説明

2,6−ジ置換スチリルを有する含窒素ヘテロ環誘導体

本発明によって、新規な2,6−ジ置換スチリルを有する含窒素ヘテロ環誘導体又はその製薬学的に許容される塩及びこの含窒素ヘテロ環誘導体又はその製薬学的に許容される塩と製薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物、特に神経因性疼痛に対し鎮痛効果が高く、副作用の軽減されたナトリウムチャネル阻害薬用医薬組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、新規な2,6−ジ置換スチリルを有する含窒素ヘテロ環誘導体又はその製薬学的に許容される塩に関する。さらに本発明は、新規な2,6−ジ置換スチリルを有する含窒素ヘテロ環誘導体と製薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物、特に神経因性疼痛に対し鎮痛効果を有するナトリウムチャネル阻害薬用医薬組成物に関する。
【背景技術】
電位依存性ナトリウムチャネルは神経の活動電位の発生及び伝播を司っているタンパクである。電位依存性ナトリウムチャネルは共通構造として6回膜貫通のドメインが4つ繰り返された大きなαサブユニット、及び2つの小さなβサブユニットを有する。主なチャネル機能はαサブユニットが担っている。現在までに10種以上のαサブユニットのサブタイプが存在することが知られている(Goldin AL,Annals of the New York Academy of Sciences 868:38−50,1999)。それぞれの電位依存性ナトリウムチャネルサブタイプは中枢及び末梢神経組織において異なる分布を示す。それらは神経の興奮性を調節し、各組織の生理機能調節に重要な役割を果たす。また様々な病態にも深く関わることが示唆されている(Goldin AL,Annual Review of Physiology 63:871−894,2001)。
近年、電位依存性ナトリウムチャネルは疼痛の神経伝達に深く関与することが明らかになり、ナトリウムチャネル阻害薬は優れた疼痛治療薬、特に神経因性疼痛治療薬となることが期待されている(Taylor CP,Current Pharmaceutical Design 2:375−388,1996)。
神経因性疼痛とは、末梢又は中枢神経機能異常による疼痛を意味し、糖尿病性神経障害の疼痛、癌性疼痛、三叉神経痛、幻肢痛、帯状疱疹後疼痛、視床痛等が挙げられる。神経因性疼痛の臨床像は、締め付けるような痛み、焼き付けるような痛み、痛覚過敏、異痛症(アロディニア)等である。
医療現場において、疼痛緩和の目的には非ステロイド抗炎症薬、モルヒネ等の麻薬性鎮痛薬等が使用され、さらに近年、ナトリウムチャネル阻害薬である抗不整脈薬及び抗痙攣薬も、疼痛緩和の目的に使用されるようになった。
非ステロイド抗炎症薬は、鎮痛効果は完全に満足されておらず、さらに胃腸障害、腎臓障害等の副作用の問題を有する。モルヒネ等の麻薬性鎮痛薬は主に侵害受容性疼痛に対する効果は高いが、消化器系、呼吸器系、中枢神経系への作用の問題が大きい。また一般的にこれらの薬剤は、神経因性疼痛に対して効果が弱い。
既存のナトリウムチャネル阻害薬である、リドカイン、メキシレチン等の抗不整脈薬、カルバマゼピン等の抗痙攣薬も疼痛緩和に利用されるようになってきた。メキシレチンは、糖尿病性神経因性疼痛薬として承認され、市販されている。しかしながら、これらのナトリウムチャネル阻害薬には痙攣、眠気等の中枢性作用又は徐脈等の末梢性作用があるため、充分な増量が難しく、その結果充分な鎮痛効果が得られない問題点があった。
以上のように、神経因性疼痛の治療に有用な効果を有し、かつ安全性にも優れた鎮痛薬は未だ見出されていない。従って、特に神経因性疼痛に対し鎮痛効果が高く、副作用の軽減された新規ナトリウムチャネル阻害薬が求められている。
上記リドカイン、メキシレチン、カルバマゼピン等が報告されているが、これらはスチリル基を有する含窒素ヘテロ環誘導体ではない。
ナトリウムチャネル阻害活性を有する1−ピリジルアルキルピペリジンを基本骨格とする誘導体が開示され(特許文献1)、この文献中にはピペリジン環上に置換基として2−シクロヘキシルメチルオキシ−6−フルオロフェニルエテニルを有する化合物が記載されている。
また、1−芳香族複素環式基−アルキルピペリジン環上に置換基として2位又は3位に、ハロゲン又はシクロヘキシルメチルオキシを有するモノ置換フェニルエテニルを有する化合物が記載されている(特許文献2)。
一方、ナトリウム阻害薬ではなくメタボトロピックグルタメート受容体(mGluR)阻害薬、mGluR阻害作用に基づく種々の疾患の治療薬の一つである鎮痛薬としての化合物が開示されている(特許文献3〜6)。具体的にはスチリル基を有する2−ピリジン化合物(特許文献3)、スチリル基を有するチアゾール、オキサゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、2−オキソ−1,3,4−オキサチアゾール、2H−テトラゾール、2−ピリジン、ピリジニウム、ピラジン、インドリニウム、ベンゾチオフェン、ベンゾチアゾニウム、キノリン、又はキノリウム化合物(特許文献4)、スチリル基を有するイミダゾール化合物(特許文献5)、スチリル基を有するイミダゾール、1,2,4−トリアゾール、又は2H−テトラゾール化合物(特許文献6)が記載されているが、これら化合物はスチリル基を有する不飽和ヘテロ環化合物である。
さらに、NMDA/NR2B拮抗作用に基づくベンジル又はフェニルメチレンを有するピペリジン化合物が開示されている(特許文献7)。
一方、基の組み合わせによってスチリル基を有する含窒素ヘテロ環誘導体が含まれるものが開示されているが(特許文献8及び9)、その中で具体的に記載されている化合物は、フェニル基と含窒素ヘテロ環とが、−O−低級アルキレン−(特許文献3)、−S−低級アルキレン−又は−低級アルキレン−C(O)O−(特許文献4)で結合した化合物のみであり、スチリル基を有する含窒素ヘテロ環誘導体については具体的に開示も示唆もされていない。さらに、その用途はカルシウムチャンネル アンタゴニスト(特許文献8)又はアセチルコリン放出促進(特許文献9)であり、ナトリウムチャネル阻害活性又は鎮痛作用については開示も示唆もされていない。
【特許文献1】 欧州特許公開第1254904号公報
【特許文献2】 国際公開第WO03/84948号パンフレット
【特許文献3】 国際公開第WO99/02497号パンフレット
【特許文献4】 国際公開第WO01/16121号パンフレット
【特許文献5】 国際公開第WO02/46166号パンフレット
【特許文献6】 国際公開第WO99/08678号パンフレット
【特許文献7】 国際公開第WO01/32615号パンフレット
【特許文献8】 国際公開第WO94/13291号パンフレット
【特許文献9】 国際公開第WO97/19059号パンフレット
【発明の開示】
本発明の目的は、新規な2,6−ジ置換スチリルを有する含窒素ヘテロ環誘導体又はその製薬学的に許容される塩を提供することにある。
さらに本発明の目的は、この含窒素ヘテロ環誘導体又はその製薬学的に許容される塩と製薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物、特に神経因性疼痛に対し鎮痛効果が高いナトリウムチャネル阻害薬用医薬組成物を提供することにある。
本発明者らは上記の目的を達成すべく、含窒素ヘテロ環誘導体に関し鋭意研究を行った結果、2,6−ジ置換スチリル含窒素ヘテロ環を基本骨格とする誘導体又はその製薬学的に許容される塩が、ナトリウムチャネルに対する強い阻害活性を有し、さらに病態動物モデルであるストレプトゾトシン誘発糖尿病性神経障害マウスに対して作用を有することを見出し神経因性疼痛薬として有用な本発明を完成させた。
即ち、本発明は下記式(I)で示される、含窒素ヘテロ環誘導体又はその製薬学的に許容される塩に関する。本発明の含窒素ヘテロ環誘導体は、必ずオルト位に2つの置換基を有するスチリル基、即ち2,6−ジ置換スチリル基及び含窒素ヘテロ環基からなることを特徴とする。
このスチリル基は、更に置換基を有することができる。含窒素ヘテロ環誘導体のうち、飽和の含窒素ヘテロ環誘導体が好適である。
具体的には、本発明によって、以下の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩、これらの化合物と製薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物、これらの化合物の使用、ナトリウムチャネルに起因する疾患の治療方法、神経因性疼痛の治療方法、並びに糖尿病性神経障害の疼痛の治療方法が提供される。
〔1〕下記式(I)で示される含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。

(前記式(I)中の記号は以下の意味を示す。
及びR:同一又は異なって、H−、置換されていてもよい低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アシル、HO−CO−、低級アルキル−O−CO−、HN−CO−、低級アルキル−HN−CO−、(低級アルキル)N−CO−、HO−、低級アルキル−O−、アリール−O−、アシル−O−、HN−、低級アルキル−HN−、(低級アルキル)N−、アシル−NH−、ハロゲン、ニトロ、ヘテロ環基又はシアノ
及びR:同一又は異なって、置換されていてもよい低級アルキル、シクロアルキル、アシル、HO−CO−、低級アルキル−O−CO−、HN−CO−、低級アルキル−HN−CO−、(低級アルキル)N−CO−、HO−、低級アルキル−O−、アシル−O−、HN−、低級アルキル−HN−、(低級アルキル)N−、アシル−NH−、ハロゲン、ニトロ、又はシアノ
及びR:同一又は異なって、H−、低級アルキル、又はハロゲン
及びR:同一又は異なって、H−、低級アルキル、HO−、低級アルキル−O−、又はハロゲン
さらに、R及びRは一体となってオキソ(O=)を形成することができる。
:H−、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアシル、低級アルキル−C(=NH)−、HO−CO−、置換されていてもよい低級アルキル−O−CO−、HN−CO−、置換されていてもよい低級アルキル−HN−CO−、(置換されていてもよい低級アルキル)N−CO−、HNC(=NH)−、HNC(=NCN)−、HNC(=N−CONH)−、HNC(=NS(=O)NH)−、置換されていてもよい低級アルキル−SO−又は置換されていてもよいヘテロ環基−SO
10、R11、R12及びR13:同一又は異なって、H−、又は低級アルキル、さらに、R10、R11、R12及びR13のうちいずれか2つの基は、一体となってオキソ(O=)を形成することができる。
A:含窒素飽和ヘテロ環基、キノリル又はピリジン−4−イル
但し、上記式中のAがキノリル又はピリジン−4−イルの場合Rは存在しない。
n:0、1、又は2)
〔2〕前記式(I)中の記号Aの含窒素飽和ヘテロ環基が含窒素飽和単環ヘテロ環基又は含窒素飽和架橋環である前記〔1〕に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
〔3〕前記式(I)中の記号Aの含窒素飽和ヘテロ環基が含窒素飽和単環ヘテロ環基である前記〔2〕に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
〔4〕前記式(I)中の記号Aの含窒素飽和ヘテロ環基が6員含窒素飽和単環ヘテロ環基である前記〔3〕に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。前記〔1〕〜〔4〕に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩においては、前記式(I)中の記号Aの含窒素飽和ヘテロ環は、ピペリジンであることがさらに好ましい。
〔5〕前記式(I)中の記号R及びRが同一又は異なって、H−、低級アルキル、HO−、低級アルキル−O−、又はハロゲンである前記〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
〔6〕前記式(I)中の記号nが0である前記〔1〕〜〔5〕の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
〔7〕前記式(I)中の記号RがHである前記〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
〔8〕前記式(I)中の記号Rが置換されていてもよい低級アルキルである前記〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
〔9〕前記式(I)中の記号Rの置換されていてもよい低級アルキルにおける置換基が、下記a群から選ばれる少なくとも一の置換基である、前記〔8〕に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
a群:(1)ハロゲン;(2)HO;(3)低級アルキル−O−;(4)HN;(5)低級アルキル−NH−;(6)(低級アルキル)N−;(7)アリール;(8)ヘテロ環基、このヘテロ環基は好ましくは単環式ヘテロ環基である。
〔10〕前記式(I)中の記号Rが置換されていてもよいアシルである前記〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
