説明

2部材の着脱装置

【課題】有害物質の遮蔽空間を膜で仕切り、防護服を着用し遮蔽空間内で安全に作業をでき、遮蔽空間に出入りしても防護服を廃棄しなくても良い2部材の着脱装置の提供。
【解決手段】第1テープ32と第2テープ34を取り付けた第1シート30と、第3テープ37と第4テープ39を取り付けた第2シート35を互いに着脱する2部材の着脱装置で、第1テープと第2テープの第1のスライダー11と第3テープと第4テープの第2のスライダー12と第1テープと第3テープの第3のスライダー13と第2テープと第4テープの第4のスライダーと上記4つにスライダーを取付けた移動部材10と、上記4つのテープの端部を固定する端部固定部材20を備え、移動部材を端部固定部材に対して接近する方向に移動させたときに、第1シートと第2シートとを離脱させ移動部材を端部固定部材に対し離間する方向に移動させたときに、第1シートと第2シートとを連結させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噛合部で着脱可能にできるファスナーを使用する2つ部材を同時に着脱できる着脱装置である。
【背景技術】
【0002】
例えば、アスベストやダイオキシン等の有害物質を除去したり取り扱ったりする場合、これらの有害物質の拡散を防止すると共に、作業者が有害物質の影響を受けないようにする必要がある。このため、有害物質の飛散を防止したり作業者を防護したりするための資器材や製品が種々開発されており、また管理手法の改善が図られている。
【0003】
アスベストやダイオキシン等の有害物質を除去したり取り扱ったりする作業では、例えば有害物質が付着した既存物を気密な被膜で覆って汚染防止処理を行った後に、外部への飛散防止のために有害物質を除去する作業空間をシート状の遮蔽膜を用いて遮蔽し、さらに高性能のフィルターを装着した送風機で作業空間内部の空気を排出して、作業空間の内部を負圧状態とし、作業者は、有害物質の飛散する遮蔽された作業空間の内部において、防護服や呼吸用器機を着用して作業を行うようにする方法が実施されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、有害物質で汚染された作業空間の内部に作業者が立ち入って除去作業等を行う場合、▲1▼作業者は、防護服や呼吸用器機を着用した場合でも、呼吸に伴って有害物質を吸引する危険に常に曝されることになる。また、▲2▼作業員が作業空間に出入りする際や、資器材や物品を作業空間に搬出入する際には、更衣室や空気シャワー室等の中間室を経由することになっているが、これらの中間室を負圧状態に維持するための構造やシステムが確立されていないため、外部への有害物質の飛散を十分に防止できないおそれがある。さらに、▲3▼作業空間の内部で一度でも使用された防護服や呼吸用器機等は、汚染されたものとしてその全てを管理型処分場に廃棄する必要があるため、防護服や呼吸用器機等の費用や廃棄処分費用が嵩むことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−279861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来の技術的課題を鑑みてなされたものであり、有害物質のある遮蔽空間を遮蔽膜で仕切り、外部への有害物質の飛散を十分に防止すると共に、防護服を着用した作業員が遮蔽空間内で安全に作業をでき、作業員が遮蔽空間に出入りしても防護服を廃棄しなくても良い2部材の着脱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、この発明の2部材の着脱装置は、
第1噛合部を有する第1テープ部材と第2噛合部を有する第2テープ部材とを取り付けた第1シート部材と、第3噛合部を有する第3テープ部材と第4噛合部を有する第4テープ部材とを取り付けた第2シート部材とを着脱する2部材の着脱装置であって、
上記第1テープ部材の第1噛合部と上記第2テープ部材の第2噛合部を噛合する併せ部と、上記噛合部の噛合を分離する分離部を形成した第1のスライダーと、
