説明

2種類の金属酸化物を含む第一のガラスと2種類の金属酸化物を含む第二のガラスを含むガラス物品とその製造方法

【課題】大きくて、複雑な形状の物品が成形可能であるガラス物品およびその製造方法の提供。
【解決手段】融合した第一のガラスと第二のガラスを含み、その第一のガラスは、少なくとも2種類の金属酸化物を含み、前記第一のガラスは、ガラス転移温度Tg1と、結晶化開始温度Tx1とを有しており、そのガラス転移温度Tg1と、結晶化開始温度Tx1との差が少なくとも5Kであり、また前記第一のガラスは、SiO2を20重量%未満、B23を20重量%未満、およびP25を40重量%未満含み、また、前記第二のガラスは、少なくとも2種類の金属酸化物を含み、前記第一のガラスは、ガラス転移温度Tg2と、結晶化開始温度Tx2とを有しており、そのガラス転移温度Tg2と、結晶化開始温度Tx2との差が少なくとも5Kであり、また前記第一のガラスは、SiO2を20重量%未満、B23を20重量%未満、およびP25を40重量%未満含む物品とその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のガラス粒子を融合させることによる物品の製造方法に関する。物品の一例として、台所用品(皿など)、歯科用ブラケット、強化繊維、切削工具用インサート、研磨材、ガスエンジンの構造用部品(バルブやベアリングなど)があげられる。
【背景技術】
【0002】
多数のガラス組成物ならびにガラス−セラミック組成物が周知である。酸化物ガラス系の大半には、ガラスの形成を助ける目的で、SiO2、B23、P25、GeO2、TeO2、As23、V25などの周知のガラス形成剤が用いられている。これらのガラス形成剤を用いて製造されるガラス組成物の中には、熱処理を施してガラス−セラミックを生成できるものがある。このようなガラス形成剤から作られるガラスやガラス−セラミックの使用温度の上限は1200℃未満が普通であり、一般に約700〜800℃である。ガラス−セラミックの方が、その原料となるガラスよりも温度耐性が高いことが多い。
【0003】
溶融と急冷とによって多くの金属酸化物を非晶質の状態で得ることができるが、結晶質ではなく非晶質の材料を得るには急冷速度を極めて高くする必要があることから、その大半はバルク状や複雑な形にすることができない。通常、このような系は以後の再加熱時の結晶化が極めて不安定であるため、ガラスに典型的な粘性流動などの特性が見られない。一方、周知の網目形成酸化物(SiO2およびB23など)を主体とするガラスは、再加熱時の結晶化が比較的安定しているのが普通であり、よって、粘性流動が起こる「動作」範囲を容易に利用することができる。周知のガラス(SiO2およびB23など)の粉末からガラス転移点よりも高い温度での粘性焼結によって大きな物品を作製することが知られている。たとえば、研磨材業界では研磨粒子同士の結合に磁器質結合剤を使用して研削砥石を製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,254,981号
【特許文献2】米国特許第5,605,870号
【特許文献3】国際公開第01/27046 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のものではないガラスおよびガラス−セラミック組成物を含む大きな物品および/または複雑な形を提供できれば望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ガラスから物品を製造する方法を提供するものである。任意に、この物品は、2種類以上のガラス組成物または組成からなる複合材料であってもよい。いくつかの実施形態では、ガラスを任意に熱処理し、ガラスを少なくとも部分的に結晶化させる。
本発明は、第一の形態として、融合した第一のガラスと第二のガラスを含み、その第一のガラスは、少なくとも2種類の金属酸化物を含み、前記第一のガラスは、ガラス転移温度Tg1と、結晶化開始温度Tx1とを有しており、そのガラス転移温度Tg1と、結晶化開始温度Tx1との差が少なくとも5Kであり、また前記第一のガラスは、SiO2を20重量%未満、B23を20重量%未満、およびP25を40重量%未満含み、また、
前記第二のガラスは、少なくとも2種類の金属酸化物を含み、前記第二のガラスは、ガラス転移温度Tg2と、結晶化開始温度Tx2とを有しており、そのガラス転移温度Tg2と、結晶化開始温度Tx2との差が少なくとも5Kであり、また前記第二のガラスは、SiO2を20重量%未満、B23を20重量%未満、およびP25を40重量%未満含む、物品に関する。
本発明は、第二の形態として、前記第一のガラスは、SiO2を10重量%未満、B23を10重量%未満、およびP25を5重量%未満含み、また、
前記第二のガラスは、SiO2を10重量%未満、B23を10重量%未満、およびP25を5重量%未満含む、前記第一の形態の物品に関する。
本発明は、第三の形態として、前記第一のガラスと第二のガラスの少なくとも1つが、La23−TiO2ガラスを含む、前記第一の形態の物品に関する。
本発明は、第四の形態として、前記物品が、ガラスである、前記第一の形態の物品に関する。
本発明は、第五の形態として、前記物品が、ガラス−セラミックである、前記第一の形態の物品に関する。
本発明は、第六の形態として、少なくとも2種類の金属酸化物を含む第一のガラスであって、ガラス転移温度Tg1と、結晶化開始温度Tx1とを有しており、そのガラス転移温度Tg1と、結晶化開始温度Tx1との差が少なくとも5Kであり、またSiO2を20重量%未満、B23を20重量%未満、およびP25を40重量%未満含む第一のガラスを準備する工程、および
少なくとも2種類の金属酸化物を含む第二のガラスであって、ガラス転移温度Tg2と、結晶化開始温度Tx2とを有しており、そのガラス転移温度Tg2と、結晶化開始温度Tx2との差が少なくとも5Kであり、またSiO2を20重量%未満、B23を20重量%未満、およびP25を40重量%未満含む第二のガラスを準備する工程、および
前記第一のガラスと第二のガラスをTg1とTg2より高い温度に加熱して前記第一のガラスと第二のガラスを融合させる工程を含む、物品の製造方法。
本発明は、第七の形態として、前記物品が、ガラスである、前記第六の形態の物品の方法に関する。
本発明は、第八の形態として、前記物品が、ガラス−セラミックである、前記第六の形態の物品の方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の材料のDTA曲線である。
【図2】実施例2の材料のDTA曲線である。
【図3】実施例5の材料のDTA曲線である。
【図4】実施例6の材料のDTA曲線である。
【図5】実施例7の材料のDTA曲線である。
【図6】実施例9の材料のDTA曲線である。
【0008】
本発明の一実施形態は、
外面を含む支持体(セラミック、金属、金属間化合物(intermetallics)、これらの複合材料)を提供し、
第1のガラス(シート、粒子(ミクロスフェアも入る)、繊維など)(第1のガラスが少なくとも2種類の金属酸化物を含み(すなわち金属酸化物が同じカチオンを持たない)、第1のガラスがTgとTxとを有し、第1のガラスのTgとTxとの差が少なくとも5K(あるいは実に、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30K、あるいは少なくとも35K)であり、第1のガラスが、SiO2を20重量%未満(あるいは実にSiO2を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、B23を20重量%未満(あるいは実にB23を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、P25を40重量%未満(あるいは実にP25を35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)とを含有する)を少なくとも提供し、
前記ガラスの少なくとも一部分によって前記支持体の外面の少なくとも一部分が濡れるように前記第1のガラスをTgより高い温度で加熱し、
このガラスを冷却し、支持体の外面の少なくとも一部分に取り付けられたガラスを含有するセラミックを含む物品を提供することを含む、ガラスから物品を製造する方法を提供するものである。いくつかの実施形態では、セラミックがガラスである。任意に、この方法を、それぞれTgとTxとを有するガラスであって、それぞれのガラスのTgとTxとの差が少なくとも5K(あるいは実に、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30K、あるいは少なくとも35K)であり、別途用いる1以上のガラスが任意にSiO2を20重量%未満(あるいは実にSiO2を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、B23を20重量%未満(あるいは実にB23を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、P25を40重量%未満(あるいは実にP25を35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)とを含むガラスをはじめとする、第2、第3、またはそれ以上の異なるガラスで利用することもできる。好ましくは、ガラスが、あるいは2種類以上のガラスを用いる場合は少なくとも1種のガラスが、ガラスの総重量に対して、SiO2と、B23と、P25とをガラスの合計で40重量パーセント未満(好ましくは、35、30、25、20、15、10、5未満あるいは実に0)の量で含む。
【0009】
本発明のもうひとつの実施形態は、
外面を含む支持体を提供し、
ガラス(ガラス粒子も入る)を含む第1の複数の粒子(ガラスが少なくとも2種類の金属酸化物を含み、ガラスがTgとTxとを有し、ガラスのTgとTxとの差が少なくとも5K(あるいは実に、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30K、あるいは少なくとも35K)であり、ガラスが、SiO2を20重量%未満(あるいは実にSiO2を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、B23を20重量%未満(あるいは実にB23を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、P25を40重量%未満(あるいは実にP25を35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)とを含有する)を少なくとも提供し、
第1の複数の粒子のガラスの少なくとも一部分によって支持体の外面の少なくとも一部分が濡れるようにガラスをTgより高い温度で加熱し、
ガラスを冷却し、支持体の外面の少なくとも一部分に取り付けられたガラスを含有するセラミックを含む物品を提供することを含む、ガラスから物品を製造する方法を提供するものである。いくつかの実施形態では、セラミックがガラスである。任意に、この方法を、それぞれTgとTxとを有するガラスであって、それぞれのガラスのTgとTxとの差が少なくとも5K(あるいは実に、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30K、あるいは少なくとも35K)であり、別途用いる1以上のガラスが任意にSiO2を20重量%未満(あるいは実にSiO2を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、B23を20重量%未満(あるいは実にB23を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、P25を40重量%未満(あるいは実にP25を35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、1重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)とを含むガラスをはじめとする、(異なる)ガラスを含む第2、第3、またはそれ以上の複数の異なる粒子で利用することもできる。好ましくは、ガラスが、あるいは2種類以上のガラスを用いる場合は少なくとも1種のガラスが、ガラスの総重量に対して、SiO2と、B23と、P25とをガラスの合計で40重量パーセント未満(好ましくは、35、30、25、20、15、10、5未満あるいは実に0)の量で含む。
【0010】
本発明のもうひとつの実施形態は、
第1のガラスおよび第2のガラス(シート、粒子(ミクロスフェアも入る)、繊維など)(第1のガラスが少なくとも2種類の金属酸化物を含み、第1のガラスがTg1とTx1とを有し、Tg1とTx1との差が少なくとも5K(あるいは実に、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30K、あるいは少なくとも35K)であり、第1のガラスが、SiO2を20重量%未満(あるいは実にSiO2を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、B23を20重量%未満(あるいは実にB23を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、P25を40重量%未満(あるいは実にP25を35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)とを含有する)を少なくとも提供し、
