説明

2成分スパンデックス

横断面を含んでいて少なくとも前記横断面の1番目の領域にポリウレタン尿素組成物が含まれておりかつ2番目の領域も含んで成る弾性多成分繊維。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
限定可能な境界を有する個別の領域を少なくとも2つ含む横断面を有していて前記横断面の前記境界によって限定されている少なくとも1つの領域にポリウレタン尿素組成物が含まれている溶液紡糸方法製造による弾性繊維、例えばポリウレタン尿素組成物含有スパンデックスなどを包含する。
【背景技術】
【0002】
歴史的に、高機能性の弾性多数成分(多成分)繊維は溶融加工可能重合体、例えば熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリアミドなどを用いて探求されてきた。しかしながら、そのような構造物は充分な回復力を持たないか、耐熱性が低いと言った欠点を有するか、或は特定レベルを越えて引き伸ばされた時に大きな永久変形を示す。優れた回復力、耐熱性および低い変形度合を示す種類の良く知られた好適な重合体は、ポリウレタン尿素が基になった系であり、それらは総称的にスパンデックスまたはエラスタンと分類分けされる。しかしながら、そのような種類の繊維は、分子間結合が強いことが理由で、重合体溶液の押出し加工で成形する必要があることに加えて、溶媒を回収する目的で熱い不活性ガスが用いられる。
【0003】
今日、弾性繊維、例えばスパンデックス(またエラスタンとしても知られる)などは幅広く多様な製品で用いられている。例にはとりわけ靴下、水着、衣服、衛生製品、例えばおむつなどが含まれる。スパンデックス繊維の製造で用いられるポリウレタン尿素組成物はいくつかの限界を有することで、とりわけ、劣化を防止しかつ染色性を向上させる目的で添加剤を含有させることまたは重合体の組成を変えることなど如き修飾が行われている。
【0004】
特許文献1では、塩素への接触が理由で起こる経時的劣化が低下するようにハント石および水苦土石添加剤を含有させている。
【0005】
スパンデックス繊維の染色性が向上するように多数のアミン末端を含有させた特定のポリウレタン尿素組成物が特許文献2に示されている。
【0006】
第四級アミンをスパンデックス繊維の染色性を向上させる添加剤として含有するポリウレタン尿素組成物が特許文献3に示されている。
【0007】
そのようなスパンデックス組成物は各々が当該繊維に追加的機能を与えはするが、それによって当該繊維の好ましい特性が犠牲になる可能性がある。例えば、スパンデックスの組成を変えるか或は添加剤を含有させると当該繊維の弾性が低くなり得るか或は当該繊維が加工中に破断を起こすか或は他のある種の否定的影響が生じる可能性が大きくなり得る。
【0008】
従って、当該繊維の好ましい特性、例えば弾性などを維持しながらまた当該繊維の機能性、特に最終使用製品、例えば衣類、水着および靴下などが示す機能性を向上させる他の利点も示す新規なスパンデックス繊維が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,626,960号
【特許文献2】米国特許出願公開番号2005/0165200A1
【特許文献3】米国特許第6,403,682号
【発明の概要】
【0010】
本発明は、向上した機能性を有する多成分スパンデックス繊維の製品および製造方法に関する。
【0011】
いくつかの態様における繊維は、横断面を含んでいて少なくとも前記横断面の1番目の領域にポリウレタン尿素組成物が含まれておりかつ2番目の領域も含んで成る弾性多成分である。いくつかの態様では、前記1番目の領域および2番目の領域に異なる組成物を含有させる。
【0012】
いくつかの態様における繊維は、横断面を含んでいて少なくとも前記横断面の1番目の領域にポリウレタンまたはポリウレタン尿素組成物が含まれておりかつ2番目の領域も含む弾性多成分溶液紡糸である。
【0013】
いくつかの態様における繊維は、芯鞘型横断面を含んでいて芯領域にポリウレタンまたはポリウレタン尿素組成物が含まれそして鞘領域にポリウレタンまたはポリウレタン尿素組成物が含まれておりかつ前記芯領域と前記鞘領域の組成が異なる弾性2成分繊維である。
【0014】
いくつかの態様における製品は、横断面を含んでいて前記横断面の少なくとも1つの領域にポリウレタン尿素組成物が含まれている弾性多成分繊維を含有する製品である。
【0015】
いくつかの態様における方法は多成分繊維製造方法である。1つの方法は、
(a)重合体組成物の中の少なくとも1つにポリウレタン尿素溶液が含まれている少なくとも2種類の重合体組成物を準備し、
(b)前記組成物を分配板およびオリフィスに通して一緒にすることで横断面を有するフィラメントを生じさせ、
(c)前記フィラメントを共通の毛細管に通して押出し、そして
(d)前記フィラメントから溶媒を除去する、
ことを包含し、前記横断面は前記重合体組成物間の境界を含有する。
【0016】
また、横断面を含んでいて前記横断面の少なくとも1つの領域にポリウレタンまたはポリウレタン尿素組成物が含まれておりかつ繊維の少なくとも1つの領域が溶液紡糸されたものである弾性多成分繊維も包含する。
【0017】
別の態様における繊維は、各々に組成が異なるポリウレタン尿素が含まれている1番目の領域と2番目の領域を有する並列横断面を含む弾性2成分繊維である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1に、いくつかの態様で達成可能な繊維横断面の例を示す。
【図2】図2は、いくつかの態様の紡糸口金の横断面を示す図式図である。
【図3】図3は、いくつかの態様の紡糸口金の横断面を示す図式図である。
【図4】図4は、いくつかの態様の紡糸口金の横断面を示す図式図である。
【図5】図5は、1つの態様の繊維が示した示差走査熱量測定結果を示す図である。
【0019】
発明の詳細な説明
定義
