説明

2剤式毛髪化粧料及びフォーマー容器からなる毛髪化粧品

【課題】本発明の解決すべき課題は、十分な泡立ちで、垂れ落ちを防止し、染毛効果が高く毛髪へのダメージを抑制することである。
【解決手段】本発明はアルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素及びアミンオキシド型界面活性剤を含有する第2剤とからなり、第1剤と第2剤とを使用直前に混合して用いる2剤式毛髪化粧料、及び第1剤と第2剤との混合液を泡状に吐出するフォーマー容器からなる毛髪化粧品であって、第1剤及び第2剤の少なくとも一方がアミンオキシド型界面活性剤以外の両性界面活性剤を含有し、かつ第1剤及び第2剤の少なくとも一方が多価アルコールを含有する、毛髪化粧品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2剤式毛髪脱色剤又は2剤式染毛剤の混合液を泡状に吐出する毛髪化粧品、及び該毛髪化粧品を使用する毛髪処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪脱色剤及び染毛剤としては液状又はクリーム状のものが普及しているが、これらを毛髪にムラなく塗布するのは難しい。特に、毛髪内側の根元部分や後頭部の塗布にはブロッキング、合わせ鏡等のスキルが必要とされ、多くの時間も要する。これに対し、特許文献1記載のように剤を、フォーマー容器を用いて、泡状に吐出することで、染毛操作を簡便化することが提案されている。
【0003】
しかしながら、泡状にすることで塗布した後、放置時間中に泡が消え、液となり垂れ落ちが生じ、泡状であることにより毛髪と染毛剤の接触面積が小さくなり染まりが低下するといった問題がある。
【0004】
さらに、染まりの低下を補うため、アルカリや染料の濃度を高くするために、毛髪へのダメージが大きくなることも問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−339216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらに対し、本発明は十分な泡立ちで、垂れ落ちを防止し、染毛効果が高く毛髪へのダメージを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤からなる2剤式毛髪化粧料において、第1剤及び第2剤の少なくとも一方に多価アルコールを使用し、さらに第2剤にアミンオキシド型界面活性剤を、第1剤及び第2剤の少なくとも一方にアミンオキシド型界面活性剤以外の両性界面活性剤を使用することにより泡立ちに優れ、染毛効果の高い毛髪化粧料を得ることができることを見出した。
【0008】
従って、本発明は、以下の項を提供する:
項1.アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素及びアミンオキシド型界面活性剤を含有する第2剤とからなり、第1剤と第2剤とを使用直前に混合して用いる2剤式毛髪化粧料、及び
第1剤と第2剤との混合液を泡状に吐出するフォーマー容器
からなる毛髪化粧品であって、
第1剤及び第2剤の少なくとも一方がアミンオキシド型界面活性剤以外の両性界面活性剤を含有し、かつ
第1剤及び第2剤の少なくとも一方が多価アルコールを含有する、
毛髪化粧品。
【0009】
項2.アミンオキシド型界面活性剤以外の両性界面活性剤が、ベタイン型界面活性剤である、項1に記載の毛髪化粧品。
【0010】
項3.請求項1又は2に記載の毛髪化粧品を用いて毛髪を処理する方法であって、
前記第1剤と第2剤とを混合する工程、及び
当該第1剤と第2剤との混合物をフォーマー容器から泡状に吐出させ、毛髪に塗布する工程、
を含む、方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低温での安定性が高く、泡立ちに優れ、染毛効果が高く、かつ毛髪へのダメージが抑えられる、毛髪化粧品を得ることができる。特に、アミンオキシド型界面活性剤と、アミンオキシド型界面活性剤以外の両性界面活性剤とを組み合わせることによって、高い染色性を得ることができる。また、本発明の毛髪化粧品を染毛用化粧品として用いる場合、染料の溶解性も高いという効果も得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0013】
I.毛髪化粧品
本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素及びアミンオキシド型界面活性剤を含有する第2剤とからなり、第1剤と第2剤とを使用直前に混合して用いる2剤式毛髪化粧料、及び
第1剤と第2剤との混合液を泡状に吐出するフォーマー容器
からなる毛髪化粧品であって、
第1剤及び第2剤の少なくとも一方がアミンオキシド型界面活性剤以外の両性界面活性剤を含有し、かつ
第1剤及び第2剤の少なくとも一方が多価アルコールを含有する、
毛髪化粧品を提供する。
【0014】
本発明の毛髪化粧品に含まれる毛髪化粧料は、脱色剤であっても、染色剤であってもよい。
【0015】
I−1. アルカリ剤
本発明において、毛髪の膨潤および染料の髪への浸透のために、アルカリ剤を使用する。アルカリ剤としてはアンモニア水や、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)、テトラキス(2−ヒドロキシイソプロピル)エチレンジアミン(TE)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を適宜使用するが、アンモニア水、モノエタノールアミンが好ましく、臭いの点ではモノエタノールアミンが好ましい。
