2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−(10−ヒドロキシデシル)−1,4−ベンゾキノンの経粘膜投与

【課題】細胞膜の抗酸化物質であり、コエンザイムQ10の合成類縁体である2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−(10−ヒドロキシデシル)−1,4−ベンゾキノン(イデベノン)の経口投与後に見られる強い初回通過代謝を回避し、高用量に起因する望ましくない副作用の回避を可能にする使用方法の提供。
【解決手段】経粘膜投与用薬剤によるイデベノンの使用方法。該使用方法における薬剤は、坐剤、滴剤、チューインガム剤、急速溶解錠剤又はスプレー剤の形態であることが好ましい。該薬剤は、鼻粘膜、口腔粘膜又は結腸粘膜を介して投与されるものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−(10−ヒドロキシデシル)−1,4−ベンゾキノン(イデベノン)の経粘膜投与用薬剤に関する。
【0002】
[発明の背景]
イデベノンは、重要な細胞膜の抗酸化物質であり、アデノシン三リン酸(ATP)を産生するミトコンドリア電子輸送系(ETC)の基本的な成分であるコエンザイムQ10(CoQ10)の合成類縁体である。現在まで、イデベノンは種々の医療用途に用いられている。コエンザイムQ10と同様に、イデベノンは、生物体における還元/酸化サイクルを経、還元イデベノンは、抗酸化物質及びラジカルのスカベンジャーである(A.Mordente、G.E.Martorana、G.Minotti、B.Giardina、Chem.Res.Toxicol.11(1998)、54〜63頁)。イデベノンは、脂質の過酸化を抑えるその能力のために、細胞膜及びミトコンドリアを酸化的損傷から保護することが知られている(M.Suno、M.Shibota、A.Nagaoka、Arch.Gerontol.Geriatr.8(1989)、307〜311頁)。イデベノンはまた、ETCと相互作用し、虚血状態においてATPの形成を維持する。この化合物は、神経成長因子を刺激することが示されているが、これは、アルツハイマー病及び他の神経変性疾患の治療に重要と考えられる特徴である(K.Yamada、A.Nitta、T.Hasegawa、K.Fuji、M.Hiramatsu、T.Kameyama、Y.Furukawa、K.Hayashi、T.Nabeshima、Behav.Brain Res.83(1997)、117〜122頁)。該化合物はまた、フリードライヒ運動失調症及び他のミトコンドリア性疾患及び神経筋疾患の治療に対しても提案されている(A.O.Hausse、Y.Aggoun、D.Bonnet、D.Sidi、A.Munnich、A.Rotig、P.Rustin、Heart 87(2002)、346〜349頁)。
【0003】
親油性化合物としてイデベノンは、前記化合物投与の通常の経路である従来の経口投与の後、胃腸管によく吸収される。錠剤又はカプセル剤などの剤形が、臨床試験において、及び市販製品として用いられている。イデベノンの薬理学的特性についての研究の過程で、該化合物が消化管内で吸収された後、初回肝臓通過の間にきわめて迅速に代謝されること(「初回通過効果」)を我々は発見した。98%超のイデベノンが肝臓の初回通過の間に代謝されることが、実験により示された。イデベノンの肝臓代謝の結果、側鎖の酸化、キノン環の還元、サルフェートとグルクロニドの抱合及びその後の腎排泄が生じる。高い初回通過効果は、薬理学的に活性な血漿レベルの遊離イデベノンの急速な還元を起こす。この強い初回通過代謝のために、イデベノンの経口投与には、身体の薬理学的に有効な血漿レベルを達成するためには該化合物の高用量が必要となる。前記高用量は下痢などの望ましくない副作用をもたらす可能性がある。
【0004】
また、イデベノンの経口製剤の嚥下要件は、嚥下問題を有する患者、例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー又はフリードライヒ運動失調症などの重篤な疾患に罹っている患者、高齢患者又は若年患者に対し、実際の投与において困難を負わせる。
【0005】
特開平11−116470には、認知症、特にアルツハイマー型の老年性認知症を治療するためのイデベノンの皮膚投与形態が記載されている。該皮膚投与製剤は、パップ、パッチ又はテープの形態で投与することが好ましい。しかし、皮膚投与経路は、全身的使用に関する投与可能用量、患者の服用遵守及び投薬精度の点で強い限界がある。
【0006】
本発明は当業界の現状の上記欠点を克服するために達成された。したがって、本発明の目的は、従来の経口投与後に見られる強い初回通過代謝を回避し、前記活性剤の高用量に起因する望ましくない副作用の回避を可能にするイデベノンの投与様式を、それを必要とする対象に提供することである。本発明のさらなる目的は、嚥下問題を有するヒトに対し、イデベノンの投与を容易にすることである。
【0007】
[発明の概要]
前記目的は、経粘膜投与用薬剤の調製におけるイデベノンの使用により達成された。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】同じビーグル犬におけるイデベノンの口腔粘膜投与(4mg/kg舌下(s.l.))対経口投与(1口腔当たり40mg/kg(経口))後のイデベノンの血漿レベルを示す図である。
【図2】イヌにおけるイデベノンの口腔粘膜投与(4mg/kg舌下(s.l.))対経口投与(40mg/kg、経口)後の総抱合(すなわち不活性)代謝物の血漿レベルを示す図である。
【0009】
[発明の詳細な説明]
本発明は、健康の維持又は回復においてきわめて有用であり得る、ヒト又は動物に対する経粘膜投与用薬剤の調製のためのイデベノン(国際非専売名(INN):イデベノン;化学名:2−(10−ヒドロキシデシル)−5,6−ジメトキシ−3−メチル−2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジオン;ケミカルアブストラクツサービス(Chemical Abstracts Service)(CAS)登録番号:58186−27−9)の使用に関する。経粘膜製剤に慣例的に用いられる添加物及び賦形剤と共に活性成分としてイデベノンを含む経粘膜製剤が本明細書にさらに記載されている。また、問題の経粘膜製剤を調製するための方法もまた記載されている。
【0010】
イデベノンは以下の式:
【化1】