〔11〕前記式(I)中の記号Rの置換されていてもよいアシルが、置換されていてもよい低級アルキル−CO−、置換されていてもよいシクロアルキル−CO−、置換されていてもよいアリール−CO−、置換されていてもよいヘテロ環基−CO−又は置換されていてもよいヘテロ環基−低級アルキル−CO−である前記〔10〕に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
〔12〕前記式(I)中の記号Rの置換されていてもよいアシルにおける置換基が、下記b群から選ばれる少なくとも一の置換基である前記〔10〕又は〔11〕に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
b群:(1)HO;(2)低級アルキル−O−;(3)R101102N(R101及びR102:同一又は異なって(i)H、(ii)HO、低級アルキル−O−、NH、HN−CO−、アシル−NH−、低級アルキル−NH−、シクロアルキル、HO−シクロアルキル、ヘテロ環基、(低級アルキル)N−で置換されていてもよい低級アルキル、(iii)アシル、(iv)低級アルキル−O−CO−、(v)ヘテロ環基、(vi)ハロゲンで置換されていてもよいアリール);(4)ハロゲン;(5)オキソ(O=);(6)R101102Nで置換されていてもよいシクロアルキル;(7)アリール;(8)ヘテロ環基;(9)HO、低級アルキル−O−、アリール、アシル、ヘテロ環基で置換されていてもよい低級アルキル;(10)オキソ(O=)で置換されていてもよいアシル;(11)HN−CO−;(12)低級アルキル−SO−;(13)ヘテロ環基−SO
〔13〕前記式(1)中の記号RがHO−OC−、置換されていてもよい低級アルキル−O−CO−、HN−CO−、置換されていてもよい低級アルキル−NH−CO−、(置換されていてもよい低級アルキル)N−CO−又は置換されていてもよい低級アルキル−SO−である前記〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。前記〔1〕〜〔13〕の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩においては、前記式(I)中の記号R及びRは、低級アルキルであることがさらに好ましく、このR及びRはメチル基であることが特に好ましい。
〔14〕下記化合物群から選ばれる少なくとも一種の化合物である前記〔1〕に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]キヌクリジン、4−[(E)−2−(2−クロロ−6−メチルフェニル)ビニル]ピペリジン、4−[(Z)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン、3,5−ジメチル−4−[(E)−2−ピペリジン−4−イルビニル]ベンゾニトリル、N,N,3,5−テトラメチル−4−[(E)−2−ピペリジン−4−イルビニル]アニリン、2−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]アゼパン、4−[(2E)−3−(2,6−ジメチルフェニル)プロパ−2−エン−1−イル]ピペリジン、3−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−メチルピペリジン、1−ベンジル−4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン、(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}エチル)ジメチルアミン、5−({4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}カルボニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3−アミン、4−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチル−4−フェノキシフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)モルホリン、4−(2−{2−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)モルホリン、1−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−4−(ピリジン−3−イルカルボニル)ピペラジン、(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピベリジン−1−イル}−1,1−ジメチル−2−オキソエチル)アミン、[1−({4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}カルボニル)シクロブチル]アミン、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−[(2S)−ピロリジン−2−イルカルボニル]ピペリジン、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−(1H−イミダゾール−1−イルアセチル)ピペリジン、N−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)オキセタン−3−アミン、N−{2−[(2−[4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)アミノ]エチル}アセトアミド、2−[(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)アミノ]エタノール、1−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)ピペリジン−2−カルボキサミド、1−(2−{4−(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−3,5−ジメチルピペリジン、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−[(4−ピロリジン−1−イルピペリジン−1−イル)アセチル]ピペリジン、4−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)モルホリン、[4−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)モルホリン−2−イル]メタノール、4−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−1,4−オキサゼパン、1−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)ピペリジン−4−アミン、1−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)ピペラジン、(1R,4R)−2−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、及び(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ビペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)メチル[(3R)−テトラヒドロフラン−3−イル]アミン
〔15〕前記〔1〕〜〔14〕の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩と製薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物。
〔16〕ナトリウムチャネル阻害剤である前記〔15〕に記載の医薬組成物。
〔17〕神経因性疼痛治療薬である前記〔15〕又は〔16〕に記載の医薬組成物。
〔18〕糖尿病性神経障害の疼痛治療薬である前記〔17〕に記載の医薬組成物。
〔19〕医薬組成物の製造のための前記〔1〕〜〔14〕の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩の使用。
〔20〕神経因性疼痛治療薬の製造のための前記〔19〕に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩の使用。
〔21〕糖尿病性神経障害の疼痛治療薬の製造のための前記〔20〕に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩の使用。
〔22〕前記〔1〕〜〔12〕の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩の治療有効量を患者に投与することを含む、ナトリウムチャネルに起因する疾患の治療方法。
〔23〕前記〔22〕に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩の治療有効量を患者に投与することを含む、神経因性疼痛の治療方法。
〔24〕前記〔23〕に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩の治療有効量を患者に投与することを含む、糖尿病性神経障害の疼痛の治療方法。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の前記式(I)で示される化合物(以下、「本発明化合物(I)」ということがある)につき詳細に説明する。
[定義等]
本明細書の構造式の定義において、特に断わらない限り「低級」なる用語は炭素数が1〜6個の直鎖又は分岐状の炭素鎖を意味する。
「低級アルキル」とは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等であり、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチルである。
「低級アルケニル」とは、少なくとも一の二重結合を有する炭化水素基を意味し、例えば、ビニル、プロペニル、アリル、イソプロペニル、ヘキセニル等である。
「低級アルキニル」とは、少なくとも一の三重結合を有する炭化水素基を意味し、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル等である。
「シクロアルキル」とは、炭素数が3〜14個の1〜3環系脂肪族飽和炭化水素環基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロヘプチル、ビシクロオクチル、ビシクロノニル、ビシクロデカニル、トリシクロノニル、トリシクロデカニル、トリシクロウンデカニル、トリシクロドデカニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル等が挙げられ、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルである。
「アリール」とは、炭素数が6〜14個の1〜3環系芳香族炭化水素環基を意味し、さらに、フェニルにシクロアルキルが縮合していてもよい。例えば、フェニル、インデニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インダニル、テトラヒドロナフチル等が挙げられ、好ましくは、フェニル、ナフチルである。
「ヘテロ環基」とは、N、S及びOから選択されるヘテロ原子を1〜4個含有する4〜16員の、単環式、2環式又は3環式の飽和又は不飽和環である。このヘテロ環基は架橋又はスピロを有していてもよい。不飽和環には芳香性の環(ヘテロアリール)や非芳香性の環を含む。単環式としては、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、1,3−ジオキソラニル、テトラヒドロ−2H−ピラニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,4−オキサゼパニル、トリチアニル、ジオキソラニル、フリル、チエニル、ピロリル、2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラヒドロピラニル、オキサジアゾリルが、二環式としては、インドリニル、イソインドリニル、3、4−メチレンジオキシフェニル、3、4−エチレンジオキシフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、2,3−ジヒドロインドリル、キノリル、イソキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、デカヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル、デカヒドロイソキノリル、キノキサリニル等が、3環式としては、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル等が挙げられる。架橋ヘテロ環基としては、キヌクリジニル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル等が挙げられる。スピロ式ヘテロ環基としては、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカニル等が挙げられる。
