説明

2液型クリヤ塗料組成物及び複層塗膜形成方法

【課題】耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、塗面平滑性等の仕上り外観のいずれにも優れた硬化塗膜を形成することができる2液型クリヤ塗料組成物を提供すること。
【解決手段】芳香族系ビニルモノマー及びシクロヘキシル環を有するモノマーを含有するモノマー混合物を共重合して得られる、水酸基価が100〜200mgKOH/gで且つ数平均分子量が5000〜10000の水酸基含有アクリル樹脂(A)、3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)、ならびに炭素数3〜6のジオールとシクロヘキシル環を有するジカルボン酸とをエステル化反応させて得られる水酸基価が250〜350mgKOH/gで且つ数平均分子量が350〜550のポリエステルポリオール(C)を含んでなることを特徴とする2液型クリヤ塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐擦り傷性、耐酸性及び耐汚染性に優れた塗膜を形成する2液型クリヤ塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体等の被塗物に塗装される塗料は、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、仕上り性等の塗膜性能に優れていることが要求されている。
【0003】
従来、自動車車体用の塗料として、メラミン架橋系塗料が汎用されている。メラミン架橋系塗料は、水酸基含有樹脂及びメラミン樹脂架橋剤を含有する塗料であり、加熱硬化時の架橋密度が高く、形成されるメラミン架橋塗膜は、耐擦り傷性、仕上り性等の塗膜性能に優れているが、酸性雨により加水分解され易く、耐酸性に劣るという問題がある。
【0004】
特許文献1には、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有オリゴエステル及びイソシアネートプレポリマーからなる2液型ウレタン架橋系塗料組成物が開示されているが、この塗料を用いて形成される塗膜は、ウレタン架橋結合が加水分解され難いため耐酸性に優れているが、耐擦り傷性が不十分であるという問題がある。
【特許文献1】特開平6−220397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、塗面平滑性等の仕上り外観のいずれにも優れた硬化塗膜を形成することができる2液型クリヤ塗料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、今回、芳香族系ビニルモノマー及びシクロヘキシル環を有するモノマーを含有するモノマー混合物を共重合して得られる特定の水酸基価及び数平均分子量を有する水酸基含有アクリル樹脂、3官能HMDIイソシアヌレート化合物、ならびに炭素数3〜6のジオールとシクロヘキシル環を有するジカルボン酸とをエステル化反応させて得られる特定の水酸基価び数平均分子量を有するポリエステルポリオールからなる2液型クリヤ塗料組成物により、上記の目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして、本発明は、芳香族系ビニルモノマー及びシクロヘキシル環を有するモノマーを含有するモノマー混合物を共重合して得られる、水酸基価が100〜200mgKOH/gで且つ数平均分子量が5000〜10000の水酸基含有アクリル樹脂(A)、3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)、ならびに炭素数3〜6のジオールとシクロヘキシル環を有するジカルボン酸とをエステル化反応させて得られる水酸基価が250〜350mgKOH/gで且つ数平均分子量が350〜550のポリエステルポリオール(C)を含んでなることを特徴とする2液型クリヤ塗料組成物を提供するものである。
【0008】
本発明は、また、被塗物に、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を順次塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として、上記の2液型クリヤ塗料組成物を使用することを特徴とする複層塗膜形成方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の塗料組成物は、架橋性官能基である水酸基の濃度が比較的高く且つ硬質モノマー成分である芳香族系ビニルモノマー及びシクロヘキシル環を有するモノマーを構成成分とする水酸基含有アクリル樹脂を基体樹脂として用い、しかも、線状構造のHMDIに比べ硬質であるイソシアヌレート構造の3官能HMDIポリイソシアヌレート化合物を架橋剤として用い、さらに、耐擦り傷性向上に役立つ、低分子量で且つシクロヘキシル環を有する構造のポリエステルポリオールを含んでなるので、高架橋密度で、硬度と耐擦り傷性のバランスに優れた、ウレタン架橋構造を有する塗膜を形成するものである。したがって、本発明の塗料組成物は、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性、塗面平滑性等の仕上り外観のいずれにも優れた硬化塗膜を形成するという顕著な効果を奏する。
【0010】
以下、本発明の2液型クリヤ塗料組成物(以下、「本塗料」ということもある)及び複層塗膜形成方法についてさらに詳細に説明する。
【0011】
本発明の塗料組成物は、芳香族系ビニルモノマー及びシクロヘキシル環を有するモノマーを含有するモノマー混合物を共重合して得られる水酸基価が100〜200mgKOH/gで且つ数平均分子量が5000〜10000の水酸基含有アクリル樹脂(A)、3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)、ならびに炭素数3〜6のジオールとシクロヘキシル環を有するジカルボン酸とをエステル化反応させて得られる水酸基価が250〜350mgKOH/gで且つ数平均分子量が350〜550のポリエステルポリオール(C)含んでなることを特徴とする2液型クリヤ塗料組成物である。
