説明

2型糖尿病における食後高血糖の経頬粘膜治療の方法、および当該治療に用いられる医薬組成物

2型糖尿病における食後高血糖の経頬粘膜治療に用いられる方法および医薬組成物。本発明が提供するのは、1以上の低血糖誘導性/インスリン分泌性の有効成分が完全かつ安定した状態で溶解している水性アルコール溶液の形を取る医薬組成物および治療方法であって、人または動物の2型糖尿病における食後高血糖のスポット治療に経頬粘膜投与の形で用いられ、投与量は通常の経口単位投与量と比較して30〜50%少ない。本発明はまた、上記の処方物の調剤方法に関し、さらに、2型糖尿病に関連する食後高血糖(PPHG)のスポット治療における特定の使用法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1以上の低血糖誘導性/インスリン分泌性の有効成分を瞬時に全身投与することによって、2型糖尿病の食後高血糖(PPHG)をその場で治療するための方法および医薬組成物に関する。
具体的に言えば、本発明は、上記用途専用の医薬組成物を作ってその場で投与する方法に関し、更に、その調剤方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2型糖尿病は、数多くの国で健康に関する重大問題となっており、これに苦しむ人は世界中で3億人を超え、毎年10〜15%の割合で増加している。
それは血中の糖濃度が高すぎる状態として定義される慢性疾患であり、膵臓のインスリン分泌が充分でない場合、または、生成されたインスリンを生体が不適切に消費してしまう場合に現れる。血中に過度のブドウ糖が存在することに起因する高血糖は、長期的には、いくつかの合併症を引き起こす。合併症は、具体的には、目、腎臓、神経、心臓、血管に生じる。
【0003】
糖尿病には、大きく分けて2つの種類がある。
1型糖尿病またはインスリン依存型糖尿病として知られる糖尿病の特徴は、インスリンの分泌が不充分であること、または分泌されないことである。これについては、皮下注射によって毎日インスリンを投与しなければ、直ちに命にかかわる事態となる。
2型糖尿病または成人発症型糖尿病として知られる糖尿病は、生体によるインスリンの消費が不充分なことに起因する。これは、世界の糖尿病の原因の90%を占め、主に、太り過ぎや運動不足の結果として生じる。
【0004】
2型糖尿病の生理病理学は、インスリン感受性の異常や、インスリン分泌の異常(具体的には、初期(early)のインスリン分泌ピークが大きく変わること)と結びついている。
近年、2型糖尿病において、最も病原性が強く、血管、心臓、生体への影響が大きい要素として特定されたのは、食後高血糖(PPHG)ピークの存在であり、これは初期のインスリン分泌反応の欠如に関連している。
【0005】
健康な成人では、膵臓は早期のインスリンピークを生じさせる。これは、食事中に、急速累積的に吸収されるブドウ糖の飽和量の全てを代謝させるためのものである。そうした早期インスリンピークにより、食事中の血糖の急な変動、並びに、結果として必然的に生じる食後高血糖が抑制される。一例として、糖尿病にかかっていない人にブドウ糖20グラム(g)を投与すると、その後10分で、血液1リットル(L)あたり120マイクログラム(μg)超のインスリンピークが反射的に生じる。
【0006】
2型糖尿病患者で同じテストを行うと、インスリンピークは平均で血液1Lにつき35μgに過ぎず(71%も低い)、その出現のタイミングについても、30分という病的な遅延が生じる。
早期のインスリン分泌反応の欠如のために、食前、食後の血糖の変動が調整されず、2型糖尿病患者は2〜3g/L超という非常に高いレベルの食後高血糖に耐えなければならない。この数字は、患者自身は感じないとしても、病気の第1段階から危険が潜んでいることを表している。
【0007】
2型糖尿病の治療については、現在いくつかの手法があり、それらは、安定した形で血糖をより良く制御し最適化することを目的としており、特に食後の時間帯において、血液1L当たりのブドウ糖が1.20〜1.40gの閾値を超えないようにする。初期の2型糖尿病は、通常、ダイエットおよび減量で治療する。そして、次の段階が必要であれば、血糖を通常に近い値に維持する目的で、経口抗糖尿病薬を用いた治療を行い、これはインスリン治療と組み合わされる場合もある。治療の目的は、糖尿病による死亡率を下げ、症状、合併症を抑制することである。
【0008】
公知の基本的な抗糖尿病薬の具体例を挙げると、グリクラジド、グリベンクラミドなどの低血糖誘導性のスルファミド、そして、メトホルミンなどの低血糖誘導性のビグアニドがある。
グリクラジドは、323ダルトン(Da)の分子量を有する脂肪親和性抗糖尿病薬であり、水には溶けないが、アルコールにはわずかに溶ける。これは、膵臓においてランゲルハンス島からの分泌を刺激する形で作用して、インスリンまたはペプチドCの分泌を増やし、更に、抗凝集型の造血血管(hemato-vascular)特性を有する。現在、グリクラジドの単位投与量は30〜80ミリグラム(mg)、1日当たり経口で80〜160mgとされている。それは最初の肝臓通過で大きく代謝され、その代謝物質は全く作用を生じない。95%が血漿キャリヤタンパク質(plasma carrier protein)に結合し、分布容積は約30Lで、血漿中ピークは摂取後11〜14時間で現れ、10〜12時間で半減する。
【0009】
もう一方のスルファミドであるグリベンクラミドは、水にほとんど溶けず、エタノールにわずかに溶ける脂肪親和性の有効成分である。低血糖状態を生じさせることができ、心血管保護剤としての効果は確認済みである。現在、グリベンクラミドの単位投与量は2.5〜5mgで、平均で10mg/日(最大15mg/日)とされている。これは肝臓によって強力に代謝されるが、血漿中ピークが遅く、服用量に対する効果は高い。
【0010】
メトホルミン塩酸塩は、165Daの分子量を有する標準の両親媒性抗糖尿病薬であり、水に溶けると共に、アルコールにもわずかに溶ける。これは心血管保護剤であって、膵臓でのインスリン生成ではなく肝臓での糖およびグリコーゲンの代謝に作用すると共に、生体のブドウ糖消費にも作用する。現在、メトホルミンの単位投与量は500〜1000mgで、1日当たり1000〜3000mgとされている。吸収率は50〜60%である。血漿タンパク質には結合せず、分布容積は63〜276Lであり、半減期は長い。
【0011】
しかしながら、上述した各種治療は2型糖尿病患者の血糖を最適化しようとするものであり、食後高血糖(PPHG)ピークという重大かつ恒常的な問題については、考慮もしておらず、効果的に治療することもできない。
1型糖尿病では、24時間にわたって放出される遅行性インスリンと毎回の食事前に注射される速効性インスリンとを組み合わせることが可能であるため、食前・食後のインスリンピークが保証され、それを各々の患者に合わせることもできる。これに対し、2型糖尿病について提案される低血糖誘導治療は、食後高血糖を調整して生理的必要条件や国際健康機関の推奨値(すなわち、ブドウ糖は血液1L当たり140mg未満(1L当たり7.8ナノモル(nmol))に近い値に保つ、という目的には使用できない。現在、2型糖尿病の慢性治療に使用されている薬(メトホルミンをベースとする薬など)は、全て経口投与されるものであり、接種から作用するまでに遅延があり、その薬理学的有効性は直線的である。従って、急激かつ強力に現れる食後高血糖ピークを、所定の時間で下げることはできない。
【0012】
