説明

2,2’−MDIベースイソシアネート混合物及びその製造と使用

本発明は、2,2'−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2'−MDI)に基づくイソシアネート混合物、その製造方法及びポリイソシアネート重付加生成物の製造におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,2'−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2'−MDI)に基づくイソシアネート混合物、その製造方法及びポリイソシアネート重付加生成物の製造におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
MDIという用語には、工業的に重要であるが構造的に異なる多数のイソシアネートが含まれる。そのようなイソシアネートには、2つの芳香族構造要素がメチレン架橋基により相互に結合されているモノマー(モノマーMDI)及び2つを超える芳香族構造要素が複数のメチレン架橋基により連続して結合されているより高分子量のオリゴマー(ポリマーMDI)の両方が含まれる。
【0003】
ユーザーの立場からすると、可能ならば4,4'−及び2,4'−異性体又はこれら2種の異性体の混合物を得ることが重要である。
【0004】
モノマーMDI対ポリマーMDIの比、及びモノマーMDI中の4,4'−異性体と2,4'−異性体の割合は、前駆体の調製の為の合成条件を変えることにより、広い範囲内で変化させることができる。
【0005】
MDI合成において得られた粗MDIの分離は、ほとんどの場合、蒸留により行われ、蒸留により、技術的条件に依存して、例えば97.5wt.%以上の4,4'−MDI含量を有する異性体的にほぼ純粋な留分又は4,4'−及び2,4'−MDIがそれぞれ約50wt.%含まれる異性体混合物を分離することができる。
【0006】
ごく最近では、2,4'−異性体に対する要求が更に増しつつある。これは、実質的に、2,4'−MDIの2位及び4位にあるNCO基の異なる反応性(2,4−トルイレンイソシアネート(TDI)の2位及び4位にあるNCO基の反応性の差異に類似)に起因する。
【0007】
このような反応性の相違により、低モノマーNCOプレポリマーの合成が可能になり、あるいは促進される。(NCOプレポリマーは、最終ポリマーの製造中に単離することができる中間体であり、その分子鎖末端に未変化NCO基を有する。)NCOプレポリマーは、ポリオールを(NCO反応性基又はNCO基に基づいて)モル過剰のイソシアネートと、室温から約100℃の温度で、反応させることにより得られる。
【0008】
非対称イソシアネート(異なる反応性を有する少なくとも2つのNCO基を有するイソシアネート)の場合、好ましくは、1つのNCO基のみがポリオールと反応し、他のNCO基は変化しない。従って、このプレポリマー化は、NCO基が異なる反応性を有していないイソシアネートを使用する従来技術の多くのNCOプレポリマーの場合よりも、制御が非常に簡単である。比較すると、(後者は)常により多量の遊離モノマージイシソアネートを含む。
【0009】
2,4−TDIの場合、低モノマーないし事実上モノマー不含有のNCOプレポリマーの調製が非常に望ましい。これは、2,4−TDIが高い蒸気圧を有しており、未反応2,4−TDIを含むポリマーは、健康上非常に高いリスクを伴うからである。この点に関して、脂肪族ジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)に基づくNCOプレポリマーは、より問題が大きいと考えられている。
【0010】
このことは、MDIの場合にも考慮されるが、TDIに比べて蒸気圧が低いので、考慮の程度は小さい。
【0011】
TDI又は低モノマーTDIプレポリマーが現在の技術水準であり、純2,4'−MDI含有プレポリマーの使用は、市場では比較的新しいことである。
【0012】
低モノマーNCOプレポリマーの製造は、いくつかの方法で行うことができる:
1.技術的に複雑な薄層又は短経路蒸留による遊離モノマージイソシアネートの除去。この方法は、同じ又は異なる反応性のNCO基を有するジイソシアネートを使用するかどうかにかかわらず、採用できる。この方法では、例えば共留剤を使用することもできる。
2.異なる反応性のNCO基を有するジイソシアネート又は同じ反応性のNCO基を有するジイソシアネート、及び特別に選択された化学量論比、例えば、2:1未満のNCO基対NCO反応性基のモル比、並びに/若しくは場合により特別な触媒の使用。
3.上記2つの方法の組み合わせ。例えば、遊離モノマージイソシアネート含量を、最初に方法2に従って特定の範囲に制限し、次いで、方法1により、更に少なくする。
【0013】
このような組み合わせは、プレポリマーの粘度を最小にしなければならない場合、好都合である。方法2の問題点は、基本的に、化学量論比、特に2:1未満での反応により、予備延伸が生じ、従って、反応生成物の粘度の特有の著しい上昇が起こることである。
【0014】
WO 01/40340 A2 は、そのような方法の組み合わせの例を示しており、第1工程で、選択性が向上した触媒を用いてジイシソアネートを反応させて、NCOプレポリマーを得、次いで、NCOプレポリマーから、過剰のモノマーを薄層蒸留により除去する。
【0015】
特に重要な用途、例えば、食品分野の用途には、残留モノマー量に対する特に高い要求(職場での健康管理)が存在する。これは、TDIにもほぼ当てはまり、ある場合にはMDIにも当てはまる(上記参照)。その表れは、低モノマーMDIプレポリマーにも関係する多くの刊行物又は特許文献、例えばWO 03/006521、WO 03/033562、WO 03/055929、WO 03/051951、WO 93/09158 及び EP 0 693 511 A1 である。
