説明

2液式発泡性エアゾール製品

【課題】第1内容物と第2内容物の吐出物を混合する工程が容易であり、この混合物を目的物に塗布する際に泡が維持され、塗り伸ばしやすく、塗布した部分を目視にて確認でき、また液だれしにくい2液式発泡性エアゾール製品を提供すること。
【解決手段】第1内容物を充填した第1容器と、第2内容物を充填した第2容器とを有し、第1内容物と第2内容物を混合して使用する2液式発泡性エアゾール製品であって、前記第1内容物および/または第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる2液式発泡性エアゾール製品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1内容物および/または第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなることを特徴とする2液式発泡性エアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酸化染料を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤からなる2液式染毛剤は広く一般に知られている。このような2液式染毛剤は1液式染毛剤に比べ、1度の染毛作業により高い染毛効果を得ることができる。一方、2液式染毛剤は第1剤と第2剤を混合することで酸化染毛剤を調製することが必要である。
【0003】
2液式染毛剤において、第1剤と第2剤を混合する調製作業を簡便化するため、第1剤と第2剤とを同時に泡で吐出することのできる2液式発泡性エアゾール製品とすることが提案されている。このエアゾール製品は、簡単に染毛剤を吐出、調製できることから操作性に優れるだけではなく、外気との接触がないため染毛剤の劣化がなく、複数回に分けて使用が可能であることから経済性に優れており、さらに、泡で吐出されるために液状やクリーム状の染毛剤に比べると毛髪に塗布する作業が容易となる。しかし、2液式染毛剤を発泡性エアゾール製品とする場合、含有される酸化染料の種類および配合量により泡の状態が不安定となったり、また第1剤と第2剤の混合時および反応時に消泡しやすくなることがある。
【0004】
そこで、吐出物の泡の状態を改善した2液式染毛剤のエアゾール製品が提案されている。例えば特許文献1には、第1内容物と第2内容物を別々の容器に充填し、使用直前に混合して使用する2液式泡沫酸化染毛剤組成物であり、この組成物に含まれる酸化染料の種類や配合量により変化する泡の状態を良くするために、特定の親水性−親油性バランス値を有する界面活性剤を、酸化染料を含有する酸化染毛剤第1剤に含有させた2液式泡沫酸化染毛剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−139945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1には特定の親水性−親油性バランス値を有する界面活性剤を、酸化染料を含有した酸化染毛剤第1剤に含有させることで、酸化染料を含有した酸化染料第1剤を単独で吐出した吐出物の泡もちを向上させることの記載はあるが、酸化染料を含有した酸化染料第1剤と、酸化剤を含有した酸化染料第2剤とを混合する工程における泡の消泡の問題や、混合後、毛髪に塗布する際の消泡および液状化については考慮されていない。また、第1剤と第2剤が安定な泡である場合は、泡は内部に気体を含有しているため泡同士を混ぜても液同士が接触しにくいため有効成分が反応しにくい。
【0007】
本願発明は、このような問題点に鑑みてなされた発明であり、第1内容物と第2内容物の吐出物を混合する工程が容易であり、この混合物を目的物に塗布する際に泡が維持され、塗り伸ばしやすく、塗布した部分を目視にて確認でき、また液だれしにくい2液式発泡性エアゾール製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の2液式発泡性エアゾール製品は、第1内容物を充填した第1容器と、第2内容物を充填した第2容器とを有し、第1内容物と第2内容物を混合して使用する2液式発泡性エアゾール製品であって、前記第1内容物および/または第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる2液式発泡性エアゾール製品である。
【0009】
前記泡比重の変化率が−0.1〜−0.0005(g/ml・min)であることが好ましい。
【0010】
前記第1内容物と第2内容物が噴射剤を含有し、それぞれの噴射剤の蒸気圧が異なることが好ましい。
【0011】
前記噴射剤において、一方の噴射剤が、20℃における蒸気圧が0.01〜0.2MPaである低圧噴射剤を含有し、他方の噴射剤が、20℃における蒸気圧が0.3〜0.7MPaである高圧噴射剤を含有することが好ましい。
【0012】
前記低圧噴射剤を含有する第1内容物または第2内容物がさらに加圧剤を含有することが好ましい。
【0013】