第1および第2のガラスを少なくともTg1より高い温度で加熱し、少なくとも第1のガラスを第2のガラスと融合させて物品を提供することを含む、物品製造方法を提供するものである。任意に、第2のガラスがTg2とTx2とを有し、Tg2とTx2との差が少なくとも5K(あるいは実に、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30K、あるいは少なくとも35K)である。任意に、第2のガラスが、SiO2を20重量%未満(あるいは実にSiO2を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、B23を20重量%未満(あるいは実にB23を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、P25を40重量%未満(あるいは実にP25を35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)とを含有する。任意に、この方法を、それぞれTgとTxとを有するガラスであって、それぞれのガラスのTgとTxとの差が少なくとも5K(あるいは実に、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30K、あるいは少なくとも35K)であり、別途用いる1以上のガラスが任意にSiO2を20重量%未満(あるいは実にSiO2を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、B23を20重量%未満(あるいは実にB23を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、P25を40重量%未満(あるいは実にP25を35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)とを含むガラスをはじめとする、ガラスを含む第3、第4のガラスなどで利用することもできる。これらのガラスは同一組成のものであっても組成の異なるものであってもよく、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。好ましくは、少なくとも1種のガラスが、ガラスの総重量に対して、SiO2と、B23と、P25とをガラスの合計で40重量パーセント未満(好ましくは、35、30、25、20、15、10、5未満あるいは実に0)の量で含む。
【0011】
本発明のもうひとつの実施形態は、
第1のガラスおよび第2のガラス(シート、粒子(ミクロスフェアも入る)、繊維など)(第1のガラスが少なくとも2種類の金属酸化物を含み、第1のガラスがTg1とTx1とを有し、Tg1とTx1との差が少なくとも5K(あるいは実に、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30K、あるいは少なくとも35K)であり、第1のガラスが、SiO2を20重量%未満(あるいは実にSiO2を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、B23を20重量%未満(あるいは実にB23を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、P25を40重量%未満(あるいは実にP25を35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)とを含有し、第2のガラスが少なくとも2種類の金属酸化物を含み、第2のガラスがTg2とTx2とを有し、Tg2とTx2との差が少なくとも5K(あるいは実に、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30K、あるいは少なくとも35K)であり、第2のガラスが、SiO2を20重量%未満(あるいは実にSiO2を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、B23を20重量%未満(あるいは実にB23を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、P25を40重量%未満(あるいは実にP25を35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)とを含有する)を少なくとも提供し、
ガラスをTg1またはTg2のうちの高い方より高い温度で加熱し、第1および第2のガラスを融合させて物品を提供することを含む物品製造方法を提供するものである。任意に、この方法を、それぞれTgとTxとを有するガラスであって、それぞれのガラスのTgとTxとの差が少なくとも5K(あるいは実に、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30K、あるいは少なくとも35K)であり、別途用いる1以上のガラスが任意にSiO2を20重量%未満(あるいは実にSiO2を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、B23を20重量%未満(あるいは実にB23を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、P25を40重量%未満(あるいは実にP25を35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)とを含むガラスをはじめとする、ガラスを含む第3、第4のガラスなどで利用することもできる。これらのガラスは同一組成のものであっても組成の異なるものであってもよく、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。好ましくは、少なくとも1種のガラスが、ガラスの総重量に対して、SiO2と、B23と、P25とをガラスの合計で40重量パーセント未満(好ましくは、35、30、25、20、15、10、5未満あるいは実に0)の量で含む。
【0012】
本発明のもうひとつの実施形態は、
ガラス(ガラス粒子も入る)を含む第1の複数の粒子(ガラスが少なくとも2種類の金属酸化物を含み、ガラスがTgとTxとを有し、ガラスのTgとTxとの差が少なくとも5K(あるいは実に、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30K、あるいは少なくとも35K)であり、ガラスが、SiO2を20重量%未満(あるいは実にSiO2を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、B23を20重量%未満(あるいは実にB23を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、P25を40重量%未満(あるいは実にP25を35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、1重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)とを含有する)を少なくとも提供し、
ガラスをTgより高い温度で加熱し、第1の複数の粒子の少なくとも一部分を融合させて物品を提供することを含む、物品製造方法を提供するものである。いくつかの実施形態では、セラミックがガラスである。任意に、この方法を、それぞれTgとTxとを有するガラスであって、それぞれのガラスのTgとTxとの差が少なくとも5K(あるいは実に、少なくとも10K、少なくとも15K、少なくとも20K、少なくとも25K、少なくとも30K、あるいは少なくとも35K)であり、別途用いる1以上のガラスが任意にSiO2を20重量%未満(あるいは実にSiO2を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、B23を20重量%未満(あるいは実にB23を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、P25を40重量%未満(あるいは実にP25を35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、1重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)とを含むガラスをはじめとする、(異なる)ガラスを含む第2、第3、またはそれ以上の複数の異なる粒子で利用することもできる。好ましくは、ガラスが、あるいは2種類以上のガラスを用いる場合は少なくとも1種のガラスが、ガラスの総重量に対して、SiO2と、B23と、P25とをガラスの合計で40重量パーセント未満(好ましくは、35、30、25、20、15、10、5未満あるいは実に0)の量で含む。
【0013】
望ましくは、Tg対Tlの比が少なくとも0.5である。有用なガラス粒子の一例として、REO−Al23−ZrO2ガラスおよびREO−Al23−ZrO2−SiO2ガラスを含むものがあげられる。他の有用なガラスとして、CaO−Al23ガラス、CaO−Al23−ZrO2ガラス、BaO−TiO2ガラス、La23−TiO2ガラス、REO(すなわち希土類酸化物)−Al23ガラスもあげられる。
【0014】
一般に、加熱時にガラスを加圧下におくとガラスの融合が促進される。一実施形態では、仕込み量のガラス(例えば、粒子(ビーズを含む)、繊維など)を金型に入れ、ガラスの粘性流動によって物品への融合が生じる、ガラス転移を超える温度でホットプレス処理を施す。
【0015】
本件出願において、
「非晶質材料」とは、X線回折で測定した場合に長距離結晶秩序を持たないおよび/または本願明細書の「示差熱分析」の項で説明する試験で求められるようなDTA(示差熱分析)で測定した場合に非晶質材料の結晶化に対応する発熱ピークのある、溶湯(melt)および/または気相から得られる材料を示し、
「セラミック」には、非晶質材料、ガラス、結晶質セラミック、ガラス−セラミック、これらの組み合わせを含み、
「ガラス」とは、ガラス転移点を持つ非晶質材料を示し、
「ガラス−セラミック」とは、非晶質材料の熱処理によって形成される結晶を含むセラミックを示し、
「希土類酸化物」とは、酸化セリウム(CeO2など)、酸化ジスプロシウム(Dy23など)、酸化エルビウム(Er23など)、酸化ユーロピウム(Eu23など)、ガドリニウム(Gd23など)、酸化ホルミウム(Ho23など)、酸化ランタン(La23など)、酸化ルテチウム(Lu23など)、酸化ネオジム(Nd23など)、酸化プラセオジム(Pr611など)、酸化サマリウム(Sm23など)、テルビウム(Tb23など)、酸化トリウム(Th47など)、ツリウム(Tm23など)、酸化イッテルビウム(Yb23など)、これらの組み合わせを示し、
「REO」とは、希土類酸化物を示し、
「Tg」とは、実施例1で求めるようなガラス転移点を示し、
「Tl」とは、ガラスの融点を示し、
「Tx」とは、実施例1で求めるような結晶化開始温度を示す。
【0016】
さらに、本願明細書では、たとえばガラス−セラミックで金属酸化物(Al23、複合Al23・金属酸化物など)が結晶質である旨を特に明記しない限り、該当する金属酸化物は非晶質であっても結晶質であってもよく、非晶質の部分と結晶質の部分とからなるものであってもよいものとする。たとえば、Al23とZrO2とを含むガラス−セラミックの場合、Al23およびZrO2は各々非晶質状態であっても結晶状態であってもよく、非晶質状態の部分と結晶状態の部分とがあってもよく、さらには別の金属酸化物との反応生成物としての形(たとえば、Al23が結晶質Al23またはAl23の特定の結晶相(αAl23など)として存在する旨を特に明記しない限り、これを結晶質Al23としておよび/または1以上の結晶質複合Al23・金属酸化物とすることができるであってもよい。さらに、Tgを持たない非晶質材料の加熱によって形成されるガラス−セラミックには、実際にガラスが含まれていなくてもよく、結晶とTgを持たない非晶質材料とを含むものであってもよいものとする。
【0017】
任意に、本発明により製造される特定のガラス物品を熱処理し、ガラスを少なくとも部分的に結晶化させてガラス−セラミックを提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
通常、本発明によるセラミックは、しかるべき金属酸化物源を加熱(火炎中を含む)して溶湯、望ましくは均質な溶湯を生成した後、この溶湯を急冷して非晶質材料または非晶質材料を含むセラミックを得ることによって製造することが可能である。本発明による非晶質材料ならびに非晶質材料を含むセラミックを、たとえば、しかるべき金属酸化物源を加熱(火炎中を含む)して溶湯、望ましくは均質な溶湯を生成した後、この溶湯を急冷して非晶質材料を得ることによって製造することが可能である。非晶質材料の実施形態については、たとえば、金属酸化物源を好適な炉(誘導加熱炉、ガス燃焼炉または電気炉など)内、あるいはたとえばプラズマ内で溶融して製造することが可能である。このようにして得られる溶湯を冷却する(溶湯を冷却媒体(空気の高速ジェット流、液体、金属板(冷却された金属板を含む)、金属ロール(冷却された金属ロールを含む)、金属ボール(冷却された金属ボールを含む)などの中に放出する)など)。
【0019】
また、自由落下による冷却を併用したレーザスピンメルト(laser spin melt)、テイラー(Taylor)ワイヤ法、プラズマトロン法、ハンマーアンビル法、遠心急冷、空気銃によるスプラット冷却、単ローラ急冷および双ローラ急冷、ローラプレート急冷、液滴(pendant drop)の溶湯吸上げ(Rapid Solidification of Ceramics、ブロックウェイ(Brockway)ら、メタルズアンドセラミックスインフォメーションセンター(Metals And Ceramics Information Center)、デパートメントオブデフェンスインフォメーションアナリシスセンター(A Department of Defense Information Analysis Center)、オハイオ州コロンブス(Columbus)、1月、1984などを参照のこと)などの他の手法で非晶質材料の実施形態を得ることも可能である。また、好適な前駆体の熱(火炎またはレーザまたはプラズマを利用したものを含む)による熱分解、金属前駆体の物理的気相合成(physical vapor synthesis)(PVS)、機械化学的処理などの他の手法で非晶質材料の実施形態を得るようにしてもよい。
