説明

2,5−ピペラジンジオン,3,6−ビス(フェニルメチル)−,(3S,6S)−を含有する酸性飲食品

【課題】学習意欲改善作用を有する有用物質である2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-を含有し、酸性飲料の製造に使用可能なエキス等を提供すること。
【解決手段】2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-含有エキスの製造において、酸処理工程を含ませることにより、飲料に添加した場合でも沈殿を生じない酸性エキスが得られる。本発明のエキスは、飲食物本来の呈味を損なうことがなく飲料等に添加することができ、市場において好まれている酸性飲料の製造に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-を含有する酸性飲食品、より詳しくは、2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-を含有するpH5未満のエキスおよび飲料等に関する。
【背景技術】
【0002】
高度に複雑化した現代社会において、意欲の低下が問題となっている。例えば、「モチベーションクライシス」という言葉が叫ばれており、若者のモチベーション低下が大きな問題になっている。また、うつ病患者の多くは意欲低下症状を示すと言われており、意欲低下を改善できる薬剤の開発が望まれている。
【0003】
近年、アミノ酸が二つ結合した「ジペプチド」が機能性物質として注目されている。ジペプチドは単体アミノ酸にない物理的性質や新たな機能を付加することが可能であり、アミノ酸以上の応用範囲を有するものとして期待されている。 本発明者らは、2,5-ジケトピペラジン誘導体である2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-(CA Registry Number: 2862-51-3)(以下、「化合物A」という。)が、学習意欲改善作用を有することを見出した(同日付け特許出願:特許文献1)。
【0004】
ところで、市場においては酸性飲料が好まれている。一方、化合物Aを含有するものとして、液体としては蓄肉を煮てなるチキンエキス、固形のものとしてはチキンコンソメ等が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2009−296164
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、チキンエキスやチキンコンソメ等のpHは中性である。従って、化合物Aを含有する飲料として市場で好まれる酸性飲料を提供すべく、これら中性のエキス等を酸性の液体に添加すると、沈殿が発生すると共に、チキンエキス特有の味・ぬめり・ざらつきがあり、香味的にも満足する飲料は得られない。
【0007】
また、化合物Aは水にはほとんど溶解しないので、化合物Aをそのまま飲料に、簡単に添加することはできない。
そこで本発明の目的は、学習意欲改善作用を有する有用物質である化合物Aを含有する酸性飲料の製造に使用可能なエキス、および化合物Aを含有する酸性飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、化合物Aを含有しつつ、飲料に添加した場合でも沈殿を生じない酸性エキスであって、香味や舌触りがよいものを得ることができ、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、次の[1]〜[20]である。
[1] 化合物Aを含む、pH5未満のエキス。
[2] 化合物A含有量(μg/100g)とブリックス(Bx)の比が0.1(μg/100g)/Bx以上である、[1]記載のエキス。
[3] 化合物A含有量(μg/100g)とブリックス(Bx)の比が6(μg/100g)/Bx以上である、[1]記載のエキス。
[4] 化合物Aを1μg/100g以上の濃度で含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載のエキス。
[5] 化合物Aを60μg/100g以上の濃度で含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載のエキス。
[6] 化合物Aが天然物から抽出されたものである、[1]〜[5]のいずれかに記載のエキス。
[7] 天然物が獣鳥肉類、魚介類、または貝類である、[6]記載のエキス。
[8] 天然物が鶏肉である、[6]または[7]記載のエキス。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載のエキスを乾燥させて得られるエキス乾燥物。
[10] [1]〜[8]のいずれかに記載のエキスを添加して得られる酸性飲料。
[11] 化合物Aを含む、pH5未満の酸性飲料。
[12] 化合物A含有量(μg/100g)とブリックス(Bx)の比が0.1(μg/100g)/Bx以上である、[10]または[11]記載の酸性飲料。
[13] 化合物Aを1μg/100g以上の濃度で含有する、[10]〜[12]のいずれかに記載の酸性飲料。
[14] 前記飲料は沈殿を含まない、[10]〜[13]のいずれかに記載の酸性飲料。