【0016】
I−2.過酸化水素
本発明において、毛髪化粧料の第2剤は、過酸化水素を含有する。過酸化水素は、通常、10〜35重量%水溶液として使用される。過酸化水素の配合量は、第2剤中全重量に対して、0.01〜40重量%程度、好ましくは、0.1〜30重量%程度配合するのがよい。
【0017】
I−3.界面活性剤
アミンオキシド型界面活性剤
本発明の毛髪化粧品に含まれる2剤式毛髪化粧料の第2剤中には、泡立ちの目的と染色性の向上のためにアミンオキシド型界面活性剤を配合する。アミンオキシド型界面活性剤としては、オレイルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ベヘニルジメチルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられ、なかでも、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシドが好ましく用いられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
アミンオキシド型界面活性剤は、第2剤のみに配合してもよく、第1剤と第2剤の両方に配合してもよい。
【0019】
アミンオキシド型界面活性剤の配合量は特に限定されないが、例えば、第1剤及び第2剤の合計重量に対して、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜5重量%配合することができる。
【0020】
アミンオキシド型界面活性剤以外の両性界面活性剤
本発明においては、さらに、第1剤及び第2剤の少なくとも一方に、泡立ち、湿潤及び柔軟作用を与える目的で、アミンオキシド型界面活性剤以外の両性界面活性剤を配合する。かかる両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、溶解性、起泡性の観点から、ベタイン型両性界面活性剤が好ましい。
【0021】
ベタイン系両性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。アミノ酸型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエトキシエチル−N’−カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシメトキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウムなどのグリシン型両性界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウムなどのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;などが挙げられる。イミダゾリン型両性界面活性剤としては、例えば、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム等が挙げられる。
【0022】
これらの両性界面活性剤は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
アミンオキシド型界面活性剤以外の両性界面活性剤の配合量は特に限定されないが、例えば、第1剤及び第2剤の合計重量に対して、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%配合することができる。
【0023】
非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤
本発明の毛髪化粧品に含まれる2剤式毛髪化粧料には、上記の両性界面活性剤に加えて、それ以外の界面活性剤、すなわち、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び陰イオン性界面活性剤を配合してもよい。
【0024】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンセトステアリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジノニルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0025】
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルアンモニウム、塩化オクチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12〜15)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(14〜18)ジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム、塩化ステアリルジヒドロキシエチルベタインナトリウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(25)ジエチルメチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルピリジニウム、臭化アルキルイソキノリニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン及びセチルトリメチルアンモニウムサッカリン等が挙げられる。
【0026】
