説明

2成分繊維の高速紡糸方法

【課題】 充分に引き伸ばされていて高度にけん縮された2成分繊維を高度に均一な微細デシテックスのポリエステル2成分繊維として提供する。
【解決手段】 組成的に異なる2種類のポリエステルを、溶融紡糸に続く気体流れによる急冷、熱処理そして高速巻き上げから成る工程段階に付す。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2000年1月20日付けで提出した同時係属中の出願番号09/488,650の一部継続出願である2000年11月8日付けで提出した同時係属中の出願番号09/708,314の一部継続出願である。
【技術分野】
【0002】
発明の分野
本発明は、充分に引き伸ばされた2成分繊維(fully drawn bicomponent fibers)を高速で製造する方法、より詳細には、2種類のポリエステルを紡糸口金から押出し、その繊維を冷却用気体の中に通し、引き伸ばし、熱処理しそしてその繊維を高速で巻き上げる方法に関する。
【0003】
背景技術の説明
合成の2成分繊維は公知である。特許文献1にポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(トリメチレンテレフタレート)が基になったそのような繊維が開示されている。この文献に開示されている紡糸速度は遅く、経済的ではない。特許文献2および特許文献3にもまた2成分繊維の製造でコポリエステルを用いることが開示されている。特許文献4には、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(テトラメチレンテレフタレート)が基になった2成分繊維を紡糸しそしてこれを室温において低い引き伸ばし比(draw ratio)で引き伸ばすことが開示されている。しかしながら、そのような繊維が示すけん縮レベル(crimp level)は、特許文献5に開示されているポリエステル2成分繊維と同様に低い。
【0004】
部分的に配向した1成分繊維を高速で溶融紡糸する(melt−spinning)装置および方法がいくつか提案されている[特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9および特許文献10に開示されているように]。このような方法では、一般に、冷却用気体を紡糸口金の下に位置させたゾーンの中に導入してそれを新しく生じた繊維が移動する方向(travel direction)に加速させることが行われている。しかしながら、そのような繊維はけん縮を自然発生的には受けず、従って、望ましい高い伸び回復(stretch−and−recovery)特性を示さない。
【0005】
高度にけん縮性の(highly crimpable)ポリエステル2成分繊維を経済的に製造する方法が求められいるままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,671,379号
【特許文献2】特開平11−189923
【特許文献3】日本特許JP61−32404
【特許文献4】米国特許第4,217,321号
【特許文献5】米国特許第3,454,460号
【特許文献6】米国特許第4,687,610号
【特許文献7】米国特許第4,691,003号
【特許文献8】米国特許第5,034,182号
【特許文献9】米国特許第5,824,248号
【特許文献10】国際特許出願WO95/15409
【発明の概要】
【0007】
熱硬化後(after−heat−set)に約30%を超えるけん縮収縮値(crimp contraction values)を示す充分な引き伸ばしとけん縮を受けた(fully drawn crimped)2成分繊維を製造する本発明の方法は、(A)組成的に異なる2種類のポリエステルを供給し、
(B)前記2種類のポリエステルを紡糸口金から溶融紡糸することで2成分繊維を少なくとも1本生じさせ、
(C)前記紡糸口金の下方に位置する少なくとも1つの急冷ゾーン(quench zone)に少なくとも1つの気体流れを供給して前記気体流れを繊維が移動する方向に最大速度になるまで加速させ、
(D)前記繊維を前記ゾーン1つまたは2つ以上の中に通し、
(E)前記繊維をある取り出し速度(withdrawal speed)で取り出すが、この取り出し速度に対する最大気体速度の比率を、特定の引き伸ばし比範囲が達成されるように選択し、
(F)前記繊維の加熱および引き伸ばしを約50−185℃の温度において約1.4−4.5の引き伸ばし比で行い、
(G)前記繊維を結果として熱硬化後の収縮値が約30%を超えるに充分な温度に加熱することでそれの熱処理を行い、そして
(H)前記繊維を1分当たり少なくとも約3,300メートルの速度で巻き上げる、
段階を含んで成る。
【0008】
熱硬化後に約30%を超えるけん縮収縮値を示す充分な引き伸ばしを受けた2成分繊維を製造する本発明の別の方法は、
(A)異なる固有粘度を示すポリエステルであるポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(トリメチレンテレフタレート)を供給し、
(B)前記ポリエステルを紡糸口金から溶融紡糸することで横並び(side−by−side)または偏心シースコア(ecentric sheath core)のいずれかの断面を有する2成分繊維を少なくとも1本生じさせ、
(C)前記紡糸口金の下方に位置する急冷ゾーンに気体流れを供給し、
(D)前記繊維を前記急冷ゾーンの中に通し、
(E)前記繊維を取り出し、
(F)前記繊維の加熱および引き伸ばしを約50−185℃の温度において約1.4−4.5の引き伸ばし比で行い、
(G)前記繊維を結果として熱硬化後の収縮値が約30%を超えるに充分な温度に加熱することでそれの熱処理を行い、そして
(H)前記繊維を1分当たり少なくとも約3,300メートルの速度で巻き上げる、
段階を含んで成る。
【0009】
本発明の2成分繊維は約0.6−1.7dtex/フィラメントの2成分繊維であり、この繊維は熱硬化後に少なくとも30%のけん縮収縮値を示しそしてポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンテレフタレート)のコポリエステルから成る群から選択したポリエステルとポリ(トリメチレンテレフタレート)を含んで成り、横並びまたは遍心シースコア断面を有しかつ実質的に円形、楕円または雪だるまの断面形状を有する。
【0010】
(発明の詳細な記述)
驚くべきことに、直交流、半径流または並流の急冷用気体を用いて2成分繊維を紡糸し、取り出し、充分な引き伸ばしおよび熱処理を非常に高い速度で行うことでも、それに高いけん縮レベルを与えることができることをここに見いだした。そのように高度にけん縮された2成分繊維を生じさせることができることは取り出し速度が高くかつ引き伸ばし比が高い(即ち、巻き上げ速度が高い)ことを考慮すると予想外であった。
【0011】
「2成分繊維」を本明細書で用いる場合、これは、繊維の断面が例えば横並び、遍心シース−コアまたは有効なけん縮を発生させることができる他の適切な断面になるように繊維の長さ方向に沿って互いに密に接着している1対の重合体を含んで成る繊維を意味する。「IV」は固有粘度を意味する。「充分に引き伸ばされた」繊維は、例えばさらなる引き伸ばしなしに織り、編みおよび不織布の調製などで用いるに適した2成分繊維を意味する。「部分的に配向した」繊維は、分子の配向を完全ではないがかなり有していて織りまたは編みに適切になるには引き伸ばしまたは引き伸ばし−きめ出し(draw−texturing)を必要とする繊維を意味する。「並流の気体流れ」は、繊維が移動する方向の急冷用気体流れを意味する。「取り出し速度」は、急冷ゾーンと引き伸ばし用ロール(draw rolls)の間に位置する供給用ロール(feed rolls)の速度を意味し、これを時には紡糸速度と呼ぶ。2成分繊維を製造する時に用いる2種類の重合体を分ける目的で記号「//」を用いる。「2G」はエチレングリコールを意味し、「3G」は1,3−プロパンジオールを意味し、「4G」は1,4−ブタンジオールを意味し、そして「T」はテレフタル酸を意味する。従って、例えば「2G−T//3G−T」は、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(トリメチレンテレフタレート)を含んで成る2成分繊維を示す。
【0012】