を有する。
【0011】
キノンファミリーのメンバーであるイデベノンは、コエンザイムQ10の合成類縁体として販売が促進されてきた。さらにイデベノンは、例えば、フリードライヒ運動失調症などの神経筋疾患、又はアルツハイマー病などの神経系疾患の治療におけるその有効性を調べる種々の医学的研究の主題とされてきた。イデベノンはまた、皺を処置するための局所適用にも用いられてきた。したがってイデベノンは、毒性学的に安全であると考えることができ、これは、薬剤において薬学的活性剤として使用できることを意味している。イデベノンの毒性学的安全性は、1日3回、360mgまでのイデベノンによって処置した536人の患者による臨床試験において確認されている。プラセボ処置された対照群に比較して、いくつかの胃腸刺激ならびに整形外科事象のわずかな増加以外には、処置での有害事象発現は見られなかった(L.J.Thal、M.Grundman、J.Berg、K.Emstrom、R.Margolin、E.Pfeiffer、M.F.Weiner、E.Zamrini、R.G.Thomas、Neurology 61(2003)、1498〜1502頁)。
【0012】
従来の経口投与及び消化管での吸収後、イデベノンはその初回肝臓通過の間に急速に代謝されることが現在観察されている。主要な代謝物は、グルクロネート及びサルフェートなどのイデベノン抱合体、ならびに親化合物の側鎖が酸化された誘導体である。イデベノンの代謝物は薬理学的にあまり活性ではなく、それらは速やかに排泄される。この強い初回通過代謝のために、イデベノンの経口投与には、薬理学的に活性な血漿レベルに到達するために高用量が必要となる。これらの高用量は、臨床適用においてしばしば見られる下痢及び胃腸(GI)管障害をもたらす。
【0013】
驚くべきことに、抱合もされておらずその他の形で代謝もされていないイデベノンを意味する遊離イデベノンの高血漿レベルは、イデベノンを粘膜吸収によって身体に吸収することのできる、イデベノンの経粘膜投与によって達成できることが判明した。したがって、コエンザイムQ10の経粘膜投与が以前の刊行物に記載されているが(K.Fujii、T.Kawabe、K.Hosoe、T.Hidaka、欧州特許出願公開第1388340号明細書)、はるかにより極性の化合物であるイデベノンが、粘膜を通して迅速に吸収されることを、我々は予想外に実証することができた。経粘膜製剤の使用により、イデベノンの従来の経口投与後に見られる初回通過の高代謝を回避することができる。
【0014】
イデベノンの強い初回通過代謝の回避により、この薬剤の同様に高い血漿レベル達成が得られる一方、投与すべき用量を有意に減少させることができる。より低い薬剤曝露は一般に、有害な副作用のリスク減少に関連し、患者による服用遵守の改善に至る医学的利点を提供すると考えられる。
【0015】
初回通過効果の回避に加えて、本発明による薬剤は、効果的で扱いが容易であり、したがって、特に嚥下困難のある患者に対する実際の投与に関して利点を有する。
【0016】
本発明において、「経粘膜投与用製剤」又は「経粘膜製剤」とは、粘膜を介して身体に吸収させることを意図した形態である製剤を意味する。本発明によれば、このような製剤は経粘膜投与用のイデベノンを含有する薬剤の基礎を構成する。
【0017】
さらに、本発明によれば、用語「粘膜」は、鼻粘膜、結腸粘膜及び口腔粘膜を含む。口腔粘膜は舌下粘膜及び頬側粘膜を含む。イデベノンは好ましくは、口腔粘膜又は鼻粘膜を介して適用され、より好ましくは、舌下粘膜又は頬側粘膜を介して適用される。
【0018】
イデベノンの経粘膜投与用薬剤は、例えば、急速溶解性錠剤、乳濁液剤、液剤、スプレー剤、ゲル剤、粘膜接着錠剤又は粘膜接着ペースト剤、パステル剤、舌下錠剤、滴剤、チューイング錠剤、坐剤又はガム剤として調製することができる。
【0019】
これらの適用形態の各々は、このような製剤の製造に一般的に用いられる製剤添加物を用い、従来知られた製剤方法により製造することができる。本発明に記載された製剤に用いられるこのような添加物は、溶媒、緩衝液、香味料、甘味剤、増量剤、保存剤、ゲル化剤、担体、希釈剤、界面活性剤及び粘膜接着性ポリマーなどのアジュバント又は賦形剤などを含有することができる。
【0020】