上記第3テープ部材の第3噛合部と上記第4テープ部材の第4噛合部を噛合する併せ部と、上記噛合部の噛合を分離する分離部を形成した第2のスライダーと、
上記第1テープ部材の第1噛合部と上記第3テープ部材の第3噛合部を噛合する併せ部と、上記噛合部の噛合を分離する分離部を形成した第3のスライダーと、
上記第2テープ部材の第2噛合部と上記第4テープ部材の第4噛合部を噛合する併せ部と、上記噛合部の噛合を分離する分離部を形成した第4のスライダーと、
上記第1のスライダーと第2のスライダーを同じ向きにして配置し、第3のスライダーと第4のスライダーを同じ向きにして配置し、かつ上記第1のスライダーと第2のスライダーの分離部と第3のスライダーと第4のスライダーの分離部を対向させて取り付けた移動部材と、
上記第1、第2テープ部材の端部を固定すると共に、第3、第4テープ部材の端部を着脱可能に固定する端部固定部材を備え、
上記移動部材を上記端部固定部材に対して接近する方向に移動させたときに、上記第1シート部材と第2シート部材とを離脱させ、
上記移動部材を上記端部固定部材に対して離間する方向に移動させたときに、上記第1シート部材と第2シート部材とを連結させる
ことを特徴としている。
【0008】
また、1実施形態の2部材の着脱装置は、上記第2スライダーを上記移動部材に対して着脱自在に取り付けたことを特徴としている。
【0009】
また、1実施形態の2部材の着脱装置は、上記端部固定部材を、上記第1、第2テープ部材の端部を固定した主端部固定部材と、上記第3、第4テープ部材の端部を固定し、かつ上記主端部固定部材に着脱自在に取り付けた副端部固定部材とからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、上記移動部材を上記端部固定部材に対して接近する方向に移動させたときに、上記第1シート部材と上記第2シート部材とを離脱されるので、たとえば、上記第1シート部材を清澄空間と有害物質の存在する遮蔽空間とを仕切る遮蔽膜に、上記第2シート部材を上記遮蔽空間内で作業する作業員が着用する防護服にすると、上記遮蔽膜から上記防護服を離脱でき、上記防護服を着用した作業員が有害物質に曝されることなく上記遮蔽空間内で入り、有害物質等の除去作業を行うことができる。
また、この発明によれば、上記移動部材を上記端部固定部材に対して離間する方向に移動させたときに、上記第1シート部材と上記第2シート部材とを連結させるので、たとえば、上記第1シート部材を清澄空間と有害物質の存在する遮蔽空間とを仕切る遮蔽膜に、上記第2シート部材を上記遮蔽空間内で作業する作業員が着用する防護服にすると、上記遮蔽膜と上記防護服が連結され、上記防護服の内部空間と上記遮蔽膜で仕切られた上記清澄空間とが連通し、上記防護服内の作業員は上記遮蔽空間内を通過することなく、有害物質に曝されることなく上記清澄空間内に出ることができる。
また、この発明によれば、上記移動部材を上記端部固定部材に対して接近する方向に移動させたときに、上記第1シート部材と上記第2シート部材とを離脱され、上記移動部材を上記端部固定部材に対して離間する方向に移動させたときに、上記第1シート部材と上記第2シート部材とを連結させるので、作業員が上記遮蔽空間側と上記清澄空間側とを出入りしても、上記遮蔽空間内の有害物質が清澄空間へ飛散することがなくなる。
また、この発明によれば、作業員が上記清澄空間側へ出るときには、上記防護服を上記遮蔽空間側に残置しておくので、作業員の出入りに伴って上記防護服を廃棄処分しなくてもよく、上記防護服の費用や廃棄処分費用を節約することができる。
【0011】
上記実施形態によれば、上記第2スライダーを上記移動部材に対して着脱自在に取り付けたので、たとえば、上記第1シートを清澄空間と有害物質の存在する遮蔽空間とを仕切る遮蔽膜に、上記第2シート部材を上記遮蔽空間内で作業する作業員が着用する防護服にすると、上記防護服の第3テープ部材と上記第4テープ部材の端部を上記端部固定部材から取り外し、上記第2スライダーを上記移動部材から取り外すと容易に上記防護服を上記遮蔽膜から離脱することができる。また、上記第2スライダーを上記移動部材に取り付けるだけで簡単に上記防護服と上記遮蔽膜を接合することができる。
