説明

2型又は3型ヒトβ−デフェンシンを刺激する活性成分とその活性成分を含有する化粧用組成物及び医薬組成物

【課題】本発明は2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの直接又は間接発現を刺激し得る活性成分に関する。
【解決手段】いかなる炎症反応、刺激反応又は過敏反応を引き起こさないことを特徴とする2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの直接又は間接発現を刺激し得る活性成分を提供する。また、本発明は上記活性成分を選択するためのスクリーニング方法も提供する。本発明は上記活性成分を含む化粧用組成物及び医薬組成物の調製に適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの直接又は間接発現を刺激し得る活性成分に関する。
本発明は主に上記活性成分を含む化粧組成物又は医薬組成物にも関する。
本発明は主に上記組成物を用いる治療方法に関する。
本発明は主に上記活性成分を選択する際のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術
抗菌性ペプチドは、細胞膜を透過することによって細菌、真菌又はウィルスのような微生物を殺すことができる小さな分子(10〜50アミノ酸残基)である。1981年に節足類において発見されて以降、このような性質を持つものが高等動物(植物、昆虫、哺乳類及び人類)で約500分子同定されている。抗菌性ペプチドは、疎水領域とは性質の異なる陽イオン性(正に荷電している)領域にアミノ酸を分配する両親媒性構造を有するという、共通の性質を持つ。細胞膜は負に荷電した陰イオン性リン脂質を多数有しており、これらは抗菌性ペプチドの陽イオン部位に結合するため、抗菌性ペプチドが細菌の細胞質膜に対して作用するという活性及び特異性を持つのはこの両親媒性構造による(Zalsoff M. 多細胞生物の抗菌性ペプチド(Antimicrobial peptides of multicellular organisms.) Nature 2002;415:389−395)。この構造によって、抗菌性ペプチドの活性領域は大変狭くもなるし、大変広くもなる。
【0003】
抗菌性ペプチドは、動物界においては、毒液(サソリ類、ハチ類、クモ類)、キイロショウジョウバエ又は青色ハエ、ウシ好中球、白血球、ブタ小腸、乳、カエル、チレニアイガイ等の中で主に発見されている。植物界においては、チオニンやデフェンシンが種子や栄養組織を細菌から保護している。
【0004】
抗菌性ペプチドのほとんどは、動物の上皮組織において発見され、最初の免疫障壁として重要な役割を果たしている。抗菌性ペプチドは、ヒトの胃腸系や呼吸器系及びヒトの皮膚や粘膜、並びに、カエルやマウスの皮膚において発見されている。
【0005】
デフェンシン類は、抗菌性ペプチドの中で最も研究の進んだ類の一つである。デフェンシン類は、ジスルフィド架橋を3つ有するシステインを多く含む分子からなる。このような分子は、植物、昆虫及び多様な哺乳類において発見されている。人類においては、6つのシステイン残基間の間隔や結合が互いに異なる2つの類のデフェンシンが発見されている。
−α−デフェンシン(6種類):好中球(HNP1〜4、ヒト好中球ペプチド)から単離されたもの、及び、胃腸系のパネス細胞(Paneth cells)に存在するもの(α−デフェンシン5及び6)。
−β−デフェンシン:α−デフェンシンより長くて塩基性が強く、粘膜や上皮細胞(皮膚、気管、舌、扁桃、唾液等)に発現し、3種類の形態で存在している。
・hBD1(ヒトβ−デフェンシン1):構成性で、主として肝臓において発現しているが、膵臓、唾液、肺、胎盤及び皮膚にも発現している。
・hBD2及びhBD3(ヒトβ−デフェンシン2及び3):2種とも誘導性。
−hBD2は、皮膚、気管、肺に発現しており、その発現は細菌、TNFα(腫瘍壊死因子)(Harder J.ら、ヒト皮膚由来の抗菌性ペプチド(A peptide antibiotic from human skin.) Nature 1997;387:861)、LPS(リポ多糖類)(Matthews E.ら、口粘膜及び唾液腺におけるβ−デフェンシン抗菌性ペプチドの産生(Production of beta−defensin antimicrobial peptides by the oral mucosa and salivary glands.) Infect Immun 1999;67:2740−2745)、IL1α及びIL1β(インターロイキン1)(Liu AYら、ケラチノサイトにおけるヒトβ−デフェンシン−2の産生はインターロイキン−1、細菌及び分化状態によって制御される(Human β−defensin−2 production in keratinocytes is regulated by interleukin−1, bacteria and the state of differentiation.) J Invest Dermatol 2002;118:275−281)に刺激されて誘導される。これらは全て炎症プロセスに関係するという共通の性質を持っている。hBD2の抗菌活性は、大腸菌のようなグラム陰性菌に特に有効である。
−hBD3は、皮膚、気管、扁桃及び舌(Harder J.ら、新規ヒト誘導性抗菌性ペプチドであるヒトβ−デフェンシン−3の単離と特徴付け(Isolation and characterization of human β−defensin−3, a novel human inducible peptide antibiotic.) J Biol Chem 2001;276:5707−5713)並びに筋組織や心臓で見出される(Conejo Garciaら、特異的抗菌活性を持つ新規多機能性β−デフェンシン(ヒトβ−デフェンシン−3)の同定(Identification of a novel, multifunctional β−defensin(human β−defensin−3) with specific antimicrobial activity.) Cell tissue research 2001;306:257−264)。hBD3は、細菌TNFα及び特に炎症プロセスに関与する分子に共通の性質も持っているIFNγ(ガンマインターフェロン)に刺激されて誘導される。hBD3の活性のスペクトルは、グラム陰性菌及び黄色ブドウ球菌のようなグラム陽性菌を溶解することができるので、hBD2のスペクトルよりも広い。
【0006】
皮膚における上記デフェンシンの誘導は、病原性微生物の増加に直面した際に自分自身を守るという体の防衛機構の第一段階である。更に、hBD2は、未分化樹状突起細胞及び記憶細胞であるT−リンパ球に対して走化性を持っており(Yang D.ら、β−デフェンシン:樹状突起T細胞CCR6を介して、自然免疫と適応免疫をつないでいるもの(Betadefensins:linking innate and adaptative immunology through dendritic and T cell CCR6.) Science 1999;286:525−528)、従って免疫応答、炎症及び治癒を促進するのに重要な役割を果たしているようである。
【0007】
そのため、ヒト皮膚におけるβ−デフェンシン量の増加は、病原性である可能性のある特定種(黄色ブドウ球菌)が皮膚の微生物の生態系に過度に進入するのを防ぐことによって、皮膚を保護して健全に保つのに寄与している。ヒト皮膚においてβ−デフェンシン量を増加させるためには:
−当業者によって記載された公知の抗菌性ペプチドに類似した配列又は構造を持つ合成ペプチドを局所的に投与する
