説明

2流体ノズル及び基板液処理装置並びに基板液処理方法

【課題】小径の処理液の液滴を均一に噴霧できる2流体ノズル及び同2流体ノズルを用いた基板液処理装置並びに基板液処理方法を提供すること。
【解決手段】本発明では、液体吐出部(48)から吐出した処理液と気体吐出口(52)から吐出した気体とを混合して生成した処理液の液滴を被処理体に向けて噴霧する2流体ノズル(34)及び同2流体ノズル(34)を用いた基板液処理装置(1)並びに基板液処理方法において、液体吐出部(48)は、気体吐出口(52)の内側に円周中心部に対して外側方向へ向けて処理液を吐出する複数の液体吐出口(47)を同一円周上に配置することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出部から吐出した処理液と気体吐出口から吐出した気体とを混合して生成した処理液の液滴を被処理体に向けて噴霧するための2流体ノズル、及び、同2流体ノズルを用いて基板の液処理を行うための基板液処理装置並びに基板液処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体部品やフラットパネルディスプレイなどを製造する場合には、半導体ウエハや液晶用基板などの基板を洗浄液等の処理液で液処理する。
【0003】
この基板の液処理を行う基板液処理装置では、基板の表面に処理液の液滴を噴霧するために2流体ノズルを用いる。
【0004】
2流体ノズルは、下端部中央に処理液を吐出するための円孔状の液体吐出部を形成し、その液体吐出部の外側に気体を吐出するための円環状の気体吐出口を形成している。そして、2流体ノズルは、液体吐出部から下方に向けて所定流量の処理液を吐出するとともに、気体吐出口から所定流量の気体を内側の処理液に向けて吐出し、2流体ノズルの外部(下方)で処理液と気体とを混合して、気体の吐出圧力で処理液を分散させて処理液の液滴を生成し、霧状となった処理液の液滴を基板に向けて噴霧する(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−356317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の2流体ノズルでは、2流体ノズルの下端部中央の円孔状の液体吐出部から下向きに円柱状に吐出された処理液を、その外側の気体吐出口から吐出された気体で分散させて、処理液の液滴を生成する。このような従来の2流体ノズルでは、処理液が良好に分散されず、粒径の小さくならない液滴ができて、生成される液滴の粒径が不均一となり、処理液の液滴による液処理効果(たとえば、洗浄効果など。)が低減してしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明では、液体吐出部から吐出した処理液と気体吐出口から吐出した気体とを混合して生成した処理液の液滴を被処理体に向けて噴霧する2流体ノズルにおいて、前記液体吐出部は、前記気体吐出口の内側に同一円周上に配置した複数の液体吐出口で構成し、前記複数の液体吐出口は、円周中心部に対して外側方向へ向けて処理液を吐出することにした。
【0008】
また、前記複数の液体吐出口は、隣接する液体吐出口の間隔を、各液体吐出口から吐出した処理液同士が接触しない間隔とすることにした。
【0009】
また、前記液体吐出口と前記気体吐出口との間隔は、隣接する液体吐出口から吐出した処理液同士が接触することなく気体と混合する間隔とすることにした。
【0010】
また、前記複数の液体吐出口は、隣接する液体吐出口の間隔が前記液体吐出口の直径以上の間隔であることにした。
【0011】
また、前記気体吐出口は、スリット形状であることにした。
【0012】
また、前記気体吐出口は、下方へ向けて気体を吐出することにした。
【0013】
また、前記気体吐出口から気体を旋回させて吐出する旋回流発生部を有することにした。
【0014】
