説明

2相BLDCモータ

【課題】改良された2相ブラシレス直流(BLDC)モータを提供する。
【解決手段】2相BLDCモータは、固定子及び回転子を備えている。固定子は、固定子コア及びその固定子コアに巻かれた2相巻線を含む。固定子コアは、複数の歯を含み、その隣接歯間にスロットが形成される。回転子は、少なくとも1つの永久磁石により形成された複数の磁極を有する。各巻線が複数の歯に広がると共に、いずれの時間にいずれのスロットの巻線に流れる電流の方向も同じであるように、巻線がその対応スロットに受け入れられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2相ブラシレス直流(BLDC)モータに係る。
【背景技術】
【0002】
電子的整流モータとしても知られているBLDCモータは、機械的整流子及びブラシではなく電子整流システムを有する。BLDCモータは、単位重量当たりのトルクが大きく、効率が高く、信頼性が高く、ノイズが低く、寿命が長く、整流子からのスパークが除去され、且つ電磁干渉が減少された、等の、ブラシ付きDCモータに勝る幾つかの利点のために、近代的な電子装置に広く使用されている。
【0003】
従来のBLDCモータは、通常、3相BLDCモータである。というのは、従来の3相BLDCモータは、従来の2相BLDCモータに比して効率が高いからである。しかしながら、3相BLDCモータは、巻線及び駆動回路が複雑で、故に、コストが高い。
【0004】
ヨーロッパ特許第2028747号は、集中型巻線と、位相差が電気的に180度である2相駆動回路とを使用する2相BLDCモータを開示している。しかしながら、各周期の半分において、隣接極間の同じスロット内の巻線の2つのコイルの部分の電流が互いに逆方向であり、それ故、これらの部分は、トルクを発生しない。従って、この種類の2相BLDCモータは、効率が悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、効率の高い又は少なくとも有用な選択肢を公衆に与える2相BLDCモータが要望される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、その1つの態様において、固定子コア及びその固定子コアに巻かれた2相巻線を含む固定子であって、固定子コアが複数の歯を含み、その隣接歯間にスロットが形成された固定子と、固定子に対して回転可能な回転子であって、少なくとも1つの永久磁石により形成された複数の磁極を含む回転子とを備え、各巻線が複数の歯に広がると共に、いずれの時間にいずれのスロットの巻線に流れる電流の方向も同じであるように、巻線がその対応スロットに受け入れられるようにした2相BLDCモータを提供する。
【0007】
好ましくは、1以上の整数をnとすれば、固定子コアは、4n個の歯を含み、回転子は、6n個の磁極を有する。
【0008】
好ましくは、位相差が電気的に90度の電流によって巻線が付勢される。
【0009】
好ましくは、モータは、内部回転子型である。
【0010】
或いは又、モータは、外部回転子型でもよい。
【0011】
好ましくは、巻線は、2相半ブリッジ制御回路により制御される。
【0012】
好ましくは、2相半ブリッジ制御回路は、4個のトランジスタ及び4個のダイオードを含む。
【0013】
以下、添付図面を参照し、本発明の好ましい実施形態を一例として説明する。2つ以上の図に現れる同じ構造物、要素又は部品は、一般的に、それらが現れる全ての図において同じ参照番号で示す。図示されたコンポーネント及び特徴部の寸法は、一般的に、表現の便宜上及び明瞭化のために選択されたものであって、必ずしも一定の縮尺率で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態による2相BLDCモータの概略図である。
【図2】図1のモータの固定子の概略図である。
【図3】図1のモータの使用中に固定子の巻線に流れる電流を示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態による2相BLDCモータの概略図である。
【図5】図4のモータの固定子の概略図である。
【図6】本発明の実施形態によるBLDCモータを動作するのに使用される駆動回路の配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の2相ブラシレスDCモータは、固定子、及び固定子に対して回転可能な回転子を備えている。固定子は、固定子コア、及び固定子コアに巻かれた2相巻線を含む。巻線は、各相に多数のコイルを含む。各コイルは、ワイヤの複数巻回で形成される。固定子コアは、1以上の整数をnとすれば、4n個の歯を含み、その隣接歯間にスロットが形成される。巻線は、対応するスロットに受け入れられる。各コイルは、2つの歯に及ぶ。コイルは、いずれの時間にいずれのスロットの巻線に流れる電流の方向も同じになるように巻かれる。回転子は、1つ以上の永久磁石で形成された6n個の磁極を有する。
【0016】
本発明の2つの好ましい実施形態についての以下の説明は、例えば、nが1に等しいとしている。
【0017】