−又は、天然分泌細胞において抗菌性ペプチドの合成を刺激することができる活性物質を局所的又は経口的に投与することにより、デフェンシンの誘導を刺激する
という2つの方法が想定できる。
【0008】
前に挙げたサイトカイン(TNFα、IFNγ、IL1)は例外であるが、動物においてL−イソロイシンがウシ腎臓上皮細胞系におけるhBD3の発現を誘導するのを除いて、β−デフェンシンを誘導することのできる抗菌性ペプチドとして記述されたものはほとんどない(Fehlbaum P.ら、必須アミノ酸は上皮β−デフェンシンの発現を誘導する(An essential amino acid induces epithelial β−defensin expression.) PNAS 2000;97:12723−12728;特許WO0168085号 Anderson M.ら、デフェンシンの産生を刺激する方法(Method for stimulation of defensin production.) 20−09−2001)。ヒトにおいて、ケラチノサイトの分化がhBD2の産生を刺激するということが分かっている(Liu AY ら、ケラチノサイトにおけるヒトβ−デフェンシン−2の産生はインターロイキン−1、細菌及び分化状態によって制御される(Human β−defensin−2 production in keratinocytes is regulated by interleukin−1, bacteria and the state of differentiation.) J Invest Dermatol 2002;118:275−281)。
【0009】
皮膚におけるhBD2及びhBD3デフェンシンの存在に関する研究は、皮膚切片、外植片、培養細胞又は再生皮膚を用いて行われた。デフェンシン量の増加は、いくつかの技術によって視覚化することができるが、これらの技術は、ヒト細胞においてhBD2及びhBD3を定量的に刺激できる活性成分のスクリーニングによる探索にはまだ適用されていない。実際、当業者が従来用いている技術を、この問題、すなわちヒトデフェンシンを刺激し得る活性成分の定量的且つ立証済みの方法での探索に適用することはできない(ELISA法で用いるタンパク質の定量分析のための抗体が市販されていない。in situハイブリダイゼーション型の分子生物学的手法、ノーザン転写及びRT−PCRは定量的というよりは定性的であり、また、大変複雑な三次元培養におけるヒト細胞のモデルはスクリーニングでは用いることができない)。このような分析は、本発明の範囲内において開発されるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の目的
本発明者の目的は、炎症反応を引き起こすことなく、且つ、例えば通常炎症反応で発現される分子の分泌を過剰に刺激することなく、2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの発現を誘導することのできる活性成分の同定である。
【0011】
今までのところ、ヒト中でデフェンシンを刺激する能力のあるものとして述べられている分子(TNFα、IL1、LPS、細菌、IFNγ等)は全て前炎症性を有している。上記分子はIL1α、IL8、又は、MIP3α等の炎症性サイトカインを刺激する。
【0012】
それ故、本発明の目的は、炎症反応、刺激反応又は過敏反応を引き起こすことなく2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの直接的又は間接的発現を刺激することのできる活性成分を提供するという新しい技術的問題を解決することである。
【0013】
本発明の目的は、前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子の直接合成若しくは間接合成を刺激することなく、又は、感知できるほどには刺激することなく2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの直接的又は間接的発現を刺激することのできる活性成分を提供するという新しい技術的問題を解決することである。
【0014】
故に、本発明の目的は、上述の少なくとも一つの活性成分を含む組成物を提供するという新しい技術的問題を解決することである。
【0015】
本発明の目的は、上述の活性成分のスクリーニングを可能にする組織モデル又は細胞モデルを提供するという新しい技術的問題を解決することである。
【0016】
本発明の目的は、上記の活性成分をスクリーニングする方法を提供するという新しい技術的問題を解決することである。
【0017】
本発明の目的は、化粧品又は医薬の分野での使用のための、上述の活性成分を含有する組成物を提供するという新しい技術的問題を解決することである。
【0018】
この使用は、殺菌性及び/又は抗真菌性活性を発揮するために、好ましくは組織、例えば、皮膚、粘膜、髪と爪又は頭皮に局所投与されることによって本質的に行なわれる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明者らは、本発明の活性成分によって刺激されるデフェンシンについて述べるために下記用語を使用するときには、「活性体(active)」という用語をスクリーニングできる可能性のある活性成分を呼ぶために用い、「デフェンシン類(defensins)」という用語を2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンを呼ぶために用いる。
【0020】
第一の態様によれば、本発明は炎症反応、刺激反応又は過敏反応を起こさずに、2型ヒトβ−デフェンシン及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの、直接的又は間接的発現を刺激することのできる活性成分に関する。
【0021】
本発明者らは、「炎症反応、刺激反応又は過敏反応を起こさずに」という用語を、これらの活性成分を使用することにより、上記活性成分の使用者に対して障害となるようないかなる有害な効果も及ぼさない、ということを意味する為に使用する。「障害となるような」という用語は、発疹、痒み、刺激、敏感性肌などの反応を意味する。
【0022】
好ましくは、2型ヒトβ−デフェンシン(hBD2)及び/又は3型ヒトβ−デフェンシン(hBD3)の直接又は間接発現を刺激することのできる上記活性成分は、前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子の合成を直接的若しくは間接的に刺激しない、又は、感知できるほどには刺激しない。
【0023】
本発明者らは、「前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子の合成を直接的若しくは間接的に刺激しない、又は、感知できるほどには刺激しない」という用語を、上記活性成分は前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子を刺激しない、又は、TNFアルファ(TNFα)又はガンマインターフェロン(IFNγ)によって誘導されるものよりも少ない程度にしか刺激しないことをいうために使用し、好ましくは、同一の温度、接触時間、及び、処理条件でTNFアルファ又はガンマインターフェロンにより誘導された最大刺激の75%より低い刺激である。
【0024】
前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子は特にMIP3アルファ、IL8若しくはIL1、又は、他のインターロイキン、又は、ヒスタミン、トリプターゼ、サブスタンスP、ロイコトリエン類、又は、プロスタグランジン類であることが有利である。
【0025】