また、前記第1内容物と第2内容物が、酸化染料を含有する染毛剤用第1剤と、酸化剤を含有する染毛剤用第2剤とからなる2液式酸化染毛剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の2液式発泡性エアゾール製品によれば、前記第1内容物および/または第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなるため、吐出直後は完全に発泡した状態ではなく液状もしくは一部が発泡した状態であり、他方の吐出物と混合しやすく、さらに混合後も発泡が持続するため、反応した有効成分が消泡作用を有しても塗布面に塗り伸ばしやすく、泡の状態を維持できるため、塗布した部分を目視にて確認でき、また液だれしにくい2液式発泡性エアゾール製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明における一部の第1剤エアゾール製品の泡比重の経時的変化を示すグラフである。
【図2】本発明における一部の第2剤エアゾール製品の泡比重の経時的変化を示すグラフである。
【図3】本発明における一部の実施例および比較例の吐出物の泡比重の経時的変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の2液式発泡性エアゾール製品は、第1内容物を充填した第1容器と、第2内容物を充填した第2容器とを有し、第1内容物と第2内容物を混合して使用する2液式発泡性エアゾール製品であって、前記第1内容物および/または第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなることを特徴とする。
【0017】
本発明において「泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる」とは、吐出直後の吐出物はクリーム状、ゲル状、液状などほとんどが発泡していない状態、もしくは一部が発泡した状態であり、経時的に吐出物が発泡して泡が増大し、泡比重が小さくなることをいう。
【0018】
また、本発明においては、第1内容物と第2内容物の発泡性が異なることが好ましく、内容物の発泡性が異なる場合とは、第1内容物および第2内容物をそれぞれ単独で吐出したときに、吐出直後の発泡状態が異なる場合、吐出してから経時的に異なる発泡挙動を示す場合、吐出直後の発泡状態および吐出後の発泡挙動の両方が異なる場合などが挙げられる。
【0019】
吐出直後の発泡状態が異なる場合として、吐出直後に吐出物のほとんど全部が発泡している状態(発泡完了型)、吐出直後に吐出物の一部が発泡している状態(一部発泡型)、吐出直後に吐出物がほとんど発泡していない状態(非発泡型)があげられる。
【0020】
吐出後、経時的に異なる発泡挙動を示す場合として、吐出直後に発泡が完了しており、その後破泡して液状化する場合、吐出直後はほとんどが発泡していないまたは一部が発泡している状態であり、その後発泡して泡が増大する場合があげられる。前者は泡比重が経時的に大きくなり、後者は経時的に小さくなる。
【0021】
本発明では、2つの吐出物を混合しやすく、混合物を目的物に塗布する際に塗布しやすく、塗布した場所が確認しやすい点から、第1内容物と第2内容物の少なくとも一方が、吐出直後の吐出物は液状もしくは一部が発泡した状態であり、経時的に吐出物が発泡して泡が増大し、泡比重が小さくなるものを用いる。
【0022】
前記吐出物の泡比重を吐出直後から経時的に小さくする方法としては、たとえば、界面活性剤や有効成分を含有する水性原液と噴射剤とからなり、噴射剤として20℃における蒸気圧が0.01〜0.2MPaである低圧噴射剤を用いる場合などが挙げられる。
【0023】
前記低圧噴射剤としては、たとえば、ノルマルブタン(蒸気圧:0.1MPa)、イソブタン(蒸気圧:0.2MPa)、ノルマルペンタン(蒸気圧:0.05MPa)、イソペンタン(蒸気圧:0.07MPa)などの炭素数が4〜5個の脂肪族炭化水素、メチルパーフルオロブチルエーテル(蒸気圧:0.02MPa)、エチルパーフルオロブチルエーテル(蒸気圧:0.01MPa)などのハイドロフルオロエーテルなどがあげられ、これら単独であるいは混合して前記蒸気圧の範囲に調整したものを用いる。特に2つの吐出物を混合してからゆっくりと発泡する点から蒸気圧が0.05〜0.15MPaであるものを用いることが好ましい。
【0024】
前記低圧噴射剤の蒸気圧が0.01MPaよりも低い場合は、混合しても吐出物が発泡しない傾向があり、0.2MPaより高い場合は、吐出時にほとんど全部が発泡している状態(発泡完了型)になり、経時的に泡比重が小さくなりにくい傾向がある。また、使用時の温度による発泡性への影響を小さくするために、さらには他の内容物との吐出量を調整するために、窒素ガス、炭酸ガス、圧縮空気などの圧縮ガスを用いて0.3〜0.7MPa、さらには他の内容物と同じ蒸気圧に調整することが好ましい。
【0025】
前記低圧噴射剤は内容物中3〜40質量%、さらには5〜30質量%配合することが好ましい。低圧噴射剤の配合量が3質量%よりも少ない場合は発泡性が不充分になり、吐出後の泡の増大がほとんどなく、経時的に泡比重が小さくなりにくい傾向がある。一方、40質量%よりも多い場合は吐出時に飛び散りやすく、塗布後の泡消えが悪くなる傾向がある。
【0026】
前記泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる吐出物としては、泡比重の変化率が−0.1〜−0.0005(g/ml・min)であるものが好ましい。なお泡比重は、内容物が充填されたエアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間浸漬して内容物の温度を25℃に調整し、所定の容積のガラスカップに吐出し、吐出直後から所定時間、例えば2分、経過したときのガラスカップ内を泡で満たしたときの質量を測定し、1分間に変化する泡比重を算出する。
【0027】
