説明

2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物、及び該組成物から形成された物品

1,2−プロパンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−l,3−シクロブタンジオール、脂肪族、脂環式、又は芳香族二酸及び2−ブテン二酸の残基を含む不飽和ポリエステル樹脂を開示する。また、前記不飽和ポリエステル及び前記不飽和ポリエステルと共重合可能な芳香族ビニル化合物の混合物を含有する硬化性組成物並びに当該硬化性組成物から得られる被膜及び注型・成形物品も開示する。この硬化性組成物は、永続的に有機液体又は水性液体に曝されている少なくとも1つの表面を有する被膜及び注型・成形物品のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
複合構造(すなわち繊維強化プラスチック又はFRP)を形成するために、不飽和ポリエステル樹脂が使用される。複合構造全体の保護及び美化を提供するために、ゲルコートとして知られるいくつかの複合構造の成分が一般に使用される。ゲルコートの大部分は、無水マレイン酸、アジピン酸等の二酸、イソフタル酸及び無水フタル酸、及びジオール、例えば1,2−プロパンジオール及び2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールから誘導された線状の不飽和ポリエステルを基剤とする。不飽和ポリエステル樹脂は典型的には、最終的な硬化樹脂を形成するために、エチレン不飽和モノマー、すなわちスチレン中に溶解してこれと共重合する。モノマーのタイプ及び比を注意深く選択し、そしてポリマー化学分野の当業者に良く知られた技術を用いて、具体的な分子量又はその他のパラメータになるようにこれらのモノマーを処理することにより、種々様々な程度の耐UV風化性及び耐水性{すなわち耐オズモシス・ブリスター(osmotic blister resistance)}を得ることができる。或いは、その耐UV風化性又は耐水性を改良するために、樹脂中に添加剤が含まれてもよい。
【0002】
他の望ましい特性と組み合わせて良好な耐オズモシス・ブリスター性を有するゲルコートを調製することは難しかった。例えば、良好な耐オズモシス・ブリスター性は、芳香族二酸、例えばイソフタル酸(ここでは「IPA」と略する)を不飽和ポリエステル樹脂ゲル塗膜内に組み込むことにより得ることができる。しかしながら、芳香族分子がUVエネルギーを吸収し、そして芳香族含有率が高いゲルコートは、鏡面光沢度が加速して失われ、UV曝露されると黄変が増大するおそれがある。IPAの代わりに種々の脂肪族ジカルボン酸を使用すると、UV風化を改善することはできるが、しかし一般に耐オズモシス・ブリスター性を低下させ、しばしばスチレン中のポリマー溶解度を劣化させる。スチレン中の溶解度は、適切な塗布及び最終複合部分の硬化のために必要とされる。従って、耐オズモシス・ブリスター性とともに良好な耐UV風化特性を提供する新しい不飽和ポリエステル樹脂が必要となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
我々は、重合前の良好なスチレン溶解度を維持しながら、耐オズモシス・ブリスター性が改善されたゲルコート樹脂を生成する不飽和ポリエステル樹脂群を発見した。従って我々の発明は、
(A) 二酸残基の総モルを基準として、10〜90モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基と、90〜10モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含む二酸残基;並びに
(B) ジオール残基の総モルを基準として、20〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、80〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含むジオール残基
を含む、
不飽和ポリエステル樹脂であって、
当該ポリエステルが、数平均分子量300〜10,000ダルトン;ガラス転移温度0〜125℃、酸価0〜50mgKOH/ポリエステル樹脂g;及び温度175〜200℃でのICI粘度で5〜70ポアズを有する、
不飽和ポリエステル樹脂を提供する。
【0004】
不飽和ポリエステル樹脂に加えて、我々の発明はまた、硬化性の不飽和ポリエステル組成物であって、
I) (A) 二酸残基の総モルを基準として、10〜90モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基と、90〜10モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含む二酸残基;及び
(B) ジオール残基の総モルを基準として、20〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、80〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含むジオール残基
を含む、
不飽和ポリエステル樹脂であって
前記ポリエステルが、数平均分子量300〜10,000ダルトン;ガラス転移温度0〜125℃、酸価0〜50mgKOH/ポリエステル樹脂g;及び温度175〜200℃でのICI粘度で5〜70ポアズを有する、
不飽和ポリエステル樹脂と、
II) 当該不飽和ポリエステル樹脂と共重合可能なエチレン系不飽和モノマーと
を含む硬化性の不飽和ポリエステル組成物を提供する。
この硬化性の不飽和ポリエステル組成物は、注型又は成形物品の調製のために使用することができる。具体的には、不飽和被膜組成物は、その少なくとも1つの表面が永続的に有機液体又は水性液体に曝されている注型又は成形物品のために有用である。
【0005】
我々の発明のさらに別の態様は、上記不飽和ポリエステル樹脂を製造する方法であって、
I.
(A) 工程I及びIIの二酸の総モルを基準として、10〜90モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸成分;及び
(B) ジオールの総モルを基準として20〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールと、80〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールとを含むジオール成分
を含む混合物を、エステル化の水を除去しながら加熱することにより、中間重合生成物を形成する工程;そして
II. 前記中間重合生成物と、工程I及びIIの二酸の総モルを基準として90〜10モルパーセントの、2−ブテン二酸、そのエステル、又はその酸無水物のうちの1種又は2種以上とを、エステル化の水を除去しながら加熱することにより不飽和ポリエステル樹脂を形成する工程
を含み、
当該不飽和ポリエステル樹脂が、数平均分子量300〜10,000ダルトン;ガラス転移温度0〜125℃、酸価0〜50mgKOH/ポリエステル樹脂g;及び温度175〜200℃でのICI粘度で5〜70ポアズを有する、上記不飽和ポリエステル樹脂を製造する方法である。我々の方法は、高温での不飽和ポリエステル樹脂調製中に発生し得る、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの分解を低減する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂は、二酸残基の総モルを基準として、10〜90モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基と、90〜10モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含む二酸残基、及び20〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、80〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含むジオール残基を含む。この不飽和ポリエステル樹脂は、数平均分子量が300〜10,000ダルトン;ガラス転移温度が0〜125℃、酸価が0〜50mg KOH/ポリエステル樹脂g;そしてICI粘度が温度175〜200℃で5〜70ポアズである。不飽和ポリエステルは、衛生陶器、電子回路ボード、UV硬化製品、被膜、インク、及びインフラストラクチャ構成部材のような製造物品を調製するのに有用である。これらは、水に永続的に曝されている複合構造、例えば水タンク、パイプ、及び船体に特に有用である。
【0007】
反対のことを指示しない限り、下記の明細書中及び添付の請求項に示された数値パラメータは、本発明によって得ようとしている所望の特性に応じて変化する場合がある概算値である。最低限でも、各数値パラメータは、報告された有効桁の数に照らして、そして通常の丸め技術を当てはめることにより解釈されるべきである。さらに、この開示内容及び請求項において述べられた範囲は、その範囲全体を具体的に含むのであって、終点のみを含むのではない。例えば、0〜10であると述べられた範囲は、0と10との間の全ての数値、例えば1、2、3、4など、0と10との間の全ての分割数、例えば1.5、2.3、4.57、6.1113など、及び終点0及び10を意図するものとする。また、化学置換基、例えば「C1〜C5ジオール」と関連する範囲は、具体的にはC1及びC5ジオール並びにC2、C3及びC4ジオールを含むことを意図するものとする。
【0008】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは概算値ではあるが、具体例において示された数値は、できる限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値も、それぞれの試験測定値に見いだされた標準偏差から必然的に生じる或る程度の誤差を本質的に含んでいる。
【0009】
明細書中及び添付の請求項に使用された単数形 "a"、"an" 及び "the"は、文脈が他のことを明示するのでなければ、複数の指示対象を含む。例えばa "polyester(ポリエステル)"、a "dicarboxylic acid(ジカルボン酸)"、a "residue(残基)"に言及した場合、これは、「少なくとも1種」又は「1種又は2種以上」のポリエステル、ジカルボン酸、又は残基と同義であり、ひいては、単数又は複数のポリエステル、ジカルボン酸、又は残基を意味するものとする。加えて、"an" ingredient(成分)又は"a" polyester(ポリエステル)を含有する組成物に言及した場合、これは指名されたものに加えて他の成分又は他のポリエステルをも含むものとする。"containing(含有する)"又は"including(含む)"という用語は、"comprising(含む)"という用語と同義であり、少なくとも指名された化合物、用語、粒子、又は方法工程などが組成物又は物品又は方法に存在しているが、しかし、他の化合物、触媒、材料、粒子、方法工程などの存在を、たとえ他のこのような化合物、触媒、材料、粒子、方法工程などが指名されたものと同じ機能を有しているとしても、請求項で明示的に排除されていない限り、排除するものではない。