ただし、2型糖尿病の治療に関する健康機関の推奨値においても、「空腹時血糖」と「食後血糖」との間の血糖の変動が0.2〜0.3グラム/リットル(g/L)を上回ってはならないとしている。この変動幅は相当に低く定められているが、現在利用できる薬理学的手段でこの値を実現するのは難しい。これら薬理学的手段は、全てが経口で、そして一部は注射で投与を行うものであり、患者による治療管理を複雑にしてしまう。
【0013】
この理由のために、低血糖誘導性/インスリン分泌性の薬剤の、一定の効果はあるが不充分な調整作用を補う目的で、αグルコシダーゼ抑制剤、グリニド、またはグリプチン(またはインクレチン)のような新しい薬効クラスが開発されてきた。上記低血糖誘導性/インスリン分泌性の薬剤は、基礎治療として投与されるが、やはり食後高血糖ピークを下げる用途にはふさわしくない。
【0014】
上記の新しい分子には、ミチグリニドやナテグリニド、特にレパグリニドなどのグリニドが含まれ、これは経口低血糖誘導性の薬剤であり、β膵臓細胞のスルホニル尿素レセプタに結合し、それによって迅速かつ短時間でインスリン分泌を生じさせるため、上昇する高血糖への対応においてより優れている。レパグリニド(安息香酸の派生物)は、452.6の分子量を有する脂肪親和性分子であり、1回の食事につき1mgの量が投与される。食後の血糖制御をより良い形で実現するには、この薬を3回の食事それぞれの15分前に、経口で摂取しなければならない。こうしたやり方でレパグリニドを摂取すると、摂取後約30分でインスリン分泌反応が始まるが、血漿濃度の個体間のばらつき(60%)も個体間のばらつき(35%)も広いため、薬量学上の調整がしばしば必要となる。従って、消化吸収と、とりわけ最初の肝臓通過によって、その治療上の有効性はランダムになる。これらの要因で、即時の薬理学的な生体利用は一定でなくなる。このように、上述した治療法は満足できるものではない。更に、グリニドは、メトホルミンを用いる従来の治療法に比べて、低血糖が強く生じ、体重増加も大きくなる。メトホルミンにインスリン分泌作用がないことを考えれば、これは当然である。
【0015】
インクレチンまたはグリプチンは、栄養物が到着すると腸上皮の内分泌細胞から放出される腸管ホルモンである。これらは、膵臓細胞に対するブドウ糖の影響を潜在化させる(potentializing)上で主要な役割を果たす。GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)とGIP(ブドウ糖依存型インスリン分泌性ポリペプチド)とが最もよく知られている。特にGLP−1は、2型糖尿病患者では強いインスリン分泌作用を有する。更に、インスリンの合成を刺激する能力があり、それは、β膵臓細胞におけるインスリン蓄積を維持する目的で使用できることを意味する。上記の効果は、糖尿病患者で行われた様々な研究によって立証されている。もはや従来の低血糖誘導性薬剤には反応しない、非常に空腹時血糖の高い患者でさえ、GLP−1を投与することで血糖症が正常化する。これは、遷移性で、血糖が正常になると基本的なレベルに戻る、という形のインスリン分泌刺激による。GLP−1を6週間の間、肥満した糖尿病患者に継続して注入すると、空腹時および食後の血糖が、それぞれ、4.3ナノモル(nm)、5.5ミリモル(mm)低下する。ヘモグロビンHbA1Cは1.3%下がり、インスリンに対する感受性と膵臓のβ細胞の機能とが改善する。しかしながら、ペプチドの性質上、現在、GLP−1を経口投与することはできず、使用する際には注射が必要となる。更に、インビボ半減期が非常に短く、約1〜2分である。これは、遍在性酵素、ジペプチジルペプチダーゼ(dipeptidylpepditase)による急速な分解のためであり、このため、使用は不可能になってしまう。分解耐性を有する形のGLP−1も開発されており、具体的には、シタグリプチン、ビルダグリプチン、更にサクサグリプチンがある。ビルダグリプチンは、水および有機溶媒に溶ける両親媒性分子であって、303.99Daの分子量を有し、生体利用は約85%である。シタグリプチンは、407.314Daの分子量を有する両親媒性分子であり、水と特定の有機溶媒に溶け、生体利用は87%程度である。血漿タンパク質と結合し、1回分100mgのシタグリプチンを静脈投与した場合の生体内の平均分布容積は約198Lである。サクサグリプチンは315.41Daの分子量を有し、生体利用は経口投与された量の50〜75%の範囲で変動する。この脂肪親和性分子は生体分布容積が大きく、180Lに近い。以上から分かるように、これら分子は非常に類似した特徴を有している。しかしながら、これらのペプチドでは、全体的な血糖状況が改善される一方で、必ず他の抗糖尿病性分子と組み合わせなければならず、2型糖尿病の本質的な問題を解決すること、すなわち、食前/食後の時間帯の食後高血糖(PPHG)ピークを調整することはできない。このピークに対する作用は、いまだに取るに足らないものである。
【0016】
このように、上記の新しい薬効クラスはいずれも不充分である。これらは、有効性が不充分かつ高価で、一部は、誤差の問題を生じたり、皮下注射が必要であったりして、インスリンを用いる治療法を上回る効果を持たない。インスリンを用いる治療法は、侵襲性ではあるが、より効果的であり、生理学的にもより適切である。
以上の通り、現在の2型糖尿病治療は不完全であり、食後の高血糖ピークの低下に関する国際的な推奨値に達していない。よって、現在利用可能な治療手段はいまだに不適当である。現在PPHGピークの問題と戦っている数百万の通院患者が、食前/食後の時間帯を通して血糖を最高でも1.4g/L未満とする推奨限界値内にPPHGピークを保つ、という目的で使用することのできる薬は存在しないからである。
【0017】
そのため、2型糖尿病で急激かつ強力に現れるPPHGピーク(多くの長中期の合併症、特に心血管合併症の原因となるもの)を治療できる薬が強く必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第2004/019903号
【特許文献2】国際公開第2008/035020号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
そこで、本発明は、従来技術の上記問題点の克服を目的とし、そのために、組成物とインスリン分泌性の医薬組成物の投与方法とを提案する。当該医薬組成物は、2型糖尿病の治療を主要な目的とするもので、速やかに作用し、使用が容易で価格も手ごろであり、食事時間における高血糖ピークの制御を可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的の達成のために、本発明は、効果的な量の1以上の低血糖誘導性、インスリン分泌性の有効成分の瞬時の経頬粘膜投与を、非常に独特な実施形で保証することを目的とし、より具体的には、人または動物における2型糖尿病の食後高血糖(PPHG)のスポット治療(spot treatment)において、1以上のインスリン分泌性の有効成分が安定状態で完全に溶解している水性アルコール溶液を用いる。
【0021】
本発明はまた、人または動物における2型糖尿病の治療、特にPPHGを下げるのに必要なスポット治療のための、上記の薬の調剤方法および使用法を提案する。
【発明の効果】
【0022】