本発明の方法では、組成的に異なる2種類のポリエステルを紡糸口金から溶融紡糸して2成分繊維を生じさせる。この紡糸口金のデザインは、例えば米国特許第3,671,379号に開示されている如きデザインであってもよい。合着後用(重合体を押出した後にそれらを互いに初て接触させる)または合着前用(重合体を押出す前にそれらを互いに初て接触させる)のいずれかの紡糸口金を用いることができる。図8に示すように、本発明の方法で製造する横並び繊維の断面形状は「雪だるま」(「A」)、楕円形(「B」)または実質的に円形(「C1」、「C2」)であり得る。遍心シース−コア繊維の断面形状は楕円形または実質的に円形であり得る。「実質的に円形」は、繊維断面の中心で互いに90゜に交差する2本の軸の長さの比率が約1.2:1以下であることを意味する。「楕円形」は、繊維断面の中心で互いに90゜に交差する2本の軸の長さの比率が約1.2:1より大きいことを意味する。「雪だるま」断面形状は、長軸と短軸を有しそして短軸の長さを長軸に対してプロットした時に最大値を少なくとも2つ有する横並び断面であるとして記述可能である。
【0013】
使用する急冷用気体が並流であるか或は直交流であるかに拘らず、2G−Tの場合にはこれを典型的に約280℃に加熱して紡糸口金に送る一方、3G−Tの場合の相当する温度は280℃未満であり得、トランスファーホールドアップ時間(transfer holdup time)は15分以内である。
【0014】
図1に、本発明の方法で用いるに有用な直交流溶融紡糸装置を示す。急冷用気体1は、プレナム(plenum)4を通って紡糸口金面3の下方に位置するゾーン2に入り、ヒンジ付き邪魔板18を通過しそしてスクリーン5を通り、その結果として、紡糸口金の中の毛細管(示していない)から紡糸された直後のまだ溶融状態の繊維6を横切る実質的に層状の気体流れが生じる。邪魔板18の上部にヒンジが付いていることから、これの位置を調整することで、ゾーン2を横切る急冷用気体流れを変えることができる。紡糸口金面3はゾーン2の上部の上が距離Aだけへこんでおり、その結果として、前記急冷用気体は遅延時間(delay)(この間に繊維がそのへこみ部分の側面によって加熱され得る)が経過するまではその紡糸直後(just−spun)の繊維に接触しないようになっている。別法として、紡糸口金面にへこみ部分がない場合には、紡糸口金面の直ぐ下にそれと同軸に短いシリンダー(示していない)を位置させることで、加熱されない急冷遅延空間部(unheated quench delay space)を作り出すことも可能である。前記急冷用気体(望まれるならば加熱しておいてもよい)は繊維の所を通り抜
けた後に継続して装置を取り巻く空間部の中に入り込む。繊維出口7を通ってゾーン2を出る動いている繊維によって連行され得る気体の量は少量のみであり得る。任意の仕上げ用ロール10を用いて、その時点で固化した繊維に仕上げ剤を塗布してもよく、そして次に、その繊維を図3に示すロールに通してもよい。
【0015】
本発明では並流の急冷用気体流れを供給するいろいろな方法を用いることができる。例えば図2を参照して、繊維6を溶融紡糸して紡糸口金面3(場合によりへこんでいてもよい)からゾーン2の中に入り込ませる。へこんだ紡糸口金面を用いると加熱された「急冷遅延(quench delay)」空間部が作り出され、これを典型的にはそれの長さで識別する。紡糸口金面にへこみがない時には、紡糸口金面の下方に短いシリンダー(示していない)を同軸に位置させることで、加熱されない急冷遅延空間部を作り出すことができる。急冷用気体1、例えば空気、窒素または蒸気などは、環状プレナム4および円柱形スクリーン5を通って紡糸口金面3の下方に位置する急冷ゾーン2の中に入る。この気体が空気または窒素の時には、これを例えば室温、即ち約20℃で用いてもよいか、或はこれを例えば40℃に加熱してもよく、この気体の相対湿度を典型的には約70%にする。管8(これの上方末端部は示すように円錐形であってもよい)はプレナム4の内壁9に対して封鎖されており、それによって、これが与えるのは急冷用気体1と繊維6の出口のみである。ゾーン2の中に入って来る急冷用気体の圧力と管8が与えるくびれによってゾーン2の中に大気圧以上の圧力、例えば約0.5−5.0インチ水(約1.3x10-3から1.3x10-2kg/cm2)、より典型的には約0.5−2.0インチ水(約1.3x10-3−5.1x10-3kg/cm2)の範囲の圧力が作り出される。この用いる圧力は急冷チャンバ(quench chamber)の幾何形態および繊維取り出し速度に依存する。前記急冷用気体の導入は例えば紡糸口金の回りの環状空間部を通して上方からであってもよいか或は米国特許第5,824,248号の図2に示されているように側面からでもよい。冷却がより良好に起こるように気体と繊維の接触をより良好にする目的で側面から導入するのが好適である。繊維と急冷用気体は紡糸口金の下方に位置するゾーン2から出口7に到達し、管8がくびれていることから、前記急冷用気体は繊維が移動する方向に加速される。この急冷用気体の速度が最大になる地点は前記管の最も狭くなっている地点である。最小内径が1インチ(2.54cm)の管を用いた時の最大気体速度は約330−5,000メートル/分の範囲になり得る。本発明では、繊維取り出し速度に対する最大気体速度の比率を、繊維が約50−185℃の温度において供給用ロールと引き伸ばし用ロールの間で約1.4−4.5の引き伸ばし比に引き伸ばされ得るように選択する。次に、繊維6が前記急冷用気体によって固化するに充分な程冷えた後、これを任意の仕上げ用ロール10に接触させてもよく、そしてこれを図3に示すロールに通す。
【0016】
本発明の方法をまた図4に示す並流急冷用気体流れ装置を用いて実施することも可能である。この方法では、繊維6を溶融紡糸して紡糸口金面3(場合によりへこんでいてもよい)からゾーン2aの中に入り込ませる。1番目の急冷用気体流れ1aは、1番目の環状プレナム4aおよび1番目の円柱形スクリーン5aを通って紡糸口金面3(場合によりへこんでいてもよい)の下方に位置する1番目の急冷ゾーン2aの中に入る。1番目の先細、即ち円錐形の管8aはプレナム4aの1番目の内壁9aに連結している。管8aの内径は示すように連続的に小さくなっていてもよいか或は最初は前以て決めておいた長さに渡って小さくなった後に実質的に一定の内径のままであってもよい。2番目の急冷用気体流れ1bは、2番目の環状プレナム4bおよび2番目の円柱形スクリーン5bを通って2番目の急冷ゾーン2bの中に入った後、この2番目の急冷ゾーンの中で前記1番目の急冷用気体流れと一緒になる。2番目の管8bはプレナム4bの2番目の内壁9bに連結している。示すように、管8bの内径は最初は小さくなった後に大きくなってもよいが、また他の幾何形態を用いることも可能である。急冷用気体1は管8aおよび8bによって繊維が移動する方向に加速された後、最後の出口7および任意の穴開き排気拡散装置コーン(cone)11を通って出得る。この気体の速度が最大になる地点は、気体流れ1aおよび
1bに応じて、管8aまたは管8bのいずれかの最も狭くなっている地点である。繊維6は急冷ゾーン2aおよび2bを通り、繊維出口7を通って急冷装置を出た後、これを任意の仕上げ用ロール10に接触させてもよく、そしてこれを次に加熱、引き伸ばしおよび熱処理用ロールおよびジェット(jets)、例えば図3、7および9に示す如きロールおよびジェットの回りに通す。前記1番目の急冷ゾーン内で用いる圧力の方が前記2番目の急冷ゾーン内で用いるそれよりも典型的に高い。
【0017】
本発明の方法では、また、紡糸口金の下方に位置させたゾーンの中に大気圧以下の圧力をかけることで繊維が移動する方向に加速させた急冷用気体を用いて2成分ポリエステル繊維の製造を行うことも意図する。例えば、図6に示す装置を用いてもよい。図6では、新しく生じた繊維6が紡糸口金面3から離れて急冷ゾーン2の中に入る。真空源37を用いて急冷用気体(例えば部屋の空気または加熱された空気)を穴開きシリンダー5aおよび5bに通し(これによって乱流が起こる度合が低下する)てゾーン2の中に引き込む。場合により、新しく紡糸された繊維が直ちに急冷用気体に接触することがないように環64を設けることも可能である。同様に、急冷用気体の流れを制御する目的でシールド(shield)74を位置させることも可能である。この急冷用気体および繊維6は炉8を通り、この気体はそこを通るにつれて速度が加速される。炉8の下部と管35の上部39の間に追加的気体を引き込むことも可能であり、そして場合により、繊維6が管35の内側に接触する危険性を最小限にする目的で、気体ジェット60を配置して更に気体を特に管35の内側に沿って供給することも可能である。管35はトランペット(trumpet)58の所で外側にそっている。炉8およびトランペット58の形状は両方とも乱流が最小限になるように設計されている。急冷用気体はチャンバ43の中に入る時に速度が低下し、そしてこれがチャンバ49の中に入る時に速度が更に低下し、このように、乱流が起こる危険性が低下する。更に穴開きシリンダー47を補助で用いて乱流を減少させる。急冷用気体の速度制御の向上をいろいろな手段で達成することができ、例えばバルブ53、スロットル55および速度計57などを用いて達成することができる。繊維6は出口7を通って装置のその部分を出た時点で、これを任意の仕上げ用ロール10に通した後、これに追加的処理を受けさせてもよく、例えば図3、7および9に示すロールおよびジェット装置を用いた処理を受けさせてもよい。場合により、セラミック製の繊維誘導装置(guides)46を出口7の所に設けてもよい。
