説明

2重スパイラル構造焼成食品およびその製造方法

【課題】チョコレートなどの原料組成物から成る棒状油脂固形食品成型品の焼成部分とパン生地から成る帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成されており、意匠性があり、しかも美味しいパン・洋菓子などの焼成食品およびその製造方法の提供。
【解決手段】常温で固体の油脂を含む原料組成物から成る棒状油脂固形食品成型品2の焼成部分2Aとパン生地を帯状に成型した帯状成型品1の焼成部分1Aとが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成されていることを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品4により課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2重スパイラル構造焼成食品およびその製造方法に関するものであり、さらに詳細には、チョコレートなどの原料組成物から成る棒状油脂固形食品成型品の焼成部分とパン生地から成る帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成されている2重スパイラル構造焼成食品およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、チョコレートなどの組成物をパン生地で包んで焼成したパン・洋菓子などや、パン生地からなる中空円錐状成型品を作った後、中空部にチョコレートなどを収容したパン・洋菓子などが提案されている(例えば、特許文献1〜4など参照)。
【特許文献1】特開平8−294354号公報
【特許文献2】特開平10−108624号公報
【特許文献3】特許第3671556号公報
【特許文献4】実用新案登録第3037135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、チョコレートなどの原料組成物から成る棒状油脂固形食品成型品の焼成部分とパン生地から成る帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成されており、意匠性があり、しかも美味しいパン・洋菓子などはなかった。
本発明の第1の目的は、チョコレートなどの原料組成物から成る棒状油脂固形食品成型品の焼成部分とパン生地から成る帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成されており、意匠性があり、しかも美味しいパン・洋菓子などの2重スパイラル構造焼成食品を提供することであり、
本発明の第2の目的は、そのような2重スパイラル構造焼成食品を容易に製造できる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するための本発明の請求項1記載の発明は、常温で固体の油脂を含む原料組成物から成る棒状油脂固形食品成型品の焼成部分とパン生地を帯状に成型した帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成されていることを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品である。
【0005】
本発明の請求項2は、請求項1記載の2重スパイラル構造焼成食品において、前記棒状油脂固形食品成型品が、カレー、ハヤシ、シチューを含むソース類、おでん、うどんを含むスープ類を含む固形ルウあるいはチョコレートであることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項3は、下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品の製造方法である。
(1)パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製する工程。
(2)常温で固体の油脂を含む原料組成物を加熱溶融混合して棒状に成型して冷却固化して棒状油脂固形食品成型品を調製する工程。
(3)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付ける工程。
(4)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後に発酵処理する工程。
(5)発酵処理後、焼成して、前記棒状油脂固形食品成型品の焼成部分と前記帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成する工程。
【0007】
本発明の請求項4は、下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品の製造方法である。
(1)パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製後、冷凍して保管する工程。
(2)常温で固体の油脂を含む原料組成物を加熱溶融混合して棒状に成型して冷却固化して棒状油脂固形食品成型品を調製する工程。
(3)工程(1)で冷凍して保管した帯状成型品を解凍し、解凍した前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付ける工程。
(4)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後に発酵処理する工程。
(5)発酵処理後、焼成して、前記棒状油脂固形食品成型品の焼成部分と前記帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成する工程。
【0008】
本発明の請求項5は、下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品の製造方法である。