本発明による薬剤に使用できる好ましい溶媒は、アルコール、特にエタノール、脂肪酸エステル、トリグリセリド、水及びそれらの混合物である。
【0021】
好ましい保存剤は、低級アルキルパラヒドロキシベンゾエート、特にメチルパラヒドロキシベンゾエート及びプロピルパラヒドロキシベンゾエートである。
【0022】
好適な担体及び希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉類、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩類、トラガカントゴム、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート及びプロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油が挙げられる。
【0023】
本発明によるイデベノンの経粘膜投与用薬剤は、種々のミトコンドリア性疾患、神経筋疾患又は神経系疾患の治療に使用することができる。治療される疾患の例としては、限定はしないが、フリードライヒ運動失調症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、アルツハイマー病、レーバー遺伝性視神経萎縮症、MELAS(ミトコンドリア性筋障害、脳障害、脳卒中様エピソードを伴う乳酸アシドーシス)、パーキンソン病及びミトコンドリア性筋障害が挙げられる。
【0024】
使用されるイデベノンの有効用量は、例えば、治療を受けている病態及び治療を受けている病態の重症度に応じて変わり得る。従来の経口投与経路に比較して、該用量は、イデベノンの活性に影響を及ぼさずに、経粘膜投与では有意に減少させることができる。イデベノンの血漿レベルは、経口適用形態の10分の1に減少させた用量で必要濃度に達することを示すことができた。
【0025】
経粘膜製剤により投与されるイデベノンの好適な用量は、0.01mg/kg/日から60mg/kg/日である。イデベノンは、好ましくは、0.01mg/kg/日から20mg/kg/日の用量、より好ましくは、0.01mg/kg/日から10mg/kg/日の用量、さらにより好ましくは、0.01mg/kg/日から5mg/kg/日未満の用量で投与される。最も好ましくは、活性成分イデベノンの用量は、0.1mg/kg/日から4mg/kg/日の間である。驚くべきことに、このような低用量でも、口腔粘膜を介して適用される場合はイデベノンの必要な血漿レベルに達することが研究によって示された。必要な用量は、当業者により容易に確認することができる。
【0026】
好ましい実施形態において、イデベノンは、第2の治療薬と組み合わせて投与することができ、前記第2の治療薬は、炎症及び筋脱力の処置のためにDMD患者でルーチンに用いられている6a−メチルプレドニゾロンコハク酸ナトリウム(solumedrol(登録商標))又はデフラザコート(calcort(登録商標))などの糖質コルチコステロイドから選択されることが好ましい。同様にイデベノンは、ACE阻害剤、ベータ遮断剤及び利尿剤など、DMD関連心筋症を処置するためにDMD患者で用いられている任意の薬剤と組み合わせて投与することができる。
【0027】
好ましいさらなる実施形態において、イデベノンは、さらなる治療薬と組み合わせて投与することができ、前記さらなる治療薬は、エリスロポエチン、ビタミンE、ビタミンC、ミトキノン(MitoQ;K.M.Tailor、R.Smith、国際公開第05019232A1号パンフレット)であることが好ましい。好ましいカルパイン阻害剤は、国際公開第2004/078908 A1号パンフレット、国際公開第2006/021409 A1号パンフレット及び国際公開第2006/021413 A1号パンフレットに開示されているものである。
【0028】
イデベノン及びさらなる活性剤は、疾患の症状を処置又は予防するために、同時に、別々に、又は連続的に使用することができる。該活性剤は、単一の剤形で、又は別個の製剤として提供でき、各製剤は少なくとも1種の活性剤を含有する。
【0029】
以下の実施例は本発明を例示するが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0030】
実施例1
ミクロ乳濁製剤
【表1】