「含窒素ヘテロアリール」とは、上記ヘテロ環基のうち窒素原子を1〜3個有する、4員〜10員芳香性の1〜2環系含窒素ヘテロアリールを意味し、例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジル、トリアジル、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、キノリル、イソキノリル、キノキサリル等が挙げられ、好ましくは、イミダゾリル、ピリジル、キノリルである。
「含窒素飽和ヘテロ環基」とは、上記ヘテロ環基のうち窒素原子を1〜3個有する、3員〜10員の1〜2環系含窒素ヘテロシクロアルキルを意味し、例えば、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリニル、ヘキサヒドロアゼピニル、1,4−ジアゼピニル、1,4−オキサゼピニル、キヌクリジニル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザビシクロオクチル(例えば、アザビシクロ[3.2.1]オクチル)、ジアザビシクロオクチル、アザビシクロノニル、アザビシクロデカニル、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカニル等が挙げられ、好ましくは、ピロリジル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリニル、ヘキサヒドロアゼピニル、1,4−ジアゼピニル、1,4−オキサゼピニル、キヌクリジニル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザビシクロ[3.2.1]オクチルである。
「含窒素ヘテロ環基」とは、上記含窒素ヘテロアリール、上記含窒素飽和ヘテロ環基、又は含窒素ヘテロアリールと含窒素ヘテロシクロアルキルとが縮合した基を意味し、好ましくは、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ヘキサヒドロアゼピニル、アザビシクロ[3.2.1]オクチル、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカニル、イミダゾリル、ピリジル、キノリルである。
「アシル」とは、HCO−、低級アルキル−CO−、低級アルケニル−CO−、シクロアルキル−CO−、アリール−CO−、ヘテロ環基−CO−、ヘテロ環基−低級アルキル−CO−、ヘテロ環基−低級アルケニル−CO−、ヘテロ環基−低級アルキニル−CO−、低級アルキル−CS−、低級アルケニル−CS−、シクロアルキル−CS−、アリール−CS−、ヘテロ環基−CS−、ヘテロ環基−低級アルキル−CS−、ヘテロ環基−低級アルケニル−CS−、ヘテロ環基−低級アルキニル−CS−が挙げられる。好ましくは、低級アルキル−CO−、シクロアルキル−CO−、アリール−CO−、ヘテロ環基−CO−、ヘテロ環基−低級アルキル−CO−である。このヘテロ環基−CO−は単環式ヘテロ環基−CO−がさらに好ましい。具体的にはHCO−、アセチル、プロピオニル、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、アゼチジン−2−イルカルボニル、2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イルメチルカルボニル、ピロリジン−2−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルメチルカルボニル、ピペリジン−2−イルカルボニル、ピペリジン−3−イルカルボニル、ピペリジン−4−イルカルボニル、モルホリン−2−イルカルボニル、モルホリン−3−イルカルボニル、モルホリン−4−イルメチルカルボニル、1,4−オキサゼパン−4−イル−カルボニル、1,4−オキサゼパン−4−イル−メチルカルボニル、ピペリジン−1−イルメチルカルボニル、ベンゾイル、イミダゾール−4−イルカルボニル、イミダゾール−1−イルメチルカルボニル、1,2,4−トリアゾール−2−イルカルボニル、ピリジン−2−イルカルボニル、ニコチノイル、ピリジン−2−イルメチルカルボニル、イソニコチノイル、ベンズイミダゾール−5−イルカルボニル、テノイル、ピロリジニルカルボニル、ピペリジニルカルボニル、2,5−ジアザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−1−イルメチルカルボニル等である。
「ハロゲン」としては、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードが挙げられ、好ましくは、フルオロ、クロロである。
「置換されていてもよい低級アルキル」、「置換されていてもよいシクロアルキル」における置換基としては、a群から選ばれる少なくとも一の基が、また、「置換されていてもよいアシル」、「置換されていてもよい低級アルキル−SO−」、「置換されていてもよいヘテロ環基−SO−」における置換基としては、b群から選ばれる少なくとも一の置換基が挙げられる。
a群:(1)ハロゲン;(2)HO;(3)低級アルキル−O−;(4)HN;(5)低級アルキル−NH−;(6)(低級アルキル)N−;(7)アリール;(8)ヘテロ環基、このヘテロ環基は好ましくは単環式ヘテロ環基である。
b群:(1)HO;(2)低級アルキル−O−;(3)R101102N(R101及びR102:同一又は異なって(i)H、(ii)HO、低級アルキル−O−、NH、HN−CO−、アシル−NH−、低級アルキル−NH−、シクロアルキル、HO−シクロアルキル、ヘテロ環基、又は(低級アルキル)N−で置換されていてもよい低級アルキル、(iii)アシル、(iv)低級アルキル−O−CO−、(v)ヘテロ環基、(vi)ハロゲンで置換されていてもよいアリール);(4)ハロゲン;(5)オキソ(O=);(6)R101102Nで置換されていてもよいシクロアルキル;(7)アリール;(8)ヘテロ環基;(9)HO、低級アルキル−O−、アリール、アシル、ヘテロ環基で置換されていてもよい低級アルキル;(10)オキソ(O=)で置換されていてもよいアシル;(11)HN−CO−;(12)低級アルキル−SO−;(13)ヘテロ環基−SO
本発明化合物(I)は、置換基の種類によっては光学異性体(光学活性体、ジアステレオマー等)又は幾何異性体が存在する。従って本発明化合物(I)には、これらの光学異性体又は幾何異性体の混合物や単離されたものも含まれる。
また、本発明化合物(I)は酸付加塩又は塩基との塩を形成することができる。例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマール酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩;ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基や、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩を挙げることができる。さらに、本発明化合物(I)又はその製薬学的に許容されるその塩は水和物、エタノール等の溶媒和物や結晶多形を形成することができる。
さらに、本発明化合物(I)には、生体内において代謝されて本発明化合物(I)又はその製薬学的に許容される塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて含まれる。本発明化合物(I)のプロドラッグを形成する基としては、Prog.Med.5:2157−2161(1985)に記載されている基や、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163〜198頁に記載されている基が挙げられる。具体的には、加水分解、加溶媒分解により、又は生理学的条件の下で本発明における1級アミン又は2級アミン、HO−、HO−CO−等に変換できる基であり、HO−のプロドラッグとしては、例えば、置換されてもよい低級アルキル−COO−、置換されてもよいアリール−CO−O−、RO−CO−置換されてもよい低級アルキレン−CO−O−(RはH−又は低級アルキルを示す。以下同様)、RO−CO−置換されてもよい低級アルケニレン−CO−O−、RO−CO−低級アルキレン−O−低級アルキレン−CO−O−、RO−CO−CO−O−、ROS(=O)−置換されてもよい低級アルケニレン−CO−O−、フタリジル−O−、5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オン−4−イル−メチルオキシ等が挙げられる。
[製造法]
本発明化合物(I)は、その基本骨格或いは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の合成法を適用して製造することができる。以下にその代表的な製造法について説明する。
第1製法

(上記反応式中、A、R〜R13及びnは、前記の意味を示す。以下同様。)
本発明化合物(Ia)は、常法によるホスホニウム塩(II)とアルデヒド又はケトン(III)のWittig反応(Org.React.,14,270−490(1965))により得ることができる。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン等の本反応に不活性な溶媒を用いることができる。塩基としては、水素化ナトリウム、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムエドキシド、リチウムジイソプロピルアミド等を用いることができ、冷却下(例えば、−70℃)から加熱下で行うことができる。
第2製法

本発明化合物(Ib)は、常法によるアルデヒド(IV)とケトン(V)のアルドール縮合(Org.React.,16,1−438(1968))により得ることができる。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン等の本反応に不活性な溶媒を用いることができる。塩基性条件下反応行う場合の塩基としては、水素化ナトリウム、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド等を用いることができる。酸性条件下反応行う場合の酸としては、塩酸、トリフルオロ酢酸、トシル酸、三フッ化ボロン、三塩化アルミニウム、四塩化チタン等を用いることができ、冷却下(例えば、−70℃)から加熱下で行うことができる。
第3製法

(上記反応式中、Mは、Li、MgCl等を示す。以下同様。)
本発明化合物(Ic)は、常法によるアリールリチウム、アリールグリニアール等のアリール金属とカルボニル化合物との反応(Org.Synth.III,200(1955);Org.React.,6,339−366(1964);Org.React.,8,258−304(1967))により得ることができる。反応溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、トルエン等の本反応に不活性な溶媒を用いることができ、冷却下(例えば、−70℃)から加熱下で行うことができる。
また、本発明化合物(I)は、上記以外の例えば、Peterson反応(Org.React.,38,1−223(1990))、3重結合を形成後部分還元(J.Am.Chem.Soc.,77,3378(1955);J.Am.Chem.Soc.,99,2805(1977);Synthesis,1973,457;Tetrahedron 30,3817(1974))等により得ることもできる。
第4製法(アルキル化)

(上記反応式中、R9aは、H以外のRを意味する。Xはハロゲン、メタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ等の脱離基を意味する。以下同様。)
本製法は、アルキル化反応である。具体的に、例えば、上記製法のように、アミン(Id)とその反応対応量の脱離基を有する化合物(VIII)とを,反応に不活性な溶媒中、等量又は一方を過剰量用いて、冷却下から加熱下攪拌しながら行われる。塩基(例えば、炭酸カリウム,炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等の無機塩基;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基;カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド;水素化ナトリウム;水素化リチウム等)、添加剤(ヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等)の存在下に反応させるのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。
上述の反応に不活性な溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
第5製法

(上記反応式中、R9b−CO−は、置換されていてもよいアシルを意味する。Xは、OH;ハロゲン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール−1−イルオキシ、メトキシ、フェノキシ、アジド等の脱離基、又は混合酸無水物若しくは対称酸無水物の脱離部位を意味する。以下同様。)