また、本発明では、基板を処理液の液滴で液処理する基板液処理装置において、基板を保持しながら回転させる基板保持手段と、基板保持手段で保持された基板を囲い、処理液を受けるカップと、基板に処理液の液滴を吐出する2流体ノズルとを備え、前記2流体ノズルは、液体吐出部から吐出した処理液と気体吐出口から吐出した気体とを混合して液滴を生成し、前記液体吐出部は、前記気体吐出口の内側に同一円周上に配置した複数の液体吐出口で構成し、前記複数の液体吐出口は、円周中心部に対して外側方向へ向けて処理液を吐出することにした。
【0015】
また、前記複数の液体吐出口は、隣接する液体吐出口の間隔を、各液体吐出口から吐出した処理液同士が接触しない間隔とすることにした。
【0016】
また、前記液体吐出口と前記気体吐出口との間隔は、隣接する液体吐出口から吐出した処理液同士が接触することなく気体と混合する間隔とすることにした。
【0017】
また、本発明では、2流体ノズルの液体吐出部から吐出した処理液と気体吐出口から吐出した気体とを混合して生成した処理液の液滴を基板に向けて噴霧することで基板を処理液の液滴で液処理する基板液処理方法において、前記2流体ノズルで液処理することにした。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、液体吐出部の各液体吐出口から外側に向けて吐出した処理液と気体吐出口から吐出した気体とを混合するようにしている。これにより、各液体吐出口から吐出された処理液が良好に分散されて処理液の液滴の粒径を均一にすることができるので、処理液の液滴による液処理効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】基板液処理装置を示す平面図。
【図2】基板処理室を示す模式図。
【図3】2流体ノズルを示す正面断面図。
【図4】同拡大底面図。
【図5】図3のI−I断面図。
【図6】気体供給流路を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る2流体ノズル、同2流体ノズルを有する基板液処理装置、及び、同2流体ノズルを用いた基板液処理方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1に示すように、基板液処理装置1は、前端部に被処理体としての基板2(ここでは、半導体ウエハ。)を複数枚(たとえば、25枚。)まとめてキャリア3で搬入及び搬出するための基板搬入出部4を設け、基板搬入出部4の後部にキャリア3に収容された基板2を搬送するための基板搬送部5を設け、基板搬送部5の後部に基板2の洗浄や乾燥などの各種の処理を施すための基板処理部6を設けている。
【0022】
基板搬入出部4は、4個のキャリア3を基板搬送部5の前壁7に密着させた状態で左右に間隔をあけて載置する。
【0023】
基板搬送部5は、内部に基板搬送装置8と基板受渡台9とを収容している。そして、基板搬送部5では、基板搬送装置8を用いて基板搬入出部4に載置されたいずれか1個のキャリア3と基板受渡台9との間で基板2を搬送する。
【0024】
基板処理部6は、中央部に基板搬送装置10を収容するとともに、基板搬送装置10の左右両側に基板処理室11〜22を前後に並べて収容する。
【0025】
そして、基板処理部6では、基板搬送装置10を用いて基板搬送部5の基板受渡台9と各基板処理室11〜22との間で基板2を1枚ずつ搬送し、各基板処理室11〜22を用いて基板2を1枚ずつ処理する。
【0026】
各基板処理室11〜22は、同様の構成となっており、代表して基板処理室11の構成について説明する。基板処理室11は、図2に示すように、基板2を水平に保持しながら回転させるための基板保持手段23と、基板保持手段23で保持した基板2の上面に向けて処理液(ここでは、洗浄液。)を吐出するための処理液吐出手段24と、基板保持手段23で保持した基板2の上面に向けてリンス液を吐出するためのリンス液吐出手段25とを有している。これらの基板保持手段23と処理液吐出手段24とリンス液吐出手段25は、制御手段26で制御される。なお、制御手段26は、基板搬送装置8,10など基板液処理装置1の全体を制御する。
【0027】
