説明

2,5−二置換アリールスルホンアミドCCR3アンタゴニスト

本明細書中に提供されるものは、式(I)、(Ia)又は(II)の2,5-二置換アリールスルホンアミドCCR3アンタゴニスト及びその医薬組成物である。
【化1】


式中、X、Y、Z及びR1〜R5は、本明細書中に定義したものである。また、本明細書中に提供されるものは、CCR3媒介障害、疾患又は状態の1つ以上の症状を治療、予防又は改善するためのそれらの使用の方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に提供されるものは、CCR3活性の調節に有用な2,5-二置換アリールスルホンアミド及びその医薬組成物である。また、本明細書中に提供されるものは、CCR3媒介障害、疾患又は状態の1つ以上の症状を治療、予防又は改善するためのそれらの使用の方法である。
【背景技術】
【0002】
CCケモカインレセプター3(CCR3)は、エオタキシン(CCL11)、エオタキシン-3(CCL26)、MCP-3(CCL7)、MCP-4(CCL13)、及びRANTES(CCL5)を含む、様々なC-Cケモカインに結合する7膜貫通Gタンパク質結合レセプターである。CCR3は、好酸球、好塩基球、肥満細胞及びTヘルパー2-型CD4+細胞を含む、アレルギー性炎症細胞に発現される主要なケモカインレセプターであることが知られている(Combadiereらの文献, J. Biol. Chem. 1995, 270, 16491-16494;Postらの文献, J. Immunol. 1995, 155, 5299-5305)。好酸球は、気管支喘息などの、多くのアレルギー疾患 (DuRham及びKay, Clin. Allergy 1985、15、411-418、Kroegelらの文献, J. Allergy Clin. Immunol. 1994, 93, 725-734)、アレルギー性鼻炎(DuRham, Clin. Exp. Allergy 1998, 28 Suppl. 2, 11-16)、アトピー性皮膚炎(Leung, J. Allergy Clin. Immunol. 1999, 104, S99-108)、及び好酸球性胃腸炎(Bischoffらの文献、Am. J. Gastro. 1999, 94, 3521-3529)の病因に関係している。活性好酸球がメイジャー塩基性タンパク質(MBP)を放出し、神経上の抑制性M2ムスカリン受容体(M2R)を遮断し、アセチルコリン放出を増加させ、迷走神経刺激媒介型気管支収縮を可能にすることが明らかとなっている(Evansらの文献, J. Clin. Invest. 1997, 100, 2254-2262)。
【0003】
多くの報告は、CCR3がアレルギー状態に重要な役割を果たすことを示している。例えば、アトピー性及び非アトピー性喘息患者の双方において、CCR3及びそのリガンド、エオタキシン、エオタキシン-2、RANTES及びMCP-4のmRNA及びタンパク質レベルの増加があることが報告されている(Yingらの文献, J. Immunol. 1999, 99, 6321-6329)。また、CCR3遺伝子欠失が、実験的な喘息の急性モデルにおいて、好酸球漸増を損なうことも証明されている((Humblesらの文献, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2002, 99, 1479-1484;Maらの文献, J. Clin. Invest. 2002, 109, 621-628;Popeらの文献, J. Immunol. 2005, 175, 5341-5350;Fulkersonらの文献, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2006, 103, 16418-16423)。さらに、調査により、抗CCR3モノクローナル抗体などのCCR3アンタゴニストが、CCR3-リガンドのCCR3トランスフェクタント又は好酸球への結合を遮断し、従って、エオタキシン、RANTES又はMCP-3などのC-Cケモカインにより誘導される好酸球の化学走性を遮断することが示された(Heathらの文献, J. Clin. Invest. 1997, 99, 178-184;Grimaldiらの文献, J. Leukocyte Biol. 1999, 65, 846-853;Justiceらの文献, Am. J. Physiol. 2003, 284, L168-L178)。従って、CCR3アンタゴニストは、潜在的に、アレルギー性鼻炎及びアレルギー性喘息などの炎症性疾患の治療に有用である。また、CCR3は、一部の微生物に対するエントリーコレセプターとなることが知られているので、CCR3アンタゴニストは、潜在的に、HIVなどの一部の微生物によるCCR3発現細胞の感染の遮断に有用である。
【発明の概要】
【0004】
(開示の要旨)
本明細書中に提供されるものは、式Iaの2,5-二置換アリールスルホンアミド:
【化1】

又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体又は互変異性体である;式中、
Xは、S、SO又はSO2であり;
Y及びZは、
(i)Yは、NR5であり;Zは、=O、CO2R6、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;又は、
(ii)Yは、CH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2であり;Zは、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R1及びR2は、独立に、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルであり;
R3は、CN又はNO2であり;
R4は、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R5は、水素又はC1-6アルキルであり;
R6は、水素又はC1-6アルキルである。
【0005】
また、本明細書中に提供されるものは、式Iの2,5-二置換アリールスルホンアミド:
【化2】

又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体又は互変異性体である;式中、
Xは、S、SO又はSO2であり;
Y及びZは、
(i)Yは、NR5であり;Zは、=O又は、アリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;又は
(ii)Yは、CH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2であり;Zは、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R1及びR2は、独立に、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルであり;
R3は、CN又はNO2であり;
R4は、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R5は、水素又はC1-6アルキルである。
【0006】
また、本明細書中に提供されるものは、式IIの2,5-二置換アリールスルホンアミド:
【化3】