【0031】
調製:TPGS(トコフェロール−ポリエチレングリコール−400−スクシネート)を約60℃に予め加熱する。Miglyol812N及びイデベノンを混合し、該物質が完全に溶解するまで(透明橙色溶液)およそ10分間超音波処理する。溶融TPGSをMiglyol/イデベノン溶液に加え、攪拌する。該混合物を希釈し、均一な乳濁液が得られるまでホモジナイズする。
【0032】
実施例2
舌下錠
【表2】

【0033】
調製:イデベノン、ラクトース一水和物、香料及びアスパルテームを、均一な混合物が得られるまで、高せん断ミキサー内で混合する。水中にポビドンを溶解させ(およそ8〜10%の溶液)、該乾燥混合物に加え、顆粒化する。湿潤顆粒を流動床乾燥器内で乾燥し、篩い分けし、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム及びタルクの予備混合物に加える。最終混合物を錠剤に圧縮する。
【0034】
実施例3:
スプレー製剤
【表3】

【0035】
調製:10gのイデベノンを500mlのエタノール(96%)に溶解させ、400mlの精製水と混合する。該混合物に、メチルパラヒドロキシベンゾエート、プロピルパラヒドロキシベンゾエート及びアスパルテームを溶解させる。精製水で最終容量を1000mlに調整する。該溶液を濾過し、適切なスプレー装置に充填する。
【0036】
実施例4:
イデベノン+プレドニゾン(17−ヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13−ジメチル−7,8,9,10,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,11−ジオン;CAS53−03−2)を有する舌下錠
【0037】
【表4】

【0038】
調製:イデベノン、プレドニゾン、ラクトース一水和物、香料及びアスパルテームを、均一な混合物が得られるまで高せん断ミキサー内で混合する。ポビドンを水に溶解させ(およそ8〜10%の溶液)、該乾燥混合物に加えて顆粒化する。湿潤顆粒を流動床乾燥器内で乾燥し、篩い分けし、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム及びタルクの予備混合物に加える。この最終混合物を円形状の錠剤に圧縮する。
【0039】
実施例5:
血漿中イデベノンの分析的定量化
タンデム型質量分析(MS/MS)とオンラインで連結した液体クロマトグラフィー(LC)により、イデベノンの定量化を実施した。較正用サンプルをヒト血漿中で調製し、品質管理(QC)用サンプルをイヌ血漿中で調製した。
【0040】
サンプル調製
33mlの1M NHOAc、及び300μlのメタノール中に1245mgのEDTA−カリウム塩を溶解することにより調製されたEDTA溶液10μlで、150μlのイヌ血漿を処理した。激しく振とう後、サンプルを、4℃、1960RCFで45分間遠心分離した。50μlのアリコートの上澄液を、LC−MS/MSシステムに注入した。未知のサンプル、較正用及びQC用サンプルを全て、同じアッセイ手順に供した。
【0041】
サンプルは、直ちに使用されない限りおよそ8℃で最長24時間保存された。
【0042】
クロマトグラフィー条件
イデベノンを分離し、HPLC−MS/MSにより定量化した:HPLCに関しては、Synergi(商標)4μMAX−RP(50×2mm)カラム(Phenomenex、Schlieren、スイス国)を用いた。カラム温度:50℃。移動相A:水+30mMのNHOAc;移動相B:MeOH/HO 100/3(v/v)+30mMのNHOAc、勾配溶出(表4)。流量:250μl/分及び400μl/分。
【0043】
イデベノンを分離した後、ポジティブ様式でESI−MS/MS(API 4000、Perkin−Elmer−Europe BV、Rotkreuz、スイス国)により定量化した。
【0044】
【表5】