【0020】
一方法において、本発明に有用なガラスについては、たとえば米国特許第6,254,981号(キャッスル(Castle))(特許文献1)に開示されているような火炎溶融法を利用して製造することが可能である。この方法では、金属酸化物源材料を(「フィード粒子」とも呼ばれることがある粒子の形態などで)直接バーナー(メタン−空気バーナー、アセチレン−酸素バーナー、水素−酸素バーナーなど)に供給した後、たとえば、水、冷却油、空気などの中で急冷する。フィード粒子については、たとえば、金属酸化物源を粉砕、凝集(噴霧乾燥など)、溶融、あるいは焼結することによって製造可能である。火炎中に送られるフィード粒子の粒度次第で、得られるガラス粒子/ビーズのサイズが変わってくるのが普通である。
【0021】
本発明を実施する上で有用なガラスの一例として、CaO−Al23ガラス、CaO−Al23−ZrO2ガラス、BaO−TiO2ガラス、La23−TiO2ガラス、REO−Al23ガラス、REO−Al23−ZrO2ガラス、REO−Al23−ZrO2−SiO2ガラス、SrO−Al23−ZrO2ガラスを含むものがあげられる。有用なガラス組成としては、共晶組成物または共晶組成物に近いものがあげられる。当業者であれば、本願開示の内容を精査の後、本願明細書に開示のCaO−Al23、CaO−Al23−ZrO2、BaO−TiO2、La23−TiO2、REO−Al23、REO−Al23−ZrO2、REO−Al23−ZrO2−SiO2、SrO−Al23−ZrO2の各組成物以外に、共晶組成物を含む他の組成物についても分かるであろう。たとえば、共晶組成物を含むさまざまな組成物を示した相図が従来技術において周知である。
【0022】
驚くべきことに、本発明のセラミックは寸法の制限なく得られることが明らかになった。これが可能なのは、ガラス転移点よりも高い温度で実施する融合ステップによるものであることが分かった。たとえば、図1から明らかなように、放熱(Tx)よりも低い温度で吸熱(Tg)が出現していることから、本発明を実施するにあたって有用なガラスには有意な結晶化が起こる(Tx)前にガラス転移(Tg)が生じる。このため、比較的小さなガラス片からどのような寸法の物品であっても大量に製造することができるようになる。具体的には、たとえば、本発明を実施する上で役立つガラス粒子(ビーズおよびミクロスフェアも入る)、繊維などを、このガラス粒子などが融合して形状体が形成されるようにTgより高い温度で加熱し、融合した形状体を冷却して物品を提供する形などで、本発明による物品を得ることができる。特定の実施形態では、約725℃から約1100℃の範囲にある少なくとも1つの温度で加熱を実施する。
【0023】
驚くべきことに、本発明による特定の実施形態では、結晶化温度(Tx)よりもかなり高い温度で融合を行うことができる。理論に拘泥されるつもりはないが、比較的遅い結晶化動力学によって、粘性流動に高めの温度を利用できるようになるのではないかと考えられる。一般に、融合時はガラスを加圧下においてガラスを融合させやすくする。一実施形態では、仕込み量のガラス粒子などを金型に入れ、ガラスの粘性流動によって比較的大きな部品への融合が生じる、ガラス転移を超える温度でホットプレス処理を施す。一般に、非晶質材料では融合時に加圧下(0から1GPaよりも高いかそれ以上など)において非晶質材料を融合させやすくする。また、別途融合を行って物品の所望の特性をさらに改善することも本発明の範囲内である。たとえば、(約900℃から約1400℃の温度で)熱間等方圧加圧を実施して残っている多孔性(residual porosity)をなくし、材料の密度を高めることができる。熱間等方圧加圧、熱間押出、あるいは他の加圧による手法でガラスを融合させることも本発明の範囲内である。
【0024】
熱処理については、ガラスを熱処理してガラス−セラミックを得るための従来技術において周知の方法をはじめとする多様な方法のうち、どれを用いて実現することも可能である。たとえば、抵抗加熱炉、誘導加熱炉またはガス加熱炉などを用いてバッチで熱処理を施すことが可能である。あるいは、たとえば回転炉などを用いて連続的に熱処理を施すことも可能である。回転炉の場合、高温で稼動させた炉に材料を直接供給する。高温での時間については、数秒(いくつかの実施形態では5秒未満)から数分ないしは数時間の範囲とすることができる。温度は900℃から1600℃のどの範囲でもよく、一般に1200℃から1500℃である。熱処理の一部(核生成ステップなど)をバッチで行い、残り(結晶成長ステップ、さらには所望の密度を達成するときなど)を連続的に行うことも本発明の範囲内である。核生成ステップでは、温度は一般に約900℃から約1100℃の範囲であり、いくつかの実施形態では、好ましくは約925℃から約1050℃の範囲である。同様に、密度ステップでは、温度は一般に約1100℃から約1600℃の範囲であり、いくつかの実施形態では、好ましくは約1200℃から約1500℃の範囲である。この熱処理は、たとえば、高温で炉に材料を直接供給して行い得るものである。あるいは、たとえばずっと低い温度(室温など)で炉に材料を供給した後、これをあらかじめ定められた加熱速度で所望の温度まで加熱してもよい。空気以外の雰囲気中で熱処理を施すことは本発明の範囲内である。場合によっては、減圧雰囲気下で熱処理を行うと望ましいことすらあろう。また、たとえば熱間等方圧加圧やガス加圧炉の場合のようにガス加圧下で熱処理を行うと望ましいことがある。
【0025】
Al23、BaO、CaO、希土類酸化物(CeO2、DY23、Er23、Eu23、Gd23、Ho23、La23、Lu23、Nd23、Pr611、Sm23、Th47、Tm23、Yb23ならびにこれらの組み合わせなど)、TiO2、ZrO2など、金属酸化物の商業ソースをはじめとするソースが従来技術において周知である。たとえば、(理論酸化物基準で)Al23のソースには、ボーキサイト(天然産のボーキサイトと合成製造されるボーキサイトの両方を含む)、焼成ボーキサイト、水和アルミナ(ベーム石およびギブス石など)、アルミニウム、バイヤー法で製造されるアルミナ、アルミニウム鉱石、γアルミナ、αアルミナ、アルミニウム塩、硝酸アルミニウム、これらの組み合わせがある。Al23のソースは、Al23を含有するものであってもよいし、これを提供するだけのものであってもよい。あるいは、Al23のソースは、Al23ならびにAl23以外の1以上の金属酸化物(複合Al23・金属酸化物の材料またはこれを含有する材料(Dy3Al512、Y3Al512、CeAl1118など)を含む)を含有するものであってもよいし、これを提供するものであってもよい。
【0026】
希土類酸化物の商業ソースをはじめとするソースには、希土類酸化物粉末、希土類金属、希土類含有鉱石(バストネス石およびモナズ石など)、希土類塩、希土類硝酸塩、希土類炭酸塩がある。希土類酸化物のソースは、希土類酸化物を含有するものであってもよいし、これを提供するだけのものであってもよい。あるいは、希土類酸化物のソースは、希土類酸化物ならびに希土類酸化物以外の1以上の金属酸化物(複合希土類酸化物・他の金属酸化物の材料またはこれを含有する材料(Dy3Al512、CeAl1118など)を含む)を含有するものであってもよいし、これを提供するものであってもよい。
【0027】
(理論酸化物基準で)ZrO2の商業ソースをはじめとするソースには、酸化ジルコニウム粉末、ジルコンサンド、ジルコニウム、ジルコニウム含有鉱石、ジルコニウム塩(炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、これらの組み合わせなど)がある。上記に加え、あるいはその代わりに、ZrO2のソースは、ZrO2ならびにハフニアなどの他の金属酸化物を含有するものであってもよいし、これを提供するものであってもよい。(理論酸化物基準で)HfO2の商業ソースをはじめとするソースには、酸化ハフニウム粉末、ハフニウム、ハフニウム含有鉱石、ハフニウム塩がある。上記に加え、あるいはその代わりに、HfO2のソースは、HfO2ならびにZrO2などの他の金属酸化物を含有するものであってもよいし、これを提供するものであってもよい。
【0028】
BaOの商業ソースをはじめとするソースには、酸化バリウム粉末、バリウム含有鉱物、バリウム塩、硝酸バリウム、炭酸バリウムがある。酸化バリウムのソースは、酸化バリウムを含有するものであってもよいし、これを提供するだけのものであってもよい。あるいは、酸化バリウムのソースは、酸化バリウムならびに酸化バリウム以外の1以上の金属酸化物(複合酸化バリウム・他の金属酸化物の材料またはこれを含有する材料を含む)を含有するものであってもよいし、これを提供するものであってもよい。
【0029】
CaOの商業ソースをはじめとするソースには、酸化カルシウム粉末およびカルシウム含有鉱物がある。酸化カルシウムのソースは、酸化カルシウムを含有するものであってもよいし、これを提供するだけのものであってもよい。あるいは、酸化カルシウムのソースは、酸化カルシウムならびに酸化カルシウム以外の1以上の金属酸化物(複合酸化カルシウム・他の金属酸化物の材料またはこれを含有する材料を含む)を含有するものであってもよいし、これを提供するものであってもよい。
【0030】
希土類酸化物の商業ソースをはじめとするソースには、希土類酸化物粉末、希土類金属、希土類含有鉱石(バストネス石およびモナズ石など)、希土類塩、希土類硝酸塩、希土類炭酸塩がある。希土類酸化物のソースは、希土類酸化物を含有するものであってもよいし、これを提供するだけのものであってもよい。あるいは、希土類酸化物のソースは、希土類酸化物ならびに希土類酸化物以外の1以上の金属酸化物(複合希土類酸化物・他の金属酸化物の材料またはこれを含有する材料(Dy3Al512、CeAl1118など)を含む)を含有するものであってもよいし、これを提供するものであってもよい。
【0031】
SiO2の商業ソースをはじめとするソースには、シリカ粉末、シリコンメタル、ケイ素含有鉱物がある。酸化ケイ素のソースは、酸化ケイ素を含有するものであってもよいし、これを提供するだけのものであってもよい。あるいは、酸化ケイ素のソースは、酸化ケイ素ならびに酸化ケイ素以外の1以上の金属酸化物(複合酸化ケイ素・他の金属酸化物の材料またはこれを含有する材料を含む)を含有するものであってもよいし、これを提供するものであってもよい。
【0032】
SrOの商業ソースをはじめとするソースには、酸化ストロンチウム粉末、炭酸ストロンチウム、ストロンチウム含有鉱物がある。酸化ストロンチウムのソースは、酸化ストロンチウムを含有するものであってもよいし、これを提供するだけのものであってもよい。あるいは、酸化ストロンチウムのソースは、酸化ストロンチウムならびに酸化ストロンチウム以外の1以上の金属酸化物(複合酸化ストロンチウム・他の金属酸化物の材料またはこれを含有する材料を含む)を含有するものであってもよいし、これを提供するものであってもよい。
【0033】
TiO2の商業ソースをはじめとするソースには、酸化チタン粉末、チタンメタル、チタン含有鉱物がある。酸化チタンのソースは、酸化チタンを含有するものであってもよいし、これを提供するだけのものであってもよい。あるいは、酸化チタンのソースは、酸化チタンならびに酸化チタン以外の1以上の金属酸化物(複合酸化チタン・他の金属酸化物の材料またはこれを含有する材料を含む)を含有するものであってもよいし、これを提供するものであってもよい。
【0034】
(理論酸化物基準で)ZrO2の商業ソースをはじめとするソースには、酸化ジルコニウム粉末、ジルコンサンド、ジルコニウム、ジルコニウム含有鉱石、ジルコニウム塩(炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、これらの組み合わせなど)がある。上記に加え、あるいはその代わりに、ZrO2のソースは、ZrO2ならびにハフニアなどの他の金属酸化物を含有するものであってもよいし、これを提供するものであってもよい。(理論酸化物基準で)HfO2の商業ソースをはじめとするソースには、酸化ハフニウム粉末、ハフニウム、ハフニウム含有鉱石、ハフニウム塩がある。上記に加え、あるいはその代わりに、HfO2のソースは、HfO2ならびにZrO2などの他の金属酸化物を含有するものであってもよいし、これを提供するものであってもよい。
【0035】
任意に、本発明によるセラミックは、一般組成に必要なもの以外に別の金属酸化物をさらに含む。特定の金属酸化物を加えることで、本発明により製造されるセラミックの特性および/または結晶構造またはマイクロ構造ならびに、セラミック製造時の原料および中間体の処理が変わる場合がある。たとえば、MgO、CaO、Li2O、Na2Oなどの酸化物を添加すると、ガラスのTgとTxの両方が変化することが観察されている。理論に拘泥されるつもりはないが、このような添加によってガラスの生成に影響がおよぶものと考えられる。さらに、たとえば、このような酸化物を添加することで、系全体の溶融温度が下がり(すなわち系がより低めの温度で溶融する共晶になり)、ガラスの生成が容易になる場合もある。多成分系(四元など)の複合共晶ではガラス生成能が高まることがある。また、一般組成に必要なもの以外の金属酸化物を添加すると、「動作」範囲での溶湯液(liquid melt)の粘度とガラスの粘度に影響がおよぶこともある。
【0036】
場合によっては、Na2O、P25、SiO2、TeO2、V23およびこれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物を限られた量で取り入れると好ましいことがある。商業ソースをはじめとするソースには、酸化物自体、複合酸化物、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物などがある。これらの金属酸化物は、たとえば、得られる研磨粒子の物性を変化させるおよび/または処理を改善する目的で添加できるものである。これらの金属酸化物を使用する場合、たとえば所望の特性などに応じて、ガラス−セラミックの0から20重量%を上回る量、好ましくは0から5重量%を上回る量、一層好ましくは0から2重量%を上回る量で添加されるのが普通である。