又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体又は互変異性体である:
Y及びZは、
(i)Yは、NR5であり;Zは、=O、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;又は
(ii)Yは、CH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2であり;Zは、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R1及びR2は、独立に、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルであり;
R4は、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R5は、水素又はC1-6アルキルであり;
但し、YがCH2であるときに、Z及びR4の少なくとも1つがアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであることを条件とする。
【0007】
また、本明細書中に提供されるものは、本明細書に開示される化合物、例えば、式Ia、式I又は式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体又は互変異性体を、1以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤と組合わせて含む、医薬組成物である。
【0008】
さらに、本明細書中に提供されるものは、CCR3を、治療的有効量の本明細書中に開示される化合物、例えば、式Ia、式I又は式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体又は互変異性体と接触させることを含む、CCR3活性を調節する方法である。
【0009】
加えて、本明細書中に提供されるものは、対象に、治療的有効量の本明細書中に開示される化合物、例えば、式Ia、式I又は式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体又は互変異性体を投与することを含む、対象のCCR3媒介障害、疾患又は状態の1つ以上の症状を治療、予防又は改善する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(詳細な説明)
本明細書中に記載される開示の理解を容易にするために、多くの用語を以下に定義する。
【0011】
通常、本明細書中において用いられる命名法及び本明細書中に記載されている有機化学、医薬品化学及び薬理学の検査法は、周知のものであり、従来技術において共通に使用されるものである。他に定義されない限り、本明細書中において用いられるすべての技術的及び科学的な用語は、一般に、本開示が属する当業者によって共通に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書中において用いられる用語に複数の定義が存在する場合、特に明記しない限り、この節の用語が優先する。
【0012】
用語「対象」は、霊長類(例えばヒト)、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ネズミ又はマウスを含むがこれらに限定されない、動物を意味する。用語「対象」及び「患者」は、例えば、ヒト対象、一実施態様においては、ヒトなどの哺乳類対象に関連して、本明細書中において同義的に用いられる。
【0013】
用語「治療する」、「治療している」及び「治療」は、障害、疾患若しくは状態、又は障害、疾患若しくは状態と関連する1つ以上の症状を、軽減又は無効にすること;或いは、障害、疾患又は状態自体の原因を軽減するか又は根絶することを含むことを意味する。
【0014】
用語「予防する」、「予防している」、及び「予防」は、障害、疾患若しくは状態、及び/又はその付随する症状の発症を遅延及び/又は排除する方法;対象を障害、疾患又は状態をもたらすことから除外する方法;又は障害、疾患又は状態をもたらす対象の危険を減らす方法を含むことを意味する。
【0015】
用語「治療的有効量」は、投与されるときに、治療されている障害、疾患又は状態の1つ以上の症状の発症を予防又はある程度軽減するのに十分である化合物の量を含むことを意味する。用語「治療的有効量」はまた、生体分子(例えば、タンパク質、酵素、RNA又はDNA)、細胞、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的な反応を誘発するのに十分である化合物の量を意味し、それは研究者、獣医師、医師又は臨床医により探求される。
【0016】
用語「医薬として許容し得る担体」、「医薬として許容し得る賦形剤」、「生理的に許容し得る担体」又は「生理的に許容し得る賦形剤」は、液体若しくは固体充填剤、希釈剤、溶媒又は封入材料などの医薬として許容し得る材料、組成物又はビヒクルを意味する。一実施態様において、各成分は、医薬製剤の他の成分と適合するという意味、及び合理的なベネフィット/リスク比に相応した過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、免疫原性若しくは他の問題又は合併症なくヒト及び動物の組織又は器官と接触して使用するのに適しているという意味において、「医薬として許容し得る」。Remington: 「製薬の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy), 第21版, Lippincott Williams及びWilkins: Philadelphia, PA, 2005; 「医薬賦形剤のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Excipients)」, 第5版, Roweら編集, The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association: 2005;及び「医薬品添加物のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Additives)」, 第3版, Ash及びAsh編集, Gower Publishing Company: 「医薬予備処方及び処方(Pharmaceutical Preformulation and Formulation)」, 2007, Gibson編集, CRC Press LLC: Boca Raton, FL, 2004.を参照されたい。
【0017】
用語「約」又は「およそ」は、当業者により決定された特定の値に対して受け入れられる誤差を意味し、一つには値がどのように測定又は決定されるかに依存する。ある実施態様において、用語「約」又は「およそ」は、1、2、3、又は4標準偏差の範囲内を意味する。ある実施態様において、用語「約」又は「およそ」は、所定の値又は範囲の50%、20%、、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%又は0.05%の範囲を意味する。
【0018】
用語「活性成分」及び「作用物質」は、状態、障害又は疾患の1つ以上の症状を治療、予防又は改善するために、対象に、単独又は1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤と組み合わせて投与される化合物を意味する。本明細書中で用いられる、「活性成分」及び「作用物質」は、本明細書中に記載されている化合物の光学活性異性体であってもよい。
【0019】
用語「薬剤」、「治療薬」及び「化学療法剤」は、状態、障害又は疾患の1つ以上の症状を治療、予防又は改善するために、対象に投与される化合物又はその医薬組成物を意味する。
【0020】
用語「アルキル」は、直鎖又は分枝鎖飽和一価炭化水素基を意味し、アルキレンは、本明細書中に記載されているように、任意に置換されることができる。また、用語「アルキル」は、特に明記しない限り、直鎖及び分枝鎖アルキルの双方を含む。ある実施態様において、アルキルは、1〜20(C1-20)、1〜15(C1-15)、1〜10(C1-10)又は1〜6(C1-6)炭素原子を有する直鎖飽和一価炭化水素基、又は3〜20(C3-20)、3〜15(C3-15)、3〜10(C3-10)又は3〜6(C3-6)炭素原子の分枝鎖飽和一価炭化水素基である。本明細書中で用いられる、直鎖C1-6及び分枝鎖C3-6アルキル基は、「低級アルキル」ともいう。アルキル基の例を挙げると、メチル、エチル、プロピル(すべての異性体形態を含む)、n-プロピル、イソプロピル、ブチル(すべての異性体形態を含む)、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル(すべての異性体形態を含む)、及びヘキシル(すべての異性体形態を含む)があるが、これらに限定されない。例えば、C1-6アルキルは、1〜6個の炭素原子の直鎖飽和一価炭化水素基、又は3〜6個の炭素原子の分枝鎖飽和一価炭化水素基を意味する。
【0021】
用語「アルケニル」は、1つ以上、一実施態様において、1〜5つの炭素-炭素二重結合を含む、直鎖又は分枝鎖一価炭化水素ラジカルを意味する。本明細書中に記載されているように、アルケニルは任意に置換されることができる。用語「アルケニル」はまた、当業者によって認められるように、「シス」及び「トランス」配置、あるいは「Z」及び「E」配置を有する基を含む。本明細書中で用いられる用語「アルケニル」は、特に明記しない限り、直鎖及び分枝鎖アルケニルの双方を包含する。例えば、C2-6アルケニルは、2〜6個の炭素原子の直鎖不飽和一価炭化水素基、又は3〜6個の炭素原子の分枝鎖不飽和一価炭化水素基を意味する。ある実施態様において、アルケニルは、2〜20(C2-20)、2〜15(C2-15)、2〜10(C2-10)又は2〜6(C2-6)個の炭素原子の直鎖一価炭化水素基、又は3〜20(C3-20)、3〜15(C3-15)、3〜10(C3-10)又は3〜6(C3-6)個の炭素原子の分枝鎖一価炭化水素基である。アルケニル基の例を挙げると、エテニル、プロペン-1-イル、プロペン-2-イル、アリル、ブテニル及び4-メチルブテニルがあるが、これらに限定されない。
【0022】
用語「アルキニル」は、1つ以上、一実施態様において、1〜5つの炭素-炭素三重結合を含む、直鎖又は分枝鎖一価炭化水素基を意味する。本明細書中に記載されているように、アルキニルは任意に置換されることができる。用語「アルキニル」はまた、特に明記しない限り、直鎖及び分枝鎖アルキニルを包含する。ある実施態様において、アルキニルは、2〜20(C2-20)、2〜15(C2-15)、2〜10(C2-10)又は2〜6(C2-6)個の炭素原子の直鎖一価炭化水素基、又は3〜20(C3-20)、3〜15(C3-15)、3〜10(C3-10)又は3〜6(C3-6)個の炭素原子の分枝鎖一価炭化水素基である。アルキニル基の例を挙げると、エチニル(-C≡CH)及びプロパルギル(-CH2C≡CH)があるが、これらに限定されない。例えば、C2-6アルキニルは、2〜6個の炭素原子の直鎖不飽和一価炭化水素基、又は3〜6個の炭素原子の分枝鎖不飽和一価炭化水素基を意味する。
【0023】
用語「シクロアルキル」は、環式飽和架橋及び/又は非架橋の一価炭化水素基を意味し、本明細書中に記載されているように、それは任意に置換されることができる。ある実施態様において、シクロアルキルは、3〜20(C3-20)、3〜15(C3-15)、3〜10(C3-10)、又は3から7(C3-7)個の炭素原子を有する。シクロアルキル基の例を挙げると、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、デカリニル及びアダマンチルがあるが、これらに限定されない。
【0024】
用語「アリール」は、少なくとも1つの芳香族炭素環を含む、一価の単環式芳香族基及び/又は一価多環式芳香族基を意味する。ある実施態様において、アリールは、6〜20(C6-20)、6〜15(C6-15)、又は6〜10(C6-10)個の環原子を有する。アリール基の例を挙げると、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル及びテルフェニルがあるが、これらに限定されない。アリールはまた、環のうちの1つが芳香族化合物であり、他が飽和、部分的不飽和、又は芳香族であり得る、二環式又は三環系炭素環、例えば、ジヒドロナフチル、インデニル、インダニル又はテトラヒドロナフチル(テトラリニル)を意味する。ある実施態様において、本明細書中に記載されているように、アリールは任意に置換されることができる。
【0025】
用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの芳香環を含む、一価の単環式芳香族基及び/又は多環式芳香族基を意味し、少なくとも1つの芳香環は、独立に、O、S及びNから選択される1個以上のヘテロ原子を含む。ヘテロアリール基の各環は、1又は2個のO原子、1又は2個のS原子、及び/又は1〜4個のN原子を含むことができるが、各環のヘテロ原子の総数が4個以下であり、かつ各環は、少なくとも1個の炭素原子を含む。ある実施態様において、ヘテロアリールは、5〜20、5〜15、又は5〜10個の環原子を有する。単環式ヘテロアリール基の例を挙げると、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、及びトリアジニルがあるが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリール基の例を挙げると、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロモニル、クマリニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、プリニル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ジヒドロイソインドリル、及びテトラヒドロキノリニルがあるが、これらに限定されない。三環式ヘテロアリール基の例を挙げると、カルバゾリル、ベンゾインドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、及びキサンテニルがあるが、これらに限定されない。ある実施態様において、ヘテロアリールはまた、本明細書中に記載されているように任意に置換され得る。
【0026】
用語「ヘテロシクリル」又は「複素環」は、少なくとも1つの非芳香族環を含む、一価単環式非芳香族環系、及び/又は多環式環系を意味し、非芳香環原子の1つ以上は独立にO、S又はNから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素原子である。ある実施態様において、ヘテロシクリル又は複素環基は、3〜20、3〜15、3〜10、3〜8、4〜7、又は5〜6個の環原子を有する。ある実施態様において、ヘテロシクリルは、単環、二環、三環、又は四環系であり、縮合又は架橋環系を含み、窒素又は硫黄原子は任意に酸化され、窒素原子は任意に四級化され、かつ一部の環は完全又は部分的飽和であるか、又は芳香族であり得る。ヘテロシクリルは、安定化合物の作成をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子で、主構造に結合され得る。そのような複素環基の例を挙げると、制限されないが、以下を含む:アクリジニル、アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾジニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾピラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、β-カルボリニル、カルバゾリル、クロマニル、クロモニル、シンノリニル、クマリニル、デカヒドロイソキノリニル、ジベンゾフラニル、ジヒドロベンゾイソチアジニル、ジヒドロベンゾイソオキサゾジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、ジオキソラニル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジオキソラニル、1,4-ジチアニル、フラノニル、フラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、イソクロマニル、イソクマリニル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリジニル、イソオキサゾリル、モルフォリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、オキサジアゾリル、オキサゾリジノニル、オキサゾリジニル、オキサゾロピリジニル、オキサゾリル、オキシラニル、ペリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリドピリジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、テトラゾリル、チアジアゾロピリミジニル、チアジアゾリル、チアモルフォリニル、チアゾリジニル、チアゾリル、チエニル、トリアジニル、トリアゾリル、及び1,3,5-トリチアニル。ある実施態様において、本明細書中に記載されているように、複素環は任意に置換されることもできる。
【0027】
用語「アルコキシ」は、-OR基を意味し、Rは、例えば、各々本明細書で定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルである。アルコキシ基の例を挙げると、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n-プロポキシ、2-プロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、シクロヘキシルオキシ、フェノキシ、ベンゾキシ及び2-ナフチルオキシがあるが、これらに限定されない。ある実施態様において、本明細書中に記載されているように、アルコキシは任意に置換されることができる。ある実施態様において、アルコキシは、C1-6アルキルオキシである。
【0028】
用語「ハロゲン」、「ハライド」又は「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素を意味する。
【0029】
用語「任意に置換」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はアルコキシ基などの基が、例えば、下記から独立に選択される1つ以上の置換基により置換されてもよいことを意味する:(a)各々が1つ以上、一実施態様において、1、2、3又は4つの置換基Qで任意に置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル;及び(b)ハロ、シアノ(-CN)、ニトロ(-NO2)、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-C(O)NRbRc、-C(NRa)NRbRc、-ORa、-OC(O)Ra、-OC(O)ORa、-OC(O)NRbRc、-OC(=NRa)NRbRc、-OS(O)Ra、-OS(O)2Ra、-OS(O)NRbRc、-OS(O)2NRbRc、-NRbRc、-NRaC(O)Rd、-NRaC(O)ORd、-NRaC(O)NRbRc、-NRaC(=NRd)NRbRc、-NRaS(O)Rd、-NRaS(O)2Rd、-NRaS(O)NRbRc、-NRaS(O)2NRbRc、-SRa、-S(O)Ra、-S(O)2Ra、-S(O)NRbRc、及び-S(O)2NRbRc、ここで、各Ra、Rb、Rc及びRdは、独立に、(i)水素;(ii)各々が1つ以上、一実施態様において、1、2、3又は4つの置換基Qで任意に置換された、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、C6-14アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル;又は(iii) Rb及びRcが、それらが結合しているN原子とともに、1つ以上、一実施態様において、1、2、3又は4つの置換基Qで任意に置換された、ヘテロシクリルを形成する。本明細書中で用いられるように、置換され得る全ての基は、特に明記しない限り、「任意に置換」される。
【0030】
一実施態様において、各Qは、独立に下記からなる群から選択される:(a)シアノ、ハロ及びニトロ;及び(b) C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、C6-14アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル;及び-C(O)Re、-C(O)ORe、-C(O)NRfRg、-C(NRe)NRfRg、-ORe、-OC(O)Re、-OC(O)ORe、-OC(O)NRfRg、-OC(=NRe)NRfRg、-OS(O)Re、-OS(O)2Re、-OS(O)NRfRg、-OS(O)2NRfRg、-NRfRg、-NReC(O)Rh、-NReC(O)ORh、-NReC(O)NRfRg、-NReC(=NRh)NRfRg、-NReS(O)Rh、-NReS(O)2Rh、-NReS(O)NRfRg、-NReS(O)2NRfRg、-SRe、-S(O)Re、-S(O)2Re、-S(O)NRfRg、及び-S(O)2NRfRg;ここで、各Re、Rf、Rg、及びRhは、それぞれに(i)水素;(ii) C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、C6-14アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル;又は(iii) Rf及びRgは、それらが結合しているN原子とヘテロシクリルを形成する。
【0031】
ある実施態様において、「光学活性」及び「鏡像異性的に活性」は、約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上の鏡像異性体過剰率を有する分子の集団を意味する。ある実施態様において、化合物は、該当するラセミ化合物の総重量に基づいて、約95%以上の1つの鏡像異性体及び約5%以下の他の鏡像異性体を含む。
【0032】
光学活性化合物の記載において、接頭辞R及びSは、そのキラル中心について分子の絶対配置を意味するように用いられる。(+)及び(-)は、化合物の光学回転、すなわち、偏光の平面が光学活性化合物によって回転する方向を意味するように用いられる。(-)接頭辞は、化合物が左旋性、すなわち、化合物が偏光の平面を左又は反時計回りに回転させることを示す。(+)接頭辞は、化合物が右旋性、すなわち、化合物が偏光の平面を右又は時計回りに回転させることを示す。しかしながら、旋光性の符号(+)及び(-)は、分子の絶対配置、R及びSと関連がない。
【0033】
用語「溶媒和物」は、非共有分子間力により結合される化学量論的又は非化学量論的の量の溶媒を更に含む、本明細書中に提供される化合物又はその塩を意味する。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
【0034】
用語「天然」又は「未変性」は、核酸分子、ポリペプチド、及び宿主細胞などの生物物質に関連して使われるとき、自然界に見出され、かつヒトにより操作されていない物質を意味する。同様に、「非天然」又は「変性」は、自然界に見出されない、又はヒトによって構造的に修飾又は合成された物質を意味する。
【0035】
用語「CCR3」は、エオタキシン(CCL11)、エオタキシン-3(CCL26)、MCP-3(CCL7)、MCP-4(CCL13)及びRANTES(CCL5)を含むがこれらに限定されない、様々なケモカインへの細胞反応を伝達できるCCケモカインレセプター3又はその変異体を意味する。CCR3変異体は、未変性CCR3と実質的に相同的なタンパク質、すなわち、未変性CCR3のアミノ酸配列と比較して、1以上の天然又は非天然アミノ酸欠失、挿入又は置換を有するタンパク質(例えば、CCR3誘導体、相同体、及び断片)を含む。CCR3変異体のアミノ酸配列は、未変性CCR3と少なくとも約80%同一、少なくとも約90%同一、又は少なくとも約95%同一である。
【0036】
用語「CCR3アンタゴニスト」は、例えば、CCR3活性を、部分的に又は完全に遮断、減少、抑制、阻害、又は下方制御する化合物を意味する。用語「CCR3アンタゴニスト」はまた、CCR3レセプターに結合し、活性化を遅延し、不活性化し、又は減感する化合物を意味する。CCR3アンタゴニストは、エオタキシン(CCL11)、エオタキシン-3(CCL26)、MCP-3(CCL7)、MCP-4(CCL13)及び/又はRANTES(CCL5)を含むがこれらに限定されない、CCR3レセプター及びそのケモカインリガンドの相互作用を妨げることによって作用することができる。
【0037】
用語「CCR3媒介障害又は疾患」及び「CCR3により媒介される状態、障害又は疾患」は、不適切な(例えば、正常よりも小さい又は大きい)CCR3活性により特徴付けられる状態、障害、又は疾患を意味する。不適切なCCR3機能的活性は、例えば、炎症及び免疫関連障害又は疾患をもたらす、CCR3を正常に発現しない細胞のCCR3発現、増加したCCR3発現、又は細胞内活性化の程度;又は減少したCCR3発現の結果として生じ得る。CCR3媒介状態、障害又は疾患は、不適切なCCR3活性によって、完全又は部分的に媒介され得る。特に、CCR3媒介状態、障害又は疾患は、CCR3レセプターの調節が、基礎症状又は障害に幾らかの影響をもたらす、例えば、CCR3アンタゴニスト又はアゴニストが、治療される患者の少なくとも一部において、幾らかの改善をもたらすものである。
【0038】
(化合物)
本明細書中に提供されるものは、CCR3活性を調節するのに有用な2,5-二置換アリールスルホンアミドである。また、本明細書中に提供されるものは、CCR3媒介障害、疾患又は状態の治療のための化合物を含む医薬組成物、並びに該化合物及び組成物の使用方法である。
【0039】
一実施態様において、本明細書中に提供されるものは、式Iaの2,5-二置換アリールスルホンアミド:
【化4】

又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体又は互変異性体である:
式中、
Xは、S、SO又はSO2であり;Y及びZは、
(i)Yは、NR5であり;Zは、=O、CO2R6又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;又は、
(ii)Yは、CH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2であり;Zは、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R1及びR2は、独立に、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルであり;
R3は、CN又はNO2であり;
R4は、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R5は、水素又はC1-6アルキルであり;
R6は、水素又はC1-6アルキルである。
【0040】
式Iaの特定の実施態様において、XはSである。式Iaの特定の実施態様において、XはSOである。式Iaの特定の実施態様において、XはSO2である。
【0041】
式Iaの特定の実施態様において、Yは、NR5である。YがNR5である式Iaの実施態様において、Zは、=O又は任意に置換されるC1-6アルキルである。YがNR5である式Iaの一実施態様において、Zは、アリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルである。YがNR5である式Iaの一実施態様において、Zは、-CH3である。YがNR5である式Iaの一実施態様において、Zは、CO2R6である。YがNR5であり、ZがCO2R6である式Iaの一実施態様において、R6は、CH3である。YがNR5である式Iaの一実施態様において、Zは、CO2CH3である。YがNR5である式Iaの他の一実施態様において、Zは、=Oである。YがNR5である式Iaの各種実施態様において、R5は、水素又はC1-6アルキルである。YがNR5である式Iaの特定の実施態様において、R5は、C1-6アルキルである。YがNR5である式Iaの特定の実施態様において、R5は、水素である。YがNR5である式Iaの特定の実施態様において、R5は、メチルである。YがNR5である式Iaの特定の実施態様において、R5は、イソプロピルである。
【0042】
式Iaの特定の実施態様において、Yは、CH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である。YがCH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である式Iaの実施態様において、Zは、水素又は任意に置換されるC1-6アルキルである。YがCH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である式Iaの特定の実施態様において、Zは、水素である。YがCH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である式Iaの特定の実施態様において、Zは、アリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルである。YがCH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である式Iaの特定の実施態様において、Zは、メチルである。式Iaの特定の実施態様において、Yは、CH2である。式Iaの特定の実施態様において、Yは、CHFである。式Iaの特定の実施態様において、Yは、CHCH3である。式Iaの特定の実施態様において、YはOである。式Iaの特定の実施態様において、YはSである。式Iaの特定の実施態様において、YはSO2である。
【0043】
式Iaの特定の実施態様において、R1は、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルである。式Iaの特定の実施態様において、R1は、ハロゲンである。式Iaの特定の実施態様において、R1は、フルオロ又はクロロである。式Iaの特定の実施態様において、R1は、クロロである。式Iaの特定の実施態様において、R1は、C1-6アルキルである。式Iaの特定の実施態様において、R1は、メチルである。式Iaの特定の実施態様において、R1は、C1-6ハロアルキルである。式Iaの特定の実施態様において、R1は、トリフルオロメチルである。
【0044】
式Iaの特定の実施態様において、R2は、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルである。式Iaの特定の実施態様において、R2は、ハロゲンである。式Iaの特定の実施態様において、R2は、フルオロ又はクロロである。式Iaの特定の実施態様において、R2は、クロロである。式Iaの特定の実施態様において、R2は、C1-6アルキルである。式Iaの特定の実施態様において、R2は、メチルである。式Iaの特定の実施態様において、R2は、C1-6ハロアルキルである。式Iaの特定の実施態様において、R2は、トリフルオロメチルである。
【0045】
式Iaの特定の実施態様において、R1及びR2は異なる。式Iaの特定の実施態様において、R1及びR2は同じである。式Iaの特定の実施態様において、R1及びR2は、両方ともクロロである。式Iaの特定の実施態様において、R1及びR2は、両方ともメチルである。式Iaの特定の実施態様において、R1及びR2は、両方ともトリフルオロメチルである。
【0046】
式Iaの特定の実施態様において、R3は、シアノである。式Iaの特定の実施態様において、R3は、ニトロである。
【0047】
式Iaの特定の実施態様において、R4は、水素又は任意に置換されるC1-6アルキルである。式Iaの特定の実施態様において、R4は、水素である。式Iaの特定の実施態様において、R4はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルである。式Iaの特定の実施態様において、R4は、メチルである。
【0048】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、式Iの2,5-二置換アリールスルホンアミド:
【化5】