効果的な点として、本発明の方法および組成物は瞬時の低血糖誘導性作用を生じさせ、その作用は注射によって得られるものに匹敵する。少量の治療用調合を瞬時かつに完全に経頬粘膜通過させる、通過させる低血糖誘導性/インスリン分泌性の分子の量は、通常経口投与される量よりも30〜50%以上少なく、それと共に、上記分子の唾液による希薄や嚥下は抑制される。これは、分子がほぼ瞬時に脈管系に到達し、全量が生体の薬理学的作用を生じるよう特定のレセプタに届けられ、インスリン分泌の刺激を生じさせたり、糖新生(neo-glucogenesis)に作用したりすること、を意味する。こうした処方物は、使用が容易かつ安価で、入手も容易で非侵襲性である。これを用いれば、生体利用可能量の低血糖誘導性/インスリン分泌性の分子を直ちに投与して、高血糖の急上昇を防ぐことができる。具体的には、2型糖尿病におけるPPHGを即座に下げることができる。
【0023】
更なる効果として、既存の低血糖誘導性/インスリン分泌性の分子を、より効果的なやり方で使用することができ、その量についても、PPHGピークをなくす目的で経口投与される場合と比較して30〜50%減らすことができる。こうしたピークを従来技術で治療するにはインスリン注射以外の方法はなかった。このように、本発明は、古くからの既知の分子に新しく前例のない治療的役割を与えるものである。すなわち、2型糖尿病における食後高血糖を即座に下げるという役割である。食後高血糖は、病原性が高いことが知られていながら、現在のところ実際的に治療的制御の下に置くことができてない要素である。
【0024】
単純さや医療サービスに関して匹敵するもののない手段を提供することによって、本発明は、国際的治療要件や保健当局の課す必要条件を満たすことができる一方で、いかなる形であれ治療を複雑化させることも、患者の治療習慣を複雑化させることもない。すなわち、追加のコストや制限(1型糖尿病の治療ではインスリン注射を繰り返さなければならないことなど)が生じることはない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
上記以外の特徴および効果は、本発明に関する以下の記述を読めば明らかになる。
第1の様態において本発明が提供するのは、1以上の低血糖誘導性/インスリン分泌性の有効成分が完全かつ安定した状態で溶解している水性アルコール溶液の形を取る医薬組成物であって、当該有効成分の量は、2型糖尿病におけるPPHGのスッポト治療における用途で経口投与される量に比べて30〜50%少ない。また、当該水性アルコールのアルコール度数は30度以上とするのが好ましい。
【0026】
「経粘膜」とは、完全かつ安定した状態で溶解している脂肪親和性または両親媒性の分子が、舌、舌下、歯肉、口蓋または頬の粘膜、あるいは、脂肪親和性上皮および口腔の構成を備えた他の粘膜を何らかの形で受動通過(passive passage)することを意味する。
「完全かつ安定した状態で溶解している」とは、有効成分が溶液中で分子の状態となっており、溶媒中でわずかにイオン化していることを意味し、こうした溶解状態によって不都合な再結晶化は防がれる。
【0027】
「アルコール度数X以上の水性アルコール溶液」とは、アルコール度数がXの溶液を意味し、これは、水性アルコール溶液に含まれる純粋アルコール(100度)の量と当該溶液の総量との比率に当たる。水性アルコール溶液のアルコール度数は、溶液を作るのに使用されたアルコールの量と、溶液における水/アルコールの比率とに応じて変化する。例えば、もともとのアルコール度数が100度で、水/アルコールの比率が50/50であれば、その水性アルコール溶液のアルコール度数は50度である。
【0028】
本発明に関して、「低血糖誘導性/インスリン分泌性の有効成分の量が少ない」とは、食後の高血糖(PPHG)ピークにおいて血液中の糖の量を減らしたり、血液中の糖の量の増加を防いだりすることのできる何らかの脂肪親和性または両親媒性の有効成分の経頬粘膜投与される量が、通常の経口単位投与量より30〜50%少ない、ということを意味する。
【0029】
低血糖誘導性/インスリン分泌性の有効成分は、塩基および/または塩の形で存在し、例えば、琥珀酸塩、塩酸塩、硫酸塩または硫酸メチルの形である。
有効成分は、1000Da未満の分子量を有する脂肪親和性または両親媒性低の血糖誘導性/インスリン分泌性の有効成分から選択される。非限定的な例として、低血糖誘導性のスルファミド、低血糖誘導性のビグアニド、グリニド、インクレチン(グリプチン)が挙げられる。
【0030】
ここで挙げられる特に適当な低血糖誘導性スルファミドとしては、グリクラジドやグリベンクラミドがある。
ここで挙げられる特に適当な低血糖誘導性ビグアニドとしては、メトホルミンがある。
ここで挙げられる特に適当なグリニドとしては、ミチグリニド、ナテグリニドやレパグリニドがある。
【0031】
ここで挙げられる特に適当なインクレチンまたはグリプチンとしては、シタグリプチン、ビルダグリプチンやサクサグリプチンがある。
特に適当な実施の形態では、本発明の医薬組成物は少量(すなわち、2ミリリットル(mL)未満)の水性アルコール溶液の形を取り、その中には1以上の低血糖誘導性の有効成分が完全かつ安定した状態で溶解している。当該有効成分の量は少量であり、通常の経口投与の場合の単位投与量に比べて30〜50%少なくなっている(通常は250mg未満)。
【0032】
本発明の処方物は、更にpH調整剤を含むこととしてもよいが、必須ではない。「pH調整剤」とは、有効成分の物理化学的な性質を変化させることのない、何らかの酸剤または酸基剤を意味する。
pH調整剤は、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウム、1ナトリウムリン酸塩または2ナトリウムリン酸塩、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)から選択されるか、または、塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸または酪酸から選択するのが好ましい。
【0033】
当該医薬組成物または処方物はまた、対象の有効成分とそれらの特定の投与量とに応じて、有効成分の溶解を潜在化するための補助剤を含む場合もある。当該補助剤は抗糖尿病性有効成分の低血糖誘導性の医薬作用に影響を与えないものとする。例えば、トコフェルソランまたはTEPGSを含む、2つの化学構造(1000〜2000Daの範囲の低い分子量を有するポリエチレングリコールおよびビタミンE)を結合したエステルとすることができる。
【0034】
本発明の組成物は、重量で30〜95%のアルコールと5〜70%の範囲の水とから成る水性アルコール溶液の形とするのが好ましい。そして、本発明の処方物は、重量で40〜85%のアルコールと60〜15%の範囲の水とから成る水性アルコール溶液とするのが、より好ましい。
当該水性アルコール溶液のアルコール度数は30度以上であり、30〜90度の範囲が好ましく、40〜60度の範囲がより好ましく。このアルコール度数は、特に脂肪親和性または両親媒性の低血糖誘導性/インスリン分泌性の分子に適している。それはつまり、こうした分子は通常安定した状態で完全に溶解させることが可能であって、頬粘膜を通してほとんど瞬時に吸収される、ということである。
【0035】
効果的なのは、こうした水性アルコール溶液が、本発明の処方物において使用される唯一の有機溶媒だという点である。
更に、水性アルコール溶液中のアルコールは、単に溶媒として働くのではなく、対象の有効成分の前粘膜吸収を加速させる促進剤としても働く。用いられるアルコール度数が高くなるほど、吸収速度も上昇する。対象の分子がアルコールよりもはるかに水に溶け易い場合、この第2の役割がアルコールの主要な役割となる。
【0036】