前記泡比重の変化率が−0.1(g/ml・min)よりも大きい場合は泡の増大が速すぎて塗布しにくくなる。一方、−0.0005(g/ml・min)よりも小さい場合は泡の増大が小さく本発明の効果が得られにくい傾向がある。
【0028】
一方、他の内容物としては、前述の吐出物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなるものでも良いが、吐出時に吐出物のほとんど全部が発泡し(発泡完了型)、吐出後は経時的に破泡して液状化する場合、または、吐出時はクリーム状、ゲル状、液状などの発泡していない状態(非発泡型)であり、経時的にも状態がほとんど変化しない場合などがあげられる。
【0029】
前者の発泡完了型の内容物としては、たとえば、界面活性剤や有効成分を含有する水性原液と噴射剤とからなり、噴射剤として20℃における蒸気圧が0.3〜0.7MPaである高圧噴射剤を用いる場合などが挙げられる。
【0030】
前記高圧噴射剤としては、たとえば、プロパン(蒸気圧:0.85MPa)、イソブタン(蒸気圧:0.2MPa)、ノルマルブタン(蒸気圧:0.1MPa)などの炭素数が3〜4個の脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル(蒸気圧:0.41MPa)などのエーテル、1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(蒸気圧:0.4MPa)などのハイドロフルオロオレフィンなどがあげられ、これら単独であるいは混合して前記蒸気圧の範囲に調整したものを用いる。特に、ほとんど全部が発泡した状態で吐出できる点から、蒸気圧が0.35〜0.6MPaであるものを用いることが好ましい。
【0031】
前記高圧噴射剤は内容物中3〜40質量%、さらには5〜30質量%配合することが好ましい。高圧噴射剤の配合量が3質量%よりも少ない場合は発泡性が不充分になり、吐出時にほとんど全部が発泡した状態になりにくい傾向がある。一方、40質量%よりも多い場合は吐出時に飛び散りやすく、塗布後の泡消えが悪くなる傾向がある。
【0032】
この内容物を吐出すると、吐出時に吐出物のほとんど全部が発泡した泡になり、経時的に破泡して泡比重が大きくなるが、泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる吐出物と混合することで、該吐出物による泡の増大により各内容物に含まれる有効成分同士が接触しやすく、有効成分の効果が得られやすい。さらに塗布しているときも発泡状態が一定時間継続するため塗り伸ばしやすく、塗布した部分を目視にて確認することができ、さらに塗布する際に液状化していないため液だれを抑えることができる。
【0033】
後者の非発泡型の内容物としては、例えば、有効成分を含有する原液と、原液を加圧する加圧剤とからなる内容物などが挙げられる。
【0034】
前記原液は、たとえば、クリーム状、ゲル状、液状など特に限定されない。また、前記加圧剤としては、たとえば、炭酸ガス、窒素ガス、圧縮空気、酸素ガス、亜酸化窒素ガスなどの圧縮ガスが挙げられる。
【0035】
なお原液と加圧剤からなる内容物のエアゾール容器への好ましい充填形態として、可撓性を有する内部容器を備えた二重エアゾール容器を用い、原液を内部容器に充填し、加圧剤を内部容器と外部容器の間の空間に充填したものが挙げられる。この場合、原液が内部容器に充填されているため、粘度の高い原液であってもほぼ全量を吐出でき、また染毛剤のような腐食性の強い原液であっても外部容器が腐蝕されない点から好ましい。
【0036】
この内容物はクリーム状、ゲル状、液状など原液とほとんど同じ状態で吐出され、経時的にもほとんど変化しないが、泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる吐出物と混合することで、該吐出物による泡の増大により各内容物に含まれる有効成分同士が接触しやすく、有効成分の効果が得られやすい。さらに塗布しているときも発泡状態が一定時間継続するため塗り伸ばしやすく、塗布した部分を目視にて確認することができ、さらに塗布する際に液状化していないため液だれを抑えることができる。
【0037】
前記内容物としては、2液式酸化染毛剤、2液式発熱製剤、2液式食品などがあげられる。特に、2液式酸化染毛剤の場合は、吐出物を混合したときに染毛剤用第1剤が含有する酸化染料と染毛剤用第2剤が含有する酸化剤との酸化反応が起こり、この酸化反応により生じる反応熱により前記低圧噴射剤を含有する吐出物の発泡を開始または促進することができる。また2液式発熱製剤の場合も、吐出物を混合したときにポリオールと水の水和熱、塩化マグネシウムなどの無機塩と水の溶解熱により、前記低圧噴射剤を含有する吐出物の発泡を開始または促進することができる。
【0038】
2液式発泡性エアゾール組成物を2液式酸化染毛剤とする場合について説明する。
【0039】
前記酸化染料を含有する染毛剤用第1剤としては、酸化染料、染毛補助成分、アルカリ剤、安定化剤、粘度調整剤、染毛効果以外の効果を発揮する他の有効成分、界面活性剤、油性成分などを溶媒に含有した染毛剤用第1剤原液、および噴射剤からなるものが挙げられる。
【0040】
