説明

2ピース包装箱

【課題】省資源化を図ると共に、包装作業性及び陳列作業性を改善する。
【解決手段】トレー1とカバー2とから構成する。トレー1は、外周にフランジ部12を有し、カバー2は、側板23,24を連設した周壁21を備え、周壁21の対向する側板23の下端にヒンジ線29を介して係止フラップ30を連設し、係止フラップ30のヒンジ線29より上方にストッパ部31を設け、周壁21に下端の係止フラップ30がない部分へ至る開梱用切目線32を入れたものとする。係止フラップ30を内側へ折り返してトレー1にカバー2を被せると、フランジ部12が周壁21で抱持され、ストッパ部31がフランジ部12の上面に当接すると共に、上方へ折り曲げられた係止フラップ30が反発でフランジ部12の下面に係合するようにする。係止フラップ30でトレー1が支持されるので、底壁を有する外箱を使用する必要がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トレーとカバーとから成り、これらをワンタッチで固定でき、その固定を解除できるようにした2ピース包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、日用品等の商品の配送と陳列に兼用する陳列箱として、下記特許文献1には、図10に示すように、商品Dを保持するトレー51と、これを収納する外箱52とから成り、商品を陳列する際には、外箱52の周壁53をその周囲に設けられた引裂帯54により切断し、周壁53の上部を除去して、商品Dを露出させるものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−35031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記陳列箱では、外箱が底壁を有するものであるから、底部がトレーと外箱の底壁との二重構造となり、包装材料の使用量が多くなるという問題がある。
【0005】
また、商品の梱包に際し、トレーに商品を載せた状態で、外箱へトレーを挿入することが難しく、包装作業性がよくないという問題もある。
【0006】
さらに、商品の陳列時に、外箱の周壁を全周に亘って切断しなければならず、陳列作業に手間がかかるという問題もある。
【0007】
そこで、この発明は、省資源化を図ると共に、包装作業性及び陳列作業性を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、この発明に係る包装箱は、トレーとカバーとから成る2ピースとし、前記トレーは、外周にフランジ部を有し、前記カバーは、側板を連設した周壁を備え、周壁の対向する側板の下端にヒンジ線を介して係止フラップを連設し、係止フラップのヒンジ線より上方にストッパ部を設け、周壁に下端の係止フラップがない部分へ至る開梱用切目線を入れたものとし、前記係止フラップを内側へ折り返してトレーにカバーを被せると、フランジ部が周壁で抱持され、ストッパ部がフランジ部の上面に当接すると共に、上方へ折り曲げられた係止フラップが反発でフランジ部の下面に係合するようにしたのである。
【0009】
また、前記ストッパ部は、周壁の隣り合う側板に対して面取状に傾斜した隅板の下端としたのである。
【0010】
さらに、前記開梱用切目線は、隅板とその両側に隣り合う側板との境界に沿って入れ、切目線に挟まれた隅板を引裂帯としたのである。
【発明の効果】
【0011】
この2ピース包装箱では、カバーを持ち上げてもトレーが落下しないように、係止フラップでトレーが支持されるので、底壁を有する外箱を使用する必要がなくなり、包装材料の使用量を削減することができる。
【0012】
また、商品を載せたトレーにカバーを被せるだけで、係止フラップとストッパ部とでトレーがカバーに対し上下方向に動かないように規制されるので、包装作業を容易に行うことができる。
【0013】
さらに、開梱用切目線により周壁を切断してカバーを持ち上げると、係止フラップとフランジ部の係合が解除されるので、トレーからカバーを簡単に除去して、商品を陳列することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1実施形態に係る2ピース包装箱のカバーのブランクを示す図
【図2】同上の2ピース包装箱による梱包過程を示す斜視図
【図3】(a),(b),(c)同上の梱包過程を順次示す側面図
【図4】同上の梱包状態を示す斜視図
【図5】同上の開梱過程を示す斜視図
【図6】(a),(b)同上の開梱過程を順次示す側面図