【0010】
また言うまでもなく、1つ又は2つ以上の方法工程に言及した場合、これは組み合わせて列挙した工程の前後に追加の方法工程が存在すること、又は明示的に特定された工程間に方法工程が介在することを排除するものではない。さらに、方法工程又は成分に付した文字は、不連続の活性又は成分を特定するための便宜上の手段であり、列挙した文字は、他の指示がない限り、任意の順序で並べることができる。
【0011】
本明細書中に使用される「不飽和ポリエステル樹脂」という用語は、「不飽和ポリエステル」という用語と同義であり、1種又は2種以上の二酸成分とジオール成分との重縮合によって調製される、エチレン系不飽和炭素を含有する熱硬化性ポリマーを意味するものとする。不飽和は典型的には不飽和二酸、例えばマレイン酸(典型的には酸無水物として使用される)又はフマル酸との重合によってポリエステル中に導入される。不飽和ポリエステル樹脂は典型的には、硬質の熱硬化された架橋ポリマーを生成するために、二重結合を介してエチレン系不飽和モノマー、例えばスチレンと重合することにより架橋される。不飽和ポリエステル樹脂組成物のためのいくつかの代表的な用途は、海洋構造物のためのプラスチック積層板、浴室製品及びシャワー室、電気的な素子、パイプ、タンク、ダクト、自動車産業及び輸送産業のためのシート成形コンパウンド、ゲルコート、ボタン、及び合成大理石注型物の製造である。
【0012】
本発明のポリエステル樹脂に関連して本明細書中で使用される「残基」という用語は、対応するモノマーに関与する重縮合又は開環反応を通してポリマー中に組み込まれた任意の有機構造を意味する。また当業者に明らかなように、本発明の種々の硬化性ポリエステルと関連する残基は、親モノマー化合物自体又は親化合物の任意の誘導体から誘導することができる。例えば、本発明のポリマーにおいて言及されるジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマー又はその関連する酸ハロゲン化物、エステル、塩、酸無水物、又はこれらの混合物から誘導されてよい。このように、本明細書中で使用される「ジカルボン酸」という用語は、ジカルボン酸及びジカルボン酸の任意の誘導体を含むものとする。この誘導体は、不飽和ポリエステル樹脂を形成するためのジオールとの重縮合プロセスにおいて有用な、ジカルボン酸の関連する酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、酸無水物、混合酸無水物、又はこれらの混合物を含む。例えば、2−ブテン二酸残基は、マレイン酸、無水マレイン酸、又はマレイン酸及びフマル酸のアルキルエステル、半エステル、塩及び半塩、酸ハロゲン化物、又はこれらの混合物を使用することによって、本発明の不飽和ポリエステル樹脂中に組み込むことができる。
【0013】
二酸残基は、二酸残基の総モルを基準として、10〜90モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基と、90〜10モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含む。存在する2−ブテン二酸残基は、無水マレイン酸、マレイン酸又はフマル酸から誘導されてよい。いくつかの代表的な、追加の二酸残基の範囲例は、30〜70モルパーセント、そして40〜60モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された残基、及び70〜30モルパーセント、そして60〜40モルパーセントの2−ブテン二酸の残基である。
【0014】
不飽和ポリエステル樹脂はまた、20〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、80〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含むジオール残基を含む。別の例では、ジオール残基は、40〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、60〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含む。さらに別の例では、ジオール残基は、60〜85モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、40〜15モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含む。2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール及び1,2−プロパンジオールに加えて、我々の新規の不飽和ポリエステル樹脂のジオール残基は、さらに、0〜60モルパーセントの、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール、及び水素化ビスフェノールAから選択された少なくとも1種のジオールの残基を含んでもよい。
【0015】
不飽和ポリエステル樹脂の酸価は、0〜50mg KOH/ポリエステルg、別の例では0〜25mg KOH/ポリエステルg、そして0〜15mg KOH/ポリエステルgである。不飽和ポリエステル樹脂の数平均分子量は、300〜10,000ダルトンである。追加の分子量範囲例は、1500〜5,000ダルトン、及び2000〜4500ダルトンである。不飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度(ここでは「Tg」と略す)は、0〜125℃である。いくつかの追加のTg範囲の代表例は25〜80℃、そして50〜80℃である。不飽和ポリエステル樹脂のICI粘度は、温度175〜200℃で5〜70ポアズであることが可能である。追加のICI粘度範囲例は、温度175〜200℃で10〜70ポアズ及び15〜70ポアズである。
【0016】
別の例では、本発明の不飽和ポリエステル樹脂は、30〜70モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基と、70〜30モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含む二酸残基;及び40〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、60〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含むジオール残基を含む。別の例では、二酸残基は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びイソフタル酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基を含み;そして不飽和ポリエステル樹脂は、数平均分子量が1500〜5000ダルトン、そしてガラス転移温度が25〜80℃である。さらに別の例では、二酸残基は、40〜60モルパーセントの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はイソフタル酸の残基と、60〜40モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含み;ジオール残基は、60〜85モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、40〜15モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含み;そしてポリエステルは、数平均分子量が2000〜4500ダルトン、そしてガラス転移温度が50〜80℃である。さらに別の態様では、二酸残基は、40〜75モルパーセントの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の残基と、60〜25モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含んでよく;そしてジオール残基は、35〜45モルパーセントの2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールの残基と、35〜45モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、10〜30モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含んでよい。不飽和ポリエステル樹脂はTgが25℃〜80℃であり、酸価が20mg KOH/樹脂g未満であることが可能である。
【0017】
難燃性を有するモノマー又は添加剤を組み入れることにより、本発明の不飽和ポリエステル樹脂に難燃性又は耐炎性を付与することができる。難燃性モノマーはしばしばハロゲン置換基を含有する。難燃性モノマーはしばしばハロゲン置換基を含有する。従って、本発明の別の態様は、二酸残基の総モルを基準として、10〜90モルパーセントの、無水クロレンド酸、無水テトラブロモフタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、テトラブロモビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基と、90〜10モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含む二酸残基;及び20〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、80〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含むジオール残基を含む、不飽和ポリエステルである。
【0018】
一般に、不飽和ポリエステル樹脂は、モノマーを組み合わせ、そして反応混合物を120℃〜200℃の温度で2つ又は3つ以上の段階で加熱することにより調製することができる。既知のポリエステル形成反応の強制条件は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの大規模な分解を生じさせる。この分解の結果、濃い色及び不適切な分子量を有するポリエステル生成物をもたらす。我々は、ポリエステル反応混合物中の1,2−プロパンジオールの存在が、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの分解を低減し、そして不飽和ポリエステルの効率的な調製を可能にすることを見いだした。従って、本発明の別の態様は、不飽和ポリエステル樹脂を製造する方法であって、
I.