前記酸化染料としては、酸化染毛剤に使用される通常の酸化染料であれば特に限定されず、例えばパラフェニレンジアミン、硫酸パラフェニレンジアミン、パラトルイレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、N−フェニル−パラフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルアミン、2−クロロパラフェニレンジアミン、N,N−ジメチルパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、オルトアミノフェノールなどの1種または2種以上を用いることができる。特に染毛効果が良好な点から、パラフェニレンジアミン、硫酸パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、メタアミノフェノールなどが好ましい。
【0041】
前記酸化染料の含有量は染毛剤用第1剤原液中に0.01〜10質量%、さらには0.1〜5質量%が好ましい。酸化染料の含有量が下限より少ない場合は充分な染毛効果が得られにくい傾向があり、上限より多く含有しても染毛効果は変わらず、また染毛剤用第2剤と混合したときに泡が短時間で液状化しやすく、垂れ落ちやすくなる傾向がある。
【0042】
前記染毛補助成分としては、酸化染毛剤に使用される通常の染毛補助成分であれば特に限定されず、例えば酸性染料、直接染料、他の補助成分などの1種または2種以上を用いることができる。
【0043】
前記酸性染料としては、例えば、アマランス(赤色2号)、エリスロシン(赤色3号)、ニューコクシン(赤色102号)、ローズベンガル(赤色105号)、アシッドレッド(赤色106号)、タートラジン(黄色4号)、サンセットイエロー(黄色5号)、ファストグリーン(緑色3号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)、インジゴカルミン(青色2号)、ローズベンカルK(赤色232号)、オレンジII(だいだい色205号)、ウラニン(黄色202号)、キノリンエローWS(黄色203号)、アリザニンシアニングリーンF(緑色201号)、ピラニンコンク(緑色204号)、パテントブルー(青色203号)、レゾルシンブラウン(かっ色201号)、ビオラミンR(赤色401号)、オレンジI(だいだい色402号)、ナフト−ルエローS(黄色403号)、ナフトールグリーンB(緑色401号)、アリズロールパープル(紫色401号)、ナフトールブルーブラック(黒色401号)などが挙げられる。この含有量は0.0001〜0.3質量%、さらには0.001〜0.2質量%が好ましい。酸性染料の含有量が下限よりも少ない場合は配合効果が得られにくい傾向があり、上限よりも多く含有した場合は染毛剤用第2剤と混合したときに泡が短時間で液状化しやすく、垂れ落ちやすくなる傾向がある。
【0044】
前記直接染料としては、例えば4−ニトロ−O−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、1−アミノ−4−メチルアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、ピクリン酸などが挙げられる。この含有量は0.0001〜0.3質量%、さらには0.001〜0.2質量%が好ましい。直接染料の含有量が下限よりも少ない場合は配合効果が得られにくい傾向があり、上限よりも多く含有した場合は染毛剤用第2剤と混合したときに泡が短時間で液状化しやすく、垂れ落ちやすくなる傾向がある。
【0045】
前記他の補助成分としては、例えば、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、オルトアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノオルトクレゾール、ジフェニルアミン、パラメチルアミノフェノール、フロログルシン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール等およびそれらの塩、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、フェネチルアルコール、ベンジルオキシエタノール等、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどのアルキルピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの低級アルキレンカーボネートなどが挙げられる。この含有量は0.01〜15質量%、さらには0.1〜10質量%が好ましい。補助成分の含有量が下限よりも少ない場合は充分な配合効果が得られにくい傾向があり、上限より多く含有しても配合効果は変わらないため経済的でない。
【0046】
前記アルカリ剤としては、酸化染毛剤に使用される通常のアルカリ剤であれば特に限定されず、例えば2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミンや、アンモニア、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウムなどの1種または2種以上を用いることでき、染毛剤用第1剤原液のpHを6〜13、好ましくは7〜12の範囲に調整することが染毛・脱色効果と皮膚刺激性の点から好ましい。
【0047】
前記安定化剤としては、酸化染毛剤に使用される通常の安定化剤であれば特に限定されず、例えば無水亜硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ペンテト酸、リン酸水素2ナトリウム、エチドロン酸、フェナセチン、EDTA、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸、パラベンなどの1種または2種以上を用いることできる。