本明細書で用いる如き用語「多成分繊維」は、組成が異なることに加えて識別できる境界を有する少なくとも2つの個別の区別できる領域、即ち繊維の長さ方向に沿って連続的に存在する組成が異なる領域を2つ以上有する繊維を意味する。このことは、繊維の長さ方向に沿って区別できる連続した境界を持たない繊維が生じるように2種以上の組成物を一緒にしたポリウレタンもしくはポリウレタン尿素混合物とは対照的である。用語「多数成分繊維」および「多成分繊維」は同義語であり、本明細書では互換的に用いる。
【0020】
用語「組成が異なる」は、異なる重合体、共重合体または混合物を含有する2種以上の組成物または1種以上の異なる添加剤が入っている2種以上の組成物であると定義し、これらの組成物に含まれている重合体は同じまたは異なってもよい。2種類の匹敵する組成物に異なる重合体および異なる添加剤が含まれている場合、それらもまた「組成が異なる」。
【0021】
用語「境界」、「境界2種以上」および「境界領域」は、多成分繊維横断面の異なる領域の間の接触点を記述する目的で用いる用語である。その接触点は、その2つの領域の組成が重なり合っていないか或は重なり合っている度合が最小限であるように「良好に限定されている」。重なり合いが2つの領域の間に存在する場合、その境界領域にはその2つの領域の混合物が含まれているであろう。そのような混合領域は、その混ざり合った境界領域と他の2つの領域の各々の間に個別の境界を伴う均一に混ざり合った個別の部分であり得る。別法として、そのような境界領域には、1番目の領域に隣接して存在する1番目の領域の組成の高濃度部分から2番目の領域に隣接して存在する2番目の領域の組成の高濃度部分に至る勾配が含まれている可能性がある。
【0022】
本明細書で用いる如き「溶媒」は、有機溶媒、例えばジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)およびN−メチルピロリドンなどを指す。
【0023】
本明細書で用いる如き用語「溶液紡糸」には、溶液から湿式紡糸または乾式紡糸工程のいずれかで繊維を生じさせることが含まれ、そのような工程は両方ともが繊維製造に一般的な技術である。
【0024】
本発明のいくつかの態様における繊維は、溶液紡糸ポリウレタン尿素組成物を含有する多成分もしくは2成分繊維であり、それをまたスパンデックスまたはエラスタンとも呼ぶ。そのような多成分繊維に持たせる様々な領域の組成には、当該重合体が異なるか、添加剤が異なるか或は重合体と添加剤の両方が異なる点で異なるポリウレタン尿素組成が含まれる。多成分繊維を生じさせることによって多種多様な利点を実現することができる。例えば、匹敵する特性を維持しながら添加剤またはより高価なポリウレタン尿素組成物を当該繊維の1つの領域にのみに用いることでコストを低くすることができる。また、通常の1成分スパンデックスヤーンと相溶しないであろう新規な添加剤を導入するか或は2種類の組成物を一緒にすることによる相乗効果によって向上した繊維特性を実現することも可能である。
【0025】
スパンデックス繊維がヤーン加工、布製造および衣類に含有させた時の消費者の満足さに適することを確保するのに役立たせる目的でいろいろな追加的特性を調整することも可能である。スパンデックス組成物は当該技術分野で良く知られており、それには数多くの
変形、例えばMonroe Couper著「Handbook of Fiber Science and Technology」、III巻、High Technology Fibers Part A.、Marcel Dekker,INC:1985、51−85頁に開示されているそれらが含まれ得る。それらのいくつかの例をここに示す。
【0026】
スパンデックス繊維に艶消し剤、例えばTiOまたは基礎繊維重合体のそれとは異なる屈折率を示す別の他の粒子などを0.01−6重量%の濃度で含有させることも可能である。明るいか或は光沢のある外観が望まれる場合にはまた濃度を低くすることも有効である。その濃度を高くするにつれて当該ヤーンの表面摩擦が変化する可能性があり、そのような変化によって、加工中に繊維が接触する表面との摩擦に影響が生じる可能性がある。
【0027】
1単位デニール当たりの破壊力をグラムで測定した時の繊維破壊強度(グラム/デニールで表す引張り強さ)を分子量および/または紡糸条件に応じて0.7から1.2グラム/デニールに調整してもよい。
【0028】
生じさせる繊維のデニールを所望布構造を基にして5−2000にしてもよい。デニールが5−30デニールのスパンデックスヤーンのフィラメント数を1から5にしてもよくそしてデニールが30−2000のヤーンのフィラメント数を20から200にしてもよい。そのような繊維を当該布の所望最終使用に応じて含有量が0.5%から100%になるように如何なる種類の布で用いてもよい(織物、縦編または横編)。
【0029】
スパンデックスヤーンは単独で使用可能であるか、或はFTC(Federal Trade Commission)が認識するように、それを他のいずれかのヤーン、例えば衣装最終使用に適したヤーンなどと一緒に層にするか、撚るか、一緒に挿入するか或は絡み合わせてもよい。それには、これらに限定するものでないが、ナイロン、ポリエステル、多成分ポリエステルもしくはナイロン、綿、羊毛、黄麻、サイザル麻、麻、亜麻、竹、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフルオロカーボン、レーヨン、いずれかの種類のセルロースおよびアクリル繊維から作られた繊維が含まれる。
【0030】
スパンデックス繊維に光沢剤または仕上げ剤を製造工程中に加えることで下流の繊維加工を向上させることも可能である。そのような仕上げ剤を0.5から10重量%の量で加えてもよい。
【0031】
スパンデックスの最初の色を調整するか或は重合体の劣化を開始させる可能性がある要因、例えば塩素、煙、紫外線、NOxまたは燃焼ガスなどにさらされることで起こる黄色化の影響を防止または隠蔽する目的でスパンデックス繊維に添加剤を含有させることも可能である。「CIE」白色度が40から160の範囲内のスパンデックス繊維を製造することができる。
【0032】
ポリウレタン尿素およびポリウレタン組成物