【0012】
水酸基含有アクリル樹脂(A):
本発明の塗料組成物において、基体樹脂として使用される水酸基含有アクリル樹脂(A)は、芳香族系ビニルモノマー及びシクロヘキシル環を有するモノマーを含有するモノマー混合物を共重合して得られるものであり、具体的には、例えば、水酸基含有モノマー(a)、芳香族系ビニルモノマー(b)及びシクロヘキシル環を有するモノマー(c)ならびに場合によりその他の不飽和モノマー(d)を常法により共重合せしめることによって製造することができる。
【0013】
水酸基含有モノマー(a)は、1分子中に水酸基と重合性不飽和結合とをそれぞれ1個ずつ有する化合物である。該モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜10の2価アルコールとのモノエステル化物;(メタ)アクリル酸とエポキシ基含有化合物との付加物(例えば、「カージュラーE10」、油化シェルエポキシ社製、商品名);ε−カプロラクトンの開環重合物等を挙げることができる。ε−カプロラクトンの開環重合物としては市販品を使用することができ、市販品としては、例えば、「プラクセルFA−1」、「プラクセルFA−2」、「プラクセルFA−3」、「プラクセルFA−4」、「プラクセルFA−5」、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」、「プラクセルFM−5」(以上、いずれもダイセル化学(株)製、商品名)等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができ、その使用量は、水酸基含有アクリル樹脂(A)の水酸基価が100〜200mgKOH/gの範囲内となるような量とすることができる。
【0014】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル又はメタクリロイル」を意味する。
【0015】
芳香族系ビニルモノマー(b)は、1分子中に芳香環とビニル基とをそれぞれ1個有する化合物であり、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等を挙げることができる。
【0016】
シクロヘキシル環を有するモノマー(c)は1分子中にシクロヘキシル環と重合性不飽和結合とをそれぞれ1個有する化合物であり、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0017】
水酸基含有アクリル樹脂(A)においては、架橋塗膜の硬度と耐侯性とを両立して向上させることを目的として、芳香族系ビニルモノマー(b)とシクロヘキシル環を有するモノマー(c)とを併用するものであり、なかでも特に、スチレンとシクロヘキシルメタクリレートとを併用することが好ましい。
【0018】
芳香族系ビニルモノマー(b)及びシクロヘキシル環を有するモノマー(c)のそれぞれの使用量は、厳密に制限されるものではないが、水酸基含有アクリル樹脂(A)を構成する全モノマー量を基準として、芳香族系ビニルモノマーは、一般に5〜25質量%、特に10〜20質量%の範囲内、そしてシクロヘキシル環を有するモノマー(c)は、一般に5〜25質量%、特に10〜20質量%の範囲内であるのが好ましい。
【0019】
その他の不飽和モノマー(d)は、上記水酸基含有モノマー(a)、芳香族系ビニルモノマー(b)及びシクロヘキシル環を有するモノマー(c)以外の、1分子中に1個の重合性不飽和結合を有する化合物であり、その具体例を挙げれば以下のとおりである:
(1) 酸基含有モノマー: 1分子中に少なくとも1個の酸基と1個の重合性不飽和結合を有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有モノマー;ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基含有モノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−メタクロイルオキシエチルフェニルリン酸などの酸性リン酸エステル系モノマー等を挙げることができる。
(2) アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜20の1価アルコールとのエステル化物: 例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、エチル(メタ)クリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート,tert−ブチル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等。
(3) グリシジル基含有ビニルモノマー: 1分子中にグリシジル基と重合性不飽和結合をそれぞれ1個ずつ有する化合物であり、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等。
(4) 重合性不飽和結合含有アミド系化合物: 例えば、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等。
(5) その他のビニル化合物: 例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、バーサティック酸ビニルエステル等。バーサティック酸ビニルエステルとしては、市販品である「ベオバ9」、「ベオバ10」(以上、ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等を挙げることができる。
