Chem.Mater.2006、18、4755〜4763]に記載されている電解グラフト化または前に記載された微小電極を含む電気グラフト化からなっていてもよい。被覆方法は、一般に、接着プライマー前駆体を含む表面処理剤の形成をもたらす。したがって、例えば、アリールジアミンを用いる化学グラフト化によって、その表面が担持アリールアミンの形態での接着プライマー前駆体を含む表面処理剤(finish)、この場合有機フィルム、を形成することが可能である。
【0108】
当業者は、本方法のステップ(a)の間、用いられる前駆体の種類および得られる接着プライマーに応じて、用いられる適切な条件を決定する方法を知っている。したがって、アリールジアゾニウム塩へのアミン官能基の転化は、酸性水性媒体中で、NaNO2を用いる単純な酸化反応を介する単一ステップで、または有機媒体中でNOBF4を用いて実行されてもよい。
【0109】
表面処理剤の使用は、表面の接着プライマーの位置決めを特に正確に選択することを可能にする。これらの条件下では、集成において用いられる表面ゾーンの位置確認の全体制御が得られてよい。この理由は、被覆操作が使用者によって望まれるゾーンにおいてのみ実行されるということである。
【0110】
表面処理剤の使用は、また表面の平坦性を増加させることを可能にする。具体的には、基材表面が粗い場合、得られる表面の平坦性を増加させるのに十分多い表面処理剤の量で被覆することによって平滑にすることが可能である。被覆操作は、必要であれば、基材表面の凸凹を目止めすることができる。したがって、本発明は、反応性表面の形態を、被覆表面との起こり得る接触を増加させるように適合させることができる。
【0111】
表面処理剤の厚さは、単分子層から数ナノメートルの厚さ、最大1ミクロンのスケールの範囲であってもよい。したがって、数ナノメートル以上で有機フィルムは絶縁性になるので、表面処理剤の電気伝導率を変更することは可能である。
【0112】
接着プライマーはとりわけ反応性分子であるので、それが接着プライマー自身ではなく接着プライマー前駆体を含む場合、反応性表面をより容易に保存することが可能である。
【0113】
ジアゾニウム塩などの接着プライマーは、グラフェンなどの化学種を表面で固定されることを可能にする方法の化学的な鍵である。本発明は、グラフェン(非常に熱力学的に安定した平面状の黒鉛結晶格子)などの非常に低い反応性の材料で実行するのが困難な化学現象を達成することを可能にする。かなりの格子屈曲を有するCNTまたはフラーレンなどのグラファイト材も用いることができる。さらに、ジアゾニウム塩などの用いられるプライマーは、多くの求核性化合物(有機塩基COO-SO32-、NH2、ピリジンなど)と反応することができる。
【0114】
本発明は、接着の原因である化学官能基が接着剤によって供給される従来の結合形成と異なり、接着の原因である化学官能基が表面、この場合反応性表面(それは予備接着剤と名付けてもよい)に既に存在するということによって特に先行技術の方法と異なる。
【0115】
さらに、本発明による方法は、用いられる第1の表面のゾーンを構造化する追加のステップを含んでもよい。この構造化は、反応性表面の変更に、とりわけこの反応性表面の寸法を減少させるおよび/またはこの表面のラジカルおよび/またはイオン種の数を低下させることにある。
【0116】
したがって、反応性表面は、数分間UVランプ(スペクトル300〜500nm、200W)の下で紫外線照射にさらされてもよい。通常、ジアゾニウム塩を有する2nmの層について、3から10分の紫外線曝露時間が、表面に存在するすべてのジアゾニウム塩の破壊を可能にする。この結果は、2270cm-1のピークの完全消失したIR分光測定によって監視することができた。このようにして得られた層は「死んだ層」と呼ばれ、もはや別の表面または対象分子の集成または固定化を与えない。
【0117】
「死んだ層」を得るための紫外線照射時間はその厚さに依存する。一変形形態として、照射時間および/または照射強度(より低い能力)、第1の表面のゾーン中のラジカルおよび/またはイオン種の密度は制御することができ、単位面積当たりの活性部位の数の変更を可能にする。この方法は、支持体の単位面積当たりの対象分子の密度の変更を可能にする。
【0118】
一変形形態として、本発明の方法において用いられる第1の表面のゾーンの構造化は、反応性表面の調製に先立って実行することができる。
【0119】
この変形形態は、前に記載された微小電極を用いる表面処理剤の電解グラフト化または支持体に適用されるスタンプの使用のいずれかを含んでいてもよい。
【0120】
マスクにたとえることができるこのスタンプは、本発明による方法のステップ(a)および(b)に先立って適用される。スタンプは、通常、表面にグラフト化するのでも、共有結合でそれに結合するのでもない物理種に対応する。スタンプは特に、一般に数オングストロームから数ミクロンの、表面に堆積された通常有機性のバルク材または材料の薄層であってよい。
【0121】
スタンプは、工程の間に生成するラジカルに関連する表面の化学反応性の局部「マスキング」を可能にし、それにより溶液にさらされる表面の一部にのみフィルムの形成を制御し、マスクを備える支持体の表面のゾーンは有機フィルムの形成から保護される。したがって、前に定義された溶液に接触して配置された固体支持体の表面は、通常少なくとも1つのマスクで覆われたゾーンを含む。操作の終わりにマスクを除去した後、保護された表面は、マスクを備えていなかった表面と異なり、グラフト化フィルムを含まない。
【0122】
好ましくは、マスクは、穏やかな条件下で容易に除去することができる、より低い密着力の層として作用する無機または有機材料の薄層から構成される。材料の層は、除去するためにグラフト化フィルムに有害な極端な条件の使用を必要としない限りであれば、考慮に入れられる。通常、穏やかな条件は、マスクが可溶な溶媒を用いて一般に実行される単純な化学洗浄、マスクが可溶な溶媒中での超音波処理または温度の上昇に対応する。言うまでもなく、マスクは溶液中にある溶媒(すなわちグラフト化反応の文脈において用いられる溶媒)に可溶でないことが望ましい。したがって、表面への親和性が、反応溶媒への親和性より高いマスクを用いることが推奨される。
【0123】
したがって、マスクを構成する材料は、広い範囲内で選択されてよい。この材料は、固体支持体の性質に応じて一般に選ばれる。
【0124】
マスクは工程の間に生成するラジカルまたはイオンと反応することができる。いずれの場合も、マスクを除去し、有機フィルムが認められない、グラフト化から保護された固体支持体の表面のゾーンを露わにすることが可能である(リソグラフィにおける「リフトオフ」法にたとえられる)。
【0125】
マスク蒸着技術は当業者には周知である。この種の技術は特に被覆、気化または浸漬であってよい。したがって、マスクも、材料の薄層の形態で、例えば選択された材料を含浸したフェルト(鉛筆型)を用いる直接描画によって堆積してもよい。ガラスには、例えば、マスクとして文房具店で販売されているものなどのマーカー、または代替としてワックスのような油性物質を使用することができる。また、「スタンピング」法を用いることも可能である。この技術は、硫黄原子と複合体を形成している表面、例えば金表面、を有する固体支持体の場合には特に適用可能であり、この場合、マスクは一般に、特に長鎖アルキルチオール、通常C15〜C20、および典型的にはC18のアルキルチオールから構成される(「マイクロコンタクトプリント」として知られている技術)。より一般には、スピンコーティング、後続の、物理的マスクを介するまたは光もしくは指向性粒子のビームによる曝露、次いで剥離(revelation)という標準リソグラフィ技術を、マスクを形成するために用いてよい。
【0126】
