説明

2位、4位および6位に三酸官能基(triacidicfunction)を有するp−tert−ブチルカリックス[6]アレーン、それを含む支持された液体膜および支持材料、ならびにその使用

本発明は、2位、4位および6位にカルボン酸基またはヒドロキシアミノ三酸官能基を有し、かつ1位、3位および5位に他の官能基を有する式(IA)および(IB)の新規なp−tert−ブチルカリックス[6]アレーン、その化合物を含む支持された液体膜および支持材料、ならびにそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ウラン鉱山から再処理工場までの燃料サイクルの間において、放射性化合物は、様々な毒性を発生させる非常に幅広い物理化学的形態で存在し、したがって人間に曝露されるという極めて多様なリスクをもたらす。
【背景技術】
【0002】
作業者の健康を確実に守るためには医学的な監視を実施することが必要である。排せつ物(尿や大便)中に排出されるα線放射アクチニドの分析を含む様々な試験が作業者についてなされている。
【0003】
最近では、参考になる分析技術はα線分光分析法である。材料中のα線粒子がカバーする距離が短いため、尿中のウラン、アメリシウムやプルトニウムを直接測定することは不可能であり、したがって、アクチニドのそれぞれについて薄膜ソースを作製する必要がある。このためには、スペクトル干渉を制限するために、尿マトリックスからアクチニドを単離し、互いに分離することができるようにする第1段階の試料の無機化、続く化学的精製の段階が必要である。
【0004】
放射能毒性学的分析のために、現在すべての研究室で用いられているプロトコルでは、この精製は、適当なクロマトグラフカラムを用いるアクチニドの連続的分離をもとにしたものである(Harduinら、Radioprotection、31、No.2、229〜245頁、1996年)。これらのプロトコルは非常に長期間かかり、尿の1mBq.l-1未満のアイソトロープ(isotrope)当たりの活性レベルを達成するために、α線化学処理に3日間程度、分光分析による計数化に3日間程度(最終結果を得るのに6日間)かかる。
【0005】
原子力産業における絶え間ない技術的変化や規制の変更に関連して、作業者を日常的に監視し、事故の際の個々人の内部被ばくを評価できるようにする手段を改善しなければならない。
【0006】
したがってα線放射の悪影響に対処できるようにするために、ウラン、アメリシウムおよびプルトニウムに関する測定結果を、非常に短時間で入手できるようにすることが、健康の面で現実的かつ決定的に必要である。分析技術をより迅速かつより効率的にすると、長期的開発の問題に答えるための、環境でのα線放射体を監視することも可能になる。
【0007】
この問題を解決するために多くの研究がなされてきたが、これまでどれも成功していない。研究は、生体媒質などの複合マトリックスから3つのアクチニド類を抽出するために、3つのアクチニド類のための特定の錯体化剤を対象としている。
【0008】
大部分の研究は、特定の錯体化ケージのカリックスアレーンについて実施されている。例えば1993年に、Arakiらは、ウランについての1,3,5−O−トリメチル−2,4,6−O−トリ(カルボン酸)−パラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(以下式IAで表される分子)の液/液抽出における錯体化特性を示した(Chem.Lett.、829〜832頁、1993年)。1994年に、Van Duynovenらは、この同じ分子を、その配座平衡の研究に用いた(J.Am.Chem.Soc.、116、5814〜5822頁)。1997年に、C.Dinseら(Radioprotection、32、No.5、659〜671頁)は、プルトニウムおよびナトリウムの存在下での、ウランについての式Aの分子の液/液抽出における選択性を実証した。
【0009】
より最近では、BennouraらのJournal of Inclusion Phenomena and Macrocyclic Chemistry、40、95〜98頁、2001年によって、カチオンを錯体化するための新規な抽出剤である、式A(formula A)の分子の合成誘導体、1,3,5−O−トリメチル−2,4,6−O−トリ(ヒドロキサム酸)−パラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(以下式B(formula B)で表される分子)が提案された。
【0010】
【化1】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
我々の知見では、式AおよびBの分子が、支持された膜またはグラフト化した支持体(support)に関する研究対象となったことはこれまでなかった。
【0012】
支持材料上での共有結合を介したカリックスアレーンの固定化は、S.P.Alexandratosらの、Macromolecules、2001年、34、206〜210頁にすでに記載されており、次いで2002年に、TrivediらのReactive and Functional Polymers、50、205〜216頁に記載されている。さらに、Kluwer Academic Press(Netherlands)により2001年に出版された「Calixarenes」という表題のZ.Asfariの研究は、R.MilbradtおよびV.Bohmerが書いた663〜676頁の章において、固定化技術の総説、および得られる産物を提示している。しかし、式AおよびBのカリックスアレーンの固定化はまったく記載されていない。
【0013】
従来技術に記載されている産物または技術ではどれも、6日間未満でリットル当たり1mBq程度の含量のウランおよび/またはアメリシウムおよび/またはプルトニウムカチオンを分析することができない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚くべきことに、本発明者らは、文献に記載されている式Aおよび式Bのメトキシ基を他の基で、より有利にはヒドロキシル基で置き換えても、ウラン、アメリシウムおよびプルトニウムカチオンについての錯体化能力を低下させないことを見出した。
【0015】
この発見は、一般式IAおよび/またはIBの化合物を含む支持された液体膜ならびに新規な支持材料を調製するのに有利である。これらの膜および支持材料は、ウランおよび/またはアメリシウムおよび/またはプルトニウムを選択的に錯体化する特性を示す。抽出クロマトグラフィーによる分析に適したカラムにおいてこれらの支持された膜を使用すると、1mBq/l程度の含量の上記元素の分析が可能になる。
【0016】
したがって、本発明は、式(IA)または(IB)
【0017】
【化2】

【0018】
(式中、R1、R3およびR5は、同一であるかまたは異なって、それぞれ独立に、
(i)水素またはハロゲン原子、
(ii)アセチル、アミノ、ホスフェート、ニトロ、サルフェート、カルボキシル、カルボン酸、チオカルボキシル、カルバメートまたはチオカルバメート基、
(iii)必要に応じて少なくとも1つのエチレン性またはアセチレン性不飽和を示す1〜60個、好ましくは1〜30個の炭素原子を有する必要に応じて置換されていてもよい直鎖または分岐アルキル、
(iv)必要に応じて少なくとも1つのエチレン性またはアセチレン性不飽和を示す3〜12個の炭素原子を有する必要に応じて置換されていてもよいシクロアルキル、
(v)必要に応じて置換されていてもよいアリール、必要に応じて置換されていてもよいナフチル、必要に応じて置換されていてもよいアリール(C1〜C30アルキル)または必要に応じて置換されていてもよい(C1〜C30アルキル)アリール(上記基(ii)〜(v)は、ハロゲン原子、有機金属化合物、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、リン酸、ホスホン酸またはヒドロキサム酸またはそれらのエステル、カルバメート、チオカルバメート、エーテル、チオール、エポキシド、チオエポキシド、イソシアネートまたはイソチオシアネート官能基で置換されているか、これらの基の炭素は、窒素、イオウ、リン、酸素、ホウ素またはヒ素のヘテロ原子で置換されていてよい)、
(vi)ポリスチレン、クロロ−および/またはブロモメチルスチレンとジビニルベンゼンとのコポリマー、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(グリシジルメタクリレート)、デキストランならびにアガロースを含む群から選択されるポリマー
を表し、但し、
R1、R3およびR5は(IA)および(IB)においてCH3を同時に表すことはなく、
R1、R3およびR5は(IA)においてCH2COOHを同時に表すことはなく、
R1、R3およびR5は(IB)においてCH2CONHOHを同時に表すことはないという条件である)
のパラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン化合物の新規なファミリーに関する。
【0019】
有利な実施形態によれば、式(IA)および(IB)において、R1、R3およびR5のうちの2つは水素またはメチルを表し、第3の基は、(vi)ポリスチレン、クロロ−および/またはブロモメチルスチレンとジビニルベンゼンとのコポリマー、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(グリシジルメタクリレート)、デキストランならびにアガロースを含む群から選択されるポリマーから選択される。
【0020】
他の有利な実施形態によれば、本発明のパラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーンは、R1、R3およびR5が同一であり好ましくは水素を表す式(IA)または(IB)の化合物である。
【0021】
本発明は、式(IA)または(IB)のパラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーンを含む支持された液体膜であって、
【0022】
【化3】