本製法は、アミド化反応である。具体的に、例えば、上記製法のように、アミン(1d)とその反応対応量のカルボン酸又はその反応性誘導体(IX)とを反応させることにより行うことができる。例えば、M.Bodanszky著「Peptide Chemistry」(1988年,p55−73)、泉屋信夫ら「ペプチド合成の基礎と実験」(1985年,p89−142)等に記載の方法が挙げられる。
具体的には,本反応は、通常使用される縮合試薬(ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)等)を用いる方法;クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチルを用いる混合酸無水物法;エトキシアセチレン、tert−ブチルエチニルジメチルアミン等のアルキニルアミンを用いた対称酸無水物法により行うのが好ましい。所望により、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等の触媒を用いてもよい。カルボン酸をチオニルクロリド、オキサリルクロリド、オキシ塩化リン等のハロゲン化試剤により酸ハロゲン化物の如く反応性誘導体とした後、1級又は2級アミンと反応させることも可能である。反応は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン等の本反応に不活性な溶媒中、必要により塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基)の存在下、冷却下から加熱下攪拌しながら行われる。
第6製法

(上記反応式中、R9Cは、R中1炭素少ない置換されていてもよい低級アルキル基を意味する。以下同様。)
本製法は、還元的アミノ化反応である。
具体的に、例えば、上記製法のように、アミン(1d)とアルデヒド又はケトン(X)とを還元的アミノ化の常法に従って反応させることにより行うことができる。例えば、日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版,20巻,1992年,300頁)等に記載の方法が挙げられる。
具体的にはアミンとその反応対応量のアルデヒド又はケトンとをテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン等の本反応に不活性な溶媒中水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ギ酸等の還元剤を加え冷却下から加熱下攪拌することで得られる。酸(例えば、チタニウムテトライソプロポキシド等のルイス酸;酢酸;p−トルエンスルホン酸等)の存在下に反応させるのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。上述の還元については水素雰囲気下或いはギ酸アンモニウム等の水素供与剤存在下、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等の金属触媒を用いて前記の反応に不活性な溶媒中接触還元することによっても行われる。
還元剤の添加時期は1級又は2級アミンとアルデヒド又はケトンの混合直後に入れても、時間をおいて入れてもよい。
以上、代表的な化合物の製造法を示した。更に、前述の反応式中の本発明化合物又は原料化合物以外に同様な置換基を有する化合物を上述の製造法に従った置換基修飾反応に付すことにより本発明化合物を得ることができる。前述以外の周知の製造法として、常法のイミド化、アミジノ化、さらに日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、25巻、396−427頁)、Protective Group Organic Synthesis,Second Ed.,John Wiley & Sons,Inc.又はAngew.Chem.Int.Ed.Engl.1998,37,p2046−2067記載の製造法等を用いて、これらの化合物を得ることができる。
このようにして製造された本発明化合物(I)は遊離のまま、或いはその塩として単離される。本発明化合物(I)の塩は遊離の塩基である本発明化合物(I)に通常の造塩反応を付すことにより製造することができる。
また本発明化合物(I)又はその塩は、その水和物、その溶媒和物、或いは結晶多形の物質として単離精製される。単離精製は、抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適用して行われる。
各種の異性体は、適当な原料化合物を選択することにより、或いは異性体間の物理的又は化学的性質の差を利用して分離することができる。例えば、光学異性体は、適当な原料を選択することにより、或いはラセミ化合物のラセミ分割法(例えば、一般的な光学活性な酸とのジアステレオマー塩に導き、光学分割する方法等)により立体化学的に純粋な異性体に導くことができる。
[処方]
本発明化合物(I)は、一般的に用いられている種々の処方を適用できる。以下にその代表的な処方について説明する。
本発明化合物(I)又は製薬学的に許容されるその塩の1〜2種以上を有効成分として含有する医薬組成物は、製薬学的に許容される担体を含むことができ、通常製剤化に用いられる担体や賦形剤、その他の添加剤を用いて、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、液剤、注射剤、坐剤、軟膏、貼付剤等に調製され、経口的(舌下投与を含む)又は非経口的に投与される。
本発明化合物(I)又は製薬学的に許容されるその塩のヒトに対する臨床投与量は適用される患者の症状、体重、年齢、性別、投与ルート等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定されるが、通常成人1人当たり、1日につき1mg〜1000mgの範囲で1日1回から数回に分け固体組成物又は液体組成物として経口投与されるか、成人1人当たり、1日につき1mg〜500mgの範囲で、1日1回から数回に分け注射剤として静脈内投与されるか、又は1日1時間〜24時間の範囲で静脈内持続投与される。もちろん前記したように、投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もある。
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1つ又はそれ以上の活性物質が、少なくとも一の不活性な希釈剤、例えば、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、デンプン、繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸、アスパラギン酸のような溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の糖衣、又は胃溶性もしくは腸溶性のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、製薬学的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば、精製水、エタノールを含む。この組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化乃至溶解補助剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤としては、例えば、注射剤用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤としては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤(例えば、ラクトース)、可溶化剤、溶解補助剤のような添加剤を含んでもよい。これらは、例えば、バクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合、又は照射によって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射溶媒に溶解して使用することもできる。
さらに本発明化合物(I)は、既述の疾患の治療剤又はナトリウムチャネル阻害以外の機序で疼痛に有効な薬剤と共に使用してもよい。併用可能な疼痛に有効な薬剤として、麻薬性鎮痛薬、解熱性鎮痛薬、非ステロイド抗炎症薬等が挙げられる。
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例で使用した原料化合物を参考例として説明する。
以下、実施例で得られたそれぞれの化合物の化学構造式、その化合物を用いた実施例の番号、具体的な構成を表1〜表13に、これらの化合物の理化学的性状を、表14〜表25にそれぞれ示す。
また、実施例で使用した原料化合物の製造例を参考例1〜33によって具体的に説明する。参考例4〜15、17、22〜25、28〜29及び31〜32で得られたそれぞれの化合物の化学構造式を表26に、参考例1〜33の化合物の理化学的性状を表27にそれぞれ示す。
実施例に関する表1〜表25及び参考例に関する表26〜27は、本明細書の最後にまとめて示す。
なお、実施例に関する表1〜表25及び参考例に関する表26〜27中の記号は以下の意味を示す。
Rf.:参考例番号、Ex.:実施例番号、Me:メチル、Et:エチル、Pr:プロピル、iPr:イソプロピル、Bu:ブチル、iBu:イソブチル、tBu:tert−ブチル、Ph:フェニル、Ac:アセチル、Bn:ベンジル,cBu:シクロブチル、cPen:シクロペンチル、cHex:シクロヘキシル、cHep:シクロヘプチル、Mo:モルホリン、ThioMo:チオモルホリン、Py:ピリジン、Pyrrolid:ピロリジン、Piperi:ピペリジン、Pipera:ピペラジン、IM:イミダゾール、MeO:メトキシ、EtO:エトキシ、MeN:ジメチルアミノ、PhO:フェノキシ、BuN:ジブチルアミノ、yl:イル、Salt:塩、fum:フマレート、difumarate:ジフマレート、dimaleate:ジマレエイト、Structure:構造式、NMR:核磁気共鳴スペクトル(特記しない限り400MHz、DMSO−d、TMS内部標準、δ ppm)、MS:マススペクトル(特記しない限りFAB又はESI m/z)、Data:物理化学的性質
参考例1
1)2−クロロベンズアルデヒド4.99gのベンゼン48ml溶液に、アニリン3.32gを加え、20時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮後、トルエンで共沸して、黄色油状物6.16gを得た。この油状物を酢酸120mlに溶解し、酢酸パラジウム5.45gを加えて2時間加熱還流した。放冷後、反応液に水を加え、析出した結晶を濾取した。この結晶を塩化メチレン50mlに溶解し、飽和食塩水75ml及びアセトン50mlを加えて室温で15時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、エタノール、ベンゼン及び塩化メチレンで洗浄して、5.50gの緑色結晶を得た。この結晶をベンゼン250mlに懸濁させ、トリフェニルホスフィン8.08gを加え、室温で50分間撹拌した。この反応液にメチルリチウム1.2Mジエチルエーテル溶液13mlを加え、2時間撹拌し、1規定塩酸250mlを加えさらに2時間撹拌した。反応液をジエチルエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製して、2−クロロ−6−メチルベンズアルデヒド1.51gを淡黄色油状物として得た。
2)2−クロロ−6−メチルベンズアルデヒド1.51gのメタノール15ml溶液に、氷冷下水素化ホウ素ナトリウム185mgを加え35分間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に飽和塩化アンモニウム水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製して、2−クロロ−6−メチルベンジルアルコール1.24gを無色結晶として得た。
3)2−クロロ−6−メチルベンジルアルコール1.24gのトルエン15ml溶液に、氷冷下ジメチルホルムアミド5滴と塩化チオニル0.75ml加え、室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後にトルエン5mlで3回共沸して、油状物を得た。得られた油状物をアセトニトリル15mlに溶解し、トリフェニルホスフィン2.08gを加え16時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、得られた結晶を酢酸エチルで洗浄して、(2−クロロ−6−メチルベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムクロリド3.15gを無色結晶として得た。
参考例2
4−ブロモ−2,6−ジメチルアニリン20.0gのトルエン250ml溶液に、水250ml、エタノール60ml、フェニル硼酸18.3g、炭酸ナトリウム39.8g及び塩化パラジウム1.1gを加え、18.5時間加熱還流した。放冷後、有機層を分取し、水層をトルエンで抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、18.5gの褐色油状物を得た。この油状物を48%臭化水素酸45ml、水125mlに懸濁させ、氷冷下にて亜硝酸ナトリウム7.11gの100ml水溶液を滴下した。これに銅粉0.31gを加え、2時間加熱還流した。放冷後、トルエンで抽出し、有機層を50%水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製して、4−ブロモ−3,5−ジメチルビフェニル5.69gを得た。