(A) 工程I及びIIの二酸の総モルを基準として、10〜90モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸成分;及び
(B) ジオールの総モルを基準として、20〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールと、80〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールとを含むジオール成分
を含む混合物を、エステル化の水を除去しながら加熱することにより、中間重合生成物を形成する工程;そして
II. 当該中間重合生成物と、工程I及びIIの二酸の総モルを基準として90〜10モルパーセントの、2−ブテン二酸、そのエステル、又はその酸無水物のうちの1種又は2種以上とを、エステル化の水を除去しながら加熱することにより不飽和ポリエステル樹脂を形成する工程
を含み、
当該不飽和ポリエステル樹脂が、数平均分子量300〜10,000ダルトン;ガラス転移温度0〜125℃、酸価0〜50mgKOH/ポリエステル樹脂g;及び温度175〜200℃でICI粘度5〜70ポアズを有する、
不飽和ポリエステル樹脂を製造する方法である。
【0019】
1つのプロセスは、工程I及びIIの二酸の総モルを基準として、10〜90モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸成分、及びジオールの総モルを基準として、20〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールと、80〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールとを含むジオール成分を含む混合物を、エステル化の水を除去しながらポリエステル重縮合条件下で加熱することにより、中間重合生成物を形成する工程を含む。中間重合生成物に、無水マレイン酸、2−ブテン二酸、又はそのエステルを添加し、そして重合反応を水除去と一緒に、典型的には目標酸価が得られるまで続ける。
【0020】
我々の方法によって製造された不飽和ポリエステル樹脂は典型的には、数平均分子量が300〜10,000ダルトン;ガラス転移温度が0〜125℃、酸価が0〜50mg KOH/ポリエステル樹脂g;そしてICI粘度が温度175〜200℃で5〜70ポアズである。しかし当業者には明らかなように、我々の方法、及びこの方法から製造されたポリエステル樹脂は、上記のような二酸、ジオール、酸価、及び数平均分子量の種々の態様、及びこれらの任意の組み合わせを含むことは当業者には明らかであろう。
【0021】
例えば、本発明の方法の二酸成分は、30〜70モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸を含んでよく;そしてジオール成分は、40〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールと、60〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールとを含んでよい。工程IIの中間重合生成物は、70〜30モルパーセントの2−ブテン二酸、そのエステル、又はその酸無水物のうちの1種又は2種以上と一緒に加熱されてよい。
【0022】
別の例では、二酸成分は、40〜60モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はイソフタル酸を含んでよく;ジオール成分は、60〜85モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールと、40〜15モルパーセントの1,2−プロパンジオールとを含んでよい。工程IIの中間重合生成物を、60〜40モルパーセントの、2−ブテン二酸、そのエステル、又はその酸無水物のうちの1種又は2種以上と一緒に加熱することにより、数平均分子量が2000〜4500ダルトン、そしてガラス転移温度が50〜80℃である不飽和ポリエステル樹脂を製造することができる。
【0023】
硬化性の不飽和ポリエステル樹脂を、エチレン系不飽和モノマー、例えばスチレン、ビニルトルエン、又はメチル(メタ)アクリレートと共重合することにより、硬化性の不飽和ポリエステル被膜組成物を製造することができる。従って、本発明の別の態様は、硬化性の不飽和ポリエステル組成物であって、
I. (A) 二酸残基の総モルを基準として、10〜90モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基と、90〜10モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含む二酸残基;及び
(B)
ジオール残基の総モルを基準として、20〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、80〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含むジオール残基
を含む、不飽和ポリエステル樹脂であって
前記ポリエステルが、数平均分子量300〜10,000ダルトン;ガラス転移温度0〜125℃、酸価0〜50mgKOH/ポリエステル樹脂g;及び温度175〜200℃でのICI粘度で5〜70ポアズを有する、
不飽和ポリエステル樹脂と、
II. 不飽和ポリエステル樹脂と共重合可能なエチレン系不飽和モノマーと
を含む、硬化性の不飽和ポリエステル組成物である。
当該組成物の不飽和ポリエステル樹脂は、二酸残基の総モルを基準として、10〜90モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基と、90〜10モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含む二酸残基を含む二酸残基を含む。加えて、不飽和ポリエステル樹脂は、ジオール残基の総モルを基準として20〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、80〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含むジオール残基を含む。この不飽和ポリエステル樹脂の酸価は、0〜50mg KOH/ポリエステルgであり、又は別の例では0〜25mg KOH/ポリエステルg、そして0〜15mg KOH/ポリエステルgである。不飽和ポリエステル樹脂の数平均分子量は、300〜10,000ダルトンである。上記態様に加えて、被膜組成物の不飽和ポリエステル樹脂成分は、上記二酸、ジオール、酸価、及び数平均分子量の種々の態様を、任意の組み合わせで含むことは言うまでもない。
【0024】
例えば、不飽和ポリエステル樹脂は、30〜70モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基と、70〜30モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含む二酸残基、及び40〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールと、60〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールとを含むジオール残基を含むことができる。別の例では、二酸残基は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びイソフタル酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基を含むことができ、そして不飽和ポリエステル樹脂は、数平均分子量が1500〜5000ダルトン、そしてガラス転移温度が25〜80℃である。さらに別の例では、二酸残基は、40〜60モルパーセントの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はイソフタル酸の残基と、60〜40モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含み;ジオール残基は、60〜85モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、40〜15モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含み;そしてポリエステルは、数平均分子量が2000〜4500ダルトン、そしてガラス転移温度が50〜80℃である。
【0025】
2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール及び1,2−プロパンジオールに加えて、我々の新規の不飽和ポリエステル樹脂のジオール残基は、さらに、0〜60モルパーセントの、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール、及び水素化ビスフェノールAから選択された少なくとも1種のジオールの残基を含んでもよい。
【0026】
我々の発明の不飽和ポリエステルは、1種又は2種以上の共重合性のエチレン系不飽和モノマーと組み合わせることにより、被膜及び注型・成形物品の調製において有用な硬化性(すなわち重合性)ポリエステル組成物を得ることができる。本発明において使用されるエチレン系不飽和モノマーの一例としては、不飽和ポリエステルのための希釈剤又は架橋剤としてこれまで一般的に使用されているモノビニルモノマーが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの代表的クラスのエチレン系不飽和モノマーは芳香族ビニルモノマー、アクリルモノマー、及び(メタ)アクリルモノマーである。芳香族ビニルモノマーの例は、スチレン、p−クロロスチレン、ジクロロスチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、及びビニルトルエンを含む。
【0027】
アクリル及び(メタ)アクリルモノマーの代表例は、(メタ)アクリル酸及びそのエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、tブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリル酸、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンスクシネート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート;及びアクリル酸及びそのエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、及びアクリル酸を含む。例えばエチレン系不飽和モノマーは、スチレン、ビニルトルエン、メチル(メタ)アクリレート、α−メチルスチレン、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0028】