【0023】
(式中、R1、R3およびR5は、同一であるかまたは異なって、それぞれ独立に、
(i)水素またはハロゲン原子、
(ii)アセチル、アミノ、ホスフェート(phosphate)、ニトロ、サルフェート(sulfate)、カルボキシル(carboxyl)、カルボン酸(carboxylic)、チオカルボキシル(thiocarboxyl)、カルバメート(carbamate)またはチオカルバメート(thiocarbamate)基、
(iii)必要に応じて少なくとも1つのエチレン性またはアセチレン性不飽和を示してもよい、1〜60個、好ましくは1〜30個の炭素原子を有する置換されていてもよい直鎖または分岐アルキル、
(iv)必要に応じて1つのエチレン性またはアセチレン性不飽和を示してもよい3〜12個の炭素原子を有する必要に応じて置換されていてもよいシクロアルキル、
(v)必要に応じて置換されていてもよいアリール、必要に応じて置換されていてもよいナフチル、必要に応じて置換されていてもよいアリール(C1〜C30アルキル)または必要に応じて置換されていてもよい(C1〜C30アルキル)アリール(上記基(ii)〜(v)は、ハロゲン原子、有機金属化合物、アルコール、アミン、カルボン酸(carboxylic)、スルホン酸(sulfonic)、硫酸(sulfuric)、リン酸(phosphoric)、ホスホン酸(phosphonic)、またはヒドロキサム酸(hydroxamic)またはそれらのエステル、カルバメート、チオカルバメート、エーテル、チオール、エポキシド、チオエポキシド、イソシアネートまたはイソチオシアネート官能基で置換されているか、これらの基の炭素は、窒素、イオウ、リン、酸素、ホウ素またはヒ素のヘテロ原子で置換されていてよい)、
(vi)ポリスチレン、クロロ−および/またはブロモメチルスチレンとジビニルベンゼンとのコポリマー、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(グリシジルメタクリレート)、デキストランならびにアガロースを含む群から選択されるポリマー
を表す)
前記式(IA)または(IB)の生成物が有機溶媒中に溶解され、支持体に吸収されている液体膜に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明による有機溶媒は60℃を超える沸点を示す。そのため前記溶媒の保存時の蒸発は限定される。さらに、その溶媒は本発明のカリックスアレーンについて良好な溶解特性を有していなければならない。最も有利な溶媒の中で以下のもの、すなわちトルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルト−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ケロシン、テトラヒドロピラン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、ペンタノールおよびより高級な類似アルコール、グリコールおよびそれらのエーテル、例えばジエチレングリコールジブチルエーテル等、安息香酸メチルなどのエステル、またはオルト−ニトロフェニルペンチルエーテルもしくはニトロフェニルオクチルエーテルなどのエーテルが挙げられるが、このリストは限定的なものではない。
【0025】
種々の溶媒中への化合物IAの溶解度(モル/l)の例としては以下の通りである。25℃で、1,2−ジクロロベンゼン:3.13×10-3M、クロロブタン:1.6×10-3M、イソオクタン:1.25×10-3M、酢酸イソブチル:1.75×10-3M、酢酸tert−ブチル:5.25×10-3M、安息香酸イソアミル:2.40×10-3M、酢酸ベンジル:3.71×10-3M、安息香酸メチル:6.41×10-3M、ベンゾニトリル:1.81×10-3M、1−ヘキサノール:17.65×10-3M、1−ヘプタノール:14.28×10-3M、ジエチレングリコールジメチルエーテル:23.53×10-3M、ジエチレングリコールtert−ブチルエチルエーテル:11.34×10-3M、ジエチレングリコールジブチルエーテル:19.33×10-3M、ジペンチルエーテル:2.32×10-3M、イソアミルエーテル:2.02×10-3M、イソブチルエーテル:1.58×10-3M、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン:1.57×10-3M、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン:6.4×10-3M。
【0026】
本発明の支持された液体膜を構成するための支持材料(支持体)は、シリカゲル、アルミナ、ジルコニアおよび酸化チタンなどの酸化物を含む群から選択される無機由来のもの、またはポリスチレン/ジビニルベンゼン、ポリエーテル、ポリアクリルアミドおよびポリ(グリシジルメタクリレート)を含む群から選択される有機由来のもの、またはシリカ/デキストランおよびヒドロキシアパタイト/アガロース複合体を含む群から選択される有機−無機由来のもの、ならびにそれらの混合物である。
【0027】
支持体は、粒子径が10nm〜10mm、好ましくは10〜50ミクロンの範囲であり、その孔径が10〜5000Å、好ましくは100〜500Åの範囲である微粒子の形態であることが好ましい。
【0028】
本発明は、支持された液体膜中に存在する液体膜、すなわち溶媒が上記したような水不溶性の有機溶媒である溶媒の溶液中の式(IA)および(IB)のパラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーンにも関する。
【0029】
本発明は、式(IIA)または(IIB)
【0030】
【化4】

【0031】
[式中、R’1、R’3およびR’5は、同一であるかまたは異なって、それぞれ独立に、
(i)水素またはハロゲン原子、
(ii)アセチル、アミノ、ホスフェート、ニトロ、サルフェート、カルボキシル、カルボン酸、チオカルボキシル、カルバメートまたはチオカルバメート基、
(iii)必要に応じて少なくとも1つのエチレン性またはアセチレン性不飽和を示す1〜60個、好ましくは1〜30個の炭素原子を有する必要に応じて置換されていてもよい直鎖または分岐アルキル、
(iv)必要に応じて少なくとも1つのエチレン性またはアセチレン性不飽和を示す3〜12個の炭素原子を有する必要に応じて置換されていてもよいシクロアルキル、
(v)必要に応じて置換されていてもよいアリール、必要に応じて置換されていてもよいナフチル、必要に応じて置換されていてもよいアリール(C1〜C30アルキル)または必要に応じて置換されていてもよい(C1〜C30アルキル)アリール(上記基(ii)〜(v)は、ハロゲン原子、有機金属化合物、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、リン酸、ホスホン酸またはヒドロキサム酸またはそれらのエステル、カルバメート、チオカルバメート、エーテル、チオール、エポキシド、チオエポキシド、イソシアネートまたはイソチオシアネート官能基で置換されているか、これらの基の炭素は、窒素、イオウ、リン、酸素、ホウ素またはヒ素のヘテロ原子で置換されていてよい)、
(vi)ポリスチレン、クロロ−および/またはブロモメチルスチレンとジビニルベンゼンとのコポリマー、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(グリシジルメタクリレート)、デキストランならびにアガロースを含む群から選択されるポリマー、
(vii)−SPACER−SUPPORT(SPACERはC1〜C60、好ましくはC1〜C30、アルキレン、(C1〜C60アルキル)アリーレン、アリール(C1〜C60アルキレン)およびアリール(C1〜C60アルキル)アリールを含む群から選択される二価の基であり、その二価の基はハロゲン原子、有機金属化合物、アルコール、アミン、酸、エステル、カルバメート、チオカルバメート、エーテル、チオール、エポキシド、チオエポキシド、イソシアネートまたはイソチオシアネート官能基で置換されていているか、この二価の基の炭素は窒素、イオウ、リン、酸素、ホウ素またはヒ素のヘテロ原子で置換されていてよく、
SUPPORTは無機または有機または有機−無機由来の支持体、好ましくは微粒子支持体から選択され、その粒子径は10nm〜10mm、好ましくは10〜50ミクロンの範囲であり、その孔径は10〜5000Å、好ましくは100〜500Åの範囲である)を表し、
但し、R’1、R’3またはR’5の少なくとも1つは(vi)または(vii)基である]
のパラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーンである支持材料にも関する。
【0032】
支持材料はクロマトグラフカラムの固定相の構成要素である。
【0033】
本発明の支持材料では、SUPPORTはシリカゲル、アルミナ、ジルコニアおよび酸化チタンなどの酸化物を含む群から選択される無機由来の支持体、またはポリスチレン/ジビニルベンゼン、ポリエーテル、ポリアクリルアミドおよびポリ(グリシジルメタクリレート)を含む群から選択される有機由来の支持体、またはシリカ/デキストランまたはヒドロキシアパタイト/アガロース複合体を含む群から選択される有機−無機由来の支持体である。
【0034】
このSUPPORTは反応性の化学官能基を含む支持体から得られ、前記化学官能基は、例えばカルボン酸塩化物、アミン、アルデヒド、チオール、塩化スルホニル、イソシアネートまたは金属ハロゲン化物官能基などの有機性であっても無機性であってもよい。しかし、このリストは限定的なものではない。
【0035】
機能化された微粒子支持体の例は、[5−(4−(クロロメチル)フェニル)ペンチル]スチレンとジビニルベンゼンとのコポリマーであり、また、[5−(4−(ブロモメチル)フェニル)ペンチル]スチレンとジビニルベンゼンとのコポリマーおよび4−(クロロメチル)スチレンとジビニルベンゼンとのコポリマーである。
【0036】
これらは、球状または不規則な固体粒子の形態で提供することができ、その粒子径は様々であってよく、また多孔度も様々であってよい。AldrichのStratosphere(登録商標)樹脂などの様々なグレードの市販品が入手できる。
【0037】
一般式IAおよびIBの新規な化合物を合成するのに以下の手順を用いる。
式(a)の化合物1,3,5−トリメトキシ−パラ−tert−ブチルカリックス[6]−アレーン
【0038】
【化5】

