説明

2成分噴霧装置

本発明は、ガス流内に液体を噴霧するための2成分噴霧装置であって、ノズル開口(3)を備えた液体供給部(1)が設けられており、前記液体供給部の周囲に同心的に配置されたガス供給部(4)が設けられており、前記ノズル開口(3)が前記ガス供給部(4)内で終わっており、前記液体供給部の軸方向の延長部において、吐出開口(6)を備えた回転対称的な混合通路(5)が設けられており、前記ノズル開口(3)の前でガス供給部(4)から同心的に分岐するガス分岐部(8)が設けられており、該ガス分岐部(8)に接続された、前記吐出開口(6)に開口する環状の噴霧開口(11)が設けられている形式のものに関する。本発明の課題は、連続的な運転中に変化する一般条件にも適応させることができる、ユニバーサルに使用可能な2成分噴霧装置を提供することができる。この課題は、噴霧開口(11)の横断面を調節するための手段が設けられていることによって、解決された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載した形式のガス流内に液体を噴霧するための2成分噴霧装置に関する。
【0002】
噴霧の質、量及び調整範囲に関連した高い噴霧要求においては、ガス補助式の噴霧器(以下では2成分噴霧装置と称呼されている)が使用される。この場合、液体を噴霧するために必要なエネルギーは、ガス(空気、蒸気又は不活性ガス)を介して、つまり、ガスと液体との相対速度を介して供給される。一般的な形式で、液体はガス流に直接噴射され、ガス流によって噴霧される。
【0003】
前記噴霧器群には、同軸的な液体タンクを有する内部混合式の2成分噴霧装置も所属している。この2成分噴霧装置は、多くの場合、噴霧構造部の回転対称的な構成を特徴としていて、また装置内に配置された混合通路を有しており、この2成分噴霧装置内に液体供給部及びガス供給部が開口していて、またこの2成分噴霧装置は外部に通じる吐出開口を有している。噴霧された液体・ガス混合物は、完成された製造物として吐出開口から吐出され、その点において、噴霧が装置の外側で行われるシステム(例えばインキスプレーガン)とは異なっている。内部混合式の2成分噴霧装置の代表的なものは、例えば重油バーナー又は予燃室ディーゼルエンジン(予燃室=混合通路)等の燃焼装置のためのバーナーである。
【0004】
影響パラメータが多すぎて、しかもスプレー特性に関する情報が不足している場合は、2成分噴霧装置の満足のいく最適化は得られない。今日使用されている内部混合式の噴霧装置におい生じる重大な技術的問題の1つは、混合通路の壁膜形成(通路壁の濡れ)である。所定の運転条件において、噴霧装置内の混合通路内で液体流が早く広がりすぎる可能性があり、それによって吐出通路内に壁膜が形成される。この膜は、ガス・液体混合物の流れによって吐出開口に向かって押しやられ、この吐出開口において、大きい液滴として流れによって引き剥がされる。この場合、吐出開口において直接的に、液滴を引き剥がさないだけではなく、噴霧もしないガス流状態が求められている。このようなガス流状態のうちの1つは、吐出されるガス・液体混合物のための周壁ガスを噴入することによって実現される。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許公開第19941091号明細書には、内部混合式の2成分噴霧ノズルを備えた燃料油バーナーについて記載されており、この2成分噴霧ノズルにおいては、混合通路からの吐出部に付加的な環状のガス噴入部を設けることが提案されている。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許第3525161号明細書によれば、液状の又は高粘着性の燃料を噴霧するための装置が開示されている。
【0007】
しかしながら以上の装置は、特に運転中に、つまり噴霧の中断なしにノズル幾何学形状を変えることができる、噴霧開口の直接的な調節装置を有していない。
【0008】
従来では、運転条件(液体に対するガスの比、ウェーバー数(Weber-Zahl)、オーネゾルゲ数(Ohnesorge Zahl)に関連して噴霧を行うか又は噴霧を行わないように、2成分噴霧装置の幾何学的なパラメータを調節していた。しかしながらこの場合、このような形式で設計された噴霧ノズルがそれぞれの運転条件に関連している、という欠点がある。使用された内部混合式の2成分噴霧装置は、このような運転条件のために混合通路(壁部膜形成)を濡らす手段を有していないが、それによって限定的にのに使用可能である。使用領域は、運転条件に大きく関連している。運転条件の変更、材料特性の変更、又はその他の液体を使用することによって、所定のノズルは噴霧のために不適当となる。
【0009】