【0012】
上記実施形態によれば、上記端部固定部材を、上記第1、第2テープ部材の端部を固定した主端部固定部材と、上記第3、第4テープ部材の端部を固定し、かつ上記主端部固定部材に着脱自在に取り付けた副端部固定部材とからなるので、たとえば、上記第1シートを清澄空間と有害物質の存在する遮蔽空間とを仕切る遮蔽膜に、上記第2シート部材を上記遮蔽空間内で作業する作業員が着用する防護服にすると、上記遮蔽膜と上記防護服との着脱のための動作が上記副端部固定部材を上記主端部固定部材に着脱するだけの動作となり簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態に係る2部材の着脱装置の略示斜視図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る2部材の着脱装置の展開図で、(a)は端部固定部材の正面図、(b)は移動部材の左側面図、(c)は移動部材の正面図、(d)は右側面図である。
【図3】この発明の一実施形態に係る2部材の着脱装置に適用できるファスナーを説明するためのファスナーの正面図である。(a)(b)は相対する2部材側部の正面図、(c)は相対する2部材の開閉部を示す正面図である。
【図4】図3のファスナーにおけるスライダーの一部破断略示斜視図である。
【図5】この発明の一実施形態に係る2部材の着脱装置に適用できる他のファスナーを説明するためのファスナーの正面図である。
【図6】図4の他のファスナーにおけるスライダーの略示斜視図である。
【図7】この発明の一実施形態に係る2部材の着脱装置を適用した実施例を示す略示斜視図である。
【図8】図7に示す遮蔽膜と防護服とを接合したときの状態を示す接合部略示断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を図示の形態により詳細に説明する。
この発明の2部材の着脱装置1は、図1に示すように、移動部材10と、端部固定部材20とから構成されている。
上記移動部材10は、断面略正四角形の棒状形状をなしており、図2(b)(c)(b)に示すように、その左側面下方部に第1のスライダー11をその開放部11aを上にして固定し、その右側面下方部に第2のスライダー12をその開放部12aを上にして着脱可能に取り付け、その正面上方部に第3のスライダー13をその開放部13aを下にして固定し、その底面上方部に第4のスライダー14をその開放部14aを下にして固定して取り付けている。上記各スライダーは、後述するように、ファスナーの噛合部を噛合または開放する機能を有する。
【0015】
上記第2のスライダー12は、その底面に環状部15が設けてあり、上記移動部材10の右側面に穿った図示しない穴に該環状部15を挿入し、上記移動部材10の正面に穿った穴16に挿入したピン17を上記環状部15に挿入して上記移動部材10に着脱可能に取り付けられている。上記移動部材10の上端面には、係止部18を取り付けている。なお、上記第2のスライダー12を上記移動部材10に着脱可能に取り付ける手段は、上記の手段のほかに磁石の手段、マジックテープ等の手段が用いられる。
【0016】
上記端部固定部材20は、ファスナーのテープ部材の端部を固定する部材である。上記端部固定部材20は、図2(a)に示すように、主端部固定部材21と副端部固定部材22で構成される。上記主端部固定部材21は、正面視L字状形状をしており、その一辺側端部に上記副端部固定部材22を着脱可能に取り付けている。
【0017】
上記主端部固定部材21の他辺側と上記副端部固定部材22との間には、上記移動部材10の上端が挿入される。上記主端部固定部材21の一辺側には穴23が形成され、上記移動部材10の上記係止部18が係止される。上記主端部固定部材21の他辺側の正面と底面側には、後述するファスナー(A)のテープ部材の端部を固定するビス24等で止める座金25が取り付けてある。上記副端部固定部材22の上端面には、上記係止部18と同様の形状をした図示しない係止部が取り付けられており、上記主端部固定部材21の一辺側に形成した穴23に上記係止部を係止することによって、上記副端部固定部材22を上記主端部固定部材21に着脱可能に取り付けるようになっている。また、上記副端部固定部材22の正面と底面側には、後述するファスナー(A)のテープ部材の端部を固定するビス26等で止める座金27が取り付けてある。
