説明

20個の遺伝子パネルを用いて潰瘍性大腸炎及び関連疾患を評価し治療するためのマーカー及び方法

被験者において潰瘍性大腸炎などの胃腸関連疾患に対する標的治療の適合性を評価するための方法は、試料中の20個又は5個のメンバー遺伝子パネルの1つ以上の遺伝子の発現の存在、欠如、及び/又は規模を評価する。本方法は、患者に対してかかる治療を開始する前に、標的となる治療法の有効性の同定を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潰瘍性大腸炎などの胃腸関連疾患の指標となる発現プロファイル及び核酸の同定に関し、並びに潰瘍性大腸炎及び関連する疾病の診断に用いられるかかる発現プロファイル及び核酸の使用に関する。本発明は更に、候補薬剤及び/又は潰瘍性大腸炎を調節する標的を、同定、使用、及び試験する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
潰瘍性大腸炎(UC)は、未確認の遺伝因子、微生物因子、及び環境因子が関与する複雑な発症機序を有する多因子自己免疫疾患である。UCの患者から採取した大腸鏡検査用の炎症を起こしている組織生検試料と炎症を起こしていない生検試料とを比較するマイクロアレイ解析を用いた最近の研究は、ごく少数の炎症性サイトカインの異常調節を明らかにしたが、UCにおける腫瘍壊死因子−アルファ(TNFα)の病因、病原性、及び役割は今尚不明のところが多い。クローン病患者における臨床的寛解期の誘発及び維持、腸皮膚、肛門周囲、及び直腸膣瘻の閉鎖、瘻孔閉鎖の維持、及びステロイド漸減に与えるインフリキシマブの治療効果で実証されているように、TNFαは、クローン病における重要な炎症性サイトカインである。しかしながら、UCの患者の血液、結腸組織、及び大便中にも高レベルで認められるという事実にもかかわらず、UCの病因論におけるTNFαの役割を裏付ける証拠には議論の余地がある。Rutgeerts et al.による臨床研究(ACT−1)は、インフリキシマブは、0、2、6週時、及びその後8週間ごとに投与すると、UCにおけるTNFαの重要な病原性役割を支援する従来の治療を用いているにもかかわらず中等度から重症であるUCの患者の、臨床反応及び寛解を達成するのに有効であることを示した。
【0003】
マイクロアレイ技術は、何千もの遺伝子の発現の分析を同時に可能にし、高処理型式を可能にする自動化もまた可能にするので、強力な道具である。UCなどの免疫介在性炎症性疾患として知られるもののような、複雑な宿主機能が関連する疾病において、マイクロアレイの結果は、疾病の診断及び管理に対する新しいアプローチを計画する際に利用できる遺伝子発現プロファイルを提供することができる。これらのアプローチはまた、新規遺伝子を同定し、そして疾病又は症状とはこれまで無関係とされた未知の機能の遺伝子に注釈を加えることに役立つ。したがって、UC及びクローン病などの自己免疫疾患、並びにその他の疾病及び症状を診断及び治療するための方法を開発する上で有用な新しい遺伝子マーカー、及び治療的介入に患者がどのように反応するか、を同定かつ特性決定する必要性が存在する。
【0004】
遺伝子発現は、siRNA、shRNA、アンチセンス分子及びDNAザイムの使用を含むいくつかの異なる方法で調節することができる。siRNA及びshRNAの両者はRNAi経路を介して作用し、そして遺伝子の発現を抑制するために成功裏に使用されてきた。RNAiは、寄生虫において最初に発見され、そしてdsRNAに関連する遺伝子サイレンシングの現象は、Fire及びMelloによって植物において最初に報告され、そして植物細胞がRNAウイルスによる感染に抵抗する1つの方法であると考えられる。この経路では、長いdsRNAウイルス生産物は、DICER様酵素によって長さ21〜25bpの、より小さい断片にプロセシングされ、次いで、二本鎖分子が解かれて、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に負荷される。類似の経路が哺乳動物細胞において同定されているが、遺伝子に特異的ではなく、そしてその細胞におけるタンパク質合成の総体的閉鎖をもたらす、いわゆるインターフェロン応答の誘導を避けるために、dsRNA分子が長さ30bpより小さくなくてはならないという注目すべき差異を有する。
【0005】
合成siRNAは、単一遺伝子を選択的に標的とするように成功裏に設計され、そして生体外又は生体内で細胞に送達することができる。ShRNAはsiRNA分子のDNA等価物であり、それらが分裂周期毎に複製される細胞のゲノム中に組み込まれるという利点を有する。
【0006】
DNAザイムはまた遺伝子発現を調節するために使用されてきた。DNAザイムは一本鎖RNAを切断する触媒的DNA分子である。それらは、標的RNA配列に対して高度に選択的であり、それ自体メッセンジャーRNAの標的化をとおして特異的遺伝子を下方調節するために使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、UC及びクローン病などの自己免疫疾患、並びに他の疾病及び症状を診断及び治療するための方法を開発する上で有用な新しい遺伝子マーカーを同定かつ特性決定する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、UC及び/又は関連する疾病若しくは疾患を診断及び/又は治療し、かつ治療のための候補薬剤の適合性を予測する方法に関する。本発明は、治療に応答しない(ノンレスポンシブ)患者に対してUCに対する治療に応答する(レスポンシブ)患者(UCの症状の低減に有効である)において修正された発現レベルを有する遺伝子のパネル(一方は20個の遺伝子及び一方は5個の遺伝子)の発見を含む。修正された発現レベルは、治療に対する患者の応答性を予測するバイオマーカープロファイルとしての機能を果たすことができるプロファイルを構成する。
【0009】
特定の実施形態において、本発明は、治療に先立つプロファイルを構成する20個の遺伝子の1個以上の遺伝子発現のパターンに基づき、UCに対する治療の適合性を予測する方法を含む。これら遺伝子の1個以上は、防御応答、免疫応答、シグナルトランスダクション、及び以下で及び図1において示される病原体応答等に関与するものなどの遺伝子の種類に由来し得る。典型的な実施形態において、細胞標本は、少なくとも2個の発現プロファイル遺伝子を発現する。プロファイル遺伝子は増加又は減少を示してもよい。
【0010】
加えて本発明は、特定の治療剤による治療の候補である、UC及び/又は関連する疾病若しくは疾患の被検者を、20個又は5個の遺伝子パネルの1個以上の遺伝子のこれらの発現プロファイルを評価することによって、同定する方法を含む。
【0011】
一実施形態では、UC関連遺伝子プロファイルは、予後又は診断目的のためのアレイに基づく方法を作成するために使用され、かかる方法は以下の(a)〜(d)を含む。
(a)患者から得た標本から核酸の代表的な混合物を調製し、混合物中の試料核酸を検出可能なマーカーで標識すること、
(b)試料を、複数の核酸セグメントを含むアレイと接触させること、ここで、各核酸セグメントは基板表面上の別個で既知のアドレスに固定化され、UCに関連するバイオマーカーのパネルはアドレスによってアレイのフィーチャーであると同定され、アレイは、基板上の既知のアドレスに少なくとも1つの較正核酸を含み、接触は、試料核酸が、アレイ上に固定化された核酸セグメントに特異的に結合し得る条件下で実施される、
(c)治療された患者由来の全ての試験試料と参照基準との統計比較を行うこと、及び
(d)試験試料のフィーチャーの強度変化のパターンと、抗TNF抗体による治療に応答性の患者から採られた試料の経時(historical)パターンを有するUC関連遺伝子プロファイルのメンバーであるフィーチャーの強度変化のパターンとを比較すること。
【0012】
所望により、これらの変化の有意性を評価し、どのメンバーがパネルの有意なメンバーであるのか同定するために、遺伝子パネルのメンバーの変化の程度について統計解析が実施される。
【0013】
代替的な実施形態では、本発明は、遺伝子発現のパターンに基づいてUC及び/又は関連する疾病若しくは疾患を治療するための候補薬剤の適合性を予測するためのキットを含む。
【0014】
本発明は更に、本明細書に記載する任意の発明を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】遺伝子パネルのメンバーの生物過程の分布を示す図。
【図2】インフリキシマブレスポンダー(R)とノンレスポンダー(NR)とを比較する、ドットプロット表示中の5個のプローブセット分類子のインフリキシマブレスポンダー/ノンレスポンダーの発現プロファイルを示す図。各試料の正規化強度が示されている(黒丸)。5個の遺伝子それぞれに対する各レスポンダー及びノンレスポンダー集団の中間強度、75及び25番目の百分位数、及び最小値及び最大値もまた示されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
以下の定義は、本明細書で発明を記載するために用いる種々の用語の意味及び範囲を説明及び定義するために記載される。
【0017】
ポリペプチドの「活性」、生物活性及び機能活性は、標準的な技術により、生体内(in vivo)、原位置(in situ)又は生体外(in vitro)で決定するとき、別のタンパク質又は分子との特異的相互作用に応答してUC関連遺伝子パネルの遺伝子により発揮される活性を指す。このような活性は、第2のタンパク質に関連する若しくはそれに対する酵素活性のような直接的活性、又は、タンパク質と第2のタンパク質との相互作用により介在される細胞プロセス、若しくは細胞内シグナル伝達若しくは凝固カスケードに見られるような一連の相互作用のような間接的活性であることができる。
【0018】
「抗体」には、H鎖若しくはL鎖の相補性決定領域(CDR)又はそのリガンド結合部、H鎖若しくはL鎖の可変領域、H鎖若しくはL鎖の定常領域、フレームワーク領域、又はその任意の部分、断片又は変異体の少なくとも1つなどであるが、これらに限定されない、免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含む任意のポリペプチド又はペプチド含有分子が挙げられる。用語「抗体」は、更に、抗体、その消化断片、特定部分及び変異体を包含することを意図し、これには抗体模倣薬が挙げられ、あるいは抗体の構造及び/若しくは機能を模倣する抗体の部分若しくはその特定断片若しくは一部を含み、単鎖抗体及びその断片が挙げられる。例えば、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化及び部分的還元による)及びF(ab’)2(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシン又はプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元及び再集合による)、Fv又はscFv(例えば、分子生物学的技術による)断片、及び単一ドメイン抗体(例えば、VH又はVL)が挙げられるが、これらに限定されない抗体断片が、本発明に包含される(例えば、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994〜2001年)、Colligan et al.,Current Protocols in Polypeptide Science,John Wiley & Sons,NY(1997〜2007年)を参照のこと)。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「アレイ」若しくは「マイクロアレイ」、又は「バイオチップ」若しくは「チップ」は、複数の固定化した標的要素(それぞれの標的要素は「クローン」、「フィーチャー」、「スポット」を含む)、あるいは複数の組成物(例えば以下に更に詳細に議論されるような、固体表面に固定化された核酸分子又はポリペプチドのような生体分子など)を含む画定された領域を含む、製品又はデバイス物品を指す。
【0020】
本発明の核酸配列の「相補体」又は本発明の核酸配列と「〜と相補的なもの」は、第1のポリヌクレオチドと比較したときに、相補的な塩基配列及び逆向きの配向を有するポリヌクレオチド分子を指す。
【0021】