参考例3
4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール12.0gの塩化メチレン300ml溶液に、フェニル硼酸21.7g、酢酸銅32.5g、トリエチルアミン126ml及びモレキュラーシーブス(4A)36.0gを加え、47時間加熱還流した。反応液を濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、5.23gの無色油状物を得た。この油状物とマグネシウム0.51g及びテトラヒドロフラン25mlからGrignard試薬を調製した。この試薬に、氷冷下にてジメチルホルムアミド1.27gのテトラヒドロフラン15ml溶液を滴下した。室温で45分間撹拌後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、淡黄色油状物3.79gを得た。この油状物をメタノール40mlに溶解し、氷冷下にて水素化ホウ素ナトリウム0.32gを加え、室温で45分間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、(2,6−ジメチル−4−フェノキシフェニル)メタノール3.78gを得た。
参考例3と同様の方法により参考例4の化合物を得た。
参考例1と同様の方法により参考例5〜15の化合物を得た。
参考例16
2,3−ジメチルアニソール3.03gの四塩化炭素70ml溶液に、N−ブロモスクシンイミド4.34g及び過酸化ベンゾイル0.54gを加え、30分間加熱還流した。放冷後、反応液の不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮して、油状物を得た。得られた油状物をベンゼン50mlに溶解し、トリフェニルホスフィン5.82gを加えて、11時間加熱還流した。放冷後、析出した結晶を濾取し、塩化メチレン−ベンゼンより再結晶して、(2−メトキシ−6−メチルベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミド6.51gを無色結晶として得た。
参考例16と同様の方法により参考例17の化合物を得た。
参考例18
4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール10.0gのアセトン100ml溶液に、炭酸カリウム10.4g及びヨウ化メチル6.80mlを加え、15時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、残渣に飽和塩化アンモニウム水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製して、4−ブロモ−3,5−ジメチルアニソール9.18gを無色油状物として得た。
参考例19
エチル−4−(ヒドロキシイミノ)シクロヘキサンカルボキラートをエタノール中、濃硫酸存在下反応させ、エチル−7−オキソアゼパン−4−カルボキシラートを製造した。
参考例20
エチル−7−オキソアゼパン−4−カルボキシラートをテトラヒドロフラン中、水素化リチウムアルミニウム存在下反応させ、アゼパン−4−イルメタノールを製造した。
参考例21
2−ピペリジン−4−イルエタノール5.00gのテトラヒドロフラン50ml溶液に、8.60mlの二炭酸ジ−tert−ブチルを加え室温で30分撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製して、8.80gの油状物を得た。これをジメチルスルホキシド60mlに溶解し、トリエチルアミン20.5ml及び三酸化硫黄ピリジン錯体12.2gを加え室温で30分撹拌した。反応液を飽和重曹水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製して、6.40gのtert−ブチル−4−(2−オキソエチル)ピペリジン−1−カルボキシラートを得た。
参考例21と同様の方法により参考例22〜25の化合物を得た。
参考例26
(1−ベンジルピロリジン−3−イル)メタノールをジメチルスルホキシド中、トリエチルアミン及び三酸化硫黄ピリジン錯体存在下反応させ、1−ベンジルピロリジン−3−カルボアルデヒドを製造した。
参考例27
tert−ブチル 3−オキソ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシラートを1,2−ジメトキシエタン中、p−トルエンスルホニルメチルイソシアニド、カリウムtert−ブトキシド及びエタノール存在下反応させ、tert−ブチル 3−シアノ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシラートを製造した。
参考例27と同様の方法により参考例28〜29の化合物を得た。
参考例30
tert−ブチル 3−シアノ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシラートをテトラヒドロフラン中、ジイソブチルアルミニウムヒドリド存在下反応させ、tert−ブチル 3−ホルミル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシラートを製造した。
参考例30と同様の方法により参考例31〜32の化合物を得た。
参考例33
2−オキソピペリジン−4−カルボン酸メチル14.0gのテトラヒドロフラン300ml、ジメチルホルムアミド50ml溶液に、氷冷下にて2−(ブロモメチル)−1,3−ジオキソラン18ml、tert−ブトキシ カリウム9.87g及びヨウ化テトラブチルアンモニウム6.57gを加え、70℃で14時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、4.50gの黄色油状物を得た。この油状物をテトラヒドロフラン90mlに溶解し、氷冷下にて水素化ホウ素リチウム1.00gを加え、室温で4時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、2.60gの無色油状物を得た。この油状物をジメチルスルホキシド30mlに溶解し、トリエチルアミン5.14g及び三酸化硫黄ピリジン錯体4.04gを加え、室温で1.5時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、1−(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−2−オキソピペリジン−4−カルボアルデヒド2.36gを得た。
【実施例1】
(2−クロロ−6−メチルベンジル)(トリフェニル)ホスホニウム クロリド2.65gのジメチルスルホキシド20ml溶液に、水素化ナトリウム(55%)264mgを加え室温で1時間撹拌した。これにtert−ブチル 4−ホルミルピペリジン−1−カルボキシラート994mgを加え、室温で1時間撹拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製して、tert−ブチル 4−[(E)−2−(2−クロロ−6−メチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−カルボキシラート645mgを油状物として得た。
【実施例2】
原料として、(2,6−ジメチルベンジル)(トリフェニル)ホスホニウム クロリド5.00gとtert−ブチル 4−ホルミルピペリジン−1−カルボキシラート1.79gを用い実施例1と同様の方法を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製して、tert−ブチル 4−[(Z)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−カルボキシラート(実施例2−1)192mg及びtert−ブチル 4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−カルボキシラート(実施例2−2)1.96gを得た。
実施例1と同様の方法により実施例3〜14、16〜24、27及び28の化合物を得た。
実施例2と同様の方法により実施例15−1、15−2、25−1、25−2、26−1、及び26−2の化合物を得た。
【実施例29】
tert−ブチル 4−アセチルピペリジン−1−カルボキシラート300mgのテトラヒドロフラン4.0ml溶液に、アルゴン雰囲気下−78℃でリチウム ビス(トリメチルシリル)アミド1Mテトラヒドロフラン溶液1.3mlを加え、15分間攪拌した。これに2,6−ジメチルベンズアルデヒド167mgのテトラヒドロフラン1.0ml溶液を加え、室温下12時間攪拌した。反応液に、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出し、有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製して、tert−ブチル 4−[(E)−3−(2,6−ジメチルフェニル)プロパ−2−エノイル]ピペリジン−1−カルボキシラート235mgを得た。
【実施例30】
n−ブチルリチウム1.6Mヘキサン溶液4.8mlのテトラヒドロフラン20ml溶液に、−78℃冷却下、4−ブロモ−2,6−ジメチルアニソール1.50gのテトラヒドロフラン20ml溶液を加え、1時間撹拌した。これにtert−ブチル 4−(2−オキソエチル)ピペリジン−1−カルボキシラート1.50gのテトラヒドロフラン20ml溶液を加え30分撹拌後、室温でさらに3時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製して、tert−ブチル 4−[2−ヒドロキシ−2−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニル)エチル]ピペリジン−1−カルボキシラート628mgを油状物として得た。この油状物に10%塩酸15mlを加え2時間加熱還流した。放冷後、反応液に20%水酸化ナトリウムを加えアルカリ性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、tert−ブチル 4−[(E)−2−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−カルボキシラート291mgを得た。
【実施例31】
アルゴン雰囲気下、tert−ブチル 4−[(E)−2−(4−ブロモ−2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−カルボキシラート339mg、シアン化ナトリウム89mg、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム53mg及びヨウ化銅17mgの混合物にプロピオニトリル3mlを加え、7時間加熱還流した。これに水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製して、tert−ブチル 4−[(E)−2−(4−シアノ−2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−カルボキシラート299mgを得た。
【実施例32】
一酸化炭素雰囲気下、tert−ブチル 4−[(E)−2−(4−ブロモ−2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−カルボキシラート409mg及びジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム39mgの混合物にブタノール120μl及びトリブチルアミン265μlを加え、100℃で終夜加熱攪拌した。さらに、二塩化ビストリフェニルホスフィンパラジウム87mg、ブタノール120μl及びトリブチルアミン265μlを加え、120℃で終夜加熱攪拌した。これに水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を0.1規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製して、tert−ブチル 4−{(E)−2−[4−(ブトキシカルボニル)−2,6−ジメチルフェニル]ビニル}ピペリジン−1−カルボキシラート(実施例32−1)217mg及びtert−ブチル 4−((E)−2−{4−[(ジブチルアミノ)カルボニル]−2,6−ジメチルフェニル}ビニル)ピペリジン−1−カルボキシラート(実施例32−2)123mgを得た。
【実施例33】
アルゴン雰囲気下、tert−ブチル 4−[(E)−2−(4−ブロモ−2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−カルボキシラート300mg、tert−ブトキシナトリウム110mg、ビスジベンジリデンアセトンパラジウム45mg及びBINAP48mgの混合物に、トルエン10ml及びモルホリン87μlを加え、100℃で11時間加熱攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製して、tert−ブチル 4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル−4−モルホリン−4−イルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−カルボキシラート289mgを得た。