繊維または長鎖合成重合体の製造で用いるに有用なポリウレタン尿素組成物はセグメント化ポリウレタンを少なくとも85重量%含有する。それらには、典型的に、ジイソシアネートと反応してNCO末端プレポリマー(「キャップドグリコール」)を生じる高分子量のグリコールまたはポリオールが含まれ、次に、そのプレポリマーを適切な溶媒、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリドンなどに溶解させた後、二官能の鎖延長剤と反応させる。そのような鎖延長剤がジオールの場合にポリウレタンが生じる(そしてこれの調製は無溶媒で実施可能である)。その鎖延長剤がジアミンの場合にはポリウレタンのサブクラスであるポリウレタン尿素が生じる。スパンデッ
クスに紡糸可能なポリウレタン尿素重合体の製造では、グリコールのヒドロキシ末端基を逐次的にジイソシアネートそして1種以上のジアミンと反応させることで、そのグリコールに延長を受けさせる。各場合とも、そのグリコールに鎖延長を受けさせることで必要な特性(粘度を包含)を有する重合体を生じさせる必要がある。必要ならば、そのキャッピング段階を補助する目的でジブチル錫ジラウレート、オクタン酸第一錫、鉱酸、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、N,N’−ジメチルピペラジンなどおよび他の公知の触媒を用いることも可能である。
【0033】
適切なポリオール成分には、数平均分子量が約600から約3,500のポリエーテルグリコール、ポリカーボネートグリコールおよびポリエステルグリコールが含まれる。2種以上のポリオールの混合物もしくは共重合体も含まれ得る。
【0034】
使用可能なポリエーテルポリオールの例には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフランおよび3−メチルテトラヒドロフランの開環重合および/または共重合または各分子中の炭素原子数が12より少ない多価アルコール、例えばジオールもしくはジオール混合物、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールなどの縮合重合で生じたヒドロキシ基数が2以上のグリコールが含まれる。線状の二官能ポリエーテルポリオールが好適であり、分子量が約1,700から約2,100のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、例えば官能性が2のTerathane(商標)1800(INVISTA(Wichita、KS))などが特定の適したポリオールの一例である。共重合体にはポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールが含まれ得る。
【0035】
使用可能なポリエステルポリオールの例には、脂肪族ポリカルボン酸と各分子中の炭素原子数が12より多くない低分子量のポリオールもしくはこれらの混合物の縮合重合で生じたヒドロキシ基数が2以上のエステルグリコールが含まれる。適切なポリカルボン酸の例は、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸およびドデカンジカルボン酸である。ポリエステルポリオールの製造で用いるに適したポリオールの例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールである。溶融温度が約5℃から約50℃の線状二官能ポリエステルポリオールが特定のポリエステルポリオールの例である。
【0036】
使用可能なポリカーボネートポリオールの例には、ホスゲン、クロロ蟻酸エステル、ジアルキルカーボネートまたはジアリルカーボネートと各分子中の炭素原子数が12より多くない低分子量の脂肪族ポリオールもしくはこれらの混合物の縮合重合で生じたヒドロキシ基数が2以上のカーボネートグリコールが含まれる。ポリカーボネートポリオールの製造で用いるに適したポリオールの例は、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールである。溶融温度が約5℃から約50℃の線状二官能ポリカーボネートポリオールが特定のポリカーボネートポリオールの例である。
【0037】
ジイソシアネート成分にはまた単一のジイソシアネートまたはいろいろなジイソシアネートの混合物も含まれ得、それには4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)と2,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)異性体混合物が含まれる。適切な芳香族もしくは脂肪族ジイソシアネートのいずれも含まれ得る。使用可能なジイソシアネートの例には、これらに限定するものでないが、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、1−イソシアナト−2−[(4−シアナトフェニル)メチル]ベンゼン、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメトキシ)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−4−メチル−ベンゼン、2,2’−トルエンジイソシアネート、2,4’−トルエンジイソシアネートおよびこれらの混合物が含まれる。特定のポリイソシアネート成分の例には、Mondur(商標)ML(Bayer)、Lupranate(商標)MI(BASF)およびIsonate(商標)50 O,P’(Dow Chemical)およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0038】