【0016】
上記の理由から、指摘したように、最近2,4'−MDIに対する需要が増している。しかしながら、方法の故に、原理的に、これまで有用でないと考えられてきた2,2'−MDIの量が増す結果となる。例えば、WO 2007/087987 には、「モノマーMDIの場合、合成方法の故に、4,4'−及び2,4'−異性体が主である。頻度が低く、市場価値がほとんどない2,2'−異性体も、少量ではあるが生成する。」と記載されている。
【0017】
その理由は、一つには、純2,2'−MDIが工業的に使用されず、2,2'−異性体を含む処方は、多くの場合、このモノマーが非常にゆっくりと反応し、従ってより不完全にしか反応しないという欠点を有するからである。このことから、例えば、食品包装材を結合する場合に望ましくない移行(ミグレーション)が起こったり、発泡体の吹き出しが生じたりすることがある。
【0018】
2,2'−MDI又はそれを含む処方は、従って、不要物と考えられ、費用が掛かる方法で廃棄しなければならない。
【0019】
以下においてより詳細に記載する発明の別の側面は、2,2'−MDIを含むイソシアネート混合物の反応速度を制御するために2,2'−MDIを使用する可能性に関係する。MDI混合物の反応速度を制御するために、とりわけ、以下の方法が先行技術に記載されている。
1.高い毒性に付随する欠点を有するTDI又はTDIプレポリマーとの混合物。TDIモノマーのより高い蒸気圧の故に、許可された0.5%の残留含量でも、不快な臭い及び障害をもたらす。
2.可塑剤の形の増量剤又は一般に炭化水素。例えば、フタレート(例えばDINP)、又は別の可塑剤、例えば2−シクロヘキサン−ジカルボン酸ジイソノニルエステル、アセチルトリブチルシトレート、若しくは溶媒、例えばエチレン/プロピレンカーボネート、二塩基性エステル(DBE)、ソルベントナフサ及びベンジンを使用することができる。この場合の欠点は、主として性能の低下及び非化学的に結合された添加剤の移行のリスク並びに付随して生じる性質の経時変化である。
3.異性体分離における高い費用及び関連する経費の不利を伴う、高含量(>85%)の2,4−MDI、WO 2007/087987 参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】WO 01/40340 A2
【特許文献2】WO 03/006521
【特許文献3】WO 03/033562
【特許文献4】WO 03/055929
【特許文献5】WO 03/051951
【特許文献6】WO 93/09158
【特許文献7】EP 0 693 511 A1
【特許文献8】WO 2007/087987
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
そこで、本発明の目的は、工業的に生成するが、これまで非常に望ましくないとされていた2,2'−MDIの可能な用途を見出すことである。見出される可能な用途は、得られる生成物の加工条件又は(物理的)性質を損なってはならない。可能なら、そのような用途は、先行技術を改良するものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的は、本発明のイソシアネート混合物により達成することができる。
本発明は、2〜22wt.%のNCO含量を有するイソシアネート混合物であって、
(a)1.5〜18wt.%のNCO含量を有するNCOプレポリマー、及び
(b)イソシアネート混合物に基づいて1〜40wt.%の量のモノマー2,2'−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)
を含むことを特徴とするイソシアネート混合物を提供する。
【0023】
イソシアネート混合物は、好ましくは、4〜17wt.%のNCO含量を有し、NCOプレポリマーは、好ましくは、2.5〜15wt.%のNCO含量を有する。イソシアネート混合物は、好ましくは2〜25wt.%、特に好ましくは2〜18wt.%、最も好ましくは3〜15wt.%のモノマー2,2'−MDIを含む。
【0024】
NCOプレポリマーは、有機ポリイソシアネートと不十分な量で使用されるNCO反応性化合物との反応中に生成するプレポリマーである。イソシアネートとしては、好ましくは、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'−MDI)、2,4'−MDI、2,2'−MDI、ポリマーMDI、及びこれらの混合物、変性MDI(変性は、多くの場合、ウレトジオン、イソシアヌレート又はアロファネート基の導入により行われる)、トルイレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H12−MDI(水素化MDI)、及び上記化合物のブレンドが使用される。NCO反応性化合物としては、好ましくは、ポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアルコール)及びポリエーテルポリアミンが使用される。
【0025】
イソシアネートプレポリマーの製造には、好ましくは、平均で少なくとも1.5個、好ましくは2〜4個の、イソシアネート基反応性水素原子を有する化合物、好ましくは、ヒドロキシ−又はアミン末端化化合物、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアルコール、ポリアミン又はこれらの混合物を使用することができる。より好ましくは、2〜4、特に2の官能価及び200〜10000g/モル、好ましくは500〜5000g/モル、特に好ましくは1000〜4000g/モル、最も好ましくは約2000g/モルの分子量を有する化合物を使用することができる。特に好ましいのは、1000〜4000g/モルの分子量を有するポリエーテルジオールである。