当該技術分野において既知のように「同一性」は、配列を比較することにより判定される、2つ以上のポリペプチド配列間又は2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該技術分野において、「同一性」はまた、そのような配列の糸の間の一致によって決定されるような、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」及び「類似性」は、限定されるものではないが、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991;及びCarillo,H.,and Lipman,D.,Siam J.Applied Math.,48:1073(1988)において記述されている方法を含む、既知の方法によって容易に計算することができる。加えて、同一性の割合に関する値は、Vector NTI Suite 8.0(Informax,Frederick,MD)のメンバーであるAlignXのセッティングのデフォルトを用いて作成される、アミノ酸及びヌクレオチド配列アラインメントから得ることができる。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「〜に特異的なハイブリダイズ」、「〜に特異的にハイブリダイズする」、「特異的なハイブリダイゼーション」及び「〜に選択的にハイブリダイズする」は、核酸分子が、厳しい条件下で優先的に特定のヌクレオチド配列に結合すること、二本鎖形成すること、又はハイブリダイズすることを指す。用語「厳しい条件」は、プローブが優先的にその標的配列にハイブリダイズし、他の配列にはより低い程度でハイブリダイズするか又は全くハイブリダイズしない条件を指す。核酸ハイブリダイゼーション(例えばアレイ、サザン又はノーザンハイブリダイゼーションなど)の文脈における、「厳しいハイブリダイゼーション」及び「厳しいハイブリダイゼーション洗浄条件」は配列依存性であり、異なる環境パラメータ下においては異なる。本発明を実行するために使用することができる代替的ハイブリダイゼーション(Alternative hybridization)の条件は、以下に詳細に記載する。選択的な態様においては、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄の条件は、以下に詳細に記載する中程度の条件(moderate condition)、厳しい条件及び非常に厳しい条件下で実行される。代替的な洗浄条件はまた、本明細書において更に詳細に記載されるように、異なる態様においても使用される。
【0023】
本明細書で使用するとき、語句「標識された生体分子」又は「検出可能な組成物で標識された」又は「検出可能な部分で標識された」は、以下で詳細に記載するように、検出可能な組成物、即ち標識を含む、例えば核酸などの生体分子を指す。標識はまた、以下に記載するように、例えば「分子指標」のようなステムループ構造の形態の核酸などの核酸のような、別の生体分子であることもできる。これは、例えばニックトランスレーション、ランダムプライマー伸長法、変性したプライマーによる増幅などにより、標識された塩基(又は検出可能な標識に結合できる塩基)を核酸に組み込むことを含む。例えば、化学発光標識、放射標識、酵素標識などの任意の標識を用いることができる。標識は、例えば、視覚的、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、物理的、化学的及び/又は化学発光的検出などの任意の手段により検出可能である。本発明は、検出可能な標識を含む固定化核酸を含むアレイを用いることができる。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「核酸」は、一本鎖又は二本鎖形態のいずれかであるデオキシリボヌクレオチド(DNA)又はリボヌクレオチド(RNA)を指す。かかる用語は、天然のヌクレオチドの既知のアナログを含有している核酸を包含する。用語「核酸」は遺伝子、DNA、RNA、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチドプライマー、プローブ及び増幅産物と互換的に使用される。かかる用語はまた、例えばリン酸ジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオレート、メチルホスホン酸、ホスホロアミド酸、アルキルホスホトリエステル(alkyl phosphotriester)、スルファミン酸、3’−チオアセタール、メチレン(メチルイミノ)、3’−N−カルバメート、モルホリノカルバメート、及びペプチド核酸(PNAs)などの、DNA骨格のアナログを包含する。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「試料」又は「核酸試料」は、DNA又はRNA、あるいは天然の供給源から単離されたDNA又はRNAの代表的な核酸、を含む試料を指す。「核酸試料」は、他の核酸(例えば、固定化されたプローブ)とのハイブリダイゼーションに適合する形態(例えば可溶な水溶液として)である。試料核酸は特定の細胞又は組織から単離、クローニング又は抽出されてもよい。核酸試料が調製される細胞又は組織試料は、典型的にはUC又は関連する疾病若しくは状態を有しているか又は有していると疑われる患者から採られる。細胞及び組織試料を単離する方法は当業者に周知であり、限定するものではないが、吸引法、組織切片法、針生検法、及び同様の方法などが挙げられる。しばしば試料は「臨床試料」であり得、凍結切片又はパラフィン切片などの、組織学的な目的のために採られた組織切片を含む、患者由来の試料である。試料はまた、(細胞の)上清又は患者若しくは細胞培養物から採られた細胞そのもの、組織培養からの細胞、及び候補剤に対する応答を検出するのに望ましいものであり得る他の培養液からの細胞由来であってもよい。場合によっては、核酸はハイブリダイゼーションに先立ちPCRなどの標準的な技術を用いて増幅してもよい。プローブは1つ以上の特定の(予選択された)部位からの核酸供給源(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅産物の収集物、実質的に染色体全体又は染色体断片、あるいは例えば、BACs、PACs、YACs、及び同様物(以下を参照のこと)などのクローンの収集物としての、実質的にゲノム全体)から調製することができ、総じてプローブはかかる核酸供給源の代表的な核酸であり得る。
【0026】
「核酸」はヌクレオチドのポリマーであり、ヌクレオチドは糖と結合している塩基を含む(糖は順にリン酸などの少なくとも2価の分子をとりなすことで互いに結合されている)。天然に生じる核酸では、糖は2’−デオキシリボース(DNA)又はリボース(RNA)のいずれかである。非天然ポリ又はオリゴヌクレオチドは、修飾された塩基、糖、又は結合分子を含有するが、概して、かかるヌクレオチドは設計された後に、天然に生じる核酸の相補的な性質を模倣することが理解される。非天然のオリゴヌクレオチドの例は、ホスホロチオエート(phosphorothiorate)骨格鎖を有するアンチセンス分子組成物である。「オリゴヌクレオチド」は一般的に、30個未満のヌクレオチドを有する核酸分子を指す。
【0027】
用語「プロファイル」は、パターンを意味し、多数の特性の変化の規模及び方向に関する。プロファイルは、厳密に解釈してもよく、即ち、特徴を示すプロファイル内の規模及び/又は数の変化が実質的に参照プロファイルに類似し、あるいは、特徴の全て又は部分集合の絶対的な一致ではなく傾向を必要とすることにより、それ程厳密に解釈しなくてもよい。
【0028】
用語「タンパク質」、「ポリペプチド」及び「ペプチド」は、上記で詳細に論じたように、変異体の由来するポリペプチドに実質的に一致する構造及び活性を有する「類似体」又は「保存された変異体」及び「模倣物質」若しくは「ペプチド模倣物質」を含む。
【0029】
「ポリペプチド」は、ペプチド結合により結合したアミノ酸残基のポリマーであり、ペプチドは一般に12個以下の残基のアミノ酸ポリマーを指す。ペプチド結合は、核酸テンプレートにより導かれるように天然に、又は当該技術分野で周知である方法により合成的に生成することができる。
【0030】
「タンパク質」は、1つ又はそれ以上のポリペプチド鎖を含む巨大分子である。タンパク質は更に、ペプチド結合の形成に関与しないアミノ酸の側基に結合した置換基を含んでもよい。典型的には、真核細胞の発現により形成されるタンパク質はまた、炭水化物を含有する。タンパク質は、本明細書では、既知であろうとなかろうと、そのアミノ酸配列又は骨格鎖及び置換基の観点で定義される。
【0031】
用語「受容体」は、特異的リガンド又は結合パートナーとの相互作用の結果として、例えば細胞内で、生物活性に影響を及ぼす能力を有する分子を指す。細胞膜結合受容体は、細胞外リガンド結合ドメイン、1つ又はそれ以上の膜貫通又はトランスメンブレンドメイン、及び典型的にはシグナルトランスダクションに関与する細胞内エフェクタードメインを特徴とする。細胞膜受容体にリガンドが結合することにより、細胞膜を超えて連絡している細胞外ドメインに変化が生じ、1つ又はそれ以上の細胞内タンパク質と直接的に又は間接的に相互作用し、酵素活性、細胞形状又は遺伝子発現プロファイルのような細胞特性を変化させる。受容体はまた、細胞表面につながっていなくてもよく、細胞質性、核性であってよく、又は一緒に細胞から放出されてもよい。非細胞関連受容体は、可溶性受容体又はリガンドと呼ばれる。
【0032】
本明細書で引用する全ての刊行物又は特許は、適宜明示されているかどうかによらず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本発明の時点での当該技術分野の状態を示し、及び/又は、本発明の説明及び使用可能性を提供する。刊行物は、任意の科学刊行物若しくは特許公報、又は全ての記録された電子若しくは印刷型式を含む、任意のメディア型式で利用可能な他の任意の情報を指す。以下の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1987〜2001);Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989);Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989);Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994〜2001);Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY(1997〜2001)。
【0033】
遺伝子パネルの同定及び検証
本発明は、UCの症状、特に直腸の粘膜層及び結腸の全体又は一部を調節する組成物をスクリーニングする新規な方法を提供する。本明細書で使用するとき、「UC」又は文法的等価物は、下痢、直腸出血、テネスムス、粘液の通過、及び痙攣性の腹痛によって特色づけられる疾病状態又は症状を意味する。
【0034】
一態様において、遺伝子の発現レベルは、発現プロファイルを提供するために診断情報が所望される種々の患者試料において決定される。特定の試料の発現プロファイルは、本質的に、その試料の状態の「フィンガープリント」であり、2つの状態が、類似に発現されたすべての特定の遺伝子を有する限り、多数の遺伝子の評価は、同時に、患者試料の状態に独特な遺伝子発現プロファイルの生成を可能にする。即ち、正常な組織は病巣組織と区別でき、そして治療された患者からの組織は未治療の患者と区別できる。既知である種々の疾病状態の組織の発現プロファイルを比較することによって、これらの状態の各々において重要である遺伝子に関する情報(遺伝子の上方調節及び下方調節の両方を含む)が得られる。
【0035】
疾病組織において分別的に発現される配列(遺伝子)の同定は、多くの方法におけるこの情報の使用を可能にする。例えば、特定の治療レジメンについての評価を評価することができる。
【0036】
このことは、重要な疾病遺伝子のセットを含むバイオチップを作製することによって実施されてもよく、次いで、これがこれらのスクリーニングにおいて使用され得る。またこれらの方法は、タンパク質に基づいて実施されてもよい、即ち、UC関連遺伝子産物タンパク質のタンパク質発現レベルが、診断目的のため又は候補薬剤のスクリーニングのために評価されてもよい。加えて、UC関連遺伝子プロファイルを含む核酸配列は、治療に先立ち、患者が療法に対して応答しやすいかどうかを測定するために使用できる。
【0037】