【0039】
を合成し、次いで、式(b)の前駆体化合物2,4,6−トリ(エチルエステル)−1,3,5−トリメトキシ−パラ−tert−ブチルカリックス−[6]アレーン
【0040】
【化6】

【0041】
を合成する。
【0042】
次いで、鹸化するか、またはカルボン酸エチルエステル官能基を置換することによって式(b)の化合物を必要に応じて続いて改変して、式AまたはBの化合物が得られるようにする。
【0043】
式(b)の化合物を、部分的または完全に脱メチル化して一般式(c1)、(c2)または(c3)の化合物を得ることもできる。
【0044】
【化7】

【0045】
【化8】

【0046】
【化9】

【0047】
式(c1)または(c2)または(c3)の化合物は続いて、ヒドロキシルを化学的に改変して、一方では、エチルエステルの鹸化によって一般式(IA)の化合物を得、他方では、エチルエステルからヒドロキサム酸官能基を生成させて一般式(IB)の化合物を得る。
【0048】
この方法の代替形態によれば、式(c1)または(c2)または(c3)の化合物は続いて、一方では、エチルエステルの鹸化によって一般式(IIA)の支持材料を得、他方では、エチルエステルからヒドロキサム酸官能基を生成させることによって一般式(IIB)の支持材料を得るために、それらの遊離のフェノール性ヒドロキシルの活性化によって、適切に官能化した支持体と直接反応させて、共有結合グラフト化反応を行うことができる。
【0049】
したがって、本発明による支持材料は以下のような仕方で表すこともできる。
【0050】
【化10】

【0051】
(SUPPORT:支持材料;SPACE ARM:スペーサーアーム)
この合成段階の詳細を以下に示す。
A)1,3,5−トリメトキシ−パラ−tert−ブチルカリックス−[6]アレーン(RM=1014)の合成
この方法は第1ステップで、2、4および6位にカルボン酸エステル官能基を含み、かつ1、3および5位にトリメトキシ官能基を含む共通の前駆体を合成することから構成される。
【0052】
このために、最初に上記式(a)の対称化合物1,3,5−トリメトキシ−p−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(RM=1014)を合成する必要がある。
【0053】
市販のパラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーンを無水アセトン中に溶解する。炭酸カリウムを加え、懸濁液を窒素雰囲気下で3時間撹拌する。次いで過剰量のヨウ化メチルを加え、反応懸濁液を撹拌しながら徐々に24時間還流させる。
【0054】
続いて、60℃に調節した水浴上で、層流ポンプによる真空下でアセトンを蒸発させて乾燥する。乾燥操作により得られた固体残留物をクロロホルムに溶解する。溶解後、水を加え、二相媒体を強力な撹拌下に置き、次いで12M濃塩酸を用いて酸性化する。続いて沈降分離により下の有機相を回収する。次いで、上相中に存在する水性洗浄液が中性になるまで水で洗浄し、続いて下の有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、次いでろ過する。透明有機相を、層流ポンプによる真空下60℃の水浴上で濃縮して乾燥する。続いて、乾燥残留物をクロマトグラフィーグレードのシリカゲルを用いて低圧クロマトグラフィー精製する。用いる溶離液は、アミレンで安定化させた純粋な合成塩化メチレンである。様々な画分の純度を、塩化メチレン/エタノール95/5を用いて、未使用のシリカプレートによるTLCで監視する。
【0055】
TLC(ヨウ素蒸気で可視化)で単一スポットである対称化合物1,3,5−トリメトキシ−p−tert−ブチルカリックス[6]アレーンを含む画分を一緒にし、次いで濃縮して乾燥する。
【0056】
残留物を以下の段階においてそのまま用いる。
B)2,4,6−トリ(エチルエステル)−1,3,5−トリメトキシ−パラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(RM=1272.5)(式(b))の合成
第2ステップにおいて、その方法は、2、4および6位に位置する上記で得られた化合物のすべてのフェノール性ヒドロキシルを改変することによって(1、3および5位はメトキシ基によって保護されている)、2、4および6位にカルボン酸エステル官能基を含み、1、3および5位にトリメトキシ官能基を含む共通の前駆体を合成することから構成される。
【0057】
上記実施例で得られた生成物(式(a))を窒素雰囲気下で無水DMF(ジメチルホルムアミド)(水素化ナトリウムにより脱水)に溶解する。大過剰量の炭酸セシウムを加え、得られた懸濁液を窒素雰囲気下で4時間撹拌する。続いて大過剰量のブロモ酢酸エチルを5分間かけて反応懸濁液に加え、強く撹拌された媒体を、窒素をバブリングさせながら徐々に24時間還流させる。
【0058】
DMFを、80℃に調節した水浴上で、層流ポンプによる真空下で蒸発させて乾燥する。乾燥により得られた固体残留物をクロロホルムに溶解する。溶解後、水を加え、二相媒体を強力な撹拌下に置き、次いで12M濃塩酸で酸性化する。続いて下の有機相を水で数回洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで脱水する。ろ過した後、有機相を、層流ポンプによる真空下60℃の水浴上で濃縮して乾燥する。乾燥残留物をエタノールにとる。白色懸濁液が得られる。白色固形物をろ過により回収する。これをフィルター上でエタノールで数回洗浄し、次いでオーブン中で、真空下40℃で乾燥する。
C)2,4,6−トリ(エチルエステル)−1−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−パラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(化合物(c1))2,4,6−トリ(エチルエステル)−1,3−ジヒドロキシ−5−モノメトキシ−パラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(化合物(c2))2,4,6−トリ(エチルエステル)−1,3,5−トリヒドロキシ−パラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(化合物(c3))の合成
必要に応じて行われる第3の段階において、その方法は、2、4および6位にカルボン酸エステル官能基を含み、1、3および5位にフェノール性ヒドロキシルおよびメトキシ官能基の両方(化合物(c1)もしくは(c2))、または1、3および5位にフェノール性ヒドロキシル基のみ(化合物(c3))を含む式(b)の共通の前駆体を部分的かまたは完全に脱メチル化することから構成される。
【0059】
このためには、上記で得られた式(b)の化合物を、予め水素化ナトリウムで脱水した無水クロロホルム中に溶解する。この媒体を窒素雰囲気下で撹拌し、次いでヨウ化トリメチルシリル(カリックスアレーンのための脱メトキシ化剤)を、モノ−、ジ−またはトリ脱メチル化に好都合であることを望むかどうかによって、化学量論量かまたはそれより不足する量で加え、反応媒体を、窒素をバブリングさせながら2時間還流する。反応速度はトルエン/酢酸エチル90/10を用いてシリカ/ポリエステルプレートによるTLCの監視によって判断する。反応媒体を冷却した後、所望の物質(式(c1)または(c2)または(c3)の分子)の形成速度に応じて、必要によりヨウ化トリメチルシリルを一括して再度加える。反応媒体を再度徐々に2時間以上還流させる。
【0060】
水を加えて反応を停止させる。反応媒体を1M HC1で酸性化し、赤れんが色の下の有機相を沈降分離により回収する。これを、水性洗浄液(上相)が中性のpHになるまで水で洗浄する。
【0061】
無水硫酸ナトリウムで脱水した後、下のクロロホルム相を、層流ポンプによる真空下で、60℃に調節した水浴上で蒸発させて乾燥する。続いて、乾燥して得られた残留物を、クロマトグラフィーグレードのシリカゲルを用いて低圧クロマトグラフィーで精製する。用いる溶離液はトルエン/酢酸エチル90/10混合物である。様々な画分の純度を、トルエン/酢酸エチル90/10混合物を用いて、ポリエステル支持体上に固着させた未使用のシリカプレートによるTLCで監視する。
【0062】
化合物(c1)または(c2)または(c3)を含む画分を一緒にし、次いで上記の蒸発条件下で別々に乾燥する。
【0063】
乾燥操作により得られた各残留物を、続く可能な化学的改変にそのまま用いる。
D)2,4,6−トリ(エチルエステル)−1−R1−3,5−ジメトキシ−パラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(化合物(d1))2,4,6−トリ(エチルエステル)−1,3−R1,R3−5−モノメトキシ−パラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(化合物(d2))2,4,6−トリ(エチルエステル)−1,3,5−R1,R3,R5−パラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(化合物(d3))の合成
他の必要に応じた段階において、その方法は、上記で得られた化合物(c1)または(c2)または(c3)のそれぞれから、一般式(d1)または(d2)または(d3)の化合物を合成することから構成される。1位および/または3位および/または5位のフェノール性ヒドロキシル官能基を改変し、R1および/またはR3および/またはR5基を導入する。これらがヒドロキシルまたはメチルを表し得ないことは周知である。
【0064】
そのために、上記のようにして得られた式(c1)または(c2)または(c3)の化合物を、窒素雰囲気下で無水DMF(ジメチルホルムアミド)(水素化ナトリウムで脱水した)中に溶解する。大過剰量の炭酸セシウムを加え、得られた懸濁液を窒素雰囲気下で4時間撹拌する。続いて、その有機性残基がR1またはR3またはR5基を表す大過剰量のハロゲン化物を5分間かけて反応懸濁液に加え、強く撹拌されたその媒体を、窒素をバブリングさせながら徐々に24時間還流させる。
【0065】
DMFを、層流ポンプによる真空下で、80℃に調節した水浴上で蒸発させて乾燥する。乾燥により得られた固体残留物をクロロホルムに溶解する。溶解後、水を加え、二相媒体を強力な撹拌下に置き、次いで12M濃塩酸で酸性化する。続いて下の有機相を水で数回洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで脱水する。ろ過した後、有機相を層流ポンプによる真空下、60℃の水浴上で濃縮して乾燥する。乾燥残留物をクロロホルムにとる。
【0066】
無水硫酸ナトリウムで脱水した後、下のクロロホルム相を、層流ポンプによる真空下、60℃に調節した水浴上で蒸発させて乾燥する。続いて、得られた乾燥残留物を、クロマトグラフィーグレードのシリカゲルを用いて低圧クロマトグラフィーで精製する。用いる溶離液はトルエン/酢酸エチル90/10混合物である。様々な画分の純度を、トルエン/酢酸エチル90/10混合物を用いて、ポリエステル支持体上に固着させた未使用のシリカプレートによるTLCで監視する。
【0067】
化合物(d1:formula (d1))または(d2:formula (d2))または(d3:formula (d3))を含む画分を一緒にし、上記の蒸発条件下で別々に乾燥する。
【0068】
乾燥残留物を、続く可能な化学的改変にそのまま用いる。
【0069】
【化11】