実施例33と同様の方法により実施例34の化合物を得た。
【実施例35】
tert−ブチル 4−[(E)−2−(4−シアノ−2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−カルボキシラート133mg、アセトン5ml及び水2ml懸濁液に、過酸化水素尿素錯体146mg及び炭酸カリウム7mgを加え、終夜攪拌した。さらに、過酸化水素尿素錯体221mgを加え終夜攪拌後、過酸化水素尿素錯体293mgを加え4日間攪拌した。これに亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)にて精製して、tert−ブチル 4−{(E)−2−[4−(アミノカルボニル)−2,6−ジメチルフェニル]ビニル}ピペリジン−1−カルボキシラート134mgを得た。
【実施例36】
tert−ブチル 4−{(E)−2−[4−(ブトキシカルボニル)−2,6−ジメチルフェニル]ビニル}ピペリジン−1−カルボキシラート209mgのエタノール5ml溶液に、1規定水酸化ナトリウム水溶液1.5mlを加え、室温で3.5時間攪拌した。これに、テトラヒドロフラン1mlを加え、50℃で終夜攪拌後、溶媒を減圧留去し、水及び1規定塩酸1.6mlを加えた。生じた沈殿を濾取し乾燥し、4−{(E)−2−[1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル]ビニル}−3,5−ジメチル安息香酸179mgを得た。
【実施例37】
tert−ブチル 4−[(E)−2−(2−クロロ−6−メチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−カルボキシラート645mgのエタノール4ml溶液に、35%塩化水素−エタノール3mlを加え、室温で5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣をトルエン5mlで3回共沸して結晶を得た。得られた結晶をエタノール−酢酸エチルより再結晶して、4−[(E)−2−(2−クロロ−6−メチルフェニル)ビニル]ピペリジン 1塩酸塩377mgを得た。
実施例37と同様の方法により実施例38〜67の化合物を得た。
【実施例68】
1−ベンジル−4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−3−メチルピペリジン125mgの1,2−ジクロロエタン3ml溶液に、室温にてクロロ蟻酸1−クロロエチル139mgを加え、1時間加熱還流した。放冷後、これにメタノール10mlを加え、さらに30分加熱還流した。放冷後、溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチル5mlに溶解し、濾過した。濾液に4規定塩酸−酢酸エチル1mlを加え、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルに分散させ、濾過後、得られた固体を酢酸エチル−メタノールより再結晶して、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−3−メチルピペリジン 1塩酸塩47mgを得た。
実施例68と同様の方法により実施例69の化合物を得た。
【実施例70】
2−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン 1塩酸塩520mgのジメチルホルムアミド7ml溶液に、ヨウ化メチル0.13ml、トリエチルアミン0.58ml及び炭酸カリウム572mgを加え、室温で12時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、濾液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)にて精製して、2−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−メチルピペリジン470mgを得た。これをエタノール5mlに溶解し、35%塩化水素−エタノール2.5mlを加え、室温で1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をトルエン5mlで3回共沸して結晶を得た。得られた結晶をエタノール−酢酸エチルより再結晶して、2−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−メチルピペリジン 1塩酸塩395mgを得た。
実施例70と同様の方法により実施例71〜77の化合物を得た。
【実施例78】
4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン9.96gのテトラヒドロフラン150ml溶液に、氷冷下にてトリエチルアミン6.77ml及び塩化クロロアセチル3.87mlを加え、室温にて20分間攪拌後、水200mlを加えた。有機層を分取後、水層をジエチルエーテルで抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製し、得られた結晶をジイソプロピルエーテル−ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥して、1−(クロロアセチル)−4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン10.69gを得た。
実施例78と同様の方法により実施例79〜84の化合物を得た。
【実施例85】
4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン 1塩酸塩200mgのジメチルホルムアミド5ml溶液に、室温にてトリエチルアミン111μl、イミダゾール−4−カルボン酸107mg、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール161mg及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩228mgを加え、室温にて終夜攪拌後、反応液を減圧濃縮した。これにクロロホルム50ml及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液15mlを加え、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−アンモニア水)にて精製し、無色油状物280mgを得た。得られた油状物をエタノール2mlに溶解し、4規定塩酸−酢酸エチル226μlを加え、析出した結晶を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄した。これをエタノール−ジエチルエーテルより再結晶して、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−(1H−イミダゾール−4−イルカルボニル)ピペリジン 1塩酸塩191mgを得た。
実施例85と同様の方法により実施例86〜107の化合物を得た。
【実施例108】
4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン 1塩酸塩250mgのジメチルホルムアミド5ml溶液に、室温にてトリエチルアミン138μl、2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−メチルプロピオン酸222mg、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール201mg及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩286mgを加え、室温にて終夜攪拌後、反応液を減圧濃縮した。これにクロロホルム50ml及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液15mlを加え、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製し、白色結晶364mgを得た。得られた結晶を4規定塩酸−酢酸エチル5mlに溶解し、室温にて1時間攪拌後、ジエチルエーテル10mlを加え、さらに30分間攪拌した。析出した結晶を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄した。これをエタノール−ジエチルエーテルより再結晶して、(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−1,1−ジメチル−2−オキソエチル)アミン 1塩酸塩227mgを得た。
実施例108と同様の方法により実施例109〜122の化合物を得た。
【実施例123】
4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン 1塩酸塩300mgのエタノール5ml溶液に、室温にてエチルアセトイミデート塩酸塩736mg及びトリエチルアミン996μlを加え、室温にて終夜攪拌後、反応液を減圧濃縮した。これにクロロホルム50ml及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液15mlを加え、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−アンモニア水)にて精製し、淡黄色結晶313mgを得た。得られた結晶をエタノール5mlに溶解し、4規定塩酸−酢酸エチル305μlを加え、溶媒を減圧留去した。残渣をエタノール−ジエチルエーテルにより結晶化後、析出した結晶を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄した。これをエタノール−ジエチルエーテルより再結晶して、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−(1−イミノエチル)ピペリジン 1塩酸塩89mgを得た。
【実施例124】
4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン 1塩酸塩300mgのジメチルホルムアミド5ml溶液に、室温にて1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン349mg及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン1.45mlを加え、室温にて終夜攪拌後、反応液を減圧濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−エタノール−水)にて精製し、白色結晶427mgを得た。得られた結晶をメタノール5mlに溶解し、4規定塩酸−酢酸エチル415μlを加え、溶媒を減圧留去した。残渣をエタノール−ジエチルエーテルにより結晶化後、析出した結晶を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄した。このものをエタノール−ジエチルエーテルより再結晶して、1−アミジノ−4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン 1塩酸塩154mgを得た。
【実施例125】
1−(クロロアセチル)−4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン300mgのアセトニトリル5ml溶液に、1H−イミダゾール84mg及び炭酸カリウム142mgを加え、3時間加熱還流した。放冷後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出し、有機層を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−アンモニア水)にて精製し、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−(1H−イミダゾール−1−イルアセチル)ピペリジン314mgを黄色結晶として得た。このうち288mgをエタノール2mlに溶解し、4規定塩酸−酢酸エチル334μlを加え、減圧濃縮した。残渣をエタノール−ジエチルエーテルより結晶化後、濾取してジエチルエーテルで洗浄した。これをエタノール−ジエチルエーテルより再結晶して、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−(1H−イミダゾール−1−イルアセチル)ピペリジン 1塩酸塩188mgを得た。
実施例125と同様の方法により実施例126〜196の化合物を得た。
【実施例197】