本発明の課題は、従来技術のものから出発して、前記のような限定を有しておらず、特に連続的な運転中に変化する、例えば混合室壁部における装置温度等の一般条件にも適合させることができるような、ユニバーサルに使用される2成分噴霧装置を提供することである。
【0010】
この課題は、請求項1に記載した特徴を有する2成分噴霧装置によって解決された。従属請求項には有利な実施態様が記載されている。
【0011】
本発明の主要な特徴は、噴霧開口の幾何学形状、つまりその横断面及びひいてはその流体技術的な設計を制御可能に調節できるという点にある。流体技術的な設計には、半径方向の横断面及び/又は軸方向の横断面(流過通路プロフィール)が含まれており、この場合、制御可能な調節可能性の概念は、噴霧開口の変化に集中している。しかしながら本発明の枠内において、流れ比を変化させる手段は、ノズル開口に直接作用しない場合でも、このために使用された手段によって変化せしめられる調節可能性の概念に含まれる。これに、ガス分岐部又は所定の変向部(勿論、対抗圧比によって、噴霧開口の幾何学形状を介して調節可能に変化する)における流れ比の変化(例えば乱流及び層流の流れ領域、逆流その他)も加えられる。同様に、実施例に応じて、噴霧開口における通路横断面だけが変化するのではなく、噴霧開口の前方に位置していて噴霧開口に通じているガスガイド内の通路横断面も変化する。
【0012】
以下に本発明を図示の実施例を用いて具体的に説明する。
【0013】
図1は、第1実施例の側方から見た断面図、
図2は、選択的な実施例の側方から見た断面図である。
【0014】
2成分噴霧装置の2つの実施例において、(遠位側で)ノズル開口3を備えた有利には管状の液体供給部ハウジング2内に配置された液体供給部1と、この液体供給部若しくは液体供給部ハウジングを包囲するガス供給部4とが設けられており、この場合、ノズル開口はガス供給部内で終わっている。この2成分共通ガイド部の延長部内で下流(遠位)側に混合通路5が続いており、この混合通路5内で、前記2つの成分(ガス及び液体)が混合され、(遠位側)の吐出開口6を介して吐出される。液体供給部1、ガス供給部4、混合通路5及び吐出開口6は、有利な形式で左右対称ライン7を中心にして回転対称に配置されている。さらに前記構成部分に対して同心的に配置されたガス分岐部8が設けられており、このガス分岐部8は、ガス供給部4から液体供給部の手前で、つまりノズル開口3に達する手前で分岐していて、吐出開口6における環状の噴霧開口11内に開口している。図1及び図2には、ガス分岐部が例えば、左右対称ライン7を中心にして同心的に、混紡通路ハウジング10に配置された複数の孔9によって実現されている。噴霧開口11は、軸方向で、有利には鋭角に、つまり(技術的に変更可能に)混合通路壁12に対して平行に、吐出開口6に直接的に、かつ吐出開口6を取り囲んで開口している。これによって周壁流13は、吐出開口を介して生ぜしめられる噴霧された混合成分14の周囲に形成され(図1参照)、混合通路壁12において析出された液体膜が引き剥がされて連行される。
【0015】
調節手段は、ねじ山16を備えたスリーブナット15(ねじ山付きキャップ)を有しており、このスリーブナット15は、ねじ相対回動を介して、混合通路ハウジング10に形成されたねじ山17上で調節可能である。
【0016】
図1は、ねじ山付きキャップ15がその周面19で形状結合(形状による束縛)式に結合可能及び可動な成形部20を有している。この成形部20は有利な形式で歯列によって実現されており、この歯列は、運転状態で、形状結合式に成形部に係合する、調節駆動装置のチェーン装置、ベルト装置又は歯車装置によって駆動される。基本的に、摩擦結合(摩擦による束縛)式に係合する調節駆動装置も適しているが、摩擦結合はどのような運転状態においても確実に得られるものでなければならない。
【0017】
図2は、ねじ山付きキャップ15が、2成分噴霧ノズルのすべての別の構成部材(1乃至14)のためのハウジング18によって形成される例を示している。運転中に、調節は、定置のハウジング18内に配置された、2成分ノズルの前記構成部分を回転させるか、又はその他の定置の2成分噴霧ノズル(1乃至14)のねじ山17上に配置されたハウジング18を回転させることによって行われる。
【0018】
噴霧開口11は、孔16と同一平面上に配置されているか(例えば図1参照)、又はずらして配置されており(図2参照)、この場合、これら2つの状態を、前記手段によって運転中に変えることも可能であり、これは流入方向の規定のためにも重要である。
【0019】