【0037】
さらに、本発明を実施するのに必要なガラスと併用できる他のガラス組成物には、入手元を含めて従来技術において周知の従来のガラスが含まれる。
【0038】
失透してガラス−セラミックを形成するガラスでは、一般組成に必要なもの以外の材料を添加することで結晶化に影響をおよぼすことができる場合がある。たとえば、特定の金属、金属酸化物(チタン酸塩およびジルコン酸塩など)、フッ化物などが、核生成剤として作用し、好都合に不均一な結晶核生成が得られる場合がある。また、酸化物を添加することで、再加熱時にガラスから失透する準安定相の性質が変わる場合もある。もうひとつの態様では、結晶ZrO2を含む本発明によるセラミックで、ZrO2の正方晶/立方晶の形態を安定させることが知られている金属酸化物(Y23、TiO2、CaO、MgOなど)を加えると望ましいことがある。
【0039】
任意の金属酸化物(すなわち一般組成に必要なもの以外の金属酸化物)の一例には、理論酸化物基準で、Al23、BaO、CaO、Cr23、CoO、Fe23、GeO2、HfO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na2O、P25、希土類酸化物、Sc23、SiO2、SrO、TeO2、TiO2、V23、Y23、ZnO、ZrO2、これらの組み合わせをあげることができる。商業ソースをはじめとするソースには、酸化物自体、複合酸化物、鉱物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物などがある。さらに、たとえばY23に関してみると、(理論酸化物基準で)Y23の商業ソースをはじめとするソースには、酸化イットリウム粉末、イットリウム、イットリウム含有鉱石、イットリウム塩(炭酸イットリウム、硝酸イットリウム、塩化イットリウム、水酸化イットリウム、これらの組み合わせなど)がある。Y23のソースは、Y23を含有するものであってもよいし、これを提供するだけのものであってもよい。あるいは、Y23のソースは、Y23ならびにY23以外の1以上の金属酸化物(複合Y23・金属酸化物の材料またはこれを含有する材料(Y3Al512など)を含む)を含有するものであってもよいし、これを提供するものであってもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、酸化物形成のエンタルピーが負である金属(Al、Ca、Cu、Cr、Fe、Li、Mg、Ni、Ag、Ti、Zr、これらの組み合わせ)Mまたはその合金のうちの少なくとも1種を含む微粒子状の金属材料を溶湯に加えることで、金属酸化物源の少なくとも一部分(いくつかの実施形態では、好ましくは10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90あるいは実に少なくとも95重量パーセント)を得るか、そうでなければこれらに他の原料で金属を付けるようにすると都合がよいことがある。理論に拘泥されるつもりはないが、金属の酸化に伴う発熱反応で生じる熱が、均質な溶湯ならびにこれによって得られる非晶質材料の生成に有利な形で作用すると考えられる。たとえば、酸化反応によって原料内にさらに熱が生成されると、不十分な熱の移動がなくなるか低減されるため、特にx方向、y方向、z方向が150マイクロメートルを超える非晶質粒子の形成時に溶湯の形成と均質化が容易になる。また、こうして生成された熱を利用できると、さまざまな化学反応や物理的プロセス(高密度化や球状化など)を促進して完了させやすくなると考えられる。さらに、実施形態によっては、酸化反応によって生成される熱を利用することで、こうした熱がなければ困難であるか、そうでなければ材料の融点が高く非現実的であった溶湯の生成を実現することが可能になると考えられる。さらに、酸化反応によって生成される熱を利用することで、こうした熱がなければ製造が不可能であるか、あるいは所望のサイズ範囲での製造が不可能であった非晶質材料の製造を実現することができる。本発明のもうひとつの利点として、非晶質材料の製造時、溶融、高密度化、球状化などの物理的プロセスおよび化学的プロセスの多くを短時間で行うことができるため、極めて高い急冷速度を実現できることがあげられる。
【0041】
本発明によるセラミックを製造するための金属酸化物源および他の添加剤にそれぞれ何を選択するかについては、得られるセラミックの所望の組成物およびマイクロ構造、所望の結晶度、該当する場合、得られるセラミックの所望の物性(硬度または靭性など)、望ましくない不純物の混入を回避または最小限に抑えること、得られるセラミックの所望の特徴および/またはセラミックの調製に使用する個々のプロセス(融解および/または固化の前および/または間の設備および原料の精製)を考慮して決められるのが一般的である。
【0042】
金属酸化物のソースならびに他の添加剤は、本発明に使用するプロセスおよび設備に適していれば、どのような形態のものであってもよい。原料については、酸化物ガラスおよび非晶質金属の製造技術分野において周知の手法と設備とを利用して溶融および急冷することができる。望ましい冷却速度としては、50K/s以上があげられる。従来技術において周知の冷却の手法として、ロールチルがある。ロールチルは、たとえば、金属酸化物源を一般に融点よりも20〜200℃高い温度で溶融し、溶湯を高圧(空気、アルゴン、窒素などのガスを使用するなど)下で高速回転ロールに噴霧して冷却/急冷する形で実施できる。一般に、これらのロールは金属製であり、水を使った冷却が行われる。溶湯の冷却/急冷には、金属のブックモールドが役立つこともある。
【0043】
溶湯を生成する、溶湯を冷却/急冷するおよび/または上記以外であればガラスを形成するための他の手法として、気相急冷、プラズマスプレー、溶湯吸上げ、ガスアトマイズまたは遠心アトマイズがあげられる。気相急冷は、たとえば、金属合金または金属酸化物源をスパッタリングターゲットに形成してこれを使用するスパッタリングによって実施可能である。この場合、スパッタリング装置内のあらかじめ定めた位置にターゲットを固定し、被覆対象となる支持体をターゲットと向かい合わせに配置する。酸素ガスおよびArガス10-3トールの一般的な圧力、ターゲットと支持体との間に放電が生じ、Arイオンまたは酸素イオンがターゲットに衝突して反応スパッタリングが開始されるため、この組成物が支持体上に成膜される。
【0044】
ガスアトマイズでは、フィード粒子を溶融してこれを溶湯に変える必要がある。このような溶湯を粉砕用の空気のジェット流と接触させて溶湯流を噴霧化する(すなわち溶湯流を飛散させて細かい液滴にする)。このようにして得られる、実質的に独立した、通常は楕円形であるガラス粒子を回収する。溶湯吸上げについては、たとえば、米国特許第5,605,870号(ストロム−オルセン(Strom−Olsen)ら)(特許文献2)に記載されているようにして実施できる。たとえば2001年4月4日に国際公開第01/27046 A1号(特許文献3)で公開されたPCT出願に開示されているようなレーザ光加熱を利用したガラスの無容器製造法が、本発明によるガラスの製造に役立つこともある。
【0045】
冷却速度は急冷後の非晶質材料の特性に影響すると思われる。たとえば、ガラス転移点、密度ならびにガラスの持つ他の特性は一般に、冷却速度次第で変化する。
【0046】
冷却時に所望の酸化状態などを維持するおよび/またはこれに影響をおよぼすための還元環境、中性環境、あるいは酸化環境などの制御された雰囲気下で急速な冷却を行うこともできる。この雰囲気は、過冷却液体からの結晶化動力学に影響をおよぼすことでガラスの形成に影響し得るものである。たとえば、空気中での場合に比してアルゴン雰囲気中での方が結晶化せずにAl23溶湯の過冷却が大きくなることが報告されている。
【0047】
粒子の製造に関して、たとえば、得られるセラミック(ガラスまたはガラス含有セラミックなどが所望のサイズよりも大きくなることがある。セラミックを、ロールクラッシャーでの破砕、カナリアミル粉砕(canary milling)、ジョークラッシャーでの破砕、ハンマーミル粉砕、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕、インパクトクラッシャーでの破砕をはじめとする、従来技術において周知の破砕法および/または細砕法で、小さな細片にすることが可能であり、一般にこれが行われている。場合によっては、破砕ステップを2段階以上にすると望ましい。たとえば、セラミックを形成した(凝固させた)後では、必要以上に大きな形になる場合がある。第1の破砕ステップでは、これらの比較的大きな塊状物すなわち「チャンク」を破砕して小さな細片にする必要がある。このようなチャンクを破砕するには、ハンマーミル、インパクトクラッシャー、あるいはジョークラッシャーを使用すればよい。その後、これらの小さくした細片を、所望の粒度分布が得られるようにさらに破砕しても構わない。所望の粒度分布(グリットサイズまたはグレードと呼ばれることもある)を得るには、複数の破砕ステップを経なければならないこともある。通常、破砕条件を最適化して所望の粒子形状や粒度分布が得られるようにしている。
【0048】
粒子の形状は、ガラスの組成、ガラス冷却時の幾何学的形状、粒子を破砕によって生成した場合はガラスの破砕方法(すなわち使用する破砕法)などに左右されることがある。
【0049】
ガラスを含む本発明による特定の物品を熱処理し、ガラスを増やすまたは少なくとも部分的に結晶化(ガラスの結晶化を含む)してガラス−セラミックを提供する。特定のガラスを熱処理してガラス−セラミックを形成することは従来技術において周知である。ガラス−セラミックでの核生成と結晶成長のための加熱条件が、さまざまなガラスについて周知である。あるいは、当業者であれば従来技術において周知の手法を使用してガラスの時間温度変態図(TTT)を検討してしかるべき条件を求めることができる。当業者は、本発明の開示内容を読めば、本発明によるガラスのTTT曲線を描き、しかるべき核生成条件および/または結晶成長条件を求め、本発明による結晶質セラミック、ガラス−セラミック、ガラス含有セラミックを得ることができよう。
【0050】
一般に、ガラス−セラミックはその原料となるガラスよりも強い。このため、たとえばガラスを結晶質セラミック相に変換する度合いなどによって材料の強度を調節してもよい。上記の代わりに、あるいは上記に加えて、作り出す核生成サイトの数によって材料の強度を変え、これを利用して結晶相をなす結晶の数、さらにはサイズを変えることもできる。ガラス−セラミックに関するさらに詳しい説明については、たとえばGlass−Ceramics、ピー・ダブリュ・マクミラン(P.W.McMillan)著、アカデミック・プレス・インコーポレイテッド(Academic Press,Inc.)、第2版、1979年を参照のこと。
【0051】
たとえば、Al23と、La23と、ZrO2とを含むガラスなどのガラスの熱処理時、La2Zr27や、ZrO2が含まれる場合は立方晶/正方晶ZrO2、場合によっては単斜晶ZrO2の相の形成が、約900℃よりも高い温度で観察されている。理論に拘泥されるつもりはないが、ジルコニア関連の相がガラスから核生成される最初の相ではないかと思われる。たとえば、Al23、ReAlO3(式中、Reは少なくとも1種の希土類カチオンである)、ReAl1118、Re3Al512、Y3Al512などについて、約925℃よりも高い温度で相が発生するのが普通であると考えられる。この核生成ステップでの晶子のサイズはナノメートル台になることがある。たとえば、10〜15ナノメートルと小さい結晶が観察されている。熱処理温度が高くなれば、晶子の成長が起こって結晶化が促進されるのが一般的である。少なくともいくつかの実施形態については、完全な結晶化状態を得るには約1300℃にて約1時間の熱処理を行う。
【0052】
本発明により製造される特定のセラミック物品は、セラミックの金属酸化物の総重量に対して、SiO2を20重量%未満(あるいは実にSiO2を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、B23を20重量%未満(あるいは実にB23を15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)と、P25を40重量%未満(あるいは実にP25を35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、あるいは実に0重量パーセント)とを含有する。
【0053】
材料のマイクロ構造または相組成(ガラス質/非晶質/結晶質)を判断するには、数多くの方法を利用することが可能である。光学顕微鏡法、電子顕微鏡法、示差熱分析(DTA)法、X線回折(XRD)法などを利用して、さまざまな情報を取得することができる。
【0054】
光学顕微鏡法を用いると、非晶質材料は一般に結晶境界などの光散乱中心が存在しないため大部分が透明であるのに対し、結晶材料には結晶構造が認められ、光散乱効果によって不透明になる。
【0055】
DTAを使用して、材料の対応するDTAのトレース記録に発熱を伴う結晶化イベント(Tx)がある場合に、その材料を非晶質に分類する。同じトレース記録にTxよりも低い温度で発熱を伴う他のイベント(Tg)がある場合、これをガラス相からなるものであるとみなす。材料のDTAのトレース記録にこのようなイベントが全く含まれなければ、結晶相を含有するものであるとみなす。
【0056】
示差熱分析(DTA)については以下の方法で実施できる。メッシュサイズが−140+170の画分(すなわち篩の目開きサイズ105マイクロメートルから目開きサイズ90マイクロメートルで回収される画分)を使用して、(ドイツのゼルブ(Selb)にあるネッツシュ・インスツルメンツ(Netzsch Instruments)から商品名「ネッツシュ・エスティエー(NETZSCH STA) 409 DTA/TGA」で入手できるものなどの機器で)DTAを行うことができる。篩い分けた試料をそれぞれ一定量(一般に約400ミリグラム(mg))で100マイクロリットルのAl23サンプルホルダに取り付ける。各試料を静空気中にて10℃/分の速度で室温(約25℃)から1100℃まで加熱する。