有利には、ヒト上皮細胞の培養物、特に培養中のケラチノサイト及び/又はコルネオサイトにおいて、又は、生存状態が維持されているヒト皮膚生検試料において、又は、細胞マトリックス上若しくは表皮が除去された皮膚上で生成されるか生成されない再生表皮のモデル若しくは再生皮膚のモデルにおいて、上記活性成分は前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子の直接的な又は間接的な産出を感知できるほどには刺激しない。上記上皮細胞は「正常」であることが好ましい。
【0026】
本発明者らは、「正常」という用語を、未不死化された細胞系由来の上皮細胞ではなく、病的細胞、又は、遺伝子的に変成された細胞由来の細胞であっても良い上皮細胞を意味するものとして使用する。
【0027】
好ましくは、上記活性成分は、ヨモギの根、ヒメムカシヨモギ、ニワトコの樹皮、コゴメビユ、パイナップル果汁、ペパーミント、アレカ、カカオ、キノア、ウサギギク、ボルドー、サルサパリラ、クルミノキの葉、ハイビスカスの花、カボチャ、ヒマワリ、ボタン、セイヨウオトギリソウ、セイヨウトチノキ、又は、これらの抽出物、ジャスモン酸又はビタミンA、それらの誘導体及び前駆体、アルファ−MSH又はアルファ−MSHを構成するペプチドの一つ若しくはそのペプチドに化学構造が類似するもの、イソロイシンエステル、カルシウム又はカルシウムの有機塩若しくは無機塩から選択される。
【0028】
植物由来の上記活性成分は抽出、好ましくは水性抽出によって得るのが有利であるが、例えば、水/ブチレングリコール混合液(1/99から99/1、重量/重量)等の他の抽出方法によっても得られる。ジャスモン酸又はビタミンA、その誘導体及び前駆体、アルファ−MSH、又は、アルファ−MSHを構成するペプチドの一つ若しくはそのペプチドに化学構造が類似するもの、イソロイシンエステル及びカルシウム、又は、いずれかの有機若しくは無機のカルシウム塩は、水、又は、エタノール若しくは上述のモデルが可溶な他の溶媒中で希釈される等して用いられる。
【0029】
第二の態様によれば、本発明は少なくとも一つの上述の活性成分を含んでいる組成物に関する。
【0030】
上記組成物は、上記活性成分を0.001%〜20%、好ましくは0.01〜10%の濃度範囲で含んでいるのが有利である。この濃度は、特にこの百分率が重量%であることを明記していなくても重量%で表している。
【0031】
活性成分が2型及び/又は3型ヒトβデフェンシンの発現を刺激することはできるが、いかなる刺激や炎症を誘導しない、特に、前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子の直接合成若しくは間接合成を刺激しないよう、又は、感知できるほどには刺激しないように、濃度を最適化する。
【0032】
第三の態様によれば、本発明は化粧用組成物の製造に上述の活性成分の一つを使用することに関する。2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの発現を刺激することはできるが、いかなる刺激や炎症も誘導しない、特に、前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される一以上の分子の直接合成若しくは間接合成を刺激しない、又は、感知できるほどには刺激しないような濃度で上記活性成分を存在させる。上記活性成分は化粧品用として許容される賦形剤と混合しても良い。
【0033】
第四の態様によれば、本発明は医薬組成物の製造に上述の活性成分の一つを使用することに関する。2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの発現を刺激することはできるが、刺激や炎症を誘導せず、特に、前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子の一以上の直接合成若しくは間接合成を刺激しない、又は、感知できるほどには刺激しないような濃度で上記活性成分を存在させる。上記活性成分は医薬的に許容される賦形剤と混合しても良い。
【0034】
上記組成物は、殺菌剤(microbiocidal agent)又は微生物増殖抑制剤(microbiostatic agent)の少なくとも一つを含んでいることが好ましい。本発明者らは、「殺菌剤」という用語を細菌に対して破壊効果を有する薬品の群を述べるのに使用し、また、「微生物増殖抑制剤」という用語を、細菌増殖を制限する効果を有する薬品の群を述べるのに使用している。
【0035】
第五の態様によれば、本発明は、2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの発現を刺激することはできるが、刺激や炎症を誘導せず、特に、前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される一以上の分子の直接合成若しくは間接合成を刺激し得ない、又は、感知できるほどには刺激し得ない活性成分の少なくとも一つのスクリーニングを可能にする細胞モデル又は組織モデルに関する。
【0036】
上記細胞モデル又は組織モデルは適切な条件、具体的には、0〜100mM、好ましくは1.7mMのカルシウムを含む培養条件下で培養するのに好適な上皮細胞(例えばケラチノサイト及び/又はコルネオサイト)を含んでいることが有利である。
【0037】
第六の態様によれば、本発明は、2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの直接的又は間接的発現を刺激することはできるが、刺激や炎症を誘導せず、特に前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される一以上の分子の直接合成若しくは間接合成を刺激し得ない、又は、感知できるほどには刺激し得ない活性成分のスクリーニング方法に関し(この活性成分は本発明の中では「スクリーニングできる可能性のある活性成分」と呼ぶ)、以下の工程:
a)適当な培養条件下におけるさまざまなスクリーニングできる可能性のある活性成分の存在下での細胞モデル又は組織モデルの培養;少なくとも一つのスクリーニングできる可能性のある活性成分に対しこの方法は適用することができるが、同時に多量の活性成分(又は「活性体」)をテストするのがより好ましい;
b)2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシン発現の刺激の有無の、直接的又は間接的確認
c)この活性成分の非刺激性及び非炎症性の確認、特に、前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子の直接合成又は間接合成の刺激が無いことの確認
からなる。
【0038】
上記スクリーニング方法は、上記のようにテストされ、且つ、2型及び/又は3型β−デフェンシンの直接的又は間接的発現を刺激し得るが、前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子の直接合成若しくは間接合成を同時には刺激し得ない、又は、感知できる程には刺激し得ない少なくとも一つの活性成分が選択される工程d)をさらに含むのが有利である。
【0039】
本発明者らが発明を、本発明のスクリーニングの本質を実施するための単なる手段に過ぎない特定の分析方法に限定していないということを、読者らは明らかに認識するであろう。
【0040】
実際に、将来的には本発明中の発明者らによって使用された分析方法が、hBD2又は3を認識する抗体を用いる方法(ELISA型法、イムノブロッティング、イムノヒストロジー等)等の他の方法で置き換えられても良い。
【0041】