基板保持手段23は、回転軸27の上端部に円板状のテーブル28を水平に備え、テーブル28の周縁部には基板2の周縁部と接触して基板2を水平に保持する複数個の基板保持体29が円周方向に間隔をあけて取付けられている。回転軸27には、回転駆動機構30を接続している。回転駆動機構30は、回転軸27及びテーブル28を回転させ、テーブル28に基板保持体29で保持した基板2を回転させる。この回転駆動機構30は、制御手段26に接続しており、制御手段26で回転制御される。
【0028】
また、基板保持手段23の周囲には、上方を開口させたカップ31が昇降自在に設けられ、テーブル28に載置した基板2をカップ31で囲んで処理液やリンス液の飛散を防止するとともに、処理液やリンス液を受ける。カップ31には、昇降機構32を接続している。昇降機構32は、カップ31を基板2に対して相対的に上下に昇降させる。この昇降機構32は、制御手段26に接続しており、制御手段26で昇降制御される。
【0029】
処理液吐出手段24は、テーブル28よりも上方にアーム33を水平移動可能に配置し、アーム33の先端部には処理液吐出ノズルとして外部混合型の2流体ノズル34が取付けられている。アーム33には、移動機構35を接続している。移動機構35は、2流体ノズル34を基板2の外方の退避位置と基板2の中央部上方の開始位置との間で水平に移動させる。この移動機構35は、制御手段26に接続しており、制御手段26で移動制御される。
【0030】
また、処理液吐出手段24は、2流体ノズル34に処理液を供給するための液体供給流路36と、2流体ノズル34に気体を供給するための気体供給流路37とを形成している。
【0031】
液体供給流路36には、処理液(洗浄液)を供給するための液体供給源38を流量調整器39を介して接続している。流量調整器39は、2流体ノズル34に供給する処理液の流量を調整する。この流量調整器39は、制御手段26に接続しており、制御手段26で開閉制御及び流量制御される。
【0032】
気体供給流路37には、気体(窒素ガス)を供給するための気体供給源40を流量調整器41を介して接続している。流量調整器41は、2流体ノズル34に供給する気体の流量を調整する。この流量調整器41は、制御手段26に接続しており、制御手段26で開閉制御及び流量制御される。
【0033】
2流体ノズル34は、図3〜図5に示すように、ノズル本体42の内部に処理液を流す液体流路44を形成している。このノズル本体42の外周部にノズルカバー43を取付け、ノズル本体42の外周凹部とノズルカバー43の内周部との間に気体を流す気体流路45を形成している。
【0034】
液体流路44は、ノズル本体42の上部に形成した液体流入口46に液体供給流路36を接続している。ノズル本体42の下端部には、円周の中心から外周方向へ向けて斜め下向きに傾斜する複数(ここでは、32個。)の円孔状の液体吐出口47を同一円周上に形成し、これら複数の液体吐出口47で処理液を吐出するための液体吐出部48を構成している。これにより、2流体ノズル34は、液体供給流路36から供給された処理液を液体吐出部48の各液体吐出口47から円周の外周方向へ向けて斜め下向きに複数の細い筋状に吐出することができる。なお、液体吐出口47は、液体流路44の外周端縁に形成した入口から液体流路44の内径よりも外側に形成した出口に向けて放射状に形成して、処理液が複数の細い筋状に液体流路44の内径よりも広い範囲に拡散して吐出される。
【0035】
気体流路45は、ノズルカバー43の上部に形成した気体流入口49に気体供給流路37を接続している。ノズル本体42の下部には、平面視で時計回り下方へ向けて傾斜する複数(ここでは、6個。)の傾斜孔50からなる旋回流発生部51を介設し、ノズル本体42の先端部とノズルカバー43の先端部との間に液体吐出部48と同心円上のスリット形状の円環孔からなる気体吐出口52を形成している。これにより、2流体ノズル34は、気体供給流路37から供給された気体を旋回流発生部51で旋回させて気体吐出口52から下方へ向けて吐出する。この時、気体は基板2に対して略鉛直方向に吐出することが好ましい。
【0036】
このように、2流体ノズル34は、円周の外周方向へ向けて斜め下向きに処理液を吐出する複数の液体吐出口47を同一円周上に配置した液体吐出部48を、液体吐出部48と同心円に配置した円環状の気体吐出口52の内側に形成している。