【0048】
前記安定化剤を含有させる場合の染毛剤用第1剤原液中に0.001〜10質量%、さらには0.01〜5質量%が好ましい。安定化剤の含有量が下限より少ない場合は効果が得られにくい傾向があり、上限より多く含有しても効果は変わらないため経済的でない。
【0049】
前記粘度調整剤としては、酸化染毛剤に使用される通常の粘度調整剤であれば特に限定されず、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースエチルエーテル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、第4級窒素含有セルロースエーテル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムなどの1種または2種以上を用いることができる。
【0050】
前記粘度調整剤を含有させる場合は染毛剤用第1剤原液中に0.01〜10質量%、さらには0.1〜5質量%が好ましい。粘度調整剤の含有量が下限より少ない場合は粘度調整効果が得られにくい傾向があり、上限より多い場合は、粘度が高くなりすぎ、調合や充填が難しくなる傾向がある。
【0051】
前記染毛効果以外の効果を発揮する他の有効成分としては、酸化染毛剤に使用される通常の有効成分であれば特に限定されず、例えばプロピレングリコール、グリセリン、1、3−ブチレングリコール、コラーゲン、ヒアルロン酸、乳酸ナトリウム、尿素などの保湿剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、銀などの殺菌・防腐剤、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチルなどの紫外線吸収剤、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ビタミンD2、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸などのビタミン類、エラストラジオール、エチニルエストラジオールなどのホルモン類、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの各種抽出液、ポリオクタニウム6、ポリオクタニウム7、ポリオクタニウム22などのコンディショニング剤、香料などの1種または2種以上を用いることができる。
【0052】
前記界面活性剤としては、酸化染毛剤に使用される通常の界面活性剤であれば特に限定されず、例えばソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレン/メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン/メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)/メチルポリシロキサン共重合体、脂肪酸石鹸、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルグルタミン酸、N−アシルグリシン塩、N−アシルアラニン塩、ベヘントリモニウムメトサルフェート/セタノール/イソアルキル(C10〜40)アミドプロピルエチルジモニウムメトサルフェート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの1種または2種以上を用いることができる。
【0053】
前記界面活性剤を含有させる場合は染毛剤用第1剤原液中に0.01〜20質量%、さらには0.1〜15質量%が好ましい。界面活性剤の含有量が下限より少ない場合は吐出物が発泡しにくい傾向があり、上限より多い場合はべたつきやすく、使用感が低下しやすくなる傾向がある。
【0054】
前記油性成分としては、酸化染毛剤に使用される通常の油性成分であれば特に限定されず、例えばメチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、コハク酸ジエトキシエチルなどのエステル油、スクワラン、スクワレン、イソパラフィン、流動パラフィンなどの炭化水素、ツバキ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、ホホバ油、ヤシ油などの油脂、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの高級脂肪酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール、ミツロウ、ラノリン、カンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックスなどのロウ(ワックス)などの1種または2種以上を用いることができる。
【0055】
前記油性成分を含有させる場合は染毛剤用第1剤原液中に0.01〜15質量%、さらには0.1〜10質量%が好ましい。油性成分の含有量が下限より少ない場合は配合効果が得られにくい傾向があり、上限より多く含有した場合は発泡しにくくなる傾向がある。
【0056】
前記溶媒としては、水やアルコール類およびこれらの混合物などが挙げられる。前記水としては、精製水、イオン交換水、生理食塩水などが挙げられる。また、前記アルコール類としては、エタノール、イソプロパノールなどの1価の低級アルコールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコールなどが挙げられる。