上記スクリーニング法は、工程a)において、上皮細胞、生存状態が維持されている皮膚生検試料、又は、再生表皮のモデル若しくは再生皮膚のモデルを含有する細胞モデル又は組織モデル、具体的には、0〜100mM、好ましくは1.7mMのカルシウムが含まれる培養条件下で培養するのに好適な、例えばケラチノサイト及び/又はコルネオサイト等の上皮細胞が含まれる細胞モデル若しくは組織モデルが包含されることが好ましい。
【0042】
上記スクリーニング法は、工程a)において、スクリーニングできる可能性のあるさまざまな活性成分を、細胞モデル又は組織モデルと共に6から48時間、好ましくは約16時間(接触時間)存在させることが有利である。
【0043】
上記スクリーニング法は、総RNAを抽出し、上述の2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンをコードするmRNAの発現のRT−PCR分析を工程b)中で行なうことが好ましい。
【0044】
上記スクリーニング法は、hBD2及びhBD3をコードするmRNAの増加が、アクチンに対してコードするmRNAに相関するようなアクチン(弱刺激性リポーター遺伝子)のRT−PCRを工程b)中で行なうのが有利である。
【0045】
上記スクリーニング法は、UV下で可視化できる核酸挿入(臭化エチジウム等)を含むアガロースゲルに増幅させたmRNAをのせることを工程b)中で行なうのが有利である。
【0046】
上記スクリーニング法は、アガロースゲルでの生成物の電気泳動後に、UV光下でhBD2/アクチンバンドとhBD3/アクチンバンドの強度比の比較を工程b)中で行なうのが有利である。
【0047】
上記スクリーニング法は、前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子に対するELISA型分析を工程c)中で行なうのが有利である。
【0048】
上記スクリーニング法は、前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子の直接合成又は間接合成を刺激せずに、又は、感知できるほどには刺激せずに、上記2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンをコードするmRNAの発現を刺激することができる少なくとも一つの活性成分の選択を工程d)中で行なうのが好ましい。
【0049】
上記スクリーニング法では、上記ヒトβ−デフェンシンの発現を刺激し、一以上の前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される一以上の分子(例えば、IL1、IL8、及び、MIP3α等)を刺激しない、又は、感知できるほどには刺激しない活性成分の選択を行なうことが有利である。
【0050】
上記スクリーニング法は、下記の工程を含んでいるのが有利である:
−スクリーニングできる可能性のある活性成分と正常ヒトケラチノサイトを、血清は含まないがカルシウムを多く含む特異的培地中で、例えば未処理対照と二つの陽性対照を同時に(TNFαに対してhBD2及びIFNγに対してhBD3)セットアップすること等により単層中で接触させる工程:
−次に、分光光度計を使って、好ましくは波長が260〜280nmの範囲で総RNAを抽出・分析する工程:必要ならばこのRNAは希釈しても良い:
−アクチン、hBD2、及び、hBD3のRT−PCRを、総原RNAを元にして行なう工程
−総RNAのレトロ転写、次にレトロ転写した産物(cDNA)の増幅を例えばサーモサイクラー中で、アクチン、hBD2、及び、hBD3に共通の増幅プログラムに従って行なう工程。
−hBD2、hBD3、及び、アクチンの増幅産物を混合し、次にチャージバッファーと水(2/3)の混合液を加え、最終溶液をあらかじめ成型した臭化エチジウムを含むアガロースゲルにのせた。試料を電気泳動させ、この手法で得られたバンドをUV下で(好ましくは暗室で)視覚化し、デジタル写真化することができる。バンドをこの段階で分析して強度を定量化する。デフェンシンの発現の基底量(未処理対照)は検出できないので、hBD2/アクチン及びhBD3/アクチンのバンドの強度比を、例えば、陽性対照(hBD2に対してTNFαで処理したもの、hBD3に対してIFNγで処理したもの)に対して得られる強度比と比較することで、問題のβ−デフェンシン発現の刺激があるかどうかが分かる。
【0051】
このスクリーニング方法は、さらに次の工程を含んでいるのが有利である;
−2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの発現に効果を発揮する、スクリーニングできる可能性のある活性成分を選択する工程。活性体に対応する上清をテストして、前炎症過程において通常共発現する分子(例えばこの活性体の効果の下、培養培地中で分泌されるMIP3α、IL1、及びIL8等)の量を測定する。次に、例えばお互いの結果を比較するためにその量は定量したRNAの濃度と照合することができる。
【0052】
有利には、上記のスクリーニング方法によれば、2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの直接的又は間接的発現を刺激することができる活性成分が、前炎症性分子又は通常炎症プロセスで共発現する分子の直接若しくは間接合成を同時には刺激しない、又は、感知できるほどには刺激しないことを検出することが可能になる。この時、上記活性成分は、ヨモギの根、ヒメムカシヨモギ、ニワトコの樹皮、コゴメビユ、パイナップル果汁、ペパーミント、アレカ、カカオ、キノア、ウサギギク、ボルドー、サルサパリラ、クルミノキの葉、ハイビスカスの花、カボチャ、ヒマワリ、ボタン、セイヨウオトギリソウ、セイヨウトチノキ、又は、これらの抽出物、ジャスモン酸又はビタミンA、それらの誘導体及び前駆体、アルファ−MSH又はアルファ−MSHを構成するペプチドの一つ若しくはそのペプチドに化学構造が類似するもの、イソロイシンエステル、カルシウム又はカルシウムの有機塩若しくは無機塩から選ばれる。
【0053】
第七の態様によれば、本発明は治療した組織、特に皮膚、粘膜、髪及び爪、又は、頭皮に対して殺菌性及び/又は抗真菌効果を発揮するために使用される化粧用組成剤の製造のための活性成分の使用に関する。頭皮の場合には、上記化粧用組成剤はふけの予防又は治療に使用することができる。
【0054】
本発明の好適な実施形態によれば、本発明の課題である活性成分は、老化プロセス、及び/又は、環境及び/又は気候(寒さ、紫外線等)によって引き起こされるストレスへの曝露、及び/又は、皮膚の生態系に対して刺激の強いクレンジング方法によって脆弱になった皮膚の保護を強化する他の化粧活性物質と併用することもできる。本発明から得られる組成物は、化粧品、及び、特に水性溶液(ゲル化されたものでも使用できる可能性がある)、ローションタイプの分散液(二層分散液でも使用できる可能性がある)、水/オイル又はオイル/水の乳液、三層乳液(triple emulsion)又は小胞分散液の形態で使用される生薬の形態であってもよい。この組成物の外見は乾燥状態又は多少液体状態であってもよく、又は、白色若しくは着色クリーム、血清又はムースであってもよい。皮膚にはエアゾール又はスティックの形で塗布しても良い。美容製品及び/又は皮膚用のメークアップ製品として、及び/又は、皮膚、粘膜、髪と爪及び頭皮のクレンジング用製品として使用することもできる。本発明から得られる組成物は、さらにゲル化剤、活性体、防腐剤、オイル、溶媒、酸化防止剤、香水、チャージ、顔料、フィルター、脱臭剤及び染料等の化粧品中で有用な全ての添加剤を含んでも良い。
【0055】
好適なことに、少なくとも一つの殺菌剤及び/又は微生物増殖抑制剤を含んだ上記の組成物は特に化粧品及び医薬品分野、皮膚のβ−デフェンシンの殺菌性効果とこれらの化合物の効果を結びつけることにより、特に皮膚の叢を制御するのに有用である。
【0056】