又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体又は互変異性体である:
式中、
Xは、S、SO又はSO2であり;
Y及びZは、
(i)Yは、NR5であり;Zは、=O、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;又は
(ii)Yは、CH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2であり;Zは、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R1及びR2は、独立に、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルであり;
R3は、CN又はNO2であり;
R4は、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R5は、水素又はC1-6アルキルである。
【0049】
式Iの特定の実施態様において、XはSである。式Iの特定の実施態様において、XはSOである。式Iの特定の実施態様において、XはSO2である。
【0050】
式Iの特定の実施態様において、Yは、NR5である。YがNR5である式Iの実施態様において、Zは、=O、又は任意に置換されるC1-6アルキルである。YがNR5である式Iの一実施態様において、Zは、アリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルである。YがNR5である式Iの一実施態様において、Zは、-CH3である。YがNR5である式Iの他の一実施態様において、Zは、=Oである。YがNR5である式Iの各種実施態様において、R5は、水素又はC1-6アルキルである。YがNR5である式Iの特定の実施態様において、R5は、C1-6アルキルである。YがNR5である式Iの特定の実施態様において、R5は、水素である。YがNR5である式Iの特定の実施態様において、R5は、メチルである。YがNR5である式Iの特定の実施態様において、R5は、イソプロピルである。
【0051】
式Iの特定の実施態様において、Yは、CH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である。YがCH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である式Iの実施態様において、Zは、水素又は任意に置換されるC1-6アルキルである。YがCH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である式Iの特定の実施態様において、Zは、水素である。YがCH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である式Iの特定の実施態様において、Zは、アリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルである。YがCH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である式Iの特定の実施態様において、Zは、メチルである。式Iの特定の実施態様において、Yは、CH2である。式Iの特定の実施態様において、Yは、CHFである。式Iの特定の実施態様において、Yは、CHCH3である。式Iの特定の実施態様において、YはOである。式Iの特定の実施態様において、YはSである。式Iの特定の実施態様において、YはSO2である。
【0052】
式Iの特定の実施態様において、R1は、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルである。式Iの特定の実施態様において、R1は、ハロゲンである。式Iの特定の実施態様において、R1は、フルオロ又はクロロである。式Iの特定の実施態様において、R1は、クロロである。式Iの特定の実施態様において、R1は、C1-6アルキルである。式Iの特定の実施態様において、R1は、メチルである。式Iの特定の実施態様において、R1は、C1-6ハロアルキルである。式Iの特定の実施態様において、R1は、トリフルオロメチルである。
【0053】
式Iの特定の実施態様において、R2は、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルである。式Iの特定の実施態様において、R2は、ハロゲンである。式Iの特定の実施態様において、R2は、フルオロ又はクロロである。式Iの特定の実施態様において、R2は、クロロである。式Iの特定の実施態様において、R2は、C1-6アルキルである。式Iの特定の実施態様において、R2は、メチルである。式Iの特定の実施態様において、R2は、C1-6ハロアルキルである。式Iの特定の実施態様において、R2は、トリフルオロメチルである。
【0054】
式Iの特定の実施態様において、R1及びR2は異なる。式Iの特定の実施態様において、R1及びR2は同じである。式Iの特定の実施態様において、R1及びR2は、両方ともクロロである。式Iの特定の実施態様において、R1及びR2は、両方ともメチルである。式Iの特定の実施態様において、R1及びR2は、両方ともトリフルオロメチルである。
【0055】
式Iの特定の実施態様において、R3は、シアノである。式Iの特定の実施態様において、R3は、ニトロである。
【0056】
式Iの特定の実施態様において、R4は、水素又は任意に置換されるC1-6アルキルである。式Iの特定の実施態様において、R4は、水素である。式Iの特定の実施態様において、R4は、アリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルである。式Iの特定の実施態様において、R4は、メチルである。
【0057】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、式IIの2,5二置換アリールスルホンアミド:
【化6】

又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体又は互変異性体である:
式中、
Y及びZは、
(i)Yは、NR5であり;Zは、=O、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;又は、
(ii)Yは、CH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2であり;Zは、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R1及びR2は、独立に、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルであり;
R4は、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R5は、水素又はC1-6アルキルであり;
但し、YがCH2であるときに、Z及びR4の少なくとも1つが、アリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであることを条件とする。
【0058】
式IIの特定の実施態様において、Yは、NR5である。YがNR5である式IIの特定の実施態様において、Zは、=O又は任意に置換されるC1-6アルキルである。YがNR5である式IIの一実施態様において、Zは、アリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルである。YがNR5である式IIの一実施態様において、Zは、-CH3である。YがNR5である式IIの他の一実施態様において、Zは、=Oである。YがNR5である式IIの各種実施態様において、R5は、水素又はC1-6アルキルである。YがNR5である式IIの特定の実施態様において、R5は、C1-6アルキルである。YがNR5である式IIの特定の実施態様において、R5は、水素である。YがNR5である式IIの特定の実施態様において、R5は、メチルである。YがNR5である式IIの特定の実施態様において、R5は、イソプロピルである。
【0059】
式IIの特定の実施態様において、Yは、CH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である。YがCH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である式IIの実施態様において、Zは、水素又は任意に置換されるC1-6アルキルである。YがCH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である式IIの特定の実施態様において、Zは、水素である。YがCH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である式IIの特定の実施態様において、Zは、アリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルである。YがCH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2である式IIの特定の実施態様において、Zは、メチルである。式IIの特定の実施態様において、Yは、CH2である。YがCH2である式IIの実施態様において、Z及びR4の少なくとも1つは、アリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルである。式IIの特定の実施態様において、Yは、CHFである。式IIの特定の実施態様において、Yは、CHCH3である。式IIの特定の実施態様において、YはOである。式IIの特定の実施態様において、YはSである。式IIの特定の実施態様において、YはSO2である。
【0060】
式IIの特定の実施態様において、R1は、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルである。式IIの特定の実施態様において、R1は、ハロゲンである。式IIの特定の実施態様において、R1は、フルオロ又はクロロである。式IIの特定の実施態様において、R1は、クロロである。式IIの特定の実施態様において、R1は、C1-6アルキルである。式IIの特定の実施態様において、R1は、メチルである。式IIの特定の実施態様において、R1は、C1-6ハロアルキルである。式IIの特定の実施態様において、R1は、トリフルオロメチルである。
【0061】
式IIの特定の実施態様において、R2は、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルである。式IIの特定の実施態様において、R2は、ハロゲンである。式IIの特定の実施態様において、R2は、フルオロ又はクロロである。式IIの特定の実施態様において、R2は、クロロである。式IIの特定の実施態様において、R2は、C1-6アルキルである。式IIの特定の実施態様において、R2は、メチルである。式IIの特定の実施態様において、R2は、C1-6ハロアルキルである。式IIの特定の実施態様において、R2は、トリフルオロメチルである。
【0062】
式IIの特定の実施態様において、R1及びR2は異なる。式IIの特定の実施態様において、R1及びR2は同じである。式IIの特定の実施態様において、R1及びR2は、両方ともクロロである。式IIの特定の実施態様において、R1及びR2は、両方ともメチルである。式IIの特定の実施態様において、R1及びR2は、両方ともトリフルオロメチルである。
【0063】
式IIの特定の実施態様において、R4は、水素又は任意に置換されるC1-6アルキルである。式IIの特定の実施態様において、R4は、水素である。式IIの特定の実施態様において、R4は、アリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルである。式IIの特定の実施態様において、R4は、メチルである。
【0064】
特定の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、以下からなる群から選択される化合物:
【化7】





又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体又は互変異性体である。
【0065】
本明細書中に提供される化合物は、特定の立体化学が特定されない限り、すべての可能な立体異性体を含むことを意図する。本明細書中に提供される化合物がアルケニル又はアルケニレン基を含む場合、該化合物は、幾何学的なシス/トランス(又はZ/E)異性体のうちの1つ又は混合物として存在できる。構造異性体が低エネルギー障壁を介して相互転換可能である場合、該化合物は、単一の互変異性体又は互変異性体の混合物として存在できる。これは、例えば、イミノ、ケト又はオキシム基を含む化合物のプロトン互変異性、又は芳香族部位を含む化合物のいわゆる原子価互変異性の形態をとることができる。単一化合物が、1以上の異性の形態を示すことができることになる。
【0066】
本明細書中に提供される化合物は、単一の鏡像異性体又は単一のジアステレオマーなど、鏡像異性的に純粋、又は鏡像異性体の混合物、例えば、2つの鏡像異性体のラセミ混合物又は2以上のジアステレオマーの混合物など、立体異性体の混合物であってもよい。このように、当業者は、生体内でエピマー化を受ける化合物について、その(R)形態の化合物の投与が、その(S)形態の化合物の投与と等価であると認めるであろう。個々の鏡像異性体の調製/単離の従来の技術は、適切な光学的に純粋な前駆体からの合成、アキラル出発物質からの不斉合成、又は鏡像異性体混合物の分割、例えば、キラルクロマトグラフィー、再結晶、分割、ジアステレオマー塩形成、又はジアステレオマー付加物への誘導体化後の分離を含む。
【0067】
本明細書中に提供される化合物は、分子中の一つ以上の部分で、同位体標識することもできる。ある実施態様において、本明細書中に提供される化合物は、代謝非活性化の割合を抑制する部分、例えば、インビボにおける循環半減期を増加する部分で、選択的に重水素化することができる。
【0068】
本明細書中に提供される化合物が、酸性又は塩基性部分を含むときに、それは、医薬として許容し得る塩として提供されることができる(Bergeらの文献, J. Pharm. Sci.1977, 66, 1-19;及び「医薬塩、特徴及び使用のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Salts, Properties, and Use)」 Stahl及びWermuth編集; Wiley- VCH and VHCA, Zurich, 2002)。
【0069】
医薬として許容し得る塩の調製に用いられる適切な塩は、制限されないが、以下を含む:酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ホウ酸、(+)-樟脳酸、カンファースルホン酸、(+)-(1S)-カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、D-グルクロン酸、L-グルタミン酸、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、(+)-L-乳酸、(±)-DL-乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、(±)-DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモン酸、過塩素酸、リン酸、L-ピログルタミン酸、糖酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、及び吉草酸。
【0070】
医薬として許容し得る塩の調製に用いられる適切な塩基は、制限されないが、以下を含む:無機塩基、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛、又は水酸化ナトリウムなど;及び有機塩基、例えば、以下を含む第一級、第二級、第三級、及び第四級の脂肪族及び芳香族アミン;L-アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2-(ジエチルアミノ)-エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、N-メチル-グルカミン、ヒドラバミン、1H-イミダゾール、L-リシン、モルフォリン、4-(2-ヒドロキシエチル)-モルフォリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、第二級アミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、Ν-メチル-D-グルカミン、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、及びトロメタミンなど。
【0071】
本明細書中に提供される化合物は、該化合物の、例えば、式I又は式IIの化合物の官能性誘導体であり、生体内で親化合物に容易に変換可能なプロドラッグとして提供されることもできる。プロドラッグは、いくつかの状況において、それらが親化合物より投与が容易であるので、多くの場合、有用である。それらは、例えば、経口投与によって生物的に利用できるが、親化合物はそうではない。プロドラッグは、親化合物よりも医薬組成物の溶解性を強化することもできる。プロドラッグは、酵素プロセス及び代謝加水分解などの様々な機序によって、親薬剤に変換されることができる。以下を参照されたい:Harper, Progress in Drug Research 1962, 4, 221- 294;Morozowichらの文献, 「プロドラッグ及びアナログを介する生物医薬特性の設計(Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs)」 Roche編集, APHA Acad. Pharm. Sci. 1977;「薬剤、薬剤設計における生物可逆的担体、理論及び応用(Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design, Theory and Application)」 Roche編集, APHA Acad. Pharm. Sci. 1987;「プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)」 Bundgaard, Elsevier, 1985;Wangrらの文献, Curr. Pharm. Design 1999, 5, 265-287;Paulettiらの文献, Adv. Drug. Delivery Rev. 1997, 27, 235-256;Mizenらの文献, Pharm. Biotech. 1998, 11, 345-365;Gaignaultらの文献, Pract. Med. Chem. 1996, 671-696;Asgharnejad 「医薬システムの輸送プロセス(Transport Processes in Pharmaceutical Systems) Amidonら編集, Marcell Dekker, 185-218, 2000;Balantらの文献, Eur. J. Drug Metab. Pharmacokinet. 1990, 15, 143-53;Balimane及びSinko, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 183-209;Browne, Clin. Neuropharmacol 1997, 20, 1-12;Bundgaard, Arch. Pharm. Chem. 1979, 86, 1-39;Bundgaard, Controlled Drug Delivery 1987, 17, 179-96;Bundgaard, Adv. Drug Delivery Rev. 1992, 8, 1-38;Fleisherらの文献, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 115-130;Fleisherらの文献, Methods Enzymol. 1985, 112, 360-381;Farquharらの文献, J. Pharm. Sci. 1983, 72, 324-325;Freemanらの文献, J. Chem. Soc, Chem. Commun. 1991, 875-877;Friis及びBundgaard, Eur. J. Pharm. Sci. 1996, 4, 49- 59;Gangwarらの文献, Des. Biopharm. Prop. Prodrugs Analogs, 1977, 409-421;Nathwani及びWood, Drugs 1993, 45, 866-94;Sinhababu及びThakker, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 241-273;Stellaらの文献, Drugs 1985, 29, 455-73;Tanらの文献, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 117-151;Taylor, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 131-148;Valentino及びBorchardt, Drug Discovery Today 1997, 2, 148-155;Wiebe及びKnaus, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 63- 80;及びWallerらの文献, Br. J. Clin. Pharmac. 1989, 28, 497-507。
【0072】
(合成方法)
本明細書中に提供される化合物は、当業者に知られている任意の方法により調製、単離、又は得ることができる。例えば、式Ia又は式Iの化合物は、スキーム1に示す合成スキームにより調製することができる。第1工程において、ニトロベンゼンを、塩基(炭酸カリウム又は水素化ナトリウムなど)の存在下、芳香族置換反応を介して、1,3,5-三置換ベンゼンと反応させる。生成物ニトロアリールを、還元剤(TiCl2又はヒドロ亜硫酸ナトリウムなど)でアニリンに還元し、その後、サンドマイヤー反応を介してスルホニルクロリドに変換する。式Ia又は式Iの化合物は、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、スルホニルクロリドを適切な窒素含有複素環と反応させることにより形成される。
【化8】

【0073】
式IIの化合物は、スキーム1に示されたものと類似する合成スキームにより調製することができる。
【0074】
式Ia又は式Iの化合物は、スキーム2に示される合成スキームにより調製することもできる。第1工程において、最初にアニリンを、サンドマイヤー反応を介して、塩化スルホニルに変換する。その後、塩化スルホニルを、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、適切な窒素含有複素環と反応させて、2-クロロ-5-置換スルホンアミドを形成させ、その後、炭酸カリウム又は水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、芳香族置換反応により、適切な1,3,5-三置換ベンゼンと反応させて、式Ia又は式Iの化合物を形成する。
【化9】