【0018】
取り出し速度は供給用ロール13の速度によって決定され、それらは実質的に等しい。直交流、半径流または同様な流れの気体を用いる場合の取り出し速度は1分当たり約700−3,500メートルの範囲、通常は1分当たり約1,000−3,000メートルの範囲であってもよい。並流の急冷用気体流れを用いる場合の取り出し速度は1分当たり約820−4,000メートル、典型的には1分当たり約1,000−3,000メートルの範囲であってもよい。
【0019】
次に、例えば加熱された引き伸ばし用ロール、引き伸ばし用ジェット(draw jet)または熱チェスト(hot chest)内に位置させたロールなどを用いて、その2成分繊維を加熱して引き伸ばしてもよい。特に線形密度が140dtexを超える高度に均一な繊維が望まれる場合には熱い引き伸ばし用ロールと引き伸ばし用蒸気ジェットの両方を用いるのが有利であり得る。図3に示すロールの配置が実施例1、2および4で用いた装置であり、これが本方法で用いるに有効であることを確認した。しかしながら、また、所望の結果を達成する他のロール配置および装置を用いることも可能である(例えば図7および9に示した配置および装置)。引き伸ばしは単一段階または2段階の引き伸ばしで実施可能である。図3では、例えば図1、2、4または6に示した装置を用いて紡糸した直後の繊維6を(任意の)仕上げ用ロール10に通し、駆動ロール(driven roll)11の回りに通し、アイドラーロール(idler roll)12の回りに通した後、加熱されている供給用ロール13の回りに通してもよい。供給用ロール13の
温度は約20℃−120℃の範囲であってもよい。次に、加熱されている引き伸ばし用ロール14を用いて繊維に引き伸ばしを受けさせてもよい。引き伸ばし用ロール14の温度は約50−185℃、好適には約100−120℃の範囲であってもよい。引き伸ばし比(取り出しまたは供給用ロールの速度に対する巻き上げ速度の比率)を約1.4−4.5、好適には約2.4−4.0の範囲にする。対になったロール13の中のロールの各々をもう一方のロールの速度と同じ速度で操作してもよい(対14の中のロールと同様に)。
【0020】
ロール14を用いて繊維に引き伸ばしを受けさせた後、ロール15で熱処理を受けさせ、これを任意の加熱されていないロール16[満足される巻き上げが起こるようにヤーン(yarn)の張力を調整する]の回りに通した後、巻き上げ機(windup)17に到達させる。また、熱処理を他の1つ以上の加熱ロール、蒸気ジェットまたは加熱用チャンバ、例えば「熱チェスト」などまたはこれらの組み合わせを用いて実施することも可能である。この熱処理を例えば図3に示したロール15(これを用いて前記繊維を約140℃−185℃、好適には約160℃−175℃の範囲の温度に加熱してもよい)を用いて実質的に一定の長さで実施してもよい。この熱処理の時間はヤーンのデニールに依存し、重要な事項は、繊維が結果として熱硬化後に約30%を超える収縮値を示すようになるに充分な温度に到達し得ることである。この熱処理温度があまりにも低いと、高温の張力下で起こるけん縮の度合が低下し得ることで収縮の度合が高くなり得る。この熱処理温度があまりにも高いと、繊維の破壊が頻繁に起こることから工程の操作が困難になる。繊維のけん縮が失われないように、本方法の前記時点における繊維の張力を実質的に一定(例えば0.2cN/dtex以上)に保持する目的で熱処理用ロールの速度と引き伸ばし用ロールの速度を実質的に等しくするのが好適である。
【0021】
ロールとジェットの代替配置を図7に示す。紡糸直後の2成分繊維6を任意の一次仕上げ用ロール10aそして任意のインターレースジェット(interlace jet)20aに通した後、供給用ロール13(加熱しなくてもよい)の回りに通す。この繊維を引き伸ばし用ジェット21[これを0.2−8.0バール(2040−81,600Kg/m2)の圧力および180℃−400℃の温度で操作してもよい]で引き伸ばしてもよく、そしてロール14(これを用いて繊維を約140℃−185℃、好適には約160℃−175℃の温度に加熱してもよい)を用いて前記繊維の熱処理と引き伸ばしの両方を行ってもよい。この用いる引き伸ばし比の範囲は図3に示した配置に関してこの上に記述した範囲と同じ範囲であってもよい。次に、繊維6を任意のロール22(場合により繊維に弛緩を受けさせる目的でロール14の速度より遅い速度で操作してもよい)の回りに通してもよく[インターレースジェット20bを用いて任意のインターレーシング(interlacing)のための調製を行う場合には]、そして任意のロール16(満足される巻き上げが起こるように繊維の張力を調整する)の回りに通してもよく、任意の仕上げ用ロール10bに通してもよく、そして最後に巻き上げ機17に到達させる。
【0022】
最後に、繊維の巻き上げを行う。直交流の急冷用気体流れを用いる時には、巻き上げ速度を1分当たり少なくとも約3,300メートル、好適には1分当たり少なくとも約4,000メートル、より好適には1分当たり約4,500−5,200メートルにする。並流の急冷用気体流れと1つの急冷ゾーンを用いる時には、巻き上げ速度を1分当たり少なくとも約3,300メートル、好適には1分当たり少なくとも約4,500メートル、より好適には1分当たり約5,000−6,100メートルにする。並流の急冷用気体流れと2つの急冷ゾーンを用いる時には、巻き上げ速度を1分当たり少なくとも約3,300メートル、好適には1分当たり少なくとも約4,500メートル、より好適には1分当たり約5,000−8,000メートルにする。
【0023】
この巻き上げる繊維の太さは如何なる太さであってもよく、例えば1フィラメント当たり0.5−20デニール(1フィラメント当たり0.6−22dtex)などであっても
よい。横並びまたは遍心シースコア断面を有していて実質的に円形、楕円形または雪だるまの断面形状を有する1フィラメント当たり約0.5−1.5デニール(1フィラメント当たり約0.6−1.7dtex)の新規なポリ(エチレンテレフタレート)//ポリ−(トリメチレンテレフタレート)繊維を低いか、中程度か或は高い紡糸速度で製造することができることをここに見いだした。けん縮収縮レベルを高くする場合(例えば約30%を超えるレベルにする場合)には、この新規な繊維のポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(トリメチレンテレフタレート)の重量比を約30/70から70/30の範囲にするのが好適である。そのような微細な繊維に引き伸ばしをそのように高いけん縮レベルが得られるに充分な度合で信頼できる様式で受けさせることができたことは予想外であった。
【0024】
本発明の繊維を複数一緒にしてヤーンを生じさせる時のヤーンの太さは如何なる太さであってもよく、例えば1300デシテックス(decitex)に及ぶ太さにしてもよい。本発明の方法を用いて紡糸する繊維の本数は如何なる数であってもよく、例えば34、58、100、150または200本の繊維であってもよい。
【0025】
自然発生的けん縮で示されるように環境に対して異なる様式で反応する2種類の重合体を含んで成る高度に均一な2成分繊維を約2.5%未満、典型的には1.0−2.0%の範囲の低い平均デシテックス(デニール)ばらつき(spread)で製造することができることを予想外に見いだした。均一な繊維は繊維の破断が起こる回数が少ないことからミル(mill)の効率および加工が向上しかつそのような繊維から作られた生地は目で見て均一であることから価値がある。
【0026】
本発明の方法は、連成方法(coupled process)としてか或はスプリット方法(split process)[この方法では、2成分繊維を取り出し段階後に巻き上げそして後で巻き戻して熱による引き伸ばしおよび熱処理段階を行う]として操作可能である。スプリット方法を用いる場合には、望まれる2成分繊維が得られるように、次の段階を過度の遅れなしに行い、典型的には約35日以内、好適には約10日以内に行う。即ち、繊維が引き伸ばし中に過度に破断することがないように、紡糸したままの繊維が老化が原因で脆くなる前に引き伸ばし段階を完了する。望まれるならば、そのような起こり得る問題を最小限にする目的で、引き伸ばしていない繊維を冷蔵貯蔵してもよい。引き伸ばし段階後、その引き伸ばされた繊維が有意な弛緩を起こす(relaxes)前に(典型的には1秒以内に)、熱処理段階を完了する。