第八の態様によれば、本発明は、特にアクネ及び細菌性又は真菌性皮膚炎の治療及び/又は予防のために、治療した組織における殺菌性及び/又は抗真菌性効果を発揮することを意図している医薬組成物の製造のための活性成分の使用に関する。
【0057】
少なくとも一つの殺菌剤及び/又は微生物増殖抑制剤を含んだ上記の組成物は、特に医薬分野で有用であり、特に、ふけ、アクネ、白斑、皮膚炎及び微生物が要因となって引き起こされる皮膚、粘膜、頭皮及び爪の疾患等の、微生物に関係する疾患の治療のために、皮膚β−デフェンシンの殺菌性効果とこれらの薬品の効果を組み合わせるのが有利である。
【0058】
本発明者らは、前炎症性分子又は通常は炎症反応、刺激反応又は過敏反応等が認められ得る炎症プロセスにおいて共発現される分子の直接合成又は間接合成を示す分析方法を使用した。
【0059】
本発明は、炎症反応、刺激反応又は過敏反応を示すために、例えば処置すべき組織に塗布して感じる痒み、不快感、緊張感を評価すること等、種々の方法によって行なうことができる。
【0060】
この態様のいずれかに適用可能な本発明の他の好適な性質によれば、2型及び/又は3型ヒトβ−デフェンシンの直接又は間接発現を刺激することはできるが、前炎症性分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子の直接合成若しくは間接合成を刺激しない、又は、感知できるほどには刺激しないような活性成分が選択される。例えば、IL1α、IL8及びMIP3α等の炎症プロセス中に通常共発現されるサイトカインである。
【0061】
発明の詳細な説明
本発明者らによって開発された本発明の方法は、スクリーニングによって活性成分を選択し、次に表皮細胞中でhBD2及び/又はhBD3デフェンシンmRNAの量を増大させることができる活性成分を同定することができる方法であって、上記活性成分が炎症反応、刺激反応若しくは過敏反応を引き起こさない、又は、感知できるほどには引き起こさないことを特徴とする。
【0062】
スクリーニングの方法は次の工程から成る。
正常なヒト表皮細胞、好ましくは正常なヒトケラチノサイトは血清の全くない特異的培地中で、カルシウム濃度が0〜100mMの範囲、好ましくは1.7mMの濃度で、単層として培養される。与えられたコンフルエンスにおいて、好ましくは75%〜95%、好ましくは80%の細胞が、スクリーニングできる可能性のある活性成分と6〜48時間の範囲で、好ましくは16時間接触している。少なくとも一つの未処理対照及び少なくとも一つの陽性対照が、(好ましくは同一の培養プレート上で)同時にセットアップされ、スクリーニングを促進する。陽性対照は、hBD2に対してTNFα、hBD3に対してIFNγであって、スクリーニングされる活性成分を置き換える。その濃度は1〜500ng/mLが有利であり、好ましくは100ng/mLである。このようにして接触させた後、上清は回収されて、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄した後に例えば−80℃で乾燥凍結することができる。総RNAは抽出されて(好ましくは260〜280nmで)分光測光法で分析され、総RNAは好ましくは2〜50ng/mL、好ましくは5ng/mLの濃度に希釈される。定性RT−PCRをアクチン、hBD2及びhBD3で行なう。使用するプライマーは文献より導き(hBD2に対しては、Hardar J.ら、「ヒト皮膚由来の抗生ペプチド」(“A peptide antibiotic from human skin”)、Nature 1997;387:861、及び、hBD2に対しては、「ヒトβ−デフェンシン−3の単離と特徴付け、新規のヒト誘導性抗生ペプチド(“Isolation and chracteriztion of human β−defensin−3, a novel human inducible peptide antibiotic”)」 J.Biol Chem 2001,276:5707−5713)、また、
−アクチン:
センス:5’−GTGGGGCGCCCCAGGCACCA−3’(配列番号 No.1)
アンチセンス:5’−CTCCTTAATGTCACGCACGATTTC−3’ (配列番号 No.2)
−hBD2:
センス:5’−CCAGCCATCAGCCATGAGGGT−3’ (配列番号 No.3)
アンチセンス 5’−GGAGCCCTTTCTGAATCCGCA−3’ (配列番号 No.4)
−hBD3:
センス 5’−AGCCTAGCAGCTATGAGGATC−3’ (配列番号 No.5)
アンチセンス 5’−CTTCGGCAGCATTTTCGGCCA−3’(配列番号 No.6)
である。
【0063】
RT−PCRに使用されるプライマーの配列は、検討される遺伝子(アクチン、hBD2、hBD3)に特異的である限り、ここに挙げたものと異なっていても良い。
RT−PCRは、原mRNAの量が10〜100ng、好ましくは50ngで、サーモサイクラー中で行なうのが好ましいが、一般的なプログラムにて行なってもよい。
この段階で原mRNAを増幅させる。
RT−PCRの温度及び時間パラメータは、使用するプライマー及び材料の関数として変化させることができる(サーモサイクラー、RT−PCRキットサプライアー等)。
【0064】
増幅後、生成物を混合し、チャージバッファーと水(2/3)の混合緩衝液を加える。最終溶液は、あらかじめ成型した、UV下で可視化するための核酸挿入(臭化エチジウム等)を含むアガロースゲルの上に、例えば2%でのせる。サンプルを電気泳動し、バンドは暗室内で、UV下で可視化され、デジタル写真化を行なう。ゲルの写真はバンド強度を定量化する画像処理ソフトにより分析する。デフェンシン発現(未処理対照)の基底量が検出できないので、hBD2/アクチンバンド及びhBD3/アクチンバンドの強度比を、例えば陽性対照(hBD2に対してTNFα、hBD3に対してIFNγ)から得られる強度比と比べることができる。また、問題のβ−デフェンシン発現のいかなる刺激をも検出することが可能になる。
【0065】
第一工程の最後として、β−デフェンシンの発現に関して効果を発揮する活性体が選択される。
【0066】
この活性体に対応する上清は、次にELISAキットを使用してテストされ、活性体の効果の下で培養培地中へ分泌されるMIP3α、IL1及びIL8中の活性成分量が測定される。スクリーニングできる可能性はあるが、MIP3α、IL1及びIL8の過剰刺激(TNFα又はIFNによる最大刺激の75%より有為に高い)を誘導する活性成分はスクリーニングから排除される。
【0067】
ゲルはバンド強度を定量化する画像処理ソフトによって分析される。挿入のタイプと、RT−PCRから得られる生成物の量は変わり得るものの光彩度以下のままであるので、バンドの可視化は核酸電気泳動システムによって行なうことができるのが明らかである。
【0068】
得られる結果の確認は、後述の定量RT−PCRを用いた「投与量による効果」の検討に適用する本発明のスクリーニング方法によって実施できるが、当業者が他の方法の方がふさわしいと認めることもあるのでこの方法に特に限定されるわけではない。
【0069】
このリアルタイムRT−PCRはmRNA発現における差異に関わる定量化可能な結果を与えるので、現在のところ好ましい方法である。
【0070】
投与量を0.001%から10%へ、好ましくは0.01%から10%へ投与量を増加させることによって選択された活性体に対して、細胞毒性の検討を行なう。生存性を定めなければならず、その生存性は好ましくは65%より上、さらに好ましくは75%より上である。この生存性は細胞無毒性濃度限界を定める。
【0071】
従って、スクリーニングできる可能性のある活性成分は数種の濃度、好ましくは0.001%から細胞無毒性濃度限界の範囲で、好ましくは上述の血清を全く含まない特異的培地中で単層として、正常なヒト上皮細胞、好ましくはヒトケラチノサイトをテストした。