【0018】
以下の説明を明瞭にするために、図3に基づいて、一般的なファスナー(A)について説明する。このファスナー(A)は、シート部材(a)、(a)を結合または開放するものである。このファスナー(A)は、噛合部である務歯(b)を有する2つのテープ部材(c)、(c)と上記務歯を噛合させまたは開放させるスライダー(d)とからなる。
【0019】
上記スライダー(d)は、図4に示すように、台形形状の下側平板(e)と両側縁にガイド(f)、(f)を有する台形形状の上側板(g)とをそれらの長辺側に設けた柱材(h)で一体にし、短辺側に噛合部(i)を形成すると共に長辺側に開放部(j)を形成したものである。上記下側平板(e)とガイド(f)、(f)との間は、上記テープ部材(c)を移動可能に挟む溝(k)、(k)が形成されており、上記ガイド(f)、(f)の内側には、上記務歯(b)が通る通路(l)が形成されている。上記2つのテープ部材(c)、(c)を上記開放部(j)側から上記柱材(h)を挟んで上記噛合部(i)側に挿入すると、上記2つのテープ部材(c)、(c)のそれぞれの務歯(b)が上記ガイド(f)に沿って上記噛合部(i)側に進み、上記噛合部(i)の位置で噛合する。上記開放部11a、12a、13a、14aは、上記開放部(j)に該当する。
【0020】
上記2部材の着脱装置1に上記ファスナー(A)を適用する場合について、図2を参照して、説明する。
まず、上記移動部材10の係止部18を上記穴23に係止して、上記移動部材10と上記端部固定部材20とを一体にする。そして、上記主端部固定部材21と上記副端部固定部材22とを図示しない係止部を上記穴24に係止して一体にする。以下の説明のため、図において、シート部材やファスナーの構成部材を一点鎖線で示す。
【0021】
つぎに、第1シート部材30の一方30aに取り付けた第1噛合部31を有する第1テープ部材32を上記第1のスライダー11の噛合部11bを経て一方の溝11cに挿通すると共に、上記第3のスライダー13の開放部13aを経て一方の溝13cに挿通する。そして、上記第3のスライダー13の噛合部13bから突出した上記第1テープ部材32の端部を上記端部固定部材20の主端部固定部材21に上記座金25と上記ビス24によって固定する。上記第1テープ部材32は、上記第1のスライダー11と上記第3のスライダー13との間で略直角に捩れている。
【0022】
同時に、第1シート部材30の他方30bに取り付けた第2噛合部33を有する第2テープ部材34を上記第1のスライダー11の噛合部11bを経て他方の溝11dに挿通すると共に、上記第4のスライダー14の開放部14aを経て一方の溝14cに挿通する。そして、上記第4のスライダー14の噛合部14bから突出した上記第2テープ部材34の端部を上記端部固定部材20の主端部固定部材21に(上記第1テープ部材32の端部を固定した面の裏側に)図示しない座金とビスによって固定する。上記第2テープ部材34は、上記第1のスライダー11と上記第4のスライダー14との間で略直角に捩れている。
【0023】
つぎに、第2シート部材35の一方35aに取り付けた第3噛合部36を有する第3テープ部材37を上記第2のスライダー12の噛合部12bを経て一方の溝12cに挿通すると共に、上記第3のスライダー13の開放部13aを経て他方の溝13dに挿通する。そして、上記第3のスライダー13の噛合部13bから突出した上記第3テープ部材37の端部を上記端部固定部材20の副端部固定部材22に上記座金27と上記ビス26によって固定する。
【0024】