【0070】
【化12】

【0071】
【化13】

【0072】
E)以下の化合物:(c1)、(c2)、(c3)、(d1)、(d2)、(d3)のうちの1つの支持体へのグラフト化
他の必要に応じた段階において、その方法は、2、4および6位にカルボン酸エステル官能基を含み、1および/または3位にフェノール性ヒドロキシルおよびメトキシ官能基の両方(化合物(c1)または(c3))、あるいは、1、3および5位にフェノール性ヒドロキシル基のみ(化合物(c3))、あるいは、1、3または5位にR1および/またはR3および/またはR5官能基(R1、R3およびR5は水素およびメチル以外である)(化合物(d1)、(d2)および(d3))を含む式(c1)または(c2)または(c3)または(d1)または(d2)または(d3)の化合物を支持体と共有結合的にグラフト化することから構成される。
【0073】
式(c1)または(c2)または(c3)または(d1)または(d2)または(d3)の化合物を、予め水素化ナトリウムで脱水した無水ジメチルホルムアミドに溶解する。媒体を、完全に溶解するまで窒素雰囲気下で撹拌する。大過剰量の炭酸セシウムを加え、続いて、既知であり、かつ官能基が定量化されている市販の樹脂を加える。前記官能基は、フェノール性ヒドロキシル基あるいはR1および/またはR3および/またはR5基と反応できるように選択される。反応媒体を、窒素をバブリングさせながら60℃で72時間保持する。
【0074】
反応懸濁液をろ過し、固形物をDMF、次いでアセトンで洗浄し、次いで、水性洗浄液が酸性pHになるまで1M HClで洗浄する。続いて、樹脂を中性になるまで水で洗浄し、次いでエタノールで洗浄する。
F)一般式IIAの化合物の合成
その方法の1つの選択では、一般式(a)または(c1)または(c2)または(c3)または(d1)または(d2)または(d3)の化合物あるいはEの部で説明した方法を用いて得られる化合物を用いる。
【0075】
前記化合物をエタノール中に溶解または懸濁する。鹸化されるエチルエステル基の数に関して算出される化学量論量に対して大過剰量の水酸化カリウム水溶液を加え、媒体(溶液または懸濁液)を4時間還流させる。
【0076】
反応物を冷却し、媒体を12M HClで酸性化する。
【0077】
懸濁液をろ過し、沈殿物(すなわち支持体)を、ろ液が中性pHになるまで水で洗浄し、次いでエタノールで洗浄する。
【0078】
固形物を真空下、40℃で恒量になるまで乾燥する。
G)式IIBの化合物の合成
その方法の1つの選択では、一般式(a)または(c1)または(c2)または(c3)または(d1)または(d2)または(d3)の化合物あるいはEの部で説明した方法を用いて得られる化合物を用いる。
【0079】
前記化合物をTHF中に溶解または懸濁する。エチルエステル基の数に関して算出される化学量論量に対して過剰量のメタノール性ヒドロキシルアミン塩酸塩溶液を加える。次いで、予めメタノール/THF混合物中に溶解して+5℃に保持した水酸化カリウムフレークを含む第2の溶液を加える。媒体(溶液または懸濁液)を窒素雰囲気下、周囲温度で7日間撹拌する。
【0080】
反応物を真空下、60℃の水浴上で蒸発させて乾燥する。
【0081】
残留物を塩化メチレンにとり、次いで酢酸を加える。媒体を20〜25℃で4時間撹拌し、次いでこれを再度乾燥する。
【0082】
反応物を真空下、60℃の水浴上で蒸発させて乾燥する。
【0083】
本発明は、元素ウラン、アメリシウムおよびプルトニウムまたは他の放射性元素を選択的に錯体化しそれらのカチオンの形態で分析するための、本発明による上記の支持された液体膜および/または支持材料の使用にも関する。
【0084】
本発明は、有機、無機および有機−無機由来の分子を含む群から選択される少なくとも2つの成分の混合物から、これらの成分の1つの少なくとも一部を除去するか、クロマトグラフィー法によって前記成分を分離するための、本発明による支持された液体膜および/または支持材料の使用にも関する。
【0085】
本発明の支持された液体膜および支持材料は排除クロマトグラフィーに特に適している。これらは、微量の生成物の検出および分離、特に、1mBq/l程度の含量のウランおよび/またはプルトニウムおよび/またはアメリシウムの分離を可能にする。
【0086】
以下の実施例の助けを得て、本発明をより詳細に説明する。これらは、説明のためだけのものであって、限定的なものではない。
【実施例】
【0087】
(実施例)
実施例1:
3,5−ジメトキシ−2,4,6−トリ(カルボン酸)−p−tert−ブチルカリックス[6]アレーンを含む支持材料
1−1:1,3,5−トリメトキシ−p−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(RM=1014)の合成
【0088】
【化14】