【0072】
次に、上清は回収され、PBS中で洗浄した後、−80℃で乾燥凍結することができる。総RNAは抽出され、上述の範囲と同一の濃度に希釈する。希釈したRNAはアクチン、hBD2、hBD3の定性RT−PCRのために使用される。
【0073】
この方法は好ましくは上述の原RNAの量と同一の量で、好ましくはSYBR(R)グリーン(Green)を含むワンステップキットを使用して行なわれるのが好ましい。しかしRT−PCRは、スコーピオン(Scorpion(R))、モレキュラービーコンズ(Molecular beacons(R))、タックマン(TaqmanTM)プローブ等のSYBR(R)グリーン以外の他の方法に基づくものでも良い。上述のプライマーと同一のプライマーを使用して、蛍光サーモサイクラー中で行なうのが有利である。それによって増幅プログラムは実行される。上記増幅プログラムは前に述べたプログラムと同一のプログラムで行なうことができる。
【0074】
融合グラフの検討を行なえば、増幅プログラムの特異性を実証することができる。サイクル数の関数としての蛍光グラフによると、蛍光シグナルを開始させるのに必要なサイクル数に相当するC(T)値を得ることができる。mRNAの発現が多いほど、C(T)値は低くなる。各RNAに対するSgene=(1/2)C(T)という計算は、増幅においてコピー数が指数関数的に増加することを考慮に入れたものである。(Sgene hBD2/Sgene アクチン)及び(Sgene hBD3/Sgene アクチン)の比を、未処理対照の比と比較して、生じた刺激の百分率を求める。
【0075】
未処理対照は本発明のスクリーニング方法の第一工程のものと同一であっても良い。
【0076】
デフェンシンを誘導する能力が確立されている、スクリーニングできる可能性のある活性成分の上清は、MIP3α、IL8及びIL1αの量を分析するために、ELISAキットを使用してテストしても良い。
【0077】
好ましくはこの分析は上清について行なう。各々の試料の分析されたRNA濃度で量を比較する。選択された活性体の非炎症性はこのようにして確認され、及び/又は炎症性分子の分泌を誘導しないデフェンシン刺激に対する最適処方量はこのようにして見つけることができる。
【0078】
発明者の第一の目的は上記の分子の分泌は刺激せずに2型及び/又は3型β−デフェンシンの発現を刺激することができる活性成分を発見することであるので、本発明は、さらにこのスクリーニング法によってテストされる活性成分に関する。
【0079】
スクリーニング用の光学機械において、正常なヒト上皮細胞、好ましくは正常なケラチノサイトの培養は、培養が96ウェルプレートで行なわれる場合には好ましい。hBD2及びhBD3デフェンシンの発現は、未分化の基底ケラチノサイトの場合には非常に低く、ドナーの機能及び細胞を抽出する部位によってかなり変化する。具体的には、hBD2は顔の皮膚又は包皮試料中では100%見出せるが、腹部又は胸の手術試料中には50%しか見出せない(Ali RSら、正常なヒト皮膚における抗菌性ペプチドhBD1及びhBD2の発現(Expressions of the peprides antibiotics hBD1 and hBD2 in normal human skin.) J Invest Dermatol 2001;117:106−111)。
【0080】
本発明によると、広範なスクリーニングできる可能性のある活性成分をテストすることができ、hBD2及びhBD3のmRNAの発現を検出することのできる再生可能なモデルを提案することができる。
【0081】
本発明は、カルシウム特異的培地中でのケラチノサイトの培養のためのシステムに関する。この培養条件で誘導される分化によって、hBD2及びhBD3デフェンシンのmRNAの基底発現量を増加させることができ、これにより刺激の検出を容易にする。
【0082】
96ウェル中での培養細胞は、所望の効果をスクリーニングすることができ、定性分析及び定量分析を96ウェルフォーマットに対して適用することができるモデルである。
【0083】
定性RT−PCRによって広範な活性体を選択することができ、定量RT−PCRによるこれらの実証は、結果の確認を行なう上で不可欠なステップである。刺激に対する陽性対照(hBD2に対してTNFα、hBD3に対してIFNγ)は、参照として働き、定量RT−PCR法を検証するデフェンシン及び炎症性分子に対する誘導価を与える。
【0084】
上清中の、炎症に対する標識分子の分泌量の分析によって、非炎症性活性体の選択が行なえる。
【0085】
上述の所望の活性はスクリーニング法によって以下の活性成分中で見出された: ヨモギの根、ヒメムカシヨモギ、ニワトコの樹皮、コゴメビユ、パイナップル果汁、ペパーミント、アレカ、カカオ、キノア、ウサギギク、ボルドー、サルサパリラ、クルミノキの葉、ハイビスカスの花、カボチャ、ヒマワリ、ボタン、セイヨウオトギリソウ、セイヨウトチノキ、又は、これらの抽出物、ジャスモン酸又はビタミンA、それらの誘導体及び前駆体、アルファ−MSH又はアルファ−MSHを構成するペプチドの一つ若しくはそのペプチドに化学構造が類似するもの、イソロイシンエステル、カルシウム又はカルシウムの有機塩若しくは無機塩。
【発明を実施するための形態】
【0086】
実施例では、従来技術と対比して新規と思われるいかなる特徴も本発明と一体化をなす部分であり、機能と一般的態様の点から保護は適用される。
【0087】
さらに、請求項の記載によると、特に記載の無い限り、全ての%は重量%であり、温度は摂氏で表す。
【0088】
実施例1
スクリーニング法における第一工程
96ウェル培養プレート上の単層の正常ヒトケラチノサイトに、カルシウムを多量に含み血清を含まない特定の培地中で、1%の濃度の活性体をテストする(最終濃度1.7mM)。
80%コンフルエンスになったところで、上記細胞を活性体と16時間接触させる(1ウェルにつき1活性体)。
活性成分は、同じ培養プレートに、未処理対照1種及び陽性対照2種(hBD2に対してTNFα 100ng/mL、hBD3に対してIFNγ 100ng/mL)を同時にセットアップする。
16時間後培養上清を回収し、細胞はPBS中で洗浄した後−80℃にて凍結乾燥させる。
シリカカラムで96ウェル抽出キットを用いて総RNAを抽出し、RNA量を、96ウェル用分光光度計を用いて260nm及び280nmにて定量する。RNAは5ng/mLに希釈する。
【0089】
96ウェル培養プレートにおいて、50ngの原RNAを元にアクチン、hBD2及びhBD3について、定性ワンステップRT−PCRを行なう。
プライマーは、0.5μMの濃度で用い、先行文献から導く:−hBD2 センス 5’−CCAGCCATCAGCCATGAGGGT−3’;hBD2 アンチセンス 5’−GGAGCCCTTTCTGAATCCGCA−3’ (Harder J.ら、ヒト皮膚由来の抗菌性ペプチド(A peptide antibiotic from human skin.) Nature 1997;387:861);hBD3 センス 5’−AGCCTAGCAGCTA−TGAGGATC−3’;hBD3 アンチセンス 5’−CTTCGGCAG−CATTTTCGGCCA−3’;アクチン センス 5’−GTGGGGCG−CCCCAGGCACCA−3’;アクチン アンチセンス 5’−CTCCT−TAATGTCACGCACGTTTC−3’(Harder J.ら、新規ヒト誘導性抗菌性ペプチドであるヒトβ−デフェンシン−3の単離と特徴付け(Isolation and characterization of human β−defensin−3, a novel human inducible peptide antibiotic.) J Biol Chem 2001;276:5707−5713)。