[15] 前記飲料は沈殿を有し、飲料より回収される沈殿1gあたりに含まれるタンパク質が0.01mg以下である、[10]〜[13]のいずれかに記載の酸性飲料。
[16] [10]〜[15]のいずれかに記載の飲料が入れられた容器詰飲料。
[17] [1]記載のエキスの飲料の製造方法であって、
(1)獣鳥肉類、魚介類、または貝類を原料とし、液体中にて加熱することにより、それらに含有される水溶性タンパク質を除去する前処理工程、
(2)前記前処理後に液体を交換し、再度加熱する工程、
(3)酸を添加する工程、および
(4)得られた液サンプルをろ過する工程、
を含む、製造方法。
[18] 前記工程(3)において、添加する酸が、リン酸、リンゴ酸、およびクエン酸からなる群から選択される一種以上である、[17]記載の製造方法。
[19] [11]記載の飲料の製造方法であって、
(1)獣鳥肉類、魚介類、または貝類を原料とし、液体中にて加熱することにより、それらに含有される水溶性タンパク質を除去する前処理工程、
(2)前記前処理後に液体を交換し、再度加熱する工程、
(3)酸を添加する工程、および
(4)得られた液サンプルをろ過する工程、
を含む、製造方法。
[20] 前記工程(3)において、添加する酸が、リン酸、リンゴ酸、およびクエン酸からなる群から選択される一種以上である、[19]記載の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、学習意欲改善作用を有し、副作用がなく安全性の高い化合物Aを含有しつつ、飲料に添加した場合でも沈殿を生じない酸性エキスを提供する。本発明のエキスは、飲食物本来の呈味を損なうことがなく飲料等に添加することができ、市場において好まれている酸性飲料の製造に用いることができる。本発明の酸性エキスまたは飲料、さらにはそれらが添加された飲食品は、学習意欲の改善に有用な飲食品として、長期の継続摂取が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、試験サンプルの摂取により、マウスが逃避台を見つけ出すまでの時間が反復試行により短縮されるかの試験結果を示す。
【図2】図2は、試験サンプルの摂取により、マウスが逃避台を見つけ出すまでの時間が反復試行により短縮されるかの試験結果を示す。
【図3】図3は、試験サンプルの摂取により、マウスが逃避台を見つけ出すまでの時間が反復試行により短縮されるかの試験結果を示す。
【図4】図4は、各種原料を用いて得られたエキス中の化合物Aの定量結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<酸性エキス>
本発明の酸性エキスは、学習意欲改善作用を有する有用物質である化合物Aを含有しつつ、酸性飲料に添加した場合でも沈殿を生じない。
【0013】
本発明の酸性エキスは、酸性飲料にも沈殿無く適用できる。本発明の酸性エキスは、飲料全体の香味や舌触りへの影響を抑えつつ、化合物Aを飲料へ高濃度に添加することが可能なエキスである。これらの特徴により、飲料の香味設計の自由度が広がる。
【0014】
本発明のエキスは酸性であるが、本明細書において酸性とはpHが5未満のことをいう。本発明液のpHは、5未満、好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4以下である。
また、本発明のエキスの一態様は、pHが5未満であって、化合物Aを高濃度で含有し、かつ化合物A含有量(μg/100g)とブリックス(Bx)の比が0.1以上、好ましくは6(μg/100g)/Bx以上のエキスである。
【0015】
化合物Aは、学習意欲改善作用を有する有用物質であるため、エキス中の含量が高い方が好ましい。具体的には、好ましくは1μg/100g以上、より好ましくは60μg/100g以上、さらに好ましくは75μg/100g以上である。しかし、ブリックスが高いエキスは、原料由来の様々な物質(例えば、苦味成分)も高濃度で含まれてしまうことを意味しており、そのものが飲料に向かないだけでなく、香味や舌触りへの影響が大きく、飲料への添加にも向かないことが多い。従って、エキスのブリックスは、低い方が好ましい。尚、ここでいうBxは、市販のBx測定計測器にて計測することができる。
【0016】
従って、有用物質である化合物Aを多く含み、かつブリックスが低いエキス、即ち化合物Aの含有量(μg/100g)とブリックス(Bx)の比が高いエキスが好ましい。具体的には、化合物A含有量(μg/100g)とブリックス(Bx)の比が0.1(μg/100g)/Bx以上が好ましく、より好ましくは6以上、さらに好ましくは10以上である。このようなエキスは、化合物Aを高含有量で含むにも関わらず、Bxが相対的に低いため、飲料への配合量が少なくてよく、飲料設計の自由度が増すという利点がある。その結果、外観的にも優れ(沈澱・濁りなし)、香味を損なわない飲料の調製が可能となる。
【0017】
化合物Aの濃度は、種々の方法で定量することができるが、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量することができる。