【0057】
前記酸化剤を含有する染毛剤用第2剤としては、酸化剤、pH調整剤、安定化剤、粘度調整剤、染毛効果以外の効果を発揮する他の有効成分、界面活性剤、油性成分などを溶媒に含有した染毛剤用第2剤原液、および噴射剤からなるものが挙げられる。
【0058】
前記酸化剤としては、酸化染毛剤に使用される通常の酸化剤であれば特に限定されず、例えば過酸化水素、酸化酵素などを用いることができる。
【0059】
前記酸化剤として過酸化水素を含有させる場合は染毛剤用第2剤原液中に純分換算で0.1〜10質量%、さらには1〜6質量%が好ましい。酸化剤の含有量が下限より少ない場合は酸化力が不充分であり良好な染毛効果が得られにくくなる傾向があり、上限より多い場合は、頭髪や頭皮の損傷およびエアゾール容器の腐食や圧力が上昇する傾向がある。
【0060】
前記酸化酵素としては、酸化染毛剤に使用される通常の酸化酵素であれば特に限定されず、例えばラッカーゼ、パーオキシターゼ、ウリターゼ、カタラーゼ、チロシナーゼなどの1種または2種以上を用いることができる。
【0061】
前記酸化剤として酸化酵素を含有させる場合は染毛剤用第2剤原液中に、0.001〜20質量%、さらに0.01〜15質量%することが好ましい。酸化酵素の含有量が下限より少ない場合は酸化力が不充分であり良好な染毛効果が得られにくくなる傾向があり、上限より多く配合しても効果に大差はなく経済的でない。
【0062】
前記pH調整剤としては、酸化染毛剤に使用される通常のpH調整剤であれば特に限定されず、例えばリン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸などの1種または2種以上を用いることでき、染毛剤用第2剤原液のpHを1〜6、さらに2〜5の範囲に調整することが好ましい。
【0063】
なお、前記安定化剤、粘度調整剤、界面活性剤、油性成分、溶媒は、前述の染毛剤用第1剤で例示したものと同じ成分を用いることができる。
【0064】
前記2液式発泡性エアゾール製品は、前記第1剤原液と噴射剤を第1容器に充填し、前記第2剤原液と噴射剤を第2容器に充填し、第1容器と第2容器を連結し、第1容器と第2容器を同時に操作できる吐出部材を装着することで製造できる。
【0065】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0066】
1)発泡性(2種の吐出物を混合した後の発泡性)
試験用エアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間保持し、第1内容物と第2内容物を同時に吐出し、吐出物を混ぜ合わせたときの発泡性を評価した。評価は次の基準とする。
○:吐出時に一部が発泡しており、混合するとゆっくりと発泡して泡が増大した
×1:吐出時にほとんど発泡しており、混合すると徐々に消泡した
×2:吐出時に泡と液体であり、混合するとすぐに消泡した
【0067】
2)混合性
試験用エアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間保持し、第1内容物と第2内容物を同時に吐出し、吐出物を混ぜ合わせたときの混合性を評価した。評価は次の基準とする。
○:第1内容物と第2内容物が均等に反応して吐出物全体が変色した
×:吐出物の一部が変色した
【0068】
3)塗布しやすさ(液だれしにくさ)
試験用エアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間保持し、第1内容物と第2内容物を同時に吐出し、吐出物を混ぜ合わせ、混合物を髪へ塗布した際の塗り伸ばしやすさを評価した。評価は次の基準とする。
○:微発泡により、液だれすることなくスムーズに塗り伸ばせた
△:塗布している途中で液だれした
×:塗布直後に液だれした
【0069】
4)塗布部の確認
混合物を髪へ塗布した後の状態を目視にて評価した。評価は次の基準とする。
○:塗布した部分に泡が残り、塗布したところが目視で確認できた
×:塗布した部分に泡が残らず、塗布したところが目視で確認できなかった
【0070】
5)泡比重
試験用エアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間保持し、容積25mlの半球状のガラス容器に吐出し、所定時間経過時に吐出物をすりきって、その質量を測定し、算出した。
【実施例】
【0071】
<染毛剤用第1剤原液の調製>
表1に示す染毛剤用第1剤原液を調製した。
【0072】
【表1】

*1:キレスト PA−SD(商品名)、キレスト株式会社製
*2:PG(商品名)、株式会社ADEKA製
*3:ソルビトール(商品名)、花王株式会社製
*4:マーコート 280(商品名)、NALCO社製
*5:マーコート 550(商品名)、NALCO社製
*6:NIKKOL BC−2(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
*7:エマール E−27C(商品名)、花王株式会社製
*8:マイドール 12(商品名)、花王株式会社製
*9:アミゾール CDE(商品名)、川研ファインケミカル研株式会社製
*10:ステアリン酸 550V(商品名)、花王株式会社製
*11:ルナック MY−98(商品名)、花王株式会社製
*12:ルナック SO−90L(商品名)、花王株式会社製
【0073】
<染毛剤用第2剤原液の調製>