本発明は、生物学の分野にとりわけ有利な用途を見出す。具体的には、本発明の文脈において用いられる支持体は寸法可変で生物学に有用な様々な形態であってよい。限定されない例として、支持体は、スライド、マイクロプレート、特に12-、24-または96-ウェルマイクロプレート、粒子、ビーズ、微小ビーズ、繊維、フェルト、細管タイプの溶血またはマイクロチャネル管などの管、SPIN(商標)カラムなどのカラムまたはマイクロカラム、およびバイオセンサーまたはバイオチップに用いられる支持体の形態をしていてよい。これらの多種類の支持体は、数百マイクロメートルから数センチメートルの範囲の寸法を有していてよい。生物学のこれらの用途において、以下では「生物学のまたは生物学的に活性な分子」と呼ぶ、集成されるまたは固定される対象分子は、ペプチド;ゼラチン、Aタンパク質、Gタンパク質、ストレプトアビジン、ビオチンまたは酵素などのタンパク質;抗体または抗体フラグメント;細胞または膜受容体;グリコサミノグリカンおよび特にヘパリンなどの多糖;細胞または細胞オルガナイトもしくは膜などの細胞の一部、ならびにDNAおよびRNAなどの核酸によって構成される群から有利に選択される。
【0127】
したがって、前に説明したように、本発明はバイオチップまたはバイオセンサーの調製に用いることができる。この調製には種々の実施形態があってよい。すなわち、
-ジアゾニウム型の接着プライマー前駆体の層を、有機または無機性の導電性または絶縁性支持体上に形成し、層を活性化してラジカルおよび/またはイオン種を形成し、次いで:
-生体のまたは生物学的に活性な分子を、支持体の全表面に堆積し、または、
-生体のまたは生物学的に活性な分子を、マイクロまたはナノ流体系によって液滴の形態で、直接または連続して堆積し、別の分子は液滴の堆積などによってこのようにして導入することができ、または
-活性化された支持体を、生体分子または生物学的に活性な分子を含む溶液に浸漬させる。
【0128】
ジアゾニウム型の接着プライマー前駆体の一例は、とりわけポリフェニル構造の化合物である。
【0129】
前に定義したすべての変形形態に対して、本発明による方法において用いられる支持体の表面の構造化のステップを実行することが可能である。
【0130】
この構造化は、生体分子または生物学的に活性な分子の堆積または固定の前に、マスクの堆積と後続する紫外線照射を含む中間ステップからなってよい。それにより、具体的な幾何形状を有する、活性化された支持体で堆積した格子またはマスクは、スポット(正方形、円、など)が得られることを可能にし、集成体は、次いで予め定められた時間、紫外線照射にさらされる。そのとき、UVに照射された接着プライマーのゾーンは不活性と考えられる。UV照射されていない接着プライマーのゾーンはまだ活性と考えられる。それらは、生成するように要望されるスポットの表面に優先的に配置する。
【0131】
この構造化の一変形形態は、本発明による工程の実施例に先立って、前に定義した表面の特定のゾーンを覆う役目をするパッドを用いることにあってよい。
【0132】
前に定義したすべての変形形態について、
-とりわけ国際特許出願公開第2008/078052号に記載されているような、導電性または絶縁性の、有機または無機性のものであってよい支持体に、前駆体の層を電気化学的に形成することによって、
-有機または無機性の、導電性または絶縁性の支持体へ、化学的に活性化されたジアミンを含有する液滴の形態で堆積し、ナノまたはマイクロの流体系によってパターニングし、それによりジアゾニウム型の接着プライマーの前駆体のスポットを生成する、
-有機または無機性の導電性支持体に対極を備えるナノまたはマイクロの流体系を用いて、電気化学的に活性化されたジアミンを含有する液滴の形態で堆積し、ナノまたはマイクロの流体系によってパターニングし、それによりジアゾニウム型の接着プライマーの前駆体のスポットを生成する、
-電気化学的プロセスによるチップ(例えば、スポットに構造化した表面を有する)上のジアゾニウムの層の直接形成であって、チップの金属スポットの各々はジアゾニウムの層で覆うことによって、ジアゾニウム型の接着プライマー前駆体の層を得ることが可能である。次いで、各金属スポットは、関係生体分子を含む定義された体積の液滴で覆われる。
【0133】
本発明はまた、前に定義した少なくとも1つのゾーン、すなわち少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を有する、少なくとも1種の接着プライマーを有する、または少なくとも1種の接着プライマー前駆体を含むゾーンを有する表面をもつ固体支持体にも関する。前記化学種、プライマーおよび前駆体は、直接または間接的に前記表面に結合されてもよく、これは前に考察された様々な実施形態に行われてもよい。表面(形状、性質、寸法、など)に関して前に定義したものはすべて、本固体支持体に対して準用して当てはまる。
【0134】
本発明は、また、バイオチップまたはバイオセンサーを調製するための、前に定義した固体支持体の使用、および前に定義した少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を含む少なくとも1つのゾーンを有する表面をもつ固体支持体を含むバイオチップまたはバイオセンサーに関し、ラジカルおよび/またはイオン種は、ペプチド;ゼラチン、Aタンパク質、Gタンパク質、ストレプトアビジン、ビオチンまたは酵素などのタンパク質;抗体および抗体フラグメント;細胞または膜受容体;グリコサミノグリカンおよび特にヘパリンなどの多糖;細胞または細胞オルガナイトもしくは膜などの細胞の一部、ならびにDNAおよびRNAなどの核酸によって構成される群から選ばれた生物学的構成材と反応させておく。
【0135】
本発明は、また、前に定義した工程の実施の間に用いることができる構成キットにも関する。この種のキットはとりわけ次のものを含む。
-第1の区画において、前に定義した少なくとも1つのゾーン、すなわち少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を含む、少なくとも1種の接着プライマーを含む、または少なくとも1種の接着プライマー前駆体を含むゾーンを有する表面を備える固体支持体、
-場合によって、第2の区画において、前駆体から接着プライマーを製造するために必要な少なくとも1つの構成材(例えば、酸性水性媒体中のNaNO2の溶液、または有機媒体中のNOBF4の溶液)および/または化学開始剤などの接着プライマーからラジカルおよび/またはイオン種を製造するために必要な少なくとも1種の構成材、
-場合によって、第3の区画において、固定される、前に定義された第2の表面に対応する表面を有する別の固体支持体もしくはナノ物体または前に定義された対象分子。
【0136】
本発明は、また、第2の表面に対応する表面を有する別の固体支持体または前に定義したナノ物体をその上に固定するための、表面の少なくとも1つのゾーンが少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を含む固体支持体の使用に関する。したがって、本発明は、一重壁または多重壁カーボンナノチューブ、グラフェンフレークまたはシリコンナノフィルムをその上に固定するための、表面の少なくとも1つのゾーンが少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を含む固体支持体の使用に関する。
【0137】
とりわけ、本発明は、グラフェンフレークを剥離するための、前に記載した方法、またはその表面の少なくとも1つのゾーンが定義した少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を含む固体支持体の使用に関する。
【0138】
さらに、本発明は、前記第1の表面のゾーンを金属化するための、前に記載した方法、またはその表面の少なくとも1つのゾーンが定義した少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を含む固体支持体の使用に関する。具体的には、用いられる第2の表面がナノ物体(NB)、とりわけナノ粒子(NP)である場合、本発明による方法の実施の後に第1の表面で固定化されたNBによって還元することができる1種または複数の金属塩を含む溶液を用いることが可能である。一般に、NBが固定される支持体は、NBによって還元することができる1種または複数の金属塩を含む溶液へ直接浸される。