【0037】
そして、2流体ノズル34は、液体吐出部48の複数の液体吐出口47から処理液を外周方向に斜め下向きに吐出するとともに、スリット形状の気体吐出口52から気体を下方へ向けて吐出する。これにより、液体吐出部48及び気体吐出口52の下方近傍で処理液と気体とが衝突し、気体の吐出圧力によって処理液が分散して霧状の処理液の液滴が形成され、その処理液の液滴を被処理体としての基板2の表面に噴霧する。この時、処理液が複数の細い筋状に吐出されるので、気体と処理液との接触面積が大きくなり、粒径が小さい液滴を均一に効率よく形成することができる。また、スリット形状の気体吐出口52から気体を吐出するので、筋状に吐出される処理液に対して均一に気体を衝突させることができ、均一な液滴を生成することができる。
【0038】
ここで、2流体ノズル34は、処理液を液体吐出口47から吐出させた際に、各液体吐出口47から吐出した処理液間に発生する負圧で引き寄せられて処理液同士が接触しないように、隣接する液体吐出口47の間隔を所定距離以上に離して形成している。具体的には、隣接する液体吐出口47の外周端の間隔を液体吐出口47の開口径以上となるように形成している。これにより、複数の細い筋状に吐出した処理液同士が接触して太い円柱状になることを防止することができるので、粒径の小さい液滴を均一に生成することができる。
【0039】
また、2流体ノズル34は、処理液を液体吐出口47から吐出させた際に各液体吐出口47から吐出された直後に処理液と気体とが衝突するように、液体吐出部48の液体吐出口47と気体吐出口52との間隔を所定距離以下に近づけて形成している。具体的には、各液体吐出口47から吐出した処理液同士が接触しない状態で気体と衝突する距離に形成している。これにより、処理液が複数の細かい筋状である状態で気体と衝突することになるので、粒径の小さい液滴を均一に生成することができる。また、処理液の吐出角度にずれが生じると処理液と気体が衝突する高さのばらつきが起きるおそれがあるが、処理液を液体吐出口47から吐出した直後に気体と衝突させることで、衝突高さのばらつきを抑えることができる。このようにして、処理液と気体とが衝突するときの状態のばらつきを抑えることで、均一な液滴を生成することができる。
【0040】
リンス液吐出手段25は、図2に示すように、テーブル28よりも上方にアーム53を水平移動可能に配置し、アーム53の先端部にはリンス液吐出ノズル54が取付けられている。アーム53には、移動機構55を接続している。移動機構55は、リンス液吐出ノズル54を基板2の外方の退避位置と基板2の中央直上方の開始位置との間で移動させる。この移動機構55は、制御手段26に接続しており、制御手段26で移動制御される。
【0041】
また、リンス液吐出手段25は、リンス液を供給するためのリンス液供給源56にリンス液吐出ノズル54を流量調整器57とリンス液供給流路58を介して接続している。流量調整器57は、リンス液吐出ノズル54に供給するリンス液の流量を調整する。この流量調整器57は、制御手段26に接続しており、制御手段26で開閉制御及び流量制御される。
【0042】
基板液処理装置1は、以上に説明したように構成しており、制御手段26(コンピュータ)で読み取り可能な記憶媒体59に記憶した基板液処理プログラムにしたがって各基板処理室11〜22で基板2を処理する。なお、記憶媒体59は、基板液処理プログラム等の各種プログラムを記録できる媒体であればよく、ROMやRAMなどの半導体メモリ型の記憶媒体であってもハードディスクやCD−ROMなどのディスク型の記憶媒体であってもよい。
【0043】
次に、基板液処理プログラムによって実行する基板処理方法について説明する。まず、基板搬送装置8を用いてキャリア3から基板2を取出して基板受渡台9に搬送する。基板受渡台9に搬送された基板2は、基板処理部6に収容された基板搬送装置10を用いて各基板処理室11〜22に搬入され、基板保持体29で保持される。各基板処理室11〜22において、制御手段26によって回転駆動機構30を制御して基板保持手段23のテーブル28及び基板保持体29で保持する基板2を所定回転速度で回転させる。そして、アーム33を水平に移動させて、2流体ノズル34を基板2の中央部上方に移動させる。その後、制御手段26によって流量調整器39,41を開放及び流量制御して、液体供給源38及び気体供給源40から供給される処理液及び気体を2流体ノズル34の液体吐出部48及び気体吐出口52から基板2の上面に向けて吐出させる。