我々の発明によってこうして提供された硬化性の不飽和ポリエステル組成物は典型的には、30〜60重量パーセント、好ましくは40〜50重量パーセントの共重合性のエチレン系不飽和モノマーから成っている。不飽和ポリエステル組成物は、硬化されることができ、すなわち、過酸化物及び必要に応じて促進剤と当該組成物とを混合し、次いで結果として生じた混合物を種々の基体に被膜として塗布するか又は混合物を成形物品又は注型物品に形成することにより、周知の技術に従って不飽和モノマーと共重合されることができる。使用することができる過酸化物の例は、過酸化メチルエチルケトン、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過安息香酸第三ブチル及び過酸化ジクミルを含む。カルボン酸のコバルト及びバナジウム塩、例えばコバルト2−エチルヘキサノエート、コバルトナフテネート及びバナジウム2−エチルヘキサノエートが、使用することができる促進剤の例である。金属塩は、共促進剤、例えば2,4−ペンタンジオン、アルキルアセトアセテート、アルキルアセトアセトアミド、フェニルジエタノールアミン、及びジメチルアニリンなどとの組み合わせで使用することができる。例えば、不飽和ポリエステル組成物は、エチレン系不飽和モノマーとブレンドした後、過酸化メチルエチルケトン、コバルトオクトエート塩、ジメチルアセトアセトアミド、及びヒドロキノンから成る硬化パッケージを添加することによって硬化されることができる。
【0029】
硬化性の不飽和ポリエステル組成物は通常、組成物の一部又は全ての早まった重合を防止するためにフェノール重合抑制剤を含有している。ヒドロキノンモノメチルエーテル(p−メトキシフェノール)、モノ−第三ブチルヒドロキノン、トルヒドロキノン及び、特にヒドロキノンが、使用することができる典型的な重合抑制剤である。フェノール化合物は通常、50〜500ppmの重合抑制量で用いられる。
【0030】
硬化促進剤及び重合抑制剤に加えて、硬化性の不飽和ポリエステル組成物は必要に応じて種々の添加剤、例えば充填剤、含量、ワックス、紫外線吸収剤及び紫外線安定剤、空気抜き剤、及びチキソトロープ剤を含有してよい。これらの化合物は単独又は組み合わせで使用することができる。
【0031】
紫外線吸収剤の例は、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、及びシアノアクリレート化合物を含む。紫外線安定剤の例は、ヒンダードアミン化合物を含む。これらの化合物は任意の形態を成していてよく、また重合性反応又はエステル化性反応を有していてよく、適度に選択され使用される。チキソトロープ剤の例は、シリカ粉末、及びアスベスト粉末などを含む。熱可塑性ポリマー、例えばポリ(メタ)アクリル酸樹脂(「PMMA」);及び商業的に利用可能なマクロモノマー(TOAGOSEI CO., LTD製のAA-6及びAA-10)を、光沢の保留性能が損なわれない限り組み入れることができる。充填剤の例は、炭酸カルシウム、タルク、雲母、粘土、シリカ粉末、コロイドシリカ、アスベスト粉末、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ガラス粉末、アルミナ粉末、二酸化ケイ素粉末、ガラスビーズ、及び砕砂を含む。
【0032】
当業者によく知られた種々の顔料が、本発明の不飽和ポリエステル組成物中に使用することができる。これらの例は、チタンホワイト、ベンガラ、凝縮アゾレッド、チタンイエロー、コバルトブルー、キナクリドンレッド、カーボンブラック、鉄黒、ウルトラマリングリーン、ブルー、ペリノン、プルシアンブルー、イソインドリノン、クロムグリーン、シアニンブルー、及びグリーンを含む。紫外線安定性において優れていてポリエステル樹脂の硬化を抑制しないものが選択され、色調に従って組み入れられる。これらの着色顔料はポリエステル樹脂と一緒に直接に分散又は混合することができ、或いは、飽和又は不飽和ポリエステル固形物と一緒に予め混練することにより調製されたカラートナーの形態で添加することもできる。顔料の量は、不飽和ポリエステル及び重合性不飽和モノマーを溶解させることにより調製されるものの100重量部を基準として、0.1〜50重量部であることが好ましい。
【0033】
上述のように、不飽和ポリエステル組成物の上記態様のうちのいずれも、硬化させて、被膜として種々の基体に塗布するか又は成形物品又は注型物品に形成することができる。例えば、不飽和ポリエステル組成物は、車両部材、住宅材料、椅子、デスク、パネル、及び自動車部品のために使用することができる。本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、繊維強化材を添加することもできる。強化材の例は、ガラス繊維(例えばチョップドストランドマット、ガラスロービングクロスなど)、炭素繊維、有機繊維(例えばビニロン、ポリエステル、フェノールなど)、及び金属繊維を含む。10〜70重量%の強化材を添加することにより、繊維強化プラスチック(「FRP」)を得ることができる。本発明のFRP成形物品は、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物から形成されたゲル被覆材料を使用して型の表面にゲル被覆層を形成し、そして周知の成型方法に従ってバッキング層を形成することにより、得られる。
【0034】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、被覆材料、例えばライニング材料、被覆組成物、及び特に好ましくはゲル被覆材料中に使用するのに適している。我々の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、その耐オズモシス・ブリスター性により、その少なくとも1つの表面が永続的に有機液体又は水性液体に曝されている注型又は成形物品、例えば船体、バスタブ、ユニットバス、洗面台、タンク、パイプ、スイミングプール壁、又は台所用具に特に適している。「水性液体」という用語は、10〜100重量パーセントの水を含有する任意の液体を意味するものとする。本発明をさらに下記例によって説明する。
【実施例】
【0035】
全般として
水酸化カリウムで滴定することにより酸価を割り出し、樹脂1グラムに対して消費された水酸化カリウム(mg)としてこれを報告した。175℃又は200℃でBYK-Gardner円錐平板溶融粘度計を使用して、樹脂溶融粘度を割り出した。ポリスチレン等価物を使用したテトラヒドロフラン中のゲル透過クロマトグラフィ、及びUV検出によって、数平均分子量及び重量平均分子量を割り出した。試料を溶融して樹脂のTg未満まで急冷させた後、20℃/分の第2熱サイクル走査時に示差走査熱量計(「DSC」)によってガラス転移温度(「Tg」)を割り出した。Tg値は中点値として報告する。ASTM法D648によって0.455MPa重量で、樹脂注型物の熱撓み温度を割り出した。ASTM法D790によって、曲げ強度物理特性を割り出した。ASTM法D−714(「塗料のブリスター形成度の評価)によって水取り込み率パーセントで、耐沸騰水ブリスター性を評価した。ASTM法D−714から下記ブリスター格付けキーに従って、ブリスター形成を評価した。
【0036】
ブリスターサイズ ブリスター頻度
0−なし 0−ブリスターなし
8−最小 1−僅か
6 2−中程度
4 3−中度の密度
2−最大 4−密度
【0037】
比較例1
可変熱源、窒素ブランケット及び表面下スパージ、機械的可変速度攪拌機、カラム中点温度が103℃で維持された油加熱型部分凝縮カラム、及び15℃で維持されたグリコール冷却型総凝縮器から成るコンピュータ制御式反応装置を使用することにより、二段合成を介して下記樹脂を調製した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:522.14g(5.01mol)の2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、67.31g(0.88mol)の1,2−プロパンジオール、483.10g(2.81mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及び0.60g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって180℃で保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応温度を356分間にわたって200℃で保持した。反応混合物の酸価は2.4に達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして275.12g(2.18mol)の無水マレイン酸を添加した。無水マレイン酸の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。反応混合物を140℃まで冷却させておき、次いで60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で660分間にわたって処理することにより酸価を14.6にした。樹脂を140℃まで冷却させておき、そして0.44gのヒドロキノンを含有する983.0gのスチレンで希釈することにより55wt%のポリエステルを形成し、結果として201ppmのヒドロキノンで最終樹脂溶液を生じさせた。ニート樹脂及び後続の樹脂溶液は次の特性を有した:
【0038】
特性 値
酸価(mg KOH/樹脂g) 14.6
ICI粘度(ポアズ) 175℃で>6.5
MW(数平均) 3063
MW(重量平均) 8724
Tg,℃(第2サイクル中点) 7.8
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 透明
【0039】
比較例2
比較例1のために使用されたものと同じ反応器設定を、比較例2のために使用した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:771.74g(3.24mol)の水素化ビスフェノールA、43.47g(0.57mol)の1,2−プロパンジオール、303.33g(1.76mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及び0.60g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって180℃で保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応温度を313分間にわたって200℃で保持した。反応混合物の酸価は9.3に達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして172.75g(1.76mol)の無水マレイン酸を添加した。無水マレイン酸の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。反応混合物を140℃まで冷却させておき、そして60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で642分間にわたって処理することにより酸価を21.6にした。樹脂を160℃まで冷却し、そして粘度が高いことに基づいて、スチレンによる希釈なしに容器に移した。室温で450.0gのスチレン中に550.0gの樹脂を溶解させることにより、スチレン中の55wt%のポリエステルの溶液を調製した。0.201gポーションのヒドロキノンを添加し、結果として201ppmのヒドロキノンを含有する最終樹脂溶液を生じさせた。ニート樹脂及び後続の樹脂溶液は次の特性を有した:
【0040】
特性 値
酸価(mg KOH/樹脂g) 21.6
ICI粘度(ポアズ) 200℃で>100
MW(数平均) 2481
MW(重量平均) 7018
Tg,℃(第2サイクル中点) 100.2
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 曇り度が高い
【0041】
比較例3
比較例1のために使用されたものと同じ反応器設定を、比較例3のために使用した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:627.3g(4.36mol)の1,4−シクロヘキサンジメタノール、57.82g(0.76mol)の1,2−プロパンジオール、411.87g(2.39mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及び0.60g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって180℃で保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応温度を400分間にわたって200℃で保持した。反応混合物の酸価は2.1に達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして234.56g(2.39mol)の無水マレイン酸を添加した。無水マレイン酸の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。反応混合物を140℃まで冷却させておき、そして60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で600分間にわたって処理することにより酸価を9.0にした。樹脂を140℃まで冷却し、そして0.44gのヒドロキノンを含有する983.0gのスチレンで希釈することにより55wt%のポリエステルを形成し、結果として201ppmのヒドロキノンを含有する最終樹脂溶液を生じさせた。ニート樹脂及び後続の樹脂溶液は次の特性を有した:
【0042】
特性 値
酸価(mg KOH/樹脂g) 9.0
ICI粘度(ポアズ) 200℃で>100
MW(数平均) 4274
MW(重量平均) 12549
Tg,℃(第2サイクル中点) 21.9
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 透明
【0043】
例1
比較例1のために使用されたものと同じ反応器設定を、例1のために使用した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:377.83g(3.63mol)の2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、171.66g(1.19mol)の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、64.69g(0.85mol)の1,2−プロパンジオール、463.40g(2.69mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及び0.60g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって180℃で保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応温度を252分間にわたって200℃で保持した。反応混合物の酸価は5.0に達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして263.90g(2.69mol)の無水マレイン酸を添加した。無水マレイン酸の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。反応混合物を140℃まで冷却させておき、そして60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で720分間にわたって処理することにより酸価を11.3にした。樹脂を140℃まで冷却し、そして0.15gのヒドロキノンを含有する983.0gのスチレンで希釈することにより55wt%のポリエステルを形成し、結果として69ppmのヒドロキノンを含有する最終樹脂溶液を生じさせた。ニート樹脂及び後続の樹脂溶液は次の特性を有した:
【0044】
特性 値
酸価(mg KOH/樹脂g) 11.3
ICI粘度(ポアズ) 200℃で>13.7
MW(数平均) 4050
MW(重量平均) 12811
Tg,℃(第2サイクル中点) 21.3
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 透明
【0045】
例2
比較例1のために使用されたものと同じ反応器設定を、例2のために使用した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:241.28g(2.32mol)の2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、334.08g(2.32mol)の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、62.21g(0.82mol)の1,2−プロパンジオール、444.78g(2.58mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及び0.60g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって180℃で保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応温度を358分間にわたって200℃で保持した。反応混合物の酸価は4.7に達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして253.30g(2.58mol)の無水マレイン酸を添加した。無水マレイン酸の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。反応混合物を140℃まで冷却させておき、そして60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で720分間にわたって処理することにより酸価を18.8にした。樹脂を140℃まで冷却し、そして0.15gのヒドロキノンを含有する983.0gのスチレンで希釈することにより55wt%のポリエステルを形成し、結果として69ppmのヒドロキノンを含有する最終樹脂溶液を生じさせた。ニート樹脂及び後続の樹脂溶液は次の特性を有した:
【0046】
特性 値
酸価(mg KOH/樹脂g) 18.8
ICI粘度(ポアズ) 200℃で>19.9
MW(数平均) 3748
MW(重量平均) 10347
Tg,℃(第2サイクル中点) 29.1
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 透明
【0047】
例3
比較例1のために使用されたものと同じ反応器設定を、例3のために使用した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:621.08g(4.31mol)の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、57.82g(0.76mol)の1,2−プロパンジオール、411.87g(2.39mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及び0.60g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって180℃で保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応温度を442分間にわたって200℃で保持した。反応混合物の酸価は9.5に達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして234.56g(2.29mol)の無水マレイン酸を添加した。無水マレイン酸の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。反応混合物を140℃まで冷却させておき、そして60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で720分間にわたって処理することにより酸価を18.8にした。樹脂を140℃まで冷却し、そして0.15gのヒドロキノンを含有する983.0gのスチレンで希釈することにより55wt%のポリエステルを形成し、結果として69ppmのヒドロキノンで最終樹脂溶液を生じさせた。ニート樹脂及び後続の樹脂溶液は次の特性を有した:
【0048】
特性 値
酸価(mg KOH/樹脂g) 16.6
ICI粘度(ポアズ) 200℃で>100
MW(数平均) 4074
MW(重量平均) 14653
Tg,℃(第2サイクル中点) 66.7
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 透明
【0049】
樹脂注型物の調製及び物理特性
下記硬化パッケージを使用してスチレン溶液中55重量パーセントの樹脂を触媒することにより、比較例1〜3及び例1〜3の樹脂から、曲げ機械試験及び熱撓み温度のための樹脂注型物(1/8”)を調製した。触媒された樹脂は型に移した。一晩硬化させた後、120℃で2時間にわたって注型物を後硬化した。
【0050】
硬化パッケージ
成分 重量,グラム
樹脂(スチレン中55%) 200.00
コバルトオクトエート、6%活性 0.80
ジメチルアセトアセトアミド(DMAA)共促進剤 0.60
ヒドロキノン抑制剤 0.02
過酸化メチルエチルケトン(MEKP-925) 2.00
【0051】
【表1】

【0052】
ゲルコート配合物の調製及び風化特性
高速歯付きブレード分散機を使用して、比較例1〜3及び例1〜3の樹脂から顔料粉砕体を調製した:
【0053】
ゲルコート粉砕体
成分 重量,グラム
樹脂(スチレン中55%) 53.28
二酸化チタン等級R-902 79.92
追加の樹脂(スチレン中55%) 260.80
非晶質ヒュームドシリカ・タイプM-5 6.00
【0054】
低い剪断下で初期樹脂装入物に顔料をゆっくりと添加した。全ての顔料を添加したら、剪断力を高め、粉砕体をほぼ10.7メートル/秒の先端速度で処理した。5分後に、粉砕体は、Hegman粉砕粉末度読み取り>7に達した。残りのレットダウン樹脂を低剪断下で顔料粉砕体に添加した。ヒュームドシリカを低剪断下でゆっくりと添加し、次いで、10.7m/sで5分間にわたって処理し、Hegman粉砕粉末度読み取り>7を維持した。ゲルコートを次のように調製した:
【0055】
ゲルコート配合物
成分 重量,グラム
ゲルコート粉砕体 110.00
コバルトオクトエート、6%活性 0.44
空気抜き添加剤、BYK A-500タイプ 0.28
ジメチルアセトアセトアミド(DMAA)共促進剤 0.33