UCに関連する遺伝子配列は、核酸配列及びアミノ酸配列のいずれをも含むことができる。好ましい実施形態では、UCに関連するする遺伝子配列は組み換え核酸である。本明細書において、用語「組み換え核酸」は、概してポリメラーゼ及びエンドヌクレアーゼによる核酸の操作によって、通常は天然には見出されない形態で、元来体外で形成される核酸を意味する。したがって、線状形態である単離された核酸、又は通常は繋がれていないDNA分子を連結することによって体外で形成された発現ベクターは、どちらも本発明の目的のための組み換え体として考慮される。一度組み換え核酸が作製され、宿主細胞又は微生物中に再導入されると、かかる核酸は組み換えられることなく(即ち、体外操作によるよりも宿主細胞の生体内の細胞機構を用いて)複製されるであろうことが理解されるが、このような核酸は一度組み換え体として産生されると(続く複製は非組み換え的に行われるが)、引き続き本発明の目的のための組み換え体であるとみなす。
【0038】
本発明を実施する方法
本発明は、コンピュータ内(in silico)での、2つ以上の試料における結合分子(例えば核酸配列)の相対的な量に依るアレイに基づく方法を提供する。同様に、2つ以上の試料において結合分子(例えば核酸配列)の相対的な量を判定し、判定された相対的な結合量を用いて、特定の治療に対する応答性を予測し、療法治療を監視し効果を高める、コンピュータにより実行される方法が提供される。
【0039】
本発明の方法を実施する際、標識された生体分子(例えば核酸)の2つ以上の試料は2つ以上のアレイに適用され、アレイは、固定化結合分子(例えば標識された試料核酸にハイブリダイズする能力を有する、固定化された核酸)と実質的に同一である相補体を有する。典型的には2つ以上のアレイが、同一のアレイの複数のコピーである。しかしながら、核酸及び他のもののアレイに典型的である、アレイ上の各「スポット」、「クローン」又は「フィーチャー」は、類似の生体分子(例えば同じ配列の核酸)を有し、各スポット中の生体分子(例えば核酸)は既知であることから、本発明に用いられる複数のアレイでは配置が同じである必要はなく、基板上の各フィーチャーの位置のみが必要であることは既知であり、即ちアレイはアドレスを有する。したがって、一態様では、試料中の複数の生体分子(例えば核酸)は競合的にアレイに結合し(例えば同時にハイブリダイズして)、集められた情報はコード化されるので、結果はフィーチャー(例えば核酸配列)の固有の特徴に基づき、その基板上の位置に基づくものではない。
【0040】
核酸の増幅
オリゴヌクレオチドプライマーを用いる増幅を、本発明の組成物及び方法に使用される核酸を生成するため、及びアレイにハイブリダイズする試験試料又は対照試料のレベルを検出又は測定するため、などで使用することができる。当事者は、適切なオリゴヌクレオチド増幅プライマーを選択及び設計することができる。増幅方法は当該技術分野において周知であり、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、PCR(PCR PROTOCOLS,A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS,ed.Innis,Academic Press,Inc.,N.Y.(1990)及びPCR STRATEGIES(1995),ed.Innis,Academic Press,Inc.,N.Y.)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、Wu(1989)Genomics 4:560;Landegren(1988)Science 241:1077;Barringer(1990)Gene 89:117参照);転写増幅(例えば、Kwoh(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173);及び、自己維持(self-sustained)配列複製(例えば、Guatelli(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874参照);Qベータレプリカーゼ増幅(例えば、Smith(1997)J.Clin.Microbiol.35:1477〜1491参照)、自動Qベータレプリカーゼ増幅アッセイ(例えば、Burg(1996)Mol.Cell.Probes 10:257〜271参照)及び他のRNAポリメラーゼ媒介技術(例えば、NASBA、Cangene、Mississauga、Ontario)を含む;またBerger(1987)Methods Enzymol.152:307〜316;Sambrook;Ausubel;米国特許第4,683,195号及び同第4,683,202号;Sooknanan(1995)Biotechnology 13:563〜564を参照のこと。
【0041】
核酸ハイブリダイズ
本発明の方法を実施するにあたり、核酸の試験及び対照試料を、固定化された核酸プローブ(例えばアレイ上の)とハイブリダイズさせる。代替的な態様においては、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄条件は、中程度の条件下で、厳しい条件下で、及び非常に厳しい条件下で実行される。核酸のハイブリダイゼーションのための広範な手引は、例えばSambrook Ausubel,Tijssenに見出される。一般的に、極めて厳しいハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、定義されたイオン強度及びpH下で、特異的な配列用に熱融解温度(Tm)よりも約5℃低く選択される。Tmは、(定義されたイオン強度及びpH下で)完全に適合するプローブに、標的配列の50%がハイブリダイズする温度である。非常に厳しい条件が選択されると、特定のプローブについてのTmと等しいものになる。相補的な核酸(サザン又はノーザンブロットにおけるアレイ又はフィルタ上で100個以上の相補的な残基を有する)のハイブリダイゼーションのための、厳しいハイブリダイゼーション条件の例は、標準的なハイブリダイゼーション溶液を用いて42℃であり(例えばSambrookを参照されたい)、ハイブリダイゼーションは一晩実行される。極めて厳しい洗浄条件の例は、0.15MのNaClで、72℃で約15分間にわたる。厳しい洗浄条件の例は、0.2×SSC洗浄液で、65℃で15分間にわたる(例えば、Sambrookを参照されたい)。多くの場合、高ストリンジェンシー洗浄は、バックグラウンドのプローブシグナルを除去するために溶媒即ち厳しさの低い洗浄に先行する。二本鎖(例えば100ヌクレオチド以上)についての中ストリンジェンシー洗浄の例は、1×SSCで、45℃で15分間にわたる。二本鎖(例えば100ヌクレオチド超過)についての低ストリンジェンシー洗浄の例は、4〜6×SSCで、40℃で15分間にわたる。
【0042】
本発明の組成物及び方法の代替的な態様(例えば、アレイを備える比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)などの、比較核酸ハイブリダイゼーションの実施における)では、蛍光色素Cy3(登録商標)及びCy5(登録商標)が、2つの試料からの異なる標識核酸断片(例えば、アレイ固定化核酸対試料核酸、又は対照から生成される核酸対試験細胞若しくは試験組織から生成される核酸)のために使用される。多くの市販の装置が、これらの2つの色素の検出を収容するよう設計されている。蛍光剤(fluors)であるCy5(登録商標)、又は他の酸化感受性化合物の安定性を向上させるために、抗酸化剤及びフリーラジカルスカベンジャーをハイブリダイゼーション混合液(ハイブリダイゼーション溶液及び/又は洗浄溶液)中に使用することができる。したがって、Cy5(登録商標)シグナルは劇的に上昇し、より長いハイブリダイゼーション時間が可能になる。国際公開第0194630 A2号及び米国特許出願第20020006622号を参照されたい。
【0043】
ハイブリダイゼーション感度の更なる向上のために、ハイブリダイゼーションは調節された、湿度が不飽和な環境で実行することができ、したがってハイブリダイゼーション効率は、湿度が飽和でない場合に有意に改善される。国際公開第0194630 A2号及び米国特許第20020006622号を参照されたい。ハイブリダイゼーション効率は、湿度が動的に調節される場合に、即ちハイブリダイゼーションの間に湿度が変化する場合に改善され得る。質量移動(Mass transfer)は動的に平衡化された湿度環境において促進されるであろう。ハイブリダイゼーション環境における湿度は、段階的に又は連続的に調節することができる。プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、洗浄及び/又は検出段階の間に、操作者に湿度の調節を可能にさせるハウジング及びコントロールを含むアレイデバイスを使用することができる。デバイスは、湿度及び温度制御(それらは一定及び正確であるか又は変動する(flucturate))、並びに全体の手順サイクル(プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、洗浄及び検出工程が含まれる)中の他のパラメータを予めプログラミングすることを可能にするために、検出、制御、及びメモリ要素を有することができる。国際公開第0194630 A2号及び米国特許出願第20020006622号を参照されたい。
【0044】
本発明の方法は、浸透圧の変動を含むハイブリダイゼーション条件を含むことができる。ハイブリダイゼーション効率(即ち平衡までの時間)はまた、高/低浸透圧性(例えば溶質勾配)の変化を含む、ハイブリダイゼーション環境によって高めることもできる。溶質勾配はデバイス中に作り出す。例えば、低塩濃度ハイブリダイゼーション溶液をアレイハイブリダイゼーションチャンバの片面上に配置し、高塩濃度のバッファを他方の面上に配置することで、チャンバに溶液勾配を生成する。国際公開第0194630 A2号及び米国特許第20020006622号を参照されたい。
【0045】
反復性核酸配列のハイブリッド形成する能力のブロッキング
本発明の方法は、固定化された核酸セグメントにおいて、反復性核酸配列のハイブリッド形成する能力をブロッキングする(即ち「ハイブリッド形成能」をブロッキングする)工程を含むことができる。試料核酸配列中の反復性核酸配列のハイブリッド形成能は、試料核酸配列と、非標識の又は代替的に標識された反復性核酸配列とを混合することによってブロックすることができる。試料核酸配列は、アレイの固定化核酸セグメントと接触させる工程の前に反復性核酸配列と混合することができる。ブロッキング配列は、例えばCot−1 DNA、鮭精子DNA、又は特異的な反復性ゲノム配列である。反復性核酸配列は非標識であってもよい。反復配列のハイブリッド形成能を除去及び/又は不能にする(例えばCot−1を用いて)、数多くの方法が既知である、例えば、Craig(1997)Hum.Genet.100:472〜476、国際公開第93/18186号を参照されたい。反復性DNA配列は、ライブラリプローブから磁気精製及びアフィニティーPCRの手法で除去することができる(例えばRauch(2000)J.Biochem.Biophys.Methods 44:59〜72を参照されたい)。
【0046】
アレイは一般的に、「スポット」若しくは「クラスタ」、又は「フィーチャー」として定義される、プレートの表面上に固定化された複数の標的要素であり、各標的要素は、試料中の分子に特異的に結合(例えばハイブリッド形成)するために、固体表面に対して固定化させた1つ以上の生体分子(例えば核酸又はポリペプチド)を含んでいる。固定化させた核酸は、具体的なメッセージ(例えば、cDNAライブラリなど)又はヒトゲノムを含む遺伝子(例えば、ゲノムライブラリ)からの配列を含有することができる。他の標的要素には、参照配列及び同等のものを含有することができる。アレイの生体分子は異なる大きさ及び異なる密度で固体表面上に配列してよい。アレイ上の、クラスタにおける生体分子の密度及びクラスタの数は、例えば標識の性質、固体支持体、基板表面の疎水性の程度、及び同等のものなどの、因子の数によって決められるだろう。各フィーチャーは、実質的に同一の生体分子(例えば核酸)、又は生体分子の混合物(例えば異なる長さ及び/又は配列の核酸)を含むことができる。したがって、例えば、フィーチャーはDNAの複製小片のコピーを2つ以上含有してもよく、各コピーは異なる長さの断片に切断することができる。
【0047】