【0044】
これにより、液体吐出部48から吐出された処理液と気体吐出口52から吐出された気体とが2流体ノズル34の先端より下方において混合されて処理液の液滴が形成され、霧状の処理液の液滴が基板2に噴霧される。
【0045】
その後、基板液処理プログラムは、制御手段26によって移動機構35を制御してアーム33を水平に往復移動させる。これにより、2流体ノズル34を基板2の中央部上方と基板2の外周端縁上方との間で往復移動させて基板2の表面全体の液処理を行う。その後、制御手段26によって流量調整器39,41を閉塞制御して、2流体ノズル34からの処理液及び気体の吐出を停止する。その後、制御手段26によって移動機構35を制御して、2流体ノズル34を基板2の外周外方の退避位置に移動させる。
【0046】
2流体ノズル34による処理が終了した後、制御手段26によって移動機構55を制御してアーム53を水平に移動させてリンス液吐出ノズル54を基板2の中央部上方に移動させる。その後、リンス液供給源56から供給されるリンス液を基板2の上面に向けて吐出させる。リンス液を吐出しながらアーム53を基板2の中央部上方から外周端縁方向に向けて移動させて、基板2の表面全体のリンス処理を行う。リンス液吐出ノズル54が基板2の外周外方に移動した後、リンス液の吐出を停止する。その後、基板2を回転させて乾燥処理を行う。
【0047】
乾燥処理終了後、基板2は、基板搬送装置10を用いて基板処理室11〜22から搬出され、搬入時とは逆の工程を経てキャリア3へ搬送される。
【0048】
これにより、基板2の表面全体を処理液の液滴で液処理することができる。なお、隣接する液体吐出口47から吐出した処理液同士が接触して処理液が円柱状になると処理液の液滴を均一かつ小径に形成できなくなる。そのため、隣接する液体吐出口47から吐出した処理液同士が接触しない流量及び流速で処理液及び気体を吐出するようにして、処理液の液滴を均一かつ小径に形成する。なお、本実施例において、2流体ノズルから吐出される処理液は、常温の純水であってもよいし、加熱された純水であってもよい。この時、純水の温度は、基板処理室内の温度と湿度の関係から飽和蒸気圧を超えない温度であればよい。また、純水に限られず、薬液であってもよい。
【0049】
以上に説明したように、上記2流体ノズル34及び同2流体ノズル34を用いた基板液処理装置1並びに基板液処理方法においては、2流体ノズル34の液体吐出部48として気体吐出口52の内側に円周の外周方向に向けて斜め下向きに処理液を吐出する複数の液体吐出口47を同一円周上に配置して、液体吐出部48の各液体吐出口47から外周方向に斜め下向きに吐出した処理液と気体吐出口52から下方に向けて吐出した気体とを混合するようにしている。
【0050】
これにより、処理液が複数の細い筋状に吐出されるので、気体と処理液との接触面積が大きくなり、効率的に粒径の小さい液滴を均一に生成することができ、処理液の液滴による液処理効果を向上させることができる。また、円周上に配置された複数の液体吐出口47から処理液を吐出するので、下端部中央の液体吐出口から円柱状に処理液を吐出する従来の2流体ノズルに比べて、処理液の液滴を良好に拡散させることができる。液滴を拡散させることによって液処理できる範囲が広くなり、処理効率を向上させることができる。
【0051】
また、スリット形状の気体吐出口52から気体を吐出するので、筋状に吐出される処理液に対して均一に気体を衝突させることができ、均一な液滴を生成することができる。
【0052】
また、2流体ノズル34は、処理液を液体吐出部48の液体吐出口47から吐出させた際に、各液体吐出口47から吐出した処理液間に発生する負圧に引き寄せられて処理液同士が接触しないように、隣接する液体吐出口47の間隔を所定距離以上に離して形成している。これにより、複数の細い筋状に吐出した処理液同士が接触して太い円柱状になることを防止することができるので、粒径の小さい液滴を均一に生成することができる。