(6) 重合性不飽和結合含有ニトリル系化合物: 例えば、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等。
【0020】
これらのモノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
水酸基含有アクリル樹脂(A)は、以上に述べた水酸基含有モノマー(a)、芳香族系ビニルモノマー(b)及びシクロヘキシル環を有するモノマー(c)ならびに場合によりその他の不飽和モノマー(d)を共重合せしめることによって製造することができる。その際の各モノマーの使用割合は、厳密に制限されるものではなく、目的とする塗料組成物に望まれる物性などに応じて変えることができるが、一般には、全モノマーの合計量を基準にして、水酸基含有モノマー(a)は15〜55質量%、好ましくは20〜50質量%の範囲内、芳香族系ビニルモノマー(b)及びシクロヘキシル環を有するモノマー(c)は合計で10〜40質量%、好ましくは15〜35質量%の範囲内、そしてその他の不飽和モノマー(d)は10〜75質量%、好ましくは20〜60質量%の範囲内とすことができる。
【0022】
水酸基含有モノマー(a)、芳香族系ビニルモノマー(b)及びシクロヘキシル環を有するモノマー(c)ならびに場合によりその他の不飽和モノマー(d)の共重合は、それ自体既知の方法、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法などにより行うことができるが、なかでも、有機溶剤中にて重合開始剤の存在下で行う溶液重合法を好適である。
【0023】
上記溶液重合法において使用し得る有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、スワゾール1000(コスモ石油社製、商品名、高沸点石油系溶剤)等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン系溶剤、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、エトキシエチルプロピオネート等を挙げることができる。これらの有機溶剤はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができるが、本塗料に使用される水酸基含有アクリル樹脂(A)は比較的高い水酸基価を有するため、樹脂の溶解性などの観点から、高沸点のエステル系溶剤、ケトン系溶剤を使用することが好ましい。また、さらに高沸点の芳香族系溶剤を組み合わせて使用することもできる。
【0024】
上記共重合に際して使用し得る重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのそれ自体既知のラジカル重合開始剤を挙げることができる。
【0025】
得られる水酸基含有アクリル樹脂(A)は、100〜200mgKOH/g、好ましくは120〜180mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することができる。該水酸基価が100mgKOH/g未満であると、目的とする塗料組成物の硬化性が不十分となることがあり、一方、200mgKOH/gを越えると、最終的に得られる塗料組成物を用いて形成される塗膜の耐水性が低下する場合がある。
【0026】
水酸基含有アクリル樹脂は、また、5000〜10000、好ましくは6000〜9000の範囲内の数平均分子量を有することができる。該数平均分子量が5000未満であると、最終的に得られる塗料組成物を用いて形成される塗膜の耐酸性等の塗膜性能が低下する場合があり、また、10000を越えると、最終的に得られる塗料組成物を用いて形成される塗膜の塗面平滑性が低下する可能性がある。
【0027】
なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定した試料のクロマトグラムから、標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフとしては、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用し、測定は、カラムとして「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」及び「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行うことができる。
【0028】
水酸基含有アクリル樹脂(A)は、さらに、−30℃〜30℃、特に−20〜20℃の範囲内のガラス転移温度を有することが好ましい。該ガラス転移温度が−30℃未満であると、最終的に得られる塗料組成物を用いて形成される塗膜の硬度が不十分な場合があり、また、30℃を越えると、最終的に得られる塗料組成物を用いて形成される塗膜の塗面平滑性が低下する可能性がある。
【0029】
3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B):
本発明の塗料組成物において、架橋剤として使用される3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を3量体化して得られる、イソシアヌレート環を有する1分子中に3個のイソシアネート基を有する(すなわち3官能の)化合物である。
【0030】
3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)は、それ自体既知の方法により、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を、4級アンモニウム塩等の触媒の存在下に、60℃程度の温度でイソシアヌレート化(3量体化)させることにより得ることができる。
【0031】