本発明の好適な実施の形態における水性アルコール溶液は、水とエタノールとに基づく。
一例として、本発明によれば、かなり脂肪親和性であるグリクラジドについても、約50度の水性アルコール溶液0.75mLに対して3.5mgの量のグリクラジドを完全に溶解させることが可能である。
【0037】
同様に、メトホルミンの場合、例えば、約30度の水性アルコール溶液1mLに対して150mgの量のメトホルミンを完全に溶解させることが可能である。上記処方物はメトホルミンの前粘膜通過(pre-mucosal passage)を可能にするが、この形での通過は従来考えられないものであった。なお、当然のことながら、こうした濃度は一例であって、被験者の2型糖尿病患者やその食後高血糖のエピソードのプロフィールによっては、適合するか疑わしい場合もある。留意すべき点として、こうした分子に用いられる重量の変動幅は、倍増係数が単位投与量の最大6倍となる広いものである。
【0038】
本発明に従ってグリベンクラミド(非常に溶け易い有効成分)を用いる場合、約50度の水性アルコール溶液1mLに対して1mgの量のグリベンクラミドを用いれば、当該有効成分を完全に溶解させることができる。これは、遅延なしで非常に強力な低血糖誘導性/インスリン分泌性の薬力学的作用を実現できる投与量の一例であり、食前/食後の高血糖ピークの上昇に対応するよう定められたものである。なお、経口投与で同じ有効成分を2.5mgまたは5mg投与しても、こうしたPPHG低下効果は決して得られない。
【0039】
このように、本発明によれば、有効成分の溶解係数および使用量の調節を行うことができるが、その手段として、第1に、経粘膜通過を加速するのに必要なアルコール度数に基づく調整を行い、第2に、水/エタノール平衡と使用されるpH調整補助剤または溶解補助剤とに応じて、各有効成分に対して定められた好適な重量比に基づく調整を行う。
本発明の処方物のpHは、4.5〜9.0の範囲が好ましく、4.5〜8の範囲であれば更に好ましい。こうしたpH値は、溶液吸収の最適化を促進する。
【0040】
本発明の処方物は、液体を塗布して所定の頬粘膜表面に接触させてから6秒未満の時間で、有効成分が頬粘膜を受動通過させることができる。このように吸収時間が非常に短いことで、頬の内側の空気に溶液および有効成分が停滞する事態や、意図せずに唾液と混合して変質してしまう事態を回避できるという効果が生じる。こうした事態は、有効成分の溶液の連続性や安定性を損なってしまう。また、このように時間が短いことで、溶液やそこに含まれる有効成分が反射的に嚥下されて消化路に入ってしまう事態も避けられることになる。加えて、有効成分の血管内濃度が高く、それが短時間で分布されることにより、目標となる膵臓のインスリン分泌レセプタに対して集中的な薬力学的効果(これまでは実現できなかった「フラッシュ」効果)が実現される、という効果が生じる。
【0041】
本発明による、溶解状態で存在する有効成分の経頬粘膜通過は、リン脂質構造で構成される外側上皮膜側からであり、リン脂質構造は、完全に溶解して安定した状態で存在する脂肪親和性分子を選択的親和性で受動吸収(passively absorb)するものである。当該経頬粘膜通過は、前記膜の反対側に向かう浸透吸引力(osmotic attraction)によって引き起こされ、対象の溶解有効成分の濃度およびアルコール溶液の濃度が、これに貢献する。吸収促進剤のアルコール度数が高ければ、浸透吸引力はより顕著になる。アルコール度数は30〜90度の範囲が適しており、30〜65度の範囲が好ましい。こうした度数は同時に、最適の溶解係数を実現すると共に、各分子を安定化させ、さらに、4〜6秒の時間で粘膜通路するよう促進する。
【0042】
1つの実施の形態では、本発明は、アルコール度数が30〜65度の範囲で、グリクラジドが3〜10mgの範囲で溶解した水性アルコール溶液で構成された抗糖尿病薬として提供される。特に適切な例を挙げれば、アルコール度数50度で、1mLあたり3.5mgのグリクラジドを含んだ水性アルコール溶液である。
別の実施の形態では、本発明の抗糖尿病薬は、アルコール度数が40〜60度の範囲で、0.75〜1.5mLの量にメトホルミンが15〜225mgの範囲で溶解した、水性アルコール溶液で構成することができる。
【0043】
また、低血糖誘導性の有効成分は、グリベンクラミドとすることができる。具体的には、本発明の抗糖尿病薬は、アルコール度数が30〜65度の範囲で、治療単位量として0.25〜1mgの範囲のグリベンクラミドが溶解した、水性アルコール溶液で構成することができる。
また、有効成分はグリニドから選択してもよい。具体的には、レパグリニドとすることができる。具体的には、本発明の抗糖尿病薬は、アルコール度数が30〜70度の範囲で、治療単位量として0.05〜1mgの範囲のレパグリニドが溶解した、水性アルコール溶液で構成することができる。
【0044】
本発明の別の実施の形態では、有効成分をグリプチンおよびインクレチンから選択することもできる。具体的には、シタグリプチン、ビルダグリプチン、またはサクサグリプチンとすることができる。
具体的には、本発明の抗糖尿病薬は更に、アルコール度数が30〜70度の範囲で、治療単位量として0.25〜0.45mgの範囲のシタグリプチンが溶解した、水性アルコール溶液で構成することができる。本発明の抗糖尿病薬は更に、アルコール度数が30〜70度の範囲で、治療単位量として0.25〜25mgの範囲のビルダグリプチンが溶解した、水性アルコール溶液で構成することもできる。本発明の抗糖尿病薬は更に、アルコール度数が30〜70度の範囲で、0.25〜1.5mgの範囲のサクサグリプチンが溶解した水性アルコール溶液で構成することもできる。
【0045】
口の粘膜は、密集した海綿状毛細血管網を有しており、そのため、上皮膜の脂肪親和性孔を通過した分子(アルコール溶媒および溶解した有効成分の両方の分子)は、直ちに血液微小循環系に取り込まれ、そこから舌下静脈、次いで頸静脈へと送られ、そして、心臓に向かう。この現象はアルコールの存在によって促進される。アルコールは、粘膜内で血管拡張と局所的微小血管流の増大とを生じさせる。
【0046】
アルコールによって局所的に循環流が高くなるため、上皮膜の両側で平衡が生じることはない。吸収すべき分子がなくなってメカニズム(mechanism)が完全に消費されるまでは、常に口中の濃度の方が高い。
よって、よく知られた上記以外の全ての「舌下」の形とは異なり、本発明では、アルコールおよびそこに溶けた有効成分は、全てが粘膜を通過する。
【0047】
本発明のガレン製剤を使用するということは、所定量の低血糖誘導性/インスリン分泌性物質を受動投与できることを意味する。物質は、塗布されて粘膜に接すると直ちに吸収され、脈管ルートを通って瞬時に分配され、その薬理学的作用には全く遅延がなく、従来のように消化系や肝臓を通る際に破壊的な影響を受けることはない。よって、本発明の医薬組成物によれば、低血糖誘導性分子の完全かつ瞬時の組織吸収と、その後の生体の中心循環系(頸静脈、上大静脈、心臓の右側、肺動脈、肺、心臓左側、そして、大動脈から全身動脈循環系)による分配とが実現され、そして、急速な「フラッシュ(flash)」型の薬力学的反応が生じる。
【0048】
例えば、エタノールが30度の水性アルコール溶液1.5mLに225mgのメトホルミンを溶解させた組成物を用いて製造される本発明のガレン製剤の場合、この非常に大量のメトホルミンの全てを、ほとんど瞬時に投与することができる。この225mgという量は、通常経口投与される量(500mg)のうち理論的に利用可能な部分の最大値に近い値であり、通常経口投与される量の最大値である50%(250mg)に相当する。