表2に示す染毛剤用第2剤原液を調製した。
【0074】
【表2】

*13:キレスト PH−210SD(商品名)、キレスト株式会社製
*14:エマール 10PT(商品名)、花王株式会社製
*15:ラノリンアルコール A(商品名)、日本精化株式会社製
*16:カルコール 6850(商品名)、花王株式会社製
【0075】
<第1剤エアゾール製品の製造>
第1剤エアゾール製品Aの製造
第1容器に表1の染毛剤用第1剤原液aを47.5g(95質量%)充填し、該容器にエアゾールバルブを固着した。次いで低圧噴射剤1(*17)を2.5g(5質量%)充填し、窒素ガスにて0.6MPaまで加圧した。さらに、エアゾールバルブに吐出部材を取り付け、第1剤エアゾール製品Aを製造した。得られたエアゾール製品について泡比重を評価した。泡比重は30秒毎に計測し、経時的変化を評価した。結果を表3に示す。
【0076】
第1剤エアゾール製品Bの製造
染毛剤用第1剤原液aの充填量を42.5g(85質量%)、低圧噴射剤1(*17)の充填量を7.5g(15質量%)としたこと以外は第1剤エアゾール製品Aと同様にエアゾール製品を製造し、同様に評価した。
【0077】
第1剤エアゾール製品C〜Fの製造
染毛剤用第1剤原液aの代わりに染毛剤用第1剤原液b〜eをそれぞれ用いたこと以外は第1剤エアゾール製品Bと同様にエアゾール製品を製造し、評価した。
【0078】
第1剤エアゾール製品Gの製造
低圧噴射剤2(*18)を用いたこと以外は第1剤エアゾール製品Aと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
【0079】
第1剤エアゾール製品Hの製造
低圧噴射剤2(*18)を用いたこと以外は第1剤エアゾール製品Bと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
【0080】
第1剤エアゾール製品Iの製造
染毛剤用第1剤原液aの充填量を35.0g(70質量%)、低圧噴射剤2(*18)の充填量を15.0g(30質量%)充填したこと以外は第1剤エアゾール製品Hと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
【0081】
第1剤エアゾール製品Jの製造
噴射剤を低圧噴射剤3(*19)としたこと以外は第1剤エアゾール製品Aと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
【0082】
第1剤エアゾール製品Kの製造
高圧噴射剤1(*20)を用いたこと、および窒素ガスの加圧を行わなかったこと以外は第1剤エアゾール製品Aと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
【0083】
第1剤エアゾール製品Lの製造
噴射剤を高圧噴射剤2(*21)としたこと以外は第1剤エアゾール製品Kと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
【0084】
第1剤エアゾール製品Mの製造
低圧噴射剤1(*17)を用いなかったこと以外は第1剤エアゾール製品Aと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
【0085】
【表3】

*17 イソペンタン 20℃における蒸気圧 0.05MPa
*18 イソペンタン/ノルマルブタン (44/56)質量比 20℃における蒸気圧 0.07MPa
*19 ノルマルブタン 20℃における蒸気圧 0.1MPa
*20 ブタン/プロパン (80/20)質量比 20℃における蒸気圧 0.40MPa
*21 ブタン/プロパン (44/56)質量比 20℃における蒸気圧 0.50MPa
【0086】
表3に示す結果から、第1剤エアゾール製品A〜Jは吐出直後に一部が発泡し経時的にさらに発泡する吐出物であり、噴射剤の種類や原液と噴射剤の配合比よって差異こそあれ、吐出後時間の経過とともに泡比重が小さくなっている。つまり、発泡が進行していることがわかる。また、第1剤エアゾール製品KおよびLは吐出直後に発泡が完了し、時間の経過とともに泡比重が大きくなっている。つまり、破泡していることがわかる。さらに、第1剤エアゾール製品Mは吐出後わずかに発泡したが、その後破泡して液状になることがわかる。
【0087】
表3に示した第1剤エアゾール製品の一部である第1剤エアゾール製品C、G、JおよびKの吐出直後から120秒後までの泡比重の経時的変化を図1にグラフで示した。第1剤エアゾール製品C、GおよびJについては吐出後時間の経過とともに泡比重が小さくなっていることがわかる。また、第1剤エアゾール製品Kについては、吐出後時間の経過とともに泡比重が大きくなっていることがわかる。
【0088】
<第2剤エアゾール製品の製造>
第2剤エアゾール製品Aの製造
第2容器に表2の染毛剤用第2剤原液aを50.0g(100質量%)充填し、該容器にエアゾールバルブを固着した。次いで0.6MPaまで窒素ガスの加圧を行った。さらに、エアゾールバルブに噴射部材を取り付け、第2剤エアゾール製品Aを製造した。得られたエアゾール製品について泡比重を評価した。泡比重は30秒毎に計測し経時的変化を評価した。結果を表4に示す。
【0089】
第2剤エアゾール製品Bの製造
第2容器に、表2の染毛剤用第2剤原液aを47.5g(95質量%)充填後、該容器にエアゾールバルブを固着した。次いで低圧噴射剤2(*18)を2.5g(5質量%)充填し第2剤エアゾール製品Aと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
