説明

2液混合型樹脂組成物

【課題】構成が簡単で廉価に製造でき、コンクリート、道路のアスファルト等のクラック部分、継目の隙間などの雨水浸透防止、防草等を目的として使用する2液混合型樹脂組成物を提供すること。
【解決方法】 下記(ア)と(イ)の2液からなる2液混合型樹脂組成物であって、コンクリート若しくはアスファルトのクラック部分に、この2液を混合して注入または塗布し、これを固化せしめるところに構成特徴があり、前記無機材料が人工ゼオライトであるものを含む。
(ア)エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、変性エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA加水分解物)、エチレンビニルアルコールコポリマーに代表される酢酸ビニル系樹脂から選ばれたいずれかを主たる構成成分とする共重合樹脂エマルジョンに無機材料を配合したエマルジョン混合物。
(イ)親水性ポリウレタンプレポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特には、コンクリート、道路のアスファルト等のクラック部分、継目の隙間などの雨水浸透防止、防草等を目的として使用する2液混合型樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路や建造物などにおいて、コンクリート面やアスファルト面などに発生する亀裂(クラック)や、アスファルト舗装面と境界ブロックとの継目の隙間などの雨水浸透防止、防草等を目的として使用する樹脂組成物としては、2液混合型のエポキシ系樹脂や2液混合型のウレタン系樹脂、アクリル系樹脂エマルジョン、さらにはこれら樹脂にピッチタールを含有させたものなどが提案され、上市されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来のものはいずれも、亀裂部分や継目の隙間の中で固させると、コンクリート又はアスファルトと、樹脂固化物の親和性が低いことに加えて、水膨潤性がなくゴム状弾性特性を具有していないためか、亀裂部分や継目の隙間を完全に遮断することができず、雨水浸透防止能、防草能という点において、充分な機能を発揮させることができなかった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的は、構成が簡単で廉価に製造でき、コンクリート、道路のアスファルト等のクラック部分、継目の隙間などの雨水浸透防止、防草等を目的として使用する2液混合型樹脂組成物を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は鋭意検討した結果、先ず、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)の共重合樹脂エマルジョンに人工ゼオライトを含有させたエマルジョン混合物に、親水性ポリウレタンプレポリマーを添加して混合すると、水膨潤特性を具有する弾性ゴム状の生成物が得られることを見出し本発明を完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明が上記課題を解決するために採用した手段は、請求項1の発明に係る2液混合型樹脂組成物は、(ア)エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、変性エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA加水分解物)、エチレンビニルアルコールコポリマーなどに代表される酢酸ビニル系樹脂よりからなる群より選ばれたいずれかを主たる構成成分とする共重合樹脂エマルジョンに無機材料を配合したエマルジョン混合物と、(イ)親水性ポリウレタンプレポリマーとからなり、コンクリート若しくはアスファルトのクラック部分に、この2液を混合して注入または塗布し、これを固化せしめるところに特徴がある。
【0007】
この2液混合型樹脂組成物を混合すると両者を反応させ、水膨潤特性を具有する弾性ゴム状を生成することができ、コンクリートの亀裂部分、コンクリートブロックの継目の隙間、および、コンクリートとアスファルト間にできる隙間などを効果的に遮断することができる。すなわち、コンクリートの亀裂部分などの隙間を充填補強することのできる新規充填材として提供できる。
【0008】
請求項2に係る2液混合型樹脂組成物は、請求項1記載の2液混合型樹脂組成物において、前記無機材料が人工ゼオライトであるところに特徴がある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、コンクリートの亀裂部分、コンクリートブロックの継目の隙間、およびコンクリートとアスファルト間にできる隙間などを、水膨潤特性を具有する弾性ゴム状の固化物によって効果的に遮断することができるため、雨水浸透や砂埃の堆積を防止でき、そして、日光を遮断できるので、雑草や樹木の種子の着床、及び、植物成長を防止することができる。すなわち、高圧線鉄塔の基礎部分に打設されたコンクリートの亀裂部分を強度補強できるだけでなく、雑草や樹木などの刈取り作業が不要となり、かかる基盤整備費を削減することができる。とりわけ、繁茂した雑草を生活環境とする蛇が鉄塔を上ってショート(感電)すること機会を激減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を、その実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0011】