本発明の酸性エキスは、液体状の抽出物であり、そのまま飲用しても、飲食品に添加してもよい。また、エキスは、凍結乾燥やフリーズドライ等の工程によって、容易に粉末化でき、得られるエキス粉末は水溶性のため、水などの液体に簡単に溶かして飲むことができる。また、粉末形態とすることにより、様々な飲食品への添加が容易となり、利用しやすいものとなる。
【0018】
また、ソフトカプセルまたはタブレットの形態とすることもできる。ソフトカプセルやタブレットは、本発明エキス、エキス粉末または顆粒を内包する。
エキスまたはエキス粉末を添加する飲食品の種類や形態は、何ら制限されない。例えば、錠剤およびカプセル剤等のタブレット形態の健康食品、ヨーグルト、加工食品、デザート類、菓子(例えば、ガム、キャンディ、ゼリー)等の固形食品、コーヒー、ウーロン茶、紅茶、清涼飲料、ドリンク剤等の液体飲料などの形態で提供することが可能である。また、ペットフードや動物用飼料も含まれる。
<酸性飲料>
本発明は、化合物Aを含有する、pHが5未満の酸性飲料である。また本発明の一態様は、化合物Aを含有するpHが5未満であって、化合物A含有量/Bxが0.1(μg/100g)/Bx以上の飲料である。
【0019】
化合物Aは、学習意欲改善作用を有する有用物質であるため、飲料中の含量が高い方が好ましい。具体的には、好ましくは1μg/100g以上、より好ましくは60μg/100g以上、さらに好ましくは75μg/100g以上である。
【0020】
化合物Aの含有量は高い方が好ましいが、ブリックスが高い飲料は香味や舌触りの点などで好ましくないので、ブリックスは低い方が好ましい。従って、有用物質である化合物Aを多く含み、かつブリックスが低い飲料、即ち化合物Aの含有量(μg/100g)とブリックス(Bx)の比が高い飲料が好ましい。具体的には、化合物A含有量(μg/100g)とブリックス(Bx)の比が0.1(μg/100g)/Bx以上が好ましく、より好ましくは6以上、さらに好ましくは10以上である。
【0021】
本発明の飲料は、学習意欲改善効果があり、長期の継続摂取も可能であるという特徴と共に、香味や舌触りがよく、さらに外観もよいという特徴を有する。特に、上記本発明のエキスを用いて製造される飲料は、化合物Aを高含有量で含むにも関わらず、飲料に添加した際にエキス由来の沈殿が生じないため、得られる飲料中にエキス由来の沈殿が含まれないという特徴を有する。ここで、エキスを配合する液体は、液体自体に沈澱を含まないもの(例えば透明果汁を使用した飲料、代表的なものに透明果汁使用アップルジュースなど)と、液体自体に沈澱を含むもの(例えば混濁果汁を使用した飲料、代表的なものに混濁果汁使用オレンジジュースなど)がある。沈澱成分を含まない液体に本発明のエキスを添加して調製した飲料は、得られた飲料中にも沈澱が含まれない。一方、混濁果汁使用飲料などのそれ自体に沈澱成分を有する飲料に本発明のエキスを添加して調製した飲料は、混濁果汁に由来する沈澱は含まれるが、本発明エキス由来の沈澱は実質的には含まれない。
【0022】
沈殿成分を含まない液体に本発明のエキスを添加して調製した飲料における沈殿の有無は、例えば目視または遠心分離により固形分が回収されないことにより確認できる。
一方、オレンジ果汁入り飲料などのそれ自体に沈殿成分を有する飲料に本発明のエキスを添加して調製した飲料において、本発明エキス由来の沈殿が実質的に含まれないことは、例えば、飲料中の沈殿を回収し、ドデシル硫酸ナトリウム(以下、「SDS」という)などの界面活性剤にて可溶化するタンパク質の量が極めて少ないことにより確認することができる。もし、エキス由来の成分の沈殿が含まれていれば、界面活性剤による可溶化処理によりエキス由来のタンパク質が可溶化されるが、エキス由来の沈殿が実質的に含まれない場合は可溶化量は極めて少なくなる。尚、SDSによるタンパクの可溶化は、当業者に周知の方法にて実施することができるが、例えばSDS0.025%溶液を用いることにより実施できる。そして、可溶化するタンパク質の量が極めて少ないとは、SDS0.025%溶液で可溶化処理を行った結果、沈殿の固形物量(湿重量)に可溶化タンパク量が実質的に含まれない(0.01mg/g沈殿以下、好ましくは0.001mg/g沈殿以下)ことをいう。
【0023】
ここで、沈殿の固形物量(湿重量)は、飲料を遠心分離機にて3000〜5000rpmにて1〜5分間遠心処理して回収されるウェット状態の固形分の重量である。
本発明飲料のpHは、5未満である。好ましくはpH4.5以下、さらに好ましくは4以下である。
【0024】
本発明の飲料は、通常の飲料と同様、容器詰飲料とすることができる。
<エキス又は飲料の製造方法>
本発明は、化合物Aを含有する酸性エキスまたは飲料である。それらは、例えば以下の製造方法にて調製することができる。
【0025】
(1)獣鳥肉類、魚介類、または貝類を原料とし、液体中にて加熱することにより、それらに含有される水溶性タンパク質を除去する前処理工程、
(2)前記前処理後に液体を交換し、再度加熱する工程、
(3)酸を添加する工程、および
(4)得られた液サンプルをろ過する工程。
【0026】
