説明

2重管ノズルを有する圧送式空気輸送装置

【課題】
本発明はエジェクタ効果を利用した圧送式粉粒体空気輸送装置において粉粒体供給部付近の圧力を低減し、且、安定した空気流を形成して高い粉粒体供給精度を維持する装置に関するものである。
【解決手段】
エジェクタ効果を得る空気ノズルを2重管とし圧力を低減する内層流と粉粒体供給位置に安定した空気流を維持する外層流を形成する事により輸送空気圧を制御しつつ供給粉粒体の滞留、脈動を防止し高い粉粒体供給精度を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉粒体供給個所より上流側に空気源を配置する、所謂、圧送式空気輸送装置における粉粒体供給能力及び供給精度の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧送式空気輸送装置は輸送目的個所での搬送空気と被輸送物を分離す
る装置を必要としない等機構が簡便で多くの用途に用いられている。
しかしながら、粉粒体供給部に供給を阻止する方向の圧力(以下正圧と略記)が発生する為輸送圧が5KPa程度以上まで高くなると供給装置の回転体部スキマを狭くする等の、所謂、機械的シールでは安定した粉粒体供給が困難となり、又、複数の供給口を持つ供給装置においては他の供給口の正圧の影響により供給精度の低下を来たす場合が多かった。
この正圧による影響を避ける為、従来から、エジェクタ効果として知られる供給部付近に噴流を形成して供給口近傍の空気圧を負圧にする機構が多く用いられている。
又、この原理を応用して粉粒体供給部の圧力を軽減する方式も考案されている(例えば、特許文献1)。
尚、水分を嫌う粉粒体に対しては輸送空気全体を加温する必要がある場合がある。
【特許文献1】特許公開2002−356234号 公報(公報第2図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、基本的にエジェクタ効果は流路断面急拡大の効果によるもので動力損失が大きく、又、原理的に粉粒体供給口が噴出流により形成される流れの剥離域に来ざるを得ない為、安定的に搬送空気流に乗せる事が困難で供給粉粒体の滞留や脈動による供給精度の低下や供給部への付着、噴出ノズルに接触した粉粒体が急激に加速される事によるノズル部の磨耗促進と云った問題があった。
又、エジェクタ方式においては輸送条件の変更があった場合には噴出口の再調整や搬送空気源の変更等やっかいな作業を必要としていた。
更に、搬送空気を加温する必要がある場合、これに必要なコストも無視出来ないものがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる問題点を解決せんとしてなされたもので、2重管ノズルの内側管で50(m/sec)〜音速の噴出流を作成しエジェクタ効果により供給口付近の空気圧を5KPa程度以下の汎用の機械的シールで安定した供給が出来る範囲に維持する。
同時に、この内側管の外縁に配置された2重管ノズルの外側管により噴出流の外周に汎用の機械的シールの適用可能な5KPa程度以下の圧力で40(m/sec)以下の流速の外層流を形成し供給粉粒体を滞留、付着する事なくスムーズに拡散、加速させる。
又、付着性が強く拡散性の悪い粉粒体或は供給量が多い場合には外側管に案内羽を配置し外層流を旋廻させる事により拡散性を向上する。
水分等により容易に凝集し勝ちな粉粒体に対しては最初に粉粒体と接触する外層流のみを加温しておき速やかに拡散させる。
【発明の効果】
【0005】
本発明により次の効果が実現出来る。
(イ) 高い輸送空気圧を必要とする条件に対しても構造の簡単な圧送方式で、且、供給精度の高い粉粒体空気輸送装置を実現出来る。
(ロ) 1台で複数の供給口を有する粉粒体供給機の様に供給口相互の圧力差による影響が発生し易い条件に対しても供給精度の高い粉粒体空気輸送装置を実現出来る。
(ハ) 付着性が強く拡散性の悪い粉粒体にも適用可能な粉粒体空気輸送装置を実現出来る。
(ニ) 搬送空気の加温が必要な条件に対しても加温に必要なコストを低減出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に本発明の実施の形態を実施例となる図面を参照して説明する。
(イ) 2重管ノズルの内側管(1)により形成されるエジェクタ効果により粉粒体供給口(3)の圧力は汎用的方式での機械的シール(7)が可能な5KPa程度以下のレベルに維持される。
(ロ) 供給粉粒体(5)は内側管(1)の外周に配置された外側管(2)により形成される外層流(4)によって安定的に拡散、加速されるので例え拡散性の悪い粉体であっても適切な供給精度が維持され、又、噴出流部の磨耗促進も抑止される。
(ハ) 外層流(4)の流量を制御する事により内側管(1)によるエジェクタ効果の程度を容易に制御する事が出来るので調整弁(9)お呼び減圧弁(8)により外層流(4)を調整するだけで圧力、流量の制御を容易に行う事が出来る。
(ニ) より付着性が強く拡散性の悪い粉粒体に対しては案内羽(6)を付設し外層流(4)を旋廻流とする事で拡散性を向上せしめ安定した供給が維持できる。
(ホ) 水分等により容易に凝集し勝ちな粉粒体に対しても最初に供給粉粒体と接触する外層流(4)を空気予熱器(10)により水露点(概55℃程度)以上の温度とする事で拡散、加速を速やかに行わせる事が出来、輸送空気全体を加温する必要が無く経済的な空気輸送系を実現出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は本発明の断面図
【図2】は本発明を複数の供給口を持つ粉粒体供給装置に配置した例
【符号の説明】
【0008】
1 は2重管ノズルの内側管
2 は2重管ノズルの外側管
3 は粉粒体供給口
4 は外層流
5 は供給粉粒体
6 は案内羽
7 は汎用の機械的シール
8 は減圧弁
9 は流量調整弁
10は空気予熱器
11は2重管ノズル用搬送空気源
12は2重管ノズル無しの供給口
13は複数の供給口を持つ粉粒体供給装置
14は粉粒体貯留槽




【特許請求の範囲】
【請求項1】
エジェクタ効果を利用した圧送式粉粒体空気輸送装置の粉粒体供給部付近に50(m/sec)〜音速の流速を持つ内層流とこの外周に配置された5〜40(m/sec)の流速を持つ外層流の流速の異なる2重管ノズルを配置することを特徴とする空気輸送用粉粒体供給装置。
【請求項2】
請求項1に示す2重管ノズルにおいて外側管部に案内羽を配置し外層流を旋回させる事を特徴とする空気輸送用粉粒体供給装置。
【請求項3】
請求項1に示す2重管ノズルにおいて外側管搬送空気に水露点(通常の大気圧条件下で概55℃以上)の温度を持たせる事を特徴とする空気輸送用粉粒体供給装置。
【請求項4】
1台で複数の供給口を有し各供給口に各々2重管の流速を変えた請求項1〜3記載の2重管ノズルを配置するか、又は、同2重管ノズルと2重管ノズル無しの供給口を組み合わせて配置する事を特徴とする空気輸送用粉粒体供給装置。





















【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−292563(P2009−292563A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146370(P2008−146370)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(301014580)
【Fターム(参考)】