本発明に係る2液混合型樹脂組成物は、(ア)エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、変性エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA加水分解物)、エチレンビニルアルコールコポリマーなどに代表される酢酸ビニル系樹脂より選ばれたいずれかを主たる構成成分とする共重合樹脂エマルジョンに、無機材料を配合したエマルジョン混合物と、(イ)親水性ポリウレタンプレポリマーとからなり、この2液を混ぜながら、コンクリート若しくはアスファルトのクラック部分などに注入または塗布してこれを固化せしめるところに特徴がある。
【0012】
共重合樹脂エマルジョンとしては、無機系添加物(例えば無機改質剤、無機増量剤、無機着色剤など)が添加可能で、粘度調整、強度調整、水分含量調整などの観点において、酢酸ビニル系の樹脂を主たる構成成分とするが、特にエチレン酢酸ビニル共重合エマルジョンが好ましい。
【0013】
前記共重合樹脂エマルジョンには、反応固化後の減量防止、劣化防止などの観点において、無機系添加物を配合することが好ましい。無機材料の原材を限定するものではないがとりわけ、産業廃棄物の有効利用という観点から人工ゼオライトを配合することが好ましい。
【0014】
上記人工ゼオライトもまたその原材を厳選するものではなく、より具体的には、石炭灰を原料としてその一部ゼオライト化はかったものであり、鉄イオンタイプのもの、カルシウムイオンタイプのもの、ナトリウムイオンタイプのものが例示できその1種であっても2種以上の混合物であっても構わないものとする。
【実施例】
【0015】
第1液は、エチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂エマルジョン60重量部に、人工ゼオライト30重量部、着色顔料0.2重量部、酸化防止剤2.0重量部、粘度調整剤5重量部、及び、炭酸カルシウムとシリカサンドを混合してなる混合物であり、その物性は概ね、つぎの通りである。
a)樹脂分 20−60(重量%)
b)粘度 4000〜6000(30℃/cps)
c)外観 灰色粘調性液体
d)水分 20−50(重量%)
e)pH 弱アルカリ性
【0016】
第2液は親水性ポリウレタンプレポリマー液であり、ウレタンプレポリマーと、3−イソシアネートメチル 3,3,5トリメチルシクロヘキシルイソシナネートとを反応してなるものである。
【0017】
前記第1液に対して、第2液を全体当たり5〜30重量の割合に添加して、樹脂エマルジョン中の水分と反応せしめてハイドロゲル構造を形成することで、水膨潤特性を具有するゲル状固形物を調整した。
【0018】
得られたゲル状固形物の物性は以下の通りである。
f)伸び率 約400%
g)吸水率 約 20%
h)膨潤率 約 20%
i)接着力
1)24時間後 7kg/cm2
2)48時間後 10kg/cm2
【0019】
以上のとおり、請求項1記載の2液混合型樹脂組成物によれば、2液混合型樹脂組成物を混合して両者を反応させると、水膨潤特性を具有する弾性ゴム状の固形物として生成することができるので、コンクリートの亀裂部分、コンクリートブロックの継目の隙間、およびコンクリートとアスファルト間にできる隙間などを、水膨潤特性を具有する弾性ゴム状の固化物によって効果的に遮断することができる。すなわち、雨水浸透や砂埃の堆積を防止でき、そして、日光を遮断できるため、雑草や樹木の種子の着床、及び、植物成長を防止することができ、高圧線鉄塔の基礎部分に打設されたコンクリートの亀裂部分を強度補強できるだけでなく、雑草や樹木などの刈取り作業が不要となり、かかる基盤整備費を削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明に係る2液混合型樹脂組成物にあっては、産業上の利用可能性として
(1) 接着剤(特には剥離性接着剤)など、
(2) コンクリート構造物の端縁部補強材など、
(3)ビル屋上の漏水補修材など、
(4)コンクリートブロックやタイルなどの目地剤など
(5)水膨潤性ゴム板(上下水道用パッキンなどを含む)など、
(6)歩車道のスベリ止め材(コンクリ−ト、タイル、ブロック、グレーチング、マンホール蓋など)、
などが例示できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(ア)と(イ)の2液からなり、コンクリート若しくはアスファルトのクラック部分に、この2液を混合して注入または塗布し、これを固化せしめることを特徴とする2液混合型樹脂組成物。
(ア)エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、変性エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA加水分解物)、エチレンビニルアルコールコポリマーに代表される酢酸ビニル系樹脂より選ばれたいずれかを主たる構成成分とする共重合樹脂エマルジョンに無機材料を配合したエマルジョン混合物。
(イ)親水性ポリウレタンプレポリマー。
【請求項2】
前記無機材料が人工ゼオライトであることを特徴とする、請求項1記載の2液混合型樹脂組成物。

【公開番号】特開2007−63415(P2007−63415A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251463(P2005−251463)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(592145822)株式会社シンセイ (1)
【Fターム(参考)】