上記前処理工程(1)にて用いる原料は、有用成分である化合物Aを効率的に得られる天然物、特に獣鳥肉類、魚介類、または貝類が好ましい。獣鳥肉類には、畜肉である牛、豚、馬、羊、およびやぎ、獣肉である畜肉以外の肉、例えばイノシシやシカ、家畜肉である鶏、七面鳥、ウズラ、アヒルおよび合鴨、野鳥肉である家畜肉以外の鳥類の肉、例えば鴨、キジ、スズメ、およびツグミなどが含まれる。また、一般の食生活で食される魚介類および貝類を用いることができる。その他、植物体として、コーヒーやココア等を用いることもできる。これらの獣鳥肉、魚介類、および貝類の中でも、化合物Aを効率的に高濃度で得ることができる鶏肉を用いるのが好ましい。
【0027】
鶏肉を用いると化合物Aが多く得られる理由は不明であるが、鶏肉のたんぱく質が連続したフェニルアラニン(−Phe−Phe−)の構造を多く有するため、ジペプチド(Phe−Phe)が多く生成されることにより、結果として、目的とする化合物Aが多量に得られるものと推測される。
【0028】
前処理工程(1)としては、原料中に含有される水溶性タンパク質を低減させる処理を行えばよく、例えば、水中にて100℃〜160℃で30分〜数時間(好ましくは3時間〜8時間、さらに好ましくは3〜4時間程度)ボイルすればよい。加熱装置としては、圧力鍋、オートクレーブなどを条件に合わせて用いることができる。また、前処理工程(1)において、液体を交換する回数に制限は無い。例えば、工程(1)中に、水等の液体や原料を適宜追加することで、エキスや又は飲料の濃度の調整が可能となる。
【0029】
また、加熱工程(2)は、高温高圧(100℃以上、1気圧以上)で行うことが好ましく、例えば、100℃以上、さらに好ましくは125℃以上が好ましい。さらに加熱工程(2)の加熱時間は30分〜数時間、さらに3〜7時間程度が好ましい。同様に、加熱装置としては、圧力鍋、オートクレーブなどを条件に合わせて用いることができる。
【0030】
前処理工程(1)および加熱工程(2)は、液交換は行わず連続する工程であっても、前処理工程の後、一旦蓄肉を取り出し、液交換を行った後にさらに加熱工程を行ってもよい。前処理工程(1)の後に液交換を行い、その後に加熱工程(2)を行った方が、よりブリックスが低いサンプルが得られることから、液交換は行った方が好ましい。
【0031】
なお、工程(1)及び工程(2)における加熱処理は、植物体及び動物体の焦げを防止するため、溶媒中で行うのが好ましい。溶媒としては、水、エタノール、又はこれらの混合物等を用いるのが好ましい。すなわち、たんぱく質(好ましくは、連続したフェニルアラニン(−Phe−Phe−)の構造を多く有するたんぱく質)を含有する植物体又は動物体に溶媒を混合して加熱処理を施し、その溶媒を回収することで、化合物Aを高含有する溶液が得られる。
【0032】
酸性の状態において化合物Aを含む液体(エキス)が沈殿のない状態、もしくはエキスを添加してできる酸性飲料が沈殿のない状態であるためには、工程(2)で得られた化合物A含有物を酸性にする酸処理を行わねばならない。この酸処理は、工程(2)の次の工程で行うのが好ましい。添加する酸としては、特に限定されるものではないが、食品製造に一般的に用いられる食品添加物、食品原料が好ましい。食品添加物としては、例えばアジピン酸、クエン酸、乳酸、酢酸、グルコノデルタラクトン、フマル酸、グルコン酸、氷酢酸、リンゴ酸、酒石酸、リン酸、L-アスコルビン酸などが挙げられる。また食品原料としては、イタコン酸、フィチン酸、α―ケトグルタル酸、梅酢、穀物酢、果汁、ばくが酢、ぶどう酢、りんご酢、よね酢などが挙げられる。食品製造に一般的に用いられる酸であればいずれでも構わないが、香味的に優れているリンゴ酸、クエン酸、リン酸が好ましい。また、酸は1種類でもそれ以上でも良く、特に限定されるものではない。
【0033】
酸の添加量は、所望のpHに調整するために必要な量であり、添加する酸の種類および所望のpHに応じて適宜決定することができる。
ろ過工程におけるろ過強度は、エキスを添加して得られる食品の形態に応じて適宜選択され、そのろ過方法も当業者が適宜決定することができる。例えば固形食品(例えばタブレット)に使用される場合や飲料が清澄であることが望まれない場合、例えば缶詰飲料など外観が見えない容器を使用する場合などは、前加熱工程後の沈殿物をろ過する程度でもよく、ストレーナーを利用した濾過を実施すればよい。また、清澄であることが望まれる場合、例えば透明瓶やペットボトル詰飲料に使用される場合などは、強度な濾過を実施する必要がある。ストレーナーでの濾過の後、膜を使用した濾過(イオン交換膜、RO膜、ゼータ電位膜、UF膜)や珪藻土を使用した濾過などを実施することで、清澄化を行えばよい。
【0034】
本発明エキスや飲料では、この化合物A高含有溶液をそのまま用いてもよいし、必要に応じて濃縮して、化合物A濃度を高めて用いてもよい。濃縮は、エバポレーターや凍結乾燥などにより実施することができる。
濃縮の前後では、化合物Aの含有量は増加するが、化合物Aの含有量(単位:μg/100g)とブリックス(Bx)の比はほとんど変化しない。これは、濃縮によってブリックスも高くなるからである。従って、化合物Aの含有量(単位:μg/100g)とブリックス(Bx)の比が6以上のものを濃縮することによって、化合物Aをさらに高含量で含む比が6以上のエキスを得ることができるが、化合物Aの含有量(単位:μg/100g)とブリックス(Bx)の比が6未満のものを濃縮しても、化合物Aを高含量で含むエキスは得られるが、化合物Aの含有量(単位:μg/100g)とブリックス(Bx)の比が6以上のものは得られない。