【0026】
ポリオールは、場合により、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物を含んでいてよい。
【0027】
イソシアネート混合物は、更に、通常のレオロジー改良剤(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、二塩基性エステル、クエン酸エステル)、安定剤(例えば、塩酸、リン酸、塩化ベンゾイル、有機鉱酸(リン酸ジブチルなど)、アジピン酸、リンゴ酸、コハク酸、ラセミ酸又はクエン酸などのブレンステッド酸及びルイス酸)、UV安定剤(例えば、2,6−ジブチル−4−メチルフェノール)、触媒(例えば、トリアルキルアミン、ジアザビシクロオクタン、スズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、N−アルキルモルホリン、オクタン酸鉛、亜鉛、スズ、カルシウム及びマグネシウム、対応するナフテネート及びp−ニトロフェノレート、及び/又は水銀フェニルネオデカノエート)、加水分解安定剤(例えば、立体障害カルボジイミド)、乳化剤、充填剤(例えば、白亜)、後に生成されるポリウレタン/ポリウレアに所望により配合される着色剤(従って、着色剤はツェレヴィチノフ活性水素原子を有する)、及び/又は着色顔料を含むことができる。
【0028】
別の助剤及び添加剤には、乳化剤、気泡安定剤、気泡調節剤及び充填剤が含まれる。これに関する概説は、G. Oertel, Polyurethane Handbook, 第2版(Carl Hanser Verlag, ミュンヘン)1994年, 第3.4章に記載されている。
【0029】
また、本発明は、
A)有機ポリイソシアネートを、不十分な量のNCO反応性化合物と反応させ、
B)工程A)で生成したNCOプレポリマーに、20〜70wt.%の2,2'−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、30〜80wt.%の2,4'−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)及び0〜10wt.%の4,4'−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)の混合物を添加する
ことを特徴とする、本発明のイソシアネート混合物を製造する方法を提供する。
【0030】
更に、本発明は、
A)20〜70wt.%の2,2'−MDI、30〜80wt.%の2,4'−MDI及び0〜10wt.%の4,4'−MDIの混合物、並びに
所望により、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'−MDI)、2,4'−MDI、2,2'−MDI、ポリマーMDI及びこれらの混合物、変性MDI、トルイレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H12−MDI(水素化MDI)及びこれらのブレンドから成る群から選択される更なるポリイソシアネート
を含むブレンドを、
B)NCO反応性成分と
反応させることを特徴とする、本発明のイソシアネート混合物の製造方法を提供する。
【0031】
加えて、本発明は、
i)本発明のイソシアネート混合物、及び
ii)NCO反応性化合物を
iii)所望により、触媒
iv)所望により、充填剤
v)所望により、助剤及び/又は添加剤
の存在下に、反応させて得られるポリイソシアネート重付加生成物を提供する。
【0032】
NCO反応性化合物として、好ましくは、62〜600の分子量及び2〜4の官能価を有する鎖延長剤及び/又は架橋剤、並びに所望により、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアルコールから成る群から選択されるポリオール、ポリアミン及びポリエーテルポリアミンが使用される。また、NCO反応性化合物として、水/大気水分を、それ単独で又は他のNCO反応性化合物と組み合わせて、使用することもできる。
【0033】
本発明は更に、本発明のイソシアネート混合物を、場合により触媒、充填剤、助剤及び/又は添加剤の存在下に、NCO反応性化合物と反応させる、ポリイソシアネート重付加生成物の製造方法も提供する。
【0034】
この製造方法は、好ましくは、通例のレオロジー改良剤、安定剤、UV安定剤、触媒、加水分解安定剤、乳化剤、充填剤、所望により結合可能な着色剤(ツェレヴィチノフ活性水素原子を有する)及び/又は着色顔料の存在下に、実施される。このような種類の化合物の具体例については、本発明のイソシアネート混合物の製造方法に関連して記載した例と同じものが挙げられる。
【0035】
本発明のイソシアネート混合物の成分としてプレポリマーを経る合成経路の場合、反応熱の一部はプレポリマーの合成時に発生しており、従って、実際のポリマー合成における反応熱は小さくなるので、有利である。このことは、分子量の増大速度に対する有利な効果であり、より長い成形時間を可能し、換言すれば、加工に関する利点となる。不利な点は、NCO含量が減少するにつれて反応性が増すことである。
【0036】