【0075】
式IIの化合物は、スキーム2に示されるものと類似する合成スキームにより調整することができる。
【0076】
(医薬組成物)
本明細書中に提供されるものは、活性成分として、本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、若しくは互変異性体を、医薬として許容し得るビヒクル、担体、希釈剤若しくは賦形剤、又はそれらの混合物と組み合わせて含む医薬組成物である。
【0077】
本明細書中に提供される化合物は、単独で、又は本明細書中に提供される1つ以上の他の化合物と組み合わせて投与することができる。本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I又は式IIの化合物を含む医薬組成物は、経口、非経口及び局所投与のための様々な剤形において、調製することができる。医薬組成物は、遅延、延長、長期、持続、パルス型、制御、促進及び急速、標的化、プログラム化放出、及び胃貯留剤形を含む、改変放出剤形として製剤化することもできる。これらの剤形は、当業者に公知の従来法及び技術に従って調製することができる(Remington:「製薬の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」, 同上;「放出調節薬剤送達技術(Modified-Release Drug Delivery Technology)」, Rathboneらの編集, Drugs and the Pharmaceutical Science, Marcel Dekker, Inc.: New York, NY, 2003; Vol. 126)。
【0078】
一実施態様において、医薬組成物は、本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体、及び1以上の医薬として許容し得る賦形剤又は担体を含む、経口投与のための剤形で提供される。
【0079】
別の実施態様において、医薬組成物は、本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体、及び1以上の医薬として許容し得る賦形剤又は担体を含む、非経口投与のための剤形で提供される。
【0080】
さらに別の実施態様において、医薬組成物は、本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体、及び1以上の医薬として許容し得る賦形剤又は担体を含む、局所投与のための剤形で提供される。
【0081】
本明細書中に提供される医薬組成物は、単位剤形又は複数剤形で提供することができる。本明細書中に用いられる単位剤形は、ヒト及び動物対象への投与に適し、技術的に周知のように個々に包装された物理的に分離した単位を意味する。各単位用量は、要求される医薬担体又は賦形剤に関連して、所望の治療効果を生じるのに十分な活性成分の予め定められた量を含む。単位剤形の例を挙げると、アンプル、シリンジ及び個々に包装された錠剤及びカプセルを含む。単位剤形は、断片的に又はその倍数において、投与することができる。複数の剤形は、分離した単位剤形で投与される、単一の容器に包装された複数の同一単位剤形である。複数の剤形の例を挙げると、バイアル、錠剤若しくはカプセルの瓶、又はパイント若しくはガロンの瓶を含む。
【0082】
本明細書中に提供される医薬組成物は、1回で又は時間間隔で複数回で投与することができる。治療の正確な用量及び期間は、治療される患者の年齢、重量及び状態によって変化することができ、公知の試験プロトコルを用いて、又はインビボ若しくはインビトロ試験、又は診断データからの推定によって、経験的に決定されることができるものと理解される。任意の特定の個人のために、特定の投与計画を、その個人の必要性、及び製剤を投与又は管理する人の専門的判断に従って、自然に調整されることがさらに理解される。
【0083】
(A. 経口投与)
経口投与のための本明細書中に提供される医薬組成物は、経口投与のための固体、半固体、又は液体剤形で提供することができる。本明細書中で用いられる、経口投与はまた、頬、舌及び舌下投与を含む。適切な経口剤形は、錠剤、ファストメルト(fastmelt)、咀嚼錠、カプセル、ピル、トローチ、ロゼンジ、パステル、カシェ剤、ペレット、医薬用チューインガム、混合散剤、沸騰又は非沸騰散剤又は顆粒、溶液、エマルジョン、懸濁液、ウェーハ、粉砂糖、エリキシル及びシロップを含むが、これらに限定されない。活性成分に加えて、医薬組成物は、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、潤滑油、流動促進剤、着色剤、色素移動阻害剤、甘味剤、及び香料を含むがこれらに限定されない、1以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含むことができる。
【0084】
結合剤又は顆粒化剤は、圧縮後に無傷を維持する錠剤を確保するために、粘着性を錠剤に与える。適切な結合剤又は顆粒化剤は、コーンスターチ、ジャガイモデンプン及びアルファ化デンプン(例えば、STARCH 1500)などのデンプン;ゼラチン;スクロース、グルコース、ブドウ糖、モラセス及びラクトースなどの糖;アカシア、アルギン酸、アルギン酸塩、アイルランドコケの抽出物、パンワゴム、ガッチゴム、イサブゴールハスク(isabgol husk)の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビーガム(Veegum)、カラマツアラビノガラクタン、トラガント末及びグアーガムなどの天然及び合成ゴム;エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース;AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corp.、Marcus Hook、PA)などの微結晶性セルロース;及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。適切な充填剤は、タルク、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストラート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、α化デンプン及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。結合剤又は充填剤は、本明細書中に提供される医薬組成物中に、約50〜約99重量%で存在してもよい。
【0085】
適切な希釈剤は、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、ソルビトール、スクロース、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン及び粉糖を含むが、これらに限定されない。マンニトール、ラクトース、ソルビトール、スクロース及びイノシトールなどの特定の希釈剤は、充分な量で存在する場合、噛むことによって口の中で崩壊できる幾つかの圧縮錠剤に特性を与えることができる。このような圧縮錠剤は、咀嚼錠として使用することができる。
【0086】
適切な崩壊剤は、下記を含むが、これらに限定されない:寒天;ベントナイト;メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースなどのセルロース;木製品;天然スポンジ;陽イオン交換樹脂;アルギン酸;グアーガム及びビーガムHVなどのガム;柑橘類のパルプ;クロスカルメロースなどの架橋セルロース;クロスポビドンなどの架橋ポリマー;架橋デンプン;炭酸カルシウム;デンプングリコール酸ナトリウムなどの微結晶性セルロース;ポラクリリンカリウム(polacrilin potassium);コーンスターチ、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン及びアルファ化デンプンなどのデンプン;粘土;アライン(aligns);及びそれらの混合物。本明細書中に提供される医薬組成物中の崩壊剤の量は、製剤の種類に応じて変化し、当業者に容易に認識できる。本明細書中に提供される医薬組成物は、約0.5〜約15重量%、又は約1〜約5重量%の崩壊剤を含むことができる。
【0087】
適切な潤滑油は、下記を含むが、これらに限定されない:ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;鉱油;軽鉱油;グリセリン;ソルビトール;マンニトール;ベヘン酸グリセロール及びポリエチレングリコール(PEG)などのグリコール;ステアリン酸;ラウリル硫酸ナトリウム;タルク;落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油などの水素化された植物性油脂;ステアリン酸亜鉛;オレイン酸エチル;ラウリン酸エチル;寒天;デンプン;セキショウシ;AEROSIL(登録商標)200(W.R. Grace Co., Baltimore, MD)及びCAB-O-SIL(登録商標)(Cabot Co., Boston, MA)などの二酸化ケイ素又はシリカゲル;及びそれらの混合物。本明細書中に提供される医薬組成物は、約0.1〜約5重量%の潤滑剤を含むことができる。
【0088】
適切な流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、CAB-O-SIL(登録商標)(Cabot Co., Boston, MA)、及びアスベストフリータルクを含む。着色剤は、承認され、公認された水溶性FD&C色素、及びアルミナ水和物及びレーキに懸濁化した水不溶性FD&C色素、並びにそれらの混合物のいずれかを含む。レーキは、重金属の水和酸化物に対する水溶性色素の吸着による組み合わせであり、結果として色素の不溶性形態となる。香料は、果実類などの植物から抽出された天然香料、及びペパーミント及びサリチル酸メチルなどの好ましい味覚を生じる化合物の合成配合物を含む。甘味剤は、スクロース、ラクトース、マンニトール、シロップ、グリセリン、並びにサッカリン及びアスパルテームなどの人工甘味剤を含む。適切な乳化剤は、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、並びにポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(TWEEN(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート80(TWEEN(登録商標)80)及びトリエタノールアミンオレアートなどの界面活性剤を含む。懸濁及び分散剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ペクチン、トラガカンタ、ビーガム、アカシア、ナトリウムカルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンを含む。防腐剤は、グリセリン、メチル及びプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム及びアルコールを含む。湿潤剤は、プロピレングリコールモノモノステアラート、ソルビタンモノオレアート、ジエチレングリコールモノステアラート及びポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む。溶媒は、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール及びシロップを含む。エマルジョンに利用される非水性液体の例を挙げると、鉱油及び綿実油がある。有機酸は、クエン酸及び酒石酸酸を含む。二酸化炭素の適切な供給源は、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムを含む。
【0089】
多くの担体及び賦形剤が、同じ製剤内でも、幾つかの機能を果たし得ることを理解すべきである。
【0090】
本明細書中に提供される医薬組成物は、圧縮錠剤、錠剤粉末、チュアブルロゼンジ、急速溶解性錠剤、多重圧縮錠剤、又は腸溶コーティング錠剤、糖衣若しくはフィルムコーティング錠剤として提供することができる。腸溶コーティング錠剤は、胃酸の作用に侵されないが、腸で溶解又は崩壊する物質で被覆された圧縮錠剤であり、活性成分を胃の酸性の環境から保護する。腸溶コーティングは、脂肪酸、脂肪、サリチル酸フェニル、ワックス、セラック、アンモニアで処理されたセラック、及び酢酸フタル酸セルロースを含むが、これらに限定されない。糖衣錠は、糖衣によって囲まれた圧縮錠剤であり、好ましくない味又は匂いを覆う際、及び錠剤を酸化から保護する際に有益であり得る。フィルムコーティング錠剤は、水溶性物質の薄層又はフィルムで覆われている圧縮錠剤である。フィルムコーティングは、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール4000、及び酢酸フタル酸セルロースを含むが、これらに限定されない。フィルムコーティングは、糖衣と同じ一般の特徴を与える。多重圧縮錠剤は、2回以上の圧縮サイクルにより作られる圧縮錠剤であり、層化錠剤、及びプレスコート又は乾燥コート錠剤を含む。
【0091】
錠剤剤形は、単独で、又は結合剤、崩壊剤、徐放性ポリマー、潤滑油、希釈剤及び/又は着色剤などの本明細書中に記載した1以上の担体又は賦形剤と組み合わせて、粉末状、結晶性、又は粒状形態の活性成分から調製することができる。調味料及び甘味剤は、特に咀嚼錠及びロゼンジの形成に役立つ。
【0092】
本明細書中に提供される医薬組成物は、軟又は硬カプセルとして提供することができ、ゼラチン、メチルセルロース、デンプン又はアルギン酸カルシウムから作ることができる。硬質ゼラチンカプセルは、乾燥充填カプセル(DFC)としても知られており、2つの部分から構成され、一方が他方の上に滑り込まれ、活性成分を完全に囲む。軟カプセル(SEC)は、ゼラチンシェルなどの柔らかい球形であり、グリセリン、ソルビトール又は類似のポリオールの添加によって可塑化される。柔らかいゼラチンシェルは、微生物の成長を抑制するために防腐剤を含むことができる。適切な防腐剤は、本明細書中に記載されているものであり、メチル及びプロピルパラベン、並びにソルビン酸を含む。本明細書中に提供される液体、半固体及び固体剤形は、カプセルに封入することができる。適切な液体及び半固体剤形は、炭酸プロピレン、植物油又はトリグリセリドの溶液及び懸濁液を含む。このような溶液を含むカプセルは、米国特許第4,328,245号、第4,409,239号、及び第4,410,545号に記載されているように、調製することができる。カプセルは、活性成分の溶解を改質又は維持するために、当業者に知られているように被覆することもできる。
【0093】
本明細書中に提供される医薬組成物は、液体及び半固体剤形で提供することができ、エマルジョン、溶液、懸濁液、エリキシル及びシロップを含む。エマルジョンは、二相系であり、一方の液体が他方の液体の全体に渡って小さい球形で分散され、水中油又は油中水型であり得る。エマルジョンは、医薬として許容し得る非水性液体又は溶媒、乳化剤及び防腐剤を含むことができる。懸濁液は、医薬として許容し得る懸濁剤及び防腐剤を含むことができる。水性アルコール溶液は、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール、例えば、アセトアルデヒドジエチルアセタールなどの医薬として許容し得るアセタール、並びに、プロピレングリコール及びエタノールなどの1つ以上のヒドロキシル基を有する水混和性溶媒を含むことができる。エリキシルは、透明な、甘みある及びヒドロアルコールの溶液である。シロップは、糖、例えばスクロースの濃縮水溶液であり、防腐剤を含むこともできる。液体剤形のために、例えば、ポリエチレングリコールの溶液は、投与に都合よく測定されるために、医薬として許容し得る液体担体、例えば水の充分な量で希釈することができる。
【0094】
他の有用な液体及び半固体剤形は、本明細書中に提供される活性成分を含むもの、及び1,2-ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテルなどを含むジアルキル化モノ又はポリアルキレングリコールを含むが、これらに限定されない。ここで、350、550及び750は、ポリエチレングリコールの近似の平均分子量を意味する。これらの製剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオジプロピオン酸及びそのエステル、並びにジチオカルバメートなどの1種以上の抗酸化剤を更に含むことができる。
【0095】
経口投与のための本明細書中に提供される医薬組成物はまた、リポソーム、ミセル、マイクロスフェア又はナノシステムの形態で提供され得る。ミセル剤形は、米国特許第6,350,458号に記載されているように、調製することができる。
【0096】
本明細書中に提供される医薬組成物は、液体剤形に再構成されるために、非沸騰又は沸騰顆粒及び散剤として提供され得る。非沸騰又は沸騰顆粒及び散剤において使用される医薬として許容し得る担体及び賦形剤は、希釈剤、甘味料及び湿潤剤を含むことができる。沸騰顆粒又は散剤において使用される医薬として許容し得る担体及び賦形剤は、有機酸及び二酸化炭素源を含むことができる。
【0097】
着色剤及び香料は、上記の剤形の全てにおいて用いることができる。
【0098】
本明細書中に提供される医薬組成物は、遅延、持続、パルス型、制御、標的化、及びプログラム化放出形態を含む、即時又は改変放出剤形として製剤化することができる。
【0099】
本明細書中に提供される医薬組成物は、所望の治療的な作用を損なわない他の活性成分、又は所望の作用を補う物質と共に製剤化することができる。
【0100】
(B. 非経口投与)
本明細書中に提供される医薬組成物は、局所又は全身投与のために、注射、注入又は埋め込みによって、非経口的に投与することができる。本明細書で用いられる非経口投与は、静脈、動脈内、腹腔内、鞘内、心室内、尿管内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、滑液嚢内、膀胱内及び皮下投与を含む。
【0101】
本明細書中に提供される医薬組成物は、非経口投与に適している任意の剤形に製剤化することができ、注射前に液体中の溶液又は懸濁液に適している、溶液、懸濁液、エマルジョン、ミセル、リポソーム、マイクロスフェア、ナノシステム及び固体の形態を含む。このような剤形は、医薬科学の当業者に公知の方法に従って調製することができる(Remington: 「製薬の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」, 同上を参照されたい)。
【0102】
非経口投与のための医薬組成物は、制限されないが、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の成長に対する抗菌剤又は防腐剤、安定剤、可溶促進剤、等張性剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁化剤及び分散剤、湿潤剤又は乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート剤、凍結防止剤、リオプロテクタント(lyoprotectant)、増粘剤、pH調整剤、及び不活性ガスを含む、1種以上の医薬として許容し得る担体及び賦形剤を含むことができる。
【0103】
適切な水性ビヒクルは、水、食塩水、生理食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、均張性デキストロース注射液、無菌水注射液、デキストロース及び乳酸リンゲル注射液を含むが、これらに限定されない。非水溶ビヒクルは、野菜由来の不揮発性油、ヒマシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、落花生油、ハッカ油、サフラワー油、ゴマ油、ダイズ油、水素化植物性油、水素化ダイズ油及びヤシ油及びパーム種油の中鎖トリグリセリドを含むが、これらに限定されない。水溶性溶媒は、エタノール、1,3-ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300及びポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、及びジメチルスルホキシドを含むが、これらに限定されない。
【0104】
適切な抗菌剤又は防腐剤は、石炭酸、クレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシベンゾアート、チメロサール、塩化ベンザルコニウム(例えば、塩化ベンゼトニウム)、メチル及びプロピルパラベン、及びソルビン酸を含むが、これらに限定されない。適切な等張性剤は、塩化ナトリウム、グリセリン及びデキストロースを含むが、これらに限定されない。適切な緩衝剤は、リン酸塩及びクエン酸塩を含むが、これらに限定されない。適切な抗酸化剤は、本明細書中に記載されているものであり、亜硫酸水素塩及びメタ重亜硫酸ナトリウムを含む。適切な局所麻酔薬は、塩酸プロカインを含むが、これに限定されない。適切な懸濁化剤及び分散剤は、本明細書中に記載されているものであり、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンを含む。適切な乳化剤は、本明細書中に記載されているものであり、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート80及びトリエタノールアミンオレアートを含む。適切な金属イオン封鎖剤又はキレート剤は、EDTAを含むが、これに限定されない。適切なpH調整剤は、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸及び乳酸を含むが、これらに限定されない。適切な錯化剤は、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、及びスルホブチルエーテル 7-β-シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標)、CyDex、Lenexa、KS)を含むシクロデキストリンを含むが、これらに限定されない。
【0105】
本明細書中に提供される医薬組成物は、単回又は複数回の用量投与用に製剤化することができる。単回の用量の製剤は、アンプル、バイアル又はシリンジに包装される。複数回の用量の非経口製剤は、静菌性又は静真菌性の濃度で抗菌物質を含まなければならない。従来技術において公知でありかつ実践されているように、すべての非経口製剤は、無菌でなければならない。
【0106】
一実施態様において、医薬組成物は、すぐに使える無菌溶液として提供される。別の実施態様において、医薬組成物は、使用の前にビヒクルで再構成される、凍結乾燥粉末及び注射用錠剤を含む無菌乾燥可溶性製品として提供される。さらに別の実施態様では、医薬品組成物は、すぐに使える無菌懸濁液として提供される。さらに別の実施態様において、医薬組成物は、使用の前にビヒクルで再構成される無菌乾燥不溶性製品として提供される。さらに他の実施態様において、医薬組成物は、すぐに使える無菌エマルジョンとして提供される。
【0107】
本明細書中に提供される医薬組成物は、遅延、持続、パルス型、制御、標的化、及びプログラム化放出形態を含む、即時又は改変放出剤形として製剤化することができる。
【0108】
医薬組成物は、埋込みデポ(implanted depot)としての投与のために、懸濁液、固体、半固体又はチキソトロピー液体として製剤化することができる。一実施態様において、本明細書中に提供される医薬組成物は、固体内側マトリックスに分散し、体液に不溶性である外側の高分子膜によって囲まれるが、医薬組成物の有効成分が拡散できる。
【0109】
適切な内側マトリックスは、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸ブチル、可塑化又は非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタラート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー、例えば、アクリル及びメタアクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、及び架橋された部分的加水分解化ポリビニルアセテートを含む。
【0110】
適切な外側の高分子膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルとの塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレン、イオノマー ポリエチレンテレフタラート、ブチルゴム エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、及びエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーを含む。
【0111】
(C. 局所投与)
本明細書中に提供される医薬組成物は、局所的に皮膚、開口部又は粘膜に投与することができる。本明細書で用いられる局所投与は、皮(内)、結膜、歯冠内、眼球内、眼、耳、経皮、鼻、膣、尿道、呼吸器官、及び直腸投与を含む。
【0112】
本明細書中に提供される医薬組成物は、局所又は全身的な効果のための局所投与に適している任意の剤形に製剤化することができ、エマルジョン、溶液、懸濁液、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、軟膏、散布剤、ドレッシング、エリキシル、ローション剤、懸濁液、チンキ、ペースト、フォーム、フィルム、エアゾール、潅漑、スプレー、坐薬、包帯及び皮膚用パッチを含む。本明細書中に提供される医薬組成物の局所製剤はまた、リポソーム、ミセル、マイクロスフェア、ナノシステム及びそれらの混合物を含むことができる。
【0113】
本明細書中に提供される局所製剤の使用に適している医薬として許容し得る担体及び賦形剤は、制限されないが、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の成長に対する抗菌剤又は防腐剤、安定剤、可溶促進剤、等張性剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁化剤及び分散剤、湿潤剤又は乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート剤、浸透促進剤、凍結防止剤、リオプロテクタント(lyoprotectant)、増粘剤、及び不活性ガスを含む。
【0114】
医薬組成物は、電気穿孔法、イオントフォレーゼ、フォノフォレシス(phonophoresis)、ソノフォレシス(sonophoresis)、又は極微針、無針注射、例えば、POWDERJECT(商標)(Chiron Corp., Emeryville, CA)、及びBIOJECT(商標)(Bioject Medical Technologies Inc., Tualatin, OR)によって、局所的に投与することもできる。
【0115】
本明細書中に提供される医薬組成物は、軟膏、クリーム及びゲルの形態で提供することができる。適切な軟膏ビヒクルは、ラード、安息香豚脂、オリーブ油、綿実油及び他の油、白色ワセリンなどの油性又は炭化水素ビヒクル;親水ワセリン、ヒドロキシステアリンスルフェート及び無水ラノリンなどの乳化又は吸収ビヒクル;親水軟膏などの水除去性ビヒクル;異なる分子量のポリエチレングリコールなどの水溶性軟膏ビヒクル;セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ラノリン及びステアリン酸などのエマルジョンビヒクル、油中水型(W/O)エマルジョン又は水中油型(O/W)エマルジョン(Remington: 「製薬の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」, 同上を参照されたい)を含む。これらのビヒクルは、皮膚軟化剤であるが、一般に、抗酸化剤及び防腐剤の添加を必要とする。
【0116】
適切なクリーム基材は、水中油又は油中水型であり得る。クリームビヒクルは、水洗浄可能であることができ、油相、乳化剤及び水相を含む。油相は、「内部」相とも呼ばれ、通常、セチル又はステアリルアルコールなどのワセリン及び脂肪族アルコールから構成される。水相は、通常、必ずしも必要ではないが、容量において油相を超え、一般に、湿潤剤を含む。クリーム製剤中の乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は両性界面活性剤であってもよい。
【0117】
ゲルは、半流動性の懸濁液型系である。単相ゲルは、液体担体の全体にわたって実質的に均一に分布する有機巨大分子を含む。適切なゲル化剤は、架橋アクリル酸ポリマー、例えばカルボマー、カルボキシポリアルキレン及びCARBOPOL(登録商標);親水性ポリマー、例えばポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー及びポリビニルアルコールなど;セルロースポリマー、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート及びメチルセルロースなど;ゴム、例えばトラガカンタ及びキサンタンガムなど;アルギン酸ナトリウム;及びゼラチンを含む。均一のゲルを調製するために、アルコール又はグリセリンなどの分散剤を加えることでき、又はゲル化剤を粉砕、機械的混合、及び/又は撹拌することによって分散できる。
【0118】
本明細書中に提供される医薬組成物は、坐薬、ペッサリー、ブージー剤、湿布薬又はパップ剤、ペースト、粉末、ドレッシング、クリーム、絆創膏、避妊具、軟膏、溶液、エマルジョン、懸濁液、タンポン、ゲル、フォーム、スプレー又は浣腸剤の形態で、直腸、尿道、膣、又は膣周囲に投与することができる。これらの剤形は、Remington: 「製薬の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」, 同上に説明されるように、従来の方法を用いて製造することができる。
【0119】
直腸、尿道及び膣の坐薬は、身体開口部への挿入のための固体であり、常温で固体であるが、開口部内部で活性成分を放出するために体温で溶解又は軟化する。直腸及び膣の坐薬において利用される医薬として許容し得る担体は、本明細書中に提供される医薬組成物と配合されるときに、体温の近くの融点を生じる硬化剤など;及び亜硫酸水素塩及びメタ重亜硫酸ナトリウムなどの本明細書中に記載されている抗酸化剤などの、基剤又はビヒクルを含む。適切なビヒクルは、カカオバター(カカオ脂)、グリセリン-ゼラチン、炭素ワックス(ポリオキシエチレングリコール)、鯨蝋、パラフィン、白及び黄蝋、並びに、脂肪酸のモノ、ジ、及びトリグリセリド及びヒドロゲル、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリラート及びポリアクリル酸の適切な混合物;グリセリンで処理されたゼラチンを含むが、これらに限定されない。様々なビヒクルの組合せを使用することができる。直腸及び膣の坐薬は、圧縮又は成形することにより調製することができる。直腸及び膣の坐薬の典型的重量は、約2〜約3gである。
【0120】
本明細書中に提供される医薬組成物は、溶液、懸濁液、軟膏、エマルジョン、ゲル形成溶液、溶液のための粉末、ゲル、眼挿入物及び移植片の形態で、眼科学的に投与することができる。
【0121】
本明細書中に提供される医薬組成物は、鼻腔内又は吸入によって、気道に投与することができる。医薬組成物は、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、例えば、微細な霧を生じる電気流体力学を用いるアトマイザー、又はネブライザーを用いて、単独で、又は1,1,1,2-テトラフルオロエタン若しくは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴霧剤と組み合わせて、送達のためのエアロゾル又は溶液の形態で提供することができる。医薬組成物は、単独で、又はラクトース若しくはリン脂質などの不活性担体と組み合わせて、吸入のための乾燥粉末及び点鼻剤として提供することができる。鼻腔内使用のために、当該粉末は、キトサン又はシクロデキストリンなどの生体接着性薬剤を含むことができる。
【0122】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー又はネブライザーに用いられる溶液又は懸濁液は、本明細書中に提供される活性成分の分散、可溶化又は放出を延長するためのエタノール、水性エタノール又は適切な代わりの薬剤、溶媒としての噴霧剤;及び/又はソルビタントリオレアート、オレイン酸又はオリゴ乳酸などの界面活性剤を含むように配合することができる。
【0123】
本明細書中に提供される医薬組成物は、約50マイクロメートル以下又は約10マイクロメートル以下などの、吸入による送達に適しているサイズに微粉化することができる。このようなサイズの粒子は、スパイラルジェットミル、流動層ジェットミル、ナノ粒子を形成する超臨界流体処理、高圧力均質化、又は噴霧乾燥などの当業者に公知の粉砕方法を用いて調製することができる。
【0124】
吸入器(inhaler)又は吸入器(insufflator)に使用するカプセル、ブリスター及びカートリッジは、本明細書中に提供される医薬組成物の粉末混合物;ラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基材;及びl-ロイシン、マンニトール又はステアリン酸マグネシウムなどの機能調節剤を含むように配合することができる。ラクトースは、無水又は一水和物の形態であり得る。他の適切な賦形剤又は担体は、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース及びトレハロースを含む。吸入/鼻腔内投与のための本明細書中に提供される医薬組成物は、メントール及びレボメントールなどの適切な香料、又はサッカリン若しくはサッカリンナトリウムなどの甘味料をさらに含むことができる。
【0125】
局所投与のための本明細書中に提供される医薬組成物は、遅延、持続、パルス型、制御、標的化、及びプログラム化放出を含む、即時放出又は改変放出されるように製剤化することができる。
【0126】
(D. 改変放出)
本明細書中に提供される医薬組成物は、改変放出(modified release)剤形として製剤化することができる。本明細書中で用いられる用語「改変放出」は、同じ経路により投与されるときに、活性成分の放出の速度又は場所が、即時剤形(immediate dosage form)のものと異なる剤形を意味する。改変放出剤形は、遅延、延長、長期、持続、パルス型、制御、促進、急速、標的化、プログラム化放出、及び胃貯留剤形を含む。改変放出剤形の医薬組成物は、マトリックス制御放出デバイス、浸透圧制御放出デバイス、多粒子制御放出デバイス、イオン交換樹脂、腸溶コーティング、多層コーティング、マイクロスフェア、リポソーム、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、様々な改変放出手段、及び当業者に公知の方法を用いて調製することができる。活性成分の放出速度は、活性成分の粒径及び多形を変化させることにより変更することもできる。
【0127】
改変放出の例を挙げると、以下の文献に記載されているものがあるが、これらに限定されない:米国特許番号第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;第4,008,719号;第5,674,533号;第5,059,595号;第5,591,767号;第5,120,548号;第5,073,543号;第5,639,476号;第5,354,556号;第5,639,480号;第5,733,566号;第5,739,108号;第5,891,474号;第5,922,356号;第5,972,891号;第5,980,945号;第5,993,855号;第6,045,830号;第6,087,324号;第6,113,943号;第6,197,350号;第6,248,363号;第6,264,970号;第6,267,981号;第6,376,461号;第6,419,961号;第6,589,548号;第6,613,358号;及び第6,699,500号。
【0128】
(1. マトリックス制御放出デバイス)
改変放出剤形の本明細書中に提供される医薬組成物は、当業者に公知のマトリックス制御放出デバイスを用いて製造することができる(Takadaらの文献、「制御薬剤送達の百科事典(Encyclopedia of Controlled Drug Delivery)」、Vol. 2, Mathiowitz編集、Wiley、1999年を参照されたい。)。
【0129】
ある実施態様において、改変放出剤形の本明細書中に提供される医薬組成物は、ポリサッカリド及びタンパク質などの合成ポリマー及び天然ポリマー並びに誘導体を含む、水膨張可能な、侵食可能な、又は溶解可能なポリマーである、浸食され得るマトリックスデバイスを用いて製剤化される。
【0130】
浸食可能なマトリックスの形成に有用な材料は、以下を含むが、これらに限定されない:キチン、キトサン、デキストラン及びプルラン;ゴム寒天、アラビアゴム、ゴムカラヤゴム、ローカストビーンガム、トラガカント、カラゲナン、ガッチゴム、グアーガム、キサンタンガム及びスクレログルカン;デキストリン及びマルトデキストリンなどのデンプン;ペクチンなどの親水コロイド;レシチンなどのホスファチド;アルギン酸塩;アルギン酸プロピレングリコール;ゼラチン;コラーゲン;セルロース誘導体、例えば、エチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、酪酸セルロース(CB)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、ヒドロキシプロピルメチル酢酸セルローストリメリタート(HPMCAT)、及びエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)など;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ポリビニルアセテート;グリセロール脂肪酸エステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸;エタクリル酸又はメタアクリル酸のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)、Rohm America社、Piscataway、NJ);ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート);ポリラクチド;L-グルタミン酸及びエチル-L-グルタメートのコポリマー;分解可能な乳酸-グリコール酸コポリマー;ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸;及び、他のアクリル酸誘導体、例えば、ブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレート、及び(トリメチルアミノエチル)メタクリレートクロリド。
【0131】
更なる実施態様において、医薬組成物は、非浸食性マトリックスデバイスを用いて製剤化される。活性成分は、不活性マトリックスに溶解又は分散され、かつ投与されると同時に、不活性マトリックスを通って拡散し、最初に放出される。非浸食性マトリックスデバイスとしての用途に適切な材料は、以下を含むが、これらに限定されない:不溶性プラスチック、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸メチル-メタクリル酸メチルコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、酢酸ビニルとの塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレン、イオノマー ポリエチレンテレフタラート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、エチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー、ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタラート、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、及びシリコーンカーボネートコポリマー;親水性ポリマー、例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドン及び架橋部分的加水分解化ポリ酢酸ビニル;及び脂肪族化合物、例えば、カルナバワックス、微結晶性ワックス及びトリグリセリド。
【0132】
マトリックス制御放出システムにおいて、所望の放出速度論は、例えば、使用されるポリマー種、ポリマー粘性、ポリマー及び/又は活性成分の粒径、活性成分対ポリマーの比率、及び組成物中の他の賦形剤又は担体を介して制御することができる。
【0133】
改変放出剤形の本明細書中に提供される医薬組成物は、直接圧縮、乾式又は湿式造粒後の圧縮、及び溶融造粒後の圧縮などの当業者に公知の方法により調製することができる。