【図7】同上の第2実施形態に係る2ピース包装箱のカバーのブランクを示す図
【図8】同上の梱包状態を示す斜視図
【図9】同上の開梱過程を示す斜視図
【図10】従来の陳列箱による梱包過程を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、この発明の第1実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
この2ピース包装箱は、図4に示すように、商品として歯磨き粉のスタンディングチューブCを単位本数収納するものであり、トレー1とカバー2とから構成される。
【0017】
トレー1は、プラスチック成形品とされ、スタンディングチューブCのキャップ部分をそれぞれ嵌め込む縦横に配置された複数の収納凹所11と、外周部分に張り出したフランジ部12とを有するものとされている。
【0018】
カバー2は、底面が開口したものであり、図1に示すような段ボールシートのブランクから形成される。このブランクは、周壁21となる部分の上方に天壁22となる部分を備えている。
【0019】
周壁21となる部分は、長手方向及び幅方向の側板23,24を各一対交互に連設し、中央寄りの側板23,24の間に隅板25を介在させ、一方の側板23の外側に隅板25及び継代片26を順次連設したものとされている。側板23,24の横方向の寸法は、それぞれトレー1のフランジ部12の長手方向及び幅方向の寸法より小さくなっている。
【0020】
天壁22となる部分は、側板24の上端から延びる天板27と、側板23の上端から延びる天板28とから構成されている。天板28の一方の側縁の基部側は、隅板25に対応して斜めに傾斜している。
【0021】
側板23の下端には、断続する切目入りのリード罫とされたヒンジ線29を介して係止フラップ30が連設され、係止フラップ30の先端部分には、トレー1のフランジ部12の下面形状に応じて、3個の突出部が形成されている。
【0022】
隅板25の下端は、トレー1に被せたとき、そのフランジ部12の上面の高さと対応するように、ブランクを下方から切り込んで、側板23,24の下端と略一致するヒンジ線29より上方に位置しており、これがストッパ部31とされている。
【0023】
ブランクの中央寄りの隅板25とその両側に隣り合う側板23,24との境界には、上端から下端まで、鉤形の切目が断続するジッパ型の切目線32が入れられ、この2本の切目線32に挟まれた隅板25が引裂帯とされている。
【0024】
このブランクからカバー2を組み立てるには、まず、ブランクを一方及び他方の側板23,24の境界であるa,b位置の罫線に沿って順次折り重ね、継代片26を反対側の側板24の裏面に貼り付け、扁平な折畳状態とする。このように折り畳んでおくと、歯磨き粉メーカー等のユーザーにおいて、嵩張ることなく保管しておくことができる。
【0025】
そして、商品である歯磨き粉のスタンディングチューブを梱包する際には、図2に示すように、カバー2の周壁21を、隅板25が隣り合う側板23,24に対し面取状に傾斜して、六角筒状となるように形成し、係止フラップ30を内側へ折り返しておく。
【0026】
一方、トレー1の収納凹所11には、スタンディングチューブCのキャップ部分を嵌め込んでおく。
【0027】
このような状態で、図3(a)に示すように、カバー2をトレー1に上方から被せ、フランジ部12が周壁21で抱持されるように、カバー2を下降させると、図3(b)に示すように、ストッパ部31がフランジ部12のコーナー部分の上面に当接して、カバー2がそれ以上下降しなくなる。
【0028】
また、上向きに折り曲げられた係止フラップ30がヒンジ線29での折曲の反発により内側へ迫り出して、その先端の突出部がフランジ部12の下面に係合する。
【0029】
その後、図3(c)及び図4に示すように、天板27,28を順次折り曲げ、重ね合わせて接着剤又はテープで固定することにより、閉じられた天壁22を形成すると、梱包が完了する。なお、天壁22は、カバー2をトレー1に被せる前に閉じておいてもよい。
【0030】
上記のような2ピース包装箱では、カバー2を持ち上げてもトレー1が落下しないように、係止フラップ30でトレー1が支持されるので、底壁を有する外箱を使用する必要がなくなり、包装材料の使用量を削減することができる。
【0031】
また、商品を載せたトレー1にカバー2を被せるだけで、係止フラップ30とストッパ部31とでトレー1がカバー2に対し上下方向に動かないように規制されるので、包装作業を容易に行うことができる。
【0032】