同時に、第2シート部材35の他方35bに取り付けた第4噛合部38を有する第4テープ部材39を上記第2のスライダー12の噛合部12bを経て他方の溝12dに挿通すると共に、上記第4のスライダー14の開放部14aを経て他方の溝14dに挿通する。そして、上記第4のスライダー14の噛合部14bから突出した上記第4テープ部材39の端部を上記端部固定部材20の副端部固定部材21に(上記第3テープ部材37の端部を固定した面の裏側に)図示しない座金とビスによって固定する。
【0025】
この状態は、第1テープ32の第1噛合部31と第2テープ34の第2噛合部33とが噛合した状態で、第1シート部材30(30aと30b)は連結された状態である。また、第3テープ37の第3噛合部36と第24テープ39の第4噛合部38とが噛合した状態で、第2シート部材35(35aと35b)は連結された状態である。
【0026】
この状態で、上記副端部固定部材22の図示しない係止部の上記穴24との係止を解除して、上記副端部固定部材22を上記主固定部材21から切り離し、上記移動部材10の穴16と上記第2のスライダー12の環状部15に挿入したピン17を抜いて、上記第2のスライダー12を上記移動部材10から離脱させる。そうすると、上記第2シート部材35を上記第1シート部材30から離脱させることができる。なお、上記副端部固定部材22を上記主端部固定部材21から切り離すことなく、第3テープ部材37と第4テープ部材39の端部を上記副端部固定部材から切り離してもよい。また、上記第2のスライダー12を移動部材10から離脱させなく、第3テープ部材37と第4テープ部材39の端部を上記第2のスライダー12から引き抜いてもよい。
【0027】
つぎに、上記副端部固定部材22の図示しない係止部の上記穴24に係止し、上記副端部固定部材22を上記主固定部材21に係着し、上記移動部材10の穴16と上記第2のスライダー12の環状部15にピン17を挿入して、上記第2のスライダー12を上記移動部材10に係着する。
【0028】
この状態で、上記係止部18の上記穴23との係止を解除して、上記移動部材10を下方に(上記端部固定部材から遠ざかる方向に)移動させる。そうすると、噛合していた第1噛合部31と第2噛合部33は、上記第1のスライダー11によって開放され、上記第1シート部材30は、2辺30a、30bに分離される。同様に、噛合していた第3噛合部36と第4噛合部38は、上記第2のスライダー12によって開放され、上記第2シート部材35は、2辺35a、35bに分離される。
【0029】
そして、上記第1噛合部31と上記第3噛合部36とは、上記第3のスライダー13によって噛合され、上記第1シート部材30の一辺30aと上記第2シート部材35の一辺35aとが連結される。同様に、上記第2噛合部33と上記第4噛合部38とは、上記第4のスライダー14によって噛合され、上記第1シート部材30の一辺30bと上記第2シート部材35の一辺35bとが連結される。上記第1シート部材30と上記第2シート部材35とは連通する。
【0030】
上記噛合部31を有する第1テープ部材32と上記噛合部33を有する第2テープ部材34と上記第1のスライダー11とで第1ファスナー41を構成する。上記噛合部36を有する第3テープ部材37と上記噛合部38を有する第4テープ部材39と上記第2のスライダー12とで第2ファスナー42を構成する。
そして、上記噛合部31を有する第1テープ部材32と上記噛合部36を有する第3テープ部材37と上記第3のスライダー13とで第3ファスナー43(図に明示していない)を構成する。上記噛合部33を有する第2テープ部材34と上記噛合部38を有する第4テープ部材39と上記第4のスライダー14とで第4ファスナー44(図に明示していない)を構成する。
【0031】
なお、上記説明において、ファスナーを噛合部が務歯である場合について説明したが、ファスナーは、噛合部がレール状(噛合レール)のファスナー、俗にレールファスナーであってもよい。
このファスナー(B)は、図5に示すように、シート部材(a´)、(a´)を結合する又は開放するものである。このファスナー(B)は、噛合レール(b´)を有する2つのテープ部材(c´)、(c´)と上記噛合レール(b´)を噛合させ又は開放させるスライダー(d´)とからなる。噛合レール(b´)、(b´)は、レール面を重ねて噛合するようになっている。