【0090】
試料をサーモサイクラーに設置し、一般的な下記の増幅プログラムに従う。
増幅プログラムを次に示す。:50℃、30分;94℃、2分;(94℃、30秒;60℃、30秒;68℃、30秒)をデフェンシンについて32サイクル、アクチンについて30サイクル;72℃、10分;14℃、無限。
【0091】
増幅後、上記増幅産物を、アクチン増幅産物3μL+hBD2増幅産物6μL+hBD3増幅産物6μLの割合で混合する。これに、チャージバッファーと水の混合物(チャージバッファー/水=2/3)5μLを加えた計20μLを、あらかじめ成形した2%アガロースゲルにのせる。試料は30分間で電気泳動させ、そのバンドを暗室でUVを照射して視覚化し、デジタル写真化する。
【0092】
ゲルの写真を、バンドの強度を定量化する画像処理ソフトによって分析する。デフェンシンの発現の基底量(未処理の対照)は検出できないので、hBD2/アクチン及びhBD3/アクチンのバンドの強度比を、例えば、陽性対照(hBD2に対してTNFαで処理したもの、hBD3に対してIFNγで処理したもの)/アクチンのバンドの強度比と比較することで、問題のβ−デフェンシン発現の刺激があるかどうかが分かる。
【0093】
上記第一工程の最後にβ−デフェンシンの発現に効果のあった活性体を選択し、これらの活性体の効果の下、培地中に分泌されたMIP3α、IL1及びIL8の量を測定するために、これらの活性成分に対応する培養上清を、ELISAキットを用いて試験する。発現量は、定量した各ウェルのRNA濃度で表し、測定結果を互いに比較する。
【0094】
第一工程の結果についての表
通常デフェンシンの発現の基底量は検出できないため、hBD2及びhBD3の刺激は陽性対照(hBD2に対してTNFα、hBD3に対してIFNγ)に対する百分率で表される。IL8及びMIP3αの発現量は、pg/mL/RNA濃度(ng/μL中)として示す。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
上記活性体のうち、本発明の第一工程の基準を満たすもの、すなわち、サイトカインであるMIP3α及びIL8の発現を誘導することなくhBD2及び/又はhBD3を刺激するものは:ヨモギの根、ヒメムカシヨモギ、ニワトコの樹皮、コゴメビユ、パイナップル果汁、ペパーミント、アレカ、カカオ、キノア、ウサギギク、ボルドー、サルサパリラ、クルミノキの葉、ハイビスカスの花、カボチャ、ヒマワリ、ボタン、セイヨウオトギリソウ、セイヨウトチノキ、又は、これらの抽出物の1つ、ジャスモン酸並びにその誘導体及び前駆体、イソロイシンエステルである。
【0098】
スピルリナはhBD2を強く刺激するが、IL8又はMIP3αの分泌を誘導するので選ばなかった。その他の活性体はデフェンシンの発現を刺激しなかった。
L−イソロイシン及び複数の誘導体について定性RT−PCRによって調べたところ、ヒトデフェンシン2又は3に対する顕著な刺激は見られなかった。
【0099】
実施例2
スクリーニング法における第二工程
上記第一工程の基準を最もよく満たした活性成分について、投与量による効果を調べた。
【0100】
選択した活性体の細胞毒性を、投与量を0.01%〜10%で増加させて検討した。生存度75%の場合を、細胞毒性がない濃度の上限として設定した(最大生存度%)。
【0101】
96ウェル培養プレート上の単層の正常ヒトケラチノサイトに、カルシウムを多量に含み血清を含まない特定の培地中で、上記活性体を5種類の濃度(0.001%〜最大生存度)でテストする(CaCl2 1.7mM)(実施例1と同じ条件)。これと同じものを合わせて4通り調製する。
16時間後培養上清を回収し、細胞はPBS中で洗浄した後−80℃にて凍結乾燥させる。
シリカカラムで96ウェル抽出キットを用いて総RNAを抽出し、RNA量を、96ウェル用分光光度計を用いて260nm及び280nmにて定量する。RNAは5ng/μLに希釈する。
【0102】
Sybrgreenを含むワンステップキットを用い、96ウェル培養プレートにおいて蛍光サーモサイクラー中で上記と同じプライマー(0.5μM)を用いて、RNA50ngを基にしてアクチン、hBD2及びhBD3の定量RT−PCRを最初に行なう。増幅プログラムを次に示す:50℃、30分;94℃、15分;(94℃、15秒;60℃、30秒;72℃、30秒)を50サイクル;90℃、1分;30℃、1分;50℃〜95℃(各℃において10秒ずつ);14℃、無限。
【0103】
融合グラフを検討することにより、増幅産物の特異性を実証できる。蛍光グラフは、サイクル数の関数であり、蛍光シグナルを開始させるのに必要なサイクル数に相当するC(T)値を示す。mRNAの発現が多いほど、C(T)値は低くなる。各RNAに対するSgene=(1/2)C(T)という計算は、増幅においてコピー数が指数関数的に増加することを考慮に入れたものである。(Sgene hBD2/Sgene アクチン)及び(Sgene hBD3/Sgene アクチン)の比を、未処理の対照の比と比較して、産生された刺激の百分率を求める。
【0104】
デフェンシンを誘導する能力が確認された活性体に対応する培養上清は、MIP3α、IL8及びIL1αの発現量を定量するためにELISAキットを用いてテストする。上記分析は、同じ培養上清(200μL)について行い、培養上清は一連の希釈(MIP3α及びIL8を分析するのに1.5倍、IL1αを分析するのに更に2倍)を行なう。その後、発現量は、定量した各ウェルのRNA濃度で表し、測定結果を互いに比較する。
【0105】
本発明者らは、上記のように、選択した活性体に炎症性がないことを確認することができ、及び/又は、炎症性サイトカインの分泌を誘導することなくデフェンシンを刺激するこれらの活性成分の最適な投与量を見いだすことができる。
【0106】
第二工程の結果についての表
定量RT−PCR法により、未処理の対照におけるデフェンシンの発現の基底値が分かる。その結果、試験結果は対照に対する百分率で表される。サイトカインであるIL8、IL1α及びMIP3αの発現量は、pg/mL/RNA濃度(ng/μL中)として示す。
【0107】
【表3】

【0108】
上記定量RT−PCRの方法により、上記のように、ボルドー、ウサギギク及びアレカが、前炎症性サイトカインを誘導することなくhBD3に刺激を与えるという効果を確認することができる。10%のヨモギは、前炎症性サイトカインの分泌を顕著に刺激することなくhBD3を刺激し、キノア種子の粉末は、活性濃度が1%の段階からhBD2を刺激する。5%においては、キノア種子の粉末はhBD2及びhBD3を刺激する。
L−イソロイシンについて、ウシデフェンシン−3を刺激することができると記載されている4つの濃度(3.125、6.25、12.5及び25μg/mL)(Fehlbaum P.ら、必須アミノ酸は上皮β−デフェンシンの発現を誘導する(An essential amino acid induces epithelial β−defensin expression.) PNAS 2000;97:12723−12728)においてテストを行った。その結果、L−イソロイシンは、正常ヒトケラチノサイトにおいてhBD2及びhBD3を誘導しないことが分かった。
また100μg/mLのジャスモン酸及びα−MSHは、デフェンシン2及び/又は3を誘導することができる。
【0109】
上記活性体のうち、本発明の基準を満たすもの、すなわち、サイトカインであるMIP3α、IL8又はIL1の発現を誘導することなくhBD2及び/又はhBD3を刺激するものは:ボルドー、ウサギギク、キノア、ヨモギ、又は、これらの抽出物のいずれか、ジャスモン酸並びにその誘導体及びその前駆体、αMSH又はα−MSHを形成するペプチドの1つ若しくは化学構造が類似のペプチドのうちの一つである。