【0035】
本発明の飲料は、必要に応じ、適宜容器詰の飲料とすることができる。
本発明を以下の実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
<実施例1> 化合物Aの学習意欲改善作用(1)
学習意欲増加作用について、当該技術分野で知られている方法、すなわちMorris型水迷路学習(Morris Water Maze:MWM)で評価した。
【0037】
まず、直径90cm、高さ35cmの円筒状のタンクに、墨汁で色を黒くした水を水深20cmになるように入れて、水温を22±1℃とした。このタンクに、C57BL/6マウス(雄性、9週齢)を入れ、オープン・スペース・スイミング(OSS)を行った。OSSを行うと、マウスはその行動に変化を起こし、うつ状態に相当する状態になる。5日間のOSS試行の後、マウスを7群に分けた。
【0038】
次に、上記の直径90cm、高さ35cmの円筒状のタンクに、直径10cmの逃避台を水深0.5cmとなるように設置した。上記7群に分けたマウスに、化合物A(Bachem AG (Bubendorf, Switzerland))又は比較薬物マレイン酸フルボキサミン(Fluvoxamine)を経口投与した60分後に、上記逃避台が設置されたタンクにマウスを投入し、水面下に置かれた不可視の逃避台を見つけ出すまでの時間(逃避潜時)を測定し、空間認知の記憶学習力を評価した(MWM)。コントロールマウスとして、OSSを行っていない動物に生理食塩水を投与して、MWMを行った。MWMは1日5回、10日間行った。
【0039】
結果を図1に示す。図1より明らかなとおり、OSSを行っていないマウス(no OSS-Vehicle)では、逃避潜時が反復試行により短縮されていくが、OSSを行ったマウスでは、学習の意欲が低下しており、逃避潜時が短縮されなかった(OSS-Saline)。一方、化合物Aを投与した群では、投与量が増加するに伴い、逃避潜時が短縮された。0.02mg/kg投与群では、OSSを行っていない動物に生理食塩水を投与したコントロール群(OSS-Vehicle)に比べて、MWMの試行10日後の逃避潜時は20%程度短縮された。また、20mg/kg投与群では、SSRIとして多用されているマレイン酸フルボキサミン投与群(OSS-Fluvoxamine)と比較して、MWMの試行10日後の到達時間はほぼ同程度であった。このことから、化合物Aが学習意欲増加作用を有することが示された。
<実施例2> 学習意欲改善作用(2)
実施例1と同様の方法で、さらに、0.002mg/kg投与群を追加して、同様にMWM試験を行った。
【0040】
MWMの試行7日後の逃避台への到達時間を図2に示す。化合物Aは、0.02mg/kg以上の投与で効果が確認された。動物の有効量からヒトへの投与量を推定する場合、動物種差を考慮した係数10(食品の安全性評価、栗飯原景昭、内山充編著、学会出版センター、1987)を用いると、ヒト投与量はマウス投与量の1/10となる。従って、上述で有効であった0.02mg/kgはヒト(50kg)において0.1mg/ヒトとなる。本化合物Aを含有する食品を飲料とし、その容量を100mlとすると、その有効濃度は1.0μg/mlとなる。
<実施例3> 学習意欲改善作用(3)
実施例1と同様の方法で、マウスに20mg/kgの化合物Aを投与した後に、MWM試験を行った。比較として、直鎖状のジペプチド(Phe−Phe)を20mg/kg投与した後に、MWM試験を行った。
【0041】
図3に結果を示す。図3より明らかなとおり、直鎖状のジペプチド(Phe−Phe)は、有意な作用が確認できなかったが、化合物Aは、コントロール群(OSS−Vehicle)と比較して有意な学習意欲改善作用が認められた。すなわち、学習意欲改善作用は、環状ジペプチド構造が必要であることが分かった。
<実施例4> 原料の検討
たんぱく質を含有する原料として、牛肉、豚肉、魚、うずら肉、しじみ、鶏肉(Black Chicken, Chicken)を用いた。動物体に1倍量の水を混合して容器に入れ、オートクレーブにて前処理工程として135℃4時間、加熱工程として135℃4時間加熱処理を行った。加熱処理後の液体を回収し、食添75%リン酸(日本化学工業株式会社)を添加して、pHを3に調整した。その後、アセトニトリルにて前処理カラム(OASIS MAX (Waters : 30mg/1cc))にて溶出し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、化合物A含量を定量した。HPLCの条件は以下のとおり。結果を図4に示す。
【0042】
(HPLC条件)
・ 装置:Agilent 1100 series
・ カラム:Develosil C30-UG-5 (4.6 x 150mm, 5μm)
・ 移動相A:水、移動相B:100%アセトニトリル溶液
・ グラジエント: Time (min) Solvent B
0.00 20%
9.00 20%
23.00 28%
24.00 70%
31.00 70%
31.10 20%
40.00 20%
・ 注入量:10μl
・ UV検出器波長:215nm
・ 流速:1.0ml/min
・ カラム温度:32℃