1−(クロロアセチル)−4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン400mgのアセトニトリル10ml溶液に、tert−ブチル (3S)−ピペリジン−3−イルカルバメート329mg及び炭酸カリウム189mgを加え、2時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮後、クロロホルム及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−アンモニア水)にて精製した。得られた油状物をエタノール10mlに溶解し、4規定塩酸−酢酸エチル10mlを加え、室温にて3時間攪拌した。これを減圧濃縮し、得られた残渣を2−プロパノール−ジイソプロピルエーテルにより結晶化後、水−エタノールにより再結晶して、(3S)−1−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)ピペリジン−3−アミン 2塩酸塩473mgを得た。
実施例197と同様の方法により実施例198〜206の化合物を得た。
【実施例207】
(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアミン219mgのジクロロエタン5ml溶液に、37%ホルムアルデヒド水溶液454μl及び酢酸175μlを加え、室温で2時間撹拌した。次いでトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム388mgを加え、室温で1時間攪拌した。これに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びクロロホルムを加え、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−アンモニア水)にて精製した。得られた油状物をエタノール5mlに溶解し、4規定塩酸−酢酸エチル172μlを加え、溶媒を減圧留去した。残渣を2−プロパノール−ジイソプロピルエーテルにより結晶化後、2−プロパノール−ジイソプロピルエーテルにより再結晶して(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)メチル(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミン 1塩酸塩201mgを得た。
実施例207と同様の方法により実施例208〜222の化合物を得た。
【実施例223】
水素化リチウムアルミニウム42mgのテトラヒドロフラン6ml懸濁液に、氷冷下にて4−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)モルホリン200mgのテトラヒドロフラン2ml溶液を滴下し、2時間加熱還流した後、放冷した。反応液に、氷冷下にて、水42μl、15%水酸化ナトリウム水溶液42μl、水126μlを順次加え、室温にて30分間攪拌した後、無水硫酸ナトリウム500mgを加え、不溶物を濾過した。濾液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−アンモニア水)にて精製し、黄色油状物150mgを得た。このうち143mgを酢酸エチル5mlに溶解し、4規定塩酸−酢酸エチル2mlを加え、溶媒を減圧留去した。残渣をアセトニトリルで洗浄して、4−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}エチル)モルホリン 2塩酸塩133mgを得た。
実施例223と同様の方法により実施例224の化合物を得た。
【実施例225】
1−(アクリロイル)−4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン380mgのトルエン10ml溶液に、モルホリン675μlを経時的に加え、計2日間加熱還流した。反応液を減圧濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−アンモニア水)にて精製した。得られた油状物をエタノール5mlに溶解し、4規定塩酸−酢酸エチル2mlを加えて、溶媒を減圧留去した。析出した結晶をエタノールより再結晶して、4−(3−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−3−オキソプロピル)モルホリン 1塩酸塩450mgを得た。
【実施例226】
4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)ピペリジン−2−オン818mgのテトラヒドロフラン10ml溶液に、10%塩酸3mlを加え、4.5時間加熱還流した。放冷後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−2−オキソピペリジン−1−イル}アセトアルデヒド685mgを得た。
以下、実施例に記載されているものの他に、前述の製造法、参考例及び実施例の製造法、通常の当業者にとって公知の製造法及びそれらの変法を用い、特別の実験を必要とせずに表28〜30に示す化合物を得ることができる。なお、表28〜30は、本明細書の最後において、表1〜27の後にまとめて示す。
【産業上の利用可能性】
本発明化合物は、ナトリウムチャネル阻害作用を有するため、医薬、特に、ナトリウムチャネルが関与する疾患及び疾患に伴う症状の治療薬、好ましくは、神経因性疼痛に対する鎮痛薬として有用である。
例えば、神経因性疼痛とは、末梢又は中枢神経機能異常による疼痛を意味し、糖尿病性神経障害の疼痛等が挙げられる。
[薬理試験]
以下、本発明化合物のうち代表的な化合物を用いたナトリウムチャネル阻害作用試験並びにマウス及びラットを用いた動物試験について詳細に説明する。
(ナトリウムチャネル阻害作用試験)
本発明化合物(I)のうち代表的な化合物のナトリウムチャネル阻害作用はラットの脳組織を用いた[14C]グアニジン取り込み実験により確認した。[14C]グアニジン取り込み実験はBonischらの方法(British Journal of Pharmacology 108,436−442,1993)を改変して行った。ナトリウムのトレーサーである[14C]グアニジンを用い、ナトリウムチャネル活性化剤であるベラトリジンによって誘発される[14C]グアニジンのラット大脳皮質初代神経細胞への取り込みに対する阻害活性を測定した。
a.ラット大脳皮質初代神経細胞培養系の調製
妊娠ラット(Wistar、雌、妊娠19日齢)をエーテル麻酔し、頸動脈切断により脱血死させた。妊娠ラットより胎児を摘出し、消毒用エタノールで消毒したのち大脳皮質を摘出した。大脳皮質をパパインで消化し、培養液に分散後ポリ−L−リジンコーティングした96ウェル白色プレートに2.5×10細胞/ウェルの密度で捲種し、COインキュベーター(37℃、5%CO)で2日間培養した。
b.試験化合物の評価
各ウェルをアッセイバッファー(135mM Choline Cl,5mM KCl,1mM MgSO,5.5mM Glucose,1mg/mL BSA,10mM Hepes−Tris,pH7.4)で1回洗浄した後、アッセイバッファーを加え25℃で10分インキュベーションを行った。その後反応溶液(試験化合物、[14C]グアニジン及び100μMベラトリジン)に置換し、25℃で15分インキュベーションを行った。反応の停止は冷洗浄バッファー(135mM NaCl,5mM KCl,1mM MgSO,10mM Hepes−Tris,pH7.4)で3回洗浄することにより行った。各ウェルに17μLの0.1N NaOHを加え攪拌後、100μLのシンチレーターを加え更に攪拌し、液体シンチレーションカウンターで放射能を測定した。各実験におけるナトリウムチャネル特異的取り込み量は、全取り込みのうち1mMメキシレチンにより阻害された部分とした。試験化合物のナトリウムチャネルへの作用は、特異的取り込みに対する50%阻害率(IC50値)で表す。
表31に示すように、本発明化合物は優れた阻害作用を示した。

(ストレプトゾトシン誘発糖尿病性神経障害動物における鎮痛作用)
本発明化合物(I)のうち代表的な化合物の神経因性疼痛の抑制効果はストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病性神経障害マウスにおける鎮痛作用の評価により確認した。評価はKameiらの方法(Pharmacology Biochemistry & Behavior 39,541−544,1991)を一部改変して行った。
雄性4週齢ICRマウスに200mg/kg体重のSTZを腹腔内投与し、糖尿病性神経障害モデルを作成した。鎮痛作用の評価法はtail pinch testを採用した。すなわち、鎮痛作用は尾をクランメで挟んでから動物が振り向き反応をとるまでの潜時の延長幅(秒)として検出した。STZ投与後14日目に試験化合物投与前試験を行い、試験化合物投与前反応潜時を測定した。試験化合物投与前反応潜時が3秒以下の動物のみを翌日(STZ投与後15日目)の試験化合物評価試験に供した。試験化合物評価試験においては試験化合物投与後反応潜時を測定した。試験化合物は30mg/kgを反応潜時測定の45分前に経口投与した。試験化合物の鎮痛作用は、(試験化合物投与後反応潜時)−(試験化合物投与前反応潜時)の計算式によって潜時の延長幅(秒)として表す。
表32に示されるように代表的な本発明化合物では、約1〜5秒の潜時の延長幅(秒)を示した。別途、本発明化合物の代わりに化合物を含まない溶媒(10%w/w DMSO/水)で同様に試験した結果、潜時の延長幅(秒)は、0.69±0.38秒(平均値±標準偏差)であった。
通常、この鎮痛試験では、約1秒以上は活性があると考えられ、1.5秒を超えると優れた活性があり、約2秒を超えるものは非常に優れた鎮痛作用があると評価される。従って、試験した実施例化合物は、比較例1及び2に比べ、優れた活性を有するものである。メキシレチンは約3秒であった。

比較例1:(特許文献1:欧州特許公開第1254904号公報)の実施例308に記載の化合物
比較例2:(特許文献1:欧州特許公開第1254904号公報)の実施例334に記載の化合物
(L5/L6脊髄神経結紮ラットにおける抗アロディニア効果)
神経因性疼痛における主要な症状の一つは触刺激に対する顕著な反応閾値低下(アロディニア)である。本発明化合物のうち代表的な化合物の神経因性疼痛の抗アロディニア効果はL5/L6脊髄神経結紮ラットにおける鎮痛作用の評価により確認した。評価は、Kim and Chungの方法(Pain 50,355−363,1992)を一部改変して行った。
ペントバルビタール麻酔下において、雄性5又は6週齢SDラットの左側のL5及びL6腰神経を絹糸で結紮する手術を施した。鎮痛作用の評価法はvon Freyhair testを採用した。すなわち、動物の後足裏を毛髪(hair)でつつき、足上げ反応を起こす最小の毛髪の強度を機械刺激に対する反応閾値(log gram)とした。動物の結紮側足の反応閾値は手術後7日目から14日目の間においては顕著に低下している(アロディニアの状態にある)ことが予備検討により確認出来たため、試験化合物の抗アロディニア効果は手術後7日目から14日目の間の何れかの日に評価した。試験化合物評価前日に、試験化合物投与前反応閾値を測定した。試験化合物投与前反応閾値の群間の平均値の差及び群内のばらつきが小さくなるよう動物を4−5群に分けた。試験化合物評価試験においては試験化合物投与後反応閾値を測定した。試験化合物を反応閾値測定の30分前に経口投与した。試験化合物の抗アロディニア作用の効力は、溶媒投与群の手術側足及び非手術側足の閾値をそれぞれ0%及び100%と定義して算出したED50値として表す。
本発明化合物の中には優れたED50値を示す化合物があった。一方、メキシレチンのED50値は約70mg/kgであった。
上記試験によって、本発明化合物のうち代表的な化合物は、ナトリウムチャネル阻害作用を示すことが確認された。また、病態動物モデルである糖尿病性神経障害マウス及びL5/L6脊髄神経結紮ラットにおいて、経口投与で鎮痛作用を示すこと及び公知化合物より効果が優れていることが確認された。
上記試験によって、本発明化合物(I)中、メキシレチンより優れたナトリウムチャネル阻害活性を有する化合物があることが確認された。また、病態動物モデルである糖尿病性神経障害マウスにおいては、経口投与でメキシレチンと同等以上の鎮痛作用を示す化合物があることが確認された。
以上のことより本発明化合物は、優れたナトリウムチャネル阻害剤であり、疼痛、特に糖尿病性神経障害等に伴う神経因性疼痛に有用であることが確認された。































【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で示される含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。

(前記式(I)中の記号は以下の意味を示す。
及びR:同一又は異なって、H−、置換されていてもよい低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アシル、HO−CO−、低級アルキル−O−CO−、HN−CO−、低級アルキル−HN−CO−、(低級アルキル)N−CO−、HO−、低級アルキル−O−、アリール−O−、アシル−O−、HN−、低級アルキル−HN−、(低級アルキル)N−、アシル−NH−、ハロゲン、ニトロ、ヘテロ環基又はシアノ
及びR:同一又は異なって、置換されていてもよい低級アルキル、シクロアルキル、アシル、HO−CO−、低級アルキル−O−CO−、HN−CO−、低級アルキル−HN−CO−、(低級アルキル)N−CO−、HO−、低級アルキル−O−、アシル−O−、HN−、低級アルキル−HN−、(低級アルキル)N−、アシル−NH−、ハロゲン、ニトロ、又はシアノ
及びR:同一又は異なって、H−、低級アルキル、又はハロゲン