【0027】
本発明の方法で製造する2成分繊維に含める2種類のポリエステルの重量比を約30/70−70/30、好適には約40/60−60/40、より好適には約45/55−55/45にする。
【0028】
本発明の方法で用いる2種類のポリエステルは異なる組成を有し、例えば2G−Tと3G−T(最も好適である)または2G−Tと4G−Tの組成を有し、好適には異なる固有粘度を示す。他のポリエステルにはポリ(エチレン2,6−ジナフタレート)、ポリ(トリメチレン2,6−ジナフタレート)、ポリ(トリメチレンビベンゾエート)、ポリ(シクロヘキシル1,4−ジメチレンテレフタレート)、ポリ(1,3−シクロブタンジメチレンテレフタレート)およびポリ(1,3−シクロブタンジメチレンビベンゾエート)が含まれる。熱硬化後に少なくとも30%のけん縮収縮値を達成しようとする時には、固有粘度および組成の両方に関して異なる重合体、例えばIVが約0.45−0.80dl/gの2G−TとIVが約0.85−1.50dl/gの3G−Tを用いるのが有利である。IVが約0.45−0.60dl/gの2G−TとIVが約1.00−1.20dl/gの3G−Tを用いると熱硬化後に少なくとも約40%のけん縮収縮値を達成することができ、これが好適な組成である。しかしながら、この2種類の重合体は互いに粘着するに
充分なほど類似している必要があり、そうでないと、2成分繊維が2本の繊維に分かれてしまうであろう。
【0029】
本発明の方法で用いるポリエステルの片方または両方がコポリエステルであってもよい。例えば、コポリ(エチレンテレフタレート)を用いてもよく、このコポリエステルを製造する時に用いるコモノマーを、炭素原子数が4−12の線状、環状および分枝脂肪族ジカルボン酸(例えばブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ドデカン二酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸)、炭素原子数が8−12の芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸以外)(例えばイソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸)、炭素原子数が3−8の線状、環状および分枝脂肪族ジオール(例えば1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジオール)、そして炭素原子数が4−10の脂肪族および芳香脂肪族エーテルグリコール[例えばヒドロキノンのビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、または分子量が約460未満のポリ(エチレンエーテル)グリコール(ジエチレンエーテルグリコールを包含)]から成る群から選択する。このようなコモノマーを前記コポリエステルに約0.5−15モルパーセントの濃度で存在させてもよい。
【0030】
イソフタル酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールは商業的に容易に入手可能で安価であることから、これらが好適である。
【0031】
そのようなコポリエステル1種または2種以上に他のコモノマーを少量含有させてもよいが、但しそのようなコモノマーが繊維のけん縮度合にも他の特性にも悪影響を与えないことを条件とする。そのような他のコモノマーには5−ナトリウム−スルホイソフタレートが含まれ、それを約0.2−5モルパーセントの濃度で存在させてもよい。粘度を制御する目的で三官能コモノマー、例えばトリメリット酸などを非常に少量組み込むことも可能である。
【0032】
本方法で製造した2成分繊維はこれを巻き上げる時にかなりのけん縮を示す。包装時にけん縮がいくらか失われる可能性があるが、これを実質的に弛緩した状態で熱にさらすと「再び発生する」可能性がある。最終的なけん縮発生(crimp development)を乾式加熱または湿式加熱条件下で達成することができる。例えば、テンターフレーム(temter frame)を用いた乾式もしくは湿式(蒸気)加熱およびジグスコア(jig scour)を用いた湿式加熱が有効であり得る。ポリエステルが基になった2成分繊維を湿式加熱する場合には約190度F(88℃)の温度が有効であることを確認した。別法として、米国特許第4,115,989号に開示されている方法を用いて最終的なけん縮を発生させることも可能であり、そのような方法では、熱風または蒸気を用いて繊維を過供給(overfeed)でバルキングジェット(bulking jet)に通した後に回転しているスクリーンドラム(screen drum)に付着させ、水を噴霧し、ほぐし、場合によりそれにインターレースを受けさせ(interlaced)た後、それを巻き上げる。
【0033】
本実施例で用いる引き伸ばし比は、繊維破断の数および/または頻度が有意に高くなることのない最大引き伸ばし比であり、これは典型的に約90%の破断−引き伸ばし(break−draw)であった。特に明記しない限り、図3に示すロール13を約60℃で操作し、ロール14を約120℃で操作しそしてロール15を約160℃で操作した。
【0034】
ポリエステルが示す固有粘度(「IV」)の測定では、Viscotek Forced Flow Viscometer Model Y−900を用い、ASTM D−
4603−96に従うが指定されている60/40重量%のフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンを用いる代わりにトリフルオロ酢酸/塩化メチレンを50/50重量%で用いて濃度を0.4%にして19℃で測定した。次に、その測定した粘度をフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンを60/40重量%用いた時の標準粘度と相互に関係付けることで、報告する固有粘度値を得た。試験重合体をサンプリング用紡糸口金に通して紡糸し(2種類の重合体を一緒にして単一の繊維を生じさせるのではなく)た後に集めてIVを測定する以外は重合体を実際に2成分繊維に紡糸する工程条件と同じ工程条件に重合体をさらすことを通して、前記繊維のIVを測定した。
【0035】
特に明記しない限り、本実施例に示すようにして製造した2成分繊維が示すけん縮収縮を下記の如く測定した。かせリール(skein reel)を約0.1gpd(0.09dN/tex)の張力で用いて各サンプルを全デニールが5000±5(5550dtex)のかせに成形した。このかせに70±2度F(21±1℃)および65±2%の相対湿度で最低16時間条件付けした。このかせをスタンドから実質的に垂直に吊るし、このかせの下部に1.5mg/den(1.35mg/dtex)の重り(例えば5550dtexのかせの場合には7.5グラム)を吊るし、その重量を測定したかせの長さが平衡状態の長さになるようにし、そしてそのかせの長さを1mm以内で測定して、「Cb」として記録した。試験期間の間、1.35mg/dtexの重りを前記かせに付けたままにした。次に、このかせの下部から500グラムの重り(100mg/d;90mg/dtex)を吊るして、そのかせの長さを1mm以内で測定して、「Lb」として記録した。けん縮収縮値(パーセント)(この試験に関して以下に記述するように熱硬化前)、即ち「CCb」を式
CCb=100x(Lb−Cb)/Lb
に従って計算した。前記500gの重りを取り除いた後、そのかせをラック(rack)に吊るして、これに熱硬化をまだ1.35mg/dtexの重りを付けたまま約225度F(107℃)のオーブン内で5分間受けさせ、その後、前記ラックとかせをオーブンから取り出して、この上に示したようにして2時間条件付けした。この段階は商業的に行われている乾式熱硬化(dry heat−setting)を模擬するように計画した段階であり、これは、2成分繊維に最終的なけん縮を発生させる1つの方法である。このかせの長さをこの上と同様にして測定して、この長さを「Ca」として記録した。このかせから再び500gの重りを吊るし、このかせの長さをこの上と同様に測定して、これを「La」として記録した。熱硬化後のけん縮収縮値(%)、即ち「CCa」を式
CCa=100x(La−Ca)/La