【0057】
粉末X線回折すなわちXRDを使用して、(ニュージャージー州マーワー(Mahwah)にあるフィリップス(Phillips)から商品名「フィリップスエックスアールジー(PHILLIPS XRG)3100」で入手できるものなどのx線回折装置で、1.54050オングストロームの銅のKα1線を用いて)結晶化材料のXRDトレース記録に現れるピークを国際回折データセンター(International Center for Diffraction Data)が公開しているJCPDS(粉末回折標準委員会(Joint Committee on Powder Diffraction Standards))のデータベースに収録された結晶相のXRDパターンと比較することで、材料中の相を求めることができる。さらに、XRDを定性的に使用すれば相のタイプを求めることもできる。強度のピークが広く拡散している場合、その材料は非晶質の性質を持つと考えられる。広いピークと明確に定まるピークの両方がある場合は、非晶質のマトリクス中に結晶質の物質が混入しているものと考えられる。最初に形成される非晶質材料またはセラミック(結晶化前のガラスを含む)のサイズが所望のサイズよりも大きいことがある。こうした非晶質材料またはセラミックを、ロールクラッシャーでの破砕、カナリアミル粉砕(canary milling)、ジョークラッシャーでの破砕、ハンマーミル粉砕、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕、インパクトクラッシャーでの破砕をはじめとする、従来技術において周知の破砕法および/または細砕法で、小さな細片にすることが可能である。場合によっては、破砕ステップを2段階以上にすると望ましい。たとえば、セラミックを形成した(凝固させた)後では、必要以上に大きな形になる場合がある。第1の破砕ステップでは、これらの比較的大きな塊状物すなわち「チャンク」を破砕して小さな細片にする必要がある。このようなチャンクを破砕するには、ハンマーミル、インパクトクラッシャー、あるいはジョークラッシャーを使用すればよい。その後、これらの小さくした細片を、所望の粒度分布が得られるようにさらに破砕しても構わない。所望の粒度分布(グリットサイズまたはグレードと呼ばれることもある)を得るには、複数の破砕ステップを経なければならないこともある。通常、破砕条件を最適化して所望の粒子形状や粒度分布が得られるようにしている。こうして得られる所望サイズの粒子が大きすぎる場合はこれを再破砕すればよいし、小さすぎる場合は「再利用」して再溶融用の原料として活用することができる。
【0058】
粒子の形状は、セラミックの組成および/またはマイクロ構造、セラミック冷却時の幾何学的形状、セラミックの破砕方法(すなわち使用する破砕法)などに左右されることがある。通常、「ごつごつした」形状が好ましい場合は、この形状を得るにはより大きなエネルギーが必要になるであろう。逆に、「鋭利な」形状が好ましい場合、この形状を得るにはより小さなエネルギーしか必要としないであろう。あるいは、破砕法を変更して異なる所望の形状を実現してもよい。粒子によっては、一般に平均アスペクト比が1:1から5:1の範囲にあると望ましく、いくつかの実施形態では、1.25:1から3:1、あるいは実に1.5:1から2.5:1であると望ましい。
【0059】
本発明により製造されるセラミック物品(ガラス−セラミックも入る)は、平均サイズが1マイクロメートル未満の晶子を、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントの量で含み得るものである。もうひとつの態様では、本発明により製造されるセラミック物品(ガラス−セラミックも入る)は、平均サイズが0.5マイクロメートル未満の晶子を、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセント未満の量で含み得るものである。もうひとつの態様では、本発明によるセラミック(ガラス−セラミックも入る)は、平均サイズが0.3マイクロメートル未満の晶子を、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセント未満の量で含む。もうひとつの態様では、本発明により製造されるセラミック物品(ガラス−セラミックも入る)は、平均サイズが0.15マイクロメートル未満の晶子を、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセント未満の量で含み得る。もうひとつの態様では、本発明により製造されるセラミック物品(ガラス−セラミックも入る)は、共晶マイクロ構造の特徴を持たない(すなわち、コロニーおよび薄層構造を持たない)か、非多孔性マイクロ構造を持たないかの少なくとも一方であればよい。
【0060】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定のセラミック物品は、たとえば、ガラスを少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、あるいは実に100容量パーセントの量で含み得る。もうひとつの態様では、本発明により製造される特定のセラミック物品は、たとえば、結晶質セラミックを、100容量パーセントまたは少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントの量で含み得る。
【0061】
本発明により製造される特定の物品は、CaOとAl23とを含むガラスであって、このガラスの総重量に対して、ガラスの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、CaOとAl23とを合わせて構成されるガラスを含む。
【0062】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラスを含有(ガラスが少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、このガラスがCaOとAl23を含み、ガラスの総重量に対して、ガラスの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、CaOとAl23とを合わせて構成される、ガラス含有セラミックを提供するものである。
【0063】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラス−セラミックの総重量に対して、ガラス−セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、CaOとAl23とを合わせて構成される、CaOとAl23とを含むガラス−セラミックを提供するものである。このガラス−セラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95容量パーセントの量で含み得る。このガラス−セラミックは、たとえば、結晶質セラミックを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5容量パーセントの量で含み得る。
【0064】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、結晶質セラミックが含み、結晶質セラミックの総重量に対して、結晶質セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、CaOとAl23とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0065】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、セラミックがCaOとAl23とを含み、セラミックの総重量に対して、セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、CaOとAl23とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0066】
本発明により製造される特定の物品は、CaOとAl23とZrO2とを含むガラスであって、このガラスの総重量に対して、ガラスの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、CaOとAl23とZrO2とを合わせて構成されるガラスを含む。
【0067】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラスを含有(ガラスが少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、このガラスがCaOとAl23とZrO2とを含み、ガラスの総重量に対して、ガラスの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、CaOとAl23とZrO2とを合わせて構成される、ガラス含有セラミックを提供するものである。
【0068】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラス−セラミックの総重量に対して、ガラス−セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、CaOとAl23とZrO2とを合わせて構成される、CaOとAl23とZrO2とを含むガラス−セラミックを提供するものである。このガラス−セラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95容量パーセントの量で含み得る。このガラス−セラミックは、たとえば、結晶質セラミックを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5容量パーセントの量で含み得る。
【0069】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、結晶質セラミックが含み、結晶質セラミックの総重量に対して、結晶質セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、CaOとAl23とZrO2とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0070】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、セラミックがCaOとAl23とZrO2とを含み、セラミックの総重量に対して、セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、CaOとAl23とZrO2とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0071】
本発明により製造される特定の物品は、BaOとTiO2とを含むガラスであって、このガラスの総重量に対して、ガラスの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、BaOとTiO2とを合わせて構成されるガラスを含む。
【0072】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラスを含有(ガラスが少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、このガラスがBaOとTiO2とを含み、ガラスの総重量に対して、ガラスの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、BaOとTiO2とを合わせて構成される、ガラス含有セラミックを提供するものである。
【0073】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラス−セラミックの総重量に対して、ガラス−セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、BaOとTiO2とを合わせて構成される、BaOとTiO2とを含むガラス−セラミックを提供するものである。このガラス−セラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95容量パーセントの量で含み得る。このガラス−セラミックは、たとえば、結晶質セラミックを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5容量パーセントの量で含み得る。
【0074】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、結晶質セラミックが含み、結晶質セラミックの総重量に対して、結晶質セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、BaOとTiO2とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0075】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、セラミックがBaOとTiO2とを含み、セラミックの総重量に対して、セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、BaOとTiO2とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0076】