生体分子(例えば核酸)が固定化されたアレイ基板表面には、ニトロセルロース、ガラス、石英、石英ガラス、プラスチック及び同様のものが挙げられ、以下に更に詳細に議論される。本発明の組成物及び方法は、米国特許第6,344,316号、同第6,197,503号、同第6,174,684号、同第6,159,685号、同第6,156,501号、同第6,093,370号、同第6,087,112号、同第6,087,103号、同第6,087,102号、同第6,083,697号、同6,080,585第号、同第6,054,270号、同第6,048,695号、同第6,045,996号、同第6,022,963号、同第6,013,440号、同第5,959,098号、同第5,856,174号、同第5,843,655号、同第5,837,832号、同第5,770,456号、同第5,723,320号、同第5,700,637号、同第5,695,940号、同第5,556,752号、同第5,143,854号において記述されているような、アレイの全体又は部分設計、並びに関連構成部分及び方法に組み入れられており;また、例えば、国際公開第99/51773号、同第99/09217号、同第97/46313号、同第96/17958号、同第89/10977号参照のこと;また、例えば、Johnston(1998)Curr.Biol.8:R171〜174;Schmmer(1997)Biotechnicques 23:1087〜1092;Kem(1997)Biotechnicques 23:120〜124;Solinas−Toldo(1997)Genes,Chromosomes & Cancer 20:399〜407;Bowtell(1999)Nature Genetics Supp.21:25〜32;Epstein(2000)Current Opinion in Biotech.11:36〜41;Mendoza(1999)Biotechnicques 27:778〜788;Lueking(1999)Anal.Biochem.270:103〜111;Davies(1999)Biotechnicques 27:1258〜1261を参照のこと。
【0048】
基板表面
本発明の組成物及び方法において使用できる基板表面には、例えばガラス(例えば米国特許番号第5,843,767号を参照されたい)、セラミックス、及び石英が挙げられる。アレイは、剛性の、半剛性の又は可撓性材料の基板表面を有することができる。基板表面は平ら即ち平面であってよく、あるいはウェル、隆起領域、エッチングした溝、孔、ビーズ、フィラメント、又は同様のものなどの形状であってもよい。基板表面はまた、例えばニトロセルロース、紙、結晶質基材(例えばガリウムヒ素)、金属、半金属、ポリアクリロイルモルホリド(polacryloylmorpholide)、様々なプラスチック及びプラスチックコポリマー、ナイロン(登録商標)、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ラテックス、ポリメタクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、レーヨン、ナイロン、ポリ(ビニルブチレン)、並びに酢酸セルロースなどの様々な材料を含むことができる。基板はコーティングすることができ、基板及びコーティングは官能化することができる(例えばアミンに対して共役可能であるように)。
【0049】
較正配列を含んでいるアレイ
本発明は、アレイに基づくハイブリダイゼーション反応の結果を標準化するために、固定化された較正配列を含んでいるアレイ、及び例えば較正配列のコピー数対「標準」即ち「較正」比プロファイルを判定するために、これらの較正配列を用いるための方法、の使用を想到する。較正配列は、アレイ上の固定化された核酸配列中のユニークな配列として、実質的に同一のものであることができる。例えば、アレイ上の各「スポット」又は「生物部位(biosite)」からの「マーカー」配列(スポット上にのみ存在し、そのスポットについての「マーカー」にする配列)は、1つ以上の「対照」又は「較正」スポット上の対応する配列で表現される。
【0050】
「対照スポット」即ち「較正スポット」は「標準化」のために用いられ、信頼性と再現性についての情報を提供する対照スポットはアレイに対してハイブリダイズした標識試料とは無関係に、一貫性のある結果を提供することができる(又は試料からの標識した結合分子)。対照スポットは「標準化」即ち「較正」曲線を生成して、シリコン内での本発明のアレイに基づく方法において使用される、2つ(以上の)のアレイ間に生じ得る強度誤差をオフセットするために使用することができる。
【0051】
アレイ上の対照を生成する方法の1つが、アレイ上にスポットされた全ての生体分子(例えば核酸配列)の等モル混合物に使用され、単一のスポットを生成する。この単一のスポットは、アレイ上の全ての他のスポットと等量の生体分子(例えば核酸配列)を有し得る。複数の対照スポットは、等モル混合物の濃度を変化させることにより生成することができる。
【0052】
試料及び標本
特定の細胞、組織又は他の標本から、試料核酸を単離し、クローン化し、又は抽出することができる。核酸試料が調製される細胞又は組織試料は、典型的にはUC又は関連する状態を有しているか又は有していると疑われる患者から採られる。細胞及び組織試料を単離する方法は当業者に周知であり、限定するものではないが、吸引法、組織切片法、針生検法、及び同様の方法などが挙げられる。しばしば試料は「臨床試料」であり得、全血、又は例えば組織学的な目的のために採られた凍結切片若しくはパラフィン切片などの組織切片を含む、患者由来の試料である。試料はまた、(細胞の)上清又は患者若しくは細胞培養物から採られた細胞そのもの、又は組織培養からの細胞、又は候補剤に対する応答を検出するのに望ましいものであり得る他の培養液からの細胞由来であることができる。場合によっては、核酸はハイブリダイゼーションに先立ちPCRなどの標準的な技術を用いて増幅してもよい。
【0053】
一実施形態では、本発明は疾病の退行又は回復を予測する、治療前の方法(pre-treatment method)である。かかる方法は、(1)UC又は関連する疾病若しくは疾患であると診断された個体から、結腸生検又は他の標本を採ることと、(2)パネルのプロファイル遺伝子の発現レベルを測定することと、(3)治療応答者(treatment responder)から、遺伝子の治療前発現レベルと、治療前参照プロファイルとを比較することと、(4)遺伝子パネルの発現レベルを監視することによって治療応答性を予測することと、を含む。
【0054】
バイオマーカーの有用性を評価する方法
疾病の治療又は予後に対しての患者の応答性を評価することに関する、本発明のバイオマーカー遺伝子パネルの予後診断的な有用性は、患者の病状を評価するための他の手段を用いることによって確認することができる。例えば、限定するものではないが、写真、放射測定、又は磁気共鳴技術によるイメージングなどの特定のイメージング法によって、肉眼での疾病の測定を評価しかつ記録することができる。健康又は疾病の一般的な指標には、血清又は血液組成物(タンパク質、肝臓酵素、pH、電解質、赤血球容積、ヘマトクリット、ヘモグロビン、又は特定のタンパク質)が更に挙げられる。しかしながら、一部の疾病では病因に対しての理解は未だに乏しい。UCはかかる疾病の1つの例である。
【0055】
患者の評価及び監視
パネルの遺伝子のいくつかは、転写因子、複製タンパク質、及びオキシダーゼなど、UCの患者において異常に発現されることがこれまでに報告されている遺伝子の部類に属しており、治療の間の遺伝子の発現パターンは、UCの治療面で研究されておらず、予測値を有すると同定されたものはない。本明細書で開示される遺伝子発現バイオマーカーのパネルは、迅速で信頼性のある予測のための方法、UCの治験の臨床転帰を予測する診断ツール、又はUCの治療の有効性を追跡するための予後診断ツールの作製を可能にする。これらの遺伝子を検出することに基づく予後診断法が提供される。例えばこれらの組成物は、幅広い免疫媒介性炎症疾患の診断、予防及び治療と結びつけて使用することができる。
【0056】
治療薬
拮抗薬
本明細書で使用するとき、用語「拮抗薬」は、本発明のUC関連遺伝子パネルの遺伝子産物の生物活性を阻害又は中和する物質を指す。このような拮抗薬は、種々の方法でこの効果を実現する。ある部類の拮抗薬は、十分な親和性で遺伝子産物のタンパク質に結合し、タンパク質の生物学的効果を特異的に中和する。この部類の分子に含まれるのは、抗体及び抗体断片(例えば、F(ab)又はF(ab’)2分子など)である。別の部類の拮抗薬は、同種の結合パートナー又は遺伝子産物のリガンドに結合し、それにより遺伝子産物とその同種のリガンド又は受容体との特異的相互作用の生物活性を阻害する、遺伝子産物タンパク質、突然変異タンパク質、又は小有機分子、即ちペプチド模倣薬の断片を含む。UC関連遺伝子拮抗薬は、遺伝子産物の少なくとも1つの生物活性を阻害する物質である限り、これらの部類のいずれであってもよい。
【0057】
拮抗薬には、遺伝子産物タンパク質又はその断片の1つ又はそれ以上の領域に対する抗体、同種のリガンド又は受容体に対する抗体、及び遺伝子産物の少なくとも1つの生物活性を阻害する遺伝子産物又はその同種のリガンドの部分ペプチドが挙げられる。当該技術分野で既知であるような遺伝子配列を標的とするsiRNA、shRNA、アンチセンス分子及びDNAザイムを含む別の部類の拮抗薬が、本明細書に開示されている。
【0058】
好適な抗体には、UC関連遺伝子産物の活性をブロックするか、又はUC関連遺伝子産物がその同種のリガンドに結合するのを妨げるか、又はUC関連遺伝子産物のシグナル伝達を妨げる、UC関連遺伝子産物のモノクローナル抗体との結合に競合するものが挙げられる。
【0059】
UC関連遺伝子産物の誘発因子を治療のための標的にすることは、成功の可能性をより高め得る。遺伝子発現は、siRNA、shRNA、アンチセンス分子及びDNAザイムの使用が挙げられる、いくつかの異なる方法で調節することができる。合成siRNAs、shRNAs、及びDNAザイムは1つ以上の標的遺伝子に特異的に設計することができ、体外でも体内でも、これらは容易に細胞に送達することができる。
【0060】
本発明はアンチセンス核酸分子、即ち、UC関連遺伝子産物ポリペプチド(例えば二本鎖cDNA分子のコード鎖の相補体又はmRNA配列の相補体)をコードしている、センス鎖の核酸に相補的な分子を包含する。したがって、アンチセンス核酸はセンス鎖の核酸に水素結合することができる。アンチセンス核酸は、コード鎖全体又はそのほんの一部、例えば、タンパク質コード領域(即ち翻訳領域)の全て又は一部に相補的であり得る。アンチセンス核酸分子は、UC関連遺伝子産物ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の、非コード領域の全体又は一部に対してアンチセンスであることができる。非コード領域(「5’及び3’非翻訳領域」)は、コード領域に隣接する5’及び3’配列であり、アミノ酸に翻訳されない。
【0061】
本発明はまた、キメラタンパク質又は融合タンパク質を提供する。本明細書で使用するとき、「キメラタンパク質」又は「融合タンパク質」は、異種ポリペプチド(即ち、同じUC関連遺伝子産物ポリペプチド以外のポリペプチド)に操作可能に結合するUC関連遺伝子産物ポリペプチドの全て又は一部(好ましくは生物学的に活性である)を含む。融合タンパク質内では、用語「操作可能に結合(operably linked)」は、UC関連遺伝子産物ポリペプチド及び異種ポリペプチドが互いにインフレームで融合することを示すことを意図する。異種ポリペプチドは、UC関連遺伝子産物ポリペプチドのアミノ末端又はカルボキシル末端に融合することができる。別の実施形態では、UC関連遺伝子産物ポリペプチド又はそのドメイン若しくは活性断片は、異種タンパク質配列又はその断片に融合して、キメラタンパク質を形成することができ、そこではポリペプチド、ドメイン又は断片が端と端とで融合しないが、異種タンパク質のフレームワーク内に介入する。
【0062】