【0045】
0.01分から3.75分の時間線形勾配を用いた。
【0046】
R.Artuch、C.Colome、M.A.Vilaseca、A.Aracil、M.Pineda、J.Neurosci、Meth.115(2002)、63〜66頁により記載されているとおり、グルクロン酸塩及び硫酸塩などのイデベノン抱合体を酸性加水分解後に定量化した。
【0047】
実施例6:
イデベノンの舌下送達後の薬物動態データ
実施例1に記載されたとおりに調製されたミクロ乳濁液のイヌ(n=3)への投与後に、イデベノンの血漿レベルを調べた。交差設計において4mg/kgの舌下投与を、40mg/kgの経口投与と比較した。血液サンプルを、投与後8時間の間、採取した。血漿中のイデベノン濃度を、実施例4に記載されたとおりHPLC−MS/MSにより測定し、薬物動態パラメータを算出した。
【0048】
薬物動態分析は、最高血漿濃度(Cmax)、最高血漿濃度が見られた時間(Tmax)、及び0時間から480分での血漿濃度対時間曲線下面積(AUC0〜480分)を含んだ。経口投与と比較して、舌下投与後のイデベノンの相対的生物学的利用能を、正規化された(1mg/kg)AUC値から各イヌに関して算出した。代謝物のAUC比もまた算出した。さらに1mg/kg用量に正規化されたCmax比を算出した。
【0049】
得られた結果は、下表5及び6に示している。
【0050】
【表6】

【0051】
表6に示されているように、実施例1に従って調製されたイデベノンの口腔粘膜用製剤は、従来の経口適用と比較して優れた血漿イデベノンレベルを与えることが明らかである。
【0052】
4mg/kgのイデベノンの口腔粘膜投与後のAUC0〜480は、1265分ng/mlで、イデベノンが10倍高い用量(40mg/kg、AUC0〜480=1079.3分ng/ml)で投与されても、経口投与後のAUCよりも高い。
【0053】
さらに、4mg/kgの経口投与後の最高血漿濃度(105.6ng/ml)は、40mg/kgの経口適用後のCmax(31.9ng/ml)を超えている。
【0054】
【表7】

【0055】
表7は、1mg/kg用量に正規化後、経口投与と比較して、口腔粘膜によるイデベノンの生物学的利用能の改善を示している。口腔粘膜用製剤で得られた正規化AUC0〜480は、イデベノンの経口投与後に得られた正規化AUC0〜480よりも11.1倍高い。口腔粘膜投与対経口投与後の正規化AUC0〜480の増加に平行して、正規化Cmaxは、36.8倍に増加する。
【0056】
一方、イデベノンの不活性な抱合体のCmax値及びAUC0〜480値は、経口投与と比較して口腔粘膜投与後、僅かに増加するだけである(1.4倍)。
【0057】
これらの結果は、図1及び2にさらに示されている。
【0058】
図1は、イヌにおける投与後最初の2時間に亘る、40mg/kgのイデベノンの経口投与と比較して4mg/kgの口腔粘膜投与後のイデベノンの平均血漿レベルを示している。口腔粘膜用製剤は、はるかにより高いCmax及びより早いTmaxを生じる。
【0059】
図2は、イヌにおける投与後8時間に亘って、40mg/kgのイデベノンの経口投与と比較した、4mg/kgの口腔粘膜投与後のイデベノンの不活性抱合体の平均血漿レベルを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経粘膜投与用薬剤の調製のためのイデベノンの使用。
【請求項2】
ミトコンドリア性疾患、神経系疾患又は神経筋疾患の治療用薬剤の調製のための請求項1に記載の使用。
【請求項3】
フリードライヒ運動失調症(FRDA)、レーバー遺伝性視神経萎縮症(LHON)、ミトコンドリア性筋障害、脳障害、脳卒中様エピソードを伴う乳酸アシドーシス(MELAS)及びミトコンドリア性筋障害の治療のための請求項2に記載の使用。
【請求項4】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)及びベッカー型筋ジストロフィー(BMD)の治療のための請求項2に記載の使用。
【請求項5】
アルツハイマー病又はパーキンソン病の治療のための請求項2に記載の使用。
【請求項6】
イデベノンが、0.01mg/kg/日から60mg/kg/日の用量で投与される請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
イデベノンが、0.01mg/kg/日から20mg/kg/日の用量で投与される請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
前記薬剤が、坐剤、滴剤、チューインガム剤、急速溶解錠剤又はスプレー剤の形態である請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
前記薬剤が、鼻粘膜、口腔粘膜又は結腸粘膜を介して投与される請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
前記薬剤が、第2の治療薬を含む請求項1〜9のいずれかに記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−100319(P2013−100319A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−3311(P2013−3311)
【出願日】平成25年1月11日(2013.1.11)
【分割の表示】特願2009−524098(P2009−524098)の分割
【原出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(505336024)サンセラ ファーマシューティカルズ (シュバイツ) アーゲー (21)
【Fターム(参考)】