(1)パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製する工程。
(2)常温で固体の油脂を含む原料組成物を加熱溶融混合して棒状に成型して冷却固化して棒状油脂固形食品成型品を調製する工程。
(3)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後、冷凍して保管する工程。
(4)工程(3)で冷凍して保管したものを解凍し、解凍した後に発酵処理する工程。
(5)発酵処理後、焼成して、前記棒状油脂固形食品成型品の焼成部分と前記帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成する工程。
【0009】
本発明の請求項6は、下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品の製造方法である。
(1)パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製する工程。
(2)常温で固体の油脂を含む原料組成物を加熱溶融混合して棒状に成型して冷却固化して棒状油脂固形食品成型品を調製する工程。
(3)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付ける工程。
(4)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後に発酵処理し、発酵処理後、冷凍して保管する工程。
(5)冷凍して保管した後、解凍し、焼成して、前記棒状油脂固形食品成型品の焼成部分と前記帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成する工程。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1記載の2重スパイラル構造焼成食品は、常温で固体の油脂を含む原料組成物から成る棒状油脂固形食品成型品の焼成部分とパン生地を帯状に成型した帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成されていることを特徴とするものであり、
チョコレートなどの原料組成物から成る棒状油脂固形食品成型品の焼成部分とパン生地から成る帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成されているので、意匠性があり、しかも美味しいパン・洋菓子などを提供できるという顕著な効果を奏する。
【0011】
本発明の請求項2は、請求項1記載の2重スパイラル構造焼成食品において、前記棒状油脂固形食品成型品が、カレー、ハヤシ、シチューを含むソース類、おでん、うどんを含むスープ類を含む固形ルウあるいはチョコレートであることを特徴とするものであり、
各種幅広い種類の2重スパイラル構造焼成食品を提供できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0012】
本発明の請求項3は、下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品の製造方法であり、
本発明の2重スパイラル構造焼成食品を容易に製造できるという顕著な効果を奏する。
(1)パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製する工程。
(2)常温で固体の油脂を含む原料組成物を加熱溶融混合して棒状に成型して冷却固化して棒状油脂固形食品成型品を調製する工程。
(3)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付ける工程。
(4)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後に発酵処理する工程。
(5)発酵処理後、焼成して、前記棒状油脂固形食品成型品の焼成部分と前記帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成する工程。
【0013】
本発明の請求項4は、下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品の製造方法であり、パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製後、冷凍して保管するので、長期に安定して貯蔵したり移送したりでき、そして必要に応じて工程(1)で冷凍して保管した帯状成型品を解凍し、解凍した帯状成型品を棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けるようにしたので、本発明の2重スパイラル構造焼成食品を容易に製造できるとともに、商品設計の巾が広がり、使用者のニーズに合わせた対応ができるという顕著な効果を奏する。
(1)パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製後、冷凍して保管する工程。
(2)常温で固体の油脂を含む原料組成物を加熱溶融混合して棒状に成型して冷却固化して棒状油脂固形食品成型品を調製する工程。
(3)工程(1)で冷凍して保管した帯状成型品を解凍し、解凍した前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付ける工程。
(4)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後に発酵処理する工程。
(5)発酵処理後、焼成して、前記棒状油脂固形食品成型品の焼成部分と前記帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成する工程。
【0014】