更に別の実施形態では、融合タンパク質は、UC関連遺伝子産物ポリペプチドの全て又は一部が免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバー由来の配列に融合している、免疫グロブリン融合タンパク質である。本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、薬剤組成物に組み込むことができ、また被験者に投与してリガンド(可溶性又は膜結合)と細胞の表面上のタンパク質(受容体)との間の相互作用を阻害して、それにより生体内でのシグナルトランスダクションを抑制することができる。免疫グロブリン融合タンパク質を用いて、UC関連遺伝子産物ポリペプチドの同種のリガンドの生物学的利用能に影響を及ぼすことができる。リガンド/受容体相互作用の阻害は、増殖性及び分化性疾病の治療並びに細胞生存の調節(例えば、促進又は阻害)の両方に対して、治療的に有用であり得る。免疫グロブリンキメラタンパク質の好ましい実施形態は、同時係属出願PCT国際特許WO/04002417において教示されるように、改変されたフレームワーク領域内の間に入れられた活性ポリペプチド断片を有する、CH1ドメイン欠失の免疫グロブリン又は「MIMETIBODY(商標)」作成物である。更に、本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、免疫原として使用することで、UC関連遺伝子産物ポリペプチドに対する抗体を産生して、被験者においてはリガンドを精製することができ、スクリーニングアッセイにおいてはリガンドと受容体との相互作用を阻害する分子を同定することができる。
【0063】
組成物及びその使用
本発明によると、本明細書に記載されている、モノクローナル抗体のような、抗UC関連遺伝子産物拮抗薬の中和を用いて、UC関連遺伝子産物活性を阻害することができる。更に、このような拮抗薬を用いて、リウマチ性疾患を挙げることができるが、これに限定されない、このような治療に適しているUC及びUC関連炎症性疾患の病原性を阻害することができる。治療されるべき個体は、任意の哺乳類であってよく、好ましくは霊長類、哺乳類であるコンパニオンアニマルであり、最も好ましくはヒトの患者である。投与される拮抗薬の量は、使用の目的及び投与方法によって変動する。
【0064】
UC関連遺伝子拮抗薬は、病理学的活性が予防又は停止されることが望ましい組織において効果が得られる多くの方法により投与され得る。更に、抗UC関連遺伝子産物拮抗薬は、UC関連遺伝子産物活性に影響を与えるために局所的に存在する必要はなく、それ故、UC関連遺伝子産物を含有する身体区画又は体液にアクセスできる場所であればどこにでも投与してよい。炎症を起こした、悪性の又は別の方法で易感染性である組織の場合、これらの方法には、拮抗薬を含有する製剤を直接適用することを挙げてもよい。このような方法には、液体組成物の静脈投与、液体若しくは固体製剤の経皮投与、経口、局所性投与、又は間質性若しくは手術中投与(inter-operative)が挙げられる。投与は、その主な機能が薬物送達賦形剤としての機能ではない場合があるデバイスの移植により影響を受ける場合がある。
【0065】
抗体の場合、好ましい用量は約0.1mg/kg〜100mg/kg(体重)(一般に約10mg/kg〜20mg/kg)である。抗体が脳で作用する場合、約50mg/kg〜100mg/kgの用量が通常適切である。一般に、部分的ヒト抗体及び完全なヒト抗体は、他の抗体よりもヒトの体内で長い半減期を有する。したがって、より少ない用量かつより少ない頻度の投与での使用が可能であることが多い。脂質化のような修飾を用いて、抗体を安定化し、(例えば、脳への)取り込み及び組織透過性を高めることができる。抗体の脂質化の方法は、Cruikshank et al.((1997)J.Acquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology 14:193)によって記述されている。
【0066】
UC関連遺伝子産物拮抗薬の核酸分子をベクターに挿入し、遺伝子治療用ベクターとして用いることができる。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与(米国特許第5,328,470号)により、又は定位注射(例えば、Chen et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054〜3057を参照のこと)によって被験者に送達することができる。遺伝子治療用ベクターの医薬品には、許容可能な希釈剤中の遺伝子治療用ベクターを挙げることができる、又はそれは遺伝子送達賦形剤が埋め込まれた徐放性マトリックスを含むことができる。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターを組み換え細胞、例えば、レトロウイルスベクターからインタクトに生成できる場合、医薬品は遺伝子送達系を生成する1つ又はそれ以上の細胞を含むことができる。
【0067】
薬剤組成物は、投与の指示書とともに、容器、パック又はディスペンサに入れることができる。
【0068】
薬理ゲノミクス
薬剤、又は本明細書に記載されるスクリーニングアッセイにより同定されるような、UC関連遺伝子産物ポリペプチドの活性又は発現に影響を及ぼす、刺激又は阻害効果を有するモジュレーターを、ポリペプチドの異常な活性に関連する疾患を治療(予防的に又は治療的に)するために、個体に投与することができる。このような治療とともに、個体の薬理ゲノミクス(即ち、個体の遺伝子型間の関連性及び外来化合物又は薬物に対する個体の応答性の調査)を考察することができる。治療の代謝における差異は、薬理学的な活性剤の投与量と血中濃度との間の関係を変更することで、重度の毒性又は治療の不全を引き起こし得る。したがって、個体の薬理ゲノミクスは、個体の遺伝型に対する考慮に基づいた、予防治療又は治療のための効果的な剤(例えば薬剤)の選択を可能にする。このような薬理ゲノミクスは更に、適切な投与量と治療レジメンを判定するために使用することができる。したがって、個体におけるUC関連遺伝子産物ポリペプチドの活性、UC関連遺伝子産物核酸の発現、又はUC関連遺伝子産物の遺伝子の変異内容を判定して、個体に対する治療又は予防治療に適切な薬剤を選択することができる。
【0069】
薬理ゲノミクスは、薬物の変更された体内動態及び罹患しているヒトの異常な機能に起因する、薬剤に対する応答性について臨床的に有意である遺伝変異を取り扱う。例えば、Linder(1997)Clin.Chem.43(2):254〜266を参照のこと。一般的に、2種類の薬理遺伝的な条件が差別化され得る。体に対する薬剤の作用の仕方を変更する1つの要因として伝達される遺伝的な条件は、「薬物作用の変更」として参照される。薬剤に対する体の作用の仕方を変更する1つの要因として伝達される遺伝的な条件は、「薬物代謝の変更」として参照される。これらの薬理遺伝学的な条件は、まれな欠損又は遺伝子多型のいずれかとして生じうる。例えば、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)の欠損は一般的に遺伝される酵素病であり、酸化剤(抗マラリア剤、スルホンアミド、鎮痛剤、ニトロフラン)の摂取及びソラマメの摂取後の溶血が主な臨床の合併症である。
【0070】
例示的な実施形態としては、薬剤代謝酵素の活性は薬剤作用の強さ及び持続時間の両方の重要な決定因である。薬剤代謝酵素(例えば、N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT 2)、及びシトクロムP450酵素のCYP2D6及びCYP2C19)の遺伝的多型の発見は、何故一部の患者が予測される薬剤効果を獲得しないのか、又は標準的で安全な薬物の投与量を採った後で、過剰な薬物応答及び深刻な毒性を示すのかを説明するものとして提供される。これらの遺伝子多型は、集団において2つの表現型、高代謝群(EM)及び低代謝群(PM)として発現する。PMの羅患率は異なる集団の間で異なる。例えば、CYP2D6についての遺伝子コードは、非常に遺伝子多型的であり、いくつかの変異が全てCYP2D6の機能の欠損を導くものとしてPMにおいて同定されてきた。CYP2D6及びCYP2C19の低代謝群は、標準的な投与量を受け入れるときに、かなり頻繁に過剰な薬物応答及び副作用に悩まされる。例えば代謝産物が治療上の活性成分であるとき、PMは、CYP2D6により形成される代謝産物のモルヒネによって媒介される、コデインの鎮痛効果について示されるような、治療的な応答を示さないだろう。他の極端なものは標準的な投与量に対して応答しない、いわゆる超高速代謝群である。近年では、超高速代謝群の分子的機序はCYP2D6遺伝子増幅に起因するものであると同定されてきた。
【0071】
したがって、個体におけるUC関連遺伝子産物ポリペプチドの活性、ポリペプチドをコードしている核酸の発現、又はポリペプチドをコードしている遺伝子の変異内容を判定して、個体に対する療法又は予防治療に適切な薬剤を選択することができる。加えて、薬理遺伝学な研究は、薬物代謝酵素をコードしている対立遺伝子多型の遺伝子型を適用して、個体の薬物応答性の表現型を同定するために使用することができる。この知識は、投与又は薬物選択に適用されるときに副作用又は治療の不全を避けることができ、ひいては本明細書に記載される例示的なスクリーニングアッセイのうちの1つで同定されるモジュレーターのような、ポリペプチドの活性化又は発現のモジュレーターで患者を治療するとき、治療又は予防効率が高まる。
【0072】
治療方法
本発明は、疾病の危険性を有する(又は疾病になりやすい)、又はUC関連遺伝子産物ポリペプチドの異常な発現若しくは活性に関連する及び/若しくはUC関連遺伝子産物ポリペプチドが関与している疾病を有する被験者を治療する、予防方法及び治療方法をともに提供する。
【0073】
本発明は、少なくとも1つのUC関連遺伝子産物拮抗薬を用いて、当該技術分野で既知であるか又は本明細書に記載されているような、細胞、組織、器官、動物又は患者の、少なくとも1つのUC関連遺伝子産物に関連する疾病若しくは状態を調節又は治療する方法を提供する。
【0074】
UC関連遺伝子産物拮抗薬の組成物は、UC又は関連する状態、例えばクローン病又はその他の胃腸性の疾患の治療における治療的使用を見出だすことができる。
【0075】
本発明はまた、限定するものではないが、胃潰瘍、炎症性腸疾患、UC、クローン病の症状、及び同様の疾病などのうちの少なくとも1つが挙げられる、細胞、組織、器官、動物又は患者における、少なくとも1つの、胃腸性の、免疫に関連する疾患を調節又は治療する方法を提供する。例えば、Merck Manual,12th〜17th Editions,Merck & Company,Rahway,NJ(1972,1977,1982,1987,1992,1999),Pharmacotherapy Handbook,Wells et al.,eds.,Second Edition,Appleton and Lange,Stamford,Conn.(1998,2000)を参照し、それぞれ参照することによってその全体が組み込まれる。
【0076】
UC関連遺伝子産物ポリペプチドの異常な発現又は活性を特徴とする疾病については、本開示の他の箇所で更に説明される。
【0077】
1.予防的方法
一態様において、本発明は、ポリペプチドの発現又は少なくとも1つの活性を調節する薬剤を被験者に投与することにより、UC関連遺伝子産物ポリペプチドの異常な発現若しくは活性に関連する疾病又は状態を、被験者において少なくとも実質的に予防する方法を提供する。UC関連遺伝子産物の異常な発現又は活性を原因とする又はそれに起因する疾病のリスクを有する被験者は、例えば、本明細書に記載するような診断若しくは予後アッセイのいずれか又は組み合わせにより同定され得る。予防薬の投与は、疾患又は疾病を予防する、あるいはその進行を遅らせるように、異常型の特徴を有する症状が顕在化する前に行うことができる。異常型の種類に応じて、例えば、作用薬又は拮抗薬を被験者の治療に用いることができる。適切な剤は、本明細書に記載するスクリーニングアッセイに基づいて決定することができる。
【0078】
2.治療的方法
本発明の別の態様は、治療目的のために、UC関連遺伝子若しくは遺伝子産物の発現又は活性を調節する方法に関する。本発明の調節方法は、ポリペプチドの1つ又はそれ以上の活性を調節する剤と、細胞を接触させることを含む。活性を調節する剤は、核酸若しくはタンパク質、ポリペプチドの天然由来の同種リガンド、ペプチド、ペプチド模倣薬、又は他の小分子のような、本明細書に記載する剤であることができる。1つの実施形態では、剤は、ポリペプチドの生物活性の1つ又はそれ以上を刺激する。別の実施形態では、薬剤は、UC関連遺伝子又は遺伝子産物ポリペプチドの生物活性の1つ以上を阻害する。このような阻害剤の例には、アンチセンス核酸分子及び抗体、並びに本明細書に記載する他の方法が挙げられる。これらの調節方法は、生体外で(例えば、剤とともに細胞を培養することにより)又は、あるいは、生体内で(例えば、被験者に剤を投与することにより)実施することができる。このように、本発明は、UC関連遺伝子産物ポリペプチドの異常な発現若しくは活性を特徴とする疾病又は疾患に罹患している個体を治療する方法を提供する。1つの実施形態では、方法は、発現若しくは活性を調節する(例えば、上方調節又は下方調節)、剤(例えば、本明細書に記載するスクリーニングアッセイにより同定された剤)又は剤の組み合わせを投与することを含む。活性の阻害は、活性若しくは発現が異常に高いか若しくは上方調節されている状況で、及び/又は、活性の低下が有益な効果を有する可能性がある状況で、望ましい。