ポリウレタン尿素用の鎖延長剤は水またはジアミン系鎖延長剤のいずれかであり得る。当該ポリウレタン尿素および結果として生じさせる繊維の所望特性に応じていろいろな鎖延長剤の組み合わせを含めることも可能である。適切なジアミン系鎖延長剤の例には、ヒドラジン、1,2−エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,2−ブタンジアミン、1,3−ブタンジアミン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、2,4−ジアミノ−1−メチルシクロヘキサン、N−メチルアミノ−ビス(3−プロピルアミン)、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、メタ−テトラメチルキシレンジアミン、1,3−ジアミノ−4−メチルシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサン−ジアミン、1,1−メチレン−ビス(4,4’−ジアミノヘキサン)、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ペンタンジアミン(1,3−ジアミノペンタン)、m−キシリレンジアミンおよびJeffamine(商標)(Texaco)が含まれる。
【0039】
ポリウレタンが望まれる場合の鎖延長剤はジオールである。使用可能なそのようなジオールの例には、これらに限定するものでないが、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−トリメチレンジオール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンおよび1,4−ブタンジオールおよびこれらの混合物が含まれる。
【0040】
場合により、当該重合体の分子量を調節する目的でブロッキング剤を含めてもよく、それは単官能アルコールまたは単官能ジアルキルアミンである。また、1種以上の単官能アルコールと1種以上のジアルキルアミンの混合物を含めることも可能である。
【0041】
本発明で用いるに有用な単官能アルコールの例には、炭素数が1から18の脂肪族および脂環式第一および第二アルコール、フェノール、置換フェノール、分子量が約750未満(分子量が500未満を包含)のエトキシル化アルキルフェノールおよびエトキシル化脂肪アルコール、ヒドロキシアミン、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルで置換されている第三級アミン、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルで置換されている複素環式化合物およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一員が含まれ
、それにはフルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、N−(2−ヒドロキシエチル)スクシニミド、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、メタノール、エタノール、ブタノール、ネオペンチルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、ベンジルアルコール、オクタノール、オクタデカノール、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2−ジメチルアミノエタノールおよび4−ピペリジンエタノールおよびこれらの組み合わせが含まれる。
【0042】
適切な単官能ジアルキルアミンであるブロッキング剤の例には、N,N−ジエチルアミン、N−エチル−N−プロピルアミン、N,N−ジイソプロピルアミン、N−t−ブチル−N−メチルアミン、N−t−ブチル−N−ベンジルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−エチル−N−イソプロピルアミン、N−t−ブチル−N−イソプロピルアミン、N−イソプロピル−N−シクロヘキシルアミン、N−エチル−N−シクロヘキシルアミン、N,N−ジエタノールアミンおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが含まれる。
【0043】
非ポリウレタン尿素重合体
本発明の多成分および/または2成分繊維で用いるに有用な他の重合体には、可溶であるか或は粒子形態で含有させることが可能な他の重合体が含まれる。そのような可溶重合体を当該ポリウレタン尿素溶液に溶解させるか或は溶液紡糸ポリウレタン尿素組成物と一緒に共押出し加工してもよい。そのような共押出し加工の結果として並列、同心芯鞘または偏心芯鞘の横断面を有する2成分もしくは多成分繊維が生じ得、その中の1成分はポリウレタン尿素溶体でありそしてもう一方の成分は別の重合体を含有する。他の可溶重合体の例には、とりわけポリウレタン(上述した如き)、ポリアミド、アクリル樹脂およびポリアラミドが含まれる。
【0044】
本発明の多成分および/または2成分繊維で用いるに有用な他の重合体には他の不溶な半結晶性重合体が含まれ、それを粒子形態で含有させる。有用なポリアミドには、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン10、ナイロン12、ナイロン6/10およびナイロン6/12が含まれる。有用なポリオレフィンには、CからC20単量体から生じた重合体が含まれる。それには共重合体および三元重合体、例えばエチレン−プロピレン共重合体などが含まれる。有用なポリオレフィン共重合体の例がDatta他の米国特許第6,867,260号(引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている。
【0045】
繊維の横断面形態
いくつかの態様の発明に関して、多種多様な横断面が有用である。それらには、2成分もしくは多成分の同心もしくは偏心芯鞘および2成分もしくは多成分並列が含まれる。いろいろな横断面の例を図1に示す。
【0046】
図1に示す繊維横断面は全部が組成が異なる1番目の領域と2番目の領域を有する。44デシテックス/3フィラメントのヤーンを図1Aおよび1Bに示す一方、44デシテックス/4フィラメントのヤーンを図1Cおよび1Dに示す。各々の中の1番目の領域に顔料を含有させそして2番目の領域には含有させない。図1Aおよび1Bに50/50の芯鞘横断面を含め、図1Cに17/83の鞘芯横断面を含め、そして図1Dに50/50の並列横断面を含める。