【0139】
本発明は、また表面処理の分野にも用途が見つかる。具体的には、材料の永続的な処理に対して、とりわけその表面の少なくとも1つの「表面張力」、「表面的張力」、「界面エネルギー」または「界面張力」としても知られている、表面エネルギーなどの性質の変更、したがってこの表面の濡れ性の変更に対して、用いることができる。本発明は、前記材料および液体の間の界面的性質をとりわけ変更することを可能にする。
【0140】
本発明の文脈においては、「表面エネルギーを変更する」という表現は、とりわけ所与の液体に対して、それが親水性でも疎水性でも、表面エネルギーを増加させるか低下させることを意味する。本発明による方法は、前記未処理の表面に配置された同一の液体の接触角に対して、このようにして処理された表面に配置された液体の接触角を変更する(すなわち増加させるかまたは減少させること)ことを可能にする。有利なことに、本発明による方法は、前記表面の濡れ性を変更する(すなわち増加させるかまたは減少させること)ことを可能にする方法である。
【0141】
本出願において、表面エネルギーを変更するように望まれる表面は、前に定義した「反応性表面」である。表面は、前に考察されたいかなる性質(有機、鉱物、絶縁性、導電性または半導電性)であってよい。とりわけ、この表面は、特に建設業、建築、自動車、グレイジングおよび鏡の製造、水槽ガラス、眼鏡または光学ガラスにおいて用いられる、平坦なガラスなどのガラス面である。その上に、対象分子で集成される反応性表面上の有機被覆の厚さは、容易に制御可能であるが、材料の光学的性質を変更しない。
【0142】
疎水性分子は、プロトン性溶媒、とりわけ水に通常不溶である。これらの分子の溶解性は有限であり、水などのプロトン性溶媒と混和しない相を形成することができる。分子は、一般に疎水性と称される少なくとも1つの化学基を含む。疎水性基は表面エネルギーの変更に関与する。疎水性基は、
-少なくとも1個の不飽和基(二重または三重結合)、少なくとも1個のヘテロ原子および/または少なくとも1個の置換基を場合によって含んでもよい直鎖状、分枝鎖状または環状のC3〜C50、特にC6〜C30、とりわけC10〜C20アルキル
-少なくとも1個の不飽和基(二重または三重結合)、および/または少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって含む直鎖状、分枝鎖状または環状のC3〜C50、特にC6〜C30、とりわけC10〜C20アルキルである少なくとも1個の置換基を場合によって含んでもよいC3〜C50、特にC6〜C30、とりわけC10〜C20アリール
-少なくとも1個の不飽和基(二重または三重結合)、少なくとも1個のヘテロ原子および/または少なくとも1個の置換基を場合によって含んでもよいC6〜C50、特にC6〜C30、とりわけC10〜C20(多)環状化合物によって構成される群から有利に選択される。
【0143】
前記置換基は、C1〜C6アルキルおよび/またはハロゲンおよびとりわけフッ素の置換基であるのが有利である。
【0144】
本用途に用いられてもよい対象分子は、特に界面活性剤、詳細には商標Zonylの下でDuPontによって販売されている組成物に含まれているものなどの、フッ素で処理された界面活性剤である。
【0145】
本発明は、したがって、前に定義した集成方法による、前に定義した疎水性分子で前記表面を集成することにある、固体の少なくとも1つの表面の表面エネルギーを変更する方法に関する。
【0146】
有利なことに、表面エネルギーを変更するこの方法はこの集成に従って、追加のステップを含む。それは、熱処理に前記分子で集成された前記表面をさらすことにある。具体的には、この熱処理は、表面エネルギーの変更を改善することを可能にする。前記熱処理は、60から180℃の間、特に90から150℃の間、とりわけ約120℃(すなわち120℃±10℃)で選択されてよい温度に、一般に1時間から3日の間、特に6時間から2日の間、とりわけ12から24時間の間、前記グラフト化フィルムをさらすことにある。この熱処理ステップは、乾燥がままたはオーブン内で実行することができる。
【0147】
本発明の他の特性および利点は、下記の実施例を読むことによってより明白になるであろうが、限定されない例証として添付された図面を参照して与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】グラフェンの剥離の略図である。
【図2】接着プライマーおよび被覆の間の共有結合を生成する化学反応の例を示す図である。
【図3】水リンス後のアセトン中5分間の超音波処理の(a)前に、および(b)後に測定した、化学的に40分堆積した接着プライマー前駆体のフィルム(ポリアミノフェニレン型)のATR-IRスペクトルである。
【図4】水リンス後のアセトン中5分間の超音波処理の(a)前に、および(b)後に測定した、-0.6Vで30mCb、電気化学的に堆積した接着プライマーのフィルム(ポリアミノフェニレン型)のATR-IRスペクトルである。
【図5】(a)化学調製した接着プライマー前駆体表面と呼ばれる、芳香族アミンの薄層で被覆した表面のIRスペクトル、および(b)CH3CN中、30秒間NOBF4(10-2M)で処理した後に接着プライマーになった同じ表面のIRスペクトルである。
【図6】(a)芳香族アミンの薄層で被覆した表面(電気化学調製した接着プライマー前駆体と呼ばれる)のIRスペクトル、および(b)CH3CN中30秒間NOBF4(10-2M)で処理した後に接着プライマーになった同じ表面のIRスペクトルである。
【図7】水性媒体中の再ジアゾ化(したがってBF4-帯が欠如している)の(a)前駆体表面のIRスペクトル、(b)プライマー表面のIRスペクトルである。
【図8】8A、8B、8Cおよび8Dが異なる倍率で異なるゾーンを表す、ジアゾ化した表面へのグラフェン多重フレークのグラフト化を示す図である。
【図9】9A、9B、9Cおよび9Dが、グラフト化表面の異なる倍率、80000×、20000×、50000×および35000×にそれぞれ対応する、ジアゾ化した表面へのCNTのグラフト化を示す図である。
【図10】(a)ポリアミノフェニレン型のプライマー前駆体で被覆した表面のIRスペクトル、(b)プライマーのIRスペクトル、および(c)アセチルピリジンと反応した後のIRスペクトルである。
【図11】(a)ポリアミノフェニレン型のプライマー前駆体で被覆した表面のIRスペクトル、(b)プライマーのIRスペクトル、および(c)4-ビニルピリジン(4VP)と反応した後のIRスペクトルである。
【図12】(a)ポリアミノフェニレン型のプライマー前駆体で被覆した表面のIRスペクトル、(b)プライマーのIRスペクトル、および(c)4-ピリジル酢酸エチルと反応した後のIRスペクトルである。
【図13】(a)ポリアミノフェニレン型のプライマー前駆体で被覆した表面のIRスペクトル、(b)プライマーのIRスペクトル、および(c)ポリ-4-ビニルピリジン(P4VP)と反応した後のIRスペクトルである。
【図14】(a)ポリアミノフェニレン型のプライマー前駆体で被覆した表面のIRスペクトル、(b)プライマーのIRスペクトル、および(c)PAMAMと反応した後のIRスペクトルである。
【図15】(1211081)担持フェニルアミン型のプライマー前駆体のフィルムが、180分間のラジカル化学グラフト化によってグラフト化された金で覆われた顕微鏡用スライドの、(1211082)担持フェニルジアゾニウム型のプライマーの、および(1211083)疎水性分子(すなわちZonyl(登録商標))とのこのプライマーの反応の後のIR分光測定による分析である。
【図16】ポイントIII-3に記載された方法によって、Zonyl(登録商標)に由来するパーフルオロ鎖をグラフト化したスライドガラス上の一滴の水で測定した接触角(5つの独立した測定)であり、対照としてブランクのスライドガラスを使用した。