なお、焙煎コーヒー豆そのものからは、化合物A含有液体を回収できるが、焙煎豆を抽出したコーヒー飲料においては、化合物Aは測定されなかった。
<実施例5> 化合物A含有酸性エキスの製造
(1)水溶性タンパク質を除去する前処理工程として、鶏肉(200g)および水(200g)を装置カラム部に入れて、400cc高温高圧反応機(株式会社AKIKO)を用いて高温高圧処理を行った。
【0043】
(2)その後、加熱工程として、上記の容器中の液体のみを取り出し、液体を廃棄した。鶏肉の質量と同量の水を加えて、再度(1)と同様に高温高圧処理を行った。
(3)得られた液体を40メッシュ程度のストレーナーでろ過した。その後、ろ液に食品添加用の酸(リン酸・クエン酸・リンゴ酸等)を添加しpH3に調整した後、遠心分離(6500rpm、5分)し、さらに、ストレーナー(300メッシュ)でろ過後、5μmフィルタ(住友スリーエム社製)ろ過を行った。
【0044】
なお、下記表2のエキス1については、前処理加熱工程を行っていない。
それぞれのエキスについて、pH、化合物Aの含有量およびBxを測定し、化合物A含有量/Bxの比を算出した。
【0045】
なお、Bxに関してはBx測定計測器(RX-5000α:株式会社アタゴ製)を用いて測定した。
表1の結果から、(1)前処理の水溶性タンパク質の除去工程を行うこと、また、前処理条件を高温・長時間にすることで、(2)加熱工程で得られるエキスのBxは低くなることがわかった。その結果、化合物Aの含有量(μg/100g)とブリックス(Bx)の比が高いエキスが得られることが明らかになった。
【0046】
【表1】

【0047】
<実施例6> 酸性エキスの添加による沈殿の有無の確認
中性のチキンエキス、コンソメおよび酸性エキス1gを、クエン酸とクエン酸3NaでpH調整した各pHの液体100gに添加した場合の沈殿の有無を調べた。
【0048】
その結果、市販のチキンエキスやコンソメといった中性のものを酸性液体に添加した場合には、沈殿が発生した。なお、コンソメは、パッケージ記載の通りに水で溶いて使用した(コンソメキューブ3.55gに対して水150ml)。
【0049】
一方、本発明の酸性エキスは、酸性の液体に添加しても沈殿せず安定していた。
なお、表中「○」は、液体に添加したエキス等が溶解して沈殿が発生しなかったことを示し、「×」は、液体に添加したエキス等が溶解せず沈殿が発生したことを示す。
【0050】
【表2】

【0051】
<実施例7> 沈殿の確認(1)
(サンプル作製)
下記混合液(ア)(イ)については、それぞれ化合物A含有量およびブリックスが表3に示すレシピ番号1〜6のものを、混合液(ウ)については化合物A含有量およびブリックスが表3に示すレシピ番号1〜9のものを作製する。ジュース(エ)については、表3に示すレシピ番号1〜9のものとブリックスの値をそろえるよう、適宜希釈して調整する。ジュース(エ)に化合物Aは含有されておらず、化合物A含有量/Bxの比は、いずれも0となる。
【0052】
上述したようにそれぞれ作製された混合液(ア)〜(ウ)、ジュース(エ)のサンプルは、85℃10分間にて殺菌する。
ここで用いる市販チキンエキスは、ブリックス=10、pH=6.3、エキス100gあたりの化合物A含有量は45μg。また、市販チキンパウダーとは、市販チキンエキスを粉末化したもので、パウダー10gあたりの化合物A含有量は45μg。本発明酸性エキス酸性エキスは、ブリックス=61.1、pH=2.55、酸性エキス1gあたりの化合物A含有量は48μg。アップルジュースは、pH=3.8の清澄な果汁飲料を用いた。
【0053】
なお、市販チキンエキスは化合物A含有量/Bx比が4.5(μg/100g)/BXであることから、それを用いた混合液(ア)では、4.5(μg/100g)/Bxより高い化合物A含有量/Bx比のものは作成することができない。従って表3に示すレシピ番号の1〜6のものしか作成することができない。また、市販品チキンエキスを粉末化したものを用いた混合液(イ)でも同様に、表3に示すレシピ番号の1〜6しか作成することができない。従って、混合液(ア)(イ)では7,8,9の条件は検討できず、1〜6の条件検討のみを行う。
(ア)市販のチキンエキスと果汁100%のアップルジュースとの混合液
(イ)市販のエキスパウダーと果汁100%のアップルジュースとの混合液
(ウ)本発明酸性エキスと果汁100%のアップルジュースとの混合液
(エ)果汁100%のアップルジュース(コントロール)
(沈殿発生および舌触りの確認)
上記殺菌されたサンプルを静置し、目視にて沈澱発生の有無および舌触りを確認した。結果を表4の「沈殿」「舌触り」に示す。
ここで、「×」とは沈殿が目視できないことを示し、「○」とは沈殿が視認できることを示す。
【0054】
また、舌触りは、コントロール(市販アップルジュースを水でうすめてレシピ番号1〜9と同じBxに調整)と比較した5段階評価であり、
5・・・コントロールと同じなめらかさ
4・・・コントロールより微妙にざらつきを感じる
3・・・コントロールより少しざらつきを感じる
2・・・コントロールよりざらつきを感じる
1・・・コントロールと比較し、明らかにざらつきを覚える
とする。
【0055】
(固形分およびタンパク質濃度の測定)
1. 作製した各サンプル20gを遠心(4000rpm、1分)後、液体部を除去して、発生した沈殿、即ち固形分を回収し、重量を測定した。