に従って計算した。CCaを表に報告する。この試験で得た熱硬化後のけん縮収縮値が約30%を超え、好適には約40%を超える場合、これは本発明の範囲内であり、満足される値である。
【0036】
ACW/DVA(Automatic Cut and Weigh/Decitex
Variation Accessory)装置(Lenzing Technik)[この装置では、繊維の瞬時の質量に応答するコンデンサの中のスロットに通す]を用いて、繊維に沿った規則的な間隔で質量の変動を計算することを通して、繊維の均一性の尺度であるデシテックスばらつき(「DS」)を得た。質量を30mの長さの繊維が8個分に渡って0.5m毎に測定して、その長さの各々の範囲内の最大質量と最低質量の間の差を計算した後、長さ8個分全部の平均を取り、その差の平均を長さ全体240mの繊維の平均質量で割った値をパーセントとして記録した。そのような測定を少なくとも3パッケージ(packages)の繊維に対して行うことで「平均デシテックスばらつき」を得た。繊維の均一性はDS値が低ければ低いほど高い。
【0037】
実施例1−4で2成分繊維を紡糸する時、能力が0.5−40ポンド/時(0.23−18.1kg/時)のWerner & Pfleiderer製28mm同方向回転押
出し加工機を用いて重合体を溶融させた。2G−Tの押出し加工機で達成した最大溶融温度(melt temperature)は約280−285℃であり、3G−Tの押出し加工機の場合の相当する温度は約265−275℃であった。ポンプを用いて重合体を紡糸ヘッドに移送した。実施例1−4では、最大巻き上げ速度が1分当たり6,000メートルのBarmag SW6 2s 600巻き上げ機(Barmag AG、ドイツ)を用いて繊維の巻き上げを行った。
【0038】
実施例1−4で用いた紡糸口金は合着後用2成分紡糸口金(post−coalescence bicomponent spinnerett)であり、これには円形に配列している34対の毛細管が備わっており、各対の毛細管の間の内角は30゜であり、毛細管の直径は0.64mmでありそして毛細管の長さは4.24mmであった。特に明記しない限り、繊維に含める2種類の重合体の重量比を50/50にした。実施例1および2の場合の全ヤーンデシテックス(total yarn decitex)は約78であった。
【実施例】
【0039】
実施例1
A. 1,3−プロパンジオール(「3G」)の調製を、米国特許第5,171,898号に開示されているように、アクロレインに水和を酸性カチオン交換触媒の存在下で受けさせて3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを生じさせることを通して行った。前記触媒およびいくらか存在する未反応のアクロレインを公知方法で除去した後、ラネーニッケル触媒を用いて前記3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドに接触水添を受けさせた(例えば米国特許第3,536,763号に開示されているようにして)。生成物である1,3−プロパンジオールを水溶液から回収して、公知方法で精製した。
B. ポリ(トリメチレンテレフタレート)の調製を、テトライソプロピルチタネート触媒であるTyzor(商標)TPT[デュポン社(E.I.du Pont de Nemours and Company)の登録商標]を重合体を基準にして60ppmで用いた2槽方法で1,3−プロパンジオールとジメチルテレフタレート(「DMT」)を用いて行った。3Gと触媒をエステル交換槽に入れてこれに溶融させたDMTを185℃で添加して、メタノールを除去しながら温度を210℃にまで上昇させた。その結果として生じた中間体を重縮合槽に移して、その圧力を1ミリバール(10.2kg/m2)になるまで低くしかつ温度を255℃にまで高くした。所望の溶融粘度に到達した時点で圧力を高くして重合体を押出し、冷却した後、切断してペレットにした。このペレットをタンブルドライヤーに入れてこれを212℃で操作することで固有粘度が1.04dl/gになるまで更に固相中で重合させた。
C. 図2の装置を用いて、固有粘度が0.54dl/gのポリ(エチレンテレフタレート)[デュポン社の登録商標であるCrystar(商標)4415]とこの上に示した段階Bと同様に調製したポリ(トリメチレンテレフタレート)を紡糸した。紡糸口金の温度を約272℃に維持した。紡糸装置に備わっている円柱形スクリーン5の内径は4.0インチ(10.2cm)であり、このスクリーン5の長さBは6.0インチ(15.2cm)であり、コーン8の直径は最も広い所で4.0インチ(10.2cm)であり、コーンC2の長さは3.75インチ(9.5cm)であり、管C3の長さは15インチ(38.1cm)であり、そして距離C1は0.75インチ(1.9cm)であった。管8の内径は1.0インチ(2.5cm)であり、そして(合着後用)紡糸口金は紡糸カラム(spinning column)の上部の中に4インチ(10.2cm)(図2に示す「A」)へこんでおり、その結果として、急冷用気体が紡糸直後の繊維に接触するのは遅延時間が経過した後のみである。この急冷用気体は空気であり、これを約20℃の室温で供給した。この繊維は横並び断面を有していて楕円形の断面形状を有していた。
【0040】
加熱処理用ロールの回りを約10巻きにした。
【0041】
【表1】

【0042】
このデータは、本発明の方法を用いそして2種類のポリエステルを用いると良好なけん縮を高い取り出し速度および高い巻き上げ速度で達成することができることを示している。このデータはまた本並流気体流れ方法で並流の急冷ゾーンを1ゾーンを用いると1分当たり少なくとも約6,100メートルに及ぶ巻き上げ速度を成功裏に用いることが可能になることも示している[巻き上げ速度の外挿(extrapolation)を示す図5の曲線「1」を参照]。
【0043】
実施例2
図1の直交流急冷装置を用いてCrystar(商標)4415と実施例1で調製した如きポリ(トリメチレンテレフタレート)を横並び楕円形2成分繊維に紡糸した。紡糸口金の温度を約272℃に維持した。サンプル10−15で用いた(合着後用)紡糸口金は紡糸カラムの上部の中に6インチ(15.2cm)(図1に示す「A」)へこんでいた。紡糸口金の下方に位置するゾーン(図1に示す「2」)の高さは172cmであった。サンプル10−13では、急冷用空気の流れにこれをスクリーン5(図1を参照)から5インチ(12.7cm)の所で測定して下記のプロファイル(profile)を持たせた:
【0044】
【表2】

【0045】
サンプル14および15では急冷用空気の速度を約50%高くした。
【0046】
サンプル16および17ではへこみを用いず(加熱された急冷遅延空間部を存在させず)、そして急冷用空気の流れにまたスクリーン5から5インチ(12.7cm)の所で測定して下記のプロファイルを持たせた:
【0047】
【表3】

【0048】
結果として得た繊維の特性を表IIに示しかつ図2に曲線「2」として示す。このデータは、直交流の急冷用空気を用いると高いけん縮レベルを驚くべきほど高い速度で得ることが可能になることを示している。供給用ロールの速度(取り出し速度)を約3,500mpmより高くすると繊維の破断が起こり、それによって、高いけん縮収縮レベルを達成するに充分な引き伸ばしを行うことができなかった。
【0049】
【表4】

【0050】
実施例3
実施例1で用いた紡糸装置と同じ装置を用い、ポリ(エチレンテレフタレート)と実施例1と同様に調製したポリ(トリメチレンテレフタレート)を用いて、34本のフィラメントから成る49−75dtex(1フィラメント当たり1.4−2.2dtex)の横並び楕円形断面2成分ヤーンを1分当たり2,800−4,500メートルの取り出し速度で紡糸した。これらの繊維を引き伸ばしなしにボビンに巻き取った。これらの繊維を室温(約20℃)で約3週間そして約5℃で約15日間貯蔵した後、90℃に保持されている12インチ(30cm)の熱シュー(hot shoe)を用いて、それらに引き伸ばしを1分当たり5−10メートルの供給用ロール速度で受けさせそしてそれらを一定の長さで160℃に保持されている12インチ(30cm)のガラス管オーブンに通すことでそれらに熱処理を受けさせた。これらの繊維に引き伸ばしをこれらが破断を起こす引き伸ばし度の90%の引き伸ばし度で受けさせた。この実施例では、けん縮収縮レベルの測定を、引き伸ばしおよび熱処理直後の繊維のループの底に1.5mg/デニール(1.35mg/dtex)の重りを取り付けて前記ループをホルダーから吊るして、このループの長さを測定することを通して行った。次に、前記ループの底に100mg/den(90mg/dtex)の重りを取り付けて、このループの長さを再び測定した。その2つの長さの間の差を90mg/dtexの重りを付けて測定した時の長さで割った値であるとしてけん縮収縮を計算した。この方法で得たけん縮収縮値は、「CCa」に関して値が約40%を超えると満足されると記述した方法のそれに比較して約10%(絶対)に及んで高い。結果を表IIIに要約する。