2,2'−MDI又は2,2'−MDIの割合が高い混合物の目的とした使用又は目的とした添加により、反応速度を所望どおりに制御することができ、上記した従来技術の不利益、例えば毒性や性質の制限を解消できるということは、予想外のことである。長い反応性(反応性の持続)により、有利な離型時間が達成できることも、予想外のことである。特にTDIプレポリマーと比べて改良された加水分解安定性も、予想外のことである。
【0037】
特に、本発明のイソシアネート混合物は、反応速度の低下の故に、加工がより容易である。加えて、従来技術のイソシアネート混合物とは対照的に、反応性が高すぎる化合物(例えば、ポリアミンのようなアミン系鎖延長剤及び/又は架橋剤)との反応も可能である。
【0038】
本発明のイソシアネート混合物を使用すると、より長い加工時間という利点が得られる。
【0039】
方法は、例えば、水、特に大気水分の存在下で、イソシアネート混合物を反応させることにより、実施することができる。大気水分の「使用」は、本発明のイソシアネート混合物を1K(1成分)系として使用することに相当する(何故なら、イソシアネートの他には、どのような反応成分も加える必要がないからである)。大気水分は、NCO基と十分にゆっくり反応してアミン基を形成し、同時に硬化も十分に進行する。ほとんどの場合、このような系は、その場で (in situ) 適用される。
【0040】
あるいは、方法は、イソシアネート混合物を少なくとも1種のポリオール成分及び/又は少なくとも1種のアミン成分と、特に鎖延長剤及び/又は架橋剤と反応させることにより、実施することもできる。これは、2K(2成分)系での反応に相当する。また、加圧下に水で架橋することも可能であり、このようにして得られる生成物は、その場で使用される。
【0041】
ポリウレアスプレーエラストマーも、本発明のイソシアネート混合物から得ることができる。
【0042】
一般に、イソシアネートに対して反応性である成分は、少なくとも50wt.%、好ましくは少なくとも80wt.%の1種以上の記載したポリエーテルジオールを含む。アミンとして、成分bi)として以下に詳細に記載する化合物を使用することができる。生成するプレポリマーa)の平均官能価は、ほとんどの場合、2.6未満、好ましくは2.2未満である。アミンb)の主成分として、bi)少なくとも1種のポリオキシアルキレンアミン、好ましくは少なくとも2種のポリオキシアルキレンアミン、いわゆるポリエーテルアミン、すなわち、200〜5000g/モル、特に2000〜5000g/モルの分子量を有する、アミン末端化ジ−又は高官能性ポリアルキレンオキシド(一般的にはポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン)を使用する。アミン末端化PTHFを使用することもできる。ポリエーテルアミンのアミン基は、特に1級アミン基である。記載したように、1種のポリエーテルアミンのみを使用することも可能である。ポリエーテルアミンbi)は、特に、ジアミン又はトリアミンである。そのような化合物は、例えば、HuntsmanからJeffamineTMとして、又はBASFからポリエーテルアミンとして、市販されている。ポリアミンは、多くの場合、対応するポリアルコールの接触アミノ化により調製される。ポリオキシアルキレンアミンbi)は、主として、ポリウレアスプレーエラストマーの軟質相を合成するために使用される。使用するアミンbi)の少なくとも一部分を、ポリエーテロールにより代替することができる。先に記載したように、ポリエーテルアミン及びポリエーテロールの両方を含むアミン成分は、ハイブリッド又は混合ポリウレア−ポリウレタン系と称される。本発明におけるアミン成分中のアミン末端化ポリエーテルのヒドロキシ末端化ポリエーテルと比べた割合は、好ましくは50wt.%を超え、特に好ましくは、アミン成分は、実質的にアミン末端化ポリエーテルから成る。
【0043】
成分b)は更に、鎖延長剤として、bii)低分子量の、一般に芳香族であるジアミン(bi)以外)を含むことができる。このような化合物はほとんど、150〜500g/モルの範囲の分子量を有する。鎖延長剤bii)のアミン基は、1級又は2級である。ポリウレアスプレーエラストマーでよく使用される鎖延長剤は、ジエチレントルエンジアミン(DETDA)である。脂肪族アミンより反応性が小さい成分として、DETDAは、系の硬化挙動を支配する。従って、イソシアネートに対する反応性が低い別の鎖延長剤により、ゲル化時間を制御することができる。光安定ポリウレアスプレーエラストマーを得るために、脂肪族鎖延長剤を使用することも可能である。更に別のアミン鎖延長剤を使用することもでき、そのようなアミン鎖延長剤は、例えば、4,4'−メチレンビス−(2,6−ジエチル)−アミン(MDEA)、4,4'−メチレンビス−(2,6−ジイソプロピル)−アミン(MDIPA)、4,4'−メチレンビス−(3−クロロ−2,6−ジエチル)−アミン(MCDEA)、ジメチルチオトルエンジアミン(DMTDA、EthacureTM 300)、又は2級アミン官能基を有する反応遅延鎖延長剤、例えばN,N'−ジ(sec−ブチル)−アミノ−ビフェニルメタン(DBMDA、UnilinkTM 4200)又はN,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン(UnilinkTM 4100)である。
【0044】