【0049】
同様に、50度のエタノール溶液1mLに5mgのグリクラジドを溶解させて作られた本発明のガレン製剤の場合、通常経口投与される量の理論的に利用可能な部分の最大値よりも大きい量(血液5Lに対して5mg)を、ほとんど瞬時かつ受動投与することができる。実際、経口摂取の場合は、本発明のように血液1Lに対して1mgのグリクラジドに等しい血漿濃度を得ようとすれば、30mgのグリクラジドが必要となる。そして、組織中の平均の分布容積は30Lである。
【0050】
本発明の処方物では、局所的な前粘膜通過で投与された量が、完全に生体利用される。
本発明の水性アルコール溶液は、アルコール濃度が30度以上であり、低血糖誘導性/インスリン分泌性の分子を脂肪親和性であっても溶解させる、という効果(それによって自然な前粘膜吸収が促進される)だけでなく、微生物汚染から医薬処方物を保護するため、抗菌物質保存剤を加える必要がない、という効果も有する。
【0051】
よって、本発明の水性アルコール溶液は以下の4つの効果を発揮する:
・低血糖誘導性の有効成分のための溶媒として働き、経口で用いられる場合に比べて30〜50%少ない量で、分子量の小さい脂肪親和性または両親媒性の分子を用いて2型糖尿病患者のPPHGを治療する;
・溶解して分子状態で脂肪親和性膜に存在する有効成分の前粘膜通過を開始させる;
・上記アルコール濃度により、粘膜吸収速度に関して二重の効果が生じるが、これらは、いずれも浸透作用と反射的な微小血管拡張の誘発とによるものであり、局所的に微小循環流が加速される;
・それ自体が安定剤であるため、従来の添加物の使用が避けられることになる。
【0052】
効果的な構成として、本発明は、製造が非常に簡単であり、ガレン製剤としての安定性に優れている。極めて単純な水/アルコール溶液であるために有効成分の溶解が保証され、それは、従来の医薬調剤に通常使用される添加剤(防腐剤など)が不要となることを意味する。
従って、製造コストを下げることができると共に、有効成分と添加剤との間の生じうる相互作用や非許容性に関する危険を軽減することもできる。
【0053】
また、別の効果として、本発明の薬で生じる薬力学的作用の遅延は、既存の低血糖誘導性/インスリン分泌性の薬の緩やかな吸収に比べれば、非常に短い。既存薬では、グリニドの場合、薬の摂取から低血糖誘導性の薬理学的作用が発揮され始めるまで30分以上待たなければならない。つまり、本発明の薬では、食後高血糖ピークを遅延なしに下げることができる。
【0054】
この、ほぼ瞬時に分配を行える薬理学的手段は、食前/食後の時間帯に患者自身が薬の投与を行えるものであり、その効果は、皮下注射や静脈注射で行われる循環系への瞬時注入の場合の有効性に匹敵する一方、そうした種類の投与に関連する医原性の危険や皮膚を損なう問題は存在しない。
これは、血糖の急激な変動を効果的に治療できる薬であり、従来技術のいかなる薬や用法でも考えられず、実現不能なものである。本発明が提供するのは、2型糖尿病の治療に関連する食後高血糖の治療法であり、こうした病気の現行の治療薬に比較して、容易で、効果的、即座に使用でき、簡単で、単位原価や治療コストも安価である。
【0055】
それに加えて、量/効果比(dose/effect ratio)(効果を生じるのに必要な量)について既存の抗糖尿病薬と比較した場合、少なくとも、グリクラジドでは84〜98%、グリベンクラミドでは60〜93.4%、レパグリニドでは50〜90%、シタグリプチンでは50〜99.75%、ビルダグリプチンでは50〜99.75%、サクサグリプチンでは85〜97.5%という結果がそれぞれ得られている。よって、本発明の医薬組成物を投与すれば、各々の分子を上述した量だけ投与することで即座に治療効果が得られるので節約ができ、そして、従来になかった新しい治療効果(すなわち、2型糖尿病患者における食後高血糖のスポット治療)が実現される。投与された低血糖誘導性/インスリン分泌性の分子は、何ら重大な障害に直面することなく、動脈を通って短時間で(わずか数秒で)肝臓または膵臓のレセプタに到達する。投与される基本量は、論理上の薬理学的作用を瞬時に生じるのに必要な必須生体利用量と比較した場合、相当に小さくなる。この量は当然、投与される有効成分と対象の患者とによって変わる。対象の上記有効成分に応じて、0.25〜2mLの量の水性アルコール溶液に対し、有効成分は0.025〜250mgの範囲とするのが好ましい。
【0056】
対象の有効成分に応じて、本発明の薬は、食事の開始から5〜15分の時間帯で投与される。これは、2型糖尿病の患者で常に問題となる生理的インスリン分泌の第1段階をシミュレートするためである。当該段階は、正常であれば食事の開始から数分後に始まるが、2型糖尿病の患者では最大で30分の遅れが生じ、3倍である。本発明で投与される量の低血糖誘導性/インスリン分泌性の有効成分には、一方で、インスリン生成の刺激を瞬時に生じさせる形で直接的に作用して、その結果生じる分泌を正常な生理的分泌に近いものとし、他方で、肝臓の糖代謝、組織によるブドウ糖消費に作用する、という効果がある。例えば、グリニドの場合、それが瞬時に生じさせるインスリン生成の刺激は、生理的に生じる正常なインスリン生成の場合に非常に近いものである。それは、従来技術のグリニドベースの薬と比べて、食後高血糖ピークの調整が極めて動的に行え、対象の患者に適合させることができる、ということを意味する。更に、本発明の薬が有する上記インスリン分泌能力は、インスリンの急速注入(1型糖尿病自身が食事の直前に皮下注射の形で行うもの)の場合に近い。また、別の効果として、インスリン分泌性の低血糖物質(hypoglycemiatings)の場合、特にグリニドの場合、本発明を用いることで、インスリンを即座に(数分で)かつ短期間(1〜2時間)だけ放出させることができる。これは、公知の食後高血糖ピークの時間帯にはっきり一致するため、医原性低血糖の危険はない。
【0057】
更に、頬粘膜は絨毛状組織の襞特性のために総吸収表面積が非常に大きくなっているため、本発明の薬の投与では、不注意で嚥下したり、間違ったやり方で飲み下したりする危険性がない。実際、急速な前粘膜通過が可能であり、それによって、投与された有効成分が唾液に溶けたり嚥下されたりする事態は防止されるため、各種の成分や添加剤で粘膜が不安定することはない、という効果が得られる。更に、量が少なく、個別に分離している(discrete)ので、投与が簡単なため、本発明の処方物は、特に2型糖尿病の外来患者における食後高血糖のスポット治療(1日に数回、食事のたびに摂取が必要)に適している。
【0058】
更に、アルコールの影響は無視できる程度である。例えば、50度エタノールの水性アルコール溶液0.75mLの場合、ウィドマークの公式参照計算式で計算すると、理論上血中を循環しているアルコールの濃度は、0.017g/L未満にしかならず、この値は、フランスにおける法定限界(血液1リットルに対し0.5g)の30分の1である。更に、分子が小さく、自然蒸発するため、頬粘膜から投与される溶液中のエタノールのほとんど全てが、投与直後に肺動脈を経て送られた先の肺組織の肺胞表面を通して、早い段階で自然に排気されることになる。これにより、本発明の投与方法のもう1つの重要な効果が生じる。実際問題として、アルコールの全身投与がないということである。
【0059】
本発明は、第2の様態として、処方物の調剤方法を提供する。
本発明の製品の特に好適な調剤方法は、以下のステップから成る:
・アルコールと浄水とを、好ましくはステンレス鋼のセルの中で混合し、得られた混合物に、1以上の低血糖誘導性の有効成分を、好ましくは撹拌しながら加えるステップと;
・有効成分が完全に溶解するまで継続して調剤を撹拌するステップと;
・得られた溶液を0.45μmの孔を有するフィルタで濾過するステップ。
【0060】
また、好適な実施形では、本方法は以下のステップから成る:すなわち、
・エタノールと浄水と混合して得られた混合物に、メトホルミン、グリクラジド、グリベンクラミド、レパグリニド、シタグリプチンまたはビルダグリプチンまたはサクサグリプチンを加えるステップと;
・均一な懸濁液が得られ、有効成分が完全に溶解するまで、好ましくは10〜60分間、調剤を撹拌するステップと
・濾過するステップ。
【0061】
更に、必須ではないが、濾過するステップに先立って、以下のステップを含むこととしてもよい:すなわち、
・溶解のための補助剤を加える、および/または、5.0〜8.0の範囲の所望のpHになるまで徐々にpH調整剤を加えるステップと;
・有効成分が完全に溶解するまで、好ましくは5〜30分間、継続して撹拌するステップと;
・必要であれば水を補って所望の量とするステップ。
【0062】
本発明は、2型糖尿病の治療に関連して、低血糖誘導性の薬剤を、より少ないが有効な量だけ、瞬時に全身投与する目的で使用することができ、投与するのは、具体的には、低血糖誘導性スルファミド、低血糖誘導性のビグアニド、グリベンクラミド、グリニドまたはインクレチンであり、それは具体的には、メトホルミン、グリクラジド、グリベンクラミド、レパグリニド、シタグリプチンまたはビルダグリプチンまたはサクサグリプチンである。
【0063】
具体的には、本発明は、2型糖尿病の治療において、食後高血糖ピークを抑えて関連する危険を排除する目的で経頬粘膜投与される薬の製造に用いることもできる。
こうした薬は、これまでは治療が不可能、または効果の低い治療しかできなかった、食後高血糖ピークの治療管理の問題に対する、単純、効果的、独占的かつ安価な対応策を構成し、特に、経口投与で従来知られていた分子を使用することができるという効果がある。そうした分子のほとんどは、何千万もの人々を対象に数十年間研究されてきたものである。
【0064】
本発明を用いることで、これまでなかった2型糖尿病の治療法が生み出される。その手順は、基本的に従来通りの治療法で低血糖誘導性分子を経口投与するのに組み合わせて、食後高血糖(PPHG)のその場でのスポット治療に、食後高血糖ピークの補償を特に目的とする本発明の製品を用いる、というものである。これによれば、病気の2つの決定的な側面を同時に治療することができる。つまり、本発明が提供するのは、これまでは不完全または不充分であった食後高血糖(PPHG)の治療に対する、治療的対策である。
【0065】
本発明の医薬組成物は、非常に少量の液体なので、投与が非常に簡単である。患者がこれを口内に塗布し、面積の狭い限定された粘膜領域に直接接触させることは簡単である。患者には、本発明の処方物を唾液分泌箇所からから離れた粘膜領域に塗布してもらうのが望ましい(例えば、下側そして外側の歯茎冠部と頬および下唇の下側内表面の粘膜壁とによって規定される前庭)。平均のチャネル(channel)は、長さ約18センチメートル(cm)、深さ1〜1.5cmの閉じた容器(reservoir)である(すなわち、粘膜吸収面積は35〜55平方センチメートル(cm2)となる)。
【0066】
最後の様態として、本発明の処方物は、安全、簡単かつ人間工学的に使用でき、しかも、有効成分が空気や光に接して劣化するのを防止できるよう、特別な工業用包装を必要とする。
1つの特定の実装形で使用する包装は、好ましくは小型で、プラスチック製またはメタロプラスチック製である。柔軟なものでもよいしガラス製でもよい。不透明であって、充填は窒素などの不活発気体の中で行い、組成物の安定性を守ると共に酸素や放射から保護する。こうした包装を用いれば、本発明による水性アルコール溶液に溶解した有効成分が、長期間安定して溶解した状態を保つことが保証される。
【0067】
こうした包装については、本発明の溶液を正確かつ簡単に塗布して、正しい粘膜領域に接触させることができるよう、カニューレで構成するのが好ましい。
使用時の患者の快適性のために、そして、輸送を容易にするために、特定の密封ポーチの形をした包装を用いることが好ましい。更に、ガレン製剤の形を取る本発明は、0.1〜2mLの単位量パックに包装するのが好ましい。そうすれば、患者毎に調整した正確かつ適当な量の有効成分を提供することができる。
【0068】
効果的な構成として、上記の包装は運搬が簡単であり、ガレン製剤なので、一日のどの時間帯でも直ちに使用できる。
本発明による処方物については、いくつかの例が挙げられる。それらは特に、低血糖誘導の効能を即効で生じさせることができ、2型糖尿病の人物におけるPPHGピークを消滅させることができる。
【0069】
処方物1:約50度のエタノール1.5mLに対して5mgのグリクラジド
・グリクラジド(有効成分):5.0mg
・ビタミンE TPGS 3.5mg
・NaOH qs pH7.5
・95度のエチルアルコール(希釈剤兼吸収促進剤):0.50mL
・浄水(希釈剤): qs 1.00mL
この第1の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・エタノールと浄水とを混合し、得られた混合物にグリクラジドとビタミンE TPGSとを同時に加える;
・有効成分が完全に溶解するまで、望ましくは10〜60分間、調剤を撹拌する;
・45μmのフィルタで濾過する。
【0070】
処方物2:約50度のエタノール0.9mLに対して3mgのグリクラジド
・グリクラジド(有効成分):3.0mg
・ビタミンE TPGS 2.1mg
・NaOH qs pH7.5
・95度のエチルアルコール(希釈剤兼吸収促進剤):0.45mL
・浄水(希釈剤): qs 0.9mL
この第2の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・エタノールと浄水とを混合し、得られた混合物にグリクラジドとビタミンE TPGSとを同時に加える;
・有効成分が完全に溶解するまで、望ましくは10〜60分間、調剤を撹拌する;
・45μmのフィルタで濾過する。
【0071】
処方物3:約50度のエタノール1mLに対して1mgのグリベンクラミド
・グリベンクラミド(有効成分):1.0mg
・NaOH qs pH8
・95度のエチルアルコール(希釈剤兼吸収促進剤):0.5mL
・浄水(希釈剤): qs 1.0mL
この第3の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・エタノールと浄水とを混合し、得られた混合物にグリベンクラミドを加える;
・pHが8になるようNaOHを加えてから、有効成分が完全に溶解するまで、望ましくは10〜60分間、調剤を撹拌する。
・45μmのフィルタで濾過する。
【0072】
処方物4:約50度のエタノール1mLに対して1mgのグリベンクラミド
・グリベンクラミド(有効成分):1.0mg
・ビタミンE TPGS 2.0mg
・NaOH qs pH8
・95度のエチルアルコール(希釈剤兼吸収促進剤):0.30mL
・浄水(希釈剤): qs 0.75mL
この第4の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・エタノールと浄水とを混合し、得られた混合物にグリベンクラミドを加える;