2. 1.の固形分を0.05g取り、0.025% SDS (Sigma Catalogue#L3771)を200μl添加した。
3. 2.をvortexで撹拌後、遠心(14,000rpm、1分)した。
4. 3.の上清を20μl取り、室温のBradford試薬(BIO-RAD Catalog #500-0205) 1mlと混合した。
5. 4.の溶液を室温で5分間以上反応させた後、595nmの吸光度を分光光度計(UV-1601 UV-VISIBLE SPECTROPHOTOMETER SHIMADZU)を用いて測定した。
6. 5.で得られた吸光度から、あらかじめ作成した検量線によりタンパク質濃度を求めた。
7. 6.で得られたタンパク質濃度をもとに沈殿1g中のタンパク質量を求めた。
表4に、1.で求めた固形分「固形量g」、6.で求めたタンパク質濃度「沈殿中のタンパク量(mg)」、7.で求めた「タンパク量(mg)/g沈殿」を示す。
【0056】
なお、ここで用いた検量線の作成は、以下の手順で行った。
1. Bovine Serum Albumin 2mg/ml (BIO-RAD) Catalog #500-0206) 70μlを0.025% SDS70μlと混合し、1000μg/mlのBovine Serum Albumin 溶液を得た。
2. 1.で得た溶液を0.025% SDS70μlで段階希釈し、750μg/ml、500μg/ml、250μg/ml、125μg/mlのBovine Serum Albumin を作成した。
3. 0μg/mlとして、0.025% SDS70μlを用いた。
4. 上記Bovine Serum Albumin溶液をそれぞれ20μlずつ取り、室温のBradford試薬(BIO-RAD Catalog #500-0205) 1mlと混合した。
5. Bradford試薬と室温で5分間以上反応させた後、595nmの吸光度を分光光度計(UV-1601 UV-VISIBLE SPECTROPHOTOMETER SHIMADZU)を用いて測定した。
6. 求めた吸光度とBovine Serum Albumin 溶液濃度から、検量線を求めた。
【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
<実施例8> 沈殿の確認(2)
下記混合液(カ)(キ)については、実施例7と同様、それぞれ化合物A含有量およびブリックスが表3に示すレシピ番号1〜6のものを、混合液(ク)については化合物A含有量およびブリックスが表3に示すレシピ番号1〜9のものを調製する。ジュース(ケ)については、表3に示すレシピ番号1〜9のものとブリックスの値をそろえるよう、適宜希釈して調整する。ジュース(ケ)に化合物Aは含有されておらず、化合物A含有量/Bxの比は、いずれも0となる。
【0060】
上述したようにそれぞれ作製された混合液(カ)〜(ク)、ジュース(ケ)のサンプルは、85℃10分間にて殺菌する。
ここで用いる市販チキンエキスは、ブリックス=10、pH=6.3、エキス100gあたりの化合物A含有量は45μg。また、市販チキンパウダーとは、市販チキンエキスを粉末化したもので、パウダー10gあたりの化合物A含有量は45μg。本発明酸性エキス酸性エキスは、ブリックス=61.1、pH=2.55、酸性エキス1gあたりの化合物A含有量は48μg。オレンジジュースは、pH=3.74の混濁果汁飲料を用いた。
【0061】
なお、市販チキンエキスは化合物A含有量/Bx比が4.5(μg/100g)/BXであることから、それを用いた混合液(カ)では、4.5(μg/100g)/Bxより高い化合物A含有量/Bx比のものは作成することができない。従って表3に示すレシピ番号の1〜6のものしか作成することができない。また、市販品チキンエキスを粉末化したものを用いた混合液(キ)でも同様に、表3に示すレシピ番号の1〜6しか作成することができない。従って、混合液(カ)(キ)では7,8,9の条件は検討できず、1〜6の条件検討のみを行う。
(カ)市販のチキンエキスと果汁100%のオレンジジュースとの混合液
(キ)市販のエキスパウダーと果汁100%のオレンジジュースとの混合液
(ク)本発明酸性エキスと果汁100%のオレンジジュースとの混合液
(ケ)果汁100%のオレンジジュース(コントロール)
作製した各サンプルを、実施例7と同様の方法にて沈殿の有無を確認し、舌触りを評価し、固形分およびタンパク質濃度を測定した。結果を表5に示す。
【0062】
【表5】

【0063】
<実施例9> 化合物A含有酸性飲料の製造(1)
エキスを、飲料に添加した。レシピは以下の通り。
酸性エキスは、実施例5−エキス3(表1に示す)をエバポレーターで濃縮して作成した。
【0064】
【表6】

【0065】
【表7】

【0066】
<実施例10> 化合物A含有エキス粉末の製造
上記実施例5にて製造したエキスを凍結乾燥し、エキス粉末を製造した。
1.酸性エキス(実施例5のエキス3(表1に示す))100gを200mlナスフラスに採取した。
【0067】
2.冷凍庫(-18℃)にて、完全に凍結するまで2−3日保管した。
3.凍結乾燥機(LABCONCO製、設定-40℃以下)に設置し、完全乾燥するまで凍結乾燥を継続した。