必ずしも必要ではない組成物の更なる成分は、例えば、希釈剤、多くの場合反応性希釈剤(使用する場合は、通常イソシアネート成分に加える)である。イソシアネート成分の反応性希釈剤の例は、アルキレンカーボネートである。しかしながら、反応性希釈剤の添加は、ポリウレアスプレーエラストマーの物理的性質及び耐老化性を損なう可能性がある。アミン成分への添加剤の添加は、加工可能な粘度により制限される。そのような添加剤は、顔料、接着促進剤、UV安定剤、酸化防止剤又は他の充填剤である。成分b)は、特に磨耗改良材を更に含むことができる。磨耗改良材として、好ましくは、シリコーン変性アルコール、特にグリコールが使用される。系は、通例、噴霧により適用され、この場合、成分は、スプレーガンから吐出される前に、スプレーガンの混合ヘッドにおいて高圧及び高温で混合され、従って反応される。スプレーされる際のポリイソシアネートとアミン成分との容量比は、好ましくは1:1であるが、30:70〜70:30(vol.%)であってもよく、好ましくは1.1:1までである。
【0045】
スプレーする表面は、特に表面が湿潤している場合、接着性を増すために、プライマーにより予め処理することができる。同様に、特に湿潤基材への接着の為に、接着改良剤を、B−成分又は好ましくはR−成分に添加することもできる。プライマーの例は、シロキサン及び官能化シロキサンである。特に、エポキシアミノシラン又はビニルアルコキシシランを挙げることができる。市販されているプライマーの更なる例は、チタネート、例えばネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(m−アミノ)フェニルチタネート、又はジルコネート、例えばネオペンチル(ジアリル)オキシトリ−(メチレンジアミノ)エチルジルコネートである。更に使用できるプライマーは、1K又は2Kポリウレタン系(1成分又は2成分系、下記参照)、ポリビニルアミン、ポリアクリレート又はエポキシ樹脂である。適用する前に、プライマーは、水又は他の溶媒中に、分散、乳化又は溶解することができる。ポリウレアスプレーエラストマーの製造に際し、イソシアネート基対イソシアネート基に反応性である基(特に、上述のようにアミン基)の比は、ほとんどの場合、0.90〜1.20、特に1.05〜1.15である。使用するイソシアネートプレポリマー中の2,2'−MDIの含量を増すことにより、得られるポリウレア組成物の反応性が低下して、ゲル化時間が数秒長くなることが分かっている。
【0046】
ポリウレアスプレーエラストマーの代表的な応用分野は、塗料、特にコンクリートの補修及び水に対する保護(屋根の被覆及び駐車場、橋梁及びトンネルの補修)、いわゆる「二次格納」(secondary containment)(化学薬品、廃水又は油用タンクの受器、又は有害物質の集積所の被覆)、腐食保護(貨物船、トロッコ、ピックアップトラック及び貨車の積載部分)、又はいわゆる「一次格納」(primary containment)(下水管マンホール、浄化設備)である。ポリウレアスプレーエラストマーは、少なくとも2官能性のイソシアネートと少なくとも2官能性の1級又は2級アミンの反応生成物である。アミンとして、通常使用される高分子量ポリエーテルアミン及び低分子量アミン鎖延長剤が挙げられる。アミン成分は、この技術分野ではしばしばR−成分と称されるが、通例、1級脂肪族ポリエーテルアミン及び通常の芳香族鎖延長剤の混合物である。ポリウレア組成物のアミン成分の主成分は、ポリエーテルアミン、すなわち200〜5000g/モルの分子量を有するアミン末端化ジ−又は高官能性ポリエチレン又はポリプロピレンオキシドの混合物である。脂肪族アミンは、鎖延長剤の芳香族成分よりも速く反応し、主としてポリウレアスプレーエラストマーの軟質相を合成するのに役立つ。ポリウレア組成物に従来使用されている鎖延長剤は、ジエチレントルエンジアミン(DETDA)である。脂肪族アミンに比べて反応性が低い成分であるので、DETDAは、系の硬化挙動を支配する。光安定ポリウレアを合成するために、脂肪族鎖延長剤も使用される。大部分芳香族である鎖延長剤は、主としてポリウレアスプレーエラストマーの硬質相に組み込まれる。記載したように、ポリウレアスプレーエラストマーは、主として塗料として使用される。そのために、その液体出発成分(通例、系又は処方と称される)は、高圧下で混合され、被覆すべき表面に噴霧され、硬化される。反応時間は、通常、数秒である。最適な加工及び製品特性を得るために、液体出発成分の粘度をできるだけ低く保つか、あるいはイソシアネート成分とアミン成分の粘度をほぼ等しくするのが望ましい。このようにしてのみ、非常に反応性が高い成分の適切な混和性を確保することができる。混合を失敗すると、表面特性が低下する。低粘度系は、より簡単に加工できる。すなわち、低粘度系は、より低い圧力及び温度において加工することができる。更に、反応性出発成分が被覆すべき表面上で完全に硬化する前に該成分を最適に分配するために、反応は非常に急速に進行してはならない。
【0047】
キャストエラストマーを製造するには、本発明のイソシアネート混合物を鎖延長剤と反応させる。
【0048】
本発明に従った方法によるPURキャストエラストマーの製造の特に好ましい態様では、まず、イソシアネート混合物を減圧下に室温又は高温で脱気し、次いで、多くの場合高温で、鎖延長剤と混合する。この方法において、イソシアネート混合物は、好ましくは、攪拌しながら、40〜110℃の温度に加熱され、減圧下に脱気される。次いで、鎖延長剤及び/又は架橋剤が添加されるが、その際、所望により、典型的には鎖延長剤及び/又は架橋剤の融点より少なくとも5℃高い温度に加熱される。反応混合物は、容器外に取り出され、及び/又は開放又は閉鎖金型に導入される。
【0049】