【図17A】ブランクのスライドガラス上の一滴の水の写真である。
【図17B】ポイントIII-3に記載された方法によって、Zonyl(登録商標)に由来するパーフルオロ鎖をグラフト化したスライドガラス上の一滴の水の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0149】
他に述べない限り、通常の温度および圧力条件(約25℃約1気圧)の雰囲気下で、以下の実施例を実行した。他に述べない限り、用いる試薬は直接商品として得られ、さらなる精製をしなかった。反応は、真空下で蒸発によって5nmクロミウム、次いで200nmの金で覆った7.5×1.2cm顕微鏡用スライド(スライドガラス)を用いて実行した。
【0150】
雰囲気の組成に関しては注意を払わず、溶液は脱気しなかった。
【0151】
I- 第1の表面の調製
I-1 接着プライマー前駆体の調製
I-1-1 化学実験の方法
表面処理剤は、[Chem.Mater.2007、19、6323〜6330]に図示された実験方法によって調製した。
【0152】
顕微鏡用スライドを、2mLのNH2-Ph -NH2水溶液(5×10-3Mの0.5MHCl)、2mLのNaNO2水溶液(5×10-3M)および80mgの鉄削り屑を含む混合物に40分間浸漬した。Chem.Mater.2007,19,6323〜6330の実験方法とは対照的に、反応は、より厚いフィルムを得るためにここでは35℃で実行する。40分間の反応の後に分析した試料の赤外線(IR)スペクトルを図3に示す。
【0153】
形成された層の超音波処理に対する抵抗性は、アセトニトリル中で成功裡に試験した。超音波処理前後に得た赤外線スペクトル(図3のそれぞれスペクトル(a)および(b))は類似していて、材料の喪失がなく、結果的にフィルムが強固にグラフト化されたことを示す。
【0154】
ポリ塩化ビニリデン(PVDF)β(1cm×4cm、25μm厚)薄膜のストリップを、2mLのNH2-Ph -NH2水溶液(5×10-3Mの0.5MHCl)、2mLのNaNO2水溶液(5×10-3M)および80mgの鉄削り屑を含む混合物に120分間浸漬した。Chem.Mater.2007,19,6323〜6330の実験方法とは対照的に、ここでは反応を、反応は、より厚いフィルムを得るためにここでは35℃で実行する。
【0155】
I-1-2 電気化学の実験方法
用いた電気化学の実験方法は[Chem. Mater. 2006, 18, 4755〜4763]に記載されているものと同様である。その反応は、1,4-フェニレンジアミン(10-2M)およびNaNO2(5×10-3M)の0.5MHCl水溶液に対応する10mLの電気化学の溶液を含む電気化学セル中で実行した。
【0156】
フィルムの堆積は、20mV・s-1の掃引速度で定電位的に(ジアゾニウム塩の電気活性障壁内側で選択した電位)または(サイクリックボルタンメトリーで)動電位的に実行した。
【0157】
アセトニトリル中での超音波処理前後に得られたフィルムのIRスペクトル(図4スペクトルのそれぞれ(a)および(b))は類似している。したがって、物質の喪失はなく、形成されたフィルムは強固にグラフト化されている。
【0158】
I-2 接着プライマーの形成
I-1に得られた表面処理剤(化学的および電気化学的な)で被覆された基板は、ジアゾニウム官能基を生成するために有機媒体中または水性媒体中で処理されてよい。
【0159】
I-2-1 有機媒体
表面処理剤(化学的または電気化学的起源の芳香族アミンの形態)で被覆された表面は、NOBF4(10-2M)を含有するアセトニトリル溶液に30秒間浸漬した。このステップの間、表面で存在するアミン官能基に対して過剰量が常にあるので、NOBF4濃度は正確である必要がない。
【0160】
ジアゾニウム塩の形成は赤外分光光度法によって監視することができた。ジアゾニウムに対応する2270cm-1のピーク、およびそのカウンターイオンBF4-に対応する1080cm-1のピークが、化学的な起源(I-1-1)のフィルムとして図5に、電気化学的な起源(I-1-2)のフィルムとして図6に図示されている。
【0161】
実施例I-2-1で実行した反応は、以下のように概略的に表されてよい;
【0162】
【化1】

【0163】
I-2-2 水性媒体
表面処理剤で被覆した表面は、0.5MHC1および5×10-2MNaNO2の水溶液に浸漬した。このステップの間、表面に存在するアミン官能基に対して過剰量が常にあるので、NaNO2濃度は正確である必要がない。
【0164】
ジアゾニウム塩の形成は、図7に図示されるジアゾニウムに対応する2270cm-1のピークのIR分光測定によって監視することができた。実施例I-2-2で実行した反応は、以下のように概略的に表されてもよい。
【0165】
【化2】

【0166】
I-3 表面の構造化または「パターン化」
パラグラフI-2に記載した処理の後得られた表面のいくつかをマスクで覆った。マスクは、不透明な金属でリソグラフィ処理したガラス板の形態をしている。リソグラフィで製造したパターンを有する表面を、活性化した細胞接着剤層に接して直接配置し、集成体を、UVランプ(スペクトル300〜500nm)の下で紫外線照射に数分間さらした。
【0167】
「死んだ」部分および活性化した自己接着性のスポットを含有する支持体の表面の「パターニング」の外観は、IR分光測定マッピングによって明らかにでき、マスクで保護されたゾーンの2270cm-1のピークは観察され、UV照射されたゾーンの2270cm-1のピークは消失していた。
【0168】
金スライドのある表面を、文房具屋で販売されているようなマーカーを用いて作ったマスクで覆う。パラグラフI-2に記載された処理の後、「裸の」部分および活性化した自己接着性のスポットを含有する支持体の表面の「パターニング」の外観は、IR分光測定マッピングによって明らかにでき、マスクで保護されなかったゾーンの2270cm-1のピークは観察され、マーカーで覆っていたゾーンの2270cm-1のピークは消失していた。
【0169】
II - 集成体/固定
II-1 無機材料の固定
II-1-1 HOPGの剥離によるグラフェン
接着テープ(3Mから販売されている、透明なScotch Magic商標810)に堆積したHOPG(Advanced Ceramics Corporationから得られたZYHグレード、12×12×2mmの寸法)のブロックを、実施例I-2で得られた表面に接して配置した。0.1から10バールの間の圧力を、ボール盤バイスを用いてかけ、集成体は100℃で1時間オーブンに置いた。
【0170】
この処理の後、接着プライマーに直接接触させたHOPGのブロックのグラフェンフレークをグラフト化する。グラフト化したブロックの厚さは約50nmで、すなわち150のグラフェンフレーク(図8B)に等しい。
【0171】
モノフレークの正確な特性評価は、拡散しているように見える(図8Cおよび8D)、特定のゾーンで行うのが困難なラマン分析法を必要とする。20未満の数のフレークが明確に得られる。グラフト化したHOPGのブロックは超音波処理に耐えられた(図8A)。
【0172】
II-1-2 カーボンナノチューブ(CNT)
4から15nmの外径を有する多重壁カーボンナノチューブ(MWCNT)(CCVDによって合成された、非常に高純度、Nanocyl社によって販売)を、N-メチルピロリドンに0.3mg/mLの速度で添加し、次いで、6時間超音波処理にさらし安定した分散物を与えた。
【0173】
7000rpmでの遠心分離ではCNTの分散が不十分で、分離した。10mLの上澄みを取り、実験方法I-2によって調製した金で覆った顕微鏡用スライドをその中に浸漬した。反応媒体は撹拌しながら100℃に維持した。12時間の後、スライドを除去し、次いで、エタノールおよびアセトンで完全にすすいだ。
【0174】
このようにして処理した表面を、走査電子顕微鏡によって分析した。種々の倍率で観察したCNTの均一な堆積を図9A、9B、9Cおよび9Dに示す。
【0175】
II-1-3 銅ナノ粒子