【0068】
上記により、乾燥粉末2gを得た。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、学習意欲改善作用を有し、副作用がなく安全性の高い酸性エキスおよび飲料を提供する。本発明の酸性エキスは、沈殿を生じることなく、さらに飲食物本来の呈味を損なうことがなく酸性飲料等に添加することができる。本発明の酸性エキスまたは飲料、さらにはそれらが添加された飲食品は、学習意欲の改善に有用な飲食品として、長期の継続摂取が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-を含む、pH5未満のエキス。
【請求項2】
2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-含有量(μg/100g)とブリックス(Bx)の比が0.1(μg/100g)/Bx以上である、請求項1記載のエキス。
【請求項3】
2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-含有量(μg/100g)とブリックス(Bx)の比が6(μg/100g)/Bx以上である、請求項1記載のエキス。
【請求項4】
2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-を1μg/100g以上の濃度で含有する、請求項1〜3のいずれか一項記載のエキス。
【請求項5】
2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-を60μg/100g以上の濃度で含有する、請求項1〜3のいずれか一項記載のエキス。
【請求項6】
2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-が天然物から抽出されたものである、請求項1〜5のいずれか一項記載のエキス。
【請求項7】
天然物が獣鳥肉類、魚介類、または貝類である、請求項6記載のエキス。
【請求項8】
天然物が鶏肉である、請求項6又は7記載のエキス。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項記載のエキスを乾燥させて得られるエキス乾燥物。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項記載のエキスを添加して得られる酸性飲料。
【請求項11】
2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-を含む、pH5未満の酸性飲料。
【請求項12】
2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-含有量(μg/100g)とブリックス(Bx)の比が0.1(μg/100g)/Bx以上である、請求項10または11記載の酸性飲料。
【請求項13】
(2,5-ピペラジンジオン,3,6-ビス(フェニルメチル)-,(3S,6S)-を1μg/100g以上の濃度で含有する、請求項10〜12のいずれか一項記載の酸性飲料。
【請求項14】
前記飲料は沈殿を含まない、請求項10〜13のいずれか一項記載の酸性飲料。
【請求項15】
前記飲料は沈殿を含み、
飲料より回収される沈殿1gあたりに含まれるタンパク質が0.01mg以下である、請求項10〜13のいずれか一項記載の酸性飲料。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれか一項記載の飲料が入れられた容器詰飲料。
【請求項17】
請求項1記載のエキスの飲料の製造方法であって、
(1)獣鳥肉類、魚介類、または貝類を原料とし、液体中にて加熱することにより、それらに含有される水溶性タンパク質を除去する前処理工程、
(2)前記前処理後に液体を交換し、再度加熱する工程、
(3)酸を添加する工程、および
(4)得られた液サンプルをろ過する工程、
を含む、製造方法。
【請求項18】
前記工程(3)において、添加する酸が、リン酸、リンゴ酸、およびクエン酸からなる群から選択される一種以上である、請求項17記載の製造方法。
【請求項19】
請求項11記載の飲料の製造方法であって、
(1)獣鳥肉類、魚介類、または貝類を原料とし、液体中にて加熱することにより、それらに含有される水溶性タンパク質を除去する前処理工程、
(2)前記前処理後に液体を交換し、再度加熱する工程、
(3)酸を添加する工程、および
(4)得られた液サンプルをろ過する工程、
を含む、製造方法。
【請求項20】
前記工程(3)において、添加する酸が、リン酸、リンゴ酸、およびクエン酸からなる群から選択される一種以上である、請求項19記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−136916(P2011−136916A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296247(P2009−296247)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【出願人】(501106768)セレボス パシフィック リミテッド (4)
【Fターム(参考)】