好ましい鎖延長剤は、芳香族アミン鎖延長剤、例えばジエチルトルエンジアミン(DETDA)、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン(MBOCA)、3,5−ジアミノ−4−クロロイソブチルベンゾエート、4−メチル−2,6−ビス(メチルチオ)−1,3−ジアミノベンゼン(Ethacure 300)、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエート(Polarcure 740M)及び4,4'−ジアミノ−2,2'−ジクロロ−5,5'−ジエチルジフェニルアミン(MCDEA)である。MBOCA及び3,5−ジアミノ−4−クロロイソブチルベンゾエートが特に好ましい。脂肪族アミン鎖延長剤も同様に使用でき、あるいは芳香族アミン鎖延長剤と併用することもできる。本発明のイソシアネート混合物は、既知のプレポリマーに比べて反応性が非常に低いので、アミンの使用が可能である。従って、非常に反応性が高いアミンとの反応も可能になる。このようなことは、MDIに基づく既知のプレポリマー又はイソシアネート混合物では、可能ではなく、MDIに基づく既知のプレポリマー又はイソシアネート混合物は、ジオール、例えばジエチレングリコール又は1,4−ブタンジオールと反応される。
【0050】
ポリイソシアネート重付加生成物の製造では、NCO反応性化合物として、10〜400mg KOH/gの範囲、好ましくは27〜150mg KOH/gの範囲、特に好ましくは27〜120mg KOH/gの範囲のOH価及び1.8〜2.4の平均官能価を有するポリオールを好ましく使用することができる。ポリオールとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルエステルポリオールを使用することができる。
【0051】
ポリエーテルポリオールは、出発化合物及びエポキシド、好ましくはエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドから、アルカリ触媒又は複金属シアン化物触媒を用いて、段階反応の場合にはアルカリ触媒及び複金属シアン化物触媒を用いて、調製することができ、末端ヒドロキシル基を有する。出発化合物として、当業者には既知であるヒドロキシル基及び/又はアミノ基を有する化合物、あるいは水を挙げることができる。出発化合物の官能価は、少なくとも2であり、4を超えない。もちろん、複数の出発化合物の混合物も使用することができる。複数のポリエーテルポリオールの混合物も、ポリエーテルポリオールとして使用することができる。
【0052】
ポリエステルポリオールは、4〜16個の炭素原子を有する脂肪族及び/又は芳香族ポリカルボン酸、場合によりその無水物又はその低分子量エステル(環状エステルを含む)から、重縮合により、それ自体既知の方法で調製し、反応成分としては、主として、2〜12個の炭素原子を有する低分子量ポリオールを使用する。ポリエステルポリオールの為の鎖延長剤の官能価は、好ましくは2であるが、個々の場合に2を超えてもよい。2を超える官能価を有する成分は、ポリエステルポリオールの計算した数平均官能価が2〜2.5の範囲、好ましくは2〜2.1の範囲になるように、少量でのみ使用される。あるいは、ポリエステルポリオールは、例えばε−カプロラクトンの場合のように、開環重合により調製することもできる。
【0053】
ポリエーテルエステルポリオールは、ポリエステルポリオールの合成にポリエーテルポリオールを併用することにより調製する。
【0054】
ポリカーボネートポリオールは、炭酸誘導体、例えば炭酸ジメチル又は炭酸ジフェニル若しくはホスゲン、及びポリオールから、重縮合により、従来技術に従って得る。
【0055】
ポリイソシアネート重付加生成物の製造は、更なる無機及び/又は有機充填材並びに/若しくは助剤、特に顔料、ゴム顆粒、再生顆粒、繊維、石英石、木質繊維及び/又は砂の存在下に、実施することもできる。
【0056】
本発明のポリイソシアネート重付加生成物は、塗料、バインダー、床仕上げ材、接着促進剤、接着剤、充填用コンパウンド、壁装材として使用される。
【0057】
本発明のポリイソシアネート重付加生成物は、プーリー、ホイール、ロール、樹脂、成形品、フィルター、スクレーパー及びバンパーの製造に使用される。
【0058】
本発明のポリイソシアネート重付加生成物は、自動車産業、リクリエーション分野、スポーツ分野、機械及びプラント建設、電気及び電子産業、鉄道建設及び鉱業において使用される。
【0059】
本発明のイソシアネート混合物の特に重要な用途は、1K及び2K塗料組成物の製造である。イソシアネート混合物を、6〜25%のゴム顆粒(例えば、SBR、EPDE)、粒子寸法0.5〜50nmの再生顆粒及び/又は0.1〜50nmの長さの繊維及び/又は粒子寸法1〜20nmの鉱物添加剤と混合し、加工して、運動用床の弾性層を造る。また、イソシアネート混合物を、10〜25%のゴム顆粒(例えば、SBR、EPDE)、粒子寸法0.5〜50nmの再生顆粒及び/又は繊維、更に上記成分の混合物と混合し、加工して、運動競技場、レクリエーション領域及び子供用運動場を造る。10〜15%のケイ砂及び装飾用石英石と混合し、加工して、スケート場又は(歩行用)道路を造ることも、通常行われる。イソシアネート混合物を10〜40%の木質繊維材と混合し、加工して、自然公園の道路を造る。8〜20%のゴム顆粒と混合した場合、スポーツ用、レクリエーション用、子供用運動場用のマット及び絶縁マットを製造するためのいわゆるシリンダーを製造するのにも使用できる。ゴム顆粒とのブレンド中に15〜25%のイソシアネート混合物を含むものは、庭園及びリクリエーション施設の装飾シートを製造するのに使用できる。イソシアネート混合物は、上記の分野において、2K系にも使用でき、25〜50%のイソシアネート混合物が硬化剤として機能する。イソシアネート混合物を、いわゆる1K及び2K包囲被覆において、7〜18%の量でゴム顆粒と共に使用することもできる。得られる被覆されたゴム顆粒は、好ましくは、人工芝の(隙間)充填材料として使用する。
【0060】