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、N−アシル−L−グルタミン酸ジエタノールアミン、N−アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、イセチオン酸ナトリウム、ウンデシレノイルアミドエチルスルホコハク酸二ナトリウム、オクチルフェノキシジエトキシエチルスルホン酸ナトリウム、オレオイルザルコシン、オレオイルメチルタウリンナトリウム、カルボキシ化ポリオキシエチレントリデシルエーテル、L−グルタミン酸トリエタノールアミン硬化牛脂脂肪酸アミド、L−グルタミン酸ナトリウム硬化牛脂脂肪酸アミド、L−グルタミン酸ナトリウムヤシ油脂肪酸アミド、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム、ジウンデシレノイルアミドエチルスルホコハク酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ステアロイル−L−グルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイルエタノールアミドエステル二ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、セチル硫酸ジエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、デキストラン硫酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、トリデシル硫酸トリエタノールアミン、N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、ポリオキシエチレンウンデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンペンタデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ジエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ミリストイルメチルアミノ酢酸ナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸・牛脂脂肪酸−L−グルタミン酸ナトリウムアミド、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシン、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンカリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸エタノールアミンラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン、ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルβ−アラニンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
【0027】
上記の界面活性剤は、1種単独で又は2種以上混合して配合することができる。該界面活性剤の配合量としては、添加目的を達成するに足る量であれば限定されることなく任意の量を使用できる。例えば、界面活性剤を、両性、陰性、陽性及び非イオン界面活性剤の合計量で、第2剤全重量に対して、通常、60重量%程度まで、好ましくは、0.1〜50重量%、より好ましくは、1〜20重量%の量で配合することができる。第1剤に界面活性剤を配合する場合についても、例えば、界面活性剤を、両性、陰性、陽性及び非イオン界面活性剤の合計量で、第1剤全重量に対して、通常、60重量%程度まで、好ましくは、0.1〜50重量%、より好ましくは、1〜20重量%の量で配合することができる。
【0028】
または、第1剤及び第2剤の合計量に対する界面活性剤の配合量としては、例えば、界面活性剤を、両性、陰性、陽性及び非イオン界面活性剤の合計量で、第1剤及び第2剤の合計重量に対して、通常、0.1〜60重量%程度、好ましくは0.1〜20重量%程度まで、より好ましくは、10〜15重量%の範囲で設定できる。
【0029】
I−4.多価アルコール
多価アルコール
本発明においては、化粧料の低温安定性、染毛剤として用いる場合の染料の溶解性等を向上させるために、溶剤として、第1剤及び第2剤の少なくとも一方に多価アルコールを使用する。
【0030】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらの多価アルコールのうち、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールが好ましい。これらの多価アルコールは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0031】
多価アルコールの濃度は、第1剤及び第2剤の合計重量を基準として、1〜50重量%が好ましい。多価アルコールを上記範囲の濃度で配合することにより、染料を用いた場合、染料が化粧料に比較的容易に溶解し、かつ低温でも析出しにくいため、好ましい。
【0032】
I−5.その他の成分
染毛料
また、本発明の毛髪化粧品は、脱色剤として用いることもできるが、2剤式毛髪化粧料の第1剤に染料を配合することによって、染毛剤として用いることができる。
【0033】