【0032】
上記スライダー(d´)は、図6に示すように、一方片側縁にガイド(e´a)を有し、他方片側縁に側壁(e´b)を有する断面U字形状のU字板(e´)と、他方片側縁にガイド(g´a)を有し、一方片側縁に側壁(g´b)を有する断面逆U字形状の逆U字板(g´)とを互いに傾斜して対向させ、広く開いている側の側壁(e´b)と側壁(g´b)の間に柱材(h´)を設けて一体にし、狭く開いている側に噛合部(i´)を形成すると共に広く開いている側に開放部(j´)を形成したものである。上記柱材(h´)と上記ガイド(e´a)、(g´a)との間は、上記テープ部材(c´)を移動可能に挟む溝(k´)、(k´)が形成されており、上記ガイド(e´a)、(g´a)の内側には、上記噛合レール(b´)、(b´)が通る通路(l´)、(l´)が形成されている。上記2つのテープ部材(c´)、(c´)を上記開放部(j´)側から上記柱材(h´)を挟んで上記噛合部(i´)側に挿入すると、上記2つのテープ部材(c´)、(c´)のそれぞれの噛合レール(b´)が上記ガイドに沿って上記噛合部(i´)側に進み、上記噛合部(i´)の位置で噛合する。上記開放部11a、12a、13a、14aは、上記開放部(j´)に該当する。
【0033】
一実施例として、空間を清澄空間51と有害物質の飛散する遮蔽空間52に仕切る有害物質を遮蔽する遮蔽膜50と、上記遮蔽空間52内で有害物質の除去作業を行う作業員の防護服53とに上記2部材の着脱装置1を適用する実施例について説明する。
【0034】
図7に示すように、空間を、上記第1シート部材30に該当する遮蔽膜50によって、清澄空間51と有害物質の飛散する遮蔽空間52に仕切っている。上記遮蔽空間52の中には上記第2シート部材35に該当する防護服53を着用した作業員が入っている。上記遮蔽膜50と上記防護服53とは、離間している。上記遮蔽膜50には、上記第1ファスナー41が設けられ、上記遮蔽膜50を開閉自在にしている。上記第1ファスナー41の端部は、上記遮蔽膜50から突出している。突出している上記第1ファスナー41の端部には、上記移動部材10と上記主端部固定部材21が取り付けてある。
【0035】
上記防護服53は、上記第2ファスナー42が設けられ、上記防護服53を出入り可能な開口を開閉自在にしている。上記第2ファスナー42の端部は、上記防護服53から突出している。突出している上記第2ファスナー42の端部には、上記副端部固定部材22と第2のスライダー12が取り付けてある。なお、上記防護服53には、上記清澄空間51側から清澄空気を供給する図示しないホースが接続してあり、上記防護服53内に清澄空気を供給している。
【0036】
作業員が上記防護服53の中から上記清澄空間51に出るには、まず、上記防護服53の第2ファスナー42の端部の上記副端部固定部材22を上記遮蔽膜50の第1ファスナー41の端部に固定した上記主端部固定部材21に係止して取り付ける。そして、第2ファスナー42の端部に位置している第2のスライダー12を上記第1ファスナー41端部の移動部材10にピン17を穴16と環状部15に挿入して取り付ける。しかる後に、上記移動部材10の係止部材18を穴23からはずして、上記移動部材10を上記端部固定部材20から下方に(上記端部固定部材20から遠ざかる方向に)向って移動させる。
【0037】
そうすると、図8に示すように、第1テープ部材32の第1噛合部31と第2テープ部材34の第2噛合部33の噛合が上記第1のスライダー11によって開放され、第3テープ部材37の第3噛合部36と第4テープ部材39の第4噛合部38の噛合が上記第2のスライダー12によって開放される。また、同時に、第1テープ部材32の第1噛合部31と第3テープ部材37の第3噛合部36とは、上記第3のスライダー13によって噛合し、上記第2テープ部材34の第2噛合部33と第4テープ部材39の第4噛合部38とは、上記第4のスライダー14によって噛合する。
【0038】
