説明

2,2−ジフルオロエチルアミンの調製方法

本発明は、アンモニアを用い、15容量%の最大含水率を有する溶媒中、アンモニアとの反応を促進する触媒の存在下で、2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンに由来する2,2−ジフルオロエチルアミンを調製するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンに由来する2,2−ジフルオロエチルアミンの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2,2−ジフルオロエチルアミンは活性成分調製における重要な中間体である。2,2−ジフルオロエチルアミンの様々な調製法が公知である。
【0003】
Donetti et al.(J.Med.Chem.1989,32,957−961)は2,2−ジフルオロアセトアミドに由来する2,2−ジフルオロエチルアミン塩酸塩の合成を記載する。この場合、所望のアミンはテトラヒドロフラン(THF)中のジボラン溶液を用いて調製される。収率は48%である。
【0004】
Kluger et al.(JACS 1982,104,10,2891−2897)は、ボロン酸ナトリウム(sodium boranate)および三フッ化ホウ素エテレートを用いる、アミドに由来する2,2−ジフルオロエチルアミンの合成を記載する。収率は60%である。
【0005】
Kollonitsch(US4,030,994)もまた、2,2−ジフルオロエチルアミンの合成、即ち、フッ化水素中、UV照射の下でのエチルアミンとフルオロオキシトリフルオロメタンとの反応を記載する。
【0006】
Swartsは、「Uber einige fluorhaltige Alkylamine」(幾つかのフッ化アルキルアミン)(Chem.Zentralblatt,volume 75,1904,pages 944−945)という標題の論文において、2,2−ジフルオロエチルアミンおよびテトラフルオロエチルアミンの調製を、これに続く2つの生成物の分留、またはクロロハイドレートもしくはオキサレートへのこれらの変換による除去と共に記載する。Swartsは1−ブロモ−2,2−ジフルオロエタンを用いており、これを管内で2molのアルコール性アンモニアと共に3日間、125から145℃に加熱する。Swartsは、化合物ジフルオロエチルアミンおよびテトラフルオロエチルアミンへの、出発化合物の完全な変換を記載する。
【0007】
2,2−ジフルオロエチルアミンの調製は、Dickey et al.(Industrial and Engineering Chemistry 1956,2,209−213)にも記載される。ここでは、2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンを揺動オートクレーブ(rocking autoclave)内で28%水酸化アンモニウム、即ち、28%アンモニア水と反応させる。この反応混合物を、135から140℃の温度に31時間加熱する。反応が終了した後、反応混合物を濾過し、アミンを反応混合物から留去する。しかしながら、蒸留物中には多量のアンモニアおよび幾らかの水が依然として存在するため、アミンを水酸化ナトリウムで脱水させて再度蒸留する。このようにしてアミンを65%の収率で得た。
【0008】
この方法は、Swartsの方法のように、31時間の非常に長い反応時間が必要とされ、65%の収率はどちらかというと低いため、不利である。同時に、この反応混合物は、反応混合物中に存在する塩素およびフッ素イオンとの組み合わせにあるアンモニア水が、この方法において用いられる高温で金属性材料を攻撃するため、非常に腐食性である。
【0009】
これら公知の方法のすべては、特にこれらが経済的に実施可能な工業規模で実施することができないため、不利である。この低収率および高価で危険な化学物質、例えば、ボロン酸ナトリウム/BFまたはジボランの使用は、2,2−ジフルオロエチルアミンの工業規模の調製に対するDonettiらおよびKlugerらによる方法の適合性を妨げる。Kollonitschらによる方法は危険な化学物質を用い、純粋な2,2−ジフルオロエチルアミンは得られない。Dickeyらによる方法およびSwartsによる方法は、これらが非常に長い反応時間を必要とし、同時に選択的ではなく、従ってこれらの方法の収率が満足のいくものではないため、工業規模での使用には同様に不適切で不経済である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,030,994号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Donetti et al.,J.Med.Chem.1989,32,957−961
【非特許文献2】Kluger et al.,JACS 1982,104,10,2891−2897
【非特許文献3】Swarts,Uber einige fluorhaltige Alkylamine,Chem.Zentralblatt,volume 75,1904,pages 944−945
【非特許文献4】Dickey et al.,Industrial and Engineering Chemistry 1956,2,209−213
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
2,2−ジフルオロエチルアミンの公知の調製方法に由来し、いかにして簡潔で安価な方法で2,2−ジフルオロエチルアミンを調製できるかが問題である。安価な方法は、例えば、出発物資が無害であるため、例えば反応混合物が腐食性であるため、他の技術的問題が生じることがなく、および/または、例えば反応が実質的に選択的に進行するため、所望の2,2−ジフルオロエチルアミンが十分に高い収率および純度で得られるため、多大な財政投資なしに行うことができる方法を意味するものと理解される。
【0013】
2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンに由来し、特に、2,2−ジフルオロ−1−ハロエタン出発物質が、比較的穏やかな反応条件の下、短い反応時間で反応して所望の2,2−ジフルオロエチルアミンを選択的にもたらすため、簡潔で安価に実施することができる2,2−ジフルオロエチルアミンの調製方法が見出されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、2,2−ジフルオロエチルアミンの調製方法であって、15容量%の最大含水率を有する溶媒中、ならびにアンモニアとの反応を促進する触媒の存在下における下記一般式(I):