本発明の請求項5は、下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品の製造方法であり、帯状成型品を棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後、冷凍して保管するので、長期に安定して貯蔵したり移送したりでき、そして必要に応じて工程(3)で冷凍して保管したものを解凍し、解凍した後に発酵処理するようにしたので、本発明の2重スパイラル構造焼成食品を容易に製造できるとともに、商品設計の巾が広がり、使用者のニーズに合わせた対応ができるという顕著な効果を奏する。
(1)パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製する工程。
(2)常温で固体の油脂を含む原料組成物を加熱溶融混合して棒状に成型して冷却固化して棒状油脂固形食品成型品を調製する工程。
(3)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後、冷凍して保管する工程。
(4)工程(3)で冷凍して保管したものを解凍し、解凍した後に発酵処理する工程。
(5)発酵処理後、焼成して、前記棒状油脂固形食品成型品の焼成部分と前記帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成する工程。
【0015】
本発明の請求項6は、下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品の製造方法であり、帯状成型品を棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後に発酵処理し、発酵処理後、冷凍して保管するので、長期に安定して貯蔵したり移送したりでき、そして必要に応じて解凍して焼成することにより本発明の2重スパイラル構造焼成食品を容易に製造でき、発注に対して素早いきめ細かい出荷が可能となるという顕著な効果を奏する。
(1)パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製する工程。
(2)常温で固体の油脂を含む原料組成物を加熱溶融混合して棒状に成型して冷却固化して棒状油脂固形食品成型品を調製する工程。
(3)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付ける工程。
(4)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後に発酵処理し、発酵処理後、冷凍して保管する工程。
(5)冷凍して保管した後、解凍し、焼成して、前記棒状油脂固形食品成型品の焼成部分と前記帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成する工程。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の内容を図を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の2重スパイラル構造焼成食品の製造工程の例を説明する説明図である。
工程(1):例えば下記のパン原料をミキサーに投入して、常温で低速回転で5〜20分、中速回転で5〜20分、高速回転で5〜20分程度よく混合する。出来上がった生地を薄く延ばし、間にマーガリンを塗って折り込み、15〜30層折りとする。使用するマーガリンはパン生地に対して30質量%程度とする。
出来上がった層状の生地を所定の大きさ(例えば、30cm長×3cm巾×5mm厚)にカットして帯状成型品1を調製する。
【0017】
パン原料:(単位は質量部である)
小麦粉 55
砂糖 5
食塩 1
粉乳 1
ショートニング 5
イースト 3
水 30
合計 100
【0018】
工程(2):例えば下記の常温で固体の油脂を含む原料組成物をミキサーに投入して、加熱溶融混合して、出来上がった原料組成物を所定の大きさ(例えば、20cm長×1cm巾×5mm厚)の型に入れて冷却固化して棒状油脂固形食品成型品2を調製する。
【0019】
原料組成物:(単位は質量部である)
カカオマス 50
砂糖 40
ココアバター 9.8
植物性油脂 0.1
乳化剤 0.1
合計 100
【0020】
工程(3):工程(1)で調製した帯状成型品1を工程(2)で調製した棒状油脂固形食品成型品2の周囲に図に示したように螺旋状に巻き付ける。3は螺旋状に巻き付けた成型品である。帯状成型品1と棒状油脂固形食品成型品2の質量比は、例えば、焼成前で(40〜90):(60〜10)、焼成後で(10〜80):(90〜20)とする。
帯状成型品1を棒状油脂固形食品成型品2の周囲に螺旋状に巻き付ける際に帯状成型品1の両端を20mm程度巻き付けずに空けておくのが好ましく、また棒状油脂固形食品成型品2の長さ方向に対して約45°程度になるように帯状成型品1を螺旋状に巻き付け、巻き付けた帯状成型品1の間隙dが約1〜0.5cm程度にするのが好ましい。
【0021】
工程(4):工程(3)で螺旋状に巻き付けた成型品3を、例えば、30〜40℃、湿度30〜80%の条件で30分程度発酵処理する工程。
【0022】
発酵処理した半製品は冷凍保存しておくことができる。冷凍保存した半製品は解凍して次の工程で使用することができる。
【0023】
工程(5):工程(4)で発酵処理後、あるいは発酵処理後、冷凍保存した半製品は解凍した後、オーブン中で、例えば、180〜230℃、5〜20分程度焼成して、図に示すような棒状油脂固形食品成型品1の焼成部分1Aと帯状成型品2の焼成部分2Aとが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成された製品4を得ることができる。
【0024】
工程(6):このようにして得られた製品4を公知の装置・方法で包装し、貯蔵したり、輸送したりして常温で流通を行う。
【0025】