・撹拌しながらビタミンE TPGSを加える;
・pHが8になるようNaOHを加えてから、有効成分が完全に溶解するまで、望ましくは10〜60分間、調剤を撹拌する。
【0073】
処方物5:約30度のアルコール1mLに対して150mgのメトホルミン
・メトホルミン HCl: 150mg
・95度のエチルアルコール(希釈剤兼吸収促進剤):0.3mL
・浄水 qs 1mL
・HCl qs pH4.6
この第5の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルに浄水を入れる;
・撹拌しながらメトホルミンを加える;
・完全に溶解するまで撹拌する;
・pH4.6の均一な溶液が得られるまで、撹拌しながらエチルアルコールを加える;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0074】
処方物6:50度の水性アルコール溶液0.25mLに対して0.0625mgのレパグリニド
・レパグリニド 0.0625mg
・95度のエチルアルコール 0.125mL
・浄水 0.125mL
この第6の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらレパグリニドを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0075】
処方物7:50度の水性アルコール溶液0.25mLに対して0.125mgのレパグリニド
・レパグリニド 0.125mg
・95度のエチルアルコール 0.125mL
・浄水 0.125mL
この第7の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらレパグリニドを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0076】
処方物8:50度の水性アルコール溶液0.5mLに対して0.25mgのレパグリニド
・レパグリニド 0.25mg
・95度のエチルアルコール 0.25mL
・浄水 0.25mL
この第8の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにエチルアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらレパグリニドを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0077】
処方物9:50度の水性アルコール溶液1mLに対して0.5mgのレパグリニド
・レパグリニド 0.5mg
・95度のエチルアルコール 0.50mL
・浄水 0.50mL
この第9の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらレパグリニドを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0078】
処方物10:50度の水性アルコール溶液0.5mLに対して5mgのシタグリプチン
・シタグリプチン 5mg
・95度のエチルアルコール 0.50mL
・浄水 0.50mL
この第10の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにエチルアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらシタグリプチンを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0079】
処方物11:50度の水性アルコール溶液0.5mLに対して10mgのシタグリプチン
・シタグリプチン 10mg
・95度のエチルアルコール 0.25mL
・浄水 0.25mL
この第11の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらシタグリプチンを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0080】
処方物12:50度の水性アルコール溶液1mLに対して25mgのシタグリプチン
・シタグリプチン 25mg
・95度のエチルアルコール 0.50mL
・浄水 0.50mL
この第12の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらシタグリプチンを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0081】
処方物13:50度の水性アルコール溶液0.5mLに対して2.5mgのビルダグリプチン
・ビルダグリプチン 2.5mg
・95度のエチルアルコール 0.25mL
・浄水 0.25mL
この第13の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにエチルアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらビルダグリプチンを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0082】
処方物14:50度の水性アルコール溶液0.5mLに対して5mgのビルダグリプチン
・ビルダグリプチン 5mg
・95度のエチルアルコール 0.25mL
・浄水 0.25mL
この第14の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにエチルアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらビルダグリプチンを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0083】
処方物15:50度の水性アルコール溶液1mLに対して10mgのビルダグリプチン
・ビルダグリプチン 10mg
・95度のエチルアルコール 0.5mL
・浄水 0.5mL
この第15の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらビルダグリプチンを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0084】
処方物16:50度の水性アルコール溶液1mLに対して15mgのビルダグリプチン
・ビルダグリプチン 15mg
・95度のエチルアルコール 0.5mL
・浄水 0.5mL
この第16の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらビルダグリプチンを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0085】
処方物17:50度の水性アルコール溶液0.5mLに対して1.5mgのサクサグリプチン
・サクサグリプチン 1.5mg
・95度のエチルアルコール 0.25mL
・浄水 0.25mL
この第17の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらサクサグリプチンを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0086】
処方物18:50度の水性アルコール溶液0.5mLに対して0.75mgのサクサグリプチン
・サクサグリプチン 0.75mg
・95度のエチルアルコール 0.25mL
・浄水 0.25mL