【0047】
そのような芯鞘および並列横断面の各々が組成が異なる少なくとも2種類のポリウレタン尿素組成物の間に境界領域を含有する。そのような境界は本図の各々の中で良好に限定された境界であるように見えるが、その境界には混ざり合った領域が含まれている可能性
がある。その境界が混ざり合った領域を含有する場合、その境界自身は1番目と2番目(または3番目、4番目など)の領域の組成物の混合物である区別できる領域である。そのような混合物は均一な混合物であり得るか或は1番目の領域から2番目の領域に向かう濃度勾配を含んでいる可能性がある。
【0048】
添加剤
場合によりポリウレタン尿素組成物に含有させてもよい種類の添加剤を以下に示す。非限定リストの例を以下に含める。しかしながら、追加的添加剤は当該技術分野で良く知られている。例には、抗酸化剤、紫外線安定剤、着色剤、顔料、架橋剤、相変化物質(パラフィンワックス)、抗菌剤、鉱物(即ち銅)、ミクロカプセル封じされた添加剤(即ち、アロエ、ビタミンEゲル、アロエ、昆布、ニコチン、カフェイン、香水または芳香剤)、ナノ粒子(即ちシリカまたは炭素)、ナノ粘土、炭酸カルシウム、タルク、難燃剤、抗粘着添加剤、塩素による劣化に抵抗する添加剤、ビタミン、薬品、香料、導電性添加剤、染色および/または染色補助剤(例えば第四級アンモニウム塩)が含まれる。本ポリウレタン尿素組成物に添加可能な他の添加剤には、接着促進剤、帯電防止剤、抗クリープ剤、光学的光沢剤、合体剤、導電性添加剤、発光添加剤、滑剤、有機および無機充填剤、防腐剤、テクスチャリング剤、サーモクロミック添加剤、昆虫忌避剤および湿潤剤、安定剤(ヒンダードフェノール、酸化亜鉛、ヒンダードアミン)、スリップ剤(シリコーンオイル)およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0049】
そのような添加剤は1つ以上の有益な特性を与える可能性があり、そのような特性には下記が含まれる:染色性、疎水性[即ちポリテトラフルオロエチレン(PTFE)]、親水性(即ちセルロース)、摩擦制御、耐塩素性、耐劣化性(即ち抗酸化剤)、接着性および/または融合性(即ち接着剤および接着促進剤)、難燃性、抗菌性(銀、銅、アンモニウム塩)、バリヤー、導電性(カーボンブラック)、引張り特性、色、発光、再利用性、生分解性、芳香、粘着制御(即ち金属のステアリン酸塩)、触知特性、変形能力、熱調節(即ち相変化物質)、栄養補給、艶消し剤、例えば二酸化チタンなど、安定剤、例えばヒドロタルサイト、ハント石と水苦土石の混合物など、紫外線遮蔽剤およびこれらの組み合わせ。
【0050】
装置
繊維およびフィラメント(人工2成分繊維のそれらが含まれる)に関する便利な引用文献(引用することによって本明細書に組み入れられる)は例えば下記である:
a.Fundamentals of Fibre Formation−The Science of Fibre Spinning and Drawing,Adrezij Ziabicki,John Wiley and Sons,London/New York,1976;
b.Bicomponent Fibres,R Jeffries,Merrow Publishing Co.Ltd,1971;
c.Handbook of Fiber Science and Technology,T.F.Cooke,CRC Press,1993;
【0051】
同様な引用文献には、2成分繊維の製造方法および装置が記述されている米国特許第5,162,074号および5,256,050号(引用することによって本明細書に組み入れられる)が含まれる。
【0052】
重合体をダイスに通して押出すことで繊維を生じさせる押出し加工を通常の装置、例えば押出し加工機、ギアポンプなどを用いて行う。当該重合体溶液をダイスに供給する時に個別のギアポンプを用いるのが好適である。機能性用添加剤を混合する場合、好適には、当該成分のより均一な分散を得る目的で、例えばギアポンプの上流に位置させた固定式混
合装置などを用いて重合体混合物の混合を行う。押出し加工の準備として、紡糸収率を向上させる目的で、各スパンデックス溶液を個別に温度制御ジャケット付き容器で加熱した後に濾過を行ってもよい。
【0053】
本発明の例示態様では、異なる2種類の重合体溶液をセグメント化ジャケット付き熱交換器に導入するが、その熱交換器を40−90Cで機能させる。その押出し加工のダイスおよび板を所望繊維形態に応じて配列するが、それらを芯鞘に関しては図2に示し、偏心芯鞘に関しては図3に示しそして並列に関しては図4に示す。如何なる場合でも、成分の流れを毛細管の直ぐ上で一緒にする。前以て加熱しておいた溶液を供給口(2)および(5)からスクリーン(7)に通して分配板(4)そして紡糸口金(9)[これをシム(8)で位置させかつナット(6)で支える]に向かわせる。
【0054】
図2、3および4に記述した押出し加工用ダイスおよび板を通常のスパンデックス紡糸セル、例えば米国特許第6,248,273号(引用することによって本明細書に組み入れられる)に示されているそれと一緒に用いる。
【0055】
そのような2成分スパンデックス繊維の製造をまた個別の毛細管を用いて個別のフィラメントを生じさせた後に合体させて単一の繊維を生じさせることで実施することも可能である。
【0056】
繊維製造方法
いくつかの態様の繊維の製造をポリウレタン尿素重合体の溶液紡糸(湿式紡糸または乾式紡糸のいずれか)で行うが、この製造では通常のウレタン重合体用溶媒(例えばDMAc)と一緒にして生じさせた溶液を用いる。そのポリウレタン尿素重合体溶液に上述した組成物または添加剤のいずれかを入れてもよい。重合体の製造では、有機ジイソシアネートと適切なグリコールをグリコールに対するジイソシアネートのモル比が1.6から2.3、好適には1.8から2.0の範囲内になるように反応させて「キャップドグリコール」を生じさせることを通して製造を実施する。次に、そのキャップドグリコールをジアミン系鎖延長剤の混合物と反応させる。その結果として生じる重合体の中のソフトセグメントは重合体鎖のポリエーテル/ウレタン部分である。そのようなソフトセグメントが示す溶融温度は60℃未満である。ハードセグメントは重合体鎖のポリウレタン/尿素部分であり、それらが示す溶融温度は200℃より高い。ハードセグメントの量を重合体総重量の5.5から9%、好適には6から7.5%にする。