銅ナノ粒子は以下のやり方によって調製した。50mLのCuSO4水溶液(250mgのCuSO4・5H2O、硫酸銅五水和物、50mL脱イオン水中)を含むビーカーに、2gの界面活性剤HEA16Cl[N,N-ジメチル-N-セチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド]を数分(通常2から10分)の間、磁気撹拌しながら添加した。次に、2mLのNaBH4溶液をビーカーに導入した。NaBH4溶液は、2mLの脱イオン水に150mgのNaBH4を溶解して調製した。撹拌は、濃藍色の着色が現われた(通常1から5分)とき停止した。溶液は、次いで、5から10分で赤黒色になった。
【0176】
次いで、ジアゾニウム塩で被覆した表面を、通常5から30秒間溶液に浸漬した。より長い時間ではより完全なカバーが得られた。次いで、試料を脱イオン水ですすいだ。ポリフェニレンアミンだけで被覆したブランクの対照表面も、これらの表面のナノ粒子の自発的な吸着を評価するために、同一の条件下で漬けた。
【0177】
走査電子顕微鏡によって得られたこれらの様々な表面の画像は、ジアゾニウム塩で被覆した表面上のみ樹木状の銅の存在を明らかにしたが、参照表面上には存在しなかった。
【0178】
II-2 有機化合物の固定
II-2-1 単純有機化合物:アセチルピリジン、4-ビニルピリジン、4-ピリジル酢酸エチル
I-2に略述された実験方法に従って調製した接着プライマーを含む顕微鏡用スライドを用いた。
【0179】
試料は、アセチルピリジン、4-ビニルピリジン、または4-ピリジル酢酸エチルの溶液に3分間浸漬した。ジメチルホルムアミド(DMF)ですすぎ超音波に曝露した後に、表面をIR分光測定によって分析した。これらのスペクトルは、図10(アセチルピリジン)、図11(4-ビニルピリジン)および図12(4-ピリジル酢酸エチル)に示す。
【0180】
4-ビニルピリジンを用いる実施例II.2.1で実行した反応は恐らく以下の通りである;
【0181】
【化3】

【0182】
II-2-2 ポリマー:ポリ-4-ビニルピリジン
I-2に略述された実験方法に従って調製した接着プライマーを含む顕微鏡用スライドを用いた。
【0183】
ポリ-4-ビニルピリジン(P4VP)はよい分散物を達成するためにジメチルホルムアミド(DMF)に比率2質量%で溶解した。顕微鏡用スライドをスピンコーターに配置し、P4VP溶液で覆った。2000rpm(毎分回転数)で1分間回転すると、P4VPの薄膜形成が可能になる。堆積後の5分に、スライドをすすぎ、DMF中で超音波にさらした。
【0184】
実施例II.2.2で実行した反応は恐らく以下の通りである:
【0185】
【化4】

【0186】
図13は、プライマー表面(a)、およびP4VPで被覆した表面(b)に対して得られたIRスペクトルを示す。ピリジン環の特徴的ピークは約1400から1600cm-1に存在する。
【0187】
II-2-3 デンドリマー:PAMAM
I-2に略述された実験方法に従って調製した接着プライマーを含む顕微鏡用スライドを用いた。
【0188】
式のPAMAM(Sigma-Aldrich)
【0189】
【化5】

【0190】
は、よい分散を達成するために比率5質量%でジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解した。顕微鏡用スライドをスピンコーターに配置し、PAMAM溶液で覆った。2000rpmで1分間回転すると、PAMAMの薄膜形成が可能になった。堆積後の5分に、スライドをHCl溶液(0.5M)、DMF次いでアセトンですすいだ。
【0191】
スライド上の反応の後に得られたIRスペクトルにおいては、PAMAMの特徴的ピーク、アミンの約3200cm-1およびアミド官能基の1670cm-1(図14)を認めることができる。
【0192】
II-3 生体分子の固定
II-3-1 経時的な安定性に関する検討
厚さ約100nmの金の薄層で覆った顕微鏡用スライドは、パラグラフI-1-1(またはI-1-2)、I-2-2およびI-3に記載された処理ステップを実行して調製した。このようにして処理したスライドは、以下では「活性化自己接着性の層で被覆したスライド(または表面)」と呼ばれる。
【0193】
スライドはpH7のMilliQ水に浸漬し、次いで、異なった時間に溶液から除去し乾燥した。次いで、これらのスライドはIR分光測定によって分析した。時間の関数としての2270cm-1帯の強度を測定した。
【0194】
II-3-2 非保護の直鎖合成ペプチドの固定
ペプチドGPGGVVGP(付録に与えた配列リストのうちの配列番号1)は0.1ミリモルFmoc方式(Fmoc strategy)を用いて合成した。最初から組み込まれている市販のFmoc-Gly-Wang樹脂(0.5g、0.8ミリモル/g)を、自動ペプチド合成反応器に配置する。アミノ酸Nα-Fmoc(グリシン、プロリンおよびバリン)を10倍過剰で、HOBT(N-ヒドロキシベンゾトリアゾール)およびDIEA(N、N'-ジイソプロピルジエチルアミン)の存在下において、HBTU(O-ベンゾトリアゾール-N,N,N',N'-テトラメチル-ウロニウム-ヘキサフルオロ-ホスフェート)と共に16時間用いた。N-スポット末端で脱保護されている樹脂に結合したペプチド0.368gが得られる。
【0195】
ペプチドは、室温で3時間TFA/H2O/TIS(トリフルオロ酢酸/水/トリイソプロピルシラン)溶液(92;2.5;2.5)によって樹脂から切り離す。樹脂を濾過によって除去し、TFA(1mLで2回)およびジクロロメタン(10mL)で洗浄する。濾液を減圧下で蒸発させて、次いで、冷ジエチルエーテルに投入する。-20℃で12時間の後、濾過後に沈殿(100mg)を単離し集める。分取HPLCクロマトグラフィによる精製の後、39.5mgの高純度のペプチドが得られる。
【0196】
2mgのこのペプチドをDMSOの1.5mLに溶解した。この溶液の3×200μLは3つの異なる試料、金で覆った顕微鏡用スライド、活性化した自己接着性の層で被覆したスライド、および「死んだ層」で被覆した表面に堆積させた。堆積は特別の注意をしないで、室温で実行した。10分間の反応の後、3つの支持体をDMSOですすぎ、次いで超音波下でDMSO2分間/エタノール2分間/MilliQ水2分間の洗浄を施す。次いで、3つの支持体の表面をN2の下で乾燥した。3つの支持体はIR分光測定によって分析する。活性化された自己接着性の層を含む支持体の1670cm-1(アミドI)帯の出現によって、表面でのペプチドGPGGVVGPの存在および共有結合のグラフト化を確認できる。ペプチド固有の1670cm-1帯は、金の支持体または「死んだ層」の支持体では認められなかった。これらの結果によって、自己接着性の層でのペプチドの共有結合のグラフト化を確認できる。
【0197】
II-3-3 半保護された合成環状ペプチドの固定
【0198】
【化6】

【0199】
の半保護されたCBO-P11(配列番号;付録に示した配列リストのうちの2)を、[Goncalvesら、2005、Pharmaceutical Research (22巻)、No.8、pp. 1411〜1421]に記載されている方法に従って合成した。
【0200】
この半保護された合成環状ペプチドを、DMSO(3mL中に1mg)に溶解した。この溶液の3×200μLは3つの異なる試料、金で覆った顕微鏡用スライド、活性化した自己接着性の層で被覆したスライド、および「死んだ層」で被覆した表面に堆積させた。堆積は特別の注意をしないで、室温で実行した。10分間の反応の後、3つの支持体をDMSOですすぎ、次いで超音波下でDMSO2分間/エタノール2分間/MilliQ水2分間の洗浄を施す。次いで、3つの支持体の表面をN2下で乾燥した。3つの支持体はIR分光測定によって分析する。活性化された自己接着性の層を含む支持体の1666cm-1(アミドI)帯および1534cm-1(アミドII)の出現によって、表面での半保護された環状ペプチドの存在および共有結合のグラフト化を確認できる。
【0201】