【0079】
本発明は一般条件で記述されてきているが、本発明の実施形態は、特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない以下の実施例で更に開示される。
【実施例】
【0080】
実施例1:試料採取及び解析
患者
インフリキシマブ(IFX)5mg/kg又は10mg/kgのいずれかを受けている22人の患者のサブグループから0週目で得た23の生検材料(10人のノンレスポンダーから11の生検材料、及び12人のレスポンダーから12の生検材料;ノンレスポンダーの生検材料のうち2つは同じ被験者から2週間以内に入手した)を解析した。メッセンジャーRNAを、インフリキシマブを受ける前の生検材料から単離し、標識し、Affymetrix HGU133Plus_2.0アレイにハイブリダイズした。個々のデータセットによって予測応答シグニチャーを検証した。患者の適格基準、ランダム化、及び試験手順を含むACT1の試験デザイン(ClinTrials.gov Identifier NCT00036439)は、詳細に前述されている。
【0081】
生検材料は、ACT1無作為患者のサブセットからプロトコルで指定された複数の時点で採取された。全生検材料は、施設内倫理委員会の規定にしたがって採取された。各サイトの施設内倫理委員会又は倫理委員会はプロトコルを承認し、患者全てにインフォームドコンセントを行った。
【0082】
応答は8週目に判定された。インフリキシマブに対する応答は、完全な粘膜治癒であり(即ち、メイヨー内視鏡サブスコアが0又は1)、UC組織学的スコアはグレード0又は1であると定義された。粘膜治癒を達成しなかった患者はノンレスポンダーと考えられたが、何人かの患者は組織所見の改善を示した。このコホートの基本特性は以下の表1に提示されている。
【0083】
腸の生検試料及びRNA調製
0週目に行った内視鏡検査の間に肛門縁から15〜20センチメートルの生検材料を採取した。生検材料を液体窒素の中で急速冷凍し、プロセシングまで−80℃で保存した。総RNAは、RNeasyミニキットを用いて、メーカー(Qiagen Inc.,Valencia,CA)の取扱説明書にしたがって単離された。RNAの量及び質は2100Bioanalyzer(Agilent Technologies Inc.,Palo Alto,CA)を用いて解析された。
【0084】
インフリキシマブで治療されている24人のUC患者から採取した生検材料の独立検証コホートは、University Hospital Gasthuisberg(Leuven Belgium)から入手した。生検材料は、5mg/kgインフリキシマブの静脈内注射の1週間前に得た。mRNA発現のためのプロセシングの前に生検材料を−80℃で冷凍した。上記のように定義される応答により、注入後4〜6週間でインフリキシマブに対する応答が判定された。ACT1標本で用いたのと同じ方法を用いて、Leuvenコホート標本をmRNA単離及びハイブリダイゼーショのためにプロセシングした。
【0085】
マイクロアレイハイブリダイゼーション
メーカー(Affymetrix,Santa Clara,CA)の手順書にしたがって、GeneChip Human Genome U133 Plus 2.0アレイでマイクロアレイハイブリダイゼーションを実施した。このチップは、38,500の明確に特徴付けられた人間の遺伝子を含む47,000を超える転写物及び変異体の発現レベルの解析を可能にする。GeneChip Scanner 3000でチップを走査し、GeneChip Operating Software version 1.4(Affymetrix,Santa Clara,CA)を用いてアレイの各フィーチャーの蛍光強度を得た。
【0086】
マイクロアレイデータ解析
データの品質は、ハイブリダイゼーション強度分布、及びPartek Genomic Suite 6.3(Partek Inc.,St.Charles,MO)を用いたピアソンの積率相関によって評価された。ピアソンの積率相関係数は0.80〜1.0の範囲であった。プローブセットの強度をGeneSpringGX7.3(Agilent Technologies,Palo Alto,CA)を用いて全試料にわたって正規化した。
【0087】
インフリキシマブのノンレスポンダー試料とレスポンダー試料との間の有意差を、log−2変換正規化強度の分散分析(ANOVA)を用いて同定した。5%過誤発見率(FDR)を複数検査補正に適用した。2倍を超える差次的発現を有する転写物を解析対象比較として選択した。ANOVA及び倍率変更フィルタリングをパスしたが、一対比較の両方の条件で検出されなかったプローブセットを除外するために、症状を呈した試料のうち少なくと1回「present」(検出)又は「marginal」(限界検出)と表わされた試料のみを選択した。
【0088】
分類予測解析
各患者試料のインフリキシマブ応答性の分類を、GeneSpring GX 7.3を用いて「k−最近傍推定」アルゴリズムによって生成した。インフリキシマブ治療の前にノンレスポンダー(n=11試料)とレスポンダー(n=12試料)との間に有意な差次的発現を示した転写物を含む分類子を、リーブワンアウトクロスバリデーションによって評価した。偶然分類される試験試料の確率を測定するためにP値を計算した。フィッシャーの正確テスト(Fisher's Exact Test)を用いて上位予測転写物を選択した。
【0089】
教師なしクラスタ分析
階層的クラスタ分析をマイクロアレイデータ解析から得たデータに適用した。2個の遺伝子又は患者の発現プロファイルの間のピアソン相関関係を用いてクラスタ化を実行して、GeneSpringGX 7.3で相似行列を計算した。結果は、一方は患者間の類似性を示し、他方は遺伝子間の類似性を示す2つの系統樹(図示せず)を有する二次元ヒートマップとして可視化された。
【0090】
機能注釈
National Institutes of Health DAVIDオンライン(http://david.abcc.ncifcrf.gov/)を用いて遺伝子注釈濃縮解析を行った。フィッシャーの正確テストを用いて統計的有意性を判定した。p値≦0.05を有する機能別カテゴリーは有意であると考えられた。
【0091】
レスポンダーとノンレスポンダーとを区別する基準遺伝子シグニチャー
インフリキシマブ治療の前0週目の粘膜生検材料の発現プロファイルを、22人の患者(10人のノンレスポンダーから11の生検材料、及び12人のレスポンダーから12の生検材料;ノンレスポンダーの生検材料のうち2つは同じ被験者から2週間以内に入手した)から8週目のインフリキシマブに対する応答に基づいて確立した。102の上方調節及び7つの下方調節からなる全部で109個のプローブセットは5%過誤発見率及び90個の遺伝子を示す2倍差次的カットオフをパスした。
【0092】
生物過程に分類すると、先天性の免疫プロセスが優勢であった。5つの最も優勢な先天性の免疫プロセスは、防御応答、免疫応答、シグナルトランスダクション、他の生物に対する応答、及び有害生物、病原体、又は寄生生物に対する応答であった(図1)。10個のプローブセットのメンバーはサイトカイン/ケモカイン又はサイトカイン/ケモカイン受容体であった。プローブセットに含ませたのは、CXCL8/インターロイキン(IL)−8、好中性多形核白血球(PMN)に対する走化性ケモカインであった。CXCL8/IL−8、CXCR1/IL−8RA、及びCXCR2/IL−8RBの受容体もまた存在した。同様に存在したのはCXCL11/I−TAC、T細胞及びナチュラルキラー細胞を活性化させる化学走化性因子であった。最後に、ノンレスポンダーとレスポンダーを比較する際、IL−1β、IL−1RN、及びIL−11は全て4倍以上上方調節された。
【0093】
レスポンダー及びノンレスポンダーの分類予測解析
フィッシャーの正確テストを用いて、0週目に分別的に発現されることが分かっている109個のプローブセット内でノンレスポンダーとレスポンダーとを区別する上位予測プローブセットを選択した。20個プローブセットのサブセットは、0週目のノンレスポンダー及びレスポンダーを、95.4%(21/22)の精度(91.7%(11/12レスポンダー)の感度及び100%(10/10ノンレスポンダー)の特異度)で分類した(表2)。免疫応答(IL−1β、TLR2、TREM1、及びLILRA1)、シグナルトランスダクション(PDE4B、PBEF1、及びFCN1)又はGタンパク質結合受容体タンパク質シグナル経路(GPR109B、C5AR1[C5R1]、及びFPRL1)に関与する遺伝子が示された。これら20個の遺伝子のうち8個は、活性UCの患者から採取した結腸粘膜中に大量に存在するPMNによって発現した。20個のプローブセット分類子の階層的クラスタ化は、ノンレスポンダー及びレスポンダー(図示せず)の明らかな分離を示した。同等の分類を可能にする最小数の転写物を続いて判定した。上記20個から選択されたわずか5個のプローブセットを有する分類子は、90.9%(20/22)の精度(91.7%の感度(11/12レスポンダー)及び90.0%の特異度(9/10ノンレスポンダー))に達することができた(表2及び3)。得た5個の遺伝子は、BCL6、CREB5、C5AR1、FPRL1、及びOSMであった。BCL6及びCREB5は共にわずかに高い予測強度を有し、残りの3個の遺伝子は等しい予測強度を有した。注目すべきは、残りの15個の遺伝子のいずれも、5個のプローブセット分類子の予測品質に対する損失なしにC5AR1、FPRL1、及びOSMの代わりになることができた(データは図示せず)。ノンレスポンダーとレスポンダーとを比べると、10人のノンレスポンダー及び12人のレスポンダーにわたる5個のプローブセット分類子の階層的クラスタ化は、5個のプローブセット全てにわたる非常に対照的な発現プロファイルとの顕著な分離を示した(図示せず)。1つの誤って分類されたレスポンダーは、CREB5を除いてノンレスポンダーと非常に良く似た発現プロファイルを有した。最後に、図2は、正規化されたなまの強度を用いた5個の遺伝子分類子のドットプロット表示を示し、ノンレスポンダーとレスポンダーを比較する基準において5個の遺伝子のそれぞれに関して顕著な相違が見られる。
【0094】
分類予測検証
16人のノンレスポンダー及び8人のレスポンダーで構成される独立した検証試験セットをLeuvenコホートとして用いて、20個及び5個のプローブセット分類子を検証した。両方の分類子に関して75%(18/24)の精度(87.5%の感度(7/8レスポンダー)及び68.8%の特異度(11/16ノンレスポンダー))が得られた。16人のノンレスポンダー及び8人のレスポンダーの間の20個のプローブセット分類子の階層的クラスタ化は、4人の誤って分類されたノンレスポンダー及び1人の誤って分類されたレスポンダーが、それぞれレスポンダー及びノンレスポンダーと非常に類似した発現プロファイルを有することを示した。
【0095】
これらのプローブセットは全て5%過誤発見率及び2倍差次的発現カットオフをパスした。20個のプローブセットの1つ、及び20個のうちの5つのサブセットの1つの2つの予測応答シグニチャーを、独立したコホートを用いて確立しかつ検証した。4人のノンレスポンダーが誤って分類されたが、0週目に分別的に発現される109個の遺伝子全てのレスポンダーと似た発現パターンを有していた(データは図示せず)。これは、これらの患者が、インフリキシマブ治療からの臨床的有益性を顕在化させるのが遅いか、又は0週目の粘膜発現プロファイリングでは明らかにならない、患者の臨床反応に影響を与える要因を有しているかのいずれかであることを示唆している。ACT1コホートからの1人のレスポンダーは、20個及び5個のプローブセット分類子によって誤って分類され、独立した検証コホート中の1人のレスポンダーは誤って分類された。
【0096】
応答シグニチャーの有用性。本明細書に記載のUCにおけるインフリキシマブ治療の応答シグニチャーは、以下のように評価され、かつ使用される。