本発明により製造される特定の物品は、La23とTiO2とを含むガラスであって、このガラスの総重量に対して、ガラスの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、La23とTiO2とを合わせて構成されるガラスを含む。
【0077】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラスを含有(ガラスが少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、このガラスがLa23とTiO2とを含み、ガラスの総重量に対して、ガラスの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、La23とTiO2とを合わせて構成される、ガラス含有セラミックを提供するものである。
【0078】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラス−セラミックの総重量に対して、ガラス−セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、La23とTiO2とを合わせて構成される、La23とTiO2とを含むガラス−セラミックを提供するものである。このガラス−セラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95容量パーセントの量で含み得る。このガラス−セラミックは、たとえば、結晶質セラミックを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5容量パーセントの量で含み得る。
【0079】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、結晶質セラミックが含み、結晶質セラミックの総重量に対して、結晶質セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、La23とTiO2とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0080】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、セラミックがLa23とTiO2とを含み、セラミックの総重量に対して、セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、La23とTiO2とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0081】
本発明により製造される特定の物品は、REOとAl23とを含むガラスであって、このガラスの総重量に対して、ガラスの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とを合わせて構成されるガラスを含む。
【0082】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラスを含有(ガラスが少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、このガラスがREOとAl23とを含み、ガラスの総重量に対して、ガラスの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とを合わせて構成される、ガラス含有セラミックを提供するものである。
【0083】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラス−セラミックの総重量に対して、ガラス−セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とを合わせて構成される、REOとAl23とを含むガラス−セラミックを提供するものである。このガラス−セラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95容量パーセントの量で含み得る。このガラス−セラミックは、たとえば、結晶質セラミックを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5容量パーセントの量で含み得る。
【0084】
もうひとつの態様では、本発明は、たとえば、ガラス−セラミックが、平均晶子サイズが1マイクロメートル未満(一般に、500ナノメートル未満、さらには300、200、または150ナノメートル未満であり、いくつかの実施形態では、100、75、50、25、または20ナノメートル未満)の晶子を含むマイクロ構造を示し、共晶マイクロ構造の特徴を持たないか、非多孔性マイクロ構造を持たないかの少なくとも一方である、REOとAl23とを含むガラス−セラミックを提供するものである。このガラス−セラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95容量パーセントの量で含み得る。このガラス−セラミックは、たとえば、結晶質セラミックを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5容量パーセントの量で含み得る。
【0085】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、結晶質セラミックが含み、結晶質セラミックの総重量に対して、結晶質セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0086】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、セラミックがREOとAl23とを含み、セラミックの総重量に対して、セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0087】
本発明により製造される特定の物品は、REOとAl23とを含むガラスであって、このガラスの総重量に対して、ガラスの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とを合わせて構成されるガラスを含む。
【0088】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラスを含有(ガラスが少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、このガラスがREOとAl23とZrO2とを含み、ガラスの総重量に対して、ガラスの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とZrO2とを合わせて構成される、ガラス含有セラミックを提供するものである。
【0089】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラス−セラミックの総重量に対して、ガラス−セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とZrO2とを合わせて構成される、REOとAl23とZrO2とを含むガラス−セラミックを提供するものである。このガラス−セラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95容量パーセントの量で含み得る。このガラス−セラミックは、たとえば、結晶質セラミックを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5容量パーセントの量で含み得る。
【0090】
もうひとつの態様では、本発明は、たとえば、ガラス−セラミックが、(a)平均晶子サイズが1マイクロメートル未満(一般に、500ナノメートル未満、さらには300、200、または150ナノメートル未満であり、いくつかの実施形態では、100、75、50、25、または20ナノメートル未満)の晶子を含むマイクロ構造を示し、(b)共晶マイクロ構造の特徴を持たないか、非多孔性マイクロ構造を持たないかの少なくとも一方である、REOとAl23とZrO2とを含むガラス−セラミックを提供するものである。このガラス−セラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95容量パーセントの量で含み得る。このガラス−セラミックは、たとえば、結晶質セラミックを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5容量パーセントの量で含み得る。
【0091】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、結晶質セラミックが含み、結晶質セラミックの総重量に対して、結晶質セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とZrO2とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0092】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、セラミックがREOとAl23とZrO2とを含み、セラミックの総重量に対して、セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とZrO2とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0093】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラスを含有(ガラスが少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、このガラスがREOとAl23とZrO2とSiO2とを含み、ガラスの総重量に対して、ガラスの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とZrO2とを合わせて構成される、ガラス含有セラミックを提供するものである。
【0094】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、ガラス−セラミックの総重量に対して、ガラス−セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とZrO2とを合わせて構成される、REOとAl23とZrO2とSiO2とを含むガラス−セラミックを提供するものである。このガラス−セラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95容量パーセントの量で含み得る。このガラス−セラミックは、たとえば、結晶質セラミックを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5容量パーセントの量で含み得る。
【0095】
もうひとつの態様では、本発明は、たとえば、ガラス−セラミックが、(a)平均晶子サイズが1マイクロメートル未満(一般に、500ナノメートル未満、さらには300、200、または150ナノメートル未満であり、いくつかの実施形態では、100、75、50、25、または20ナノメートル未満)の晶子を含むマイクロ構造を示し、(b)共晶マイクロ構造の特徴を持たないか、非多孔性マイクロ構造を持たないかの少なくとも一方である、REOとAl23とZrO2とSiO2とを含むガラス−セラミックを提供するものである。このガラス−セラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95容量パーセントの量で含み得る。このガラス−セラミックは、たとえば、結晶質セラミックを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5容量パーセントの量で含み得る。
【0096】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、結晶質セラミックが含み、結晶質セラミックの総重量に対して、結晶質セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とZrO2とSiO2とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0097】
もうひとつの態様では、本発明により製造される特定の物品は、結晶質セラミックを含有(結晶質セラミックが少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、あるいは実に100容量パーセントなど)し、セラミックがREOとAl23とZrO2とを含み、セラミックの総重量に対して、セラミックの少なくとも80(85、90、95、97、98、99、あるいは実に100)重量パーセントが、REOとAl23とZrO2とSiO2とを合わせて構成されるセラミックを提供するものである。このセラミックは、たとえば、ガラスを少なくとも99、98、97、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3、2、または1容量パーセントの量で含み得る。
【0098】
本発明によるセラミックに含有させることのできる結晶相としては、アルミナ(αアルミナおよび遷移アルミナなど)、BaO、CaO、Cr23、CoO、Fe23、GeO2、HfO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na2O、P25、REO、Sc23、SiO2、SrO、TeO2、TiO2、V23、Y23、ZnO、ZrO2、「複合金属酸化物」(「複合Al23・金属酸化物(複合Al23・REOなど)を含む)ならびにこれらの組み合わせがあげられる。
【0099】
Al23と、REOまたはY23のうちの少なくとも一方と、ZrO2またはHfO2のうちの少なくとも一方とを含むセラミックに関する詳しい説明については、その製造、用途、特性を含めて、2001年8月2日出願の米国特許出願第09/922,527号、同第09/922,528号、同第09/922,530号に記載がある。