ペプチド固有の1666cm-1(アミドI)、および1534cm-1(アミドII)帯は、金の支持体および「死んだ層」の支持体で認められたが、活性化された自己接着性の層を含む支持体で測定された強度の10%に匹敵する強度であった。これは、これらの支持体の表面での、半保護された環状ペプチドの非特異的吸着による。これらの支持体上に吸着されたペプチドは、環境条件、例えば、媒体および/またはその塩分の変更により除去することができる。しかし、これらの結果によって、自己接着性の層でのペプチドの共有結合のグラフト化を実際に確認できる。
【0202】
II-3-4 非保護の合成環状ペプチドの固定
式;環状(D-Phe-Pro-Gln-Ile-Met-Arg-Ile-Lys-Pro-His-Gln-Gly-Gln-His-Ile-Gly-Glu)のCBO-P11(Calbiochem)(付録に示した配列リストのうちの配列番号3)をMilliQ水(3mL中に1mg)に溶解した。この溶液の3×200μLは3つの異なる試料、金で覆った顕微鏡用スライド、活性化した自己接着性の層で被覆したスライド、および「死んだ層」で被覆した表面に堆積した。堆積は特別の注意をしないで、室温で実行した。10分間の反応の後、3つの支持体をMilliQ水ですすぎ、次いで超音波下でMilliQ水2分間の洗浄を施す。次いで、3つの支持体の表面をN2下で乾燥した。3つの支持体はIR分光測定によって分析する。
【0203】
活性化された自己接着性の層を含む支持体の1662cm-1(アミドI)帯および1514cm-1(アミドII)の出現によって、表面での環状ペプチド(D-Phe-Pro-Gln-Ile-Met-Arg-Ile-Lys-Pro-His-Gln-Gly-Gln-His-Ile-Gly-Glu)(付録に示した配列リストのうちの配列番号3)の存在および共有結合のグラフト化を確認できる。ペプチド固有の1662cm-1(アミドI)、および1514cm-1(アミドII)帯は、金の支持体および「死んだ層」の支持体で認められたが、活性化された自己接着性の層を含む支持体で測定された強度の10%に匹敵する強度であった。これは、支持体の表面でのCBO-P11の非特異的吸着による。これらの支持体上に吸着されたペプチドは、環境条件、例えば、媒体および/またはその塩分の変更により除去することができる。しかし、これらの結果によって、自己接着性の層でのペプチドの共有結合のグラフト化を実際に確認できる。
【0204】
II-3-5 モノアミノ-β-シクロデキストリンの固定
モノアミノ-β-シクロデキストリンを手順[Baughら、2001、J. Am. Soc. Chem.、123巻(50)、12488〜12494]に従って合成した。2mgのモノアミノ-β-シクロデキストリンを2mLのMilliQ水に溶解した。この溶液の3×200μLは3つの異なる試料、金で覆った顕微鏡用スライド、活性化した自己接着性の層で被覆したスライド、および「死んだ層」で被覆した表面に堆積させた。堆積は特別の注意をしないで、室温で実行した。10分間の反応の後、3つの支持体はMilliQ水ですすぎ、次いで超音波下でMilliQ水2分/エタノール2分/MilliQ水2分の洗浄を施す。次いで、3つの支持体の表面をN2下で乾燥した。3つの支持体はIR分光測定によって分析する。
【0205】
活性化された自己接着性の層を含む支持体の1023、1153、2037および3321cm-1帯の出現によって、表面でのモノアミノ-β-シクロデキストリンの存在および共有結合のグラフト化を確認できる。β-シクロデキストリン固有の1023、1153、2037および3321cm-1帯は、金の支持体または「死んだ層」の支持体では認められなかった。これらの結果によって、自己接着性の層でのモノアミノ-β-シクロデキストリンの共有結合のグラフト化を確認できる。
【0206】
II-3-6 DNAの固定
低分子量サケ精子DNA(Fluka)をMilliQ水(3mL中に1mg)に溶解した。この溶液の3×200μLは3つの異なる試料、金で覆った顕微鏡用スライド、活性化した自己接着性の層で被覆したスライド、および「死んだ層」で被覆した表面に堆積させた。堆積は特別の注意をしないで、室温で実行した。10分間の反応の後、3つの支持体をMilliQ水ですすぎ、次いで超音波下でMilliQ水2分/エタノール2分/MilliQ水2分の洗浄を施す。次いで、3つの支持体の表面をN2の下で乾燥した。3つの支持体はIR分光測定によって分析する。
【0207】
活性化された自己接着性の層を含む支持体の1226cm-1および1080cm-1帯の出現によって、表面でのDNAの存在および共有結合のグラフト化を確認できる。DNA固有の1226cm-1および1080cm-1帯は、金の支持体または「死んだ層」の支持体では認められなかった。これらの結果によって、自己接着性の層でのDNAの共有結合のグラフト化を確認できる。
【0208】
II-3-7 金で被覆した顕微鏡用スライド上のブドウ糖酸化酵素の固定
ブドウ糖酸化酵素(Sigma-Aldrich)をMilliQ水(3mL中に1mg)に溶解した。この溶液の3×200μLは3つの異なる試料、金で覆った顕微鏡用スライド、活性化した自己接着性の層で被覆したスライド、および「死んだ層」で被覆した表面に堆積させた。堆積は特別の注意をしないで、室温で実行した。10分間の反応の後、3つの支持体をMilliQ水ですすぎ、次いで超音波下でMilliQ水2分/エタノール2分/MilliQ水2分の洗浄を施す。次いで、3つの支持体の表面をN2下で乾燥した。3つの支持体はIR分光測定によって分析する。
【0209】
活性化された自己接着性の層を含む支持体の1659cm-1(アミドI)、1546cm-1(アミドII)および1225cm-1(アミドIII)帯の出現によって、表面でのブドウ糖酸化酵素の存在および共有結合のグラフト化を確認できる。ブドウ糖酸化酵素固有の1659cm-1(アミドI)、1546cm-1(アミドII)および1255cm-1(アミドIII)帯は、金の支持体または「死んだ層」の支持体で認めらなかった。これらの結果によって、自己接着性の層でのブドウ糖酸化酵素の共有結合のグラフト化を確認できる。
【0210】
上記に記載した得られたブドウ糖酸化酵素を有する支持体をpH7で13mLと等しい体積のPBS緩衝溶液を含む反応器に浸漬した。その支持体をポテンシオスタットに連結した。系は(黒鉛板で構成した)対極およびSCE(飽和カロメル電極)型の参照電極を含む。電極は、20mV・s-1の速度で、平衡電位(通常0.1〜0.3Vの間で観察される)と往路掃引(outward sweep)での+0.750mVとの間のサイクリックボルタンメトリー型の電位掃引にかけ、次いで-0.2Vまで帰路掃引(return sweep)し、最終的に平衡電位に戻して電圧のスイッチを切った。サイクリックボルタンメトリーの限界電位値は、H2O2の電気活性のゾーンを測定するために媒体に対してH2O2(およびブドウ糖酸化酵素のない状態において)の制御した添加によって測定した。最初の電流測定はブドウ糖なしで取り、系の基準を得ることができた。ブドウ糖を添加した後に、電流は-0.200mVおよび+0.500mVで測定する。電流変動は経時的に監視した。7.69×10-4Mおよび7.69×10-3Mの2つの異なるブドウ糖濃度を用いた。
【0211】
時間の関数としてのH2O2の出現がミカエリス-メンテン関係式と矛盾がない、増加する双曲線型の法則に確かに従うことが、非常に明白に分かる。ブドウ糖を含有する溶液をPBS緩衝液の溶液と取り替えた場合、基準スペクトルと同一のボルタンメトリースペクトルが得られるまで減少する双曲線が経時的に現われた。
【0212】
【表1】

【0213】
7.69×10-4Mのブドウ糖濃度については、初期の反応速度は0.4916任意単位/分である。
【0214】
【表2】

【0215】
7.69×10-3Mのブドウ糖濃度については、初期の反応速度は0.9255任意単位/分である。
【0216】