第1剤に含まれる染料としては、2剤式染毛剤の分野において用いられている公知の酸化染料及び直接染料を広く使用することができる。酸化染料としては、特に限定することなく、公知のものを広く使用できる。より具体的には、5−アミノオルトクレゾール、硫酸5−アミノオルトクレゾール、塩酸2,4−ジアミノフェノール、塩酸トルエン−2,5−ジアミン、塩酸パラフェニレンジアミン、塩酸N−フェニルパラフェニレンジアミン、塩酸メタフェニレンジアミン、オルトアミノフェノール、酢酸N−フェニルパラフェニレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、硫酸2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ジフェニルアミン、トルエン−2,5−ジアミン、トルエン−3,4−ジアミン、α−ナフトール、パラアミノフェノール、パラフェニレンジアミン、パラメチルアミノフェノール、ヒドロキノン、ピロガロール、N−フェニルパラフェニレンジアミン、フロログルシン、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、没食子酸、硫酸オルトアミノフェノール、硫酸オルトクロルパラフェニレンジアミン、 硫酸4,4’−ジアミノジフェニルアミン、硫酸トルエン−2,5−ジアミン、硫酸パラアミノフェノール、硫酸パラフェニレンジアミン、硫酸パラメチルアミノフェノール、硫酸 1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール、硫酸2−(2−ヒドロキシエチル)−1,4−フェニレンジアンモニウム、2−メチルレゾルシノール、硫酸メタアミノフェノール及び硫酸メタフェニレンジアミン、レゾルシン等を例示することができる。上記染料を、単独で或いは2種以上を混合して用いてもよい。
【0034】
また、本発明の一つの実施形態においては、第1剤にさらに直接染料を含有してもよい。直接染料としては、特に限定することなく、公知のものを広く使用できる。より具体的には、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、塩酸ニトロパラフェニレンジアミン、ニトロパラフェニレンジアミン、パラニトロオルトフェニレンジアミン、硫酸2−アミノ−5−ニトロフェノール、硫酸ニトロパラフェニレンジアミン、硫酸パラニトロオルトフェニレンジアミン、硫酸パラニトロメタフェニレンジアミン、1−アミノ−4−メチルアミノアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、ピクラミン酸、ピクラミン酸ナトリウム、2−((2−ニトロフェニル)アミノ)エタノール等を例示することができる。上記染料を、単独で或いは2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】
なお、酸化染料の洗髪の堅牢度が直接染料に比べて高いため、染料としては、酸化染料のみの使用または酸化染料と直接染料との併用が好ましい。
【0036】
緩衝剤
また、第1剤には、緩衝剤として、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩や炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩を配合することができる。
【0037】
低分子アルコール
第1剤には、染料の溶解性の向上等のために、エタノール、イソプロパノール等の低分子アルコールを配合してもよい。
【0038】
酸化防止剤・金属封鎖剤
第1剤には、安定性の向上のために、亜硫酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩等の酸化防止剤、エデト酸塩等の金属封鎖剤を使用することができる。
【0039】
第1剤には、このほか、公知の毛髪保護剤、着香料、高分子化合物、色素、紫外線吸収剤、安定剤、浸透剤、湿潤剤、養毛剤なども本発明の酸化染毛剤の性能を損なわない程度に適宜加えてもよい。
【0040】
酸化剤
第2剤には、過酸化水素に加えて、種々の酸化剤を配合してもよい。かかる酸化剤としては、アンモニウム塩を除いて、公知のものを広く使用できる。具体的には、酸化剤としては、例えば、過酸化水素や水と接触して酸素を遊離する物質が挙げられる。
【0041】
より具体的には、酸化剤としては、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過炭酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム(これらは、水溶液又は原料のままで配合される。)等が挙げられる。好ましくは過酸化水素である。これらの酸化剤を、1種又は2種以上混合して用いても良い。
【0042】
安定化剤
第2剤中には安定化剤を配合することもできる。該安定化剤としては、従来から染毛剤に使用されている公知のものを広く使用できる。より具体的には、リン酸、ピロリン酸、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、アセトアニリド及びスズ酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フェノキシエタノール等が挙げられる。これらの安定化剤を、1種或いは2種以上配合することができる。
【0043】
安定化剤の配合量としては、酸化剤が安定化される量であれば特に限定されることなく広い範囲から選択できる。一般には、第2剤全重量に対して、0.00005〜5重量%、好ましくは、0.0001〜2重量%の量で配合するのがよい。
【0044】
油剤