CHF−CHHal
(式中、HalはCl、Brまたはヨウ素である。)
を有する2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンとNH(アンモニア)との反応を含み、場合により、後続して精製、好ましくは、蒸留精製を伴う方法を提供する。Halが塩素および臭素である一般式(I)の2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンが好ましい。化合物CHF−CHCl(2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン)が非常に好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
用いられる2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンのアンモニアNHに対するモル比は、約0.8:1から約1:30の範囲、好ましくは、約1:2から約1:20の範囲、より好ましくは、約1:3から約1:12の範囲である。
【0016】
本発明によると、15容量%の最大含水率を有する溶媒が用いられる。5容量%の最大含水率を有する溶媒が好ましく、2.5容量%以下のものがより好ましく、0.5容量%以下のものが最も好ましい。
【0017】
溶媒は、一般には、全過程にわたって反応混合物を効率的に撹拌できるような量で用いられる。有利には、用いられる2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンを基準にして、1から50倍の量の溶媒、好ましくは、2から40倍の量の溶媒、より好ましくは、2から20倍の量の溶媒が用いられる。
【0018】
本発明による方法の実施に有用な溶媒には、反応条件下で不活性であるすべての有機溶媒が含まれる。本発明によると、溶媒は純粋な溶媒の混合液を意味するものとも理解される。
【0019】
本発明に従って適切である溶媒は、特に、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール(即ち、n−ブタノール、tert−ブタノール、2−ブタノール)、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコール);エーテル類(例えば、エチルプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメチルグリコール、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンならびにエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのポリエーテル);テトラヒドロチオフェンジオキシドおよびジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ベンジルメチルスルホキシド、ジイソブチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジイソアミルスルホキシドのような化合物;スルホン類、例えば、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、ジブチルスルホン、ジフェニルスルホン、ジヘキシルスルホン、メチルエチルスルホン、エチルプロピルスルホン、エチルイソブチルスルホンおよびペンタメチレンスルホン;脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、例えば、40℃から250℃の範囲の沸点を例えば有する成分を含む「ホワイトスピリット」、シメン、70℃から190℃の沸騰範囲内の石油留分、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、オクタン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、キシレン);エステル類(例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネートまたはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート);アミド類(例えば、ヘキサメチレンホスホラミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジプロピルホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N−メチルピロリジン、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジン、オクチルピロリジン、オクチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリンジオン、N−ホルミルピペリジン、N,N’−1,4−ジホルミルピペラジン)またはこれらの混合液である。
【0020】
本発明による方法において用いられる溶媒は、好ましくは、アルコール類、特に、n−ブタノール、アミド類、特に、N−メチルピロリジンもしくは1,3−ジメチル−2−イミダゾリンジオン、エーテル類、特に、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよび、また、ジメチルスルホキシドもしくはテトラメチレンスルホキシドまたはこれらの混合液である。
【0021】
本発明による方法において用いるのに適する触媒は、アンモニアとの反応を促進するものすべてである。適切な触媒の混合物も考えられる。本発明に従う適切な触媒は、特に、アルカリ金属臭化物およびヨウ化物(例えば、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム);臭化アンモニウムおよびヨウ化アンモニウム;テトラアルキルアンモニウム臭化物およびヨウ化物(例えば、ヨウ化テトラエチルアンモニウム);特定のホスホニウムハロゲン化物、例えば、テトラアルキル−もしくはテトラアリールホスホニウムハロゲン化物(例えば、臭化ヘキサデシルトリブチルホスホニウム、臭化ステアリルトリブチルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、臭化テトラオクチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウムおよび臭化テトラフェニルホスホニウム)、臭化テトラキス(ジメチルアミノ)ホスホニウム、臭化テトラキス(ジエチルアミノ)ホスホニウム、塩化テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムおよび臭化塩化テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウム;ならびに臭化ビス(ジメチルアミノ)[(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン)アミノ]メチルである。