3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)は、分子構造において、環状のイソシアヌレート環部分と線状のヘキサメチレン鎖部分を有しており、これにより、上記水酸基含有アクリル樹脂(A)と反応して、高密度の網目構造を持つ架橋塗膜を形成することができ、網目構造に弾性と柔軟性をバランスよく付与することができるので、本発明の塗料組成物の架橋剤として極めて好適である。
【0032】
3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)は、市販品として入手可能であり、具体的には、例えば、スミジュールN−3300(商品名、住化バイエルウレタン社製)、デュラネートTPA−100(商品名、旭化成社製)、デュラネートTHA−100(商品名、旭化成社製)等を挙げることができる。
【0033】
ポリエステルポリオール(C):
本発明の塗料組成物において、水酸基含有アクリル樹脂(A)及び3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)と共に使用されるポリエステルポリオール(C)は、炭素数3〜6のジオールとシクロヘキシル環を有するジカルボン酸とをエステル化反応させて得られる水酸基価が250〜350mgKOH/gで且つ数平均分子量が350〜550の低分子量ポリエステルポリオールである。
【0034】
ポリエステルポリオール(C)は、常法により、炭素数3〜6のジオールとシクロヘキシル環を有するジカルボン酸とをエステル化反応することによって製造することができる。
【0035】
炭素数3〜6のジオールは、1分子中に2個の水酸基を有する炭素数3〜6の化合物であり、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等の二価アルコール;2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸等のヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。上記ジオールのうち、特に1,3−プロパンジオールが好ましい。
【0036】
シクロヘキシル環を有するジカルボン酸は、1分子中に2個のカルボキシル基と少なくとも1個のシクロヘキシル環を有する化合物であり、例えば、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。上記ジカルボン酸のうち、特に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
【0037】
炭素数3〜6のジオールとシクロヘキシル環を有するジカルボン酸とは、形成されるポリエステルポリオールが上記水酸基価及び数平均分子量を満足するような割合で反応させることができるが、通常、炭素数3〜6のジオール1モルに対して、シクロヘキシル環を有するジカルボン酸を0.5〜0.7モル、特に0.53〜0.67モルの割合で反応させることが好ましい。
【0038】
得られるポリエステルポリオール(C)は250〜350mgKOH/g、好ましくは270〜330mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することができる。該水酸基価が250mgKOH/g未満であると、最終的に得られる塗料組成物を用いて形成される塗膜の耐擦り傷性が不十分な場合があり、また、350mgKOH/gを越えると、最終的に得られる塗料組成物を用いて形成される塗膜の耐水性が低下することがある。
【0039】
ポリエステルポリオール(C)は、また、350〜550、好ましくは400〜500の範囲内の数平均分子量を有することができる。該数平均分子量が350未満であると、最終的に得られる塗料組成物を用いて形成される塗膜の耐酸性等の塗膜性能が低下する場合があり、また、550を越えると、最終的に得られる塗料組成物を用いて形成される塗膜の塗面平滑性が低下する可能性がある。
【0040】
クリヤ塗料組成物:
本発明の塗料組成物は、以上に述べた水酸基含有アクリル樹脂(A)、3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)及びポリエステルポリオール(C)を含んでなるものである。
【0041】
これら3成分は、塗膜の硬化性や耐擦り傷性等の観点から、通常、水酸基含有アクリル樹脂(A)及びポリエステルポリオール(C)の水酸基と、3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が好ましくは0.5〜2、さらに好ましくは0.7〜1.4の範囲内となるような割合で使用することができる。
【0042】
また、本発明の塗料組成物における水酸基含有アクリル樹脂(A)、3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)及びポリエステルポリオール(C)のそれぞれの配合割合は、一般に、これら3成分の固形分合計100質量部を基準として、不揮発分として、水酸基含有樹脂(A)は30〜75質量%、好ましくは40〜65質量%の範囲内、3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)は20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%の範囲内、そしてポリエステルポリオール(C)は3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%の範囲内であるのが適している。
【0043】