【0051】
【表5】

【0052】
この結果は、紡糸後の引き伸ばしを約5週間遅らせ(例えばスプリット方法で)ても並流の空気流れを用いて紡糸した2成分繊維にけん縮を発生させるに有効であり得ることと、約1.4の如き低い引き伸ばし比を用いて有効なけん縮レベルを達成することができることを示していた。
【0053】
実施例4
加熱されていない2インチ(5.1cm)の急冷遅延空間部(紡糸口金と同軸のシリンダーを加熱しないで用いることで作り出した)を用いる以外は実施例1と同じ装置および重合体を用いた。取り出し速度を2,000m/分にし、引き伸ばし比を2.5−2.6にしそして巻き上げ速度を5,000−5,200m/分にした。大気圧以上の圧力の急冷ゾーンを1つのみ用い[その結果として、管8の出口7(図2を参照)の所の相当する空気速度はそれぞれ1141m/分および1695m/分であった]て楕円形の横並び2成分繊維を製造した。その結果として得た34本のフィラメントから成る42デシテックス(38デニール)[1フィラメント当たり1.1デニール(1.2dtex)]の2G−T//3G−Tの2成分ヤーンは予想外に高いけん縮収縮(「CCa」)レベルである49−62%を示し、これは、実施例1で得たdtex/フィラメントがほぼ2倍のフィラメントが示したけん縮レベルに匹敵していた。このようにデシテックスが低いと、そのような装置幾何形態および工程条件を用いたのでは引き伸ばしおよび加熱処理中の繊維および巻かれたパッケージ(wound package)が破断を起こすことが原因で速度を速くするのは不可能であった。しかしながら、前記シリンダーを用いて2インチ(5.1cm)の急冷遅延空間部を作り出してこれを帯型加熱装置で250℃に加熱しかつ管8(図2を参照)の位置を高くして図2に示した距離「C1」を実質的に短くして実質的にゼロにすると、34本のフィラメントから成っていて良好なけん縮収縮(「CCa」)レベル(40−49%)を示す38デシテックス(34デニール)[1フィラメント当たり1.0デニール(1.1dtex)]の更に微細な2G−T//3G−T2成分ヤーンが5,700m/分に及んで2.85の引き伸ばし比で生じた。このように、急冷遅延空間部を加熱しかつ急冷ゾーンを短くすると非常に微細なポリエステル2成分繊維の高速加工継続性が向上した。このようなフィラメントから調製した編み物、織物および織り生地は非常に柔らかな手触りを有していた。
【0054】
実施例5
この実施例では、2ゾーンの並流急冷をいろいろな条件下で用いることを説明する。実施例5A、5Bおよび5Cの各々で、図4の紡糸装置および図7のロールとジェットの配置を用いて、固有粘度が0.52dl/gのポリ(エチレンテレフタレート)[Crys
tar(商標)4415−675]と実施例1の段階Bと同様にして調製したポリ(トリメチレンテレフタレート)を34本の横並び2成分フィラメントに紡糸した。2G−Tで用いた押出し加工機は4E4−41−2042モデルのスクリューが備わっている単軸Barmagモデル4E10/24Dであった。3G−Tで用いた押出し加工機はMAF30−41−3モデルの単一フライトスクリューが備わっている単軸Barmag Maxflex(加熱ゾーンは1ゾーンのみで内径が30mm)であった。押出し加工機排出部と紡糸口金面の間のトランスファーライン(transfer lines)内の滞留時間の測定を、染料のチップを重合体に短時間に添加しそして前記染料が繊維の中に現れるまでに要する時間を測定した後にそれが繊維から消失するまでの時間を測定することで行った。2G−Tラインの場合にそれが現れる時間は6.5分でありそしてそれが見えなくなる時間は40分以上であった。3G−Tラインの場合にそれが現れる時間は4.75分でありそしてそれが見えなくなる時間は10分であった。ポリ(トリメチレンテレフタレート)が押出し加工機から出て来る時の温度は約260℃未満でありそしてトランスファーラインの温度もほぼ同じ温度であった。合着後用紡糸口金の中の毛細管と毛細管の間の角度は30゜であり、出口の所の毛細管と毛細管の間の距離は0.067mmであった。合着前用の紡糸口金は毛細管と長さが16.7mmの穴ぐりの組み合わせであった。急冷用気体を前記紡糸口金の下方少なくとも90mm(図4に示した「A」)の所に位置させた紡糸用カラムの中に入り込ませた時に前記気体が結果として紡糸直後の繊維に最初に接触するのは遅延時間が経過した後のみであり、この場合には、へこみ部を故意に加熱しなかった。急冷用気体は空気であり、これを20℃の温度において65%の相対湿度で供給した。管8aの最小内径は0.75インチ(1.91cm)でありそして管8bの最小内径は1.5インチ(3.81cm)であった。加熱されていない供給用ロール13の回りを5.5巻きにした。引き伸ばし用ジェット21を0.6バール(6118Kg/cm2)下225℃で操作し、そして引き伸ばし地点の位置を調節する目的で蒸気の流れを調整した。引き伸ばし用ロール14をまた熱処理用ロールとしても機能させ、これを180℃で操作し、これらのロールもまた5.5巻きにした。巻き上げ機は巻き上げ速度が7000m/分であると言った能力を有する商業的Barmag CRAFT 8末端巻き上げ機(8−end winder)であった。繊維の断面は横並び断面であり、全ヤーンデニール(total yarn denier)は実施例5Aおよび5Cの場合には96でありそして実施例5Bの場合には108であった(それぞれ107デシテックスおよび120デシテックス)。他の紡糸条件および断面形状そしてけん縮収縮レベルを表IVに要約する。
【0055】
【表6】

【0056】
実施例5Bの場合のデシテックスばらつきは単一のパッケージによるデータを基にして1.36%であった。表IVに示したデータは、本発明の方法を用いると非常に高いけん縮レベルを非常に高い速度で達成することができることを示している。
【0057】
実施例6
この実施例は、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(トリメチレンテレフタレート)を含んで成る新規な高度に均一な2成分繊維に関する。用いた重合体、押出し加工機、紡糸装置、紡糸口金へこみ、急冷用気体、巻き上げ機およびロールとジェットの配置は実施例5の場合と同じであった。実施例5の合着後用紡糸口金を用いそして繊維の断面形状は各場合とも「雪だるま」であった。ポリ(トリメチレンテレフタレート)が押出し加工機を出た時の温度は約260℃未満でありそしてトランスファーラインの温度もほぼ同じ温度であった。実施例6.Cではへこみ部を120℃に加熱したが、それ以外では故意に加熱しなかった。実施例6.Bでは供給用ロール13を55℃に加熱したが、それ以外では故意に加熱しなかった。引き伸ばし地点の位置を調節する目的で引き伸ばし用ジェット21の蒸気の流れを調整した。引き伸ばし用ロール14をまた熱処理用ロールとしても機能させ、これを再び180℃で操作した。前記供給用ロールおよび引き伸ばし用ロールを
5.5巻きにした。他の紡糸条件およびけん縮収縮レベルを表Vに示す。デシテックスばらつきデータを表VIに示す。
【0058】
【表7】

【0059】
【表8】

【0060】
実施例7(比較)
この実施例では、ポリエステル2成分繊維を製造する時に通常の直交流急冷を用いた時に得られる均一性のレベルがどれくらいであるかを示す。IVが1.02−1.06である以外は実施例1に記述した如く調製したポリ(トリメチレンテレフタレート)(TiO2を0.3重量%含有)とポリ(エチレンテレフタレート)[Crystar(商標)4415、IVが0.52]を用いた。これらの重合体を個々の押出し加工機で溶融させて個別に256℃(3G−T)または285℃(2G−T)の溶融温度で合着前用紡糸口金に移送した。この繊維に含める2G−Tが示したIVは約0.93でありそして3G−Tが示したIVは約0.52であった。2G−Tと3G−Tの重量比を41/59にした。押出された2成分マルチフィラメントヤーン(multifilament yarn)を、プレナムから垂直の拡散装置スクリーンに通して供給した速度が16m/分の空気を用いた直交流急冷装置内で冷却した。図9のロールとジェットの配置を用いた。塗布装置(示していない)を用いて、紡糸口金面3(図9を参照)の下方2メートルの所でエステルが基になった仕上げ剤を5重量%(繊維を基準)供給した。ヤーン6を供給用ロール13と関連したセパレーターロール13aの回りに2.5回通し、引き伸ばし用ジェット蒸気21(180℃で操作)の中に通した後、引き伸ばし用ロール14と関連したセパレーターロール14aの回りに通した。次に、このヤーンに引き伸ばしを引き伸ばし用ロール14と1対のロール15(熱チェストに入っていて170℃に加熱)の間で2回受けさせた。その2本の熱チェストロールの回りを全体で7.5巻きにした。そのヤーンをロール22の回りに通し、二重インターレースジェット(dual interlace jets)20の中に通した後、ロール16の回りに通した。仕上げ剤塗布装置10の所で同じ仕上げ剤を再び同じ5重量%の率で再塗布した。最後に、このヤーンを巻き上げ機17で紙心管に巻き付けた。ロールおよび巻き上げ機の速度(メートル/分)を表VIIに要約し、そして結果として得た平均デシテックスばらつきを表VIIIに報告する。