図1及び2は、本発明の第1の実施形態による2相BLDCモータを概略的に示す。図1は、固定子10及び回転子30を示し、一方、図2は、固定子コア及び巻線22を含む固定子10を示す。モータは、内部回転子型であり、固定子10と、固定子10に回転可能にインストールされた回転子30とを備えている。固定子10は、固定子コア12を含み、この固定子コアは、円筒状ヨーク14と、このヨーク14から内方に延びる4つの歯161〜164とを含む。歯161〜164は、ヨーク14の周囲に均一に配置される。隣接する歯161〜164の間にはスロット181〜184が各々形成される。2相巻線22は、この例では、単一のコイルで各々形成された巻線A及び巻線Bを含む。巻線Aは、歯161及び162に広がり、スロット181及び183に受け入れられる。巻線Bは、歯162及び163に広がり、スロット182及び184に受け入れられる。回転子30は、シャフト36に固定された回転子コア32と、6個の交互に配置された磁極、即ちN極及びS極を形成する6個の永久磁石34とを備えている。これら磁石は、回転子コアの周囲に均一に離間されている。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態による2相ブラシレスモータの動作中に巻線に流れる駆動電流を示すグラフである。2つの個別の相巻線、巻線A及び巻線Bより成る巻線22は、位相差が電気的に90度である電流により付勢される。従って、いつでも、一方の相巻線A又はBだけが通電される。同じスロットの巻線に流れる電流は、同じ方向であり、それ故、逆方向の力が発生することはない。従って、従来のモータに比して、モータの効率が改善される。
【0019】
図4及び5は、本発明の第2の実施形態による2相BLDCモータを示す。図4は、固定子10及び回転子30を示し、一方、図5は、固定子10を示す。このモータは、外部回転子型である。固定子10は、回転子30内に配置される。固定子コア12は、4つの突極を形成する4つの歯161〜164を含む。4つの歯161〜164は、固定子10の周囲方向に均一に配列され、隣接する歯161〜164の間には4つのスロット181〜184が各々形成される。巻線Aは、スロット181及び183に受け入れられ、巻線Bは、スロット182及び184に受け入れられる。回転子30は、回転子コア32と、この回転子コア32の内面に固定された6つの永久磁石34とを備えている。これらの磁石34は、回転子30の周囲方向に均一に離間される。
【0020】
図6は、モータの巻線へ電力(電流)を供給するための駆動回路の配線図である。巻線は、4つのトランジスタQ1〜Q4及び4つのダイオードD1〜D4を含む2相半ブリッジ制御回路40により付勢又は制御される。図3に示す駆動電流プロフィールは、トランジスタQ1〜Q4を制御することにより得ることができる。
【0021】
現在の3相BLDCモータに比して、本発明の2相BLDCモータは、簡単な固定子コア及び巻線と、若干のコンポーネントをもつ簡単な駆動回路とを有する。従って、コストが安い。従来の2相モータに比して、効率が高い。
【0022】
上述した実施例では、1に等しいnが使用された。或いは又、nは、2、3又は他の整数に等しくてもよい。nが2に等しいときには、固定子は、8個の固定子極を形成する8個の歯を含み、回転子は、12個の磁極を含む。各相巻線は、4つの歯に広がる。
【0023】
本発明の説明及び特許請求の範囲において、動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、「収容する(contain)」及び「有する(have)」並びにその変化は、各々、ここに述べたアイテムの存在を特定するために包括的な意味で使用され、付加的なアイテムの存在を除外するものではない。
【0024】
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、種々の変更がなされ得ることが明らかであろう。それ故、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定されるものとする。
【0025】
例えば、回転子極は、個別の永久磁石により形成されるものとして例示したが、単一のリング磁石で形成することもできるし、又は各磁石が2つ以上の回転子極を形成することもできる。
【符号の説明】
【0026】
10:固定子
12:固定子コア
14:円筒状ヨーク
22:巻線
30:回転子
32:回転子コア
34:永久磁石
161〜164:歯
181〜184:スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子コア及びその固定子コアに巻かれた2相巻線を含む固定子であって、固定子コアが複数の歯を含み、その隣接歯間にスロットが形成された固定子と、
固定子に対して回転可能な回転子であって、少なくとも1つの永久磁石により形成された複数の磁極を含む回転子と、
を備え、各巻線が複数の歯に広がると共に、いずれの時間にいずれのスロットの巻線に流れる電流の方向も同じであるように、巻線がその対応スロットに受け入れられるようにした2相BLDCモータ。
【請求項2】
1以上の整数をnとすれば、固定子コアは4n個の歯を含み、回転子は6n個の磁極を有する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
位相差が電気的に90度の電流によって巻線が付勢される、請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記モータは、内部回転子型である、請求項1、2又は3に記載のモータ。
【請求項5】
前記モータは、外部回転子型である、請求項1、2又は3に記載のモータ。
【請求項6】
前記巻線は、2相半ブリッジ制御回路により制御される、請求項1から5のいずれかに記載のモータ。
【請求項7】
前記2相半ブリッジ制御回路は、4個のトランジスタ及び4個のダイオードを含む、請求項6に記載のモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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