第2剤中には、酸化染毛剤に湿潤、保湿及び柔軟作用を与える目的で油剤を配合することもできる。油剤としては、特に限定されることなく、従来から染毛剤に使用されている公知のものを広く使用できる。より具体的には、アボガド油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油等の油脂、流動パラフィン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、乳酸ミリスチル等のエステル類等が挙げられる。また、高重合メチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン、メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、メチルフェニルポリシロキサン及びアミノ変性シリコーン等を使用できる。
【0045】
上記の油剤は、1種単独で或いは2種以上混合して配合することができ、その配合量としては、添加目的を達成するに足る量であれば限定されることなく広い範囲から選択できる。一般には、第2剤全重量に対して、0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%の量で配合することができる。
【0046】
カチオン化ポリマー
毛髪保護及び柔軟作用を与える目的、泡質の向上と垂れ落ちを防ぐ目的でカチオン化ポリマーを配合することもできる。
ここで、カチオン化ポリマーとは、カチオン基またはカチオン基にイオン化され得る基を有するポリマーをいい、全体としてカチオン性となるポリマーも含まれる。すなわち、カチオン性ポリマーとしては、ポリマー鎖の側鎖にアミノ基又はアンモニウム基を含むか、又はジアリル4 級アンモニウム塩を構成単位として含む水溶液のもの、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4 級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4 級化ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらのうち、カチオン化セルロース誘導体、及びジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体が好ましい。
【0047】
カチオン化セルロース誘導体としては、例えば、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0048】
ジアリル4級アンモニウム塩重合物としては、例えば、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0049】
カチオン化ポリマーは第1剤、第2剤のいずれに配合してもよく、配合量は、特に限定されないが、例えば、一般には、第1剤と第2剤の合計重量に対して、0.01〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%の量で配合することができる。
【0050】
高級アルコール
第2剤には、さらに高級アルコールを加えてもよい。これにより、染毛において、安定性、操作性(例えば毛髪への塗布のしやすさ、垂れ落ちない、混合操作の容易さ等)、染色性、堅牢性の点で優れた効果が得られる。
【0051】
その配合量は本発明の効果を奏する範囲内で適宜設定し得るが、例えば酸化染毛剤の第2剤の全重量に対して、高級アルコールの純分に換算して合計で0.1〜5重量%とすることができる。0.1重量%より少ないと十分な安定性、操作性、染色性、堅牢性が得られず、また5重量%を超えると泡立ちが低下する。
【0052】
ここで、本発明に用いられる高級アルコールとしては、炭素数8〜24のアルコールが挙げられ、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等が挙げられる。これらの中でも特にセタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコールが好ましい。
【0053】
このほか、本発明では、第2剤には、必要に応じて、公知の毛髪保護剤、着香料、色素、紫外線吸収剤、安定剤、浸透剤、湿潤剤、養毛剤なども、第2剤の性能を損なわない範囲に適宜加えてもよい。
【0054】
I−6.第1剤及び第2剤の調製方法
前述の成分を水に溶解、加熱、混合することにより、第1剤及び第2剤を製造することができる。水としては通常精製水が配合される。水の配合量としては、各成分を所定量配合した場合の残部であり、その配合量は、好ましくは第1剤又は第2剤の全重量に対して、それぞれ10〜95重量%程度であるが、さらに第1剤及び第2剤に配合される各種成分の種類、配合量等により当然に適宜調整される。
【0055】
本発明における第1剤及び第2剤は、公知の方法、例えば、第1剤、第2剤共に、それぞれ全成分を配合し混合するか、必要に応じて、一部の成分を配合し加温後攪拌混合し、その後冷却して残りの成分を加え混合することによって製造することができる。
【0056】
I−7.フォーマー容器
フォーマー容器としては、毛髪化粧品分野において広く知られているものを適宜使用することができ、例えば、ノンエアゾール型フォーマー容器、ポンプ型フォーマー容器、エアスプレー型フォーマー容器、スクイズ型フォーマー容器等が挙げられる。
【0057】
II.毛髪処理方法
本発明の毛髪化粧品は、公知の方法、例えば、使用直前にフォーマー容器内で第1剤と第2剤を混合する工程、及びフォーマー容器から泡状に吐出させ、毛髪に塗布する工程を含む方法等により、脱色又は染毛処理に用いることができる。
【0058】
毛髪に対する塗布量は、所望に応じて適宜設定し得るが、長さ30cm程度の全頭で、通常、第1剤を20〜60g程度、第2剤が40〜100g程度、好ましくは、第1剤を25〜40g程度、第2剤が50〜80g程度である。
【0059】
脱色又は染毛時間は、塗布量、アルカリ剤や染料の種類、量、希望の脱色又は染毛の程度によって、適宜選択されるが、5分以上、好ましくは5〜50分、より好ましくは10〜45分、通常40分程度までが例示される。