本発明で用いるパン原料は、醗酵基質(例えば、小麦粉、ライ麦、米などの穀物、ジャガイモ、サツマイモ、などの芋類、リンゴ、ブドウなどの果物など)、油脂、砂糖、酵母、天然酵母および/またはイーストなどの醗酵菌、麦芽糖、食塩、乳化剤、増粘多糖類、香料などである。
【0026】
小麦粉にライ麦粉、米粉などを適宜の量配合した醗酵基質を使用することも可能であり、醗酵基質の種類に関しては特に限定されない。小麦粉としては、例えば、薄力粉、中力粉、強力粉などが使用する例を挙げることができる。
【0027】
油脂については、例えばショートニング、マーガリン、バター、ラードなどが組み合わされて使用される。
【0028】
糖質としては、各種澱粉(コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉など)、砂糖、還元糖などを組合わせて使用できる。
【0029】
例えば、小麦粉などの穀粉、油脂、砂糖、食塩、膨張剤など、またはこれらのプレミックスと、卵、天然酵母、イーストおよび水などを混合・混捏してパン生地を調製する。混合・混捏に際し、ミキサーを用いることもできる。ミキシングの途中でチーズ、野菜などのペーストやパウダー、豆腐、豆乳、おから、抹茶、ココアなどを適量加えることができ、バリエーションに富んだパン生地とすることもできる。捏ね上げ温度は、特に限定はされないが、好ましくは、約15℃から約35℃で行う。
【0030】
パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製するが、例えば、丸型、小判型などに成型することもできる。
【0031】
本発明で使用する常温で固体の油脂は特に限定されるものではない。具体的には、例えば菜種、大豆、ヒマワリ種子、綿実、落花生、米糠、コーン、サフラワー、オリーブ、胡麻、カカオ、ヤシ、アブラヤシなどから採取した油脂、あるいは必要に応じて分別、エステル交換などを施した加工油などの常温で固体の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油などの内の常温で固体の動物性油脂、これらの油脂類の単独または混合油を挙げることができる。
また、本発明においては前記油脂を硬化処理した常温で固体の油脂を好ましく使用できる。常温で固体の硬化植物性油脂を特に好ましく使用できる。
【0032】
常温で固体の油脂の融点は特に限定されないが、約35〜55℃が好ましく、より好ましくは約40〜50℃である。35℃未満では、店頭などにおいて油脂固形食品が軟化することが懸念され、そして、室温に放置すると結着する恐れがあり、逆に55℃を超えると使用時に溶けにくく、温水に溶かした際にダマができる恐れがあり、またワキシーな食感となるなど好ましくない。
【0033】
常温で固体の油脂の配合割合は特に限定されないが、5〜45質量%が好ましく、5質量%未満で油脂の含量が少なくなりすぎると固化しにくくなる恐れがあり、反対に、45質量%を超えて油脂の含量が多くなりすぎると、早く固化する傾向がでて取り扱い難くなる恐れがある。
【0034】
また、本発明においては上記の成分以外に公知の乳化剤、砂糖、塩、グルタミン酸ソーダなどの調味料、香辛料、その他を添加することができる。
【0035】
本発明において常温で固体の油脂を含む原料組成物には、必要に応じて、小麦粉および/または澱澱を使用できる。小麦粉の種類に関しては特に限定されず、例えば、薄力粉、中力粉、強力粉などを使用する例を挙げることができ、一方、澱粉としては、例えば、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉等を挙げることができ、小麦粉と澱粉は単独で用いることも、任意の割合で混合して用いることもできる。
【0036】
本発明において油脂固形食品中の各成分の配合割合は目的とする食品の特性に応じて適宜決められるものである。例えば、チョコレートなどの場合は通常小麦粉および/または澱澱を使用せず、カレー、ハヤシ、シチューなどのソース類の場合は小麦粉および/または澱澱を使用するが、一般的に小麦粉や澱粉の含量が少なくなりすぎると、スープ様となり好ましくなく、反対に、小麦粉や澱粉の含量が多くなりすぎると、一般的に粘性が高くなりすぎる傾向があるので好ましくない。
【0037】
図1に示すように帯状成型品1を棒状油脂固形食品成型品2の周囲に螺旋状に巻き付けるのは、手で行っても、機械的に行っても、あるいは両者を組み合わせて行ってよいが、図1工程(3)に示すように隣合う帯状成型品1の間に適宜の間隔dを開けて巻き付けることが好ましい。
【0038】
帯状成型品1を棒状油脂固形食品成型品2の周囲に螺旋状に巻き付けた後に発酵処理する。パン生地醗酵処理条件は特に限定されるものではないが、例えば、約30℃から約40℃、湿度30〜80%、20分〜4時間程度行い、パン生地を約1.5〜約2.5倍に膨らませる。
【0039】
発酵処理後、オーブン中で、例えば、180〜230℃、5〜20分程度焼成して、図1に示すような棒状油脂固形食品成型品1の焼成部分1Aと帯状成型品2の焼成部分2Aとが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成された2重スパイラル構造を有する製品4を得ることができる。
【0040】
なお、上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態の説明では、工程(4)で発酵処理後、冷凍保存した例を示したが、工程(1)でパン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製後、冷凍して保管してもよく、あるいは工程(3)で帯状成型品を棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後、冷凍して保管することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の2重スパイラル構造焼成食品は、常温で固体の油脂を含む原料組成物から成る棒状油脂固形食品成型品の焼成部分とパン生地を帯状に成型した帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成されていることを特徴とするものであり、