【0100】
一般に、および望ましくは、本発明によるセラミックの比重とも呼ばれることがある(真)密度は一般に、理論密度の少なくとも70%である。より望ましくは、本発明によるセラミックの(真)密度は、理論密度の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、あるいは実に100%である。
【0101】
本発明による物品の一例として、台所用品(皿を含む)、歯科用ブラケット、強化繊維、切削工具用インサート、研磨材材料、ガスエンジンの構造用部品(バルブやベアリングなど)があげられる。他の物品としては、本体または他の支持体の外面にセラミックの保護コーティングを有するものがあげられる。さらに、たとえば、本発明によるセラミックをマトリクス材料として利用することができる。たとえば、本発明によるセラミックを、ダイヤモンド、立方晶BN、Al23、ZrO2、Si34、SiCといったセラミック材料などに用いるバインダーとして利用することができる。このような材料を含む有用な物品の一例として、複合材料支持体コーティング、切削工具用インサート研磨凝集体、ビトリファイド砥石などの固定砥粒研磨物品があげられる。本発明によるセラミックの用途は、バインダーとして使用でき、たとえば、複合材料物品のモジュラス、耐熱性、耐摩耗性および/または強度を高められることがある。
【0102】
以下、実施例を参照して本発明の利点と実施形態とについてさらに説明するが、これらの実施例に記載の個々の材料およびその量ならびに他の条件や詳細については、本発明を不当に限定するものと解釈すべきではない。特に明記しない限り、部およびパーセントはいずれも重量基準である。また、特に明記しない限り、どの実施例でも有意な量のSiO2、B23、P25、GeO2、TeO2、As23、V25は含有させなかった。
【実施例】
【0103】
実施例1
アルミナ粒子(アリゾナ州トゥーソン(Tucson)のコンディア・ヴィスタ(Condea Vista)から商品名「APA−0.5」で入手)27.5グラムと、酸化カルシウム粒子(マサチューセッツ州ウォード・ヒル(Ward Hill)のアルファ・エイサー(Alfa Aesar)から入手)22.5グラムと、イソプロピルアルコール90グラムとをポリエチレンボトルに装入した。粉砕分散用ジルコニアメディア(トーソー・セラミックス(Tosoh Ceramics)、ニュージャージー州バウンド・ブルック支店(Division of Bound Brook)から、商品名「YTZ」で入手)約200グラムをボトルに加え、1分あたり120回転(rpm)で24時間かけて混合物を微粉砕した。微粉砕後、微粉砕メディアを取り除き、ガラス(「パイレックス(登録商標)(PYREX(登録商標))」)皿にスラリーを注いで、ここでヒートガンを用いてスラリーを乾燥させた。乳鉢と乳棒とを使って乾燥混合物を砕き、70メッシュの篩(目開きサイズ212マイクロメートル)で篩い分けした。
【0104】
粉砕と篩い分けの後、粒子の一部を水素/酸素トーチの火炎中に送った。粒子の溶融による溶融ガラスビーズの生成に用いるトーチは、ペンシルバニア州へラータウン(Hellertown)のベツレヘム・アパレイタス・カンパニー(Bethlehem Apparatus Co.)から入手した、水素と酸素とを以下の流量で供給するベツレヘム(Bethlehem)ベンチバーナーPM2DモデルBとした。内側のリングでは、水素流量を1分あたりの標準リットル(SLPM)で8、酸素流量を3SLPMとした。外側のリングでは、水素流量を23(SLPM)、酸素流量を9.8SLPMとした。乾燥させて大きさ別に分けた粒子を直接トーチ火炎の中に送り、ここで粒子を溶融させ、傾斜させたステンレス鋼の表面(幅約51センチメートル(cm)(20インチ)、傾斜角45度)に、冷水をその表面に流しながら(約8リットル/分)移してビーズを作製した。
【0105】
実施例2〜9
原料と使用した原料の量とを以下の表1に示すとおりとし、ジルコニアメディア(トーソー・セラミックス(Tosoh Ceramics)、ニュージャージー州バウンド・ブルック支店(Division of Bound Brook)から、商品名「YTZ」で入手)200グラムを用いて、イソプロピルアルコール90(ミリリットル)ml中にて、120rpmで24時間かけて原料の微粉砕を実施したこと以外は、実施例1で説明したようにして、実施例2〜9のガラスビーズを作製した。使用した原料のソースを以下の表2に示す。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【0108】
実施例1〜9の材料のうちのいくつかの材料のさまざまな特性/特徴を以下のようにして測定した。粉末X線回折(X線回折装置(ニュージャージー州マーワー(Mahwah)にあるフィリップス(PHILLIPS)から商品名「PHILLIPS XRG 3100」で入手)にて、1.54050オングストロームの銅のKα1線を用いる))を使用し、実施例の材料中に存在する相を定性的に測定した。強度のピークが広く拡散している場合、その材料は非晶質の性質を持つと考えた。広いピークと明確に定まるピークの両方がある場合は、非晶質のマトリクス中に結晶質の物質が混入しているものと考えた。さまざまな実施例で検出した相を以下の表3に示す。
【0109】
【表3】

【0110】
示差熱分析(DTA)の目的で、材料を篩い分けてサイズが90〜125マイクロメートルの範囲のガラスビーズを保持した。(ドイツのゼルブ(Selb)にあるネッツシュ・インスツルメンツ(Netzsch Instruments)から商品名「ネッツシュ・エスティエー(NETZSCH STA) 409 DTA/TGA」で入手した機器を使用して)DTAを実施した。100マイクロリットルのAl23サンプルホルダに入れる各篩い分け試料の量を400ミリグラムとした。各試料を静空気中にて10℃/分の速度で室温(約25℃)から1200℃まで加熱した。
【0111】
図1を参照すると、線345で実施例1の材料のDTAデータをプロットしてある。図1の線345を参照すると、この材料では線345の下向きの曲線から明らかなように、799℃前後の温度で発熱イベントが起こった。このイベントは材料のガラス転移(Tg)によるものであると考えられた。約875℃では、線345の鋭利なピークから明らかなように、発熱イベントが観察された。このイベントは材料の結晶化(Tx)によるものであるとであると考えられた。他の実施例のTg値およびTx値については上記の表3にあげてある。
【0112】
図2〜図6はそれぞれ、実施例2、5、6、7、9におけるプロットしたDTAデータである。
【0113】
実施例1〜9の各々について、ガラスビーズ約25グラムをグラファイトダイに入れ、一軸加圧成形装置(商品名「HP−50」で入手、カリフォルニア州ブレア(Brea)のサーマル・テクノロジー・インコーポレイテッド(Thermal Technology Inc.))を用いてホットプレスした。このとき、アルゴン雰囲気中、圧力13.8メガパスカル(MPa)(1平方インチあたり2000ポンド(2ksi))でホットプレスを実施した。上述したホットプレス設備の変位制御ユニット(displacement control unit)によって示される、かなりのガラスフローが発生するホットプレス温度を、実施例1〜9について上記の表3にあげてある。
【0114】
本発明の範囲および趣旨を逸脱することのない本発明のさまざまな改変および変更が当業者には明らかであろうし、本発明は本願明細書に記載の例示的な実施形態に不当に制限されるべきではないことを理解されたい。
以下に、本発明に関連する発明に係る実施態様について列挙する。
[第一の態様]
外面を含む支持体を提供し、
第1のガラス(前記第1のガラスが少なくとも2種類の金属酸化物を含み、前記第1のガラスがTgとTxとを有し、前記第1のガラスのTgとTxとの差が少なくとも5Kであり、前記ガラスが、SiO2を20重量%未満と、B23を20重量%未満と、P25を40重量%未満とを含有する)を少なくとも提供し、
前記ガラスの少なくとも一部分によって前記支持体の外面の少なくとも一部分が濡れるように前記第1のガラスをTgより高い温度で加熱し、
前記ガラスを冷却し、前記支持体の外面の少なくとも一部分に取り付けられたガラスを含有するセラミックを含む物品を提供することを含む、ガラスから物品を製造する方法。
[第二の態様]
gとTxとの差が少なくとも25Kである、第一の態様に記載の方法。
[第三の態様]
前記ガラスがTlを有し、Tg対Tlの比が少なくとも0.5である、第二の態様に記載の方法。
[第四の態様]
前記第1のガラスが、ガラスの総重量に対して、SiO2と、B23と、P25とを合計で40重量パーセント未満の量で含む、第三の態様に記載の方法。
[第五の態様]
前記ガラスがREO−Al23ガラスである、第三の態様に記載の方法。
[第六の態様]
前記ガラスが、該ガラスの総重量に対して、Al23とREOとを合計で少なくとも80重量パーセント含む、第五の態様に記載の方法。
[第七の態様]
前記ガラスがREO−Al23−ZrO2ガラスである、第一の態様に記載の方法。
[第八の態様]
前記ガラスが、該ガラスの総重量に対して、Al23と、REOと、ZrO2とを合計で少なくとも80重量パーセント含む、第七の態様に記載の方法。
[第九の態様]
前記物品がガラスを含み、前記方法が前記ガラスを熱処理してガラス−セラミックを提供することをさらに含む、第一の態様に記載の方法。
[第十の態様]
第九の態様に記載の方法により製造される物品。
[第十一の態様]
gとTxとの差が少なくとも35Kである、第一の態様に記載の方法。
[第十二の態様]
第一の態様に記載の方法により製造される物品。
[第十三の態様]
外面を含む支持体を提供し、
ガラスを含む第1の複数の粒子(前記ガラスが少なくとも2種類の金属酸化物を含み、前記ガラスがTgとTxとを有し、前記ガラスのTgとTxとの差が少なくとも5Kであり、前記ガラスが、SiO2を20重量%未満と、B23を20重量%未満と、P25を40重量%未満とを含有する)を少なくとも提供し、
前記第1の複数の粒子のガラスの少なくとも一部分によって前記支持体の外面の少なくとも一部分が濡れるように前記ガラスをTgより高い温度で加熱し、
前記ガラスを冷却し、前記支持体の外面の少なくとも一部分に取り付けられたガラスを含有するセラミックを含む物品を提供することを含む、ガラスから物品を製造する方法。
[第十四の態様]
gとTxとの差が少なくとも25Kである、第十三の態様に記載の方法。
[第十五の態様]
前記ガラスがTlを有し、Tg対Tlの比が少なくとも0.5である、第十四の態様に記載の方法。
[第十六の態様]
前記ガラスが、該ガラスの総重量に対して、SiO2と、B23と、P25とを合計で40重量パーセント未満の量で含む、第十五の態様に記載の方法。
[第十七の態様]
前記ガラスがREO−Al23ガラスである、第十五の態様に記載の方法。
[第十八の態様]
前記ガラスが、該ガラスの総重量に対して、Al23とREOとを合計で少なくとも80重量パーセント含む、第十七の態様に記載の方法。
[第十九の態様]
前記ガラスがREO−Al23−ZrO2ガラスである、第十三の態様に記載の方法。
[第二十の態様]
前記ガラスが、該ガラスの総重量に対して、Al23と、REOと、ZrO2とを合計で少なくとも80重量パーセント含む、第十九の態様に記載の方法。
[第二十一の態様]
前記物品がガラスを含み、前記方法が前記ガラスを熱処理してガラス−セラミックを提供することをさらに含む、第十三の態様に記載の方法。
[第二十二の態様]
第二十一の態様に記載の方法により製造される物品。
[第二十三の態様]
gとTxとの差が少なくとも35Kである、第十三の態様に記載の方法。
[第二十四の態様]
第十三の態様に記載の方法により製造される物品。
[第二十五の態様]
第1のガラスと第2のガラス(前記第1のガラスが少なくとも2種類の金属酸化物を含み、前記第1のガラスがTg1とTx1とを有し、Tg1とTx1との差が少なくとも5Kであり、前記第1のガラスが、SiO2を20重量%未満と、B23を20重量%未満と、P25を40重量%未満とを含有する)とを少なくとも提供し、
前記第1および第2のガラスを少なくともTg1より高い温度で加熱し、少なくとも前記第1のガラスを前記第2のガラスと融合させて物品を提供することを含む、物品製造方法。
[第二十六の態様]
g1とTx1との差が少なくとも25Kである、第二十五の態様に記載の方法。
[第二十七の態様]
前記ガラスがT11を有し、Tg1対Tl1の比が少なくとも0.5である、第二十六の態様に記載の方法。
[第二十八の態様]
前記第1のガラスが、ガラスの総重量に対して、SiO2と、B23と、P25とを合計で40重量パーセント未満の量で含む、第二十七の態様に記載の方法。
[第二十九の態様]
前記ガラスがREO−Al23ガラスである、第二十八の態様に記載の方法。
[第三十の態様]
前記ガラスが、該ガラスの総重量に対して、Al23とREOとを合計で少なくとも80重量パーセント含む、第二十九の態様に記載の方法。
[第三十一の態様]
前記ガラスがREO−Al23−ZrO2ガラスである、第二十五の態様に記載の方法。
[第三十二の態様]
前記ガラスが、該ガラスの総重量に対して、Al23と、REOと、ZrO2とを合計で少なくとも80重量パーセント含む、第三十一の態様に記載の方法。
[第三十三の態様]
前記物品がガラスを含み、前記方法が前記ガラスを熱処理してガラス−セラミックを提供することをさらに含む、第二十五の態様に記載の方法。
[第三十四の態様]
第三十三の態様に記載の方法により製造される物品。
[第三十五の態様]
g1とTx1との差が少なくとも35Kである、第二十五の態様に記載の方法。
[第三十六の態様]
第二十五の態様に記載の方法により製造される物品。
[第三十七の態様]