【0134】
(2. 浸透圧制御放出デバイス)
改変放出剤形の本明細書中に提供される医薬組成物は、一容器系、二容器系、非対称膜技術(AMT)及び押出コア系(extruding core system)(ECS)を含む、浸透圧制御放出デバイスを用いて製造することができる。一般に、このようなデバイスは、少なくとも2つの成分を有する:(a)活性成分を含むコア;及び(b)該コアを封入する、少なくとも1つの送達ポートを有する半透膜である。半透膜は、送達ポートによる押出によって薬剤放出するように、使用の水性環境からコアへの水の流入を制御する。
【0135】
活性成分に加えて、浸透圧デバイスのコアは、任意に、使用の環境からデバイスのコアに水を輸送するための推進力を作る浸透圧剤を含む。浸透圧剤の1つの種類は、水膨潤性親水性ポリマーであり、「浸透ポリマー」及び「ヒドロゲル」とも呼ばれ、以下を含むが、これらに限定されない:親水性ビニル及びアクリルポリマー、ポリサッカリド、例えば、アルギン酸カルシウム、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2-ヒドロキシメタクリル酸エチル)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、疎水性モノマー(例えばメタクリル酸メチル及び酢酸ビニル)を有するPVA/PVPコポリマー、巨大PEOブロックを含む親水性ポリウレタン、ナトリウムクロスカルメロース、カラゲナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びカルボキシエチルセルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンガム及びデンプングリコール酸ナトリウム。
【0136】
浸透圧剤の他の種類は、周囲のコーティングのバリア全体の浸透圧勾配に影響を及ぼすために水を吸収できる、オスモゲン(osmogens)である。適切なオスモゲンは、以下を含むが、これらに限定されない:無機塩、例えば、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム及び硫酸ナトリウム;糖、例えば、デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、スクロース、トレハロース及びキシリトール;有機酸、例えば、アスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p-トルエンスルホン酸、コハク酸及び酒石酸;尿素;及びそれらの混合物。
【0137】
異なる溶解速度の浸透圧剤は、活性成分がどれくらい迅速に剤形から最初に送達されるかについて影響を与えるように使用することができる。例えば、MANNOGEM(商標)EZ(SPI Pharma, Lewes, DE)などのアモルファス糖を用いて、最初の数時間の間に迅速な送達を提供し、所望の治療効果を速やかに生じ、かつ残りの量を段階的かつ継続的に放出し、長期間に渡って、所望レベルの治療的又は予防的効果を維持することができる。この場合、活性成分は、代謝し、かつ排出される活性成分の量を置き換えるような速度で、放出される。
【0138】
コアはまた、剤形の性能を向上し、又は安定性若しくは処理を促進する、本明細書中に記載される様々な他の賦形剤及び担体を含むことができる。
【0139】
半透膜の形成に有用な材料は、生理的に関連したpHで水透過性及び水不溶性であるか、又は架橋などの化学変化によって水不溶性にされ得る、アクリル、ビニル、エーテル、ポリアミド、ポリエステル、及びセルロース誘導体の様々な等級を含む。コーティングの形成に有用な適切なポリマーの例を挙げると、以下がある:可塑化、非可塑化、及び強化された酢酸セルロース(CA)、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、CAプロピオナート、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAカルバミン酸エチル、CAP、CAカルバミン酸メチル、CAスクシネート、酢酸セルローストリメリタート(CAT)、CAジメチルアミノアセテート、CA炭酸エチル、CAクロロアセテート、CAシュウ酸エチル、CAスルホン酸メチル、CAスルホン酸ブチル、CA p-トルエンスルホネート、寒天アセテート、アミローストリアセテート、βグルカンアセテート、βグルカントリアセテート、アセトアルデヒドジメチルアセテート、イナゴマメゴムのトリアセテート、水酸化エチレン-酢酸ビニル、EC、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマー、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸及びエステル、及びポリ(メタクリル)酸及びエステル、並びにそれらのコポリマー、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリビニルエステル及びエーテル、天然ワックス及び合成ワックス。
【0140】
半透膜はまた、疎水性微細孔膜であることもでき、米国特許第5,798,119号に開示されているように、孔は、実質的にガスで充填され、水媒体によって浸潤しないが、水蒸気に浸透できる。このような疎水性であるが水蒸気浸透可能な膜は、通常、疎水性ポリマー、例えば、ポリアルケン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルエステル及びエーテル、天然ワックス及び合成ワックスから構成される。
【0141】
半透膜上の送達ポートは、機械的に又はレーザー穿孔により、コーティング後に形成することができる。送達ポートは、水溶性材料のプラグの浸食によって、又はコアの窪みに渡って膜のより薄い部分の破裂によって、インサイツ(in situ)で形成することもできる。加えて、送達ポートは、米国特許番号5,612,059号及び第5,698,220号に開示されている種類の非対称膜コーティングの場合、コーティングプロセスの間に形成することができる。
【0142】
放出される活性成分の総量及び放出速度は、半透膜の厚み及び多孔性、コアの組成物、及び送達ポートの数、サイズ及び位置を介して、実質的に調節することができる。
【0143】
浸透圧徐放性剤形の本明細書中に記載される医薬組成物は、さらに、製剤の性能又は処理を促進するための、本明細書中に記載された付加的な従来の賦形剤又は担体を含むことができる。
【0144】
浸透圧制御放出剤形は、当業者に公知の従来法及び技術に従って調製することができる(Remington: 「製薬の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」, 同上;Santus及びBaker, J. Controlled Release 1995, 35, 1-21;Vermaらの文献, Drug Development and Industrial Pharmacy 2000, 26, 695-708; Vermaらの文献, J. Controlled Release 2002, 79, 7-27を参照されたい。)。
【0145】
ある実施態様において、本明細書中に提供される医薬組成物は、活性成分及び他の医薬として許容し得る賦形剤又は担体を含むコアをコーティングする非対称浸透圧膜を含む、AMT制御放出剤形として製剤化される。米国特許第5,612,059号及びWO 2002/17918を参照されたい。AMT制御放出剤形は、直接圧縮、乾式造粒法、湿式造粒及び浸漬塗装方法を含む、当業者に公知の従来法及び技術に従って調製することができる。
【0146】
ある実施態様において、本明細書中に提供される医薬組成物は、活性成分、ヒドロキシルエチルセルロース及び他の医薬として許容し得る賦形剤又は担体を含むコアをコーティングする浸透圧膜を含む、ESC制御放出剤形として製剤化される。
【0147】
(3. 多粒子制御放出デバイス)
改変放出剤形の本明細書中に提供される医薬組成物は、直径約10μm〜約3mm、約50μm〜約2.5mm、又は約100μm〜約1mmの多数の粒子、顆粒又はペレットを含む、多粒子制御放出デバイスとして製造することができる。このような多粒子は、湿式又は乾式造粒、押出/スフェロニゼーション(spheronization)、ローラー圧縮、溶融凝固、及びスプレーコーティングシードコア(spray-coating seed cores)によってなどの当業者に公知の方法によって製造することができる。例えば、Multiparticulate Oral Drug Delivery;Marcel Dekker:1994;及びPharmaceutical Pelletization Technology;Marcel Dekker:1989を参照されたい。
【0148】
本明細書中に記載されている他の賦形剤又は担体を、多粒子の処理及び形成に役立つように、医薬組成物と配合することができる。得られた粒子は、それ自体が多粒子を構成することができ、又は腸溶ポリマー、水膨潤性、及び水溶性高分子などの様々なフィルム形成材料によりコーティングすることができる。多粒子は、カプセル又は錠剤として更に処理することができる。
【0149】
(4. 標的化送達)
本明細書中に提供される医薬組成物は、リポソーム、再封赤血球(resealed erythrocyte-)、及び抗体ベース送達システムを含む、治療される対象の身体の特定組織、レセプター、又は他の領域に標的化されるように製剤化することができる。例を挙げると、下記を含むが、これらに制限されない:米国特許第6,316,652号;第6,274,552号;第6,271,359号;第6,253,872号;第6,139,865号;第6,131,570号;第6,120,751号;第6,071,495号;第6,060,082号;第6,048,736号;第6,039,975号;第6,004,534号;第5,985,307号;第5,972,366号;第5,900,252号;第5,840,674号;第5,759,542号;及び第5,709,874号。
【0150】
(使用方法)
一実施態様において、対象に、治療的有効量の本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体を投与することを含む、対象のCCR3に関連した障害、疾患又は状態の1つ以上の症状を治療、予防又は改善するための方法を提供する。一実施態様において、対象は、哺乳類である。別の実施態様において、対象は、ヒトである。
【0151】
別の実施態様において、対象に、治療的有効量の本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体を投与することを含む、対象のCCR3活性の調節に応答する障害、疾患又は状態の1つ以上の症状を治療、予防又は改善するための方法を提供する。一実施態様において、対象は、哺乳類である。別の実施態様において、対象は、ヒトである。
【0152】
さらに別の実施態様において、対象に、治療的有効量の本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体を投与することを含む、対象のCCR3レセプターにより媒介される障害、疾患又は状態の1つ以上の症状を治療、予防又は改善するための方法を提供する。一実施態様において、対象は、哺乳類である。別の実施態様において、対象は、ヒトである。
【0153】
さらに別の実施態様において、対象に、治療的有効量の本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体を投与することを含む、対象の好酸球関連障害、疾患又は状態の1つ以上の症状を治療、予防又は改善するための方法を提供する。一実施態様において、対象は、哺乳類である。別の実施態様において、対象は、ヒトである。
【0154】
さらに別の実施態様において、対象に、治療的有効量の本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体を投与することを含む、対象の好塩基球関連障害、疾患又は状態の1つ以上の症状を治療、予防又は改善するための方法を提供する。一実施態様において、対象は、哺乳類である。別の実施態様において、対象は、ヒトである。
【0155】
さらに別の実施態様において、対象に、治療的有効量の本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体を投与することを含む、対象の肥満細胞関連障害、疾患又は状態の1つ以上の症状を治療、予防又は改善するための方法を提供する。一実施態様において、対象は、哺乳類である。別の実施態様において、対象は、ヒトである。
【0156】
さらに別の実施態様において、対象に、治療的有効量の本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体を投与することを含む、対象の炎症性疾患の1つ以上の症状を治療、予防又は改善するための方法を提供する。一実施態様において、対象は、哺乳類である。別の実施態様において、対象は、ヒトである。
【0157】
本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体で治療可能な障害、疾患又は状態は、以下を含むが、これらに制限されない:(1) 全身アナフィラキシー及び過敏性障害、アトピー性皮膚炎、じんま疹、薬物アレルギー、昆虫刺傷アレルギー、食物アレルギー(小児脂肪便症などを含む)及び肥満細胞症を含む、炎症性又はアレルギー疾患;(2) クローン病、潰瘍性大腸炎、回腸炎及び腸炎を含む炎症性大腸疾患;(3) 血管炎及びベーチェット症候群;、(4) 皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、じんま疹、ヒト乳頭腫ウイルスから誘導されるものなどのウイルス性皮膚病状、HIV又はRLV感染、細菌性、フルガル(flugal)及び他の寄生性皮膚病理、及び皮膚エリテマトーデスを含む、乾癬及び炎症性皮膚症;(5) アレルギー性喘息、運動誘発性喘息、アレルギー性鼻炎、中耳炎、アレルギー結膜炎、過敏性肺疾患及び慢性閉塞性肺疾患を含む、喘息及び呼吸アレルギー疾患;(6) 関節炎(リウマチ及び乾癬性を含む)、全身性エリテマトーデス、型I糖尿病、重症筋無力症、多発性硬化症、グレーブス病及び糸球体腎炎を含む、自己免疫疾患;(7) 移植片拒絶(同種異系移植片拒絶反応及び移植片対宿主疾患を含む)、例えば、皮膚移植片拒絶、固形臓器移植拒絶、骨髄移植拒絶;(8) 発熱;(9) 急性心不全、血圧低下、高血圧症、狭心症、心筋梗塞、心筋症、うっ血心不全、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患、再狭窄及び脈管狭窄症を含む、心血管障害;(10) 外傷性脳損傷、ストローク、虚血性再灌流損傷及び動脈瘤を含む、脳血管障害;(11) 乳癌、皮膚癌、前立腺癌、頸部癌、子宮癌、卵巣癌、精巣癌、膀胱癌、肺癌、肝臓癌、喉頭癌、口腔癌、大腸癌及び胃腸管(例えば、食道、胃、膵臓)癌、脳癌、甲状腺癌、血液癌及びリンパ系癌;(12) 線維症、結合織疾患及びサルコイドーシス;(13) 勃起障害を含む、生殖器及び再生状態;(14) 胃炎、潰瘍、嘔気、膵臓炎及び嘔吐を含む、胃腸障害;(15) アルツハイマー病を含む、神経障害;(16) 不眠症、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群及びピックウィック症候群を含む、睡眠障害;(17) 疼痛;(18) 腎臓障害;(19) 緑内障を含む眼障害;及び(20) HIVを含む感染症。
【0158】
ある実施態様において、障害、疾患又は状態は、下記からなる群から選択される:喘息、アレルギー性喘息、運動誘発喘息、アレルギー性鼻炎、永続的なアレルギー性鼻炎、季節的なアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、接触過敏症、接触性皮膚炎、結膜炎、アレルギー結膜炎、好酸球増加性気管支炎、食物アレルギー、好酸球性胃腸炎、炎症性大腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、肥満細胞症、高IgE症候群、全身性エリテマトーデス、乾癬、ざ瘡、多発性硬化症、同種異系移植片拒絶反応、再灌流損傷、慢性閉塞性肺疾患、チャーグ-ストラウス症候群、副鼻腔炎、好塩基球性白血病、慢性じんま疹、好塩基球性白血球増加症、乾癬、湿疹、COPD(慢性閉塞性肺障害)、関節炎、関節リュウマチ、乾癬性関節炎及び骨関節炎。
【0159】
ある実施態様において、障害、疾患又は状態は、喘息、運動誘発喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患又はアレルギー結膜炎である。
【0160】
ある実施態様において、障害、疾患又は状態は、炎症性又は免疫調節性疾患である。ある実施態様において、障害、疾患又は状態は、喘息、鼻炎、アレルギー疾患又は自己免疫病態である。ある実施態様において、障害、疾患又は状態は、HIV、肺肉芽腫又はアルツハイマー病である。
【0161】
各種実施態様において、上述の障害、疾患又は状態を治療する方法は、本明細書中に提供される化合物、例えば、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体を、1以上の医薬として許容し得る賦形剤又は担体と組合わせて含む医薬組成物を用いる、対象の治療を含む。
【0162】
治療される障害、疾患又は状態、及び対象の状態に応じて、本明細書中に提供される化合物又は医薬組成物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射若しくは注入、皮下注射、又は移植)、吸入、経鼻、膣内、直腸、舌下、又は局所(例えば、経皮又は局所)の投与経路により投与することができ、かつ単独で、又は各投与経路に適切な医薬として許容し得る賦形剤、担体、補助剤及びビヒクルとともに適切な剤形おいて、製剤化することができる。また、活性成分が所定の期間に渡って放出されるデポー製剤における、本明細書中に提供される化合物又は医薬組成物の投与を提供する。
【0163】
喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹、乾癬、アトピー性皮膚炎、発熱、敗血症、全身性エリテマトーデス、糖尿病、関節リュウマチ、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、移植拒絶、炎症性大腸疾患、癌又はCCR3レセプターと関連している他の状態、障害又は疾患の1つ以上の症状の治療、予防又は改善において、適切な投与量レベルは、一般に、1日あたり対象の体重1kgにつき約0.001〜100mg(mg/kg/日)、約0.01〜約75mg/kg/日、約0.1〜約50mg/kg/日、約0.5〜約25mg/kg/日、又は約1〜約20mg/kg/日の範囲であり、これらは、単独又は複数回投与で投与することができる。この範囲の中で、投与量は、約0.005〜約0.05、約0.05〜約0.5、約0.5〜約5.0、約1〜約15、約1〜約20、又は約1〜約50mg/kg/日の範囲であり得る。ある実施態様において、投与量レベルは、約0.001〜約100mg/kg/日の範囲である。ある実施態様において、投与量レベルは、約0.01〜約75mg/kg/日の範囲である。ある実施態様において、投与量レベルは、約0.1〜約50mg/kg/日の範囲である。ある実施態様において、投与量レベルは、約0.5〜約25mg/kg/日の範囲である。ある実施態様において、投与量レベルは、約1〜約20mg/kg/日の範囲である。
【0164】
経口投与のために、本明細書中に提供される医薬組成物は、約1.0〜約1,000mgの活性成分、一実施態様において、治療される患者に対する投与量の対症調整のために、約1、約5、約10、約15、約20、約25、約50、約75、約100、約150、約200、約250、約300、約400、約500、約600、約750、約800、約900及び約1,000mgの活性成分を含む錠剤の形態で製剤化することができる。医薬組成物は、1日あたり1回、2回、3回、及び4回を含む、1日あたり1〜4回の投与計画で投与することができる。
【0165】
しかしながら、任意の特定の患者のための特定の投与量レベル及び投与量の頻度を変更することができ、使用される特定化合物の活性、代謝安定性、及び化合物の作用の長さ、年齢、体重、一般健康、性別、食事、投与の様式及び時間、排出速度、薬剤組合せ、特定状態の重症度、及びホストが受けている療法などの様々な要因に依存するであろう。
【0166】
また、本明細書中に提供されるものは、CCR3レセプターを、本明細書中に提供される化合物、例えば、その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、若しくは2以上の互変異性体の混合物を含む、式Ia、式I若しくは式IIの化合物;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物又はプロドラッグと接触させることを含む、CCR3活性を調節する方法である。一実施態様において、CCR3レセプターは、細胞により発現される。
【0167】
本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体を併用して、又は本明細書中に提供される化合物が有用である、喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹、乾癬、アトピー性皮膚炎、発熱、敗血症、全身性エリテマトーデス、糖尿病、関節リュウマチ、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、移植拒絶、炎症性大腸疾患、癌、感染症及び上記のそれらの病状を含む、障害、疾患、又は状態の1つ以上の症状の治療、予防、又は改善に有用な他の薬剤と組合わせて使用することができる。
【0168】
ある実施態様において、本明細書中に提供される化合物は、制限されないが、下記などの技術的に公知の1種以上のステロイド薬と併用することができる:アルドステロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、デオキシコルチコステロンアセテート、フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、及びトリアムシノロン。
【0169】
ある実施態様において、本明細書中に提供される化合物は、制限されないが、下記などの技術的に公知の1種以上の抗生物質と併用することができる:アミカシン、アモキシシリン、アンピシリン、アルスフェナミン、アジスロマイシン、アズトレオナム、アズロシリン、バシトラシン、カルベニシリン、セファクロロ、セファドロキシル、セファマンドール、セファゾリン、セファレキシン、セフジニル、セフジトリン(cefditorin)、セフェピム、セフィキシム、セホペラゾン、セホタキシム、セホキシチン、セフポドキシム、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、クロラムフェニコール、シラスチン(cilastin)、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、クロキサシリン、コリスチン、ダルフォプリスチン、デメクロサイクリン、ジクロキサシリン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エンロフロキサシン、エルテペネム(ertepenem)、エタンブトール、フルクロキサシリン、ホスホマイシン、フラゾリドン、ガチフロキサシン、ゲルダナマイシン、ゲンタミシン、ハービマイシン、イミペネム、イソニアジド、カナマイシン、レボフロキサシン、リネゾリド、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、マフェニド、モキシフロキサシン、メロペネム、メトロニダゾール、メズロシリン、ミノサイクリン、ムピロシン、ナフシリン、ネオマイシン、ネチルミシン、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキシテトラサイクリン、ペニシリン、ピペラシリン、プラテンシマイシン、ポリミキシンB、プロントジル、ピラジナミド、キヌプリスチン、リファンピン、ロキシスロマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、硫黄アセトアミド、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、テイコプラニン、テリスロマイシン、テトラサイクリン、チカルシリン、トブラマイシン、トリメトプリム、トロレアンドマイシン、トロバフロキサシン及びバンコマイシン。
【0170】
ある実施態様において、本明細書中に提供される化合物は、制限されないが、下記などの技術的に公知の1種以上の抗真菌剤と併用することができる:アモロルフィン、アンホテリシンB、アニデュラファンギン、ビフォナゾール、ブテナフィン、ブトコナゾール、カスポファンギン、シクロピロックス、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、フィリピン、フルコナゾール、イソコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミカファンギン、ミコナゾール、ナフチフィン、ナタマイシン、ニスタチン、オキシコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、リモシジン、セルタコナゾール、スルコナゾール、テルビナフィン、テルコナゾール、チオコナゾール及びボリコナゾール。
【0171】
ある実施態様において、本明細書中に提供される化合物は、制限されないが、下記などの技術的に公知の1種以上の凝固阻止薬と併用することができる:アセノクマロール、アルガトロバン、ビバリルジン、レピルジン、フォンダパリヌクス、ヘパリン、フェニンジオン、ワルファリン及びキシメラガトラン。
【0172】
ある実施態様において、本明細書中に提供される化合物は、制限されないが、下記などの技術的に公知の1種以上の血栓溶解剤と併用することができる:アニストレプラーゼ、レテプラーゼ、t-PA(アルテプラーゼアクチバーゼ)、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ及びウロキナーゼ。
【0173】
ある実施態様において、本明細書中に提供される化合物は、制限されないが、下記などの技術的に公知の1種以上の非ステロイド性抗炎症薬と併用することができる:アセクロフェナク、アセメタシン、アモキシプリン(amoxiprin)、アスピリン、アザプロパゾン、ベノリラート、ブロムフェナク、カルプロフェン、セレコキシブ、コリンサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、エトリコキシブ、ファイスラミン(faislamine)、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ルミラコキシブ、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メタミゾール、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチルサリチラート、スリンダク、スルフィンピラゾン、スプロフェン、テノキシカム、チアプロフェン酸及びトルメチン。
【0174】
ある実施態様において、本明細書中に提供される化合物は、制限されないが、下記などの技術的に公知の1種以上の抗血小板薬と併用することができる:アブシキシマブ、シロスタゾール、クロピドグレル、ジピリダモール、チクロピジン及びチロフィビン(tirofibin)。
【0175】
本明細書中に提供される化合物はまた、制限されないが、下記などの他の種類の化合物と組合わせて投与することができる:エンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤、例えば、ホスホラミドン;トロンボキサン受容体アンタゴニスト、例えば、イフェトロバン; カリウムチャネルオープナー;トロンビン阻害剤、例えば、ヒルジン;成長因子阻害剤、例えば、PDGF活性のモジュレータ;血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;抗血小板剤、例えば、GPIIb/IIIa遮断薬(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド及びチロフィバン)、P2Y(AC)アンタゴニスト(例えば、クロピドグレル、チクロピジン及びCS-747)及びアスピリン;抗凝固剤、例えば、ワルファリン;低分子量ヘパリン、例えば、エノキサパリン;ファクターVIIa阻害剤及びファクターXa阻害剤;レニン阻害剤;中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;バソペプチダーゼ阻害剤(二重NEP-ACE阻害剤)、例えば、オマパトリラト及びゲモパトリラトなど;HMG CoAレダクターゼ阻害剤、例えば、プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、NK-104(別名イタバスタチン、ニスバスタチン(nisvastatin)又はニスバスタチン(nisbastatin))及びZD-4522(別名ロスバスタチン、アタバスタチン(atavastatin)又はビサスタチン);スクアレンシンテターゼ阻害剤;フィブラート;胆汁酸隔離剤、例えば、クエストラン;ナイアシン;抗アテローム性動脈硬化症剤、例えば、ACAT阻害剤;MTP阻害剤;カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ベシル酸アムロジピン;カリウムチャネルアクチベーター;α-アドレナリン作動性薬;β-アドレナリン作動性薬剤、例えば、カルベジロール及びメトプロロール;抗不整脈薬;利尿剤、例えば、クロロサイアザイド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロサイアザイド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンゾサイアザイド、エタクリン酸、チクリナフェン、クロロタリドン、フロセミド(furosenide)、ムゾリミン、ブメタニド、トリアムテレン、アミロリド及びスピロノラクトン;血栓溶解薬、例えば、組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)、組換えtPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ及びアニソイル化プラスミノーゲン ストレプトキナーゼ活性化因子複合体(APSAC);抗糖尿病薬、例えば、ビグアニド(例えば、メトホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、インシュリン、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリブリド及びグリピジド)、チオゾリジンジオン(thiozolidinediones)(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)及びPPAR-γアゴニスト;無機質コルチコイド受容体アンタゴニスト、例えば、スピロノラクトン及びエプレレノン;成長ホルモン分泌促進物質;aP2阻害剤;ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えば、PDE III阻害剤(例えば、シロスタゾール)及びPDE V阻害剤(例えば、シルデナフィル、タダラフィル及びバルデナフィル);タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤;抗炎症薬;抗増殖性薬、例えば、メトトレキセート、FK506(タクロリムス)、ミコフェノール酸モフェチル;化学療法剤;免疫抑制剤;抗癌剤及び細胞毒性薬剤(例えば、アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホネート、ニトロソ尿素、エチレンイミン及びトリアゼン);代謝拮抗薬、例えば、葉酸アンタゴニスト、プリン類似体及びピリミジン類似体;抗生物質、例えば、アントラサイクリン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン及びプリカマイシン;酵素、例えば、L-アスパラギナーゼ;ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ホルモン剤、例えば、糖質コルチコイド(例えば、コルチゾン)、エストロゲン/抗エストロゲン、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチン及び黄体形成ホルモン放出ホルモンアンタゴニスト及びオクトレオチドアセテート;微小管破壊薬(microtubule-disruptor agents)、例えば、エクテイナシジン;微小管-安定化剤、例えば、パシタキセル(pacitaxel)、ドセタキセル及びエポチロンA-F;植物-由来生成物、例えば、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン及びタキサン;及びトポイソメラーゼ阻害剤;プレニル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;及びシクロスポリン;ステロイド、例えば、プレドニゾン及びデキサメタゾン;細胞毒性薬、例えば、アザチオプリン及びシクロホスファミド;TNF-α阻害剤、例えば、テニダップ;抗TNF抗体又は可溶性TNF受容体、例えば、エタナーセプト、ラパマイシン及びレフルニミド(leflunimide);及びシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤、例えば、セレコキシブ及びロフェコキシブ;及び種々の薬剤、例えば、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメラミン、金化合物、白金配位錯体、例えば、シスプラチン、サトラプラチン及びカルボプラチン。
【0176】
このような他の薬剤又は薬物は、本明細書中に提供される化合物、例えば、その単一鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、若しくはジアステレオマーの混合物を含む式Ia、式I若しくは式IIの化合物;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグと、同時に又は連続して、そのために共通して用いられる経路又は量で投与することができる。本明細書中に提供される化合物が、1種以上の他の薬剤と同時に用いられる場合、本明細書中に提供される化合物に加えて、そのような他の薬剤を含む医薬組成物を利用することができるが、要求されるものではない。したがって、本明細書中に提供される医薬組成物は、本明細書中に提供される化合物に加えて、1種以上の他の活性成分又は治療薬を含むものを包含する。
【0177】
第2の活性成分に対する本明細書中に提供される化合物の重量比は、変更することができ、各成分の有効量に依存するであろう。通常、各々の有効量が用いられるであろう。従って、例えば、本明細書中に提供されている化合物が、NSAIDと併用される場合、NSAIDに対する化合物の重量比は、約1,000:1〜約1:1,000、又は約200:1〜約1:200の範囲であり得る。本明細書中に提供される化合物と他の活性成分との組合せはまた、一般的に、上述した範囲内であるが、いずれの場合においても、各活性成分の有効量が用いられる。
【0178】
本明細書中に提供される化合物は、当業者に周知の包装材料を用いて製品として提供することができる。例えば、米国特許第5,323,907号、第5,052,558号、及び第5,033,252号を参照されたい。医薬包装材料の例を挙げると、選択された製剤及び意図された投与様式及び治療に適切なブリスター包装、瓶、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ及び任意の包装材料があるが、これらに限定されない。
【0179】
また、本明細書中に提供されるものは、医師によって使われるときに、活性成分の適切な量の対象への投与を単純化できるキットである。ある実施態様において、本明細書中に提供されるキットは、本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体の容器及び剤形を包含する。
【0180】
ある実施態様において、キットは、本明細書中に記載した1種以上の他の治療薬を含む容器内に、本明細書中に提供される化合物、例えば、式Ia、式I若しくは式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体の剤形を含む容器を包含する。
【0181】
本明細書中に提供されるキットは、活性成分を投与するために用いるデバイスを更に含むことができる。このようなデバイスの例を挙げると、シリンジ、針のない注射器ドリップバッグ、パッチ及び吸入器があるが、これらに限定されない。本明細書中に提供されるキットは、活性成分の投与のためのコンドームを含むこともできる。
【0182】
本明細書中に提供されるキットは、1種以上の活性成分を投与するために用いることができる医薬として許容し得るビヒクルを更に含むことができる。例えば、活性成分が非経口投与のために再構成されなければならない固体形態で提供される場合、キットは、活性成分を溶解し、非経口投与に適切な微粒子フリー無菌溶液を形成することができる適切なビヒクルの密封容器を含むことができる。医薬として許容し得るビヒクルの例を挙げると、以下を含むが、これらに限定されない:水性ビヒクル、制限されないが、注射USP、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、デキストロース注射、デキストロース及び塩化ナトリウム注射、並びに乳酸リンゲル注射のための水など);水混和性ビヒクル、制限されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなど;及び非水性ビヒクル、制限されないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、イソプロピルミリステート及び安息香酸ベンジルなど。
【0183】
開示は、以下の非制限的な実施例によって、更に理解されるであろう。
【実施例】
【0184】
本明細書中で用いられるように、これらの方法、スキーム及び実施例に用いられる記号及び約束事は、特定の省略が具体的に定義されているかどうかに関わらず、現在の科学文献、例えば、Journal of the American Chemical Society、又はJournal of Biological Chemistryにおいて使用されるものと整合する。具体的に、限定されるものではないが、以下の省略形を、実施例及び明細書の全体にわたって用いることができる:g(グラム);mg(ミリグラム);mL(ミリリットル);μL(マイクロリットル);mM(ミリモル);μM(マイクロモラー);nM(ナノモラー);eq.(等価);Hz(ヘルツ);MHz(メガヘルツ);mmol(ミリモル);hr又はhrs(時間);min(分);MS(質量分析);ESI(エレクトロスプレーイオン化);TLC(薄層クロマトグラフィー);Rt(保持時間);SiO2(二酸化ケイ素);THF(テトラヒドロフラン);CDCl3(重水素化クロロホルム);DCM(ジクロロメタン);DMF(ジメチルホルムアミド);DMSO(ジメチルスルホキシド);EtOAc(酢酸エチル);CHCl3(クロロホルム);DMF(N,N-ジメチルホルムアミド);MeOH(メタノール);HCl(塩酸);LiOH(水酸化リチウム);MgSO4(硫酸マグネシウム);NaH(水素化ナトリウム);NaOH(水酸化ナトリウム)、NaHCO3(重炭酸ナトリウム);DIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン);TEA(トリエチルアミン);DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン);CDI(カルボニルジイミダゾール);TBTU(O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート);Me(メチル);Et(エチル);tBu(tert-ブチル);Boc(tert-ブトキシルカルボニル);Bn(ベンジル);TsO(トシレート);DIAD(ジイソプロピルアゾジカルボキシラート)、DEAD(ジエチルアゾジカルボキシラート)、PPh3(トリフェニルホスフィン)、PNBA(p-ニトロ安息香酸)及びPNB(p-ニトロベンゾイル)。
【0185】
下記の実施例の全てについて、当業者に公知の標準的な後処理及び精製方法を利用できる。特に明記しない限り、すべての温度は、℃(摂氏)で表現される。すべての反応は、特に明記しない限り、室温で行った。本明細書中に例示される合成方法論は、具体例を用いて適用できる化学を例証することを意図し、開示の範囲を示すものではない。
【0186】
(実施例1)
(化合物9の調製)
【化10】