【0061】
【表9】

【0062】
【表10】

【0063】
(1)実施例7Aのパッケージ1が示したデシテックスばらつきは、統計学的範囲外(statistical outlier)であり、実施例7Aで得た平均デシテックスばらつきが高いことで明らかなように、通常の急冷方法で得られるポリエステル2成分繊維が示すデシテックスばらつきの真の値の代表例ではないと考えている。
【0064】
実施例6と7の結果を比較することで、非常に均一な2G−T//3G−Tの2成分繊維を製造することがここに可能になったことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1に、本発明の方法で用いるに有用な直交流急冷溶融紡糸装置を示す。
【図2】図2に、本発明の方法で用いるに有用な大気圧以上の圧力の並流急冷溶融紡糸装置を示す(米国特許第5,824,248号の図2に示されている如き)。
【図3】図3に、本発明の方法で使用可能なロール配置の例を示す。
【図4】図4に、本発明の方法で用いるに有用な大気圧以上の圧力の並流急冷紡糸装置を示し、この装置には急冷ゾーンが2つ用いられている。
【図5】図5は、実施例1および2の場合の繊維のけん縮収縮(「CCa」)と巻き上げ速度の間の関係を示すグラフ図である。
【図6】図6に、本発明の方法で用いるに有用な大気圧以下の圧力の並流急冷紡糸装置を示す。
【図7】図7は、本発明の方法で使用可能なロールとジェットの配置の別の態様の図式図である。
【図8】図8に、本発明の方法を用いて作り出すことができる断面形状そして本発明の微細なデニール(デシテックス)のポリエステル2成分および高度に均一なポリエステル2成分の断面形状の例を示す。
【図9】図9は、本発明の方法で使用可能な別の直交流急冷装置の図式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化後に30%を超えるけん縮収縮値を示す充分な引き伸ばしとけん縮を受けた2成分繊維を製造する連続方法であって、
(A)組成的に異なる2種類のポリエステルを供給し、
(B)前記2種類のポリエステルを紡糸口金から溶融紡糸することで2成分繊維を少なくとも1本生じさせ、
(C)前記紡糸口金の下方に位置する少なくとも1つの急冷ゾーンに少なくとも1つの気体流れを供給して前記気体流れを繊維が移動する方向に1分当たり330−5,000メートルの最大速度になるまで加速させ、
(D)前記繊維を前記ゾーン1つまたは2つ以上の中に通し、
(E)前記繊維を1分当たり820−4,200メートルの取り出し速度で取り出すが、この取り出し速度に対する最大気体速度の比率を、約1.4−4.5なる特定の引き伸ばし比範囲が達成されるように選択し、
(F)前記繊維の加熱および引き伸ばしを50−185℃の温度において約1.4−4.5なる前記の引き伸ばし比で行い、
(G)前記繊維を結果として熱硬化後の収縮値が30%を超えるに充分な温度に加熱することでそれの熱処理を行い、そして
(H)前記繊維を1分当たり少なくとも約3,300メートルの速度で巻き上げることによって、1.0−2.0%の範囲の平均デシテックスばらつきを有する充分な引き伸ばしとけん縮を受けた2成分繊維を取得する、
段階を含んで成る連続方法。
【請求項2】
前記ポリエステルの重量比を約30/70から70/30にし、前記繊維に横並びまたは偏心シースコア断面を持たせ、そして前記繊維を100−175℃の温度に加熱し、引き伸ばし、そしてこれを約140−185℃の温度に加熱することで熱処理を行う請求項1記載の連続方法。
【請求項3】
前記引き伸ばし比を約2.4−4.0にし、そして前記繊維を約160−175℃の温度に加熱することで熱処理を行いそして1分当たり少なくとも約4,500メートルの速度で巻き上げる請求項2記載の連続方法。
【請求項4】
前記2種類のポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンテレフタレート)のコポリエステルから成る群から選択したポリエステルとポリ(トリメチレンテレフタレート)であり、前記ポリエステルの重量比を約30/70から70/30にし、前記繊維に横並び断面を持たせ、そして前記繊維を1分当たり約1,000−3,000メートルの速度で取り出し、これを約140−185℃の温度に加熱することで熱処理を行いそして1分当たり約5,000−6,100メートルの速度で巻き上げる請求項1記載の連続方法。
【請求項5】
気体を大気圧以上の圧力下で前記急冷ゾーンに供給し、前記重合体の重量比を約40/60から60/40にしそして段階(F)と(G)を一緒に約140−185℃の温度で実施する請求項1記載の連続方法。
【請求項6】
前記2種類のポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンテレフタレート)のコポリエステルから成る群から選択したポリエステルとポリ(トリメチレンテレフタレート)であり、気体を大気圧以上の圧力下で2つの急冷ゾーンに供給し、前記重合体の重量比を40/60から60/40にし、そして前記繊維を約140−185℃の温度に加熱することで熱処理を行いそして約5,000−8,000メートル/分の速度で巻き上げる請求項1記載の連続方法。
【請求項7】
前記選択したポリエステルがコポリ(エチレンテレフタレート)であり、このコポリエステルを製造する時に用いたコモノマーが
炭素原子数が4−12の線状、環状および分枝脂肪族ジカルボン酸、
炭素原子数が8−12の芳香族ジカルボン酸、
炭素原子数が3−8の線状、環状および分枝脂肪族ジオール、および
炭素原子数が4−10の脂肪族および芳香脂肪族エーテルグリコール、
から成る群から選択したコモノマーである請求項6記載の連続方法。
【請求項8】
前記コモノマーがイソフタル酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールから成る群から選択したコモノマーでありそしてこれを前記コポリエステルに約0.5−15モルパーセントの濃度で存在させそして前記繊維を約160−175℃の温度に加熱することで熱処理を行う請求項7記載の連続方法。
【請求項9】
前記紡糸口金の下に位置する急冷ゾーン内で大気圧以下の圧力を用いて前記急冷用気体を繊維が移動する方向に加速させる請求項1記載の連続方法。
【請求項10】
熱硬化後に30%を超えるけん縮収縮値を示す充分な引き伸ばしとけん縮を受けた2成分繊維を製造する連続方法であって、
(A)組成的に異なる2種類のポリエステルを約30/70から70/30の重量比で供給し、
(B)前記2種類のポリエステルを紡糸口金から溶融紡糸することで横並びまたは偏心シース−コア断面を有する2成分繊維を少なくとも1本生じさせ、
(C)前記紡糸口金の下方に位置する大気圧以上の圧力下の1番目および2番目の急冷ゾーンに1番目および2番目の気体流れを供給し、ただし、前記の各急冷ゾーンは連続的に小さくなる内径を有している、
(D)前記1番目および2番目の気体流れを前記2番目の急冷ゾーン内で一緒にし、
(E)前記繊維を前記1番目および2番目の急冷ゾーンの中に通し、
(F)前記1番目および2番目の気体流れを繊維が移動する方向に最大速度になるまで加速させ、
(G)前記繊維を1分当たり約820−4,000メートルの取り出し速度で取り出すが、この取り出し速度に対する最大気体速度の比率を、約1.4−4.5なる特定の引き伸ばし比範囲が達成されるように選択し、
(H)前記繊維を50−185℃の温度に加熱しそしてこれを約1.4−4.5なる前記の引き伸ばし比で引き伸ばし、
(I)前記繊維を結果として熱硬化後の収縮値が約30%を超えるに充分な温度に加熱することでそれの熱処理を実質的に一定の長さで行い、そして