【0089】
194.7gのp−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(0.2モル、RM=972)および15lの無水アセトンを、凝縮器を備えた20リットルのガラス反応器に導入する。媒体を、窒素雰囲気下、完全に溶解するまで撹拌する。82.9gの炭酸カリウム(0.6モル)を加え、懸濁液を窒素雰囲気下で3時間撹拌する。113.6gのヨウ化メチル(0.8モル)を5分間かけて加え、撹拌反応媒体を徐々に24時間還流させる。
【0090】
アセトンを、層流ポンプによる真空下、60℃に調節した水浴上で蒸発させて乾燥する。乾燥により得られた固体残留物を5.0lのクロロホルムに溶解する。溶解後、1.0lの水を加え、二相の媒体を強力な撹拌下に置く。0.1lの12M濃塩酸を炭酸ガスの放出に応じて穏やかに加える。続いて有機相を1.0lの水で5回洗浄し、次いで200gの無水硫酸ナトリウムで脱水する。ろ過した後、有機相を、層流ポンプによる真空下60℃の水浴上で濃縮して乾燥する。250gの乾燥残留物を得、続いて、15kgの40〜200μmシリカゲル(60Å細孔)を用いて低圧クロマトグラフィーで精製する。用いる溶離液は塩化メチレン(40l)である。
【0091】
様々な画分の純度を、塩化メチレン/エタノール95/5を用いて、未使用のシリカプレートによるTLCで監視する。
【0092】
純粋な1,3,5−トリメトキシカリックスアレーンを含む画分から40gの残留物を得る(39.45ミリモル:収率=19.7%)。
【0093】
CDCl3を用いたプロトンNMRスペクトルによって以下の化学シフトが得られる:
7.00ppm(s,6H,ArHメタOH)、6.90ppm(s,6H,ArHメタOCH3)、6.75ppm(s,3H,OH)、3.89ppm(s,9H,OCH3)、3.47ppm(s,12H,ArCH2Ar)、1.20ppm(s,27H,tert−ブチルパラOH)、1.00ppm(s,27H,tert−ブチルパラOCH3)。
1−2:2,4,6−トリ(エチルエステル)−1,3,5−トリメトキシ−p−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(RM=1272.5)の合成
【0094】
【化15】

【0095】
1−1で得られた40.0gの生成物(39.45ミリモル)および4lの無水ジメチルホルムアミド(DMF)(水素化ナトリウムで脱水)を、凝縮器を備えた10リットルのガラス反応器に導入する。媒体を、完全に溶解するまで窒素雰囲気下で撹拌する。81.6gの炭酸セシウム(0.25モル)を加え、懸濁液を窒素雰囲気下で4時間撹拌する。52.7gのブロモ酢酸エチル(0.31モル)を5分間かけて加え、撹拌反応媒体を、窒素をバブリングさせながら徐々に24時間還流させる。
【0096】
DMFを、層流ポンプによる真空下、80℃に調節した水浴上で蒸発させて乾燥する。乾燥により得られた固体残留物を2.0lのクロロホルムに溶解する。溶解後、0.5lの水を加え、二相媒体を強力な撹拌下に置く。20mlの12M濃塩酸を炭酸ガスの放出に応じて穏やかに加える。続いて有機相を0.5lの水で5回洗浄し、次いで20gの無水硫酸ナトリウムで脱水する。ろ過した後、有機相を、層流ポンプによる真空下60℃の水浴上で濃縮して乾燥する。残留物を300mlのエタノールにとる。白色懸濁液が得られる。固形物をろ過により回収し、40mlのエタノールで3回洗浄し、次いでオーブンで、真空下40℃で乾燥する。
【0097】
恒量になるまで乾燥した後、43.2gの白色粉末を得る(33.95ミリモル:収率=86%)。
【0098】
CDCl3を用いたプロトンNMRスペクトルによって以下の化学シフトが得られる:
6.71ppm(広幅s,12H,ArHメタ)、4.55ppm(s,6H,ArCH2CO2R)、4.29ppm(qt,6H,O−CH2−メチル J=7Hz)、3.47ppm(s,21H,ArCH2Ar+メチルOCH3)、1.38ppm(s,54H,tert−ブチル)、1.33ppm(t,9H,メチルOCH2CH3 J=7Hz)。
1−3:1−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−2,4,6−トリ(エチルエステル)−p−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(RM=1258.5)の合成
【0099】
【化16】

【0100】
上記1〜2で得られた27.8gの生成物(白色粉末)(21.85ミリモル、RM=1272.5)および1.5lの予め水素化ナトリウムで脱水した無水クロロホルムを、凝縮器を備えた5リットルのガラス反応器に導入する。媒体を、完全に溶解するまで窒素雰囲気下で撹拌する。3.1ml(4.37g)のヨウ化トリメチルシリル(21.85ミリモル、RM=200.1)を加え、反応媒体を、窒素をバブリングさせながら2時間還流させる。反応速度は、トルエン/酢酸エチル90/10を用いてシリカ/ポリエステルプレート上で監視するTLCによって判断する。反応媒体を冷却した後、再度3.1ml(4.37g)のヨウ化トリメチルシリルを一括して加える。反応媒体を再度徐々に2時間還流させる。
【0101】
2lの水を加えて反応を停止させる。100mlの1M HClを加え、赤れんが色の有機相を回収する。これを1lの水で2回洗浄する。
【0102】
200gの無水硫酸ナトリウムで脱水した後、クロロホルム相を、層流ポンプによる真空下、60℃に調節した水浴上で蒸発させて乾燥する。27.2gの乾燥残留物が得られる。続いて、これを3kgの40〜200μmシリカゲル(60Å細孔)を用いて低圧クロマトグラフィーで精製する。用いる溶離液はトルエン/酢酸エチル90/10混合物(20l)である。様々な画分の純度を、トルエン/酢酸エチル90/10混合物を用いて、ポリエステル支持体上に固着させた未使用のシリカプレートによるTLCで監視する。
【0103】
純粋な1−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−2,4,6−トリ(エチルエステル)−p−tert−ブチルカリックス[6]アレーンを含む画分を、真空下、60℃の水浴上で乾燥した後、8.5gの残留物(6.75ミリモル:収率=30.7%)を得る。
【0104】
正の化学イオン化でのFABで記録したマススペクトルによって、予想生成物の存在が確認される(1259ダルトンでのMH+)。
【0105】
CDCl3を用いたプロトンNMRスペクトルによって以下の化学シフトが得られる:
6.75ppm(s,13H,ArHメタ+OHフェノール)、4.55ppm(s,6H,ArCH2CO2R)、4.29ppm(qt,6H,O−CH2−メチル J=7Hz)、3.47ppm(s,20H,ArCH2ZAr+メチルOCH3)、1.38ppm(s,54H,tert−ブチル)、1.33ppm(t,9H,メチルOCH2CH3)。
1−4:3,5−ジメトキシ−2,4,6−トリ(エチルエステル)−p−tert−ブチルカリックス[6]アレーンを含む支持材料
【0106】
【化17】