1)4-(3,5-ジクロロフェニルチオ)-3-ニトロベンゾニトリルの調製 − 3,5-ジクロロチオフェノール(11.772 g, 65.74 mmol)を、THF(80 mL)に溶解し、氷浴下で冷却し、NaH (2.629 g, 109.56 mmol)を加えた。このようにして得られた反応混合物を5分間撹拌し、4-クロロ-3-ニトロベンゾニトリル(10.000 g, 54.78 mmol)を導入し、その後、さらに15分を撹拌し、室温に暖めた。3日後に、反応混合物を真空下で濃縮し、有機溶剤を除去した。得られた懸濁剤を濾過し、濾過した固体を水で洗浄し、生成物を黄色粉末として与えた。(17.200g、86.5%HPLC純度、96.6%の収率)。
【化11】

【0187】
2)4-(3,5-ジクロロフェニルチオ)-3-アミノベンゾニトリルの調製 − ヒドロ亜硫酸ナトリウム(35.000 g, 201.02 mmol)を、最小量の水(150mL)に溶解し、そこに、4-(3,5-ジクロロフェニルチオ)-3-ニトロベンゾニトリル(17.200 g, 52.90 mmol)のTHF(200mL)溶液を加えた。このようにして得られた反応混合物を加熱し、18時間、90℃を維持し、その後、揮発性物質を真空下で除去した。分離された固体を、吸引によって回収し、水ですすぎ、生成物を黄色粉末として与えた。(15.387g、HPLCによる純度93.3%、98.5%の収率)。
【化12】