【0053】
さらに、処理液が各液体吐出口47から吐出された直後に気体と衝突するように、液体吐出部48の液体吐出口47と気体吐出口52との間隔を所定距離以上に近づけて形成している。これにより、処理液が複数の細い筋状である状態で気体と衝突することになり、粒径の小さい液滴を均一に生成することができる。また、処理液を液体吐出口47から吐出された直後に気体と衝突させることで、衝突高さのばらつきを抑えることができ、処理液と気体とが衝突するときの状態のばらつきを抑えて液滴を均一に生成することができる。
【0054】
上記基板液処理装置1では、図6(a)に示すように、一個の気体供給源40から全ての基板処理室11〜22の2流体ノズル34に気体を供給している。すなわち、基板液処理装置1は、気体供給源40に複数個(ここでは、12個)の気体供給流路37を並列に接続し、各気体供給流路37に基板処理室11〜22の2流体ノズル34を接続している。また、基板液処理装置1は、各気体供給流路37に流量調整器41と開閉弁60を設け、流量調整器41及び開閉弁60を制御手段26に接続している。そして、基板液処理装置1は、制御手段26によって流量調整器41を制御することで、気体供給流路37から2流体ノズル34に供給される気体の流量が一定流量となるように制御している。
【0055】
気体供給流路37から2流体ノズル34に供給する気体の制御は、気体の流量が一定流量となるように制御する場合に限られず、2流体ノズル34に供給される気体の吐出圧力が一定圧力となるように制御することもできる。
【0056】
たとえば、図6(b)に示すように、各気体供給流路37に開閉弁60と流量調整器41と圧力センサー61を上流側から順に設け、これらの開閉弁60、流量調整器41、圧力センサー61を制御手段26に接続する。そして、圧力センサー61で検出される気体の圧力が予め決められた一定圧力となるように流量調整器41を制御する。或いは、図6(c)に示すように、各気体供給流路37に開閉弁60と電空バルブ62と圧力センサー61を上流側から順に設け、これらの開閉弁60、電空バルブ62、圧力センサー61を制御手段26に接続する。そして、圧力センサー61で検出される気体の圧力が予め決められた一定圧力となるように電空バルブ62を制御する。なお、圧力センサー61と電空バルブ62とを直接接続して、圧力センサー61で検出した気体の圧力が一定圧力となるように電空バルブ62を駆動するように構成することもできる。
【0057】
このように、気体供給流路37から2流体ノズル34に供給する気体の制御は、流量制御でも圧力制御でも行うことが可能である。しかし、気体が吐出される2流体ノズル34の気体吐出口52の断面積(開口面積)にばらつきがある場合、流量を一定としても、流速は断面積に反比例するので実際に吐出される気体の流速は大きくばらつくことになる。一方、圧力を一定とすると、流速は圧力に比例するので、2流体ノズル34の気体吐出口52の断面積(開口面積)にばらつきがあっても、流速は一定となる。そのため、2流体ノズル34から吐出される気体の吐出条件をそろえるには、気体の供給は圧力制御で行う方が望ましい。特に、複数の2流体ノズル34を並列に接続した場合には、各2流体ノズル34での気体吐出口52の断面積にばらつきが生じるおそれがあるため、圧力制御で行う方が好ましい。この場合、各気体供給流路37に設けられた全ての圧力センサー61で検出される気体の圧力が予め決められた一定圧力となるように制御すればよい。
【0058】
2流体ノズル34への気体の供給を圧力制御で行う場合、基板2の表面からパーティクルを良好に除去できる圧力よりも高く、基板2の表面のパターンにダメージを与える圧力よりも低い圧力の範囲を予め求め、その圧力範囲で2流体ノズル34へ気体を供給する。特に、複数の2流体ノズル34を並列に接続した場合には、全ての2流体ノズル34での吐出圧力が上記範囲内となるように設定する。また、圧力センサー61と2流体ノズル34との間の気体供給流路37での圧力損失を小さくするとともに、並列する各気体供給流路37における圧力センサー61と2流体ノズル34との間での圧力損失が一定となるようにすることが望ましい。なお、2流体ノズル34への液体の供給も圧力制御で行ってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 基板液処理装置