本発明のイソシアネート混合物は、人工芝、繊維製及び木製床材、絶縁マット、ゴムマット並びに装飾シートを接着結合するための1K及び2K接着剤としても使用できる。また、イソシアネート混合物に基づく1K及び2K噴霧塗料として、弾性基材(例えば、ゴム顆粒マット)又は硬質基材(例えば、アスファルト又はコンクリート)に使用でき、この塗料は、所望により、5〜80%の構造充填剤(例えば、SBR、EPDM、TPE−S顆粒又はPUチップ)を含んでもよい。イソシアネート混合物に基づく1K及び2K接着促進剤又はプライマーは、上記と同様に、基材、例えばアスファルト、セメント結合基材、木材又は木材チップ、スポーツ用、リクリエーション用又は子供用運動場の床に使用できる。更に可能な用途は、2K系では、弾性又は硬質基材への流し塗りであり、塗布は、一層又はそれ以上で行うことができ、また、所望により、充填用顆粒(特に、粒子寸法0.5〜5mmのEPDM顆粒)を用いることができる。本発明のイソシアネート混合物は、基材の孔を塞ぐための2K充填用コンパウンドとして使用することもできる。
【0061】
本発明に従った1K系は、水分硬化系である。硬化工程は、水を加えることなく、その場で(in situ)実施でき(硬化は、大気水分により起こる)、あるいは、所定の水を添加して、場合により加圧下で、工業的な製造工程により実施できる。
【0062】
本発明を、以下の実施例により、より詳細に説明する。
【実施例】
【0063】
以下、全てのパーセント(%)は、別途記載がないかぎり、wt.%である。
【0064】
イソシアネート混合物の調製:
イソシアネート混合物を反応器に入れ、攪拌しながら40〜60℃に加熱した。ポリオール化合物を攪拌しながら添加し、選択した化学量論量から予測される理論NCO含量にほぼ達するまで、攪拌を続けた。次いで、場合により触媒を添加した。安定剤としての酸を場合により添加した後、反応混合物を冷却した。
【0065】
表1に、上記手順に従って調製した実施例1〜5のイソシアネート混合物を示す。また、大気水分により硬化した1Kポリウレタンのいくつかの性質も示す。
【0066】
【表1】

【0067】
実施例5と比較して、本発明に従った実施例1〜3は、反応がかなり遅く始まった(約40%の改良)という事実により際だっている。硬化時間が約30%長くなったが、なお工業的に好都合な範囲にあることは、特に有利なことである。実施例4では、反応開始の遅延は実施例1〜3に匹敵するが、より短い硬化時間のほうがが有利である。実施例1〜3ではTDIを使用しなかったという点に加え、これら実施例における更なる重要な利点は、伸びが大きいのと同時に、非常に改良された加水分解安定性及びより大きい引張強さである。
【0068】
NCOプレポリマーの調製:
NCOプレポリマーAの調製:
18.89重量部の2,4'−MDIを50℃で容器に入れた。次いで、50℃に予熱した81.11重量部のポリエステル(アジピン酸及びエチレングリコールから調製;OH価56)を攪拌しながら加えた。80℃で7時間の反応時間の後、反応を完了した。以下の性質を有する生成物を得た。
NCO含量:2.98%
粘度(70℃):4800mPas
【0069】
NCOプレポリマーBの調製:
26.67重量部の2,4'−MDIを50℃で容器に入れた。次いで、50℃に予熱した73.33重量部のポリエーテル(INVISTA製 TerathaneTM 1000;OH価112)を加えた。80℃で2時間の反応時間の後、反応を完了した。以下の性質を有する生成物を得た。
NCO含量:2.75%
粘度(70℃):5400mPas
【0070】
イソシアネートC:
36.9%の2,2'−MDI、59.2%の2,4'−MDI及び3.9%の4,4'−MDIから成るイソシアネート混合物
【0071】
イソシアネート混合物の調製:
上記NCOプレポリマーを、表2に示す量でイソシアネートCと混合し、均一になるまで80℃で1時間攪拌した。表2に示す性質を持つ混合物を得た。
【0072】
【表2】

【0073】
混合物M1〜M5及びM6〜M7とBaytecTM XL 1604 (Bayer MaterialScience AG製;3,5−ジアミノ−4−クロロイソブチルベンゾエート)から調製したキャストエラストマーの性質を、表3に示す。
【0074】
キャストエラストマーの調製:
100重量部のイソシアネート混合物を、気泡が無くなるまで、ゆっくり攪拌しながら90℃において減圧下に脱気した。次いで、全量を、100℃に予熱したBaytecTM XL 1604 と混合した。均一な溶融物を、110℃に予熱した金型に注入し、110℃で24時間保持した。その後、キャストエラストマーの性質を測定した。
【0075】
M6は、2,4'−MDI及びINVISTA製 TerathaneTM 1000(OH価112)に基づくNCOプレポリマーである。このプレポリマーは、商品名DesmodurTM VP.PU ME 40TF04 (NCO含量3.93%)としてBayer MaterialScience AGから入手できる。
【0076】
M7は、2,4'−MDI及びポリアジペート(アジピン酸及びエチレングリコールから調製;OH価56)に基づくNCOプレポリマーである。このプレポリマーは、商品名DesmodurTM VP.PU MS 40TF01 (NCO含量3.95%)としてBayer MaterialScience AGから入手できる。
【0077】
【表3】

【0078】
実施例8及び11のエラストマー(イソシアネート成分のNCO含量同一;軟質セグメント(ポリオール)同一)を比較すると、本発明による実施例8のエラストマーは、より長いキャスト時間、非常に良好な永久歪み、より良好な弾性、より少ない磨耗及びより良好な破断点応力を有していることが分かる。従って、本発明のエラストマーの物理的性質は、明らかに優れている。