【0188】
3)5-シアノ-2-(3,5-ジクロロフェニルチオ)ベンゼン-1-塩化スルホニルの調整 − 4-(3,5-ジクロロフェニルチオ)-3-アミノベンゾニトリル(8.000 g, 27.10 mmol)を、それぞれ50mLの水及び濃HClに懸濁化し、その後、氷浴下で冷却した。亜硝酸ナトリウム(5.610 g, 81.30 mmol)の50mL水溶液を、撹拌している酸懸濁液に滴下して加えた。このようにして得られた反応混合物を、氷浴下で、1時間撹拌した。別の容器において、酢酸(150mL)にSO2を1時間バブリングし、その後、それに塩化銅(II) (2.310 g, 13.55 mmol)を加えた。その後、塩化銅(II)溶液を10分間撹拌するとすぐに、溶液が青緑色に変わり、完全な飽和を示した。その青緑色の反応混合物を、氷浴下で冷却した。第1の反応混合物(ジアゾ溶液)を、第2の反応混合物(飽和酢酸)に、SO2をさらにバブリングしたまま滴下して加えた。SO2ガス供給源を除去し、このようにして得られた反応混合物を、ガス発生がなくなるまで1時間撹拌し、その後、溶液を、強く撹拌した氷水にゆっくり注いだ。その後、得られた懸濁液を濾過し、濾過した固体を水ですすぎ、生成物を黄色粉末として与えた。(6.850g、1H-NMRによる純度90%、66.8%の収率)。
【化13】