【0107】
(POLYSTYRENE MATRIX:ポリスチレンマトリクス)
上記1〜3で得られた8.5gの生成物(6.75ミリモル、RM=1258.5)および150mlの予め水素化ナトリウムで脱水した無水DMFを、凝縮器を備えた250mlガラス反応器に導入する。媒体を、完全に溶解するまで窒素雰囲気下で撹拌する。20gの炭酸セシウム(61ミリモル)を加え、続いて、10gのクロロメチルフェニルペンチルで改変した市販のポリスチレン樹脂(Aldrich製のCMPP樹脂を購入:[5−[4−(クロロメチル)フェニル]ペンチル]スチレン、ポリマー担持品、参照番号513776)を加え、反応媒体を、窒素をバブリングさせながら60℃で72時間保持する。
【0108】
反応懸濁液をろ過し、固形物をDMF(50mlで2回)、次いでアセトン(50mlで3回)、次いで1M HCl(100mlで4回)、次いで水(100mlで5回)、次いでエタノール(50mlで3回)で洗浄する。
【0109】
真空下、60℃で恒量になるまで乾燥した後、16.15gの乾燥樹脂を得る。
【0110】
微量分析によって算出されたグラフト化度は、0.2ミリモルのカリックス/g樹脂である。
【0111】
微量分析結果は以下の通りである:
C%:80.80 H%:7.29 Cl%:0.79。
【0112】
出発物質のクロロメチルフェニルペンチル樹脂の微量分析は以下の通りであった:
C%:86.52 H%:7.87 Cl%:3.91。
1−5:3,5−ジメトキシ−2,4,6−トリ(カルボン酸)−p−tert−ブチルカリックス[6]アレーンを含む支持材料
【0113】
【化18】

【0114】
上記1〜4で得られた10gの乾燥樹脂および100mlのエタノールを、凝縮器を備えた250mlガラス反応器に導入する。6.1gの85%水酸化カリウムペレットを100mlの水に溶解し、得られた溶液を反応器に一括して加える。反応媒体を、窒素をバブリングさせながら4時間還流させる。
【0115】
反応懸濁液を冷却し、次いで12mlの12M HClを加える。懸濁液のpHは1である。1時間撹拌した後、懸濁液をろ過し、次いでフィルター残留物を100mlの水で8回洗浄し、次いでエタノール(50mlで3回)で洗浄する。
【0116】
真空下、60℃で恒量になるまで乾燥した後、9.7gの樹脂を得る。
【0117】
さらに分析評価することなく、この樹脂をそのまま用いる。
【0118】
実施例2:1,3,5−トリメトキシ−2,4,6−トリ(ヒドロキサム酸)−p−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(RM=1234.6)を含む支持された液体膜
【0119】
【化19】

【0120】
実施例1〜2で得られた1.8gの生成物(1.4ミリモル)および50mlのテトラヒドロフラン(THF)を、凝縮器を備えた250mlガラス反応器に導入する。2.02gのヒドロキシルアミン塩酸塩(29ミリモル)を80mlのメタノールおよび40mlのTHFの中に溶解し、次いで得られた溶液を反応器中の上記のものに加える。続いて、予め調製しておいた(かつ+5℃に保持した)24mlのメタノールおよび12mlのTHF中の水酸化カリウムフレーク(100%で2.04g、すなわち36ミリモル)の別の溶液を反応器に一括して加える。反応媒体を、窒素をバブリングさせながら周囲温度で7日間撹拌する。
【0121】
反応懸濁液を真空下、60℃の水浴上で蒸発させて乾燥する。残留物を塩化メチレン/酢酸50ml/10ml混合物にとり、4時間撹拌する。反応物を真空下、60℃の水浴上で乾燥する。
【0122】
乾燥残留物を20mlのジクロロメタンにとる。予想された生成物が白色固形物の形態で沈澱する。
【0123】
真空下、60℃で恒量になるまで乾燥した後、1.5gの白色固形物を得る(収率=85.9%)。
【0124】
エレクトロスプレ−ESIで記録したマススペクトルによって、予想生成物の存在が確認される(1234ダルトンでのmz)。
【0125】
DMSOを用いた300MHzでのプロトンNMRスペクトルによって以下の化学シフトが得られる:
10.8ppm(s,3H,−NH)、9.08ppm(s,3H、ヒドロキサム酸の−OH)、7.23ppm(s,6H,ArHメタOCH2COOEt)、6.57ppm(s,6H,ArHメタOCH3)、4.44〜4.33ppm(q,18H,ArCH2CO2R+ArCH2Ar)、2.50ppm(広幅s,9H,メトキシ)、1.36ppm(s,27H,tert−ブチルパラOCH2CONHOH)、0.73ppm(s,27H,tert−ブチルパラOCH3)。
【0126】
2gの樹脂Macroprepエポキシ(BioRad製、70〜100μmの粒子径、バッチ11/99)を、20mlのジクロロメタンおよび1.12mlの1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン中に予め得た1.5gの白色固形物からとった上記で得た15.6mgの白色固形物を溶解させて予め調製した溶液に加える。懸濁液を、恒量になるまで周囲温度で穏やかに蒸発させる:白色固形物が得られる。
取得重量:2.2g
実施例3:
1,3,5−トリメトキシ−2,4,6−トリ(カルボン酸)−p−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(RM=1174.4)を含む支持された液体膜
【0127】
【化20】

【0128】
実施例1〜2で得られた5.9gの生成物(白色粉末)(4.00ミリモル)および150mlのエタノールを、凝縮器を備えた250mlガラス反応器に導入する。予め調製しておいた(かつ+5℃に保持した)、150mlの水の中の水酸化カリウムフレーク(100%で12g、すなわち214ミリモル)の溶液を反応器に一括して加える。反応媒体を、窒素をバブリングさせながら4時間還流させる。
【0129】
反応物を20℃に冷却した後、25mlの12M HClをゆっくり加える。予想された生成物が白色固形物の形態で沈澱する。続いて、懸濁液をろ過し、固形物を50mlの水で8回、次いで50mlのエタノールで2回洗浄する。続いて、固形物を真空下、40℃で恒量になるまで乾燥する。
【0130】
真空下、40℃で恒量になるまで乾燥して4.2gの白色固形物を得る(収率=99%)。
【0131】
CDCl3を用いた300MHzでのプロトンNMRスペクトルによって以下の化学シフトが得られる:
6.97ppm(s,6H,ArHメタOCH2COOH)、6.94ppm(s,6H,ArHメタOCH3)、3.84ppm(s,6H,ArCH2COOH)、3.73ppm(広幅s,9H,メトキシ)、1.12ppm(s,27H,tert−ブチルパラOCH2COOH)、1.09ppm(s,27H,tert−ブチルパラOCH3)。2gの樹脂、Macroprepエポキシ(BioRad製、70〜100μmの粒子径、バッチ11/99)を、20mlのジクロロメタンおよび1.12mlの1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン中に上記で得た4.2gの白色固形物からとった12.5mgを溶解させて予め調製した溶液に加える。懸濁液を、恒量になるまで周囲温度で穏やかに蒸発させる。白色固形物が得られる。
取得重量:2.2g
実施例4:
アメリシウムの選択的錯体化および抽出
この実施例では、尿媒体を模擬し、かつpH=4に調節された、0.04モル/lのNaNO3水溶液中に10-11モル/lの濃度で存在するアメリシウムを、本発明のカリックスアレーンを用いて固定する。
【0132】
この実験のために、カラム中に充てんした実施例1〜5からの100mgの支持材料を用いる。
【0133】
最適抽出条件が維持されるようにpH=4の0.04モル/l NaNO3溶液をカラムに通す(前処理段階)。続いてアメリシウムを含む水溶液をカラムに通す(固定段階)。カリックスアレーンで抽出されなかったアメリシウムを除去するためにpH=4の0.04モル/l NaNO3溶液を再度通す(リンス段階)。最後に固定化されたアメリシウムを2M HNO3溶液で溶離させる(溶離段階)。溶液は重力によって流れる。アメリシウムはカラム底部の各溶液のα線分光分析によって測定する。測定結果によって、固定化収率およびアメリシウムについての溶離収率の算出が可能になる。
【0134】
この実験の結果を以下の表Iに示す。
【0135】
実施例5:
ウランの選択的錯体化および抽出
この実施例では、尿媒体を模擬し、かつpH=4に調節された0.04モル/lのNaNO3水溶液中に10-8モル/lの濃度で存在するウランを、本発明のカリックスアレーンを用いて固定する。
【0136】
この実験のために、カラム中に充てんした実施例2からの1gの支持された液体膜を用いる。
【0137】
前処理、固定化およびリンスの段階は実施例4で説明したのと同じである。固定したウランを1M HNO3溶液で溶離させる。ウランは、カラム底部の各溶液のα線分光分析または質量分析(ICP−MS)によって測定する。測定結果によって、固定化収率およびウランについての溶離収率の算出が可能になる。
【0138】
得られた結果を以下の表Iに示す。
【0139】
実施例6:
尿中のウランの選択的錯体化および抽出
この実施例では、尿中に5.10-6g/lの濃度で存在するウランを、本発明のカリックスアレーンを用いて固定する。
【0140】
この実験のために、カラム中に充てんした実施例3からの1gの支持された液体膜を用いる。
【0141】
尿の無機化の予備的段階をマイクロ波放射で加熱して実施する。無機化残留物を2M HNO3溶液にとり、次いで溶液のpHを4に調節してカラムに通す。
【0142】
前処理、固定化、リンスおよび溶離の段階は実施例4で説明したのと同じである。ウランを測定し、結果を上記の通り示す。
【0143】
得られた結果を以下の表Iに示す。
【0144】
実施例7:
プルトニウムの選択的錯体化および抽出
この実施例では、尿媒体を模擬し、かつpH=4に調節された0.04モル/lのNaNO3水溶液中に10-10モル/lの濃度で存在するプルトニウムを、本発明のカリックスアレーンを用いて固定する。
【0145】
この実験のために、カラム中に充てんした実施例1〜5からの100mgの支持材料を用いる。
【0146】
前処理、固定化、リンスおよび溶離の段階は実施例4で説明したのと同じである。プルトニウムは、カラム底部の各溶液のα線分光分析または質量分析(ICP−MS)によって測定する。測定結果によって、固定化収率およびプルトニウムについての溶離収率の算出が可能になる。
【0147】
得られた結果を以下の表Iに示す。
【0148】
【表1】