二重逆数(double inverse)1/初速度=f(1/[ブドウ糖])としてグラフをプロットすることによって、113mMの程度の観察されたミカエリス定数kmが測定された。この結果は文献において見られるブドウ糖酸化酵素に対するkm値に一致する(km=33〜115mM)。
【0217】
II-3-8 ポリフッ化ビニリデン(PVDF)上のブドウ糖酸化酵素の固定
PVDFβのストリップを、パラグラフI-1-1(またはI-1-2)、I-2-2およびI-3に記載した処理ステップの実行により調製した。ブドウ糖酸化酵素(Sigma-Aldrich )をMilliQ水(3mL中に1mg)に溶解した。この溶液の2×200μLは2つの異なる試料、ブランクのPVDFβのストリップおよび活性化した自己接着性の層で被覆した表面に堆積させた。堆積は特別の注意をしないで、室温で実行した。10分間の反応の後、2つの支持体をMilliQ水ですすぎ、次いで超音波下でMilliQ水2分/エタノール2分/MilliQ水2分の洗浄を施す。次いで、2つの支持体の表面をN2下で乾燥した。2つの支持体はIR分光測定によって分析する。
【0218】
活性化された自己接着性の層を含む支持体の1659cm-1(アミドI)帯の出現によって、表面でのブドウ糖酸化酵素の存在および共有結合のグラフト化を確認できる。ブドウ糖酸化酵素固有の1659cm-1(アミドI)帯は、ブランクのPVDFβのストリップでは認められなかった。これらの結果によって、自己接着性の層でのブドウ糖酸化酵素の共有結合のグラフト化を確認できる。
【0219】
III - 表面の表面エネルギーを変更するための本発明による方法の用途
III-1 用いるグラフト化方式
この合成は3つのステップで実行する。
【0220】
第一ステップにおいて、1,4-アミノフェニルジアゾニウム(亜硝酸ナトリウムで1,4-ジアミノフェニレンをインシチュー酸化して得られた)をグラフト化した。第二ステップにおいて、グラフト化アミン官能基は亜硝酸ナトリウムの作用によってジアゾ化した。最終ステップにおいて、表面(今ジアゾニウム塩を含む)を、疎水性分子(Zonyl(登録商標))と接して(40℃<T<70℃、UV、還元剤)配置し、化学結合した疎水性分子を有する修飾表面が得られた。
【0221】
III-2試薬
この実施例で用いた試薬は以下の通りである;
-1,4-ジアミノフェニレン;F.W.=108.14;m=0.324g;n=3ミリモル;1当量
-亜硝酸ナトリウム;F.W.=68.995;m=0.207g;n=3ミリモル;1当量
-HC1;F.W.=36.46;C=4M;v=20mL
-H2O;v=15mL
-鉄粉;F.W.=55.85;m=1.0g;n=18ミリモル;1当量
-Zonyl(登録商標);F.W.=443;d=1.17;v=2mL;n=7.7ミリモル;1当量
【0222】
III-3 実験方法
ステップ1;1,4-ジアミノフェニレン(0.324g、3×10-3モル)を、50mLビーカー中、室温で磁気撹拌して塩酸溶液(4M、20mL)に溶解した。亜硝酸ナトリウム水溶液(0.207g、3×10-3モル)15mLをこの浅黄色溶液に慎重に添加し、ボルドー赤色(Bordeaux-red)の溶液を与えた。次いで、IRによってグラフト化の有効性をチェックする対照として用いる2つのスライドガラスおよび1つの金スライドを、浴に浸漬した。次いで、鉄粉(1.0g、18×10-3モル)を添加した。ガラスと金のスライドを180分の後に除去し、次いで、MilliQ水、エタノールおよびアセトンで連続的にすすぎ、IR分析を始める前に15分間60℃でDMF浴に浸漬した。
【0223】
ステップ2;予めグラフト化したスライドを、0.5MHCl溶液25mLで希釈した、0.1M亜硝酸ナトリウム溶液(25mL)に1分間浸漬した。これらのスライドを水ですすぎ、次いで、IR分析の前にアルゴン流の下で乾燥した。
【0224】
ステップ3;スライドを最終的にZonyl(登録商標)に35℃で1時間浸漬し、すすぎIRによって分析した。
【0225】
III-4 結果
ステップ1の後の金スライドのIR分光測定による分析によって、予想されるフィルム(図15、1211081)の存在を確認できた。3342cm-1(NH伸縮)、1665cm-1および1616cm-1(C-N伸縮)の固有のバンドは見て明らかである。被覆厚さ(グラフト化の百分率)の評価は、スペクトルの最も強いバンド、この場合1616cm-1のC-N、の吸収率の測定により得られた。
【0226】
ジアゾニウム(ステップ2)へのアミン官能基、次いでフルオロエーテル(ステップ3)へのジアゾニウムの転化はまた、IR(N≡Nの2268cm-1;CF3およびCF2の1103および1263cm-1のバンド)(図15、1211082および1211083)によって確認した。
ファイル;
1211081(t=180分、金)6.1%グラフト化
1211082(NaNO2処理)
1211083(パーフルオロ鎖グラフト化)
【0227】
図16は、ブランクのスライドガラスまたはポイントIII-3に記載した方法に従ってZonyl(登録商標)に由来するパーフルオロ鎖をグラフト化したスライドガラス上に配置した一滴の水に対して得られた接触角値を示す(5つの独立した測定)。図17は、ブランクのスライドガラス(図17A)またはこのようにしてグラフト化したスライドガラス(図17B)上のこの液滴の写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面の少なくとも1つのゾーンと、第2の表面の少なくとも1つのゾーンまたは対象分子とを集成する方法であって、前記第1の表面の前記ゾーンと、前記第2の表面の前記ゾーンまたは前記対象分子とを接触して配置するステップを含み、前記第1の表面の前記ゾーンが少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を有する方法。
【請求項2】
前記方法が以下の連続的なステップ
a)少なくとも1種の接着プライマー前駆体を有する前記第1の表面のゾーンを、接着プライマー前駆体から少なくとも1つの接着プライマーを得るのに適する条件に、場合によってさらすステップと、
b)ステップ(a)で場合によって得られた少なくとも1種の接着プライマーを有する前記第1の表面の前記ゾーンを非電気化学条件にさらし、前記ゾーン上で少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を得るステップと;
c)ステップ(b)で得られた少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を有する前記第1の表面の前記ゾーンを、前記第2の表面の前記ゾーンまたは前記対象分子と接触して配置するステップと
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の集成方法。
【請求項3】
対象分子が、弱い有機塩基、有機高分子、生体分子および疎水性分子を含む有機分子によって構成される群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の集成方法。
【請求項4】
前記第1および第2の表面が、金属、金属合金、木材、紙、綿、カーボンフェルト、シリコン、ナノチューブ、グラファイト材、有機材料、フッ素化または非フッ素化ポリマーおよびダイヤモンドによって構成される群から選択される、同一であるかまたは異なる材料で構成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の集成方法。
【請求項5】
前記第2の表面が、ラジカルおよび/またはイオンの化学反応に関与することができる少なくとも1個の原子を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の集成方法。
【請求項6】
前記接着プライマーが、前記第1の表面の前記ゾーンに直接結合されていることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の集成方法。
【請求項7】