本発明の塗料組成物は、水酸基含有アクリル樹脂(A)及びポリエステルポリオール(C)の水酸基と、3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)のイソシアネート基が常温でも反応するので、貯蔵安定性の点から、水酸基含有アクリル樹脂(A)及びポリエステルポリオール(C)と、3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)とが互いに分離した2液型塗料の形態とし、使用直前に両者を混合して使用するようにすることが望ましい。
【0044】
本塗料は、上記の水酸基含有アクリル樹脂(A)、3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)及びポリエステルポリオール(C)の3成分に加えて、通常、有機溶剤を含有し、さらに必要に応じて、その他の硬化触媒、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤などの塗料分野で通常用いられる塗料用添加剤を含んでなることができる。
【0045】
上記硬化触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチルヘキサン酸鉛などの有機金属触媒、第三級アミンなどを挙げることができる。これらの化合物はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。硬化触媒の量は、その種類などにより異なるが、(A)、(B)、(C)の3成分の固形分合計100質量部を基準にして、通常0〜5質量部、好ましくは0.1〜4質量部の範囲内とすることができる。
【0046】
紫外線吸収剤としては、従来から公知のものを使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等の紫外線吸収剤を挙げることができる。これら紫外線吸収剤の塗料組成物中の含有量は、塗膜の耐侯性、耐黄変性などの観点から、樹脂固形分の合計量100質量部を基準にして、通常0〜10質量部、特に0.2〜5質量部、さらに特に0.3〜2質量部の範囲内であるのが好ましい。
【0047】
光安定剤としては、従来から公知のものを使用することができ、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。光安定剤の塗料組成物中の含有量は、塗膜の耐侯性、耐黄変性などの観点から、樹脂固形分の合計量100質量部を基準にして、通常0〜10質量部、特に0.2〜5質量部、さらに特に0.3〜2質量部の範囲内であるのが好ましい。
【0048】
さらに、着色顔料、体質顔料、防錆顔料などの顔料を、形成される塗膜の透明性を実質的に害さない程度の量で含有せしめることもできる。
【0049】
これらの塗料用添加剤は、2液型塗料の一方の容器にのみ配合してもよく、あるいは両方の容器に分散して配合してもよい。
【0050】
塗装方法:
本塗料を適用することができる被塗物としては、特に限定されるものではないが、例えば、自動車、二輪車、コンテナ等の各種車両の車体が好適である。また、これら車体を形成する冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック素材等であってもよい。
【0051】
また、被塗物としては、上記車体や金属基材の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。更に、被塗物としては、上記車体、金属基材等に、各種電着塗料等の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。
【0052】
本発明の2液型塗料組成物は、その使用に際して、互いに分離貯蔵されていた水酸基含有アクリル樹脂(A)及びポリエステルポリオール(C)成分と、3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)成分とが混合される。この混合は、それ自体既知の手段、例えば、回転翼式攪拌機、ホモジナイザーなどを用いて行うことができる。
【0053】
本塗料の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装などの塗装方法により、ウエット塗膜を形成せしめることができる。これらの塗装方法は、必要に応じて、静電印加しつつ行ってもよい。このうちエアスプレー塗装が特に好ましい。本塗料の塗装膜厚は、通常、硬化膜厚で10〜50μm程度が好適である。
【0054】
また、本塗料をエアスプレー塗装、エアレススプレー塗装又は回転霧化塗装する場合には、本塗料の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常、フォードカップ#No.4粘度計で、20℃において15〜60秒程度の粘度範囲内となるように、予め有機溶剤等の溶媒を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
【0055】
被塗物に本塗料を塗装することにより形成されるウエット塗膜は、次いで硬化せしめられる。硬化は塗膜を加熱することにより行われ、加熱はそれ自体既知の加熱手段、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の加熱炉を用いて行うことができる。加熱温度は、通常、60〜180℃、好ましくは90〜150℃の範囲内とすることができる。加熱時間は、特に制限されるものではないが、通常15〜30分間程度が適当である。
【0056】
本塗料を用いれば、耐擦り傷性、耐酸性、耐汚染性及び仕上り性のいずれにも優れた硬化塗膜を形成せしめることができるので、上塗りトップクリヤコート塗料として好適に用いることができる。本塗料は、自動車用塗料として特に好適に用いることができる。
【0057】
複層塗膜形成方法:
本発明によれば、被塗物に、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を順次塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として本発明の塗料組成物を塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法が提供される。