【0057】
繊維製造の1つの態様では、重合体固体含有量が30−40%の重合体溶液を分配板とオリフィスの所望配置に通して計量することを通してフィラメントを生じさせる。重合体の流れが同心芯鞘、偏心芯鞘および並列配置の中の1つの状態で一緒になった後に共通の毛細管を通して押出されるように分配板を配置させる。押出されたフィラメントの乾燥を300℃−400℃の熱不活性ガスをガス:重合体の質量比が少なくとも10:1になるように導入することで起こさせかつ延伸を1分当たり少なくとも400メートル(好適には少なくとも600m/分)の速度で起こさせた後、1分当たり少なくとも500メートル(好適には少なくとも750m/分)の速度で巻き取る。以下に示す実施例の全部を80℃の押出し加工温度を用いて熱不活性ガス雰囲気の中に762m/分の巻き取り速度で入らせることで実施した。標準的工程条件は当該技術分野で良く知られている。
【0058】
本発明に従って製造した弾性繊維を用いて生じさせたヤーンが示す破壊時引張り強さは一般に少なくとも0.6cN/デシテックスであり、破壊時伸びは少なくとも400%であり、300%伸び時の無負荷引張り応力は少なくとも27mg/デシテックスである。
【0059】
スパンデックスが示す強度および弾性特性の測定をASTM D 2731−72の一
般的方法に従って実施した。以下の表に報告する実施例では、ゲージ長が5cmのスパンデックスフィラメントを1分当たり50cmの一定伸び速度で0%から300%にまで伸ばすことを繰り返した。1番目のサイクルにおける100%(M100)および200%(M200)伸びの時の力として引張り応力を測定してグラムで報告する。5番目のサイクルにおける200%伸びの時に無負荷引張り応力(U200)を測定して、本表にグラムで報告する。6番目の伸びサイクルの時に破壊時伸びパーセントおよび破壊時力を測定した。
【0060】
セットパーセントの測定では、5番目の無負荷曲線が実質的にゼロの応力に戻る点で示される如き5番目と6番目のサイクルの間に残存する伸びとして測定を行った。サンプルに0−300%の伸び/弛緩サイクルを5回受けさせてから30秒後に変形パーセントの測定を行った。次に、変形パーセントの計算をセット%=100(Lf−Lo)/Lo[ここで、LoおよびLfは、5回の伸び/弛緩サイクルの前(Lo)および後(Lf)に張力無しに真っすぐに保持した時のフィラメント(ヤーン)の長さである]として行った。
【0061】
本発明の特徴および利点を以下の実施例でより詳細に示すが、本実施例は例示の目的で示すものであり、決して本発明を限定するとして解釈されるべきでない。
【0062】
実施例
【実施例1】
【0063】
応力−変形改良
引張り応力が低くて伸びが大きい種類Aの重合体(コ−ポリエーテルが基になったスパンデックス)を芯用重合体として用いることに加えて種類Bの重合体(通常のポリテトラメチレンエーテルが基になったスパンデックス)を鞘としていろいろな比率で用いて紡糸を行うことで44/4生成物(44デシテックス/4フィラメント)を生じさせた。引張り特性分析により、種類Aのコ−ポリエーテルが基になった重合体を25%および50%用いると伸び/引張り強さが予想より高くなり(即ち線形加算によって)かつ引張り応力(M200)が低くなると言った驚くべき改良が得られることが分かる。応力−変形特性を組み合わせかつ注文に合わせることができると基礎重合体材料の選択が狭くても繊維がより幅広い用途で示す適切性が向上する。
【0064】
【表1】

【実施例2】
【0065】
融合性鞘
結晶性熱可塑性ポリウレタン系ホットメルト接着剤(Merquinsa Mercados QuimicosのPearlbond 122)を通常のポリテトラメチレンエーテルが基になったスパンデックス(DMAC中35%の溶液として使用)と一緒に50/50の混合物として調製しそしてそれを鞘として通常のスパンデックスである芯と一緒に紡糸することで44デシテックス/3フィラメントのヤーンを生じさせた。鞘全体の含有量を繊維重量を基準にして20%にすることで、80℃以上に加熱された時に接着し得るヤーンを生じさせた。
【0066】
ヤーンが示す融合性の測定では、長さが15cmのサンプルを調整可能な三角形枠(頂点が枠の中心に位置しそして2つの等しい辺の長さが7.5cmである)の上に置くことを通して測定を行った。長さが同じ2番目のフィラメントを前記枠の上に反対側からその2本のヤーンが単一の接触点で交わって交差するように置く。繊維を5cmになるように弛緩させた後、洗い流し用浴液に1時間接触させ、濯ぎ、空気で乾燥させた後、染色用浴に30分間接触させ、濯いだ後、空気で乾燥させる。前記枠の長さをそれに繊維が付いている状態で5cmから30cmに調整し、121℃の蒸気に30秒間接触させ、3分間冷却した後、弛緩させる。ヤーンを前記枠から取り外した後、引張り試験機に移して、各ヤーンの一方の末端部をクランプで接触点がクランプとクランプの間に残存するように留めた。ヤーンを100%/分で引き伸ばしそして接触点が破壊される時の力を融合強度として記録する。
【0067】
優れた融合特性を示すことに加えて高い引き伸ばし/回復性能を示すヤーンは有利である。本実施例のヤーンをポリアミドまたはポリエステルヤーンで被覆することができ、そして円形および縦編み機を用いて布を生じさせることができる。その被覆されたヤーンを全ての方向がトリコット構造になるように編むことでその編まれた構造物の各接触点の所で弾性ヤーンが融合することを可能にする。また、その融合性ヤーンを交互方向に含めた場合にも充分な融合を達成することができるであろう。
【0068】
【表2】

【実施例3】
【0069】