ヒドロキノン抑制剤 0.01
過酸化メチルエチルケトン(MEKP-925) 1.10
【0056】
【表2】

【0057】
比較例4
可変熱源、窒素ブランケット及び表面下スパージ、機械的可変速度攪拌機、カラム中点温度が103℃で維持された油加熱型部分凝縮カラム、及び15℃で維持されたグリコール冷却型総凝縮器から成るコンピュータ制御式反応装置を使用することにより、二段合成を介して下記樹脂を調製した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:661.74g(6.35mol)の2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、85.30g(1.12mol)の1,2−プロパンジオール、591.34g(3.56mol)のイソフタル酸、及び0.60g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応を360分間にわたって200℃で保持し、酸価は1.85mg KOH/樹脂gに達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして349.01g(3.56mol)の無水マレイン酸を添加した。無水マレイン酸の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。温度を140℃まで冷却させておき、次いで60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で660分間にわたって処理することにより酸価を14.4mg KOH/樹脂gにした。樹脂を140℃まで冷却し、そしてスチレンで希釈することにより55wt%のポリエステルを形成した。樹脂溶液に0.54gポーションのヒドロキノンを添加して、ほぼ200ppmのヒドロキノン濃度をもたらした。ニート樹脂は、スチレンによる希釈前には次の特性を有した:
【0058】
特性 値
酸価 14
175℃におけるICI粘度(ポアズ) 12
MW(数平均) 2940
MW(重量平均) 7974
Tg,℃(第2熱中点) 31
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 透明
【0059】
比較例5
比較例4のために使用されたものと同じ反応器設定を、比較例5のために使用した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:779.18g(3.27mol)の水素化ビスフェノールA、43.75g(0.58mol)の1,2−プロパンジオール、295.00g(1.78mol)のイソフタル酸、及び0.60g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応温度を394分間にわたって200℃で保持し、酸価は8.2mg KOH/樹脂gに達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして174.11(1.78mol)の無水マレイン酸を添加した。無水マレイン酸の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。反応混合物を140℃まで冷却させておき、次いで60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で266分間にわたって処理することにより酸価を21.1mg KOH/樹脂gにした。樹脂を160℃まで冷却し、そして粘度が高いことに基づいて、スチレンによる希釈なしに容器に移した。室温で450.0gのスチレン中に550.0gの樹脂を溶解させることにより、スチレン中の55wt%のポリエステルの溶液を調製した。0.201gポーションのヒドロキノンを添加し、結果としてほぼ200ppmのヒドロキノンを含有する最終樹脂溶液を生じさせた。ニート樹脂及び後続の樹脂溶液は次の特性を有した:
【0060】
特性 値
酸価 21
200℃におけるICI粘度(ポアズ) >100
MW(数平均) 2431
MW(重量平均) 6410
Tg,℃(第2熱中点) 118
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 透明且つ濃厚
【0061】
比較例6
比較例4のために使用されたものと同じ反応器設定を、比較例6のために使用した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:636.14g(4.41mol)の1,4−シクロヘキサンジメタノール、58.46g(0.77mol)の1,2−プロパンジオール、401.42g(2.42mol)のイソフタル酸、及び0.60g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応温度を221分間にわたって200℃で保持し、酸価は0.7mg KOH/樹脂gに達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして236.92g(2.42mol)の無水マレイン酸を添加した。無水マレイン酸の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。反応混合物を140℃まで冷却させておき、次いで60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で484分間にわたって処理することにより酸価を10.5mg KOH/樹脂gにした。樹脂を160℃まで冷却し、そして粘度が高いことに基づいて、スチレンによる希釈なしに容器に移した。室温で450.0gのスチレン中に550.0gの樹脂を溶解させることにより、スチレン中の55wt%のポリエステルの溶液を調製した。0.201gポーションのヒドロキノンを添加し、結果としてほぼ200ppmのヒドロキノンを含有する最終樹脂溶液を生じさせた。ニート樹脂は、スチレンによる希釈前には次の特性を有した:
【0062】
特性 値
酸価 10
200℃におけるICI粘度(ポアズ) 49
MW(数平均) 3822
MW(重量平均) 12656
Tg,℃(第2熱中点) 47
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 曇り且つ濃厚
【0063】
例4
比較例4のために使用されたものと同じ反応器設定を、例4のために使用した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:175.69g(1.22mol)の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、386.69g(3.71mol)の2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、65.55g(0.86mol)の1,2−プロパンジオール、453.53g(2.73mol)のイソフタル酸、及び0.6g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応温度を387分間にわたって200℃で保持し、酸価は4.1mg KOH/樹脂gに達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして267.68g(2.74mol)の無水マレイン酸を添加した。無水マレイン酸の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。反応混合物を140℃まで冷却させておき、そして60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で609分間にわたって処理することにより酸価を20.0mg KOH/樹脂gにした。樹脂を140℃まで冷却し、そしてスチレンで希釈することにより55wt%の固形物を形成した。樹脂溶液に0.32gポーションのヒドロキノンを添加して、ほぼ150ppmのヒドロキノン濃度をもたらした。ニート樹脂は、スチレンによる希釈前には次の特性を有した:
【0064】
特性 値
酸価 20
175℃におけるICI粘度(ポアズ) 16
MW(数平均) 2491
MW(重量平均) 5564
Tg,℃(第2熱中点) 36
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 透明
【0065】
例5
比較例4のために使用されたものと同じ反応器設定を、例5のために使用した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:341.88g(2.37mol)の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、246.91g(2.37mol)の2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、63.03g(0.83mol)の1,2−プロパンジオール、434.85g(2.62mol)のイソフタル酸、及び0.6g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応を397分間にわたって200℃で保持し、酸価は5.1mg KOH/樹脂gに達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして256.65g(2.62mol)の無水マレイン酸を添加した。酸無水物の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。温度を140℃まで戻しておき、そして60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で527分間にわたって処理することにより酸価を15mg KOH/樹脂gにした。樹脂を140℃まで冷却し、そしてスチレンで希釈することにより55wt%の固形物を形成した。樹脂溶液に0.32gポーションのヒドロキノンを添加して、ほぼ150ppmのヒドロキノン濃度をもたらした。ニート樹脂は、スチレンによる希釈前には次の特性を有した:
【0066】
特性 値
酸価 15
175℃におけるICI粘度(ポアズ) 59
MW(数平均) 3341
MW(重量平均) 8179
Tg,℃(第2熱中点) 53
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 透明
【0067】
例6