このようにして、上記遮蔽膜50は第1ファスナー41と上記防護服53の第2ファスナー42とが開放され、上記遮蔽膜50の開放側の一方辺と上記防護服53の開放側の一方辺とが上記第3ファスナー43によって連結されると共に、上記遮蔽膜50の開放側の他方辺と上記防護服53の開放側の他方辺とが上記第4ファスナー44によって連結される。このようにして、上記防護服53の内部空間と上記清澄空間51とが連通し、作業員が、有害物質に汚染されるこのなく、上記防護服53内から上記清澄空間51に出ることができる。また、逆に、有害物質に汚染されるこのなく、上記清澄空間51から上記防護服53の内部空間内に入ることができる。
【0039】
なお、この発明の2部材の着脱装置は、上記した実施例に限らず、適用することができる。たとえば、ウイルスなどの蔓延を防止する隔離室を上記遮蔽膜で形成し、その内部に上記防護服を着用した医師等が入り、安全に作業をすることができる。
【0040】
この発明の2部材の着脱装置1によれば、上記移動部材10を上記端部固定部材20に対して接近する方向に移動させたときに、上記第1シート部材30と上記第2シート部材35とを離脱されるので、たとえば、第1シート部材30を上記清澄空間51と有害物質の存在する上記遮蔽空間52とを仕切る上記遮蔽膜50に、上記第2シート部材35を上記遮蔽空間52内で作業する作業員が着用する上記防護服53にすると、上記遮蔽膜50から上記防護服53を離脱でき、上記防護服53を着用した作業員が有害物質に曝されることなく上記遮蔽空間52内で入り、有害物質等の除去作業を行うことができる。
【0041】
また、この発明によれば、上記移動部材10を上記端部固定部材20に対して離間する方向に移動させたときに、上記第1シート部材30と上記第2シート部材35とを連結させるので、たとえば、上記第1シート部材30を清澄空間51と有害物質の存在する上記遮蔽空間52とを仕切る上記遮蔽膜50に、上記第2シート部材35を上記遮蔽空間52内で作業する作業員が着用する上記防護服53にすると、上記遮蔽膜50と上記防護服53が連結され、上記防護服53の内部空間と上記遮蔽膜50で仕切られた上記清澄空間51とが連通し、上記防護服53内の作業員は上記遮蔽空間52内を通過することなく、有害物質に曝されることなく上記清澄空間51内に出ることができる。
【0042】
また、この発明によれば、上記移動部材10を上記端部固定部材20に対して接近する方向に移動させたときに、上記第1シート部材30と上記第2シート部材35とを離脱され、上記移動部材10を上記端部固定部材20に対して離間する方向に移動させたときに、上記第1シート部材30と上記第2シート部材35とを連結させるので、作業員が上記遮蔽空間52側と上記清澄空間51側とを出入りしても、上記遮蔽空間52内の有害物質が清澄空間へ飛散しなくなる。
【0043】
また、この発明によれば、作業員が上記清澄空間51側へ出るときには、上記防護服53を上記遮蔽空間52側に残置しておくので、作業員の出入りに伴って上記防護服53を廃棄処分しなくてもよく、上記防護服53の費用や廃棄処分費用を節約することができる。
【0044】
また、この発明によれば、上記第2のスライダー12を上記移動部材10に対して着脱自在に取り付けたので、たとえば、上記第1シート30を上記清澄空間51と有害物質の存在する上記遮蔽空間52とを仕切る上記遮蔽膜50に、上記第2シート部材35を上記遮蔽空間52内で作業する作業員が着用する上記防護服53にすると、上記防護服53の第3テープ部材37と上記第4テープ部材39の端部を上記端部固定部材20から取り外し、上記第2のスライダー12を上記移動部材10から取り外すと容易に上記防護服53を上記遮蔽膜50から離脱することができる。また、上記第2のスライダーを上記移動部材10に取り付けるだけで簡単に上記防護服53と上記遮蔽膜50を接合することができる。
【0045】