チョコレートなどの原料組成物から成る棒状油脂固形食品成型品の焼成部分とパン生地から成る帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成されているので、意匠性があり、しかも美味しいパン・洋菓子などを提供できるという顕著な効果を奏し、本発明の製造方法により本発明の2重スパイラル構造焼成食品を容易に製造できるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値は甚だ大きい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の2重スパイラル構造焼成食品の製造工程の例を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 帯状成型品
1A 油脂固形食品成型品1の焼成部分
2 棒状油脂固形食品成型品
2A 帯状成型品2の焼成部分
3 螺旋状に巻き付けた成型品
4 製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温で固体の油脂を含む原料組成物から成る棒状油脂固形食品成型品の焼成部分とパン生地を帯状に成型した帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成されていることを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品。
【請求項2】
前記棒状油脂固形食品成型品が、カレー、ハヤシ、シチューを含むソース類、おでん、うどんを含むスープ類を含む固形ルウあるいはチョコレートであることを特徴とする請求項1記載の2重スパイラル構造焼成食品。
【請求項3】
下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品の製造方法。
(1)パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製する工程。
(2)常温で固体の油脂を含む原料組成物を加熱溶融混合して棒状に成型して冷却固化して棒状油脂固形食品成型品を調製する工程。
(3)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付ける工程。
(4)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後に発酵処理する工程。
(5)発酵処理後、焼成して、前記棒状油脂固形食品成型品の焼成部分と前記帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成する工程。
【請求項4】
下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品の製造方法。
(1)パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製後、冷凍して保管する工程。
(2)常温で固体の油脂を含む原料組成物を加熱溶融混合して棒状に成型して冷却固化して棒状油脂固形食品成型品を調製する工程。
(3)工程(1)で冷凍して保管した帯状成型品を解凍し、解凍した前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付ける工程。
(4)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後に発酵処理する工程。
(5)発酵処理後、焼成して、前記棒状油脂固形食品成型品の焼成部分と前記帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成する工程。
【請求項5】
下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品の製造方法。
(1)パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製する工程。
(2)常温で固体の油脂を含む原料組成物を加熱溶融混合して棒状に成型して冷却固化して棒状油脂固形食品成型品を調製する工程。
(3)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後、冷凍して保管する工程。
(4)工程(3)で冷凍して保管したものを解凍し、解凍した後に発酵処理する工程。
(5)発酵処理後、焼成して、前記棒状油脂固形食品成型品の焼成部分と前記帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成する工程。
【請求項6】
下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする2重スパイラル構造焼成食品の製造方法。
(1)パン原料を混捏して調製されるパン生地を帯状に成型して帯状成型品を調製する工程。
(2)常温で固体の油脂を含む原料組成物を加熱溶融混合して棒状に成型して冷却固化して棒状油脂固形食品成型品を調製する工程。
(3)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付ける工程。
(4)前記帯状成型品を前記棒状油脂固形食品成型品の周囲に螺旋状に巻き付けた後に発酵処理し、発酵処理後、冷凍して保管する工程。
(5)冷凍して保管した後、解凍し、焼成して、前記棒状油脂固形食品成型品の焼成部分と前記帯状成型品の焼成部分とが、相互に注連縄状に絡み合った状態で一体的に形成する工程。

【図1】
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