【0079】
実施例6と比較実施例12のエラストマー(イソシアネート成分のNCO含量同一;軟質セグメント(ポリオール)同一)を比較すると、本発明による実施例6のエラストマーは、非常に長いキャスト時間、より良好な永久歪み、より良好な磨耗及びより良好な破断点応力を有していることが分かる。従って、実施例6のエラストマーは、物理的性質の点で、比較実施例12のエラストマーより、明らかに優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2〜22wt.%のNCO含量を有するイソシアネート混合物であって、
(a)1.5〜18wt.%のNCO含量を有するNCOプレポリマー、及び
(b)イソシアネート混合物に基づいて1〜40wt.%の量のモノマー2,2'−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)
を含むことを特徴とするイソシアネート混合物。
【請求項2】
モノマー2,2'−MDIの量は、2〜25wt.%、特に2〜18wt.%、好ましくは3〜15wt.%である、請求項1に記載のイソシアネート混合物。
【請求項3】
触媒、活性剤、安定剤、レオロジー改良剤、UV安定剤、加水分解安定剤、乳化剤、着色剤、着色顔料及び/又は充填剤を含む、請求項1又は2に記載のイソシアネート混合物。
【請求項4】
i)請求項1〜3のいずれかに記載のイソシアネート混合物、及び
ii)NCO反応性化合物を
iii)所望により、触媒
iv)所望により、充填剤
v)所望により、助剤及び/又は添加剤
の存在下に、反応させて得られるポリイソシアネート重付加生成物。
【請求項5】
NCO反応性化合物として、62〜600の分子量及び2〜3の官能価を有する鎖延長剤及び/又は架橋剤、並びに所望により、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリアルコールから成る群から選択されるポリオール、ポリアミン又はポリエーテルポリアミンを使用する、請求項4に記載のポリイソシアネート重付加生成物。
【請求項6】
A)有機ポリイソシアネートを、不十分な量のNCO反応性化合物と反応させ、
B)工程A)で生成したNCOプレポリマーに、20〜70wt.%の2,2'−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、30〜80wt.%の2,4'−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)及び0〜10wt.%の4,4'−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)の混合物を添加する
ことを特徴とする、請求項1に記載のイソシアネート混合物の製造方法。
【請求項7】
A)20〜70wt.%の2,2'−MDI、30〜80wt.%の2,4'−MDI及び0〜10wt.%の4,4'−MDIの混合物、並びに
所望により、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'−MDI)、2,4'−MDI、2,2'−MDI、ポリマーMDI及びこれらの混合物、変性MDI、トルイレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H12−MDI(水素化MDI)及びこれらのブレンドから成る群から選択される更なるポリイソシアネート
を含むブレンドを、
B)NCO反応性成分と
反応させることを特徴とする、請求項1に記載のイソシアネート混合物の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載のイソシアネート混合物を、場合により触媒、充填剤、助剤及び/又は添加剤の存在下に、NCO反応性化合物と反応させる、請求項4に記載のポリイソシアネート重付加生成物を製造する方法。
【請求項9】
請求項1に記載のイソシアネート混合物を、場合により触媒、充填剤、助剤及び/又は添加剤の存在下に、大気水分と反応させる、請求項8に記載のポリイソシアネート重付加生成物の製造方法。
【請求項10】
塗料、バインダー、床仕上げ材、接着促進剤、接着剤、充填用コンパウンド又は壁装材としての、請求項4に記載のポリイソシアネート重付加生成物の使用。
【請求項11】
プーリー、ホイール、ロール、樹脂、成形品、フィルター、スクレーパー又はバンパーの製造における、ポリイソシアネート重付加生成物の使用。
【請求項12】
自動車産業、リクリエーション分野、スポーツ分野、機械及びプラント建設、電気及び電子産業、鉄道建設及び鉱業における、ポリイソシアネート重付加生成物の使用。

【公表番号】特表2011−515544(P2011−515544A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501128(P2011−501128)
【出願日】平成21年3月14日(2009.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001878
【国際公開番号】WO2009/118112
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【出願人】(510256676)ポリテックス・シュポルトベレーゲ・プロドゥクシオンス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Polytex Sportbelaege Produktions GmbH
【Fターム(参考)】