比較例4のために使用されたものと同じ反応器設定を、例6のために使用した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:495.55g(3.44mol)の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、117.43g(1.13mol)の2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、60.67g(0.80mol)の1,2−プロパンジオール、417.78g(2.51mol)のイソフタル酸、及び0.6g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応を400分間にわたって200℃で保持し、酸価は4.8mg KOH/樹脂gに達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして246.57g(2.51mol)の無水マレイン酸を添加した。酸無水物の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。温度を140℃まで戻しておき、そして60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で600分間にわたって処理することにより酸価を15.4にした。樹脂を160℃まで冷却し、そして粘度が高いことに基づいて、スチレンによる希釈なしに容器に移した。675.0gのスチレン中に825.0gの樹脂を0.225gのヒドロキノンとともに溶解させることにより、スチレン中の55wt%のポリエステルの溶液を調製し、結果として150ppmのヒドロキノンを含有する最終樹脂溶液を生じさせた。ニート樹脂は、スチレンによる希釈前には次の特性を有した:
【0068】
特性 値
酸価 15
175℃におけるICI粘度(ポアズ) 68
MW(数平均) 2739
MW(重量平均) 6767
Tg,℃(第2熱中点) 61
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 透明
【0069】
例7
比較例4のために使用されたものと同じ反応器設定を、例7のために使用した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:619.23g(4.29mol)の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、79.29g(1.04mol)の1,2−プロパンジオール、407.59g(2.45mol)のイソフタル酸、及び0.6g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応を350分間にわたって200℃で保持し、酸価は4.1mg KOH/樹脂gに達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして240.56g(2.45mol)の無水マレイン酸を添加した。酸無水物の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。温度を140℃まで戻しておき、そして60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で410分間にわたって処理することにより酸価を24にした。樹脂を160℃まで冷却し、そして粘度が高いことに基づいて、スチレンによる希釈なしに容器に移した。675.0gのスチレン中に825.0gの樹脂を0.225gのヒドロキノンとともに溶解させることにより、スチレン中の55wt%のポリエステルの溶液を調製し、結果として150ppmのヒドロキノンを含有する最終樹脂溶液を生じさせた。ニート樹脂は、スチレンによる希釈前には次の特性を有した:
【0070】
特性 値
酸価 24
200℃におけるICI粘度(ポアズ) 31
MW(数平均) 2630
MW(重量平均) 6306
Tg,℃(第2熱中点) 75
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 透明
【0071】
例8
比較例4のために使用されたものと同じ反応器設定を、例8のために使用した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに次の材料を装入した:500.29g(3.47mol)の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、162.13g(2.13mol)の1,2−プロパンジオール、433.38g(2.61mol)のイソフタル酸、及び0.6g(500ppm)のブチルスタノン酸。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。反応を355分間にわたって200℃で保持し、酸価は7.4mg KOH/樹脂gに達した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして255.78g(2.61mol)の無水マレイン酸を添加した。酸無水物の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。温度を140℃まで戻しておき、そして60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。樹脂を200℃で613分間にわたって処理することにより酸価を33にした。樹脂を160℃まで冷却し、そして粘度が高いことに基づいて、スチレンによる希釈なしに容器に移した。675.0gのスチレン中に825.0gの樹脂を0.225gのヒドロキノンとともに溶解させることにより、スチレン中の55wt%のポリエステルの溶液を調製し、結果として150ppmのヒドロキノンを含有する最終樹脂溶液を生じさせた。ニート樹脂は、スチレンによる希釈前には次の特性を有した:
【0072】
特性 値
酸価 22
200℃におけるICI粘度(ポアズ) 27
MW(数平均) 2621
MW(重量平均) 7293
Tg,℃(第2熱中点) 70
樹脂溶液の外観(スチレン中55%の樹脂) 曇り
【0073】
樹脂注型物の調製及び物理特性−下記硬化パッケージを使用してスチレン溶液中55重量パーセントの樹脂を触媒することにより、比較例4〜6及び例4〜8の樹脂から、曲げ機械試験及び熱撓み温度のための樹脂注型物(1/8”)を調製した。触媒された樹脂は型に移した。一晩硬化させた後、120℃で2時間にわたって注型物を後硬化した。樹脂特性を表3に示す。
【0074】
硬化パッケージ
成分 重量,グラム
樹脂(スチレン中55%) 200.00
コバルトオクトエート、6%活性 0.80
ジメチルアセトアセトアミド(DMAA)共促進剤 0.60
ヒドロキノン抑制剤 0.02
過酸化メチルエチルケトン(MEKP-925) 2.00
【0075】
【表3】

【0076】
ゲルコート配合物の調製及び風化特性
比較例4〜6及び例4〜8の樹脂からゲルコート配合物を調製した。高速歯付きブレード分散機を使用して、顔料粉砕体を調製し、この顔料粉砕体は次の配合を有した:
【0077】
ゲルコート粉砕体
成分 重量,グラム
樹脂(スチレン中55%) 53.28
二酸化チタン等級R-902 79.92
追加の樹脂(スチレン中55%) 260.80
非晶質ヒュームドシリカ・タイプM-5 6.00
【0078】
低い剪断下で初期樹脂装入物に顔料をゆっくりと添加した。全ての顔料を添加したら、剪断力を高め、粉砕体をほぼ10.7メートル/秒の先端速度で処理した。5分後に、粉砕体は、Hegman粉砕粉末度読み取り>7に達した。残りのレットダウン樹脂を低剪断下で顔料粉砕体に添加した。ヒュームドシリカを低剪断下でゆっくりと添加し、次いで、10.7m/sで5分間にわたって処理し、Hegman粉砕粉末度読み取り>7を維持した。ゲルコートを次のように調製した:
【0079】
ゲルコート配合物
成分 重量,グラム
ゲルコート粉砕体 110.00
コバルトオクトエート、6%活性 0.44
空気抜き添加剤、BYK A-500タイプ 0.28
ジメチルアセトアセトアミド(DMAA)共促進剤 0.33
ヒドロキノン抑制剤 0.01
過酸化メチルエチルケトン(MEKP-925) 1.10
【0080】
耐沸騰水試験前に2時間にわたってゲルコートラミネートを66℃で後硬化させた。試験の結果を表4に示す。
【0081】
【表4】

【0082】
例9〜12:1,2−プロパンジオールなしの不飽和TMCD樹脂の調製
比較例1のために使用されたものと同じ反応器設定を、例9〜12のために使用した。ヒドロキシル/酸R値1.05を例9〜12のために用いた。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに、無水マレイン酸を除いて表5に挙げたグリコール及び二酸のタイプを装入した。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。5mg KOH/樹脂g未満の酸価に達するまで、反応を200℃で保持した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして無水マレイン酸を添加した。酸無水物の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。温度を140℃まで戻しておき、そして60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。18〜35mg KOH/樹脂gに達するまで、樹脂を200℃で処理した。樹脂を160℃まで冷却し、そして粘度が高いことに基づいて、スチレンによる希釈なしに容器に移した。675.0gのスチレン中に825.0gの樹脂を0.225gのヒドロキノンとともに溶解させることにより、スチレン中の55wt%のポリエステル溶液を調製し、結果として150ppmのヒドロキノンを含有する最終樹脂溶液を生じさせた。表5〜7において、符号「AN」は酸価(mg KOH/樹脂g)に対応し、「Mw」は重量平均分子量であり、そして「Mn」は数平均分子量である。
残りの符号は説明を要しない。
【0083】
例13〜15:ブチルスタノン酸触媒を用いた1,2−プロパンジオールなしの不飽和TMCD樹脂の調製
比較例1のために使用されたものと同じ反応器設定を、例13〜15のために使用した。ヒドロキシル/酸R値1.05を例13〜15のために用いた。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに、無水マレイン酸を除いて表6に挙げたモル比のグリコール及び二酸のタイプを装入した。例13〜14では0.05Wt%で、そして例15では0.10Wt%で、ブチルスタノン酸を触媒として使用した。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。5mg KOH/樹脂g未満の酸価に達するまで、反応を200℃で保持した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして無水マレイン酸を添加した。酸無水物の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。温度を140℃まで戻しておき、そして60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。18〜35mg KOH/樹脂gに達するまで、樹脂を200℃で処理した。樹脂を160℃まで冷却し、そして粘度が高いことに基づいて、スチレンによる希釈なしに容器に移した。675.0gのスチレン中に825.0gの樹脂を0.225gのヒドロキノンとともに溶解させることにより、スチレン中の55wt%のポリエステル溶液を調製し、結果として150ppmのヒドロキノンを含有する最終樹脂溶液を生じさせた。
【0084】
例16〜18:1,2−プロパンジオール及びブチルスタノン酸触媒を用いた不飽和TMCD樹脂の調製