本発明の目的は、本発明による2成分噴霧装置を、運転状態とは無関係に使用できるようにすることである。実施例の構成は、混合通路の壁部が濡れる(例えば噴霧時に流れを最適化することによって)のを避けることに関連して行われるのではなく(これは使用範囲を限定することになる)、事実上、出口開口において液滴として発生した時に濡れを取り除くことに関連して行われる。これは、本来の噴霧された混合成分の発生が常に同じパラメータを伴って行われる、という利点を有している。この場合、同軸的な液体受容部を備えた、内部混合式の2成分噴霧装置の基本的な考え方が維持される。本発明の核心は、運転中に容積流を最適に調節することができる、噴霧ガスのできるだけ少量の部分(約10%、最大で20%)を混合通路の手前で、つまりガスが液体と接触する前に、出口開口11に対して同軸的な環状ギャップ21内に供給する、という点にある。環状ギャップから吐出されるガスは、2成分噴霧ノズルの外側で通路壁から滴り落ちる膜と接触し、この膜を剥ぎ取る。この2成分噴霧装置の主要な利点は、混合通路壁に発生した壁膜が特に最適に調節される。つまり効果的に、しかも同時に経済的に噴霧される、という点にある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施例による2成分噴霧装置の側方から見た断面図である。
【図2】別の実施例による側方から見た断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 液体供給部、 2 液体供給部ハウジング、 3 ノズル開口、 4 ガス供給部、 5 混合通路、 6 吐出開口、 7 左右対称ライン、 8 ガス分岐部、 9 孔、 10 混合通路ハウジング、 11 噴霧開口、 12 混合通路壁、 13 周壁流、 14 噴霧された混合成分、 15 ねじ山付きキャップ、 16 孔、 17 ねじ山、 18 ハウジング、 19 周面、 20 成形部、 21 環状ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流内に液体を噴霧するための2成分噴霧装置において、
a)ノズル開口(3)を備えた液体供給部(1)が設けられており、
b)前記液体供給部の周囲に同心的に配置されたガス供給部(4)が設けられていて、前記ノズル開口(3)が前記ガス供給部(4)内で終わっており、
c)前記液体供給部の軸方向の延長部において吐出開口(6)を備えた、回転対称的な混合通路(5)が設けられており、
d)ノズル開口(3)の前でガス供給部(4)から分岐する、このガス供給部(4)に対して同心的なガス分岐部(8)が設けられており、
e)前記ガス分岐部に接続された、前記吐出開口(6)における環状の噴霧開口(11)が設けられている形式のものにおいて、
f)噴霧開口(11)の横断面を調節するための手段が設けられている、
ことを特徴とする、2成分噴霧装置。
【請求項2】
ガス分岐部(8)が、混合通路ハウジング(10)内の、同心的に分配された複数の孔(9)によって形成されている、請求項1記載の2成分噴霧装置。
【請求項3】
噴霧開口(11)の横断面を調節するための前記手段が、ねじ相対回動を介して調節可能なねじ山付きキャップ(15)を有しており、該ねじ山付きキャップ(15)が、混合通路ハウジング(10)のねじ山(17)に対して同心的な、吐出開口(11)を形成する中央の孔(16)を備えている、請求凹1又は2記載の2成分噴霧装置。
【請求項4】
前記ねじ山付きキャップ(15)が、2成分噴霧ノズルの別のすべての構成部材のためのハウジング(18)によって形成されている、請求項3記載の2成分噴霧装置。
【請求項5】
ねじ山付きキャップ(15)がその外周面(19)で、形状結合式に固定可能及び可動な成形部(20)を有している、請求項3記載の2成分噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−504400(P2009−504400A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527330(P2008−527330)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007432
【国際公開番号】WO2007/022847
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(591004618)フォルシュングスツェントルム カールスルーエ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (50)
【氏名又は名称原語表記】Forschungszentrum Karlsruhe GmbH
【住所又は居所原語表記】Weberstrasse 5, D−76133 Karlsruhe,Germany
【Fターム(参考)】