【0110】
実施例3
実施例2と同様に、レチノイン酸及びレチノールのhBD2及び/又はhBD3を刺激する能力を調べた。
結果は次の通りである:
【0111】
【表4】

【0112】
レチノイン酸は0.005%においてhBD3の合成を弱く刺激し、レチノール(又はビタミンA)はhBD2を弱く刺激し、hBD3を強く刺激することが分かる。
レチノイン酸とレチノールのどちらが刺激反応や過敏反応を誘導するのかを明らかにするため、実施例4により、次のように処方を変えて化粧用処方を3通り調製した。
・プラセボクリームA:処方に何も添加しない:この実施例における「本発明の生成物」を処方に添加しない。
・クリームB:この実施例における「本発明の生成物」はレチノイン酸で、処方における濃度は0.005%である。
・クリームC:この実施例における「本発明の生成物」はレチノールで、処方における濃度は0.01%である。
上記3通りの処方は2種類の異なる方法にて試験した:
1)調剤の一次皮膚刺激の指標を決めるため、動物に繰り返し投与する。
2)処方の潜在刺激性及び潜在感作性を決めるため、ボランティアの人に繰り返しパッチ投与を行なう。
【0113】
上記3通りの処方とも、上記2種類の試験において刺激やアレルギーは見られなかったため、上記濃度においてレチノイン酸及びレチノール(前躯体及び誘導体も同様)は炎症反応、刺激反応及び過敏反応を誘導しないとみなすことができる。
【0114】
実施例4:抗シワクリーム
【0115】
【表5】

【0116】
実施例5:抗シミ美容液
【0117】
【表6】

【0118】
実施例6:ファンデーション
【0119】
【表7】

【0120】
実施例7:抗UVA/UVB美白クリーム
【0121】
【表8】

【0122】
実施例8:痩身ジェル
【0123】
【表9】

【0124】
実施例9:保湿クリーム
【0125】
【表10】

【0126】
実施例10:シャンプー
【0127】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水又は水/ブチレングリコール混合液での抽出により得られる、キノア抽出物、ボルドー抽出物、及びキノア抽出物とボルドー抽出物の混合物からなる群から選択されるいずれかの抽出物である活性成分を含むことを特徴とする、炎症反応、刺激反応及び過敏反応を引き起こさないで、2型ヒトβ−デフェンシン(hBD2)、3型ヒトβ−デフェンシン(hBD3)並びに2型及び3型ヒトβ−デフェンシン(hBD2及びhBD3)から選択されるヒトβ−デフェンシンの発現を刺激するための組成物。
【請求項2】
前記炎症反応、刺激反応及び過敏反応が、MIP3アルファ(マクロファージ炎症タンパク質)、IL8、IL1、ヒスタミン、トリプターゼ、サブスタンスP、ロイコトリエン、及びプロスタグランジンからなる群から選択される前炎症性(proinflammatory)分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子により引き起こされる反応である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記活性成分は、0.001%〜20重量%の濃度範囲で存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
キノア抽出物がキノア粉末抽出物である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
活性成分が、水又は水/ブチレングリコール混合液での抽出により得られるボルドー抽出物である、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
抽出物が水抽出物である、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
化粧用組成物を得るために、前記活性成分が化粧品用として許容できる賦形剤と混合されている請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、治療した組織で殺菌性又は抗真菌性効果を発揮するための化粧用組成物である請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
治療した組織が、皮膚、粘膜、髪及び爪、及び頭皮からなる群から選択され、治療した組織が頭皮の場合には、ふけの予防又は治療効果を発揮するための、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも一つの殺菌剤及び/又は微生物増殖抑制剤を更に含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
微生物的要因に関わる病気の治療のために、更に他の抗微生物剤からなることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
医薬組成物を得るために、前記活性成分が医薬的に許容できる賦形剤と混合されている請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
アクネの治療及び/又は予防のために、治療した組織における殺菌性及び/又は抗真菌性効果を発揮するための請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
細菌性又は真菌性皮膚炎の治療及び/又は予防のために、治療した組織における殺菌性及び/又は抗真菌性効果を発揮するための請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも一つの殺菌剤及び/又は微生物増殖抑制剤を更に含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
微生物に関係する疾患の治療のための、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
微生物に関係する疾患が、ふけ、アクネ、白斑、及び皮膚炎からなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
水又は水/ブチレングリコール混合液での抽出により得られる、キノア抽出物、ボルドー抽出物、及びそれらの混合物である活性成分を含むことを特徴とする、MIP3アルファ(マクロファージ炎症タンパク質)、IL8、IL1、ヒスタミン、トリプターゼ、サブスタンスP、ロイコトリエン、及びプロスタグランジンからなる群から選択される前炎症性(proinflammatory)分子又は炎症プロセスで通常共発現される分子を刺激しないで、2型ヒトβ−デフェンシン(hBD2)、3型ヒトβ−デフェンシン(hBD3)並びに2型及び3型ヒトβ−デフェンシン(hBD2及びhBD3)から選択されるヒトβ−デフェンシンの発現を刺激するための薬剤。

【公開番号】特開2012−250992(P2012−250992A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−198441(P2012−198441)
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【分割の表示】特願2007−208376(P2007−208376)の分割
【原出願日】平成15年1月15日(2003.1.15)
【出願人】(500226948)ビーエーエスエフ ビューティ ケア ソリューションズ フランス エスエーエス (21)
【住所又は居所原語表記】32 rue Saint Jean−de−Dieu 69007 LYON, FRANCE
【出願人】(508335646)
【Fターム(参考)】