【0058】
具体的には、例えば、電着塗装及び/又は中塗り塗装が施された被塗物上に、溶剤型又は水性のベースコート塗料を塗装し、該塗膜を硬化させることなく、必要に応じてベースコート塗料中の溶媒の揮散を促進させるために、例えば、40〜90℃で3〜30分間程度プレヒートを行なった後、その未硬化のベースコート塗膜上に、クリヤコート塗料として本塗料の塗装を行った後、ベースコートとクリヤコートを一緒に硬化させる2コート1ベーク方式の複層塗膜形成方法を挙げることができる。
【0059】
また、本塗料は、ベースコート塗料として2種類の塗料を用いる3コート2ベーク方式又は3コート1ベーク方式における上塗り塗装におけるトップクリヤコート塗料としても好適に使用することができる。
【0060】
上記で用いられるベースコート塗料としては、それ自体既知の通常の熱硬化型ベースコート塗料を使用することができ、具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂系などの基体樹脂とアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物等の硬化剤を組み合わせて含んでなる塗料を使用することができる。
【0061】
また、ベースコート塗料としては、環境問題、省資源等の観点から、有機溶剤の使用量
の少ないハイソリッド型のものが望ましく、更に、水性塗料又は粉体塗料を用いることもできる。
【0062】
複層塗膜の形成において、クリヤコートを2層以上塗装する場合、本塗料以外に、それ自体既知の通常の熱硬化型クリヤコート塗料を使用することができる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものであり、また、塗膜の厚さはいずれも硬化塗膜に基づくものである。
【0064】
水酸基含有アクリル樹脂の製造例
製造例1〜12
撹拌装置、温度計、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコにエトキシエチルプロピオネート31部を仕込み、窒素ガス通気下で155℃に昇温した。155℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、下記表1に示す組成配合のモノマーと重合開始剤からなる滴下モノマー混合物を4時間かけて滴下した。155℃で窒素ガスを通気しながら2時間熟成させた後、100℃まで冷却し、酢酸ブチル32.5部で希釈することにより、固形分60%の水酸基含有アクリル樹脂を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂の固形分濃度(%)及び樹脂性状値を下記表1に示す。
【0065】
なお、表1におけるガラス転移温度(℃)は、下記式によって算出したものである。
【0066】
1/Tg(K)=(W1/T1)+(W2/T2)+・・・・・
Tg(℃)=Tg(K)−273
各式中、
W1、W2、・・は共重合に使用されたモノマーのそれぞれの質量分率を表し、
T1、T2、・・はそれぞれのモノマーのホモポリマ−のTg(K)を表わす。
【0067】
なお、T1、T2、・・は、Polymer Handbook(Second Edition,J.Brandup・E.H.Immergut編)による値である。
【0068】
【表1】

【0069】
ポリエステルポリオールの製造例
製造例13〜18
加熱装置、攪拌装置、温度計、還流冷却器及び水分離器を備えた4つ口フラスコに、下記表2に示すモル比のジカルボン酸及びジオールを仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が5mgKOH/g以下となるまで反応させた。得られたポリエステルポリオールの樹脂性状値を下記表2に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
塗料組成物の製造
実施例1〜13及び比較例1〜10
上記製造例1〜12で得られた水酸基含有アクリル樹脂、上記製造例13〜18で得られたポリエステルポリオール及び後記表3に記載の原材料を、後記表3に示す配合にて、回転翼式攪拌機を用いて攪拌混合し、塗料化を行い、各塗料組成物を得た。なお、表3に示す塗料組成物の配合は各成分の固形分質量比である。
【0072】
後記表3における(*1)〜(*4)は、それぞれ下記の意味を有する。
【0073】
(*1) N−3300: 住化バイエルウレタン社製、3官能ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)イソシアヌレート化合物、固形分100%、NCO含有率21.8%。
(*2) タケネートD160N: 武田薬品工業社製、ヘキサメチレンジイソイシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体、固形分75%、NCO含量率12.6%。
(*3) UV1164: チバガイギー社製、紫外線吸収剤。
(*4) HALS292: チバガイギー社製、光安定剤。
【0074】
上記実施例1〜13及び比較例1〜10で得られた各塗料組成物は、酢酸ブチルを添加してフォードカップ#No.4を用いて20℃で25秒の粘度に調整した。
【0075】
試験板の作成
粘度調整した実施例1〜13及び比較例1〜10で得られた各塗料組成物を使用して、それぞれについて以下のようにして試験板を作製した。
【0076】
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロンNT−200