【0149】
実施例8:
1−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−2,4,6−トリ(カルボン酸)−p−tert−ブチルカリックス[6]アレーン(RM=1174.4)を含む支持された液体膜
【0150】
【化21】

【0151】
上記と同じ第2の試験を実施する間に、実施例1〜3で得られた5.03gの生成物(白色粉末)(4.00ミリモル)および150mlのエタノールを、凝縮器を備えた250mlガラス反応器に導入する。予め調製しておいた(かつ+5℃に保持した)150mlの水の中の水酸化カリウムフレーク(100%で12g、すなわち214ミリモル)の溶液を、反応器に一括して加える。反応媒体を、窒素をバブリングさせながら4時間還流させる。
【0152】
反応物を20℃に冷却した後、25mlの12M HClをゆっくり加える。予想された生成物が白色固形物の形態で沈澱する。続いて懸濁液をろ過し、固形物を50mlの水で8回、次いで50mlのエタノールで2回洗浄する。続いて固形物を、真空下、40℃で恒量になるまで乾燥する。
【0153】
真空下、40℃で恒量になるまで乾燥した後、4.65gの白色固形物を得る(収率=99%)。
【0154】
CDCl3を用いた300MHzでのプロトンNMRスペクトルによって以下の化学シフトが得られる:
6.86ppm(s,13H,ArHメタ+OHフェノール)、3.95ppm(s,6H,ArCH2COOH)、3.73ppm(広幅s,6H,メトキシ)、1.12ppm(s,27H,tert−ブチルパラOCH2COOH)、1.09ppm(s,27H,tert−ブチルパラOCH3)。
2gの樹脂、Macroprepエポキシ(BioRad製、70〜100μmの粒子径、バッチ11/99)を、20mlのジクロロメタンおよび1.12mlの1−ヘプタノール中に上記で得た4.65gの白色固形物からとった12.5mgを溶解させて予め調製した溶液に加える。懸濁液を、恒量になるまで周囲温度で穏やかに蒸発させる:白色固形物が得られる。
取得重量:2.2g
ウランの選択的錯体化および抽出
この実施例では、尿媒体を模擬し、かつpH=4に調節された0.04モル/lのNaNO3水溶液中に10-8モル/lの濃度で存在するウランを、本発明のカリックスアレーンを用いて固定する。
【0155】
この実験のために、カラム中に充てんした上記で得た1gの支持された液体膜を用いる。
【0156】
前処理、固定化、リンスおよび溶離の段階は実施例4で説明したのと同じである。ウランを測定し、結果を上記実施例と同様に示す。
【0157】
得られた結果を以下の表IIに示す。
トリウムの選択的錯体化および抽出
この実施例では、尿媒体を模擬し、かつpH=3に調節された0.04モル/lのNaNO3水溶液中に10-8モル/lの濃度で存在するトリウムを、本発明のカリックスアレーンを用いて固定する。
【0158】
この実験のために、カラム中に充てんした上記で得た1gの支持された液体膜を用いる。
【0159】
前処理、固定化、リンスおよび溶離の段階は実施例4で説明したのと同じであり、前処理およびリンス溶液はpH3に調節する。トリウムは、カラム底部の各溶液のα線分光分析または質量分析(ICP−MS)によって測定し、結果を上記実施例と同様に示す。
【0160】
得られた結果を以下の表IIに示す。
【0161】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IA)または(IB)のパラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン
【化1】


(式中、R1、R3およびR5は、同一であるかまたは異なって、それぞれ独立に、
(i)水素またはハロゲン原子、
(ii)アセチル、アミノ、ホスフェート、ニトロ、サルフェート、カルボキシル、カルボン酸、チオカルボキシル、カルバメートまたはチオカルバメート基、
(iii)必要に応じて少なくとも1つのエチレン性またはアセチレン性不飽和を示す1〜60個、好ましくは1〜30個の炭素原子を有する必要に応じて置換されていてもよい直鎖または分岐アルキル、
(iv)必要に応じて少なくとも1つのエチレン性またはアセチレン性不飽和を示す3〜12個の炭素原子を有する必要に応じて置換されていてもよいシクロアルキル、
(v)必要に応じて置換されていてもよいアリール、必要に応じて置換されていてもよいナフチル、必要に応じて置換されていてもよいアリール(C1〜C30アルキル)または必要に応じて置換されていてもよい(C1〜C30アルキル)アリール(上記基(ii)〜(v)は、ハロゲン原子、有機金属化合物、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、リン酸、ホスホン酸またはヒドロキサム酸またはそれらのエステル、カルバメート、チオカルバメート、エーテル、チオール、エポキシド、チオエポキシド、イソシアネートまたはイソチオシアネート官能基で置換されているか、これらの基の炭素は、窒素、イオウ、リン、酸素、ホウ素またはヒ素のヘテロ原子で置換されていてよい)、
(vi)ポリスチレン、クロロ−および/またはブロモメチルスチレンとジビニルベンゼンとのコポリマー、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(グリシジルメタクリレート)、デキストランならびにアガロースを含む群から選択されるポリマー
を表し、但し、
R1、R3およびR5は(IA)および(IB)においてCH3を同時に表すことはなく、
R1、R3およびR5は(IA)においてCH2COOHを同時に表すことはなく、
R1、R3およびR5は(IB)においてCH2CONHOHを同時に表すことはないという条件である)。
【請求項2】
R1、R3およびR5のうちの2つが水素またはメチルを表し、第3の基が、(vi)ポリスチレン、クロロ−および/またはブロモメチルスチレンとジビニルベンゼンとのコポリマー、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(グリシジルメタクリレート)、デキストランならびにアガロースを含む群から選択されるポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1に記載のパラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン。
【請求項3】
R1、R3およびR5が同一であることを特徴とする、請求項1に記載のパラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン。
【請求項4】
R1、R3およびR5が水素を表すことを特徴とする、請求項1に記載のパラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーン。
【請求項5】
式(IA)または(IB)のパラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーンを含む支持された液体膜であって、
【化2】