2 基板
34 2流体ノズル
47 液体吐出口
48 液体吐出部
52 気体吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出部から吐出した処理液と気体吐出口から吐出した気体とを混合して生成した処理液の液滴を被処理体に向けて噴霧する2流体ノズルにおいて、
前記液体吐出部は、前記気体吐出口の内側に同一円周上に配置した複数の液体吐出口で構成し、
前記複数の液体吐出口は、円周中心部に対して外側方向へ向けて処理液を吐出することを特徴とする2流体ノズル。
【請求項2】
前記複数の液体吐出口は、隣接する液体吐出口の間隔を、各液体吐出口から吐出した処理液同士が接触しない間隔としたことを特徴とする請求項1に記載の2流体ノズル。
【請求項3】
前記液体吐出口と前記気体吐出口との間隔は、隣接する液体吐出口から吐出した処理液同士が接触することなく気体と混合する間隔としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の2流体ノズル。
【請求項4】
前記複数の液体吐出口は、隣接する液体吐出口の間隔が前記液体吐出口の直径以上の間隔であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の2流体ノズル。
【請求項5】
前記気体吐出口は、スリット形状であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の2流体ノズル。
【請求項6】
前記気体吐出口は、下方へ向けて気体を吐出することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の2流体ノズル。
【請求項7】
前記気体吐出口から気体を旋回させて吐出する旋回流発生部を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の2流体ノズル。
【請求項8】
基板を処理液の液滴で液処理する基板液処理装置において、
基板を保持しながら回転させる基板保持手段と、
基板保持手段で保持された基板を囲い、処理液を受けるカップと、
基板に処理液の液滴を吐出する2流体ノズルと、
を備え、
前記2流体ノズルは、液体吐出部から吐出した処理液と気体吐出口から吐出した気体とを混合して液滴を生成し、前記液体吐出部は、前記気体吐出口の内側に同一円周上に配置した複数の液体吐出口で構成し、前記複数の液体吐出口は、円周中心部に対して外側方向へ向けて処理液を吐出することを特徴とする基板液処理装置。
【請求項9】
前記複数の液体吐出口は、隣接する液体吐出口の間隔を、各液体吐出口から吐出した処理液同士が接触しない間隔としたことを特徴とする請求項8に記載の基板液処理装置。
【請求項10】
前記液体吐出口と前記気体吐出口との間隔は、隣接する液体吐出口から吐出した処理液同士が接触することなく気体と混合する間隔としたことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の基板液処理装置。
【請求項11】
2流体ノズルの液体吐出部から吐出した処理液と気体吐出口から吐出した気体とを混合して生成した処理液の液滴を基板に向けて噴霧することで基板を処理液の液滴で液処理する基板液処理方法において、
請求項1に記載の2流体ノズルで液処理することを特徴とする基板液処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−30729(P2013−30729A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249589(P2011−249589)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】