【0022】
本発明による方法において用いられる触媒は、好ましくは、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化テトラブチルアンモニウムまたは臭化テトラフェニルホスホニウム、より好ましくは、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムである。
【0023】
触媒は、例えばHBrまたはHIとアンモニアとの反応により、その場で(in situ)生成させることもできる。加えて、触媒は、非常に反応性の高いアルキル臭化物またはヨウ化物(例えば、臭化メチル、ヨウ化メチル、臭化エチルまたはヨウ化エチル)の添加により、その場で生成させることもできる。
【0024】
本発明による方法において、触媒は、用いられる2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンを基準にして、約0.01から約25重量%の濃度で用いられる。原理的にはより高い濃度が可能である。約0.2から約25重量%濃度で触媒を用いることが好ましく、より好ましくは、約0.4から約20重量%の濃度、最も好ましくは、約0.5から約15重量%の濃度である。しかしながら、触媒は、好ましくは、約0.05から約3重量%、約0.1から約10重量%または約0.5から約10重量%の濃度で用いることもできる。
【0025】
本発明者らは、アンモニアとの反応を促進する触媒の使用の結果として、および15容量%の最大含水率を有する溶媒の使用の結果として、選択性、従って、収率およびまた、変換の反応速度が非常に有利なものであり、この反応を工業規模で実施できるという事実の基礎を形成するものと決定している。この反応混合物は、15容量%の最大含水率を有する溶媒の使用の結果として、2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンから除去されるフッ素またはハロゲンイオンがより少ないため、腐食性も少ない。
【0026】
本発明の反応は広範な温度範囲(例えば、約50℃から約200℃の範囲)内で行うことができる。約80℃から約160℃の温度範囲内で反応を行うことが好ましい。
【0027】
反応は、原理的には、圧力の安定した閉鎖実験容器(オートクレーブ)内、自己圧力(autogenous pressure)の下で行う。反応の間の圧力(即ち、自己圧力)は、用いられる反応温度、用いられる溶媒、用いられる2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンおよび用いられるアンモニアの量に依存する。圧力上昇が望ましいとき、不活性気体、例えば、窒素またはアルゴンの添加によって、追加の圧力上昇を実施することができる。
【0028】
反応の反応時間は短く、約0.5から約10時間の範囲内である。より長い反応時間も可能であるが、経済的に実行不可能である。
【0029】
既述のように、本発明による方法によって、所望の2,2−ジフルオロエチルアミンが、直接反応生成物の大規模な後処理(workup)が一般には必要とされないように、良好な収率、短い反応時間および高純度で得られる。M.Hudlicky,Chemistry of Organofluorine Compounds,2nd Edition,1976,p.489−490およびHouben Weyl,E 10b/2 p.92−98が、塩基性条件下ではフッ化ビニリデンが優先的に形成され、2,2−ジフルオロハロエタンからのHCl、HBrまたはHIの除去でこれが形成され得ることを開示しているが、このすべてが驚くべきことである。J.Org.Chem.2007,72(22)8569もまた、2,2−ジフルオロエチルアミンが非常に反応性であり、本発明の反応条件下でさらに反応し得ることを開示する。
【0030】
反応混合物を後処理し、2,2−ジフルオロエチルアミンまたはこれらの塩を介して精製することができる。通常、好ましくは蒸留により、未変換アンモニアを回収し、存在するあらゆるアンモニウム塩を濾別する。この後、標準圧力下または減圧下で、好ましくは蒸留により、2,2−ジフルオロエチルアミンを反応混合物から単離することができる。
【0031】
2,2−ジフルオロエチルアミン塩、例えば、有機または無機酸の塩(例えば、塩酸塩または酢酸塩)を、好ましくは結晶化により精製する。2,2−ジフルオロエチルアミン塩は、例えば、2,2−ジフルオロエチルアミン塩酸塩または2,2−ジフルオロエチルアミン酢酸塩である。水溶性塩は水溶液の抽出によって精製することができる。最後に、有機または無機塩基との反応により、アミンをこの塩から放出させることができる。好ましい塩基はNaHCO、NaCOまたはNaOHである。
【0032】
本発明を以下の例により、本発明をこれらに限定することなしに、詳細に説明する。
【実施例】
【0033】
調製実施例
実施例1
【0034】
【化1】

オートクレーブに15g(0.149mol)の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン、1.5gのヨウ化カリウムおよび30gの、100ppm、即ち、0.01容量%の含水率を有するN−メチルピロリジンを最初に投入し、20.2gのアンモニアを添加する。2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンのアンモニアに対するモル比は1:8である。この反応混合物を143から145℃に加熱し、この温度で5.5時間撹拌する。反応混合物を50℃に冷却し、過剰のアンモニアを留去する。沈殿したアンモニウム塩を濾別し、5gのN−メチルピロリジンで洗浄する。次に、遊離ジフルオロエチルアミンを1から10mbarで母液および洗浄溶液から留去する。これにより、収率88%が得られる。
【0035】
NMR Н(CDCl):5.5−5.9(m,1H)、2.94−3.1(m,2H)、1.26(br m,NH