一方、商品を陳列する際には、図5に示すように、引裂帯として機能する隅板25を切目線32沿いに切除して、カバー2を引き上げると、図6(a)に示すように、周壁21の下部が外側へ開いて、係止フラップ30とフランジ部12の係合が解除される。
【0033】
この状態で、図6(b)に示すように、カバー2をさらに引き上げると、トレー1からカバー2を簡単に除去することができ、歯磨き粉のスタンディングチューブCを露出させて、陳列することができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、切目線32に挟まれた隅板25を引裂帯としたものを例示したが、図7乃至図9に示す第2実施形態のように、切目線32は、側板23の中間部に切込を入れて設けた指入部33を起点とし、その両側から下方へ向けてヒンジ線29の両端付近まで斜めに入れてもよい。
【0035】
この場合、指入部33を押し込んで切目線32に挟まれた三角状部分の上部を摘み、この三角状部分を切目線32に沿って係止フラップ30と共に側板23から切り取ることにより、係止フラップ30とフランジ部12の係合を解除して、トレー1からカバー2を除去することができる。
【0036】
また、上記第1及び第2実施形態では、面取状に傾斜した隅板25の下端をストッパ部31としたものを例示したが、ストッパ部31は、周壁21の一部に切込を入れて形成した舌片状部分を、押込に伴いカバー2の内側へ突出させたものとし、これがフランジ部12の上面に当接するようにして、周壁21を四角筒状としてもよい。
【0037】
また、天板27,28により天面を完全に閉止する天壁22が形成されるものを例示したが、天板27,28を短くして、天壁22に天板27,28の先端縁で囲まれた開口部が形成されるものとしてもよい。
【0038】
さらに、天壁22が周壁21に連設されたものを例示したが、天壁22は、周壁21と別体として、周壁21の上部に被せるものとしてもよい。
【0039】
また、トレー1のフランジ部12が水平に張り出したものを例示したが、フランジ部12は、縁部が下方へ曲がったもの等、係止フラップ30の係脱を妨げない範囲で、種々の形状とすることができる。
【0040】
さらに、トレー1として、プラスチック製のものを例示したが、トレー1は、段ボールや板紙等の紙製としてもよく、ブランクを折り曲げて組み立てるもののほか、プレスにより成形するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 トレー
2 カバー
11 収納凹所
12 フランジ部
21 周壁
22 天壁
23,24 側板
25 隅板
26 継代片
27,28 天板
29 ヒンジ線
30 係止フラップ
31 ストッパ部
32 切目線
33 指入部
C スタンディングチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレー(1)とカバー(2)とから成り、前記トレー(1)は、外周にフランジ部(12)を有し、前記カバー(2)は、側板(23,24)を連設した周壁(21)を備え、周壁(21)の対向する側板(23)の下端にヒンジ線(29)を介して係止フラップ(30)を連設し、係止フラップ(30)のヒンジ線(29)より上方にストッパ部(31)を設け、周壁(21)に下端の係止フラップ(30)がない部分へ至る開梱用切目線(32)を入れたものとし、前記係止フラップ(30)を内側へ折り返してトレー(1)にカバー(2)を被せると、フランジ部(12)が周壁(21)で抱持され、ストッパ部(31)がフランジ部(12)の上面に当接すると共に、上方へ折り曲げられた係止フラップ(30)が反発でフランジ部(12)の下面に係合するようにした2ピース包装箱。
【請求項2】
前記ストッパ部(31)は、周壁(21)の隣り合う側板(23,24)に対して面取状に傾斜した隅板(25)の下端としたことを特徴とする請求項1に記載の2ピース包装箱。
【請求項3】
前記開梱用切目線(32)は、隅板(25)とその両側に隣り合う側板(23,24)との境界に沿って入れ、切目線(32)に挟まれた隅板(25)を引裂帯としたことを特徴とする請求項2に記載の2ピース包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−52917(P2013−52917A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193589(P2011−193589)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】