熱調節用スパンデックス
ポリエチレングリコール(Sigma AldrichのPEG MW=600、潜熱
=146J/g、Tm=16C)を通常のスパンデックス重合体(DMAC中35%の溶液)と一緒に50/50混合物として混合した後、それを芯部分として用いて通常のスパンデックス鞘と一緒に紡糸することで44デシテックス/3フィラメントのヤーンを生じさせた。最終的添加剤含有量は繊維の16.5重量%であった。表3に、繊維をTA装置モデル2010で測定した時の熱応答を示し、それによって、温度が15−25Cの範囲の時にPEG添加剤に関連した潜熱は10.7J/gであることが分かる。PEG含有量を基にした理論的最大潜熱と比較するとポリウレタン尿素マトリクス中でもたらされた効率は44%である。
【0070】
図5に、実施例3のスパンデックス繊維が示した示差走査熱量測定の結果を示す。この試験を5C/分の上昇速度で実施した。
【0071】
本実施例のヤーンをポリアミドまたはポリエステルヤーンで被覆するか或は天然繊維、例えば綿などと組み合わせることで熱活性弾性ヤーンを生じさせることができる。そのようなヤーンを織るか或は編んで布に成形することで向上した熱調節特性を有する心地よい基礎衣料を生じさせることができる。
【0072】
【表3】

【実施例4】
【0073】
導電性スパンデックス
導電性カーボンブラック(Columbian Chemical CompanyのConductex(商標)7055 Ultra(商標))を通常のスパンデックス重合体(DMAC中35%の溶液として)と一緒に40/60混合物として溶解させた後、それを芯部分として用いて通常のスパンデックス鞘と一緒(1:1の比率)に紡糸することで44デシテックス/3フィラメントのヤーンを生じさせた。ヤーン中の最終的カーボンブラック含有量を20%にした。繊維かせを銀含有エポキシと一緒に取り付けた後、Flukeマルチメーターを用いて電気抵抗を測定した。表3に結果を要約し、それによって、静止(1X)および2X引き伸ばし時に抵抗が10低下することが分かる。
【0074】
【表4】

【0075】
本発明のヤーンは着用可能な電子工学用途で用いるに有用であり得、スポーツウエア、ヘルスケア、軍および作業着に取り付ける通信プラットフォームとして使用可能である。そのような導電性スパンデックスは布に伸び、回復、ひだおよび取り扱い性を与えかつ堅い硬質の金属製電極無しに通常の繊維製品性質を保持する。本実施例のヤーンを導電性重合体と一緒に一体化させることで伝統的な編、織および不織構造物を生じさせることができる。
【0076】
現在のところ本発明の好適な態様であると考えている事項を記述してきたが、当業者は、本発明の精神から逸脱することのないそれの変形および修飾形を成すことができることを理解すると思われ、本発明に本発明の真の範囲内に入る如きそのような変形および修飾形の全部を包含させることを意図する。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面を含んでいて少なくとも前記横断面の1番目の領域にポリウレタン尿素組成物が含まれておりかつ2番目の領域も含んで成る弾性多成分繊維。
【請求項2】
多成分を同じ毛細管に通して押出し加工して単一のフィラメントにした繊維である請求項1記載の繊維。
【請求項3】
多成分を個別の毛細管に通して押出し加工して個別のフィラメントにしそして合体させて単一の融合繊維にした繊維である請求項1記載の繊維。
【請求項4】
前記1番目の領域と前記2番目の領域が良好に限定された境界を有する請求項1記載の繊維。
【請求項5】
更に前記1番目の領域と前記2番目の領域の間に位置していて前記1番目の領域と前記2番目の領域の混合物を含有する境界領域を含んで成る3番目の領域も含有して成る請求項1記載の繊維。
【請求項6】
溶液紡糸された繊維である請求項1記載の繊維。
【請求項7】
前記横断面に同心芯鞘、偏心芯鞘、並列および融合ストランドから成る群より選択される形態が含まれる請求項1記載の繊維。
【請求項8】
前記横断面が非円形である請求項1記載の繊維。
【請求項9】
前記2番目の領域にポリウレタン尿素組成物が含まれている請求項1記載の繊維。
【請求項10】
前記2番目の領域に非ポリウレタン尿素組成物が含まれている請求項1記載の繊維。
【請求項11】
前記非ポリウレタン尿素が熱可塑性重合体および可溶重合体の中の1つで作られたものである請求項10記載の繊維。
【請求項12】
前記1番目の領域および前記2番目の領域に少なくとも1種の異なる添加剤が含まれているか或は同じ添加剤が異なる濃度で含まれている請求項1記載の繊維。
【請求項13】
前記1番目の領域および前記2番目の領域の各々に組成が異なるポリウレタン尿素が含まれている請求項1記載の繊維。
【請求項14】
前記1番目の領域および前記2番目の領域の各々に異なる組成物が含まれている請求項1記載の繊維。
【請求項15】
少なくとも1つの領域に繊維製品用繊維の機能性または特性を向上させる組成物が含まれている請求項1記載の繊維。
【請求項16】
前記向上させる機能性に染色性、疎水性、親水性、摩擦制御、耐塩素性、耐劣化性、接着性、融合性、難燃性、抗菌性、バリヤー、導電性、引張り特性、色、発光、再利用性、芳香、粘着制御、触知特性、変形能力、熱調節、栄養補給およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも1つの特性が含まれる請求項15記載の繊維。
【請求項17】
前記少なくとも1つの領域に染料、顔料、ポリオレフィン、ナノ粘土、キトサン、ナイ
ロン、ポリエステル、セルロース、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、相変化物質およびこれらの組み合わせから成る群より選択される添加剤が含まれている請求項1記載の繊維。
【請求項18】
横断面を含んでいて少なくとも前記横断面の1番目の領域にポリウレタンまたはポリウレタン尿素組成物が含まれておりかつ2番目の領域も含む弾性多成分溶液紡糸繊維。
【請求項19】