1)活性UC(若しくはクローン病又は関連する疾病及び疾患)を患う患者の病変部から結腸内視鏡生検試料を得る。次にRNAを生検試料から単離し、リアルタイムRT−PCR解析に供する。容量50μlにおける1マイクログラムの総RNAを、MultiScribe Reverse Transcriptase(ABI biosystem,Foster City,California)の存在下でcDNAに変換する。反応は、25℃で10分間、続いて48℃で30分間インキュベートすることによって実施される。逆転写酵素は5分間95℃で失活される。反応物あたり25ナノグラムのcDNAが、ABI 7900システム(Foster City,California)を用いるリアルタイムPCRにおいて使用される。AmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ(ABI biosystem,Foster City,California)の存在下、反応液を50℃で2分間、その後95℃で10分間インキュベートする。次に、応答シグニチャーにおける遺伝子に特異的なプライマー/プローブセットを使用して、1サイクル当たり95℃、15秒、及び60℃、1分で、反応を40サイクル行う。GAPDH又はアクチンなどのハウスキーピング遺伝子を内部キャリブレータとして使用する。ノンレスポンダー試料の値をキャリブレータ又はコンパレータとして使用して、Applied Biosystemsによって記載されるデルタデルタCt法を用いて、遺伝子発現における相対的変動を計算する。
2)類似遺伝子発現プロファイルが、ある種の治療に関する遺伝子プロファイルシグニチャーのパラメータと一致する場合、即ち、上述のプロファイルの5個又は20個のシグニチャー遺伝子の1個以上が、ノンレスポンダーとの関連でレスポンダーを予測する発現レベルを示す場合、その患者は恐らく治療に対する治療応答者であると考慮される。その場合、患者は治療によって治療される。
3)遺伝子発現プロファイルが、レスポンダーの遺伝子プロファイルシグニチャーのパラメータと一致しない場合、即ち、発現レベルが低い場合は、その患者は恐らく治療非応答者であると定義される。その場合、患者は治療によって治療されない。これにより、患者はノンレスポンダーと見なされた後早い段階である種の治療を回避することができるようにする。これにより、患者が異なる種類の治療を受けることができるようにすることが可能である。
【0097】
参照基準との関連における比較方法:
表2に列挙された20の遺伝子パネル、又は表2に太字で列挙された5つの遺伝子パネルの発現強度に関し、総RNAが遺伝子チップアレイの上で解析される。以下の手順は、20又は5つの遺伝子パネルメンバーの値を比較するために、本発明の遺伝子パネルのメンバーを参照基準に対して評価する方法の例である。
1.総RNAを、治療前の見込みのあるUC(又は関連疾患)の患者から採取した生検試料から抽出し、総RNAの量と質を実施例1で上に明記した通りに評価する。
2.総RNAは、3つの別々の同一遺伝子チップアレイ、例えば、GeneChip Human Genome U133 Plus 2.0アレイ上で、以下の通りに2回実施される。
a.RNA増幅、標的合成及び標識、チップハイブリダイゼーション、洗浄、及び染色を、メーカーのプロトコル(例えば、Affymetrix,Santa Clara,CA)にしたがって実施する。
b.GeneChipを、例えば、GeneChip Scanner 3000を使用して走査する。
c.データを、正規化法としてAffymetrixデフォルト解析設定及びグローバルスケーリングを用いて、各アレイの平均目標強度を適宜500に設定して、例えば、GCOS 1.4(GeneChip Operating System)によって解析する。
d.データの品質は、2回の及び3つのアレイにわたる各遺伝子のデータを相関させることによって判定された。
i.相関係数>0.9が達成されなければならない。
e.可変性を示す標準誤差を有する平均強度値を計算する。
f.次の場合、患者は抗TNFα抗体(例えば、インフリキシマブ)による治療に応答しなければならない:
i.各遺伝子プローブセットの平均強度値がXと同じか又はそれを超える(表2);又は
ii.5つ(又は20)の遺伝子パネルの平均強度値がXと同じか又はそれを超える(表2)。
g.次の場合、患者は抗TNFα抗体(例えば、インフリキシマブ)による治療に応答すべきでない:
i.各遺伝子プローブセットの平均強度値がYを下回る(表2);又は
ii.5つ(又は20)の遺伝子パネルの平均強度値がYを下回る(表2)。
【0098】
参照を備えて、上記にいくつかの具体的な実施形態を例示し記載したが、本発明は示した詳細に限定されることを決して意図しない。むしろ、本発明はUC関連遺伝子及び遺伝子産物を目的とする。本明細書に開示されるポリヌクレオチド、抗体、装置及びキット、並びにそれらの使用、並びに治療に対する応答性を予測しUCに関連するバイオマーカー遺伝子のレベルを制御する方法、並びに様々な修正を、特許請求の範囲と同等の領域及び範囲内で、本発明の趣旨から逸脱することなく詳細になすことができる。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
【表3】

【0102】
【表4−1】

【0103】
【表4−2】

【0104】
【表4−3】

【0105】
【表4−4】

【0106】
参照
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者において胃腸関連疾患に対する標的治療による治療の適合性を予測するための方法であって、
a)前記被験者から得た標本から核酸試料を調製することと、
b)前記試料を、配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列からなる群からの2個のメンバーの少なくとも一部分からなる核酸セグメントのパネルと接触させてパネルセグメントのレベルを検出することと、
c)前記試料の中に存在する少なくとも2個のメンバーの量の変化の規模を判定するために、前記試料を参照基準に対して評価することと、
d)前記変化の規模を、前記胃腸関連疾患に対する前記標的治療による前記治療の適合性と相関させることと、を含む方法。
【請求項2】
前記被験者が胃腸関連疾患を有する患者であり、前記標的治療が抗TNFα抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗TNFα抗体がインフリキシマブである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記胃腸関連疾患が潰瘍性大腸炎である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記参照基準が、未治療の潰瘍性大腸炎患者、前記標的治療に対するレスポンダー、又は前記標的治療に対するノンレスポンダーからの結腸生検由来である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記収集物が核酸セグメントのアレイである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記評価工程が、配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列からなる群からの少なくとも5個のメンバーの前記量の変化の規模を判定するために、前記試料を参照基準に対して評価することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記評価工程が、配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列からなる群からの少なくとも10個のメンバーの前記量の変化の規模を判定するために、前記試料を参照基準に対して評価することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記評価工程が、配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列からなる群からの少なくとも15個のメンバーの前記量の変化の規模を判定するために、前記試料を参照基準に対して評価することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記評価工程が、配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列からなる群からの全てのメンバーの前記量の変化の規模を判定するために、前記試料を参照基準に対して評価することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記評価工程が、前記試料を参照基準に対して評価することと、前記パネルの前記メンバーのそれぞれの平均強度値がXと同じか若しくはそれを超えるか、又はYを下回るか、を判定することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記パネルの前記メンバーのそれぞれの前記平均強度値がXと同じか又はそれを超えることが、前記被験者が前記標的治療に対するレスポンダーであることを示し、前記パネルの前記メンバーのそれぞれの前記平均強度値がYを下回ることが、前記被験者がノンレスポンダーであることを示す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記相関工程の後に、前記パネルの前記メンバーのそれぞれの前記平均強度値がXと同じか又はそれを超えることに基づき、前記被験者を前記標的治療で治療することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記相関工程の後に、前記パネルの前記メンバーのそれぞれの前記平均強度値がYを下回ることに基づき、前記被験者を前記標的治療で治療するのを控えることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記試料が、治療の投与前に前記試料を提供する患者、胃腸関連疾患を有するプラシーボ治療患者、及びバイオバンクからの試料からなる群から選択される供給源由来である、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記試料が結腸生検試料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記試料が末梢血液細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
被験者において胃腸関連疾患に対する標的治療による治療の適合性を予測するための方法であって、
e)前記被験者から得た標本から核酸試料を調製することと、
f)前記試料を、配列番号3、5、9、10、及び14に対応するヌクレオチド配列からなる群からの少なくとも1個のメンバーからなる核酸セグメントのパネルと接触させてパネルセグメントのレベルを検出することと、
g)前記試料の中に存在する前記少なくとも1個のメンバーの量の変化の規模を判定するために、前記試料を参照基準に対して評価することと、
h)前記変化の規模を、前記胃腸関連疾患に対する前記標的治療による前記治療の適合性と相関させることと、を含む方法。
【請求項19】