第1のガラスと第2のガラス(前記第1のガラスが少なくとも2種類の金属酸化物を含み、前記第1のガラスがTg1とTx1とを有し、Tg1とTx1との差が少なくとも5Kであり、前記第1のガラスが、SiO2を20重量%未満と、B23を20重量%未満と、P25を40重量%未満とを含有し、前記第2のガラスが少なくとも2種類の金属酸化物を含み、前記第2のガラスがTg2とTx2とを有し、Tg2とTx2との差が少なくとも5Kであり、前記第2のガラスが、SiO2を20重量%未満と、B23を20重量%未満と、P25を40重量%未満とを含有する)とを少なくとも提供し、
前記ガラスをTg1またはTg2のうちの高い方より高い温度で加熱し、前記第1および第2のガラスを融合させて物品を提供することを含む、物品製造方法。
[第三十八の態様]
g1とTx1との差およびTg2とTx2との差がそれぞれ少なくとも25Kである、第三十七の態様に記載の方法。
[第三十九の態様]
g1対Tx1の比ならびにTg2対Tx2の比がそれぞれ少なくとも0.5である、第三十八の態様に記載の方法。
[第四十の態様]
前記第1および第2のガラスが各々、ガラスの総重量に対して、SiO2と、B23と、P25とを合計で40重量パーセント未満の量で含む、第三十九の態様に記載の方法。
[第四十一の態様]
前記ガラスがREO−Al23ガラスである、第三十九の態様に記載の方法。
[第四十二の態様]
前記ガラスが、該ガラスの総重量に対して、Al23とREOとを合計で少なくとも80重量パーセント含む、第四十一の態様に記載の方法。
[第四十三の態様]
前記ガラスがREO−Al23−ZrO2ガラスである、第三十七の態様に記載の方法。
[第四十四の態様]
前記ガラスが、該ガラスの総重量に対して、Al23と、REOと、ZrO2とを合計で少なくとも80重量パーセント含む、第四十三の態様に記載の方法。
[第四十五の態様]
前記物品がガラスを含み、前記方法が前記ガラスを熱処理してガラス−セラミックを提供することをさらに含む、第三十七の態様に記載の方法。
[第四十六の態様]
第四十五の態様に記載の方法により製造される物品。
[第四十七の態様]
gとTxとの差が少なくとも35Kである、第三十七の態様に記載の方法。
[第四十八の態様]
前記第1および第2のガラスが同一組成のものである、第三十七の態様に記載の方法。
[第四十九の態様]
前記第1および第2のガラスが組成の異なるものである、第三十七の態様に記載の方法。
[第五十の態様]
第三十七の態様に記載の方法により製造される物品。
[第五十一の態様]
ガラスを含む第1の複数の粒子(前記ガラスが少なくとも2種類の金属酸化物を含み、前記ガラスがTgとTxとを有し、前記ガラスのTgとTxとの差が少なくとも5Kであり、前記ガラスが、SiO2を20重量%未満と、B23を20重量%未満と、P25を40重量%未満とを含有する)を少なくとも提供し、
前記ガラスをTgより高い温度で加熱し、前記第1の複数の粒子の少なくとも一部分を融合させて物品を提供することを含む、物品製造方法。
[第五十二の態様]
gとTxとの差が少なくとも25Kである、第五十一の態様に記載の方法。
[第五十三の態様]
前記ガラスがTlを有し、Tg対Tlの比が少なくとも0.5である、第五十二の態様に記載の方法。
[第五十四の態様]
前記ガラスが、該ガラスの総重量に対して、SiO2と、B23と、P25とを合計で40重量パーセント未満の量で含む、第五十三の態様に記載の方法。
[第五十五の態様]
前記ガラスがREO−Al23ガラスである、第五十三の態様に記載の方法。
[第五十六の態様]
前記ガラスが、該ガラスの総重量に対して、Al23とREOとを合計で少なくとも80重量パーセント含む、第五十五の態様に記載の方法。
[第五十七の態様]
前記ガラスがREO−Al23−ZrO2ガラスである、第五十三の態様に記載の方法。
[第五十八の態様]
前記ガラスが、該ガラスの総重量に対して、Al23と、REOと、ZrO2とを合計で少なくとも80重量パーセント含む、第五十七の態様に記載の方法。
[第五十九の態様]
前記物品がガラスを含み、前記方法が前記ガラスを熱処理してガラス−セラミックを提供することをさらに含む、第五十三の態様に記載の方法。
[第六十の態様]
第五十九の態様に記載の方法により製造される物品。
[第六十一の態様]
gとTxとの差が少なくとも35Kである、第五十三の態様に記載の方法。
[第六十二の態様]
第五十三の態様に記載の方法により製造される物品。
以下に、本発明にさらに関連する発明に係る実施形態について列挙する。
第一の形態として、ガラスの重量に基づいて、少なくとも2種類の金属酸化物を、合計として少なくとも80重量%、
SiO2を20重量%未満、
23を5重量%未満、および
25を20重量%未満、
を含み、前記少なくとも2種類の金属酸化物は、TiO2とLa 23、またはTiO2とBaOを含む、ガラスであって、
前記ガラスは、ガラス転移温度Tgと、結晶化開始温度Txとを有しており、そのガラス転移温度Tgと、結晶化開始温度Txとの差が少なくとも35Kである、ガラスに関する。
第二の形態として、ガラスの重量に基づいて、前記の少なくとも2種類の金属酸化物を、合計として少なくとも85重量%含む、前記第一の形態のガラスに関する。
第三の形態として、前記のSiO2を10重量%未満含む、前記第一の形態のガラスに関する。
第四の形態として、前記のP25を5重量%未満含む、前記第一の形態のガラスに関する。
第五の形態として、前記のSiO2、B23およびP25を、合計として15重量%未満含む、前記第一の形態のガラスに関する。
第六の形態として、さらに、Al23、BaO、CaO、Cr23、CoO、Fe23、GeO2、HfO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na2O、P25、CeO2、DY23、Er23、Eu23、Gd23、Ho23、Lu23、Nd23、Pr611、Sm23、Th47、Tm23、Yb23、Sc23、SiO2、SrO、TeO2、V23、Y23、ZnO、ZrO2およびこれらの組み合わせから構成された群から選択される追加の金属酸化物を含む、前記第一の形態のガラスに関する。
第七の形態として、さらに、ZrO2を含む、前記第一の形態のガラスに関する。
第八の形態として、粒子、ビーズ、ミクロスフェアまたは繊維の形態である、前記第一の形態のガラスに関する。
第九の形態として、x方向、y方向およびz方向の寸法が150マイクロメートルを超える非晶質粒子の形態である、前記第一の形態のガラスに関する。
第十の形態として、前記ガラス転移温度Tgと、結晶化開始温度Txとの差が少なくとも55Kである、前記第一の形態のガラスに関する。
第十一の形態として、前記ガラス転移温度Tgと、結晶化開始温度Txとの差が少なくとも76Kである、前記第一の形態のガラスに関する。
第十二の形態として、前記第一の形態のガラスを含む、セラミックに関する。
第十三の形態として、粒子、ビーズ、ミクロスフェアまたは繊維の形態のガラスを準備する工程であって、そのガラスが、TiO2とLa 23、またはTiO2とBaOを含む、少なくとも2種類の金属酸化物を含み、その少なくとも2種類の金属酸化物を、合計として、ガラスの重量に基づいて、少なくとも80重量%、
SiO2を20重量%未満、
23を5重量%未満、および
25を20重量%未満、
を含み、
前記ガラスは、ガラス転移温度Tgと、結晶化開始温度Txとを有しており、そのガラス転移温度Tgと、結晶化開始温度Txとの差が少なくとも35Kである工程、
Tg以上の温度で、前記粒子、ビーズ、ミクロスフェアまたは繊維が融合して、融合した形成体を成形するように前記ガラスを加熱する工程、および
前記融合した形成体を冷却して物品を成形する工程、
を含む、物品の製造方法に関する。
第十四の形態として、前記の少なくとも2種類の金属酸化物を、合計として、ガラスの重量に基づいて、少なくとも85重量%含む、前記第十三の形態の方法に関する。
第十五の形態として、前記ガラスがSiO2を10重量%未満含む、前記第十三の形態の方法に関する。
第十六の形態として、前記ガラスがP25を5重量%未満含む、前記第十三の形態の方法に関する。
第十七の形態として、前記のSiO2、B23およびP25を、合計として15重量%未満含む、前記第十三の形態の方法に関する。
第十八の形態として、さらに、Al23、BaO、CaO、Cr23、CoO、Fe23、GeO2、HfO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na2O、P25、CeO2、DY23、Er23、Eu23、Gd23、Ho23、Lu23、Nd23、Pr611、Sm23、Th47、Tm23、Yb23、Sc23、SiO2、SrO、TeO2、V23、Y23、ZnO、ZrO2およびこれらの組み合わせから構成された群から選択される追加の金属酸化物を含む、前記第十三の形態の方法に関する。
第十九の形態として、さらに、ZrO2を含む、前記第十三の形態の方法に関する。
第二十の形態として、x方向、y方向およびz方向の寸法が150マイクロメートルを超える非晶質粒子を含む、前記第十三の形態の方法に関する。
第二十一の形態として、前記ガラス転移温度Tgと、結晶化開始温度Txとの差が少なくとも55Kである、前記第十三の形態の方法に関する。
第二十二の形態として、前記ガラス転移温度Tgと、結晶化開始温度Txとの差が少なくとも76Kである、前記第十三の形態の方法に関する。
第二十三の形態として、前記ガラスがさらに第2のガラス転移温度Tg2と第2の結晶化開始温度Tx2とを有し、その第2のガラス転移温度Tg2とその第2の結晶化開始温度Tx2との差が少なくとも5Kである、前記第十三の形態の方法に関する。
第二十四の形態として、物品がガラス、ガラス−セラミック、またはセラミックである、前記第十三の形態の方法により製造された物品に関する。
第二十五の形態として、ガラスを準備する工程であって、そのガラスが、TiO2とLa 23、またはTiO2とBaOを含む、少なくとも2種類の金属酸化物を含み、その少なくとも2種類の金属酸化物を、合計として、ガラスの重量に基づいて、少なくとも80重量%、
SiO2を20重量%未満、
23を5重量%未満、および
25を20重量%未満、
を含み、
前記ガラスは、ガラス転移温度Tgと、結晶化開始温度Txとを有しており、そのガラス転移温度Tgと、結晶化開始温度Txとの差が少なくとも35Kである工程、および
Tg以上の温度で、前記ガラスを加熱する工程、
を含む、物品の製造方法に関する。
第二十六の形態として、前記第二十五の形態の方法によって製造されたガラス−セラミックに関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
融合した第一のガラスと第二のガラスを含み、その第一のガラスは、少なくとも2種類の金属酸化物を含み、前記第一のガラスは、ガラス転移温度Tg1と、結晶化開始温度Tx1とを有しており、そのガラス転移温度Tg1と、結晶化開始温度Tx1との差が少なくとも5Kであり、また前記第一のガラスは、SiO2を20重量%未満、B23を20重量%未満、およびP25を40重量%未満含み、また、
前記第二のガラスは、少なくとも2種類の金属酸化物を含み、前記第二のガラスは、ガラス転移温度Tg2と、結晶化開始温度Tx2とを有しており、そのガラス転移温度Tg2と、結晶化開始温度Tx2との差が少なくとも5Kであり、また前記第二のガラスは、SiO2を20重量%未満、B23を20重量%未満、およびP25を40重量%未満含む、物品。
【請求項2】
前記第一のガラスは、SiO2を10重量%未満、B23を10重量%未満、およびP25を5重量%未満含み、また、
前記第二のガラスは、SiO2を10重量%未満、B23を10重量%未満、およびP25を5重量%未満含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記第一のガラスと第二のガラスの少なくとも1つが、La23−TiO2ガラスを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記物品が、ガラスである、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記物品が、ガラス−セラミックである、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
少なくとも2種類の金属酸化物を含む第一のガラスであって、ガラス転移温度Tg1と、結晶化開始温度Tx1とを有しており、そのガラス転移温度Tg1と、結晶化開始温度Tx1との差が少なくとも5Kであり、またSiO2を20重量%未満、B23を20重量%未満、およびP25を40重量%未満含む第一のガラスを準備する工程、および
少なくとも2種類の金属酸化物を含む第二のガラスであって、ガラス転移温度Tg2と、結晶化開始温度Tx2とを有しており、そのガラス転移温度Tg2と、結晶化開始温度Tx2との差が少なくとも5Kであり、またSiO2を20重量%未満、B23を20重量%未満、およびP25を40重量%未満含む第二のガラスを準備する工程、および
前記第一のガラスと第二のガラスをTg1とTg2より高い温度に加熱して前記第一のガラスと第二のガラスを融合させる工程を含む、物品の製造方法。
【請求項7】
前記物品が、ガラスである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記物品が、ガラス−セラミックである、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−179559(P2009−179559A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121085(P2009−121085)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【分割の表示】特願2008−238413(P2008−238413)の分割
【原出願日】平成14年8月2日(2002.8.2)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】