【0060】
上記脱色又は染毛時間の経過後、適宜、化粧料を洗い流し、毛髪を乾燥させる。
【実施例】
【0061】
以下の本発明の酸化染毛剤及びその効果について実施例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例において、配合量は重量%で示す。
【0062】
試験例
酸化染毛剤について、下記表に記載の各成分及び配合割合の第1剤、第2剤を、常法に従って調製した。
【0063】
得られた第1剤と第2剤とを指定の混合比に従い、以下使用直前に室温で混合し、むらがなくなるまで十分に混ぜた。
【0064】
各実施例及び比較例の評価結果を、後述の表1に示す。
【0065】
なお、本発明の酸化染毛剤の効果については、下記に示した評価方法によって各項目の評価を行なった。
【0066】
1.染色性
100%白髪毛束(人毛)2gを水道水に1時間浸し、23時間かけて乾燥させた。この工程を5回繰り返した毛束をテスト用毛束Aとした。
第1剤及び第2剤を指定の混合比に従い前述のように混合し、混合物を得た。この混合物5gを、ポンプ型フォーマー容器を用いて、テスト用毛束A2gに塗布した。次いで30℃で30分放置し、水洗、シャンプー後、熱風で乾燥した後のこれら毛束の染色性を目視により以下の基準で評価した:
◎:ムラが無く、均一に染まっている
△:ややムラがあり、均一性に欠ける
×:ムラがあり、均一に染まっていない。
【0067】
2.手触り感
黒毛束(人毛)4gを28%アンモニア水3%、35%過酸化水素水6%、エデト酸二ナトリウム0.2%を溶かした精製水に30分間浸した後、水洗し、24時間かけて乾燥させたものを用意する。次にこれを水道水に1時間浸し、23時間かけて乾燥させた。この工程を5回繰り返した毛束をテスト用毛束Bとした。
第1剤及び第2剤を指定の混合比に従い前述のように混合し、混合物10gを得た。この混合物10gを、ポンプ型フォーマー容器を用いて、テスト用毛束B4gに塗布した。30℃で30分放置し、水洗、シャンプー後、熱風で乾燥した後のこのテスト用毛束Bの手触り感を、くし通りにより以下の基準で評価した:
◎:くし通りがとても軽く、なめらかで良い
○:くし通りが引っかからずなめらかである
△:くし通りが悪く、少し引っかかる
×:くし通りがとても悪く、かなり引っかかる。
【0068】
3.染料溶解性
常法に従って第1剤を調製したとき、染料の溶解性を以下の基準で評価した:
◎:常温で容易に溶解する
△:加熱により溶解する
×:完全には溶解しない。
【0069】
4.低温安定性
常法に従って調整した第1剤をガラス瓶に入れ、5℃にて1ヶ月保管した後の状態を以下の基準で評価した:
◎:析出しない
△:わずかに析出する
×:多量に析出する
【0070】
5.泡質
第1剤及び第2剤を指定の混合比に従い混合し、人頭に塗布したときの泡安定性を以下の基準で評価した:
◎:塗布しやすくたれ落ちない
△:泡が荒く、たれ落ちの可能性がある
×:泡立ちが悪くたれおちる。
【0071】
6.総合評価
毛髪化粧品の分野においては、染色性、手触り感、染料溶解性、低温安定性及び泡質の全てにおいて高い性能を有していることが求められる。従って、下記のように総合評価をした:
◎:染色性、手触り感、染料溶解性、低温安定性及び泡質の5項目全てが◎である
○:上記5項目の全てが◎又は○であり、かつ上記5項目のうち少なくとも1つが○である
△:上記5項目の全てが◎、○又は△であり、かつ上記5項目のうち少なくとも1つが△である
×:上記5項目の全てが◎、○、△又は×であり、かつ上記5項目のうち少なくとも1つが×である。
【0072】
【表1】

【0073】
実施例1〜3及び比較例1〜2より、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤からなり、第1剤と第2剤とを使用直前に混合して用いる2剤式毛髪化粧料と、第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出するフォーマー容器とからなる毛髪化粧品であって、第1剤と第2剤の少なくとも一方に両性界面活性剤を含有し、第2剤にアミンオキシド型界面活性剤を含有することにより、十分な泡立ちで、垂れ落ちを防止し、染毛効果が高く毛髪へのダメージを抑制することができる。
【0074】
比較例1及び2のようにアミンオキシド型界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤以外の両性界面活性剤の一方しか含有しない場合、泡立ちが不十分で垂れ落ちが生じやすく染色の均一性が著しく低下する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素及びアミンオキシド型界面活性剤を含有する第2剤とからなり、第1剤と第2剤とを使用直前に混合して用いる2剤式毛髪化粧料、及び
第1剤と第2剤との混合液を泡状に吐出するフォーマー容器
からなる毛髪化粧品であって、
第1剤及び第2剤の少なくとも一方がアミンオキシド型界面活性剤以外の両性界面活性剤を含有し、かつ
第1剤及び第2剤の少なくとも一方が多価アルコールを含有する、
毛髪化粧品。

【公開番号】特開2011−153097(P2011−153097A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15653(P2010−15653)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(391047558)ヘンケルジャパン株式会社 (43)
【Fターム(参考)】