前記被験者が胃腸関連疾患を有する患者であり、前記標的治療が抗TNFα抗体である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記抗TNFα抗体がインフリキシマブである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記胃腸関連疾患が潰瘍性大腸炎である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記参照基準が、未治療の潰瘍性大腸炎患者からの結腸生検由来である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記収集物が核酸セグメントのアレイである、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記評価工程が、配列番号3、5、9、10、及び14に対応するヌクレオチド配列からなる群からの少なくとも2個のメンバーの前記量の変化の規模を判定するために、前記試料を参照基準に対して評価することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記評価工程が、配列番号3、5、9、10、及び14からなる群からの少なくとも3個のメンバーの前記量の変化の規模を判定するために、前記試料を参照基準に対して評価することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記評価工程が、配列番号3、5、9、10、及び14に対応するヌクレオチド配列からなる群からの少なくとも4個のメンバーの前記量の変化の規模を判定するために、前記試料を参照基準に対して評価することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記評価工程が、配列番号3、5、9、10、及び14に対応するヌクレオチド配列の全てのメンバーの前記量の変化の規模を判定するために、前記試料を参照基準に対して評価することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記評価工程が、前記試料を参照基準に対して評価することと、前記パネルの前記メンバーのそれぞれの前記平均強度値がXと同じか若しくはそれを超えるか、又はYを下回るか、を判定することとを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記評価工程が、前記試料を参照基準に対して評価することと、前記パネルの前記メンバーのそれぞれの前記平均強度値がXと同じか若しくはそれを超えるか、又はYを下回るか、を判定することとを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記評価工程が、前記試料を参照基準に対して評価することと、前記パネルの前記メンバーのそれぞれの前記平均強度値がXと同じか若しくはそれを超えるか、又はYを下回るか、を判定することとを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記評価工程が、前記試料を参照基準に対して評価することと、前記パネルの前記メンバーのそれぞれの前記平均強度値がXと同じか若しくはそれを超えるか、又はYを下回るか、を判定することとを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記相関工程の後に、前記パネルの前記メンバーのそれぞれの前記平均強度値がXと同じか又はそれを超えることに基づき、前記被験者を前記標的治療で治療することを更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記相関工程の後に、前記パネルの前記メンバーのそれぞれの前記平均強度値がYを下回ることに基づき、前記被験者を前記標的治療で治療するのを控えることを更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記試料が、治療の投与前に前記試料を提供する患者、胃腸関連疾患を有するプラシーボ治療患者、及びバイオバンクからの試料からなる群から選択される供給源由来である、請求項18に記載の方法。
【請求項35】
前記試料が結腸生検試料を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項36】
前記試料が末梢血液細胞を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項37】
患者において胃腸関連疾患に対する標的治療による治療の適合性を予測するためのアレイに基づく試験方法であって、
a)前記患者から得た標本から核酸の混合物を調製することと、
b)試料を形成するために、前記標本核酸を検出可能なマーカーで標識することと、
c)前記試料を複数の核酸セグメントを含むアレイと接触させることであって、各核酸セグメントが該アレイの基板表面上の別個で既知のアドレスに固定化され、配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列からなる胃腸関連遺伝子パネルの少なくとも2個のメンバーが、アドレスによってアレイのフィーチャーであると同定され、及び該アレイが前記基板上の既知のアドレスに少なくとも1個の較正核酸を更に含む、接触させることと、
d)前記標本核酸と前記核酸セグメントの結合の程度を判定することと、
e)前記治療の適合性の評価を可能にするために、参照基準への結合の程度を比較することと、を含む方法。
【請求項38】
前記比較工程が、配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列のメンバーの少なくとも2個の前記量の変化の規模を判定するために、前記試料を参照基準に対して評価することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記評価工程が、前記試料を参照基準に対して評価することと、前記胃腸関連遺伝子パネルの前記メンバーのそれぞれの前記平均強度値がXと同じか若しくはそれを超えるか、又はYを下回るか、を判定することとを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記胃腸関連疾患が潰瘍性大腸炎であり、前記胃腸関連遺伝子パネルが潰瘍性大腸炎関連遺伝子パネルである、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記標的治療が抗TNFα抗体である、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記標本が、潰瘍性大腸炎を患っていると疑われる患者、及び治療を受けていない潰瘍性大腸炎と診断された患者からなる群から選択される患者の結腸生検由来である、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記標本が、治療の投与前に前記標本を提供する患者、プラシーボで治療された同様の疾病又は症状を有する患者、及びバイオバンクからの試料からなる群から選択される供給源由来である、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記標本が結腸生検試料を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記標本が末梢血液細胞を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記結合の程度を比較する工程が、前記潰瘍性大腸炎関連遺伝子パネルの前記アレイのフィーチャー強度変化の類似性の厳しい試験を更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列の1つのヌクレオチド配列を含む又はこれと相補的なものである少なくとも15個のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド、配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列の1つの少なくとも一部分によってコードされるポリペプチド、及び配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列の1つの少なくとも一部分によってコードされるポリペプチドのリガンドからなる群から選択される少なくとも1個のメンバーを含む、細胞又は被験者における胃腸関連疾患に対する標的治療の適合性を試験するための、試薬。
【請求項48】
前記胃腸関連疾患が潰瘍性大腸炎であり、前記標的治療が抗TNFα抗体である、請求項47に記載の試薬。
【請求項49】
前記抗TNFα抗体がインフリキシマブである、請求項48に記載の試薬。
【請求項50】
患者試料を請求項47の試薬と接触させることと、配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列の遺伝子又はタンパク質の1つの少なくとも一部分のレベルを参照基準と比較することと、を含む、患者試料において胃腸関連疾患に対する標的治療の適合性を試験する方法。
【請求項51】
前記試験がRT−PCRによって行われる、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記試験がELISAによって行われる、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記標的治療が抗TNFα抗体である、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記抗体がインフリキシマブである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記試料を参照基準に対して評価することと、前記胃腸関連遺伝子パネルの前記メンバーのそれぞれの前記平均強度値がXと同じか若しくはそれを超えるか、又はYを下回るか、を判定することとを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
マーカー遺伝子又はその相補鎖と、該マーカー遺伝子を発現する細胞とを含むポリヌクレオチド配列を含む又はこれと相補的なものである少なくとも15個のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを含む、予後に用いる又は診断に用いるためのキットであって、前記マーカー遺伝子が、配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列からなる群から選択される、キット。
【請求項57】
前記キットがUCのための治療薬の適合性をスクリーニングするように適合される、請求項56に記載のキット。
【請求項58】
UCのための治療薬の適合性をスクリーニングするためのキットであって、該キットは、マーカー遺伝子及び該マーカー遺伝子を発現する細胞によってコードされるアミノ酸配列を含むペプチドを認識する抗体を含み、前記マーカー遺伝子が、配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列からなる群から選択される、キット。
【請求項59】
潰瘍性大腸炎に対する治療の有効性を試験する方法であって、
a)潰瘍性大腸炎の治療を受けた患者由来の試料を、請求項47の試薬の少なくとも2個のメンバーと接触させることと、
b)前記少なくとも2個のメンバーのレベルを測定することと、
c)前記少なくとも2個のメンバーの前記レベルを前記治療の前記有効性と相関させることと、を含む方法。
【請求項60】
前記治療がTNFαの拮抗薬を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記拮抗薬がTNFαに対する抗体である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記抗体がインフリキシマブである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
標的治療で胃腸関連疾患を有する被験者を治療するための方法であって、
a)前記被験者から得た標本から核酸試料を調製することと、
b)前記試料を、配列番号1〜20に対応するヌクレオチド配列からなる群からの2個のメンバーの少なくとも一部分からなる核酸セグメントのパネルと接触させてパネルセグメントのレベルを検出することと、
c)前記試料に存在する少なくとも2個のメンバーの量の変化の規模を判定するために、前記試料を参照基準に対して評価することと、
d)前記変化の規模を、前記胃腸関連疾患に対する前記標的治療による前記治療の適合性と相関させることと、
e)前記標的治療で前記被験者を治療することと、を含む方法。
【請求項64】
本明細書に記載されたいずれかの発明。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−501452(P2012−501452A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525223(P2011−525223)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/055323
【国際公開番号】WO2010/025340
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(509087759)ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド (77)
【Fターム(参考)】