また、この発明によれば、上記端部固定部材20を、上記第1、第2テープ部材32、34の端部を固定した上記主端部固定部材21と、上記第3、第4テープ部材37、39の端部を固定し、かつ上記主端部固定部材21に着脱自在に取り付けた上記副端部固定部材22とからなるので、たとえば、上記第1シート部材30を上記清澄空間51と有害物質の存在する上記遮蔽空間52とを仕切る上記遮蔽膜53に、上記第2シート部材35を上記遮蔽空間52内で作業する作業員が着用する上記防護服53にすると、上記遮蔽膜50と上記防護服53との着脱のための動作が上記副端部固定部材22を上記主端部固定部材21に着脱するだけの動作となり簡単になる。
【符号の説明】
【0046】
1 2部材の着脱装置
10 移動部材
11 第1のスライダー
12 第2のスライダー
13 第3のスライダー
14 第4のスライダー
20 端部固定部材
21 主端部固定部材
22 副端部固定部材
30 第1シート部材
35 第2シート部材
41 第1ファスナー
42 第2ファスナー
43 第3ファスナー
44 第4ファスナー
50 遮蔽膜
53 防護服

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1噛合部を有する第1テープ部材と第2噛合部を有する第2テープ部材とを取り付けた第1シート部材と、第3噛合部を有する第3テープ部材と第4噛合部を有する第4テープ部材とを取り付けた第2シート部材とを着脱する2部材の着脱装置であって、
上記第1テープ部材の第1噛合部と上記第2テープ部材の第2噛合部を噛合する併せ部と、上記噛合部の噛合を分離する分離部を形成した第1のスライダーと、
上記第3テープ部材の第3噛合部と上記第4テープ部材の第4噛合部を噛合する併せ部と、上記噛合部の噛合を分離する分離部を形成した第2のスライダーと、
上記第1テープ部材の第1噛合部と上記第3テープ部材の第3噛合部を噛合する併せ部と、上記噛合部の噛合を分離する分離部を形成した第3のスライダーと、
上記第2テープ部材の第2噛合部と上記第4テープ部材の第4噛合部を噛合する併せ部と、上記噛合部の噛合を分離する分離部を形成した第4のスライダーと、
上記第1のスライダーと第2のスライダーを同じ向きにして配置し、第3のスライダーと第4のスライダーを同じ向きにして配置し、かつ上記第1のスライダーと第2のスライダーの分離部と第3のスライダーと第4のスライダーの分離部を対向させて取り付けた移動部材と、
上記第1、第2テープ部材の端部を固定すると共に、第3、第4テープ部材の端部を着脱可能に固定する端部固定部材を備え、
上記移動部材を上記端部固定部材に対して接近する方向に移動させたときに、上記第1シート部材と第2シート部材とを離脱させ、
上記移動部材を上記端部固定部材に対して離間する方向に移動させたときに、上記第1シート部材と第2シート部材とを連結させる
ことを特徴とする2部材の着脱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の2部材の着脱装置において、
上記第2スライダーは、上記移動部材に対して着脱自在に取り付けたことを特徴とする2部材の着脱装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の2部材の着脱装置において、
上記端部固定部材は、上記第1、第2テープ部材の端部を固定した主端部固定部材と、上記第3、第4テープ部材の端部を固定し、かつ上記主端部固定部材に着脱自在に取り付けた副端部固定部材とからなることを特徴とする2部材の着脱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−136133(P2011−136133A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11406(P2010−11406)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 展示会名 アスベスト対策環境展09 主催者名 株式会社 東京ビックサイト 霞が関オフィス 開催日 平成21年10月21日〜平成21年10月23日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(504241666)有限会社リーテック (17)
【Fターム(参考)】