前記ポリウレタンまたはポリウレタン尿素がセグメント化ポリウレタンを含有して成る請求項18記載の繊維。
【請求項20】
多成分を同じ毛細管に通して押出し加工して単一のフィラメントにした繊維である請求項18記載の繊維。
【請求項21】
多成分を個別の毛細管に通して押出し加工して個別のフィラメントにしそして合体させて単一の融合繊維にした繊維である請求項18記載の繊維。
【請求項22】
前記1番目の領域と前記2番目の領域が良好に限定された境界を有する請求項18記載の繊維。
【請求項23】
更に前記1番目の領域と前記2番目の領域の間に位置していて前記1番目の領域と前記2番目の領域の混合物を含有する境界領域を含んで成る3番目の領域も含有して成る請求項18記載の繊維。
【請求項24】
前記横断面に同心芯鞘、偏心芯鞘、並列および融合ストランドから成る群より選択される形態が含まれる請求項18記載の繊維。
【請求項25】
前記横断面が非円形である請求項18記載の繊維。
【請求項26】
前記2番目の領域にポリウレタン尿素組成物が含まれている請求項18記載の繊維。
【請求項27】
前記1番目の領域および前記2番目の領域に少なくとも1種の異なる添加剤が含まれているか或は同じ添加剤が異なる濃度で含まれている請求項18記載の繊維。
【請求項28】
前記1番目の領域および前記2番目の領域の各々に組成が異なるポリウレタン尿素が含まれている請求項18記載の繊維。
【請求項29】
前記1番目の領域および前記2番目の領域の各々に異なる組成物が含まれている請求項18記載の繊維。
【請求項30】
前記2番目の領域に熱可塑性重合体および可溶重合体から選択される非ポリウレタン尿素組成物が含まれている請求項18記載の繊維。
【請求項31】
少なくとも1つの領域に繊維製品用繊維の機能性を向上させる組成物が含まれている請求項18記載の繊維。
【請求項32】
前記向上させる機能性に染色性、疎水性、摩擦制御、耐塩素性、耐劣化性、接着性、融合性、難燃性、抗菌性、バリヤー、導電性、引張り特性、色、再利用性、芳香、粘着制御、触知特性およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも1つの特性が含まれる請求項31記載の繊維。
【請求項33】
芯鞘型横断面を含んでいて芯領域にポリウレタンまたはポリウレタン尿素組成物が含まれそして鞘領域にポリウレタンまたはポリウレタン尿素組成物が含まれておりかつ前記芯領域と前記鞘領域の組成が異なる弾性2成分繊維。
【請求項34】
前記鞘領域にナイロン、セルロース、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィンおよびこれらの組み合わせから成る群より選択される添加剤が含まれている請求項33記載の繊維。
【請求項35】
横断面を含んでいて前記横断面の少なくとも1つの領域にポリウレタン尿素組成物が含まれている弾性多成分繊維を含有して成る製品。
【請求項36】
布である請求項35記載の製品。
【請求項37】
前記布が織物、不織物および編物から選択される請求項35記載の製品。
【請求項38】
前記横断面に同心芯鞘、偏心芯鞘、並列および融合ストランドから成る群より選択される形態が含まれる請求項35記載の製品。
【請求項39】
前記横断面が少なくとも1番目の領域と2番目の領域を与えていて前記1番目の領域と2番目の領域に組成が異なるポリウレタン尿素組成物が含まれている請求項35記載の製品。
【請求項40】
少なくとも1つの領域に染色性、疎水性、摩擦制御、耐塩素性、接着性、融合性、難燃性、抗菌性、バリヤー、導電性およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも1つの特性を与える少なくとも1種の添加剤が含まれている請求項35記載の製品。
【請求項41】
繊維製品である請求項35記載の製品。
【請求項42】
衣類である請求項35記載の製品。
【請求項43】
靴下である請求項35記載の製品。
【請求項44】
(a)重合体組成物の中の少なくとも1つにポリウレタン尿素溶液が含まれている少なくとも2種類の重合体組成物を準備し、
(b)前記組成物を分配板およびオリフィスに通して一緒にすることで横断面を有するフィラメントを生じさせ、
(c)前記フィラメントを共通の毛細管に通して押出し、そして
(d)前記フィラメントから溶媒を除去する、
ことを含んで成る方法であって、前記横断面に前記重合体組成物間の境界が含まれている方法。
【請求項45】
熱い不活性ガスを用いて前記溶媒を前記フィラメントから除去する請求項44記載の方法。
【請求項46】
2本以上の多成分繊維を同時に生じさせる請求項44記載の方法。
【請求項47】
前記重合体組成物に組成が異なる2種類のポリウレタン尿素溶液を含有させる請求項44記載の方法。
【請求項48】
前記重合体組成物に少なくとも1種のポリウレタン尿素溶液および少なくとも1種の非ポリウレタン尿素組成物を含有させる請求項44記載の方法。
【請求項49】
前記横断面を同心芯鞘、偏心芯鞘、並列および融合ストランドから成る群より選択する請求項44記載の方法。
【請求項50】
横断面を含んでいて前記横断面の少なくとも1つの領域にポリウレタンまたはポリウレタン尿素組成物が含まれておりかつ繊維の少なくとも1つの領域が溶液紡糸されたものである弾性多成分繊維。
【請求項51】
各々に組成が異なるポリウレタン尿素が含まれている1番目の領域と2番目の領域を有する並列横断面を含む弾性2成分繊維。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−505975(P2012−505975A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532168(P2011−532168)
【出願日】平成21年10月12日(2009.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/060376
【国際公開番号】WO2010/045155
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】