(式中、
R1、R3およびR5は、同一であるかまたは異なって、それぞれ独立に、
(i)水素またはハロゲン原子、
(ii)アセチル、アミノ、ホスフェート、ニトロ、サルフェート、カルボキシル、カルボン酸、チオカルボキシル、カルバメートまたはチオカルバメート基、
(iii)必要に応じて少なくとも1つのエチレン性またはアセチレン性不飽和を示す1〜60個、好ましくは1〜30個の炭素原子を有する必要に応じて置換されていてもよい直鎖または分岐アルキル、
(iv)必要に応じて少なくとも1つのエチレン性またはアセチレン性不飽和を示す3〜12個の炭素原子を有する必要に応じて置換されていてもよいシクロアルキル、
(v)必要に応じて置換されていてもよいアリール、必要に応じて置換されていてもよいナフチル、必要に応じて置換されていてもよいアリール(C1〜C30アルキル)または必要に応じて置換されていてもよい(C1〜C30アルキル)アリール(前記基(ii)〜(v)は、ハロゲン原子、有機金属化合物、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、リン酸、ホスホン酸またはヒドロキサム酸またはそれらのエステル、カルバメート、チオカルバメート、エーテル、チオール、エポキシド、チオエポキシド、イソシアネートまたはイソチオシアネート官能基で置換されているか、これらの基の炭素は、窒素、イオウ、リン、酸素、ホウ素またはヒ素のヘテロ原子で置換されていてよい)、
(vi)ポリスチレン、クロロ−および/またはブロモメチルスチレンとジビニルベンゼンとのコポリマー、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(グリシジルメタクリレート)、デキストランならびにアガロースを含む群から選択されるポリマー
を表す)
前記式(IA)または(IB)の生成物が有機溶媒中に溶解され、支持体に吸収されている液体膜。
【請求項6】
請求項2から4のいずれか一項に記載のパラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーンを含む支持された液体膜。
【請求項7】
前記有機溶媒が60℃を超える沸点を示し、特にトルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルト−ジクロロベンゼン、ニトロ−ベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ケロシン、テトラヒドロピラン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、ペンタノールおよびより高級な類似アルコール、グリコールおよびそれらのエーテル、例えばジエチレングリコールジブチルエーテル、安息香酸メチルなどのエステル、オルト−ニトロフェニルペンチルエーテルまたはニトロフェニルオクチルエーテルなどのエーテルならびにそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする請求項5または6に記載の支持された液体膜。
【請求項8】
前記支持体が、シリカゲル、アルミナ、ジルコニアおよび酸化チタンなどの酸化物を含む群から選択される無機由来の支持体、またはポリスチレン/ジビニルベンゼン、ポリエーテル、ポリアクリルアミドおよびポリ(グリシジルメタクリレート)を含む群から選択される有機由来の支持体、またはシリカ/デキストランおよびヒドロキシアパタイト/アガロース複合体を含む群から選択される有機−無機由来の支持体、ならびにそれらの混合物であることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の支持された液体膜。
【請求項9】
前記支持体が微粒子支持体であり、その粒子径が10nm〜10mm、好ましくは10〜50ミクロンの範囲であり、その孔径が10〜5000Å、好ましくは100〜500Åの範囲であることを特徴とする、請求項5から8のいずれか一項に記載の支持された液体膜。
【請求項10】
式(IIA)または(IIB)のパラ−tert−ブチルカリックス[6]アレーンである支持材料
【化3】


[式中、
R’1、R’3およびR’5は、同一であるかまたは異なって、それぞれ独立に、
(i)水素またはハロゲン原子、
(ii)アセチル、アミノ、ホスフェート、ニトロ、サルフェート、カルボキシル、カルボン酸、チオカルボキシル、カルバメートまたはチオカルバメート基、
(iii)必要に応じて少なくとも1つのエチレン性またはアセチレン性不飽和を示す1〜60個、好ましくは1〜30個の炭素原子を有する必要に応じて置換されていてもよい直鎖または分岐アルキル、
(iv)必要に応じて少なくとも1つのエチレン性またはアセチレン性不飽和を示す3〜12個の炭素原子を有する必要に応じて置換されていてもよいシクロアルキル、
(v)必要に応じて置換されていてもよいアリール、必要に応じて置換されていてもよいナフチル、必要に応じて置換されていてもよいアリール(C1〜C30アルキル)または必要に応じて置換されていてもよい(C1〜C30アルキル)アリール(上記基(ii)〜(v)は、ハロゲン原子、有機金属化合物、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、リン酸、ホスホン酸またはヒドロキサム酸またはそれらのエステル、カルバメート、チオカルバメート、エーテル、チオール、エポキシド、チオエポキシド、イソシアネートまたはイソチオシアネート官能基で置換されているか、これらの基の炭素は、窒素、イオウ、リン、酸素、ホウ素またはヒ素のヘテロ原子で置換されていてよい)、
(vi)ポリスチレン、クロロ−および/またはブロモメチルスチレンとジビニルベンゼンとのコポリマー、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(グリシジルメタクリレート)、デキストランならびにアガロースを含む群から選択されるポリマー、
(vii)−SPACER−SUPPORT(SPACERはC1〜C60、好ましくはC1〜C30、アルキレン、(C1〜C60アルキル)アリーレン、アリール(C1〜C60アルキレン)およびアリール(C1〜C60アルキル)アリールを含む群から選択される二価の基であり、前記二価の基はハロゲン原子、有機金属化合物、アルコール、アミン、酸、エステル、カルバメート、チオカルバメート、エーテル、チオール、エポキシド、チオエポキシド、イソシアネートまたはイソチオシアネート官能基で置換されているか、前記二価の基の炭素は窒素、イオウ、リン、酸素、ホウ素またはヒ素のヘテロ原子で置換されていてよく、
SUPPORTは無機または有機または有機−無機由来の支持体、好ましくは微粒子支持体から選択され、その粒子径は10nm〜10mm、好ましくは10〜50ミクロンの範囲であり、その孔径は10〜5000Å、好ましくは100〜500Åの範囲である)
であり、但し、R’1、R’3またはR’5の少なくとも1つは(vi)または(vii)基である]。
【請求項11】
前記SUPPORTが、シリカゲル、アルミナ、ジルコニアおよび酸化チタンなどの酸化物を含む群から選択される無機由来の支持体、またポリスチレン/ジビニルベンゼン、ポリエーテル、ポリアクリルアミドおよびポリ(グリシジルメタクリレート)を含む群から選択される有機由来の支持体、またはシリカ/デキストランまたはヒドロキシアパタイト/アガロース複合体を含む群から選択される有機−無機由来の支持体であることを特徴とする、請求項10に記載の支持材料。
【請求項12】
元素ウラン、アメリシウムおよびプルトニウムまたは他の放射性元素を、選択的に錯体化しそれらのカチオンの形態で分析するための請求項5から9のいずれか一項に記載の支持された液体膜および/または請求項10または11に記載の支持材料の使用。
【請求項13】
有機分子、無機分子または有機−無機分子を含む群から選択される少なくとも2つの成分の混合物からこれらの成分の1つの少なくとも一部を除去するか、クロマトグラフ法によって前記成分を分離するための請求項5から9のいずれか一項に記載の支持された液体膜および/または請求項10または11に記載の支持材料の使用。

【公表番号】特表2008−545645(P2008−545645A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511751(P2008−511751)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001105
【国際公開番号】WO2006/123051
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(507382751)
【氏名又は名称原語表記】CHELATOR
【出願人】(507382762)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT DE RADIOPROTECTION ET DE SURETE NUCLEAIRE (I.R.S.N.)
【Fターム(参考)】