前記接着プライマーが、前記第1の表面の前記ゾーンに間接的に結合されていることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の集成方法。
【請求項8】
前記接着プライマーが、前記第1の表面の前記ゾーンに共有結合で結合されていることを特徴とする、請求項2から7のいずれか一項に記載の集成方法。
【請求項9】
前記接着プライマーが、アリールジアゾニウム塩、アリールアンモニウム塩、アリールホスホニウム塩、アリールヨードニウム塩およびアリールスルホニウム塩によって構成される群から選択される開裂性アリール塩であることを特徴とする、請求項2から8のいずれか一項に記載の集成方法。
【請求項10】
前記アリール基が、電子求引基で置換されたアリール基から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の集成方法。
【請求項11】
前記接着プライマーが、担持フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持4-ニトロフェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持4-ブロモフェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持4-アミノフェニルジアゾニウムクロリド、担持2-メチル-4-クロロフェニルジアゾニウムクロリド、担持4-ベンゾイルベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持4-シアノフェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持4-カルボキシフェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持4-アセトアミドフェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持4-フェニル酢酸ジアゾニウムテトラフルオロボレート、担持2-メチル-4-[(2-メチルフェニル)ジアゼニル]ベンゼンジアゾニウム硫酸塩、担持9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロ-1-アントラセンジアゾニウムクロリド、担持4-ニトロナフタレンジアゾニウムテトラフルオロボレートおよび担持ナフタリンジアゾニウムテトラフルオロボレートによって構成される群から選択されることを特徴とする、請求項2から10のいずれか一項に記載の集成方法。
【請求項12】
前記非電気化学条件が、熱的、速度論的、化学的、光化学的および放射化学的条件ならびにこれらの組合せによって構成される群から選択されることを特徴とする、請求項2から11のいずれか一項に記載の集成方法。
【請求項13】
前記接触して配置するステップが直接実行されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の集成方法。
【請求項14】
前記接触して配置するステップが溶液中で実行されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の集成方法。
【請求項15】
前記ステップ(b)および(c)が同時に実行されることを特徴とする、請求項2から14のいずれか一項に記載の集成方法。
【請求項16】
少なくとも1種の接着プライマー前駆体を有する前記第1の表面の前記ゾーンが、少なくとも1種の接着プライマー前駆体を有する有機フィルムが、優先的には共有結合で、結合している前記第1の表面のゾーンであることを特徴とする、請求項2から15のいずれか一項に記載の集成方法。
【請求項17】
前記接着プライマー前駆体が、担持フェニルアミン、担持4-ニトロフェニルアミン、担持4-ブロモフェニルアミン、担持4-アミノフェニルアミン、担持2-メチル-4-クロロフェニルアミン、担持4-ベンジルベンゼンアミン、担持4-シアノフェニルアミン、担持4-カルボキシフェニルアミン、担持4-アセトアミドフェニルアミン、担持4-アミノ安息香酸、担持2-メチル-4-[(2-メチルフェニル)ジアゼニル]アミン、担持9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロ-1-アントラセンアミン、担持4-ニトロナフタレンアミンおよび担持ナフタレンアミンによって構成される群から選択されることを特徴とする、請求項2から16のいずれか一項に記載の集成方法。
【請求項18】
請求項1、2、4、6から11および15から17のいずれか一項に定義される、少なくとも1種のラジカルおよび/もしくはイオン種、少なくとも1種の接着プライマー、または少なくとも1種の接着プライマー前駆体を含む少なくとも1つのゾーンを有する表面を備える固体支持体。
【請求項19】
バイオチップまたはバイオセンサーを調製するための、請求項18に定義される固体支持体の使用。
【請求項20】
ペプチド、タンパク質、抗体および抗体フラグメント、細胞または膜受容体、多糖、細胞または細胞の一部、および核酸によって構成される群から選択される生物学的構成要素と反応した、請求項1、2または4に定義される少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を含む、少なくとも1つのゾーンを有する表面を備える固体支持体を含むバイオチップまたはバイオセンサー。
【請求項21】
請求項1から16のいずれか一項に定義される集成方法の実施の間に用いることができる構成材のキットであって、
第1の区画において、請求項18に定義される固体支持体、
場合によって、第2の区画において、前駆体から接着プライマーを製造するために必要な少なくとも1種の構成材および/または接着プライマーからラジカルおよび/またはイオン種を製造するために必要な少なくとも1種の構成材、
場合によって、第3の区画において、固定される、請求項4または5に定義される第2の表面に対応する表面を有する別の固体支持体もしくはナノ物体、または請求項3に定義される対象分子
を含むキット。
【請求項22】
請求項4または5に定義される第2の表面に対応する表面を有する別の固体支持体もしくはナノ物体、または請求項3に定義される対象分子をその上に固定するための、表面の少なくとも1つのゾーンが少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を含む固体支持体の使用。
【請求項23】
グラフェンフレークを剥離するための、請求項1から17のいずれか一項に定義される集成方法、または表面の少なくとも1つのゾーンが少なくとも1種のラジカルおよび/またはイオン種を含む固体支持体の使用。
【請求項24】
固体の少なくとも1つの表面の表面エネルギーを変更する方法であって、請求項1から3および6から17のいずれか一項に定義される集成方法に従って、前記表面を疎水性分子と集成することにある方法。
【請求項25】
前記集成に続いて、前記分子と集成された表面に熱処理を施すことにある追加のステップを含むことを特徴とする、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図9(c)】
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【図9(d)】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−516651(P2011−516651A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502388(P2011−502388)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053977
【国際公開番号】WO2009/121944
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】