及びR:同一又は異なって、H−、低級アルキル、HO−、低級アルキル−O−、又はハロゲン
さらに、R及びRは一体となってオキソ(O=)を形成することができる。
:H−、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアシル、低級アルキル−C(=NH)−、HO−CO−、置換されていてもよい低級アルキル−O−CO−、HN−CO−、置換されていてもよい低級アルキル−HN−CO−、(置換されていてもよい低級アルキル)N−CO−、HNC(=NH)−、HNC(=NCN)−、HNC(=N−CONH)−、HNC(=NS(=O)NH)−、置換されていてもよい低級アルキル−SO−又は置換されていてもよいヘテロ環基−SO
10、R11、R12及びR13:同一又は異なって、H−、又は低級アルキル、さらに、R10、R11、R12及びR13のうちいずれか2つの基は、一体となってオキソ(O=)を形成することができる。
A:含窒素飽和ヘテロ環基、キノリル又はピリジン−4−イル
但し、上記式中のAがキノリル又はピリジン−4−イルの場合Rは存在しない。
n:0、1、又は2)
【請求項2】
前記式(I)中の記号Aの含窒素飽和ヘテロ環基が含窒素飽和単環ヘテロ環基又は含窒素飽和架橋環である請求の範囲1に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
前記式(I)中の記号Aの含窒素飽和ヘテロ環基が含窒素飽和単環ヘテロ環基である請求の範囲2に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
前記式(I)中の記号Aの含窒素飽和ヘテロ環基が6員含窒素飽和単環ヘテロ環基である請求の範囲3に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
前記式(I)中の記号R及びRが同一又は異なって、H−、低級アルキル、HO−、低級アルキル−O−、又はハロゲンである請求の範囲1〜4の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
前記式(I)中の記号nが0である請求の範囲1〜5の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
前記式(I)中の記号RがHである請求の範囲1〜6の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
前記式(I)中の記号Rが置換されていてもよい低級アルキルである請求の範囲1〜6の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
前記式(I)中の記号Rの置換されていてもよい低級アルキルにおける置換基が、下記a群から選ばれる少なくとも一の置換基である、請求の範囲8に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
a群:(1)ハロゲン;(2)HO;(3)低級アルキル−O−;(4)HN;(5)低級アルキル−NH−;(6)(低級アルキル)N−;(7)アリール;(8)ヘテロ環基
【請求項10】
前記式(I)中の記号Rが置換されていてもよいアシルである請求の範囲1〜6の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
前記式(I)中の記号Rの置換されていてもよいアシルが、置換されていてもよい低級アルキル−CO−、置換されていてもよいシクロアルキル−CO−、置換されていてもよいアリール−CO−、置換されていてもよいヘテロ環基−CO−又は置換されていてもよいヘテロ環基−低級アルキル−CO−である請求の範囲10に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
前記式(I)中の記号Rの置換されていてもよいアシルにおける置換基が、下記b群から選ばれる少なくとも一の置換基である請求の範囲10又は11に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
b群:(1)HO;(2)低級アルキル−O−;(3)R101102N(R101及びR102:同一又は異なって(i)H、(ii)HO、低級アルキル−O−、NH、HN−CO−、アシル−NH−、低級アルキル−NH−、シクロアルキル、HO−シクロアルキル、ヘテロ環基、(低級アルキル)N−で置換されていてもよい低級アルキル、(iii)アシル、(iv)低級アルキル−O−CO−、(v)ヘテロ環基、(vi)ハロゲンで置換されていてもよいアリール);(4)ハロゲン;(5)オキソ(O=);(6)R101102Nで置換されていてもよいシクロアルキル;(7)アリール;(8)ヘテロ環基;(9)HO、低級アルキル−O−、アリール、アシル、ヘテロ環基で置換されていてもよい低級アルキル;(10)オキソ(O=)で置換されていてもよいアシル;(11)HN−CO−;(12)低級アルキル−SO−;(13)ヘテロ環基−SO
【請求項13】
前記式(I)中の記号RがHO−OC−、置換されていてもよい低級アルキル−O−CO−、HN−CO−、置換されていてもよい低級アルキル−NH−CO−、(置換されていてもよい低級アルキル)N−CO−又は置換されていてもよい低級アルキル−SO−である請求の範囲1〜6の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
下記化合物群から選ばれる少なくとも一種の化合物である請求の範囲1に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩。
4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]キヌクリジン、4−[(E)−2−(2−クロロ−6−メチルフェニル)ビニル]ピペリジン、4−[(Z)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン、3,5−ジメチル−4−[(E)−2−ピペリジン−4−イルビニル]ベンゾニトリル、N,N,3,5−テトラメチル−4−[(E)−2−ピペリジン−4−イルビニル]アニリン、2−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]アゼパン、4−[(2E)−3−(2,6−ジメチルフェニル)プロパ−2−エン−1−イル]ピペリジン、3−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−メチルピペリジン、1−ベンジル−4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン、(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}エチル)ジメチルアミン、5−({4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}カルボニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3−アミン、4−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチル−4−フェノキシフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)モルホリン、4−(2−{2−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)モルホリン、1−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−4−(ピリジン−3−イルカルボニル)ピペラジン、(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピベリジン−1−イル}−1,1−ジメチル−2−オキソエチル)アミン、[1−({4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}カルボニル)シクロブチル]アミン、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−[(2S)−ピロリジン−2−イルカルボニル]ピペリジン、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−(1H−イミダゾール−1−イルアセチル)ピペリジン、N−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)オキセタン−3−アミン、N−{2−[(2−[4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)アミノ]エチル}アセトアミド、2−[(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)アミノ]エタノール、1−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)ピペリジン−2−カルボキサミド、1−(2−{4−(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−3,5−ジメチルピペリジン、4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]−1−[(4−ピロリジン−1−イルピペリジン−1−イル)アセチル]ピペリジン、4−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)モルホリン、[4−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)モルホリン−2−イル]メタノール、4−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−1,4−オキサゼパン、1−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)ピペリジン−4−アミン、1−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)ピペラジン、(1R,4R)−2−(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ピペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、及び(2−{4−[(E)−2−(2,6−ジメチルフェニル)ビニル]ビペリジン−1−イル}−2−オキソエチル)メチル[(3R)−テトラヒドロフラン−3−イル]アミン
【請求項15】
請求の範囲1〜14の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩と製薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物。
【請求項16】
ナトリウムチャネル阻害剤である請求の範囲15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
神経因性疼痛治療薬である請求の範囲15又は16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
糖尿病性神経障害の疼痛治療薬である請求の範囲17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
医薬組成物の製造のための請求の範囲1〜14の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項20】
神経因性疼痛治療薬の製造のための請求の範囲19に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項21】
糖尿病性神経障害の疼痛治療薬の製造のための請求の範囲20に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項22】
請求の範囲1〜12の何れかに記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩の治療有効量を患者に投与することを含む、ナトリウムチャネルに起因する疾患の治療方法。
【請求項23】
請求の範囲22に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩の治療有効量を患者に投与することを含む、神経因性疼痛の治療方法。
【請求項24】
請求の範囲23に記載の含窒素ヘテロ環誘導体又は製薬学的に許容されるその塩の治療有効量を患者に投与することを含む、糖尿病性神経障害の疼痛の治療方法。

【国際公開番号】WO2004/078715
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【発行日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503134(P2005−503134)
【国際出願番号】PCT/JP2004/002842
【国際出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【出願人】(592086318)壽製薬株式会社 (24)
【Fターム(参考)】