(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上にアミラックKPX−70(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。該塗膜上にマジクロンKB−9 BKH3(関西ペイント社製、商品名、アクリル・メラミン樹脂系自動車用溶剤型上塗ベースコート塗料、黒塗色)を膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で10分間プレヒートを行なった後、未硬化の該塗膜上に、上記実施例及び比較例にて製造・粘度調整した各塗料組成物を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で10分間放置してから、140℃で20分間加熱して両塗膜を一緒に硬化させることにより試験板を得た。得られたそれぞれの試験板を常温で7日間放置してから下記に従い塗膜性能試験を行なった。
【0077】
性能試験結果
耐擦り傷性: 試験台に試験板を固定して、20℃の条件下、洗車機で15回洗車を行なった後の試験板の20度鏡面反射率(20°光沢値)を測定し、試験前の20°光沢値に対する光沢保持率(%)により評価した。該光沢保持率が高いほど耐擦り傷性が良好であることを表わす。洗車機は、ヤスイ産業社製「PO20FWRC」(商品名)を用いた。
【0078】
耐酸性: 40%硫酸を各試験板の塗膜上に0.4cc滴下し、60℃に加熱したホットプレート上で15分間加熱した後、試験板を水洗した。硫酸滴下箇所のエッチング深さ(μm)を表面粗度計(東京精密社製、表面粗さ形状測定機 「サーフコム570A」、商品名)を用いて、カットオフ0.8mm(走査速度0.3mm/sec、倍率5000倍)の条件で測定することにより耐酸性の評価を行なった。エッチング深さが小さいほど耐酸性が良好であることを表わす。
【0079】
仕上り性(光沢): 試験板の20度鏡面反射率(20°光沢値)を測定して評価した。
【0080】
耐汚染性: 各試験塗板をサンシャインウエザオメーター(スガ試験機社製、促進耐侯性試験機)中でJIS K5400の条件で600時間試験後、泥土、カーボンブラック、鉱油及びクレーの混合物からなる汚染物質をネルに付着させて各試験塗板の塗面に軽くこすりつけた。これを20℃で75%RHの恒温恒湿室中に24時間放置後、塗面を流水で洗浄し、塗膜の汚染度を塗板の明度差(ΔL)により下記の基準により評価した。ΔL値が小さいほど耐汚染性は良好である。ΔLは以下の式により算出した。
【0081】
ΔL=(耐汚染性試験前のL値)−(耐汚染性試験後のL値)
【0082】
L値の測定はコニカミノルタ製CR400(商品名、三刺激値直読式色彩計 D65光源 2°視野 拡散照明垂直受光(d/0))を用いて行なった。なお、上記L値はCIE 1976 L表色系に基く値である。
【0083】
◎:ΔL<0.2、
○:0.2≦ΔL<1、
△:1≦ΔL<2、
×:2≦ΔL。
【0084】
なお、汚染性の試験においては、リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上に、エレクロンGT−10(関西ペイント社製、商品名、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚が20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ、その上にアミラックTP−65−2(関西ペイント社製、商品名、ポリエステ
ル・メラミン樹脂系自動車中塗り塗料、白塗色)を膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた塗膜上に、上記実施例及び比較例にて製造・粘度調整した各塗料組成物を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で10分間放置してから、140℃で20分間加熱して硬化させることにより得られた試験板を使用し、同様にそれぞれの試験板を常温で7日間放置してから耐汚染性の試験を行なった。
【0085】
上記の性能試験結果も併せて表3に示す。
【0086】
【表3】

【0087】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族系ビニルモノマー及びシクロヘキシル環を有するモノマーを含有するモノマー混合物を共重合して得られる、水酸基価が100〜200mgKOH/gで且つ数平均分子量が5000〜10000の水酸基含有アクリル樹脂(A)、3官能HMDIイソシアヌレート化合物(B)、ならびに炭素数3〜6のジオールとシクロヘキシル環を有するジカルボン酸とをエステル化反応させて得られる水酸基価が250〜350mgKOH/gで且つ数平均分子量が350〜550のポリエステルポリオール(C)を含んでなることを特徴とする2液型クリヤ塗料組成物。
【請求項2】
ポリエステルポリオール(C)が、ジカルボン酸成分として、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を使用して得られるものである請求項1に記載の2液型クリヤ塗料組成物。
【請求項3】
ポリエステルポリオール(C)が、ジオール成分として、1,3−プロパンジオールを使用して得られるものである請求項1又は2に記載の2液型クリヤ塗料組成物。
【請求項4】
被塗物に、少なくとも1層の着色ベースコート塗料及び少なくとも1層のクリヤコート塗料を順次塗装することにより複層塗膜を形成する方法であって、最上層のクリヤコート塗料として、請求項1〜3のいずれか1項に記載の2液型クリヤ塗料組成物を使用することを特徴とする複層塗膜形成方法。



【公開番号】特開2008−81606(P2008−81606A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263472(P2006−263472)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】