(J)前記繊維を1分当たり少なくとも約3,300メートルの速度で巻き上げる、
段階を含んで成る連続方法。
【請求項11】
前記2種類のポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンテレフタレート)のコポリエステルから成る群から選択したIVが0.45−0.80dl/gのポリエステルとIVが0.85−1.50dl/gのポリ(トリメチレンテレフタレート)であり、前記引き伸ばし比を約2.4−4.0にしそして前記繊維を約140−185℃の温度に加熱することで熱処理を行いそして1分当たり少なくとも約4,500メートルの速度で巻き上げる請求項10記載の連続方法。
【請求項12】
前記コポリエステルを製造する時に用いたコモノマーがイソフタル酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−プロパン
ジオールおよび1,4−ブタンジオールから成る群から選択したコモノマーでありそしてこれを前記コポリエステルに0.5−15モルパーセントの濃度で存在させそして前記繊維を1分当たり約5,000−8,000メートルの速度で巻き上げる請求項11記載の連続方法。
【請求項13】
熱硬化後に30%を超えるけん縮収縮値を示す充分な引き伸ばしとけん縮を受けた2成分繊維を製造する連続方法であって、
(A)異なる固有粘度を示すポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンテレフタレート)のコポリエステルから成る群から選択したポリエステルとポリ(トリメチレンテレフタレート)を供給し、
(B)前記2種類のポリエステルを紡糸口金から溶融紡糸することで横並びまたは偏心シースコア断面を有する2成分繊維を少なくとも1本生じさせ、
(C)前記紡糸口金の下方に位置する直交流急冷ゾーンに層状気体流れを供給し、ただし、前記の直交流急冷ゾーンは急冷ゾーンを越えて少なくとも1つの2成分繊維へ向かう気体の流れを調整するためのヒンジ付き邪魔板を含んでいる、
(D)前記繊維を前記急冷ゾーンの中に通し、
(E)前記繊維を取り出し、
(F)前記繊維を50−185℃の温度に加熱しそしてこれを約1.4−4.5の引き伸ばし比で引き伸ばし、
(G)前記繊維を結果として熱硬化後の収縮値が約30%を超えるに充分な温度に加熱することでそれの熱処理を行い、そして
(H)前記繊維を1分当たり少なくとも約3,300メートルの速度で巻き上げる、
段階を含んで成る連続方法。
【請求項14】
前記選択したポリエステルとポリ(トリメチレンテレフタレート)の重量比が約30/70から70/30であり、前記気体流れが直交流であり、そして前記繊維を1分当たり約700−3,500メートルの速度で取り出し、これを約140−185℃の温度に加熱することで熱処理を行いそして1分当たり少なくとも約4,000メートルの速度で巻き上げる請求項13記載の連続方法。
【請求項15】
前記選択したポリエステルとポリ(トリメチレンテレフタレート)の重量比が約40/60から60/40であり、そして前記繊維を1分当たり約1,000−3,000メートルの速度で取り出し、約2.4−4.0の引き伸ばし比で引き伸ばし、これを約140−185℃の温度に加熱することで熱処理を行いそして1分当たり約4,500−5,200メートルの速度で巻き上げる請求項13記載の連続方法。
【請求項16】
前記選択したポリエステルが約0.45−0.80dl/gの固有粘度を示し、ポリ(トリメチレンテレフタレート)が約0.85−1.50dl/gの固有粘度を示し、そして前記繊維に横並び断面を持たせて雪だるま、楕円および実質的に円形から成る群から選択される断面形状を持たせる請求項13記載の連続方法。
【請求項17】
前記2成分繊維が熱硬化後に40%を超えるけん縮収縮値を示しそして前記2種類のポリエステルが示す固有粘度がそれぞれ0.45−0.60dl/gおよび1.00−1.20dl/gである請求項13記載の連続方法。
【請求項18】
前記コポリエステルを製造する時に用いたコモノマーが
炭素原子数が4−12の線状、環状および分枝脂肪族ジカルボン酸、
炭素原子数が8−12の芳香族ジカルボン酸、
炭素原子数が3−8の線状、環状および分枝脂肪族ジオール、および
炭素原子数が4−10の脂肪族および芳香脂肪族エーテルグリコール、
から成る群から選択したコモノマーである請求項13記載の連続方法。
【請求項19】
前記コモノマーがイソフタル酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールから成る群から選択したコモノマーでありそしてこれを前記コポリエステルに約0.5−15モルパーセントの濃度で存在させそして前記繊維を約160−175℃の温度に加熱することで熱処理を行う請求項18記載の連続方法。
【請求項20】
請求項1、10または13記載の方法によって製造された約0.6−1.7dtexの2成分繊維であって、ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンテレフタレート)のコポリエステルから成る群から選択したポリエステルとポリ(トリメチレンテレフタレート)を含んで成り、熱硬化後に約30%を超えるけん縮収縮値を示し、横並びおよび遍心シースコアから成る群から選択される断面を有しかつ雪だるま、楕円および実質的に円形から成る群から選択される断面形状を有する繊維。
【請求項21】
前記選択したポリエステルとポリ(トリメチレンテレフタレート)の重量比が約30/70から70/30であり、そして前記繊維が熱硬化後に少なくとも約40%のけん縮収縮値を示し、そして実質的に円形の断面形状を有する請求項20記載の繊維。
【請求項22】
前記選択したポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)のコポリエステルであり、このコポリエステルを製造する時に用いたコモノマーが
炭素原子数が4−12の線状、環状および分枝脂肪族ジカルボン酸、
炭素原子数が8−12の芳香族ジカルボン酸、
炭素原子数が3−8の線状、環状および分枝脂肪族ジオール、および
炭素原子数が4−10の脂肪族および芳香脂肪族エーテルグリコール、
から成る群から選択したコモノマーである請求項20記載の繊維。
【請求項23】
前記コモノマーがイソフタル酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールから成る群から選択したコモノマーでありそしてこれが前記コポリエステルに約0.5−15モルパーセントの濃度で存在する請求項22記載の繊維。
【請求項24】
請求項1、10または13記載の方法によって製造された熱硬化後のけん縮収縮値が約30%を超えかつ平均デシテックスばらつきが約2.5%未満の2成分繊維であって、ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンテレフタレート)のコポリエステルから成る群から選択したポリエステルとポリ(トリメチレンテレフタレート)を含んで成り、横並びおよび遍心シースコアから成る群から選択される断面を有しかつ雪だるま、楕円および実質的に円形から成る群から選択される断面形状を有する繊維。
【請求項25】
40%を超えるけん縮収縮値を示し、約1.0−2.0%の範囲の平均デシテックスばらつきを示し、横並び断面を有し、実質的に円形の断面形状を有する請求項24記載の繊維。
【請求項26】
前記選択したコポリエステルとポリ(トリメチレンテレフタレート)の重量比が約30/70から70/30であり、そして前記コポリエステルを製造する時に用いたコモノマーがイソフタル酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールから成る群から選択したコモノマーでありそしてこのコモノマーが前記コポリエステルに約0.5−15モルパーセントの濃度で存在する請求項25記載の繊維。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−256517(P2011−256517A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179755(P2011−179755)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【分割の表示】特願2001−553428(P2001−553428)の分割
【原出願日】平成13年1月16日(2001.1.16)
【出願人】(599088656)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (11)
【Fターム(参考)】