【0189】
4)化合物9の調製 ― 5-シアノ-2-(3,5-ジクロロフェニル-チオ)ベンゼン-1-塩化スルホニル(1.500 g, 3.96 mmol)の20 mL CH2Cl2溶液を、2-ピペラジノン(0.396 g, 3.96 mmol)及びトリエチルアミン(0.823 mL, 5.94 mmol)の5 mL CH2Cl2撹拌溶液に、0.200 mL/分の速度で滴下して加えた。このようにして得られた反応混合物を17時間撹拌すると、茶色溶液中に白色沈殿物が観察された。固体を濾過し、最小量のCH2Cl2で洗浄し、化合物9を白色粉末として得た。(1.071g、HPLCによる純度92.3%、61.2%の収率)。
【化14】

【0190】
(実施例2)
(化合物24の調製)
【化15】

1)2-クロロ-5-ニトロベンゼン-1-塩化スルホニルの調製 − 2-クロロ-5-ニトロアニリン(5.000 g, 28.97 mmol)の45mL酢酸溶液に、35mLのHClを加えた。得られた溶液を氷浴下で冷却し、そこに、撹拌しながら、亜硝酸ナトリウム(5.997 g, 86.91 mmol)の15mL水溶液を加えた。このようにして得られた反応混合物を、1時間、氷浴下で撹拌した。別の容器において、酢酸(40 mL)にSO2をバブリングした。30分後、塩化銅(II)(1.435 g, 14.49 mmol)を加え、溶液が濃い青緑色に変わり、完全な飽和を示した。その青緑色の反応混合物を、氷浴下で冷却した。第1の反応混合物(ジアゾ溶液)を、第2の反応混合物(飽和酢酸)に、SO2をさらにバブリングしたまま滴下して加えた。SO2ガス供給源を除去し、このようにして得られた反応混合物を、ガス発生がなくなるまで1時間撹拌し、その後、溶液を、強く撹拌した氷水にゆっくり注いだ。その後、得られた懸濁液を、氷が溶けるまで撹拌し、濾過し、ピンク色粉末を得た。その粉末を多量の水で洗浄し、生成物を淡ピンク色粉末として与えた。(4.902g、HPLCによる純度87.3%、66.2%の収率)。
【化16】

【0191】
2)4-(2-クロロ-5-ニトロフェニルスルホニル)チオモルホリンの調製 − 2-クロロ-5-ニトロベンゼン-1-塩化スルホニル(0.200 g, 0.78 mmol)の8 mL CH2Cl2溶液に、チオモルホリン(0.111 mL, 1.17 mmol)及びトリエチルアミン(0.162 mL, 1.17 mmol)を加えた。このようにして得られた反応混合物を、室温で18時間撹拌し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中、8%-->15%-->20%のEtOAc)を介して精製した。所望の生成物を含む画分を合わせて、真空下で濃縮し、その後、EtOAc及びヘキサンで粉末化した。その固体を濾過し、生成物を淡黄色粉末として得た。(0.139g、HPLCによる純度99.6%、55.2%の収率)。
【化17】

【0192】
3)化合物24の調製 − 3,5-ジクロロチオフェノール(0.047 g, 0.26 mmol)の8mL THF溶液を氷ベッドで冷却した。この溶液に、NaH(0.011 g, 0.44 mmol)を加えた。その後、溶液を5分間撹拌し、その後、4-(2-クロロ-5-ニトロフェニルスルホニル)チオモルホリン(0.0700 g, 0.22 mmol)を加えた。このようにして得られた反応混合物を10分間撹拌し、室温に暖め、その後、さらに18時間撹拌した。反応混合物を、真空下で濃縮し、EtOAc及びヘキサンで粉末化した。その固体を濾過し、生成物を、白色粉末として得た。(0.096g、HPLCによる純度97.1%、93.7%の収率)。
【化18】

【0193】
(実施例3)
(物理的特徴データ)
下記化合物を、化合物9及び24について上述した手順と類似する手順で調製した。
【0194】
化合物1 −
【化19】

【0195】
化合物2 −
【化20】

【0196】
化合物3 −
【化21】

【0197】
化合物4 −
【化22】

【0198】
化合物5 −
【化23】

【0199】
化合物6 −
【化24】

【0200】
化合物7 −
【化25】

【0201】
化合物8 −
【化26】

【0202】
化合物10 −
【化27】

【0203】
化合物11 −
【化28】

【0204】
化合物12 −
【化29】

【0205】
化合物13 −
【化30】

【0206】
化合物14 −
【化31】

【0207】
化合物15 −
【化32】

【0208】
化合物16 −
【化33】

【0209】
化合物17 −
【化34】

【0210】
化合物18 −
【化35】

【0211】
化合物19 −
【化36】

【0212】
化合物20 −
【化37】

【0213】
化合物21 −
【化38】

【0214】
化合物22 −
【化39】

【0215】
化合物23 −
【化40】

【0216】
化合物25 −
【化41】

【0217】
化合物26 −
【化42】

【0218】
化合物27 −
【化43】

【0219】
化合物30 −
【化44】

【0220】
化合物31 −
【化45】

【0221】
化合物32 −
【化46】

【0222】
(実施例4)
(CCR3レセプター結合アッセイ)
細胞をPBSで一度洗浄し、結合バッファー(25mM HEPES pH 7.6、5mM MgCl2、1mM CaCl2、0.5% BSA、0.1% NaN3)に再懸濁した。100mLの細胞懸濁液(2x105細胞/ウェル)及び0.1nM[125I]-標識化ヒトエオタキシン/CCL11(2000Ci/mmol比活性)を、96ウェルU-型ポリプロピレンプレートに混合し、結合反応のために室温で、60分間インキュベートした。その後、細胞懸濁液を濾過プレート(#MAFB、Millipore)に移し、0.5M NaClを含む結合バッファーで3回洗浄し、シンチラント(scintillant)を加え、放射能活性をTopCount(Packard)で計数した。非特異的結合の決定のために、細胞懸濁液及び[125I]-標識化ヒトエオタキシン/CCL11を、500nMの未標識ヒトエオタキシン/CCL11の存在下でインキュベートした。Iinoらの文献, 「カニクイザルのCCケモカインレセプターCCR3の分子クローニング及び機能特性(Molecu1ar cloning and functional characterization of cynomolgus monkey (Macaca fascicularis) CC chemokine receptor, CCR3)」 Cytokine 2002, 19, 276-286を参照されたい。
【0223】
生物学的結果を表1にまとめた。Aは50nM以下の値を表す;Bは50nMよりも大きく500nM以下の値を表す;Cは500nMよりも大きく5μM以下の値を表す;Dは5μMより大きい値を表す。
【表1】

【0224】
記載される実施例は、当業者に完全な開示及び請求項の実施態様の製造及び使用方法の説明を与えるように提供され、本明細書中に開示されたものの範囲に制限されることを意図しない。従来技術において、当業者にとって自明である変更態様は、以下の特許請求の範囲内であることを意図する。本明細書中に引用された全ての刊行物、特許又は特許出願は、各刊行物、特許又は特許出願が引用により本明細書中に取り込まれることを具体的に及び個々に示したように、本明細書中に引用により取り込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iaの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体:
【化1】

(式中、
XはS、SO又はSO2であり;
Y及びZは、
(i) Yは、NR5であり;Zは、=O、CO2R6又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;又は
(ii) Yは、CH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2であり;Zは、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R1及びR2は、独立に、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルであり;
R3は、CN又はNO2であり;
R4は、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R5は、水素又はC1-6アルキルであり;
R6は、水素又はC1-6アルキルである。)。
【請求項2】
式Iの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体:
【化2】

(式中、
Xは、S、SO又はSO2であり;
Y及びZは、
(i) Yは、NR5であり;Zは、=O、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;又は
(ii) Yは、CH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2であり;Zは、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R1及びR2は、独立に、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルであり;
R3は、CN又はNO2であり;
R4は、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R5は、水素又はC1-6アルキルである。
【請求項3】
XがSである、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
R3がCNである、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項5】
R3がNO2である、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項6】
式IIの化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体若しくは互変異性体:
【化3】

(式中、
Y及びZは、
(i) YはNR5であり;Zは、=O、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;又は
(ii) Yは、CH2、CHF、CHCH3、O、S又はSO2であり;Zは、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R1及びR2は、独立に、ハロゲン、C1-6アルキル又はC1-6ハロアルキルであり;
R4は、水素、又はアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであり;
R5は、水素又はC1-6アルキルであり;
但し、YがCH2であるときに、Z及びR4の少なくとも1つが、アリール、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、カルバモイル若しくはハロによって任意に置換されるC1-6アルキルであることを条件とする。)。
【請求項7】
YがNR5である、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
R5がHである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
Zが=Oである、請求項7又は8記載の化合物。
【請求項10】
ZがCH3である、請求項7又は8記載の化合物。
【請求項11】
YがCH2である、請求項6記載の化合物。
【請求項12】
YがCHFである、請求項6記載の化合物。
【請求項13】
YがCHCH3である、請求項6記載の化合物。
【請求項14】
YがOである、請求項6記載の化合物。
【請求項15】
YがSである、請求項6記載の化合物。
【請求項16】
YがSO2である、請求項6記載の化合物。
【請求項17】
ZがHである、請求項12〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項18】
ZがCH3である、請求項11〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項19】
R1及びR2がClである、請求項6〜18のいずれか一項記載の化合物。
【請求項20】
R1及びR2がCH3である、請求項6〜18のいずれか一項記載の化合物。
【請求項21】
R1及びR2がCF3である、請求項6〜18のいずれか一項記載の化合物。
【請求項22】
R4がHである、請求項6〜21のいずれか一項記載の化合物。
【請求項23】
以下からなる群から選択される化合物:
【化4】




又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体又は互変異性体。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか一項記載の化合物、及び1以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項25】
対象に、治療的有効量の請求項1〜23のいずれか一項記載の化合物又は請求項24記載の組成物を投与することを含む、対象のCCR3媒介障害、疾患又は状態の1つ以上の症状を治療、予防又は改善する方法。
【請求項26】
前記障害又は疾患が、炎症性又は免疫調節性障害又は疾患である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記障害又は疾患が、喘息、鼻炎、アレルギー疾患又は自己免疫病態である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記障害又は疾患が、HIV、肺肉芽腫又はアルツハイマー病である、請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記化合物又は組成物が、経口、非経口、又は局所的に投与される、請求項25〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
前記化合物又は組成物が、第2の治療薬と組合わせて投与される、請求項25〜29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
CCR3レセプターを、請求項1〜23のいずれか一項記載の化合物、又は請求項24記載の組成物と接触させることを含む、CCR3活性を調節する方法。

【公表番号】特表2012−524790(P2012−524790A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507333(P2012−507333)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/031832
【国際公開番号】WO2010/123959
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(509231145)アクシキン ファーマシューティカルズ インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】