この第18の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらサクサグリプチンを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0087】
処方物19:50度の水性アルコール溶液0.5mLに対して0.5mgのサクサグリプチン
・サクサグリプチン 0.75mg
・95度のエチルアルコール 0.25mL
・浄水 0.25mL
この第19の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらサクサグリプチンを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0088】
処方物20:50度の水性アルコール溶液0.25mLに対して0.25mgのサクサグリプチン
・サクサグリプチン 0.25mg
・95度のエチルアルコール 0.125mL
・浄水 0.125mL
この第20の処方物は下記の方法を実行することで得られる:
・ステンレス鋼のセルにアルコールと浄水とを入れる;
・撹拌しながらサクサグリプチンを加え、完全に溶解するまで撹拌を続ける;
・45μm孔のフィルタで溶液を濾過する。
【0089】
言うまでもなく、本発明は、ここまでに示し説明してきた例に限定されるものではなく、本発明にはあらゆる変形例が含まれる。
また、本発明は動物にも適用できる。具体的には、太り過ぎの犬などのペットの2型糖尿病の治療に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常の経口単位投与量と比べて30%から50%少ない量の1以上の低血糖誘導性またはインスリン分泌性の有効成分が、安定状態で完全に溶解している水性アルコール溶液の形を取り、人または動物の2型糖尿病における食後高血糖のスポット治療の薬として経頬粘膜手段で投与する用途に用いられること、
を特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
通常の経口単位投与量と比べて30%から50%少ない量の1以上の低血糖誘導性またはインスリン分泌性の有効成分が、安定状態で完全に溶解している水性アルコール溶液の形を取り、人または動物の2型糖尿病における食後高血糖のスポット治療の薬として経頬粘膜手段で投与する用途に用いられ、
必要な生理的分泌に近い形で膵臓インスリンの生成が行われるように即座に刺激を加えること、
を特徴とする医薬組成物。
【請求項3】
アルコール度数が30度以上であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
水およびエタノールを基礎とすること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
低血糖誘導性の有効成分は塩基または塩の形で存在すること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
2mL未満の量の水性アルコール溶液の形を取り、250mg以下の量の1以上の低血糖誘導性の有効成分が安定状態で完全に溶解していること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
低血糖誘導性の有効成分は、投与量が通常の経口単位投与量と比べて30%から50%少なく、脂肪親和性又は両親媒性の有効成分から選択され、当該脂肪親和性又は両親媒性の有効成分には、グリクラジド、メトホルミン、グリベンクラミド、グリニド、インクレチンが含まれること、
を特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
pH調整剤を更に含むこと、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
pH調整剤は、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウム、1ナトリウムリン酸塩または2ナトリウムリン酸塩、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選択されるか、または、塩酸、硫酸、コハク酸、酪酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸または乳酸から選択されること、
を特徴とする請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
pHが4.5から9.0の範囲にあること、
を特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
ビタミンEを基礎とする化合物の形で、低血糖誘導性の有効成分を溶解させるための補助薬を更に含むこと、
を特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の医薬組成物を調剤する調剤方法であって、
・アルコールと浄水とを混合して得られた混合物に、1以上の低血糖誘導性またはインスリン分泌性の有効成分を加えるステップと、
・有効成分が完全に溶解するまで継続して調剤を撹拌するステップと、
・得られた溶液を0.45μmの孔を有するフィルタで濾過するステップと、を含むこと、
を特徴とする調剤方法。
【請求項13】
・エタノールと浄水とを混合して得られた混合物に、メトホルミン、グリクラジド、グリベンクラミド、レパグリニド、シタグリプチンまたはビルダグリプチンまたはサクサグリプチンを加えるステップと、
・均一な懸濁液が得られて有効成分が完全に溶解するまで、10分から60分の間、調剤を撹拌するステップと、
・得られた溶液を0.45μmの孔を有するフィルタで濾過するステップと、を含むこと、
を特徴とする請求項12に記載の調剤方法。
【請求項14】
濾過するステップの前に実行されるステップとして、
・溶解補助剤を加えるステップ、または、
・pH調整剤を徐々に加えて、pH値を4.5から8.0の範囲の所望の値にするステップ、そして、
・有効成分が完全に溶解するまで、5分から30分の間、継続して撹拌するステップ、を有すること、
を特徴とする請求項12又は13に記載の調剤方法。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれか一項に記載の調剤方法の実行によって得られる医薬組成物の使用方法であって、
人または動物の2型糖尿病における食後高血糖のスポット治療を目的として経頬粘膜投与される薬の製造に用いられる、という使用方法。
【請求項16】
必要な生理的分泌に近い形で膵臓インスリンの生成が行われるように即座に刺激を加えることで人または動物の2型糖尿病における食後高血糖をスポット治療すること、を目的として経頬粘膜投与される薬の製造に用いられること、
を特徴とする請求項15に記載の使用方法。

【公表番号】特表2012−532852(P2012−532852A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519040(P2012−519040)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051426
【国際公開番号】WO2011/004117
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(511148455)
【出願人】(511148503)
【出願人】(512007535)
【Fターム(参考)】