【0090】
第2剤エアゾール製品Cの製造
高圧噴射剤1(*20)を用いたこと、および窒素ガスの加圧を行わなかったこと以外は第2剤エアゾール製品Bと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
【0091】
第2剤エアゾール製品Dの製造
染毛剤用第2原液bを用いたこと以外は第2剤エアゾール製品Cと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
【0092】
第2剤エアゾール製品Eの製造
染毛剤用第2原液bを用いたこと以外は第2剤エアゾール製品Bと同様にしてエアゾール製品を製造し、評価した。
【0093】
【表4】

【0094】
表4に示す結果から、第2剤エアゾール製品Aは吐出後わずかに発泡したが、その後破泡して液状になることがわかる。また、第2剤エアゾール製品BおよびEは吐出直後に一部が発泡し経時的にさらに発泡する吐出物であり、吐出後時間の経過とともに泡比重が小さくなっている。つまり、発泡が進行していることがわかる。さらに、第2剤エアゾール製品CおよびDは吐出直後に発泡が完了し、時間の経過とともに泡比重が大きくなっている、つまり、破泡していることがわかる。
【0095】
表4に示した第2剤エアゾール製品の一部である第2剤エアゾール製品A〜Cの吐出直後から120秒後までの泡比重の経時的変化を図2にグラフで示した。第2剤エアゾール製品Aについては吐出物がわずかに発泡したが、その後破泡して液状になることがわかる。第2剤エアゾール製品Bについては吐出後時間の経過とともに泡比重が小さくなっていることがわかる。また、第2剤エアゾール製品Cについては、吐出後時間の経過とともに泡比重が大きくなっていることがわかる。
【0096】
<実施例1〜15、比較例1および2>
第1剤エアゾール製品A〜M、第2剤エアゾール製品A〜Eを用いて表5に示す組合せで2液式発泡性エアゾール製品を製造した。なお、第1内容物A〜Mは表3の第1剤エアゾール製品A〜Mの内容物を、第2内容物A〜Eは表4の第2剤エアゾール製品A〜Eの内容物を充填したことを表わす。得られた2液式発泡性エアゾール製品について、発泡性、混合性、塗布しやすさ、塗布部の確認、泡比重を評価した。また、吐出直後から2分後までの泡比重の変化率(g/ml・min)を測定した。結果を表5に示す。
【0097】
【表5】

【0098】
表5に示す結果から、実施例1〜12は第1内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる2液式発泡性エアゾール製品であり、実施例13および14は第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる2液式発泡性エアゾール製品であり、実施例15は第1内容物および第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなる2液式発泡性エアゾール製品であるため、吐出物の発泡性、混合性、塗布しやすさ、および塗布部の確認結果において優れる2液式発泡性エアゾール製品であることがわかる。
【0099】
表5に示した実施例のうち、実施例1、8、12、15、比較例1および2の吐出直後、1分後および2分後の泡比重を図3にグラフで示した。実施例1、8、12および15は吐出後時間の経過とともに泡比重が小さくなっていることがわかる。また、比較例1および2については、吐出後時間の経過とともに泡比重が大きくなっていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内容物を充填した第1容器と、
第2内容物を充填した第2容器とを有し、
第1内容物と第2内容物を混合して使用する2液式発泡性エアゾール製品であって、
前記第1内容物および/または第2内容物の泡比重が吐出直後から経時的に小さくなることを特徴とする2液式発泡性エアゾール製品。
【請求項2】
前記泡比重の変化率が−0.1〜−0.0005(g/ml・min)である、請求項1記載の2液式発泡性エアゾール製品。
【請求項3】
前記第1内容物と第2内容物が噴射剤を含有し、それぞれの噴射剤の蒸気圧が異なる請求項1または2記載の2液式発泡性エアゾール製品。
【請求項4】
前記噴射剤において、一方の噴射剤が、20℃における蒸気圧が0.01〜0.2MPaである低圧噴射剤を含有し、他方の噴射剤が、20℃における蒸気圧が0.3〜0.7MPaである高圧噴射剤を含有する請求項3記載の2液式発泡性エアゾール製品。
【請求項5】
前記低圧噴射剤を含有する第1内容物または第2内容物がさらに加圧剤を含有する請求項4記載の2液式発泡性エアゾール製品。
【請求項6】
前記第1内容物と第2内容物が、酸化染料を含有する染毛剤用第1剤と、酸化剤を含有する染毛剤用第2剤とからなる2液式酸化染毛剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載の2液式発泡性エアゾール製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−140368(P2012−140368A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293901(P2010−293901)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】