【0036】
実施例2
オートクレーブに25g(0.249mol)の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン、2.5gのヨウ化カリウムおよび250gの、150ppm、即ち、0.015容量%の含水率を有するジメチルスルホキシド(DMSO)を最初に投入し、25.4gアンモニアを添加する。2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンのアンモニアに対するモル比は1:6である。この反応混合物を143から145℃に加熱し、この温度で4.5時間撹拌する。反応混合物を50℃に冷却し、過剰のアンモニアを留去する。次に、ジフルオロエチルアミンを1から10mbarで反応混合物から留去する。次に、少量の溶媒を依然として含むこの蒸留物を標準圧力で再蒸留する。これにより、収率87%が得られる。
【0037】
実施例3
【0038】
【化2】

オートクレーブに14.5g(0.1mol)の2,2−ジフルオロ−1−ブロモエタン、0.5gのヨウ化カリウムおよび50gの、250ppm、即ち、0.025容量%の含水率を有するDMSOを最初に投入し、6.8gの無水アンモニアを添加する。2,2−ジフルオロ−1−ブロモエタンのアンモニアに対するモル比は1:4である。この反応混合物を100℃に加熱し、この温度で1時間撹拌する。反応混合物を50℃に冷却し、過剰のアンモニアを留去する。次に、ジフルオロエチルアミンを1から10mbarで反応混合物から留去する。次いで、少量の溶媒を依然として含むこの蒸留物を標準圧力で再蒸留する。これにより、収率82%が得られる。
【0039】
実施例4
実施例3と同様の手順。ヨウ化カリウムの代わりに、1gのヨウ化テトラエチルアンモニウムを用いる。これにより、収率78%が得られる。
【0040】
実施例5
オートクレーブに14.5g(0.1mol)の2,2−ジフルオロ−1−ブロモエタン、0.5gのヨウ化カリウムおよび50gの、250ppm、即ち、0.025容量%の含水率を有するn−ブタノールを最初に投入し、6.8gのアンモニアを添加する。2,2−ジフルオロ−1−ブロモエタンのアンモニアに対するモル比は1:4である。この反応混合物を150℃に加熱し、この温度で2時間撹拌する。反応混合物を50℃に冷却し、過剰のアンモニアを留去する。次に、ジフルオロエチルアミンを1から10mbarで反応混合物から留去する。次いで、少量の溶媒を依然として含むこの蒸留物を標準圧力で再蒸留する。これにより、収率70%が得られる。
【0041】
比較実施例
オートクレーブに14.5g(0.1mol)の2,2−ジフルオロ−1−ブロモエタン、1gのヨウ化カリウムおよび50gのDMSOを最初に投入し、27.5gの25%アンモニア水を添加する。この反応混合物を100℃に加熱し、この温度で1.2時間撹拌する。反応混合物を50℃に冷却し、過剰のアンモニアを留去する。次に、ジフルオロエチルアミンを1から10mbarで反応混合物から留去する。次いで、少量の溶媒を依然として含むこの蒸留物を標準圧力で再蒸留する。これにより、収率13%が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,2−ジフルオロエチルアミンの調製方法であって、15容量%の最大含水率を有する溶媒中、ならびにアンモニアとの反応を促進する触媒の存在下における一般式(I):
CHF−CHHal
(式中、HalはCl、Brまたはヨウ素である。)
を有する2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンとアンモニアとの反応を含む方法。
【請求項2】
用いられる2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンのアンモニアに対するモル比が0.8:1から1:30の範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコール、エチルプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、n−ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメチルグリコール、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンならびにエチレンオキシドおよび/もしくはプロピレンオキシドのポリエーテル類、ヘキサメチレンホスホラミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジプロピル−ホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N−メチルピロリジン、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジン、オクチルピロリジン、オクチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリンジオン、N−ホルミルピペリジン、N,N’−1,4−ジホルミルピペラジンならびにジメチルスルホキシドから選択される、請求項1および2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
触媒がその場で形成される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
触媒が、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化テトラブチルアンモニウムから選択される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2013−500282(P2013−500282A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522002(P2012−522002)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004434
【国際公開番号】WO2011/012243
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(507203353)バイエル・クロップサイエンス・アーゲー (172)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】