比較例1のために使用されたものと同じ反応器設定を、例16〜18のために使用した。ヒドロキシル/酸R値1.05を例16〜18のために用いた。例16〜18では0.05Wt%で、ブチルスタノン酸を触媒として使用した。2000mlケトル・タイプの反応フラスコに、無水マレイン酸を除いて表7に挙げたモル比のグリコール及び二酸のタイプを装入した。1時間当たり0.8立方フィートの窒素流下で間欠的に撹拌しながら、125分間にわたって25℃から150℃まで混合物を加熱した。次いで反応温度を60分間にわたって150℃から180℃まで高め、そして30分間にわたって保持した。反応温度を150分間にわたって180℃から200℃まで高めた。5mg KOH/樹脂g未満の酸価に達するまで、反応を200℃で保持した。第1段反応混合物を140℃まで冷却し、そして無水マレイン酸を添加した。酸無水物の発熱量の結果として、温度はほぼ160℃まで上昇した。温度を140℃まで戻しておき、そして60分間にわたって140℃から200℃まで温度を高めた。18〜35mg KOH/樹脂gに達するまで、樹脂を200℃で処理した。樹脂を160℃まで冷却し、そして粘度が高いことに基づいて、スチレンによる希釈なしに容器に移した。675.0gのスチレン中に825.0gの樹脂を0.225gのヒドロキノンとともに溶解させることにより、スチレン中の55wt%のポリエステル溶液を調製し、結果として150ppmのヒドロキノンを含有する最終樹脂溶液を生じさせた。
【0085】
【表5】

【0086】
【表6】

【0087】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) 二酸残基の総モルを基準として、10〜90モルパーセントの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基と、90〜10モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含む二酸残基;並びに
(B) ジオール残基の総モルを基準として、20〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、80〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含むジオール残基
を含む、
不飽和ポリエステル樹脂であって、
前記ポリエステルが、数平均分子量300〜10,000ダルトン;ガラス転移温度0〜125℃、酸価0〜50mgKOH/ポリエステル樹脂g;及び温度175〜200℃でのICI粘度で5〜70ポアズを有する、
不飽和ポリエステル樹脂。
【請求項2】
前記二酸残基が、30〜70モルパーセントの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基と、70〜30モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含み;そして前記ジオール残基が、40〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、60〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含む、請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂。
【請求項3】
前記二酸残基が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びイソフタル酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基を含み;そして前記ポリエステルが、数平均分子量1500〜5000ダルトン及びガラス転移温度25〜80℃を有する、請求項2に記載の不飽和ポリエステル樹脂。
【請求項4】
前記二酸残基が、40〜60モルパーセントの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はイソフタル酸の残基と、60〜40モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含み;前記ジオール残基は、60〜85モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、40〜15モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含み;そして前記ポリエステルが、数平均分子量2000〜4500ダルトン及びガラス転移温度50〜80℃を有する、請求項3に記載の不飽和ポリエステル樹脂。
【請求項5】
前記ジオール残基が、0〜60モルパーセントの、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール、及び水素化ビスフェノールAから選択された少なくとも1種のジオールの残基をさらに含む、請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂。
【請求項6】
請求項1の不飽和ポリエステル樹脂を製造する方法であって、
I.
(A) 工程I及びIIの二酸の総モルを基準として、10〜90モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸成分;及び
(B) ジオールの総モルを基準として20〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールと、80〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールとを含むジオール成分
を含む混合物を、エステル化の水を除去しながら加熱することにより、中間重合生成物を形成する工程;そして
II. 前記中間重合生成物と、工程I及びIIの二酸の総モルを基準として90〜10モルパーセントの、2−ブテン二酸、そのエステル、又はその酸無水物のうちの1種又は2種以上とを、エステル化の水を除去しながら加熱することにより不飽和ポリエステル樹脂を形成する工程
を含む、
請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂を製造する方法。
【請求項7】
前記二酸成分が、30〜70モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸を含み;そして前記ジオール成分が、40〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールと、60〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールとを含み;そして工程IIの前記中間重合生成物が、70〜30モルパーセントの、前記2−ブテン二酸、そのエステル、又はその酸無水物のうちの1種又は2種以上と一緒に加熱される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記二酸成分が、40〜60モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はイソフタル酸を含み;前記ジオール成分が、60〜85モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールと、40〜15モルパーセントの1,2−プロパンジオールとを含み;そして工程IIの前記中間重合生成物が、60〜40モルパーセントの、前記2−ブテン二酸、そのエステル、又はその酸無水物のうちの1種又は2種以上と一緒に加熱され;そして前記ポリエステル樹脂が、数平均分子量2000〜4500ダルトン及びガラス転移温度50〜80℃を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
I) 請求項1の不飽和ポリエステル樹脂と;
II) 前記不飽和ポリエステル樹脂と共重合可能なエチレン系不飽和モノマーと
を含む硬化性の不飽和ポリエステル組成物。
【請求項10】
前記エチレン系不飽和モノマーが、スチレン、ビニルトルエン、メチル(メタ)アクリレート、α−メチルスチレン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の不飽和ポリエステル組成物。
【請求項11】
前記二酸残基が、30〜70モルパーセントの、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基と、70〜30モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含み;そして前記ジオール残基が、40〜90モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、60〜10モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含む、請求項10に記載の不飽和ポリエステル組成物。
【請求項12】
前記二酸残基が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びイソフタル酸から選択された少なくとも1種の二酸の残基を含み;そして前記ポリエステルが、数平均分子量1500〜5000ダルトン及びガラス転移温度25〜80℃を有する、請求項11に記載の不飽和ポリエステル組成物。
【請求項13】
前記二酸残基が、40〜60モルパーセントの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はイソフタル酸の残基と、60〜40モルパーセントの2−ブテン二酸の残基とを含み;前記ジオール残基が、60〜85モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基と、40〜15モルパーセントの1,2−プロパンジオールの残基とを含み;そして前記ポリエステルが、数平均分子量2000〜4500ダルトン及びガラス転移温度50〜80℃を有する、請求項12に記載の不飽和ポリエステル組成物。
【請求項14】
前記ジオール残基が、0〜60モルパーセントの、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール、及び水素化ビスフェノールAから選択された少なくとも1種のジオールの残基をさらに含む、請求項9に記載の不飽和ポリエステル組成物。
【請求項15】
請求項9〜14のいずれか1項に記載の硬化性の不飽和ポリエステル組成物の重合時に得られる被膜。
【請求項16】
請求項9〜14のいずれか1項に記載の硬化性の不飽和ポリエステル組成物の重合時に得られる注型物品又は成形物品。
【請求項17】
船体、バスタブ、ユニットバス、洗面台、タンク、パイプ、スイミングプール壁、又は台所用具である、請求項16に記載の注型又は成形物品。

【公表番号】特表2012−517496(P2012−517496A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549144(P2011−549144)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/000212
【国際公開番号】WO2010/090711
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】